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特開2025-13998測位システム、路側装置、車載装置、プログラム及び測位方法
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  • 特開-測位システム、路側装置、車載装置、プログラム及び測位方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013998
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】測位システム、路側装置、車載装置、プログラム及び測位方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/43 20100101AFI20250121BHJP
【FI】
G01S19/43
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024188863
(22)【出願日】2024-10-28
(62)【分割の表示】P 2021207079の分割
【原出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】下大迫 和隆
(72)【発明者】
【氏名】望月 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 若
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓三
(57)【要約】
【課題】本発明の実施形態が解決しようとする課題は、利用するRTK基準局を切り替えた場合でも高精度な測位を維持することを可能にする測位システム、路側装置、車載装置、プログラム及び測位方法を提供することである。
【解決手段】実施形態の測位システムは、路側装置と、車載装置とを備え、第1の測位の結果及び第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、fix解が得られている第1の測位の結果及びfix解が得られていない第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている第1の測位の結果及びfix解が得られている第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、第2の測位の結果を選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
V2X通信に対応する機能を有する路側装置と、前記路側装置と通信可能であり、V2X通信に対応する機能を有する車載装置と、を備える測位システムであって、
前記路側装置は、
少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信する第1の通信部と、
前記車載装置と通信するための第2の通信部と、
を備え、
前記車載装置は、
前記路側装置と通信するための車載通信部と、
少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行う測位部と、
を備え、
前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、
前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、
前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報であり、
前記測位部は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、
前記測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備え、
前記車載装置は、前記補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する決定部を備え、
前記決定部は、前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、
前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、
前記車載装置は、選択部を備え、
前記選択部は、
前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、
fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択する、
測位システム。
【請求項2】
前記第2の通信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を一度にブロードキャスト送信する、請求項1に記載の測位システム。
【請求項3】
前記選択部は、前記第2のRTK基準局が前記車載装置の進行方向にあり、前記第1の測位の結果よりも前記第2の測位の結果の測位誤差が小さいと評価される場合に、前記複数の測位結果の中から前記第2の測位の結果を選択する、請求項1に記載の測位システム。
【請求項4】
V2X通信に対応する機能を有する路側装置であって、
少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信する第1の通信部と、
前記車載装置と通信するための第2の通信部と、
を備え、
前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、
前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、
前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報である、
路側装置。
【請求項5】
前記第2の通信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を一度にブロードキャスト送信する、請求項4に記載の路側装置。
【請求項6】
路側装置と通信可能であり、V2X通信に対応する機能を有する車載装置であって、
前記車載装置は、
前記路側装置と通信するための車載通信部と、
少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行う測位部と、
を備え、
前記測位部は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、
前記測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備え、
前記車載装置は、補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する決定部を備え、
前記決定部は、
前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、
前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、
前記車載装置は、選択部を備え、
前記選択部は、
前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、
fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択する、
車載装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記第2のRTK基準局が前記車載装置の進行方向にあり、前記第1の測位の結果よりも前記第2の測位の結果の測位誤差が小さいと評価される場合に、前記複数の測位結果の中から前記第2の測位の結果を選択する、請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
少なくとも第1の通信装置及び第2の通信装置を備える路側装置が備えるプロセッサー、及び車載装置が備えるプロセッサーを測位システムとして機能させるプログラムであって、
前記路側装置は、
少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信する第1の通信部と、
前記車載装置と通信するための第2の通信部と、
を備え、
前記車載装置は、
前記路側装置と通信するための車載通信部と、
少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行う測位部と、
を備え、
前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、
前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、
前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報であり、
前記測位部は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、
前記測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備え、
前記車載装置は、前記補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する決定部を備え、
前記決定部は、
前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、
前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、
前記車載装置は、選択部を備え、
前記選択部は、
前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、
fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択することを、
測位システムとして機能させるプログラム。
【請求項9】
V2X通信に対応する機能を有する路側装置と、前記路側装置と通信可能であり、V2X通信に対応する機能を有する車載装置と、を備える測位システムにおける測位方法であって、
前記路側装置は、
少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信し、
前記車載装置は、
少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行い、
前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、
前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、
前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報であり、
前記車載装置は、
所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、
前記補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定し、
前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、
前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、
前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、
fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択する、
測位方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位システム、路側装置、車載装置、プログラム及び測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)などのGNSS(global navigation satellite system)の測位精度を向上させる技術として、RTK(real-time kinematic)が知られている(特許文献1)。しかしながら、RTKは、fix解を求める時間が必要である。このため、RTKを利用する機器は、測位を開始してからfix時間経過するまでは、fix解を用いた高精度の測位結果が得られず、float解を用いた低精度の測位結果しか得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6366357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RTKは、RTK基準局から離れるほど誤差が大きくなるため、距離に応じて利用するRTK基準局を適切に切り替えながら使用することで誤差を抑えることができる。しかしながら、前述のようにfix時間がかかるため、何らの工夫も行わなければ、RTK基準局の切り替えごとに測位の精度が落ちることとなる。また、環境によってはfloat解が収束せず、必要な測位ができない場合もある。
【0005】
特許文献1には、地上回線から測位補強情報が取得するRTKなどの方式において、測位補情報が取得できない場合には、衛星回線から取得した測位補強情報を用いることが記載されている。特許文献1は、これにより高精度の測位の実施率を向上させることができると記載されている。
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、高精度な測位を維持しながら、RTK基準局の切り替えを支援することができる路側装置、測位装置、サーバー装置、プログラム、送信方法及び測位方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の測位システムは、V2X通信に対応する機能を有する路側装置と、前記路側装置と通信可能であり、V2X通信に対応する機能を有する車載装置と、を備える測位システムであって、前記路側装置は、少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信する第1の通信部と、前記車載装置と通信するための第2の通信部と、を備え、前記車載装置は、前記路側装置と通信するための車載通信部と、少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行う測位部と、を備え、前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報であり、前記測位部は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、前記測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備え、前記車載装置は、前記補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する決定部を備え、前記決定部は、前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、前記車載装置は、選択部を備え、前記選択部は、前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択する。
【0008】
前記第2の通信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を一度にブロードキャスト送信してもよい。
【0009】
前記選択部は、前記第2のRTK基準局が前記車載装置の進行方向にあり、前記第1の測位の結果よりも前記第2の測位の結果の測位誤差が小さいと評価される場合に、前記複数の測位結果の中から前記第2の測位の結果を選択してもよい。
【0010】
実施形態の路側装置は、V2X通信に対応する機能を有する路側装置であって、少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信する第1の通信部と、前記車載装置と通信するための第2の通信部と、を備え、前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報である。
【0011】
前記第2の通信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を一度にブロードキャスト送信してもよい。
【0012】
実施形態の車載装置は、路側装置と通信可能であり、V2X通信に対応する機能を有する車載装置であって、前記車載装置は、前記路側装置と通信するための車載通信部と、少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行う測位部と、を備え、前記測位部は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、前記測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備え、前記車載装置は、補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する決定部を備え、前記決定部は、前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、前記車載装置は、選択部を備え、前記選択部は、前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択する。
【0013】
前記選択部は、前記第2のRTK基準局が前記車載装置の進行方向にあり、前記第1の測位の結果よりも前記第2の測位の結果の測位誤差が小さいと評価される場合に、前記複数の測位結果の中から前記第2の測位の結果を選択してもよい。
【0014】
実施形態のプログラムは、少なくとも第1の通信装置及び第2の通信装置を備える路側装置が備えるプロセッサー、及び車載装置が備えるプロセッサーを測位システムとして機能させるプログラムであって、前記路側装置は、少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信する第1の通信部と、前記車載装置と通信するための第2の通信部と、を備え、前記車載装置は、前記路側装置と通信するための車載通信部と、少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行う測位部と、を備え、前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報であり、前記測位部は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、前記測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備え、前記車載装置は、前記補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する決定部を備え、前記決定部は、前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、前記車載装置は、選択部を備え、前記選択部は、前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択することを、測位システムとして機能させるプログラム。
【0015】
実施形態の測位方法は、V2X通信に対応する機能を有する路側装置と、前記路側装置と通信可能であり、V2X通信に対応する機能を有する車載装置と、を備える測位システムにおける測位方法であって、前記路側装置は、少なくとも、第1のRTK基準局で生成される、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を用いた移動局である車載装置により測位された位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた前記車載装置により測位された位置を補正するための第2の補正情報を受信し、前記車載装置は、少なくとも、GNSS衛星から送信されたGNSS信号を受信し、第1のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第1の補正情報を前記第1のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記第1のRTK基準局とは異なる第2のRTK基準局で生成される、前記GNSS信号を用いて測位された位置を補正するための第2の補正情報を前記第2のRTK基準局から受信し、前記GNSS信号と前記第2の補正情報とを用いた第2の測位を行い、前記路側装置は、所定のタイミングで前記車載装置と通信を行い、前記第1の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報であり、前記第2の補正情報は、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報であり、前記車載装置は、所定のタイミングで前記路側装置と通信を行い、前記補正情報が複数ある場合、複数の前記補正情報の中から、第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定し、前記車載装置の進行方向にある前記補正情報を優先して決定し、前記進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である、又は車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向であり、前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択し、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位の結果を選択する。
【0016】
実施形態の路側装置は、受信部及び送信部を備える。受信部は、少なくとも、第1の基準局で生成される、GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報を受信する。送信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を無線通信により一度に送信する。
【0017】
送信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を一度にブロードキャスト送信しても良い。
第1の補正情報は、例えば、前記路側装置の設置位置における測位誤差が最も小さいと評価される補正情報である。
第2の補正情報は、例えば、前記路側装置の設置位置における測位誤差が2番目に小さいと評価される補正情報である。
【0018】
実施形態の測位装置は、測位部を備える。測位部は、少なくとも、GNSS信号と、第1の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記GNSS信号と、前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報とを用いた第2の測位を並行及び並列の少なくともいずれかで行う。
【0019】
測位部は、前記第1の測位を行う第1の演算部、及び前記第2の測位を行う第2の演算部を備えても良い。
実施形態の測位装置は、決定部をさらに備えても良い。決定部は、補正情報が3つ以上ある場合、3つ以上の前記補正情報から、前記第1の演算部に入力する前記第1の補正情報と、前記第第2の演算部に入力する前記第2の補正情報を決定する。
【0020】
決定部は、生成された基準局が前記測位装置の進行方向にある補正情報を優先して決定するしても良い。
進行方向は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部により予測される方向である。
【0021】
進行方向は、車両が進行する予定の経路を決定する経路探索部により決定される方向である。
実施形態の測位装置は、選択部をさらに備えても良い。選択部は、前記第1の測位の結果及び前記第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、1つの測位結果を選択する。
【0022】
選択部は、前記複数の測位結果の中からfix解が得られている測位結果を選択しても良い。
選択部は、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られていない前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている前記第1の測位の結果及びfix解が得られている前記第2の測位の結果を含む前記複数の測位結果の中から、前記第2の測位結果を選択しても良い。
【0023】
選択部は、前記第2の基準局が前記測位装置の進行方向にあり、前記第1の測位の結果よりも第2の測位の結果の測位誤差が小さいと評価される場合に、前記複数の測位結果の中から前記第2の測位の結果を選択しても良い。
実施形態のサーバー装置は、サーバー受信部及びサーバー送信部を備える。サーバー受信部は、少なくとも、第1の基準局で生成される、GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報を受信する。サーバー送信部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を路側装置に一度に送信する。
【0024】
実施形態のプログラムは、少なくとも第1の通信装置及び第2の通信装置を備える路側装置が備えるプロセッサーを、受信制御部及び送信制御部として機能させる。受信制御部は、少なくとも、第1の基準局で生成される、GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報を受信するように第1の通信装置を制御する。送信制御部は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を無線通信により一度に送信するように第2の通信装置を制御する。
実施形態のプログラムは、測位装置が備えるプロセッサーを、測位部として機能させる。測位部は、少なくとも、GNSS信号と、第1の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記GNSS信号と、前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報とを用いた第2の測位を並行及び並列の少なくともいずれかで行う。
【0025】
実施形態の送信方法は、少なくとも、第1の基準局で生成される、GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報、及び前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報を受信する。実施形態の送信方法は、前記第1の補正情報及び前記第2の補正情報を無線通信により一度に送信する。
実施形態の測位方法は、少なくとも、GNSS信号と、第1の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報とを用いた第1の測位、及び前記GNSS信号と、前記第1の基準局とは異なる第2の基準局で生成される、前記GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報とを用いた第2の測位を並行及び並列の少なくともいずれかで行う。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、高精度な測位を維持しながら、RTK基準局の切り替えを支援することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る測位システムの概要を示す図である。
図2】実施形態に係る測位システム及び当該測位システムに含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図である。
図3図2中の測位演算部360の構成の一例を示すブロック図である。
図4図2中のサーバー装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。
図5図2中の車載装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。
図6】補正情報CI1及び補正情報CI2を説明するための図である。
図7】車両の進行方向にあるRTK基準局の例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態に係る測位システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
図1及び図2を用いて測位システム1の構成を説明する。図1は、実施形態に係る測位システム1の概要を示す図である。図2は、実施形態に係る測位システム1及び測位システム1に含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図である。測位システム1は、GNSS及びRTKを用いて車載装置300の位置を測位するためのシステムである。測位システム1は、一例として、路側装置100、サーバー装置200、車載装置300、RTK基準局400、GNSS衛星500及び車両600を含む。なお、測位システム1は、典型的には、路側装置100、サーバー装置200、車載装置300、RTK基準局400及びGNSS衛星500をそれぞれ複数含む。
【0029】
サーバー装置200及びRTK基準局400などは、ネットワークNWに接続する。ネットワークNWは、典型的にはインターネットを含む通信網である。ネットワークNWは、典型的にはWAN(wide area network)を含む通信網である。ネットワークNWは、イントラネットなどのプライベートネットワークを含む通信網であっても良い。ネットワークNWは、LAN(local area network)を含む通信網であっても良い。また、ネットワークNWは、無線回線でも良いし有線回線でも良く、無線回線と有線回線とが混在していても良い。また、ネットワークNWは、専用線又は公衆携帯電話網などを含む通信網であっても良い。
【0030】
路側装置100は、車載装置300などの各種装置にV2X(vehicle-to-everything)通信サービスなどを提供する装置である。路側装置100の設置場所は、例えば、道路の周辺又は道路内などである。図1には、例として、路側装置100a及び路側装置100bの2つの路側装置100を示している。路側装置100は、一例として、プロセッサー110、ROM(read-only memory)120、RAM(random-access memory)130、補助記憶装置140、通信インターフェース150及び路側通信I/F(interface)160を含む。そして、バス170などが、これら各部を接続する。
【0031】
プロセッサー110は、路側装置100の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー110は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー110は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー110は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー110は、ROM120又は補助記憶装置140などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、路側装置100の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー110は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー110の回路内に組み込まれていても良い。
【0032】
ROM120及びRAM130は、プロセッサー110を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM120は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM120は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM120は、プロセッサー110が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM130は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM130は、プロセッサー110が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM130は、典型的には揮発性メモリである。
【0033】
補助記憶装置140は、プロセッサー110を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置140は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置140は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置140は、プロセッサー110が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー110での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0034】
通信インターフェース150は、サーバー装置200などと通信するためのインターフェースである。通信インターフェース150は、例えば、ネットワークNWを介してサーバー装置200と通信する。あるいは、通信インターフェース150は、ネットワークNWを介さずに直接、サーバー装置200と通信しても良い。なお、通信インターフェース150は、第1の通信装置の一例である。
【0035】
路側通信I/F160は、路側装置100がV2X通信などの通信によって、通信範囲AR内にある車載装置300などの各種装置と通信するためのインターフェースである。なお、通信範囲ARは、例えば、路側装置100と車載装置300の通信が可能な範囲を示す。路側通信I/F160は、典型的には無線通信を行う。路側通信I/F160は、無線通信のためのアンテナなどを含む。なお、路側通信I/F160は、第2の通信装置の一例である。
【0036】
サーバー装置200は、例えば、RTK基準局から、RTK用の補正情報CIを受信して路側装置100に送信する装置である。補正情報CIは、GNSSによる測位位置を補正するための情報である。補正情報CIを用いることで、測位誤差が減少する。1つのサーバー装置200は、例えば、1又は複数の路側装置100に補正情報CIを送信する。図1には、例として、サーバー装置200a及びサーバー装置200bの2つのサーバー装置200を示している。また、図1に示すサーバー装置200それぞれの、補正情報CIの送信先の路側装置100の数は、1つである。なお、路側装置100が、サーバー装置200と同様の機能を有し、サーバー装置200と同様の動作を行っても良い。この場合、サーバー装置200は不要である。サーバー装置200は、一例として、プロセッサー210、ROM220、RAM230、補助記憶装置240及び通信インターフェース250を含む。そして、バス260などが、これら各部を接続する。
【0037】
プロセッサー210は、サーバー装置200の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー210は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー210は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー210は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー210は、ROM220又は補助記憶装置240などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、サーバー装置200の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー210は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー210の回路内に組み込まれていても良い。
【0038】
ROM220及びRAM230は、プロセッサー210を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM220は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM220は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM220は、プロセッサー210が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM230は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM230は、プロセッサー210が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM230は、典型的には揮発性メモリである。
【0039】
補助記憶装置240は、プロセッサー210を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置240は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置240は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置240は、プロセッサー210が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー210での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0040】
通信インターフェース250は、サーバー装置200がネットワークNWなどを介して通信するためのインターフェースである。なお、通信インターフェース250は、ネットワークNWを介さずに路側装置100と通信しても良い。
【0041】
車載装置300は、車両600などに搭載される。車載装置300は、RTKにおける移動局である。なお、図1には、車両600として車両600a~車両600cを示している。車両600a~車両600cは、同じ車両600が進行している様子を示す。すなわち、車両600は、車両600a、車両600b、車両600cの順で進行する。車両600aに搭載された車載装置300は、例えば、路側装置100aの通信範囲ARaにあるので路側装置100aと通信する。車両600bに搭載された車載装置300は、例えば、通信範囲ARaにあり、且つ路側装置100bの通信範囲ARbにあるが、例えば、路側装置100bとの通信強度が強いため路側装置100bと通信する。車両600cに搭載された車載装置300は、例えば、通信範囲ARbにあるため、路側装置100bと通信する。このように、車載装置300は、車両600の移動に合わせて通信する路側装置100を切り替えていく。
【0042】
車載装置300は、一例として、プロセッサー310、ROM320、RAM330、補助記憶装置340、路側通信I/F350、測位演算部360、表示デバイス370及び入力デバイス380を含む。そして、バス390などが、これら各部を接続する。なお、車載装置300は、測位装置の一例である。
【0043】
プロセッサー310は、車載装置300の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー310は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー310は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー310は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー310は、ROM320又は補助記憶装置340などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、車載装置300の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー310は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー310の回路内に組み込まれていても良い。
【0044】
ROM320及びRAM330は、プロセッサー310を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM320は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM320は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM320は、プロセッサー310が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM330は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM330は、プロセッサー310が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM330は、典型的には揮発性メモリである。
【0045】
補助記憶装置340は、プロセッサー310を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置340は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置340は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置340は、プロセッサー310が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー310での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0046】
路側通信I/F350は、車載装置300が路側装置100などとV2X通信などによって通信するためのインターフェースである。路側通信I/F350は、無線通信のためのアンテナなどを含む。
【0047】
図3は、測位演算部360の構成の一例を示すブロック図である。
測位演算部360は、GNSS及びRTKを用いて演算により測位を行うIC(integrated circuit)又はモジュールなどである。測位演算部360は、一例として、衛星受信部361、RTK入力部362、選別部363、RTK演算部364、結果選択部365、管理制御部366及び予測部367を備える。なお、測位演算部360は、複数のRTK演算部364を備える。
なお、測位演算部360は、測位装置の一例である。
【0048】
衛星受信部361は、GNSS衛星500が送信するGNSS信号GSを受信する。衛星受信部361は、例えば、GNSS信号GSを受信するためのアンテナなどを備える。また、衛星受信部361は、受信したGNSS信号GSを出力する。出力されたGNSS信号GSは、複数のRTK演算部364のそれぞれに入力する。
【0049】
RTK入力部362は、RTK基準局によって生成される補正情報CIの入力を受けるインターフェースなどである。
【0050】
選別部363は、RTK入力部362に入力された複数の補正情報CIを、複数のRTK演算部364に振り分ける。選別部363は、補正情報が3つ以上ある場合、3つ以上の前記補正情報から、第1の演算部に入力する第1の補正情報と、第2の演算部に入力する第2の補正情報を決定する決定部の一例である。
【0051】
RTK演算部364は、入力される1つの補正情報CI及びGNSS信号GSを用いてRTK演算処理を行うIC又はモジュールなどである。RTK演算処理は、補正情報CI及びGNSS信号GSを用いて、GNSS及びRTKを用いて測位を行う処理である。RTK演算部364は、処理結果を出力する。出力された処理結果は、結果選択部365に入力する。測位演算部360は、例えば、備えるRTK演算部364の数だけ並列して同時にRTK演算処理を行うことができる。
なお、複数のRTK演算部364は、少なくとも、GNSS信号と第1の補正情報とを用いた第1の測位、及びGNSS信号と第2の補正情報とを用いた第2の測位を並行及び並列の少なくともいずれかで行う測位部の一例である。また、複数のRTK演算部364のうちのいずれか2つは、第1の演算部及び第2の演算部の例である。また、第1の演算部による測位は、第1の測位の例である。そして、第2の演算部による測位は、第2の測位の例である。
【0052】
結果選択部365は、複数のRTK演算部364から入力される処理結果のうち、どの処理結果を採用するかを決定する。そして、結果選択部365は、採用することを決定した処理結果を出力する。結果選択部365から出力される処理結果は、測位演算部360から出力される。結果選択部365は、複数の測位結果の中から1つの測位結果を選択する選択部の一例である。
【0053】
管理制御部366は、測位演算部360全体の管理及び制御を行う。
【0054】
予測部367は、車両600の進行方向を人工知能(AI(artificial intelligence))を用いて予測する。予測部367は、例えば、NPU(neural processing unit)などのAIアクセラレーターを備えても良い。なお、測位演算部360は、人工知能を用いた車両600の進行方向の予測を行わない場合、予測部367を備えるには及ばない。なお、予測部367は、過去の走行経路データに基づいて進行方向を予測する進行方向予測部の一例である。
【0055】
表示デバイス370は、車載装置300の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。表示デバイス370は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイである。
【0056】
入力デバイス380は、車載装置300の操作者による操作を受け付ける。入力デバイス380は、例えば、キーボード、キーパッド、タッチパッド、マウス又はコントローラーなどである。また、入力デバイス380は、音声入力用のデバイスであっても良い。また、表示デバイス370及び入力デバイス380としては、タッチパネルを用いることもできる。この場合、タッチパネルが備える表示パネルは、表示デバイス370として機能する。そして、タッチパネルが備える、タッチ入力によるポインティングデバイスは、入力デバイス380として機能する。
【0057】
バス390は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、車載装置300の各部で授受される信号を伝送する。
【0058】
RTK基準局400は、RTKにおける固定局である。RTK基準局400は、GNSS衛星500からGNSS信号GSを受信する。そして、RTK基準局400は、GNSS信号GSを用いて補正情報CIを生成する。また、RTK基準局400は、当該補正情報CIを送信する。図1には、例として、RKT基準局400a及びRKT基準局400bの2つのRKT基準局400を示している。また、RTK基準局400aが生成する補正情報CIを補正情報CIa、RTK基準局400bが生成する補正情報CIを補正情報CIbとする。RTK基準局400の構成は、例えば、公知の構成である。なお、複数のRTK基準局400のうちのいずれか2つは、第1の基準局及び第2の基準局の例である。また、第1の基準局が生成する補正情報CIは、GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第1の補正情報の例である。そして、第2の基準局が生成する補正情報CIは、GNSS信号を用いた測位の位置を補正するための第2の補正情報の例である。
【0059】
GNSS衛星500は、GNSS信号GSを送信する衛星である。GNSS衛星500の構成は、例えば、公知の構成である。
【0060】
車両600は、自動車又は自動二輪車などである。車両600は、一例として、車載コンピューター610を含む。
【0061】
車載コンピューター610は、例えば、ECU(electronic control unit)などである。車載コンピューター610は、例えば、車両600の全体の制御を行うコンピューターである。車載コンピューター610は、車両600を自動運転することが可能であっても良い。
【0062】
以下、実施形態に係る測位システム1の動作を図4及び図5などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。図4は、サーバー装置200のプロセッサー210による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー210は、例えば、ROM220又は補助記憶装置240などに記憶されたプログラムに基づいて図4の処理を実行する。図5は、車載装置300のプロセッサー310による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー310は、例えば、ROM320又は補助記憶装置340などに記憶されたプログラムに基づいて図5の処理を実行する。
【0063】
図4のステップST11においてサーバー装置200のプロセッサー210は、補正情報CIの送信先の路側装置100に送信する補正情報CIを取得する。なお、補助記憶装置240は、例えば、路側装置100ごとにどの補正情報CIを送信するかを定める送信先情報を記憶している。プロセッサー210は、送信先情報に基づき、どのRTK基準局400から補正情報CIを取得するかを決定する。プロセッサー210は、通信インターフェース250を制御して、ネットワークNWを介して複数のRTK基準局400のそれぞれから補正情報CIを取得する。
【0064】
送信先情報が定める、路側装置100に送信する補正情報CIは、例えば、サーバー装置200が取得可能な補正情報CIのうち、当該路側装置100の設置地点(設置位置)P1における測位誤差の評価値の小さい順に、N個の補正情報CIである。ここで、Nは、2以上の整数である。なお、補正情報CIの測位誤差の大きさを評価する方法としては、例えば、補正情報CIの生成元のRTK基準局400から地点P1までの距離を用いる方法がある。補正情報CIの生成元のRTK基準局400から地点P1までの距離が大きくなるほど、当該補正情報CIを用いた場合の測位誤差が大きくなる。したがって、送信先情報が定める、路側装置100に送信する補正情報CIは、例えば、サーバー装置200が取得可能な補正情報CIのうち、当該路側装置100の設置地点P1からの距離が近い順に、N箇所のRTK基準局400で生成されたN個の補正情報CIである。なお、以下の説明でも特段の補足がなくても同様に、サーバー装置200が取得可能な補正情報CI及び当該法制情報を生成するRTK基準局400のみを扱うものとし、それ以外の補正情報及びRTK基準局は無視するものとする。サーバー装置200が補正情報を取得可能でないRTK基準局は、例えば、設置者自身などが専用で使うために設置したRTK基準局などである。また、故障しているなどの理由で使用不可能なRTK基準局なども、サーバー装置200が補正情報を取得可能でないRTK基準局として扱っても良い。
なお、測位誤差の評価値の最も小さい補正情報CIは、第1の補正情報の一例である。また、測位誤差の評価値の2番目に小さい補正情報CIは、第2の補正情報の一例である。
【0065】
あるいは、送信先情報が定める、路側装置100に送信する補正情報CIは、例えば、サーバー装置200が取得可能な補正情報CIのうち、補正情報CI1及び補正情報CI2を含んでも良い。補正情報CI1及び補正情報CI2について、図6を用いて説明する。
【0066】
図6は、補正情報CI1及び補正情報CI2を説明するための図である。地点Q1は、補正情報CI1の生成元のRTK基準局400(以下「RTK基準局400-1」という。)の設置位置である。地点Q2は、補正情報CI2の生成元のRTK基準局400(以下「RTK基準局400-2」という。)の設置位置である。地点Q3は、RTK基準局400が設置されていない位置である。また、道路R1は、地点P1と地点P2とを結ぶ道路を含む道路である。地点P2は、例えば、地点P1から道路R1を進んだ先にある地点である。あるいは、地点P2は、道路R1に拘らず地点P1から所定の方向に直線で進んだ地点であっても良い。
【0067】
補正情報CI1は、設置地点P1における測位誤差の評価値が最も小さい補正情報CIである。ここで、測位誤差の大きさを評価する方法は、例えば、前述のようにRTK基準局400から地点P1までの距離を用いた方法を用いることができる。したがって、補正情報CI1は、例えば、路側装置100の設置地点P1からの距離が最も近いRTK基準局400で生成された補正情報CIである。例えば、地点Q1及び地点Q2では、地点Q1の方が地点P1に近い。このため、地点Q1より地点P1に近い位置にRTK基準局400がなければ、RTK基準局400-1の生成する補正情報CIが、地点P1の路側装置100についての補正情報CI1である。
【0068】
そして、補正情報CI2は、ある地点P2において、補正情報CI1を用いるよりも補正情報CI2を用いた方が測位誤差の評価値が小さくなるような補正情報CIである。ただし、地点P2における測位誤差の評価値が、補正情報CI2よりも小さくなるような補正情報CIが存在しないことが好ましい。この場合の測位誤差の大きさを評価する方法としても、前述の場合と同様にRTK基準局400から地点P2までの距離を用いた方法を用いることができる。したがって、補正情報CI2は、例えば、ある地点P2において、補正情報CI1の生成元のRTK基準局400からの距離よりも、補正情報CI2の生成元のRTK基準局400の距離の方が短いような補正情報CIである。ただし、補正情報CI2の生成元のRTK基準局400よりも地点P2に近いRTK基準局400が無いことが好ましい。例えば、地点Q1及び地点Q2では、地点Q2の方が地点P2に近い。このため、地点Q2より地点P2に近い位置にRTK基準局400がなければ、RTK基準局400-2の生成する補正情報CIが、地点P1の路側装置100についての補正情報CI2である。
ただし、地点P1と地点P2の間に、次の条件を満たす地点P3が存在しないことが好ましい。地点P3は、例えば、地点P1から道路R1を通って地点P2に行くまでの間の任意の地点である。あるいは、地点P3は、地点P1と地点P2を結ぶ直線上の任意の地点であっても良い。地点P3は、補正情報CI1を用いた場合の測位誤差の評価値及び補正情報CI2を用いた場合の測位誤差の評価値のいずれよりも測位誤差の評価値が小さくなるような補正情報CIが存在する地点である。この場合の測位誤差の大きさを評価する方法としても、同様にRTK基準局400から地点P3までの距離を用いた方法を用いることができる。したがって、地点P3は、例えば、補正情報CI1の生成元のRTK基準局400から地点P3までの距離及び補正情報CI2の生成元のRTK基準局400から地点P3までの距離のいずれよりも短い距離にRTK基準局400が存在する地点である。例えば、図1に示すような地点Q3に仮にRTK基準局400-3があった場合、地点Q1~地点Q3のうち、最も近い地点が地点Q3であるような地点P3が存在する。この場合には、RTK基準局400-2の生成する補正情報CIは、補正情報CI2ではない。そして、RTK基準局400-3の生成する補正情報CIが補正情報CI2である。ただし、地点P3を地点P2として扱った場合に上記に定義する地点P3が存在するのであれば、同様に、RTK基準局400-3の生成する補正情報CIも補正情報CI2ではない。
【0069】
以上より、補正情報CI2は、補正情報CI1を利用している移動体が、道路を進んだ先で、補正情報CI1から補正情報CI2に切り替えた方が測位誤差が下がる、すなわち測位精度が上がるような補正情報CIである。
【0070】
なお、送信先情報は、1つの路側装置100に対して複数の補正情報CI2を含んでも良い。この場合の複数の補正情報CI2は、それぞれ地点P2の位置は異なる。なお、地点P2及び地点P3は、補正情報CI2の定義に用いた点である。したがって、送信先情報の生成には、地点P2及び地点P3を想定しなくても良い。
【0071】
なお、プロセッサー210は、路側装置100の設置地点P1及び各RTK基準局400の設置地点、並びに各補正情報CIの誤差に関する情報などを用いて、前述したような内容となるように送信先情報を生成し、補助記憶装置140に記憶しても良い。あるいは、プロセッサー210は、外部の装置などから送信される送信先情報を受信して補助記憶装置140に記憶しても良い。
【0072】
一例として、サーバー装置200の送信先の路側装置100は、路側装置100a及び路側装置100cの2つであるとする。また、一例として、送信先情報は、路側装置100aに送信する補正情報を補正情報CIa及び補正情報CIb、路側装置100cに送信する補正情報を補正情報CIb及び補正情報CIcであると記憶しているとする。この場合、プロセッサー210は、補正情報CIa、補正情報CIb及び補正情報CIcをRTK基準局400a、RTK基準局400b及びRTK基準局400cから取得する。
【0073】
以上より、プロセッサー210は、通信インターフェース250と協働してステップST11の処理を行うことで、複数の補正情報CIを受信することで、少なくとも第1の補正情報及び第2の補正情報を受信するサーバー受信部の一例として機能する。
【0074】
ステップST12においてプロセッサー210は、複数の補正情報CIを路側装置100に送信するように通信インターフェース250に対して指示する。当該補正情報CIは、ステップST11で取得された複数の補正情報CIのうち、送信先情報によって定められた複数の補正情報CIである。この送信の指示を受けて通信インターフェース250は、当該補正情報CIを路側装置100に送信する。送信された当該補正情報CIは、路側装置100の通信インターフェース150によって受信される。プロセッサー210は、複数の路側装置100に対して補正情報CIを送信する場合には、同様の処理を、補正情報CIの送信先である路側装置100それぞれについて行う。プロセッサー210は、ステップST12の処理の後、ステップST11へと戻る。
以上より、プロセッサー210は、通信インターフェース250と協働してステップST12の処理を行うことで、第1の補正情報及び第2の補正情報を一度に送信するサーバー送信部の一例として機能する。
【0075】
一方、路側装置100のプロセッサー110は、通信インターフェース150によって補正情報CIが受信されるのを待ち受けている。プロセッサー110は、補正情報CIが受信されたならば、当該補正情報CIを補助記憶装置140に記憶する。ただし、プロセッサー110は、同じRTK基準局400で生成された補正情報CIが既に補助記憶装置140に記憶されている場合、例えば、上書きして最新のものを記憶する。
以上より、プロセッサー110は、通信インターフェース150と協働して複数の補正情報CIを受信することで、少なくとも、第1の補正情報及び第2の補正情報を受信する受信部の一例として機能する。また、プロセッサー110は、通信インターフェース150を制御して複数の補正情報CIを受信することで、少なくとも、第1の補正情報及び第2の補正情報を受信するように第1の通信装置を制御する受信制御部の一例として機能する。
【0076】
また、プロセッサー110は、路側通信I/F160を制御して、複数の補正情報CIを一度に、ブロードキャストで繰り返し無線送信する。ここで送信される補正情報CIは、補助記憶装置340に記憶されたものである。したがって、プロセッサー110は、新たに補正情報CIが受信されて補助記憶装置340に記憶された補正情報CIを上書きした場合、ブロードキャスト送信する補正情報CIも新たに受信されたものにする。なお、路側装置100は、周波数分割多重方式又は時分割多重方式などの多重化することで、それぞれの補正情報CIを分けて送信することで一度にしても良い。あるいは、路側装置100は、複数の補正情報CIを1つずつ順番に送信することで一度にしても良い。
以上より、プロセッサー110は、路側通信I/F160と協働して複数の補正情報CIを送信することで、第1の補正情報及び第2の補正情報を無線送信する送信部の一例として機能する。また、プロセッサー110は、路側通信I/F160を制御して複数の補正情報CIを送信することで、第1の補正情報及び第2の補正情報を無線通信により一度に送信するように第2の通信装置を制御する送信制御部の一例として機能する。
【0077】
一方、図5のステップST21において車載装置300のプロセッサー310は、路側通信I/F350を制御して、路側装置100が送信する複数の補正情報CIを受信する。これにより、プロセッサー310は、補正情報CIを取得する。なお、プロセッサー310は、複数の路側装置100から補正情報CIを受信できる場合、例えば、最も近い路側装置100から補正情報CIを受信する。あるいは、プロセッサー310は、路側装置100から送信される電波などを路側通信I/Fが受信する受信強度が最も高い路側装置100から補正情報CIを受信する。
【0078】
ステップST22においてプロセッサー310は、ステップST21で取得した複数の補正情報CIを測位演算部360に入力する。また、プロセッサー310は、当該補正情報CIを用いて測位を行うように測位演算部360に指示する。
【0079】
測位演算部360に入力する補正情報CIは、RTK入力部362を通じて選別部363に入力する。
【0080】
選別部363は、入力された複数の補正情報CIを、複数のRTK演算部364に振り分ける。ここで、入力された補正情報CIの数が、RTK演算部364の数より多い場合、選別部363は、例えば、複数の補正情報CIの中から、RTK演算部364の数と同じ数の補正情報CIを選択し、選択しなかった残りの補正情報CIを破棄する。ここで、選別部363は、例えば、結果選択部365が最後に採用した処理結果に使われた補正情報CIと同じRTK基準局400で生成された補正情報CIがある場合には、このような補正情報CIを優先して選択する。そして、選別部363は、残りの補正情報CIについて、例えば、測位誤差の評価値が小さい順に補正情報CIを選択する。この場合の測位誤差の大きさを評価する方法としても、同様に現在地からRTK基準局400までの距離を用いた方法を用いることができる。したがって、選別部363は、残りの補正情報CIについて、例えば、現在地から、生成されたRTK基準局400までの距離が近い順に補正情報CIを選択する。なお、選別部363は、車両600の進行方向、すなわち当該車両600に搭載された測位演算部360の進行方向にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIを優先して選択しても良い。ここで、車両600の進行方向にあるRTK基準局400の例について図7を用いて説明する。
【0081】
図7は、車両600の進行方向にあるRTK基準局400の例について説明するための図である。車両600の進行方向にあるRTK基準局400とは、例えば、車両600の現在位置を中心として、車両600が現在進んでいる方向D1から所定の角度θ以内の範囲にあるRTK基準局400である。例えば、地点Q11~地点Q13にそれぞれRTK基準局400があるとする。そして、地点Q11は、車両600から最も近いRTK基準局400の設置位置である。地点Q12は、車両600の進行方向にある地点である。地点Q13は、車両600の進行方向ではない地点である。この場合、選別部363は、地点Q12にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIを、地点Q13にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIよりも優先しても良い。ただし、選別部363は、車両600から地点Q12までの距離と、車両600から地点Q13までの距離の差又は比が所定より大きい場合には、この優先をしなくても良い。あるいは、車両600の進行方向にあるRTK基準局とは、例えば、車両600が現在進んでいる方向D1に進み続けた場合に、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q11までの距離よりも短くなるRTK基準局であっても良い。あるいは、車両600の進行方向にあるRTK基準局とは、例えば、車両600が現在進んでいる道を進み続けた場合に、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q11までの距離よりも短くなるRTK基準局であっても良い。例えば、車両600は、図6の地点P1を、地点P2方面に走行中であるとする。この場合、RTK基準局400-2は、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q1までの距離より短くなるRTK基準局400である。
【0082】
なお、選別部363は、AIによって予測された車両600の進行方向を用いて、選択する補正情報CIを決定しても良い。
予測部367は、例えば、複数の車両の過去の走行経路データを、学習用の入力データとして機械学習を行った学習済みAIを記憶している。予測部367は、当該機械学習として、例えば、LSTM(long short-term memory)などを用いたディープラーニングなどを用いる。当該学習済みAIは、車両600の現在までの走行経路データなどの車両600の過去の走行経路データを、当該車両600の進行方向の予測のための入力データとして用いて、当該車両600の将来の進行方向を示す出力データを出力する。当該出力データは、例えば、車両600がこの先どのような経路を進んでいくかを示すデータを含む。なお、当該出力データは、例えば、経路の候補を1つ又は複数含む。当該出力データは、複数の経路候補を含む場合、各経路候補について車両600がその経路を進む確率も含む。予測部367は、例えば、当該出力データを選別部363に入力する。選別部367は、例えば、当該出力データに基づき、当該出力データが示す経路を車両600が進行した場合に、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q11までの距離よりも短くなるRTK基準局を、車両600の進行方向にあるRTK基準局とする。当該出力データが複数の経路候補を含む場合、選別部367は、例えば、各経路を車両600が進行した場合に、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q11までの距離よりも短くなるRTK基準局を、車両600の進行方向にあるRTK基準局とする。ただし、選別部367は、複数の補正情報CIのうち、車両600が進む確率の高い経路を車両600が進行した場合の車両600の進行方向にあるRTK基準局で生成される補正情報CIほど優先して選択する。
【0083】
なお、予測部367は、学習用の入力データ及び車両600の進行方向の予測のための入力データとして走行経路データだけでなく、走行経路以外のデータを1種類又は複数種類用いても良い。走行経路以外のデータの種類としては、例えば、時期、時間帯、車両の車種、車両の大きさ、及び車両の種類などが挙げられる。
また、予測部367は、1つの車両600の過去の走行経路データのみを用いて機械学習を行っても良い。当該車両600は、当該予測部367を備える測位演算部360を搭載する車両600である。
なお、予測部367は、学習済みAIについて、適宜追加の学習を行っても良い。
【0084】
また、選別部363は、カーナビゲーションシステムなどから車両600の進行方向を取得し、当該進行方向を用いて、選択する補正情報CIを決定しても良い。カーナビゲーションシステムは、車両600の現在地から目的地までとして推奨される経路を決定する。当該経路は、車両600が進行する予定の経路である。選別部363は、カーナビゲーションシステムなどから、当該経路を示すデータを車両600の進行方向を示すデータとしてとして取得する。なお、車載装置300は、カーナビゲーションシステムとしての機能を備えていても良い。あるいは、車両600は、車載装置300とは別にカーナビゲーションシステムとしての機能を備える装置を備えていても良い。
【0085】
選別部367は、AIによって予測された車両600の進行方向を用いる場合と同様に、カーナビゲーションシステムなどから取得した車両600の進行方向を用いて、車両600の進行方向にあるRTK基準局を決定する。選別部367は、カーナビゲーションシステムなどから取得した車両600の経路を車両600が進行した場合に、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q11までの距離よりも短くなるRTK基準局を、車両600の進行方向にあるRTK基準局とする。
【0086】
また、選別部363は、車両600を自動運転する自動運転システムなどから車両600の進行方向を取得し、当該進行方向を用いて、選択する補正情報CIを決定しても良い。例えば、車載コンピューター610から、車両600の自動運転のために車両600が進行する予定の経路を決定する。選別部363は、自動運転システムを構成する車載コンピューター610などから、当該経路を示すデータを車両600の進行方向を示すデータとして取得する。
【0087】
選別部367は、AIによって予測された車両600の進行方向を用いる場合と同様に、自動運転システムなどから取得した車両600の進行方向を用いて、車両600の進行方向にあるRTK基準局を決定する。選別部367は、自動運転システムなどから取得した車両600の経路を車両600が進行した場合に、車両600までの距離が、最初に、車両600から地点Q11までの距離よりも短くなるRTK基準局を、車両600の進行方向にあるRTK基準局とする。
【0088】
カーナビゲーションシステム又はカーナビゲーションシステムとしての機能を備える車載装置300などの装置は、車両600が進行する予定の経路を決定する経路探索部の一例である。
自動運転システム又は自動運転システムを構成する車載コンピューター610などは、車両600が進行する予定の経路を決定する経路探索部の一例である。
【0089】
また、選別部363は、既にfix解が得られている補正情報CIがある場合には、そのような補正情報CIを、fix解が得られていない補正情報CIよりも優先して選択しても良い。
【0090】
選別部363は、選択した各補正情報CIを、各RTK演算部364に入力する。ただし、選別部363は、RTK演算部364に補正情報CIを入力する際、前回入力した補正情報CIと同じRTK基準局400で生成された補正情報CIを入力するようにする。これにより、RTK演算部364は、同じRTK基準局400で生成された補正情報CIを継続して用いて測位が可能である。そのような補正情報CIが無い場合には、選別部363は、前回入力した補正情報CIと異なるRTK基準局400で生成された補正情報CIをRTK演算部364に入力する。
【0091】
各RTK演算部364は、選別部363から入力された補正情報CIと、衛星受信部361から入力されるGNSS信号GSを用いてRTK演算処理を行う。そして、各RTK演算部364は、処理結果として位置情報を出力する。
【0092】
結果選択部365は、複数のRTK演算部364から出力された位置情報のうち、fix解が得られているものが複数ある場合には、fix解が得られている位置情報の中から1つの位置情報を選択する。ここで、結果選択部365は、例えば、測位誤差の評価値が最も小さい位置情報を選択する。この場合の測位誤差の大きさを評価する方法としても、同様に現在地からRTK基準局400までの距離を用いた方法を用いることができる。したがって、結果選択部365は、例えば、測位演算に用いられた補正情報CIの生成元のRTK基準局400までの距離が現在位置から最も近い位置情報を選択する。なお、結果選択部365は、車両600の進行方向にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIが測位演算に用いられた位置情報を、そうでない位置情報より優先して選択しても良い。この場合において、結果選択部365は、車両600の進行方向にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIが測位演算に用いられた位置情報が複数ある場合には、その中で測位誤差の評価値が最も小さい位置情報を選択する。結果選択部365は、複数のRTK演算部364から出力された位置情報のうち、fix解が得られているものが1つである場合には、当該1つの位置情報を選択する。また、結果選択部365は、複数のRTK演算部364から出力された位置情報のうち、fix解が得られているものが得られているものが無い場合には、fix解が得られているかに拘らずいずれか1つの位置情報を選択する。ここで、結果選択部365は、例えば、測位誤差が最も小さい位置情報を選択する。この場合の測位誤差の大きさを評価する方法としても、同様に現在地からRTK基準局400までの距離を用いた方法を用いることができる。したがって、結果選択部365は、例えば、測位演算に用いられた補正情報CIの生成元のRTK基準局400までの距離が現在位置から最も近い位置情報を選択する。なお、結果選択部365は、選別部363と同様に、予測部367によって予測された車両600の進行方向を用いて位置情報を選択しても良い。
そして、結果選択部365は、選択した1つの位置情報を、測位演算部360から出力させる。
【0093】
なお、結果選択部365は、複数の位置情報から、fix解が得られている位置情報を選択することで、複数の測位結果の中からfix解が得られている測位結果を選択する選択部の一例として機能する。
【0094】
また、ここで位置情報L1及び位置情報L2の2種類の位置情報を考える。位置情報L1と位置情報L2は、測位演算に用いられた補正情報CIが異なるRTK基準局400で生成されたものである。また、現在地から、補正情報CIの生成元のRTK基準局400までの距離が、位置情報L1より位置情報L2の方が近いとする。さらに、位置情報L1及び位置情報L2は、ともに、測位演算に用いられた補正情報CIの生成元のRTK基準局400が車両600の進行方向にあるものとする。この場合において、位置情報L1はfix解が得られている位置情報であり、位置情報L2はfix解が得られていない位置情報である場合について考える。この場合、結果選択部365は、例えば、位置情報L1を選択する。そして、結果選択部365が次に位置情報を選択する際には、位置情報L2が、fix解が得られている位置情報に変化したとする。この場合には、結果選択部365は、例えば、測位誤差の評価値が小さい位置情報L2を選択する。このように、結果選択部365は、fix解が得られている位置情報L1を選択し、次の選択においてfix解が得られている位置情報L2を選択することで、fix解が得られている第1の測位の結果及びfix解が得られていない第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、第1の測位の結果を選択し、その後、fix解が得られている第1の測位の結果及びfix解が得られている第2の測位の結果を含む複数の測位結果の中から、第2の測位結果を選択する、選択部の一例として機能する。なお、位置情報L1は、第1の測位結果の一例である。また、位置情報L2は、第2の測位結果の一例である。また、結果選択部365は、fix解が得られている位置情報L1及びfix解が得られている位置情報L2のうち、補正情報CIの生成元のRTK基準局400が車両600の進行方向にあり、且つ測位誤差の評価値が位置情報L1より小さい位置情報L2を選択することで、複数の測位結果の中から、第2の基準局が測位装置の進行方向にあり、第1の測位の結果よりも第2の測位の結果の測位誤差が小さいと評価される場合に前記第2の測位の結果を選択する選択部の一例として機能する。
【0095】
ステップST23においてプロセッサー310は、測位演算部360から出力される位置情報を取得する。そして、プロセッサー310は、例えば、当該位置情報を含む画像を生成する。そして、プロセッサー310は、生成したこの画像を表示するように表示デバイス370に対して指示する。表示の指示を受けて表示デバイス370は、当該画像を表示する。プロセッサー310は、ステップST23の処理の後、ステップST21へと戻る。
【0096】
実施形態の測位システム1によれば、路側装置100は、複数の補正情報CIを送信する。これにより、車載装置300は、複数の補正情報CIが利用可能である。このため、車載装置300は、利用する補正情報CIの切り替えが可能となる。また、このように、実施形態の測位システム1は、複数の補正情報CIを送信することで、補正情報CIの切り替えを支援することができる。
【0097】
実施形態の測位システム1によれば、路側装置100は、複数の補正情報CIをブロードキャスト送信する。これにより、実施形態の路側装置100は、ユニキャスト送信する場合より処理速度及び通信速度が低くても良い。
【0098】
実施形態の測位システム1によれば、路側装置100は、測位誤差が最も小さい補正情報CIを送信する。これにより、路側装置100の周辺にある車載装置300は、測位誤差の小さい補正情報CIを利用可能である。
【0099】
実施形態の測位システム1によれば、路側装置100は、測位誤差が最も小さい補正情報及び2番目に小さい補正情報CIを送信する。これにより、路側装置100の周辺にある車載装置300は、測位誤差の小さい複数の補正情報CIを利用可能である。
【0100】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、複数の補正情報CIを用いて測位を行う。これにより車載装置300及び測位演算部360は、それぞれの補正情報CIについて、fix解を得ることができる。このため、車載装置300及び測位演算部360は、利用する補正情報CIを切り替えた場合でもfix時間が不要となる。また、これにより、車載装置300及び測位演算部360は、利用する補正情報CIを切り替えた場合でも、fix解が既に得られていれば測位誤差が大きく落ちることがない。したがって、車載装置300及び測位演算部360は、高精度な測位の維持が可能となる。
【0101】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、複数のRTK演算部364を備える。これにより、車載装置300及び測位演算部360は、複数の補正情報CIを用いた複数の測位が可能となる。
【0102】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、複数のRTK演算部364に入力する補正情報CIを決定する。これにより、各RTK演算部364は、適切な補正情報CIを用いた測位が可能となる。
【0103】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、RTK演算部364に入力する補正情報CIとして、車載装置300又は測位演算部360の進行方向にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIを優先して決定する。これにより、各RTK演算部364は、この先測位誤差が小さくなると予測される補正情報CIを用いた測位が可能となる。
【0104】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、複数の測位結果から1つを選択する。これにより、車載装置300及び測位演算部360は、複数の測位結果のうちの測位誤差の少ない測位結果を出力することが可能となる。
【0105】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、複数の測位結果からfix解が得られている測位結果を選択する。これにより、車載装置300及び測位演算部360は、複数の測位結果のうちの測位誤差の少ない測位結果を出力することが可能となる。
【0106】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、fix解が得られていない測位結果が、fix解が得られている測位結果に変化した場合に、変化した測位結果を選択する。これにより、車載装置300及び測位演算部360は、複数の測位結果のうちの測位誤差の少ない測位結果を出力することが可能となる。
【0107】
また、実施形態の測位システム1によれば、車載装置300及び測位演算部360は、車載装置300又は測位演算部360の進行方向にあるRTK基準局400で生成された補正情報CIが測位演算に用いられ、且つ測位誤差の評価値が最も小さい測位結果を選択する。これにより、車載装置300及び測位演算部360は、複数の測位結果のうちの測位誤差の少ない測位結果を出力することが可能となる。
【0108】
上記の実施形態は、以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、路側装置100は、補正情報CIをブロードキャストすることで車載装置300に送信した。しかしながら、路側装置100は、それぞれの路側装置100に対してユニキャストなどの他の方式で補正情報CIを送信しても良い。
【0109】
車載装置300は、どの補正情報CIを取得したいかを示す取得情報を路側装置100に送信しても良い。路側装置100は、取得情報で示される補正情報CIが既に補助記憶装置340に記憶されている場合、取得情報で示される補正情報CIを、補助記憶装置340から取得して車載装置300に送信する。路側装置100は、取得情報で示される補正情報CIが補助記憶装置340に記憶されていない場合、サーバー装置200と協働してRTK基準局400から当該補正情報CIを取得する。そして、路側装置100は、取得した補正情報CIを車載装置300に送信する。
【0110】
車載装置300は、補正情報CIを、路側装置100を介さずに受信しても良い。この場合、RTK基準局400などは、例えば、補正情報CIを無線通信によりブロードキャストする。車載装置300は、当該補正情報CIを受信するためのアンテナなどを備え、当該アンテナなどにより補正情報CIを受信する。あるいは、車載装置300は、ネットワークNWに接続する通信インターフェースを備える。そして、車載装置300は、ネットワークNWを介してRTK基準局400又はサーバー装置200などから補正情報CIを受信する。
【0111】
上記の実施形態では、1つのRTK演算部364は、1つの補正情報CI及びGNSS信号を用いて1つのRTK演算処理を行う。しかしながら、1つのRTK演算部364が複数のRTK演算処理を行っても良い。すなわち、RTK演算部364は、GNSS信号GS及び複数の補正情報CIの入力を受け、それぞれの補正情報CIについてのRTK演算処理を行う。そして、RTK演算部364は、処理結果を出力する。1つのRTK演算部364が複数のRTK演算処理を行う場合、1つのRTK演算部364が複数のRTK演算部364と同様の処理を行うこととなるので、測位演算部360が備えるRTK演算部364の数は、1つでも良い。1つのRTK演算部364が複数のRTK演算処理を行う場合、1つのRTK演算部364は、並行及び並列の少なくともいずれかで複数のRTK演算処理を行う。
【0112】
測位演算部360は、選別部363を備えていなくても良い。この場合、プロセッサー310又はRTK演算部364が選別部363と同様の機能を備え、選別部363と同様の処理を行う。
測位演算部360は、結果選択部365を備えていなくても良い。この場合、プロセッサー310又はRTK演算部364が、結果選択部365と同様の機能を備え、結果選択部365と同様の処理を行う。
【0113】
上記の実施形態において測位演算部360の構成要素のいずれかが行う処理の一部又は全部を、測位演算部360の他の構成要素が行っても良い。
【0114】
上記の実施形態において測位演算部360が行う処理の一部又は全部をプロセッサー310が行っても良い。上記の実施形態においてプロセッサー310が行う処理の一部または全部を測位演算部が行っても良い。
上記の実施形態において測位演算部360が行う処理の全部をプロセッサー310が行う場合、車載装置300は、測位演算部360を備えていなくても良い。ただし、この場合、車載装置300は、GNSS信号GSを受信するためのアンテナなどを備える。
なお、プロセッサー310は、例えば、上記の実施形態において複数のRTK演算部364が行う処理を行う場合には、測位部の一例として機能する。
【0115】
車両以外の移動体が車載装置300を搭載しても良い。当該移動体は、例えば、鉄道、又は船舶などである。当該移動体は、有人機であっても無人機であっても良い。また、移動体は人又はその他の動物などであっても良い。この場合、動物は、車載装置300を携帯する。この場合の車載装置300は、例えばGNSS端末、GNSSトラッカー、スマートホン、タブレット端末又はノートPCなどである。
【0116】
路側装置100は、上記の実施形態においてサーバー装置200が行う処理の一部又は全部を行っても良い。
サーバー装置200は、上記の実施形態において路側装置100が行う処理の一部を行っても良い。
【0117】
プロセッサー110、プロセッサー210、プロセッサー310及び測位演算部360は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0118】
実施形態の処理を実現するプログラムは、例えば装置に記憶された状態で譲渡される。しかしながら、当該装置は、当該プログラムが記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に譲渡され、当該装置へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、リムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLANなどのネットワークを介したダウンロードによって実現できる。
【0119】
以上、本発明の実施形態を説明したが、例として示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 測位システム
100 路側装置
110,210,310 プロセッサー
120,220,320 ROM
130,230,330 RAM
140,240,340 補助記憶装置
150,250 通信インターフェース
160,350 路側通信I/F
170,260,390 バス
200 サーバー装置
300 車載装置
360 測位演算部
361 衛星受信部
362 RTK入力部
363 選別部
364 RTK演算部
365 結果選択部
366 管理制御部
367 予測部
370 表示デバイス
380 入力デバイス
400 RTK基準局
500 GNSS衛星
600 車両

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7