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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012709
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】映像合成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/265 20060101AFI20250117BHJP
   G06T 13/20 20110101ALI20250117BHJP
【FI】
H04N5/265
G06T13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115761
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】望月 菊佳
【テーマコード(参考)】
5B050
5C023
【Fターム(参考)】
5B050AA08
5B050DA10
5B050EA19
5B050EA27
5C023AA02
5C023AA11
5C023BA11
5C023CA03
5C023DA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】3Dモデルと2D映像のより自然な合成映像を生成する映像合成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】映像合成装置1は、オブジェクトの3Dモデルと、オブジェクトの種類、オブジェクトの大きさ、3Dモデルの生成手法、ポイント数及びショット種類を含む3Dモデル属性とを取得する3Dモデル属性取得部11と、2D映像と、その解像度である2D映像解像度とを取得する2D映像属性取得部12と、取得した3Dモデル属性の3Dモデルを2D映像に変換した場合の推定解像度と、2D映像解像度とのうち低いほうを画質に決定する画質決定部14と、画質が推定解像度の場合、その画質に解像度を変換した2D映像と、2D映像に変換した3Dモデルとを合成し、画質が2D映像解像度の場合、2D映像属性取得部12が取得した2D映像と、その画質の2D映像に変換した3Dモデルとを合成する映像合成部15と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントクラウドによりオブジェクトが描画されたデータである三次元モデルと、前記オブジェクトの種類、前記オブジェクトの大きさ、前記三次元モデルの生成手法、前記三次元モデルのポイント数、及び、ショットの種類を含む三次元モデル属性とを取得する三次元モデル属性取得部と、
二次元映像と、前記二次元映像の解像度である二次元映像解像度とを取得する二次元映像属性取得部と、
前記三次元モデル属性の前記三次元モデルを二次元映像に変換した場合の推定解像度と、前記二次元映像解像度とのうち低いほうを画質に決定する画質決定部と、
前記推定解像度を前記画質に決定した場合、前記画質に解像度を変換した前記二次元映像と、二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成し、前記二次元映像解像度を前記画質に決定した場合、前記二次元映像属性取得部が取得した前記二次元映像と、前記画質の二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成する映像合成部と、
を備える映像合成装置。
【請求項2】
オブジェクトの種類、オブジェクトの大きさ、三次元モデルの生成手法、ポイント数、及び、ショットの種類と、推定解像度とを対応付けて記憶する画質記憶部を備え、
前記画質決定部は、前記三次元モデル属性が示す前記オブジェクトの種類を表す単語、前記オブジェクトの種類を表す単語の類語、又は、前記オブジェクトの種類を表す単語の上位概念の単語と、前記三次元モデル属性が示す前記オブジェクトの大きさ、前記生成手法、前記ポイント数、及び、前記ショットの種類とに対応した前記推定解像度を前記画質記憶部から読み出す、
請求項1に記載の映像合成装置。
【請求項3】
前記映像合成部は、前記三次元モデルのポイント数を削減し、ポイント数が削減された前記三次元モデルを二次元映像に変換することにより、前記画質の二次元映像に変換した前記三次元モデルを得る、
請求項1に記載の映像合成装置。
【請求項4】
前記二次元映像属性取得部は、取得した前記二次元映像の画面サイズを取得し、取得した画面サイズの縦横比が所定の比率である場合には、前記画面サイズの横の画素数を前記二次元映像解像度とし、取得した前記画面サイズの縦横比が前記所定の比率ではない場合には、前記画面サイズにおける縦の画素数を変更せずに縦横比を前記所定の比率とした場合の横の画素数を前記二次元映像解像度とする、
請求項1に記載の映像合成装置。
【請求項5】
コンピュータを、
ポイントクラウドによりオブジェクトが描画されたデータである三次元モデルと、前記オブジェクトの種類、前記オブジェクトの大きさ、前記三次元モデルの生成手法、前記三次元モデルのポイント数、及び、ショットの種類を含む三次元モデル属性とを取得する三次元モデル属性取得手段と、
二次元映像と、前記二次元映像の解像度である二次元映像解像度とを取得する二次元映像属性取得手段と、
前記三次元モデル属性の前記三次元モデルを二次元映像に変換した場合の推定解像度と、前記二次元映像解像度とのうち低いほうを画質に決定する画質決定手段と、
前記推定解像度を前記画質に決定した場合、前記画質に解像度を変換した前記二次元映像と、二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成し、前記二次元映像解像度を前記画質に決定した場合、前記二次元映像属性取得手段が取得した前記二次元映像と、前記画質の二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成する映像合成手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像合成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
異なるフォーマットの複数の映像を合成する方法として、一方の映像のフォーマットを、他方の映像のフォーマットに変換した後に合成する方法がある。例えば、3D(三次元)モデルと2D(二次元)映像とを合成する場合は、3Dモデルを2D映像に変換してから合成する。ここで、3Dモデルから2D映像への変換の際に、変換の前後で3Dモデルの主観的画質が低減しないようにする技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、他の映像合成方法として、VR映像に2D映像をマッピングした合成映像を生成する技術(例えば、特許文献2参照)や、複数の高画質の画像を重畳する技術(例えば、特許文献3参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-063882号公報
【特許文献2】特開2022-21886号公報
【特許文献3】特開2018-109946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3Dモデルと2D映像の合成のように、互いに異なるフォーマットの映像を合成すると、合成された映像が不自然に見えることがある。その要因として、映像が合成された位置や、合成された映像の大きさ、合成された映像における光の反射など様々なものが考えられる。これまでは、合成された映像を人の目で確認し、手動で各種パラメータを調整することでその不自然さを解消していたため、多大な労力を要していた。
【0005】
上述した特許文献1の技術は、ポイントクラウドをボクセル化する手法であり、ポイントクラウド単体での画質劣化を考慮しているため、2D映像との合成については述べられていない。また、特許文献2の技術は、VR映像の中の注目すべきところを部分的に高解像度化するものであり、特許文献3の技術は、静止画である全天球画像と平面画像とを統合する際に、低い画質の全天球画像に高い画質の平面画像を重畳するものである。しかしながら、これらは、合成された映像が自然に見えるようにするものではない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、3Dモデルと2D映像のより自然な合成映像を生成することができる映像合成装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明の一態様は、ポイントクラウドによりオブジェクトが描画されたデータである三次元モデルと、前記オブジェクトの種類、前記オブジェクトの大きさ、前記三次元モデルの生成手法、前記三次元モデルのポイント数、及び、ショットの種類を含む三次元モデル属性とを取得する三次元モデル属性取得部と、二次元映像と、前記二次元映像の解像度である二次元映像解像度とを取得する二次元映像属性取得部と、前記三次元モデル属性の前記三次元モデルを二次元映像に変換した場合の推定解像度と、前記二次元映像解像度とのうち低いほうを画質に決定する画質決定部と、前記推定解像度を前記画質に決定した場合、前記画質に解像度を変換した前記二次元映像と、二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成し、前記二次元映像解像度を前記画質に決定した場合、前記二次元映像属性取得部が取得した前記二次元映像と、前記画質の二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成する映像合成部と、を備える映像合成装置である。
【0008】
[2]本発明の一態様は、上述の映像合成装置であって、オブジェクトの種類、オブジェクトの大きさ、三次元モデルの生成手法、ポイント数、及び、ショットの種類と、推定解像度とを対応付けて記憶する画質記憶部を備え、前記画質決定部は、前記三次元モデル属性が示す前記オブジェクトの種類を表す単語、前記オブジェクトの種類を表す単語の類語、又は、前記オブジェクトの種類を表す単語の上位概念の単語と、前記三次元モデル属性が示す前記オブジェクトの大きさ、前記生成手法、前記ポイント数、及び、前記ショットの種類とに対応した前記推定解像度を前記画質記憶部から読み出す。
【0009】
[3]本発明の一態様は、上述の映像合成装置であって、前記映像合成部は、前記三次元モデルのポイント数を削減し、ポイント数が削減された前記三次元モデルを二次元映像に変換することにより、前記画質の二次元映像に変換した前記三次元モデルを得る。
【0010】
[4]本発明の一態様は、上述の映像合成装置であって、前記二次元映像属性取得部は、取得した前記二次元映像の画面サイズを取得し、取得した画面サイズの縦横比が所定の比率である場合には、前記画面サイズの横の画素数を前記二次元映像解像度とし、取得した前記画面サイズの縦横比が前記所定の比率ではない場合には、前記画面サイズにおける縦の画素数を変更せずに縦横比を前記所定の比率とした場合の横の画素数を前記二次元映像解像度とする。
【0011】
[5]本発明の一態様は、コンピュータを、ポイントクラウドによりオブジェクトが描画されたデータである三次元モデルと、前記オブジェクトの種類、前記オブジェクトの大きさ、前記三次元モデルの生成手法、前記三次元モデルのポイント数、及び、ショットの種類を含む三次元モデル属性とを取得する三次元モデル属性取得手段と、二次元映像と、前記二次元映像の解像度である二次元映像解像度とを取得する二次元映像属性取得手段と、前記三次元モデル属性の前記三次元モデルを二次元映像に変換した場合の推定解像度と、前記二次元映像解像度とのうち低いほうを画質に決定する画質決定手段と、前記推定解像度を前記画質に決定した場合、前記画質に解像度を変換した前記二次元映像と、二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成し、前記二次元映像解像度を前記画質に決定した場合、前記二次元映像属性取得手段が取得した前記二次元映像と、前記画質の二次元映像に変換した前記三次元モデルとを合成して合成映像を生成する映像合成手段と、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、3Dモデルと2D映像とのより自然な合成映像を生成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による映像合成装置の処理の概要を示す図である。
図2】第1の実施形態による映像合成装置の機能ブロック図である。
図3】第1の実施形態による画質DBの例を示す図である。
図4】第1の実施形態によるボクセルサイズDBの例を示す図である。
図5】第1の実施形態による映像合成装置の映像合成処理を示すフロー図である。
図6】第1の実施形態による画質決定部の検索処理を示すフロー図である。
図7】第1の実施形態による映像合成装置の処理例を示す図である。
図8】第1の実施形態による映像合成装置の処理例を示す図である。
図9】第2の実施形態による映像合成装置の機能ブロック図である。
図10】第2の実施形態による映像合成装置の映像合成処理を示すフロー図である。
図11】第1及び第2の実施形態による映像合成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。上述のように、3Dモデル(3Dオブジェクトともいう)と2D映像を合成する際に不自然に見える要因には、位置や大きさ、光の反射などの様々なものがあるが、本実施形態では、不自然に見える要因の中でも特に解像感に着目する。例えば、公園の風景の2D実写映像の上に、注目すべき人物の3Dモデルを合成する場合に、背景よりも人物の解像感が低く、ぼやけて見えては不自然である。しかし、現在ポイントクラウドの解像度指標として扱われているのはポイントの数のみである。一般的に、ポイントが高密度であるほど高精細に見えるものの、異なるフォーマットと合成された際に、どれくらいの解像感に見えるかが明示されたものはない。また、ポイントクラウドのデータ量は大きく、効率的な処理を行うためにはポイントを効果的に省くことも求められる。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による映像合成装置の処理の概要を示す図である。本実施形態の映像合成装置は、plyなどのポイントクラウド形式の3DモデルAと、tiffやPNG形式などの2D映像Bを合成する際に、双方の解像感が釣り合うように3DモデルA又は2D映像Bを調整する。すなわち、本実施形態の映像合成装置は、3Dモデルが2Dレンダリングされた場合に、どれくらいの解像感に見えるかを予めリストにしたDB(データベース)を参照して、3DモデルAを2D映像にレンダリングして得られるレンダリング2D映像A’の推定の解像度を得る。映像合成装置は、レンダリング2D映像A’の推定の解像度と、2D映像Bの解像度との解像感を釣り合わせるように合成時の解像度を決定する。映像合成装置は、決定した解像度となるように、3DモデルAをダウンサンプリングするか、2D映像Bの解像度を変換することにより、これら異なるフォーマットの映像間の解像感を合わせて合成した合成映像Cを得る。以下に、本発明の詳細な実施形態を説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態による映像合成装置1の構成を示す機能ブロック図である。図2には、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。映像合成装置1は、例えば1台以上のコンピュータ装置により実現することができる。映像合成装置1は、3Dモデル属性取得部11と、2D映像属性取得部12と、画質情報記憶部13と、画質決定部14と、映像合成部15と、端末別画質変換部16と、端末解像度取得部17とを備えて構成される。
【0017】
3Dモデル属性取得部11は、3Dモデルと、3Dモデル属性情報を取得する。3Dモデル属性情報は、3Dモデルが表すオブジェクトの種類、元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、3Dモデルのポイント数、及び、3Dモデルのショット種類の情報を含む。元のモデルの大きさとは、3Dモデルが表すオブジェクトの実際の大きさを表す。ショットの種類には、例えば、人物や物の全体のショットであるショットFS(フルショット)、人物等の腰から頭までの範囲のショットであるWS(ウェストショット)、人物等の胸から頭までの範囲のショットであるBS(バストショット)、人物等の肩から頭での範囲のショットであるUS(アップショット)などがある。3Dモデル属性取得部11は、これらの3Dモデル属性情報に含まれる各情報を、例えば、3Dモデルが記述されているplyファイルのヘッダー等から取得してもよく、記録媒体から読み出してもよく、ネットワークを介して接続される他の装置から受信してもよい。また、3Dモデル属性情報の各情は、映像合成装置1が備える図示しない入力部により入力されてもよく、3Dモデル属性取得部11は、3Dモデルを解析して、3Dモデル属性情報の一部又は全ての情報を取得してもよい。また、3Dモデル属性取得部11は、オブジェクトの種類に応じて元のモデルの大きさを取得してもよい。
【0018】
2D映像属性取得部12は、2D映像と、2D映像属性情報を取得する。2D映像属性情報は、取得した2D映像の解像度の情報を含む。解像度は、例えば、7680×4320(ピクセル)などの画像サイズにより表される。2D映像属性取得部12は、任意の既存の方法により、2D映像からその画像サイズを取得する。一例として、オープンソースのライブラリであるOpenCV(Open Source Computer Vision Library)の.shapeなどを用いることができる。以下では、取得した2D映像の解像度を、2D映像解像度と記載する。なお、2D映像属性取得部12は、2D映像属性情報を記録媒体から読み出してもよく、ネットワークを介して接続される他の装置から受信してもよい。2D映像属性情報は、映像合成装置1が備える図示しない入力部により入力されてもよい。
【0019】
画質情報記憶部13は、画質DBを記憶する。画質DBは、3Dモデルの属性情報と、その属性情報の3Dモデルを2Dレンダリングして得られる映像の推定解像度とを対応付けた情報である。推定解像度は、16:9の画面における横の画素数の値で表される。例えば、推定解像度「1920」は、2K相当の画質を意味する。画質DBは予め作成され、画質情報記憶部13に格納される。
【0020】
画質決定部14は、3Dモデル属性取得部11が取得した3Dモデル属性情報に対応する推定解像度を画質情報記憶部13に記憶されている画質DBから読み出し、読み出した推定解像度と2D映像解像度とを比較する。画質決定部14は、推定解像度と2D映像解像度とのうち低い方を、合成映像解像度に決定する。
【0021】
映像合成部15は、3Dモデルを合成映像解像度の2D映像にレンダリングし、レンダリング2D映像を生成する。映像合成部15は、合成映像解像度のレンダリング2D映像と、合成映像解像度の2D映像とを合成して、合成映像を生成する。映像合成部15は、画質変換部151と、ボクセルサイズ情報記憶部152と、2Dレンダリング部153と、2D映像合成部154とを有する。
【0022】
画質変換部151は、合成映像解像度が3Dモデルの推定解像度である場合、3Dモデルをそのまま2Dレンダリング部153に出力するとともに、合成映像解像度に変換した2D映像を2D映像合成部154へ出力する。画質変換部151は、合成映像解像度が2D映像解像度である場合、2Dレンダリング後に合成映像解像度となるようにダウンサンプリングした3Dモデルを2Dレンダリング部153へ出力するとともに、2D映像の解像度を変更することなく、そのまま2D映像合成部154へ出力する。画質変換部151は、ポイント数を減らすダウンサンプリングの手法として、VoxelGridFilterなど、既存の技術を使用することができる。
【0023】
ボクセルサイズ情報記憶部152は、ボクセルサイズDBを記憶する。ボクセルサイズDBは、3Dモデルの属性情報と、3Dモデルを2Dレンダリングして得られる映像の推定解像度と、3Dモデルのボクセルサイズとを対応付けた情報である。画質変換部151は、3Dモデルをダウンサンプリングする際に、3Dモデル属性取得部11が取得した3Dモデル属性情報と、合成映像解像度とに対応したボクセルサイズをボクセルサイズDBから読み出し、読み出したボクセルサイズをVoxelGridFilterのパラメータとして用いて3Dモデルをダウンサンプリングする。
【0024】
2Dレンダリング部153は、画質変換部151から入力した3Dモデルを2D映像にレンダリングし、レンダリング2D映像を生成する。2Dレンダリング部153は、生成されたレンダリング2D映像を2D映像合成部154へ出力する。2D映像合成部154は、2Dレンダリング部153から入力したレンダリング2D映像と、画質変換部151から入力した2D映像とを合成し、合成映像を生成する。2D映像合成部154は、生成された合成映像を端末別画質変換部16に出力する。
【0025】
端末別画質変換部16は、映像合成部15から入力した合成映像を、端末別画質変換部16が取得した端末解像度に合わせた映像に変換する。端末解像度は、視聴端末2の解像度である。端末別画質変換部16は、この変換に、例えば、バイキュービックなど既存の手法を用いる。端末別画質変換部16は、端末解像度に合わせて変換した合成映像を放送により又は通信ネットワークを介して視聴端末2に配信する。端末解像度取得部17は、視聴端末2から例えば通信ネットワークを介して端末解像度を取得する。
【0026】
図3は、画質DBの例を示す図である。画質DBは、オブジェクトの種類、元のモデルの大きさ、3Dモデルの生成手法、ポイント数、及び、ショットの種類を含む属性情報と、推定解像度とを対応付けた情報である。推定解像度は、16:9の映像における横画素数で表される。画質DBに設定する推定解像度の決定には、以下の参考文献1の技術が用いられる。
【0027】
(参考文献1)三浦菊佳他、“2D表示した3Dオブジェクトの解像感評価”、電子情報通信学会総合大会D-11-15、2023年3月
【0028】
具体的には、3Dモデルを2Dレンダリングして得られた映像と、段階的に解像度を落とした2D映像とを比較し、解像感が一致する又は最も近い2D映像を人が見て選択する。画質DBには、3Dモデルの属性情報に紐づけて、その3Dモデルについて選択された2D映像の解像度が推定解像度として設定される。また、ショットの種類は、映像内におけるオブジェクトの大きさに関連するため、推定解像度を決定する要因となる。
【0029】
図4は、ボクセルサイズDBの例を示す図である。ボクセルサイズDBは、オブジェクトの種類、元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、ショットの種類及び推定解像度と、ボクセルサイズとを対応付けた情報である。推定解像度は、16:9の映像における横画素数で表される。ボクセルサイズDBに設定するボクセルサイズの決定には、上記の参考文献1の技術が用いられる。
【0030】
具体的には、所定の解像度の2D映像と、ボクセルサイズを変えながら3Dモデルを段階的にダウンサンプリングした後に2Dレンダリングして得られた各レンダリング2D映像とを比較し、2D映像と解像感が一致する、又は、最も解像感が近いレンダリング2D映像を人が見て選択する。ボクセルサイズDBには、選択されたレンダリング2D映像が得られた3Dモデルのオブジェクト種類、元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、及び、ショットの種類と、2D映像の解像度を示す推定解像度と、選択されたレンダリング2D映像の生成に用いられたボクセルサイズとが紐づけて設定される。
【0031】
図5は、映像合成装置1の処理を示すフロー図である。まず、映像合成装置1の3Dモデル属性取得部11は、3Dモデルと、その3Dモデルの3Dモデル属性情報を取得する(ステップS105)。取得した3Dモデル属性情報を、取得3Dモデル属性情報と記載する。また、2D映像属性取得部12は、2D映像と、その2D映像の2D映像属性情報を取得する(ステップS110)。
【0032】
画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報が示すオブジェクト種類、元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、ポイント数及びショットの種類を推定解像度検索条件とする。画質決定部14は、推定解像度検索条件と一致する属性情報に対応付けられた推定解像度を、画質情報記憶部13に記憶されている画質DBから読み出す(ステップS115)。画質決定部14は、ステップS110において取得された2D映像属性情報が示す2D映像解像度と、ステップS115において読み出された推定解像度とを比較する(ステップS120)。
【0033】
画質決定部14は、推定解像度よりも2D映像解像度のほうが高いと判断した場合(ステップS125:YES)、推定解像度を合成映像解像度に決定し、決定した合成映像解像度を映像合成部15に出力する(ステップS130)。映像合成部15の画質変換部151は、ステップS110において取得した2D映像を、合成映像解像度の2D映像に変換して2D映像合成部154に出力する(ステップS135)。さらに、画質変換部151は、3Dモデルをそのまま2Dレンダリング部153に出力する。
【0034】
2Dレンダリング部153は、画質変換部151から入力した3Dモデルを2D映像にレンダリングし、レンダリング2D映像を生成する(ステップS140)。2Dレンダリング部153は、生成したレンダリング2D映像を2D映像合成部154へ出力する。2D映像合成部154は、2Dレンダリング部153から入力したレンダリング2D映像と、画質変換部151から入力した2D映像とを合成し、合成映像を生成する(ステップS145)。2D映像合成部154は、生成した合成映像を端末別画質変換部16に出力する。
【0035】
端末解像度取得部17は、視聴端末2の端末解像度を取得し、端末別画質変換部16に出力する(ステップS150)。端末別画質変換部16は、映像合成部15から入力した合成映像を、端末解像度取得部17が取得した端末解像度の配信映像に変換する(ステップS155)。端末別画質変換部16は、端末解像度に変換された配信映像を視聴端末2に配信する(ステップS160)。
【0036】
一方、画質決定部14は、2D映像解像度よりも推定解像度のほうが高いと判断した場合(ステップS125:NO)、2D映像解像度を合成映像解像度に決定し、決定した合成映像解像度を映像合成部15に出力する(ステップS165)。映像合成部15の画質変換部151は、取得3Dモデル属性情報が示すオブジェクトの種類、元のモデルの大きさ、3Dモデルの生成手法及びショット種類と、合成映像解像度とをボクセルサイズ検索条件とする。映像合成部15の画質変換部151は、ボクセルサイズ情報記憶部152に記憶されているボクセルサイズDBから、ボクセルサイズ検索条件に対応したボクセルサイズを読み出す。画質変換部151は、読み出したボクセルサイズを用いて3Dモデルをダウンサンプリングする(ステップS170)。画質変換部151は、ダウンサンプリングした3Dモデルを2Dレンダリング部153に出力し、2D映像をそのまま2D映像合成部154に出力する。映像合成装置1は、ステップS140以降の処理を行う。
【0037】
なお、映像合成装置1は、ステップS110の処理を、ステップS120の前までの任意のタイミングで行ってもよい。また、映像合成装置1は、ステップS150の処理を、ステップS155より前の任意のタイミングで行ってもよい。
【0038】
ステップS115の処理において、画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報から得られた推定解像度検索条件により画質DBを検索して推定解像度を取得し、合成映像の画質である合成映像解像度を決定する。しかしながら、取得3Dモデル属性情報に設定されている情報と完全に一致する属性情報が画質DBに含まれていない場合がある。この場合、画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報と、(1)3Dモデル生成手法、(2)ショット種類、(3)オブジェクト種類、(4)ポイント数、の優先度で一致する属性情報に対応した推定解像度を読み出す。
【0039】
具体的には、例えば、画質決定部14は、以下のように推定解像度を読み出す。まず、画質決定部14は、画質DBに設定されている属性情報のうち、取得3Dモデル属性情報に含まれる3Dモデル生成手法が設定されている3Dモデル属性情報を抽出し、第一抽出属性情報とする。画質決定部14は、第一抽出属性情報のうち、取得3Dモデル属性情報に含まれるショット種類が設定されているものを抽出し、第二抽出属性情報とする。画質決定部14は、第一抽出属性情報のいずれにも取得3Dモデル属性情報に含まれるショット種類が設定されていない場合、第一抽出属性情報を全て第二抽出属性情報とする。
【0040】
次に、画質決定部14は、第二抽出属性情報のうち、取得3Dモデル属性情報に含まれるオブジェクト種類が設定されているものを第三抽出属性情報として抽出する。画質決定部14は、第二抽出属性情報のいずれにも取得3Dモデル属性情報に含まれるオブジェクト種類が設定されていない場合、第二抽出属性情報を全て第三抽出属性情報とする。
【0041】
次に、画質決定部14は、第三抽出属性情報のうち、取得3Dモデル属性情報に含まれるポイント数が設定されているものを第四抽出属性情報として抽出する。画質決定部14は、第三抽出属性情報のいずれにも取得3Dモデル属性情報に含まれるオブジェクト種類が設定されていない場合、第三抽出属性情報を全て第四抽出属性情報とする。画質決定部14は、第四抽出属性情報に紐づけられている推定解像度のうち、最も多く出現する推定解像度を、取得3Dモデル属性情報に対応する推定解像度とする。あるいは、画質決定部14は、第四抽出属性情報と紐づけられている推定解像度の平均などを、取得3Dモデル属性情報に対応する推定解像度としてもよい。
【0042】
また、画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報のオブジェクト種類と、画質DBに設定されているオブジェクト種類との一致を判断する場合、文字上の一致に限らず、類似した概念によって一致を判断してもよい。例えば、画質決定部14は、分類語彙表、WordNetなどのシソーラスを用いて、オブジェクト種類名については犬とイヌを等価として扱ってもよい。また、画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報に設定されているオブジェクト種類名「オオカミ」が画質DBに用いられていない場合、類語や上位概念等としてシソーラスから取得した「イヌ」を「オオカミ」の代わりに用いて画質DBを参照してもよい。画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報に設定されているオブジェクト種類名の類語も上位概念も取得できない場合は、大きさが似ているもの、大きさの情報がない場合は、ポイント数が近いものの推定解像度を画質DBから取得する。なお、類語処理は、以下の参考文献2に記載されている。
【0043】
(参考文献2)「[自然言語] Wordnet×Pythonで類義語を抽出する」、[online]、[2023年6月21日検索]、インターネット<https://www.yoheim.net/blog.php?q=20160201>、2016年
【0044】
3Dモデルから生成されたレンダリング2D映像の解像感は、動物の毛、光ったもの、反射が多いもの、色の諧調が再現されにくい、など様々な要因によって変化する。種類が類似したオブジェクトの映像は類似の特徴を有することが多いと考えられることから、本実施形態では、類語や上位概念を用いて画質DBを検索する。
【0045】
図6は、画質決定部14が類似した概念により画質DBを検索する処理の例を示すフロー図である。画質決定部14は、ステップS115において、図6に示す処理を行う。
【0046】
画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報に設定されているオブジェクト種類名(以下、取得オブジェクト種類名と記載)が画質DBに含まれていると判断した場合(ステップS205:YES)、取得3Dモデル属性情報が示すオブジェクト種類、元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、ポイント数及びショットの種類を推定解像度検索条件に用いて画質DBから推定解像度を取得する(ステップS210)。
【0047】
画質決定部14は、取得オブジェクト種類名が画質DBに含まれていないと判断した場合(ステップS205:NO)、取得オブジェクト種類名の類語をシソーラスから読み出す。シソーラスは、映像合成装置1と接続されるコンピュータサーバ等に記憶されてもよく、映像合成装置1が有する記憶装置に記憶されてもよい。画質決定部14は、読み出した類語が画質DBに含まれていると判断した場合(ステップS215:YES)、読み出した類語と、取得3Dモデル属性情報が示す元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、ポイント数及びショットの種類とを推定解像度検索条件に用いて画質DBから推定解像度を取得する(ステップS220)。
【0048】
画質決定部14は、読み出した類語が画質DBに含まれていないと判断した場合(ステップS215:NO)、取得オブジェクト種類名の上位概念をシソーラスから読み出す。画質決定部14は、読み出した上位概念が画質DBに含まれていると判断した場合(ステップS225:YES)、読み出した上位概念と、取得3Dモデル属性情報が示す元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、ポイント数及びショットの種類とを推定解像度検索条件に用いて画質DBから推定解像度を取得する(ステップS230)。
【0049】
画質決定部14は、読み出した上位概念が画質DBに含まれていないと判断した場合(ステップS225:NO)、取得3Dモデル属性情報から元のモデルの大きさを取得できるか否かを判断する(ステップS235)。画質決定部14は、元のモデルの大きさを取得可能と判断した場合(ステップS235;YES)、取得3Dモデル属性情報が示す元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法、ポイント数及びショットの種類が一致し、かつ、取得3Dモデル属性情報が示す元のモデルの大きさと最も近い属性情報に対応付けられている推定解像度を画質DBから読み出す(ステップS240)。
【0050】
画質決定部14は、元のモデルの大きさを取得できないと判断した場合(ステップS235:NO)、取得3Dモデル属性情報が示す元のモデルの大きさ、3Dモデル生成手法及びショットの種類が一致し、かつ、取得3Dモデル属性情報が示すポイント数と最も近い属性情報に対応付けられている推定解像度を画質DBから読み出す(ステップS245)。
【0051】
画質決定部14は、取得オブジェクト種類名がボクセルサイズDBに含まれていない場合も図6と同様の処理を行う。すなわち、画質決定部14は、取得オブジェクト種類名に代えて、類語、上位概念等を使用してボクセルサイズDBを検索し、類語及び上位概念も使用できない場合は、元のモデルの大きさが似ているもののボクセルサイズを取得する。
【0052】
図7は、映像合成装置1の具体的な処理の例を示す図である。図7は、3Dモデルの解像感が2D映像よりも低いケースについての例を示す。図7及び図5を用いて映像合成装置1の具体的な処理の例を説明する。ここでは、図1に示すように、人物の3DモデルA(ポイントクラウド)と、海の背景の2D映像Bとを合成し、合成映像Cを得るケースを考える。映像合成装置1は、まず3DモデルA及び2D映像Bの双方の属性情報を取得する。次に、映像合成装置1は、画質DBから3DモデルAの属性情報と合致する推定解像度を取得し、2D映像Bの解像度との比較によって画質を決定する。映像合成装置1は、決定された画質に従って2D映像Bのサイズ変換を行う。映像合成装置1は、3DモデルAを2D映像にレンダリングして得られたレンダリング2D映像A’と2D映像Bとを合成した合成映像Cの解像度を、視聴端末2の端末解像度に基づいて変換して配信する。
【0053】
より具体的には、3Dモデル属性取得部11は、3DモデルAと、ショット種類「FS」の入力を受ける。3Dモデル属性取得部11は、3DモデルAのファイルからオブジェクト種類「人物」、元のモデルの大きさ「170cm」、オブジェクトの生成手法「A方式」、及び、ポイント数「2,000,000(ポイント)」を取得する(ステップS105)。一方、2D映像属性取得部12は、2D映像Bの入力を受ける。2D映像属性取得部12は、入力された2D映像Bを解析し、2D映像解像度「7680×4320(ピクセル)」を取得する(ステップS110)。
【0054】
画質決定部14は、オブジェクト種類「人物」、元のモデルの大きさ「170cm」、オブジェクトの生成手法「A方式」、ポイント数「2,000,000(ポイント)」、及び、ショット種類「FS」を推定解像度検索条件に用いて、図3に示す画質DBから、推定画質「960」を読み出す(ステップS115)。画質決定部14は、推定解像度「960」<2D映像解像度(横画素数)「7680」であるため、合成映像解像度を「960」と決定する(ステップS120、ステップS125:YES、ステップS130)。
【0055】
画質変換部151は、2D映像Bを解像度「960×540」の2D映像B’に変換する(ステップS135)。2Dレンダリング部153は、3DモデルAを2D映像にレンダリングしてレンダリング2D映像A’を生成する(ステップS140)。2D映像合成部154は、レンダリング2D映像A’と、解像度「960×540」の2D映像B’とを合成し、解像度「960×540」の合成映像Cを生成する(ステップS145)。端末別画質変換部16は、解像度「960×540」の合成映像Cを、端末解像度「1920×1080」の配信映像C’に変換し、配信する(ステップS150、S155)。
【0056】
図8は、3Dモデルの解像感が2D映像よりも高い場合の映像合成装置1の具体的な処理の例を示す図である。図8及び図5を用いて、3Dモデルの解像感が2D映像よりも高いケースについて説明する。3Dモデルの解像感が2D映像よりも高い場合、映像合成部15の画質変換部151は、3Dモデルのポイント数を減らすことにより画質を調整する。
【0057】
具体的には、3Dモデル属性取得部11は、3DモデルAと、ショット種類「FS」の入力を受ける。3Dモデル属性取得部11は、3DモデルAのファイルからオブジェクト種類「タヌキ」、元のモデルの大きさ「80cm」、オブジェクトの生成手法「B方式」、及び、ポイント数「30,000,000(ポイント)」を取得する(ステップS105)。一方、2D映像属性取得部12は、2D映像Bの入力を受ける。2D映像属性取得部12は、入力された2D映像Bを解析し、2D映像解像度「1920×1080(ピクセル)」を取得する(ステップS110)。
【0058】
画質決定部14は、オブジェクト種類「タヌキ」、元のモデルの大きさ「80cm」、オブジェクトの生成手法「B方式」、ポイント数「30,000,000(ポイント)」、及び、ショット種類「FS」を推定解像度検索条件に用いて、図3に示す画質DBから、推定画質「5760」を読み出す(ステップS115)。画質決定部14は、推定解像度「5760」>2D映像解像度「1920」であるため、合成映像解像度を「1920」と決定する(ステップS120、ステップS125:NO、ステップS165)。
【0059】
画質変換部151は、ボクセルサイズ情報記憶部152に記憶されているボクセルサイズDBから、オブジェクトの種類「タヌキ」、元のモデルの大きさ「80cm」、オブジェクトの生成手法「B方式」、ショット種類「FS」、合成映像解像度「1920」に対応したボクセルサイズ「0.08」を読み出す。画質変換部151は、ボクセルサイズ「0.08」をパラメータ値に用いてVoxelGridFilterにより3Dモデルをダウンサンプリングし、2,000,000ポイントの3DモデルA”を得る(ステップS170)。
【0060】
なお、画質変換部151は、画質DBから、オブジェクトの種類「タヌキ」、オブジェクトの生成手法「B方式」、ショット種類「FS」、推定解像度「1920」に対応したポイント数「2,000,000」を読み出してもよい。画質変換部151は、ポイント数「2,000,000」となるように、3DモデルAをダウンサンプリングして3DモデルA”を生成する。この場合、3Dモデルを目標のポイント数に変換する技術が必要である。
【0061】
2Dレンダリング部153は、ダウンサンプリングされた3DモデルA”を2D映像にレンダリングし、レンダリング2D映像A’を生成する(ステップS140)。2D映像合成部154は、レンダリング2D映像A’と、解像度「1920×1080」の2D映像Bとを合成し、解像度「1920×1080」の合成映像Cを生成する(ステップS145)。端末別画質変換部16は、端末解像度が「1920×1080」であるため、解像度「1920×1080」の合成映像Cをそのまま配信映像C’として、配信する(ステップS150、S155)。
【0062】
なお、映像合成装置1は、任意の合成映像解像度の入力を受けてもよい。この場合、映像合成装置1は、図5のステップS115~ステップS130、ステップS165の処理を行わない。映像合成装置1は、入力された合成映像解像度となるようにステップS135の処理及びステップS170の処理を行った後、ステップS140以降の処理を行う。また、映像合成装置1は、3Gモデルと2D映像とで異なる合成映像解像度を入力してもよい。この場合、映像合成装置1は、入力された第1の合成映像解像度となるようにステップS135の処理を行い、入力された第2の合成映像解像度となるようにステップS170の処理を行った後、ステップS140以降の処理を行う。
【0063】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、映像合成装置に入力する2D映像と、画質DBが前提としている縦横比が異なる場合を説明する。第2の実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0064】
図9は、第2の実施形態による映像合成装置1aの構成を示す機能ブロック図である。図9には、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。図9に示す映像合成装置1aが、図2に示す第1の実施形態の映像合成装置1と異なる点は、2D補正算出部18をさらに備える点と、映像合成部15に代えて映像合成部15aを備える点である。映像合成部15aが、図2に示す第1の実施形態の映像合成部15と異なる点は、画質変換部151に代えて画質変換部151aを備える点である。
【0065】
画質情報記憶部13の画質DBに設定されている推定解像度は、16:9のように画面比率が所定の縦横比の画面における横の画素数の値で表される。この比率を基準比率と記載する。2D補正算出部18は、2D映像属性取得部12が取得した2D映像の画像サイズが基準比率ではない場合、2D映像の縦の画素数を固定して基準比率にした場合の横の画素数である換算画素数を算出する。2D補正算出部18は、算出した横の換算画素数と、2D映像の縦の画素数とを2D映像属性情報として画質決定部14に出力する。さらに、2D補正算出部18は、画質決定部14に通知した2D映像属性情報が示す画像サイズから、2D映像の画像サイズへ変換するための補正値を算出し、映像合成部15aの画質変換部151aへ通知する。この補正値は、2D映像の横の画素数を、換算画素数により除算して得られる。
【0066】
画質決定部14は、2D補正算出部18から入力した2D映像属性情報が示す横の換算画素数を2D映像解像度として用い、第1の実施形態と同様の処理を行う。画質変換部151aは、画質決定部14が決定した合成映像解像度と、2D補正算出部18が算出した横の換算画素数とが同じ場合、第1の実施形態の画質変換部151と同様に動作する。すなわち、画質変換部151aは、2Dレンダリング後に合成映像解像度となるようにダウンサンプリングした3Dモデルを2Dレンダリング部153へ出力するとともに、2D映像の解像度を変更することなく、そのまま2D映像合成部154へ出力する。
【0067】
一方、画質変換部151aは、合成映像解像度が3Dモデルの推定解像度である場合、3Dモデルをそのまま2Dレンダリング部153に出力する。さらに、画質変換部151aは、画質決定部14から通知された合成映像解像度を、2D補正算出部18から通知された補正値により補正して、2D映像の画質変換後の横の画素数を算出する。画質変換部151aは、横の画素数が算出された画質変換後の横の画素数であり、かつ、縦横比が2D映像の元の縦横比である場合の縦の画素数を、2D映像の画質変換後の縦の画素数として算出する。画質変換部151aは、2D映像を、画質変換後の横の画素数及び縦の画素数の2D映像に変換した後、2D映像合成部154へ出力する。
【0068】
図10は、第2の実施形態による映像合成装置1aの処理を示すフロー図である。図10において、図5に示す第1の実施形態の処理と同様の処理には同一の符号を付し、その説明を省略する。映像合成装置1aは、図5のステップS105~ステップS110と同様の処理を行う。2D補正算出部18は、2D映像属性取得部12から入力した2D映像属性情報に設定されている画像サイズが基準比率ではない場合、その画像サイズの縦の画素数を固定し、縦横比を基準比率とした場合の横の画素数である換算画素数を算出する。2D補正算出部18は、算出した横の換算画素数と、2D映像の縦の画素数とを設定した2D映像属性情報を画質決定部14に出力する(ステップS305)。さらに、2D補正算出部18は、画質決定部14に通知した2D映像属性情報が示す画像サイズから、ステップS110において取得した2D映像の画像サイズへ戻すための補正値を算出する(ステップS310)。2D補正算出部18は、算出した補正値を、映像合成部15aの画質変換部151aへ通知する。
【0069】
画質決定部14は、取得3Dモデル属性情報に基づいて画質DBから推定解像度を読み出す(ステップS115)。画質決定部14は、ステップS305において2D補正算出部18から通知された2D映像属性情報の横の換算画素数として示される2D映像解像度と、ステップS115において読み出された推定解像度とを比較する(ステップS120)。画質決定部14は、推定解像度よりも2D映像解像度のほうが高いと判断した場合(ステップS125:YES)、推定解像度を合成映像解像度に決定し、決定した合成映像解像度を映像合成部15aに出力する(ステップS130)。
【0070】
画質変換部151aは、合成映像解像度が3Dモデルの推定解像度である場合、3Dモデルをそのまま2Dレンダリング部153に出力する。さらに、画質変換部151aは、合成映像解像度を、2D補正算出部18から通知された補正値により補正して画質変換後の2D映像の横の画素数を算出する。画質変換部151aは、横の画素数が算出された画質変換後の横の画素数であり、かつ、縦横比がステップS110で取得された2D映像の縦横比である場合の縦の画素数を、2D映像の画質変換後の縦の画素数として算出する。画質変換部151aは、ステップS110において取得された2D映像を、画質変換後の横の画素数及び縦の画素数の2D映像に変換した後、2D映像合成部154へ出力する(ステップS315)。さらに、画質変換部151は、3Dモデルをそのまま2Dレンダリング部153に出力する。
【0071】
映像合成装置1aのステップS140以降の処理は、第1の実施形態と同様である。また、ステップS125において、画質決定部14が、2D映像解像度よりも推定解像度のほうが高いと判断した場合(ステップS125:NO)の映像合成装置1aのステップS165以降の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0072】
図9及び図10を用いて、映像合成装置1aの具体的な処理例を説明する。ここでは、2D映像の縦横比が8:9であり、基準比率が16:9の例を示す。
【0073】
3Dモデル属性取得部11は、3DモデルAと、ショット種類「FS」の入力を受ける。3Dモデル属性取得部11は、3DモデルAのファイルからオブジェクト種類「人物」、元のモデルの大きさ「170cm」、オブジェクトの生成手法「A方式」、及び、ポイント数「2,000,000(ポイント)」を取得する(ステップS105)。一方、2D映像属性取得部12は、2D映像Bの入力を受ける。2D映像属性取得部12は、入力された2D映像Bを解析し、2D映像解像度「3849×4320(ピクセル)」を取得する(ステップS110)。2D補正算出部18は、2D映像の画像サイズの縦横比が8:9であるため、縦が4320ピクセルである場合の基準比率16:9の画像サイズ「7660×4320」を算出する。2D補正算出部18は、算出した画像サイズを設定した2D映像属性情報を画質決定部14に出力する(ステップS305)。2D補正算出部18は、画質決定部14に通知した画像サイズ「7660×4320」から、元の2D映像の画面サイズ「3849×4320(ピクセル)」へ戻すための補正値として、「横を1/2倍する」という情報を算出し、画質変換部151aへ通知する。
【0074】
画質決定部14は、オブジェクト種類「人物」、元のモデルの大きさ「170cm」、オブジェクトの生成手法「A方式」、及び、ショット種類「FS」を推定解像度検索条件に用いて、図3に示す画質DBから、推定画質「960」を読み出す(ステップS115)。画質決定部14は、推定解像度「960」<2D映像解像度「7680」であるため、合成映像解像度を「960」と決定する(ステップS120、ステップS125:YES、ステップS130)。
【0075】
画質変換部151aは、3Dモデルをそのまま2Dレンダリング部153に出力する。さらに、画質変換部151aは、合成映像解像度「960」を、2D補正算出部18から通知された補正値「横を1/2倍する」により補正して、画質変換後2D映像の横の画素数「480」を算出する。画質変換部151aは、横の画素数「480」であり、縦横比が8:9の場合の縦の画素数「540」を算出する。画質変換部151aは、入力された2D映像Bを、サイズ「480×540」の2D映像B’に変換する(ステップS315)。
【0076】
2Dレンダリング部153は、3DモデルAを2D映像にレンダリングしてレンダリング2D映像A’を生成する(ステップS140)。2D映像合成部154は、レンダリング2D映像A’と、解像度「480×540」の2D映像B’とを合成し、解像度「480×540」ピクセルの合成映像Cを生成する(ステップS145)。端末別画質変換部16は、合成映像Cを、端末解像度「1920×1080」の縦のサイズに合わせて解像度「960×1080」の配信映像C’に変換し、配信する(ステップS150、S155)。
【0077】
以上説明した実施形態によれば、映像合成装置1、1aは、異なるフォーマットの3Dモデルと2D映像とを、より自然に見える解像感の映像に合成することができる。また、映像合成装置1、1aは、解像度をそろえるだけでなく、画質DBを参照することにより、演出意図に応じて3Dモデル及び2D映像それぞれのぼけ具合を任意に指定することもできる。また、映像合成装置1、1aは、ポイントクラウドのデータである3Dモデルを、用途に応じて必要なポイント数に減らしてから2次元映像にレンダリングするため、負荷を軽減することができる。
【0078】
映像合成装置1、1aを、ネットワークに接続される複数のコンピュータ装置により実現してもよい。この場合、映像合成装置1、1aの各機能部を、これら複数のコンピュータ装置のいずれにより実現するかは任意とすることができる。例えば、映像合成装置1の3Dモデル属性取得部11、2D映像属性取得部12、画質情報記憶部13、画質決定部14及び映像合成部15を実現するコンピュータ装置と、映像合成装置1の端末別画質変換部16及び端末解像度取得部17を実現するコンピュータ装置とが異なってもよい。また、映像合成装置1の3Dモデル属性取得部11、2D映像属性取得部12、画質情報記憶部13及び画質決定部14を実現するコンピュータ装置と、映像合成装置1の映像合成部15を実現するコンピュータ装置とが異なってもよい。また、映像合成装置1、1aの同一の機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。例えば、画質情報記憶部13を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0079】
図11は、映像合成装置1、1aのハードウェア構成例を示す図である。映像合成装置1、1aは、プロセッサ71と、記憶部72と、通信インタフェース73と、ユーザインタフェース74とを備える。プロセッサ71は、演算や制御を行う中央演算装置である。プロセッサ71は、例えば、CPU(central processing unit)やGPU(Graphics Processing Unit)である。プロセッサ71は、記憶部72からプログラムを読み出して実行する。記憶部72は、さらに、プロセッサ71が各種プログラムを実行する際のワークエリアなどを有する。通信インタフェース73は、他装置と通信可能に接続するものである。ユーザインタフェース74は、ボタン、キーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置や、ディスプレイなどの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置である。
【0080】
映像合成装置1、1aの機能の全て又は一部は、プロセッサ71が記憶部72からプログラムを読み出して実行することより実現される。なお、これらの機能の全て又は一部は、ASICやPLD等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0081】
以上説明した実施形態によれば、映像合成装置は、三次元モデル属性取得部と、二次元映像属性取得部と、画質決定部と、映像合成部とを備える。例えば、三次元モデル属性取得部は、実施形態の3Dモデル属性取得部11に対応し、二次元映像属性取得部は、実施形態の2D映像属性取得部12に対応する。三次元モデル属性取得部は、ポイントクラウドによりオブジェクトが描画されたデータである三次元モデルと、オブジェクトの種類、オブジェクトの大きさ、三次元モデルの生成手法、三次元モデルのポイント数、及び、ショットの種類を含む三次元モデル属性とを取得する。二次元映像属性取得部は、二次元映像と、二次元映像の解像度である二次元映像解像度とを取得する。画質決定部は、三次元モデル属性の三次元モデルを二次元映像に変換した場合の推定解像度と、二次元映像解像度とのうち低いほうを画質に決定する。映像合成部は、推定解像度を画質に決定した場合、その画質に解像度を変換した二次元映像と、二次元映像に変換した三次元モデルとを合成して合成映像を生成し、二次元映像解像度を画質に決定した場合、二次元映像属性取得部が取得した二次元映像と、その画質の二次元映像に変換した三次元モデルとを合成して合成映像を生成する。
【0082】
映像合成装置は、オブジェクトの種類、オブジェクトの大きさ、三次元モデルの生成手法、ポイント数、及び、ショットの種類と、推定解像度とを対応付けて記憶する画質記憶部を備えてもよい。画質決定部は、三次元モデル属性が示すオブジェクトの種類を表す単語、オブジェクトの種類を表す単語の類語、又は、オブジェクトの種類を表す単語の上位概念の単語と、三次元モデル属性が示すオブジェクトの大きさ、生成手法、ポイント数、及び、ショットの種類とに対応した推定解像度を画質記憶部から読み出す。
【0083】
映像合成部は、三次元モデルのポイント数を削減し、ポイント数が削減された三次元モデルを二次元映像に変換することにより、決定した画質の二次元映像に変換した三次元モデルを得る。
【0084】
二次元映像属性取得部は、取得した二次元映像の画面サイズを取得し、取得した画面サイズの縦横比が所定の比率である場合には、画面サイズの横の画素数を二次元映像解像度とし、取得した画面サイズの縦横比が所定の比率ではない場合には、その画面サイズにおける縦の画素数を変更せずに縦横比を所定の比率とした場合の横の画素数を二次元映像解像度とする。
【0085】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1、1a 映像合成装置
11 3Dモデル属性取得部
12 2D映像属性取得部
13 画質情報記憶部(画質DB)
14 画質決定部
15、15a 映像合成部
16 端末別画質変換部
17 端末解像度取得部
18 2D補正算出部
71 プロセッサ
72 記憶部
73 通信インタフェース
74 ユーザインタフェース
151、151a 画質変換部
152 ボクセルサイズ情報記憶部(ボクセルサイズDB)
153 2Dレンダリング部
154 2D映像合成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11