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特開2025-141595水分検知装置、水分検知システム、及び水分検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141595
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】水分検知装置、水分検知システム、及び水分検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/16 20060101AFI20250919BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G01M3/16 Z
G01N27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041607
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 史修
(72)【発明者】
【氏名】花崎 充
【テーマコード(参考)】
2G060
2G067
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF13
2G060AG03
2G060AG15
2G060FA05
2G060HD01
2G060HD02
2G060JA06
2G060KA05
2G067BB11
2G067CC02
2G067DD27
(57)【要約】
【課題】自己発電が可能で、汎用性の高い水分検知装置、水分検知システム、及び水分検知方法を提供する。
【解決手段】水分検知装置は、アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードに接する検知部と、を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部と、前記アノード及び前記カソードと電気的に接続され、前記発電部の起電力により、信号を外部装置に送信する送信部と、を備える
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードに接する検知部と、を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部と、
前記アノード及び前記カソードと電気的に接続され、前記発電部の起電力により、信号を外部装置に送信する送信部と、
を備えた、水分検知装置。
【請求項2】
前記検知部は、燃料物質を含み、前記アノードは、前記検知部に含まれる前記燃料物質の酸化を促進する物質を含み、前記カソードは、酸素の還元反応を促進する物質を含み、 前記アノードでの酸化反応によって生じた陽イオンが前記検知部に浸透した水を媒体として前記カソードに送られる、請求項1に記載の水分検知装置。
【請求項3】
前記発電部は、可撓性を有する基材上に形成されている、請求項1に記載の水分検知装置。
【請求項4】
通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報が記憶された記憶部をさらに備え、
前記送信部から送信される信号には前記識別情報を含む、請求項1に記載の水分検知装置。
【請求項5】
前記発電部を有するカートリッジと、前記送信部を有する中継部とを備え、前記カートリッジ及び前記中継部は、分離可能かつ通信可能に接続されている請求項1に記載の水分検知装置。
【請求項6】
アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードに接する検知部と、を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部と、
前記アノード及び前記カソードと電気的に接続され、前記発電部の起電力により、ユーザーに前記検知部に水を含む液体が浸透したことを通知する通知部と、
を備えた、水分検知装置。
【請求項7】
請求項1に記載の水分検知装置と、
前記水分検知装置と通信可能に接続され、前記送信部から送信された前記信号に基づいて、前記検知部に水を含む液体が浸透したことをユーザーに通知する通知部を備えるユーザー端末と、
を備えた水分検知システム。
【請求項8】
複数の前記水分検知装置を備え、
各々の前記水分検知装置は、通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報が記憶された記憶部を備え、
前記送信部から送信される信号には前記識別情報を含み、
前記ユーザー端末は、前記識別情報に基づいて、複数の前記水分検知装置のうち、いずれの前記水分検知装置の前記検知部に水を含む液体が浸透したかをユーザーに通知する、 請求項7に記載の水分検知システム。
【請求項9】
ホストコンピュータをさらに備え、
各々の前記水分検知装置と前記ホストコンピュータとの間は通信可能に接続されており、
前記ホストコンピュータと前記ユーザー端末との間は通信可能に接続されており、
前記ホストコンピュータは、前記水分検知装置から信号を受信すると、該信号に含まれる識別情報に基づいて、前記信号を送信した前記水分検知装置を特定する特定情報を生成する判定部を備え、
前記ホストコンピュータは、前記特定情報を含む信号を前記ユーザー端末に送信する、請求項8に記載の水分検知システム。
【請求項10】
各々の前記水分検知装置は、前記発電部を有するカートリッジと、前記送信部及び前記記憶部を有する中継部とを備え、前記カートリッジ及び前記中継部は、分離可能かつ通信可能に接続されている請求項8に記載の水分検知システム。
【請求項11】
アノード、カソード、及び検知部を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部の起電力を用いて信号を送信する送信工程と、前記送信工程において送信された信号に基づいて、前記検知部に前記水を含む液体が浸透したことを、ユーザーに対して、通知部に通知させる通知工程と、を有することを特徴とする水分検知方法。













【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水分検知装置、水分検知システム、及び水分検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の漏水による損害を最小限に抑えるために、様々な漏水検知装置がある。漏水検知装置として、例えば、外部からの電源が不要な、自己発電が可能な漏水検知装置が知られている。自己発電が可能な漏水検知装置としては、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0003】
特許文献1には、地下施設の漏水を受けて発電する自己発電型漏水検知センサと、自己発電型漏水検知センサからの発電電圧を電源として検知データを送信する無線送信装置と、無線送信装置からの送信データを受ける無線受信装置付きの報知装置とを具備する自己発電型漏水検知センサを用いた検知データ伝達・集約システムが記載されている。自己発電型漏水検知センサは、漏水を受ける容器を備え、この容器の内部には、イオン化傾向の異なる一対の電極が対向して配置されている。そこで、容器が漏水を受けると、その漏水が電解液として振る舞い、一対の電極のイオン化傾向の差によって電池としての機能を得ることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、開口部を有する防水性の被覆部と、被覆部内に配置され、開口部からの漏水を導水する導水部と、被覆部内に配置され、導水部からの漏水に反応して発電する発電部と、発電部からの電力供給に基づいて動作する出力部とを備える漏水検知装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、毛細管現象により液体を吸い上げる液体吸上部と、液体吸上部の内面に対向して設けられ、前記液体により発電を行う発電部材と、発電部材の発電した電力により起動して漏水の検知を示す通知を、LPWA(Low Power Wide Area)の通信方式により送信する送信モジュールとを備える漏水検知センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-167551号公報
【特許文献2】特開2021-85819号公報
【特許文献3】特開2023-12588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
建築物だけではなく、大小さまざまな物品に関しても漏水等の濡れによる被害は深刻になることがある。また、物品は移動させて用いることもあり、このような物品にも外部からの電源が不要な水分検知装置は有用であると考えられる。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の自己発電型漏水検知センサでは、漏水を受ける容器に一定量以上の水が必要である。また、特許文献1に記載の自己発電型漏水検知センサでは、容器を設置でするためにはある程度の深さが必要であるだけでなく、容器を傾けるような使い方は難しく、絨毯のような厚みの小さな物品、柔軟性のある物品、あるいは様々な姿勢を取りうる物品等への適用は難しい。
【0009】
特許文献2に記載の構成においても、導水部のために、同様に、厚みの小さな物品、柔軟性のある物品、あるいは様々な姿勢を取りうる物品等への適用は難しい。
【0010】
特許文献3に記載の構成では、液体吸上部が毛細管現象を利用していることから、液体吸上部と設置対象の間に空隙を設ける必要がある。また、液体吸上部は液体が通るための薄い間隙または細い管が設けられているが、液体吸上部が変形してしまうと、間隙が閉じて液体が通れなくなる、あるいは間隙が大きくなりすぎて毛細管現象を利用できなくなるといった問題があり、物品、特に変形する物品などへの適用は難しい。
【0011】
そこで、本発明は、自己発電が可能で、汎用性の高い水分検知装置、水分検知システム、及び水分検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示では、以下の態様が含まれる。
<1> アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードに接する検知部と、を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部と、
前記アノード及び前記カソードと電気的に接続され、前記発電部の起電力により、信号を外部装置に送信する送信部と、
を備えた、水分検知装置。
<2> 前記検知部は、燃料物質を含み、前記アノードは、前記検知部に含まれる前記燃料物質の酸化を促進する物質を含み、前記カソードは、酸素の還元反応を促進する物質を含み、 前記アノードでの酸化反応によって生じた陽イオンが前記検知部に浸透した水を媒体として前記カソードに送られる、<1>に記載の水分検知装置。
<3> 前記発電部は、可撓性を有する基材上に形成されている、<1>または<2>のに記載の水分検知装置。
<4> 通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報が記憶された記憶部をさらに備え、
前記送信部から送信される信号には前記識別情報を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の水分検知装置。
<5> 前記発電部を有するカートリッジと、前記送信部を有する中継部とを備え、前記カートリッジ及び前記中継部は、分離可能かつ通信可能に接続されている<1>~<4>のいずれか1つに記載の水分検知装置。
<6> アノードと、カソードと、前記アノード及び前記カソードに接する検知部と、を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部と、
前記アノード及び前記カソードと電気的に接続され、前記発電部の起電力により、ユーザーに前記検知部に水を含む液体が浸透したことを通知する通知部と、
を備えた、水分検知装置。
<7> <1>に記載の水分検知装置と、
前記水分検知装置と通信可能に接続され、前記送信部から送信された前記信号に基づいて、前記検知部に水を含む液体が浸透したことをユーザーに通知する通知部を備えるユーザー端末と、
を備えた水分検知システム。
<8> 複数の前記水分検知装置を備え、
各々の前記水分検知装置は、通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報が記憶された記憶部を備え、
前記送信部から送信される信号には前記識別情報を含み、
前記ユーザー端末は、前記識別情報に基づいて、複数の前記水分検知装置のうち、いずれの前記水分検知装置の前記検知部に水を含む液体が浸透したかをユーザーに通知する、 <7>に記載の水分検知システム。
<9> ホストコンピュータをさらに備え、
各々の前記水分検知装置と前記ホストコンピュータとの間は通信可能に接続されており、
前記ホストコンピュータと前記ユーザー端末との間は通信可能に接続されており、
前記ホストコンピュータは、前記水分検知装置から信号を受信すると、該信号に含まれる識別情報に基づいて、前記信号を送信した前記水分検知装置を特定する特定情報を生成する判定部を備え、
前記ホストコンピュータは、前記特定情報を含む信号を前記ユーザー端末に送信する、<8>に記載の水分検知システム。
<10> 各々の前記水分検知装置は、前記発電部を有するカートリッジと、前記送信部及び前記記憶部を有する中継部とを備え、前記カートリッジ及び前記中継部は、分離可能かつ通信可能に接続されている<8>または<9>に記載の水分検知システム。
<11> アノード、カソード、及び検知部を有し、水を含む液体が前記検知部に浸透することにより発電する発電部の起電力を用いて信号を送信する送信工程と、前記送信工程において送信された信号に基づいて、前記検知部に前記水を含む液体が浸透したことを、ユーザーに対して、通知部に通知させる通知工程と、を有することを特徴とする水分検知方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自己発電が可能で、様々な物品への適用が可能な水分検知装置、水分検知システム、及び水分検知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の一例にかかる水分検知装置及び水分検知システムの構成を模式的に示した図である。
図2】水分検知装置に備えられる発電部のより詳細な構成の一例を示す図である。
図3】第1実施形態の変形例1にかかる水分検知装置及び水分検知システムの構成を模式的に示した図である。
図4】第1実施形態の変形例2にかかる水分検知装置の構成を模式的に示した図である。
図5】第1実施形態の変形例3にかかる水分検知装置及び水分検知システムの構成を模式的に示した図である。
図6】第2実施形態の一例にかかる水分検知システムの構成を模式的に示した図である。
図7】第2実施形態の変形例1にかかる水分検知システムの構成を模式的に示した図である。
図8】第2実施形態の変形例2にかかる水分検知システムの構成を模式的に示した図である。
図9】第1、第2実施形態の水分検知システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について説明する。ただし、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素は、特に明示した場合を除き、必須ではない。
【0016】
本開示において図面を参照して実施形態を説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における構成要素の大きさは概念的なものである。したがって、各構成要素における前後、左右、上下の寸法比、各構成要素同士の前後、左右、上下の寸法比は、図示された寸法比に限定されない。
【0017】
また、明細書中に特段の断りが無い限り、本開示の各構成要素の個数は、1つに限定されず、複数存在してもよい。なお、以下の図面の記載において、同様の部分には、同様の符号を付している。
【0018】
以下の説明において「水を含む液体が浸透する」とは、以下に述べる発電部が、送信部を駆動させるために十分な程度に、検知部が濡れる、または/及び、水を含む液体を含有する、ことを意味する。
【0019】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態の一例にかかる水分検知装置、及び水分検知システムを模式的に示した図である。なお、ここで示す構成は、一例に過ぎず、本発明の目的が達成できる範囲において適宜変更可能である。
【0020】
水分検知システム1は、水分検知装置10と、水分検知装置10と通信可能に接続されたユーザー端末20とを備える。
【0021】
〔1-1.水分検知装置〕
水分検知装置10は、基材100と、発電部110と、送信部120を備える。水分検知装置10は、これらの構成に加えて、例えば、発電部110と、送信部120との間に、アンプ、A/Dコンバータ、電源IC等を備えてもよい。
【0022】
基材100はシート状であり、その主表面上に電気回路(配線112、114を含む)を含む水分検知装置10の各構成が形成される。特に限定されないが、柔軟な物品、及び変形可能な物品に水分検知装置10を適用する場合は、基材100は可撓性を有することが好ましい。また、基材100に、後述するアノード101、カソード102、検知部103が積層された状態の発電部110についても、可撓性を有することが好ましい。基材100、発電部110を物品の変形に追従させやすくするためである。基材100は、例えば、紙、織布、不織布、樹脂フィルム、多孔質材料、樹脂基板、ガラスエポキシ基板等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
基材100上に形成される電気回路は、水分検知装置に水を含む液体が付着した場合であっても、後述するアノード101とカソード102との間での短絡を防ぐための構成を有することが好ましい。電気回路の短絡を防ぐための具体的な構成としては、必要な個所にレジスト等の絶縁物質が塗布されている構成、及び必要な個所が保護フィルム等でおおわれている構成等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
発電部110は、アノード101と、カソード102と、検知部103とを備える。発電部110は、水を含む液体が検知部103に浸透することにより発電する。発電部110の構成の一例については、図2を参照しながら説明するが、この構成に限定されない。
【0025】
送信部120は、アノード101及びカソード102と電気的に接続されている。送信部120は、発電部110の起電力により、信号を外部装置に送信する。送信部120は、送信器を備える。送信器としては、例えば、チップアンテナでもよく、基材上に形成されたパターンであってもよい。外部装置の一つの例が後述するユーザー端末20であるが、送信部120は、その他の装置に信号を送信してもよい。送信部120からユーザー端末20への信号の送信は、例えば、電線等を介した電気信号によって行ってもよく、電波、光等の電磁波によって行ってもよい。
【0026】
なお、送信部120は、発電部110からの出力を、送信器を動作させるために適した入力に変換する変換手段を備えてもよい。変換手段としては、昇圧回路、高圧回路、アナログ-デジタル変換回路、弛張回路、及びこれらの回路を組み合わせた回路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
なお、特に限定されないが、一例として、基材100は10μm~500μm程度の厚み、検知部103は10μm~500μm程度の厚み、アノード101及びカソード102は10μm~300μm程度の厚みとすることができる。発電部110全体として、30μm~1000μm程度の厚みとすることができる。
【0028】
〔1-2.ユーザー端末〕
ユーザー端末20は、通知部21、入力部22、演算部23、記憶部24、及び受信部25を備える。ユーザー端末20の構成は、仕様によっては、これらの構成全てを備えなくてもよく、これらの構成以外の構成を備えてもよい。
【0029】
通知部21は、送信部120から送信された信号に基づいて、検知部103が濡れたことをユーザーに通知する。通知部21は、例えば、ディスプレイ等の表示装置を備えてもよく、発光装置を備えてもよく、ブザー、スピーカー等の装置を備えてもよく、これらのうち2種類以上の装置を備えてもよい。
【0030】
入力部22は、ユーザーインターフェースであってもよく、外部装置からの入力を受信する構成であってもよい。入力部22がユーザーインターフェースである場合、例えば、キーボード、タッチパネル等が挙げられる。入力部22がタッチパネルである場合等においては、通知部21と入力部22とが一体であってもよい。
【0031】
演算部23は、ユーザー端末に入力された情報を処理する。演算部23は、例えば、CPU(中央演算装置)、MPU(Micro Processing Unit)等が挙げられる。記憶部24は、プログラム、プログラムを実行する際に必要な情報等を記憶する。記憶部24は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等が挙げられる。
【0032】
受信部25は、水分検知装置10の送信部120から送られた信号を受信する。受信した信号は、例えば、インターフェース等を通じて演算部23に送られる。
【0033】
ユーザー端末20においては、例えば、記憶部24に記憶されたプログラムを演算部23が読み込むことで、水分検知装置10の送信部120からの信号を演算部23が処理し、生成した信号に基づいて、通知部21がユーザーに情報の通知を行う。通知部21が通知する情報は、例えば、水分検知装置10が水分を検知したこと等が挙げられるがこれに限られず、さらに水分量等を表示させてもよい。
【0034】
また、発電部110の起電力によって、送信部120から送信される信号の出力が変化する構成としてもよい。発電部110の起電力の大きさは、例えば、検知部103に浸透した液体の量、液体の組成、及び検知部103に液体が浸透した範囲のうち、少なくともいずれかに基づいて変化することが考えられる。その場合、ユーザー端末20は、送信部120から受信した信号(起電力の大きさに応じたもの)の出力に基づいて、検知部103に浸透した液体の量、液体の組成、及び検知部103に液体が浸透した範囲等を判断し、通知部21によってユーザーに必要な情報を通知することができる。判断は、演算部23により行われてもよく、比較回路等の判定部によって行われてもよい。
【0035】
なお、図示はされていないが、水分検知装置10は、発電部110からの出力を、送信器を動作させるために適した入力に変換する変換手段を発電部110と送信部120との間に備えてもよい。変換手段としては、昇圧回路、高圧回路、アナログ-デジタル変換回路、弛張回路、及びこれらの回路を組み合わせた回路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
〔1-3.発電部〕
(発電部の一例)
図2は、水分検知装置10に備えられる発電部のより詳細な構成の一例を示す図である。このような構成を持つ発電部110としては、例えば、酵素電池(バイオ燃料電池)が挙げられる。ここで説明する発電部110は、酵素電池としての構成を有するが、一例に過ぎず、検知部103が水分を含むことにより発電する構成であれば、これに限定されない。
【0037】
図1に示されるように、発電部110はアノード101及びカソード102を備えている。アノード101及びカソード102は、それぞれ、酵素電池(バイオ燃料電池)の電極を構成している。アノード101及びカソード102は、基材100上に形成されており、一例として、平面視で長尺帯状とされ、複数のアノード101とカソード102は、長尺方向が隣り合うように、長尺方向と略直交する方向に交互に離隔配置されている。複数のアノード101は、長尺方向の一端側が複数のカソード102よりも突出するように配置され、一端側の各々が配線112で接続されている。複数のカソード102は、長尺方向の他端側が複数のアノード101よりも突出するように配置され、他端側の各々が配線114で接続されている。
【0038】
なお、配線112の複数のアノード101を接続する配線部分については、アノード101自体で形成してもよい。また、配線114の複数のカソード102を接続する配線部分については、カソード102自体で形成してもよい。
【0039】
アノード101は、後述する検知部103に含まれる燃料物質の酸化を促進する物質を含む。アノード101は、例えば、検知部103に含まれる燃料物質の酸化を促進する酵素が含まれる。アノード101は、その他に導電性材料、バインダー等を含んでもよい。アノード101の形態は特に限定されないが、基材100上に形成された印刷パターン、基材100に接着されたフィルム等が挙げられる。アノード101は、例えば、図1のようなくし形のパターンが挙げられるがこれに限定されない。
【0040】
カソード102は、酸素の還元反応を促進する物質を含む。カソード102は、例えば、酸素の還元を促進する酵素が含まれる。カソード102は、その他に導電性材料、バインダー等を含んでもよい。カソード102の形態は特に限定されないが、基材100上に形成された印刷パターン、基材100に接着されたフィルム等が挙げられる。カソード102は、例えば、図1のようなくし形のパターンが挙げられるがこれに限定されない。
【0041】
検知部103は、アノード101及びカソード102に接する。検知部103は、アノード101及びカソード102に常時接しており、本実施形態では、検知部103がアノード101及びカソード102が配置された領域の全体を覆う層として形成されている。検知部103は、酵素電池(バイオ燃料電池)の燃料物質を含む。燃料物質は、アノード101に含まれる酵素によって酸化が促進される物質である。燃料物質としては、例えば、糖、アルコール、アルデヒド、アミノ酸、アミン、乳酸、尿酸等が挙げられる。燃料物質は、酵素によって加水分解されてから酸化されるもの(例えば、加水分解してグルコースとなるデンプン)であってもよい。燃料物質は、使用温度で固体である水溶性の物質であることが好ましい。取り扱いが容易であり、検知部103に水を含む液体が浸透した場合に、発電部110の発電効率が向上するためである。
【0042】
検知部103は、例えば、燃料物質を含む物質を塗布、印刷により形成したり(内部に水が浸透するもの)、燃料物質を含むフィルム(内部に水が浸透するもの)を被せたりするものであってもよい。いずれも、検知部103が燃料物質と共に水を含有でき、水を介してアノード101からカソード102へ陽イオンが移動可能となる構成である。検知部103は、外表面の全体から水(水を含んだ液体)の浸入が可能であってもよいし、一部が防水されていてもよい。
【0043】
ここで説明した発電部110の構成においては、検知部103が水を含むことで、アノード101での酸化反応によって生じた陽イオンが水を媒体としてカソード102に送られる。陽イオンは、例えば、水素イオンである。
【0044】
すなわち、発電部110では、検知部103が水分を含むことにより、アノード101は電子を外部の電気回路に送ることができ、カソード102は外部の電気回路から電子を受け取ることができ、発電部110が発電する。
【0045】
検知部103は、通常時は乾燥していることが好ましい。ただし、送信部120が信号を送信するための出力に満たない程度であれば、検知部103は、通常時であっても水分を含んでもよい。あるいは、水分検知装置10またはユーザー端末20で検知部103に水分が浸透したことを判定するための、出力の閾値等を設けている場合、閾値となる出力に満たない程度であれば、検知部103は、通常時であっても水分を含んでもよい。
【0046】
また、アノード101及びカソード102と各々接続される電気回路は、コンデンサやMOSFETなどを用いて、発電部110の起電力が送信部120の信号送信に必要な出力が確保されるまで電荷を蓄積し、送信部120の信号送信に必要な出力が確保された時に送信部120へ通電させてもよい。
【0047】
図1及び図2の例においては、検知部103は、アノード101及びカソード102を覆う層として形成されているが、これに限られない。検知部103は、例えば、基材100上に形成された燃料物質を含む印刷層であってもよく、基材100上に接着された燃料物質を含むフィルムであってもよく、基材100に、酵素が浸透した部分であってもよい。これらの構成の場合、アノード101及びカソード102は、検知部103上に形成されていてもよい。
【0048】
(発電部の別の一例)
上で述べた構成と同様に機能する発電部110の構成としては、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池等が挙げられる。これらの電池を発電部110として適用する場合、検知部103に含ませる燃料は、使用温度において固体である水溶性の物質であることが好ましい。
【0049】
〔1-4.本実施形態の動作〕
水分検知装置10を、水分検知が要求される所定の位置に設置する。水分検知装置10の検知部103に水(水を含んだ液体)が浸透すると、アノード101での燃料物質の酸化反応によって生じた陽イオンが、水を媒体としてカソード102に送られる。そして、アノード101から配線112を介して電子が送出され、カソード102は配線114を介して電子を受け取ることができ、発電部110において起電力が発生する。
【0050】
送信部120は、発電部110の起電力により、信号をユーザー端末20に送信する(図9のステップS12)。当該送信は、有線でも無線でもよい。また、ユーザー端末20への送信は、インターネットを介した送信とし、所定のサーバを経てもよい。
【0051】
ユーザー端末20の受信部25は、水分検知装置10の送信部120から送られた信号を受信する。受信した信号は、演算部23に送られる。演算部23は、信号に対して所定の処理を実行し、処理により生成した信号に基づいて、通知部21がユーザーに情報(水分検知の情報)の通知を行う(図9のステップS14)。
【0052】
〔1-5.本実施形態の効果〕
本実施形態にかかる水分検知装置は、アノード101と、カソード102と、アノード101及びカソード102に接する検知部103と、を有し、水を含む液体が検知部103に浸透することにより発電する発電部110と、アノード101及びカソード102と電気的に接続され、発電部110の起電力により、信号を外部装置に送信する送信部120と、を備える。
【0053】
この構成によれば、水を含む液体が検知部103に浸透すると、発電部110は自ら発電する。すなわち、本実施形態に係る水分検知装置10は、自己発電が可能である。また、発電部110は、水を含む液体が検知部103に浸透することで発電できるため、水分検知装置10は、水分の検知にあたって、水自体の貯留を行う必要がなく、設置姿勢の自由度が高い。
【0054】
さらに、発電部110は薄型化が可能で、かつ基材等は適宜選択可能である。そのため、例えば、薄い物品、あるいは物品の隙間等に水分検知装置10を設置する場合は、薄い基材上に発電部110を層状に形成させればよい。また、例えば、変形する物品に水分検知装置10を適用する場合は、可撓性を有する基材上に発電部110を形成させればよい。このように、本実施形態にかかる水分検知装置10は、様々な物品への適用が可能であり、汎用性の高い水分検知装置10とすることができる。
【0055】
これらの効果は、本実施形態にかかる水分検知装置10を備える水分検知システム1についても同様に得られる。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、自己発電が可能で、様々な物品への適用が可能な水分検知装置及び水分検知システムを提供することができる。
【0057】
なお、この記載は、本実施形態にかかる水分検知装置10の適用先を物品のみに限定することを意味せず、水分検知装置10は、例えば、建築物、構造物、自然物等、その他の用途にも適用可能である。
【0058】
<2.第1実施形態の変形例1>
図3は、第1実施形態の変形例1にかかる水分検知装置及び水分検知システムの構成を模式的に示した図である。本変形例においては、図1の構成との共通部分については、同様の参照符号を付し、説明を省略する。本変形例においては、水分検知装置10は、図1の構成に加えて、記憶部130を備える。
【0059】
記憶部130は、例えば、水分検知装置10と通信可能な装置に自身を識別させるための識別情報が記憶される。水分検知装置10から送信される信号は識別情報を含む構成とすることができる。この構成によれば、外部装置が水分検知装置10から信号を受信した際に、その信号が水分検知装置10から発せられたことを外部装置に識別させることができる。記憶部130としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリが挙げられるが、これらに限定されない。記憶部130は送信部120と接続されている。
【0060】
この構成にかかる水分検知装置10は、検知部103に水を含む液体が浸透することにより発電部110が発電し、送信部120が信号を送信する際に、記憶部130に記憶された識別情報等の情報をユーザー端末20に送信することができる(図9のステップS12)。このとき、記憶部130に記憶された識別情報等の情報をユーザー端末20に送信することができる。当該送信は、有線でも無線でもよい。また、ユーザー端末20への送信は、インターネットを介した送信とし、所定のサーバを経てもよい。
【0061】
ユーザー端末20の受信部25は、水分検知装置10の送信部120から送られた信号を受信する。受信した信号は、演算部23に送られる。演算部23は、信号に対して所定の処理を実行し、処理により生成した信号に基づいて、通知部21がユーザーに情報(水分検知の情報、及び、発信元の水分検知装置)の通知を行う(図9のステップS14)。
【0062】
ユーザー端末20においては、例えば、記憶部24が、水分検知装置10側の記憶部130に記憶された識別情報と、その識別情報に対応してユーザー端末20側で行うべき処理に関する情報とを紐づけるテーブル等が記憶されている。識別情報に対応してユーザー端末20側で行うべき処理としては、例えば、水分検知装置10から信号を受信したことを通知部21がユーザーに通知するための処理等が挙げられる。
【0063】
この構成によれば、ユーザー端末20が、水分検知装置10を含む複数の装置と接続されていても、ユーザー端末20は、水分検知装置10からの信号を受信した際に、信号の発信元を特定することができる。そして、水分検知装置10から信号を受信したことを、通知部21等を通してユーザーに通知すること等ができる。
【0064】
また、記憶部130には発電部110の起電力の閾値の情報が含まれていてもよい。この構成によれば、検知部103への液体の浸透状態に基づいて発電部110の起電力が変化する場合において、送信部120は、起電力が記憶部130に記憶された閾値に達した場合または閾値を超えた場合に信号を送信する構成とすることができる。検知部103への液体の浸透状態としては、例えば、検知部103に浸透した液体の量、液体の組成、及び検知部103に液体が浸透した範囲等が挙げられるが、これらに限られない。
【0065】
<3.第1実施形態の変形例2>
図4は、第1実施形態の変形例2にかかる水分検知装置の構成を模式的に示した図である。本変形例においては、図1または図3の構成との共通部分については、同様の参照符号を付し、説明を省略する。本変形例においては、水分検知装置10は、図1の送信部120に代えて、通知部140を備える。
【0066】
通知部140は、アノード101及びカソード102と電気的に接続され、発電部110の起電力により、ユーザーに検知部103に水を含む液体が浸透したことを通知する。通知部21は、例えば、ディスプレイ等の表示装置を備えてもよく、発光装置を備えてもよく、ブザー、スピーカー等の装置を備えてもよく、2種類以上の装置を備えてもよい。
【0067】
この構成によれば、より簡単な構成で、検知部103に水を含む液体が浸透したことをユーザーに通知することができる。
【0068】
なお、本変形例の構成は、図1等における送信部120を有しておらず、水分検知装置10においてユーザーへの通知が実行される。但し、本変形例の構成は、図1等における送信部120の構成を排除せず、通知部140と送信部120とを両方備えてもよい。その場合、通知部140及び送信部120は、直列的に接続されていてもよく、並列的に接続されていてもよい。
【0069】
<4.第1実施形態の変形例3>
図5は、第1実施形態の変形例3にかかる水分検知装置の構成を模式的に示した図である。本変形例においては、図3の構成との共通部分については説明を省略する。本変形例においては、水分検知装置10は、発電部110及び接続部151を有するカートリッジ11と、送信部120、記憶部130、及び接続部152を有する中継部12とを備える。カートリッジ11及び中継部12は、分離している、または分離可能かつ通信可能に接続されている。中継部12は、送信部120等の装置を駆動するための電源を備えてもよい。
【0070】
接続部151及び152は、例えば、電気接点を備える互いに嵌合可能な一対のコネクタである。より具体的には、コネクタは、専用の形状を有していてもよく、USB等の汎用の規格に基づく形態であってもよい。
【0071】
接続部151及び152は、例えば、ケーブル等を介して接続されてもよい。接続部151及び接続部152は、互いに、電波、光等の電磁波によって通信可能な、送信機と受信機であってもよい。
【0072】
この構成によれば、カートリッジ11は、交換可能であり、カートリッジ11を使い捨ての構成とすることができる。発電部110として上記のような酵素電池等の装置とすることにより、カートリッジ11を構成する材料中に占める生分解性材料の割合を高めることができ、カートリッジ11を使い捨ての構成とした場合であっても、環境への負荷を抑えることができる。
【0073】
<5.第2実施形態>
〔5-1.水分検知システムの構成〕
図6は、第2実施形態の一例にかかる水分検知システムの構成を模式的に示した図である。水分検知システム6は、ユーザー端末20と、複数の水分検知装置10と、を備える。なお、この構成において、ユーザー端末20は複数備えられてもよい。
【0074】
各々の水分検知装置10とユーザー端末20との間は通信可能に接続されており、各々の水分検知装置10はユーザー端末20に信号を送信することが可能である。各々の水分検知装置10とユーザー端末20との間の通信は、電気配線によって行われてもよく、電磁波によって行われてもよい。
【0075】
水分検知装置10の構成は、例えば、図3に示される構成が挙げられるが、これらに限定されない。以下、水分検知装置10が図3の構成を有する場合について説明し、図6で示されていない構成については、図3を参照されたい。
【0076】
水分検知装置10は、検知部103に、水を含む液体が浸透すると、発電部110が発電し、発電部110の起電力により、送信部120が、ユーザー端末20に信号を送信する(図9のステップS12)。
【0077】
各々の水分検知装置10において、通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報(図6における識別情報A、識別情報B・・・)が記憶部130に記憶されている。この例においては、各々の水分検知装置10の識別情報は、ユーザー端末20に対して自身を識別させる情報である。送信部120が送信する信号には、各々の水分検知装置10に個別に割り当てられた識別情報が含まれる。
【0078】
ユーザー端末20は、識別情報に基づいて、複数の水分検知装置10のうち、いずれの水分検知装置10の検知部103に水を含む液体が浸透したかをユーザーに通知する。例えば、ユーザー端末20は、通知部21及び判定部26を備える。
【0079】
判定部26は、例えば、CPU、MPU等の演算装置を備え、受信した信号に含まれる識別情報を、ROM、RAM等の記憶装置に記憶されたプログラムを参照しながら処理して、通知部21に送信するための信号を生成する。
【0080】
通知部21は、判定部26と接続されており、判定部26で生成された信号を受信する。通知部21は、例えば、判定部26から受信した信号に基づいて、信号を送信した水分検知装置10を特定する情報をユーザーに通知する(図9ステップS12)。図6は、通知部21の一例としてのディスプレイによる表示の一例を示している。この例においては、識別情報Cを有する水分検知装置10の検知部103に水を含む液体が浸透しており、通知部21としてのディスプレイは「C:濡れています」と表示している。なお、通知部21での表示方法はこれに限られない。また、通知部21としては、ここで例示した構成の他に、各々の識別情報に対応させた複数の発光装置を備える構成、音声によりユーザーに通知する構成等が挙げられる。
【0081】
〔5-2.本実施形態の効果〕
本実施形態にかかる水分検知システム6は、図1に示された構成に加えて、複数の水分検知装置10を備える。各々の水分検知装置10は、通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報が記憶された記憶部130を備え、送信部120から送信される信号には識別情報を含む。ユーザー端末20は、識別情報に基づいて、複数の水分検知装置10のうち、いずれの水分検知装置10の検知部103に水を含む液体が浸透したかをユーザーに通知する。
【0082】
この構成によれば、第1実施形態で得られる効果に加えて、複数の水分検知装置10のうち、いずれにおいて検知部103に水を含む液体が浸透したかをユーザーが容易に把握できる。そのため、本実施形態の水分検知システム6を適用することにより、複数の物品、場所等の水濡れ状況を一括して管理することができる。
【0083】
<6.第2実施形態の変形例1>
図7は、第2実施形態の変形例1にかかる水分検知システムの構成を模式的に示した図である。ここでは、図6の構成と共通の構成については、同様の参照符号を付し、説明を省略することがある。この例にかかる水分検知システム7は、ユーザー端末20と、ホストコンピュータ30と、複数の水分検知装置10と、を備える。
【0084】
各々の水分検知装置10とホストコンピュータ30との間は通信可能に接続されており、各々の水分検知装置10はホストコンピュータ30に信号を送信することが可能である。ホストコンピュータ30とユーザー端末20との間は通信可能に接続されており、ホストコンピュータ30はユーザー端末20に信号を送信することが可能である。各々の水分検知装置10とホストコンピュータ30との間、及びホストコンピュータ30とユーザー端末20との間の通信は、電気配線によって行われてもよく、電磁波によって行われてもよい。
【0085】
ホストコンピュータ30は、判定部31を備える。ホストコンピュータ30が、水分検知装置10から信号を受信すると、判定部31は、その信号に含まれる識別情報に基づいて、信号を送信した水分検知装置10、すなわち、検知部103に水を含む液体が浸透した水分検知装置10を特定する特定情報を生成する。ホストコンピュータ30は、この特定情報を含む信号をユーザー端末20に送信する(図9ステップS12)。
【0086】
ユーザー端末20は、通知部21を備える。ユーザー920は、ホストコンピュータ30から送信された特定情報に基づいて、複数の水分検知装置10のうち、いずれの水分検知装置10の検知部103に水を含む液体が浸透したかを、通知部21を用いてユーザーに通知する(図9ステップS14)。
【0087】
ホストコンピュータ30が送信する特定情報は、水分検知装置10から送信された識別情報に基づいて生成される。したがって、ユーザー端末20は、識別情報に間接的に基づいて、複数の水分検知装置10のうち、いずれの水分検知装置10の検知部103に水を含む液体が浸透したかをユーザーに通知する構成となっている。
【0088】
なお、図7の構成においては、水分検知装置10、ホストコンピュータ30、及びユーザー端末20は直列的に接続されているが、ホストコンピュータ30及びユーザー端末20は、水分検知装置10に対して並列的に接続されていてもよい。すなわち、ユーザー端末20が、水分検知装置10からの信号を直接受信してもよい。その場合、ユーザー端末20は、信号を送信した水分検知装置10を特定する判定部が備えられていることが好ましい。
【0089】
また、ホストコンピュータ30からの水分検知の情報は、複数のユーザー端末20へ送信してもよい。この場合には、予め水分検知装置10の識別情報に対応したユーザーを登録しておいて、水分検知された水分検知装置10に対応するユーザー端末20に水分検知した旨の情報を送信してもよい。
【0090】
<7.第2実施形態の変形例2>
図8は、第2実施形態の変形例2にかかる水分検知システムの構成を模式的に示した図である。ここでは、図6の構成と共通の構成については、同様の参照符号を付し、説明を省略することがある。この例にかかる水分検知システム8は、ユーザー端末20及び複数の水分検知装置10を備える。なお、水分検知システム8は、図7に示されている構成のホストコンピュータ30を備えてもよい。
【0091】
各々の水分検知装置10の構成は、図5で説明した構成と同様であるため、共通部分については説明を省略する。また、図5で示されている一部構成は図8において省略されている。各々の水分検知装置10において、中継部12には、水分検知装置10が通信可能な装置に対して自身を識別させるための識別情報(図8における識別情報A、識別情報B・・・)が記憶部130に記憶されている。
【0092】
この構成によれば、各々の水分検知装置10に備えられたカートリッジ11は、交換可能であり、カートリッジ11を使い捨ての構成とすることができる。また、この例の構成においては、寿命または使用により性能が低下した一部のカートリッジ11部分を交換可能であり、水分検知システム8のメンテナンスコストを低減することができる。
【0093】
また、発電部110として上記のような酵素電池等の装置とすることにより、カートリッジ11を構成する材料中に占める生分解性材料の割合を高めることができ、カートリッジ11を使い捨ての構成とした場合であっても、環境への負荷を抑えることができる。
【符号の説明】
【0094】
1、6、7、8 水分検知システム
10 水分検知装置
11 カートリッジ
12 中継部
20 ユーザー端末
21 通知部
30 ホストコンピュータ
26 判定部
100 基材
101 アノード
102 カソード
103 検知部
110 発電部
120 送信部
130 記憶部
140 通知部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9