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特開2025-105092吸収性コア形成装置、及び、吸収性コアを形成する方法
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  • 特開-吸収性コア形成装置、及び、吸収性コアを形成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105092
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】吸収性コア形成装置、及び、吸収性コアを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20250703BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
A61F13/15 329
A61F13/15 355A
A61F13/534 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223392
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佃 淳志
(72)【発明者】
【氏名】請川 一夫
(72)【発明者】
【氏名】村上 武瑠
(72)【発明者】
【氏名】神木 宏和
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝行
(72)【発明者】
【氏名】田中 丈博
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA16
3B200BB17
3B200BB20
3B200CA02
3B200CA11
3B200DB16
3B200EA05
3B200EA23
3B200EA27
(57)【要約】
【課題】意図しない位置に高吸収性ポリマー粒子が配置されることを低減する吸収性コア形成装置を提供すること。
【解決手段】高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを製造する吸収性コア形成装置(10)であって、基材シート(1K)を搬送方向へ搬送する搬送部(11)と、基材シート(1K)に向けて高吸収性ポリマー粒子(12S)を供給する粒子供給部(12)と、粒子供給部(12)よりも搬送方向の下流に配置され、基材シート(1K)に向けて接着剤(15H)を空気流と共に吐出する接着剤吐出部(15)と、を有し、接着剤吐出部(15)は、接着剤吐出部(15)から吐出された接着剤(15H)によって、基材シート(1K)から跳ね返った高吸収性ポリマー粒子(12S)の少なくとも一部を基材シート(1K)側に押し返す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを製造する吸収性コア形成装置であって、
基材シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記基材シートに向けて高吸収性ポリマー粒子を供給する粒子供給部と、
前記粒子供給部よりも前記搬送方向の下流に配置され、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する接着剤吐出部と、
を有し、
前記接着剤吐出部は、前記接着剤吐出部から吐出された前記接着剤によって、前記基材シートから跳ね返った前記高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部を前記基材シート側に押し返す
ことを特徴とする、吸収性コア形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記粒子供給部よりも前記搬送方向の上流に、前記基材シートに向けて接着剤を塗布する上流側接着剤塗布部が設けられている
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記高吸収性ポリマー粒子は、前記基材シートの表面側に供給され、
前記粒子供給部によって前記高吸収性ポリマー粒子が供給される位置の前記基材シートの裏面側には、前記基材シートを吸引する吸引部が設けられている
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記接着剤吐出部を第1接着剤吐出部としたとき、
前記第1接着剤吐出部よりも前記搬送方向の下流に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する第2接着剤吐出部が設けられている
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記第1接着剤吐出部及び前記第2接着剤吐出部は、それぞれ、複数の吐出口が列状に並んだ吐出口列を前記搬送方向に離間して複数有する
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記搬送部は搬送コンベアを有し、
前記搬送コンベアの搬送面は、前記搬送方向の下流側が下がるように、水平面に対して傾斜している
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記接着剤は、前記接着剤吐出部の吐出口から所定の吐出方向に吐出され、
前記搬送面が前記水平面に対して傾斜している角度をθ0としたとき、
前記吐出方向と前記水平面とがなす角度は、θ0+90度以上である
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記接着剤吐出部を第1接着剤吐出部としたとき、
前記第1接着剤吐出部よりも前記搬送方向の下流に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する第2接着剤吐出部が設けられており、
前記第2接着剤吐出部は、接着剤を吐出口から所定の吐出方向に吐出し、
前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向と前記水平面とがなす角度は、θ0+90度以上である
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記第1接着剤吐出部の前記吐出方向と前記水平面とがなす角度をθ1とし、
前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向と前記水平面とがなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2である
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記搬送部は回転体を有し、
前記接着剤は、前記接着剤吐出部の吐出口から所定の吐出方向に吐出され、
前記吐出方向を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度が90度よりも大きくなるように、前記吐出方向の上流側が前記搬送方向の下流側に傾いている
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記接着剤吐出部を第1接着剤吐出部としたとき、
前記第1接着剤吐出部よりも前記搬送方向の下流に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する第2接着剤吐出部が設けられており、
前記第2接着剤吐出部は、接着剤を吐出口から所定の吐出方向に吐出し、
前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度が90度よりも大きくなるように、前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向の上流側が前記搬送方向の下流側に傾いている
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記第1接着剤吐出部を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度をθ1とし、
前記第2接着剤吐出部を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度をθ2としたとき、
θ1<θ2である
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項13】
請求項6に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記粒子供給部は、前記高吸収性ポリマー粒子を所定の供給方向に供給し、
前記供給方向と前記搬送面とがなす角度は、90度未満である
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項14】
請求項10に記載の吸収性コア形成装置であって、
前記粒子供給部は、前記高吸収性ポリマー粒子を所定の供給方向に供給し、
前記供給方向を延長させた供給仮想線と、前記供給仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度は、90度未満である
ことを特徴とする吸収性コア形成装置。
【請求項15】
高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを形成する方法であって、
基材シートを搬送方向へ搬送する搬送工程と、
前記基材シートに向けて高吸収性ポリマー粒子を供給する粒子供給工程と、
前記粒子供給工程の後に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する接着剤吐出工程と、
を有し、
前記接着剤吐出工程において、前記接着剤吐出工程によって吐出された前記接着剤によって、前記基材シートから跳ね返った前記高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部を前記基材シート側に押し返す
ことを特徴とする、吸収性コアを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性コア形成装置、及び、吸収性コアを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料シートに高吸収性ポリマー(SAP)粒子の噴霧等を行うことによって、吸収性コアを形成する装置が知られている。例えば、特許文献1には、接着剤とSAP粉末とを、材料シートに接着させる前に空気中で混合し、形成された混合物を材料シートに塗布することによって複合高吸収性コア構造体を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2013-141609号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、材料シート(基材シート)に塗布する前に、接着剤とSAP粉末とを混合させていたが、接着剤とSAP粉末とを別々に基材シートに塗布する場合、放出されたSAP粉末は、意図しない方向に跳ね返って、本来配置されるべきではない箇所にまで飛び散ってしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、意図しない位置に高吸収性ポリマー粒子が配置されることを低減する吸収性コア形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを製造する吸収性コア形成装置であって、基材シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、前記基材シートに向けて高吸収性ポリマー粒子を供給する粒子供給部と、前記粒子供給部よりも前記搬送方向の下流に配置され、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する接着剤吐出部と、を有し、前記接着剤吐出部は、前記接着剤吐出部から吐出された前記接着剤によって、前記基材シートから跳ね返った前記高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部を前記基材シート側に押し返すことを特徴とする、吸収性コア形成装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、意図しない位置に高吸収性ポリマー粒子が配置されることを低減する吸収性コア形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の吸収性コア形成装置10の一部を模式的に示す図である。
図2図2A及び図2Bは、第1実施形態におけるSAP粒子の供給及び接着剤の吐出の態様を説明する図である。
図3】接着剤吐出部15うち、吐出口15t1が設けられている面の平面図である。
図4】第2実施形態の吸収性コア形成装置10の一部を模式的に示す図である。
図5図5A及び図5Bは、第2実施形態におけるSAP粒子の供給及び接着剤の吐出の態様を説明する図である。
図6】接線G1及び水平線と平行な線Hrを示す図である
図7】第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1は、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを製造する吸収性コア形成装置であって、基材シートを搬送方向へ搬送する搬送部と、前記基材シートに向けて高吸収性ポリマー粒子を供給する粒子供給部と、前記粒子供給部よりも前記搬送方向の下流に配置され、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する接着剤吐出部と、を有し、前記接着剤吐出部は、前記接着剤吐出部から吐出された前記接着剤によって、前記基材シートから跳ね返った前記高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部を前記基材シート側に押し返すことを特徴とする、吸収性コア形成装置である。
【0010】
態様1の吸収性コア形成装置によれば、基材シートから跳ね返った高吸収性ポリマー(SAP)粒子に、吐出された接着剤が当たることで、該SAP粒子を再び基材シート側に落とすことができる。また、接着剤と共に吐出された空気流によって、意図しない位置にSAP粒子が配置されることを低減できる。さらに、跳ね返ったSAP粒子の周囲に接着剤が絡むことによって、SAP粒子の固定をより確実にすることができる。
【0011】
態様2は、記粒子供給部よりも前記搬送方向の上流に、前記基材シートに向けて接着剤を塗布する上流側接着剤塗布部が設けられている態様1に記載の吸収性コア形成装置である。
【0012】
態様2の吸収性コア形成装置によれば、SAP粒子が供給される前に、事前に接着剤を塗布しておくことで、基材シートからSAP粒子が跳ね返る量を低減でき、意図しない位置にSAP粒子が配置されることを低減する。
【0013】
態様3は、前記高吸収性ポリマー粒子は、前記基材シートの表面側に供給され、前記粒子供給部によって前記高吸収性ポリマー粒子が供給される位置の前記基材シートの裏面側には、前記基材シートを吸引する吸引部が設けられている態様1又は2に記載の吸収性コア形成装置である。
【0014】
態様3の吸収性コア形成装置によれば、基材シートの裏面側から吸引部によって吸引することで、基材シートにSAP粒子が留まり易くなり、基材シートからSAP粒子が跳ね返る量を低減させることができる。
【0015】
態様4は、前記接着剤吐出部を第1接着剤吐出部としたとき、前記第1接着剤吐出部よりも前記搬送方向の下流に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する第2接着剤吐出部が設けられている態様1から3のいずれかに記載の吸収性コア形成装置である。
【0016】
態様4の吸収性コア形成装置によれば、第1接着剤吐出部から吐出された接着剤だけでは押し返しきれなかったSAP粒子の跳ね返りを、第2接着剤吐出部から吐出される接着剤によって基材シート側に押し返すことで、跳ね返り量をより低減させることができる。また、SAP粒子の固定を更に確実に行う事ができる。
【0017】
態様5は、前記第1接着剤吐出部及び前記第2接着剤吐出部は、それぞれ、複数の吐出口が列状に並んだ吐出口列を前記搬送方向に離間して複数有する態様4に記載の吸収性コア形成装置である。
【0018】
態様5の吸収性コア形成装置によれば、第1接着剤吐出部及び第2接着剤吐出部が、それぞれ複数の吐出口を有することで、搬送方向において複数列の接着剤の塗布が行われ、SAP粒子の跳ね返りをより低減させることができる。
【0019】
態様6は、前記搬送部は搬送コンベアを有し、前記搬送コンベアの搬送面は、前記搬送方向の下流側が下がるように、水平面に対して傾斜している態様1から5のいずれかに記載の吸収性コア形成装置である。
【0020】
態様6の吸収性コア形成装置によれば、搬送面の下流側が下がるように傾斜していることで、基材シートから跳ね返ったSAP粒子は下流側に行きやすくなり、意図しない位置へのSAP粒子の配置を低減できる。
【0021】
態様7は、前記接着剤は、前記接着剤吐出部の吐出口から所定の吐出方向に吐出され、前記搬送面が前記水平面に対して傾斜している角度をθ0としたとき、前記吐出方向と前記水平面とがなす角度は、θ0+90度以上である態様6に記載の吸収性コア形成装置である。
【0022】
態様7の吸収性コア形成装置によれば、そのような角度で接着剤を吐出することで、搬送方向の下流側からSAP粒子を覆うように吐出することになり、跳ね返ったSAP粒子を捕捉しやすくなる。
【0023】
態様8は、前記接着剤吐出部を第1接着剤吐出部としたとき、前記第1接着剤吐出部よりも前記搬送方向の下流に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する第2接着剤吐出部が設けられており、前記第2接着剤吐出部は、接着剤を吐出口から所定の吐出方向に吐出し、前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向と前記水平面とがなす角度は、θ0+90度以上である態様7に記載の吸収性コア形成装置である。
【0024】
態様8の吸収性コア形成装置によれば、第1接着剤吐出部だけでなく第2接着剤吐出部を有し、且つ第2接着剤吐出部もそのような角度で接着剤を吐出することで、第1接着剤吐出部から吐出された接着剤だけでは押し返しきれなかったSAP粒子の跳ね返りをさらに捕捉しやすくなる。
【0025】
態様9は、前記第1接着剤吐出部の前記吐出方向と前記水平面とがなす角度をθ1とし、前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向と前記水平面とがなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2である態様8に記載の吸収性コア形成装置である。
【0026】
態様9の吸収性コア形成装置によれば、SAP粒子は、下流に向かって跳ね返るため、第1接着剤吐出部よりも下流に配置された第2接着剤吐出部がより傾斜した角度で接着剤を吐出することで、よりSAP粒子を捕捉しやすくなる。
【0027】
態様10は、前記搬送部は回転体を有し、前記接着剤は、前記接着剤吐出部の吐出口から所定の吐出方向に吐出され、前記吐出方向を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度が90度よりも大きくなるように、前記吐出方向の上流側が前記搬送方向の下流側に傾いている態様1から5の何れかに記載の吸収性コア形成装置である。
【0028】
態様10の吸収性コア形成装置によれば、回転体の外周面に対し、接着剤の吐出方向がそのような傾斜角度を有することで、搬送方向の下流側に跳ね返ったSAP粒子を捕捉しやすくなる。
【0029】
態様11は、前記接着剤吐出部を第1接着剤吐出部としたとき、前記第1接着剤吐出部よりも前記搬送方向の下流に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する第2接着剤吐出部が設けられており、前記第2接着剤吐出部は、接着剤を吐出口から所定の吐出方向に吐出し、前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度が90度よりも大きくなるように、前記第2接着剤吐出部の前記吐出方向の上流側が前記搬送方向の下流側に傾いている態様10に記載の吸収性コア形成装置である。
【0030】
態様11の吸収性コア形成装置によれば、第1接着剤吐出部だけでなく第2接着剤吐出部を有し、且つ第2接着剤吐出部もそのような角度で接着剤を吐出することで、第1接着剤吐出部から吐出された接着剤だけでは押し返しきれなかったSAP粒子の跳ね返りをさらに捕捉しやすくなる。
【0031】
態様12は、前記第1接着剤吐出部を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度をθ1とし、前記第2接着剤吐出部を延長させた仮想線と、前記仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度をθ2としたとき、θ1<θ2である態様11に記載の吸収性コア形成装置である。
【0032】
態様12の吸収性コア形成装置によれば、SAP粒子は、下流に向かって跳ね返るため、第1接着剤吐出部よりも下流に配置された第2接着剤吐出部がより傾斜した角度で接着剤を吐出することで、SAP粒子をより捕捉しやすくなる。
【0033】
態様13は、前記粒子供給部は、前記高吸収性ポリマー粒子を所定の供給方向に供給し、前記供給方向と前記搬送面とがなす角度は、90度未満である態様12に記載の吸収性コア形成装置である。
【0034】
態様13の吸収性コア形成装置によれば、そのような角度でSAP粒子の供給方向を設定することで、SAP粒子がより下流側に向かって供給され易くなり、意図しない位置にSAP粒子が配置されることを低減できる。
【0035】
態様14は、前記粒子供給部は、前記高吸収性ポリマー粒子を所定の供給方向に供給し、前記供給方向を延長させた供給仮想線と、前記供給仮想線と前記回転体の外周面との交点における前記回転体の接線とがなす角度は、90度未満である態様10から13のいずれかに記載の吸収性コア形成装置である。
【0036】
態様14の吸収性コア形成装置によれば、そのような角度でSAP粒子を供給することで、粒子がより下流に向かって供給され易くなり、意図しない位置に高吸収性ポリマー粒子が配置されることを低減できる。
【0037】
態様15は、高吸収性ポリマーを含む吸収性コアを形成する方法であって、基材シートを搬送方向へ搬送する搬送工程と、前記基材シートに向けて高吸収性ポリマー粒子を供給する粒子供給工程と、前記粒子供給工程の後に、前記基材シートに向けて接着剤を空気流と共に吐出する接着剤吐出工程と、を有し、前記接着剤吐出工程において、前記接着剤吐出工程によって吐出された前記接着剤によって、前記基材シートから跳ね返った前記高吸収性ポリマー粒子の少なくとも一部を前記基材シート側に押し返すことを特徴とする、吸収性コアを形成する方法である。
【0038】
態様15の吸収性コアを形成する方法によれば、粒子供給工程時に基材シートから跳ね返った高吸収性ポリマー粒子に対して、吐出された接着剤が当たることで、高吸収性ポリマー粒子を再び基材シート側に落とすことができる。また、接着剤と共に吐出された空気流によって、意図しない位置に高吸収性ポリマー粒子が配置されることを低減できる。
【0039】
===第1実施形態===
以下、第1実施形態に係る吸収性コア形成装置10及び吸収性コアを形成する方法について説明する。吸収性コア形成装置10は、高吸収性ポリマー(SAP)を含む吸収性コアを製造する装置であり、製造された吸収性コアは、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、吸水パッド、失禁パッド等に利用可能である。
【0040】
本明細書において、「高吸収性ポリマー(SAP)」という用語とともに用いられる場合の「粒子」は、任意の個々の形状又は形態を包含し、当該「粒子」は、顆粒、凝集物、フレーク、繊維、球体等、及びそれらの組み合わせを含むことができる。また、粒子は、例えば、球状、多角形、ロッド状、多面体、又は他の円形若しくは角形の規則的又は不規則な形態等の任意の所望の形状を有することができる。
【0041】
図1は、第1実施形態の吸収性コア形成装置10の一部を模式的に示す図である。吸収性コア形成装置10は、基材シート1Kを搬送方向へ搬送する搬送部11と、基材シート1Kに向けて高吸収性ポリマー粒子を供給する粒子供給部12と、基材シート1Kに向けて接着剤を空気流と共に吐出する接着剤吐出部15とを有している。接着剤吐出部15は、粒子供給部12よりも搬送方向の下流に配置されている。また、本実施形態の吸収性コア形成装置10は、接着剤吐出部15として、第1接着剤吐出部15x1と、第1接着剤吐出部15x1よりも搬送方向の下流に配置された第2接着剤吐出部15x2との2つの接着剤吐出部15を有している。
【0042】
基材シート1Kは、吸収性コアの基材であり、基材シート1K上に高吸収性ポリマー(SAP)粒子が積層される。基材シート1Kは、SAP粒子を担持した状態を維持できる資材であればよく、例えば、ティッシュや、吸収性のある紙、不織布等が挙げられる。搬送部11は、搬送コンベア11cnや複数の搬送ローラー11rn等を有している。搬送ローラー11rnについては、モータ等の駆動源で駆動回転する駆動ローラーであっても良いし、駆動源が無く従動回転する従動ローラーであっても良い。また、搬送コンベア11cnは、駆動周回する無端ベルトの上面を搬送面とし、当該搬送面に設けられた複数の吸気孔(後述する吸引部)で基材シート1Kを吸着しながら搬送するサクションベルトコンベアであることが好ましい。
【0043】
図2A及び図2Bは、第1実施形態におけるSAP粒子の供給及び接着剤の吐出の態様を説明する図である。図1及び図2Aに示すように、吸収性コア形成装置10では、まず、基材シート1Kが搬送方向へ送られ(搬送工程)、次に、走行している当該基材シート1Kの表面に向けて、粒子供給部12からSAP粒子12Sが供給される(粒子供給工程)。そして、該粒子供給工程の直後に、接着剤吐出部15(第1接着剤吐出部15x1)が、基材シート1Kに向けて、接着剤15Hを空気流と共に吐出する(接着剤吐出工程)。接着剤15Hは、ここでは、ホットメルト接着剤であり、接着剤吐出部15が有する複数の吐出口(ノズル)から吐出されるが、詳細は後述する。
【0044】
そして、第1接着剤吐出部15x1が接着剤15Hの吐出を行った後、第1接着剤吐出部15x1よりも搬送方向の下流に設置されている第2接着剤吐出部15x2によって、さらに接着剤15Hが基材シート1Kに向けて空気流と共に吐出される。
【0045】
なお、接着剤15Hは空気流と共に吐出されるが、本実施形態において、この空気流の圧力は、第1接着剤吐出部15x1、第2接着剤吐出部15x2ともに同じである。しかしながら、これに限定されず、それぞれが異なる空気圧であってもよい。また、SAP粒子を供給する粒子供給部12の供給口から搬送コンベア11cnの搬送面11mまでの距離は、7mm程度が好ましく、接着剤吐出部15の吐出口から搬送コンベア11cnの搬送面11mまでの距離は、約30mm±10mmが好ましい。
【0046】
第2接着剤吐出部15x2が基材シート1Kに接着剤15Hを吐出した後、SAP粒子12Sを覆うように別のシート材1Sが合流し、さらに下流で所望のサイズに切断されることで、吸収性コアが形成される。なお、本実施形態では、基材シート1K上にSAP粒子が供給された後に別のシート材1Sが積層されるが、これに限定にされるものではない。例えば、基材シート1KにSAP粒子を積層させた後、基材シート1Kを所望のサイズに切断するだけでも吸収性コアを形成することができ、或いは、基材シート1KにSAP粒子を積層した後にパルプ繊維を積層させて吸収性コアを形成してもよい。また、吸収性コアの素材として、SAP粒子の他に、パルプ繊維等の別の液体吸収性素材を混合させる場合には、粒子供給部12がSAP粒子12Sを供給する前、或いは後に、そのような液体吸収性素材を基材シート1Kに供給すればよい。
【0047】
上述のように、SAP粒子12Sを放出してSAPを含むシートを形成する際、通常、SAP粒子12Sは、搬送面11mに向かって重力供給、或いは、加圧空気と共に吐出される。そして、吐出されたSAP粒子12Sは、搬送面11m(基材シート1K)に当たって跳ね返り易く(図2A参照)、本実施形態では、一度に供給されたSAP粒子12Sのうち、約6割程度が跳ね返ることを想定している。また、放出されたSAP粒子12Sは、意図しない方向に跳ね返り易く、それにより配置されるべきではない箇所にまで飛び散るおそれがある。
【0048】
この点につき、本実施形態の吸収性コア形成装置10では、図2Aに示すように、接着剤吐出部15から吐出された接着剤15Hによって、基材シート1Kから跳ね返ったSAP粒子12Sの少なくとも一部を基材シート1K側に押し返すことができる。ここでの「押し返す」とは、搬送方向とは逆向き、且つ、重力方向(鉛直下向き)にSAP粒子12Sを動かすことを意味する。つまり、基材シート1Kから跳ね返ったSAP粒子12Sに、吐出された接着剤15Hが当たることで、該SAP粒子12Sを再び基材シート1K側に落とすことができる。さらに、接着剤15Hと共に吐出された空気流によって、意図しない位置にSAP粒子12Sが配置されることを低減できる。そして、跳ね返ったSAP粒子12Sの周囲に接着剤15Hが絡むことによって、SAP粒子12Sの固定をより確実に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1接着剤吐出部15x1から吐出される接着剤15Hだけでなく、第1接着剤吐出部15x1よりも搬送方向の下流に設けられた第2接着剤吐出部15x2からも接着剤15Hが吐出される。これにより、第1接着剤吐出部15x1から吐出された接着剤15Hだけでは押し返しきれなかったSAP粒子12Sの跳ね返りを、第2接着剤吐出部15x2から吐出される接着剤15Hによって基材シート1K側に押し返すことで、跳ね返り量をより低減させることができる。そうすることで、SAP粒子12Sの固定を更に確実に行う事ができる。
【0050】
なお、本実施形態の吸収性コア形成装置10は、2つの接着剤吐出部15(第1接着剤吐出部15x1、第2接着剤吐出部15x2)を有しているが、これに限定されるものではない。例えば、供給されるSAP粒子12Sの量が少ない場合は、第1接着剤吐出部15x1だけでもよい。また、第1接着剤吐出部15x1及び第2接着剤吐出部15x2は、跳ね返ったSAP粒子12Sを押し返すことができるが、第1接着剤吐出部15x1は、SAP粒子12Sを基材シート1Kに固定させることを重視し、第2接着剤吐出部15x2は、資材(基材シート1K等)の接着強度の向上や強度の調整を行うことを主な目的として設計を行うことが可能である。
【0051】
また、本実施形態では、第1接着剤吐出部15x1と、第2接着剤吐出部15x2とを分離させて、各接着剤吐出部15の自由度を高めているが、第1接着剤吐出部15x1と第2接着剤吐出部15x2とは、一体型の接着剤吐出部であってもよい。第1接着剤吐出部15x1と第2接着剤吐出部15x2とが一体型として設置された場合、別々の装置を設置するよりもコストを削減することができ、また、装置の維持管理もし易くなる。
【0052】
上述したように、粒子供給部12からSAP粒子12Sが供給されるときにSAP粒子12Sが跳ね返り易いことから、本実施形態では、図2Bに示すように、搬送コンベア11cnの搬送面11mは、搬送方向の下流側が下がるように水平面Hrに対して傾斜している。そうすることにより、基材シート1Kから跳ね返ったSAP粒子12Sが重力によって下流側に行き易くなり、意図しない位置へのSAP粒子12Sの配置を低減することができる。
【0053】
そして、図2Bに示す搬送面11mが水平面Hrにして傾斜している角度をθ0としたとき、本実施形態における傾斜角度θ0は、約30度である。これは、SAP粒子の安息角(粒子を積み上げたときに崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度)が32度から38度であることから、この角度付近で傾斜角度を設定している。傾斜角度θ0を約30度に設定することで、粒子供給部12から吐出されたSAP粒子12Sが、搬送面11m上に乗った後に転がって行くことを防ぎつつ、かつ、水平面と平行の搬送面に吐出する場合と比較して、跳ね返りにくくさせることができる。搬送コンベア11cnの搬送面11mを下流側が下がるように傾斜させた場合の傾斜角度θ0は、約75度まで設定が可能である。
【0054】
なお、上述したように、搬送面11mは、搬送方向の下流側が下がるように水平面Hrに対して傾斜していることが好適であるが、これに限定されるものではない。例えば、搬送面11mは、水平であってもよく、また、搬送方向の上流側が下がるように水平面Hrに対して傾斜していてもよい。搬送方向の上流側が下がるように(つまり、下流側が上がるように)傾斜していても、搬送コンベア11cnがサクションベルトコンベアであり、且つ、基材シート1Kを吸引する吸引力を強めれば、SAP粒子12Sの跳ね返りを同様に抑制することが可能である。搬送方向の上流側が下がるように水平面Hrに対して傾斜させる場合の傾斜角度θ0は、約45度位まで可能であるが、約30度位までが好適である。
【0055】
図2A及び図2Bに戻り、搬送面11mを下流側が下がるように水平面Hrに対して傾斜させ、且つ、傾斜角度θ0が30度である場合、搬送面11m上において、SAP粒子12Sが供給される位置から、第1接着剤吐出部15x1から接着剤15Hが吐出される位置までの距離L1は、0mm~50mmの範囲が好ましく、より好ましくは25mmである。また、同様に、搬送面11m上において、SAP粒子12Sが供給される位置から、第2接着剤吐出部15x2から接着剤15Hが吐出される位置までの距離L2は、50mm~300mmの範囲が好ましく、より好ましくは100mmである。このような範囲で接着剤15Hを第1接着剤吐出部15x1及び第2接着剤吐出部15x2から吐出させることで、跳ね返ったSAP粒子12Sに接着剤15Hをより効果的に当て易くなり、また、跳ね返ったSAP粒子12Sの周囲に接着剤15Hを絡め易くなる。
【0056】
図2Bに示すように、接着剤15Hは、各接着剤吐出部15(第1接着剤吐出部15x1及び第2接着剤吐出部15x2)の吐出口(後述する図3の吐出口15t1等)から所定の吐出方向に吐出されている。ここで、「吐出方向」とは、接着剤吐出部15の先端面に形成された吐出口(15t1、15t2)の中心軸に沿う方向である。中心軸は、吐出口の重心を通り、先端面に垂直な方向であり、例えば、吐出口が円形である場合は、円の中心を通り、円の面に垂直な直線であり、吐出口が矩形状である場合は、当該矩形の対角線の交点を通り、矩形面に垂直な直線を意味する。
【0057】
そして、図2Bに示すように、搬送面11mが水平面Hrに対して傾斜している角度をθ0としたとき、第1接着剤吐出部15x1(接着剤吐出部15)の吐出口15t1から吐出される接着剤15Hの吐出方向15d1と、水平面Hrとがなす角度θ1は、θ0+90度以上であることが好ましい。好適には、角度θ1は、θ0+90度~θ0+110度の範囲である。そうすることで、搬送面11mに対して垂直に接着剤15Hを吐出するよりも、下流側からSAP粒子12Sを覆うように吐出でき、下流側に跳ね返ったSAP粒子12Sをより捕捉し易くなる。
【0058】
また、第1接着剤吐出部15x1よりも搬送方向の下流に設けられた第2接着剤吐出部15x2も、接着剤15Hを吐出口15t2から所定の吐出方向15d2に吐出している。そして、同様に、第2接着剤吐出部15x2の吐出方向15d2と水平面Hrとがなす角度θ2は、θ0+90度以上であることが好ましい。第1接着剤吐出部15x1だけでなく第2接着剤吐出部15x2もそのような角度で接着剤15Hを吐出することで、第1接着剤吐出部15x1から吐出された接着剤15Hだけでは押し返しきれなかったSAP粒子12Sの跳ね返りをさらに捕捉しやすくなる。
【0059】
また、本実施形態の吸収性コア形成装置10において、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1と水平面Hrとがなす角度θ1よりも、第2接着剤吐出部15x2の吐出方向15d2と水平面Hrとがなす角度θ2の方が大きいことが好ましい(θ1<θ2)。SAP粒子12Sは、搬送方向の下流側に向かって跳ね返るため、第1接着剤吐出部15x1よりも下流に配置された第2接着剤吐出部15x2がより下流側に傾斜した角度で接着剤15Hを吐出することで、第2接着剤吐出部15x2の接着剤15Hは下流側から上流側に向かって吐出されやすくなり、下流側に落ちてきたSAP粒子12Sを押し返し易くなる。
【0060】
図2A及び図2Bに示すように、粒子供給部12は、基材シート1Kに向けてSAP粒子12Sを供給する際、SAP粒子12Sを所定の供給方向12dに供給する。「供給方向」とは、上述の吐出方向と同様に、粒子供給部12の先端面に形成された供給口の中心軸に沿う方向である。当該中心軸は、供給口の重心を通り、先端面に垂直な方向であり、例えば、供給口が円形である場合は、円の中心を通り、円の面に垂直な直線であり、供給口が矩形状である場合は、当該矩形の対角線の交点を通り、矩形面に垂直な直線を意味する。そして、SAP粒子12Sの供給方向12dと搬送面11mとがなす角度θ3は、90度未満であることが好ましい。θ3が90度未満となるようにSAP粒子12Sを供給することで、SAP粒子12Sがより下流に向かって供給され易くなる。それにより、意図しない位置にSAP粒子12Sが配置されることを低減することができる。
【0061】
また、図1に示すように、吸収性コア形成装置10において、SAP粒子12Sを供給する粒子供給部12よりも搬送方向の上流に、基材シート1Kに向けて接着剤を塗布する上流側接着剤塗布部16が設けられていてもよい。粒子供給部12によってSAP粒子12Sが基材シート1Kに供給される前に、事前に基材シート1Kに接着剤を塗布しておくことで、SAP粒子12Sが基材シート1Kに貼りつきやすくなり、SAP粒子12Sの跳ね返り量を低減させることができる。それにより、意図しない位置にSAP粒子12Sが配置されることを抑制できる。
【0062】
また、上述したように、搬送コンベア11cnが、その搬送面11mに複数の吸気孔を有して基材シート1Kを吸着させながら搬送するサクションベルトコンベアである場合、供給されたSAP粒子12Sも、当該コンベアの吸気によって基材シート1K上に留まりやすくなる。具体的には、SAP粒子12Sは、基材シート1Kの表面側に供給されるが、SAP粒子12Sが供給される位置の基材シート1Kの裏面側に、基材シート1Kを吸引する吸引部11P(吸気孔)を設けることで、当該吸引部11Pの吸引により、基材シート1KにSAP粒子12Sがくっつき易くなる。そうすることにより、基材シート1KからSAP粒子12Sが跳ね返る量を低減させることができる。なお、上記吸引部11Pによって吸引するコンベアベルトとして、メッシュベルトを用いてもよい。
【0063】
図3は、接着剤吐出部15(第1接着材吐出部15x1)のうち、吐出口15t1が設けられている面の平面図である。搬送方向と直交する方向を交差方向としたとき、図3に示すように、接着剤吐出部15の吐出口15t1は、交差方向に間隔を空けて複数設けられている。具体的には、本実施形態において、吐出口15t1(15t2)は、交差方向に間隔を空けて5つ設けられており、その5つ設けられている列を吐出口列15Rとしたとき、接着剤吐出部15は、搬送方向上流側の吐出口列15R1と、搬送方向下流側の吐出口列15R2の2列を有している。つまり、第1接着剤吐出部15x1及び第2接着剤吐出部15x2は、それぞれ、複数の吐出口15t1(15t2)が列状に並んだ吐出口列15Rを搬送方向に離間して複数有している。また、各吐出口15t1(15t2)は、それぞれ3つのノズルで構成され、換言すると、3つの小さな吐出口をひと組として吐出口15t1(15t2)を構成している。ここでは、各吐出口列15R(15R1、15R2)には、5つの吐出口15t1が交差方向に沿って並べられているため、接着剤吐出部15は、合計10個の吐出口15t1を有している。第1接着剤吐出部15x1及び第2接着剤吐出部x2が、それぞれ複数の吐出口15t1(15t2)を有することで、搬送方向において複数列の接着剤15Hの塗布が行われ、SAP粒子12Sの跳ね返りをより低減させることができる。
【0064】
なお、各吐出口列15Rにおいて、交差方向に隣接する吐出口15t1、15t1同士の間の距離L3は、5mm程度が好ましい。また、吐出口列15R1の吐出口15t1と、吐出口列15R2の吐出口15t1とにおける搬送方向の間隔L4は、3.5mm程度離れていることが好ましい。そして、吐出口列15R1のうち、交差方向の最も一方側に位置する吐出口15t1を吐出口15t1aとし、当該吐出口15t1aに交差方向他方側に隣接した吐出口15t1を吐出口15t1bとし、吐出口列15R2のうち、交差方向の最も一方側に位置する吐出口15t1を吐出口15t1cとし、当該吐出口15t1cに交差方向他方側に隣接した吐出口15t1を吐出口15t1dとしたとき、吐出口15t1cは、交差方向において吐出口15t1a及び吐出口15t1bと重なり合わず、交差方向において吐出口15t1aと吐出口15t1bとの間に位置している。同様に、吐出口15t1bは、交差方向において、吐出口15t1c及び吐出口15t1dと重なり合わず、交差方向において吐出口15t1cと吐出口15t1dとの間に位置している。そのように配置することで、接着剤15Hを吐出した際に、交差方向において接着剤15Hが面状や空気の度合いで網状に塗工されることになり、跳ね返ったSAP粒子を捕捉し損じることを低減し、また、接着剤15Hがより多くのSAP粒子と絡み易くなる。
【0065】
さらに、各吐出口15t1(15t2)は、それぞれ3つのノズルを有しているが、各3つのノズルのうち、真ん中のノズルから吐出される接着剤15Hは、真下に落ちるように吐出され、左右のノズルから吐出される接着剤15Hは、跳ね返ったSAP粒子を基材シート1K側に押し返す方向に吐出されることが望ましく、また、それぞれ角度を付けて交差方向の外側に向かって吐出されることがより望ましい。そうすることで、接着剤15Hがより面状や網状に吐出されやすくなり、より多くのSAP粒子と絡みやすくなる。
【0066】
===第2実施形態===
次に図4図5A及び図5Bに基づいて、第2実施形態に係る吸収性コア形成装置10について説明する。図4は、第2実施形態の吸収性コア形成装置10の一部を模式的に示す図である。図5A及び図5Bは、第2実施形態におけるSAP粒子の供給及び接着剤の吐出の態様を説明する図である。
【0067】
第2実施形態における吸収性コア形成装置10の基本的な構成は、第1実施形態に係る吸収性コア形成装置10と同じであり、第2実施形態では、基材シート1Kを搬送方向へ搬送する搬送部11’が、搬送コンベア11cnの代わりに回転体11tnを有する点で異なる。尚、以下の第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0068】
図4及び図5Aに示すように、第2実施形態に係る吸収性コア形成装置10では、搬送方向に回転する回転体11tnの外周面11nに基材シート1Kを接触させた状態で搬送し(搬送工程)、第1実施形態と同様に、基材シート1Kの表面に向けて粒子供給部12がSAP粒子12Sを供給し(粒子供給工程)、該粒子供給工程の直後に、第1接着剤吐出部15x1(接着剤吐出部15)が接着剤15Hを空気流と共に吐出し、さらに下流で、第2接着剤吐出部15x2が接着剤15Hを基材シート1Kに向けて空気流と共に吐出する(接着剤吐出工程)。
【0069】
なお、回転体11tnは、その周面に不図示の複数の吸気孔を有し、該吸気孔を通じて回転体11tnの内周側に吸引することで基材シート1Kを吸引保持する吸引機構(吸引部)を備えることが望ましい。それにより、基材シート1KにSAP粒子12Sが留まり易くなる。
【0070】
図5A及び図5Bに示すように、第2実施形態においても、接着剤15Hは、各接着剤吐出部15(第1接着剤吐出部15x1及び第2接着剤吐出部15x2)の吐出口から所定の吐出方向に吐出されている。具体的には、第1接着剤吐出部15x1では、接着剤15Hが第1接着剤吐出部15x1の吐出口15t1から所定の吐出方向15d1に吐出され、吐出方向15d1を延長させた仮想線V1と、当該仮想線V1と回転体11tnの外周面11nとの交点P1における回転体11tnの接線G1とがなす角度θ1が90度よりも大きくなるように、吐出方向15d1の上流側が搬送方向の下流側に傾いている。供給されたSAP粒子12Sは、搬送方向の下流に向かって一部が跳ね返るため、外周面11nに対して接着剤15Hを垂直に吐出するよりも、下流側からSAP粒子12Sを覆うように吐出することで、下流側に跳ね返ったSAP粒子12Sをより押し返し易くなる。
【0071】
第2実施形態においても、第1接着剤吐出部15x1よりも搬送方向の下流に第2接着剤吐出部15x2が設けられており、第1接着剤吐出部15x1と同様に、第2接着剤吐出部15x2は、吐出口15t2から接着剤15Hを所定の吐出方向15d2に吐出する。そして、当該吐出方向15d2は、第2接着剤吐出部15x2の吐出方向15d2を延長させた仮想線V2と、当該仮想線V2と回転体11tnの外周面11nとの交点P2における回転体11tnの接線G2とがなす角度θ2が90度よりも大きくなるように、第2接着剤吐出部15x2の吐出方向15d2の上流側が搬送方向の下流側に傾いている(図5B)。吸収性コア形成装置10において、第1接着剤吐出部15x1だけでなく第2接着剤吐出部15x2からもそのような角度で接着剤15Hが吐出されることで、第1接着剤吐出部15x1から吐出された接着剤15Hだけでは押し返しきれなかったSAP粒子12Sの跳ね返りをさらに捕捉しやすくなる。
【0072】
なお、第1接着剤吐出部15x1を延長させた仮想線V1と、仮想線V1と回転体11tnの外周面11nとの交点P1における回転体11tnの接線G1とがなす角度θ1よりも、第2接着剤吐出部15x2を延長させた仮想線V2と、仮想線V2と回転体11tnの外周面11nとの交点P2における回転体11tnの接線G2とがなす角度θ2の方が大きいことが好ましい(θ1<θ2)。供給されたSAP粒子12Sは、搬送方向の下流に向かって跳ね返りやすいため、第1接着剤吐出部15x1よりも下流に配置された第2接着剤吐出部15x2がより傾斜した角度で接着剤15Hを吐出することで、下流側に落ちてきたSAP粒子12Sをより捕捉しやすくなる。
【0073】
図6は、接線G1及び水平線と平行な線Hrを示す図である。第1実施形態では、搬送コンベア11cnの搬送面11mは、搬送方向の下流側が下がるように水平面Hrに対して傾斜していたが、第2実施形態においても、同様の原理で、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1が設定されることが望ましい。具体的には、図6に示すように、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1を延長させた線である仮想線V1と、回転体11tnの外周面11nとの交点が交点P1であり、交点P1における回転体11tnの接線G1と、水平線と平行な線Hrとがなす角度をθ4としたとき、θ4が約30度となるように、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1を設定することが好ましい。そうすることで、接着剤吐出部15x1から吐出された接着剤15Hによって、基材シート1Kから跳ね返ったSAP粒子12Sを基材シート1K側に押し返し易くすることができる。
【0074】
図5Bに戻り、粒子供給部12がSAP粒子12Sを基材シート1Kに供給するときには、SAP粒子12Sを所定の供給方向12dに供給し、当該供給方向12dを延長させた供給仮想線V3と、該供給仮想線V3と回転体11tnの外周面11nとの交点P3における回転体11tnの接線G3とがなす角度θ3は、90度未満であることが好ましい。そうすることで供給方向12dの上流側が搬送方向の上流側に傾き、供給方向12dの下流側が搬送方向の下流側を向くようになるため、SAP粒子12Sを下流側に流し易くなる。その結果、意図しない位置にSAP粒子12Sが配置されることを低減できる。
【0075】
なお、第2実施形態における粒子供給部12のSAP粒子供給位置は、図4に示すように、回転体11tnの最も上側の位置であるが、これに限定されるものではない。SAP粒子12Sの供給位置は、例えば、当該最も上側の位置と回転体11tnの中心とを結ぶ線から、上流側に30度、又は下流側に60度移動した位置まで可能である。好ましくは、上流側に20度、又は下流側に10度移動した位置までの範囲であり、より好ましくは、回転体11tnの最も上側の位置の真上から供給すること(つまり、θ3が90度になること)である。
【0076】
また、図4に示すように、本実施形態の吸収性コア形成装置10においても、SAP粒子12Sを供給する粒子供給部12よりも搬送方向の上流に、基材シート1Kに向けて接着剤を塗布する上流側接着剤塗布部16が設けられていてもよい。SAP粒子12Sが供給される前に、基材シート1Kに事前に接着剤を塗布しておくことで、SAP粒子12Sが基材シート1Kに貼りつきやすくなり、また、基材シート1KからSAP粒子12Sが跳ね返る量を低減させることができる。それにより、意図しない位置にSAP粒子12Sが配置されることを抑制できる。
【0077】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0078】
上述の第1実施形態及び第2実施形態おいて、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1は、吐出方向15d1の上流側が搬送方向の下流側に傾くように設定していたが、これに限定されるものではない。反対に、吐出方向15d1の上流側が搬送方向の上流側に傾くように設定してもよい。図7は、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1の変形例を示す図である。図7に示す変形例において、第1接着剤吐出部15x1の吐出方向15d1(実線)は、吐出方向15d1の上流側が搬送方向の上流側に傾くように設定されている。この場合の吐出方向15d1の傾斜範囲は、搬送コンベア11cnの搬送面11m或いは回転体11tnの外周面11nに対する垂直な線Veを基準に、垂直な線Veと吐出方向15d1とがなす角度θ5が0度~約20度位までの範囲となることが好ましい。
【0079】
なお、図7において、吐出方向15d1の上流側が搬送方向の下流側に傾く場合の吐出方向15d1を点線で示したが、この場合の吐出方向15d1の傾斜範囲も同様に、垂直な線Veと吐出方向15d1とがなす角度θ6が0度~約20度位までの範囲となることが好ましい。角度θ5及びθ6が上述の範囲である場合は、跳ね返ったSAP粒子を効果的に基材シート1K側に押し返すことができる。また、同様に、第2接着剤吐出部15x2の吐出方向15d2についても、吐出方向15d2の上流側が搬送方向の上流側に傾くように設定されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1K 基材シート
1S 別のシート材
10 吸収性コア形成装置
11 搬送部、11’ 搬送部
11cn 搬送コンベア
11m 搬送面
11n 外周面
11P 吸引部
11rn 搬送ローラー
11tn 回転体
12 粒子供給部
12d 供給方向
12S 高吸収性ポリマー(SAP)粒子
15 接着剤吐出部
15d1 吐出方向
15d2 吐出方向
15H 接着剤
15R 吐出口列
15R1 吐出口列
15R2 吐出口列
15t1 吐出口
15t1a、15t1b、15t1c、15t1d 吐出口
15t2 吐出口
15x1 第1接着剤吐出部
15x2 第2接着剤吐出部
16 上流側接着剤塗布部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7