(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142690
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20250924BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20250924BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
B65D25/20 Q BRH
B29C45/14
B29C33/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042197
(22)【出願日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健司
【テーマコード(参考)】
3E062
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3E062AA10
3E062AC02
3E062DA07
3E062JA08
3E062JB04
3E062JC03
4F202AA03
4F202AD05
4F202AD09
4F202AD12
4F202AH55
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB19
4F202CK06
4F202CK42
4F206AA03
4F206AD05
4F206AD09
4F206AD12
4F206AH55
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB19
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】単一または同一分類に属する合成樹脂を用いて、発泡断熱紙製容器に代わる発泡断熱容器を作成することを目的とする。また、リサイクル性に優れた発泡断熱容器を提供することを目的とする。
【解決手段】発泡ラベルシート12と容器本体11からなる容器1であって、発泡ラベルシート12はオレフィン系樹脂のみから構成されるとともに、一方の面に印刷層を有し、容器本体11はオレフィン系樹脂のみから構成され、発泡ラベルシート12の印刷層とは反対側の面と容器本体の外側の面とが一体化していることを特徴とする。さらに、容器本体11は射出成型によって形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡ラベルシートと容器本体からなる容器であって、
発泡ラベルシートはオレフィン系樹脂のみから構成されるとともに、一方の面に印刷層を有し、
容器本体はオレフィン系樹脂のみから構成され、
発泡ラベルシートの印刷層とは反対側の面と容器本体の外側の面とが一体化した容器。
【請求項2】
射出成型によって容器本体が射出成型により形成された、請求項1記載の容器。
【請求項3】
凹型と凸型のいずれか一方に樹脂注入口を有する金型を用いた容器の製造方法であって、
凹型の内側に逆錐台状または筒状に成形したオレフィン系樹脂製の発泡ラベルシートを配置する配置工程と、
凹型と凸型との間に形成されたキャビティに、樹脂注入口からオレフィン系樹脂を充填する充填工程と、
を含む、オレフィン系樹脂のみからなる容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。より詳しくは、ポリオレフィン製のラベルシートと容器本体とが一体化している容器に関する。
【背景技術】
【0002】
石油などを原材料とした合成樹脂からなる製品(以下、単に「プラスチック製品」という。)は、安価、軽量、加工しやすい、耐久性に富む、腐食に強いという特性から様々な場面で用いられている。
【0003】
一方で、プラスチック製品は分解されにくいため、適切な廃棄処理を行わないと、物によっては数百年残ってしまうという問題がある。近年では、プラスチック製品を起因としたマイクロプラスチック問題が注目を集めている。マイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチックを指す。マイクロプラスチックは海の汚れや有害物質を吸着する性質があり、有害物質を吸着したマイクロプラスチックを餌と間違えて海の生物が摂食すると、食物連鎖によって魚や鳥、海洋生物に取り込まれ、さらに「生物濃縮」として体内に蓄積していく。そして、その魚を食べる人間の体にも海洋汚染の影響を受ける恐れがあると言われている。
【0004】
また、マイクロプラスチックに限らず、陸上でもプラスチック製品の不法投棄が問題となっている。プラスチック製品の不法投棄の原因としては、手軽に入手できるためにリサイクルする意識に欠け、投棄されていることが考えられる。別の理由としては、プラスチック製品は一般的に様々な機能を持たせるために、複数の素材を組み合わせて合成される。リサイクルするためには、これらの素材を一つ一つ分離する必要があるが、分離にコストも時間もかかるため、リサイクルが促進されず、不法投棄などの原因になっているものと考えられる。そのため、できるだけ単一または同一分類に属する素材を用いた製品を構成することで、リサイクルしやすい製品を開発する必要がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
しかし、例えば発泡断熱容器の場合、紙基材を用いた発泡断熱容器であれば、紙基材に含まれる水分で紙基材の片面に設けたポリエチレンを発泡させることができるが、合成樹脂の場合、紙基材を用いた発泡断熱容器と同じような原理によって作成することはできない。そのため、単一または同一分類に属する合成樹脂を用いて発泡断熱容器を作成する場合には、新たな構成を考える必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、単一または同一分類に属する合成樹脂を用いて発泡断熱容器が作れないか検討を行った。そして、ポリオレフィン製のラベルシートとポリオレフィン製の容器本体とを一体化することで上記課題を解決できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、本発明は、発泡ラベルシートと容器本体からなる容器であって、発泡ラベルシートはオレフィン系樹脂のみから構成されるとともに、一方の面に印刷層を有し、容器本体はオレフィン系樹脂のみから構成され、発泡ラベルシートの印刷層とは反対側の面と容器本体の外側の面とが一体化した容器を提供する。
【0009】
かかる構成によれば、発泡ラベルシートと容器本体をどちらもオレフィン系樹脂のみで構成できるため、単一または同一分類に属する合成樹脂のみによる発泡断熱容器を製造することができる。
【0010】
上記構成において、射出成型によって容器本体が形成されることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、射出成型により任意の形状の容器にすることができる。また、接着剤層を別途設けることなく、発泡ラベルシートと容器本体とを一体化することができる。
【0012】
上記課題解決のため、本発明は、凹型と凸型のいずれか一方に樹脂注入口を有する金型を用いた容器の製造方法であって、凹型の内側に逆錐台状または筒状に成形したオレフィン系樹脂製の発泡ラベルシートを配置する配置工程と、凹型と凸型との間に形成されたキャビティに、樹脂注入口からオレフィン系樹脂を充填する充填工程と、を含む、オレフィン系樹脂のみからなる容器の製造方法を提供する。
【0013】
かかる構成によれば、単一または同一分類に属する合成樹脂からなる発泡ラベルシートと容器本体を、接着層を別途設けることなく一体化した発泡断熱容器を製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単一または同一分類に属する合成樹脂で構成された発泡断熱容器を作成することができる。また、単一または同一分類に属する合成樹脂で作成できるため、リサイクル性に秀でた容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にかかる容器1の構造を説明するための容器の断面図である。
【
図2】本発明にかかる容器を製造するための射出成型用金型の断面図である。
【
図3】本発明にかかる容器の製造方法を説明するための説明図である。
【
図4】本実施形態における各試験例の結果をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な形態について適宜図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0017】
図1に示すように、本実施形態にかかる容器1は、上端にフランジを備えた有底の容器本体11と、容器本体11の側面に設けられた発泡ラベルシート12とで構成されている。そして、発泡ラベルシート12と容器本体11とが一体化していることを特徴としている。なお、本実施形態では、円錐台形状を例に説明する。
【0018】
本実施形態にかかる容器本体11の形状としては特に制限されないが、上端にフランジを有する有底の円錐台形状であることが好ましい。また、スタッキングの観点から、容器本体側面の外周上に複数のリブを設けてもよい。
【0019】
容器本体11に用いることができる材質としては熱可塑性樹脂であることが好ましく、後述する発泡ラベルシート12と単一または同一分類に属する合成樹脂であることが好ましい。なお、以下の合成樹脂の材質名は、JIS K6899-1(2015)またはISO472(2013)に準拠する。合成樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。上記材質のいずれか1種類のみで作成された場合が、特許請求の範囲に記載の『単一』に該当する。
【0020】
本実施形態では、単一の合成樹脂以外にも、同一分類に属する合成樹脂を組み合わせて用いてもよい。ここで、同一分類に属する合成樹脂とは、異なる材質であっても、共通の性質を有するものとして分類されたものを意味する。例えば、合成樹脂は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分類することができる。熱可塑性樹脂はさらに汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックに分類することができる。汎用プラスチックはさらに結晶性樹脂と非結晶性樹脂に分類することができる。一方、エンジニアリングプラスチックは、汎用エンジニアリングプラスチックとスーパーエンジニアリングプラスチックに分類することができ、汎用エンジニアリングプラスチックとスーパーエンジニアリングプラスチックはそれぞれ結晶性樹脂と非結晶性樹脂とに分類することができる。本実施形態においては、汎用プラスチックの結晶性樹脂に分類される、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を含む概念であるオレフィン系樹脂が好ましい。また、本実施形態においては、異なる材質を積層構造として用いてもよいし、ブレンドして用いてもよい。また、ラベルシートと容器本体がそれぞれ異なるオレフィン系樹脂で構成されていてもよい。
【0021】
本実施形態にかかる容器本体11の成形方法としては、射出成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などの慣用の成形方法を用いることができる。本実施形態においては、射出成形が特に好ましい。
【0022】
本実施形態にかかる発泡ラベルシート12は、使用時に断熱効果を発揮できる形状であれば特に制限されないが、容器本体の側面全体を被覆できる形状であることが好ましい。また、加工の観点からシート状であることが好ましい。発泡ラベルシート12の厚みとしては、断熱性の観点から0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。0.2mm未満だと、シートにコシがなく、成形性が悪い。一方、発泡ラベルシート12の厚みの上限としては特に制限はないが、容器本体11側壁の厚みと発泡ラベルシート12の厚みを合わせた総厚みに対して50~85%相当の厚みであることが好ましい。発泡ラベルシート12の厚みが総厚みの85%を超えると、成形性が悪くなってしまう。
【0023】
本実施形態に用いる発泡ラベルシート12は、圧縮永久ひずみ(JIS K6767,2013に準拠)が6%以下であることが好ましい。ひずみが6%を超えると成型時の熱および圧力による変形が大きく、成型品の外観不良が発生する。
【0024】
本実施形態に用いる発泡ラベルシート12の発泡倍率としては、7倍以上であることが好ましく、8倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらにより好ましい。一方で、発泡倍率が20倍を超えると表面荒れを起こし、手触りが悪い。ここで、発泡倍率は、密度の逆数で求められる。すなわち、発泡後の体積を原料の体積で割ることで求められる。
【0025】
本実施形態にかかる発泡ラベルシート12の材質としては、容器本体11と同一または同一分類に属する合成樹脂を用いることが好ましい。容器本体11と同一または同一分類に属する合成樹脂を用いることで、リサイクル性を向上させることができる。具体的には、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を含むオレフィン系樹脂であることが好ましい
【0026】
本実施形態にかかる発泡ラベルシート12は、外周上に印刷層を設けてもよい。印刷層は、発泡済のラベルシートRに印刷することで形成できる。印刷方法については特に制限されず、既存の印刷方法を用いることができる。本実施形態においては、フレキソ印刷が好ましい。
【0027】
本実施形態にかかる容器1の製造方法について、
図2,3を参照しつつ説明する。ここでは射出成形を例に説明する。先ず、発泡ラベルシート12を用意する。発泡ラベルシート12は、溶融したポリエチレンに発泡剤を練り込んで作成したものを用いてもよいし、市販の発泡ラベルシート12を用いてもよい。発泡ラベルシート12の片面に、フレキソ印刷法で印刷層を設けてもよい。
【0028】
続いて、発泡ラベルシート12を所定の形状に打ち抜く。具体的には、印刷面を外側に向けて端部と端部を接着すると円錐台形状となるように積層体を打ち抜く。打ち抜いた発泡ラベルシート12は、発泡ラベルシート12を湾曲させて円錐台形状にした後、端部と端部とを熱溶着する。あらかじめ熱溶着しておくことで、次工程以下の操作性を向上させることができる。なお、端部と端部を熱溶着せずに用いることも当然可能である。
【0029】
本実施形態に用いる金型60は凸型60A、凹型60B及び板型60Cで構成されている。なお、金型60はあくまで例示であり、容器1の形状に併せて適宜変形可能である。凸型60Aと凹型60Bを嵌合した後、板型60Cを載せることで容器形状のキャビティが形成される。そして、当該キャビティには、凹型60Bの金型の底面に設けられた注入口60Dから熱可塑性樹脂が注入される。なお、キャビティの厚みとしては、0.5~2mm程度であればよい。0.5mm未満だと樹脂が詰まりやすく、2mmより大きいと容器形成に必要な樹脂量が増えるばかりか、容器1の重量が重くなってしまう。また、キャビティは、場所ごとに厚みを変えてもよい。
【0030】
まず、凹型60Bに熱溶着した発泡ラベルシート12を配置する(
図3参照)。このとき、容器本体11の壁面全体に発泡ラベルシート12を設ける場合には、発泡ラベルシート12の印刷面が外側を向くように、凹型金型60Bに嵌め込んで設置すればよい。なお、発泡ラベルシート12が凹型金型60B上部に設けられたフランジ形成用の凹部にかからないように注意する。
【0031】
凹型金型60B内に発泡ラベルシート12を配置した後、金型60A,60Bを嵌合させる。そして、60Cを載置した後、注入口60Dから溶融したポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を注入する。注入されたポリプロピレン等のオレフィン系樹脂はキャビティに沿って充填される。充填された樹脂は発泡ラベルシート12の印刷面とは反対側の面と凸型金具60Aとの隙間を進んで充填される。充填された樹脂は冷えて固まることで容器本体11となる。これにより、発泡ラベルシート12と容器本体11とが一体化した、容器1となる。
【実施例0032】
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。ここでは、容器本体の側面全面に発泡ラベルシートを設けた場合を例に説明する。
【0033】
(試験例1)
図1に記載の金型に溶融ポリプロピレン樹脂を充填し、円錐台形状(開口部の内径95mm、底の内径75mm、底面から開口部までの高さ80mm、容積390mL)の有底容器を作成した。このとき、キャビティの厚みを0.6mmとした。
【0034】
(試験例2)
試験例1に用いた凹型金型の内面に、容器本体の側面全体を覆うように円錐台形状に形成した発泡ラベルシートをセットした。このとき、厚み0.3mm、発泡倍率7倍、圧縮永久歪6%のオレフィン系樹脂製発泡ラベルシートを用いた(積水化学工業株式会社製)。その後、試験例1と同様に溶融ポリプロピレン樹脂を充填した。
【0035】
(試験例3)
厚み0.5mm、発泡倍率10倍、圧縮永久歪4%のオレフィン系樹脂製発泡ラベルシート(積水化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、試験例2と同じである。
【0036】
(試験例4)
厚み0.1mm、発泡倍率4倍、圧縮永久歪12%のオレフィン系樹脂製発泡ラベルシート(積水化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、試験例2と同じである。
【0037】
(試験例5)
厚み0.7mm、発泡倍率10倍、圧縮永久歪4%のオレフィン系樹脂製発泡ラベルシート(積水化学工業株式会社製)を用いたこと以外は、試験例2と同じである。
【0038】
(試験例6)
ポリプロピレンに代えてリニアポリエチレンを用いたこと以外は試験例1と同じである。
【0039】
(試験例7)
試験例1に用いた凹型金型の内面に、厚み0.3mm、発泡倍率7倍、圧縮永久歪6%のオレフィン系樹脂製発泡ラベルシートをセットし、試験例1と同様に溶融リニアポリエチレン樹脂を充填した。
【0040】
(試験例8)
厚み0.5mm、発泡倍率10倍、圧縮永久歪4%のオレフィン系樹脂製発泡ラベルシートを用いたこと以外は、試験例7と同じである。
【0041】
(参考例)
市販のカップヌードル(登録商標:日清食品製)から内容物を取り除いた断熱発泡紙製容器を用意した。
【0042】
試験例1~8及び参考例について、下記判断基準に基づき判断した。
【0043】
<成形性>
〇:ラベルシートの印刷面側への溶融樹脂の回り込みが無く、設計通りの容器を取得できる
△:ラベルシートの印刷面側への溶融樹脂の回り込みが一部ある、または、フランジまで樹脂が到達していない
×:ラベルシートの印刷面側への溶融樹脂の回り込みが全周に亘ってある、または、樹脂の充填が不完全で容器として成立しない
【0044】
<断熱性>
試験例1~8及び参考例に対して、約100℃の熱湯230mL注湯し、開口部をプラスチック製の蓋で覆った。60,120,180,240秒後の容器側面の温度を外部から測定した。結果を
図4に示す。
【0045】
容器本体がポリプロピレンの場合において、発泡ラベルシートを設けた試験例2~4は、発泡ラベルシートを設けていない試験例1よりも断熱効果があることがわかる。特に、試験例3,4は、参考例と同程度の断熱性を備えていることがわかる。これに対して、同じく発泡ラベルシートを設けた試験例5は試験例1とほぼ同じ結果となり、断熱効果は認められなかった。このことから、発泡ラベルシートの厚みとしては0.2mm以上が好ましいことが示唆された。また、厚みが厚くなるほど断熱性は向上するものの、試験例4のように発泡ラベルシートの厚みがキャビティの厚みを超えてしまうと、成形性が悪くなることが明らかとなった。
【0046】
続いて、容器本体がリニアポリエチレンの場合において見てみると、発泡ラベルシートを設けた試験例7,8は、発泡ラベルシートを設けていない試験例6よりも断熱効果があることがわかる。特に、試験例8は参考例と同程度の断熱性を備えていることがわかる。
【0047】
以上説明したように、本発明に係る容器は、従来の発泡断熱紙製容器とは異なる原理で断熱効果を備える容器である。そして、発泡ラベルシートと容器本体がオレフィン系樹脂のみで構成され、しかも接着剤を用いることなく一体成形されているため、リサイクル性に優れた容器となっている。