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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140583
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物、積層体
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/00 20060101AFI20250919BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
C08F299/00
C08F290/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040076
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉秀
(72)【発明者】
【氏名】野田 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 泰史
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127AA04
4J127BA051
4J127BB012
4J127BB041
4J127BB062
4J127BB081
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC012
4J127BC031
4J127BC132
4J127BC151
4J127BD061
4J127BD282
4J127BE111
4J127BE11X
4J127BE311
4J127BE31X
4J127BE341
4J127BE34Y
4J127BG101
4J127BG10Y
4J127BG121
4J127BG12Y
4J127BG171
4J127BG17X
4J127BG17Y
4J127BG182
4J127BG18Y
4J127BG381
4J127BG38Y
4J127CB371
4J127CC111
4J127CC161
4J127DA64
4J127EA13
4J127FA08
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐擦傷性と耐薬品性に優れ、さらに成形加工時のクラック発生を抑制
する硬化物を形成可能な硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物、および前記硬化物か
らなる層を有する積層体を提供する。
【解決手段】硬化性基を含有する樹脂、および硬化性基を有するポリエステル変性ポリジ
メチルシロキサンを含有する硬化性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性基を含有する樹脂、および前記樹脂とは異なり、硬化性基を含有するポリエステ
ル変性ポリジメチルシロキサンを含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記樹脂の硬化性基が活性エネルギー線硬化性基である、請求項1に記載の硬化性組成
物。
【請求項3】
前記樹脂の活性エネルギー線硬化性基当量が0.01~10mmol/gである、請求
項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの硬化性基が活性エネルギー線硬化性基
である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記樹脂および前記ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとは異なる活性エネルギ
ー線硬化性化合物をさらに含有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
光重合開始剤を含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記光重合開始剤がアルキルフェノン型化合物である請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記光重合開始剤が分子内に2つ以上の光開裂基を含有する請求項6に記載の硬化性組
成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項10】
140℃における引張試験での伸び率が5%以上である請求項9に記載の硬化物。
【請求項11】
基材上に請求項9に記載の硬化物が積層された積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物、前記硬化物からなる層を有する
積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内外装部品、電子機器、雑貨、建材部品などの樹脂成型材料の表面保護や加飾の
ために、表面にハードコート加工されたり、フィルムを接着させたりする方法が知られて
いる。加飾方法としては、インサート工法、熱ラミネート工法、転写による方法などが知
られている。また、ハードコート層としては、一般に、ラジカル重合性基を有する化合物
と光重合開始剤とを含有する硬化性組成物をラジカル重合によって硬化させたものが知ら
れている。しかしながら、表面を保護するためにハードコート層を用いると、耐摩耗性や
耐擦傷性は向上するが、成形加工する場合の伸び性が悪化してしまい加飾用途には適さな
い場合がある。また、表面保護のためにハードコート層には耐薬品性も求められている。
【0003】
特許文献1にはインモールドラベル用のインサートフィルムが、特許文献2には自動車
内装用加飾シートが、特許文献3には熱転写プリンタを使用した熱転写印刷法によりハー
ドコート層に直接印刷した加飾ハードコートフィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-288720号公報
【特許文献2】特開2019-189043号公報
【特許文献3】特開2011-110903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のハードコート層は、耐擦傷性に優れるが、必ずしも成型加工時の伸
び性を満足するものではなく、成形材料の表面形状に追随しにくく、ハードコート層が剥
離したり、クラックを生じてしまったりする場合がある。特許文献2に記載のシートでは
表面保護層の耐擦傷性を十分には満足できず、特許文献3に記載のハードコートフィルム
では伸び性を確保することが困難である。
【0006】
本発明は、耐擦傷性に優れ、かつ成形加工時における伸び性(クラックの発生を抑制す
る)、さらには耐薬品性に優れるハードコート層を形成することができる硬化性組成物、
前記硬化性組成物の硬化物、および前記硬化物からなる層を有する積層体を提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 硬化性基を含有する樹脂、および硬化性基を含有するポリエステル変性ポリジメ
チルシロキサンを含有する硬化性組成物。
[2] 前記樹脂の硬化性基が活性エネルギー線硬化性基である、[1]に記載の硬化性
組成物。
[3] 前記樹脂の活性エネルギー線硬化性基当量が0.01~10mmol/gである
、[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4] 前記ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの硬化性基が活性エネルギー線硬
化性基である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5] 前記樹脂および前記ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとは異なる活性エ
ネルギー線硬化性化合物を含有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の硬化性組成
物。
[6] 光重合開始剤を含有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物

[7] 前記光重合開始剤がアルキルフェノン型化合物である、[1]~[6]のいずれ
か一項に記載の硬化性組成物。
[8] 前記光重合開始剤が分子内に2つ以上の光開裂基を含有する、[1]~[7]の
いずれか一項に記載の硬化性組成物。
[9] [1]~[8]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の硬化物。
[10] 140℃における引張試験での伸び率が5%以上である、[9]に記載の硬化
物。
[11] 基材上に[9]または[10]に記載の硬化物が積層された積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐擦傷性、耐薬品性および伸び性に優れる硬化性組成物を提供するこ
とができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートの総
称である。また、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリル、(メタ)アクリロイ
ルはアクリロイル又はメタクリロイルの総称である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むこ
とを意味する。本明細書に開示の数値範囲は、その下限値および上限値を任意に組み合わ
せて新たな数値範囲とすることができる。
【0010】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、硬化性基を含有する樹脂を含有するものである。
【0011】
硬化性基を含有する樹脂は、樹脂中に硬化する官能基を有するものであり、従来公知の
樹脂を使用することができる。硬化性基としては、例えば活性エネルギー線硬化性基や、
熱硬化性基等が挙げられ、性能や反応性の観点から活性エネルギー線硬化性基が好ましい
。また、樹脂の種類としては、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂
、エポキシ樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。硬化性基を調整しやすいという
観点において(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
なお、硬化性基とは、例えば、活性エネルギー線硬化性基なら活性エネルギー線を照射
することにより反応する反応基全般を差し、例えば、エチレン性不飽和基、(メタ)アク
リロイル基などの炭素-炭素不飽和結合基が挙げられる。また、熱硬化性基なら、例えば
、水酸基とイソシアネート基のような熱により反応する反応基全般を指す。
【0012】
活性エネルギー線硬化性基を含有する樹脂としては、例えば炭素-炭素不飽和結合基を
含有する樹脂が挙げられる。なお、炭素-炭素不飽和結合とは、炭素-炭素二重結合又は
炭素-炭素三重結合を意味し、炭素-炭素二重結合であることが好ましく、例えば、(メ
タ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、ビニルエーテル
基等が挙げられる。これらの中でも、活性エネルギー線による硬化性が優れることから(
メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。炭素-炭素不飽和結
合を含有する樹脂は前記官能基うち、1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでい
てもよい。
【0013】
炭素-炭素不飽和結合基を含有する樹脂として、例えば、(メタ)アクリロイル基を含
有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい形態として挙げられるが、当該(メタ)アクリ
ル系樹脂の製造方法としては、例えば、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートと他
の(メタ)アクリレート系モノマーとを共重合させて得られた重合体のエポキシ基部分に
炭素-炭素不飽和結合基を含有する酸や塩基等を反応させる方法が挙げられる。特にグリ
シジル(メタ)アクリレートを使用する方法は炭素-炭素不飽和結合の量をコントロール
しやすいため有用である。
【0014】
エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)ア
クリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシ
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げら
れる。これらの中でも、特に反応性の良好性、材料の使用のしやすさを考慮するとグリシ
ジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
【0015】
エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートを使用して炭素-炭素不飽和結合基を導入
する場合において、(メタ)アクリレート重合体中に占めるエポキシ基を含有する(メタ
)アクリレートの割合としては、好ましくは1~100質量%、より好ましくは2~80
質量%、さらに好ましくは3~50質量%、特に好ましくは5~35質量%、最も好まし
くは7~25質量%の範囲である。当該範囲で使用することで、硬化物としたときの耐擦
傷性、伸び性および耐薬品性の調整がしやすいものとなる。
【0016】
炭素-炭素不飽和結合形成のためにエポキシ基を含有する(メタ)アクリレート重合体
に使用する化合物としては、炭素-炭素不飽和結合基を含有する酸や塩基があるが、(メ
タ)アクリレート重合体の安定性を考慮すると酸が好ましく、その中でも特にカルボン酸
であることが好ましい。カルボン酸の中でも、さらに(メタ)アクリル酸を使用すること
で、二重結合を導入することが可能であり、より好ましい形態となる。(メタ)アクリル
酸の中でも、エポキシ基とカルボン酸の反応性や導入した二重結合の反応性を考慮すると
アクリル酸が最適である。さらに、2種類以上の構造を形成するために、2種類以上のカ
ルボン酸をエポキシ基と反応させることも可能である。
【0017】
反応させるエポキシ基は、(メタ)アクリレート重合体中に存在するエポキシ基全量に
対して、通常1質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上
、さらに好ましくは80質量%以上の範囲であり、上限としては100質量%であっても
良い。当該範囲で反応させることで、樹脂中の炭素-炭素不飽和結合の量を十分なものと
することができ、硬化物としたときの耐擦傷性、伸び性および耐薬品性の調整がしやすい
ものとなる。
【0018】
炭素-炭素不飽和結合を含有する樹脂として、(メタ)アクリル系樹脂を使用する場合
、上述した化合物群以外にも重合可能な各種の、炭素-炭素不飽和結合基導入に関与しな
い(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチ
ル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ
)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート
、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)
アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートモノマー;パーフルオロヘキシルエチル
(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレー
ト、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート等のフルオロア
ルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ
)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有
する(メタ)アクリレートモノマー;
2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)
アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸誘導体以外の原料として、スチレン、p-ク
ロロスチレン、p-メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、N-
ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペン
タエリスリトールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリ
メチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ヒドロキノンジビニルエ
ーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリト
ールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロ
ールプロパンポリビニルエーテル等のビニル基を有する炭化水素系モノマーが挙げられる
【0019】
なお、使用する原料は1種類に限られず、2種類以上を併用して(メタ)アクリル系樹
脂を調製してもよく、2種類以上を併用して(メタ)アクリル系樹脂を調製することが好
ましい。
【0020】
上記各種の、炭素-炭素不飽和結合基導入に関与しない(メタ)アクリレートを使用す
る場合において、(メタ)アクリレート重合体中に占める(メタ)アクリレートの割合と
しては、好ましくは0~99質量%、より好ましくは20~98質量%、さらに好ましく
は50~97質量%、特に好ましくは65~95質量%、最も好ましくは75~93質量
%の範囲である。当該範囲で使用することで、硬化物としたときの耐擦傷性、伸び性およ
び耐薬品性の調整がしやすいものとなる。
【0021】
また、基材との密着性を考慮すると極性基を含有することが好ましい。極性基としては
、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、エーテル基等が挙げられ、これら
の中でも基材との密着性の観点から水酸基、アミノ基やカルボキシル基が好ましく、耐水
性等も考慮すると水酸基がより好ましい。当該意味においても上述したエポキシ基とカル
ボン酸の反応により形成された炭素-炭素不飽和結合基を含有する樹脂は水酸基を有する
ことにもなるため好ましい形態である。
【0022】
また、上記水酸基価は、好ましくは5~500mgKOH/g、より好ましくは10~
300mgKOH/g、さらに好ましくは15~250mgKOH/g、特に好ましくは
25~220mgKOH/g、最も好ましくは40~150mgKOH/gの範囲である
。当該範囲で使用することで、基材との密着性が良好なものとなる。また、水酸基価は、
例えば、樹脂組成物をピリジン中で過剰の無水酢酸と反応させ、遊離する酢酸を水酸化カ
リウムで滴定する方法で測定することができる。
【0023】
炭素-炭素不飽和結合を含有する(メタ)アクリル系樹脂を製造するための重合条件は
特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。通常、(メタ)アクリル系樹
脂を得る反応はラジカル重合反応であり、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下、原
料モノマーを重合させることにより、(メタ)アクリル系樹脂を得ることができる。
【0024】
例えば、有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケ
トン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のア
ルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、2-エトキシエチルアセテート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭
化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
【0025】
ラジカル重合開始剤は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシド等の
有機過酸化物、2,2’-アゾビスブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメ
チルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニ
トリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いて
も2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
重合温度は、通常20~150℃、好ましくは50~100℃である。また、重合時間
は、通常1~72時間、好ましくは3~36時間である。
【0027】
また、上述したエポキシ基とカルボン酸化合物との反応条件は特に限定されず、公知の
方法を適宜選択することができる。当該反応は、無触媒又は触媒存在下の何れでもよいが
、触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、テトラ
エチルアンムニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム
塩、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類、テトラブチルホ
スホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩類が
挙げられる。なお、触媒の使用量は、重合体の重量に対して、通常0.5質量%以上、好
ましくは1.0質量%以上であり、通常5.0質量%以下、好ましくは3.5質量%以下
である。
【0028】
反応温度は、通常20~200℃、好ましくは50~150℃である。また、反応時間
は、通常1~72時間、好ましくは3~20時間である。
【0029】
炭素-炭素不飽和結合を含有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、積層体の用途に応
じて適宜選択されるべきであるが、好ましくは5,000~200,000、より好まし
くは7,000~100,000、より好ましくは9,000~70,000、さらに好
ましくは10,000~60,000の範囲である。上記範囲で使用することで、耐擦傷
性や耐薬品性の向上や、基材との密着性の向上や、成形加工時の伸び性も良好なものとな
る。なお、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーシ
ョン・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決
定することができる。具体的な測定条件は後述に示す通りである。
【0030】
炭素-炭素不飽和結合基を含有する樹脂は、硬化性の観点から、炭素-炭素不飽和結合
基当量(活性エネルギー線硬化性基当量、例えば、アクリロイル基濃度(アクリロイル基
の導入量))として、好ましくは0.01~10mmol/g、より好ましくは0.3~
6.0mmol/g、さらに好ましくは0.5~4.0mmol/g、特に好ましくは0
.8~3.0mmol/g、最も好ましくは1.0~2.0mmol/gの範囲である。
上記範囲とすることで、硬化物としたときの耐擦傷性、伸び性および耐薬品性のバランス
がよいものとなる。
【0031】
硬化性組成物中には、硬化性化合物、特に硬化物としたときの耐擦傷性や耐薬品性を向
上させる、あるいは調整するために上述した硬化性基を含有する樹脂以外の硬化性化合物
を使用することも好ましい形態である。硬化性化合物としては活性エネルギー線硬化性化
合物や熱硬化性化合物等が挙げられるが、反応性の観点から活性エネルギー線硬化性化合
物が好ましい。
【0032】
硬化性基を含有する樹脂以外の活性エネルギー線硬化性化合物としては、従来公知の材
料を使用することができるが、例えば、(メタ)アクリレートが好適な材料として挙げら
れる。(メタ)アクリレートは特に限定はなく、単官能(メタ)アクリレート、2官能(
メタ)アクリレート、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートのいずれであってもよい
。(メタ)アクリレートは、硬化性樹脂材として市販されているものも使用できる。(メ
タ)アクリレートは本発明の目的を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいて
もよい。これらの中でも特に耐擦傷性に優れることから2官能または3官能以上の多官能
(メタ)アクリレートであることが好ましく、特に3官能以上の(メタ)アクリレートが
好ましい。
【0033】
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-
ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)ア
クリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート
、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、モルフォリル(メ
タ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ-
ルモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル
フリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペン
テニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アク
リレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ
)アクリレート、無水フタル酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物
等のモノ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0034】
2官能の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(
メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)
アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビス
フェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(
メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カ
プロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ-ト、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサ
イド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のエチレンオキサイド変性(メタ)
アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変
性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジ
イソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエン
ジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘ
キサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタン(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
これらの中でも特に耐擦傷性が良好であることから、4官能以上の(メタ)アクリレー
トが好ましく、さらに6官能以上の(メタ)アクリレートがより好ましい。さらに成形加
工時の伸び性との両立も考慮すると、アルキル鎖を延長した多官能(メタ)アクリレート
、特にアルキル鎖を延長した4官能以上の(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル鎖
を延長した6官能以上の(メタ)アクリレートがさらに好ましい。例えば、カプロラクト
ン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ-トは最適な材料である。特に(
メタ)アクリレートの1分子に対してカプロラクトンが2以上であることが伸び性に好ま
しく、特に伸び性を重視したい用途には6以上であることがより好ましい。
【0036】
また、硬化性組成物には、(メタ)アクリレート以外の活性エネルギー線硬化性の化合
物を使用することも可能である。例えば、スチレン、ハロゲン化ビニル、酢酸ビニル等の
ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン
等のジエン化合物等が挙げられる。
【0037】
硬化性組成物を熱硬性のものとする場合、架橋基を有する樹脂と架橋剤とを熱反応する
やり方がある。例えば、(メタ)アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビ
ニル等のポリオール構造を有する樹脂とイソシアネートを組み合わせる方法等が挙げられ
る。
【0038】
硬化性組成物中には、硬化性基を含有する樹脂以外の樹脂、すなわち硬化性基を有しな
い樹脂を含有することもできる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウ
レタン樹脂等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル樹脂が好ましい。これらの樹脂を含有
することで、塗布して塗膜を形成する場合の塗布性の向上や、伸び性の向上の調整が可能
となる。
【0039】
硬化性組成物は、さらに硬化性基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを
含有するものである。硬化性基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、硬
化物の外観を向上させるためレベリング剤として性能を発揮するものである。レベリング
剤としては数多くの種類のものが公知となっているが、硬化性基を有するポリエステル変
性ポリジメチルシロキサンを使用することで、硬化物に高いスリップ性を付与することが
でき耐擦傷性が向上すること、上述したような他の硬化性基を有する化合物と反応するこ
とで硬化物中に取り込まれ、長期にわたってスリップ性や耐擦傷性を達成することができ
るため非常に有用である。また、検討を進める中で硬化性基を有するポリエステル変性ポ
リジメチルシロキサンが特異的に耐薬品性に対しても良好であることを見出した。類似の
化合物として硬化性基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンと比較した場合
に差がみられることを見出した。推測として、ポリエステル変性にすることで硬化性樹脂
組成物中の他の樹脂や化合物等とより強く水素結合をすることで、ポリエーテル変性より
も緻密な硬化物構造が形成され、薬品が硬化物の内部に染み込みにくくなり高い耐薬品性
を発現しているのではないかと考えている。
【0040】
硬化性基を含有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの硬化性基としては、活
性エネルギー線硬化性基であることが好ましく、合成のしやすさや反応性を考慮すると(
メタ)アクリロイル基であることがより好ましく、アクリロイル基であることがさらに好
ましい。
【0041】
硬化性基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンのポリエステル変性は従来
公知のポリエステル変性でよく、主な構成成分として、例えば、下記のような多価カルボ
ン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェ
ニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸
および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-
シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイ
ソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル
酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、
無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらの
エステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレ
ングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3
-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル
-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタ
ノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレ
ングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル
、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチ
ルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる
。また、ラクトン変性タイプが硬化性組成物中の他の化合物とのなじみとの観点から好ま
しく、ε-カプロラクトン変性タイプが特に好ましい。これらの化合物の中から、それぞ
れ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル変性品を合成すればよい
【0042】
硬化性基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンのポリジメチルシロキサン
は従来公知のポリジメチルシロキサンを使用することができる。
【0043】
硬化物とした場合の耐候性を向上させるため、硬化性組成物に紫外線吸収剤を含有する
ことができる。耐熱性の観点から分子量500以上のものが好ましい。紫外線吸収剤は、
組成物に対する良好な溶解性および耐候性改善の観点から、トリアジン系、ベンゾフェノ
ン系、ベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系、サリチル酸エステル系、または、
シアノアクリレート系の化合物から誘導されたものであって、最大吸収波長が240~3
80nmの範囲内である紫外線吸収剤が好ましい。これらの中でも特に紫外線吸収性が良
く、硬化物としたときの外観に優れるという観点において、トリアジン系、ベンゾトリア
ゾール系がより好ましく、トリアジン系がさらに好ましい。
【0044】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、下記に限定されるものではないが、例えば、2-
[4-([2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル]オキシ)-2-ヒドロキシフ
ェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと2-
[4-([2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル]オキシ)-2-ヒドロキシ
フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(T
inuvin(登録商標)(登録商標)400 BASF社製)、2-[4,6-ビス(
2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[3-(ドデ
シルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ]フェノール)、2-(2,4-ジヒドロキシ
フェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと
(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物(Tinuvin(登録商標
)405、BASF社製)、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-
6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン(Tinuvin(登録
商標)460、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-
2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(Tinuvin(登録商標)1
577、BASF社製)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イ
ル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]-フェノール(ADK
STAB LA46、ADEKA社製)、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオ
キシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3
,5-トリアジン(Tinuvin(登録商標)479、BASF社製)等が挙げられる
【0045】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物)、オキシベンゾフェノン系
紫外線吸収剤(オキシベンゾフェノン系化合物)としては、例えば、2,4-ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4
-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸(無水及び三水塩)、2-ヒドロキシ-4-
オクチルオキシベンゾフェノン、4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メ
トキシベンゾフェノン(商品名「KEMISORB111」、ケミプロ化成株式会社製)
、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(商品名「SEESORB10
6」、シプロ化成株式会社製)、2,2’-ジヒドロキシ-4,4-ジメトキシベンゾフ
ェノン等が挙げられる。
【0046】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、下記に限定されるものではないが、例え
ば、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]-2H
-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル
)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリ
ロイルオキシプロピル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキ
シ-5’-(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、
2-[2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-(メタクリロイルオキシエチ
ル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-tert
-ブチル-3’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾー
ル、2-[2’-ヒドロキシ-5'-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-
クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイル
オキシエチル)フェニル]-5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒ
ドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-シアノ-2H-ベン
ゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェ
ニル]-5-tert-ブチル-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-
5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-5-ニトロ-2H-ベンゾトリアゾ
ール等が挙げられる。
【0047】
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、下記に限定されるものではないが、例え
ば、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(1-
又は2-ナフチル)-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-(4-ビフェニル)-
3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン、2-m-ニトロフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-
p-ベンゾイルフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-p-メトキシフェ
ニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-o-メトキシフェニル-3,1-ベン
ゾオキサジン-4-オン、2-シクロヘキシル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、
2-p-(又はm-)フタルイミドフェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、N
-フェニル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)フタルイミド、N
-ベンゾイル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニリン、N-
ベンゾイル-N-メチル-4-(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)アニ
リン、2-(p-(N-メチルカルボニル)フェニル)-3,1-ベンゾオキサジン-4
-オン、2,2’-ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-エチレン
ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1
-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-デカメチレンビス(3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン
)、2,2’-m-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’
-(4,4’-ジフェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’
-(2,6-又は1,5-ナフチレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、
2,2’-(2-メチル-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン
)、2,2’-(2-ニトロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-
オン)、2,2’-(2-クロロ-p-フェニレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン-
4-オン)、2,2’-(1,4-シクロヘキシレン)ビス(3,1-ベンゾオキサジン
-4-オン)、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベ
ンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレ
ン、2,4,6-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレン、
2,8-ジメチル-4H,6H-ベンゾ(1,2-d;5,4-d’)ビス(1,3)-
オキサジン-4,6-ジオン、2,7-ジメチル-4H,9H-ベンゾ(1,2-d;4
,5-d’)ビス(1,3)-オキサジン-4,9-ジオン、2,8-ジフェニル-4H
,8H-ベンゾ(1,2-d;5,4-d’)ビス(1,3)-オキサジン-4,6-ジ
オン、2,7-ジフェニル-4H,9H-ベンゾ(1,2-d;4,5-d’)ビス(1
,3)-オキサジン-4,6-ジオン、6,6’-ビス(2-メチル-4H,3,1-ベ
ンゾオキサジン-4-オン)、6,6’-ビス(2-エチル-4H,3,1-ベンゾオキ
サジン-4-オン)、6,6’-ビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサジン
-4-オン)、6,6’-メチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサジン
-4-オン)、6,6’-メチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサジ
ン-4-オン)、6,6’-エチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサジ
ン-4-オン)、6,6’-エチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,6’-ブチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,6’-ブチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキ
サジン-4-オン)、6,6’-オキシビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,6’-オキシビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,6’-スルホニルビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキ
サジン-4-オン)、6,6’-スルホニルビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、6,6’-カルボニルビス(2-メチル-4H,3,1-ベン
ゾオキサジン-4-オン)、6,6’-カルボニルビス(2-フェニル-4H,3,1-
ベンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-メチレンビス(2-メチル-4H,3,1-
ベンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-メチレンビス(2-フェニル-4H,3,1
-ベンゾオキサジン-4-オン)、7,7’-ビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、7,7’-エチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、7,7’-オキシビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオ
キサジン-4-オン)、7,7’-スルホニルビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾ
オキサジン-4-オン)、7,7’-カルボニルビス(2-メチル-4H,3,1-ベン
ゾオキサジン-4-オン)、6,7’-ビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサ
ジン-4-オン)、6,7’-ビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサジン-
4-オン、6,7’-メチレンビス(2-メチル-4H,3,1-ベンゾオキサジン-4
-オン)、6,7’-メチレンビス(2-フェニル-4H,3,1-ベンゾオキサジン-
4-オン)等が挙げられる。
【0048】
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤(サリチル酸エステル系化合物)としては、例えば
、フェニル-2-アクリロイルオキシベンゾエ-ト、フェニル-2-アクロリイルオキシ
-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-4-メチルベンゾエ-
ト、フェニル-2-アクリロイルオキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-アク
リロイルオキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシベンゾエ-ト、
フェニル-2-ヒドロキシ-3-メチルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-4メ
チルベンゾエ-ト、フェニル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンゾエ-ト、フェニル2-
ヒドロキシ-3-メトキシベンゾエ-ト、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,
5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(Tinuvin(登録商標)
120、BASF社製)等が挙げられる。
【0049】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤(シアノアクリレート系化合物)としては、例えば
、アルキル-2-シアノアクリレート、シクロアルキル-2-シアノアクリレート、アル
コキシアルキル-2-シアノアクリレート、アルケニル-2-シアノアクリレート、アル
キニル-2-シアノアクリレート等が挙げられる。また、これらの化合物は1種を単独で
用いても2種以上を併用してもよい。
【0050】
硬化物の耐候性をさらに向上させるため、硬化性組成物に光安定剤を含有することがで
きる。光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤であれば特に限定されない。光安定剤の
具体例としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-メ
トキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-エト
キシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-プロポ
キシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ブトキ
シ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ペンチロ
キシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ヘキシ
ロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ヘプ
チロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オ
クトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ノ
ニロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-デ
カニロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-
ドデシロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1
,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-2-(4-メトキシ-ベンジリデ
ン)マロネート、テトラキス(2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2
,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメ
チル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート等のアミノメチ
ル基含有化合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペン
タメチル-4-ピペリジノールとβ,β,β,β-テトラメチル-3,9-(2,4,8
,10-テトラオキサスピロ[5,5])ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2
,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノー
ルとβ,β,β,β-テトラメチル-3,9-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ
[5,5])ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、デカンジカルボン酸と2,2,6,
6-テトラメチル-1-オクトキシ-4-ピペリジノールとのジエステル化合物と1,1
-ジメチルエチルヒドロパーオキシドとオクタンとの反応生成物(BASF社製、商品名
チヌビン123)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[
[3,5-ビス(1,1、ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル](BA
SF社製、商品名チヌビン144)等のアミノエーテル基含有化合物が挙げられる。この
中でもアミノエーテル基含有化合物は硬化物の耐候性の観点から好ましく、特にビス(1
,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(1,1、ジ
メチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]が特に好ましい。また、これらの化
合物は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0051】
活性エネルギー線硬化による硬化物の場合、硬化性組成物の硬化性促進として、光重合
開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の分子量が1,000未満の化合物が好
ましく、500以下がより好ましく、下限は特に制限はないが、例えば200以上が好ま
しく、300以上がより好ましい。
【0052】
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光ア
ニオン重合開始剤等が挙げられ、これらの中では光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラ
ジカル重合開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロ
キシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニ
ル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロ
パン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシル)-フェニル]-2-ヒドロキ
シ-メチルプロパノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ
-1-プロパノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1
-プロパノン等のアルキルフェノン型化合物、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセト
フェノン等のベンジルケタール型化合物、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、
2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4-フ
ェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン型化合物;t-ブチルアントラキノン、2-エ
チルアントラキノン等のアントラキノン型化合物;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-
1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、ジエチルチオキサントン、イソプロピ
ルチオキサントン等のチオキサントン型化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフ
ェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-ト
リメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-
フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド型化合物;フェニルグ
リオキシリックアシッドメチルエステル等のフェニルグリオキシレート型化合物等が挙げ
られる。これらの中でも、活性エネルギー線照射量が少なくても硬化するという点で、ア
ルキルフェノン型化合物またはベンジルケタール型化合物が好ましく、アルキルフェノン
型化合物がより好ましい。また、アルキルフェノン型化合物の中でも、α-ヒドロキシア
ルキルフェノン型化合物や、α-アミノアルキルフェノン型化合物が好ましく、α-ヒドロ
キシアルキルフェノン型化合物がより好ましい。また、分子内に2つ以上の光開裂基(活
性エネルギー線の照射で開裂してラジカルを発生する官能基)を含有する光重合開始剤が
耐薬品性の観点で好ましい。これら重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上
を併用してもよい。
【0053】
硬化性組成物には、硬化物としたときのブロッキング防止や易滑性の観点から粒子を含
有することもできる。粒子は、有機粒子でも無機粒子でもよく、2種以上を併用してもよ
い。無機粒子は(メタ)アクリロイル基等の反応性基を有するシランカップリング剤で表
面修飾された粒子であってもよい。
【0054】
また、硬化性組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で、重合促進剤、帯電防止
剤、可塑剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤等を含有していてもよい。
【0055】
さらに硬化物の形成において、塗布液を調整して塗布する方法による場合、作業性を向
上する目的で、必要に応じて溶剤を使用することが好ましい。溶剤としてはトルエン、キ
シレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジ
エチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等の
エーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジア
セテート等のエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N-メチ
ルピロリドン等のアミド系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、
ブタノール等のアルコール系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;
等が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で使用してもよく2種以上を併用しても
よい。これらの有機溶剤のうち、塗布における作業性を向上させやすい点で、エステル系
溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤及びケトン系溶剤が好ましい。
【0056】
硬化性組成物の固形分濃度としては、用途に応じて適宜変更が可能であるが、塗布によ
り硬化膜形成を行う場合において、塗布操作における操作性の向上の観点から、不揮発分
として、好ましくは1~100%、より好ましくは5~90%、さらに好ましくは10~
80%、特に好ましくは20~70%の範囲である。
【0057】
硬化性組成物中の硬化性基を含有する樹脂の含有量は、用途や必要な硬化物の特性に応
じて変化させるため一概にはいえないが、不揮発性分に対して、好ましくは5~99.9
質量%、より好ましくは10~98質量%、さらに好ましくは20~95質量%、特に好
ましくは30~90質量%、最も好ましくは50~85質量%の範囲である。当該範囲で
使用することで、耐擦傷性を確保しつつ、成形加工時の伸び性および耐薬品性が良好なも
のとすることができる。
なお、不揮発分とは、有機溶剤等の溶媒以外の成分の合計質量である。不揮発分の割合
は、従来公知の方法で測定することができ、例えば、1gの組成物を広げて、100℃で
1時間加熱することで有機溶剤を揮発させたときの重さの変化から算出できる。
【0058】
硬化性組成物中の、硬化性基を含有する樹脂以外の硬化性化合物の含有量は、用途や必
要な硬化物の特性に応じて変化させるため一概にはいえないが、不揮発性分に対して、好
ましくは90質量%以下、より好ましくは1~80質量%、さらに好ましくは3~50質
量%、特に好ましくは5~40質量%、最も好ましくは7~20質量%の範囲である。当
該範囲で使用することで、成形加工時の伸び性を確保しつつ、耐擦傷性や耐薬品性を向上
させることができる。
【0059】
硬化性組成物中の、硬化性基を含有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの含
有量は、不揮発性分に対して、好ましくは0.001~20質量%、より好ましくは0.
01~10質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは0.2~4質量
%、最も好ましくは0.3~3質量%の範囲である。当該範囲で使用することで、硬化物
の外観向上の観点のみならず、耐擦傷性の向上も達成できる。また検討を進める中で耐薬
品性の向上にも寄与していることを見出した。
【0060】
硬化性組成物中の、紫外線吸収剤の含有量は、不揮発性分に対して、好ましくは20質
量%以下、より好ましくは0.01~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%
、特に好ましくは0.5~8質量%、最も好ましくは1~5質量%の範囲である。当該範
囲で使用することで、効果的に硬化物の形成ができ、硬化物の耐候性が向上する。
【0061】
硬化性組成物中の、光安定剤の含有量は、不揮発性分に対して、好ましくは20質量%
以下、より好ましくは0.01~15質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%、特
に好ましくは0.5~8質量%、最も好ましくは1~5質量%の範囲である。当該範囲で
使用することで、効果的に硬化物の形成ができ、硬化物の耐候性が向上する。
【0062】
硬化性組成物中の、光重合開始剤の含有量は、不揮発性分に対して、好ましくは20質
量%以下、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは0.3~10質量%、
特に好ましくは0.5~8質量%、最も好ましくは1~7質量%の範囲である。当該範囲
で使用することで、効果的に硬化物を形成することができる。
【0063】
<硬化物(硬化膜)>
硬化性組成物の硬化物は、硬化性組成物を基材又は物品の上に塗布して塗膜を形成し、
必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線硬化性組成物の場合は活性エネルギー線を照
射し、熱硬化性組成物の場合は加熱することにより形成できる。硬化性組成物の塗布方法
は特に限定されない。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコー
ト法、スピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、グラ
ビアコート法、スプレーコート等の公知の方法により塗布することができる。
【0064】
硬化性組成物が有機溶剤を含む場合、硬化反応をさせる前に予め加熱乾燥することが好
ましい。予め加熱乾燥することにより、塗膜中の有機溶剤を効果的に除去することができ
る。加熱乾燥の乾燥温度は、好ましくは30~200℃、より好ましくは40~150℃
、さらに好ましくは50~120℃である。乾燥時間は、0.01~30分が好ましく、
0.1~10分がより好ましい。
【0065】
活性エネルギー線硬化性組成物の場合、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、
可視光線、赤外線、X線等が挙げられる。それらの中でも硬化性と樹脂劣化防止の観点か
ら紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。また、活性エネルギー線の照射量
は、照射する活性エネルギー線に応じて適宜選定できる。
【0066】
例えば、紫外線を用いる場合、照射の積算光量は20~5,000mJ/cmが好ま
しく、100~3,000mJ/cmがより好ましく、200~2,000mJ/cm
がさらに好ましい。また、照度としては、10~600mW/cmが好ましく、20
~450mW/cmがより好ましく、40~300mW/cmがさらに好ましい。光
源としては、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドラ
ンプ、又は走査型、カーテン型電子線加速路による電子線等高圧水銀灯、超高圧水銀灯等
、低圧水銀灯等を用いることができる。
【0067】
また、電子線照射で硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる
。電子線の照射量(Mrad)は、通常、0.5~20Mradであり、本発明の活性エ
ネルギー線硬化性組成物の硬化性、硬化物の可撓性、基材の損傷防止等の観点から 好ま
しくは1~15Mradである。
【0068】
硬化物(硬化膜)の厚みは、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは0.2~1
0μm、さらに好ましくは0.3~7μmの範囲である。硬化物の厚みが上記範囲内であ
れば、所望の耐擦傷性等の特性を実現しやすい。
なお、硬化物の厚みは、電子顕微鏡等による断面観察により求められる。
【0069】
硬化物のヘイズとして、後述する実施例に記載の方法により測定されるヘイズは、各種
用途に応じて最適値があり一概にはいえないが、好ましくは5%以下、より好ましくは3
%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.
2%以下の範囲である。また下限は特に制限はないが、好ましくは0.0%である。上記
範囲とすることで、様々な用途に使用することが可能となる。
【0070】
硬化物の伸び性としては、後述する140℃の引張試験において伸び率として、好まし
くは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。特に伸
び性を重視する用途に用いる場合には、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以
上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは100%以上、最も好ましくは120
%以上の範囲である。上限は特に制限はないが、好ましくは300%である。当該範囲と
することで、成形加工時のクラック等の不具合を抑えることができる。
【0071】
<積層体>
本発明の積層体(以下、「本積層体」とも記す。)は、基材層と、硬化性組成物の硬化
物(硬化膜、ハードコート層)からなる層を有する。本積層体はさらに、前記基材層と前
記硬化物との間に設けられたプライマー層、および前記基材層の前記硬化物側とは反対側
の面上に設けられた裏面機能層からなる群から選ばれる1つ以上の層を有してもよい。ま
た、本発明の効果を損なわないものであれば、前記硬化物の前記基材層側とは反対側の面
上に設けられた表面機能層を有してもよい。
【0072】
基材層としては、公知のものを使用でき、例えば樹脂基材、金属基材、紙基材が挙げら
れる。これらの中では、加工性の観点から、樹脂基材が好ましい。樹脂基材は、単層構成
であっても2層以上の多層構成であってもよく、特に限定されるものではない。樹脂基材
を2層以上の多層構成とし、それぞれの層に特徴を持たせ、多機能化を図ることが好まし
い。
【0073】
樹脂基材としては、各種の樹脂フィルム(シート)を使用でき、例えばポリエステルフ
ィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリオレフィンフ
ィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロースフィ
ルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム
、ナイロンフィルム等が挙げられる。
【0074】
本積層体を自動車内外層部品や電子機器等の樹脂成型材料の表面保護や加飾用途に使用
する場合には、ポリエステルフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリウレタ
ンフィルム、ポリオレフィンフィルムが好ましく、さらに成形性を考慮するとポリエステ
ルフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリウレタンフィルムが好ましく、特
にポリエステルフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルムが好ましい。低温での成形
性を重視する用途に対してはポリ(メタ)アクリレートフィルムが好ましい。
【0075】
ポリエステルフィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよく、延
伸フィルムが好ましい。中でも、一軸方向に延伸された一軸延伸フィルム、又は二軸方向
に延伸された二軸延伸フィルムが好ましく、力学特性のバランスや平面性に優れる観点か
ら、二軸延伸フィルムがより好ましい。また、成形性をよくした易成形タイプが好ましく
、例えば、ポリエチレンテレフタレートの構造にイソフタル酸構造等の共重合を組み込ん
だポリエステルが挙げられる。
【0076】
基材層には易滑性の付与、各工程での傷発生防止、耐ブロッキング特性の向上を目的と
して粒子を含有することも可能であるし、耐候性を向上させるために紫外線吸収剤を含有
することも可能である。また、必要に応じて、上述の粒子や紫外線吸収剤以外の添加剤を
含むことができる。添加剤としては、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、可塑
剤、染料、顔料等の公知の添加剤を用いることができる。
【0077】
基材層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えばフィルム形状であれば、好ま
しくは2~350μm、より好ましくは5~250μm、さらに好ましくは10~150
μmの範囲である。
【0078】
また、基材層は硬化性組成物の硬化物との密着性を向上させるために、コロナ処理やプ
ラズマ処理が施されてもよい。
【0079】
プライマー層は、基材層と硬化性組成物の硬化物との間に各種の機能を付与するために
設けられる。例えば、密着向上層、帯電防止層等が挙げられる。好ましい一態様において
、プライマー層は密着向上層である。基材層と硬化物との密着性が不十分であると、用途
によっては積層体を使用できない場合がある。密着向上層を有することで、基材層と硬化
物との密着性が向上し、積層体を種々の用途に使用できる。プライマー層を構成する成分
としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル樹脂(
ポリビニルアルコール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等)等が挙げられる。
【0080】
表面機能層は、硬化物の面上に各種の機能を付与するために設けることができる。表面
機能層としては、例えば、防汚層、帯電防止層、屈折率調整層(反射防止層、低反射層等
)、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等が挙げられる。表面機能層は、公知の方法
で形成できる。
【0081】
裏面機能層は、基材の硬化物とは反対側の面に各種の機能を付与するために設けられる
。裏面機能層としては、粘着層、帯電防止層、屈折率調整層、アンチブロッキング層等が
挙げられる。粘着層は、積層体を各種の被着体に接合するために設けられる。帯電防止層
は、積層体の最表面、特に基材層の硬化物層とは反対側の最表面に対する、剥離帯電や摩
擦帯電による周囲のゴミ等の付着、それによる欠陥等を防止するために設けられる。屈折
率調整層は、例えば、積層体の全光線透過率を向上させるために設けられる。アンチブロ
ッキング層は、積層体のブロッキングを軽減するために設けられる。裏面機能層は、公知
の方法で形成できる。
【0082】
基材/硬化物層からなる積層体の後述する実施例に記載の方法により測定されるヘイズ
は、各種用途に応じて最適値があり一概にはいえないが、好ましくは10%以下、より好
ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下、最も好ましく
は0.5%以下の範囲である。また下限は特に制限はないが、好ましくは0.0%である
。上記範囲とすることで、様々な用途に使用することが可能となる。
【0083】
基材/硬化物層からなる積層体の後述する実施例に記載の方法により測定される全光線
透過率は、各種用途に応じて最適値があり一概にはいえないが、好ましくは80%以上、
より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上の範囲であり、上限は特に制限
はないが、好ましくは100%である。上記範囲とすることで透明性に優れ、各種の用途
に適したものとなる。
【0084】
<用途>
本発明の硬化性組成物より得られる硬化物は、耐擦傷性、耐薬品性、延伸加工性に優れ
るため、加飾フィルム用の硬化性組成物として好適に用いることができる。例えば内装・
外装用の建装材や自動車、家電、情報電子材料等の各種部材等に有効に適用することが可
能である。
【実施例0085】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明で用いた測定方法および評価方法は次のとおりである。
【0086】
(1)重量平均分子量
下記条件のGPCで共重合体の重量平均分子量を測定した。
機器:Waters社製「e2695」、
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H3000+H4000+H
6000」、
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)、
溶媒:テトラヒドロフラン、
温度:40℃、
流速:0.5mL/分、
注入量:10μL、
濃度:0.2質量%、
校正試料:単分散ポリスチレン、
校正法:ポリスチレン換算。
【0087】
(2)全光線透過率・ヘイズの測定方法
基材/硬化物層からなる積層体を測定対象とした。全光線透過率及びヘイズは、JIS
Z 8722(透過物体の照射及び受光の幾何条件)、JIS K 7361-1(プ
ラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)及びJIS K 7136(プラスチ
ック-透明材料のヘ-ズの求め方)に準拠し、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター
SH7000を用いて波長550nmにおける値を測定した。
積層体のヘイズは、基材層に対して硬化層が存在する側の最表面から入射して積層体を
通過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以
上それた透過光の百分率(全光線透過率に対する拡散透過率の比)である。
なお、硬化物のヘイズとしては、積層体のヘイズ値から、基材のヘイズ値を引き算して
その絶対値を算出した。
【0088】
(3)伸び性(硬化物)の評価
硬化性組成物の硬化物を形成した積層体を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機
(株式会社イマダ社製「MX2-500N」)を用いて、温度140℃、引張速度40m
m/分、チャック間距離40mmの条件で延伸して破断伸度(目視にてクラックが観察さ
れるまでの伸度)を測定し、伸び率を評価した。
伸び率は、硬化物にクラックが入ったときの長さを、引張試験前の長さで割って算出し
た。なお、300%を超える場合は表2中では>300と表記している。
【0089】
(4)耐擦傷性(硬化物)の評価方法
キムワイプ(登録商標)ワイパーS200の1枚を5×1cmに折り畳み、折り曲げて
1cm角の平面を作成し、硬化物表面を強く5回擦った後の硬化物表面を観察し、跡がな
い場合をA、薄い跡がみられる場合をB、擦った際に引っかかりが感じられ明確な跡がみ
られる場合をCとして評価した。A評価またはB評価が好ましい状態であり、適用範囲を
広くできる点においてA評価がより好ましい。
【0090】
(5)耐薬品性(硬化物)の評価方法
硬化物表面に3cmの十字のクロスカットを施し、金属性ワッシャー(2.5mm厚み
、内径21mm)を当該硬化物表面のクロスカットの中心に置き、ワッシャーの内側に0
.35mLの1%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、その上からふたをして水分が揮発し
ないようにして90℃で30分加熱した。その後、キムタオルで水酸化ナトリウム水溶液
をふき取り、直後の硬化物表面の外観を目視で観察し評価した。白化がみられない場合を
A、ワッシャー部の下面に薄い白化がみられる場合をB、ワッシャー中心部に白化がみら
れる場合をCとした。より広い用途での適用のためにはA評価であることが好ましい。
【0091】
硬化性組成物を構成する化合物例は以下の通りである。
(化合物例)
・活性エネルギー線硬化性基を含有する(メタ)アクリル樹脂:A-1
下記に示す方法で製造した(メタ)アクリル樹脂。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチル
エーテル(178質量部)、グリシジルメタクリレート(20質量部)、メチルメタクリ
レート(79質量部)、エチルアクリレート(1.0質量部)、及び2,2’-アゾビス
(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.6質量部)を加えて、65℃で3時間反応さ
せた。その後、さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.3
質量部)を加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(48
質量部)とp-メトキシフェノール(0.5質量部)を加え100℃まで加熱した。
次に、アクリル酸(10質量部)、及びトリフェニルホスフィン(1.6質量部)を添
加して、110℃で6時間反応させることで、活性エネルギー線硬化性基量(アクリロイ
ル基濃度(アクリロイル基の導入量))1.6mmol/gの(メタ)アクリル樹脂(A
-1)を得た。重量平均分子量は48,800であった。水酸基価は91mgKOH/m
gであった。
・活性エネルギー線硬化性基を含有する(メタ)アクリル樹脂:A-2
下記に示す方法で製造した(メタ)アクリル樹脂。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチル
エーテル(178質量部)、グリシジルメタクリレート(10質量部)、メチルメタクリ
レート(89質量部)、エチルアクリレート(1.0質量部)、及び2,2’-アゾビス
(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.6質量部)を加えて、65℃で3時間反応さ
せた。その後、さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.3
質量部)を加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(48
質量部)とp-メトキシフェノール(0.5質量部)を加え100℃まで加熱した。
次に、アクリル酸(5質量部)、及びトリフェニルホスフィン(1.2質量部)を添加
して、110℃で12時間反応させることで、活性エネルギー線硬化性基量(アクリロイ
ル基濃度(アクリロイル基の導入量))0.9mmol/gの(メタ)アクリル樹脂(A
-2)を得た。重量平均分子量は53,700であった。水酸基価は50mgKOH/m
gであった。
【0092】
・(メタ)アクリレート:B-1
1分子あたり12個のカプロラクトンにより変性されたジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレート(6官能)(日本化薬株式会社製 カヤラッド(登録商標)DPCA-12
0)
・(メタ)アクリレート:B-2
1分子あたり2個のカプロラクトンにより変性されたジペンタエリスリトールヘキサア
クリレート(6官能)(日本化薬株式会社製 カヤラッド(登録商標)DPCA-20)
・(メタ)アクリレート:B-3
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能)(日本化薬株式会社製 カヤラ
ッド(登録商標)DPHA)
【0093】
・レベリング剤:C-1
活性エネルギー線硬化性基(アクリロイル基)を含有するポリエステル変性ポリジメチ
ルシロキサン(BYK社製 BYK-UV3570)
・レベリング剤:C-2
活性エネルギー線硬化性基(アクリロイル基)を含有するポリエーテル変性ポリジメチ
ルシロキサン(BYK社製 BYK-UV3500)
・レベリング剤:C-3
活性エネルギー線硬化性基を有さないポリエステル変性シリコーン(BYK社製 BY
K-370)
【0094】
・紫外線吸収剤:D
2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-
4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(BASF社製 Ti
nuvin 479)
・光安定剤:E
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-[[3,5-ビス(
1,1、ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル](BASF社製 Tin
uvin 144)
【0095】
・分子内に2つ以上の光開裂基を含有する光重合開始剤:F-1
2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベン
ジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(IGM Resins B.V.社
製 Omnirad 127)
・光重合開始剤:F-2
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製
Omnirad 184)
【0096】
・活性エネルギー線硬化性基を含有しない(メタ)アクリル樹脂:G
三菱ケミカル株式会社製 BR83(MMAに由来する構成単位100質量%)
重量平均分子量(Mw)40,000(メタ)アクリル系重合体
【0097】
硬化性組成物は、表1に示す各材料を、不揮発分換算で表1に示す割合(質量部)とな
るように混合した。またメチルエチルケトンを固形分濃度が25質量%になるように調整
し、均一になるまで撹拌してそれぞれの塗布液(硬化性組成物)を得た。
【0098】
[実施例1]
下記表1に示す塗布液(活性エネルギー線硬化性組成物)を、基材として(メタ)アク
リルフィルム(三菱ケミカル株式会社製 アクリプレン(登録商標)HBA010P、7
5μm厚み)上にバーコーターを用いて乾燥後の塗膜厚さが5μmとなるように塗布し、
80℃で2分間加熱乾燥した。その後、空気雰囲気中にて高圧水銀灯で積算光量240m
J/cm、照度50mW/cmにて紫外線を照射し、硬化物(硬化膜)を形成し積層
体を得た。
【0099】
得られた積層体は伸び性、耐擦傷性、耐薬品性共に良好であった。この積層体の特性を
下記表2に示す。
【0100】
[実施例2~10]
実施例1において、塗布液組成を表1に示す塗布液組成に変更する以外は実施例1と同
様にして製造し、硬化物を有する積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示す
【0101】
[実施例11,12]
下記表1に示す塗布液(活性エネルギー線硬化性組成物)を、基材としてコロナ処理さ
れた易成形ポリエステルフィルム(厚み:100μm)のコロナ処理面上にバーコーター
を用いて乾燥後の塗膜厚さが5μmとなるように塗布し、80℃で2分間加熱乾燥した。
その後、空気雰囲気中にて高圧水銀灯で積算光量240mJ/cm、照度50mW/c
にて紫外線を照射し、硬化物(硬化膜)を形成し積層体を得た。得られた積層体の特
性を下記表2に示す。
【0102】
[比較例1~6]
実施例1において、塗布液組成を表1に示す塗布液組成に変更する以外は実施例1と同
様にして製造し、硬化物を有する積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表2に示す
とおり、耐擦傷性や耐薬品性の特性が悪い結果であった。比較例1~3ではポリエステル
変性ポリジメチルシロキサンを用いていないため耐薬品性が悪く、比較例4ではレベリン
グ剤を用いていないため耐擦傷性が悪く、比較例5および6では硬化性基を含有する樹脂
を用いていないため耐擦傷性が悪かった。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】