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特開2025-10522感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、表示装置および感光性樹脂膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025010522
(43)【公開日】2025-01-21
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、表示装置および感光性樹脂膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20250110BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20250110BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20250110BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20250110BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 71/40 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20250110BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20250110BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20250110BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20250110BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20250110BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/027
G03F7/004 501
G03F7/004 504
G03F7/075 501
G03F7/033
H10K59/10
H10K59/38
H10K71/40
H10K59/35
H10K77/10
C09B67/20 F
C08F20/10
G09F9/30 349A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108829
(22)【出願日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0088563
(32)【優先日】2023-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0056932
(32)【優先日】2024-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジホン
(72)【発明者】
【氏名】キ,スンボム
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベク ソン
【テーマコード(参考)】
2H225
3K107
4J100
5C094
【Fターム(参考)】
2H225AC32
2H225AC35
2H225AC36
2H225AD06
2H225AM09P
2H225AN22P
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2H225AN94P
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2H225BA16P
2H225BA32P
2H225CA24
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2H225CC13
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3K107GG26
4J100AB02P
4J100AB03P
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4J100BA31P
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4J100BC43P
4J100CA03
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4J100DA01
4J100DA29
4J100DA31
4J100JA32
4J100JA43
4J100JA46
5C094AA05
5C094BA27
5C094ED03
5C094FB01
5C094JA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低温でも十分に硬化して高解像度のパターン形成性に優れ、さらに高い色再現率と視野角確保が可能な感光性樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】(A)バインダー樹脂、(B)着色剤、(C)重合性単量体、(D)重合開始剤、および(E)溶媒を含み、着色剤および重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、それぞれ80重量%~95重量%および0.65重量%~1.3重量%で含まれ、着色剤は。緑色顔料および黄色顔料を含み、緑色顔料は、着色剤総量に対して、50重量%以上で含まれる抗酸化剤フリー(free)感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、感光性樹脂膜を含む表示装置、および感光性樹脂膜の製造方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、
着色剤、
重合性単量体、
重合開始剤、および
溶媒を含み、
前記着色剤および重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、それぞれ80重量%~95重量%および0.65重量%~1.3重量%で含まれ、
前記着色剤は、緑色顔料および黄色顔料を含み、前記緑色顔料は、前記着色剤総量に対して50重量%以上で含まれる
抗酸化剤フリー感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記緑色顔料および黄色顔料は、それぞれ独立して顔料分散液の形態で含まれる請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アクリル系バインダー樹脂は、50KOHmg/g以上の酸価および7000g/mol以下の重量平均分子量を有する請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記アクリル系バインダー樹脂は、360g/mol以上の二重結合当量を有する請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合性単量体は、3個以上の官能基を含む化合物を一つ以上含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記重合性単量体は、2種の化合物の混合物であり、
前記2種の化合物は、それぞれ独立して3個以上の官能基を含む化合物である請求項6に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記2種の化合物は、互いに1:1の重量比で混合される請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記重合性単量体は、前記バインダー樹脂より多い含有量で含まれる請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、105nm未満の半値幅を有する請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物は、630nmでの透過率が8%未満である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して、
前記バインダー樹脂1重量%~5重量%、
前記着色剤80重量%~95重量%、
前記重合性単量体1重量%~10重量%、
前記重合開始剤0.65重量%~1.3重量%、および
前記溶媒残部量
を含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオ-ル、シラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜。
【請求項15】
請求項14に記載の感光性樹脂膜を含む表示装置。
【請求項16】
前記表示装置は、シリコンウエハー上に蒸着されたOLED基板、および前記OLED基板上に積層され、前記OLED基板で発生した白色光を複数のカラー光に変換するカラーフィルター層を含み、
前記カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルター、および青色カラーフィルターを含み、前記表示装置は、マイクロOLED表示装置である、請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
請求項1~13のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を塗布するステップ、
前記塗布後、100℃以下の温度でプリベーキングするステップ、
前記プリベーキング後、i-lineで露光するステップ、および
現像するステップ
を含む感光性樹脂膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感光性樹脂組成物、これを利用した感光性樹脂膜、表示装置および前記感光性樹脂膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)およびMR(MixedReality)機器に適用される表示パネルとして、自ら光を出す自発光型(Emissive)マイクロOLEDディスプレイパネルに対する関心が高まっている。なお、OLEDとは有機発光ダイオード(Organic-Light Emitting Diode)を指し、マイクロOLEDとは以下に説明するように一般的なOLEDに比べて10倍程度小さいOLEDを指すものとする。
【0003】
一般的なOLEDディスプレイパネルと対比してピクセルの大きさが10倍程度小さいマイクロOLED表示パネルの場合、従来のファインメタルマスク(FMM:Fine Metal Mask)を用いた技術では、赤色(R)/緑色(G)/青色(B)発光層を精巧に形成することが困難である。すなわち、VR、ARなどの機器に従来の液晶表示を適用するには、カラーフィルターのパターンのサイズが大きく、解像度を上げるには無理がある。
【0004】
そこで近年4000ppi以上の高い解像度を実現するために、OLEDos(OLED on Silicon)技術が導入されている。当該技術は、シリコンウエハ(silicon wafer)の上に蒸着されたOLEDをバックライト(backlight)として、その上にカラーフィルターをパターニングする。従来の液晶表示に利用したカラーフィルターは、ガラス(glass)に100μm程度のパターンが形成され、露光と230℃以上の高温のポストベ-キング(postbake)工程を経て硬化される。一方、OLEDosの上に形成されるカラーフィルターは、OLEDのため、高温工程を経ることができず、低温硬化が可能でなければならず、解像度を高めるために微細パターニングされることも重要である。VR、AR、MR機器特性上、大きさも小さいため、その中で所望の解像度を実現しようとすると、微細なパターニングが必須である。
【0005】
ただし、低温(100℃以下)でのみ硬化が進められるため、従来の材料で作ったカラーフィルターでは、高解像度パターン形成が困難で、色の再現率および視野角確保も難しいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、低温でも十分に硬化して高解像度のパターン形成性に優れ、さらに高い色再現率と視野角確保が可能な感光性樹脂組成物を提供することである。
【0007】
他の一実施形態は、上記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供することである。
【0008】
さらに他の一実施形態は、上記感光性樹脂膜を含む表示装置を提供することである。
【0009】
さらに他の一実施形態は、上記感光性樹脂膜の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、(A)バインダー樹脂、(B)着色剤、(C)重合性単量体、(D)重合開始剤、および(E)溶媒を含み、前記着色剤および重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対してそれぞれ80重量%~95重量%および0.65重量%~1.3重量%で含まれ、前記着色剤は、緑色顔料および黄色顔料を含み、前記緑色顔料は、前記着色剤総量に対して50重量%以上で含まれる抗酸化剤フリー(free)感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
緑色顔料および黄色顔料は、それぞれ独立して顔料分散液の形態で含まれてもよい。
【0012】
バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂であってもよい。
【0013】
アクリル系バインダー樹脂は、50KOHmg/g以上の酸価および7000g/mol以下の重量平均分子量を有することができる。
【0014】
アクリル系バインダー樹脂は、360g/mol以上の二重結合当量を有することができる。
【0015】
重合性単量体は、3個以上の官能基を含む化合物を一つ以上含むことができる。
【0016】
重合性単量体は2種の化合物の混合物であり、2種の化合物は、それぞれ独立して3個以上の官能基を含む化合物であってもよい。
【0017】
2種の化合物は、互いに1:1の重量比で混合されてもよい。
【0018】
重合性単量体は、前記バインダー樹脂より多い含有量で含まれてもよい。
【0019】
感光性樹脂組成物は、105nm未満の半値幅を有することができる。
【0020】
感光性樹脂組成物は、630nmでの透過率が8%未満であってもよい。
【0021】
感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、前記(A)バインダー樹脂1重量%~5重量%、前記(B)着色剤80重量%~95重量%、前記(C)重合性単量体1重量%~10重量%、前記(D)重合開始剤0.65重量%~1.3重量%、および前記(E)溶媒残部量を含むことができる。
【0022】
感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオ-ル、シラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0023】
感光性樹脂組成物は、マイクロOLED表示装置用組成物であってもよい。
【0024】
他の一実施形態は、上記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0025】
さらに他の一実施形態は、上記感光性樹脂膜を含む表示装置を提供する。
【0026】
表示装置は、シリコンウエハー上に蒸着されたOLED基板、およびOLED基板上に積層され、OLED基板で発生した白色光を複数のカラー光に変換するカラーフィルター層を含み、カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルターおよび青色カラーフィルターを含むマイクロOLED表示装置であってもよい。
【0027】
さらに他の一実施形態は、感光性樹脂組成物を塗布するステップ、塗布後、100℃以下の温度でプリベーキングするステップ、プリベーキング後、i-lineで露光するステップ、および現像するステップを含む感光性樹脂膜の製造方法を提供する。
【0028】
その他、本発明の一実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、100℃以下の低温で硬化が可能であり、微細なパターンの実現によって高解像度の確保が可能で、分光特性も優れて、広い色領域の確保も可能である。特に100℃以下のプリベーキング(Pre-bake)時、温度および光硬化だけ(i-line露光)でも優れた色特性を有し、微細なパターンの実現が可能な点で、マイクロOLED表示装置に適用されるのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施例1および比較例3に係る感光性樹脂組成物の分光スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実現形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、これによって本発明が制限されるものではなく、本発明の一実施形態は、後述する特許請求の範囲によって画定されるものに限定されない。
【0032】
本明細書において、特に言及されない限り、「アルキル基」とは、C1~C20アルキル基を意味し、「アルケニル基」とは、C2~C20アルケニル基を意味し、「シクロアルケニル基」とは、C3~C20シクロアルケニル基を意味し、「ヘテロシクロアルケニル基」とは、C3~C20ヘテロシクロアルケニル基を意味し、「アリール基」とは、C6~C20アリール基を意味し、「アリールアルキル基」とは、C6~C20アリールアルキル基を意味し、「アルキレン基」とは、C1~C20アルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、C6~C20アリーレン基を意味し、「アルキルアリーレン基」とは、C6~C20アルキルアリーレン基を意味し、「ヘテロアリーレン基」とは、C3~C20ヘテロアリーレン基を意味し、「アルコキシレン基」とは、C1~C20アルコキシレン基を意味する。
【0033】
本明細書において、特に言及されない限り、「置換」とは、少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ基、C1~C20アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミン基、イミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、エーテル基、カルボキシル基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、リン酸やその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C20アリール基、C3~C20シクロアルキル基、C3~C20シクロアルケニル基、C3~C20シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基、C2~C20ヘテロシクロアルケニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキニル基、C3~C20ヘテロアリール基またはこれらの組み合わせの置換基で置換されたものを意味する。
【0034】
また本明細書において、特に言及されない限り、「ヘテロ」とは、化学式内にN、O、SおよびPのうち少なくとも一つのヘテロ原子が、少なくとも一つ含まれたことを意味する。
【0035】
また本明細書において、特に言及されない限り、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方が可能であることを意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方が可能であることを意味する。
【0036】
本明細書において、別途の定義がない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。また「共重合」とは、ブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0037】
本明細書に示される化学式では別途の定義がない限り、化学結合が表示されるべき位置に化学結合が描かれていない場合、その位置に水素原子が結合されていることを意味する。
【0038】
本明細書において、別途の定義がない限り、「*」は同じまたは異なる原子または化学式と連結する部分を意味する。
【0039】
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、抗酸化剤を含まない、すなわち、抗酸化剤フリー(free)組成物であって、(A)バインダー樹脂、(B)着色剤、(C)重合性単量体、(D)重合開始剤、および(E)溶媒を含み、着色剤および重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、それぞれ80重量%~95重量%および0.65重量%~1.3重量%で含まれ、着色剤は、緑色顔料および黄色顔料を含み、緑色顔料は、着色剤総量に対して50重量%以上で含まれる。
【0040】
従来カラーフォトレジストは、赤色、緑色、青色のカラーパターンで実現されるネガ型感光性液状材料であって、液状材料の組成を少しずつ変形させる方向で技術開発が行われてきた。例えば、カラーパターンを実現する色材である顔料分散液の種類や含有量を変化させて、色純度を改善させようとしたり、バインダー樹脂や光重合開始剤の組成を変化させることにより、パターン性を改善させようとしたり、レベリング剤などのその他添加剤の使用により、コーティング性や色均一性などを改善させようとするなどの努力が続けられてきた。
【0041】
本発明の一実施形態は、従来のカラーフォトレジストとは異なり、マイクロOLED表示装置に使用されるカラーフィルター工程に適用される感光性樹脂組成物、具体的に、緑色カラーフィルター工程に適用される緑色感光性樹脂組成物に関するものである。
【0042】
マイクロOLEDとは、WOLED(White(白色) OLED)をシリコンウエハー(Silicon Wafer)上に蒸着させたものを意味する。発明者の間では、OLEDoS(Organic-Light Emitting Diode on Silicon)と呼ぶこともある。そしてマイクロOLED表示装置とは、マイクロOLEDが適用された表示装置を意味する。
【0043】
4次産業革命時代の到来と共に、メタバース市場が急速に成長し、AR、VR、MR機器の実感性と視認性を高めて、めまい症の誘発を最少化する表示機器開発の必要性が大きくなっている。このために、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)、LEDoS(Light Emitting Diode on Silicon)、OLEDoS(Organic-Light Emitting Diode on Silicon)などの様々な候補となる技術が存在する。このうち明暗比が高く、応答速度が速く、自己発光型であるため、比較的に単純な光学系で機器の体積および重量を減らすことができるという長所から、OLEDoS技術開発が各地で急速に進められている。
【0044】
OLEDoSの場合、高解像度のマイクロディスプレイを実現しなければならないため、従来のディスプレイに比べて非常に小さい数μm単位のピクセルを形成すべきで、下部OLEDの損傷を与えないための低温工程を通じてカラーフィルターを形成しなければならないため、開発に多くの困難がある。
【0045】
本発明者は、このような背景下、低温硬化および微細パターン実現のために、着色剤および重合開始剤の含有量を制御し、さらに着色剤内の緑色顔料の含有量をさらに制御し、抗酸化剤を含まない組成を開発することにより、100℃以下の低温でも硬化が可能なだけでなく、微細パターンを実現し、色均一性に優れた感光性樹脂組成物を完成した。このような特性のため、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、次世代ディスプレイであるVR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)およびMR(Mixed Reality)用表示装置、例えばマイクロOLED表示装置への適用が可能である。
【0046】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0047】
(A)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含むことができる。例えば、バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂であってもよい。
【0048】
アクリル系バインダー樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体、およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体に、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0049】
第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0050】
第1エチレン性不飽和単量体は、アクリル系バインダー樹脂総量に対して、5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0051】
第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボキシ酸エステル化合物、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボキシ酸アミノアルキルエステル化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボキシ酸ビニルエステル化合物、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボキシ酸グリシジルエステル化合物、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物、などが挙げら、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0052】
アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0053】
アクリル系バインダー樹脂は、7,000g/mol以下の重量平均分子量、例えば3,000g/mol~7,000g/molの重量平均分子量を有することができ、50KOHmg/g以上の酸価、例えば、50KOHmg/g~90KOHmg/gの酸価、例えば60KOHmg/g~80KOHmg/gの酸価を有することができ、360g/mol以上の二重結合当量を有することができる。アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量、酸価および二重結合当量が、上記範囲である場合、優れたパターン形成性を有し、製造された薄膜は、優秀な機械的熱的特性を有することができる。
【0054】
バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0055】
バインダー樹脂はエポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことにより、耐熱性を向上させることができる。エポキシ系バインダー樹脂は、例えばフェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0056】
さらに、エポキシ系バインダー樹脂を含むバインダー樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像過程で所望の解像度のピクセルが形成されるようにすることができる。
【0057】
エポキシ系バインダー樹脂は、バインダー樹脂総量に対して、1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれてもよい。エポキシ系バインダー樹脂が上記範囲で含まれる場合、残膜率および耐薬品性が大きく改善される。
【0058】
エポキシ系バインダー樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqであってもよい。上記範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダー樹脂がバインダー樹脂内に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上およびパターンが形成された構造内での着色剤固着に有利な効果がある。
【0059】
バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物総量に対して、1重量%~5重量%、例えば1重量%~4重量%、例えば2重量%~4重量%で含まれてもよい。バインダー樹脂が上記範囲内で含まれる場合、優れた感度、現像性、解像度およびパターンの直進性を得ることができる。
【0060】
(B)着色剤
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、緑色感光性樹脂組成物であってもよく、この場合、組成物内着色剤は緑色顔料および黄色顔料を含むことができる。緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.緑色顔料7、C.I.緑色顔料36、C.I.緑色顔料58、C.I.緑色顔料59などを用いることができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0061】
黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内で、C.I.黄色顔料185、C.I.黄色顔料139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.黄色顔料138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.黄色顔料150などのようなニッケルコンプレックス顔料などを使用することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができ、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0062】
この時、緑色顔料は、黄色顔料より多い重量で含まれてもよい。具体的に、緑色顔料は、着色剤総量に対して50重量%以上で含まれてもよい。また、緑色顔料および黄色顔料を含む着色剤は、一実施形態に係る感光性樹脂組成物総量に対して、80重量%~95重量%、例えば80重量%~90重量%、例えば80重量%~85重量%で含まれてもよい。着色剤の含有量を上記のように制御する中で、着色剤内の緑色顔料の含有量を上記のようにさらに制御する場合、半値幅が狭くなり、色再現率が増加するようになり、630nmでの透過率が減少して視野角が改善される効果を非常に容易に実現することができる。
【0063】
例えば、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、105nm未満の半値幅を有することができ、このため色再現率増加に有利になる。
【0064】
例えば、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、630nmでの透過率が8%未満であってもよく、このため視野角改善効果に優れている。
【0065】
着色剤は、緑色顔料および黄色顔料以外にも、紫色顔料などをさらに含むことができる。
【0066】
紫色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内で、C.I.バイオレット顔料23(V.23)、C.I.バイオレット顔料29、ジオキサジンバイオレット、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレイク、インダントレンブリリアントバイオレットなどを使用することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0067】
顔料はこれらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0068】
顔料は、水溶性無機塩および湿潤剤を利用して前処理して使用することもできる。顔料を前処理して使用する場合、顔料の平均粒径を微細化することができる。
【0069】
前処理は、顔料を水溶性無機塩および湿潤剤と共にニーディング(kneading)するステップ、そしてニーディングステップで得られた顔料をろ過および水洗するステップを経て行うことができる。
【0070】
ニーディングは、40℃~100℃の温度で行われ、ろ過および水洗は、水などを使用して無機塩を水洗後ろ過して行うことができる。
【0071】
水溶性無機塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられるが、これに限定されない。湿潤剤は、顔料および水溶性無機塩が均一に混ざって顔料が容易に粉砕できる媒介体の役割をし、その例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンポリエチレングリコールなどのようなアルコールなどが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0072】
ニーディングステップを経た顔料は、5nm~200nm、例えば5nm~150nmの平均粒径を有することができる。顔料の平均粒径が上記範囲内の場合、顔料ミルベース(顔料分散液)での安定性に優れ、ピクセルの解像性低下のおそれがない。
【0073】
顔料、例えば緑色顔料および黄色顔料などは、それぞれ独立して分散剤および溶媒と共に顔料分散液の形態、例えばミルベースで使用することができる。
【0074】
分散剤は、顔料が分散液内に均一に分散することができ、非イオン性、アニオン性またはカチオン性の分散剤をそれぞれ使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボキシ酸エステル、カルボキシ酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
分散剤の市販される製品の例としては、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など、EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など、Zeneka社のSolsperse5000、Solsperse12000、Solsperse13240、Solsperse13940、Solsperse17000、Solsperse20000、Solsperse24000GR、Solsperse27000、Solsperse28000など、またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0076】
分散剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.1重量%~15重量%で含まれてもよい。分散剤が上記範囲内で含まれる場合、組成物の分散性に優れているため、感光性樹脂膜製造時の安定性、現像性およびパターン性に優れている。
【0077】
顔料分散液は、顔料、分散剤および(分散)溶媒以外にも、分散補助剤、分散樹脂などをさらに含むことができる。固形分の顔料は、顔料分散液総量に対して、5重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%で含まれる。
【0078】
顔料分散液の(分散)溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらの中で、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0079】
分散樹脂は、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性も改善させることができる。
【0080】
着色剤は、顔料を含みながら、染料をさらに含むことができ、この時、一実施形態の感光性樹脂組成物は、ハイブリッド型組成物になることができる。また、染料は特に限定しないが、金属錯体染料を含むことができる。
【0081】
金属錯体染料は、200nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する化合物を使用することができ、色素の組み合わせに色座標を合わせるために、上記範囲の吸光度を有する化合物であれば、有機溶媒に溶解する全てのカラーの金属錯体染料を使用することができる。
【0082】
具体的に、金属錯体染料は、530nm~680nm波長領域で最大吸光度を有する緑色染料、200nm~400nm波長領域で最大吸光度を有する黄色染料、300nm~500nm波長領域で最大吸光度を有するオレンジ染料、500nm~650nm波長領域で最大吸光度を有する赤色染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0083】
金属錯体染料は、直接染料、酸性染料、塩基性染料、酸性媒染染料、硫化染料、還元染料、アゾイック染料、分散染料、反応性染料、酸化染料、有用染料、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、カルボニウムイオン染料、フタルロシアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、シアニン染料、ポリメチン染料、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0084】
金属錯体染料は、Mg、Ni、Cu、Co、Zn、Cr、Pt、PdおよびFeからなる群より選択される少なくとも一つの金属イオンを含むことができる。
【0085】
金属錯体染料はC.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35などのC.I.ソルベント染料、C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109などのC.I.アシッド染料、C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82などのC.I.ダイレクト染料、C.I.ベーシックグリーン1などのC.I.ベーシック染料、C.I.モルダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53などのC.I.モルダント染料、C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料、ソルベントイエロー19、ソルベントイエロー21、ソルベントイエロー25、ソルベントイエロー79、ソルベントイエロー82、ソルベントイエロー88、ソルベントオレンジ45、ソルベントオレンジ54、ソルベントオレンジ62、ソルベントオレンジ99、ソルベントレッド8、ソルベントレッド32、ソルベントレッド109、ソルベントレッド112、ソルベントレッド119、ソルベントレッド124、ソルベントレッド160、ソルベントレッド132およびソルベントレッド218からなる群より選択される少なくとも一つと金属イオンの複合体を使用することができる。
【0086】
金属錯体を含む染料は、一実施形態に係る感光性樹脂組成物に使用される溶媒、すなわち、後述する溶媒に対する溶解度が5以上であり、具体的には5~10であってもよい。溶解度は、溶媒100gに溶解する染料の量(g)で得ることができる。金属錯体を含む染料の溶解度が上記範囲内である場合、一実施形態に係る感光性樹脂組成物を形成する他の成分との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出を防ぐことができる。
【0087】
溶媒は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol mono methyl ether acetate、PGMEA)、乳酸エチル(ethyl lactate、EL)、エチレングリコールエチルアセテート(ethylene glycol ethyl acetate、EGA)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、3-メトキシ-1-ブタノール(3-methoxy-1-butanol)、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0088】
金属錯体を含む染料は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.01重量%~1重量%、例えば0.01重量%~0.5重量%で含まれる。金属錯体を含む染料を上記範囲で使用する場合、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0089】
染料および顔料を混合して使用する場合、0.1:99.9~99.9:0.1の重量比、具体的には1:9~9:1の重量比で混合して使用することができる。重量比範囲で混合する場合、耐薬品性、最大吸収波長を適切な範囲で制御し、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0090】
着色剤は前述したように感光性樹脂組成物総量に対して、80重量%~95重量%、例えば80重量%~90重量%、例えば80重量%~85重量%で含まれる。着色剤が、上記のように非常に高含量で含まれる場合、マイクロOLED表示装置内で着色効果および現像性に優れ、高い色再現率および視野角特性確保が容易になる。
【0091】
(C)重合性単量体
一実施形態に係る感光性樹脂組成物中の重合性単量体は、3個以上の官能基を含む化合物を一つ以上含むことができる。この時、官能基は、(メタ)アクリレート基、エポキシ基などであるが、必ずしもこれに限定されない。
【0092】
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、マイクロOLED表示装置に適用される用途として開発されたもので、低温硬化工程が必須であり、低温硬化パターン工程の場合、熱硬化の寄与度は減り、光硬化の影響がより大きくなる。そこで、光硬化効率を極大化させるのが低温硬化下で優れたパターン性を確保するのに有利であるが、一実施形態によれば、単量体内官能基が少なくとも3個以上である化合物を重合性単量体として使用することによって、光硬化効率を極大化させることができる。具体的に、光硬化効率は、重合性単量体の重量平均分子量および官能基の数に大きい影響を受けるが、重合性単量体の重量平均分子量が小さいほど、そして重合性単量体内の官能基数が多いほど光硬化効率が高くなるのが一般的である。例えば、単量体内の官能基が少なくとも3個である化合物は、重量平均分子量が小さく、官能基数が多いため、光硬化効率を極大化させるのに有利である。
【0093】
例えば、重合性単量体は、2種の化合物の混合物であり、2種の化合物は、それぞれ独立して3個以上の官能基を含む化合物であってもよい。例えば、重合性単量体は、それぞれ独立して3個の官能基を含む重合性化合物および4~6個の官能基を含む重合性化合物の混合物であってもよい。重合性単量体が、上記のような混合組成を有する場合、前述した色特性をそのまま維持しながら光硬化効率を極大化させて低温硬化パターン形成を容易にすることができる。
【0094】
例えば、上記2種の化合物は、互いに1:1の重量比で混合される。2種の化合物が同じ重量比で混合される場合、低温硬化パターン性に最も優れる。
【0095】
例えば、3個の官能基を含む重合性化合物は、下記化学式1で表されるが、必ずしもこれに限定されない。
【0096】
【化1】
【0097】
化学式1中、
~Lは、それぞれ独立して置換または非置換のC1~C20アルキレン基、置換または非置換のC1~C20オキシアルキレン基、またはこれらの組み合わせであり、
~Rは、それぞれ独立して水素原子、ヒドロキシ基、エポキシ基、または置換または非置換の(メタ)アクリレート基であり、ただしR~Rのうち三つは、必ずエポキシ基または置換または非置換の(メタ)アクリレート基である。
【0098】
例えば、4~6個の官能基を含む化合物は、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、またはこれらの組み合わせであるが、必ずしもこれに限定されない。
【0099】
例えば、重合性単量体は、バインダー樹脂より多い含有量で含まれる。従来のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の場合、バインダー樹脂が重合性単量体より多い含有量で含まれることが一般的であったが、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、ガラス基板やポリイミドでないシリコンウエハー上に蒸着されたWOLEDを光源として含むマイクロOLED表示装置に適用されるため、低温硬化が必須であり、したがって重合性単量体の含有量が共に含まれるバインダー樹脂より多い場合、パターン性向上においてより有利である。具体的に、重合性単量体の含有量が、バインダー樹脂より多い場合、低温パターン形成工程で、露光時、後述する光重合開始剤と共に十分な重合を引き起こし、100℃以下の低温工程下でも耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。従来の液晶ディスプレイ(LCD)用カラーフィルターは、レジストを利用して100μm程度のパターンを形成したが、マイクロOLED表示装置用で使用するにはパターンが大き過ぎて、本発明者等は、重合性単量体およびバインダー樹脂の含有量を上記のように制御し、さらに後述する光重合開始剤の含有量も共に制御することにより、微細なパターンを実現して低温硬化を可能にした。
【0100】
重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために、酸無水物で処理して使用することもできる。
【0101】
重合性単量体は、感光性樹脂組成物総量に対して、1重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%で含まれる。重合性単量体が、上記範囲内で含まれる場合、低温パターン形成工程で、露光時硬化が十分に起きて信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性も優れている。
【0102】
(D)重合開始剤
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は重合開始剤を含む。この時、重合開始剤は、感光性樹脂組成物総量に対して、0.65重量%~1.3重量%、例えば0.65重量%~1.0重量%で制御され、重合開始剤の含有量が、上記のように制御される場合、前述した重合性単量体、バインダー樹脂および着色剤の組成と共に低温硬化工程で最適のパターンを形成することができる。上記含有量の範囲からずれる重合開始剤を前述した重合性単量体、バインダー樹脂および着色剤の組成と共に使用する時には、低温硬化工程時パターン性が大きく低下するため、好ましくない。
【0103】
重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシン系化合物、またはこれらの組み合わせなどを使用することができる。
【0104】
アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0105】
ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0106】
チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0107】
ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ペンジルジメチルケタルなどが挙げられる。
【0108】
トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3',4'-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4'-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0109】
オキシン系化合物の例としては、O-アシルオキシン系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシン)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシン)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。O-アシルオキシン系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシン-O-ベンゾエ-ト、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシン-O-ベンゾエ-ト、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシン-O-アセテート、および1-(4-フェスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシン-O-アセテートなどを使用するが、必ずしもこれに限定されない。
【0110】
重合開始剤は、化合物以外にも、例えばカーバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、非イミダゾール系化合物などと共に使用することもできる。
【0111】
(E)溶媒
溶媒は、着色剤を含む顔料分散液、バインダー樹脂、重合性単量体および重合開始剤との相性性を有するものの、反応しない物質を使用することができる。
【0112】
溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラハイドロフランなどのエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類、メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類、ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0113】
これらのうち、好ましくは相性性および反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類が使用される。
【0114】
溶媒は、感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば0.1重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5重量%、例えば0.1重量%~3重量%で含まれてもよい。溶媒が上記範囲内に含まれる場合、感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することにより、感光性樹脂膜製造時工程性に優れる。
【0115】
(F)その他添加剤
一方、感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオ-ル、シラン系カップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができるが、抗酸化剤は含まない。
【0116】
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、前述した組成のバインダー樹脂、着色剤、重合性化合物、重合開始剤および溶媒を含むため、ここに抗酸化剤がさらに含まれる場合、光硬化反応が正しく進まないため、低温硬化工程時パターン形成が完全ではなく、高解像度パターン形成ができない場合がある。したがって、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、抗酸化剤を含まない、すなわち抗酸化剤フリー(free)の組成を有する。
【0117】
シラン系カップリング剤は、基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有することができる。
【0118】
シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0119】
シラン系カップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して、0.01重量部~10重量部で含まれる。シラン系カップリング剤が、上記範囲内で含まれる場合、密着性、保存性などに優れる。
【0120】
また感光性樹脂組成物は、必要に応じてコーティング性向上および欠点生成防止効果のために、界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤および/またはシリコン系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0121】
フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など、大日本インキ化学工業(株)社のメガパックF 142D(登録商標)、同F 172(登録商標)、同F 173(登録商標)、同F 183(登録商標)、同F 554(登録商標)、同F 556(登録商標)など、スミトモスリエム(株)社のフルオダッドFC-135、同FC-170C、同FC-430、同FC-431など、旭硝子(株)社のサーフロンS-112、同S-113、同S-131、同S-141、同S-145など、東レシリコン(株)社のSH-28PA、同-190、同-193、SZ-6032、SF-8428などの名称で市販されているものを使用することができる。
【0122】
シリコン系界面活性剤ではBYK Chem社のBYK-307、BYK-333、BYK-361N、BYK-051、BYK-052、BYK-053、BYK-067A、BYK-077、BYK-301、BYK-322、BYK-325などの名称で市販されているものを使用することができる。
【0123】
界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して、0.001重量部~5重量部で使用される。界面活性剤が、上記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、IZO基板またはガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0124】
また感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で安定剤などのその他添加剤が一定量添加されてもよい。
【0125】
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよいが、遮光性を有する組成物の露光および現像後パターンが露出される領域の残基(residue)をより完ぺきに除去するためには、ネガ型であることがより好ましい。
【0126】
他の一実施形態は、前述した感光性樹脂組成物を低温硬化、露光および現像して製造された感光性樹脂膜を提供する。従来のLCD工程と比較して、後硬化(ポストベ-キング)工程が不要であるという点で差がある。
【0127】
感光性樹脂膜の製造方法は次の通りである。
【0128】
(1)塗布および塗装膜形成ステップ(低温硬化)
感光性樹脂組成物を所定の前処理をしたガラス基板またはITO基板などの基板上にスピンまたはスリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などの方法を使用して所望の厚さに塗布した後、100℃以下、例えば85℃で1分~10分間加熱して溶剤を除去することによって感光性樹脂膜を形成する。このステップを通じて画質染み改善などが可能になる。
【0129】
(2)露光ステップ
得られた感光性樹脂膜に必要なパターン形成のために、マスクを介在した後、i-lineの活性線を照射する。照射に使用される光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってはX線、電子線なども利用することができる。
【0130】
露光量は、組成物各成分の種類、配合量および乾燥膜の厚さによって異なるが、高圧水銀灯を使用する場合は、500mJ/cm(365nmセンサーによる)以下である。但し、場合によって露光量は、500mJ/cm(365nmセンサーによる)を超えてもよい。このステップにより、ピクセルサイズの微細調整が可能となり、高解像度を実現させることができる。
【0131】
(3)現像ステップ
現像方法としては、露光ステップに続き、アルカリ性水溶液を現像液として利用して不要な部分を溶解、除去することで、露光部分だけを残存させてパターンを形成させる。このステップにより、プロファイルを形成して高解像度を実現させることができ、色均一特性を確保して鮮明度を改善させることができる。
【0132】
さらに他の一実施形態は、感光性樹脂膜を含む表示装置を提供する。
【0133】
表示装置は、マイクロ有機発光素子(OLED)表示装置であってもよい。
【0134】
マイクロ有機発光素子(OLED)表示装置は、シリコンウエハー上に蒸着されたOLED基板およびOLED基板上に積層され、OLED基板で発生した白色光を複数のカラー光に変換するカラーフィルター層を含み、カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルターおよび青色カラーフィルターを含むことができる。
【0135】
例えば、マイクロ有機発光素子(OLED)表示装置は、シリコンウエハー上に蒸着されたOLED基板、OLED基板上に積層される無機層、無機層上に積層される保護接着層、および保護接着層上に積層され、OLED基板で発生した白色光を複数のカラー光に変換するカラーフィルター層を含み、カラーフィルター層は、赤色カラーフィルター、緑色カラーフィルターおよび青色カラーフィルターを含むことができる。
【0136】
例えば、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、緑色感光性樹脂組成物であって、マイクロOLED表示装置内の緑色カラーフィルターは、緑色感光性樹脂組成物の低温硬化膜であってもよい。
【0137】
従来は、ガラス基板やポリイミド基板にOLEDが蒸着されたOLED基板を使用したが、一実施形態に係るマイクロOLED表示装置は、シリコンウエハー上にOLEDが蒸着されていて、マイクロディスプレイの実現により有利である。このようなマイクロディスプレイは、次世代ディスプレイとして脚光を浴びており、マイクロディスプレイはMRなどの機器に適用される予定である。実際、アップル社、メタ社、LGディスプレイ社などは全て次世代MR機器市場に既に参入しているか、または参入を予告した状態である。
【0138】
例えば、マイクロOLED表示装置は、マイクロレンズアレイをさらに含むことができる。マイクロレンズアレイは、保護接着層上に位置することができ、カラーフィルター層を囲むことができる。
【0139】
上記のような構造のマイクロOLED表示装置は、高集積シリコンウエハー上にWOLEDが蒸着され、ピクセル単位で駆動され、3μm以下の解像度でパターニングされたカラーフィルター層を介して、透過波長制御が容易であるため、高色再現および高解像度確保に有利である。
【0140】
例えば、保護接着層の厚さは1μm以下であってもよい。この場合、上記効果をより極大化することができる。
【0141】
例えば、カラーフィルター層の厚さは1.1μm~1.6μmであってもよい。
【0142】
カラーフィルター層の厚さが上記のように制御される場合、マイクロOLED表示装置の実現により有利である。
【0143】
例えば、無機層の厚さは2μm以下であってもよい。WOLEDであっても、光が常にOLED基板と垂直な方向にだけ拡散するわけではないので、赤色、緑色および青色の混色が必然的に発生せざるを得ないが、そこで、従来はこのような混色防止のためにOLED基板上に無機層を蒸着した。しかし、無機層を蒸着しても、混色が完璧には防止されないため、一実施形態では、無機層を薄膜化、例えば無機層の厚さを2μm以下に制御することにより、微細な光漏れ現像を防止することができる。
【0144】
一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、前述したようにプリベーキング時の低温(100℃)硬化およびi-line光硬化だけでも硬化膜の製造が可能であるため、従来の表示装置とは実現可能な解像度において、大きい差が生じる。
【0145】
以下、本発明の好ましい実施例を開示する。但し、下記の実施例は、本発明の好ましい一実施例であり、本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例0146】
(感光性樹脂組成物の製造)
実施例1~実施例23および比較例1~比較例14
【0147】
下記表1~表5に示す組成で、溶媒に重合開始剤を溶解した後、2時間常温で攪拌した。これに、バインダー樹脂、重合性単量体を添加し、1時間常温で攪拌した。これにその他添加剤および着色剤を添加した後、1時間常温で攪拌した後、溶液全体を2時間攪拌した。上記溶液に対して3回にかけたろ過を行って不純物を除去して感光性樹脂組成物を製造した。
【0148】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】
【0149】
(A)バインダー樹脂
(A-1)アクリル系バインダー樹脂(SP-RY38、showadenko社)(69KOHmg/g、6000g/mol、370g/mol)
(A-2)アクリル系バインダー樹脂(SP-RY92、showadenko社)(35KOHmg/g、6000g/mol、350g/mol)
(A-3)アクリル系バインダー樹脂(SP-RY92-M10、showadenko社)(34KOHmg/g、9000g/mol、340g/mol)
【0150】
(B)着色剤
(B-1)緑色顔料分散液(Sanyo社、G58)
(B-2)黄色顔料分散液(Sanyo社、Y139)
【0151】
(C)重合性単量体
(C-1)pentaerythritol triacrylate(PE-3A、共栄社)
(C-2)ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA、日本化薬社)
(C-3)下記化学式Aで表される化合物(M200、味元ケミカル社)
【0152】
【化2】
【0153】
(D)重合開始剤
オキシン系開始剤(SPI-03、三養社)
【0154】
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、Daicel社)
【0155】
(F)その他添加剤
(F-1)レベリング剤(F-556、DIC社)
(F-2)シラン系カップリング剤(KBM503、ShinEtsu社)
(F-3)抗酸化剤(2-Methylhydroquinone、JHChem社)
【0156】
評価1
K-spin8(Track)装備を使用して、サンプルごとに一定の厚さ(1.5um)に到達できるrpmで実施例1~実施例23および比較例1~比較例14に係る感光性組成物を8inch silicon waferにコーティングを行った。その後、Track装備のHot Plate内で100℃で3分間または85℃で6分間Bakeを行い、Nikon社のi-line stepperで露光量を調節して、Pattern露光を行った。その後現像を行ってパターンを形成した。パターンは、Hitachi社のCD-SEMを利用して1.6um pattern CDを測定した。
【0157】
色特性評価の場合、パターン(基板)製作過程は、上記と同様な方法で行ったが、Glassウエハーを利用した点と厚さをTarget(1.5um)に正確に合わせることができず、各サンプル当り2枚ずつ基板を製作した点が異なる。色測定の場合は、微細パターン色度測定器(LCF)を利用して測定した。
【0158】
実験結果を下記表6および表7に示す。
【0159】
【表6】

【表7】
【0160】
表6および表7を通じて、一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、低温硬化を行ったにもかかわらず、微細パターン実現が可能であり、色特性に優れており、広い色領域の確保が可能でことが確認できる。
【0161】
本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施することができることを理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。
図1