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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140708
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20250919BHJP
【FI】
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040257
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】原 信介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎矢
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024BX01
5C024CX06
5C024EX52
5C024GX03
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY31
5C024GZ22
5C024GZ41
5C024HX23
5C024JX41
(57)【要約】
【課題】 撮像指示を受け付けてから、静止画像を生成するための露光を開始するまでの時間を短縮する。
【解決手段】 撮像素子は、光学系を透過した光を光電変換して電荷を生成し、列方向に設けられる第1光電変換部と第2光電変換部と、前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく第1の画像の生成に用いる第1信号が出力される第1信号線と、前記第2光電変換部で生成された電荷に基づいて、撮影状態の検出に用いる第2信号が出力される第2信号線と、前記第1信号に基づく第1データを出力する第1出力部と、前記第2信号に基づく第2データを出力する第2出力部と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を透過した光を光電変換して電荷を生成し、列方向に設けられる第1光電変換部と第2光電変換部と、
前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく第1の画像の生成に用いる第1信号が出力される第1信号線と、
前記第2光電変換部で生成された電荷に基づいて、撮影状態の検出に用いる第2信号が出力される第2信号線と、
前記第1信号に基づく第1データを出力する第1出力部と
前記第2信号に基づく第2データを出力する第2出力部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
前記第1出力部と前記第2出力部とは、前記第1データと前記第2データとを同時に出力する、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは、行方向および列方向に二次元配列された複数の光電変換部に含まれ、
第2の画像の生成が指示された場合、
前記第1信号線には前記複数の光電変換部のうちm行目(mは1から任意の整数Mまでの奇数)の光電変換部で生成された電荷に基づく前記第2の画像の生成に用いる第3信号が出力され、
前記第2信号線には前記複数の光電変換部のうちm+1行目の光電変換部で生成された電荷に基づく前記第2の画像の生成に用いる第4信号が出力される、
請求項1または請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは、行方向および列方向に二次元配列された複数の光電変換部に含まれ、
第2の画像の生成が指示された場合、
前記第1信号線または前記第2信号線のいずれか一方に前記複数の光電変換部で生成された電荷に基づく前記第2の画像の生成に用いる信号が、1行目の光電変換部から順に出力される、
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像素子と、
表示部と、
前記第1出力部から出力された前記第1データに基づいて前記表示部に表示させる前記第1の画像を生成する第1処理部と、
前記第2出力部から出力された前記第2データに基づいて前記撮影状態を検出する第2処理部と、
を備える撮像装置。
【請求項6】
前記第1処理部と前記第2処理部とは、前記第1の画像を生成する処理と、前記撮影状態を検出する処理と、を同時に実行する、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
操作部を備え、
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは、行方向および列方向に二次元配列された複数の光電変換部に含まれ、
前記操作部を介して第2の画像の生成が指示された場合、
前記第2処理部は、前記第1出力部から出力される、前記複数の光電変換部のうちm行目(mは1から任意の整数Mまでの奇数)の光電変換部で生成された電荷に基づく前記第2の画像の生成に用いる第3信号と、前記第2出力部から出力される、前記複数の光電変換部のうちm+1行目の光電変換部で生成された電荷に基づく前記第2の画像の生成に用いる第4信号と、に基づく第5データに基づいて、前記第2の画像を生成する、
請求項5または請求項6に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、静止画の撮像指示を受け付けてから、静止画像を生成するための露光を開始するまでの時間を短縮することが望まれている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-108176号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の開示の態様によれば、撮像素子は、光学系を透過した光を光電変換して電荷を生成し、列方向に設けられる第1光電変換部と第2光電変換部と、前記第1光電変換部で生成された電荷に基づく第1の画像の生成に用いる第1信号が出力される第1信号線と、前記第2光電変換部で生成された電荷に基づいて、撮影状態の検出に用いる第2信号が出力される第2信号線と、前記第1信号に基づく第1データを出力する第1出力部と前記第2信号に基づく第2データを出力する第2出力部と、を備える。
【0005】
第2の開示の態様によれば、撮像装置は、上記撮像素子と、表示部と、前記第1出力部から出力された前記第1データに基づいて前記表示部に表示させる前記第1の画像を生成する第1処理部と、前記第2出力部から出力された前記第2データに基づいて前記撮影状態を検出する第2処理部と、を備える。
【0006】
なお、後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る撮像素子を備えるデジタルカメラの構成例を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る撮像素子の概略構成を例示する図である。
図3図3は、実施形態に係る撮像素子が有する画素の構成を示す回路図である。
図4図4(A)は、ライブビュー画像を表示部に表示させるときのカメラの動作例を示すシーケンス図であり、図4(B)は、フリッカーを検出するときのカメラの動作例を示すシーケンス図である。
図5図5は、ライブビュー画像データを生成するときの撮像素子の動作について説明するためのタイミングチャートである。
図6図6は、フリッカーの検出を行うときの撮像素子の動作について説明するためのタイミングチャートである。
図7】静止画像の撮像が指示されたときのカメラの動作例を示すシーケンス図である。
図8図8は、比較例に係る撮像素子の概略構成を例示する図である。
図9図9は、比較例に係る撮像素子が有する画素の構成を示す回路図である。
図10図10は、比較例に係る撮像素子を備えるカメラの動作の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態に係る撮像素子21を備えるデジタルカメラ1(以下、カメラ1と記載する)の構成例を模式的に示す図である。カメラ1は、交換レンズ3とカメラボディ2とを含む。交換レンズ3は、不図示のレンズマウントを介してカメラボディ2に装着される。なお、カメラ1をレンズ交換式ではなく、レンズ一体式のカメラとして構成してもよい。
【0009】
交換レンズ3は、例えば、ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り、防振レンズ等を含む撮像光学系31と、レンズ制御部32と、を含む。レンズ制御部32は、CPU(Central Processing Unit)とメモリなどの周辺部品とを含む。レンズ制御部32は、フォーカスレンズおよび絞りの駆動制御、ズームレンズやフォーカスレンズの位置検出、カメラボディ2へのレンズ情報の送信およびカメラボディ2からのカメラ情報の受信などを行う。
【0010】
カメラボディ2は、例えば、撮像素子21、画像処理部22、ボディ制御部23、表示部24、操作部25、および記録部26を備える。
【0011】
操作部25は、シャッターボタンや、各種設定のための操作部材などを含む。表示部24は、例えばカメラボディ2の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタとも称される)である。
【0012】
ボディ制御部23は、CPUとメモリなどの周辺部品とを含む。ボディ制御部23は、撮像素子21の駆動制御、撮像素子21からの画像信号の読み出し、焦点検出演算および交換レンズ3の焦点調節、画像データの表示および記録などカメラ1の動作制御を行う。また、ボディ制御部23は、レンズ制御部32と通信を行い、レンズ情報の受信およびカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
【0013】
記録部26は、メモリカードなどの記憶媒体を装着可能なカードスロットを有する。記録部26は、カードスロットに装着された記録媒体に画像処理部22において生成された画像データや各種データを記憶する。なお、記録部26は、内部メモリを有している。この場合、記録部26は、画像処理部22において生成された画像データや各種データを内部メモリに記録することも可能である。
【0014】
画像処理部22は、撮像素子21から入力された画素データに種々の画像処理を施す画像処理エンジンである。本実施形態において、画像処理部22は、第1画像処理部22Aと、第2画像処理部22Bと、を備える。
【0015】
第1画像処理部22Aは、撮像素子21から入力された画素データに種々の画像処理を施し、表示部24にライブビュー画像を表示させるためのデータ(ライブビュー画像データ)を生成する。生成されたライブビュー画像データは、ボディ制御部23の制御の下、表示部24に表示される。
【0016】
第2画像処理部22Bは、撮像素子21から入力された画素データを用いて、蛍光灯や水銀灯、LEDなどの光源の明滅(フリッカー)を検出する。また、第2画像処理部22Bは、撮像素子21から入力された画素データに種々の画像処理を施し、メモリカードなどの記憶媒体に記憶される画像データ(静止画像データ)を生成する。生成された静止画像データは、ボディ制御部23の制御の下、記録部26により記憶媒体に記憶される。
【0017】
第1画像処理部22A及び第2画像処理部22Bは、それぞれが独立して(非同期に)処理を実行することができる。
【0018】
撮像素子21は、交換レンズ3の予定結像面(予定焦点面)に配置され、交換レンズ3により結像された被写体像を光電変換する。本実施形態に係る撮像素子21は、積層型撮像素子である。具体的には、撮像素子21は、入射光に対応した画素信号を出力する撮像チップと、画素信号を処理する信号処理チップと、画素信号を記憶するメモリチップとを備える。撮像チップ、信号処理チップ、及びメモリチップは積層されており、Cu等の導電性を有するバンプにより互いに電気的に接続されている。
【0019】
図2は、本実施形態に係る撮像素子21の概略構成を例示する図である。図3は、撮像素子21が備える画素51の構成を示す回路図である。
【0020】
図2に示すように、撮像素子21は、M行×N列のマトリクス状に配列された複数の画素51を含む画素アレイ50と、垂直駆動部42と、駆動制御部43と、水平駆動部44と、信号処理部45と、メモリ部46と、を備える。本実施形態において、Mは39の倍数であり、Nは任意の整数であるが、これに限られるものではない。
【0021】
画素51は、例えばベイヤー配列に従って、緑色画素Gb、Gr、青色画素Bおよび赤色画素Rの4画素のいずれかを割当られる。
【0022】
図3に示すように、画素51(m,n)は、例えばフォトダイオード(PD)等の光電変換部62および読出し部60を有する。画素51(m,n)は、m行目のn列目に設けられた画素51を意味する。mは、1からMの整数であり、nは1からNの整数である。
【0023】
光電変換部62は、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する機能を有する。読出し部60は、転送部63と、排出部64と、フローティングディフュージョン(FD)65と、増幅部66と、第1選択スイッチ部67と、第2選択スイッチ部68とを備える。
【0024】
転送部63は、信号Tx_mにより制御され、光電変換部62で光電変換された電荷をフローティングディフュージョン65に転送する。すなわち、転送部63は、光電変換部62およびフローティングディフュージョン65の間に電荷転送路を形成する。フローティングディフュージョン65は電荷を保持(蓄積)する。増幅部66は、フローティングディフュージョン65に保持された電荷による信号を増幅して出力する。増幅部66は、第1選択スイッチ部67を介して第1垂直信号線52A(n)に接続され、第2選択スイッチ部68を介して第2垂直信号線52B(n)に接続される。
【0025】
排出部(リセット部)64は、信号Rst_mにより制御され、フローティングディフュージョン65の電荷を排出し、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位(基準電位)にリセットする。第1選択スイッチ部67は、信号Sel_A_mにより制御され、増幅部66からの信号を第1垂直信号線52A(n)に出力する。第2選択スイッチ部68は、信号Sel_B_mにより制御され、増幅部66からの信号を第2垂直信号線52B(n)に出力する。転送部63、排出部64、増幅部66、第1選択スイッチ部67および第2選択スイッチ部68は、例えば、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及びトランジスタM5によりそれぞれ構成される。
【0026】
読出し部60は、排出部64によってフローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)を、第1選択スイッチ部67を介して第1垂直信号線52A(n)に読み出す。また、読出し部60は、転送部63により光電変換部62からフローティングディフュージョン65に転送された電荷に応じた信号(光電変換信号)を、第1選択スイッチ部67を介して第1垂直信号線52A(n)に読み出す。
【0027】
さらに、読出し部60は、排出部64によってフローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)を、第2選択スイッチ部68を介して第2垂直信号線52B(n)に読み出す。また、読出し部60は、転送部63により光電変換部62からフローティングディフュージョン65に転送された電荷に応じた信号(光電変換信号)を、第2選択スイッチ部68を介して第2垂直信号線52B(n)に読み出す。
【0028】
図2に戻り、駆動制御部43は、外部から入力されるマスタークロックおよびボディ制御部23から入力される制御信号に基づいて、垂直駆動部42、信号処理部45、メモリ部46、及び水平駆動部44などの動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成し、垂直駆動部42、信号処理部45、メモリ部46、及び水平駆動部44などに対して与える。
【0029】
垂直駆動部42は、信号Rst_m(ただし、mは1からMの整数)、信号Tx_m、信号Sel_A_m、及び信号Sel_B_mなどの制御信号を、m行目のN個の画素51に供給し、各画素51の動作を制御する。
【0030】
信号処理部45は、アナログ/デジタル変換部(ADC)451a1~451aN及び451b1~451bNと、相関二重サンプリング部(CDS)452a1~452aN及び452b1~452bNと、を含む。ADC451a1~451aNは、第1垂直信号線52A(n)(nは1からNの整数)を介して入力されるノイズ信号及び光電変換信号をデジタル信号へ変換し、CDS452a1~452aNにそれぞれ出力する。ADC451b1~451bNは、第2垂直信号線52B(n)を介して入力されるノイズ信号及び光電変換信号をデジタル信号へ変換し、CDS452b1~452bNにそれぞれ出力する。
【0031】
CDS452a1~452aN及び452b1~452bNは、入力されたデジタル信号に対して相関二重サンプリングを行い、デジタル信号からノイズを除去し、ノイズを除去したデジタル信号をメモリ部46に出力する。なお、以後の説明において、画素51(m,n)の光電変換部62に蓄積された電荷に応じた信号を、画素信号Sig(m,n)と記載する場合がある。
【0032】
メモリ部46は、メモリ461a1~461aN及び461b1~461bNを含む。メモリ461a1~461aNは、CDS452a1~452aNから出力された画素信号をそれぞれ記憶し、メモリ461b1~461bNは、CDS452b1~452bNから出力された画素信号をそれぞれ記憶する。
【0033】
水平駆動部44は、駆動制御部43からの走査信号に応じて、メモリ461a1~461aNに記憶された画素信号を第1画像処理部22A又はバッファメモリ47に出力し、メモリ461b1~461bNに記憶された画素信号をバッファメモリ47に出力する。
【0034】
メモリ461a1~461aNに記憶された画素信号の出力と、メモリ461b1~461bNに記憶された画素信号の出力とは、非同期で行うことができる。メモリ461a1~461aNに記憶された画素信号の出力と、メモリ461b1~461bNに記憶された画素信号の出力とは、同時に行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。
【0035】
本実施形態では、3j+1行目(jは0からM/3-1までの整数)の画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)を用いて、表示部24に表示するライブビュー画像を生成し、39k+3行目(kは0からM/39-1までの整数)の画素51(39k+3,1)~51(3k+3,N)を用いて、フリッカーの周期やピークを検出する。
【0036】
図4(A)及び図4(B)は、カメラ1の動作例を示すシーケンス図である。図4(A)は、ライブビュー画像を表示部24に表示させるときのカメラ1の動作例を示すシーケンス図である。
【0037】
撮像素子21は、1行目の画素51(1,1)~51(1,N)から順に、3j+1行目の画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)がそれぞれ備える光電変換部62に電荷を蓄積させ、蓄積させた電荷に応じた画素信号を第1垂直信号線52A(1)~52A(N)をそれぞれ介して信号処理部45に読み出す。図4(A)において、光電変換部62への電荷の蓄積期間はT2である。
【0038】
信号処理部45で処理された、3j+1行目の画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)からの画素信号の集合は、画素データとして第1画像処理部22Aに出力される。
【0039】
ここで、例えば、ライブビュー画像LV2を作成するときの撮像素子21の動作について、図5のタイミングチャートを用いて説明する。図5において、ハイレベル(例えば電源電位)の制御信号が入力されるトランジスタはオン状態となり、ローレベル(例えば接地電位)の制御信号が入力されるトランジスタはオフ状態となる。
【0040】
時刻t1において、信号Rst_1がハイレベルになると、第1行目の画素51(1,1)~51(1,N)のリセット部64のトランジスタM2がオンになる。これにより、フローティングディフュージョン65の電荷がリセットされ、フローティングディフュージョン65の電位がリセット電位になる。
【0041】
さらに、リセット部64のトランジスタM2をオンの状態に保って、時刻t2から時刻t3まで信号Tx_1をハイレベルにして転送部63のトランジスタM1をオンにする。これにより、光電変換部62に蓄積されていた電荷が破棄される。
【0042】
時刻t4において信号Rst_1がローレベルになると、第1行目の画素51(1,1)~51(1,N)のリセット部64のトランジスタM2がオフになる。時刻t5に信号Sel_A_1がハイレベルになると、第1選択スイッチ部67のトランジスタM4がオンする。これにより、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が第1垂直信号線52A(1)~52A(N)に読み出される。
【0043】
時刻t3から予め定められた蓄積(露光)時間(T2)後の時刻t6において、信号Tx_1をハイレベルにすることにより、転送部63のトランジスタM1をオンにする。その後信号Tx_1をローレベルにしてトランジスタM1をオフにする。これにより、時刻t3から時刻t6までの間(蓄積期間T2)に光電変換部62に蓄積されていた電荷が、転送部63のトランジスタM1を介してフローティングディフュージョン65に転送された後、増幅部66のトランジスタM3のゲートに転送される。
【0044】
信号Sel_A_1がハイレベルであるため、画素51(1,1)~51(1,N)の各フローティングディフュージョン65から転送された電荷に応じた画素信号Sig(1,1)~Sig(1,N)が増幅部66のトランジスタM3で生成され、第1選択スイッチ部67のトランジスタM4を介して、第1垂直信号線52A(1)~52A(N)にそれぞれ出力される。
【0045】
画素信号Sig(1,1)~Sig(1,N)は、第1垂直信号線52A(1)~52A(N)を介して信号処理部45に入力され、信号処理部45によって処理された後、メモリ461a1~461aNにそれぞれ格納される。メモリ461a1~461aNに格納された画素信号の集合は、画素データとして第1画像処理部22Aに出力される。
【0046】
時刻t11において、信号Rst_4がハイレベルになると、第4行目の画素51(4,1)~51(4,N)のリセット部64のトランジスタM2がオンになる。これにより、フローティングディフュージョン65の電荷がリセットされ、フローティングディフュージョン65の電位がリセット電位になる。
【0047】
さらに、リセット部64のトランジスタM2をオンの状態に保って、時刻t12から時刻t13まで信号Tx_4をハイレベルにして転送部63のトランジスタM1をオンにする。これにより、光電変換部62に蓄積されていた電荷が破棄される。
【0048】
時刻t7において信号Rst_4がローレベルになることで、第4行目の画素51(1,1)~51(1,N)のリセット部64のトランジスタM2がオフになる。時刻t15に、信号Sel_A_4をハイレベルにすることで、第1選択スイッチ部67のトランジスタM4をオンにする。これにより、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が第1垂直信号線52A(1)~52A(N)に読み出される。
【0049】
時刻t13から予め定められた蓄積期間(T2)後の時刻t16において、信号Tx_4をハイレベルにすることにより、転送部63のトランジスタM1をオンにする。その後信号Tx_4をローレベルにすることでトランジスタM1をオフにする。これにより、時刻t13から時刻t16までの間に光電変換部62に蓄積されていた電荷が、転送部63のトランジスタM1を介してフローティングディフュージョン65に転送された後、増幅部66のトランジスタM3のゲートに転送される。
【0050】
信号Sel_A_4がハイレベルであるため、画素51(4,1)~51(4,N)の各フローティングディフュージョン65から転送された電荷に応じた画素信号Sig(4,1)~Sig(4,N)が増幅部66のトランジスタM3で生成され、第1選択スイッチ部67のトランジスタM4を介して、第1垂直信号線52A(1)~52A(N)にそれぞれ出力される。
【0051】
画素信号Sig(4,1)~Sig(4,N)は、第1垂直信号線52A(1)~52A(N)を介して信号処理部45に入力され、信号処理部45によって処理された後、メモリ461a1~461aNに格納される。メモリ461a1~461aNに格納された画素信号の集合は、画素データとして第1画像処理部22Aに出力される。
【0052】
時刻t21において、信号Rst_3j+1がハイレベルになると、第3j+1行目の画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)のリセット部64のトランジスタM2がオンになる。これにより、フローティングディフュージョン65の電荷がリセットされ、フローティングディフュージョン65の電位がリセット電位になる。
【0053】
さらに、リセット部64のトランジスタM2をオンの状態に保って、時刻t22から時刻t23まで信号Tx_3j+1をハイレベルにして転送部63のトランジスタM1をオンにする。これにより、光電変換部62に蓄積されていた電荷が破棄される。
【0054】
時刻t24において信号Rst_3j+1がローレベルになることで、第3j+1行目の画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)のリセット部64のトランジスタM2がオフになる。時刻t25に、信号Sel_A_3j+1をハイレベルにすることで、第1選択スイッチ部67のトランジスタM4をオンにする。これにより、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が第1垂直信号線52A(1)~52A(N)に読み出される。
【0055】
時刻t23から予め定められた蓄積期間(T2)後の時刻t26において、信号Tx_3j+1をハイレベルにすることにより、転送部63のトランジスタM1をオンにして、その後オフにする。これにより、時刻t23から時刻t26までの間に光電変換部62に蓄積されていた電荷が、転送部63のトランジスタM1を介してフローティングディフュージョン65に転送された後、増幅部66のトランジスタM3のゲートに転送される。
【0056】
信号Sel_A_3j+1がハイレベルであるため、画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)の各フローティングディフュージョン65から転送された電荷に応じた画素信号Sig(3j+1,1)~Sig(3j+1,N)が増幅部66のトランジスタM3で生成され、第1選択スイッチ部67のトランジスタM4を介して第1垂直信号線52A(1)~52A(N)に出力される。
【0057】
画素信号Sig(3j+1,1)~Sig(3j+1,N)は、第1垂直信号線52A(1)~52A(N)を介して信号処理部45に入力され、信号処理部45によって処理された後、メモリ461a1~461aNに格納される。メモリ461a1~461aNに格納された画素信号の集合は、画素データとして第1画像処理部22Aに出力される。
【0058】
このようにして撮像素子21から第1画像処理部22Aに入力された画素データに対して、第1画像処理部22Aは種々の画像処理を実行し、ライブビュー画像データ(LV2)を生成する(図4(A))。その後、ボディ制御部23が、ライブビュー用垂直同期信号に合わせて、ライブビュー画像データ(LV2)に基づくライブビュー画像(LV2)を表示させる。
【0059】
図5において、信号Rst_1~Rst_3j+1の各々がローレベルになる時間間隔T1は、ライブビュー用垂直同期信号の周期T1(図4(A))と同一である。
【0060】
図4(B)は、フリッカーを検出するときのカメラ1の動作例を示すシーケンス図である。
【0061】
フリッカーの検出では、撮像素子21は、3行目の画素51(3,1)~51(3,N)から順に、39k+3行目の画素51(39k+3,1)~51(39k+3,N)がそれぞれ備える光電変換部62に蓄積期間T4の間電荷を蓄積させ、蓄積させた電荷に応じた画素信号を第2垂直信号線52B(1)~52B(N)をそれぞれ介して信号処理部45に読み出す。信号処理部45で処理された、39k+3行目の画素51(39k+3,1)~51(39k+3,N)からの画素信号(39k+3,1)~(39k+3,N)の集合は、画素データとしてバッファメモリ47に出力される。バッファメモリ47に出力された画素データは、第2画像処理部22Bに出力される。
【0062】
ここで、例えば、フリッカーの検出を行うときの撮像素子21の動作について、図6のタイミングチャートを用いて説明する。図6において、ハイレベル(例えば電源電位)の制御信号が入力されるトランジスタはオン状態となり、ローレベル(例えば接地電位)の制御信号が入力されるトランジスタはオフ状態となる。
【0063】
時刻t31において、信号Rst_3がハイレベルになると、第3行目の画素51(3,1)~51(3,N)のリセット部64のトランジスタM2がオンになる。これにより、フローティングディフュージョン65の電荷がリセットされ、フローティングディフュージョン65の電位がリセット電位になる。
【0064】
さらに、リセット部64のトランジスタM2をオンの状態に保って、時刻t32から時刻t33まで信号Tx_3をハイレベルにして転送部63のトランジスタM1をオンにする。これにより、光電変換部62に蓄積されていた電荷が破棄される。
【0065】
時刻t34において信号Rst_3がローレベルになることで、第3行目の画素51(3,1)~51(3,N)のリセット部64のトランジスタM2がオフになる。時刻t35に、信号Sel_B_3をハイレベルにすることで、第2選択スイッチ部68のトランジスタM5をオンにする。これにより、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が第2垂直信号線52B(1)~52B(N)に読み出される。
【0066】
時刻t33から予め定められた蓄積期間(T4)後の時刻t36において、信号Tx_3をハイレベルにすることにより、転送部63のトランジスタM1をオンにして、その後信号Tx_3をローレベルにしてトランジスタM1をオフにする。これにより、時刻t33から時刻t36までの間に光電変換部62に蓄積されていた電荷が、転送部63のトランジスタM1を介してフローティングディフュージョン65に転送された後、増幅部66のトランジスタM3のゲートに転送される。
【0067】
信号Sel_B_3がハイレベルであるため、画素51(3,1)~51(3,N)の各フローティングディフュージョン65から転送された電荷に応じた画素信号Sig(3,1)~Sig(3,N)が増幅部66のトランジスタM3で生成され、第2選択スイッチ部68のトランジスタM5を介して、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)に出力される。
【0068】
画素信号Sig(3,1)~Sig(3,N)は、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)を介して信号処理部45に入力され、信号処理部45によって処理された後、メモリ461b1~461bNに格納される。メモリ461b1~461bNに格納された画素信号の集合は、画素データとしてバッファメモリ47に一時記憶された後、第2画像処理部22Bに出力される。
【0069】
時刻t41において、信号Rst_42がハイレベルになると、第42行目の画素51(42,1)~51(42,N)のリセット部64のトランジスタM2がオンになる。これにより、フローティングディフュージョン65の電荷がリセットされ、フローティングディフュージョン65の電位がリセット電位になる。
【0070】
さらに、リセット部64のトランジスタM2をオンの状態に保って、時刻t42から時刻t43まで信号Tx_42をハイレベルにして転送部63のトランジスタM1をオンにする。これにより、光電変換部62に蓄積されていた電荷が破棄される。
【0071】
時刻t44において信号Rst_42がローレベルになることで、第42行目の画素51(42,1)~51(42,N)のリセット部64のトランジスタM2がオフになる。時刻t45に、信号Sel_B_42をハイレベルにすることで、第2選択スイッチ部68のトランジスタM5をオンにする。これにより、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が第2垂直信号線52B(1)~52B(N)に読み出される。
【0072】
時刻t43から予め定められた蓄積期間(T4)後の時刻t46において、信号Tx_42をハイレベルにすることにより、転送部63のトランジスタM1をオンにして、その後オフにする。これにより、時刻t43から時刻t46までの間に光電変換部62に蓄積されていた電荷が、転送部63のトランジスタM1を介してフローティングディフュージョン65に転送された後、増幅部66のトランジスタM3のゲートに転送される。
【0073】
信号Sel_B_42がハイレベルであるため、画素51(42,1)~51(42,N)の各フローティングディフュージョン65から転送された電荷に応じた画素信号Sig(42,1)~Sig(42,N)が増幅部66のトランジスタM3で生成され、第2選択スイッチ部68のトランジスタM5を介して、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)に出力される。
【0074】
画素信号Sig(42,1)~Sig(42,N)は、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)を介して信号処理部45に入力され、信号処理部45によって処理された後、メモリ461b1~461bNに格納される。メモリ461b1~461bNに格納された画素信号の集合は、画素データとしてバッファメモリ47に一時記憶された後、第2画像処理部22Bに出力される。
【0075】
時刻t51において、信号Rst_39k+3がハイレベルになると、第39k+3行目の画素51(39k+3,1)~51(39k+3,N)のリセット部64のトランジスタM2がオンになる。これにより、フローティングディフュージョン65の電荷がリセットされ、フローティングディフュージョン65の電位がリセット電位になる。
【0076】
さらに、リセット部64のトランジスタM2をオンの状態に保って、時刻t522から時刻t53まで信号Tx_39k+3をハイレベルにして転送部63のトランジスタM1をオンにする。これにより、光電変換部62に蓄積されていた電荷が破棄される。
【0077】
時刻t54において信号Rst_39k+3がローレベルになることで、第39k+3行目の画素51(39k+3,1)~51(39k+3,N)のリセット部64のトランジスタM2がオフになる。時刻t55に、信号Sel_B_39k+3をハイレベルにすることで、第2選択スイッチ部68のトランジスタM5をオンにする。これにより、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)が第2垂直信号線52B(1)~52B(N)に読み出される。
【0078】
時刻t53から予め定められた蓄積期間(T4)後の時刻t56において、信号Tx_39k+3をハイレベルにすることにより、転送部63のトランジスタM1をオンにして、その後信号Tx_39k+3をローレベルにしてトランジスタM1をオフにする。これにより、時刻t53から時刻t56までの間に光電変換部62に蓄積されていた電荷が、転送部63のトランジスタM1を介してフローティングディフュージョン65に転送された後、増幅部66のトランジスタM3のゲートに転送される。
【0079】
信号Sel_B_39k+3がハイレベルであるため、転送部63のトランジスタM1により転送された電荷に応じた画素信号Sig(39k+3,1)~Sig(39k+3,N)が増幅部66のトランジスタM3で生成され、第2選択スイッチ部68のトランジスタM5を介して、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)に出力される。
【0080】
画素信号Sig(39k+3,1)~Sig(39k+3,N)は、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)を介して信号処理部45に入力され、信号処理部45によって処理された後、メモリ461b1~461bNに格納される。メモリ461b1~461bNに格納された画素信号の集合は、画素データとしてバッファメモリ47に一時的に記憶された後、第2画像処理部22Bに出力される。
【0081】
第2画像処理部22Bは、撮像素子21から第2画像処理部22Bに入力された画素データを使用してフリッカーを検出する。具体的には、フリッカー現象の原因となる光源の光量が増減する周期や、光量がピークとなるタイミングを検出する。
【0082】
図6において、信号Rst_3~Rst_39k+3の各々がローレベルになる時間間隔T3は、フリッカー用垂直同期信号の周期T3(図4(B))と同一である。
【0083】
本実施形態において、撮像素子21は、2つの垂直信号線52A(n)及び52B(n)を有し、2つの垂直信号線52A(n)及び52B(n)に対応してADC451a1~451aN及び451b1~451bN、CDS452a1~452aN及び452b1~452bN、メモリ461a1~461aN及び461b1~461bNをそれぞれ有するため、図4(A)の処理と、図4(B)の処理とを、非同期で実行することができる。すなわち、図4(A)の処理と、図4(B)の処理とを並行して同時に実行することができる。
【0084】
次に、本実施形態に係る撮像素子21を備えるカメラ1において、静止画像の撮像が指示されたとき(レリーズボタンが全押しされたとき)の動作について、図7のシーケンス図を用いて説明する。
【0085】
上述したように、本実施形態に係るカメラ1では、第1画像処理部22Aが、ライブビュー画像データを生成する処理を実行し、第2画像処理部22Bがフリッカーを検出する処理と、静止画像データを生成する処理と、を実行する。本実施形態において、第2画像処理部22Bは、レリーズボタンが全押しされるまで、所定の周期(時間間隔)でフリッカーの検出を実行する。
【0086】
図7に示すように、第1画像処理部22Aによるライブビュー画像を表示部24に表示するための処理と、第2画像処理部22Bによるフリッカーのピークを検出(ピーク検出)するための処理とは、並行して(非同期に)実行される。
【0087】
ここで、例えば、ライブビュー画像LV7用の露光期間中にレリーズボタンが全押しされたとする。この場合、第2画像処理部22Bは繰り返しピーク検出処理を実行しているため、ボディ制御部23は、直前のピーク検出結果に基づいて、静止画像を生成するための露光を開始するタイミングを調整する。具体的には、光源の光量がピークになる時刻付近に、1行目の画素51(1,1)~51(1,N)及び2行目の画素51(2,1)~51(2,N)の露光が開始されるように、露光開始タイミングを調整する。
【0088】
撮像素子21は、調整されたタイミングで、1行目の画素51(1,1)~51(1,N)及び2行目の画素51(2,1)~51(2,N)の露光を開始する。撮像素子21は、1行目の画素51(1,1)~51(1,N)の画素信号Sig(1,1)~Sig(1,N)を第1垂直信号線52A(1)~52A(N)を介して信号処理部45(ADC451a1~451aN及びCDS452a1~452aN)に出力し、2行目の画素51(2,1)~51(2,N)の画素信号Sig(2,1)~Sig(2,N)を第2垂直信号線52B(1)~52B(N)を介して信号処理部45(ADC451b1~451bN及びCDS452b1~452bN)に出力する。
【0089】
信号処理部45によって処理された画素51(1,1)~51(1,N)の画素信号Sig(1,1)~Sig(1,N)は、メモリ461a1~461aNに格納され、画素51(2,1)~51(2,N)の画素信号Sig(2,1)~Sig(2,N)は、メモリ461b1~461bNに格納される。メモリ461a1~461aNに格納された画素信号と、メモリ461b1~461bNに格納された画素信号とは、バッファメモリ47に出力される。
【0090】
このとき、バッファメモリ47には、1行目及び2行目の画素51から出力された画素信号を含む画素データが格納される。1行目及び2行目の画素の露光が終了すると、3行目及び4行目の画素の露光が開始される。
【0091】
このようにして、2行の画素の画素信号がメモリ部46に格納され、2行の画素信号を含む画素データがバッファメモリ47に蓄積されていく。
【0092】
バッファメモリ47に蓄積された画素データは、第2画像処理部22Bに出力され、第2画像処理部22Bが種々の画像処理を実行し、静止画像データを作成する。その後、ボディ制御部23の制御の下、作成された静止画像データが記録部26によって記憶媒体に格納される。
【0093】
このように、本実施形態に係る撮像素子21では、各画素51に対して2本の垂直信号線52A及び52Bが設けられていることから、静止画像データの生成に必要な画素データを2行ずつ作成することができるので、静止画像を生成するための露光を開始してから静止画像データの記録処理を開始するまでの時間を短縮できる。
【0094】
また、本実施形態に係るカメラ1では、レリーズボタンが全押しされてから、フリッカー画像データを作成するための露光を開始するのではなく、フリッカーのピーク検出が所定の時間間隔で実行されている。そのため、直前のピーク検出の結果を用いて静止画像を生成するための露光を開始するタイミングを決定することができる。したがって、レリーズボタンが全押しされてから(撮像指示を受け付けてから)フリッカー画像データを作成するための露光を開始してフリッカーを検出する場合と比較して、レリーズボタンが全押しされてから静止画像を生成するための露光を開始するまでの時間を短くすることができる。
【0095】
また、静止画像を生成するための露光を開始するまでの時間を短くすることができるため、ライブビュー画像(LV7)を生成するための露光が終了してから次のライブビュー画像(LV8)を生成するための露光が開始されるまでの時間を短くできる。これにより、ライブビュー画像LV7の表示を終了してから、次にライブビュー画像LV8を表示するまでの期間(ブラックアウト期間)を短くすることができる。
【0096】
(比較例)
図8は、比較例に係る撮像素子21´の概略構成を例示する図であり、図9は、比較例に係る画素51´の構成を示す回路図である。
【0097】
図8に示すように、撮像素子21´は、M行×N列のマトリクス状に配列された複数の画素51´を含む画素アレイ50´と、垂直駆動部42´と、駆動制御部43´と、水平駆動部44´と、信号処理部45´と、メモリ部46´と、を備える。
【0098】
比較例では、M行×N列の画素51´が配列されている。画素51´は、例えばベイヤー配列に従って、緑色画素Gb、Gr、青色画素Bおよび赤色画素Rの4画素のいずれかを割当られる。
【0099】
図9に示すように、画素51´(m,n)は、例えばフォトダイオード(PD)等の光電変換部62と、読出し部60´と、を有する。光電変換部62は、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する機能を有する。読出し部60´は、転送部63と、排出部64と、フローティングディフュージョン(FD)65と、増幅部66と、選択スイッチ部69と、を有する。
【0100】
転送部63は、信号Tx_mにより制御され、光電変換部62で光電変換された電荷をフローティングディフュージョン65に転送する。すなわち、転送部63は、光電変換部62およびフローティングディフュージョン65の間に電荷転送路を形成する。フローティングディフュージョン65は電荷を保持(蓄積)する。増幅部66は、フローティングディフュージョン65に保持された電荷による信号を増幅して出力する。増幅部66は、選択スイッチ部69を介して垂直信号線52(n)に接続される。
【0101】
排出部(リセット部)64は、信号Rst_mにより制御され、フローティングディフュージョン65の電荷を排出し、フローティングディフュージョン65の電位をリセット電位(基準電位)にリセットする。選択スイッチ部69は、信号Sel_mにより制御され、増幅部66からの信号を垂直信号線52(n)に出力する。転送部63、排出部64、増幅部66、及び選択スイッチ部69は、例えば、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM6によりそれぞれ構成される。
【0102】
読出し部60´は、排出部64によってフローティングディフュージョン65の電位をリセット電位にリセットしたときの信号(ノイズ信号)を、選択スイッチ部69を介して垂直信号線52(n)(nは1からNの整数)に読み出す。また、読出し部60´は、転送部63により光電変換部62からフローティングディフュージョン65に転送された電荷に応じた信号(光電変換信号)を、選択スイッチ部69を介して垂直信号線52(n)に読み出す。
【0103】
図8に戻り、駆動制御部43´は、外部から入力されるマスタークロックおよびボディ制御部23から入力される制御信号に基づいて、垂直駆動部42´、信号処理部45´、メモリ部46´、及び水平駆動部44´などの動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成し、垂直駆動部42´、信号処理部45´、メモリ部46´、及び水平駆動部44´などに対して与える。
【0104】
垂直駆動部42´は、信号Rst_m、信号Tx_m、及び信号Sel_mなどの制御信号を、m行目のN個の画素51´(m,1)~(m,N)に供給し、各画素51´(m,1)~(m,N)の動作を制御する。
【0105】
信号処理部45´は、アナログ/デジタル変換部(ADC)451(1)~451(N)と、相関二重サンプリング部(CDS)452(1)~452(N)と、を含む。ADC451(1)~451(N)は、垂直信号線52(n)を介して入力されるノイズ信号及び光電変換信号をデジタル信号へ変換し、CDS452(1)~452(N)にそれぞれ出力する。
【0106】
CDS452(1)~CDS452(N)は、入力されたデジタル信号に対して相関二重サンプリングを行い、画素信号からノイズを除去し、ノイズを除去した画素信号をメモリ部46´に出力する。
【0107】
メモリ部46´は、メモリ461(1)~461(N)を含む。メモリ461(1)~461(N)は、CDS452(1)~452(N)から出力された画素信号をそれぞれ記憶する。
【0108】
水平駆動部44´は、駆動制御部´43からの走査信号に応じて、メモリ461(1)~461(N)に記憶された画素信号をバッファメモリ47´に出力する。バッファメモリ47´に一時的に格納された画素信号は、第1画像処理部22A´又は第2画像処理部22B´のいずれか一方に出力される。比較例では、第1画像処理部22A´は、画素データに対して種々の画像処理を実行し、ライブビュー画像データを生成する処理と、画素データからフリッカー画像データを生成し、フリッカーを検出する処理と、を実行する。第2画像処理部22B´は、撮像素子21´から出力され、バッファメモリ47´に一時的に格納された画素データに対して種々の画像処理を実行して静止画像データを作成する。
【0109】
図10は、比較例に係る撮像素子21´を備えるカメラの動作の一例を説明するシーケンス図である。なお、比較例1に係るカメラでは、レリーズボタンが全押しされると、フリッカー検出を実行する設定がなされているものとする。
【0110】
図10に示すように、例えば、カメラの電源をONすると、上述した3j+1行目の画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)の光電変換部62から出力された画素信号に基づいて生成されたライブビュー画像が表示部24に表示される(LV1~LV4)。ここで、例えば、ライブビュー画像LV4を生成するための露光期間(蓄積期間)中に、レリーズボタンが全押しされたとする。
【0111】
この場合、フリッカー用垂直同期信号に合わせて、所定のタイミングで、フリッカー検出に用いられる39k+3行目の画素51´(39k+1,1)~51´(39k+1,N)の光電変換部62への電荷の蓄積、第1画像処理部22A´への画素データの出力が複数回行われた後、第1画像処理部22A´はピークを検出する。そして、ボディ制御部23は、光源の光量がピークとなる時刻付近に、静止画像を作成するための露光が開始されるよう、露光開始タイミングを調整する。撮像素子21´は、調整されたタイミングで、1行目の画素から順次露光処理を開始し、画素データをバッファメモリ47´に出力する。第2画像処理部22B´は、バッファメモリ47´に格納された画素データに対して種々の画像処理を実行して静止画像データを生成する。生成された静止画像データは、ボディ制御部23による制御の下、記録部26によって記憶媒体に格納される。
【0112】
静止画像を作成するための露光処理が終了すると、ライブビュー用垂直同期信号に合わせて、ライブビュー画像LV5を生成するための露光処理が再開される。
【0113】
このとき、比較例では、ライブビュー画像LV4の表示が終了してから、フリッカーのピーク検出、静止画像用の露光処理が終了してから、ライブビュー画像LV5を生成するための露光が開始される。そのため、ライブビュー画像LV4の表示が終了してから、次のライブビュー画像LV5の表示が開始されるまでの期間(ブラックアウト期間)が、本実施形態に係るカメラ1でのブラックアウト期間(図7参照)より長くなる。
【0114】
本実施形態では、上述したように、レリーズボタンが全押しされてからフリッカーを検出するための露光を開始する場合と比較して、静止画像を作成するための露光を開始するまでの時間を短くすることができるので、ライブビュー画像LV7の表示を終了してから、ライブビュー画像LV8の表示を開始するまでの時間を短くすることができ、比較例よりもブラックアウト期間が短くなっている。
【0115】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、撮像素子21は、画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)と、画素51(39k+1,1)~51(39k+1,N)と、を備える。画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)と、画素51(39k+3,1)~51(39k+3,N)と、は列方向に設けられる。画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)の光電変換部62(第1光電変換部)と、画素51(39k+3,1)~画素51(39k+3,N)の光電変換部62(第2光電変換部)とは、撮像光学系31を透過した光を光電変換して電荷を生成する。また、撮像素子21は、画素51(3j+1,1)~51(3j+1,N)の光電変換部62で生成された電荷に基づくライブビュー画像の生成に用いる画素信号が出力される第1垂直信号線52A(1)~52A(N)と、画素51(39k+3,1)~画素51(39k+3,N)の光電変換部62で生成された電荷に基づいて、フリッカー(撮影状態)の検出に用いる画素信号が出力される第2垂直信号線52B(1)~52B(N)と、を備える。さらに、撮像素子21は、画素51(3j+1,1)~画素51(3j+1,N)の光電変換部62で生成された電荷に基づく画素信号に基づく画素データを第1画像処理部22Aに出力し、画素51(39k+3,1)~画素51(39k+3,N)の光電変換部62で生成された電荷に基づく画素信号に基づく画素データを第2画像処理部22B(バッファメモリ47)に出力する水平駆動部44(第1出力部、第2出力部)を備える。
【0116】
これにより、画素51(3j+1,1)~画素51(3j+1,N)からの画素信号に基づく画素データの第1画像処理部22Aへの出力と、画素51(39k+3,1)~画素51(39k+3,N)からの画素信号に基づく画素データの第2画像処理部22Bへの出力とを非同期に(並行して)実行できるので、第2画像処理部22Bがフリッカーを検出している間も、ライブビュー画像の表示を継続させることができる。
【0117】
また、本実施形態において、静止画像の生成が指示された場合、第1垂直信号線52A(1)~52A(N)にはx行目(xは1からMのうちの奇数)の画素51(x,1)~画素51(x,N)の光電変換部62で生成された電荷に基づく画素信号(第3信号)が出力され、第2垂直信号線52B(1)~52B(N)には、x+1行目の画素51(x+1,1)~画素51(x+1,N)で生成された電荷に基づく画素信号(第4信号)が出力される。これにより、画素信号を2行ずつ読み出すことができるので、静止画像データを作成する時間を短縮することができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、カメラ1は、撮像素子21と、表示部24と、画素51(3j+1,1)~画素51(3j+1,N)からの画素信号に基づく画素データに基づいて、表示部24に表示されるライブビュー画像を生成する第1画像処理部22Aと、画素51(39k+3,1)~画素51(39k+3,N)からの画素信号に基づく画素データに基づいてフリッカーを検出する第2画像処理部22Bと、を備える。これにより、第2画像処理部22Bがフリッカーを検出している間も、第1画像処理部22Aがライブビュー画像を生成できるため、ライブビュー画像の表示を継続させることができる。
【0119】
また、本実施形態において、カメラ1は、操作部25を備え、操作部25を介して静止画像の撮像指示を受け付けると、第2画像処理部22Bは、x行目(xは1からN/2までの奇数)の画素51(x,1)~51(x,N)からの画素信号(第3信号)と、x+1行目の画素51(x+1,1)~51(x+1,N)からの画素信号(第4信号)と、に基づく画素データに基づいて静止画像を生成する。これにより、各画素データには2行の画素信号が含まれるので、静止画像データを作成する時間を短縮することができる。
【0120】
なお、上記実施形態では、静止画像データを作成する場合に、2行ずつ画素データを作成していたが、1行ずつ画素データを作成するようにしてもよい。この場合、第1垂直信号線52Aまたは第2垂直信号線52Bのいずれか一方を用いて、信号処理部45に画素信号を出力すればよい。
【0121】
また、上記実施形態において、レリーズボタンが全押しされるまで、第2画像処理部22Bはフリッカーの検出を行っていたが、これに限られるものではない。例えば、第2画像処理部22Bは、焦点検出に用いられる画素51からの画素信号に基づく画素データに基づいて、焦点検出処理を実行してもよい。
【0122】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 カメラ
2 カメラボディ
3 交換レンズ
21 撮像素子
22A 第1画像処理部
22B 第2画像処理部
25 操作部
31 撮像光学系
44 水平駆動部
51 画素
52A 第1垂直信号線
52B 第2垂直信号線
62 光電変換部
図1
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