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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143768
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20250925BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20250925BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20250925BHJP
【FI】
H05K7/20 N
B23K26/21 G
B23K26/21 P
H01L23/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043196
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】岸 正幸
【テーマコード(参考)】
4E168
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA30
4E168BA87
5E322DA04
5E322FA01
5F136BA04
5F136EA66
5F136FA32
5F136FA33
5F136GA14
(57)【要約】
【課題】ダイカストにより成形された冷却装置の部材をレーザ溶接によって接合する場合において、水密性を高める。
【解決手段】ダイカストにて成形されたケースと、ケースの開口部の少なくとも一部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバーと、ケース及びカバーに連結される連結部材と、を備え、連結部材は展伸材にて成形され、連結部材とカバーとは、連結部材にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、連結部材とケースとは、連結部材にレーザ光が照射されることにより接合される、冷却装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカストにて成形されたケースと、
前記ケースの開口部の少なくとも一部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバーと、
前記ケース及び前記カバーに連結される連結部材と、
を備え、
前記連結部材は展伸材にて成形され、当該連結部材と前記カバーとは、当該連結部材にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、当該連結部材と前記ケースとは、当該連結部材にレーザ光が照射されることにより接合される、
冷却装置。
【請求項2】
前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した側部と、当該側部から外側に突出したフランジ部とを有し、
前記カバーは、前記側部の上に載せられ、
前記連結部材が前記カバー及び前記ケースの前記フランジ部の上に載せられた状態で、当該連結部材と当該カバーとがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該フランジ部とがレーザ溶接される、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した第1側部とを有し、
前記カバーは、頂部と、当該頂部と交差する方向に当該頂部から突出した第2側部とを有して、当該第2側部が前記第1側部の内側に位置するように前記ケース内に嵌め込まれ、
前記連結部材が前記カバーの前記第2側部及び前記ケースの前記第1側部の上に載せられた状態で、当該連結部材と当該第1側部とがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該第2側部とがレーザ溶接される、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した第1側部とを有し、
前記カバーは、頂部と、当該頂部と交差する方向に当該頂部から突出した第2側部とを有して、当該第2側部が前記第1側部の内側に位置するように前記ケース内に嵌め込まれ、
前記連結部材が前記ケースの前記第1側部の上に載せられた状態で、当該連結部材と当該第1側部とがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と前記カバーの側面とがレーザ溶接される、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した側部とを有し、
前記カバーは、前記側部の上に載せられ、
前記連結部材が前記カバーと前記ケースとの重ね合わせ部の外側に配置された状態で、当該連結部材と当該カバーとがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該ケースの前記側部とがレーザ溶接される、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した側部とを有し、
前記カバーは、前記ケースの開口部の一部を覆うように当該ケースの上に載せられ、
前記連結部材が前記ケースの開口部の一部を覆うように当該ケース及び前記カバーの上に載せられた状態で、当該連結部材と当該カバーとがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該ケースとがレーザ溶接される、
請求項1に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直線状のベース部と、当該ベース部から突出するとともに当該ベース部の長手方向に間隔をおいて配置される複数の凸部とを有する複数の放熱部材を備え、前記複数の放熱部材の内、隣り合う放熱部材の前記ベース部同士が接触し、前記複数の放熱部材における前記ベース部がレーザ溶接されることで、当該複数の放熱部材は接合されている放熱器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-48641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却装置に対しては、取付け性向上や機能集約のため、従来に比べ複雑な構造仕様が要求されることが増えてきている。このため、水冷式の冷却装置に対してもダイカスト部品の使用を検討されている。
しかしながら、ダイカスト材は、鋳造時に圧縮されたガスが内部に残ることがある。このダイカスト材に対してレーザ溶接を行うと、ダイカスト材の内部のガスが気泡となって溶接ビードにボイドが生じることがある。この場合、溶接部の外観や内部に現れる不具合である溶接不良により溶接部における水密性の低下を招く場合がある。
本発明の目的は、ダイカストにより成形された冷却装置の部材をレーザ溶接によって接合する場合において、水密性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される冷却装置は、ダイカストにて成形されたケースと、前記ケースの開口部の少なくとも一部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバーと、前記ケース及び前記カバーに連結される連結部材と、を備え、前記連結部材は展伸材にて成形され、当該連結部材と前記カバーとは、当該連結部材にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、当該連結部材と前記ケースとは、当該連結部材にレーザ光が照射されることにより接合される、冷却装置である。
ここで、前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した側部と、当該側部から外側に突出したフランジ部とを有し、前記カバーは、前記側部の上に載せられ、前記連結部材が前記カバー及び前記ケースの前記フランジ部の上に載せられた状態で、当該連結部材と当該カバーとがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該フランジ部とがレーザ溶接されても良い。
また、前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した第1側部とを有し、前記カバーは、頂部と、当該頂部と交差する方向に当該頂部から突出した第2側部とを有して、当該第2側部が前記第1側部の内側に位置するように前記ケース内に嵌め込まれ、前記連結部材が前記カバーの前記第2側部及び前記ケースの前記第1側部の上に載せられた状態で、当該連結部材と当該第1側部とがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該第2側部とがレーザ溶接されても良い。
また、前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した第1側部とを有し、前記カバーは、頂部と、当該頂部と交差する方向に当該頂部から突出した第2側部とを有して、当該第2側部が前記第1側部の内側に位置するように前記ケース内に嵌め込まれ、前記連結部材が前記ケースの前記第1側部の上に載せられた状態で、当該連結部材と当該第1側部とがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と前記カバーの側面とがレーザ溶接されても良い。
また、前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した側部とを有し、前記カバーは、前記側部の上に載せられ、前記連結部材が前記カバーと前記ケースとの重ね合わせ部の外側に配置された状態で、当該連結部材と当該カバーとがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該ケースの前記側部とがレーザ溶接されても良い。
また、前記ケースは、底部と、当該底部と交差する方向に当該底部から突出した側部とを有し、前記カバーは、前記ケースの開口部の一部を覆うように当該ケースの上に載せられ、前記連結部材が前記ケースの開口部の一部を覆うように当該ケース及び前記カバーの上に載せられた状態で、当該連結部材と当該カバーとがレーザ溶接されるとともに、当該連結部材と当該ケースとがレーザ溶接されても良い。
【発明の効果】
【0006】
本願の発明によると、ダイカストにより成形された冷却装置の部材をレーザ溶接によって接合する場合において、水密性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る冷却装置の一例を示す図の一例である。
図2】第1の実施形態に係る冷却装置を分解した図の一例である。
図3】第1図のIII-III断面の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る冷却装置の溶接箇所の一例を示す図である。
図5】第2の実施形態に係る冷却装置を分解した図の一例である。
図6】冷却装置が組み立てられた際の第5図のVI-VI断面の一例を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る冷却装置を分解した図の一例である。
図8】第3の実施形態に係るカバーの内側を示す図の一例である。
図9】冷却装置が組み立てられた際の第7図のIX-IX断面の一例を示す図である。
図10】第4の実施形態に係る冷却装置を分解した図の一例である。
図11】冷却装置が組み立てられた際の第10図のXI-XI断面の一例を示す図である。
図12】第5の実施形態に係る冷却装置を分解した図の一例である。
図13】冷却装置が組み立てられた際の第12図のXIII-XIII断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る冷却装置1の一例を示す図の一例である。
第1の実施形態に係る冷却装置1は、冷却液を収容するケース10と、ケース10の開口部を覆うカバー20と、ケース10およびカバー20に連結される連結部材30と、を備える。
冷却装置1は、カバー20の外面に取り付けられる発熱体Pを、ケース10の内部に流れる冷却液を用いて冷却する。発熱体Pは、ECU(Electronic Control Unit)を構成するプリント基板に搭載されたSoC(System on a Chip)であることを例示できる。また、発熱体Pは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor))等のパワー半導体デバイスであることを例示することができる。また、発熱体Pは、IGBTと、このIGBTを制御する制御回路とがパッケージ化されたIGBTモジュールや、このIGBTモジュールと自己保護機能とがパッケージ化されたインテリジェントパワーモジュールであることを例示することができる。
【0009】
以下では、冷却装置1に発熱体Pが積層される方向を、「上下方向」と称し、発熱体P側を「上側」と称し、冷却装置1側を「下側」と称する場合がある。また、直方体状の冷却装置1における、上下方向に直交する矩形の長手方向を単に「長手方向」、上下方向に直交する矩形の短手方向を単に「短手方向」と称する場合がある。また冷却装置1には、冷却装置1の内部と外部とを連通して冷却液を内部に流入させる流入口14と、冷却液を外部に流出させる流出口15とが設けられている。これらの流入口14と流出口15とは、冷却装置1の長手方向の一方に設けられている。この流入口14と流出口15とが設けられている側を長手方向の「一方側」と称し、この一方側に対して反対側を長手方向の「他方側」と称する場合がある。さらに、図1に示されるように長手方向の一方側を手前に置いた場合における右側を短手方向の「右側」と称し、左側を短手方向の「左側」と称する場合がある。また、長手方向と短手方向とを区別する必要が無い場合には、長手方向と短手方向とをまとめて「水平方向」と称する場合がある。
また、冷却装置1において、冷却液を収容する内部を内側と称し、冷却装置1の外部を外側と称する場合がある。
【0010】
(ケース10)
図2は、第1の実施形態に係る冷却装置1を分解した図の一例である。
ケース10は、平板状の底部11と、底部11における端部から底部11に交差する方向に上側に突出した側部12と、この側部12の先端から外側に突出したフランジ部13と、を備える。また、ケース10は、上述した流入口14と、流出口15と、を備える。さらに、ケース10は、底部11と交差する方向に上側に突出した複数の整流板16を、備える。
【0011】
底部11は、上下方向の上側から見た場合に、矩形の形状となっている。
側部12は、底部11における端部の4辺から上下方向の上側へそれぞれ突出する4つの側壁12E,12F,12G,12Hからなる。側部12は、予め定められた厚みを有し、側部12の先端の端面である側部端面12Tが形成される。側部端面12Tは、底部11の板面と平行な面となるように形成されている。ケース10は、底部11と側部12とで凹部を形成し、上部が開放している開口部が形成されている。
【0012】
フランジ部13は、側部端面12Tの面上に配置され、この側部端面12Tの面上における外側に配置される。フランジ部13は、側部端面12Tの面上から外側に向かって突出している。フランジ部13は、板状の部位であり、このフランジ部13の厚さが板厚D1として図3に示されている。また、フランジ部13は、上下方向の上側から見た場合に環状となっている。上下方向の上側から見た場合のフランジ部13の外周側をフランジ外周13aと称し、フランジ部13の内周側をフランジ内周13bと称する場合がある。
【0013】
流入口14は、側壁12Eに設けられた貫通孔である。なお、流入口14は、側壁12Eにおける短手方向の右側に設けられている。
流出口15は、側壁12Eに設けられた貫通孔である。なお、流出口15は、側壁12Eにおける短手方向の左側に設けられている。
【0014】
複数の整流板16は、底部11から突出し、底部11の板面に直交する方向に突出する。整流板16は、流入口14から流入する冷却水が流出口15に流れるように配置される。整流板16は、その先端が側部12の側部端面12Tの高さとなるように形成される。ここで、高さとは、上下方向における位置のことである。本実施形態では、複数の整流板16のうちの1つである整流板16aが側壁12Eから長手方向の他方側に伸び、冷却装置1の内部を右側の流路と左側の流路とに分割している。整流板16aは、側壁12Eに向かい合う側壁12Gの手前まで伸び、長手方向の他方側で右側の流路と左側の流路が通じている。流入口14から流入した冷却液は、右側の流路を一方側から他方側に流れ、他方側で左側の流路に流れる。そして、冷却液は、左側の流路を他方側から一方側に向かって流れて、流出口15から流出する。
【0015】
ケース10はダイカストによって一体的に成形されている。ケース10の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができる。
【0016】
(カバー20)
カバー20は、平板状の部材である。カバー20は、ケース10の開口部を覆うカバー本体部21と、カバー本体部21の周囲に設けられ溶接が行われる部位となるカバー溶接部22と、発熱体P(図1参照)を取り付けるための台となる取付台23と、を備える。
【0017】
カバー本体部21は、フランジ部13の板厚D1に、連結部材30の板厚D2(後述)が加えられた厚さを有しており、図3に板厚D3として示されている。カバー本体部21は、上下方向の上側から見た場合に、略長方形の形状となっており、長方形の周をカバー本体外周21aと称する場合がある。
【0018】
カバー溶接部22は、その板厚がカバー本体部21の板厚D3より薄くなっている。カバー溶接部22の厚さは、フランジ部13の板厚D1と同じ大きさである。また、カバー溶接部22を上下方向の上側から見た場合の外周を溶接部外周22aと称する。溶接部外周22aは、フランジ内周13bに嵌め込まれるよう形成されている。
【0019】
取付台23は、発熱体Pを取り付ける側に対して反対側の面(内面側)に放熱を促すための複数のフィンが設けられている。この複数のフィンの形状としては、円柱状や四角柱状の柱状であることを例示することができる。また、複数のフィンの形状としては、平板形状であることを例示することができる。また、フィンの形状は一つとは限られず、複数のフィンは、形状の異なるフィンによって構成されていてもよい。
【0020】
カバー20はダイカストによって一体的に成形されている。また、カバー20の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース10に採用された材質と同じ材質が用いられる。
【0021】
(連結部材30)
連結部材30は、連結部材30を上下方向の上側から見た場合に、環状となっている。この環状の連結部材30の外周側を連結部外周30a、内周側を連結部内周30bと称する場合がある。この連結部内周30bは、カバー本体外周21aに嵌るように形成されており、連結部外周30aは、フランジ外周13aと同一形状である。また、連結部材30は、上下方向に所定の厚みを有する部材であり、その厚みの大きさが板厚D2として図3に示されている。
【0022】
連結部材30は、展伸材によって成形される。ここで展伸材とは、金属を圧延・鍛造・引抜き・押出し等によって形状を作り出した部材である。また、連結部材30の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース10およびカバー20に採用された材質と同じ材質が用いられる。
【0023】
(組立方法)
次に、図3及び図4を参照して、冷却装置1の組立手順を説明する。
図3は、第1図のIII-III断面の一例を示す図である。
図4は、第1の実施形態に係る冷却装置1の溶接箇所の一例を示す図である。
まず、ケース10の開口を塞ぐようにカバー20を、ケース10の上側に載せる。より具体的には、ケース10の側部12の側部端面12Tに、カバー20のカバー溶接部22の下側が接すように配置する。この際、整流板16の先端がカバー20の内側(上下方向の下側)の面に接触する。さらに、上述したように、溶接部外周22aは、フランジ部13のフランジ内周13bに嵌め込まれるよう形成されており、カバー20がフランジ部13に嵌る。
【0024】
上述したようにフランジ部13の板厚D1とカバー溶接部22の板厚D1とが等しい。そのため、フランジ部13の上側の面の高さと、カバー溶接部22の上側の面の高さが揃う。次に、連結部材30をカバー20およびケース10の上に載せる。より具体的には、連結部材30の下側の面が、ケース10のフランジ部13の上側の面と、カバー20のカバー溶接部22の上側の面と、に跨って接するように連結部材30を配置する。上述したように、カバー本体外周21aと連結部内周30bとが嵌り、連結部材30にカバー本体部21が嵌る。
【0025】
そしてこの状態で、連結部材30とカバー20とがレーザ溶接されるとともに連結部材30とケース10のフランジ部13とがレーザ溶接される。より具体的には、カバー20のカバー溶接部22と、連結部材30とが接触している部位に、レーザ光Lが照射される。レーザ光Lは、レーザヘッド70から発射され、レーザ光Lは上下方向の上側から連結部材30に向かって照射される。このレーザ光Lにより溶融部Y2が形成される。レーザ溶接は、例えば、図4に示すように、レーザヘッド70が連結部材30にレーザ光を照射しながら、カバー溶接部22の形状に沿って移動することで実行される。
【0026】
同様に、ケース10のフランジ部13と連結部材30とが接触している箇所にレーザ光Lが照射される。このレーザ光Lにより溶融部Y1が形成される。レーザ溶接は、例えば、図4に示すように、レーザヘッド70が連結部材30にレーザ光を照射しながら、フランジ部13の形状に沿って移動することで実行される。
【0027】
以上のように構成された冷却装置1は、ダイカストにて成形されたケース10と、ケース10の開口部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバー20と、ケース10及びカバー20に連結される連結部材30と、を備え、連結部材30は展伸材にて成形され、連結部材30とカバー20とは、連結部材30にレーザ光Lが照射されることにより接合されるとともに、連結部材30とケース10とは、連結部材30にレーザ光Lが照射されることにより接合される。このように冷却装置1は、展伸材である連結部材30に対してレーザ光Lが照射される。連結部材30は展伸材より成形されており、展伸材は、ダイカスト材に比べて、含有されるガス量が少なく、レーザ光Lを照射した場合に発生する気泡が少ないため溶接不良が生じにくい。したがって、第1の実施形態に係る冷却装置1は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射する場合に比べて、溶接の品質が高く、水密性が高い。
【0028】
また、冷却装置1において、ケース10は、底部11と、底部11と交差する方向に底部11から突出した側部12と、側部12から外側に突出したフランジ部13とを有し、カバー20は、側部12の上に載せられ、連結部材30がカバー20及びケース10のフランジ部13上に載せられた状態で、連結部材30とカバー20とがレーザ溶接されるとともに、連結部材30とフランジ部13とがレーザ溶接される。これにより、連結部材30と、ケース10及びカバー20と、を確度高く接合することができる。
【0029】
このようにケース10およびカバー20は、ダイカストにて成形されている。これにより、ケース10およびカバー20の形状を複雑な形状とすることができる。例えば、ケース10には整流板16を一体的に成形することができ、また、カバー20には締め付け用のボス等を、一体的に成形することができる。このようにダイカスト材を用いることで、冷却装置1に対して、取付け性向上や機能集約のため、従来に比べ複雑な構造仕様を要求することができる。
また、フランジ部13およびカバー溶接部22の板厚D1と、連結部材30の板厚D2とは、溶融部Y1およびY2が貫通しない厚さとなるように設計される。
【0030】
<第2の実施形態>
図5は、第2の実施形態に係る冷却装置2を分解した図の一例である。
第2の実施形態に係る冷却装置2は、冷却液を収容するケース210と、ケース210の開口部を覆うカバー220と、ケース210およびカバー220に連結される連結部材230とを備える。
【0031】
ケース210は、底部211と、底部211と交差する方向に底部211から突出した第1側部212と、を備える。また、ケース210は、流入口214と、流出口215と、複数の整流板216と、を備える。
第1側部212は、矩形の底部211の4辺から底部211の板面に直交する方向にそれぞれ突出した4つの側壁212E,212F,212G,212Hからなる。第1側部212は、所定の厚みを有し、第1側部212の先端の端面である第1側部端面212Tが形成される。第1側部端面212Tは、底部211の板面と平行な面となるように形成されている。この第1側部212を上下方向の上側から見た場合の外周を第1側部外周212a、内周を第1側部内周212bと称する場合がある。
ケース210は、底部211と第1側部212とで凹部を形成し、上部が開放している開口部が形成されている。
【0032】
整流板216は、底部211の板面に直交する方向に突出し、その先端が第1側部212の第1側部端面212Tの高さとなるように形成される。
【0033】
ケース210は、ダイカストにより一体的に成形される。ケース210の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができる。
【0034】
カバー220は、頂部221と、頂部221と交差する方向に頂部221から突出した第2側部222と、を備える。
頂部221は、平板状の部位であり、頂部221の外周がケース210の開口より小さい。この頂部221を上下方向の上側から見た場合に、略長方形の形状となり、この辺を頂部外周221aと称する場合がある。
第2側部222は、頂部221から外側に伸びる第2側部フランジ部222Cと、第2側部フランジ部222Cから頂部221と交差する方向に突出する第2側部本体222Dとを備える。
第2側部フランジ部222Cは、頂部221の周縁部から外側に向かって伸び、第2側部フランジ部222Cの外側の端部を、第2側部外周222aと称する場合がある。この第2側部外周222aは、第1側部内周212bに嵌め込まれるよう形成されている。
【0035】
第2側部本体222Dは第2側部フランジ部222Cの外側の端部から上下方向の下側に伸びる。また、第2側部本体222Dは、冷却液が流入するのと流出するのとを妨げないように、長手方向一方側の一部が欠けている。
【0036】
カバー220は、ダイカストにより一体的に成形される。また、カバー220の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース210に採用された材質と同じ材質が用いられる。
【0037】
連結部材230は、連結部材230を上下方向から見た場合に、環状となっている。この環状の連結部材230の外周側を連結部外周230a、内周側を連結部内周230bと称する場合がある。この連結部内周230bは、頂部外周221aに嵌るように形成されている。また、連結部外周230aは、第1側部212の第1側部外周212aと同一形状である。
【0038】
連結部材230は、展伸材によって成形される。また、連結部材230の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース210およびカバー220と同じ材質が用いられる。
【0039】
(組立方法)
次に、図5、6を参照して冷却装置2の組立方法を説明する。
図6は、冷却装置2が組み立てられた際の第5図のVI-VI断面の一例を示す図である。
まず、ケース210とカバー220とを組み合わせる。上述したように、第2側部外周222aは、第1側部内周212bに嵌め込まれるよう形成されており、カバー220の第2側部222がケース210の第1側部212の内側に位置するようにケース210内に嵌め込まれる。
頂部221の内側がケース210の複数の整流板216の先端に接触して、カバー220がケース210に支えられる。
【0040】
そして、連結部材230がケース210の第1側部212の端面である第1側部端面212Tと、カバー220の第2側部222とに跨いで配置される。
連結部材230がカバー220及びケース210の上に載せられた状態で、連結部材230側にレーザ照射を行い、連結部材230とケース210の第1側部212とが溶融部Y1の生成により溶接されるとともに、連結部材30側にレーザ照射を行い、連結部材230とカバー220の第2側部222とが溶融部Y2の生成により溶接される。
【0041】
以上のように構成された冷却装置2は、ダイカストにて成形されたケース210と、ケース210の開口部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバー220と、ケース210及びカバー220に連結される連結部材230と、を備え、連結部材230は展伸材にて成形され、連結部材230とカバー220とは、連結部材230にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、連結部材230とケース210とは、連結部材230にレーザ光が照射されることにより接合される。冷却装置2は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射せずに製造される。そのため、第2の実施形態に係る冷却装置2は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射する場合に比べて、溶接の品質が高く、水密性が高い。
【0042】
以上のように構成された冷却装置2において、ケース210は、底部211と、底部211と交差する方向に底部211から突出した第1側部212とを有し、カバー220は、頂部221と、頂部221と交差する方向に頂部221から突出した第2側部222とを有して、第2側部222が第1側部212の内側に位置するようにケース210内に嵌め込まれ、連結部材230がカバー220の第2側部222及びケース210の第1側部212の上に載せられた状態で、連結部材230と第1側部212とがレーザ溶接されるとともに、連結部材230と第2側部222とがレーザ溶接される。これにより、第2の実施形態に係る冷却装置2は、連結部材230と、ケース210及びカバー220と、を確度高く接合することができる。
【0043】
このようにケース210およびカバー220は、ダイカストにて成形されている。これにより、ケース210およびカバー220の形状を複雑な形状とすることができる。例えば、ケース210には整流板216を一体的に成形することができ、また、カバー220には締め付け用のボス等を、一体的に成形することができる。このようにダイカスト材を用いることで、冷却装置2に対して、取付け性向上や機能集約のため、従来に比べ複雑な構造仕様を要求することができる。
【0044】
<第3の実施形態>
図7は、第3の実施形態に係る冷却装置3を分解した図の一例である。
第3の実施形態に係る冷却装置3は、冷却液を収容するケース310と、ケース310の開口部を覆うカバー320と、ケース310およびカバー320に連結される連結部材330とを備える。
【0045】
(ケース310)
ケース310は、底部311と、底部311と交差する方向に底部311から突出した第1側部312とを備える。また、ケース310は、複数の整流板316を備える。
底部311は、板状の部位であり、矩形形状である。
第1側部312は、矩形の底部311の4辺から底部311の板面に直交する方向にそれぞれ突出した4つの側壁からなる。第1側部312は、所定の厚みを有し、第1側部312の先端の端面である第1側部端面312Tを形成する。第1側部端面312Tは、底部311の板面と平行な面となるように構成されている。第1側部312を、上下方向の上側から見た場合の外周側を第1側部外周312a、内周側を第1側部内周312bと称する場合がある。
ケース310は、底部311と第1側部312とで凹部を構成し、上部が開放している開口部が形成されている。
複数の整流板316は、底部311の板面に直交する方向にそれぞれ突出している。また、カバー320の取付台323と向かい合う位置において、整流板316の高さが低くなっている。
【0046】
ケース310は、ダイカストにより一体的に成形されている。ケース310の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができる。
【0047】
(カバー320)
ここで、図7に加えて図8を参照してカバー320を説明する。
図8は、第3の実施形態に係るカバー320の内側を示す図の一例である。
カバー320は、頂部321と、頂部321と交差する方向に頂部321から突出した第2側部322とを備える。また、カバー320は、発熱体Pを取り付けるための台となる取付台323と、冷却装置3の内部と外部とを連通して冷却液を内部に流入させる流入口324と、冷却液を外部に流出させる流出口325と、を備える。
また、カバー320は、頂部321と交差する方向に頂部321から突出した仕切り326を備える。さらに、カバー320には、放熱するための複数のフィン327が設けられている。
【0048】
頂部321は、板状の部位であり、矩形形状である。
この頂部321を上下方向の上側から見た場合の外周を頂部外周321aと称する場合がある。この頂部外周321aは、第1側部内周312bに嵌め込まれるよう形成されている。
第2側部322は、矩形の頂部321の4辺から頂部321の板面に直交する方向にそれぞれ突出した4つの側壁からなる。
流入口324は、頂部321に設けられ、図7における長手方向の一方側に設けられている。流入口324は、冷却装置3の内部と外部とを連通している。また、流出口325は、頂部321に設けられ、図7における長手方向の一方側に設けられている。また、流入口324は、流出口325に対して短手方向の右手側に設けられている。
【0049】
仕切り326は、長手方向に沿って配置され、流入口324と流出口325との間に設けられている。仕切り326は、流入口324から流入した冷却液が流れて、流出口325から流出する流路を形成する。
フィン327は、カバー320の外側に設けられている取付台323の裏側(内面側)に複数設けられ、頂部321の板面に垂直に突出している。図8に示す例では、フィン327の形状は円柱形状となっている。しかしながら、フィン327の形状は特に限定されず、四角柱状や板状などの他の形状であってもよい。上述したように、ケース310の整流板316は、カバー320の取付台323と向かい合う位置において、整流板316の高さが低くなっており、整流板316の高さが低くなっている部分にフィン327が配置される。
【0050】
カバー320は、ダイカストにより一体的に成形されている。また、カバー320の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース310に採用された材質と同じ材質が用いられる。
【0051】
(連結部材330)
連結部材330は、断面がL字状の環状部材である。L字の横棒の部分をL字下部331と称し、L字の縦棒の部分をL字上部332と称する。
L字下部331は、上下方向の上側から見たときに、第1側部端面312Tと形状が一致する。このL字下部331を上下方向の上側から見た場合の外周側をL字下部外周331aと称し、内周側をL字下部内周331bと称する場合がある。
また、L字上部332は、L字下部331から垂直に突出する。L字上部332は、L字下部331のL字下部内周331b側に設けられている。
連結部材330は、展伸材によって成形される。また、連結部材330の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース310およびカバー320と同じ材質が用いられる。
【0052】
(組立方法)
次にさらに、図9を参照して、冷却装置3の組立方法を説明する。
図9は、冷却装置3が組み立てられた際の第7図のIX-IX断面の一例を示す図である。
まず、ケース310とカバー320とを組み合わせる。上述した通り、頂部外周321aは、第1側部内周312bに嵌め込まれるよう形成されており、第2側部322が第1側部312の内側に位置するようにケース310内に嵌め込まれる。
そして、連結部材330をケース310の第1側部312の上に載せる。より具体的には、連結部材330のL字下部331を第1側部端面312Tに接触させ、L字上部332の内側を第2側部322の外側に接触させる。
この状態で、L字下部331に対して上下方向の上側からレーザ光を照射し、溶融部Y1の生成により連結部材330とケース310とが溶接される。また、L字上部332に対して、水平方向から(図9では、短手方向の左側から)レーザ光を照射し、溶融部Y2の生成により連結部材330とカバー320とが溶接される。
【0053】
以上のように構成された冷却装置3は、ダイカストにて成形されたケース310と、ケース310の開口部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバー320と、ケース310及びカバー320に連結される連結部材330と、を備え、連結部材330は展伸材にて成形され、連結部材330とカバー320とは、連結部材330にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、連結部材330とケース310とは、連結部材330にレーザ光が照射されることにより接合される。冷却装置3は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射せずに製造される。そのため、第3の実施形態に係る冷却装置3は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射する場合に比べて、溶接の品質が高く、水密性が高い。
【0054】
また冷却装置3において、ケース310は、底部311と、底部311と交差する方向に底部311から突出した第1側部312とを有し、カバー320は、頂部321と、頂部321と交差する方向に頂部321から突出した第2側部322とを有して、第2側部322が第1側部312の内側に位置するようにケース310内に嵌め込まれ、連結部材330がケース310の第1側部312の上に載せられた状態で、連結部材330と第1側部312とがレーザ溶接されるとともに、連結部材330とカバー320の側面とがレーザ溶接される。これにより、第3の実施形態に係る冷却装置3は、連結部材330と、ケース310及びカバー320と、を確度高く接合することができる。
【0055】
このようにケース310およびカバー320は、ダイカストにて成形されている。これにより、ケース310およびカバー320の形状を複雑な形状とすることができる。例えば、ケース310には整流板316を一体的に成形することができ、また、カバー320には取付台323の内面側に設けられるフィン327や締め付け用のボス等を、一体的に成形することができる。このようにダイカスト材を用いることで、冷却装置3に対して、取付け性向上や機能集約のため、従来に比べ複雑な構造仕様を要求することができる。
【0056】
<第4の実施形態>
図10は、第4の実施形態に係る冷却装置4を分解した図の一例である。
冷却装置4は、冷却液を収容するケース410と、ケース410の開口部を覆うカバー420と、ケース410およびカバー420に連結される連結部材430と、を備える。
【0057】
(ケース410)
ケース410は、底部411と、底部411と交差する方向に底部411から突出した側部412と、を備える。ケース410は、底部411と側部412とで凹部を形成し、上部が開放している開口部が形成されている。また、ケース410は、冷却装置4の内部と外部とを連通して冷却液を内部に流入させる流入口414と、冷却装置1の内部と外部とを連通して冷却液を外部に流出させる流出口415と、を備える。さらに、ケース410は、底部411と交差する方向に上側に突出した複数の整流板416を備える。これらの複数の整流板416は、上述した第1の実施形態に係る冷却装置1のケース10の整流板16と同様の形状を有している。
【0058】
ケース410はダイカストによって一体的に成形されている。ケース410の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができる。
【0059】
(カバー420)
カバー420は、平板状の部材であり、ケース410の開口を覆う。カバー420は、発熱体P(図1参照)を取り付けるための取付台423を備える。カバー420の外周は、側部412の先端の端面である側部端面412Tの外周と同一形状である。
【0060】
カバー420は、ダイカストにより一体的に成形される。また、カバー420の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース410に採用された材質と同じ材質が用いられる。
【0061】
(連結部材430)
連結部材430は、上下方向の上側から見た場合に、環状となっている。連結部材430を上下方向の上から見た場合の外周を連結部材外周430aと称し、内周を連結部材内周430bと称する場合がある。連結部材内周430bは、ケース410の外周およびカバー420の外周とに嵌るように形成されている。
連結部材430は、上下方向に所定の長さを有する。この所定の長さは、少なくとも、上下方向において異なる2か所でレーザ溶接を行うことができる長さである。
【0062】
連結部材430は、展伸材によって成形される。ここで展伸材とは、金属を圧延・鍛造・引抜き・押出し等によって形状を作り出した部材である。また、連結部材430の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース410およびカバー420に採用された材質と同じ材質が用いられる。
【0063】
(組立方法)
次にさらに、図11を参照して、冷却装置4の組立方法を説明する。
図11は、冷却装置4が組み立てられた際の第10図のXI-XI断面の一例を示す図である。
まず、カバー420は、側部412の上に載せられる。より具体的には、カバー420の内側の面は、側部412の側部端面412Tに接触させて、重ね合わされる。この重ね合わされた部位の外側に連結部材430を配置する。この状態で、水平方向からレーザ光が連結部材430に照射され、ケース410と連結部材430とが溶接され、カバー420と連結部材430とが溶接される。より具体的には、連結部材430の上下方向において異なる2か所でレーザ光が照射され、異なる2か所の内の上側に溶融部Y2が生じ、連結部材430とカバー420とが溶接される。また、異なる2か所の内の下側に溶融部Y1が生じ、連結部材430とケース410とが溶接される。
【0064】
以上のように構成された冷却装置4は、ダイカストにて成形されたケース410と、ケース410の開口部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバー420と、ケース410及びカバー420に連結される連結部材430と、を備え、連結部材430は展伸材にて成形され、連結部材430とカバー420とは、連結部材430にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、連結部材430とケース410とは、連結部材430にレーザ光が照射されることにより接合される。冷却装置4は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射せずに製造される。そのため、第4の実施形態に係る冷却装置4は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射する場合に比べて、溶接の品質が高く、水密性が高い。
【0065】
以上のように構成された冷却装置4において、ケース410は、底部411と、底部411と交差する方向に底部411から突出した側部412とを有し、カバー420は、側部412の上に載せられ、連結部材430がカバー420とケース410との重ね合わせ部の外側に配置された状態で、連結部材430とカバー420とがレーザ溶接されるとともに、連結部材430とケース410の側部412とがレーザ溶接される。これにより、第4の実施形態に係る冷却装置4は、連結部材30と、ケース10及びカバー20と、を確度高く接合することができる。
【0066】
このようにケース410およびカバー420は、ダイカストにて成形されている。これにより、ケース410およびカバー420の形状を複雑な形状とすることができる。例えば、ケース410には整流板416を一体的に成形することができ、また、カバー420には締め付け用のボス等を、一体的に成形することができる。このようにダイカスト材を用いることで、冷却装置4に対して、取付け性向上や機能集約のため、従来に比べ複雑な構造仕様を要求することができる。
【0067】
<第5の実施形態>
図12は、第5の実施形態に係る冷却装置5を分解した図の一例である。
冷却装置5は、冷却液を収容するケース510と、ケース510の開口部の一部を覆うカバー520と、ケース510及びカバー520に連結される連結部材530とを備える。
【0068】
(ケース510)
ケース510は、底部511と、底部511と交差する方向に底部511から突出した側部512と、を備える。また、ケース510は、底部511と交差する方向に上側に突出した複数の整流板516を、備える。さらに、ケース510は、カバー20を配置するカバー配置部517を備える。
【0069】
側部512は、底部511における端部の4辺から底部511の板面に直交する方向にそれぞれ突出した4つの側壁512E,512F,512G,512Hからなる。側部512は、所定の厚みを有し、側部512の先端の端面である側部端面512Tが形成される。側部端面512Tは、底部511の板面と平行な面となるように形成されている。ケース510を上下方向の上側から見た場合の側部512の外周側を側部外周512a、内周側を側部内周512bと称する場合がある。
ケース510は、底部511と側部512とで凹部を形成し、上部が開放している開口部が形成されている。
【0070】
複数の整流板516は、底部511から突出し、底部511の板面に直交する方向に突出する。整流板516は、流入口524(後述)から流入する冷却水が流出口525(後述)に流れるように配置される。整流板516は、その先端が側部512の側部端面512Tの高さとなるように形成される。本実施形態では、複数の整流板516のうちの1つである整流板516aが側壁512Eから長手方向の他方側に伸び、冷却装置1の内部を右側の流路と左側の流路とに分割している。整流板516aは、長手方向の中央付近まで伸び、長手方向の他方側で右側の流路と左側の流路が通じている。整流板516は、図12に示すように、平板状であることを例示することができる。
【0071】
カバー配置部517は、図12における長手方向の一方側に設けられ、底部511の板面に垂直な方向に突出する。カバー配置部517は、側部512より低く、図13で示すD4だけ低い。カバー配置部517は、流路の一部を構成してもよい。また、整流板516の一部がカバー配置部517として機能してもよい。
【0072】
ケース510はダイカストによって一体的に成形されている。また、ケース510の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができる。
【0073】
(カバー520)
カバー520は、カバー本体部521と、カバー本体部521の周囲に設けられ溶接が行われる部位となるカバー溶接部522と、を備える。また、カバー520は、冷却装置5の内部と外部とを連通して、冷却液を内部に流入させる流入口524と、冷却装置1の内部と外部とを連通して、冷却液を外部に流出させる流出口525と、を備える。
カバー本体部521は、上下方向の上側から見た場合に略矩形形状となっている。この矩形形状の外周をカバー本体外周521aと称する場合がある。このカバー本体部521に流入口524と流出口525とが設けられている。
カバー溶接部522は、その板厚がカバー本体部521より薄くなっている。カバー溶接部522の厚さは、図13に板厚D4として示されている。また、カバー溶接部522を上下方向の上側から見た場合の外周側を溶接部外周522aと称する場合がある。
【0074】
カバー520は、ダイカストによって一体的に成形されている。また、カバー520の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース510と同じ材質が用いられる。
【0075】
(連結部材530)
連結部材530は、板状部材であり、その厚さは、図13に板厚D5として示されている。連結部材530は、長手方向の一方側に設けられた開口である開口531を備える。開口531を上下方向の上側から見た場合の形状を連結部内周530bと称する場合がある。連結部内周530bは、カバー520のカバー本体外周521aに嵌るように形成されている。また、連結部材530の外周は、ケース510の側部外周512aと同一形状である。
【0076】
連結部材530は、展伸材によって成形される。また、連結部材530の材質は、アルミニウム、銅などを例示することができるが、ケース510およびカバー520と同じ材質が用いられる。
【0077】
(組立方法)
図13は、冷却装置5が組み立てられた際の第12図のXIII-XIII断面の一例を示す図である。
カバー520は、ケース510の開口部の一部を覆うようにケース510の上に載せられる。より具体的には、カバー520は、ケース510のカバー配置部517の上に配置される。
そして、連結部材530がケース510の開口部の一部を覆うようにケース510およびカバー520の上に載せられる。より具体的には、連結部材530の外周部近傍は、ケース510の側部端面512Tに接触する。また、連結部材530の開口531の近傍は、カバー溶接部522に接触する。
この状態で、上下方向の上側からレーザ光を照射し、ケース510と連結部材530とを接合し、カバー520と連結部材530とを接合する。
【0078】
以上のように構成された冷却装置5は、ダイカストにて成形されたケース510と、ケース510の開口部の一部を覆うとともにダイカストにて成形されたカバー520と、ケース510及びカバー520に連結される連結部材530と、を備え、連結部材530は展伸材にて成形され、連結部材530とカバー520とは、連結部材530にレーザ光が照射されることにより接合されるとともに、連結部材530とケース510とは、連結部材530にレーザ光が照射されることにより接合される。冷却装置5は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射せずに製造される。そのため、第5の実施形態に係る冷却装置5は、ダイカスト材に対してレーザ光を照射する場合に比べて、溶接の品質が高く、水密性が高い。
【0079】
また、冷却装置5において、ケース510は、底部511と、底部511と交差する方向に底部511から突出した側部512とを有し、カバー520は、ケース510の開口部の一部を覆うようにケース510の上に載せられ、連結部材530がケース510の開口部の一部を覆うようにケース510及びカバー520の上に載せられた状態で、連結部材530とカバー520とがレーザ溶接されるとともに、連結部材530とケース510とがレーザ溶接される。これにより、第5の実施形態に係る冷却装置5は、連結部材530と、ケース510及びカバー520と、を確度高く接合することができる。
【0080】
このようにケース510およびカバー520は、ダイカストにて成形されている。これにより、ケース510およびカバー520の形状を複雑な形状とすることができる。例えば、ケース510には整流板516を一体的に成形することができ、また、カバー520には流入口524および流出口525を、一体的に成形することができる。このようにダイカスト材を用いることで、冷却装置5に対して、取付け性向上や機能集約のため、従来に比べ複雑な構造仕様を要求することができる。
また、カバー溶接部522の板厚D4と、連結部材530の板厚D5とは、溶融部Y2が貫通しない厚さとなるように設計される。
【符号の説明】
【0081】
1…冷却装置、2…冷却装置、3…冷却装置、4…冷却装置、5…冷却装置、10…ケース、11…底部、12…側部、13…フランジ部、20…カバー、30…連結部材、210…ケース、211…底部、212…第1側部、220…カバー、221…頂部、222…第2側部、222C…第2側部フランジ部、222D…第2側部本体、222a…第2側部外周、230…連結部材、310…ケース、311…底部、312…第1側部、321…頂部、322…第2側部、330…連結部材、410…ケース、411…底部、412…側部、420…カバー、430…連結部材、510…ケース、511…底部、512…側部、517…カバー配置部、520…カバー、530…連結部材、531…開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13