(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104072
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】硬質表面用クリーナー
(51)【国際特許分類】
G02C 11/00 20060101AFI20250702BHJP
A47L 13/17 20060101ALI20250702BHJP
D04H 1/4374 20120101ALI20250702BHJP
D04H 1/498 20120101ALI20250702BHJP
【FI】
G02C11/00
A47L13/17 A
D04H1/4374
D04H1/498
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221905
(22)【出願日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】信藤 千明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 万博
(72)【発明者】
【氏名】志垣 杏奈
【テーマコード(参考)】
2H006
3B074
4L047
【Fターム(参考)】
2H006DA07
3B074AA01
3B074AA08
3B074AB01
3B074CC03
4L047AA08
4L047AA12
4L047AA28
4L047AB02
4L047BA04
4L047BA21
4L047CA02
4L047CA05
4L047CB07
4L047CC16
(57)【要約】
【課題】本開示の目的は、適度な摩擦係数及び速乾性を有し、薬液を多く含んだ状態でも破れ難い十分な強度を有し、かつ薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかい硬質表面用クリーナーを提供することである。
【解決手段】本開示の硬質表面用クリーナーは、炭素数4以下のアルコールを含有する薬液が不織布に含侵されたものであって、前記不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布であり、前記内層は、パルプを含み、前記パルプの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、前記セルロース繊維Aの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、前記アルコールの含有量は、前記硬質表面用クリーナーの総重量に対して8~60重量%である、ことを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数4以下のアルコールを含有する薬液が不織布に含侵された硬質表面用クリーナーであって、
前記不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布であり、
前記内層は、パルプを含み、
前記パルプの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、
前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、
前記セルロース繊維Aの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、
前記アルコールの含有量は、前記硬質表面用クリーナーの総重量に対して8~60重量%である、硬質表面用クリーナー。
【請求項2】
前記積層不織布は、合成繊維を含まない、請求項1に記載の硬質表面用クリーナー。
【請求項3】
前記アルコールは、エタノール及びイソプロピルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の硬質表面用クリーナー。
【請求項4】
前記硬質表面用クリーナーは、メガネ用クリーナーである、請求項1~3のいずれかに記載の硬質表面用クリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メガネ等の硬質物の清拭に用いられる、薬液が積層不織布に含侵された硬質表面用クリーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
メガネ等の硬質物の清拭に用いられるクリーナーとして、薬液が不織布に含侵されたクリーナーが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基材シートに薬液が含浸されたメガネクリーナーであって、前記基材シートは、矩形状の不織布により形成され、目付が18g/m2から35g/m2であり、表面及び裏面に配置された外層部と、前記外層部の間に配置された内層部と、を含む3層以上の複数の層からなり、前記外層部は前記内層部と比較して汚れの掻き取り能力に優れ、前記内層部は前記外層部と比較して薬液の保持能力に優れ、前記基材シートを貫通する複数の孔部が形成されていることを特徴とするメガネクリーナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の硬質表面用クリーナーは、薬液を多く含んだ状態においては強度不足により破れやすくなり、また、薬液が揮発して乾燥した状態においては不織布が硬くなり、それにより硬質物の表面に傷がつきやすくなるという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、適度な摩擦係数及び速乾性を有し、薬液を多く含んだ状態でも破れ難い十分な強度を有し、かつ薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかい硬質表面用クリーナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、パルプで形成された内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布を用い、前記パルプの含有量を特定量に調整し、かつ前記外層に、繊維径が小さい、パルプ以外のセルロース繊維を特定量含有させ、さらに当該積層不織布に炭素数4以下のアルコールを特定量含有させることにより、適度な摩擦係数及び速乾性を有し、薬液を多く含んだ状態でも破れ難い十分な強度を有し、かつ薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかい硬質表面用クリーナーが得られることを見出した。本開示は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 炭素数4以下のアルコールを含有する薬液が不織布に含侵された硬質表面用クリーナーであって、
前記不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布であり、
前記内層は、パルプを含み、
前記パルプの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、
前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、
前記セルロース繊維Aの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、
前記アルコールの含有量は、前記硬質表面用クリーナーの総重量に対して8~60重量%である、硬質表面用クリーナー。
項2. 前記積層不織布は、合成繊維を含まない、項1に記載の硬質表面用クリーナー。
項3. 前記アルコールは、エタノール及びイソプロピルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の硬質表面用クリーナー。
項4. 前記硬質表面用クリーナーは、メガネ用クリーナーである、項1~3のいずれかに記載の硬質表面用クリーナー。
項5. 炭素数4以下のアルコールを含有する薬液が不織布に含侵されており、
前記不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布であり、
前記内層は、パルプを含み、
前記パルプの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、
前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、
前記セルロース繊維Aの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、
前記アルコールの含有量は、クリーナーの総重量に対して8~60重量%であるクリーナーの、硬質表面の清拭のための使用。
項6. 前記硬質表面は、メガネレンズの表面である、項5に記載の使用。
項7. 炭素数4以下のアルコールを含有する薬液が不織布に含侵されており、
前記不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布であり、
前記内層は、パルプを含み、
前記パルプの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、
前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、
前記セルロース繊維Aの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、
前記アルコールの含有量は、クリーナーの総重量に対して8~60重量%であるクリーナーを用いて、硬質表面を清拭する、清拭方法。
項8. 前記硬質表面は、メガネレンズの表面である、項7に記載の清拭方法。
項9. 硬質表面用クリーナーの製造のための、炭素数4以下のアルコールを含有する薬液、及び
内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含み、
前記内層は、パルプを含み、
前記パルプの含有量は、積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、
前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、
前記セルロース繊維Aの含有量は、積層不織布の総重量に対して10~30重量%である積層不織布の使用。
項10. 前記硬質表面は、メガネレンズの表面である、項9に記載の使用。
【発明の効果】
【0009】
本開示の硬質表面用クリーナーは、適度な摩擦係数及び速乾性を有し、薬液を多く含んだ状態でも破れ難い十分な強度を有しており、かつ薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかいため、拭き心地が良く、硬質物の表面に傷をつけ難いものである。また、本開示の硬質表面用クリーナーは、メガネ等の硬質物に付着した汚れ(特に花粉)の除去性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.定義
本開示において、数値範囲に関する表記「X~Y」は、X以上Y以下の数値範囲であることを示す。
【0011】
本開示において、硬質表面とは、樹脂、金属、セラミックス、ガラス、及び木材等の硬質物の表面を指す。
【0012】
2.硬質表面用クリーナー
本開示の硬質表面用クリーナーは、炭素数4以下のアルコールを含有する薬液が不織布に含侵されたものであり、
前記不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含む積層不織布であり、
前記内層は、パルプを含み、
前記パルプの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、
前記外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維Aと、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維Bとを含み、
前記セルロース繊維Aの含有量は、前記積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、
前記アルコールの含有量は、前記硬質表面用クリーナーの総重量に対して8~60重量%であることを特徴とする。以下、本開示の硬質表面用クリーナーについて詳述する。
【0013】
[積層不織布]
本開示の積層不織布は、内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含むものである。以下、本開示の積層不織布について詳述する。
【0014】
(内層)
内層は、原料繊維としてパルプを含む繊維層である。内層の原料繊維としてパルプを用いることにより、積層不織布の薬液の保持性を高めることができる。また、パルプは、水流交絡法等で積層不織布を製造する場合に、外層用のセルロース繊維と交絡しやすい。そのため、内層がパルプを含むことにより、内層と外層とが適度に交絡して、積層不織布の強度を高めることができる。また、パルプは、緻密な層を形成しやすいため、積層不織布の強度を高めることができる。さらに、パルプは、植物由来の原料であるため、積層不織布の生分解性を向上させることができる。使い捨てされ得る積層不織布の生分解性が高いことは、サステナブルな社会の実現に貢献し、環境負荷を軽減できる。
【0015】
内層の原料繊維として用いられるパルプは特に制限されず、例えば、機械パルプ、再生パルプ、及び化学パルプ等が挙げられる。また、パルプは、木材パルプであってもよく、非木材パルプであってもよい。
【0016】
内層は、原料繊維としてパルプのみを含むことが好ましいが、パルプ以外のセルロース繊維を含んでいてもよい。パルプ以外のセルロース繊維は特に制限されず、例えば、(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプ、及びカポック等の植物に由来する天然繊維;(2)レーヨン、ポリノジック、キュプラ、及びリヨセル等の再生繊維;(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維などが挙げられる。前記例示のセルロース繊維は、1種用いてもよく、2種以上を併用してもよい。内層の原料繊維が、パルプと、パルプ以外のセルロース繊維とである場合、パルプ以外のセルロース繊維の含有量は、内層の原料繊維の総重量に対して、通常40重量%以下であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0017】
内層を構成するパルプ、及び任意で用いられるパルプ以外のセルロース繊維の繊維径は、通常2~50μm程度であり、薬液の保持性に優れる観点、及び内層の適度な強度及び柔らかさを両立させる観点から、好ましくは20~40μmである。本開示において、内層を構成するパルプ、又は任意で用いられるパルプ以外のセルロース繊維の繊維径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、硬質表面用クリーナーを25℃環境下で24時間乾燥させたサンプルの内層表面を200倍で観察した時の、任意100箇所における単繊維の直径の平均値である。
【0018】
内層は、積層不織布の生分解性を向上させ、環境負荷を軽減する天然素材の硬質表面用クリーナーとするために、合成繊維を含まないことが好ましい。
【0019】
内層の目付は特に制限されないが、通常5~50g/m2程度であり、薬液の保持性に優れる観点、及び内層の適度な強度及び柔らかさを両立させる観点、及び内層と外層との層間において繊維同士をより交絡させて、内層と外層との一体化を高める観点から、好ましくは10~50g/m2、より好ましくは10~30g/m2である。
【0020】
(外層)
外層は、前記内層の表と裏の両面に設けられる繊維層であり、積層不織布の外側に位置し、清拭対象物(例えば、メガネ等の硬質物)との接触面となる。
【0021】
外層は、繊維径が2~12μmである、パルプ以外のセルロース繊維A(以下、単に「セルロース繊維A」ともいう。)と、繊維径が12μm超30μm以下である、パルプ以外のセルロース繊維B(以下、単に「セルロース繊維B」ともいう。)とを含む。セルロース繊維は植物由来の原料であり、積層不織布の生分解性を向上させることができる。使い捨てされ得る積層不織布の生分解性が高いことは、サステナブルな社会の実現に貢献し、環境負荷を軽減できる。また、セルロース繊維は、適度な摩擦係数を有するため、硬質物の表面に傷をつけ難く、拭き取りの際の使用感がよいという利点がある。また、セルロース繊維は、粒子(特に花粉)汚れを効果的に拭き取れるという利点がある。また、外層は、パルプを含まない。外層にパルプを用いると、繊維粉(紙粉)が清拭対象物に付着しやすくなるため好ましくない。
【0022】
セルロース繊維A及びBは特に制限されず、例えば、(1)綿(コットン)、麻、亜麻(リネン)、ラミー、ジュート、バナナ、竹、ケナフ、月桃、ヘンプ、及びカポック等の植物に由来する天然繊維;(2)レーヨン、ポリノジック、キュプラ、及びリヨセル等の再生繊維;(3)溶融紡糸法で得られるセルロース繊維などが挙げられる。前記例示のセルロース繊維は、1種用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
セルロース繊維Aの繊維径は、2~12μmである。外層を構成する繊維として、繊維径が2~12μmであるセルロース繊維Aを用いることにより、外層の繊維密度が向上し、薬液を多く含んだ状態でも破れ難い積層不織布が得られる。セルロース繊維Aの繊維径は、本開示の効果をより向上させる観点から、好ましくは3~12μm、より好ましくは5~12μmである。本開示において、外層を構成するセルロース繊維Aの繊維径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、硬質表面用クリーナーを25℃環境下で24時間乾燥させたサンプルの外層表面を200倍で観察した時の、任意100箇所における単繊維の直径の平均値である。なお、セルロース繊維Aとセルロース繊維Bは断面形状が異なるため、断面形状によってセルロース繊維Aを判別することができる。
【0024】
セルロース繊維Bの繊維径は、12μm超30μm以下である。外層を構成する繊維として、繊維径が12μm超30μm以下であるセルロース繊維Bをセルロース繊維Aと共に用いることにより、外層の繊維密度が高くなりすぎることを抑制し、薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかく、それにより拭き心地が良く、硬質物の表面に傷をつけ難い積層不織布が得られる。セルロース繊維Bの繊維径は、本開示の効果をより向上させる観点から、好ましくは12.5~25μm、より好ましくは12.5~20μmである。本開示において、外層を構成するセルロース繊維Bの繊維径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、硬質表面用クリーナーを25℃環境下で24時間乾燥させたサンプルの外層表面を200倍で観察した時の、任意100箇所における単繊維の直径の平均値である。なお、セルロース繊維Aとセルロース繊維Bは断面形状が異なるため、断面形状によってセルロース繊維Bを判別することができる。
【0025】
外層において、セルロース繊維Aとセルロース繊維Bとの含有比率は特に制限されないが、セルロース繊維Aとセルロース繊維Bの合計量100重量部当たり、セルロース繊維Aの含有量は、通常10~90重量部程度であり、外層の繊維密度をより好適な範囲にして、薬液を多く含んだ状態でもより破れ難く、薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかく、それにより拭き心地が良く、硬質物の表面により傷をつけ難い積層不織布を得る観点から、好ましくは15~85重量部、より好ましくは20~80重量部、さらに好ましくは20~75重量部、一層好ましくは20~70重量部、特に好ましくは20~60重量部である。
【0026】
外層は、積層不織布の生分解性を向上させ、環境負荷を軽減する天然素材の硬質表面用クリーナーとするために、合成繊維を含まないことが好ましい。また、外層が合成繊維を含むと、外層の摩擦係数が小さくなるため、拭き取りの際につるつる滑って使用感が悪くなったり、粒子(特に花粉)汚れの拭き取り効果が低下するため好ましくない。
【0027】
外層の目付は特に制限されないが、通常5~50g/m2程度であり、薬液を多く含んだ状態でも破れ難く、また、薬液が揮発して乾燥した状態になっても柔らかい積層不織布を得る観点、及び内層と外層との層間において繊維同士をより交絡させて、内層と外層との一体化を高める観点から、好ましくは10~50g/m2、より好ましくは10~30g/m2である。
【0028】
内層の一方の面に設けられる外層と、内層の他方の面に設けられる外層とは、使用する原料繊維、セルロース繊維Aとセルロース繊維Bとの含有比率、及び目付等が同じ繊維層であってもよく、異なる繊維層であってもよい。
【0029】
(積層不織布の特徴)
積層不織布において、内層を構成するパルプの含有量は、薬液の保持性に優れ、適度な速乾性を有し、適度な強度及び柔らかさを両立した積層不織布を得るために、積層不織布の総重量に対して40~60重量%であり、好ましくは45~60重量%である。
【0030】
積層不織布において、外層を構成するセルロース繊維Aの含有量は、薬液を多く含んだ状態でも破れ難く、また、薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかく、それにより拭き心地が良く、硬質物の表面に傷をつけ難い積層不織布を得るために、積層不織布の総重量に対して10~30重量%であり、好ましくは15~25重量%である。
【0031】
積層不織布において、外層を構成するセルロース繊維Aと内層を構成するパルプとの含有比率は特に制限されないが、内層を構成するパルプ100重量部当たり、外層を構成するセルロース繊維Aの含有量は、通常10~80重量部程度であり、薬液を多く含んだ状態でも破れ難く、また、薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかく、それにより拭き心地が良く、硬質物の表面に傷をつけ難い積層不織布を得る観点から、好ましくは15~70重量部、より好ましくは20~60重量部である。
【0032】
積層不織布において、内層と外層の目付の比率は特に制限されず、通常5:1~1:5(内層:外層)であり、薬液の保持性に優れ、適度な速乾性を有し、適度な強度及び柔らかさを両立した積層不織布を得る観点、及び薬液を多く含んだ状態でも破れ難く、また、薬液が揮発して乾燥した状態になっても適度に柔らかく、それにより拭き心地が良く、硬質物の表面に傷をつけ難い積層不織布を得る観点から、好ましくは3:1~1:3、より好ましくは3:2~2:3である。
【0033】
積層不織布は、少なくとも、前記内層と、前記内層の両面に設けられた外層とを含むものであるが、本開示の効果を阻害しない範囲で、さらに任意の繊維層が一層以上、任意の位置に積層されていてもよい。しかし、本開示の積層不織布は、前記内層と、前記内層の両面に設けられた外層とからなる3層構造であることが好ましい。
【0034】
(積層不織布の製造方法)
本開示の積層不織布の製造方法は特に制限されず、公知の方法、例えば、内層用繊維ウェブの両面に外層用繊維ウェブを積層して得られた積層シートを水流絡合(スパンレース)法、及びニードルパンチ法等の交絡処理によって一体化することにより製造することができる。積層される前の各繊維ウェブは、不織布であってもよく、不織布の前駆体であってもよい。不織布の前駆体とは、繊維シート、ウェブ、又はバットであって、繊維が一方向又はランダムに配向しているが、繊維間が結合されていないものである。積層される前の各繊維ウェブの製造方法も特に限定されない。積層不織布の製造に使用される各繊維ウェブは、カード式法、エアレイド法、又は湿式法等により作製される不織布の前駆体であってもよく、あるいは水流交絡(スパンレース)法、ニードルパンチ法、又は湿式法等により作製される不織布であってもよい。
【0035】
[薬液]
本開示の積層不織布に含侵させる薬液は、炭素数4以下のアルコールを含有するものである。以下、本開示の薬液について詳述する。
【0036】
(アルコール)
本開示の薬液は、少なくとも炭素数4以下のアルコールを含有する。アルコールとしては、一価又は二価のアルコールが挙げられる。
【0037】
炭素数4以下の一価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール(2-プロパノール)、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール等が挙げられる。
【0038】
炭素数4以下の二価の低級アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等のグリコール類等が挙げられる。
【0039】
本開示の薬液において、炭素数4以下のアルコールは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
前記例示のアルコールのうち、洗浄力及び拭き取り性により優れる観点から、好ましくは炭素数4以下の一価のアルコール、より好ましくはエタノール及びイソプロピルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であり、揮発し難い観点から、さらに好ましくはイソプロピルアルコールである。
【0041】
本開示の薬液において、炭素数4以下のアルコールの含有量は特に制限されないが、通常50~100重量%であり、硬質物に付着した汚れの除去性の観点から、好ましくは60~95重量%、より好ましくは65~90重量%、さらに好ましくは70~90重量%である。
【0042】
(その他の成分)
本開示の薬液は、更に水を含有していてもよい。薬液に含まれる水は特に制限されないが、不純物が少ない水が好ましく、例えば、超純水、純水、蒸留水、及びイオン交換水等が挙げられる。
【0043】
また、本開示の薬液は、炭素数4以下のアルコール及び水以外に他の添加剤を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、香料、界面活性剤、清涼剤、防腐剤、殺菌剤、増粘剤、pH調製剤、及び紫外線吸収剤等が挙げられる。前記例示の添加剤は、1種含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0044】
(薬液の製造方法)
本開示の薬液が混合物である場合、本開示の薬液は、例えば、炭素数4以下のアルコール、水、及び前記その他の成分を混合することにより調製することができる。混合方法は、各成分が溶解して均一になるように混合できる方法であれば特に限定されず、公知の混合方法を採用することができる。
【0045】
[硬質表面用クリーナーの特徴]
本開示の硬質表面用クリーナーにおいて、炭素数4以下のアルコールの含有量は、硬質表面用クリーナーの総重量に対して8~60重量%である。炭素数4以下のアルコールの含有量を前記範囲に調整することにより、硬質物に付着した汚れの洗浄力に優れ、適度な速乾性を有し、かつ繰り返し使用できる硬質表面用クリーナーを得ることができる。硬質物に付着した汚れの洗浄力により優れ、乾燥し難く、繰り返し使用できる硬質表面用クリーナーを得る観点から、炭素数4以下のアルコールの含有量は、硬質表面用クリーナーの総重量に対して、好ましくは10~50重量%、より好ましくは15~40重量%、さらに好ましくは15~30重量%である。
【0046】
[硬質表面用クリーナーの製造方法]
本開示の硬質表面用クリーナーは、前記積層不織布に、前記薬液を含浸させることにより製造することができる。前記積層不織布に前記薬液を含浸させる方法は特に限定されず、例えば、前記薬液中に前記積層不織布を浸漬する方法、及び前記積層不織布に前記薬液を噴霧又は塗布して含浸させる方法等の公知の方法が挙げられる。
【0047】
[硬質表面用クリーナーの用途]
本開示の硬質表面用クリーナーは、各種の硬質物の表面を清拭するためのクリーナーとして使用することができる。硬質物としては、樹脂、金属、セラミックス、ガラス、木材等からなる物品又は部材が挙げられ、具体的には、メガネ(特にメガネレンズ)、OA機器、家具、家電製品、台所用品、洗面台、窓ガラス、便器、自動車、自転車等が挙げられる。本開示の硬質表面用クリーナーは、特に、メガネ用クリーナーとして好適に用いられる。
【0048】
[硬質表面用クリーナーの使用方法]
本開示の硬質表面用クリーナーは、硬質物の表面を拭くことにより、硬質物の表面に付着した皮脂、垢、埃等の汚れを効果的に拭き取ることができる。また、本開示の硬質表面用クリーナーは、皮脂、垢、埃等の汚れのみならず、従来の硬質表面用クリーナーでは拭き取りが困難であった花粉も効果的に拭き取ることができる。また、本開示の硬質表面用クリーナーは、乾燥し難いため、何度も繰り返し使用することができる。また、本開示の硬質表面用クリーナーは、乾燥しても適度に柔らかいため、乾燥した状態で使用しても拭き心地が良く、硬質物の表面に傷をつけ難く、乾燥後も汚れの拭き取りに使用感よく用いることができる。
【実施例0049】
以下に実施例を示して本開示をより具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0050】
製造例1
イソプロピルアルコール(IPA)30重量部、及び水70重量部を混合して薬液Aを調製した。
【0051】
製造例2
エタノール(EtOH)30重量部、及び水70重量部を混合して薬液Bを調製した。
【0052】
実施例1
(1)内層用繊維ウェブの準備
内層用繊維ウェブとして、目付18g/m2のパルプ製湿式不織布を準備した。
(2)外層用繊維ウェブの準備
レーヨン40重量%、及びリヨセル60重量%を混合して、パラレルカード機を用い て、目付が17g/m2になるように、外層用繊維ウェブを作製した。
(3)積層不織布の作製
内層用繊維ウェブの両面に外層用繊維ウェブを積層して得られた積層シートを、水流絡合(スパンレース)法によって一体化し、乾燥して積層不織布を作製した。
(4)硬質表面用クリーナーの作製
作製した積層不織布に、調製した薬液Aを塗布し、含浸させて硬質表面用クリーナーを作製した。
【0053】
実施例2~13、比較例1~12
表1及び2に示す繊維の種類、繊維の割合、薬液の種類、及びアルコールの含有量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で硬質表面用クリーナーを作製した。
【0054】
比較例13
目付35g/m2のパルプ製湿式不織布に、調製した薬液Aを塗布して硬質表面用クリーナーを作製した。
【0055】
測定及び評価
[繊維径]
作製した硬質表面用クリーナーを25℃環境下で24時間乾燥させたものから10cm×10cmのサンプルを切り取り、サンプルを両面テープでステージに固定した。走査型電子顕微鏡(SEM)でサンプル表面を200倍で観察し、任意100箇所における各単繊維の直径を測定し、その平均値を繊維径とした。
【0056】
[引張試験]
作製した硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)から幅25mm、長さ100mmのサンプルを切り取った。サンプルの25mm幅の辺を引張り試験機(島津製作所社製、卓上形精密万能試験機、AGS-X)に挟んだ。ロードセルは20Nを使用した。CD方向に300mm/minの速度で測定を開始し、引張強度の最大値を記録した。試験は5回行い、最大値の平均値を算出し、下記基準で評価した。結果を表1及び2に示す。
(評価基準)
〇:600gf以上
△:300gf以上500gf未満
×:300gf未満
【0057】
[洗浄力試験]
3cm×15cm×5mmのポリカーボネート板の重量を測定した。ポリカーボネート板の上に下記組成の人工皮脂を0.005gのせた。人工皮脂をのせた後のポリカーボネート板の重量を測定した。摩擦堅牢器(安田精機製作所製、No.428 COLOUR FASTNESS RUBBING TESTER)に100mm×130mmの硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)を10枚折でセット(アームのみ:200g)し、5往復拭き取りを行った。拭き取り後のポリカーボネート板の重量を測定し、拭き取り前後の重量から、下記式により洗浄力(%)を算出した。試験は3回行い、洗浄力の平均値を算出し、下記基準で評価した。結果を表1及び2に示す。
洗浄力(%)=[(洗浄前の人工皮脂の重量-洗浄後に残った人工皮脂の重量)/洗浄前の人工皮脂の重量]×100
人工皮脂の組成:トリオレイン15%、トリステアリン15%、ミリスチン酸15%、オレイン酸15%、コレステロール8%、コレステロールステアレート2%、パラフィンろう10%、スクアレン10%、及びズダンIII10%
「頭皮・頭髪用洗浄剤としてのアニオン界面活性剤の研究」油化学会誌 第38巻 第4号(1989)、宮澤清(資生堂)参照
(評価基準)
〇:70%以上
×:70%未満
【0058】
[摩擦係数測定]
カトーテック(株)社製、KES-SE摩擦感テスターに、100mm×130mmの硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)を挟み込み、以下の測定条件にて得られた、MIU(平均摩擦係数)を求めた。試験は3回行い、MIUの平均値を算出し、下記基準で評価した。MIUの値が小さすぎると、拭き取りの際につるつる滑って拭き心地が悪くなる。MIUの値が大きすぎると、硬質物の表面に傷がつきやすくなる。結果を表1及び2に示す。
(測定条件)
摩擦子:指紋タイプセンサー
速度:1.0m/sec
荷重:25g
(評価基準)
〇:1.25~1.45
△:1.2以上1.25未満、1.45より大きく1.55未満
×:1.2未満(小さすぎる)、1.55以上(大きすぎる)
【0059】
[拭き取り後の紙粉(繊維粉)評価]
摩擦堅牢器(安田精機製作所製、No.428 COLOUR FASTNESS RUBBING TESTER)に100mm×130mmの硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)を10枚折でセット(アームのみ:200g)し、3cm×15cm×5mmのポリカーボネート板の表面を5往復拭いた。その後、ポリカーボネート板越しの視界を確認し、下記基準で評価した。結果を表1及び2に示す。
(評価基準)
〇:紙粉(繊維粉)が肉眼で見えず、視界も気にならない。
△:紙粉(繊維粉)が肉眼で見えるが、視界は気にならない。
×:紙粉(繊維粉)が肉眼で見え、視界が気になる。
【0060】
[速乾性]
デジタルはかりに100mm×130mmの硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)を1枚載せ、その重量を30秒ごとに計測した。計測は、各5回行い、その重量の平均値を算出した。そして、得られた平均値から0~4分経過時における傾きの大きさ|a|を求めた。この際、近似値の式がR2>95であることを確認した。下記基準で速乾性を評価した。結果を表1及び2に示す。硬質表面用クリーナーの乾燥速度が遅すぎる場合には、例えば、メガネレンズを拭いた際に、メガネレンズ上に薬液が長時間残るためメガネをすぐに使用できず、また、水垢残りの原因にもなるため好ましくない。硬質表面用クリーナーの乾燥速度が早すぎる場合には、繰り返し使用できないため好ましくない。
(評価基準)
〇:0.025~0.035
△:0.020以上0.025未満または0.035超0.08未満
×:0以上0.020未満(遅すぎる)または0.08以上(早すぎる)
【0061】
[花粉キャッチ試験]
ポリカーボネート製のボックス(内寸:220mm×220mm×220mm)に、10cm×10cmの硬質表面用クリーナーを25℃環境下で24時間乾燥させたサンプルを特殊ゴム管(JIS L 1076 7.1に定義されるピリング試験用ゴム管)に取り付けたもの(JIS L 1076 8.1.1に従って取り付け、縫目部分も粘着テープでシールした。)と、1サンプルにつき0.05gの擬似花粉(石松子)を入れた。このボックスをCI型ピリング試験機に装着し、60回転/分の速度で20分間運転した。その後、サンプルを取り出し、マイクロスコープを用いて 1mm2当りの擬似花粉の付着数を数え、10箇所の合計値を算出した。そして、下記基準で花粉キャッチ性を評価した。結果を表1及び2に示す。
(評価基準)
〇:キャッチした擬似花粉の数が2000個以上
△:キャッチした擬似花粉の数が1000個以上2000個未満
×:キャッチした擬似花粉の数が1000個未満
【0062】
[薬液含浸状態の柔らかさ評価]
100mm×130mmの硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)のサンプルでレンズ(撥水コートレンズ、屈折率1.60、株式会社HOYA製、「SL 982 VP」)を5往復拭いた。その際のサンプルの柔らかさを5段階(ちょうどよい、やや柔らかすぎる、やや硬すぎる、柔らかすぎる、硬すぎる)で官能評価を行った。そして、下記基準で柔らかさを評価した。結果を表1及び2に示す。
(評価基準)
〇:ちょうどよい
△:やや柔らかすぎる、やや硬すぎる
×:柔らかすぎる、硬すぎる
【0063】
[乾燥後の柔らかさ評価]
幅100mm×長さ130mmの硬質表面用クリーナー(薬液が含侵された状態のもの)のサンプルを25℃環境下で24時間乾燥させた。乾燥させたサンプル全体を平らな台に乗せた。幅100mmのうち、幅50mmが台の外になるようにサンプルをずらし、5Nの重りでサンプルを固定した。そして、サンプルの長さ方向において、最も垂れ下がった箇所における台の表面からの距離を測定した。そして、下記基準で乾燥後の柔らかさを評価した。結果を表1及び2に示す。
(評価基準)
〇:2.5cm~4.5cm
×:0cm以上2.5cm未満、4.5cm超
【0064】
【0065】
【0066】
実施例1~13の硬質表面用クリーナーは、本開示の特徴をすべて満たすものであるため、薬液が含侵された状態でも破れ難い十分な強度を有し、洗浄力に優れており、適度な摩擦係数及び速乾性を有し、拭き取り後に紙粉(繊維粉)が付着し難く、花粉の除去性に優れており、かつ適度な柔らかさを有するものであった。また、実施例1~13の硬質表面用クリーナーは、乾燥した状態になっても適度な柔らかさを有するものであった。
【0067】
比較例1の硬質表面用クリーナーは、積層不織布の総重量に対してセルロース繊維Aを50重量%含み、セルロース繊維Bを含まないため、摩擦係数が大きすぎるものであった。比較例2の硬質表面用クリーナーは、積層不織布の総重量に対してセルロース繊維Aを35重量%含むため、摩擦係数が大きすぎるものであった。比較例3の硬質表面用クリーナーは、積層不織布の総重量に対してパルプを35重量%含むため、薬液の保持力が低く、乾燥速度が早すぎ、また、柔らかすぎて指にまとわりついて拭き難いものであった。比較例4の硬質表面用クリーナーは、硬質表面用クリーナーの総重量に対するアルコールの含有量が6重量%であるため、洗浄力に劣り、摩擦係数が大きすぎ、乾燥速度が遅すぎるものであった。比較例5の硬質表面用クリーナーは、積層不織布の総重量に対してパルプを65重量%含むため、拭き取り後にポリカーボネート板の表面に紙粉が多く付着し、乾燥速度が遅すぎるものであった。比較例6の硬質表面用クリーナーは、硬質表面用クリーナーの総重量に対するアルコールの含有量が65重量%であるため、摩擦係数が小さすぎ、乾燥速度が速すぎるものであった。比較例7~9の硬質表面用クリーナーは、積層不織布の総重量に対してセルロース繊維Aを5重量%含むか、あるいはセルロース繊維Aを含まないため、十分な強度を有するものではなく、拭き取り後にポリカーボネート板の表面に紙粉が多く付着し、粒子汚れの拭き取り力も低かった。比較例10~12の硬質表面用クリーナーは、外層に合成繊維を含むものであるため、摩擦係数が小さすぎ、つるつる滑って拭き心地の悪いものであった。また、比較例11の硬質表面用クリーナーは、粒子汚れの拭き取り力も低かった。比較例13の硬質表面用クリーナーは、パルプ100%であるため、全体的に評価が悪いものであった。