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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012142
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】自動カウンセリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20250117BHJP
【FI】
G06F16/90 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114737
(22)【出願日】2023-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 英紀
(72)【発明者】
【氏名】中川 聡
(72)【発明者】
【氏名】國吉 康夫
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175EA01
(57)【要約】
【課題】利用者の認知的側面を充足して、利用者の共感を得るような応答が可能な自動カウンセリングシステムを得る。
【解決手段】自動カウンセリングシステム100は、複数の質問文、及び複数の質問文の各々との間における因果関係が登録された対話シナリオを格納した対話シナリオ記憶部11を有する記憶装置1と、対話シナリオに登録された質問文を、出力部4を介して利用者に対して出力する質問文生成部21と、利用者から得られた回答を認識する回答文認識部22と、利用者から得た因果関係を満たす回答から検出された感情表現の極性に応じた感情的共感応答を出力する感情的共感応答生成部26と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の質問文、及び前記複数の質問文の各々との間における因果関係が登録された対話シナリオを格納した対話シナリオ記憶部を有する記憶装置と、
前記対話シナリオに登録された質問文を利用者に対して出力する出力部と、
前記利用者から得られた回答を認識する回答文認識部と、
前記利用者から得た前記因果関係を満たす回答から検出された感情表現の極性に応じた感情的共感応答を出力する感情的共感応答生成部と、
を含む自動カウンセリングシステム。
【請求項2】
前記因果関係を満たす質問文に対応した回答のペアが検出された場合に、該回答のペアを変形して、因果関係に基づく認知的共感応答を生成して出力する認知的共感応答生成部をさらに含み、
前記感情的共感応答生成部は、前記認知的共感応答の出力後に、前記感情的共感応答を出力する請求項1に記載の自動カウンセリングシステム。
【請求項3】
前記感情表現と極性の程度とを対応付けた感情表現辞書を検索して、前記回答から検出された感情表現の極性の程度を抽出する感情状態認識部をさらに含み、
前記感情的共感応答生成部は、前記極性の程度に対応する共感表現を記録した感情的共感応答辞書から、前記感情状態認識部が抽出した極性の程度に対応する共感表現を抽出して前記感情的共感応答として出力する請求項2に記載の自動カウンセリングシステム。
【請求項4】
日常語の類義語、及び前記感情表現辞書に記載された文言の定義文が各々格納された言い換え表現記憶部と、
前記認知的共感応答生成部で生成した前記認知的共感応答、及び前記感情的共感応答生成部で生成した前記感情的共感応答の各々に含まれる置き換え可能な表現を、前記言い換え表現記憶部に格納された前記類義語、及び前記定義文の少なくともいずれかで置き換える言い換え表現生成部と、
をさらに含む請求項3に記載の自動カウンセリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動カウンセリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の状態を分析し、的確な応答を生成して出力する対話型の自動カウンセリングシステムがある。
【0003】
特許文献1には、利用者が入力した入力文から利用者の感情状態を算出して感情状態履歴を更新すると共に、更新した感情状態履歴に基づき、応答マスタから文字列を複数組読み出して繋げることで感情的側面を満たす共感的応答のための応答文を生成する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-014834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他者の視点に立ったアドバイスを行うには、利用者の感情の生成原因を把握することを要する。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、利用者の感情の状態と、当該感情の生成原因とを認識する手段を有しないので、利用者の共感を得るような応答が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、利用者の認知的側面を充足して、利用者の共感を得るような応答が可能な自動カウンセリングシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の自動カウンセリングシステムは、複数の質問文、及び前記複数の質問文の各々との間における因果関係が登録された対話シナリオを格納した対話シナリオ記憶部を有する記憶装置と、前記対話シナリオに登録された質問文を利用者に対して出力する出力部と、前記利用者から得られた回答を認識する回答文認識部と、前記利用者から得た前記因果関係を満たす回答から検出された感情表現の極性に応じた感情的共感応答を出力する感情的共感応答生成部と、を含む。
【0008】
請求項1に記載の自動カウンセリングシステムによれば、回答から検出された感情表現の極性に応じた感情的共感応答を生成して出力することにより、利用者の認知的側面を充足して、利用者の共感を得るような応答が可能となる。なお、感情的共感応答の生成は、例えば、機械学習により構築された学習済みモデルを使用することで実現される。
【0009】
請求項2に記載の自動カウンセリングシステムは、前記因果関係を満たす質問文に対応した回答のペアが検出された場合に、該回答のペアを変形して、因果関係に基づく認知的共感応答を生成して出力する認知的共感応答生成部をさらに含み、前記感情的共感応答生成部は、前記認知的共感応答の出力後に、前記感情的共感応答を出力する。
【0010】
請求項2に記載の自動カウンセリングシステムによれば、因果関係を満たす質問文に対応した回答のペアを変形して、利用者の共感が得られるような認知的共感応答を出力できる。なお、認知的共感応答の生成は、例えば、機械学習により構築された学習済みモデルを使用することで実現される。
【0011】
請求項3に記載の自動カウンセリングシステムは、前記感情表現と極性の程度とを対応付けた感情表現辞書を検索して、前記回答から検出された感情表現の極性の程度を抽出する感情状態認識部をさらに含み、前記感情的共感応答生成部は、前記極性の程度に対応する共感表現を記録した感情的共感応答辞書から、前記感情状態認識部が抽出した極性の程度に対応する共感表現を抽出して前記感情的共感応答として出力する。
【0012】
請求項3に記載の自動カウンセリングシステムによれば、感情表現のポジティブ又はネガティブの程度を示す極性の程度に対応する共感表現を記録した感情的共感応答辞書から、利用者の回答が示す極性の程度に応じた感情的共感応答を抽出して出力できる。
【0013】
請求項4に記載の自動カウンセリングシステムは、日常語の類義語、及び前記感情表現辞書に記載された文言の定義文が各々格納された言い換え表現記憶部と、前記認知的共感応答生成部で生成した前記認知的共感応答、及び前記感情的共感応答生成部で生成した前記感情的共感応答の各々に含まれる置き換え可能な表現を、前記言い換え表現記憶部に格納された前記類義語、及び前記定義文の少なくともいずれかで置き換える言い換え表現生成部と、をさらに含む。
【0014】
請求項4に記載の自動カウンセリングシステムによれば、認知的共感応答、及び感情的共感応答の各々を、類義語、及び定義文を用いて、利用者を理解し、利用者が自分の気持ちを受け止めてくれると感じられるように言い換えることにより、自動カウンセリングシステムと利用者との信頼関係を高め、利用者の自己開示を促進することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る自動カウンセリングシステムによれば、利用者の認知的側面を充足して、利用者の共感を得るような応答が可能な自動カウンセリングシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る自動カウンセリングシステムの具体的な構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る自動カウンセリングシステムの処理の一例を示したフローチャートである。
図3】複数の質問文と、各々の質問文との間における因果関係が登録された対話シナリオの一例である。
図4】(A)は、感情表現と極性スコアとを対応付けた感情表現辞書の一例であり、(B)は、極性スコア応じた共感表現が記録された感情的共感応答辞書の一例である。
図5】本発明の第2実施形態に係る自動カウンセリングシステムの具体的な構成の一例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図1を用いて、本実施形態に係る自動カウンセリングシステム100について説明する。図1は、本実施形態に係る自動カウンセリングシステム100の具体的な構成の一例を示すブロック図である。自動カウンセリングシステム100は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置1と、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備える処理装置2と、マイク又はキーボード等である入力部3と、スピーカ又はディスプレイである出力部4とを含むコンピュータである。
【0018】
記憶装置1は、認知行動療法等のメンタルケアのための対話シナリオを格納した対話シナリオ記憶部11を備えている。対話シナリオ記憶部11に格納された対話シナリオは、図3に示したように、複数の質問文と、各々の質問文との間における因果関係が登録されている。
【0019】
処理装置2は、対話シナリオ記憶部11に格納されている質問文を例えば図3に示した番号(順番)で出力部4を通じて利用者に提示する質問文生成部21と、入力部3を介して入力された利用者からの回答を認識し、テキストデータに変換する回答文認識部22と、回答文認識部22によりテキストデータ化された利用者の回答を一時的に記憶しておき、対話シナリオ記憶部11に登録されている因果関係を満たす質問文1及び質問文2に対応した下記の回答1及び回答2が取得された際に後段の認知的共感応答生成部24に回答1と回答2とのペアを出力する因果関係認識部23と、因果関係認識部23から出力された回答1と回答2とのペアを変形して、因果関係に基づく認知的共感応答を生成する認知的共感応答生成部24と、回答文認識部22によりテキストデータ化された利用者の回答に感情を示す表現の有無、及び当該感情がポジティブかネガティブかの極性を判断する感情状態認識部25と、感情状態認識部25で判断した感情表現と当該感情表現の極性とに応じて、感情的共感応答を生成する感情的共感応答生成部26とを含む。
【0020】
処理装置2は、以上の構成により、以下のような認知的側面に配慮した認知的共感応答と、感情的側面に配慮した感情的共感応答とを生成する。
(1)質問文生成部21が、対話シナリオ記憶部11から下記の質問1を選択して出力
質問1「つらいと思っていることは何ですか?」
(2)質問1に対する利用者の回答1
回答1「後輩に仕事がうまく教えられません」
(3)質問文生成部21が、対話シナリオ記憶部11から質問1と因果関係のある質問2を選択して出力
質問2「その時、どんな気分になりましたか?」
(4)質問2に対する利用者の回答2
回答2「自己嫌悪になります」
(5)認知的共感応答生成部24が、回答1と回答2とを変形して認知的共感応答を出力
認知的共感応答「なるほど。後輩に仕事を教えられなくて、自己嫌悪になっているのですね」
(6)感情的共感応答生成部26が、感情状態認識部25で判断した極性に応じた感情的共感応答を生成して出力
感情的共感応答「それは、おつらいですね」
【0021】
認知的共感応答生成部24による回答1及び回答2の各々の変形による認知的共感応答の生成、感情状態認識部25による回答の感情表現の極性の判断、並びに感情的共感応答生成部26による感情的共感応答の生成等の各々は、学習済みモデルを使用して実現される。この学習済みモデルは、例えば、LSTM(Long Short-Term Memory)等のアーキテクチャを、サンプルとして予め用意した質問文、回答文、回答文が含む感情表現の極性、認知的共感応答、及び感情的共感応答を教師データとした機械学習によって構築される。
【0022】
図2は、本実施形態に係る自動カウンセリングシステム100の処理の一例を示したフローチャートである。ステップS100では、質問文生成部21が、対話シナリオ記憶部11に格納されている図3に示した質問文を、番号1から出力部4を介して発話(出力)する。質問文の構成が図3に示したようであれば、番号1に相当する「つらいと思っていることは何ですか?」を選択して出力する。
【0023】
ステップS102では、入力部3を介し利用者からの回答を取得する。回答は、一例として、「後輩にうまく仕事を教えられません」である。取得した回答は、回答文認識部22によりテキストデータ化される。
【0024】
ステップS103では、因果関係認識部23が、因果関係のある質問文に対応した回答を取得したか否かを判定する。具体的には、因果関係認識部23は、テキストデータ化された利用者からの回答を一時的に記憶し、対話シナリオ記憶部11に登録されている因果関係を満たす質問文に対する回答のペアが取得されたか否かを判断する。例えば、質問1を発話した段階では因果関係を満たす回答のペアは取得されないので、手順をステップS105に移行する。ステップS103で因果関係を満たす回答のペアが取得された場合は、手順をステップS104に移行する。ステップS104での処理の詳細は後述する。
【0025】
ステップS105では、感情状態認識部25が、テキストデータ化された利用者の回答文における感情を表す表現の有無、及び当該感情の極性(ポジティブ又はネガティブ)を判断する。ステップS105で、回答文に感情的表現が含まれる場合は手順をステップS106に移行する。ステップS105で、例えば、質問1に対する回答が「後輩にうまく仕事を教えられません」のような特に感情表現は含まれていない場合は、手順をステップS107に移行する。ステップS106での処理の詳細は後述する。
【0026】
ステップS107では、質問文生成部21が、対話シナリオ記憶部11に未発話の質問が残っているか否かを判定する。質問1のみが発話された段階では、質問2以降の質問文が未発話なので、手順をステップS101に移行する。
【0027】
ステップS107から手順を移行した場合、ステップS101では、質問文生成部21は、例えば、対話シナリオ記憶部11に格納されている質問2「その時、どんな気分になりましたか?」を発話する。
【0028】
ステップS102では、入力部3を介し利用者からの回答を取得する。回答は、一例として、「自己嫌悪になります」である。取得した回答は、回答文認識部22によりテキストデータ化される。
【0029】
ステップS103では、因果関係認識部23が、因果関係のある回答を取得したか否かを判定する。例えば、質問2を発話した段階では、図3に示した因果関係を満たした質問1と質問2とのペアが揃ったので、因果関係認識部23は、肯定判定を行い、認知的共感応答生成部24に質問1と質問2との回答ペアである回答1「後輩にうまく仕事を教えられません」→回答2「自己嫌悪になります」を出力し、手順をステップS104に移行する。
【0030】
ステップS104では、認知的共感応答生成部24が、因果関係認識部23から出力された回答のペア回答1「後輩にうまく仕事を教えられません」→回答2「自己嫌悪になります」を、因果関係を表す表現に変換する。具体的には、回答1と回答2とを変形して認知的共感応答を生成する。例えば、回答1「後輩にうまく仕事を教えられません」を「なるほど。“後輩にうまく仕事を教えられ”なくて」と変形すると共に、回答2「自己嫌悪になります」を「“自己嫌悪にな”っているのですね」と変形する。回答1の変形では、回答1の“後輩にうまく仕事を教えられ”を引用し、回答2の変形では、回答2の“自己嫌悪にな”を引用する。そして、変形した回答1及び回答2を合成した認知的共感応答「なるほど。後輩に仕事を教えられなくて、自己嫌悪になっているのですね」を生成して発話する。
【0031】
ステップS105では、感情状態認識部25が、テキストデータ化された利用者の回答文における感情を表す表現の有無、及び当該感情の極性を判断する。具体的には、回答文に含まれる文言で感情状態認識部25が保持している感情表現と極性スコアとを対応付けた感情表現辞書(図4(A))を検索し、検索でヒットした感情表現に紐付けられた極性スコアを抽出できた場合に、肯定判定をする。例えば、回答1が「後輩にうまく仕事を教えられません」であり、回答2が「自己嫌悪になります」であれば、回答2には感情表現辞書に格納された「自己嫌悪」が含まれるので、ステップS105で感情状態認識部25は、極性スコア「-0.3」を抽出して手順をステップS106に移行する。
【0032】
ステップS106では、感情的共感応答生成部26が、感情状態認識部25から出力された感情表現と当該感情表現に対応した極性スコアとに応じて、感情的共感応答を生成して発話する。具体的には、図4(B)に示したような、感情的共感応答生成部26が予め保持している感情的共感応答辞書を検索し、感情状態認識部25から出力された極性スコアに該当する共感表現を抽出して発話する。例えば、感情状態認識部25から出力された極性スコアが「-0.3」の場合、感情的共感応答生成部26は、「それは、おつらいですね」を発話する。感情的共感応答辞書は、図4(B)に示したように、極性の程度を示す極性スコア応じた共感表現が記録されている。
【0033】
ステップS107では、質問文生成部21が、対話シナリオ記憶部11に未発話の質問が残っているか否かを判定する。本実施形態では、対話シナリオ記憶部11に格納された質問文を全て発話するまでステップS101~S106の手順を繰り返す。例えば、図3に示した対話シナリオであれば、ステップS101で質問文8まで発話して、ステップS104で認知的共感応答を発話し、ステップS106で感情的共感応答を発話した場合に、ステップS107で否定判定をして処理を終了する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、時系列で取得した利用者の複数の回答文から因果関係を有する回答文のペアを抽出し、当該回答文から検出された感情表現の極性に応じた感情的共感応答を生成して出力することにより、利用者の認知的側面を充足して、利用者の共感を得るような応答が可能となる。
【0035】
本実施形態では、感情表現、及び当該感情表現の極性は、利用者の回答文に含まれる文言で予め設定された感情表現辞書を検索することにより抽出する。そして、抽出した極性スコアに対応する共感表現を、予め設定された感情的共感応答辞書から抽出して出力する。かかる処理により、本実施形態は、他者の視点に立って物事を考えるような利用者の認知的側面を満たすことができる。
【0036】
[第2実施形態]
続いて本発明の第2実施形態について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る自動カウンセリングシステム200の具体的な構成の一例を示したブロック図である。本実施形態は、記憶装置1に言い換え表現記憶部12が含まれ、処理装置2に言い換え表現生成部27が含まれる点で第1実施形態と相違するが、他の構成は第1実施形態と同じなので、第1実施形態と同じ構成については第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
言い換え表現記憶部12には、日常語の類義語、及び感情表現辞書に記載された文言の定義文が各々格納されている。例えば、「仕事を教える」の類義語は「指導する」であり、感情表現辞書に記載された文言である「自己嫌悪」の定義文は「自分自身が嫌いになる」である。
【0038】
言い換え表現生成部27は、認知的共感応答生成部24及び感情的共感応答生成部26が生成した文言のうち、類義語、又は感情表現辞書に記載された感情表現の定義文で置き換え可能な表現を、類義語、又は定義文で置き換える。具体的には、図2のステップS104で生成した認知的共感応答が「なるほど。後輩に仕事を教えられなくて、自己嫌悪になっているのですね」の場合、下記のような言い換えが生成される。
「なるほど、後輩にうまく指導できなくて、自分自身が嫌いになっているのですね」
【0039】
本実施形態では、上記のように言い換えることにより、利用者はより自分のことを理解し、気持ちを受け止めてくれると感じるため、自動カウンセリングシステム200と利用者との信頼関係を高め、利用者の自己開示を促進することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 記憶装置
2 処理装置
3 入力部
4 出力部
8 質問文
11 対話シナリオ記憶部
12 言い換え表現記憶部
21 質問文生成部
22 回答文認識部
23 因果関係認識部
24 認知的共感応答生成部
25 感情状態認識部
26 感情的共感応答生成部
27 言い換え表現生成部
100 自動カウンセリングシステム
200 自動カウンセリングシステム
図1
図2
図3
図4
図5