(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014458
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】支援装置及び支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
G06K7/10 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117024
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】松田 悠弥
(72)【発明者】
【氏名】寺横 素
(57)【要約】
【課題】所望の性能のシステムを構築できる支援装置及び支援プログラムを提供する。
【解決手段】RFタグをリーダで読み取るシステムの構築を支援する支援装置であって、プロセッサを備える。プロセッサは、少なくともRFタグの情報、リーダの情報、リーダの使用形態の情報、及び、RFタグをリーダで読み取った際の受信信号強度の情報を含む第1情報を取得し、第1情報が入力するとRFタグの読み取りの設定に関する第2情報を出力するモデルに対し、第1情報を入力して第2情報を取得し、第2情報を出力装置及び/又はRFタグの読み取りに関する設定を行う設定装置に出力する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグをリーダで読み取るシステムの構築を支援する支援装置であって、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
少なくとも前記RFタグの情報、前記リーダの情報、前記リーダの使用形態の情報、及び、前記RFタグを前記リーダで読み取った際の受信信号強度の情報を含む第1情報を取得し、
前記第1情報を入力すると前記RFタグの読み取りの設定に関する第2情報を出力するモデルに対し、前記第1情報を入力して前記第2情報を取得し、
前記第2情報を出力装置、及び/又は、前記RFタグの読み取りに関する設定を行う設定装置に出力する、
支援装置。
【請求項2】
前記モデルは、前記第1情報を説明変数、前記第2情報を目的変数として機械学習により生成された学習済みモデルである、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記第1情報が、前記システムを適用する対象の情報を更に含む、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項4】
前記システムを適用する対象の情報が、少なくとも前記RFタグが貼付される対象の情報、及び、前記RFタグの読み取り形態の情報を含む、
請求項3に記載の支援装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記システムを適用する対象に関する質問事項を前記出力装置に出力し、
前記質問事項に対する回答の入力を入力装置から受け付け、
入力された回答に基づいて、前記システムを適用する対象の情報を取得する、
請求項3又は4に記載の支援装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記出力装置に前記第2情報を出力する場合において、前記第2情報の修正を入力装置から受け付けて、前記第2情報を修正し、
修正した前記第2情報を前記設定装置に出力する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
読み取り結果に対する質問事項を前記出力装置に出力し、
前記質問事項に対する回答の入力を入力装置から受け付け、
入力された回答に基づいて、前記第2情報を修正し、
修正した前記第2情報を前記設定装置に出力する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項8】
前記第1情報が、前記システムを使用する環境の情報を更に含む、
請求項1に記載の支援装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記システムを使用する環境を撮影した画像を取得し、
前記画像を解析して、前記システムを使用する環境の情報を取得する、
請求項8に記載の支援装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記システムを使用する環境に関する質問事項を前記出力装置に出力し、
前記質問事項に対する回答の入力を入力装置から受け付け、
入力された回答に基づいて、前記システムを使用する環境の情報を取得する、
請求項8又は9に記載の支援装置。
【請求項11】
前記第1情報が、特定の前記RFタグの読み取り結果の情報を更に含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項12】
前記第2情報が、少なくとも前記リーダの電波出力の設定の情報を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項13】
前記第2情報が、フラグの設定、セッションの設定、電波照射時間の設定、周波数帯の設定、及び、読み取る受信信号強度の閾値の設定の少なくとも一つを更に含む、
請求項12に記載の支援装置。
【請求項14】
前記リーダの使用形態の情報が、単一の前記RFタグを読み取る使用形態、複数の前記RFタグを一括して読み取る使用形態、及び、特定の前記RFタグを探索する使用形態の中から一つを選択して取得される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項15】
RFタグをリーダで読み取るシステムの構築を支援する機能をコンピュータに実現させる支援プログラムであって、
少なくとも前記RFタグの情報、前記リーダの情報、前記リーダの使用形態の情報、及び、前記RFタグを前記リーダで読み取った際の受信信号強度の情報を含む第1情報を取得する機能と、
前記第1情報を入力すると前記RFタグの読み取りの設定に関する第2情報を出力するモデルに対し、前記第1情報を入力して前記第2情報を取得する機能と、
前記第2情報を出力装置、及び/又は、前記RFタグの読み取りに関する設定を行う設定装置に出力する機能と、
をコンピュータに実現させる支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援装置及び支援プログラムに係り、特に、RFIDシステム(Radio Frequency IDentification System)の構築を支援する支援装置及び支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波(電磁波)を用いてタグのデータを非接触で読み書きするシステムとしてRFIDシステムが知られている。近年、さまざまな分野でRFIDシステムの導入が進んでいる。
【0003】
RFIDシステムは、電波を利用することから、使用環境、使用形態等の影響を受けやすい。このため、十分な性能のシステムを構築するには、高度なノウハウが要求される。
【0004】
特許文献1には、RFID装置が配備される交信領域を分析し、目標物体上の種々の配置セットと関連したRFタグの判読率を確認し、分析結果及び確認されたすべてのRFタグの判読率に基づいて、最良の配備選択肢を選択することにより、RFID装置の配備を最適化する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、RFIDの用途はさまざまであり、また、使用環境もさまざまである。このため、用途や使用環境等が変わるたびに、交信領域の分析、判読率の確認等を行うのは、現実的ではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、所望の性能のシステムを構築できる支援装置及び支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)RFタグをリーダで読み取るシステムの構築を支援する支援装置であって、プロセッサを備え、プロセッサは、少なくともRFタグの情報、リーダの情報、リーダの使用形態の情報、及び、RFタグをリーダで読み取った際の受信信号強度の情報を含む第1情報を取得し、第1情報が入力するとRFタグの読み取りの設定に関する第2情報を出力するモデルに対し、第1情報を入力して第2情報を取得し、第2情報を出力装置、及び/又は、RFタグの読み取りに関する設定を行う設定装置に出力する、支援装置。
【0009】
(2)モデルは、第1情報を説明変数、第2情報を目的変数として機械学習により生成された学習済みモデルである、(1)に記載の支援装置。
【0010】
(3)第1情報が、システムを適用する対象の情報を更に含む、(1)又は(2)に記載の支援装置。
【0011】
(4)システムを適用する対象の情報が、少なくともRFタグが貼付される対象の情報、及び、RFタグの読み取り形態の情報を含む、(3)に記載の支援装置。
【0012】
(5)プロセッサは、システムを適用する対象に関する質問事項を出力装置に出力し、質問事項に対する回答の入力を入力装置から受け付け、入力された回答に基づいて、システムを適用する対象の情報を取得する、(3)又は(4)に記載の支援装置。
【0013】
(6)プロセッサは、出力装置に第2情報を出力する場合において、第2情報の修正を入力装置から受け付けて、第2情報を修正し、修正した第2情報を設定装置に出力する、(1)から(5)のいずれか一つに記載の支援装置。
【0014】
(7)プロセッサは、読み取り結果に対する質問事項を出力装置に出力し、質問事項に対する回答の入力を入力装置から受け付け、入力された回答に基づいて、第2情報を修正し、修正した第2情報を設定装置に出力する、(1)から(6)のいずれか一つに記載の支援装置。
【0015】
(8)第1情報が、システムを使用する環境の情報を更に含む、(1)から(7)のいずれか一つに記載の支援装置。
【0016】
(9)プロセッサは、システムを使用する環境を撮影した画像を取得し、画像を解析して、システムを使用する環境の情報を取得する、(8)に記載の支援装置。
【0017】
(10)プロセッサは、システムを使用する環境に関する質問事項を出力装置に出力し、質問事項に対する回答の入力を入力装置から受け付け、入力された回答に基づいて、システムを使用する環境の情報を取得する、(8)又は(9)に記載の支援装置。
【0018】
(11)第1情報が、特定のRFタグの読み取り結果の情報を更に含む、(1)から(10)のいずれか一つに記載の支援装置。
【0019】
(12)第2情報が、少なくともリーダの電波出力の設定の情報を含む、(1)から(11)のいずれか一つに記載の支援装置。
【0020】
(13)第2情報が、フラグの設定、セッションの設定、電波照射時間の設定、周波数帯の設定、及び、読み取る受信信号強度の閾値の設定の少なくとも一つを更に含む、(12)に記載の支援装置。
【0021】
(14)リーダの使用形態の情報が、単一のRFタグを読み取る使用形態、複数のRFタグを一括して読み取る使用形態、及び、特定のRFタグを探索する使用形態の中から一つを選択して取得される、(1)から(13)のいずれか一つに記載の支援装置。
【0022】
(15)RFタグをリーダで読み取るシステムの構築を支援する機能をコンピュータに実現させる支援プログラムであって、少なくともRFタグの情報、リーダの情報、リーダの使用形態の情報、及び、RFタグをリーダで読み取った際の受信信号強度の情報を含む第1情報を取得する機能と、第1情報が入力するとRFタグの読み取りの設定に関する第2情報を出力するモデルに対し、第1情報を入力して第2情報を取得する機能と、第2情報を出力装置、及び/又は、RFタグの読み取りに関する設定を行う設定装置に出力する機能と、をコンピュータに実現させる支援プログラム。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所望の性能のシステムを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】RFIDシステム及びそのシステムの構築を支援する支援システムの概略構成を示す図
【
図3】システム構築支援装置のハードウェア構成の一例を示す図
【
図4】設定装置としての端末装置が有する主な機能のブロック図
【
図7】システム構築支援装置が有する主な機能のブロック図
【
図8】支援システムを用いてリーダライタの電波出力の設定を最適化する処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図9】RFIDシステムを適用する対象についての情報を質問形式で取得する場合の画面表示の一例を示す図
【
図10】読み取りテストの結果についての情報を質問形式で取得する場合の画面表示の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0026】
ここでは、RFIDの用途が既に定まっており、かつ、使用する機器(RFID機器及びシステム関連機器等)も既に定まっている状態において、RFタグ(Radio Frequency tag)の読み取りに関する設定を最適化する場合を例に説明する。RFIDの用途は、特に限定されない。たとえば、製造業における工程管理、物流における入出荷処理、在庫管理、オフィス等における入退室管理等さまざまである。
【0027】
[RFIDシステム及び支援システム]
図1は、RFIDシステム及びそのシステムの構築を支援する支援システムの概略構成を示す図である。
【0028】
[RFIDシステム]
図1に示すように、RFIDシステム1は、主として、RFタグ10、リーダライタ20、及び、処理システム30で構成される。
【0029】
RFタグ10は、電波を用いて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体である。RFタグ10は、ICタグ(Integrated Circuit tag)、無線ICタグ、無線タグ、RFIDタグ、電子タグなどとも称される。RFタグ自体は公知であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0030】
RFタグ10は、構成及び使用する周波数帯域等によって、複数の種類に分類される。たとえば、バッテリ搭載の有無により、パッシブタグ、アクティブタグ、セミパッシブタグ等に分類される。また、使用する周波数帯域によって、UHFタグ(Ultra High Frequency tag)、NFCタグ(Near Field Communication tag)等に分類される。使用するRFタグ10は、その用途及び使用環境等に応じて、適宜選択される。
【0031】
リーダライタ20は、RFタグ10データを読み書きする装置である。リーダライタ20は、少なくとも、アンテナ及び制御部を有し、アンテナを介して、RFタグ10に電波を送受信する。制御部は、リーダライタ20の動作(電波の送受信、出力調整、処理システムとのデータの送受信等)を統括制御する。リーダライタ自体は公知であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0032】
リーダライタ20は、大きく分けて、ハンディータイプ及び据え置きタイプに分類される。ハンディータイプは、持ち運んで使用できるタイプのリーダライタである。据え置きタイプは、特定の場所に据え置いて使用するタイプのリーダライタである。リーダライタ20は、用途及び使用環境等に応じて、適宜選択される。また、リーダライタ20は、使用するRFタグ10の種類に応じて選択される。特に、使用するRFタグ10の周波数帯域に対応したものが選択される。本実施の形態において、リーダライタ20は、リーダの一例である。
【0033】
処理システム30は、RFタグ10から読み取った情報を活用するシステム(機器を含む)である。処理システムは、上位システムとも称される。処理システム30は、RFIDの用途等に応じて、適宜構築される。たとえば、RFIDを工程管理に使用する場合、RFタグ10から得た情報に基づいて、処理工程を管理するシステムとして構築される。また、たとえば、RFIDを在庫管理に使用する場合、RFタグ10から得た情報に基づいて、在庫を管理するシステムとして構築される。また、たとえば、RFIDを入退室管理に使用する場合、RFタグ10から得た情報に基づいて、入退室を管理するシステムとして構築される。
【0034】
処理システム30は、リーダライタ20と接続される端末装置100を有する。リーダライタ20と端末装置100との接続形態は、特に限定されない。有線方式であってもよいし、無線方式であってもよい。相互に通信可能に接続される形態であればよい。RFタグ10から読み取った情報は、端末装置100を介して、リーダライタ20から処理システム30に取り込まれる。また、RFタグ10に書き込む情報は、端末装置100を介して、リーダライタ20に送信される。すなわち、端末装置100は、処理システム30において、リーダライタ20との接点として機能する。また、端末装置100は、リーダライタ20によるRFタグ10の読み取りに関して、各種設定を行う設定装置として機能する。
【0035】
図2は、端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0036】
一例として、本実施の形態では、端末装置100が、タブレット型コンピュータ(タブレット端末)で構成される。すなわち、タブレット端末が、所定のプログラム(ミドルウェアを含む)を実行することで、端末装置100として機能する。
【0037】
図2に示すように、端末装置100は、プロセッサ101、基本入出力プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)102、プロセッサ101のワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)103、プロセッサ101が実行するオペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データ等を記憶し、ストレージとして機能する補助記憶装置104、ディスプレイ105、ディスプレイ画面へのタッチ操作を検出するタッチパネル106、位置情報(緯度、経度及び高度)を含んだGPS(Global Positioning Systems)信号を受信するGPS受信部107、撮影レンズ及びイメージセンサを含み、画像を電子的に撮影するカメラ部108、マイクロフォンを含み、音声を入力するマイク部109、スピーカを含み、音声を出力するスピーカ部110、第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System:5G)、第4世代移動通信システム(4th Generation Mobile Communication System:4G)等の無線通信システムにより最寄りの基地局等と無線で通信する通信部111、所定の通信規格に従って外部機器と近距離無線で通信する近距離無線通信部112、地磁気センサ、ジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサを含むセンサ部113等を備える。プロセッサ101には、たとえば、CPU(Central Processing Unit)が採用される。補助記憶装置104には、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、SSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリが採用される。ディスプレイ105には、たとえば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、有機ELディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode Display:OLED display)等で構成される。
【0038】
本実施の形態において、端末装置100は、近距離無線通信部112を介して、リーダライタ20と相互に通信可能に接続される。近距離無線通信部112における通信規格は、特に限定されない。一例として、Bluetooth(登録商標)が採用される。この他、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等を採用することもできる。
【0039】
端末装置100を構成するコンピュータ(本実施の形態では、タブレット端末)には、ミドルウェアがインストールされる。ミドルウェアは、リーダライタ20を制御する機能、重複データを削除する機能、読み取りデータをフィルタリングする機能、読み取りデータをアプリケーション(データベース等)に送信する機能等を端末装置100に実現させる。
【0040】
[支援システム]
支援システム2は、RFIDシステム1の構築を支援する。上記のように、本実施の形態では、RFIDの用途が既に定まっており、かつ、使用する機器も既に定まっている状態において、RFタグ10の読み取りに関する設定が最適化されるように支援する。すなわち、RFタグ10の読み取りに関する設定が最適化されるように、その調整(チューニング)を支援する。
【0041】
図1に示すように、本実施の形態の支援システム2は、端末装置100及びシステム構築支援装置200を含む。支援システム2は、端末装置100及びシステム構築支援装置200が協働して、RFタグ10の読み取りに関する設定の調整(チューニング)を支援する。端末装置100及びシステム構築支援装置200は、インターネット等のネットワークNWを通じて、相互に通信可能に接続される。
【0042】
[端末装置]
上記のように、端末装置100は、リーダライタ20によるRFタグ10の読み取りに関して、各種設定を行う設定装置として機能する。
【0043】
[システム構築支援装置]
システム構築支援装置200は、端末装置100を介して所要の情報(システム情報)を取得し、取得した情報に基づいて、RFタグ10の読み取りに関する特定の設定(パラメータ)を最適化する情報を生成する。すなわち、当該設定項目についての最適な設定値の情報を生成する。一例として、本実施の形態では、リーダライタ20の電波出力を最適化する設定値の情報を生成する。
【0044】
図3は、システム構築支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0045】
一例として、本実施の形態では、システム構築支援装置200が、コンピュータで構成される。すなわち、コンピュータが、所定のプログラム(支援プログラム)を実行することにより、システム構築支援装置として機能する。
【0046】
図3に示すように、システム構築支援装置200は、プロセッサ201、ROM202、RAM203、補助記憶装置204、入力装置205、表示装置206及び通信インターフェース(Interface:I/F)207等を備える。
【0047】
プロセッサ201には、たとえば、CPUが採用される。プロセッサ201が実行するオペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データ等は、ROM202又は補助記憶装置204に記憶される。
【0048】
補助記憶装置204は、システム構築支援装置200の記憶部を構成する。補助記憶装置204には、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD等が採用される。
【0049】
入力装置205は、システム構築支援装置200の操作部を構成する。入力装置205は、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル等で構成される。
【0050】
表示装置206は、システム構築支援装置200の表示部を構成する。表示装置206には、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等が採用される。
【0051】
通信インターフェース207は、システム構築支援装置200の通信部を構成する。通信インターフェース207は、少なくともネットワークNWを介して端末装置100と相互に通信可能な構成を有する。
【0052】
[設定装置としての端末装置の機能]
上記のように、端末装置100は、RFタグ10の読み取りに関して、各種設定を行う設定装置として機能する。
図4は、設定装置としての端末装置が有する主な機能のブロック図である。
【0053】
図4に示すように、端末装置100は、設定装置として、システム情報収集部100A、基本情報入力受付部100B、システム情報送信部100C、最適設定情報取得部100D、設定入力受付部100E、及び、設定処理部100F等の機能を有する。各部の機能は、プロセッサ101が、所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0054】
システム情報収集部100Aは、構築するRFIDシステム1に関する情報を収集する。収集する情報は、システム構築支援装置200が行う処理に必要な情報である。後述するように、システム構築支援装置200は、RFタグ10の読み取りに関する特定の設定を最適化する情報を推定する処理を行う。システム情報収集部100Aは、システム構築支援装置200が行う推定処理に必要な情報を収集する。システム情報収集部100Aが収集する情報を「システム情報」とする。本実施の形態において、システム情報には、少なくとも、(A)RFタグ10の情報、(B)リーダライタ20の情報、(C)リーダライタ20の使用形態の情報、及び、(D)RFタグ10をリーダライタ20で読み取った際の受信信号強度(Received Signal Strength Indicator:RSSI)の情報が含まれる。本実施の形態において、システム情報は、第1情報の一例である。
【0055】
RFタグ10の情報は、構築するRFIDシステム1で使用するRFタグ10を特定する情報である。使用するRFタグ10を特定できる情報であれば、その種別は問わない。たとえば、製品名、型番等を使用できる。
【0056】
リーダライタ20の情報は、構築するRFIDシステム1で使用するリーダライタ20を特定する情報である。使用するリーダライタ20を特定できる情報であれば、その種別は問わない。たとえば、製品名、型番等を使用できる。
【0057】
リーダライタ20の使用形態の情報は、構築するRFIDシステム1において、どのような形態でリーダライタ20を使用するかについての情報である。リーダライタ20の使用形態には、単一のRFタグ10を読み取る使用形態、複数のRFタグ10を一括して読み取る使用形態、及び、特定のRFタグを探索する使用形態等が存在する。使用形態に応じて最適な設定も変わる。このため、リーダライタ20の使用形態の情報が取得される。
【0058】
RFIDにおけるRSSIは、リーダライタ20から送信される電波をRFタグ10が受信した際に、RFタグ10からリーダライタ20に送り返す電波の強度を意味する。RSSIの情報は、実際の使用環境、又は、実際の使用環境に近い環境でRFタグ10をリーダライタ20で読み取った際の情報が取得される。したがって、RSSIの情報は、リーダライタ20から取得される。また、リーダライタ20には、RSSIを計測する機能が備えられる。
【0059】
システム情報収集部100Aは、システム情報のうちRSSIの情報をリーダライタ20から取得し、その他の情報を基本情報として基本情報入力受付部100Bから取得する。
【0060】
基本情報入力受付部100Bは、ユーザからRFIDシステム1に関する基本情報の入力を受け付ける。基本情報は、システム情報のうちRSSIの情報を除く情報で構成される。本実施の形態では、所定の入力画面をディスプレイ105に表示させて、ユーザからRFIDシステム1に関する基本情報の入力を受け付ける。
【0061】
【0062】
図5は、RFタグ10の情報、リーダライタ20の情報、及び、リーダライタ20の使用形態の情報の入力を受け付ける場合の例を示している。
図5に示すように、ディスプレイ105の画面上にRFタグ10の情報の入力欄105a、リーダライタ20の情報の入力欄105b、及び、リーダライタ20の使用形態の情報の入力欄105cが表示される。
【0063】
RFタグ10の情報の入力欄105a、及び、リーダライタ20の情報の入力欄105bは、それぞれメーカの入力欄105a1、105b1、及び、製品名(機種名)の入力欄105a2、105b2で構成される。
【0064】
ユーザは、タッチパネル106を利用して、各入力欄105a~105cに所定の情報を入力する。入力には、たとえば、プルダウン(ドロップダウンリスト)を用いて、所定の選択項目の中から選択させる方式を採用することもできる。たとえば、リーダライタ20の使用形態について、プルダウンにより、「単一読み取り」、「一括読み取り」及び「探索」の中から一つを選択させる方式を採用できる。なお、「単一読み取り」は、単一のRFタグ10を読み取る使用形態である。また、「一括読み取り」は、複数のRFタグ10を一括して読み取る使用形態である。また、「探索」は、特定のRFタグ10を探し調べる使用形態である。
【0065】
RFタグ10及びリーダライタ20の情報についても同様にプルダウンを用いて入力する方式を採用できる。この場合、たとえば、「メーカ」、「製品名」の順でユーザに選択させる構成とし、「メーカ」を選択すると、選択されたメーカの製品(機種)に限定されて、「製品名」の選択が行われるように構成することが好ましい。
【0066】
システム情報送信部100Cは、システム情報収集部100Aが収集したシステム情報をシステム構築支援装置200に送信する。
【0067】
最適設定情報取得部100Dは、システム構築支援装置200から最適設定情報を取得する。この最適設定情報は、RFタグ10の読み取りに関する特定の設定項目を最適化する設定値(最適設定)の情報である。上記のように、本実施の形態では、リーダライタ20の電波出力を最適化する設定値の情報が最適設定情報として取得される。最適設定情報は、システム情報に基づいて、システム構築支援装置200で生成される。最適設定情報の生成については、後述する。
【0068】
設定入力受付部100Eは、RFタグ10の読み取りに関する各種設定の入力を受け付ける。本実施の形態では、所定の設定画面をディスプレイ105に表示させて、ユーザから各種設定の入力を受け付ける。
【0069】
【0070】
図6は、(1)電波出力の設定、(2)フラグの設定、(3)セッションの設定、(4)電波照射時間の設定、(5)周波数帯の設定、及び、(6)読み取る受信信号強度の閾値の設定が可能な場合の例を示している。この場合、ディスプレイ105の画面上に電波出力の設定情報の入力欄105d、フラグの設定情報の入力欄105e、セッションの設定情報の入力欄105f、電波照射時間の設定情報の入力欄105g、周波数帯の設定情報の入力欄105h、及び、読み取る受信信号強度の閾値の設定情報の入力欄105iが表示される。ユーザは、タッチパネル106を利用して、各入力欄105d~105iに所望の設定情報を入力する。入力には、たとえば、プルダウンを用いて、所定の選択項目の中から選択させる方式を採用できる。
【0071】
(1)電波出力
「電波出力」は、リーダライタ20から送信する電波の強度である。一般に電波出力を上げるほど通信距離(読み取り可能な範囲)が延びる。
【0072】
「電波出力」の項目は、たとえば、あらかじめ定められた範囲内でユーザが所望の設定値を選択して設定する。あるいは、ユーザが直接数値を入力して設定する。
【0073】
(2)フラグ
「フラグ(イベントリフラグ)」は、RFタグが有する機能の一つであり、RFタグが読み取り済みか否かを示すものである。まだ読み取られていない場合、RFタグはフラグAの状態である。RFタグがリーダライタからの電波を受けて読み取られる(イベントリ)と、RFタグはフラグBの状態に変化する。フラグBの状態に変化した後、一定時間が経過すると、RFタグは、自動的にフラグAの状態に変化する。フラグを設定することにより、どの状態のRFタグを読み取るかを制御できる。
【0074】
「フラグの設定」の項目は、たとえば、「フラグA」、「フラグB」及び「フラグAB」の中から1つを選択して設定する。
【0075】
「フラグA」は、フラグAの状態のRFタグ、すなわち、まだ読み取られていない状態のRFタグのみを読み取る設定である。「フラグA」は、たとえば、重複して読み取りたくない場合などに使用される。
【0076】
「フラグB」は、フラグBの状態のRFタグ、すなわち、既に読み取られた状態のRFタグのみを読み取る設定である。「フラグB」は、たとえば、複数のリーダライタを使用する場合において、他のリーダライタで既に読み取られたRFタグを読み取る場合になどに使用される。
【0077】
「フラグAB」は、フラグの状態に関わらず、RFタグを読み取る設定である。すなわち、読み取りが完了したかどうかに関わらず、RFタグを読み取る設定である。
【0078】
(3)セッション
「セッション」は、フラグBからフラグAに戻るまでの状態をどのように維持するかを指定するものである。
【0079】
「セッションの設定」の項目は、たとえば、「セッション0」、「セッション1」及び「セッション2/セッション3」の中から1つを選択して設定する。
【0080】
「セッション0」は、RFタグがフラグAの状態からフラグBの状態に変化した後、リーダライタからの電波受信中はフラグBの状態を維持し、電波が切れたら直ぐにフラグAの状態に戻す設定である。
【0081】
「セッション1」は、RFタグがフラグAの状態からフラグBの状態に変化した後、電波の受信の有無に関わらず、0.5~5秒の間にフラグAの状態に戻す設定である。
【0082】
「セッション2/セッション3」は、RFタグがフラグAの状態からフラグBの状態に変化した後、リーダライタからの電波受信中はフラグBの状態を維持し、電波が切れても少なくとも2秒はフラグBの状態を維持する設定である。
【0083】
(4)電波照射時間
「電波照射時間」は、リーダライタから照射される電波の照射間隔である。一般に、電波照射時間の設定値(ミリ秒)を上げるほど、読み取りスピードが速くなる。
【0084】
「電波照射時間の設定」の項目は、たとえば、あらかじめ定められた時間の範囲内(たとえば、40~400ミリ秒の間)でユーザが所望の設定値(時間の設定値)を選択して設定する。あるいは、ユーザが直接数値を入力して設定する。
【0085】
(5)周波数帯
「周波数帯」は、使用する電波の周波数帯である。「周波数帯の設定」の項目は、たとえば、あらかじめ定められた複数のチャネルの中から1つを選択して設定する。
【0086】
(6)読み取る受信信号強度の閾値の設定
「受信信号強度の閾値」とは、RFタグの読み取りに使用する電波の受信信号強度(RSSI)の閾値のことである。閾値以上の電波が、RFタグの読み取りに使用される。換言すると、閾値未満の電波は、リーダライタ20で受信しても、読み取りに使用されない。すなわち、受信しなかったものとして扱われる。
【0087】
「受信信号強度の閾値の設定」の項目は、たとえば、あらかじめ定められた数値の範囲内でユーザが所望の設定値を選択して設定する。あるいは、ユーザが直接数値を入力して設定する。
【0088】
各設定項目については、デフォルトの設定が定められる。したがって、特にユーザが設定操作を行わない場合、デフォルトの設定が適用される。
【0089】
設定処理部100Fは、ユーザから設定の変更を受け付けた場合、及び、システム構築支援装置200から最適設定についての情報を取得した場合に、受け付けた設定及び取得した設定を反映させる処理を行う。設定は、たとえば、ミドルウェアを介して反映される。
【0090】
[システム構築支援装置の機能]
図7は、システム構築支援装置が有する主な機能のブロック図である。
【0091】
図7に示すように、システム構築支援装置200は、主として、システム情報取得部200A、推定部200B及び最適設定情報送信部200C等の機能を有する。各部の機能は、プロセッサ201が、所定のプログラム(支援プログラム)を実行することにより実現される。
【0092】
システム情報取得部200Aは、システム情報を取得する。上記のように、システム情報は、ネットワークNWを介して、端末装置100からシステム構築支援装置200に送信される。システム情報取得部200Aは、端末装置100から送信される情報を受信して、システム情報を取得する。取得したシステム情報は、推定部200Bに加えられる。
【0093】
推定部200Bは、リーダライタ20によるRFタグ10の読み取りに関して、特定の設定項目を最適化する設定値(最適設定)を推定する。本実施の形態では、リーダライタ20の電波出力の最適設定を推定する。推定部200Bは、システム情報取得部200Aが取得したシステム情報に基づいて、リーダライタ20の電波出力の最適設定を推定する。本実施の形態の推定部200Bは、学習済みモデルMを用いて、リーダライタ20の電波出力の最適設定を推定する。本実施の形態において、リーダライタ20の電波出力の最適設定の情報は、第2情報の一例である。
【0094】
学習済みモデルMは、システム情報を説明変数、最適設定を目的変数として、機械学習により生成される。機械学習のアルゴリズムは、特に限定されない。線形回帰、ガウス過程回帰、サポートベクタ回帰、決定木、回帰木、アンサンブル法、バギング法、ブースティング法、勾配ブースティング法、ニューラルネットワーク等の既知の機械学習アルゴリズムを採用できる。
【0095】
学習済みモデルMの生成は、システム構築支援装置200で行ってもよいし、他の装置(コンピュータ)で行ってもよい。学習済みモデルMを生成する装置(学習装置)は、説明変数と目的変数とのデータセットを用いて、規定の機械学習アルゴリズムで機械学習を実行し、システム情報から最適設定を推定するモデルを生成する。生成されたモデルが、学習済みモデルMとして、システム構築支援装置200に取り込まれ、補助記憶装置204に記憶される。推定部200Bは、補助記憶装置204に記憶された学習済みモデルMを用いて、システム情報からリーダライタ20の電波出力の最適設定を推定する。
【0096】
最適設定情報送信部200Cは、推定部200Bが推定した最適設定の情報を最適設定情報として、端末装置100に送信する。本実施の形態では、リーダライタ20の電波出力を最適設定の情報を最適設定情報として端末装置100に送信する。
【0097】
[支援システムの作用]
上記のように、本実施の形態の支援システム2は、RFIDの用途及び使用環境が既に定まっており、かつ、実際に現場で使用するRFID機器及びシステム関連機器が既に選定された状態において、リーダライタ20の電波出力の設定を最適化する用途で用いられる。すなわち、電波出力が最適化されるように、その設定の調整を支援する用途で用いられる。
【0098】
図8は、支援システムを用いてリーダライタの電波出力の設定を最適化する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、ユーザは、端末装置100において、RFIDシステム1の基本情報を入力する(ステップS101)。本実施の形態では、RFIDシステム1の基本情報として、使用するRFタグ10の情報、使用するリーダライタ20の情報、及び、リーダライタ20の使用形態の情報を入力する。各情報は、端末装置100のディスプレイ105に所定の入力画面を表示させて入力する(
図5参照)。
【0100】
次いで、ユーザは、読み取りに関する設定を入力する(ステップS102)。なお、この処理は必ずしも必要ではない。デフォルトの設定を変える場合等、必要に応じて行われる。設定の入力は、端末装置100のディスプレイ105に所定の設定画面を表示させて行う(
図6参照)。端末装置100は、ユーザからの設定反映の指示に基づいて、入力された設定を反映させる(ステップS103)。
【0101】
以上により、調整の準備が完了する。この後、ユーザは、読み取りのテストを実施する(ステップS104)。すなわち、実際にリーダライタ20でRFタグ10を読み取る操作を行う。テストは、実際の使用環境、又は、実際の使用環境に近い環境で行う。この読み取りテストにより、RSSIの情報が取得される。
【0102】
読み取りテスト後、端末装置100は、システム情報を収集する(ステップS105)。本実施の形態では、RFタグ10の情報、リーダライタ20の情報、リーダライタ20の使用形態の情報、及び、RSSIの情報がシステム情報として収集される。このうちRFタグ10の情報、リーダライタ20の情報、及び、リーダライタ20の使用形態の情報については、ユーザが基本情報として入力した情報を取得する。一方、RSSIの情報については、読み取りテストで得られた情報をリーダライタ20から取得する。
【0103】
端末装置100は、取集したシステム情報をシステム構築支援装置200に送信する(ステップS106)。
【0104】
システム構築支援装置200は、端末装置100から送信されるシステム情報を受信する(ステップS201)。これにより、システム構築支援装置200において、最適設定の推定に必要な情報が取得される。
【0105】
システム構築支援装置200は、取得したシステム情報に基づき、学習済みモデルMを用いて、リーダライタ20の電波出力を最適化する設定値(最適設定)を推定する(ステップS202)。
【0106】
システム構築支援装置200は、推定したリーダライタ20の電波出力の最適設定の情報(最適設定情報)を端末装置100に送信する(ステップS203)。
【0107】
端末装置100は、システム構築支援装置200から送信された最適設定情報を受信する(ステップS107)。これにより、端末装置100において、リーダライタ20の電波出力の調整(チューニング)に必要な情報が取得される。端末装置100は、取得した設定値をリーダライタ20の電波出力の設定を反映させる(ステップS108)。
【0108】
設定の反映後、ユーザは、再度、読み取りのテストを実施する(ステップS109)。すなわち、実際にリーダライタ20でRFタグ10を読み取る操作を行う。
【0109】
ユーザは、テスト結果を評価し、自身が望む性能が得られたか否かを判断する(ステップS110)。たとえば、所望の精度で読み取りができたか否か、読み取りたいRFタグを読み取れたか否か、読み取りたくないRFタグの読み取りを排除できたか、希望する範囲又は位置で読み取れたか否か、読み取りたくない範囲又は位置での読み取りを排除できたか否か等を判断する。
【0110】
所望の性能が得られた判断すると、ユーザは、調整(チューニング)の作業を終了する。すなわち、自身が望む性能のシステムが構築できたと判断すると、調整の作業を終了する。
【0111】
一方、所望の読み取りができていないと判断すると、ユーザは、継続して調整の作業を実施する。この場合、上記ステップS107~S110及びステップS201~S203の処理を実施する。すなわち、電波出力を変えることで、RSSIも変わるので、新たにテスト後のシステム情報を収集し、システム構築支援装置200に送信する。システム構築支援装置200は、端末装置100から送信されたシステム情報を受信し、受信したシステム情報に基づいて、リーダライタ20の電波出力の最適設定を推定する。そして、新たに推定したリーダライタ20の電波出力の最適設定の情報(最適設定情報)を端末装置100に送信する。端末装置100は、システム構築支援装置200から送信された最適設定情報を受信し、新たに推定された設定値をリーダライタ20の電波出力の設定に反映させる。設定反映後、再度読み取りテストを実施し、結果を評価する。これらの処理を所望の読み取り性能が得られるまで繰り返し実行する。これにより、所望の性能に近づけることができる。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態の支援システム2によれば、所要の情報を入力して、読み取りのテストを実施するだけで、リーダライタ20の電波出力の設定を最適化できる。これにより、RFIDについて専門的な知識、経験、ノウハウ等が無くても、所望の性能を有するRFIDシステム1を構築できる。
【0113】
[変形例]
[システム情報]
(1)システム情報の他の例
上記実施の形態では、(A)RFタグ10の情報、(B)リーダライタ20の情報、(C)リーダライタ20の使用形態の情報、及び、(D)RSSIの情報をシステム情報として用いているが、システム情報として利用する情報は、これに限定されるものではない。上記のように、システム情報は、最適設定の推定に使用される。したがって、最適設定の推定に有用とされる情報をシステム情報として利用することが好ましい。
【0114】
たとえば、RFIDシステム1を適用する対象の情報、RFIDシステム1を使用する環境の情報等をシステム情報に加えることができる。
【0115】
RFIDシステム1を適用する対象の情報には、たとえば、RFタグ10が貼付される対象の情報、及び、RFタグ10の読み取り形態の情報等が含まれる。RFタグ10が貼付される対象の情報には、RFタグ10が貼付される対象の材質、大きさ(サイズ)等の情報が含まれる。RFタグ10の読み取り形態の情報とは、RFタグ10をどのようにしてリーダライタ20で読み取るかの情報である。たとえば、リーダライタ20を据え置いて使用する、リーダライタ20人が手でもって読み取る等の情報が、これに該当する。
【0116】
RFIDシステム1を使用する環境の情報は、いわゆる周辺環境の情報であり、たとえば、周辺におけるノイズ源の有無、電波反射体の有無、電波吸収体の有無等の情報が含まれる。また、周辺にノイズ源、電波反射体及び電波吸収体等が存在する場合には、それらの形状、距離等の情報も含まれる。
【0117】
RFIDシステム1を適用する対象の情報、及び/又は、RFIDシステム1を使用する環境の情報については、たとえば、質問形式又は対話形式で必要な情報をユーザから取得する構成とすることができる。すなわち、必要な情報についての質問事項をユーザに提示し、その回答をユーザが入力して、必要な情報を取得する構成とすることができる。具体的には、端末装置100のディスプレイ105に質問事項を表示し、その回答をユーザがタッチパネル106から入力する。回答については、直接ユーザがテキスト入力する方式としてもよいし、また、複数の選択肢を提示し、提示した中から選択する方式としてもよい。
【0118】
図9は、RFIDシステムを適用する対象についての情報を質問形式で取得する場合の画面表示の一例を示す図である。
図9は、RFタグ10が貼付される対象の材質及び大きさ(サイズ)の情報を取得する場合の例を示している。ユーザは、画面に表示される質問事項に対し、回答を回答欄に入力する。回答については、プルダウンによって複数の選択肢を提示し、ユーザに選択させて入力する方式を採用してもよい。
【0119】
更に、システム情報には、読み取りテストの結果の情報を含めてもよい。たとえば、あらかじめ定められた方法で読み取りテストを実施し、その結果についての情報をシステム情報に含めることができる。たとえば、特定のRFタグの読み取り結果の情報をシステム情報に含めることができる。たとえば、特定のRFタグとして、読み取りたいRFタグ及び読み取りたくないRFタグを用意し、それぞれの読み取り結果の情報をシステム情報として利用することができる。また、たとえば、読み取りたい位置又は範囲にRFタグを配置し、その読み取り結果の情報をシステム情報として利用してもよい。あるいは、読み取りたくない位置又は範囲にRFタグを配置し、その読み取り結果の情報をシステム情報として利用してもよい。
【0120】
また、読み取りテストの結果の情報については、対話形式又は質問形式で必要な情報を取得する方式を採用できる。たとえば、読み取りテストを実施した後、あらかじめ定めた質問事項をユーザに提示し、その回答をユーザから得ることで、必要な情報を取得する方式を採用できる。この場合、質問事項を端末装置100のディスプレイ105に表示し、その回答をユーザがタッチパネル106から入力する。
【0121】
図10は、読み取りテストの結果についての情報を質問形式で取得する場合の画面表示の一例を示す図である。
【0122】
同図に示すように、あらかじめ定められた質問事項をディスプレイ105に表示する。ユーザは、タッチパネル106を介して各質問事項に対する回答を入力する。質問は平易な形式であることが好ましい。たとえば、
図10に示す例のように、回答がYES又はNOの二者択一の形式で回答できるものが好ましい。これにより、より簡便に必要な情報を入力できる。
【0123】
(2)システム情報を取得する方法の他の例
上記のように、システム情報として使用する情報については、対話形式又は質問形式で必要な情報を取得する方式を採用できる。この際、特定の情報を得るために、複数の質問を行うようにしてもよい。たとえば、システム情報の一つとしてRFタグ10の読み取り形態の情報を取得する場合において、複数の質問事項をユーザに提示し、その回答結果からユーザが望む読み取り形態又はユーザが実際に行っている読み取り形態を推定し、当該情報を取得する手法を採用できる。この推定には、学習済みモデルを採用できる。また、テーブルを利用し、回答結果の組み合わせから、RFタグ10の読み取り形態を推定する手法を採用できる。
【0124】
複数の質問を行う場合、あらかじめ定めた質問事項をあらかじめ定めた順番で回答させるようにしてもよいし、先に答えた内容に従って質問事項を動的に変化させてもよい。
【0125】
システムを使用する環境の情報については、画像から必要な情報を取得してもよい。すなわち、システムを使用する環境を撮影した画像を取得し、当該画像を解析してシステムを使用する環境を認識し、必要な情報を取得する。たとえば、環境を撮影した画像から使用環境(たとえば、屋外、屋内等)、及び、周辺に存在する物体(たとえば、金属棚、梱包物など)等を認識して、システムを使用する環境の情報として利用することができる。この他、画像からリーダライタ及びRFタグを認識し、両者の位置関係の情報(距離の情報を含む)を取得したり、障害物の有無の情報を取得したりすることもできる。
【0126】
画像認識には、学習済みモデルを使用できる。画像認識の処理、及び、必要な情報を抽出する処理等は、端末装置100で行ってもよいし、システム構築支援装置200で行ってもよい。
【0127】
RFIDシステム1を適用する対象についても、同様に必要な情報を画像から抽出して取得することができる。たとえば、RFタグ10を貼付する対象の材質、大きさ等の情報を取得する場合において、対象を撮影した画像を取得し、当該画像を解析して対象の材質、大きさ等を推定し、必要な情報を取得する。
【0128】
[調整対象]
上記実施の形態では、リーダライタ20の電波出力の設定を調整して、RFタグ10の読み取りを最適化する場合について説明したが、調整対象は、これに限定されるものではない。リーダライタ20の電波出力の設定に代えて、あるいは、加えて、フラグの設定、セッションの設定、電波照射時間の設定、周波数帯の設定、読み取る受信信号強度の閾値の設定等を調整する構成としてもよい。この場合、システム構築支援装置200では、システム情報に基づいて、これらの設定を最適化する設定値を個別に推定する。また、この場合、システム構築支援装置200には、システム情報からフラグの最適な設定値を推定するモデル、セッションの最適な設定値を推定するモデル、電波照射時間の最適な設定値を推定するモデル、周波数帯の最適な設定を推定するモデル、読み取る受信信号強度の閾値の最適な設定値を推定するモデル等が適宜用意される。
【0129】
また、上記実施の形態では、使用する機器が既に定まっている状態において、リーダライタ20によるRFタグ10の読み取りに関する設定を最適化する場合を例に説明したが、同様の手法で使用する機器を最適化してもよい。すなわち、所要の情報から学習済みモデルを使用して、最適な機器(たとえば、使用するリーダライタ、RFタグ等)を推定する。
【0130】
[設定の反映方法]
上記実施の形態では、システム構築支援装置200で推定された設定を自動的に反映させる構成としているが、手動で反映させる構成としてもよい。この場合、たとえば、推定結果を端末装置100のディスプレイ105に表示させる。ユーザは、ディスプレイ105の表示から最適設定の情報を取得し、該当する設定の設定値を手動で入力して、設定を反映させる。この場合、現在の設定値及び推定した設定値を表示し、推定した設定値を目標値として調整できるようにすることが好ましい。本例において、ディスプレイ105は、出力装置の一例である。
【0131】
[設定の修正]
システム構築支援装置200で推定された設定を反映後、更に手動で設定を調整できるようにしてもよい。これにより、たとえば、読み取りテスト後の微調整が可能になる。調整は、たとえば、設定画面で行う。この際、現在の設定を表示することが好ましい。
【0132】
また、読み取りテスト後の調整方法として、質問事項をユーザに提示し、その回答結果から調整項目及び/又は調整量を推定し、ユーザに提示してもよい。推定には、学習済みモデルを利用できる。質問は対話形式で行い、複数の質問を積み重ねて、調整項目及び/又は調整量を推定してもよい。また、推定した結果をユーザからの指示に応じて、自動で反映させてもよい。
【0133】
また、推定した設定を修正した場合、修正後の設定値及びシステム情報を取得し、取得した情報を学習済みモデルの生成又は更新に利用してもよい。
【0134】
[システム構成]
上記実施の形態では、端末装置100を構成するコンピュータに所定のミドルウェアをインストールすることで、読み取りに関する各種機能(重複データを削除する機能、読み取りデータをフィルタリングする機能等)を実現しているが、端末装置100の機能をリーダライタ20に持たせてもよい。
【0135】
また、上記実施の形態では、端末装置100及びシステム構築支援装置200を別の装置で構成しているが、端末装置100及びシステム構築支援装置200の機能を1つの装置で実現してもよい。
【0136】
[初期設定]
上記のように、ユーザが手動で調整する場合を除いて、最初の読み取りテストは、デフォルトの設定で行われる。この他、調整済みの設定値の情報を利用して、最初の読み取りテストを行う構成としてもよい。このため、調整が完了した設定値の情報をデータベースに記録し、適宜呼び出して使用できるようにすることが好ましい。データベースは、たとえば、システム構築支援装置200が保持し、調整が完了した設定値と、システム情報とを関連付けて記録する。
【0137】
[その他]
本発明において、各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0138】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサ(たとえば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0139】
また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0140】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0141】
1…RFIDシステム
2…支援システム
3…セッション
10…RFタグ
20…リーダライタ
30…処理システム
100…端末装置
100A…システム情報収集部
100B…基本情報入力受付部
100C…システム情報送信部
100D…最適設定情報取得部
100E…設定入力受付部
100F…設定処理部
101…プロセッサ
104…補助記憶装置
105…ディスプレイ
105a…RFタグの情報の入力欄
105a1…メーカの入力欄
105a2…製品名(機種名)の入力欄
105b…リーダライタの情報の入力欄
105b1…メーカの入力欄
105b2…製品名(機種名)の入力欄
105c…リーダライタの使用形態の情報の入力欄
105d…電波出力の設定情報の入力欄
105e…フラグの設定情報の入力欄
105f…セッションの設定情報の入力欄
105g…電波照射時間の設定情報の入力欄
105h…周波数帯の設定情報の入力欄
105i…読み取る受信信号強度の閾値の設定情報の入力欄
106…タッチパネル
107…GPS受信部
108…カメラ部
109…マイク部
110…スピーカ部
111…通信部
112…近距離無線通信部
113…センサ部
200…システム構築支援装置
200A…システム情報取得部
200B…推定部
200C…最適設定情報送信部
201…プロセッサ
202…ROM
203…RAM
204…補助記憶装置
205…入力装置
206…表示装置
207…通信インターフェース
M…学習済みモデル
NW…ネットワーク
S101~S110、S201~S203…支援システムを用いてリーダライタの電波出力の設定を最適化する処理の流れ