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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025105157
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】シート収容体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/58 20060101AFI20250703BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20250703BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20250703BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D83/08 B
B65D83/08 A
A47K7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223508
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉保 眞一郎
(72)【発明者】
【氏名】那須 謙悟
(72)【発明者】
【氏名】坂東 健司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 美澄
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LA09
3E014LB08
3E067AA12
3E067AB77
3E067AC14
3E067AC19
3E067BA02C
3E067BA12B
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067BB25B
3E067BB25C
3E067BC07C
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA16
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067EB27
3E067EE26
3E067EE59
3E067FA04
3E067FB07
3E067FC01
3E067GA21
(57)【要約】
【課題】シートの取り出し時にシート収容体全体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出し易いシート収容体を提供する。
【解決手段】シート収容体(1)は、複数のシートの集合体(40)を収容する収容空間、及び収容空間内に収容されたシートの取出口(23)を有する。集合体のシートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、集合体を収容したシート収容体の重力は、シートを取出口から取り出す際の引張力よりも高い。他の態様のシート収容体は、複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び収容空間内に収容されたシートの取出口を有する。シート収容体は、シート収容体が設置された設置面からシート収容体が浮き上がることを抑制する抑制手段を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び前記収容空間内に収容された前記シートの取出口を有するシート収容体であって、
前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記集合体を収容した前記シート収容体の重力は、前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い、シート収容体。
【請求項2】
前記小枚数状態の前記引張力の平均値は、3.0N以下である、請求項1に記載のシート収容体。
【請求項3】
前記シート収容体は、包装体によって包装された前記集合体を収容するように構成されており、
前記取出口は、前記包装体に形成された包装開口の少なくとも一部と重なって配置され、
前記シートは、前記包装開口及び前記取出口を介して前記シート収容体から取り出されるように構成されており、
前記小枚数状態において、前記シート収容体に収容された前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力は、前記シート収容体に収容されていない前記集合体の前記シートを前記包装開口から取り出す際の引張力よりも低い、請求項1又は請求項2に記載のシート収容体。
【請求項4】
複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び前記収容空間内に収容された前記シートの取出口を有するシート収容体であって、
前記シート収容体は、前記シート収容体が設置された設置面から前記シート収容体が浮き上がることを抑制する抑制手段を有する、シート収容体。
【請求項5】
前記抑制手段は、前記設置面に対して前記シート収容体を着脱自在に接合する接合手段であり、
前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記接合手段と前記設置面が剥離する剥離強度は、前記シート収容体に収容された前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い、請求項4に記載のシート収容体。
【請求項6】
前記抑制手段は、前記設置面に対して前記シート収容体を着脱自在に係合させる係合手段であり、
前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記係合手段と前記設置面の係合が分離する分離強度は、前記シート収容体に収容された前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い、請求項4に記載のシート収容体。
【請求項7】
前記取出口の開口面積は、4.0cm以上である、請求項1又は請求項4に記載のシート収容体。
【請求項8】
前記シート収容体は、前記取出口が設けられた取出面と、前記取出面に隣接し、前記集合体の側方を覆う収容側面と、を有し、
前記シート収容体は、前記取出口から取り出される前記シート同士の分離を誘導する分離誘導部を有し、
前記分離誘導部の剛性は、前記収容側面の剛性に対する0.9倍以上1.1以下である、請求項1又は請求項4に記載のシート収容体。
【請求項9】
前記シート収容体は、前記取出口が設けられた取出面と、前記取出面に隣接し、前記集合体の側方を覆う収容側面と、を有し、
前記シート収容体は、前記取出口から取り出される前記シート同士の分離を誘導する分離誘導部を有し、
前記分離誘導部と、前記取出面において前記分離誘導部の周囲に配置された周囲領域と、は、同一の材質によって構成されている、請求項1又は請求項4に記載のシート収容体。
【請求項10】
前記シート収容体は、前記取出口から取り出される前記シート同士の分離を誘導する分離誘導部を複数有し、
前記分離誘導部同士の最小間隔は、5mm以上である、請求項1又は請求項4に記載のシート収容体。
【請求項11】
前記シート収容体の平面視において、前記シート収容体の重心は、前記取出口と重なっている、請求項1又は請求項4に記載のシート収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ等のシートの集合体を収容するシート収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの集合体を収容するシート収容体が提供されている(例えば、特許文献1参照)。シート収容体は、複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び収容空間内に収容されたシートの取出口を有する。使用者は、シート収容体に予め集合体を収容しておき、使用時に取出口からシートを取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-196517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートを使用する際は、取出口を介してシートを取り出すため、シートが取出口に引っかかったり、シート同士が円滑に分離しなかったりすると、シートの取り出し時にシート収容体全体が浮き上がってしまい、シートを円滑に取り出し難いことがあった。特に、シートの使用に伴って収容空間内のシートの残り枚数が少なくなると、シート収容体全体の重力が軽くなり、シートの取り出し時にシート収容体全体がより浮き上がり易く、シートを円滑に取り出し難いことがあった。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされてものであり、シートの取り出し時にシート収容体全体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出し易いシート収容体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るシート収容体は、複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び前記収容空間内に収容された前記シートの取出口を有する。前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記集合体を収容した前記シート収容体の重力は、前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い。
【0007】
他態様に係るシート収容体は、複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び前記収容空間内に収容された前記シートの取出口を有する。前記シート収容体は、前記シート収容体が設置された設置面から前記シート収容体が浮き上がることを抑制する抑制手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るシート収容体の分解斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るシート収容体の正面図である。
図3図3は、図2に示すA-A線に沿った断面図である。
図4図4は、小枚数状態の引張力の測定方法を説明するための図である。
図5図5は、実施例1から実施例4に係るシート収容体の小枚数状態における重力と引張力を示した図である。
図6図6は、実施例1及び実施例4に係るシート収容体に収容された集合体の引張力と、実施例5に係る集合体の引張力と、を示した図である。
図7図7は、第2形態に係るシート収容体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る発明は、複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び前記収容空間内に収容された前記シートの取出口を有するシート収容体である。前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記集合体を収容した前記シート収容体の重力は、前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い。本態様によれば、該小枚数状態において、シート収容体の重力が、シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高いため、シート収容体の重力によってシート収容体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出すことができる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記小枚数状態の前記引張力の平均値は、3.0N以下である。引張力が3.0N以下であって、比較的低いため、使用者が容易にシートを大きな力を掛けずにシートを引き出すことができる。大きな力を掛けずにシートを引き出すことができるため、シートを引き出す際に過度な力を掛けず、意図した方向に向けてシートを引っ張ることができ、引き出す際のシート収容体の浮き上がりをより抑制できる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート収容体は、包装体によって包装された前記集合体を収容するように構成されている。前記取出口は、前記包装体に形成された包装開口の少なくとも一部と重なって配置される。前記シートは、前記包装開口及び前記取出口を介して前記シート収容体から取り出されるように構成されている。前記小枚数状態において、前記シート収容体に収容された前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力は、前記シート収容体に収容されていない前記集合体の前記シートを前記包装開口から取り出す際の引張力よりも低い。本態様によれば、シート収容体に収容することで、集合体単体でシートを使用する場合と比較して、引き出す際のシート収容体の浮き上がりをより抑制できる。
【0012】
態様4に係る発明は、複数のシートの集合体を収容する収容空間、及び前記収容空間内に収容された前記シートの取出口を有するシート収容体である。前記シート収容体は、前記シート収容体が設置された設置面から前記シート収容体が浮き上がることを抑制する抑制手段を有する。本態様によれば、抑制手段によってシート収容体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出すことができる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様4に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記抑制手段は、前記設置面に対して前記シート収容体を着脱自在に接合する接合手段である。前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記接合手段と前記設置面が剥離する剥離強度は、前記シート収容体に収容された前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い。本態様によれば、剥離強度が引張力よりも高いため、シートの取出時に設置面に対して前記シート収容体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出すことができる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様4又は態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記抑制手段は、前記設置面に対して前記シート収容体を着脱自在に係合させる係合手段である。前記集合体の前記シートの枚数が15枚以下の小枚数状態において、前記係合手段と前記設置面の係合が分離する分離強度は、前記シート収容体に収容された前記集合体の前記シートを前記取出口から取り出す際の引張力よりも高い。本態様によれば、分離強度が引張力よりも高いため、シートの取出時に設置面に対して前記シート収容体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出すことができる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記取出口の開口面積は、4.0cm以上である。本態様によれば、取出口の開口面積は、4.0cm以上であり、シートの通り道の面積を確保でき、シート取り出し時の抵抗を抑制できる。よって、シートの引張力を低減し、シート収容体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出すことができる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート収容体は、前記取出口が設けられた取出面と、前記取出面に隣接し、前記集合体の側方を覆う収容側面と、を有する。前記シート収容体は、前記取出口から取り出される前記シート同士の分離を誘導する分離誘導部を有する。前記分離誘導部の剛性は、前記収容側面の剛性に対する0.9倍以上1.1以下である。本態様によれば、分離誘導部は、シートにあたった際に変形し難く、シートの取り出し時にシートに追従しすぎない。よって、引張力が高くなりすぎることを抑制し、シート収容体が浮き上がることを抑制しつつシートを円滑に取り出すことができる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート収容体は、前記取出口が設けられた取出面と、前記取出面に隣接し、前記集合体の側方を覆う収容側面と、を有する。前記シート収容体は、前記取出口から取り出される前記シート同士の分離を誘導する分離誘導部を有する。前記分離誘導部と、前記取出面において前記分離誘導部の周囲に配置された周囲領域と、は、同一の材質によって構成されている。分離誘導部は、集合体の上面を覆う周囲領域と同等に変形し難く構成されている。そのため、分離誘導部は、シートにあたった際に変形し難く、シートの取り出し時にシートに追従しすぎない。よって、引張力が高くなりすぎることを抑制し、シート収容体が浮き上がることを抑制しつつシートを円滑に取り出すことができる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート収容体は、前記取出口から取り出される前記シート同士の分離を誘導する分離誘導部を複数有する。前記分離誘導部同士の最小間隔は、5mm以上である。
【0019】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート収容体の平面視において、前記シート収容体の重心は、前記取出口と重なっている。本態様によれば、シート収容体の重心が取出口と重なっているため、シートを引っ張り出す力がシート収容体の重心にかかり易く、取り出し時のシート収容体の傾き等を抑制できる。本態様によれば、分離誘導部同士の最小間隔が5mm以上であり、シートの通り道の幅を確保でき、シート取り出し時の抵抗を抑制できる。よって、シートの引張力を低減し、シート収容体が浮き上がることを抑制し、シートを円滑に取り出すことができる。
【0020】
(2)実施形態に係るシート収容体の全体構成
以下、図面を参照して、実施形態に係るシート収容体1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。図1は、実施形態にかかるシート収容体1の上面11側から見た分解斜視図である。図2は、実施形態に係るシート収容体1の平面図である。図3は、図2に示すA-A線に沿った断面図である。図1から図3は、シート収容体1と共に集合体40及び包装体50を示している。図1は、シート収容体1の第1収容本体31と第2収容本体32を分離し、かつ集合体40を収容空間から取り出した状態を示している。図2から図4は、集合体40及び包装体50を、収容空間22内に収容した状態を示している。
【0021】
シート収容体1は、複数のシート41の集合体40を収容するように構成されている。シート収容体1は、上面11と、上面11と対向する底面12と、集合体40の側面を覆う側面と、を有してよい。側面は、左面15と、右面16と、正面13と、背面14と、を有してよい。本実施の形態のシート収容体1では、上面11に取出口23が設けられており、上面11が本発明の「取出面」を構成する。側面13~16は、取出面である上面11に隣接し、集合体40の側方を覆うように構成されており、本発明の「収容側面」を構成する。
【0022】
本実施の形態の集合体40は、複数積層されたシート41の集合体であり、略直方体形状であり、シート収容体1は、直方体形状である。シート収容体1は、集合体40内のシート41の積層方向に沿う第3方向D3と、シート41の平面方向に延び、互いに直交する第1方向D1及び第2方向D2を有する。シート41が折り畳まれている形態にあっては、第1方向D1は、集合体40の折り目FLに沿う方向であってよい。第1方向D1は、本実施の形態のように、シート収容体1の長手方向であってもよいし、変形例において、シート収容体1の短手方向であってもよい。また、集合体40がシート41をロール状に巻いた円筒形状の場合にあっては、シート収容体1も円筒形状であってよい。
【0023】
シート41は、乾いたシートであってもよいし、湿潤したシート(例えば、ウェットティッシュ)であってもよい。本実施の形態のシート41は、ウェットティッシュである。また、集合体は、複数のシート41が脆弱部を介して連続したものであってもよいし、本実施の形態のように分離した複数のシート41が積層されたものであってもよい。脆弱部は、例えば、ミシン目を例示できる。集合体40は、シート41が第3方向D3に複数積層されたシート41の集合体であってよい。シート41は、第1方向D1に沿う折り目FLを基点に少なくとも折り畳まれてよい。折り畳まれた状態で、第3方向D3に隣接するシート41同士は、交互に配置されてよい。集合体40は、当該折り目FL以外の折り目によって、折り目FLよりも前又は後に折り畳まれていてもよい。すなわち、シート41は、第2方向D2に沿う折り目を基点に折り畳まれた後に、第1方向D1に沿う折り目を基点に折り畳まれていてもよい。本発明の第1方向D1に沿う折り目FLは、集合体40からシート41が展開する際に基点となる折り目である。変形例において集合体40は、複数のシート41がロール状に巻かれたものであってもよく、脆弱部を介して複数のシート41が連続し、当該連続したシートがロール状に巻かれていてよい。
【0024】
集合体40は、包装体50によって包装されていてもよい。包装体50は、集合体40の全体を内包するように構成されている。包装体50は、シート41の取出口となる包装開口52を有してよい。包装体50は、フィルムによって構成されてよい。フィルムの素材は、特に制限されないが、例えば、ポリプロピレンにポリエチレンを混合したものであってよい。包装開口52は、上面11側に配置されてよい。集合体40は、包装体50によって包装されていなくてもよい。すなわち、シート収容体1は、包装体50によって包装された集合体40を収容してもよいし、包装体50によって包装されていない集合体40を収容してもよい。
【0025】
シート収容体1は、集合体40を収容する収容空間22と、収容空間22内に収容されたシートの取出口23と、を少なくとも有する。収容空間22は、集合体40を収容するための空間であり、側面と、上面11と、底面12と、によって囲まれた空間である。取出口23は、シート41を取り出すための開口であり、収容空間22に繋がっている。取出口23は、集合体40が包装体50によって包装された形態にあっては、包装開口52の少なくとも一部と重なるように配置される。取出口23は、包装開口52の一部と重なるように配置されてもよいし、包装開口52の全域と重なるように配置されてもよい。集合体40が包装体50によって包装された形態にあっては、シート41は、包装開口52及び取出口23を介してシート収容体1から取り出される。
【0026】
シート収容体1は、分離誘導部24を有してもよい。使用者は、取出口23を介して(包装体50を有する形態にあっては、取出口23及び包装開口52を介して)、シート収容体1の外側にシート41を引っ張り出す。このとき、分離誘導部24は、シート41に当たり、取り出す対象のシートと、その次(底面側に位置する)シート41と、が共に引き出されそうな場合に、取り出す対象のシートのみが引き出されるように機能する。
【0027】
シート収容体1は、互いに係合する複数の部材を有してよい。具体的には、第1収容本体31と、第2収容本体32と、を有してよい。第1収容本体31には、シート収容体1の底面12と、底面12から上方(第3方向D3)に延びる収容側面と、が設けられている。第1収容本体31上に第2収容本体32が配置されていない状態で、第1収容本体31の上面11側には、集合体40を出し入れする開口が形成される。第2収容本体32は、第1収容本体31よりも上面11側に位置し、第1収容本体31の開口を開閉可能に構成されている。第2収容本体32には、シート収容体1の底面12と、底面12から上方(第3方向D3)に延びる収容側面と、が設けられている。第2収容本体32の第3方向D3の長さ(高さ)は、第1収容本体31の第3方向D3の長さよりも短くてよい。第1収容本体31の第3方向D3の長さは、集合体40の第3方向D3の長さよりも長くてよい。好適には、収容空間22の第3方向の長さは、集合体40の第3方向D3の長さよりも長くてよい。
【0028】
図1に示すように、第2収容本体32は、シート41の取出口23と、分離誘導部24と、取出口23を開閉可能に覆う蓋部26と、を有してよい。蓋部26は、ヒンジ部28を開閉基点として、取出口23を覆った状態と、取出口23を露出させた状態と、を実現してよい。図1は、蓋部26を開き、取出口23を露出させた状態であり、図2は、蓋部26を閉じ、蓋部26によって取出口23を覆った状態である。使用者は、シート41の取り出しを行う際に、ヒンジ部28を基点に蓋部26を開く操作を行い、シート41の取り出しを行わない際に、蓋部26を閉めて取出口23を覆う操作を行う。なお、シート収容体1は、第1収容本体31と第2収容本体32を有する形態に限られず、他の形態であってもよい。
【0029】
(3)シート収容体の浮き上がり防止
次いで、このように構成されたシート収容体1において、シート41の取り出し時にシート収容体1全体が浮き上がることを抑制するための構成について説明する。シート収容体1全体が浮き上がることを抑制するための構成は、大別して、第1形態と第2形態がある。まず、第1形態について説明する。第1形態に係るシート収容体1は、集合体40のシート41の枚数が15枚以下の小枚数状態において、集合体40を収容したシート収容体1の重力は、集合体40のシート41を取出口23から取り出す際の引張力よりも高い。集合体40のシート41の枚数が15枚以下の小枚数状態は、シート41の残り枚数が少なく、シート収容体1全体の重力が軽くなって、シート41の取り出し時にシート収容体1全体が特に浮き上がり易い状態である。当該小枚数状態において、シート収容体1の重力がシート収容体1に収容された集合体40のシート41を取出口23から取り出す際の引張力よりも高いため、シート収容体1の重力によってシート収容体1が浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができる。
【0030】
図5は、実施例1から実施例4に係るシート収容体の小枚数状態における重力と引張力を示した図である。実施例1から4に係るシート収容体においては、小枚数状態においても、シートを引っ張って取り出す際に、シート収容体1が浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができることがわかった。小枚数状態において、シート収容体1の重力の平均値が、シート41を取出口23から取り出す際の引張力の平均値よりも高くてよい。また、シート収容体1の重力の小枚数状態における最大値が、シート41を取出口23から取り出す際の引張力の小枚数状態における最大値よりも高くてもよい。また、シート収容体1の重力の小枚数状態における最小値が、シート41を取出口23から取り出す際の引張力の小枚数状態における最小値よりも高くてもよい。好適には、小枚数状態のいずれの状態(1枚の状態から15枚の状態)においても、シート収容体1の重力が、シート41を取出口23から取り出す際の引張力よりも高くてよい。
【0031】
ここで、シート収容体1の重力は、小枚数状態の集合体(シートの枚数が1枚から15枚)をシート収容体1に収容した状態の重力であり、包装体50によって包装された集合体40においては、包装体50によって包装された集合体40をシート収容体1に収容した状態の重力であり、具体的には、式1にて求めることができる。
(式1)
シート収容体(集合体を含む)の重力(N)=シート収容体(集合体を含む)の重量(g)*0.0098
【0032】
シート収容体1に収容された集合体(シートの枚数が1枚から15枚)40のシート41を取出口23から取り出す際の引張力は、小枚数状態におけるシート41の引張力であり、以下の方法で測定できる。図4は、図2に示すB-B線に沿った断面を基準とした図であり、小枚数状態の引張力の測定方法を説明するための図である。引張力を測定する際は、集合体40の枚数を15枚として、取出口23から1枚のシート41を引き出す。当該シート41の引き出し長さは、10mm(デジタルフォースゲージ_ FGP-2を引っかける長さ)があればよい。当該状態において、シート41の先端にデジタルフォースゲージ200の先端部201を引っかけて、デジタルフォースゲージを上方に引っ張ってシート41を引き出す。取出口から完全にシート41が引き出されるまで測定し、最大値をシートの引張力(N)とする。これを繰り返し行い、枚数毎の引張力を測定し、0枚になるまで繰り返す。引張力の平均値を、小枚数状態の引張力とする。15枚の引張力は、残り15枚のシートを引っ張った際の引張力であり、シートを引き出した状態で残り14枚とする。
【0033】
小枚数状態の引張力の平均値は、3.0N以下であってよい。平均値は、15枚から0枚の引張力をそれぞれ測定した値の平均値である。小枚数状態の引張力が3.0N以下であって、比較的低いため、使用者が容易にシート41を大きな力を掛けずにシート41を引き出すことができる。大きな力を掛けずにシート41を引き出すことができるため、シート41を引き出す際に過度な力を掛けず、過度な力を掛けることに起因してシート収容体1が傾くことを抑制し、意図した方向に向けてシート41を引っ張ることができ、引き出す際のシート収容体1の浮き上がりをより抑制できる。
【0034】
小枚数状態において、シート収容体1に収容された集合体40のシート41を取出口23から取り出す際の引張力は、シート収容体1に収容されていない集合体40のシート41を包装開口52から取り出す際の引張力よりも低くてよい。本構成によれば、シート収容体1に収容することで、集合体40単体でシート41を使用する場合と比較して、引き出す際のシート収容体1の浮き上がりをより抑制できる。
【0035】
より詳細には、シート収容体1に集合体を収容することで、シート収容体1の重力によってシート収容体1を押さえる力が作用し、シート収容体1の浮き上がりを抑制できる。また、分離誘導部24を有するシート収容体1に集合体40を収容することで、引き出されるシート41は、分離誘導部24に引っかかった状態となる。分離誘導部24に引っかかった状態では、引き出されるシート41だけでなく、次に引き出されるシート41も浮き上がることがあり、シート41同士が離れることがある。そのため、シート41の引張力が低くなり、シート収容体1の浮き上がりを抑制できる。更に、包装体50に包装された集合体40がシート収容体1に収容されていない状態では、シート41を引っ張った際に、包装体50が変形して、包装体50内面(上面)とシート41が密着し、その摩擦力で引張力が高くなる。一方、包装体50に包装された集合体40がシート収容体1に収容された状態では、包装体50が変形してもシート収容体1の内面によって包装体50が押圧され、包装体50とシート41が密着しすぎない。よって、シート41の包装体の内面に対する摩擦抵抗が高くなることを抑制し、シート41の引張力を低く維持し、シート収容体1の浮き上がりを抑制できる。
【0036】
図6は、実施例1及び実施例4に係るシート収容体1に収容された集合体の引張力と、実施例5に係る集合体40の引張力と、を示した図である。実施例5に係る集合体は、シート収容体に収容されていない状態の引張力である。実施例5に係る集合体は、実施例1及び実施例4に係るシート収容体1に使用された集合体と同じものである。実施例1から4に係る集合体40は、包装体50によって包装されている。包装体50によって集合体40が包装されている形態におけるシート収容体1に収容されていない集合体40のシート41を包装開口52から取り出す際の引張力は、包装開口52からシート41を取り出す際の引張力である。測定方法は、シート収容体1からシート41を取り出す際の引張力と同様の方法で測定できる。また、包装体50によって集合体40が包装されていない形態におけるシート収容体1に収容されていない集合体40のシート41を取り出す際の引張力は、集合体40からシート41を分離する際の引張力であり、1枚のシート41を集合体40から分離するまで測定し、その最大値をシート41の引張力とする。
【0037】
次いで、シート41の取り出し時にシート収容体1全体が浮き上がることを抑制するための構成の第2形態について説明する。図7は、第2形態に係るシート収容体1Xを示した図である。図7は、図3に示す断面と同じ断面を基準とした図である。第2形態に係るシート収容体1Xは、シート収容体1Xが設置された設置面LSからシート収容体1Xが浮き上がることを抑制する抑制手段70を有する。抑制手段70によってシート収容体1Xが浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができる。抑制手段70は、図7に示すようにシート収容体1の底面12に設けられていてもよいし、他の外面に設けられていてもよいし、シート収容体1の外面以外の部分(例えば、内部)に設けられていてもよい。抑制手段70は、電力供給を受けるモータ等、外部から供給を必要とせずに、シート収容体1の単体で浮き上がりを抑制するものであってよい。
【0038】
抑制手段70は、設置面LSに対してシート収容体1Xを着脱自在に接合する接合手段であってよい。接合手段は、設置面LSに対して着脱可能に接合するものであればよく、例えば、吸盤、粘着テープ及び磁石によって構成できる。集合体40のシート41の枚数が15枚以下の小枚数状態において、接合手段と設置面LSが剥離する剥離強度は、シート収容体1Xに収容された集合体40のシート41を取出口23から取り出す際の引張力よりも高くてよい。本構成によれば、剥離強度が引張力よりも高いため、シート41の取出時に設置面LSに対してシート収容体1Xが浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができる。接合手段と設置面が剥離する剥離強度の測定は、Digital force gauge FGP-2を容器から出ているシートにフックで固定し、Digital force gauge FGP-2を持って真上に取り出しした時の数値を測定する。
【0039】
抑制手段70は、設置面LSに対してシート収容体1Xを着脱自在に係合させる係合手段であってよい。係合手段は、設置面LSに引っかかるフック、設置面LSに螺合するネジ、設置面LSに引っかかる面ファスナー、設置面に掛けられるボタン、設置面が挿入可能な凹部、及び設置面と係合するファスナーを例示できる。小枚数状態において、係合手段と設置面LSの係合が分離する分離強度は、シート収容体1Xに収容された集合体40のシート41を取出口23から取り出す際の引張力よりも高くてよい。本構成によれば、分離強度が引張力よりも高いため、シート41の取出時に設置面に対してシート収容体1Xが浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができる。
【0040】
次いで、第1形態及び第2形態において好適な構成について説明する。取出口23の開口面積は、4.0cm以上であってよい。取出口23の開口面積は、4.0cm以上であり、シート41の通り道の面積を確保でき、シート41の取り出し時の抵抗を抑制できる。よって、シート41の引張力を低減し、シート収容体1が浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができる。
【0041】
分離誘導部24の剛性は、収容側面の剛性に対する0.9倍以上1.1以下であってよい。分離誘導部24の剛性は、収容側面の剛性と同じ又は近い値である。分離誘導部24は、集合体40を囲む収容側面と同等に変形し難く構成されている。そのため、分離誘導部24は、シートにあたった際に変形し難く、シート41の取り出し時にシート41に追従しすぎない。よって、引張力が高くなりすぎることを抑制し、シート収容体1が浮き上がることを抑制しつつシート41を円滑に取り出すことができる。
【0042】
分離誘導部24と、取出面において分離誘導部24の周囲に配置された周囲領域と、は、同一の材質によって構成されてよい。周囲領域は、分離誘導部24から平面方向の外側に延びる領域である。分離誘導部24と周囲領域の境界は、例えば、内側に凸状に膨らむ分離誘導部24の根元部分を繋ぐ仮想線であってよい。分離誘導部24は、集合体40の上面11を覆う周囲領域と同等に変形し難く構成されている。そのため、分離誘導部24は、シート41にあたった際に変形し難く、シート41の取り出し時にシート41に追従しすぎない。また、分離誘導部24は、周囲領域と一体化しているため、周囲領域との間に剛性差が形成されず、より変形し難くなり、シート41の取り出し時にシート41に追従しすぎない。よって、引張力が高くなりすぎることを抑制し、シート収容体1が浮き上がることを抑制しつつシート41を円滑に取り出すことができる。
【0043】
分離誘導部24は、複数設けられてよい。本実施の形態の分離誘導部24は、第3方向D3に間隔を掛けて2つ設けられている。分離誘導部24同士の最小間隔は、5mm以上であってよい。分離誘導部同士の最小間隔が5mm以上であり、シート41の通り道の幅を確保でき、シート41取り出し時の抵抗を抑制できる。よって、シート41の引張力を低減し、シート収容体1が浮き上がることを抑制し、シート41を円滑に取り出すことができる。好適には、分離誘導部同士の最小間隔は、8mm以上であってよく、より好適には、10mm以上であってよい。
【0044】
図2に示すシート収容体1の平面視において、シート収容体1の重心は、取出口23と重なってよい。シート収容体1の重心が取出口23からずれていると、シート41を取り出す際にシート41を上側に引っ張り出す力がシート収容体1の重心とずれ、シート41の取り出し時にシート収容体1が傾いたりシート収容体1が倒れたりするおそれがある。しかし、シート収容体1の重心が取出口23と重なっているため、シート41を引っ張り出す力がシート収容体1の重心にかかり易く、取り出し時のシート収容体1の傾き等を抑制できる。
【0045】
シート収容体1の表面には、帯電防止剤が付されてよい。表面の静電気の発生を抑制し、静電気による微細な異物の付着を抑制でき、シート収容体1を衛生的に保つことができる。帯電防止剤としては、非イオン系、アニオン系、カチオン系、両性の界面活性剤、及びポリエーテル系、4級アンモニウム塩系、スルホン酸系、ベタイン系の高分子系帯電防止剤を例示できる。
【0046】
(4)環境へ配慮したシート収容体
近年、環境への配慮がより高まり、脱使い捨てに対する意識がより高まっており、複数回使用できるシート収容体は、受け入れられている。しかし、他の側面において、一定回数使用した後に廃棄し、新たなシート収容体を求めることが行われている。出願人が鋭意研究したところ、特に、使用者の手が触れ易い部分(例えば、蓋体)が汚れると、衛生面に対する不安が生じ、シート収容体を交換することが行われている。本実施の形態のシート収容体は、廃棄物を低減し、環境へより配慮できるように構成されてよい。
【0047】
次いで、環境へ配慮したシート収容体について詳細に説明する。第1収容本体31と第2収容本体32は、分離可能に構成されている。そのため、一方が破損又は汚れによって交換の必要性が生じた際に、当該一方のみの交換が可能である。シート収容体1の一部に交換の必要性が生じた際に、シート収容体1全体を交換することなく、一部のみを交換し、廃棄物を低減し、環境へより配慮することができる。また、第1収容本体31は、集合体40を収容する機能を有し、第2収容本体32は、シート41同士を分離させる機能を有している。第1収容本体31と第2収容本体32は、その機能が異なり、形状や製造方法も異なる。第1収容本体31と第2収容本体32を別体で構成することで、各機能にあった適切な材質及び形状を選択でき、設計上の制限を低減できる。
【0048】
第1収容本体31と第2収容本体32の少なくとも一方には、他方と分離可能に係合する係合部60を有する。第1収容本体31と第2収容本体32は、分離可能に構成されており、係合部を介して係合及び分離できる。係合部60は、第1収容本体31と第2収容本体32の両方に設けられていてもよいし、一方に設けられていてよい。係合部60は、互いに嵌合する機構であればよく、フック、ヒンジ、リブ等を例示できる。係合部60は、第2収容本体32の主となる材質及び第1収容本体31の主となる材質と異なる材質によって構成されてよい。
【0049】
本実施の形態の係合部60は、第2収容本体32において下側に突出した突起部61と、第1収容本体31において突起部61よりも平面視にて外側に位置する内壁部62と、突起部61と内壁部62の間に配置され、可撓性を有する可撓性部材(シリコン)63と、によって構成されている。第2収容本体32を第1収容本体31に対して取り付ける際に、可撓性部材63が変形して第2収容本体32と第1収容本体31が嵌め合わされる。当該可撓性部材63が突起部61及び内壁部62に密着し、第2収容本体32と第1収容本体31の係合状態を維持し、第2収容本体32及び第1収容本体31の一方が落下及び脱落することを抑制でき、また、内部に収容した集合体40の気密性を高めることができる。また、他の係合部の形態としては、第1収容本体31の上面に設けられた収容突起と、第2収容本体32の底面に設けられた蓋突起と、が嵌合するように構成されてよい。
【0050】
第1収容本体31と第2収容本体32の一方の密度は、1g/cm以上である。第1収容本体31と第2収容本体32の他方の密度は、1g/cm未満である。出願人が鋭意研究したところ、第1収容本体31の密度と第2収容本体32の密度が同じ形態にあっては、その感触や変形しやすさ等の物性が同じであるため、互いを係合させたり分離させたりし難いことがあった。しかし、第1収容本体31の密度と第2収容本体32の密度が異なり、互いの物性が異なるため、互いを係合させたり分離させたりし易く、容易に組み立てすることができる。
【0051】
好ましくは、第2収容本体32の密度は、1g/cm未満であり、第1収容本体31の密度は、1g/cm以上であってよい。すなわち、第2収容本体32の密度は、第1収容本体31の密度よりも低くてよい。本態様によれば、第2収容本体32の密度が低く、第1収容本体31の密度が高いため、シート収容体1の重心が下方に位置する。そのため、シート41を取り出した際にシート収容体1が浮き上がりにくく、円滑にシート41を取り出すことができる。また、第2収容本体32の密度が低いため、第2収容本体32が軽く、第2収容本体32を容易に操作することができ、操作性を向上できる。
【0052】
変形例において、第2収容本体32の密度は、1g/cm以上であり、第1収容本体31の密度は、1g/cm未満であってもよい。すなわち、第2収容本体32の密度は、第1収容本体31の密度よりも高くてよい。変形例によれば、第2収容本体32の密度が高く、第1収容本体31の密度が低いため、シート収容体1の重心が上方に位置する。そのため、第2収容本体32が浮き上がりにくく、シート収容体1の気密性を高めることができる。また、集合体40が、揮発性の薬液を含む場合(ウェットティッシュの場合)、第2収容本体32と第1収容本体31の係合を第2収容本体32が加重している状態となり、不用意に第2収容本体32が外れたり、係合部60の係合状態が緩くなったりすることに起因する薬液の揮発を軽減し、集合体40の機能の低下を抑制する。
【0053】
第1収容本体31及ぶ第2収容本体32の材質は、シート収容体1の形状に加工可能な材質であればよく、特に制限されない。第1収容本体31及ぶ第2収容本体32の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、木材(すぎ、ひのき、さくら等)、シリコン、ポリオキシメチレン(ホモポリマー)、ポリオキシメチレン(コポリマー)、ポリエステル、アクリル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、陶器、ガラス、ステンレス、アルミナ、セラミックス、ジルコニア、ステアタイト、及びホーロー(琺瑯)を例示できる。第1収容本体31及ぶ第2収容本体32は、これらの材質の単体の材料によって形成されていてもよいし、これらの材質の組み合わせの材料によって形成されていてもよい。以下の表1に、主要な各材質の密度について示す。密度が1g/cm未満の材質を低密度とし、密度が1g/cm以上の材質を高密度としている。本発明は、第1収容本体31及ぶ第2収容本体32の一方が、低密度の材料であり、第1収容本体31及び第2収容本体32の他方が高密度の材料となるように構成されている。
【0054】
【表1】
【0055】
第1収容本体31及び第2収容本体32の少なくとも一方は、熱可塑性樹脂によって形成されていてもよい。熱可塑性樹脂は、成形し易く、設計の自由度が高く、意図した形状を実現しやすい。また、第1収容本体31及び第2収容本体32の両方が、熱可塑性樹脂によって形成されていてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、PET樹脂、ポリエチレンテレフタレート、PVA樹脂、ポリビニルアルコール及びシリコン樹を例示できる。
【0056】
第2収容本体32は、熱可塑性樹脂によって形成され、第2収容本体32の平面視における分離誘導部24の形状は、取出口23の内側に向かって膨らむ凸状であってよい。分離誘導部24は、取出口23の外縁から内側に向けて突出し、シート41同士の分離を誘導するように構成されてよい。より詳細には、分離誘導部24は、第1方向D1及び第2方向D2の一方の取出口23の中央から、第1方向D1及び第2方向D2の他方の内側に向けて突出し、シート41同士の分離を誘導する。本実施の形態の分離誘導部24は、取出口23の第2方向D2の外側縁よりも第2方向D2の内側に向けて突出した部分であってよい。なお、変形例において、分離誘導部24は、取出口23の第1方向D1の外側縁よりも第1方向D1の内側に向けて突出した部分であってもよい。熱可塑性樹脂の第2収容本体32によれば、成形し易く設計の自由度が高く、意図した形状を実現しやすい。環境に配慮しつつ、シート41の取り出しやすさの機能面も向上させることができる。
【0057】
第1収容本体31と第2収容本体32の変形し易さ及びし難さを示す指標として、第1収容本体31のヤング率は、第2収容本体32のヤング率よりも高くてもよい。なお、ヤング率は、引張弾性率であり、引張比例限度内における引張応力とこれに対応するひずみである。値が高い程、変形し難いことを示すものであり、以下の数1に示す式によって測定できる。
【数1】

ヤング率(E)の単位:MPa
【0058】
また、第1収容本体31と第2収容本体32の変形し易さを示す他の指標として、第1収容本体31の曲げ強さは、第2収容本体32の曲げ強さよりも高くてもよい。曲げ強さは、試験片を二つの支点で水平に支え、中央部に上から荷重を加えて試験片を折り曲げ、破断する前の最大荷重を読み取って所定の式から算出する。第1収容本体31の曲げ強さは、320MPa以上であってよい。また、第1収容本体31と第2収容本体32の変形し易さを示す他の指標として、第1収容本体31の圧縮固さは、第2収容本体32の圧縮強さよりも高くてもよい。圧縮強さは、圧縮荷重に耐えうる材料強度をあらわす。単位面積当たりの圧縮は段荷重をいう。第1収容本体31の圧縮強さは、900MPa以上であってよい。
【0059】
第1収容本体31が変形し難く、第2収容本体32が変形し易く、互いを係合させたり分離させたりし易い。また、第1収容本体31が変形し難いため、収容空間22を保持し易く、収容空間22を維持するための補強リブ等の補強部を削減することも可能となる。補強部を設けないことにより、デザイン性を向上できる。また、補強部を設けないことにより、第1収容本体31の洗浄を容易に行うことができ、より繰り返し使用しやすくなる。また、第2収容本体32が第1収容本体31よりも変形し易いため、第2収容本体32の開閉操作を行い易くなる。
【0060】
シート収容体1の重量は、取出口23からシート41を取り出す際の取出抵抗値よりも大きくてよい。シート収容体1の重量が重いため、シート41を取り出す際にシート収容体1が浮き上がり難く、シート41の取り出し時の操作性を向上できる。ここで、シート収容体1の重量は、シート収容体1の質量(g)×重力加速度(9.8m/S)によって算出できる。取出抵抗値は、シート収容体1と、シート収容体1内に収容された集合体40と、包装体50によって集合体40が包装された形態にあっては、包装体と、を含む試験体を用いて測定する。取出抵抗値は、試験体において1枚のシート41を取出口23から5cm引き出し、当該引き出した部分をデジタルフォースゲージに引掛け、取出口23からシート41が引き抜かれた際の最大値とする。また、取出抵抗値の測定は、集合体40を使用し始めと、使用し終わりと、でバラツキが生じるため、全体の平均(10枚以上)又は取り出し始めから10枚目以降にて測定することが好ましい。
【0061】
第1収容本体31の内面は、リブを有しない平滑面であってよい。ここで、リブは、内面から内側に突出した突起であり、高さ2mm以下の突起を含まない概念である。本態様によれば、リブを有する形態と比較して、第1収容本体31の内面の清掃を容易に行うことができ、長期間使用しやすい。また、リブを有しない形状のため、見た目がシンプルなデザインとなり、美観を向上させ、インテリアに対してシート収容体を調和させ易くなる。
【0062】
出願人が鋭意研究したところ、ウェットティッシュ等の集合体40を常時使用する使用者は、近年より増えている。このような使用者は、シート収容体1を使用時に棚等から取り出すのではなく、居室に常に置いていることが多い。そのため、シート収容体1のデザイン性、及びインテリアに対してシート収容体1が調和することが求められている。シート収容体1は、第1収容本体31の見た目と、第2収容本体32の見た目と、を異ならせることができ、シート収容体1のデザイン性を向上できる。
【0063】
第1収容本体31と第2収容本体32は、一体化して提供されてもよいし、別々に提供されてもよい。例えば、異なる材質からなる第1収容本体31を複数提供するとともに、異なる材質からなる第2収容本体32を複数提供し、購入者が、第1収容本体31と蓋体をそれぞれ選択し、好みの組み合わせのシート収容体1を使用することができる。また、シート収容体1の使用場所、使用目的、環境の意識、ライフスタイル等に応じて、適切な材質の組み合わせを選択することができる。例えば、オフィスにおいて使用する場合には、オフィスのインテリアにあった材質の第1収容本体31及び第2収容本体32を選択できる。また、車で使用する場合には、高い耐久性の材料の第1収容本体31及び第2収容本体32を選択できる。このように使用者が所望した材質を選択して使用することにより、継続して使用する意識が高まり、廃棄物を低減し、環境へより配慮できる。
【0064】
(5)シート収容体群
次いで、シート収容体群について説明する。シート収容体群は、複数の第1収容本体31と、複数の第2収容本体32と、を備える。シート収容体群を構成する第1収容本体31及び第2収容本体32は、上述のシート収容体1を構成する第1収容本体31及び第2収容本体32に含まれてよい。シート収容体群を構成する第1収容本体31と第2収容本体32は、分離可能に構成されている。第1収容本体31と第2収容本体32の少なくとも一方には、他方と分離可能に係合する係合部60を有する。第2収容本体32は、取出口23から取り出されるシート同士の分離を誘導する分離誘導部24を有する。第1収容本体31の密度は、1g/cm以上である。第2収容本体32の密度は、1g/cm未満である。
【0065】
複数の第1収容本体31は、同一形状であり、その材質が異なっている。また、複数の第2収容本体32は、同一形状であり、その材質が異なっている。複数の第1収容本体31は、いずれも同じ形状であり、複数の第2収容本体32のいずれと組み合わせても使用可能である。同様に、複数の第2収容本体32は、いずれも同じ形状であり、複数の第1収容本体31のいずれと組み合わせても使用可能である。よって、使用者は、複数の第1収容本体31のうち一つの第1収容本体31と、複数の第2収容本体32のうち一つの第2収容本体32と、を組み合わせて、集合体40を収容するシート収容体1を構成できる。そのため、使用者は、シート収容体1の使用場所、使用目的、環境の意識、ライフスタイル等に応じて、適切な材質の組み合わせを選択することができる。また、一方が破損又は汚れによって交換の必要性が生じた際に、当該一方のみの交換が可能である。シート収容体1の一部に交換の必要性が生じた際に、シート収容体全体を交換することなく、一部のみを交換し、廃棄物を低減し、環境へより配慮することができる。また、第2収容本体32の密度は、第1収容本体31よりも低く、第1収容本体31との物性が異なるため、互いを係合させたり分離させたりし易く、容易に組み立てすることができる。
【0066】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。上述の実施形態では、シート収容体1を説明したが、本発明は、シート収容体1において第2収容本体32と共に使用される第1収容本体31のみによって構成されていてもよいし、シート収容体1において第1収容本体31と共に使用される第2収容本体32のみによって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、1X :シート収容体
22 :収容空間
23 :取出口
24 :分離誘導部
31 :第1収容本体
32 :第1収容本体
40 :集合体
41 :シート
60 :係合手段
70 :抑制手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7