(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104746
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】吸収性物品の包装体、及び吸収性物品の包装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20250703BHJP
A61F 13/551 20060101ALI20250703BHJP
A61F 13/476 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
A61F13/15 200
A61F13/551
A61F13/476
A61F13/15 356
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222777
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 未来
(72)【発明者】
【氏名】木下 英之
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BB05
3B200DA27
3B200EA18
(57)【要約】
【課題】手に付着した水分や汚れが使用前の吸収性物品に付着することを抑制し、衛生的に吸収性物品を使用できる吸収性物品の包装体を提供する。
【解決手段】吸収性物品の包装体(100)は、互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品(1)と、吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シート(40)と、を有する。被覆シートは、セルロース系繊維を含んでいる。被覆シートは、幅方向に沿い、かつ被覆シートの内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目(F1、F2)と、幅方向に沿い、かつ被覆シートの外側の面同士が向かい合うように折り畳まれる外折り目(F4)と、を有する。吸収性物品は、被覆シートが内折り目によって折り畳まれることによって、被覆シートによって個別に包装されている。外折り目は、最も前側に位置する内折り目よりも前側の前領域と、最も後側に位置する内折り目よりも後側の後領域と、の少なくとも一方に配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品と、前記吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シートと、を有する吸収性物品の包装体であって、
前記被覆シートは、セルロース系繊維を含んでおり、
被覆シートは、前記幅方向に沿い、かつ前記被覆シートの内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目と、前記幅方向に沿い、かつ前記被覆シートの外側の面同士が向かい合うように折り畳まれる外折り目と、を有し、
前記吸収性物品は、前記被覆シートが前記内折り目によって折り畳まれることによって、前記被覆シートによって個別に包装されており、
前記外折り目は、最も前側に位置する内折り目よりも前側の前領域と、最も後側に位置する内折り目よりも後側の後領域と、の少なくとも一方に配置されている、吸収性物品の包装体。
【請求項2】
前記被覆シートの内側の面の吸水性は、前記被覆シートの外側の面の吸水性よりも低い、請求項1に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項3】
前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記第1被覆シートよりも内側に位置し、前記第1被覆シートの少なくとも一部に重なって配置された第2被覆シートと、を有し、
前記第1被覆シートは、前記セルロース系繊維を含み、前記外折り目が形成されており、
前記被覆シートが湿潤した湿潤状態において、前記第2被覆シートの前記前後方向の破断強度は、前記第1被覆シートの前記前後方向の破断強度よりも高い、請求項1に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項4】
前記吸収性物品は、使用時に着用物品の非肌側に折り返され、使用前に前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングを有し、
前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングの非肌側を覆う第3被覆シートを有し、
前記第1被覆シートは、前記セルロース系繊維を含み、
前記第1被覆シート及び前記第3被覆シートには、前記外折り目が形成されており、
前記外折り目よりも前記前後方向の外側の領域では、前記第3被覆シートは、前記第1被覆シートの一部の領域を覆っている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項5】
前記第3被覆シートの前記幅方向の外側縁は、前記第1被覆シートの前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置する、請求項4に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項6】
前記第1被覆シートの前記幅方向の外側部は、前記被覆シートの外側部において積層され、かつシート接合部によって互いに接合されている、請求項5に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項7】
前記被覆シートの前記前後方向の外端縁は、前記吸収性物品を包装した状態において前記包装体の外側の面に位置する被覆外端と、前記被覆外端と反対側の被覆内端と、を有し、
前記被覆外端には、前記被覆シートの外端縁を止着する止着テープが付されており、
前記被覆内端は、前記外折り目によって折り畳まれている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項8】
前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁は、前記被覆外端側に位置する物品外端を有し、
前記物品外端と前記被覆外端との前記前後方向の距離は、前記外折り目と前記被覆内端との前後方向の距離よりも長い、請求項7に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項9】
前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁は、前記被覆外端側に位置する物品外端を有し、
前記物品外端と前記被覆外端との前記前後方向の距離は、前記外折り目と前記被覆内端との前後方向の距離よりも短い、請求項7に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項10】
前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記第1被覆シートよりも内側に位置し、前記第1被覆シートの少なくとも一部に重なって配置された第2被覆シートと、を有し、
前記第1被覆シートと前記第2被覆シートを接合する被覆接合部は、前記前領域と前記後領域のうち前記外折り目が設けられた領域内に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項11】
前記第1被覆シートと前記第2被覆シートが接合されていない非接合領域は、前記最も前側に位置する内折り目と前記最も後側に位置する内折り目の間において前記前後方向に連続して設けられている、請求項10に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項12】
前記被覆シートは、前記外折り目によって折り畳まれた折り返し部を有し、
前記折り返し部の前記幅方向の一方側の外側部における前記折り返し部の前記前後方向の長さと、前記折り返し部の前記幅方向の他方側の外側部における前記折り返し部の前記前後方向の長さと、は異なる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品の包装体。
【請求項13】
互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品を、前記吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シートによって個別に包装した吸収性物品の包装体の製造方法であって、
前記被覆シート上に前記吸収性物品を配置した状態で、前記幅方向に沿う内折り目を基点に前記吸収性物品と前記被覆シートを共に折り畳む第1折り工程と、
前記被覆シートの前記前後方向の外端部を、前記包装体の外側の面に向かって外折り目を基点に折り畳んで折り返し部を形成する第2折り工程と、を有する、吸収性物品の包装体の製造方法。
【請求項14】
前記第1折り工程は、前記被覆シートの前記前後方向の外端部のうち前記外折り目側に位置する一方の外端部を折り畳み、
前記第2折り工程は、前記第1折り工程によって折り畳まれた前記被覆シートの一方の外端部と、前記被覆シートの前記前後方向の他方の外端部と、を共に、前記第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳む、請求項13に記載の吸収性物品の包装体の製造方法。
【請求項15】
前記吸収性物品は、使用時に着用物品の非肌側に折り返され、使用前に前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングを有し、
前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングの非肌側を覆う第3被覆シートを有し、
前記第2折り工程は、前記第1被覆シートと前記第3被覆シートを接合するウイング接合部に重なる位置に、前記外折り目を配置して前記折り返し部を形成する、請求項13に記載の吸収性物品の包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆シートによって吸収性物品を包装した吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被覆シートによって吸収性物品を包装した吸収性物品の包装体が開示されている。特許文献1の被覆シートは、セルロース系繊維を有する水溶紙を含んでいる。吸収性物品を使用する際は、使用済の吸収性物品に吸収された体液等による汚れが手に付着していたり、予め手を洗った際の水分が手に付着していたりすることがある。被覆シートは、個包装状態で包装体の外面を構成しており、個包装状態の包装体を把持した際に、当該把持した手に付着した汚れ等を被覆シートのセルロース系繊維によって吸収することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の吸収性物品の包装体には、以下の問題があった。
吸収性物品を使用する際は、被覆シートを展開して吸収性物品を取り出す。このとき、被覆シートのみを把持せずに被覆シートと吸収性物品を共に把持して展開したり、折り畳まれた吸収性物品同士の間に指を挿入して展開したりすると、指に付着した汚れ等が吸収性物品に付着し、衛生的に使用できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、手に付着した水分や汚れが使用前の吸収性物品に付着することを抑制し、衛生的に吸収性物品を使用できる吸収性物品の包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品の包装体は、互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品と、前記吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シートと、を有する。前記被覆シートは、セルロース系繊維を含んでいる。被覆シートは、前記幅方向に沿い、かつ前記被覆シートの内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目と、前記幅方向に沿い、かつ前記被覆シートの外側の面同士が向かい合うように折り畳まれる外折り目と、を有する。前記吸収性物品は、前記被覆シートが前記内折り目によって折り畳まれることによって、前記被覆シートによって個別に包装されている。前記外折り目は、最も前側に位置する内折り目よりも前側の前領域と、最も後側に位置する内折り目よりも後側の後領域と、の少なくとも一方に配置されている。
【0007】
一態様に係る吸収性物品の包装体の製造方法は、互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品を、前記吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シートによって個別に包装した吸収性物品の包装体を製造する。製造方法は、前記被覆シート上に前記吸収性物品を配置した状態で、前記幅方向に沿う内折り目を基点に前記吸収性物品と前記被覆シートを共に折り畳む第1折り工程と、前記被覆シートの前記前後方向の外端部を、前記包装体の外側の面に向かって外折り目を基点に折り畳んで折り返し部を形成する第2折り工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、包装状態における吸収性物品の包装体の平面図である。
【
図3】
図3は、一部展開状態における吸収性物品の包装体の平面図である。
【
図5】
図5は、展開状態における吸収性物品の包装体の平面図である。
【
図8】
図8は、包装体の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る発明は、吸収性物品の包装体である。吸収性物品の包装体は、互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品と、前記吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シートと、を有する。前記被覆シートは、セルロース系繊維を含んでいる。被覆シートは、前記幅方向に沿い、かつ前記被覆シートの内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目と、前記幅方向に沿い、かつ前記被覆シートの外側の面同士が向かい合うように折り畳まれる外折り目と、を有する。前記吸収性物品は、前記被覆シートが前記内折り目によって折り畳まれることによって、前記被覆シートによって個別に包装されている。前記外折り目は、最も前側に位置する内折り目よりも前側の前領域と、最も後側に位置する内折り目よりも後側の後領域と、の少なくとも一方に配置されている。着用者が包装体を展開する際は、被覆シートの前領域と後領域を、内折り目を基点として展開する。被覆シートの前領域と後領域の少なくとも一方には、外折り目が形成され、外折り目を基点に包装体の外側に向かって折り返された折り返し部が形成されている。着用者は、展開時に被覆シートの折り返し部を把持して展開できる。折り返し部は、包装体の外面側に折り返されており、包装体の内側に配置された吸収性物品側に配置されていない。そのため、着用者は、展開時に折り返し部を把持する際に、吸収性物品を掴まずに折り返し部のみを掴み易い。被覆シートがセルロース系繊維を含んでいるため、展開時に被覆シートを掴んだ指等に付着した水分や汚れを被覆シートによって吸収できる。また、使用後の吸収性物品を被覆シートによって包んで廃棄する際に、包む過程で手に付着した汚れ等を被覆シートによって吸収できる。すなわち、手に付着した汚れ等を被覆シートによって吸収することで、衛生的な手で吸収性物品を把持して、吸収性物品を衛生的に使用できる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記被覆シートの内側の面の吸水性は、前記被覆シートの外側の面の吸水性よりも低い。被覆シートの外側の面は、包装体の外側の面を構成し、被覆シートの内側の面は、吸収性物品に当接する。被覆シートの外側の面の吸水性が高いため、包装体の外面を把持した際に、被覆シートの外側の面によって汚れ等を吸収できる。また、被覆シートの内側の面の吸水性が低いため、被覆シートによって吸収した汚れ等が吸収性物品に付着することを抑制できる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記第1被覆シートよりも内側に位置し、前記第1被覆シートの少なくとも一部に重なって配置された第2被覆シートと、を有する。前記第1被覆シートは、前記セルロース系繊維を含み、前記外折り目が形成されている。前記被覆シートが湿潤した湿潤状態において、前記第2被覆シートの前記前後方向の破断強度は、前記第1被覆シートの前記前後方向の破断強度よりも高い。本態様によれば、第1被覆シートに含まれたセルロース系繊維によって包装体の外面に付着した汚れを吸収することができる。また、湿潤状態、すなわち被覆シートが水分を吸収した状態において、第2被覆シートの前後方向の破断強度が高く、展開時及び廃棄時に被覆シートが破れることを抑制できる。そのため、被覆シートの破断を抑制しつつ、被覆シートによって汚れを吸収する効果を得ることができる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、使用時に着用物品の非肌側に折り返され、使用前に前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングを有する。前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングの非肌側を覆う第3被覆シートを有する。前記第1被覆シートは、前記セルロース系繊維を含む。前記第1被覆シート及び前記第3被覆シートには、前記外折り目が形成されている。前記外折り目よりも前記前後方向の外側の領域では、前記第3被覆シートは、前記第1被覆シートの一部の領域を覆っている。本態様によれば、外折り目よりも前記前後方向の外側の領域では、第1被覆シートの一部が第3被覆シートによって覆われている。折り返し部において、包装体の外側に向いて配置された面には、第1被覆シートと第3被覆シートが配置されている。第1被覆シートは、外折り目を基点に折り返された折り返し部における両面を構成する。よって、折り返し部を指で掴んだ際の上面と下面の両面において、第1被覆シートによって指に付着した汚れ等を効率よく吸収できる。また、第3被覆シートを部分的に配置することで、折り返し部の破断強度を高め、折り返し部を掴んで展開する際に、折り返し部が破断することを抑制できる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様4に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第3被覆シートの前記幅方向の外側縁は、前記第1被覆シートの前記幅方向の外側縁よりも前記幅方向の内側に位置する。本態様によれば、第3被覆シートの幅方向の長さが第1被覆シートの幅方向の長さよりも短いため、着用者は、折り返し部を視認した際に、2枚の被覆シートの存在によって折り返し部の存在を把握し易い。よって、着用者は、展開時に折り返し部を認識でき、折り返し部を掴み易くなる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1被覆シートの前記幅方向の外側部は、前記被覆シートの外側部において積層され、かつシート接合部によって互いに接合されている。本態様によれば、シート接合部において第1被覆シートが接合されているため、第1被覆シートが折り返された状態を維持し易い。着用者が折り返し部を掴み易くなるとともに、折り返し部を引っ張ることで内折り目を基点に包装体を展開し易くなる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記被覆シートの前記前後方向の外端縁は、前記吸収性物品を包装した状態において前記包装体の外側の面に位置する被覆外端と、前記被覆外端と反対側の被覆内端と、を有する。前記被覆外端には、前記被覆シートの外端縁を止着する止着テープが付されている。前記被覆内端は、前記外折り目によって折り畳まれている。本態様によれば、着用者は、展開時に、一方の手で被覆外端の止着テープを把持し、他方の手で折り返し部を把持して展開できる。包装体の開封時に、被覆シートの前後方向の両端部をそれぞれ把持して吸収性物品を直に触らずに展開でき、吸収性物品を衛生的に使用できる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様7に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁は、前記被覆外端側に位置する物品外端を有する。前記物品外端と前記被覆外端との前記前後方向の距離は、前記外折り目と前記被覆内端との前後方向の距離よりも長い。本態様によれば、前記物品外端と前記被覆外端との前記前後方向の距離が比較的長いため、止着テープが付された前記被覆シートの前記被覆外端を着用者が掴んだ際に、吸収性物品に直に触れ難く、手に付着した汚れ等が吸収性物品に付着することを抑制できる。また、外折り目と前記被覆内端の前記前後方向の距離が比較的短いため、折り返し部を掴んで展開する際に、基点となる外折り目と掴んだ部分との距離が短く、折り返し部を容易に展開し易くなる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様7に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品の前記前後方向の外端縁は、前記被覆外端側に位置する物品外端を有する。前記物品外端と前記被覆外端との前記前後方向の距離は、前記外折り目と前記被覆内端との前後方向の距離よりも短い。本態様によれば、前記物品外端と前記被覆外端との前記前後方向の距離が比較的短いため、止着テープが付された前記被覆シートの前記被覆外端を着用者が掴んで被覆シートに力を掛けた際に、被覆シートが破れ難くなる。また、前記外折り目と前記被覆内端との前後方向の距離が比較的長いため、折り返し部が目立ち易く、かつ掴み易く、展開操作時に折り返し部を容易に掴んで展開できる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記第1被覆シートよりも内側に位置し、前記第1被覆シートの少なくとも一部に重なって配置された第2被覆シートと、を有する。前記第1被覆シートと前記第2被覆シートを接合する被覆接合部は、前記前領域と前記後領域のうち前記外折り目が設けられた領域内に配置されている。本態様によれば、折り返し部を把持して展開する際は、前領域と後領域のうち、外折り目が設けられた領域を展開する。このとき、当該領域内において第1被覆シートと第2被覆シートが接合されているため、折り返し部を引っ張って展開する際に、被覆シート同士が離間し過ぎずに被覆シートを吸収性物品から円滑に剥がすことができる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1被覆シートと前記第2被覆シートが接合されていない非接合領域は、前記最も前側に位置する内折り目と前記最も後側に位置する内折り目の間において前記前後方向に連続して設けられている。本態様によれば、前記最も前側に位置する内折り目と前記最も後側に位置する内折り目の間において被覆接合部が設けられていないため、被覆接合部を構成する接着剤が付されていない領域、または、被覆接合部が配置されずに柔軟に変形し易い領域が連続して配置される。当該非接合領域を広い範囲で設けることで、広い範囲で被覆シートによって汚れ等を吸収できる。
【0020】
好ましい態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から態様11のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記被覆シートは、前記外折り目によって折り畳まれた折り返し部を有する。前記折り返し部の前記幅方向の一方側の外側部における前記折り返し部の前記前後方向の長さと、前記折り返し部の前記幅方向の他方側の外側部における前記折り返し部の前記前後方向の長さと、は異なる。本態様によれば、折り返し部の前後方向の長さが変化しており、折り返し部の前又は後端縁は、幅方向に対して傾斜している。そのため、折り返し部が目立ち易くなる。また、折り返し部と、当該折り返し部が重なる被覆シートと、によって挟まれた空間の体積が変化するために、当該空間内に指を入れやすく、折り返し部をより掴み易くなる。
【0021】
態様13に係る発明は、吸収性物品の包装体の製造方法である。吸収性物品の包装体の製造方法は、互いに直交する前後方向及び幅方向を有する吸収性物品を、前記吸収性物品の非肌側の面を覆う被覆シートによって個別に包装した吸収性物品の包装体を製造する。製造方法は、前記被覆シート上に前記吸収性物品を配置した状態で、前記幅方向に沿う内折り目を基点に前記吸収性物品と前記被覆シートを共に折り畳む第1折り工程と、前記被覆シートの前記前後方向の外端部を、前記包装体の外側の面に向かって外折り目を基点に折り畳んで折り返し部を形成する第2折り工程と、を有する。当該製造方法によれば、被覆シートの前後方向の外端部に折り返し部を形成した包装体を製造できる。
【0022】
好ましい態様によれば、態様14に係る発明は、態様13に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1折り工程は、前記被覆シートの前記前後方向の外端部のうち前記外折り目側に位置する一方の外端部を折り畳む。前記第2折り工程は、前記第1折り工程によって折り畳まれた前記被覆シートの一方の外端部と、前記被覆シートの前記前後方向の外端部のうち他方の外端部と、を共に、前記第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳む。本態様によれば、第1折り工程によって折り畳まれた一端部を前記第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳んで形成される折り目は、外折り目を構成する。そのため、被覆シートの一端部に、包装体の外側に折り畳まれた折り返し部を形成できる。また、第2折り工程において、内折り目と外折り目を同時に形成できる。別々に折り目を形成する構成と比較して、製造工程を簡略化できるとともに、折り目による折り癖を強く形成でき、折り返し部の形状を維持し易くなる。
【0023】
好ましい態様によれば、態様15に係る発明は、態様13又は態様14に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性物品は、使用時に着用物品の非肌側に折り返され、使用前に前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングを有する。前記被覆シートは、前記被覆シートの外側の面を構成する第1被覆シートと、前記吸収性物品の肌側に折り返されるウイングの非肌側を覆う第3被覆シートを有する。前記第2折り工程は、前記第1被覆シートと前記第3被覆シートを接合するウイング接合部に重なる位置に、前記外折り目を配置して前記折り返し部を形成する。本態様によれば、当該構成によれば、外折り目を基点に第1被覆シートと第3被覆シートを折り返して、折り返し部に第1被覆シートと第3被覆シートを配置できる。よって、折り返し部の破断強度を高め、折り返し部を掴んで展開する際に、折り返し部が破断することを抑制できる。また、ウイング接合部に重なる位置に前記外折り目を配置するため、外折り目の形成時に第1被覆シートと第3被覆シートの位置がずれないため、外折り目の位置が安定し、折り返し部に皺が形成されることを抑制できる。
【0024】
(2)実施形態に係る吸収性物品の包装体の概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の包装体100(以下、包装体100とする)について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド、糞便パッドのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着等の着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。実施形態の吸収性物品1は、昼用の生理用ナプキンである。
【0025】
図1は、包装状態における包装体100の平面図である。
図2は、
図1に示すA-A線に沿った断面図である。
図3は、一部展開状態における包装体100の平面図である。
図4は、
図3に示すB-B線に沿った断面図である。
図5は、展開状態における包装体100の平面図である。
図6は、
図5に示すC-C線に沿った断面図である。
図7は、
図5に示すD-D線に沿った断面図である。
【0026】
包装体100は、吸収性物品1と、被覆シート40と、を有してよい。吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L、幅方向W、及び厚さ方向Tを有する。吸収性物品1の前後方向Lにおいて、着用者の下腹部に当接する側を「前側」といい、着用者の臀部に当接する側を「後側」という。吸収性物品1の厚さ方向Tにおいて、着用者の肌に当接する側を「肌側」といい、その反対側を「非肌側」という。吸収性物品1は、股下域S2、前側域S1及び後側域S3を有する。股下域S2は、着用者の排泄口、例えば膣口に対向して配置される領域である。吸収性物品1が着用物品に装着されたときに、股下域S2は、着用物品の股下に配置され、着用者の両脚の間に配置される領域である。前側域S1は、股下域S2よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3は、股下域S2よりも後方に位置する。後側域S3の後端縁は、吸収性物品1の後端縁を規定する。
【0027】
吸収性物品1は、吸収体3、表面シート2及び裏面シート4を少なくとも有し、縦長の形状である。表面シート2は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造を有する任意のシート状の材料から構成される。裏面シート4は、液不透過性のシートである。裏面シート4は、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。吸収コア31は、液体を吸収する吸収材料を有する。吸収体3は、少なくとも吸収コア31を有する。吸収コア31は、コアラップシート32(
図7参照)によって包まれていてよい。吸収コア31を構成する吸収材料は、例えば、親水性繊維、パルプ及び高吸水性高分子(SAP)から形成できる。コアラップシート32は、例えば不織布やティッシュシートから構成することができる。変形例として、吸収コア31は、コアラップシート32によって覆われていなくてもよい。
【0028】
吸収性物品は、ウイング7と、ヒップフラップ(図示せず)と、の少なくとも一方を有してよい。ウイング7は、股下域S2に設けられてよい。ヒップフラップは、後側域S3に設けられてよい。ウイング7及びヒップフラップは、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出している。ウイング7には、表面シート2と裏面シート4が配置されてよい。ウイング7の前端縁は、ウイング7の付け根によって規定されており、幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分に相当する。ウイング7の前端縁は、股下域S2と前側域S1との境界を規定してもよい。ウイング7の後端縁は、ウイング7の付け根によって規定されており、幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、後側に位置する部分に相当する。ウイング7は、ウイング7の付け根同士を繋ぐウイング折り目を基点に、使用前に表面シート2側に折り畳まれており、使用時に着用物品の非肌側T2に折り返される。ウイング7の後端縁は、股下域S2と後側域S3との境界を規定してもよい。また、ウイング7を有しない吸収性物品1にあっては、吸収性物品1の前後方向Lの長さが最も長い位置において、吸収性物品1を前後方向Lに3等分した領域のそれぞれが、前側域S1、股下域S2及び後側域S3を構成してもよい。実施形態の吸収性物品1は、ウイング7を有し、ヒップフラップを有していない。
【0029】
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。また、内側辺は、内側縁を含み、かつ前後方向Lに沿って延びる辺である。外側辺は、外側縁を含み、かつ前後方向Lに沿って延びる辺である。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。
【0030】
図4等に示すように、吸収性物品1は、吸収性物品1を着用物品に止着するための粘着部60を有する。粘着部60は、裏面シート4の非肌側T2の面に設けられ、吸収性物品1を着用物品に止着するための止着手段が設けられた領域である。粘着部60は、吸収コア31と重なる領域を着用物品に止着するための本体粘着部61と、ウイング7を着用物品に止着するためのウイング粘着部62と、の少なくとも一方を有してもよい。また、粘着部は、ヒップフラップを着用物品に止着するためのフラップ粘着部(図示せず)を有してよい。本体粘着部61は、吸収性物品1の厚さ方向Tにおいて、吸収コア31と重なる領域に設けられている。本実施の形態の本体粘着部61は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて複数設けられている。なお、変形例において、本体粘着部61は、幅方向Wに延び、前後方向Lに間隔を空けて複数設けられてよい。ウイング粘着部62は、ウイング7の非肌側T2の面に付されており、着用時にウイング7が着用物品の非肌側T2に折り返された状態で、着用物品の非肌側T2の面に止着する。
【0031】
被覆シート40は、吸収性物品の非肌側T2の面を覆う。被覆シート40は、複数枚のシートによって構成されていてもよいし、1枚のシートによって構成されていてもよい。展開状態において、被覆シート40は、吸収性物品1の非肌側T2の面の少なくとも一部を覆っていればよく、吸収性物品1の非肌側T2の面全体を覆ってもよい。少なくとも1枚の被覆シートは、吸収性物品1を個別に包装する。そのため、被覆シート40は、少なくとも包装シート41を有する。本発明の被覆シート40は、包装シート41のみによって構成されていてもよいし、包装シート41と本体剥離シート42によって構成されていてもよいし、包装シート41とウイング剥離シート43によって構成されていてもよいし、包装シート41、本体剥離シート42及びウイング剥離シート43によって構成されていてもよい。包装シート41は、被覆シート40の外側の面を構成しており、本発明の「第1被覆シート」を構成する。本体剥離シート42は、第1被覆シートよりも内側に位置し、第1被覆シートの少なくとも一部に重なって配置されており、本発明の「第2被覆シート」を構成する。ウイング剥離シート43は、吸収性物品の肌側T1に折り返されたウイング7の非肌側T2を覆っており、本発明の「第3被覆シート」を構成する。ここで、「外側の面」は、包装状態の包装体の外側に位置する面であり、厚み方向における外側に位置する面である。また、「内側の面」は、包装状態の包装体の内側に位置する面であり、厚み方向における内側に位置する面である。
【0032】
包装シート41は、吸収性物品1を個別に包装するシート状の包装部材であり、吸収性物品1の使用時には取り外される部材である。包装シート41の前後方向Lの外端縁は、包装状態において包装体100の外面に位置する包装外端55と、包装状態において包装体100の内側に位置する包装内端56と、を有する。包装外端55は、幅方向Wに沿っており、包装体100を包装状態から展開状態とする際に最初に展開される部分である。包装外端55は、被覆シート40の前後方向の外端縁のうち、包装状態において包装体の外側の面に位置しており、本発明の「被覆外端」を構成する。包装内端56は、被覆シート40の前後方向の外端縁のうち、被覆外端と反対側に位置しており、本発明の「被覆内端」を構成する。包装シート41の前後方向Lの長さは、本体剥離シート42の前後方向Lの長さよりも長くてよく、包装シート41の前後方向Lの外端縁は、本体剥離シート42の前後方向Lの外端縁よりも前後方向の外側に位置してよい。包装シート41は、本体剥離シート42の前後方向Lの外端縁よりも前後方向Lの外側に延びた延出領域RE(
図6参照)を有してよい。また、包装シート41の幅方向Wの長さは、本体剥離シート42の幅方向Wの長さよりも長くてよく、包装シート41の幅方向Wの外側縁は、本体剥離シート42の幅方向Wの外側縁よりも幅方向Wの外側に位置してよい。
【0033】
包装外端55には、止着テープ70が付されてよい。止着テープ70は、包装体100の包装状態を維持するために設けられている。
図1に示すように、止着テープ70は、開封時に包装シート41から剥離して使用する剥離端部72と、開封後も包装シートに付着した状態とする固定端部71と、を備える。着用者は、開封時にまず止着テープ70の剥離端部72側を掴み、止着テープ70を引っ張るようにして包装シート41を展開する。止着テープ70は、包装体100の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよく、好適には、後述するラップ積層部33に重なって配置されてよい。なお、止着テープ70は、必ずしも設ける必要はなく、例えば、止着テープ70を設けずに、着用者が包装外端55を掴んで開封してもよい。
【0034】
本体剥離シート42は、使用前に本体粘着部61を覆い、使用時に本体粘着部61に対して剥がされる。本体剥離シート42は、包装シート41と吸収性物品1の間に配置される。本体剥離シート42と包装シート41は、被覆接合部90において接合されている。
図5等に示す展開状態において、吸収性物品1におけるウイング7以外の領域において、本体剥離シート42と包装シート41は、吸収性物品1よりも非肌側T2に配置されている。包装シート41は、被覆シート40の外側の面を構成し、本体剥離シート42は、被覆シート40の内側の面を構成する。なお、変形例において、包装体100は、本体剥離シート42を備えずに、本体粘着部61が包装シート41に着脱可能に覆っていてもよい。この変形例においては、包装シート41は、被覆シートの外側の面と被覆シートの内側の面の両面を構成する。
【0035】
ウイング剥離シート43は、使用前に、折り返されたウイング粘着部62を覆い、使用時にウイング粘着部62に対して剥がされる。ウイング剥離シート43は、少なくとも包装状態において、包装シートと吸収性物品の間に配置される。
図1等に示す包装状態において、ウイング7が配置された領域において、ウイングよりも肌側T1にウイング剥離シート43と包装シート41が配置されている。包装シート41は、被覆シートの外側の面を構成し、ウイング剥離シート43は、被覆シートの内側の面を構成する。ウイング剥離シート43の前後方向Lの一端部は、包装シート41の内面にウイング接合部97を介して固定されている。本体剥離シート42及びウイング剥離シート43は、着脱自在に粘着部60に接している。剥離シートは、離型処理されたシートを用いることができ、その材質は、紙、プラスチックフィルム、ナイロンフィルム等を用いることができる。
【0036】
被覆シート40は、幅方向Wに沿い、かつ被覆シート40の外側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目を有する。内折り目は、包装体の内側に向かって被覆シート40を折り畳む折り目である。吸収性物品1は、被覆シートが内折り目によって折り畳まれることによって、被覆シートによって個別に包装されている。内折り目は、被覆シート40のみを折り畳む折り目であってよく、内折り目によって折り畳まれた被覆シートに、別で折り畳まれた吸収性物品が収容されるように構成されていてもよい。または、内折り目は、本実施の形態のように、被覆シート40と吸収性物品1を共に折り畳む折り目であってよい。詳細には、展開状態の被覆シート40上に吸収性物品1が配置された後に、内折り目を基点にして被覆シート40と吸収性物品1が共に折り畳まれて、吸収性物品が被覆シートによって個別に包装されてよい。内折り目は、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されてよい。本実施の形態は、第1内折り目F1と第2内折り目F2を有している。第1内折り目F1は、本発明における「最も前側に位置する内折り目」を構成し、第2内折り目F2は、本発明における「最も後側に位置する内折り目」を構成している。
図5に示すように、展開状態において第1内折り目F1よりも前側の領域は、本発明の「前領域RF」を構成し、展開状態において第2内折り目F2よりも後側の領域は、本発明の「後領域RR」を構成する。
【0037】
被覆シートが内折り目を基点に折り畳まれることによって、包装シート41によって個別に吸収性物品1を包装した「包装状態」となる。これに対して「展開状態」の包装体100は、
図5に示すように、いずれの内折り目を基点に折り畳まれていない状態である。展開状態において、内折り目以外の折り目(例えば、ウイング折り目、後述する外折り目)を基点に被覆シート40が折り畳まれていてもよい。
図1及び
図2は、包装状態の包装体を示しており、
図3及び
図4は、
図1及び
図2に示す包装状態から第1内折り目F1を基点に展開した一部展開状態の包装体を示している。一部展開状態の包装体は、第1内折り目F1を基点に折り畳まれず、第2内折り目F2を基点に被覆シート40が折り畳まれている。
図5から
図7は、
図3及び
図4に示す一部展開状態から第2内折り目F2を基点に展開した展開状態の包装体を示している。展開状態の包装体は、第1内折り目F1及び第2内折り目F2によって折り畳まれてない。なお、説明の便宜上、
図5においては、外折り目F4によって被覆シートが折り畳まれていない状態を示しており、
図6においては、外折り目F4によって被覆シートが折り畳まれていない状態を実線で示し、外折り目F4によって被覆シートが折り畳まれた状態を点線で示している。包装状態において、被覆シート40の外側部は、シート接合部48を介して接合されてよい。シート接合部48は、包装体の幅方向の両側部に設けられており、積層された被覆シート同士を接合する。シート接合部48は、被覆シートが共に押圧されて被覆シート同士が係合することでシート同士を接合してよい。シート接合部48においてシートを構成する繊維は、セルロース100%からなる被覆シートは融着してなく、セルロース100%以外の被覆シートにおいて融着してよい。
【0038】
(3)包装体の第1の特徴
次いで、包装体の第1の特徴について詳細に説明する。第1の特徴に係る包装体は、手に付着した水分や汚れが使用前の吸収性物品1に付着することを抑制し、衛生的に吸収性物品1を使用できるように構成されている。次いで、使用前の吸収性物品に汚れ等が付着することを抑制し、衛生的に吸収性物品を使用するための構成について詳細に説明する。被覆シート40は、セルロース系繊維を含んでいる。セルロース系繊維は、主成分(例えば、50%以上)がセルロースである繊維であり、例えば、綿、麻等の植物繊維、レーヨン、キュプラ、リヨセル等の再生繊維、アセテート等の合成繊維を例示できる。被覆シート40は、紙製のシートによって構成されてよい。セルロース系繊維は、吸水性や吸湿性が高く、当該セルロース系繊維を被覆シート40が含むことにより、包装体100を展開する過程で、指等に付着した水分や汚れを被覆シート40によって吸収できる。なお、複数の被覆シートを有する形態にあっては、少なくとも一枚の被覆シートがセルロース系繊維を有していればよい。本実施の形態では、包装シート41、本体剥離シート42及びウイング剥離シート43は、いずれも、セルロース系繊維を含んでいる。本体剥離シート42及びウイング剥離シート43におけるセルロース繊維の吸水性及び吸湿性は、包装シート41におけるセルロース繊維の吸水性及び吸湿性よりも低い。粘着部60に当接する被覆シート(本実施の形態では、本体剥離シート42及びウイング剥離シート43)は、シリコンコートされ、粘着部60に当接しない被覆シート(本実施の形態では、包装シート41)は、シリコンコートされていなくてよい。
【0039】
被覆シート40は、幅方向Wに沿い、かつ被覆シート40の外側の面同士が向かい合うように折り畳まれる外折り目F4を有する。外折り目F4は、包装体100の外側に向かって折り畳む折り目である。外折り目F4は、前領域RFと後領域RRの少なくとも一方に配置されている。着用者が包装体100を展開する際は、被覆シート40の前領域RFと後領域RRを、内折り目を基点として展開する。被覆シート40の前領域RFと後領域RRの少なくとも一方には、外折り目F4が形成され、外折り目F4を基点に包装体100の外側に向かって折り返された折り返し部45が形成されている。折り返し部45は、外折り目F4によって外側に折り返された部分であり、外折り目F4と被覆シートの外端縁の間の領域である。着用者は、展開時に被覆シート40の折り返し部45を把持して展開できる。折り返し部45は、包装体100の外面側に折り返されており、吸収性物品1側に配置されていない。そのため、着用者は、展開時に被覆シート40を把持する際に、吸収性物品1を掴まずに折り返し部45のみを掴み易い。被覆シート40は、セルロース系繊維を含んでおり、展開する過程で、指等に付着した水分や汚れを吸収できる。また、使用後の吸収性物品1を被覆シート40によって包んで廃棄する際に、包む過程で手に付着した汚れを被覆シートによって吸収できる。手に付着した汚れ等を被覆シートによって吸収でき、衛生的な手で吸収性物品を把持して、吸収性物品を衛生的に使用できる。なお、外折り目F4は、前領域RFと後領域RRの少なくとも一方に設けられてよく、本実施の形態のように、一方(本実施の形態の前領域RF)に外折り目F4が設けられてなく、他方(本実施の形態の後領域)に外折り目F4が形成されていてもよい。しかし、変形例において、外折り目が前領域RFと後領域RRの両方に設けられていてもよい。
【0040】
被覆シート40の内側の面の吸水性は、被覆シート40の外側の面の吸水性よりも低くてよい。被覆シート40の外側の面は、包装体100の外側の面を構成し、被覆シート40の内側の面は、吸収性物品1に当接する。被覆シートの外側の面の吸水性が高いため、包装体100の外面を把持した際に、被覆シートの外側の面によって汚れ等を吸収できる。また、被覆シートの内側の面の吸水性が低いため、被覆シート40によって吸収した汚れ等が吸収性物品1に付着することを抑制できる。被覆シートの内側の面と外側の面は、同一の被覆シートによって構成されていてもよいし、本実施の形態のように複数の被覆シートが積層された形態にあっては、被覆シートの内側の面と外側の面が異なる被覆シートによって構成されていてもよい。本実施の形態では、被覆シートの外側の面は、セルロース系繊維を含む紙製の包装シートによって構成され、被覆シートの内側の面は、ラミネート処理(離型処理)が施された本体剥離シート42によって構成されている。本実施の形態のように、2枚の異なる素材のシートによって被覆シートを構成し、被覆シートの内側の面の吸水性が被覆シートの外側の面の吸水性よりも低い構成によれば、包装シートで水分が吸収しきれなかった場合でも、本体剥離シート42によって水分の透過を抑制し、吸収性物品1まで水分が伝わり難くなる。
【0041】
ここで「吸水性」は、以下の方法によって測定できる。被覆シートの外側の面を構成する資材と被覆シートの内側の面を構成する資材が異なる場合には、被覆シートの外側の面を構成する資材と被覆シートの内側の面を構成する資材のそれぞれを50mm×50mmに切断する。各資材の測定対象となる面に0.1mlの水を垂らし、5秒待つ。5秒後、資材の測定対象となる面上に濾紙10枚を置き、濾紙の上に重さ525gのおもりを置いて、10秒待つ。水分を吸収した濾紙の重量を測定し、重量が多い方が、吸水性が高いと判断する。また、被覆シートの外側の面を構成する資材と被覆シートの内側の面を構成する資材とが同じ場合、すなわち、被覆シートの外側の面と内側の面の両面を包装シート41によって構成される場合には、包装シートを50mm×50mmに切断したものを2枚用意する。包装シートの外側の面と、包装シートの内側の面と、に、0.1mlずつ水を1滴ずつ垂らし、水が測定対象面を流れるまでの水の総量で比較する。水の総量が多い方が、吸水性が高いと判断する。
【0042】
第1被覆シートとしての包装シート41は、セルロース系繊維を含んでよい。第1被覆シートに含まれたセルロース系繊維によって包装体の外面に付着した汚れを吸収することができる。よって、水分及び汚れが付着した手で開封前の包装体を把持した場合であっても、当該水分等を第1被覆シートによって吸収できる。第1被覆シートは、外折り目F4が形成されていてよい。外折り目F4を基点に折り畳まれた折り返し部45にセルロース系繊維を配置でき、折り返し部45を掴んだ指等に付着した水分等を第1被覆シートによって吸収できる。
【0043】
被覆シートが湿潤した湿潤状態において、第2被覆シートの前後方向Lの破断強度は、第1被覆シートの前後方向Lの破断強度よりも高くてよい。湿潤状態、すなわち被覆シートが水分を吸収した状態において、第2被覆シートの前後方向の破断強度が高く、展開時及び廃棄時に被覆シートが破れることを抑制できる。セルロース系繊維を有する第1被覆シートの破断強度が比較的低い場合であっても、第2被覆シートの存在によって、被覆シートの破断を抑制しつつ、被覆シートによって汚れを吸収する効果を得ることができる。また、湿潤状態において、第3被覆シートの前後方向Lの破断強度は、第1被覆シートの前後方向Lの破断強度よりも高くてよい。湿潤状態において、第3被覆シートの前後方向の破断強度が高く、展開時及び廃棄時に被覆シートが破れることを抑制できる。セルロース系繊維を有する第1被覆シートの破断強度が比較的低い場合であっても、第3被覆シートの存在によって、被覆シートの破断を抑制しつつ、被覆シートによって汚れを吸収する効果を得ることができる。
【0044】
ここで「湿潤状態の前後方向の破断強度」は、以下の方法によって測定できる。まず、測定対象の資材を125mm×25mmに切断し、各資材に0.5mlの水を垂らし、5秒待つ。この状態を湿潤状態とする。次いで、引張試験機(Instron a division of ITW Limited製 品名:Static Load Cell: 1 kN (100 kgf, 225 lbf) Tension/Compression Mechanical interface 型番:2580-1KN)を使用し、湿潤状態の資材の前後方向の両端部を引張試験機が備える二つのチャックでそれぞれ把持する。チャック間距離は、100mmとする。引張試験機で、二つのチャックの間隔が拡がるよう、二つのチャックを一定速度(例示:100mm/min)で引張りつつ、二つのチャックに掛かる荷重を測定する。資材が破断したときの荷重を破断強度とする。ただし、六つの資材の破断強度の平均値を最終的な破断強度(N/25mm)として算出する。
【0045】
第1被覆シート及び第3被覆シートには、外折り目F4が形成されてよい。外折り目F4よりも前後方向の外側の領域では、第3被覆シートは、第1被覆シートの一部の領域を覆ってよい。外折り目F4よりも前後方向の外側の領域は、包装体が外折り目によって折り畳まれていない状態における外折り目F4よりも前後方向の外側の領域であり、折り返し部45となる領域である。本実施の形態では、外折り目F4から包装外端55までの領域である。外折り目F4よりも前後方向Lの外側の領域では、第1被覆シートの一部が第3被覆シートによって覆われている。折り返し部45において、包装体の外側に向いて配置された面には、第1被覆シートと第3被覆シートが配置されている。本実施の形態では、第1被覆シートとしての包装シート41と第3被覆シートとしてのウイング剥離シート43に外折り目F4が形成されている。第1被覆シートは、外折り目F4を基点に折り返された折り返し部45における両面を構成する。よって、折り返し部45を指で掴んだ際の上面と下面の両面において第1被覆シートによって、指に付着した汚れ等を効率よく吸収できる。また、第3被覆シートを部分的に配置することで、セルロース系繊維を有する第1被覆シートの破断強度が比較的低い場合であっても折り返し部の破断強度を高め、折り返し部45を掴んで展開する際に、折り返し部45が破断することを抑制できる。また、第1被覆シート及び第3被覆シートに外折り目F4が形成された形態にあっては、ウイング接合部97は、外折り目F4を跨いで配置されてよい。外折り目F4を形成する箇所の剛性が高くなり、外折り目F4の位置が安定し、折り返し部45に皺が形成されることを抑制できる。
【0046】
第3被覆シートの幅方向Wの外側縁は、第1被覆シートの幅方向Wの外側縁よりも幅方向Wの内側に位置してよい。本態様によれば、第3被覆シートの幅方向の長さが第1被覆シートの幅方向の長さよりも短いため、着用者は、折り返し部45を視認した際に、2枚の被覆シートの存在によって折り返し部45の存在を把握し易い。よって、着用者は、展開時に折り返し部を認識でき、認識でき、折り返し部を掴み易くなる。
【0047】
第1被覆シートの幅方向Wの外側部は、被覆シート40の外側部において積層され、かつシート接合部48によって互いに接合されてよい。本態様によれば、シート接合部48において第1被覆シートが接合されているため、第1被覆シートが折り返された状態を維持し易い。着用者が折り返し部45を掴み易くなるとともに、折り返し部45を引っ張ることで内折り目を基点に包装体を展開し易くなる。なお、第1被覆シートと第3被覆シートに折り返し部45が形成されている形態にあっては、シート接合部48は、第3被覆シートの外側縁よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。同様に、第1被覆シートと第2被覆シートに折り返し部45が形成されている形態にあっては、シート接合部48は、第2被覆シートの外側縁よりも幅方向Wの外側に配置されてよい。
【0048】
変形例において、第3被覆シートは、第1被覆シートの外側縁と共に、被覆シートの外側縁に配置されていてもよい。また、他の変形例において、外折り目F4は、第1被覆シートと第3被覆シートのうち、第1被覆シートのみに形成され、第3被覆シートに形成されていなくてもよい。すなわち、折り返し部45は、第1被覆シートのみによって構成されてもよい。また、外折り目F4は、第1被覆シートと第2被覆シートのうち、第1被覆シートのみに形成され、第2被覆シートに形成されていなくてもよいし、第1被覆シートと第2被覆シートの両方に形成されていてもよい。
【0049】
被覆シート40の前後方向Lの外端縁は、吸収性物品1を包装した状態において包装体100の外側の面に位置する被覆外端と、被覆外端と反対側の被覆内端と、を有する。本実施の形態の被覆外端は、包装外端55によって構成され、被覆内端は、包装内端56によって構成されている。被覆外端には、被覆シート40の外端縁を止着する止着テープ70が付されてよい。被覆内端は、外折り目F4によって折り畳まれてよい。当該構成によれば、着用者は、展開時に、一方の手で被覆外端の止着テープ70を把持し、他方の手で折り返し部45を把持して展開できる。包装体の開封時に、被覆シート40の前後方向Lの両端部をそれぞれ把持して吸収性物品を直に触らずに展開でき、吸収性物品1を衛生的に使用できる。
【0050】
なお、変形例において、被覆外端が外折り目F4によって折り畳まれていてもよい。すなわち、包装状態の外側の面に、折り返し部45が形成されていてもよい。当該変形例によれば、止着テープ70を備えていなくても、着用者は、被覆外端近傍を掴むことで吸収性物品1を直に掴まずに包装体100を展開することができる。
【0051】
吸収性物品1の前後方向の外端縁は、被覆外端側に位置する物品外端11を有する。本実施の形態の物品外端は、吸収性物品1の前端縁によって構成されている。物品外端11と被覆外端との前後方向の距離L11は、外折り目F4と被覆内端との前後方向の距離L12よりも長くてよい。本態様によれば、物品外端11と被覆外端との前後方向の距離L11が比較的長いため、止着テープ70が付された被覆シート40の被覆外端を着用者が掴んだ際に、吸収性物品1に直に触れ難く、手に付着した汚れ等が吸収性物品1に付着することを抑制できる。また、外折り目F4と被覆内端の前後方向Lの距離L12が比較的短いため、折り返し部45を掴んで展開する際に、基点となる外折り目F4と掴んだ部分との距離が短く、折り返し部45を容易に展開し易くなる。
【0052】
変形例において、物品外端11と被覆外端との前後方向Lの距離L11は、外折り目F4と被覆内端との前後方向Lの距離L12よりも短くてよい。本態様によれば、物品外端11と被覆外端との前後方向Lの距離L11が比較的短いため、着用者が被覆外端を掴んで被覆シートに力を掛けた際に、被覆シート40が破れ難くなる。また、外折り目F4と被覆内端との前後方向Lの距離L12が比較的長いため、折り返し部45が目立ち易く、かつ掴み易く、展開操作時に折り返し部45を容易に掴んで展開できる。
【0053】
折り返し部45の前後方向の長さは、包装状態の包装体100の前後方向Lの長さよりも短ければよいが、好適には、包装状態の包装体100の前後方向Lの長さに対する50%以下、より好適には、30%以下であってよい。折り返し部45が外折り目F4を基点に浮き上がり易くなる。また、折り返し部45の前後方向Lの長さは、包装状態の包装体100の前後方向Lの長さに対する5%以上であってよく、好適には、10%以上であってよい。折り返し部45の掴みしろができ、着用者が折り返し部45を掴んで展開し易くなる。
【0054】
第1被覆シートと第2被覆シートを接合する被覆接合部90は、前領域RFと後領域RRのうち外折り目F4が設けられた領域内に配置されてよい。折り返し部45を把持して展開する際は、前領域RFと後領域RRのうち、外折り目F4が設けられた領域を展開する。このとき、当該領域内において第1被覆シートと第2被覆シートが接合されているため、折り返し部45を引っ張って展開する際に、被覆シート同士が離間し過ぎずに被覆シートを吸収性物品1から円滑に剥がすことができる。本実施の形態の被覆接合部90は、第1内折り目F1と包装外端55の間に配置された第1被覆接合部91と、第2内折り目F2と外折り目F4の間に配置された第2被覆接合部92と、を有している。外折り目F4は、後領域RRに設けられており、当該後領域RRに第2被覆接合部92が設けられている。そのため、折り返し部45を掴んで第2内折り目F2を基点に展開する際に、力を掛けて移動する後領域RRにおいて第1被覆シートと第2被覆シートがずれ難く、第1被覆シートと第2被覆シートに力を掛けて両方を移動できる。そのため、被覆シートを吸収性物品1から円滑に剥がすことができる。
【0055】
第1被覆シートと第2被覆シートが接合されていない非接合領域は、第1内折り目F1と第2内折り目F2の間において前後方向Lに連続して設けられてよい。本態様によれば、第1内折り目F1と第2内折り目F2の間において被覆接合部90が設けられていないため、被覆接合部90を構成する接着剤が付されていない領域、または、被覆接合部90が配置されずに柔軟に変形し易い領域が連続して配置される。当該非接合領域を広い範囲で設けることで、広い範囲で被覆シートによって汚れ等を吸収できる。
【0056】
折り返し部45の幅方向Wの一方側の外側部における折り返し部45の前後方向の長さと、折り返し部45の幅方向Wの他方側の外側部における折り返し部45の前後方向の長さと、は、異なってよい。折り返し部45の幅方向Wの一方側の外側部と、折り返し部45の幅方向Wの他方側の外側部と、は、包装体の幅方向Wの中心を挟んだ両側にそれぞれ位置する外側部である。本態様によれば、折り返し部45の前後方向Lの長さが変化しており、折り返し部45の前端縁又は後端縁は、幅方向に対して傾斜している。そのため、折り返し部45が目立ち易くなる。また、折り返し部45と、当該折り返し部45が重なる被覆シートと、によって挟まれた空間の体積が変化するために、当該空間内に指を入れやすく、折り返し部45をより掴み易くなる。
【0057】
次いで、このように構成された包装体100の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法の説明は、一実施例であり、以下の説明において説明していない他の工程については、周知の工程を適宜採用することができる。
図8は、包装体の製造方法を説明するための図である。
図8に示すMDは、搬送方向である。CDは、搬送方向に直交する直交方向である。
【0058】
第1の特徴の製造方法は、第1折り工程S31と、第2折り工程S32と、を少なくとも有する。第1折り工程S31と第2折り工程S32の搬送方向MDは、第2搬送方向MD2である。第2搬送方向MD2は、包装体の幅方向に沿う方向である。第1折り工程S31は、被覆シート40上に吸収性物品1を配置した状態で、幅方向Wに沿う内折り目F2を基点に吸収性物品1と被覆シート40を共に折り畳む。本実施の形態では、第1被覆シートとしての包装シート41が搬送方向MDに連続した連続包装体41C上に吸収性物品1を第2搬送方向MD2に間隔を空けて配置した状態で、第2内折り目F2を基点に連続包装体41Cと吸収性物品1を共に折り畳む。第2折り工程S32は、被覆シート40の前後方向Lの外端部を、包装体100の外側の面に向かって外折り目F4を基点に折り返して折り返し部45を形成する。本実施の形態の第2折り工程S32は、連続包装体41Cの直交方向CDの端部のうち第1折り工程S31によって折り畳まれた外端部41C1を、外折り目F4を基点に折り畳んでいる。当該製造方法によれば、被覆シート40の前後方向Lの外端部に折り返し部45を形成した包装体を製造できる。
【0059】
好ましくは、第1折り工程S31は、被覆シート40の前後方向Lの外端部のうち外折り目F4側に位置する一方の外端部を折り畳み、第2折り工程S32は、第1折り工程S31によって折り畳まれた被覆シート40の一方の外端部と、被覆シートの前後方向の他方の外端部と、を共に、第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳んでよい。なお、被覆シート40の前後方向Lの外端部のうち外折り目F4側に位置する一方の外端部は、包装状態となった際に外折り目F4に近い外側部であり、換言すると、折り返し部を形成する外側部である。
【0060】
本実施の形態では、第1折り工程S31において、連続包装体41Cの一方の外端部41C1を、第2内折り目F2を基点に折り畳む。次いで、第2折り工程において、連続包装体41Cの一方の外端部41C1と、連続包装体41Cの他方の外端部41C2と、を、第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳む。この第2折り工程S32において連続包装体41Cの一方の外端部41C1を折り畳む折り目は、連続包装体41Cの外側の面同士が向かい合うように折り畳んでおり、外折り目F4となる。また、連続包装体41Cの他方の外端部41C2を折り畳む折り目は、連続包装体41Cを内側の面同士が向かい合うように折り畳んでおり、第1内折り目F1となる。そのため、被覆シートの一端部に、包装体の外側に折り畳まれた折り返し部45を形成できる。また、第2折り工程において、内折り目F1と外折り目F4を同時に形成できる。同時に形成することで、別々に折り目を形成する構成と比較して、製造工程を簡略化できるとともに、折り目による折り癖を強く形成でき、折り返し部の形状を維持し易くなる。なお、変形例において、内折り目F1と外折り目F4を同時に形成せず、内折り目F1と外折り目F4を別々の工程で形成してもよい。
【0061】
好ましくは、第2折り工程S32は、第1被覆シートと共に、第3被覆シートを折り畳んでよい。本実施の形態では、連続包装体41Cとウイング剥離シート43を共に外折り目F4を基点に折り畳んでよい。当該構成によれば、外折り目F4を基点に第1被覆シートと第3被覆シートを折り、折り返し部45に第1被覆シートと第3被覆シートを配置できる。よって、折り返し部45の破断強度を高め、折り返し部45を掴んで展開する際に、折り返し部45が破断することを抑制できる。なお、ウイング剥離シート43は、第1折り工程S31によって折り畳まれず、第2折り工程S32のみによって折り畳まれていてよい。
【0062】
好ましくは、第2折り工程S32は、第1被覆シートと第3被覆シートを接合するウイング接合部97に重なる位置に外折り目F4を配置して、折り返し部45を形成してよい。当該構成によれば、ウイング接合部97は、前後方向Lにおいて外折り目F4を跨がって配置されている。外折り目F4を形成する箇所の剛性が高くなり、また、外折り目F4の形成時に第1被覆シートと第3被覆シートの位置がずれないため、外折り目F4の位置が安定し、折り返し部45に皺が形成されることを抑制できる。
【0063】
(4)包装体の第2の特徴
次いで、包装体の第2の特徴について詳細に説明する。第2の特徴に係る包装体は、紙製の包装シートの廃棄時における破断を抑制し、使用済みの吸収性物品を衛生的に廃棄できるように構成されている。次いで、紙製の包装シートの廃棄時における破断を抑制し、使用済みの吸収性物品を衛生的に廃棄するための構成について詳細に説明する。第2の特徴に係る包装体100は、吸収性物品1と、吸収性物品1を個別に包装する包装シート41と、を有する。吸収性物品1は、吸収コア31とコアラップシート32を有する。包装シート41及びコアラップシート32は、セルロース系繊維を含む紙製のシートによって構成されている。第2の特徴に係る包装体100によれば、紙製のシートからなる包装シート41及びコアラップシート32を有しており、環境に配慮した吸収性物品の包装体を提供できる。なお、紙製のシートは、セルロース系繊維を含む繊維を膠着させて製造したものであり、和紙、洋紙のいずれであってもよいし、ティッシュであってもよい。
【0064】
包装シート41の幅方向Wの破断伸度は、コアラップシート32の幅方向Wの破断伸度よりも高くてよい。コアラップシート32として紙製のシート(ティッシュ)を用いた吸収性物品は、従来から提供されている。コアラップシート32は、通常の使用形態にあっては、使用時に破断せずにその形状を維持している。着用者は、コアラップシート32が通常の使用形態において破断しないことを認識している。当該コアラップシート32の破断伸度よりも包装シート41の破断伸度が高いため、着用者は、包装シート41が破断し難い心証を抱き、紙製の包装シート41を安心して廃棄時に用いることができる。
【0065】
一般的に、吸収性物品1の前後方向Lの長さは、吸収性物品1の幅方向Wの長さよりも長く、包装シート41の前後方向Lの長さも包装シート41の幅方向Wの長さよりも長くなる。また、着用者は、廃棄時に吸収性物品1を前後方向Lに丸め、当該丸めた状態の吸収性物品1を包装シート41によって包むことが多い。そのため、包装シート41の前後方向Lの長さは、丸められた状態の吸収性物品1に対して十分に長い。しかし、廃棄時に吸収性物品1を幅方向Wに丸めないため、包装シート41の幅方向Wの長さは、丸められた状態の吸収性物品1に対して十分に長くない。そのため、廃棄時に吸収性物品1を包む際に、包装シート41の幅方向Wの長さが十分でないことがあり、このような場合には、包装シート41は、幅方向Wに引っ張られ易い。このとき、包装シート41の幅方向Wの破断伸度が比較的高く構成されているため、廃棄時における包装シート41の破れを抑制し、使用済みの吸収性物品1を衛生的に廃棄できる。
【0066】
「コアラップシートの破断伸度」は、以下の方法によって測定できる。引張試験機(Instron - a division of ITW Limited製 品名:Static Load Cell: 1 kN (100 kgf, 225 lbf) Tension/Compression Mechanical interface 型番:2580-1KN)を使用する。対象となる吸収性物品を液体窒素で凍らせ、鋭利なカッターで幅方向Wに沿った断面で切断を行い、吸収性物品から個別にコアラップシートを取り出す前のコアラップシートの幅方向Wの長さを測定する。次いで、トルエン等でコアラップシートに付されている接着剤(例えば、ホットメルト型接着剤)を取り除き、かつ風乾後のコアラップシートにて幅方向Wの破断伸度を測定する。「コアラップシートの破断伸度」は、式1によって算出する。
(式1)
コアラップシートの破断伸度=破断伸度測定時においてコアラップシートが幅方向に伸びた長さ/吸収性物品から個別にコアラップシートを取り出す前のコアラップシートの幅方向の長さ
【0067】
「包装シートの破断伸度」は、以下の方法によって測定できる。引張試験機(Instron - a division of ITW Limited製 品名:Static Load Cell: 1 kN (100 kgf, 225 lbf) Tension/Compression Mechanical interface 型番:2580-1KN))を使用する。包装状態において包装シートの幅方向の長さを測定する。次いで、接着剤及びエンボス加工等による材料の物性に変化が少ない箇所にてサンプルを作成し、破断伸度を測定する。「包装シートの破断伸度」は、式2によって算出する。
(式2)
包装シートの破断伸度=破断伸度測定時において包装シートが幅方向伸びた長さ/包装状態における包装シートの幅方向の長さ
【0068】
上記測定方法の幅方向を前後方向に置き換えて、破断伸度を測定し、また、第1の特徴の包装体における破断強度の方法を用いて破断強度を測定した値を以下の表1に示す。また、実施例1から実施例4に係る包装シート及び比較例1から比較例2に係る包装シートを用いて、丸めた吸収性物品を包み、包んだ際に破れが生じるか否かを評価した試験結果も示す。評価試験は、5人の試験者によって行った。包装シートを、試験者毎に3回ずつ使用して評価した。すなわち、1つの包装シートに対して、15回評価試験を行った。包装シートの破れが生じた回数が2回以下の場合には、「◎」、5回以下の場合には、「○」、6回以上の場合には、「×」とした。
【表1】
【0069】
包装シート41の幅方向Wの破断伸度は、19%以上100%未満であってよい。包装シート41を幅方向Wに引っ張った際に、包装シート41が19%以上伸長可能であるため、引っ張った際に包装シート41の破断を抑制しつつ吸収性物品を包むことができる。また、包装シート41の破断伸度が100%未満であるため、包装シート41が伸長し過ぎずに巻き付ける力を吸収性物品に掛けて、吸収性物品を円滑に巻くことができる。
【0070】
包装シート41の幅方向Wの破断伸度は、包装シート41の前後方向Lの破断伸度よりも高くてよい。包装シート41の幅方向Wは包装シート41の前後方向Lの長さよりも短く、包装シート41は、前後方向Lよりも幅方向Wに伸ばされ易い。このとき、包装シート41が幅方向Wに伸長しやすいため、廃棄時に吸収性物品を包む際における包装シート41の破断を抑制できる。また、包装シート41の前後方向Lが伸びすぎないため、包装シート41が伸長し過ぎずに巻き付ける力を吸収性物品に掛けて、吸収性物品1を円滑に巻くことができる。
【0071】
包装シート41の幅方向Wの破断強度は、包装シート41の前後方向Lの破断強度よりも高くてよい。包装シート41は、廃棄時に前後方向Lよりも幅方向Wに伸ばされ易い。このとき、包装シート41が幅方向Wに破断しにくく、廃棄時に吸収性物品を包む際における包装シート41の破断を抑制できる。
【0072】
また、コアラップシート32の前後方向Lの破断伸度は、コアラップシート32の幅方向Wの破断伸度よりも高くてよい。コアラップシート32の前後方向Lの破断強度は、コアラップシート32の幅方向Wの破断強度よりも高くてよい。吸収性物品1を着用物品に取り付けた後、歩行等で足を動かす動作を行うと前後方向Lに吸収性物品が伸び縮みすることがある。この際にコアラップシート32がその動きに追従できるような伸度と強度を兼ね備えていることで、吸収性物品1としての基本機能を担保することができる。
【0073】
包装シート41の幅方向Wのクレープ率は、コアラップシート32の幅方向Wのクレープ率よりも高くてよい。本構成によれば、包装シート41の幅方向Wのクレープ率が高いため、包装シート41が幅方向Wに引っ張られた際に伸び代があり、幅方向Wに引っ張られた際の破断をより抑制できる。ここで、クレープ率とは、クレープ加工中にどれだけ短くなったか示す値であり、値が高いほど加工中に短くなっていることを示す。クレープ率は、例えば、水中伸度法により測定できる。測定対象の資材(コアラップシート及び包装シート)を50mm×50mmに切断して測定試料を作製し、測定試料を水中に10秒間浸漬した後引き上げて、寸法の変化量から式3によりクレープ率を算出する。測定は3回行い(n=3)、平均値を測定値とする。
(式3)
クレープ率(%)={(水に浸漬した後の寸法)/(水に浸漬する前の寸法)-1}×100
【0074】
コアラップシート32の吸水性は、包装シート41の吸水性よりも高くてよい。本構成によれば、コアラップシート32の吸水性が比較的高いため、吸収性物品1内で体液を保持でき、廃棄時に吸収性物品1外に滲み出にくくなる。一方、包装シート41の吸水性が低いため、包装シート41が水分を保持しすぎず、廃棄に吸収性物品を包んだ包装シート41がべたつくことを抑制し、衛生的に廃棄できる。なお、コアラップシート32の吸水性及び包装シート41の吸水性は、第1の特徴の包装体における吸水性の測定方法を用いることができる。
【0075】
図1に示すように、包装シート41は、幅方向Wに沿い、かつ包装シート41の内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目F1、F2を基点に折り畳まれて吸収性物品1を個別に包装してよい。吸収性物品1を包装した状態において包装体100の外側の面には、包装シート41の包装外端55が配置され、包装外端55には、止着テープ70が付されてよい。包装体100を開封する際は、止着テープ70を把持して、止着テープ70を前後方向Lに沿って引っ張って包装シート41を展開する。このとき、止着テープ70を介して包装シート41を引っ張る力は、固定端部71を介して伝達する。止着テープ70を介して引っ張った際に、包装シート41が破断しないことで、包装シート41が破断しにくい心証となり、紙製の包装シート41を安心して廃棄時に用いることができる。
【0076】
図7に示すように、コアラップシート32は、吸収コア31の幅方向Wの両側縁を基点に幅方向Wの内側に折り返され、当該折り返されたコアラップシート32同士が重なるラップ積層部33を有してよい。ラップ積層部33の幅方向Wの長さW11は、固定端部71の幅方向Wの長さW12よりも長くてよい。固定端部71の幅方向Wの長さよりもコアラップシート32同士が重なったラップ積層部33の幅方向Wの長さが長いため、着用者は、固定端部71よりも幅が広いのでコアラップシート32も破断し難い心証となり、コアラップシート32の破断を心配せずに吸収性物品1を安心して使用できる。
【0077】
包装シート41と吸収性物品1の間には、包装シート41に対して被覆接合部90を介して接合された本体剥離シート42が配置されてよい。包装シート41と本体剥離シート42によって吸収性物品1を廃棄時に包むことができるため、包む部材の剛性を高め、廃棄時の包装シート41の破断を抑制できる。包装シート41の幅方向Wの破断伸度は、本体剥離シート42の幅方向Wの破断伸度よりも高くてよい。
図6に示すように、包装シート41は、展開状態において、本体剥離シート42の前後方向Lの外端縁よりも前後方向Lの外側に延びた延出領域REを有してよい。固定端部71は、延出領域REに重なってよい。包装シート41の破断伸度が高く、かつ包装シート41の延出領域REにおいて止着テープ70の固定端部71が配置されているため、止着テープを介して包装シート41を引っ張った際に、延出領域において包装シート41が伸び易く、廃棄時の包装シート41の破断を抑制できる。なお、固定端部71の少なくとも一部が延出領域REに重なっていればよいが、好適には、固定端部71の全域が延出領域REに重なってよい。
【0078】
被覆接合部90は、最も前側に位置する内折り目F1よりも前側の前領域RFと、最も後側に位置する内折り目F2よりも後側の後領域RRと、のそれぞれに設けられてよい。本実施の形態では、前領域RFに第1被覆接合部91が設けられ、後領域RRに第2被覆接合部92が設けられている。本態様によれば、最も前後方向Lの外側に位置する内折り目よりも前後方向Lの外側に被覆接合部90がそれぞれ配置されているため、最も前後方向Lの両外側に位置する内折り目を跨がって本体剥離シート42と包装シート41を配置できる。最も前後方向Lの両外側に位置する内折り目間に廃棄する吸収性物品を載せた際に、当該吸収性物品を包装シート41と本体剥離シートによって包むことができる。
【0079】
図1等に示すように、包装シート41は、包装シート41を幅方向Wに三等分した領域のうち幅方向Wの中央に位置する中央領域RCと、三等分した領域のうち幅方向Wの側方に位置する側部領域RSと、を有する。中央領域RCの前後方向Lの破断強度は、側部領域RSの前後方向Lの破断強度よりも高くてよい。一般的に、着用者は、包装シート41の幅方向Wの中央を把持して、包装シート41を引っ張りつつ吸収性物品を包む。また、止着テープ70は、中央領域RCに配置されており、止着テープ70を把持して、包装シート41を引っ張りつつ吸収性物品1を包むこともある。このとき、中央領域の前後方向Lの破断強度が高いため、包装シート41の破断を抑制しつつ吸収性物品1を包むことができる。好適には、包装シート41は、側部領域RSにおいてシート接合部48によって接合され、中央領域RCにおいてシート接合部48によって接合されていなくてよい。シート接合部48は、クレープが伸びきっているが、シート接合部48が形成されていない中央領域RCは、伸びが残っているため、使用済みの吸収性物品をきれいに巻くことができる。
【0080】
包装シート41と、吸収性物品と、の色差ΔEは、3.0以上であってよい。着用者が包装シート41と吸収性物品を区別して認識し易く、包装シート41の適した位置(例えば、中央)に廃棄時の吸収性物品を配置できる。廃棄時に吸収性物品は、肌面側を内側にして丸められ、当該吸収性物品は、包装シート41の内面に載せられるため、吸収性物品の非肌面と包装シート41の内面との色差ΔEが3.0以上であってよい。色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。
【0081】
次いで、このように構成された包装体100の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法の説明は、一実施例であり、以下の説明において説明していない他の工程については、周知の工程、及び第1の特徴の工程を適宜採用することができる。第2の特徴の包装体の製造方法は、前後方向Lの破断伸度が幅方向Wの破断伸度よりも高いコアラップシート32を有する吸収性物品1を、幅方向Wの破断伸度が前後方向Lの破断伸度よりも高い包装シート41によって個別に包装する包装体の製造方法である。製造方法は、第1搬送工程S10と、転写工程S20と、第2搬送工程S30と、を少なくとも有する。
【0082】
第1搬送工程S10は、コアラップシート32を有する吸収性物品1を、前後方向Lに沿う第1搬送方向MD1に沿って搬送する。第1搬送工程S10において、吸収性物品1単体で搬送する際に、吸収性物品1の前後方向Lに沿う第1搬送方向MD1で吸収性物品1を搬送する。第1搬送工程S10において、コアラップシート32は、伸長し易い前後方向に沿って搬送され、コアラップシート32に皺が発生したり、コアラップシート32が破断したりする不具合を抑制できる。
【0083】
転写工程S20は、包装シート41が幅方向Wに連続した連続包装体41Cを幅方向Wに沿う第2搬送方向MD2で搬送し、第1搬送工程S10によって搬送した吸収性物品1を90度変換させて連続包装体41C上に転写する。本実施の形態では、連続包装体41C上に吸収性物品1を搬送方向MDに間隔を空けて配置する。第2搬送方向MD2は、幅方向Wに沿っており、包装シート41が伸び易く、コアラップシート32が伸び難い方向である。
【0084】
第2搬送工程S30は、転写工程S20の後に、吸収性物品1の幅方向Wに沿い、かつ連続包装体41Cの幅方向Wに沿う第2搬送方向MD2で、吸収性物品1と連続包装体41Cを搬送する。第2搬送工程S30は、折り工程と、切断工程S35と、を有する。折り工程は、第1の特徴の製造方法における第1折り工程S31及び第2折り工程S32によって構成されてよい。折り工程によって、連続包装体41C内に吸収性物品1が内包された状態となる。第2搬送工程S30の折り工程において、連続包装体41C及び吸収性物品1は、幅方向Wに沿う内折り目を基点に前後方向Lの内側に向かって折り畳まれる。コアラップシート32は、折り畳まれる際に吸収コア31の厚みによって局所的に前後方向Lに引っ張られる箇所がある。このとき、コアラップシート32が前後方向Lに伸長し易いため、折り工程におけるコアラップシート32の破断を抑制できる。
【0085】
切断工程S35は、折り工程の後に、連続包装体41Cを前後方向Lに沿う切断線CLに沿って切断する。切断工程S35は、カッター等の切断装置によって連続包装体41Cを切断する。切断工程S35によって、個々の包装体100を得ることができる。切断工程S35では、連続包装体(包装シート)は、前後方向Lに沿った切断線CLに沿って幅方向Wに分断されるため、幅方向Wに引っ張られ易い。このとき、包装シート41が幅方向Wに伸長し易いため、切断時における包装シート41の破断を抑制しつつ包装体100を製造できる。
【0086】
好ましくは、第1折り工程S31は、連続包装体41Cの前後方向Lの一方の外端部を折り畳み、第2折り工程S32は、第1折り工程S31によって折り畳まれた連続包装体41Cの一方の外端部と、連続包装体41Cの前後方向Lの他方の外端部と、を共に、第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳んでよい。本実施の形態では、第1折り工程S31において、連続包装体41Cの一方の外端部41C1を、第2内折り目F2を基点に折り畳む。次いで、第2折り工程において、連続包装体41Cの一方の外端部41C1と、連続包装体41Cの他方の外端部41C2と、を、第1折り工程によって折り畳まれた領域と重なるように折り畳む。この第2折り工程S32において連続包装体41Cの一方の外端部41C1を折り畳む折り目は、連続包装体41Cの外側の面同士が向かい合うように折り畳んでおり、外折り目F4となる。また、連続包装体41Cの他方の外端部41C2を折り畳む折り目は、連続包装体41Cを内側の面同士が向かい合うように折り畳んでおり、第1内折り目F1となる。そのため、包装シート41の一端部に、包装体100の外側に折り畳まれた折り返し部45を形成できる。折り返し部45が形成されることで、包装シート41の一方の外端部が複数層で積層され、その剛性が高くなる。よって、折り工程において包装シート41が伸び難く、包装シート41に意図しない皺が形成されることを抑制できる。
【0087】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。上述の第1の特徴と第2の特徴は、適宜組み合わせることができる。例えば、包装体は、第1の特徴と共に第2の特徴を有してもよい。
【0088】
被覆シート(包装シート)と吸収性物品を共に折り畳む折り目は、幅方向Wに沿い、かつ被覆シートの内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる内折り目のみを有し、前後方向Lに沿い、かつ被覆シートの内側の面同士が向かい合うように折り畳まれる前後折り目を有していなくてよい。前後折り目を有する形態にあっては、包装体の展開時に、被覆シートの前後方向Lの全域を、前後折り目を基点に展開する必要がある。このとき、水分等が付着した手で前後折り目を基点に展開しようとすると、被覆シートの前後方向Lの端部まで展開する力を掛けられず、被覆シートが破断するおそれがある。幅方向Wに沿った内折り目は、前後折り目よりも展開時における折り目の長さが短く、折り目全体に亘って力を掛けて、破断を抑制しつつ被覆シートを展開できる。
【0089】
内折り目は、複数設けられていてよく、第1内折り目F1と第2内折り目F2の間に、他の内折り目が形成されていてもよい。しかし、好適には、第1内折り目と第2内折り目のみによって構成され、他の内折り目を有していなくてよい。2つの内折り目を基点に展開することで、吸収性物品を取り出すことができ、複数展開する過程で被覆シートが破断したり、複数展開する過程で手に付着した汚れ等が被覆シート以外に付着したりする不具合を抑制できる。
【符号の説明】
【0090】
100 :包装体
1 :吸収性物品
3 :吸収体
31 :吸収コア
32 :コアラップシート
7 :ウイング
11 :物品外端
40 :被覆シート
41 :包装シート(第1被覆シート)
42 :本体剥離シート(第2被覆シート)
43 :ウイング剥離シート(第3被覆シート)
45 :折り返し部
48 :シート接合部
55 :包装外端(被覆外端)
56 :包装内端(被覆内端)
70 :止着テープ
90 :被覆接合部
97 :ウイング接合部
100 :包装体
F1 :第1内折り目(内折り目)
F2 :第2内折り目(内折り目)
F4 :外折り目
RF :前領域
RR :後領域
RC :中央領域
RR :側部領域
S10 :第1搬送工程
S20 :転写工程
S30 :第2搬送工程
S31 :第1折り工程(折り工程)
S32 :第2折り工程(折り工程)
S35 :切断工程
L :前後方向
T1 :肌側
T2 :非肌側
W :幅方向