(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025124512
(43)【公開日】2025-08-26
(54)【発明の名称】クロロスルホン化プロピレン系重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 8/38 20060101AFI20250819BHJP
C08F 297/00 20060101ALI20250819BHJP
C09J 123/28 20060101ALI20250819BHJP
【FI】
C08F8/38
C08F297/00
C09J123/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020618
(22)【出願日】2024-02-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業「界面マルチスケール4次元解析による革新的接着技術の構築」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴大
(72)【発明者】
【氏名】永江 勇介
【テーマコード(参考)】
4J026
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J026HA04
4J026HB03
4J026HB04
4J026HB20
4J026HD03
4J026HD04
4J026HE01
4J040DA101
4J040DA181
4J040MA02
4J040MB05
4J040MB09
4J100AA02Q
4J100AA03P
4J100CA03
4J100CA04
4J100CA25
4J100CA31
4J100DA01
4J100GC02
4J100GD02
4J100HA21
4J100HA61
4J100HB24
4J100HB50
4J100HC05
4J100HC54
4J100HE14
4J100HE32
4J100HE35
4J100HG04
4J100JA03
4J100JA05
(57)【要約】
【課題】 ポリプロピレン系樹脂と金属との良好な接着性、特に表面未改質の金属表面基材であっても、良好な接着性を有するポリマー材料を提供する。
【解決手段】 プロピレン系重合体に塩素およびクロロスルホン基が結合したクロロスルホン化プロピレン系重合体であって、プロピレン系重合体がブロックポリプロピレンであり、かつ、塩素含有量が23.1~40.0重量%であるクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン系重合体に塩素およびクロロスルホン基が結合したクロロスルホン化プロピレン系重合体であって、プロピレン系重合体がブロックポリプロピレンであり、かつ、塩素含有量が23.1~40.0重量%であるクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【請求項2】
硫黄含有量が0.1~5.0重量%である、請求項1に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【請求項3】
重量平均分子量が10万~80万である、請求項1に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【請求項4】
ブロックポリプロピレンのエチレン含有量が2.0~25.0mol%である、請求項1に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【請求項5】
請求項1に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体を含む接着剤。
【請求項6】
請求項1に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体を含む粘着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン系重合体に塩素およびクロロスルホン基が結合したクロロスルホン化プロピレン系重合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属の接合には溶接、リベット、ボルト接合などが主に用いられてきたが、今日の科学技術の進歩に伴い、要求される材料等の性能・機能が厳しくなると共に、異種材との接着が要求されており、これらの要求を達成する為、接着の技術が注目・進展されている。
【0003】
更に今後は自動車分野を始めとした技術革新によりポリプロピレン―金属のような異種材料の接着技術が重要となることが見込まれている。
【0004】
ポリプロピレンは優れる加工性、物理特性、リサイクル性や価格の面で多岐にわたる用途で広く使用されている一方、難接着材料であり表面処理等を施しても十分な接着強度を確保するのは困難となっている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
ポリプロピレン系樹脂に対する密着性の向上については、プロピレンホモポリマーやプロピレン-エチレン共重合体を原料としたクロロスルホン化ポリプロピレンが検討されている(例えば、特許文献1参照。)が、ポリプロピレン系樹脂のプライマーとして水系エマルションを作製し、塗膜の密着性について評価するものであり、ポリプロピレン系樹脂と金属との異種材接着に関する内容は全く検討されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本接着学会誌 Vol.54 No6(2018) 項212~
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的はポリプロピレン等の樹脂と金属の異種材料に対して優れた接着性を発揮することができる、クロロスルホン化プロピレン系重合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち本発明は以下[1]~[6]にかかるものである。
【0010】
[1] プロピレン系重合体に塩素およびクロロスルホン基が結合したクロロスルホン化プロピレン系重合体であって、プロピレン系重合体がブロックポリプロピレンであり、かつ、塩素含有量が23.1~40.0重量%であるクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【0011】
[2] 硫黄含有量が0.1~5.0重量%である、[1]に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【0012】
[3] 重量平均分子量が10万~80万である、[1]に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【0013】
[4] ブロックポリプロピレンのエチレン含有量が2.0~25.0mol%である、[1]に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体。
【0014】
[5] [1]に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体を含む接着剤。
【0015】
[6] [1]に記載のクロロスルホン化プロピレン系重合体を含む粘着剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明のクロロスルホン化プロピレン系重合体はポリプロピレン等の樹脂と金属の異種材料に対して優れた接着性を示す接着剤の製造が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の一態様であるクロロスルホン化プロピレン系重合体は、プロピレン系重合体に塩素およびクロロスルホン基が結合したクロロスルホン化プロピレン系重合体であって、プロピレン系重合体がブロックポリプロピレンであり、かつ、塩素含有量が23.1~40.0重量%であるクロロスルホン化プロピレン系重合体である。
【0019】
クロロスルホン化プロピレン系重合体の塩素含有量は、優れた接着性、特に金属への優れた接着性が得られることから、23.1重量%以上であり、好ましくは23.5重量%以上であり、さらに好ましくは24.0重量%以上である。また、優れた接着性、特にポリプロピレンをはじめとする低極性樹脂及び金属への優れた接着性が得られることから、塩素含有量は40.0重量%以下であり、好ましくは35.0重量%以下であり、より好ましくは30.0重量%以下であり、さらに好ましくは27.0重量%以下である。
【0020】
クロロスルホン化プロピレン系重合体の硫黄含有量は、優れた接着性、特に金属への優れた接着性が得られることから、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.2重量%以上であり、さらに好ましくは0.3重量%以上である。また、硫黄含有量は、ポリマーの安定性が優れることから、好ましくは5.0重量%以下であり、より好ましくは4.0重量%以下であり、さらに好ましくは3.0重量%以下である。
【0021】
クロロスルホン化プロピレン系重合体の重量平均分子量は、優れた接着性が得られることから、好ましくは10万以上であり、より好ましくは15万以上であり、さらに好ましくは20万以上である。また、優れた加工性が得られることから、好ましくは80万以下であり、より好ましくは70万以下であり、さらに好ましくは60万以下である。
【0022】
クロロスルホン化プロピレン系重合体は、如何なる方法により得られたものであってもよく、例えばクロロスルホン化プロピレン系重合体を構成する原料プロピレン系重合体をクロロスルホン化することにより得ることができる。
【0023】
クロロスルホン化プロピレン系重合体の主鎖骨格であるプロピレン系重合体は、ブロックポリプロピレンである。ここで、ブロックポリプロピレンとは、ポリプロピレンホモポリマー中にポリエチレン成分及び/又はエチレン-プロピレン共重合体成分が分散したポリマーである。ブロックポリプロピレンは、耐衝撃ポリプロピレン、インパクトポリプロピレン、インパクトコポリマー、ICP等の名称で呼ばれることもあるが、これらも包括したものである。ブロックポリプロピレンは、例えば、プロピレン単独重合とプロピレンとエチレンの共重合とを連続して実施する2段階の重合により製造することができる。
【0024】
ブロックポリプロピレンのエチレン含有量は、優れた接着性、特にポリプロピレンをはじめとする低極性樹脂及び金属への優れた接着性が得られることから、好ましくは2.0mol%以上であり、より好ましくは3.0mol%以上であり、さらに好ましくは4.0mol%以上である。また、耐熱性が優れることから、好ましくは25.0mol%以下であり、より好ましくは23.0mol%以下であり、さらに好ましくは21mol%以下であり、特に好ましくは20.0mol%以下である。
【0025】
クロロスルホン化プロピレン系重合体を得る方法としては、特に制限するものでは無く例えば、プロピレン系重合体を不活性な溶媒に均一に溶解させて反応する溶液法、プロピレン系重合体を溶剤に懸濁させて反応させる懸濁法、プロピレン系重合体を無溶剤下で溶解させ反応させる溶解法などがあげられる。このなかでもプロピレン系重合体に均一に塩素化及びクロロスルホン化が可能な溶液法が好ましい。
【0026】
溶液法でのクロロスルホン化に用いられる溶剤としては、特に限定されるものではなく、溶解性や反応性の点から四塩化炭素やトリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等が挙げられ、特に良好な反応性となることからトリクロロエタンが好ましい。
【0027】
プロピレン系重合体をクロロスルホン化する際のクロロスルホン化剤としては、特に定めるものではなく、亜硫酸ガスと塩素、塩化スルフリル等を単独或いは複数用いてよい。また、必要に応じてクロロスルホン化反応を促進する触媒等を用いてもよい。触媒としては例えば、アゾ系化合物、有機化酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、α,α’-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機化酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t-ブチル、過安息香酸t-ブチル等が挙げられる。取り扱い上安定性が高いため、好ましくはアゾ化合物であり、適度な塩素化及びクロロスルホン化反応が進行するため、特に好ましくはα,α’-アゾビスイソブチロニトリルである。更に、必要に応じてクロロスルホン化反応を促進する助触媒としてピリジン、キノリン等のアミノ化合物やリン酸エステル系化合物を添加してもよい。
【0028】
プロピレン系重合体を塩素化する際の塩素化剤としては特に定めるものではなく、塩素ガス、塩化チオニル、塩化スルフリル等の塩素化剤を単独或いは複数併用して用いてもよい。また、必要に応じて塩素化反応を促進する触媒等を用いてもよい。触媒としては例えば、アゾ系化合物、有機化酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、α,α’-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機化酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t-ブチル、過安息香酸t-ブチル等が挙げられる。取り扱い上安定性が高いため、好ましくはアゾ化合物であり、適度な塩素化及びクロロスルホン化反応が進行するため、特に好ましくはα,α’-アゾビスイソブチロニトリルである。更に、必要に応じて塩素化反応を促進する助触媒としてピリジン、キノリン等のアミノ化合物やリン酸エステル系化合物を添加してもよい。
【0029】
クロロスルホン化或いは塩素化する際の反応温度としては特に限定するものでは無く、原料ポリマーの融点等に合わせ適宜選択でき、中でも反応性及び取り扱い性を考慮すると50~150℃が好ましく、更に好ましくは60~130℃である。また、クロロスルホン化或いは塩素化する際の反応圧力としては特に限定するものでは無く、例えば、0~1.0メガパスカルであり、適度なクロロスルホン化及び塩素化反応が進行するためには好ましくは0~0.6メガパスカルである。
【0030】
クロロスルホン化或いは塩素化反応終了後、反応溶液中に残存する亜硫酸ガス又は塩化水素等は窒素を導入することによって除かれる。また、減圧下において亜硫酸ガス又は塩化水素等の除去を行っても何等問題ない。
【0031】
更に、クロロスルホン化或いは塩素化反応の前後何れかで酸化防止剤や安定剤等の添加剤を添加してもよい。添加剤の種類としては特に限定するものでは無く、例えば、4-t-ブチルカテコール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系酸化防止剤や、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型樹脂等のエポキシ化合物等が挙げられ、これらを単独或いは2種類以上併用して用いてもよい。添加剤の添加タイミングとしては特に限定するものでは無いが、作業の簡便性や添加剤の効率を考慮するとクロロスルホン化或いは塩素化反応後、残存ガス除去後に添加するのが好ましい。
【0032】
クロロスルホン化或いは塩素化した生成物ポリマー溶液からポリマーと溶剤を分離する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、水蒸気蒸留、ドラムドライヤ、ベント付き押出機等を用いることができる。
【0033】
クロロスルホン化プロピレン系重合体は架橋剤、架橋助剤、受酸剤、可塑剤、溶剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、無機質充填剤、酸化防止剤、老化防止、接着促進剤、シランカップリング剤等を添加し接着剤として用いることができる。これらの添加剤の配合量は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0034】
上記クロロスルホン化プロピレン系重合体は、各種基材との接着性に優れる接着剤として用いることができ、中でもポリプロピレン等の樹脂と金属の異種材接着に優れ、金属においては例えば鉄、ステンレス、鋼、炭素鋼、アルミニウム等、更にはその合金、金属酸化物、金属水酸化物等の基材、さらにそれを少なくとも表面に有する基材との接着においては、プライマー処理等の表面処理・表面改質の有無に関係なく優れた接着性を発揮する接着剤となる。また、同様に粘着成分との組成物を形成することで、ポリプロピレン等の樹脂と金属の異種材接着に優れた粘着剤となる。粘着成分としては、特に限定するものでは無いが、例えば、天然ゴム系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、スチレン-ブタジエンゴム系粘着剤、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる
【実施例0035】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
なお、実施例におけるプロピレン系重合体のエチレン含有量並びにクロロスルホン化プロピレン系重合体の塩素含有量、硫黄含有量、融点結晶融解熱量、分子量測定法、および接着強度評価は下記に示す通りに実施した。
【0037】
[プロピレン系重合体のエチレン含有量の測定]
プロピレン系重合体のエチレン含有量は13C-NMRにて測定した。
【0038】
Bruker製、AVANCE NEO700にて、溶媒として1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2を用い、130℃で13C-NMR測定を実施し、得られたスペクトルから、以下の文献2、3より各ピークを帰属した。帰属した各ピークの積分値よりエチレン含有量を算出した。
【0039】
文献2:J.C.Randall,J.Macromol.Sci.,Rev.Macromol.Chem.Phys.,1989,C29,p.201-317
文献3:G.J.Ray et al.,Macromolecules,1977,10,p.773-778
[塩素含有量、硫黄含有量の測定]
クロロスルホン化プロピレン系重合体における塩素含有量は、試料を燃焼フラスコ法にて燃焼させ、生じる塩酸を純水に吸収させた後、0.05mol/lの硝酸銀水溶液を用いて自動滴定装置により定量した。また、硫黄含有量はJIS K6233(1998年版)に準拠して、酸素燃焼フラスコ法にて測定した。
【0040】
<分子量の測定>
クロロスルホン化プロピレン系重合体10mgをTHF10mLに溶解して得られたポリマー溶液のGPCにより分子量を測定した。なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は標準ポリスチレン(東ソー(株)製)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。測定条件を以下に示す。
【0041】
・機種:(商品名)HLC(登録商標)8420GPC
・溶媒:THF
・カラム温度:40℃
・測定濃度:10mg/10mL
・注入量:200μL
・カラム:TSKgel(登録商標) G7000HXL(東ソー(株)製)→TSKgel(登録商標) GMHXL(東ソー(株)製)2本
実施例1~3及び比較例1~4のクロロスルホン化プロピレン系重合体は、以下に示す方法で合成した。なお、用いた原料は以下のとおりである。
【0042】
[原料]
クロロスルホン化プロピレン系重合体の合成には、以下の市販品を原料として用いた。
【0043】
PP1: ブロックポリプロピレン (日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテック(登録商標)BC03B、エチレン含有量:14mol%、メルトマスフローレイト(JIS K 7210):30g/10分)
PP2: プロピレンホモポリマー (日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテック(登録商標)SA03、エチレン含有量:0mol%、メルトマスフローレイト(JIS K 7210):30g/10分)
PP3: ランダムポリプロピレン (日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテック(登録商標)MG03BD、エチレン含有量:3mol%、メルトマスフローレイト(JIS K 7210):30g/10分)
塩化スルフリル (富士フイルム和光純薬(株)製)
α,α’-アゾビスイソブチロニトリル (富士フイルム和光純薬(株)製)
ピリジン (富士フイルム和光純薬(株)製)
1,1,2-トリクロロエタン (東京化成工業(株)製)
[クロロスルホン化プロピレン系重合体の合成]
窒素雰囲気下、ガラス製加圧反応器にて、プロピレン系重合体と1,1,2-トリクロロエタンを表1に従い投入し、130℃で溶解した。溶解完了後、反応液を120℃に降温した。このポリマー溶液に、ピリジンを表1に従い添加した。120℃条件下、2g/Lに調整したα,α’-アゾビスイソブチロニトリルの1,1,2-トリクロロエタン溶液を0.1mL/分の速度で滴下しながら、塩化スルフリルを0.8mL/分の速度で添加し、圧力が0.25MPaGになるよう調整した。表1に従い所定時間塩化スルフリルを添加した後、降温、降圧し、100℃、常圧下、窒素ガスを150mL/分の速度で1時間導入した。得られた反応液からダブルドラムドライヤーを用いて溶媒を留去し、クロロスルホン化プロピレン系重合体を得た。
【0044】
実施例1~3及び比較例1~3は、以下に示す接着剥離試験の評価方法により評価した。
【0045】
[接着剥離試験の評価方法]
評価ポリマーを0.5mm厚の金型を用いて、140℃条件で予熱3分、50kgf/cm2、その後、100kgf/cm2、5分熱プレス後、23℃で50kgf/cm2、3分冷却プレスし、接着試験用の0.5mmシートを得た。得られたシートを用いて接着剥離試験の試験片を作成し、剥離強度を測定した。試験片は、2枚の被着体で接着試験用シートをはさみ、160℃、50kgf/cm2、5分間熱プレス後、23℃で50kgf/cm2、3分冷却プレスして作成した。被着体には純アルミニウム(A1050P)(厚さ0.3mm)、ポリプロピレン(厚さ0.3mm)を用いた。
【0046】
なお、アルミニウム接着性は8N/cm以上を優、それ未満を不良と評価し、ポリプロピレン接着性は10N/cm以上を優、それ未満を不良と評価した。
【0047】
表1より実施例1~3はアルミ、ポリプロピレンともに評価が優であり、ポリプロピレンと金属どちらの接着性も優れる結果となった。比較例2,3は、ポリプロピレンへの接着性は優れるが、金属への接着性が不良であった。比較例1は金属、ポリプロピレンへの接着性がともに不良であった。
【0048】