(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013944
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】干渉終点検出システムにおける内部反射の排除
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
H01L21/302 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024187042
(22)【出願日】2024-10-24
(62)【分割の表示】P 2019191140の分割
【原出願日】2019-10-18
(31)【優先権主張番号】16/165,544
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】レイ リアン
(72)【発明者】
【氏名】ペンギュ ハン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処理チャンバに形成された天井と、処理チャンバの内部に配置された基板支持体及び基板支持体上に載っている基板とを有する処理チャンバの終点検出システムを動作させる方法を提供する。
【解決手段】プラズマ処理チャンバにおいて、透明パネル204は、処理チャンバの天井103に配置され、基板120と基板支持体116に対して第1鋭角αの方向に向けられている。透明パネル204は、終点検出システム164からの入射光ビーム176を、透明パネルに対して第2鋭角βで受光し、入射光ビーム176を、基板120と基板支持体116に対して垂直な角度で基板120へ透過させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバに形成された天井と、
処理チャンバの内部に配置された基板支持体と、
基板支持体上に載っている基板とを有する処理チャンバの終点検出システムを動作させる方法であって、
処理チャンバの天井に配置された透明なパネルであって、基板と基板支持体に対して第1鋭角の方向に向けられたパネルが、終点検出システムからの入射光ビームを、パネルに対して第2鋭角で受光する工程と、
パネルが、入射光ビームを基板及び基板支持体に対して垂直な角度で処理チャンバ内の基板へ透過させる工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(分野)
本開示の諸実施形態は、概して、半導体処理の終点検出に関し、より詳細には、入射光及び反射光の反射を低減した終点検出システム及び方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
半導体デバイスの形状は、数十年前に最初に導入されて以来、サイズが劇的に小さくなっている。回路密度の増加により、半導体デバイスの製造に使用される処理にはさらなる要求が課されている。例えば、回路密度の増加と共に、ピッチサイズが50nm未満の寸法へ急速に減少し、他方で、トレンチの深さなどの垂直寸法は比較的一定のままである。その結果、フィーチャーのアスペクト比、つまり、高さを幅で除算した値が増加している。このような高密度かつサブミクロンのフィーチャーの寸法を精密に制御することは、半導体デバイスの信頼性の高い形成にとって不可欠である。
【0003】
従来、トランジスタやコンデンサなどの半導体デバイスは、基板の表面をパターニングして、フィーチャーの横方向の寸法を画定し、その後、基板をエッチングして、材料を除去し、フィーチャーを画定することで、形成されている。所望の電気的性能を持つフィーチャーを形成するには、フィーチャーの寸法を、制御仕様内で形成しなければならない。その結果、基板の精密なパターニングとその後のエッチングは、所望の限界寸法を持つフィーチャーの信頼性の高い形成にとって不可欠である。
【0004】
集積回路製造では、高密度半導体デバイスを形成するために層を構成する必要がある。したがって、プラズマエッチング処理を使用して1つ以上の層を部分的に除去する必要性が生じる場合がある。プラズマエッチングの間に、マスクを利用して、基板に配置されたターゲット層にパターンを転写するが、この時には、ターゲット層の下に配置された層をエッチングしない。この下に配置された層又は基板を目標の深さ又は厚さまで部分的にエッチングするために、干渉終点技術を利用する。干渉計終点システムは、ウェハ表面の種々の界面で反射した反射光波の干渉を使用して、表面のエッチング深さ又は膜厚の変化を認識する。
【0005】
干渉計は、2つ以上の光路の差を測定するために、両方の光路からの残留光を重ね合わせて干渉縞を生成する。単色光源又は広帯域光源が使用され、複雑なフィルムスタックの表面から反射される。光源の波長範囲内の小さな変化を認識できる。
【0006】
反射光は、基板上に配置された各層からの信号の組み合わせであり、各層に独特な干渉縞が形成される。終点検出の場合、さまざまな層に対して干渉縞パターンを模擬することができ、その後、エッチング中に測定信号と比較し得る。この方法は非常に効果的で、複数の層が上にある基板のエッチング又は堆積の監視及び終点検出に使用され得る。
【0007】
透過光及び反射光は、一般に、プラズマエッチングチャンバ内のほぼ平坦で透明な窓を通過する。この時、基板の入射面はエッチングされている。残念ながら、従来の平坦な干渉計終点(IEP)検出窓では、エッチング中に著しい内部反射が発生し、基板上のメトリックに対する感度が低下する。IEP窓の内部反射を減らすための典型的な方法は、窓の表面に反射防止コーティング(ARC)を採用することである。残念ながら、一般に200nmから800nmまでの広い波長範囲で内部反射を除去する必要があるにも拘わらず、ARCは、限られた範囲の諸波長でのみ機能する。
【0008】
したがって、当技術分野では、終点検出システムの内部反射を排除する効果的な方法が必要になっている。
【概要】
【0009】
本明細書に提示される諸実施形態は、終点検出システムを動作させる方法、終点検出システム用の透明パネル、及びそれを有する処理チャンバを提供する。処理チャンバは、処理チャンバに形成された天井と、処理チャンバの内部に配置された基板支持体と、基板支持体上に載っている基板とを有する。透明パネルは処理チャンバの天井に配置され、基板と基板支持体に対して第1鋭角の方向に向けられている。透明パネルは、終点検出システムからの入射光ビームを、透明パネルに対して第2鋭角で受光する。透明パネルは、入射光ビームを、基板と基板支持体に対して垂直な角度で処理チャンバ内の基板へ透過させる。
【0010】
本明細書に提示される諸実施形態は、処理チャンバをさらに提供する。処理チャンバは、側壁と底部を有するチャンバ本体を備える。天井がチャンバ本体の上に取り付けられ、天井とチャンバ本体が処理チャンバの内部空間を画定している。基板支持体は、処理チャンバの内部空間に配置され、処理中に基板を支持するように構成されている。処理チャンバは、終点検出システムをさらに備えている。処理チャンバは、天井に取り付けられた透明パネルをさらに備え、この透明パネルは、終点検出システムが、透明パネルを通して基板と相互に作用できるように構成されている。透明パネルは、基板と基板支持体に対して第1鋭角の方向に向けられている。透明パネルを構成して、終点検出システムからの入射光ビームを、透明パネルに対して第2鋭角で受光する。透明パネルをさらに構成して、入射光ビームを、基板及び基板支持体に対して垂直な角度で、処理チャンバ内の基板へ透過させる。
【0011】
本明細書に提示される諸実施形態は、処理チャンバの終点検出システムでの使用に適した傾斜窓をさらに提供する。傾斜窓は、第1セクションと、第1セクションから垂直に延びる第2セクションとを含む本体を有する取り付けフレームを備える。第2セクションは、上面と底面を有する。第2セクションの上面は、第2セクションの底面に対して第1鋭角で傾斜し、第1セクションに対しては第2鋭角で傾斜している。傾斜窓は、上面、底面、及び側壁を備える本体を有するパネルをさらに備え、パネルは取り付けフレームに配置されている。パネルの側壁は取り付けフレームの第1セクションに隣接し、パネルの底面は取り付けフレームの第2セクションの上面に載り、取り付けフレームの第2セクションの底面に対して第1鋭角の方向に向けられている。
【0012】
本明細書に提示される諸実施形態は、処理チャンバをさらに提供する。処理チャンバは、側壁と底部を有するチャンバ本体を備える。天井がチャンバ本体の上に取り付けられ、天井とチャンバ本体が処理チャンバの内部空間を画定している。基板支持体は、処理チャンバの内部空間に配置され、処理中に基板を支持するように構成されている。処理チャンバは、終点検出システムをさらに備えている。処理チャンバは、天井に取り付けられた傾斜窓をさらに備え、傾斜窓は終点検出システムが、傾斜窓を通して基板と相互に作用できるように構成されている。傾斜窓は、第1セクションと、第1セクションから垂直に延びる第2セクションとを含む本体を有する取り付けフレームを備える。第2セクションは、上面と底面を有する。第2セクションの上面は、第2セクションの底面に対して第1鋭角で傾斜し、第1セクションに対しては第2鋭角で傾斜している。傾斜窓は、上面、底面、及び側壁を備える本体を有するパネルをさらに備え、パネルは取り付けフレームに配置されている。パネルの側壁は取り付けフレームの第1セクションに隣接し、パネルの底面は取り付けフレームの第2セクションの上面に載り、取り付けフレームの第2セクションの底面に対して第1鋭角の方向に向けられている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。そして、この実施形態のいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得るので、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、従ってこの範囲を制限していると解釈するべきではないことに留意すべきである。
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態によるプラズマエッチングチャンバの概略断面図を示している。
【
図2】本開示の諸実施形態による、その処理チャンバの終点検出システムで使用される傾斜窓の側面図である。
【
図4】処理システムの終点検出システムを動作させる方法であり、この終点検出システムは、処理チャンバの終点検出システムでの使用に適した、
図1~3の傾斜窓を採用している。
【
図5A】従来型窓の反射の大きさと波長の関係を表す曲線である。
【
図5B】従来型窓と傾斜窓の反射の大きさと波長の関係を表す曲線の比較である。
【
図6】傾斜窓の正規化された振幅の大きさとエッチング凹部の深さの関係を表す曲線を示している。
【
図7A】傾斜窓と従来型窓の比較での、縞曲線スペクトルの大きさと相対時間の関係を表す曲線を示している。
【
図7B】傾斜窓と従来型窓の比較での、縞曲線スペクトルの大きさと波長の関係を表す曲線を示している。
【0015】
理解を容易にするため、可能な限り、同一の符号を使用して、これらの図面に共通の同一の要素を示す。さらに、一実施形態で開示される要素は、具体的な説明なしに本明細書で説明される他の諸実施形態で有益に使用され得ることが企図される。
【詳細な説明】
【0016】
本明細書で提示される傾斜窓は、着目する広範囲の波長(約200~800nmの間など)にわたって内部反射を効果的に低減することができ、反射防止コーティングの必要はない。IEPシステムのダイナミックレンジが改善されている。傾斜窓の直接的な利点は、エッチング深さと厚さの制御精度が向上することと、窓の寿命が延びることである。傾斜窓は、一般に既存のチャンバ本体と互換性があり、そのため、IEPシステムを利用する既存のほぼすべてのプラズマ処理チャンバに後から取り付けてもよい。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態によるプラズマ処理チャンバ100の概略断面図である。適する処理チャンバには、誘導結合及び容量結合のプラズマエッチングチャンバ、とりわけ、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なSYM3(登録商標)エッチングシステムなどが含まれている。他の種類の処理チャンバを、本発明から利益を得るように適合させてもよい。その処理チャンバには、たとえば、化学気相堆積チャンバ、容量結合平行平板型チャンバ、及び磁気強化型イオンエッチングチャンバと共に、種々の設計の誘導結合プラズマエッチングチャンバが含まれる。
【0018】
処理チャンバ100は、一般に、チャンバ本体102とエネルギー透過性天井103を備える。チャンバ本体102は、チャンバ底部107も有する。チャンバ本体102は、陽極酸化アルミニウム又はステンレス鋼などの金属から製造される。天井103は、本体102に取り付けられている。天井103は、平坦な、長方形、アーチ形、円錐形、ドーム形又は多半径形であってもよい。天井103は、セラミック又は他の誘電体材料などのエネルギー透過性材料から製造される。誘導コイル126を処理チャンバ100の天井103の上に配置して利用し、処理中にチャンバ100内のガスを活性化させる。
【0019】
基板支持体116は処理チャンバ100内に配置され、基板支持面188を有して、処理中に基板120を支持する。基板支持体116は、静電チャックを備えてもよい。ここで、基板支持体116の少なくとも一部は導電性であり、プロセスバイアスカソードとして機能し得る。
【0020】
処理ガスは、処理ガス源148からガス分配器122を介して処理チャンバ100に導入される。ガス分配器122は、一般に基板支持体116の上方の天井103又はチャンバ本体102に配置され得る。ガス分配器122と処理ガス源148との間に、各処理ガス用、又は代替的に処理ガスの混合気用のマスフローコントローラ(図示せず)を配置して、チャンバ本体102への諸処理ガスの各流量を調整する。
【0021】
プラズマゾーン114は、基板支持体116と天井103との間のチャンバ本体102内に画定される。プラズマは、コイル電源127を使用して処理ガスからプラズマゾーン114で形成される。ここで、このコイル電源は誘導コイル126に電力を供給して、RF整合ネットワーク135を介してプラズマゾーン114に電磁場を生成する。基板支持体116は、内部に電極を備えてもよい。この電極は、電極電源128によって電力供給され、RF整合ネットワーク125を介して処理チャンバ100内に容量性電界を生成する。通常は、基板支持体116の電極にRF電力が印加されると共に、本体102が電気的に接地される。容量性電界は、基板支持体116の平面と交差する方向であり、荷電種の指向性を基板120に対するより垂直な方向へと影響を及ぼして、より垂直方向を指向する異方性エッチングを基板120に提供する。
【0022】
処理ガス及びエッチャント副生成物は、排気システム130を介して処理チャンバ100から排気される。排気システム130を、処理ガスの除去のために、処理チャンバ100の底部107に配置してもよく、又は処理チャンバ100の本体102の別の部分に配置してもよい。処理チャンバ100内の圧力を制御するために、排気ポート134にスロットル弁132が設けられている。
【0023】
図1はさらに、処理チャンバ100に接続された終点検出システム164を示している。終点検出システム164は、干渉計終点(IEP)検出システムであってもよい。終点検出システム164を配置して、天井103の一部を通して基板120と相互に作用させる。一実施例では、終点検出システム164を配置して、天井103の中心からオフセットされた天井103の一部を通して基板の周辺部分と相互に作用させる。このように、終点検出システム164は、直接的な見通し線を有して、基板120の周辺領域表面を探索する。
【0024】
終点検出システム164は、一般に、光源166、コリメートアセンブリ168、及び光検出器170を備える。光源166を構成して、光ビームを放出する。コリメートアセンブリ168を構成して、光ビームを入射光ビーム176へと集束させる。入射光ビーム176は、基板支持面188に垂直な方向に天井103を通過し、基板120の表面上の領域又はスポット180を照射する。入射光ビーム176は、基板120の表面によって反射され、反射光ビーム178を形成する。反射光ビーム178の少なくとも一部は、基板支持面188に垂直な方向に向けられ、天井103を通って光検出器170に戻る。光検出器170を構成して、反射光ビーム178の強度を測定する。コンピュータシステム172は、基板120上のビームスポット180から反射された反射光ビーム178のリアルタイム測定波形スペクトルの一部を計算し、保存されている特性波形パターンとそのスペクトルを比較するなど、高度なスペクトル解析技術を使用してスペクトルを処理する。
【0025】
光源166は、単色又は多色の光源を備えており、この光源は、基板120上にビームスポット180を照射するために使用される入射光ビーム176を生成する。入射光ビーム176の強度は、反射光ビーム178が測定可能な強度を持ち得るだけの十分に高い強度を持つように選択される。一変形実施例では、Xeランプなどの光源166は、多色光を提供し、約200nmから約800nmまでの波長の光の発光スペクトルを生成する。多色光源166をフィルター処理して、入射光ビーム176を構成する周波数を選択し得る。カラーフィルターを光検出器170の前に配置して、目的とする光の波長以外のすべての波長をフィルターで除外し、その後、光検出器170に入る反射光ビーム178の強度を測定し得る。光源166はまた、たとえば、He-Ne又はND-YAGレーザーなどの単色光源を備えて、選択された波長の光を提供し得る。
【0026】
1つ以上の集束レンズ174a、174bを使用し、光源166からの入射光ビーム176を平行ビームにして基板表面にビームスポット180を形成してもよく、反射光ビーム178を光検出器170の活性表面に戻して集束させてもよい。ビームスポット180のサイズ又は面積を十分に大きくして、基板120の表面トポグラフィ及びデバイス設計フィーチャーの変動を補償するべきである。これにより、小さな開口部を持つ設計フィーチャーの目標深さでのエッチング終点の検出が可能になる。これらの設計フィーチャーとは、ビアや狭いトレンチなどであり、これらは、密集していても、孤立していてもよい。反射光ビームの面積を十分に大きくして、光検出器170の活性光検出表面の大部分を活性化させるべきである。
【0027】
入射光ビーム176及び反射光ビーム178は、処理チャンバ100の透明な傾斜窓182を通して導かれる。傾斜窓182により、両光ビーム176、178は、実質的に内部反射を生じることなく、処理チャンバ100の処理環境に出入りすることができる。傾斜窓182は、実質的に平坦な透明パネル204を含む。傾斜窓182を処理チャンバ102の実質的に平坦な水平天井103内に配置すると、傾斜窓の平坦な透明パネル204は、透明パネル204、水平天井103、基板支持面188、及び基板120の間に第1鋭角αを形成する。第1鋭角は、2°から5°の範囲、好ましくは3°であってもよい。基板120が載る基板支持体116の基板支持面188は、天井103に平行で、両光ビーム176、178に垂直(90°)に配置される。同時に、傾斜窓182のパネル204は、両光ビーム176、178に対して第2鋭角βを形成する。一実施形態では、βは85°から88°の範囲、好ましくは87°である。したがって、パネル204の上面207とパネル204の底面224のどちらからも内部反射は生じない。
【0028】
一実施形態では、処理チャンバ100の天井103に配置する透明パネル204であって、基板120及び基板支持体116に対して第1鋭角αの方向に向けられたパネル204を構成して、パネル204に対して第2鋭角βで終点検出システム164からの入射光ビームを受光する。パネル204をさらに構成して、入射光ビームを、基板120及び基板支持体116に対して垂直な角度で処理チャンバ100内の基板120へ透過させる。パネル204をさらに構成して、基板120からの反射光ビームを第2鋭角で受光する。パネル204をさらに構成して、反射光ビームを終点検出システム164に対して垂直な角度で終点検出システム164へ透過させる。
【0029】
ビームスポット180の直径は一般に約2mmから約10mmである。しかしながら、ビームスポット180が、エッチングされたフィーチャーを少数のみ含有する、基板の大きな孤立領域を含む場合には、注目するフィーチャーに焦点を合わせるために、より小さなビームスポットを使用する必要があり得る。したがって、特定のデバイスの設計フィーチャーに応じて、ビームスポットのサイズを最適化し得る。
【0030】
必要に応じて、光ビーム位置決め装置184を使用して、基板120の全体に入射光ビーム176を移動させ、ビームスポット180を配置する基板表面の適切な部分の位置を探し出して、エッチング処理を監視してもよい。光ビーム位置決め装置184は、1つ以上の一次鏡186を備えて、この一次鏡を小さな角度で回転させて、光源166からの光ビームを基板表面の種々の位置に振り向けてもよい。追加の二次鏡(図示せず)を使用して、基板120の表面から反射され、光検出器170に集束する反射光ビーム178を遮断してもよい。また、光ビーム位置決め装置184を使用して、基板120の表面の全体をラスタパターンで光ビームを走査させてもよい。この変形実施例では、光ビーム位置決め装置184は、可動ステージ(図示せず)からなる走査アセンブリを備えて、その上に、光源166、コリメートアセンブリ168、及び検出器170が取り付けられる。可動ステージは、駆動機構(ステッピングモーターなど)により設定された間隔で移動して、基板120の表面の全体にビームスポット180を移動させる。
【0031】
光検出器170は、電荷結合素子(CCD)、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの感光電子部品を備えて、この感光電子部品が、基板120の表面から反射される反射光ビーム178の測定強度に応じて信号を送る。その信号は、電気部品を流れる電流のレベルの変化、又は電気部品に印加される電圧の変化の形を取り得る。反射光ビーム178は、建設的及び/又は破壊的な干渉を受け、これにより、反射光ビームの強度が増減して、光検出器170が、反射光ビーム178の測定強度に関する電気出力信号を送る。電気出力信号は時間の関数として表示されて、変動する反射光ビーム178の強度に対応する多数の波形パターンを有する波形スペクトルを提供する。
【0032】
コンピュータシステム172上のコンピュータプログラムは、反射光ビーム178の測定波形パターンの形状を保存されている特性波形パターンと比較し、測定波形パターンが特性波形パターンと同じ場合に、エッチング処理の終点を確定する。こうして、時間の関数としての干渉信号の周期を使用して、深さとエッチング速度を計算してもよい。プログラムはまた、干渉の傾向を捉えたうえで動作して、変曲点などの特徴的なパターンを検出してもよい。その動作は、移動導関数を評価して変曲点を検出するなど、単純な数学演算になり得る。
【0033】
終点検出システム164を配置して、処理チャンバ100の実質的に水平な天井103の一部を介して基板120と相互に作用させるとしても、いくつかの実施形態では、終点検出システム164を、チャンバ100の上方に水平に配置し、チャンバ100の上方に折り畳み式のミラーをさらに備えて、入射光ビーム176と反射光ビーム178を垂直位置から水平位置に曲げ得る。透明な傾斜窓182を、チャンバ100の側面又はチャンバ100の底部に配置してもよい。
【0034】
図2は、処理チャンバ100の終点検出システム164で使用される傾斜窓182の側面図である。傾斜窓182は、取り付けフレーム202と、取り付けフレーム202に配置されたパネル204とを備える。取り付けフレーム202は、第1セクション206と、第1セクション206から延びる第2セクション208とを有する。第1セクション206は、実質的に平坦な上面210と、第2セクション208の上面216との交差部214まで垂直に延びる側壁212とを有する。第2セクション208は、上面216、実質的に垂直な側壁218、及び底面220(取り付けフレーム202の底面220を形成する)を有する。
【0035】
パネル204は、上面222と底面224を有する。一実施形態では、上面222は底面224と平行である。パネル204はまた、近外縁部226及び遠外縁部228を備える。一実施形態では、近外縁部226及び遠外縁部228は、上面222及び底面224に対して90°の角度に向けられている。パネル204を構成して、取り付けフレーム202の第2セクション208の上面216に載せる。一実施形態では、取り付けフレーム202の第1セクション206の上面210に対するパネル204の上面222の角度は第1鋭角αである。第2セクション208の上面216は、第2セクション208の底面220に対して第1鋭角αで傾斜し、第1セクション206に対して第2鋭角βで傾斜している。別の一実施形態では、近外縁部226及び遠外縁部228は、取り付けフレーム202の第2セクション208の底面220に対して第2鋭角βの方向に向けられて、取り付けフレーム202の第1セクション206の側壁212及び第2セクション208の上面216にぴったりと嵌合する。
【0036】
図3は、
図2の傾斜窓182の上面図である。一実施形態では、パネル204は実質的に円形であり、取り付けフレーム202の内部に円板を形成する。他の諸実施形態では、パネル204は、実質的に正方形、長方形、三角形、又は楕円形などであってもよい。一実施形態では、パネル204は、サファイア、溶融シリカ、又はMgF
2でできていてもよい。他の透明材料も使用され得ると考えられる。
【0037】
一実施形態では、取り付けフレーム202は実質的に円形であり、パネル204の周りに環状リングを形成する。他の諸実施形態では、取り付けフレーム202は、実質的に正方形、長方形、三角形、又は楕円形などであってもよい。一実施形態では、取り付けフレーム202は、金属又はセラミックでできていてもよい。他の透明又は不透明の材料も使用され得ると考えられる。取り付けフレーム202の材料は、パネル204の材料と異なっていてもよい。しかし、ワンピース設計であれば、取り付けフレーム202とパネル204の間の真空シールの維持が促進される。
【0038】
図4は、処理チャンバ100の終点検出システム164を動作させる方法400であり、この終点検出システムは、
図1~3の透明パネル204を備える傾斜窓182を採用している。処理チャンバ100は、処理チャンバに形成された天井103と、処理チャンバ100の内部に配置された基板支持体116と、基板支持体116上に載っている基板120とを有する。ブロック405で、処理チャンバ100の天井103に配置する透明なパネル204であって、基板120及び基板支持体116に対して第1鋭角αの方向に向けられたパネル204は、終点検出システム164からの入射光ビームを、パネル204に対する第2鋭角βで受光する。ブロック410で、パネル204は、入射光ビームを、基板120及び基板支持体116に対して垂直な角度で処理チャンバ100内の基板120へ透過させる。ブロック415で、パネル204は、第2鋭角で基板120からの反射光ビームを受光する。ブロック420で、パネル204は、反射光ビームを、終点検出システム164に対して垂直な角度で終点検出システム164へ透過させる。
【0039】
図5Aは、従来型窓の反射の大きさと波長の関係を表す曲線を示している。
図5Bは、傾斜窓182と比較した従来型窓の反射の大きさと波長の関係を表す曲線を比較している。曲線502は、従来型窓からの反射の大きさを表示しており、曲線504は、傾斜窓182からの反射の大きさを表示している。従来型窓の約20Kカウント(カウントは分光計の出力の単位)と比較して、傾斜窓からの反射はほとんどない。傾斜窓がある場合のウェハからのIEPスペクトルは、基板のみから反射されたスペクトルで構成されており、従来型IEP窓からの20kカウントの背景反射はない。傾斜窓182は、IEP調整を大幅に改善している。
【0040】
図6は、傾斜窓(曲線602)及び従来型窓(曲線604)での正規化された振幅の大きさとエッチング凹部深さの関係を表す曲線を示している。傾斜窓を有するエッチングIEPアルゴリズムを使用することにより制御される凹部深さの範囲は、WEB(WEBはW(タングステン)エッチバックを意味する)チップのラボ試験結果に基づくと、約10Åだけ縮小され得る。傾斜窓を用いることで、5Åから20Å以内のエッチング深さの変動を実現し得る。
【0041】
図7Aは、傾斜窓(曲線702)と従来型窓(曲線704)での、縞曲線スペクトルの大きさと相対時間の関係を表す曲線を示している。
図7Bは、傾斜窓(曲線706)と従来型窓(曲線708)での、縞曲線スペクトルの大きさと波長の関係を表す曲線を示している。これらの曲線から分かるように、IEP調整深さ(感度)は、従来型窓の曲線704、708と比較して傾斜窓の曲線702、706では、約80%だけ増加している。これは、スペクトル解析がオンウェハメトリック(ウェハ表面でのフィーチャーの寸法)の計算に依存しており、微妙なオンウェハメトリックの変化に対するスペクトル応答が強いほど、S/N比が高くなり、オンウェハメトリックのより正確な結果が得られるので、望ましいことである。
【0042】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。