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特開2025-10494アゾ色素、着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、表示装置、固体撮像素子、及びアゾ色素の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010494
(43)【公開日】2025-01-21
(54)【発明の名称】アゾ色素、着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、表示装置、固体撮像素子、及びアゾ色素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09B 29/50 20060101AFI20250110BHJP
   C09B 35/233 20060101ALI20250110BHJP
   C09B 35/22 20060101ALI20250110BHJP
   C09B 35/04 20060101ALI20250110BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20250110BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20250110BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20250110BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20250110BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20250110BHJP
   C08K 5/23 20060101ALI20250110BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
C09B29/50 CSP
C09B35/233
C09B35/22
C09B35/04
C09B67/46 A
G02B5/20 101
H05B33/14 Z
H10K59/10
H10K59/38
C08L101/00
C08K5/23
G09F9/30 349B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092583
(22)【出願日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2023112611
(32)【優先日】2023-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】512197788
【氏名又は名称】住華科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUMIKA TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.32,Sec.2,Huandong Rd.,Shanhua Dist.,Tainan City 741,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 悠
(72)【発明者】
【氏名】江咲 バイダス
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
4J002
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BE09
2H148BE10
2H148BE15
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG07
2H148BG11
2H148BH12
2H148BH13
3K107AA01
3K107AA05
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC24
3K107CC32
3K107EE23
4J002AA001
4J002BC121
4J002BG011
4J002BG041
4J002BG051
4J002BG071
4J002BH021
4J002BK001
4J002CD201
4J002EQ016
4J002EU036
4J002EU106
4J002EU136
4J002FD090
4J002FD096
4J002GP00
4J002GQ00
4J002GQ05
5C094AA33
5C094AA60
5C094BA29
5C094BA43
5C094ED03
5C094FB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成可能な、アゾ色素、及び着色硬化性樹脂組成物を提供すること、並びに前記カラーフィルタを形成可能なアゾ色素の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】アゾ色素50部と酸化アルミニウム50部との混合物のCuKα線を用いた粉末X線回折により特定される、所定の結晶構造を有するアゾ色素であって、例えば、下式(AI-1)で表されるアゾ色素である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるアゾ色素であって、
前記アゾ色素は、アゾ色素50部と酸化アルミニウム50部との混合物のCuKα線を用いた粉末X線回折の回折パターンにおいて、
回折角(2θ±0.2°)=5°~25°の範囲にピークが存在し、
9.8°~16.0°に、5°~25°における最大ピークが存在し、
11.0°~11.8°に、1つ以上ピークが存在し、
9.8°~16.0°における最大ピーク強度(I1)と、11.0°~11.8°における最大ピーク強度(I2)との間で、
2/I1≧0.05
を満たし、且つ
酸化アルミニウム由来の回折角(2θ±0.2°)=35.1°でのピーク強度(I3)と、前記I1との間で、
1/I3≧0.35
を満たす、アゾ色素。
【化1】

[式(I)中、
1は、式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、又は式(ph11-2)で表される基を表し、
Aは、式(ia)で表される基を表す。
【化2】

[式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、及び式(ph11-2)中、
1a、X1b、X10、X11a、X11bは、それぞれ独立して、置換基、或いは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
n1は、0~5の整数を表し、n2は、0~4の整数を表す。n1が2以上の整数を表す場合、複数のX1aは同一であっても異なっていてもよく、n2が2以上の整数を表す場合、複数のX1bは同一であっても異なっていてもよい。n1が2以上の整数を表し、且つX1aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1aは互いに結合して環を形成してもよく、n2が2以上の整数を表し、且つX1bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1bは互いに結合して環を形成してもよい。
pは、0~4の整数を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のX10は同一であっても異なっていてもよい。pが2以上の整数を表し、且つX10が隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX10は互いに結合して環を形成してもよい。
q1は、0~5の整数を表し、q2は、0~4の整数を表す。q1が2以上の整数を表す場合、複数のX11aは同一であっても異なっていてもよく、q2が2以上の整数を表す場合、複数のX11bは同一であっても異なっていてもよい。q1が2以上の整数を表し、且つX11aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11aは互いに結合して環を形成してもよく、q2が2以上の整数を表し、且つX11bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11bは互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、-O-、-CO-、-SO2-、又は-C(CF32-を表す。
*は、Aとの結合手を表す。
**は、式(ib)で表される基との結合手を表す。]
【化3】

[式(ia)、及び式(ib)中、
6~X9は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、又は-NH-に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる-C<は-N<に置き換わっていてもよい。
6とX7は互いに結合して環を形成してもよく、X8とX9は互いに結合して環を形成してもよい。
*はL1との結合手を表す。]]
【請求項2】
前記式(ph1-2)で表される基が式(ph2-2)で表される基であり、
前記式(ph11-1)で表される基が式(ph12-1)で表される基であり、
前記式(ph11-2)で表される基が式(ph12-2)で表される基である、請求項1に記載のアゾ色素。
【化4】

[式(ph2-2)、式(ph12-1)、及び式(ph12-2)中、
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、カルボキシル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキルチオ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
2bとX3b、X4bとX5b、X12aとX13a、X14aとX15a、X22aとX23a、X21aとX23a、X21aとX25a、X24aとX25a、X12bとX13b、X14bとX15b、X22bとX23b、X24bとX25bは互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、上記と同じ意味を表す。
*はAとの結合手を表す。
**は式(ib)で表される基との結合手を表す。]
【請求項3】
式(ia)、及び式(ib)で表される基が、それぞれ独立して、式(t1)~式(t5)で表される基のいずれかである、請求項1に記載のアゾ色素。
【化5】

[式(t1)~式(t5)中、
1~R16は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、複素環基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
*はL1との結合手を表す。]
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のアゾ色素、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、及び溶剤を含む着色硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載のカラーフィルタを含む固体撮像素子。
【請求項8】
アゾ色素(A)を温度80~200℃で、溶剤(Z)とスラリー状態で接触させる接触工程、及び固液分離により溶剤(Z)と接触させたアゾ色素(A)を取り出す分離工程を含み、前記溶剤(Z)が、エステル溶剤、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤、ケトン溶剤、ニトリル溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、ハロゲン溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、前記接触工程における溶剤(Z)の量が、アゾ色素(A)に対して0.1質量倍以上120.0質量倍以下である、アゾ色素の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾ色素、該アゾ色素を含む着色硬化性樹脂組成物、該着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ、該カラーフィルタを含む表示装置、及び固体撮像素子、並びにアゾ色素の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アゾ色素としては、例えば、インキ組成物に用いられる特許文献1に記載のジスアゾ顔料が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アゾ色素を、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、及びプラズマディスプレイ等の表示装置や、CCD、及びCMOSセンサ等の固体撮像素子に使用されるカラーフィルタを形成し得る着色硬化性樹脂組成物に含有される着色剤として用いる場合に、特許文献1に記載のジスアゾ顔料等の従来から知られるアゾ色素を用いると、形成されるカラーフィルタの耐熱性、及び耐光性が十分に満足できない場合があった。そこで、本発明は、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成可能な、アゾ色素、及び着色硬化性樹脂組成物を提供することを課題の一つとする。また、本発明は、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成可能なアゾ色素の製造方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 下記式(I)で表されるアゾ色素であって、
前記アゾ色素は、アゾ色素50部と酸化アルミニウム50部との混合物のCuKα線を用いた粉末X線回折の回折パターンにおいて、
回折角(2θ±0.2°)=5°~25°の範囲にピークが存在し、
9.8°~16.0°に、5°~25°における最大ピークが存在し、
11.0°~11.8°に、1つ以上ピークが存在し、
9.8°~16.0°における最大ピーク強度(I1)と、11.0°~11.8°における最大ピーク強度(I2)との間で、
2/I1≧0.05
を満たし、且つ
酸化アルミニウム由来の回折角(2θ±0.2°)=35.1°でのピーク強度(I3)と、前記I1との間で、
1/I3≧0.35
を満たす、アゾ色素。
【化1】

[式(I)中、
1は、式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、又は式(ph11-2)で表される基を表し、
Aは、式(ia)で表される基を表す。
【化2】

[式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、及び式(ph11-2)中、
1a、X1b、X10、X11a、X11bは、それぞれ独立して、置換基、或いは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
n1は、0~5の整数を表し、n2は、0~4の整数を表す。n1が2以上の整数を表す場合、複数のX1aは同一であっても異なっていてもよく、n2が2以上の整数を表す場合、複数のX1bは同一であっても異なっていてもよい。n1が2以上の整数を表し、且つX1aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1aは互いに結合して環を形成してもよく、n2が2以上の整数を表し、且つX1bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1bは互いに結合して環を形成してもよい。
pは、0~4の整数を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のX10は同一であっても異なっていてもよい。pが2以上の整数を表し、且つX10が隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX10は互いに結合して環を形成してもよい。
q1は、0~5の整数を表し、q2は、0~4の整数を表す。q1が2以上の整数を表す場合、複数のX11aは同一であっても異なっていてもよく、q2が2以上の整数を表す場合、複数のX11bは同一であっても異なっていてもよい。q1が2以上の整数を表し、且つX11aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11aは互いに結合して環を形成してもよく、q2が2以上の整数を表し、且つX11bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11bは互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、-O-、-CO-、-SO2-、又は-C(CF32-を表す。
*は、Aとの結合手を表す。
**は、式(ib)で表される基との結合手を表す。]
【化3】

[式(ia)、及び式(ib)中、
6~X9は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、又は-NH-に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる-C<は-N<に置き換わっていてもよい。
6とX7は互いに結合して環を形成してもよく、X8とX9は互いに結合して環を形成してもよい。
*はL1との結合手を表す。]]
[2] 前記式(ph1-2)で表される基が式(ph2-2)で表される基であり、
前記式(ph11-1)で表される基が式(ph12-1)で表される基であり、
前記式(ph11-2)で表される基が式(ph12-2)で表される基である、[1]に記載のアゾ色素。
【化4】

[式(ph2-2)、式(ph12-1)、及び式(ph12-2)中、
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、カルボキシル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキルチオ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
2bとX3b、X4bとX5b、X12aとX13a、X14aとX15a、X22aとX23a、X21aとX23a、X21aとX25a、X24aとX25a、X12bとX13b、X14bとX15b、X22bとX23b、X24bとX25bは互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、上記と同じ意味を表す。
*はAとの結合手を表す。
**は式(ib)で表される基との結合手を表す。]
[3] 式(ia)、及び式(ib)で表される基が、それぞれ独立して、式(t1)~式(t5)で表される基のいずれかである、[1]又は[2]に記載のアゾ色素。
【化5】

[式(t1)~式(t5)中、
1~R16は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、複素環基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
*はL1との結合手を表す。]
[4] [1]~[3]のいずれかに記載のアゾ色素、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、及び溶剤を含む着色硬化性樹脂組成物。
[5] [4]に記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[6] [5]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
[7] [5]に記載のカラーフィルタを含む固体撮像素子。
[8] アゾ色素(A)を温度80~200℃で、溶剤(Z)とスラリー状態で接触させる接触工程、及び固液分離により溶剤(Z)と接触させたアゾ色素(A)を取り出す分離工程を含み、前記溶剤(Z)が、エステル溶剤、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤、ケトン溶剤、ニトリル溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、ハロゲン溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、前記接触工程における溶剤(Z)の量が、アゾ色素(A)に対して0.1質量倍以上120.0質量倍以下である、アゾ色素の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成可能な、アゾ色素、及び着色硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成可能なアゾ色素の新たな製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例1で得られたアゾ色素(1)のX線回折スペクトルである。なお回折角(2θ±0.2°)=25.5,35.1,37.8,43.3,43.4°のピークは、内標準物質である酸化アルミニウム由来のピークである(図2~14においても同様である)。
図2図2は、合成例1で得られたアゾ色素(1-1)のX線回折スペクトルである。
図3図3は、実施例2で得られたアゾ色素(2)のX線回折スペクトルである。
図4図4は、合成例2で得られたアゾ色素(2-1)のX線回折スペクトルである。
図5図5は、実施例3で得られたアゾ色素(3)のX線回折スペクトルである。
図6図6は、合成例3で得られたアゾ色素(3-1)のX線回折スペクトルである。
図7図7は、実施例4で得られたアゾ色素(4)のX線回折スペクトルである。
図8図8は、合成例4で得られたアゾ色素(4-1)のX線回折スペクトルである。
図9図9は、実施例5で得られたアゾ色素(5a)のX線回折スペクトルである。
図10図10は、実施例6で得られたアゾ色素(5b)のX線回折スペクトルである。
図11図11は、実施例7で得られたアゾ色素(5c)のX線回折スペクトルである。
図12図12は、実施例8で得られたアゾ色素(5d)のX線回折スペクトルである。
図13図13は、実施例9で得られたアゾ色素(5e)のX線回折スペクトルである。
図14図14は、実施例10で得られたアゾ色素(5f)のX線回折スペクトルである。
図15図15は、実施例11で得られたアゾ色素(5g)のX線回折スペクトルである。
図16図16は、実施例12で得られたアゾ色素(5h)のX線回折スペクトルである。
図17図17は、実施例13で得られたアゾ色素(5i)のX線回折スペクトルである。
図18図18は、実施例14で得られたアゾ色素(5j)のX線回折スペクトルである。
図19図19は、実施例15で得られたアゾ色素(5k)のX線回折スペクトルである。
図20図20は、実施例16で得られたアゾ色素(5l)のX線回折スペクトルである。
図21図21は、合成例5で得られたアゾ色素(5-1)のX線回折スペクトルである。
図22図22は、ガラス試料板のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<アゾ色素>
本発明のアゾ色素は、所定の結晶構造を有する。前記結晶構造は、粉末X線回折によって特定される。具体的には、本発明のアゾ色素は、該アゾ色素50部と酸化アルミニウム50部との混合物のCuKα線を用いた粉末X線回折の回折パターンにおいて、
回折角(2θ±0.2°)=5°~25°の範囲にピークが存在し、
9.8°~16.0°に、5°~25°における最大ピークが存在し、
11.0°~11.8°に、1つ以上ピークが存在し、
9.8°~16.0°における最大ピーク強度(I1)と、11.0°~11.8°における最大ピーク強度(I2)との間で、
2/I1≧0.05
を満たし、且つ
酸化アルミニウム由来の回折角(2θ±0.2°)=35.1°でのピーク強度(I3)と、前記I1との間で、
1/I3≧0.35
を満たす結晶構造を有する。
該結晶構造を有するアゾ色素によれば、耐熱性、及び耐光性が良好なカラーフィルタを形成可能である。なお、本発明においてカラーフィルタの耐熱性又は耐光性が優れるとは、加熱又は光照射前後での色差(△E*ab)が小さいことをいう。
【0009】
前記X線回折の回折パターンにおいて、回折角(2θ±0.2°)=9.8°~16.0°の範囲に存在する、5°~25°における最大ピークは、11.0°~11.8°に存在していてもよいが、11.0°~11.8°の範囲外に存在することが好ましい。
【0010】
前記I2/I1は、好ましくは0.07以上であり、より好ましくは0.09以上であり、また好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.5以下、さらに好ましく0.45以下、よりさらに好ましくは0.40以下、いっそう好ましくは0.38以下である。
【0011】
前記I1/I3は、好ましくは0.37以上であり、より好ましくは0.39以上、さらに好ましくは0.41以上、よりさらに好ましくは0.43以上であり、また好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.90以下、よりさらに好ましくは0.85以下、いっそう好ましくは0.80以下であり、0.70以下であってもよい。
【0012】
本発明でのX線回折分析においては、対陰極からのCuKα線(1.5418Å)をX線源として使用する。また、本発明でのX線回折分析においては、酸化アルミニウムを内標準物質として使用する。
具体的なX線回折分析の方法としては、試料であるアゾ色素50質量部に、酸化アルミニウム50質量部を内標準物質として添加して混合し、150メッシュの金網に通しながら粉砕した後に、(株)リガク製ガラス試料板のくぼみ(内寸法20mm×20mm×0.5mm)に粉砕した試料を充填し、表面を平らにして測定した。なお、ガラス試料板由来のピーク(ハロー:尾原幸治、「X線回折のハローって何?」、NEW GLASS、2016年、31巻、118号、24-26頁)があり、着色剤由来のピークと区別する必要がある。そこで、本発明ではアゾ色素のX線回折スペクトルとしては、着色剤入りのX線回折スペクトルから、ガラス試料板だけのX線回折スペクトルとの差スペクトルを算出した。さらに、試料の厚みはX線回折スペクトルの強度に依存するため、内標準物質としての酸化アルミニウムのピーク強度I3を100,000として規格化したX線回折スペクトルを用いた。
【0013】
本発明のアゾ色素は、上記X線回折における回折角(2θ±0.2°)=5°~25°の範囲に、最大ピーク強度I1を100%とした時に、相対強度が10%以上100%未満となるピークを2個以上有するのが好ましく、3個以上がより好ましく、また15個以下が好ましく、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは7個以下である。
【0014】
本発明のアゾ色素としては、上記X線回折スペクトルにおいて、以下の回折角(2θ±0.2°)にピークを有するものが例示される。
例(i):10.0,11.2,13.1,15.3,15.6,15.8,18.5,18.9,19.0,22.1,22.5,23.3,25.6,26.1,26.4,26.9,28.6,29.1°
例(ii):7.1,13.0,13.3,14.2,17.5,19.1,19.4,20.2,21.3,21.7,24.1,24.3,27,2,28.3,29.4°
例(iii):5.7,10.6,11.4,14.6,17.2,20.3,21.4,24.8,26.1,26.5,26.8,28.4°
例(iv):7.5,11.0,11.6,15.0,15.3,19.8,20.5,22.2,23.7,24.6,26.4,27.7,28.5,30.1,32.3°
例(v):6.0,10.2,11.9,15.6,16.0,18.0,18.6,20.1,20.7,22.5,23.1,23.5,24.6,25.2,27.4,30.3°
【0015】
上述のような結晶構造を示すアゾ色素は、例えば、下記の製造方法により得ることができる。
【0016】
本発明のアゾ色素の製造方法は、アゾ色素(以下、アゾ色素(A)とも称する)を温度80~200℃で、溶剤(Z)とスラリー状態で接触させる接触工程、及び固液分離により溶剤(Z)と接触させたアゾ色素(A)を取り出す分離工程を含み、前記溶剤(Z)が、エステル溶剤、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤、ケトン溶剤、ニトリル溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、ハロゲン溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、前記接触工程における溶剤(Z)の量をアゾ色素(A)に対して0.1質量倍以上120.0質量倍以下とする、方法である。ここで、温度とは、容器の温度ではなく反応系の内温を意味する。
すなわち本発明の製造方法は、アゾ色素(A)を所定の温度において所定の溶剤(Z)とスラリー状態で接触させる接触工程、及び濾過等の固液分離により精製されたアゾ色素(A)を得る分離工程を含む、精製されたアゾ色素(A)の製造方法に関する。以下、本発明の製造方法により得られる所定の結晶構造を有するアゾ色素をアゾ色素(Aa)とも称する。
該製造方法によって得られるアゾ色素(Aa)によれば、耐熱性、及び耐光性が良好なカラーフィルタを形成可能である。
【0017】
アゾ色素(A)としては、1種のアゾ色素からなる単独色素であっても、2種以上のアゾ色素を含む混合色素であってもよい。またアゾ色素(A)としては、後述するアゾ色素(I)を含むことが好ましい。
【0018】
<析出工程>
本発明の製造方法は、接触工程の前に、アゾ色素(A)を再結晶化する析出工程を含んでいてもよい。アゾ色素(A)を再結晶化する析出工程としては、貧溶媒添加法等が挙げられ、具体的には、高溶解性液体(良溶媒等)に溶解したアゾ色素(A)を、低溶解性液体(貧溶媒等)に添加する方法、及び高溶解性液体に溶解したアゾ色素に、低溶解性液体を添加する方法が挙げられる。なお、析出工程に供するアゾ色素(A)としては、後述するアゾ色素(I)の製造方法等により製造したアゾ色素を用いてもよい。
アゾ色素(A)の結晶構造にバラツキがある場合、再結晶化により結晶構造を揃えることができる。このため、接触工程の前に析出工程を有することにより、所望の結晶構造を有する(つまり、所望の回折パターンを有する)アゾ色素(Aa)をより高収率、高選択的に取得することが可能となる。
【0019】
析出工程では、アゾ色素(A)を温度(内温)80℃以上において、溶剤とスラリー状態で接触することはない。このため、析出工程で得られるアゾ色素(A)は、所望の結晶構造(所望の回折パターン)を有さない。
【0020】
析出工程に用いる高溶解性液体、及び/又は低溶解性液体としては、塩基性化合物、塩基性溶液、酸性化合物、酸性溶液等が挙げられる。
【0021】
塩基性化合物、塩基性溶液としては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピロール等のアミン;アンモニア水;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アンモニウム塩の溶液(好ましくは、水溶液);ナトリウムメトキシドのメタノール溶液、ナトリウムエトキシドのエタノール溶液、カリウムターシャリーブトキシドのターシャリーブチルアルコール溶液等のアルカリ金属アルコキシドのアルコール溶液;及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの金属水酸化物の溶液(好ましくは、水溶液);等が挙げられる。
【0022】
酸性化合物、酸性溶液としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、スルファミン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、クエン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸;及びそれらの溶液(好ましくは、水溶液);等が挙げられる。
【0023】
前記塩基性化合物、塩基性溶液、酸性化合物、及び酸性溶液は、それぞれ単独で使用してもよく、または複数以上を混合して使用してもよい。
【0024】
高溶解性液体としては、用いるアゾ色素(A)に応じて適宜選択すればよいが、塩基性化合物、塩基性溶液が好ましい。
高溶解性液体としては、上記の塩基性化合物、塩基性溶液、酸性化合物、酸性溶液にさらに有機溶剤を含んでいてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アルコール溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤、ケトン溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ニトリル溶剤等が挙げられ、これらの有機溶剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤が好ましく、アルコール溶剤がより好ましい。
【0025】
高溶解性液体の使用量としては、アゾ色素(A)を溶解するのに必要な量を用いればよく、高溶解性液体の種類や濃度等により適宜決定すればよい。例えば、高溶解性液体として四級アンモニウム塩の溶液を用いる場合、アゾ色素(A)(1モル)に対して四級アンモニウム塩が、0.1~20モル当量であることが好ましく、0.5モル当量以上がより好ましく、1モル当量以上がさらに好ましく、また15モル当量以下がより好ましく、10モル当量以下がさらに好ましい。また例えば、高溶解性液体として無機酸若しくは有機酸、又はそれらの溶液を用いる場合、アゾ色素(A)(1モル)に対して無機酸又は有機酸が、10~500モル当量であることが好ましく、20モル当量以上がより好ましく、30モル当量以上がさらに好ましく、また450モル当量以下がより好ましく、400モル当量以下がさらに好ましい。
【0026】
アゾ色素(A)と高溶解性液体との混合時間、混合温度、撹拌条件等についても、アゾ色素(A)を溶解するのに必要な条件とすればよい。ただし、高溶解性液体はアゾ色素(A)を容易に溶解する液体であり、アゾ色素(A)を溶解するのに高温とする必要はない。このため、混合温度(内温)は80℃未満であり、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、また5℃以上が好ましい。
【0027】
低溶解性液体としては、用いるアゾ色素(A)及び高溶解性液体の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、高溶解性液体として塩基性化合物、塩基性溶液を用いる場合には酸性化合物、酸性溶液が好ましい。
低溶解性液体としては、上記の塩基性化合物、塩基性溶液、酸性化合物、酸性溶液にさらに有機溶剤を含んでいてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アルコール溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤、ケトン溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ニトリル溶剤等が挙げられ、これらの有機溶剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤が好ましく、アルコール溶剤がより好ましい。
また例えば、高溶解性液体として酸性化合物、酸性溶液を用いる場合には、低溶解性液体としては、アルコール溶剤、エステル溶剤、エーテル溶剤、エーテルエステル溶剤、ケトン溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ニトリル溶剤等の有機溶剤を用いることが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤がより好ましく、これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
低溶解性液体の使用量としては、アゾ色素(A)を析出するのに必要な量を用いればよく、高溶解性液体及び低溶解性液体の種類や濃度等により適宜決定すればよい。
【0029】
アゾ色素(A)と高溶解性液体の混合液と低溶解性液体との混合時間、混合温度、撹拌条件等についても、アゾ色素(A)を析出するのに必要な条件とすればよい。混合温度としては、析出を効率的に行う点から、60℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましく、氷冷下で行ってもよい。
【0030】
アゾ色素(A)と高溶解性液体の混合液に低溶解性液体を添加、又は低溶解性液体にアゾ色素(A)と高溶解性液体の混合液を添加する方法としては、一括投入でもよいが、複数回に分けての投入、又は連続的に滴下して投入することが好ましい。複数回に分けて投入する場合にも、投入時には投入分を連続的に滴下して投入することが好ましい。
【0031】
析出工程において析出したアゾ色素(A)は、濾過、遠心分離等の公知の固液分離方法を用いて取り出し、必要に応じて水や溶剤を用いて洗浄した後に接触工程に供してもよい。洗浄に用いる溶剤としては、例えば、後述の溶剤(Z)として説明する溶剤が挙げられる。また、洗浄後のアゾ色素(A)は、必要に応じて真空乾燥や温風乾燥等の乾燥処理を行ってもよい。
【0032】
<接触工程>
アゾ色素(A)と溶剤(Z)との接触は、温度(内温)80~200℃で、スラリー状態で行う。スラリー状態とは、アゾ色素(A)と溶剤(Z)との混合物において、溶剤(Z)に溶解しないアゾ色素(A)の固体が存在する状態のことを意味し、アゾ色素(A)の一部は溶剤(Z)に溶解していてもよい。
アゾ色素(A)と溶剤(Z)との接触を、80~200℃で、且つスラリー状態で行うことにより、所望の結晶構造を有する(つまり、所望の回折パターンを有する)アゾ色素(Aa)を得ることができる。
【0033】
<溶剤(Z)>
接触工程で用いる溶剤(Z)は、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内に-OHを含み、-O-、-CO-、及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤(分子内に芳香族炭化水素基を含み、-O-、-OH、及びハロゲン原子を含まない溶剤)、アミド溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、ハロゲン溶剤(分子内にハロゲン原子を含み、-OHを含まない溶剤)、アミン溶剤(分子内に-N<を含み、-OHを含まない溶剤)、ニトリル溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である。溶剤(Z)は、1種の溶剤からなる単独溶剤でも、2種以上の溶剤を含む溶剤混合物のいずれであってもよい。
【0034】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0035】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0036】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0037】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びイソホロン等が挙げられる。
ケトン溶剤として、好ましくはシクロペンタノン、シクロヘキサノンであり、より好ましくはシクロヘキサノンである。
【0038】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、2-アミノエタノール、ベンジルアルコール、1-フェニル-1-プロパノール、2-クロロフェノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等が挙げられる。
アルコール溶剤として、好ましくはメタノール、2-アミノエタノールであり、より好ましくは2-アミノエタノールである。
【0039】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、及びアニソール等が挙げられる。
芳香族炭化水素溶剤として、好ましくはトルエン、キシレンであり、より好ましくはキシレンである。
【0040】
アミド溶剤としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-メチル-ε-カプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、及び1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン等が挙げられる。
アミド溶剤として、好ましくはN,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンであり、より好ましくはN,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンである。
【0041】
スルホキシド溶剤としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、及びテトラメチレンスルホキシド等が挙げられる。
スルホキシド溶剤として、好ましくはジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドであり、より好ましくはジメチルスルホキシドである。
【0042】
スルホン溶剤としては、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、及びスルホラン等が挙げられる。
スルホン溶剤として、好ましくはジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホランであり、より好ましくはスルホランである。
【0043】
ハロゲン溶剤としては、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、及び四塩化炭素等が挙げられる。
【0044】
アミン溶剤としては、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1-メチルイミダゾール、ピリジン、及びピロール等が挙げられる。
【0045】
ニトリル溶剤としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、及びメタクリロニトリル等が挙げられる。
ニトリル溶剤として、好ましくはアセトニトリルである。
【0046】
溶剤(Z)は、エステル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、ハロゲン溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エステル溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましく、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがよりさらに好ましく、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、及びアミン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがいっそう好ましく、アルコール溶剤、アミド溶剤、及び芳香族炭化水素溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがよりいっそう好ましい。溶剤(Z)100%中、アルコール溶剤、アミド溶剤、芳香族炭化水素溶剤、スルホキシド溶剤、スルホン溶剤、及びアミン溶剤の合計は、体積比で、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。また、溶剤(Z)100%中、アルコール溶剤、アミド溶剤、及び芳香族炭化水素溶剤の合計は、体積比で、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。
【0047】
アゾ色素(A)と溶剤(Z)とを温度80~200℃で接触させる方法としては、容器内でアゾ色素(A)と溶剤(Z)とを混合する方法が好ましい。混合時にはアゾ色素(A)と溶剤(Z)を含む混合物を撹拌機等により撹拌してもよく、超音波振動により撹拌してもよい。
接触工程における接触時間(好ましくは撹拌時間)は、好ましくは1分間以上、より好ましくは10分間以上、さらに好ましくは1時間以上であり、また好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
【0048】
接触工程における接触温度は、80~200℃であり、該温度の上限としては、溶剤(Z)の1atmにおける沸点以下であることが好ましい。接触温度としては、80~190℃が好ましく、85~170℃がより好ましく、85~150℃がさらに好ましい。
【0049】
接触工程における溶剤(Z)の使用量は、用いるアゾ色素(A)や溶剤(Z)の種類に応じて、混合物がスラリー状となるように適宜決定すればよいが、収率の点から、アゾ色素(A)に対して、0.1質量倍以上、好ましくは0.5質量倍以上、より好ましくは2質量倍以上であり、また120.0質量倍以下、好ましくは100.0質量倍以下、より好ましくは80.0質量倍以下、さらに好ましくは60.0質量倍以下である。接触工程に供されるアゾ色素(A)は、乾燥物だけでなく、反応混合物から固液分離されたアゾ色素(A)を含む残渣も好ましく用いられる。後者の場合、該残渣には反応で使用された溶剤や、洗浄に使用された溶剤が含まれることもあるが、接触工程における溶剤(Z)の使用量としては、該残渣に含まれる反応や洗浄に使用された溶剤も含めて計算するものとする。また、前記析出工程後に固液分離して乾燥しない場合、析出物には析出に使用した溶剤や、洗浄に使用した溶剤が含まれることもあるが、接触工程における溶剤(Z)の使用量としては、該析出物に含まれる析出や洗浄に使用された溶剤も含めて計算するものとする。
【0050】
接触工程において、アゾ色素(A)と溶剤(Z)との接触は、前記アゾ色素(A)とα-アルミナ50部との混合物のCuKα線を用いた粉末X線回折の回折パターンにおける、前記アゾ色素(A)由来の回折角(2θ±0.2°)=5°~25°の範囲での最大ピーク強度(I1)と、前記α-アルミナ由来の回折角(2θ±0.2°)=35.1°でのピーク強度(I3)との比(I1/I3)について、前記溶剤(Z)との接触前のI1/I3をIR1、前記溶剤(Z)との接触後のI1/I3をIR2としたとき、IR1とIR2との間で、
R2/IR1≧1.4
を満たすように行うことが好ましい。
X線回折分析の具体的な方法としては、上述したX線回折分析の方法と同様の方法を用いられる。
【0051】
前記IR2/IR1は、好ましくは1.45以上であり、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.55以上、よりさらに好ましくは1.6以上であり、また好ましくは20以下であり、より好ましくは18以下、さらに好ましくは15以下、よりさらに好ましくは12以下である。
【0052】
アゾ色素(A)と溶剤(Z)を、温度80~200℃、スラリー状態で接触させた後、温度80℃未満において、該混合物にさらに溶剤(Z2)を添加して混合する工程を有していてもよい。温度80℃未満で、前記接触工程で得た混合物に溶剤(Z2)を添加混合する工程を有することにより、所望の結晶構造を有する(つまり、所望の回折パターンを有する)アゾ色素(Aa)をより高収率で取得することが可能となる。
【0053】
溶剤(Z2)としては、接触工程で用いる溶剤(Z)として例示される溶剤が挙げられる。溶剤(Z2)としては、ニトリル溶剤、及びアルコール溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ニトリル溶剤、及びアミン構造を有さないアルコール溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ニトリル溶剤としては、アセトニトリルが好ましく、アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール等の第一級アルコールが好ましい。
【0054】
アゾ色素(A)と溶剤(Z)との混合物に溶剤(Z2)を添加する方法としては、一括投入でもよいが、複数回に分けての投入、又は連続的に滴下して投入することが好ましい。複数回に分けて投入する場合にも、投入時には投入分を連続的に滴下して投入することが好ましい。溶剤(Z2)の投入中、及び/又は投入後は、撹拌機や超音波振動等により撹拌することが好ましい。
溶剤(Z2)の投入中及び投入後の合計の撹拌時間は、好ましくは1分間以上、より好ましくは5分間以上、さらに好ましくは10分間以上であり、また好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下、さらに好ましくは3時間以下である。
【0055】
溶剤(Z2)を添加、及び撹拌する際の温度(内温)は、80℃未満であり、75℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下がさらに好ましく、60℃以下がよりさらに好ましく、また0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましい。溶剤(Z2)を複数回に分けて投入する場合、それぞれの投入の際の温度が異なっていてもよい。
【0056】
溶剤(Z2)の使用量は、用いるアゾ色素(A)や溶剤(Z)の種類及び量、並びに溶剤(Z2)の種類に応じて適宜決定すればよいが、収率の点から、アゾ色素(A)に対して、好ましくは0.1質量倍以上、より好ましくは0.5質量倍以上、さらに好ましくは2質量倍以上であり、また好ましくは80.0質量倍以下、より好ましくは60.0質量倍以下、さらに好ましくは50.0質量倍以下、よりさらに好ましくは40.0質量倍以下である。
【0057】
<分離工程>
溶剤(Z)と接触させたアゾ色素(A)は、固液分離により溶剤(Z)(溶剤(Z2)を添加した場合は、溶剤(Z)及び溶剤(Z2))から分離され、固体として取り出される。すなわち、固液分離により、精製されたアゾ色素(A)を取り出すことができる。精製されたアゾ色素(A)は、好ましくは上述した所定の結晶構造を有するものである。
【0058】
固液分離は、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過、遠心分離等により実施されることが好ましい。固液分離して溶剤(Z)が除去されたアゾ色素(A)には、さらに洗浄、再結晶、乾燥等の処理を施してもよい。
【0059】
上述した所定の結晶構造を示すアゾ色素(Aa)としては、特に下記式(I)で表される化合物(以下、アゾ色素(I)とも称する)から、所定の結晶構造を示すものを選択するのが好ましい。所定の結晶構造を示し、且つ所定の化学構造を有するアゾ色素(I)(以下、アゾ色素(Ia)とも称する)によれば、耐熱性、及び耐光性がより改善されたカラーフィルタを形成可能である。
【0060】
【化6】

[式(I)中、
1は、式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、又は式(ph11-2)で表される基を表し、
Aは、式(ia)で表される基を表す。]
【0061】
【化7】

[式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、及び式(ph11-2)中、
1a、X1b、X10、X11a、X11bは、それぞれ独立して、置換基、或いは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
n1は、0~5の整数を表し、n2は、0~4の整数を表す。n1が2以上の整数を表す場合、複数のX1aは同一であっても異なっていてもよく、n2が2以上の整数を表す場合、複数のX1bは同一であっても異なっていてもよい。n1が2以上の整数を表し、且つX1aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1aは互いに結合して環を形成してもよく、n2が2以上の整数を表し、且つX1bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1bは互いに結合して環を形成してもよい。
pは、0~4の整数を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のX10は同一であっても異なっていてもよい。pが2以上の整数を表し、且つX10が隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX10は互いに結合して環を形成してもよい。
q1は、0~5の整数を表し、q2は、0~4の整数を表す。q1が2以上の整数を表す場合、複数のX11aは同一であっても異なっていてもよく、q2が2以上の整数を表す場合、複数のX11bは同一であっても異なっていてもよい。q1が2以上の整数を表し、且つX11aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11aは互いに結合して環を形成してもよく、q2が2以上の整数を表し、且つX11bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11bは互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、-O-、-CO-、-SO2-、又は-C(CF32-を表す。
*は、Aとの結合手を表す。
**は、式(ib)で表される基との結合手を表す。]
【0062】
【化8】

[式(ia)、及び式(ib)中、
6~X9は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、又は-NH-に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる-C<は-N<に置き換わっていてもよい。
6とX7は互いに結合して環を形成してもよく、X8とX9は互いに結合して環を形成してもよい。
*はL1との結合手を表す。]
【0063】
以下、アゾ色素(I)について詳述するが、アゾ色素(I)には、式(I)の共鳴構造や、式(I)の互変異性体、並びに式(I)の幾何学異性体等の立体異性体も含まれることとする。式(I)の互変異性体とは、式(I)中のAが式(iia)で表される基である化合物;式(I)が式(ib)で表される基(以下、基(ib)とも称する)を有する場合、式(I)中の基(ib)が式(iib)で表される基である化合物;並びに式(I)が基(ib)を有する場合、式(I)中のAが式(iia)で表される基であり、且つ式(I)中の基(ib)が式(iib)で表される基である化合物;等を例示することができる。
【0064】
【化9】

[式(iia)、及び式(iib)中、
6~X9は、上記と同じであり、*はL1との結合手を表す。]
【0065】
式(ph1-1)、式(ph1-2)、式(ph11-1)、及び式(ph11-2)における、X1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される置換基(以下、置換基Aとも称する)としては、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0066】
1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、及び芳香族炭化水素基であってもよく、該脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、鎖状又は環状(脂環式炭化水素基)であってもよい。また脂環式炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。
【0067】
飽和鎖状炭化水素基(以下、アルキル基とも称する)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、及び2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
【0068】
不飽和鎖状炭化水素基としては、エテニル基、プロペニル基(例えば、1-プロペニル基、2-プロペニル基)、及びブテニル基(例えば、1-ブテニル基、3-ブテニル基)等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基(例えば、1-プロピニル基、2-プロピニル基)、ブチニル基(例えば、1-ブチニル基、3-ブチニル基)等のアルキニル基;等が挙げられる。
【0069】
飽和又は不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4である。
【0070】
飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、1-メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル、及び2-メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0071】
不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロヘキセニル基(例えば、シクロヘキサ-1-エン-1-イル基、シクロヘキサ-2-エン-1-イル基、シクロヘキサ-3-エン-1-イル基)、シクロヘプテニル基、及びシクロオクテニル基等のシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0072】
脂環式炭化水素基としては、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基等の多環式の飽和脂環式炭化水素基;ノルボルネニル基等の多環式の不飽和脂環式炭化水素基;等も挙げられる。
【0073】
脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~12であり、より好ましくは3~10であり、さらに好ましくは3~8である。
【0074】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,4-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、4-ビニルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ(tert-ブチル)フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、テトラリンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。
【0075】
芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~18であり、より好ましくは6~12であり、さらに好ましくは6~10である。
【0076】
1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基は、上記に挙げた炭化水素基を組合せた基であってもよく、例えばアラルキル基、脂環式炭化水素基が結合したアルキル基;シクロアルキル基が縮合した芳香族炭化水素基;シクロアルキル基が縮合した芳香族炭化水素基が結合したアルキル基;等が挙げられる。
【0077】
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(4-メチルフェニル)メチル基、及びフェネチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、好ましくは7~18であり、より好ましくは7~12であり、さらに好ましくは7~10である。
【0078】
脂環式炭化水素基が結合したアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、アダマンチルメチル基等が挙げられる。脂環式炭化水素基が結合したアルキル基の炭素数は、好ましくは4~20であり、より好ましくは4~15であり、さらに好ましくは4~10である。
【0079】
シクロアルキル基が縮合した芳香族炭化水素基としては、インダンにおけるベンゼン環から水素原子を1つ除いた基、1-メチル-インダンにおけるベンゼン環から水素原子を1つ除いた基、2-メチル-インダンから水素原子を1つ除いた基等が挙げられる。
【0080】
シクロアルキル基が縮合した芳香族炭化水素基が結合したアルキル基としては、インダンにおけるベンゼン環に炭素数1~4のアルキル基が結合した基、1-メチル-インダンにおけるベンゼン環に炭素数1~4のアルキル基が結合した基、2-メチル-インダンにおけるベンゼン環に炭素数1~4のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
【0081】
1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基が有していてもよい置換基(以下、置換基Bとも称する)としては、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0082】
置換基A、及び置換基Bとしてのアミノ基は、無置換のアミノ基であってもよく、置換アミノ基であってもよい。置換アミノ基は1つ又は2つの炭化水素基を有するアミノ基であることが好ましい。該炭化水素基としては、上述したX1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~4である。置換アミノ基としては、例えば、N-メチルアミノ基、N,N-ジメチルアミノ基、N-エチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-プロピルアミノ基、N,N-ジプロピルアミノ基、N-イソプロピルアミノ基、N,N-ジイソプロピルアミノ基、N-フェニルアミノ基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-エチルメチルアミノ基等が挙げられる。
【0083】
置換基A、及び置換基Bとしてのアミド基としては、*-CONRX1X2(RX1、RX2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表し、*は結合手を表す)を挙げることができる。前記RX1、RX2で表される炭化水素基としては、上述したX1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、芳香族炭化水素基を含むことが好ましい。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~15、より好ましくは6~12である。RX1、RX2で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、置換基Bと同様の基が挙げられる。RX1、RX2としては、一方が炭素数6~15の炭化水素基であり、他方が水素原子又は炭素数1~4の炭化水素基であることが好ましく、一方が炭素数6~15の芳香族炭化水素基又はアラルキル基であり、他方が水素原子又は炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基であることがより好ましい。アミド基としては、例えば、下記式(am1)~(am9)で表されるアミド基が挙げられる。
【0084】
【化10】
【0085】
置換基A、及び置換基Bとしてのカルボン酸アミド基とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子1つを除いた基を意味し、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピルアミド基、ブチルアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。前記アミド基の炭素数としては、好ましくは2~20であり、より好ましくは2~10、さらに好ましくは2~6である。
【0086】
置換基A、及び置換基Bとしてのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基の炭素数としては、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~4、よりさらに好ましくは1又は2である。
【0087】
置換基A、及び置換基Bとしてのアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチルチオ等が挙げられる。前記アルキルチオ基の炭素数としては、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~4、よりさらに好ましくは1又は2である。
【0088】
置換基A、及び置換基Bとしてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、中でもフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
【0089】
1a、X11aとしては、それぞれ独立して、炭素数1~20の炭化水素基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、カルボキシル基、炭素数1~10のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシ基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20の芳香族炭化水素基を含む炭化水素基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~8のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、又はヒドロキシ基であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基又はアラルキル基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子、或いはヒドロキシ基であることがさらに好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~12のアラルキル基、上記*-CONRX1X2、炭素数2~20のカルボン酸アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがよりさらに好ましく、炭素数1~4のアルキル基、上記式(am1)~(am9)で表されるアミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがいっそう好ましい。
【0090】
1b、X10、X11bとしては、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子であることがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがさらに好ましく、炭素数1~4のアルキル基、又はハロゲン原子であることがよりさらに好ましい。
【0091】
n1、n2、p、q1、q2は、それぞれ独立して、0~2の整数であることが好ましい。
【0092】
式(ph1-1)において、n1が2以上の整数である場合、複数のX1aは同一であっても異なっていてもよく、式(ph1-2)において、n2が2以上の整数である場合、複数のX1bは同一であっても異なっていてもよい。式(ph11-1)、式(ph11-2)において、pが2以上の整数である場合、複数のX10は同一であっても異なっていてもよく、式(ph11-1)において、q1が2以上の整数である場合、複数のX11aは同一であっても異なっていてもよく、式(ph11-2)において、q2が2以上の整数である場合、複数のX11bは同一であっても異なっていてもよい。
【0093】
n1が2以上の整数を表し、且つX1aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1aは互いに結合して環を形成してもよく、n2が2以上の整数を表し、且つX1bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX1bは互いに結合して環を形成してもよい。また、pが2以上の整数を表し、且つX10が隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX10は互いに結合して環を形成してもよい。また、q1が2以上の整数を表し、且つX11aが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11aは互いに結合して環を形成してもよく、q2が2以上の整数を表し、且つX11bが隣接する炭素原子に結合している場合、隣接する炭素原子に結合するX11bは互いに結合して環を形成してもよい。
上記結合により形成される環としては、例えば、下記の構造が挙げられる。構造式中、*はL1における隣接する炭素原子との結合手を表す。
【0094】
【化11】
【0095】
Yは、-O-、-CO-、-SO2-、又は-C(CF32-であり、-O-、-CO-が好ましく、-CO-がより好ましい。
【0096】
式(ph1-2)、式(ph11-2)におけるA及び基(ib)との結合位置、並びに式(ph11-1)におけるAとの結合位置は特に限定されないが、原料入手容易性の観点から、それぞれ、式(ph1-2)は下記式(ph2-2)で表される基であることが好ましく、式(ph11-1)は下記式(ph12-1)で表される基であることが好ましく、式(ph11-2)は下記式(ph12-2)で表される基であることが好ましい。
【0097】
【化12】

[式(ph2-2)、式(ph12-1)、及び式(ph12-2)中、
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、カルボキシル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキルチオ基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。
2bとX3b、X4bとX5b、X12aとX13a、X14aとX15a、X22aとX23a、X21aとX23a、X21aとX25a、X24aとX25a、X12bとX13b、X14bとX15b、X22bとX23b、X24bとX25bは互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、上記と同じ意味を表す。
*はAとの結合手を表す。
**は基(ib)との結合手を表す。]
【0098】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。中でもメチル基又はエチル基が好ましい。
【0099】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表されるアミノ基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアミノ基として説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0100】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表されるアミド基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアミド基として説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0101】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表されるカルボン酸アミド基としては、置換基A及び置換基Bにおけるカルボン酸アミド基として説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0102】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表されるアルコキシ基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアルコキシ基として説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0103】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表されるアルキルチオ基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアルキルチオ基として説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0104】
2b~X5b、X12a~X15a、X21a~X25a、X12b~X15b、X22b~X25bで表されるハロゲン原子としては、置換基A及び置換基Bにおけるハロゲン原子として説明したものが挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0105】
2bとX3b、X4bとX5b、X12aとX13a、X14aとX15a、X22aとX23a、X21aとX23a、X21aとX25a、X24aとX25a、X12bとX13b、X14bとX15b、X22bとX23b、又はX24bとX25bが互いに結合して形成する環としては、上述のX1a、X1b、X10、X11a、又はX11bが2つ以上互いに結合して形成する環として説明したものが挙げられる。
【0106】
式(ph1-1)で表される基としては、n1が0~2の整数であることが好ましく、1又は2がより好ましく、2がさらに好ましい。n1が2でありX1aを2つ有する場合、該2つのX1aは、オルト位、メタ位、パラ位の何れの関係となる位置に結合していてもよく、メタ位又はパラ位の関係となる位置に結合していることが好ましく、パラ位の関係にあることがより好ましい。
【0107】
式(ph1-1)で表される基としては、X1aが置換基Bを有する炭化水素基、又は置換基Aであることが好ましく、置換基Bを有する炭素数1~10の鎖状炭化水素基、置換基Aがより好ましく、置換基Bを有する炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基、置換基Aがさらに好ましく、置換基B(好ましくは、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~10のアルコキシ基、及び/又はハロゲン原子)を有する炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子がよりさらに好ましく、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子がいっそう好ましく、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子がよりいっそう好ましく、アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基が特に好ましい。
【0108】
式(ph1-1)で表される基としては、例えば、下記式(ph1-12-1)~式(ph1-12-8)で表される基が好ましく挙げられ、式(ph1-12-3)~式(ph1-12-5)で表される基がより好ましい。式中、*はAとの結合手を表す。
【0109】
【化13】
【0110】
式(ph2-2)で表される基としては、X2b~X5bがそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、塩素原子がより好ましく、水素原子、塩素原子がさらに好ましい。
【0111】
式(ph2-2)で表される基としては、例えば、下記式(ph2-22-1)~式(ph2-22-8)で表される基が好ましく挙げられ、式(ph2-22-1)~式(ph2-22-7)で表される基がより好ましい。式中、*はAとの結合手を表し、**は基(ib)との結合手を表す。
【0112】
【化14】
【0113】
式(ph12-1)で表される基としては、X12a~X15aがそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、塩素原子がより好ましく、水素原子、塩素原子がさらに好ましい。
式(ph12-1)で表される基としては、X21a~X25aがそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、アミド基、カルボン酸アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子がさらに好ましく、水素原子、アミド基、炭素数1~4のアルコキシ基がよりさらに好ましい。
【0114】
式(ph12-1)で表される基としては、例えば、下記式(ph12-12-1)~式(ph12-12-8)で表される基が好ましく挙げられ、式(ph12-12-3)~式(ph12-12-5)で表される基がより好ましい。式中、Yは上記と同じ意味を表し、*はAとの結合手を表す。
【0115】
【化15】
【0116】
式(ph12-2)で表される基としては、X12b~X15b、X22b~X25bがそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、塩素原子がより好ましく、水素原子、塩素原子がさらに好ましい。
【0117】
式(ph12-2)で表される基としては、例えば、下記式(ph12-22-1)~式(ph12-22-8)で表される基が好ましく挙げられ、式(ph12-22-1)~式(ph12-22-5)で表される基がより好ましい。式中、Yは上記と同じ意味を表し、*はAとの結合手を表し、**は基(ib)との結合手を表す。
【0118】
【化16】
【0119】
式(ia)、式(ib)におけるX6~X9で表される炭化水素基としては、上述のX1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基として説明した基が挙げられる。なお、X6~X9で表される炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-CO-、又は-NH-に置き換わっていてもよく、X6~X9で表される炭化水素基に含まれる-CH=は、-N=に置き換わっていてもよく、X6~X9で表される炭化水素基に含まれる-C<は-N<に置き換わっていてもよい。
【0120】
また、X6とX7は互いに結合して環を形成してもよく、X8とX9は互いに結合して環を形成してもよい。なお、X6とX7が互いに結合して形成する環、並びにX8とX9が互いに結合して形成する環に含まれる-CH2-が、-O-、-CO-、又は-NH-に置き換わった態様;X6とX7が互いに結合して形成する環、並びにX8とX9が互いに結合して形成する環に含まれる-CH=が、-N=に置き換わった態様;X6とX7が互いに結合して形成する環、並びにX8とX9が互いに結合して形成する環に含まれる-C<が-N<に置き換わった態様も本発明に含まれる。
【0121】
式(ia)においてX6とX7が互いに結合して環を形成した基、並びに、式(ib)においてX8とX9が互いに結合して環を形成した基としては、例えば以下のものが挙げられる。式中、*はL1との結合手を示す。なお、下記式で表される基が有する水素原子の少なくとも1つは、後述する置換基Cに置き換わってもよい。
【0122】
【化17】
【0123】
【化18】
【0124】
6~X9で表される炭化水素基が有していてもよい置換基(以下、置換基Cとも称する)としては、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキルチオ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、カルボン酸アミド基、シアノ基、ハロゲン原子、-SO3H、-SO3M、-SO30.5、-SO2N(R172等が挙げられる。Mはアルカリ金属原子を表し、Tはアルカリ土類金属原子を表し、R17は水素原子又は炭化水素基を表す。
【0125】
置換基Cとしてのアルコキシ基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアルコキシ基として説明したものが挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0126】
置換基Cとしてのアルキルチオ基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアルキルチオ基として説明したものが挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0127】
置換基Cとしてのアミノ基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアミノ基として説明したものが挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0128】
置換基Cとしてのアミド基としては、置換基A及び置換基Bにおけるアミド基として説明したものが挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0129】
置換基Cとしてのカルボン酸アミド基としては、置換基A及び置換基Bにおけるカルボン酸アミド基として説明したものが挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0130】
置換基Cとしてのハロゲン原子としては、置換基A及び置換基Bにおけるハロゲン原子として説明したものが挙げられ、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子が好ましい。
【0131】
Mで表されるアルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0132】
Tで表されるアルカリ土類金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられ、マグネシウム、カルシウムが好ましい。X6~X9のいずれかが、-SO30.5を1つ有する炭化水素基である場合、アゾ色素(I)は下記の構造をとる。
【0133】
【化19】

[式中、L1、A、及びTは、上記と同じ意味を表す。-SO3 -は、X6~X9で表される炭化水素基が有する水素原子のいずれかを置換している。]
【0134】
17は、水素原子又は炭化水素基を表す。2つのR17は同一でも異なっていてもよく、一方が水素原子で、もう一方が炭化水素基であることが好ましい。R17で表される炭化水素基としては、上述のX1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基として説明した基が挙げられ、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数3~12の多環式の飽和脂環式炭化水素基、炭素数6~18の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0135】
アゾ色素(I)が式(ib)で表される基を有する場合、式(ia)で表される基と式(ib)で表される基とは同一であることが好ましい。すなわち、X6とX8が同一の基を表し、X7とX9が同一の基を表すことが好ましい。式(ia)で表される基と式(ib)で表される基が同一であることにより、カラーフィルタとしたときの色濃度がより良好となる。
【0136】
式(ia)で表される基と、式(ib)で表される基は、それぞれ独立して、式(t1)~式(t5)で表される基のいずれかであることがより好ましく、式(t1)~式(t4)で表される基のいずれかであることがさらに好ましく、式(t1)~式(t3)で表される基のいずれかであることがよりさらに好ましく、式(t1)、式(t3)で表される基のいずれかであることがいっそう好ましい。
【0137】
【化20】

[式(t1)~式(t5)中、R1~R16はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、複素環基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。*はL1との結合手を表す。]
【0138】
1~R16で表される炭化水素基としては、上述のX1a、X1b、X10、X11a、X11bで表される炭化水素基として説明した基が挙げられる。中でも、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12の芳香族炭化水素基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基、フェニル基がさらに好ましい。
【0139】
1~R16で表される炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上述の置換基Cとして説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
【0140】
1~R16で表される複素環基としては、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、インドリル基、1H-インダゾリル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、ベンゾイミダゾロニル基等が挙げられる。中でもベンゾ[b]チエニル基、チアントレニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、インドリル基、1H-インダゾリル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、ベンゾイミダゾロニル基等のベンゼン環を有する複素環基が好ましく、インドリル基、1H-インダゾリル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、又はベンゾイミダゾロニル基がより好ましい。
【0141】
1~R16で表されるハロゲン原子としては、置換基A及び置換基Bにおけるハロゲン原子として説明したものが挙げられ、中でも塩素原子、フッ素原子が好ましい。
【0142】
1は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していていてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素基、さらに好ましくは炭素数6~12の芳香族炭化水素基、よりさらに好ましくは炭素数6~10の芳香族炭化水素基、いっそう好ましくはフェニル基である。
【0143】
2は、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~10の鎖状炭化水素基、さらに好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基、よりさらに好ましくは炭素数1~6のアルキル基、いっそう好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
【0144】
3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は芳香族炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、フェニル基である。R3及びR4は、同一であることが好ましい。
【0145】
5は、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基又は水素原子であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~10の鎖状炭化水素基、さらに好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基、よりさらに好ましくは炭素数1~8のアルキル基、いっそう好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。
【0146】
6は、置換基を有していてもよいアルキル基又はシアノ基であることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、シアノ基、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、よりさらに好ましくはシアノ基である。
【0147】
7は、置換基を有していてもよい鎖状炭化水素基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~10の鎖状炭化水素基、さらに好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和鎖状炭化水素基、よりさらに好ましくは炭素数1~8のアルキル基、いっそう好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。
【0148】
8は、置換基を有していてもよいアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
【0149】
9は、置換基を有していてもよいアルキル基又は水素原子であることが好ましく、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基、水素原子である。
【0150】
10は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は複素環基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基、ベンゼン環を有する複素環基であり、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよいフェニル基、ベンゾイミダゾロニル基である。
【0151】
11~R16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基又は水素原子であることが好ましく、より好ましくはハロゲン原子を有していてもよいアルキル基、水素原子、さらに好ましくはハロゲン原子を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、水素原子である。
【0152】
アゾ色素(I)としては、より具体的には、例えば表1~表5に示すアゾ色素(AI-1)~アゾ色素(AI-378)が挙げられる。なお、表1~表5中、ibは、基(ib)を、ph1-12-3~ph1-12-5、ph2-22-1~ph2-22-3、ph2-22-7、ph12-12-3~ph12-12-5、ph12-22-1~ph12-22-5は、それぞれ、上記の式(ph1-12-3)~式(ph1-12-5)、式(ph2-22-1)~式(ph2-22-3)、式(ph2-22-7)、式(ph12-12-3)~式(ph12-12-5)、式(ph12-22-1)~式(ph12-22-5)で表される基を、t6~t11は、下記の式(t6)~式(t11)で表される基を意味する。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
【表5】
【0158】
【化21】

[式(t6)~式(t11)中、*はL1との結合手を表す。]
【0159】
アゾ色素(I)としては、中でも、
アゾ色素(AI-1)~アゾ色素(AI-24)、アゾ色素(AI-40)~アゾ色素(AI-45)、アゾ色素(AI-76)~アゾ色素(AI-81)、アゾ色素(AI-112)~アゾ色素(AI-117)、アゾ色素(AI-151)~アゾ色素(AI-174)、アゾ色素(AI-274)~アゾ色素(AI-378)が好ましく、
アゾ色素(AI-1)~アゾ色素(AI-6)、アゾ色素(AI-19)~アゾ色素(AI-24)、アゾ色素(AI-112)~アゾ色素(AI-117)、アゾ色素(AI-151)~アゾ色素(AI-156)、アゾ色素(AI-169)~アゾ色素(AI-174)、アゾ色素(AI-274)~アゾ色素(AI-279)、アゾ色素(AI-295)~アゾ色素(AI-300)、アゾ色素(AI-316)~アゾ色素(AI-321)、アゾ色素(AI-337)~アゾ色素(AI-342)、アゾ色素(AI-358)~アゾ色素(AI-363)がより好ましく、
アゾ色素(AI-1)~アゾ色素(AI-6)、アゾ色素(AI-19)~アゾ色素(AI-24)、アゾ色素(AI-151)~アゾ色素(AI-156)、アゾ色素(AI-169)~アゾ色素(AI-174)、アゾ色素(AI-274)~アゾ色素(AI-279)がさらに好ましく、
アゾ色素(AI-1)~アゾ色素(AI-6)、アゾ色素(AI-19)~アゾ色素(AI-24)、アゾ色素(AI-169)、アゾ色素(AI-172)、アゾ色素(AI-274)~アゾ色素(AI-279)がよりさらに好ましく、
アゾ色素(AI-1)、アゾ色素(AI-4)、アゾ色素(AI-19)、アゾ色素(AI-22)、アゾ色素(AI-274)、アゾ色素(AI-277)がいっそう好ましい。
【0160】
アゾ色素(I)は、例えば下記の方法で製造することができる。
【0161】
アゾ色素(I)が、下記式(I1)で表される化合物(以下、化合物(I1)とも称する)の場合、まず、式(pt1-1)で表されるアミンのジアゾ化を行い、式(q1-1)で表されるジアゾニウム塩を製造する。得られた式(q1-1)で表されるジアゾニウム塩に式(pt2)で表される化合物を反応させることにより、式(I1)で表される化合物を製造できる。
【0162】
【化22】

[式(pt1-1)、式(pt2)、式(q1-1)、及び式(I1)中、
1a、X6、X7、及びn1は、上記と同じ意味を表す。
1は、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0163】
アゾ色素(I)が、下記式(I2)で表される化合物(以下、化合物(I2)とも称する)の場合、まず、式(pt1-2)で表されるアミンのジアゾ化を行い、式(q1-2)で表されるジアゾニウム塩を製造する。得られた式(q1-2)で表されるジアゾニウム塩に式(pt2)で表される化合物を反応させて、式(q2)で表される化合物を製造する。続いて、式(q2)で表される化合物の還元を行い、式(q3)で表されるアミンを製造する。さらに、得られたアミンのジアゾ化を行い、式(q4)で表されるジアゾニウム塩を製造した後、式(pt3)で表される化合物を反応させることにより、式(I2)で表される化合物を製造できる。
【0164】
【化23】

[式(pt1-2)、式(pt2)、式(pt3)、式(q1-2)、式(q2)~式(q4)、及び式(I2)中、
1b、X6~X9、及びn2は、上記と同じ意味を表す。
1及びQ2は、それぞれ独立して、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0165】
また、アゾ色素(I)が、化合物(I2)の場合、以下の方法でも製造可能である。まず、式(pt1-2A)で表されるジアミンの一方のアミノ基のジアゾ化を行い、式(q1-2A)で表されるジアゾニウム塩を製造する。得られた式(q1-2A)で表されるジアゾニウム塩に式(pt2)で表される化合物を反応させて、式(q3)で表されるアミンを製造する。さらに、式(q3)で表されるアミンのジアゾ化を行い、式(q4)で表されるジアゾニウム塩を製造した後、式(pt3)で表される化合物を反応させることにより、式(I2)で表される化合物を製造できる。
【0166】
【化24】

[式(pt1-2A)、式(pt2)、式(pt3)、式(q1-2A)、式(q3)、式(q4)、及び式(I2)中、
1b、X6~X9、及びn2は、上記と同じ意味を表す。
1及びQ2は、それぞれ独立して、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0167】
アゾ色素(I)が、下記式(I3)で表される化合物(以下、化合物(I3)とも称する)の場合、まず、式(pt11-1)で表されるアミンのジアゾ化を行い、式(q11-1)で表されるジアゾニウム塩を製造する。得られた式(q11-1)で表されるジアゾニウム塩に式(pt2)で表される化合物を反応させることにより、式(I3)で表される化合物を製造できる。
【0168】
【化25】

[式(pt11-1)、式(pt2)、式(q11-1)、及び式(I3)中、
10、X11a、X6、X7、Y、p、及びq1は、上記と同じ意味を表す。
1は、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0169】
アゾ色素(I)が、下記式(I4)で表される化合物(以下、化合物(I4)とも称する)の場合、まず、式(pt11-2)で表されるアミンのジアゾ化を行い、式(q11-2)で表されるジアゾニウム塩を製造する。得られた式(q11-2)で表されるジアゾニウム塩に式(pt2)で表される化合物を反応させて、式(q2-1)で表される化合物を製造する。続いて、式(q2-1)で表される化合物の還元を行い、式(q3-1)で表されるアミンを製造する。さらに、得られたアミンのジアゾ化を行い、式(q4-1)で表されるジアゾニウム塩を製造した後、式(pt3)で表される化合物を反応させることにより、式(I4)で表される化合物を製造できる。
【0170】
【化26】

[式(pt11-2)、式(pt2)、式(pt3)、式(q11-2)、式(q2-1)~式(q4-1)、及び式(I4)中、
10、X11b、X6~X9、Y、p、及びq2は、上記と同じ意味を表す。
1及びQ2は、それぞれ独立して、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0171】
また、アゾ色素(I)が、化合物(I4)であり、化合物(I4)中のX6とX8が同一、且つX7とX9が同一の場合、まず、下記式(pt11-2A)で表されるジアミンのアジド化を行い、式(q11-2A)で表されるジアゾニウム塩を製造する。得られた式(q11-2A)で表されるジアゾニウム塩に式(pt2)、及び式(pt3)で表される化合物を反応させることにより、式(I4)で表される化合物を製造できる。
【0172】
【化27】

[式(pt11-2A)、式(pt2)、式(pt3)、式(q11-2A)、及び式(I4)中、
10、X11b、X6~X9、Y、p、及びq2は、上記と同じ意味を表し、
6とX8は同一であり、X7とX9は同一である。
1及びQ2は、それぞれ独立して、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0173】
式(q1-1)、式(q1-2)、式(q1-2A)、式(q11-1)、式(q11-2)、式(q11-2A)で表されるジアゾニウム塩は、それぞれ、例えば式(pt1-1)、式(pt1-2)、式(pt1-2A)、式(pt11-1)、式(pt11-2)、又は式(pt11-2A)で表されるアミンを、亜硝酸、亜硝酸塩、又は亜硝酸エステルによりジアゾ化することによって得ることができる。該ジアゾ化は、任意の公知の方法により実施される。
【0174】
前記無機アニオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン等が挙げられる。前記有機アニオンとしては、例えば、CH3COO-、C65COO-等が挙げられる。Q1及びQ2としては、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、CH3COO-である。
【0175】
前記ジアゾ化の反応を行う際、反応をスムーズに進行させるために、酸性触媒を用いることもできる。酸性触媒としては、硫酸、塩酸等の鉱酸等が挙げられる。
【0176】
式(q1-1)で表されるジアゾニウム塩と式(pt2)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、化合物(I1)を製造することができる。式(q1-2)で表されるジアゾニウム塩と式(pt2)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、式(q2)で表される化合物を製造することができる。式(q1-2A)で表されるジアゾニウム塩と式(pt2)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、式(q3)で表される化合物を製造することができる。式(q11-1)で表されるジアゾニウム塩と式(pt2)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、化合物(I3)を製造することができる。式(q11-2)で表されるジアゾニウム塩と式(pt2)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、式(q2-1)で表される化合物を製造することができる。また、式(q11-2A)で表されるジアゾニウム塩と式(pt2)及び式(pt3)で表される化合物(この場合、式(pt2)と式(pt3)は同一)とを、ジアゾカップリングさせることにより、化合物(I4)を製造することができる。これらのジアゾカップリングは、任意の公知の方法により実施される。該ジアゾカップリング反応は、水性溶媒の存在下で行うことが好ましい。水性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノ-ル、2-プロパノ-ル等の水溶性有機溶媒、水、又は水と前記水溶性有機溶媒との混合溶媒が挙げられ、水、又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒であることが好ましい。
【0177】
式(q2)で表される化合物を還元することにより、式(q3)で表される化合物を製造することができる。また、式(q2-1)で表される化合物を還元することにより、式(q3-1)で表される化合物を製造することができる。これらの還元の方法は特に限定されず、任意の公知の方法により実施できるが、例えば、硫化物等の還元剤による還元を利用することができる。前記硫化物としては特に限定されず、例えば、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化アンモニウム等の水硫化物、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化アンモニウム等の硫化物が挙げられる。これらは無水物でも結晶水を含有したものであってもよい。還元反応は、水性溶媒の存在下で行うことが好ましい。水性溶媒としては、上述の水性溶媒と同様の溶媒が挙げられ、好ましくは水、又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒である。
【0178】
式(q4)で表されるジアゾニウム塩は、式(q3)で表されるアミンを、ジアゾ化することによって得ることができる。また、式(q4-1)で表されるジアゾニウム塩は、式(q3-1)で表されるアミンを、ジアゾ化することによって得ることができる。これらのジアゾ化の方法としては、上述した、式(pt1-1)、式(pt1-2)、式(pt1-2A)、式(pt11-1)、式(pt11-2)、式(pt11-2A)で表される化合物のジアゾ化と同様の方法を採用することができる。
【0179】
式(q4)で表されるジアゾニウム塩と、式(pt3)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、化合物(I2)を製造することができる。また、式(q4-1)で表されるジアゾニウム塩と、式(pt3-1)で表される化合物とを、ジアゾカップリングさせることにより、化合物(I4)を製造することができる。これらのジアゾカップリングの方法としては、上述した、式(q1-1)、式(q1-2)、式(q11-1)、又は式(q11-2)で表されるジアゾニウム塩と、式(pt2)で表される化合物とのジアゾカップリングと同様の方法を採用することができる。
【0180】
また、置換基として-SO3M又は-SO30.5を有するアゾ色素(I)を製造する場合には、上述の方法にて置換基としてスルホン酸基を有するアゾ色素を製造した後に、該アゾ色素が有するスルホン酸基にアルカリ金属塩或いはアルカリ土類金属塩を反応させることにより製造できる。前記アルカリ金属化合物或いはアルカリ土類金属化合物としては、塩化物イオンとの塩、ヨウ化物イオンとの塩、臭化物イオンとの塩、酢酸イオンとの塩、ギ酸イオンとの塩、安息香酸イオンとの塩等が挙げられ、酢酸イオンとの塩が好ましい。
【0181】
前記アルカリ金属化合物或いはアルカリ土類金属化合物との反応は、有機溶媒と水性溶媒との混合溶媒の存在下で行うことが好ましい。水性溶媒としては、上述の水性溶媒と同様の溶媒が挙げられ、好ましくは水である。有機溶媒としては、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル等のエステル溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル溶媒;ジアセトンアルコール等のケトン溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド溶媒;クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒;等が挙げられ、アミド溶媒が好ましい。
【0182】
また、置換基として-SO2N(R172を有するアゾ色素(I)を製造する場合には、上述の方法にて置換基としてスルホン酸基を有するアゾ色素を製造した後に、該アゾ色素が有するスルホン酸基にハロゲン化剤を反応させ、該反応溶液に塩基及びNH(R172を添加して反応させることにより製造できる。前記ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、塩化オキザリル、三塩化リン、五塩化リン等が挙げられる。
【0183】
前記ハロゲン化剤、並びに塩基及びNH(R172との反応は、有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、上述の有機溶媒と同様の溶媒が挙げられ、好ましくはアミド溶媒及びハロゲン系溶媒である。
【0184】
前記塩基としては、トリエチルアミン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、ピリジン、ピペリジン等の有機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド;ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機金属化合物;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;が挙げられる。中でも、有機塩基であることが好ましい。
【0185】
反応混合物から目的化合物であるアゾ色素(I)(例えば、アゾ色素(I1)~(I4))を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物に、必要に応じて酸(例えば、酢酸等)を添加し、析出した結晶を濾取することができる。或いは、反応終了後、反応混合物の溶媒を留去し、少量のメタノールを加え撹拌し、得られた溶液に酸(例えば、酢酸等)及び水を添加して、析出した結晶を濾取することができる。濾取した結晶は、水やメタノール等の溶媒で洗浄してもよく、さらに乾燥してもよい。また必要に応じて、再結晶等の公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0186】
得られたアゾ色素(I)の結晶構造が上記所定のX線回折パターンを示すものではない場合、得られた結晶について、上記接触工程及び分離工程を含む方法にて処理することにより、所定のX線回折パターンを示す結晶構造とする。
【0187】
<着色硬化性樹脂組成物>
所定の結晶構造を有するアゾ色素(Aa)(好ましくは、前記アゾ色素(Ia))は、以下の着色硬化性樹脂組成物に含まれていてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、前記アゾ色素(Aa)(好ましくは、前記アゾ色素(Ia))、樹脂(以下、樹脂(B)と称する)、重合性化合物(以下、重合性化合物(C)とも称する)、重合開始剤(以下、重合開始剤(D)とも称する)、及び溶剤(以下、溶剤(E)とも称する)を含む。前記アゾ色素(Aa)は、着色剤(以下、着色剤(A1)とも称する)として使用することができる。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに、レベリング剤(以下、レベリング剤(F)とも称する)を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、各成分として例示する化合物は特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0188】
<着色剤(A1)>
着色剤(A1)は、所定の結晶構造を有するアゾ色素(Aa)を含む。着色剤(A)が前記アゾ色素(Aa)を含むことにより、該着色剤を含む着色硬化性樹脂組成物によれば、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成可能である。
【0189】
<アゾ色素(Aa)>
アゾ色素(Aa)は、上述のとおりであり、その好ましい態様も同様である。
【0190】
アゾ色素(Aa)の含有率は、着色剤(A1)の総量に対して、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、よりさらに好ましくは60質量%以上、いっそう好ましくは70質量%以上、よりいっそう好ましくは80質量%以上であり、また100質量%であってもよく、95質量%以下であってもよい。
【0191】
<着色剤(A1)>
着色剤(A1)は、アゾ色素(Aa)以外に、アゾ色素(Aa)とは異なる着色剤を含んでいてもよい。アゾ色素(Aa)とは異なる着色剤は、染料(以下、染料(A1-1)とも称する)及び顔料(以下、顔料(A1-2)とも称する)のいずれでもよく、アゾ色素(Aa)とは異なる着色剤は、これら染料(A1-1)及び顔料(A1-2)の一方又は両方を含んでいてもよい。
【0192】
染料(A1-1)は、アゾ色素(Aa)を包含しない限り、特に限定されず公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート((株)色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。化学構造によれば、染料(A1-1)としては、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、及びニトロ染料等が挙げられる。また、染料(A1-1)であるアゾ染料としては、結晶構造によれば、アゾ色素(Aa)以外のアゾ染料が挙げられる。これらのうち、染料(A1-1)としては、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0193】
染料(A1-1)としては、具体的には、C.I.ソルベントイエロー4(以下、C.I.ソルベントイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする)、14、15、23、24、38、62、63、68、82、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド45、49、111、125、130、143、145、146、150、151、155、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56、77、86;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー4、5、14、18、35、36、37、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、51、52、57、66、73、76、80、87、88、91、92、94、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、15、16、17、19、21、23、24、25、30、34、38、49、72、102;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、18、22、23、24、25、26、27、29、34、38、40、41、42、43、45、48、51、54、59、60、62、70、72、74、75、78、80、82、83、86、87、88、90、90:1、91、92、93、93:1、96、99、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、120、123、126、127、129、130、131、138、140、142、143、147、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、210、213、229、234、236、242、243、256、259、267、269、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、33、34、35、38、39、43、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、41、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、10;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、81、83、88、89;
C.I.ベーシックバイオレット2;
C.I.ベーシックレッド9;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、27、28、30、31、32、33、36、37、39、40、41、44、45、47、48、49、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1等のC.I.バット染料等が挙げられる。
【0194】
これらの染料は、所望するカラーフィルタの分光スペクトルに合わせて適宜選択すればよい。
【0195】
着色剤(A1)が染料(A1-1)を含む場合、その含有率は、着色剤(A1)の総量中、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、よりさらに好ましくは3質量%以上であり、15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0196】
顔料(A1-2)としては、アゾ色素(Aa)を包含しない限り、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
【0197】
顔料(A1-2)としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、10、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、81、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214、231等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、62、64、65、71、72、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、179、180、190、192、202、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273、291、295、296等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7等の黒色顔料;等が挙げられる。
【0198】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
【0199】
アゾ色素(Aa)以外の着色剤(A1)としては、顔料(A1-2)が好ましく、前記顔料誘導体を用いた表面処理をした顔料がより好ましい。顔料誘導体を用いた表面処理をした顔料を用いることにより、着色硬化性樹脂組成物におけるアゾ色素(Aa)の分散性が向上する。
【0200】
顔料誘導体を用いた表面処理をした顔料としては、例えば、顔料(好ましくは、有機顔料)を母材とし、この母材にスルホン酸基又はその塩、或いはスルホンアミド基が結合した化合物(A1-21)(以下、化合物(A1-21)とも称する)が好ましく挙げられる。
【0201】
化合物(A1-21)としては、スルホン酸、及びスルホン酸アミン塩の少なくとも一方が結合していることが好ましい。
【0202】
化合物(A1-21)の母材となる有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー231、C.I.ピグメントイエロー233等キノフタロン顔料が好ましく、C.I.ピグメントイエロー138がより好ましい。
【0203】
化合物(A1-21)は、例えば、特開2002-179979号公報に記載の内容に従い製造することができる。
【0204】
顔料は、粒径が均一であることが好ましい。分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0205】
前記の分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)等が挙げられる。
分散剤を用いる場合、その使用量は、顔料の総量に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。分散剤の使用量が前記の範囲内にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0206】
着色剤(A1)が顔料(A1-2)を含む場合、その含有率は、着色剤(A1)の総量中、0.05質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、よりさらに好ましくは0.8質量%以上であり、15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0207】
着色剤(A1)の含有量は、固形分の総量に対して、好ましくは0.1質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上50質量%以下である。着色剤(A1)の含有率が前記の範囲内であると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂(B)や重合性化合物(C)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分な着色塗膜(着色パターン)を形成することができる。
【0208】
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等の公知の分析手段で測定することができる。
【0209】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。樹脂(B)としては、例えば、以下の樹脂[K1]~[K6]等が挙げられ、樹脂[K1]~[K6]から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0210】
樹脂[K1];不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(a)(以下、「(a)」とも称する)に由来する構造単位と、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下、「(b)」とも称する)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K2];前記(a)に由来する構造単位と前記(b)に由来する構造単位と、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる)(以下、「(c)」とも称する)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K3];前記(a)に由来する構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体;
樹脂[K4];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体であり、(b)が付加しない(a)に由来する構造単位を含む共重合体;
樹脂[K4’];前記(a)に由来する構造単位に前記(b)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体であり、(b)が付加しない(a)に由来する構造単位を含まない共重合体;
樹脂[K5];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させた構造単位と前記(c)に由来する構造単位とを有する共重合体((a)が付加しない(b)に由来する構造単位を含んでもよいが、含まないことが好ましい);
樹脂[K6];前記(b)に由来する構造単位に前記(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と(c)に由来する構造単位とを有する共重合体。
【0211】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物類;
こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸等の、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂の現像液(特に、アルカリ水溶液)への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0212】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0213】
(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
【0214】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)(以下、「(b1)」とも称する)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下、「(b2)」とも称する)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下、「(b3)」とも称する)等が挙げられる。
【0215】
(b1)としては、例えば、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)(以下、「(b1-1)」とも称する)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)(以下、「(b1-2)」とも称する)が挙げられる。
【0216】
(b1-1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0217】
(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(R1)で表される化合物及び式(R2)で表される化合物等が挙げられる。
【0218】
【化28】

[式(R1)及び式(R2)中、Rra及びRrbは、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
ra及びXrbは、単結合、*-Rrc-、*-Rrc-O-、*-Rrc-S-、又は*-Rrc-NH-を表す。
rcは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0219】
炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
ra及びRrbとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0220】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
ra及びXrbとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH2-O-及び*-CH2CH2-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CH2CH2-O-が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0221】
式(R1)で表される化合物としては、式(R1-1)~式(R1-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(R1-1)、式(R1-3)、式(R1-5)、式(R1-7)、式(R1-9)、又は式(R1-11)~式(R1-15)で表される化合物が好ましく、式(R1-1)、式(R1-7)、式(R1-9)、又は式(R1-15)で表される化合物がより好ましい。
【0222】
【化29】
【0223】
【化30】
【0224】
式(R2)で表される化合物としては、式(R2-1)~式(R2-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(R2-1)、式(R2-3)、式(R2-5)、式(R2-7)、式(R2-9)、又は式(R2-11)~式(R2-15)で表される化合物が好ましく、式(R2-1)、式(R2-7)、式(R2-9)、又は式(R2-15)で表される化合物がより好ましい。
【0225】
【化31】
【0226】
【化32】
【0227】
式(R1)で表される化合物、及び式(R2)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、2種以上を併用してもよい。式(R1)で表される化合物、及び式(R2)で表される化合物を併用する場合、これらの含有比率〔式(R1)で表される化合物:式(R2)で表される化合物〕はモル基準で、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは20:80~80:20である。
【0228】
(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3-メチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0229】
(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0230】
(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性、耐薬品性等の信頼性をより高くすることができる点で、(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1-2)がより好ましい。
【0231】
(c)としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、不飽和ジカルボン酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類;不飽和脂肪族炭化水素環、不飽和複素環、又は芳香族環を有するビニルモノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」と称され、また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」と称される場合がある)、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」と称される)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の環状不飽和脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸エステルとしては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステルが挙げられる。
【0232】
これらの不飽和カルボン酸エステル類のうち、メチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のC1-10アルキル(メタ)アクリレート;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート等の環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート等の環状不飽和脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が好ましい。
【0233】
不飽和脂肪族炭化水素環を有するビニルモノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(または2-ノルボルネンとも称する)、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物類が挙げられる。
不飽和複素環を有するビニルモノマーとしては、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類が挙げられる。
芳香族環を有するビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
その他のビニルモノマーとして、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等が挙げられる。
これらのビニルモノマーのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等のジカルボニルイミド誘導体、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(または2-ノルボルネンともいう)等のビシクロ不飽和化合物が好ましい。
【0234】
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位とは、共重合体の主鎖を構成する(a)由来の構造単位に付加によって(b)が結合して構成される単位のことをいい、(b)に由来するペンダント不飽和基を有する。この構造単位において、(a)は前記例示のいずれでもよく、(b)も前記例示のいずれでもよい。(a)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましい。
【0235】
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位とは、共重合体の主鎖を構成する(b)由来の構造単位に付加によって(a)が結合して構成される単位のことをいい、(a)に由来するペンダント不飽和基を有する。この構造単位において、(b)は前記例示のいずれでもよく、(a)も前記例示のいずれでもよい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましい。(a)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。
【0236】
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位とは、共重合体の主鎖を構成する(b)由来の構造単位に付加によって(a)が結合して生じる水酸基に、カルボン酸無水物がハーフエステル化することによって結合した構造単位のことをいい、カルボン酸無水物に由来するペンダントカルボキシ基と、(a)に由来するペンダント不飽和基を有する。この構造単位において、(b)は前記例示のいずれでもよく、(a)も前記例示のいずれでもよい。(b)としては、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましい。(a)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。
カルボン酸無水物としては、マロン酸無水物、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物等の飽和脂肪族多価カルボン酸無水物;無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物等の不飽和脂肪族多価カルボン酸無水物;3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物;3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の脂環式多価カルボン酸無水物等の多価カルボン酸無水物が挙げられる。
【0237】
樹脂[K1]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(b)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(b)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましい。
また、(c)に由来する構造単位は実質的に含まないことが好ましい。
(a)に由来する構造単位と(b)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
樹脂[K1]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、及び得られるカラーフィルタの耐溶剤性に優れる傾向がある。
【0238】
樹脂[K1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法、及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0239】
具体的には、(a)及び(b)の所定量、重合開始剤、及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤、及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、本発明の着色硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0240】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮、或いは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0241】
樹脂[K2]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;1~70モル%
(b)に由来する構造単位;1~60モル%
(c)に由来する構造単位;20~95モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;3~50モル%
(b)に由来する構造単位;3~40モル%
(c)に由来する構造単位;30~90モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位;5~40モル%
(b)に由来する構造単位;5~30モル%
(c)に由来する構造単位;40~80モル%
であることがよりさらに好ましい。
(a)に由来する構造単位、(b)に由来する構造単位、及び(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
樹脂[K2]の構造単位の比率が、上記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、着色パターンを形成する際の現像性、並びに、得られるカラーフィルタの耐溶剤性、耐熱性及び機械強度に優れる傾向がある。
【0242】
樹脂[K2]において(a)は(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。(b)としてはオキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-2)がより好ましい。(c)としては、環状不飽和脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ジカルボニルイミド誘導体が好ましい。
【0243】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0244】
樹脂[K3]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位;2~60モル%
(c)に由来する構造単位;40~98モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位;10~50モル%
(c)に由来する構造単位;50~90モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位;35~45モル%
(c)に由来する構造単位;55~65モル%
であることがよりさらに好ましい。
また、(b)に由来する構造単位は実質的に含まないことが好ましい。
(a)に由来する構造単位と(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0245】
樹脂[K3]において(a)は(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸が好ましい。(c)は芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0246】
樹脂[K4]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K4]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない);1~60モル%
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;1~50モル%
(c)に由来する構造単位;30~90モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない);5~50モル%
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;5~40モル%
(c)に由来する構造単位;35~80モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない);10~40モル%
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;10~25モル%
(c)に由来する構造単位;40~75モル%
であることがよりさらに好ましい。
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない)と、(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K4]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0247】
(a)に由来する構造単位((b)は付加していない)としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位が好ましい。(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位に、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)を付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類、ビシクロ不飽和化合物、及びスチレン系モノマーから選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。(c)に由来する構成単位を2種有する場合の(c)は、(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等の不飽和カルボン酸エステル類から2種を選択し、ビシクロ不飽和化合物、及びスチレン系モノマーなどのビニルモノマーから選ばれる2種以上を選択することが好ましい。
【0248】
樹脂[K4]は、(a)と(c)との共重合体を得て、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に付加させることにより製造することができる。
まず(a)と(c)との共重合体を、樹脂[K1]の製造方法として記載した方法と同様に製造する。この場合、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K3]で挙げたもの同じ比率であることが好ましい。
【0249】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60~130℃で、1~10時間反応することにより、樹脂[K4]を製造することができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5~80モルが好ましく、より好ましくは10~75モルである。この範囲にすることにより、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性、パターンを形成する際の現像性、並びに得られるパターンの耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)、及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)、及び(c)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0250】
樹脂[K4’]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K4’]を構成する全構造単位中、
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;15~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~85モル%
であることがより好ましく、
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位;20~80モル%
(c)に由来する構造単位;20~80モル%
であることがよりさらに好ましい。
また、(a)に由来する構造単位であって(b)が付加していないものは実質的に含まない。
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K4’]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0251】
(a)に由来する構造単位に(b)を付加させた構造単位としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位に、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)を付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
樹脂[K4’]は、上記の樹脂[K4]の製造方法を参照して製造してもよく、(b)の使用量は、(a)100モルに対して、100モルであることが好ましい。
【0252】
樹脂[K5]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K5]を構成する全構造単位中、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~30モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~10モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位;15~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~85モル%
であることがより好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~5モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位;20~80モル%
(c)に由来する構造単位;20~80モル%
であることがよりさらに好ましい。
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)と、(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K5]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0253】
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位が好ましい。(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
【0254】
樹脂[K5]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮、或いは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0255】
さらに、樹脂[K4]又は樹脂[K4’]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K5]を得ることができる。
前記の共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5~100モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K5]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1-1)が好ましい。
【0256】
樹脂[K6]において、それぞれに由来する構造単位の比率は、樹脂[K6]を構成する全構造単位中、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~30モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない);20~85モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位;2~40モル%
(c)に由来する構造単位;10~60モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~10モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない);40~80モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位;3~30モル%
(c)に由来する構造単位;15~50モル%
であることがより好ましく、
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない);0~5モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない);50~70モル%
(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位;5~20モル%
(c)に由来する構造単位;20~40モル%
であることがよりさらに好ましい。
【0257】
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)と、(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない)と、(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位と、(c)に由来する構造単位の合計は、樹脂[K6]を構成する全構造単位中、例えば、90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
【0258】
(b)に由来する構造単位((a)は付加していない)としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位が好ましい。(b)に由来する構造単位に(a)を付加させた構造単位(カルボン酸無水物は付加していない)としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を付加させた構造単位が好ましい。(b)に由来する構造単位に(a)を付加させ、カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)に由来する構造単位に(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸を付加させ、無水コハク酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸無水物をさらに付加させた構造単位が好ましい。(c)に由来する構造単位としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、環状飽和炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル類から選ばれる1種以上が好ましく、2種以上がより好ましい。
【0259】
樹脂[K6]は、第一段階として、上述した樹脂[K1]の製造方法と同様にして、(b)と(c)との共重合体を得る。上記と同様に、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
(b)及び(c)に由来する構造単位の比率は、前記の共重合体を構成する全構造単位の合計モル数に対して、それぞれ、
(b)に由来する構造単位;5~95モル%
(c)に由来する構造単位;5~95モル%
であることが好ましく、
(b)に由来する構造単位;10~90モル%
(c)に由来する構造単位;10~90モル%
であることがより好ましい。
【0260】
さらに、樹脂[K4]の製造方法と同様の条件で、(b)と(c)との共重合体が有する(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させる。(a)の使用量は、(b)100モルに対して、80~100モルが好ましい。
【0261】
前記環状エーテルと(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モル(言い換えれば(a)の使用によって生じたヒドロキシ基1モル)に対して、0.05~1モルが好ましく、0.10~0.8モルがより好ましく、0.13~0.7モルがよりさらに好ましい。
【0262】
樹脂(B)としては、具体的に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ノルボルネン/ビニルトルエン/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ノルボルネン/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体のカルボン酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等の樹脂[K4];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸の共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸の共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させた樹脂等の樹脂[K4’];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];
トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂の水酸基の一部にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、メチル(メタ)アクリレート/2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂等の樹脂[K6];等が挙げられる。
【0263】
樹脂[K1]~[K6]は、1種でもよく2種以上を組み合わせてもよい。中でも、樹脂(B)としては、樹脂[K1]及び樹脂[K2]からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、樹脂[K1]を含むことが特に好ましい。
【0264】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上100,000以下であり、より好ましくは5,000以上50,000以下であり、さらに好ましくは5,000以上30,000以下である。分子量が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの硬度が向上し、残膜率が高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、着色パターンの解像度が向上する傾向がある。
【0265】
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1以上6以下であり、より好ましくは1.2以上4以下である。
【0266】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは20mg-KOH/g以上170mg-KOH/g以下であり、より好ましくは25mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下、さらに好ましくは73mg-KOH/g以上135mg-KOH/g以下である。ここで酸価は、樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0267】
樹脂(B)の含有率は、固形分の総量に対して、好ましくは7質量%以上85質量%以下であり、より好ましくは13質量%以上80質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上70質量%以下である。樹脂(B)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0268】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0269】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0270】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0271】
重合性化合物(C)の含有率は、固形分の総量に対して、5質量%以上75質量%以下であることが好ましく、より好ましくは7質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上70質量%以下である。重合性化合物(C)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターン形成時の残膜率、及びカラーフィルタの耐薬品性が向上する傾向がある。
【0272】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物、及びビイミダゾール化合物が挙げられる。
【0273】
前記O-アシルオキシム化合物は、式(d1)で表される部分構造を有する化合物である。以下、*は結合手を表す。
【0274】
【化33】
【0275】
前記O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)OXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N-1919(ADEKA社製)、PBG-327(常州強力電子新材料(株)製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物は、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、及びN-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、及びN-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミンがより好ましい。これらのO-アシルオキシム化合物であると、高明度なカラーフィルタが得られる傾向にある。
【0276】
前記アルキルフェノン化合物は、式(d2)で表される部分構造、又は式(d3)で表される部分構造を有する化合物であることが好ましい。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0277】
【化34】
【0278】
式(d2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
式(d3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0279】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0280】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0281】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)、4,4’,5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0282】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0283】
酸発生剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0284】
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物、及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0285】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0286】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0287】
前記アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0288】
前記アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0289】
前記チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0290】
前記カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0291】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0292】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内に-OHを含み、-O-、-CO-、及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0293】
エステル溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)においてエステル溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0294】
エーテル溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)においてエーテル溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0295】
エーテルエステル溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)においてエーテルエステル溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0296】
ケトン溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)においてケトン溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0297】
アルコール溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)においてアルコール溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0298】
芳香族炭化水素溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)において芳香族炭化水素溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0299】
アミド溶剤としては、具体的には、上記溶剤(Z)においてアミド溶剤として例示したのと同様の溶剤が挙げられる。
【0300】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤が好ましい。溶剤(E)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、及びN,N-ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種を含む溶剤が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、及び4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンからなる群から選択される少なくとも1種を含む溶剤がより好ましい。
【0301】
溶剤(E)の含有率は、本発明の着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは55質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上92質量%以下である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総含有率は、好ましくは5質量%以上45質量%以下、より好ましくは8質量%以上40質量%以下である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0302】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0303】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0304】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0305】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0306】
レベリング剤(F)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.00001質量%以上0.2質量%以下であり、より好ましくは0.00005質量%以上0.1質量%以下、さらに好ましくは0.0001質量%以上0.05質量%以下である。なお、この含有率に前記分散剤の含有率は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0307】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0308】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、アゾ色素(Aa)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、及び溶剤(E)、並びに必要に応じて用いられる染料(A1-1)、顔料(A1-2)、レベリング剤(F)、及びその他の成分を混合することにより調製できる。混合は公知又は慣用の装置や条件により行うことができる。
【0309】
着色剤(A1)は、予め溶剤(E)の一部または全部と混合し、平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミル等を用いて分散させた状態で用いてもよい。この際、必要に応じて前記分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた分散液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製することが好ましい。ビーズミルを用いる場合、ビーズの直径は0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、ビーズの材質はガラス、セラミック、金属等が挙げられる。
【0310】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物からカラーフィルタの着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて組成物層を形成し、フォトマスクを介して該組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、前記組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。
【0311】
カラーフィルタ(硬化膜)の膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、0.1μm以上30μm以下であり、好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上6μm以下である。
【0312】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したものが用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。またシリコン基板上にHMDS処理を施した基板を使用してもよい。
【0313】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。加熱乾燥を行う場合の温度は、30℃以上120℃以下が好ましく、50℃以上110℃以下がより好ましい。また加熱時間としては、10秒以上60分以下であることが好ましく、30秒以上30分以下であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50~150Paの圧力下、20~25℃の温度範囲で行うことが好ましい。組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0314】
次に、組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。露光に用いられる光源としては、250~450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。露光面全体に均一に平行光線を照射したり、フォトマスクと基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ、及びステッパ等の縮小投影露光装置、又はプロキシミティ露光装置を使用することが好ましい。
【0315】
露光後の組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。現像方法は、パドル法、ディッピング法、及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0316】
さらに、得られた着色パターンに、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、80℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上245℃以下がより好ましい。ポストベーク時間は、1分以上120分以下が好ましく、2分以上30分以下がより好ましい。
【0317】
このようにして得られた着色パターン及び着色塗膜は、カラーフィルタとして有用であり、該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置等)、電子ペーパー、固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例0318】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0319】
化合物の化学構造は、質量分析(LC;Agilent社製1200型、MASS;Agilent社製LC/MSD6130型)で確認した。
【0320】
アゾ色素の結晶構造の特定は、粉末X線測定にて行った。粉末X線測定の条件は、以下のとおりである。内標準物質である酸化アルミニウムは、アゾ色素50部に対して50部の割合で添加して、混合した。前記酸化アルミニウムとしては、富士フイルム和光純薬株式会社製の酸化アルミニウムを使用した。得られたX線回折スペクトルについて、ガラス試料板だけのX線回折スペクトルとの差スペクトルを算出した。さらに、試料の厚みはX線回折スペクトルの強度に依存するため、内標準物質としての酸化アルミニウムのピーク強度I3を100,000として規格化したX線回折スペクトルから、各ピーク強度を求めた。
装置: RINT2000、リガク社製
内標準物質: 酸化アルミニウム
X線: Cu-Kα線
装置制御: 集中法
測定角度: 5~50°
電圧: 40kV
電流: 40mA
【0321】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により以下の条件で行った。
装置:HLC-8120GPC(東ソー社製)
カラム:TSK-GELG2000HXL
カラム温度:40℃
溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
分析試料の固形分濃度:0.001~0.01質量%
注入量:50μL
検出器:RI
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー社製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0322】
<合成例1>
3-アミノ-4-メトキシベンズアニリド2.0部に水33部、及び35%塩酸3.3部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム0.7部を水1.8部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン30部に酢酸10部、水10部、及びメタノール55部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液19部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-1)で表される化合物からなるアゾ色素(1-1)を2.2部得た(収率64%)。MS(ESI) m/z=427.8[M]+
アゾ色素(1-1)のX線回折スペクトルを図2に示し、X線回折パラメータを表6に示す。図2のX線回折スペクトルにおいて、回折角(2θ±0.2°)=25.5,35.1,37.8,43.3,43.4°のピークは、内標準物質である酸化アルミニウム由来のピークである(図1及び3~10においても同様である)。また、図2に示すのは、アゾ色素とガラス試料板との差スペクトルであり、且つ内標準物質である酸化アルミニウム由来の回折角(2θ±0.2°)=35.1°でのピーク強度を100,000として規格化したものである(図1及び3~10においても同様である)。
【0323】
【化35】
【0324】
<実施例1>
合成例1で得られたアゾ色素(1-1)0.5部、N-メチルピロリドン3.0部、及びキシレン10.5部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-1)で表される化合物からなるアゾ色素(1)を0.39部得た(収率78%)。
アゾ色素(1)のX線回折スペクトルを図1に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0325】
<合成例2>
4,4’-ジアミノベンゾフェノン4.4部に酢酸24部、水81部、及び35%塩酸8.2部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム3.6部を水5.3部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン7.2部にメタノール132部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液69部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-274)で表される化合物からなるアゾ色素(2-1)を10部得た(収率86%)。MS(ESI) m/z=581.0[M-H]-
アゾ色素(2-1)のX線回折スペクトルを図4に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0326】
【化36】
【0327】
<実施例2>
合成例2で得られたアゾ色素(2-1)0.9部、及びキシレン24部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、メタノール21部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-274)で表される化合物からなるアゾ色素(2)を0.8部得た(収率89%)。
アゾ色素(2)のX線回折スペクトルを図3に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0328】
<合成例3>
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル1.0部に水20部、及び35%塩酸2.0部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム0.9部を水1.1部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン1.8部にメタノール34部、酢酸6.0部、及び水6.5部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液12部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-169)で表される化合物からなるアゾ色素(3-1)を2.9部得た(収率98%)。MS(ESI) m/z=569.2[M-H]-
アゾ色素(3-1)のX線回折スペクトルを図6に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0329】
【化37】
【0330】
<実施例3>
合成例3で得られたアゾ色素(3-1)0.5部と、N-メチルピロリドン3.0部、及びキシレン10.5部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、アセトニトリル5部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-169)で表される化合物からなるアゾ色素(3)を0.4部得た(収率71%)。
アゾ色素(3)のX線回折スペクトルを図5に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0331】
<合成例4>
2,5-ジクロロ-4-ニトロアニリン2.0部に水20部、メタノール8.0部、酢酸2.0部、及び98%硫酸5.0部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム1.2部を水1.8部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-シアノ-1-ブチル-6-ヒドロキシ-4-メチル-2-ピリドン1.8部にメタノール11部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液14部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで橙色の懸濁液を得た。濾過して得た橙色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(b)で表される化合物を得た。
【0332】
【化38】
【0333】
続けて式(b)で表される化合物4.1部に、水39部、メタノール8.0部、炭酸水素ナトリウム1.6部、及び硫化ナトリウム九水和物4.7部を加えて85℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、35%塩酸で反応液をpH6まで中和し、析出した固体を濾取した。得られた固体を水で洗浄し、濾過して得た赤色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(c)で表される化合物を得た。
【0334】
【化39】
【0335】
次いで式(c)で表される化合物3.8部に、水16部、酢酸3.8部、及び98%硫酸19部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム2.0部を水3.0部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-シアノ-1-ブチル-6-ヒドロキシ-4-メチル-2-ピリドン1.4部にメタノール11部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液54部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで赤色の懸濁液を得た。濾過して得た赤色固体を水、及びメタノールで各々30分間分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-22)で表される化合物からなるアゾ色素(4-1)を3.9部得た(収率66%)。MS(ESI) m/z=609.2[M-H]-
アゾ色素(4-1)のX線回折スペクトルを図8に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0336】
【化40】
【0337】
<実施例4>
合成例4で得られたアゾ色素(4-1)0.5部、N-メチルピロリドン3.0部、及びキシレン10.5部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-22)で表される化合物からなるアゾ色素(4)を0.4部得た(収率75%)。
アゾ色素(4)のX線回折スペクトルを図7に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0338】
<合成例5>
2,5-ジクロロ-1,4-フェニレンジアミン30部にメタノール90部、酢酸60部、35%塩酸194部、及び水150部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム14部を水21部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン30部にメタノール105部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液412部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで橙色の懸濁液を得た。濾過して得た橙色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d)で表される化合物を得た。
【0339】
【化41】
【0340】
次いで式(d)で表される化合物2.1部に、水20部、酢酸6.7部、及び98%硫酸3.3部を加えて撹拌した。氷冷下、亜硝酸ナトリウム0.6部を水3.3部に溶解させた水溶液を反応溶液に加えて2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。一方で、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンにメタノール0.8部を加えた後、氷冷下、25%水酸化ナトリウム水溶液15部を加えて撹拌した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌することで赤色の懸濁液を得た。濾過して得た赤色固体を水、及びメタノールで各々30分間分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5-1)を0.8部得た(収率53%)。MS(ESI) m/z=545.0[M-H]-
アゾ色素(5-1)のX線回折スペクトルを図14に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0341】
【化42】
【0342】
<合成例6>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)10部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(25%水溶液)23部、及びメタノール70部を混合し、室温で1時間撹拌した。一方で、35%塩酸7.3部にメタノール24部を加えて氷冷下で撹拌した。ここに、前記アゾ色素を含む溶液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌し橙色の懸濁液を得た。濾過して得た橙色固体を水で分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5-2)を9.8部得た(収率98%)
アゾ色素(5-2)のX線回折パラメータを表6に示す。
【0343】
<合成例7>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)3.0部、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(35%水溶液)12.7部、及びメタノール51.0部を混合し、室温で1時間撹拌した。一方で、35%塩酸3.4部にメタノール7.2部を加えて氷冷下で撹拌した。ここに、前記アゾ色素を含む溶液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌し橙色の懸濁液を得た。濾過して得た橙色固体を水で分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5-3)を2.8部得た(収率94%)
アゾ色素(5-3)のX線回折パラメータを表6に示す。
【0344】
<合成例8>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)2.0部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(25%水溶液)4.7部、及びアセトニトリル14部を混合し、室温で1時間撹拌した。一方で、35%塩酸1.5部に水4.8部を加えて氷冷下で撹拌した。ここに、前記アゾ色素を含む溶液を滴下した。滴下終了後、さらに室温で1時間撹拌し橙色の懸濁液を得た。濾過して得た橙色固体を水で分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5-4)を1.9部得た(収率96%)
アゾ色素(5-4)のX線回折パラメータを表6に示す。
【0345】
<合成例9>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)1部、及び90%硫酸40部を混合し、23℃で1時間撹拌した。ここに、アセトニトリル45部を加えて、同温で1時間撹拌し懸濁液を得た。濾過して得た固体を水で分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5-5)を0.9部得た(収率90%)
アゾ色素(5-5)のX線回折パラメータを表6に示す。
【0346】
<合成例10>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)1.3部、及びトリフルオロ酢酸19.6部を混合し、40℃に昇温し1時間撹拌した。ここに、メタノール5.2部を加えて0.5時間撹拌したのち、室温まで冷却し、メタノール15.6部を加えて撹拌し橙色の懸濁液を得た。濾過して得た橙色固体を水で分散洗浄した後、濾取し、減圧下60℃で乾燥することで、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5-6)を1.2部得た(収率92%)
アゾ色素(5-6)のX線回折パラメータを表6に示す。
【0347】
<実施例5>
合成例6で得られたアゾ色素(5-2)0.5部、N-メチルピロリドン3.0部、及びキシレン10.5部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5a)を0.45部得た(収率90%)。
アゾ色素(5a)のX線回折スペクトルを図9に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0348】
<実施例6>
合成例6で得られたアゾ色素(5-2)0.5部、N-メチルピロリドン0.5部、キシレン5.0部、及びエタノールアミン0.5部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、メタノール1部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5b)を0.4部得た(収率88%)。
アゾ色素(5b)のX線回折スペクトルを図10に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0349】
<実施例7>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)1.4部、及びN-メチルピロリドン84部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。内温60℃まで冷却後、アセトニトリル6部を滴下し、さらに室温まで冷却後、アセトニトリル30部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5c)を1.2部得た(収率86%)。
アゾ色素(5c)のX線回折スペクトルを図11に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0350】
<実施例8>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)25部、及びキシレン375部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5d)を22部得た(収率90%)。
アゾ色素(5d)のX線回折スペクトルを図12に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0351】
<実施例9>
合成例5で得られたアゾ色素(5-1)1部、及びトルエン100部を混合し、スラリー状態の混合物を内温100℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5e)を0.9部得た(収率90%)。
アゾ色素(5e)のX線回折スペクトルを図13に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0352】
<実施例10>
合成例6で得られたアゾ色素(5-2)1.0部、N-メチルピロリドン1.7部、キシレン10.0部、及びエタノールアミン0.3部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、メタノール2部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5f)を0.78部得た(収率78%)。
アゾ色素(5f)のX線回折スペクトルを図14に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0353】
<実施例11>
合成例6で得られたアゾ色素(5-2)1.0部、N-メチルピロリドン3.4部、キシレン10.0部、及びエタノールアミン0.6部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、メタノール2部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5g)を0.76部得た(収率76%)。
アゾ色素(5g)のX線回折スペクトルを図15に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0354】
<実施例12>
合成例6で得られたアゾ色素(5-2)0.5部、シクロヘキサノン1.0部、キシレン5.0部、及びエタノールアミン1.0部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5h)を0.44部得た(収率88%)。
アゾ色素(5h)のX線回折スペクトルを図16に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0355】
<実施例13>
合成例7で得られたアゾ色素(5-3)1.0部、N-メチルピロリドン6.0部、及びキシレン21.0部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5i)を0.8部得た(収率80%)。
アゾ色素(5i)のX線回折スペクトルを図17に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0356】
<実施例14>
合成例8で得られたアゾ色素(5-4)1.5部、N-メチルピロリドン1.5部、キシレン15.0部、及びエタノールアミン1.5部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、メタノール3部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5j)を1.3部得た(収率87%)。
アゾ色素(5j)のX線回折スペクトルを図18に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0357】
<実施例15>
合成例9で得られたアゾ色素(5-5)1.0部、及びN-メチルピロリドン60部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。60℃まで冷却後、アセトニトリル5.0部を滴下し1時間撹拌した。室温まで冷却後、アセトニトリル25.0部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5k)を0.75部得た(収率75%)。
アゾ色素(5k)のX線回折スペクトルを図19に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0358】
<実施例16>
合成例10で得られたアゾ色素(5-6)0.5部、及びN-メチルピロリドン15.0部を混合し、スラリー状態の混合物を内温125℃で3時間撹拌した。60℃まで冷却後、アセトニトリル2.4部を滴下し1時間撹拌した。室温まで冷却後、アセトニトリル19.9部を滴下し1時間撹拌した。得られた混合物を濾過し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥して、式(AI-19)で表される化合物からなるアゾ色素(5l)を0.38部得た(収率75%)。
アゾ色素(5l)のX線回折スペクトルを図20に示し、X線回折パラメータを表6に示す。
【0359】
【表6】
【0360】
表6中の2θmaxは、回折角(2θ±0.2°)=5°~25°の範囲での最大ピークが検出される回折角である。
【0361】
<合成例11>
<着色剤(a)の合成>
特開2002-179979号公報に記載の内容に従い、式(a)で表される化合物を合成した。
【0362】
【化43】
【0363】
<合成例12>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気にし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を入れ、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、固形分35.1%、B型粘度計(23℃)で測定した粘度125mPasの共重合体(樹脂B-1)溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは9200、分散度2.08、固形分換算の酸価は77mg-KOH/gであった。樹脂B-1は、以下の構造単位を有する。
【0364】
【化44】
【0365】
<実施例17~21、比較例1~5>
(1)分散液の作製
(分散液作製例1)
実施例1で得られたアゾ色素(1)を4.5部、式(a)で表される化合物を0.5部、分散剤(BYK社製 BYKLPN-6919)(固形分換算)を3.5部、樹脂B-1(固形分換算)を3.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを83部、ジアセトンアルコールを5.0部混合し、0.2mmのジルコニアビーズ300部を入れて振盪し、濾過によりジルコニアビーズを除去して分散液(P-1)を得た。
【0366】
(分散液作製例2~10)
分散液作製例1におけるアゾ色素(1)を、下記アゾ色素に変更すること以外は、分散液作製例1と同様の方法で分散液(P-2)~(P-10)を得た。
分散液(P-2):合成例1で得られたアゾ色素(1-1)
分散液(P-3):実施例2で得られたアゾ色素(2)
分散液(P-4):合成例2で得られたアゾ色素(2-1)
分散液(P-5):実施例3で得られたアゾ色素(3)
分散液(P-6):合成例3で得られたアゾ色素(3-1)
分散液(P-7):実施例4で得られたアゾ色素(4)
分散液(P-8):合成例4で得られたアゾ色素(4-1)
分散液(P-9):実施例5で得られたアゾ色素(5a)
分散液(P-10):合成例5で得られたアゾ色素(5-1)
【0367】
(2)着色硬化性樹脂組成物の調製
表7の組成となるように分散液(P)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、溶剤(E)、レベリング剤(F)の成分を混合することにより、着色硬化性樹脂組成物を得た。
【0368】
【表7】
【0369】
表7中、各成分は以下の化合物を表す。
樹脂(B-1):樹脂B-1(固形分換算)
重合性化合物(C-1):ジペンタエリスリトールポリアクリレート(商品名「A-9570」、新中村化学工業(株)製)
重合開始剤(D-1):N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン(商品名「PBG-327」;O-アシルオキシム化合物、常州強力電子新材料(株)製)
溶剤(E-1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
レベリング剤(F-1):ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「トーレシリコーンSH8400」、東レダウコーニング(株)製)
【0370】
(3)着色塗膜の作製
5cm角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色硬化性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が2μmになるようにスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして、着色組成物層を形成した。放冷後、基板上に形成された着色組成物層に、露光機(TME-150RSK;トプコン社製)を用いて、大気雰囲気下、80mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後、オーブン中、230℃で30分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。得られた着色塗膜の膜厚を、DEKTAK3((株)アルバック製)を用いて測定した。
【0371】
(4)耐熱性評価
得られた着色塗膜を、オーブン中230℃で120分間加熱した。加熱前後の着色塗膜について、測色機(OSP-SP-200;オリンパス社製)で測定した分光データからxy色度座標(x、y)及び刺激値Yを測定し、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△E*abを計算した。△E*abは小さいほど色変化が小さいことを意味する。結果を表8に示す。
【0372】
(5)耐光性評価
得られた着色塗膜に紫外線カットフィルター(COLORED OPTICAL GLASS L38:ホヤ社製;380nm以下の光をカットする)を配置し、その上面から耐光性試験機(SUNTEST CPS+:東洋精機社製)を用いてキセノンランプ光を48時間照射した。光照射前後の着色塗膜について、測色機(OSP-SP-200;オリンパス社製)で測定した分光データからxy色度座標(x、y)及び刺激値Yを測定し、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差△E*abを計算した。△E*abは小さいほど色変化が小さいことを意味する。結果を表8に示す。
【0373】
【表8】
【0374】
実施例17~21、及び比較例1~5の結果より、同一の化学構造を有するアゾ色素であっても、本発明の所定の結晶構造を有することにより、耐熱性、及び耐光性が改善されたカラーフィルタを形成することが可能であった。
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