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特開2025-14471磁気共鳴イメージング装置、再構成条件検索方法、および磁気共鳴イメージングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014471
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置、再構成条件検索方法、および磁気共鳴イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 376
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117052
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】弁理士法人山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄司 博樹
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】濱田 康太
(72)【発明者】
【氏名】須永 研太朗
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 克成
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB04
4C096AB07
4C096AB08
4C096AB12
4C096AB50
4C096AD13
4C096DA19
4C096DB20
4C096DC08
4C096DC33
4C096DC40
4C096DD08
(57)【要約】
【課題】MRI装置において再構成条件を設定する際に、ユーザ所望の再構成条件を容易に設定できる技術を提供する。
【解決手段】MRI装置で得られるローデータ或いは再構成途中の中間データを装置に保存し、画像処理に関わるパラメータのみを後から変更して再度再構成(ポスト再構成)を行う。ポスト再構成した画像に対してユーザが評価を入力できる手段を提供し、結果を蓄積する。この評価結果を統計処理や機械学習を用いて解析することで、推奨再構成条件を検索し、その結果をユーザにサジェストする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が発生する核磁気共鳴信号を収集する撮像部、前記核磁気共鳴信号からなるローデータを用いて前記被検体の再構成画像を生成する演算部、及び、前記再構成画像の推奨再構成条件を検索する再構成条件検索部を備え、
前記再構成条件検索部は、
前記演算部で生成された画像用データを取得する画像用データ取得部と、
前記画像用データを用いて、前記演算部が画像を再構成したときの再構成条件とは異なる再構成条件で画像の再構成を行うポスト再構成部と、
前記ポスト再構成部が再構成した画像を提示し、当該画像に対するユーザ評価を受け付けて、ユーザ評価と再構成条件とを紐づけた評価データとしてデータベースに格納する評価情報収集部と、
前記データベースに蓄積されている評価データを解析し、推奨再構成条件を決定する評価結果解析部と、を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記画像用データ取得部は、前記画像用データとして前記ローデータを取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記演算部が行う再構成画像の生成は、複数段階の処理を含み、
前記画像用データ取得部は、前記画像用データとして、前記複数段階の処理のいずれかで生成される中間データを取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記複数段階の処理は、前記ローデータの画像空間への変換処理と、画像空間のデータに対する補正処理とを含み、
前記画像用データ取得部は、前記画像用データとして、前記変換処理後の画像用データを取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記再構成条件検索部は、前記推奨再構成条件を用いたシミュレーション画像を生成するシミュレーション画像生成部をさらに備え、
前記推奨再構成条件と共に前記シミュレーション画像を提示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
撮像中の体動を判定する体動判定部をさらに含み、
前記画像用データ取得部は、前記画像用データとともに前記体動判定部が判定した体動情報を取得し、
前記再構成条件検索部は、前記推奨再構成条件として前記体動情報に関する再構成条件を提示することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、
前記再構成条件検索部は、前記データベースに蓄積された評価データを用いた統計処理または機械学習により前記推奨再構成条件を決定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
核磁気共鳴信号からなるローデータを再構成して画像を生成する磁気共鳴イメージングにおいて、ユーザに推奨再構成条件を提示するための方法であって、
ローデータ又は再構成の中間データを用いて画像を再度再構成するポスト再構成ステップと、
生成したポスト再構成画像に対するユーザ評価を受け付けるステップと、
ポスト再構成時の再構成条件とポスト再構成画像に対するユーザ評価とを紐づけた評価データを蓄積するステップと、
蓄積された評価データを解析し、推奨再構成条件を決定するステップと、を含む再構成条件検索方法。
【請求項9】
請求項8に記載の再構成条件検索方法であって、
撮像中に生じた体動情報を受け付けるステップをさらに含み、
前記推奨再構成条件とともに、体動に関するサジェストを提示することを特徴とする再構成条件検索方法。
【請求項10】
請求項8に記載の再構成条件検索方法であって、
中間データを用いたポスト再構成ステップは、ローデータから前記中間データを生成するまでの処理を省いた再構成ステップからなることを特徴とする再構成条件検索方法。
【請求項11】
被検体が発生する核磁共鳴信号を収集し、前記被検体の再構成画像を生成する磁気共鳴イメージング装置と、当該磁気共鳴イメージング装置が取得した画像用データを解析し、推奨再構成条件を検索するデータ処理装置と、を含み、
前記データ処理装置は、
前記画像用データを用いて、前記磁気共鳴イメージング装置で再構成した画像とは異なる再構成条件で画像の再構成を行うポスト再構成部と、
前記ポスト再構成部が再構成した画像を提示し、当該画像に対するユーザ評価を受け付けて、ユーザ評価と再構成条件とを紐づけた評価データとしてデータベースに格納する評価情報収集部と、
前記データベースに蓄積されている評価データを解析し、推奨再構成条件を検索する解析部と、を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴イメージング(以下、MRIという)装置に係り、特にMRI装置において画像再構成条件のユーザ設定を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置で得られる画像は、撮像条件や設定した撮像パラメータによって、コントラスト、アーチファクトの抑制の程度などが大きく異なる。しかし、MRIにおいて設定される撮像パラメータは、FOV、TE、TR、倍速率などの他に、撮像に用いるパルスシーケンスに応じた種々のパラメータがあり、また診断の目的やユーザの好みによっても求められる画像の画質は異なるため、多種の撮像パラメータから診断の目的やユーザの好みに合致する撮像パラメータを設定することは困難である。
【0003】
さらにMRIでは、核磁気共鳴信号からなるローデータ(raw data)を再構成して画像化する際に、再構成手法の選択や再構成パラメータの設定など種々の再構成条件の設定が必要となる。最適な再構成条件は撮像対象や撮像条件の違いによって、またユーザの好みによって異なる。
【0004】
このため、従来、例えば様々なパラメータをON/offした条件を作成し、ボランティア撮像などを繰り返し実施して、好みの画質に近づける、或いは煩瑣な作業を避けてメーカー推奨パラメータを使用する、などで対応している。
【0005】
MRI装置に限らず、医用撮像装置では画像化において複数のパラメータを設定することは必須であり、特許文献1には、医師が好む再構成パラメータ値を指定するための撮像システムが提案されている。この技術では、画像を再構成した後に、その結果をフィードバックし、再構成パラメータを調整して、もう1度再構成を行う。フィードバックと再-再構成を繰り返し、最終的に医師が所望する再構成パラメータ値を確定して再構成を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2015-510157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術は、ローデータが投影データや放射線透過データなどの比較的データ量が小さい画像診断装置、例えばCT装置には容易に適用することができるが、この技術をMRI装置に適用することは、以下の理由で難しい。MRI装置を用いた検査では、通常、複数の撮像を組み合わせたプロトコルを作成し、プロトコルに沿って検査が行われる。プロトコル作成においては、それに含まれる撮像ごとに条件設定をすることになるので、撮像部位やコントラストなど、画像種の組み合わせが膨大にある。さらに近年の画像フィルタの多様化、画像再構成技術の高度化に伴い、画像処理の種類も膨大にあるため、特許文献1に開示されるような技術で、一つ一つにユーザの好みのパラメータを当てはめるのは現実的ではない。またユーザ側で様々な機能を組み合わせて好みの画像に仕上げるのも極めて困難になってきている。
【0008】
本発明は、上述したMRI装置における再構成条件最適化の困難性を解決し、ユーザ所望の再構成条件を容易に設定できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、ローデータを装置に保存し、画像処理に関わるパラメータのみを後から変更して再度再構成を行う。以下、事後的に行う再構成をポスト再構成という。このポスト再構成した画像に対してユーザが評価を入力できる手段を提供し、結果を蓄積する。この評価結果を統計処理や機械学習を用いて解析し、解析結果をユーザにサジェストする。
【0010】
即ち、本発明のMRI装置は、被検体が発生する核磁共鳴信号を収集する撮像部、核磁気共鳴信号からなるローデータを用いて被検体の再構成画像を生成する演算部、及び、再構成画像の再構成条件を解析する再構成条件解析部を備える。再構成条件解析部は、演算部で生成された画像用データを取得する画像用データ取得部と、画像用データを用いて、演算部が画像を再構成したときの再構成条件とは異なる再構成条件で画像の再構成を行うポスト再構成部と、ポスト再構成部が再構成した画像を提示し、当該画像に対するユーザ評価を受け付けて、ユーザ評価と再構成条件とを紐づけた評価データとしてデータベースに格納する評価情報収集部と、データベースに蓄積されている評価データを解析し、推奨再構成条件を決定する評価結果解析部と、を有する。
【0011】
ポスト再構成部の機能は、画像を再構成する演算部が兼ねることができる。
【0012】
また本発明は、核磁気共鳴信号からなるローデータを再構成して画像を生成する磁気共鳴イメージングにおいて、ユーザが所望する再構成条件を提示するための方法を提供する。この方法は、ローデータ又は再構成の中間データを用いて画像を再度再構成するポスト再構成ステップと、生成したポスト再構成画像に対するユーザ評価を受け付けるステップと、ポスト再構成時の再構成条件とポスト再構成画像に対するユーザ評価とを紐づけた評価データを蓄積するステップと、蓄積された評価データを解析し、推奨再構成条件を決定するステップと、を含む。
【0013】
さらに本発明は、被検体が発生する核磁共鳴信号を収集し、前記被検体の再構成画像を生成する磁気共鳴イメージング装置と、当該磁気共鳴イメージング装置が取得したデータを解析するデータ処理装置と、を含む磁気共鳴イメージングシステムを提供する。データ処理装置は、磁気共鳴イメージング装置で得られる画像用データを用いて、磁気共鳴イメージング装置で再構成した画像とは異なる再構成条件で画像の再構成を行うポスト再構成部と、ポスト再構成部が再構成した画像を提示し、当該画像に対するユーザ評価を受け付けて、ユーザ評価と再構成条件とを紐づけた評価データとしてデータベースに格納する評価情報収集部と、データベースに蓄積されている評価データを解析し、推奨再構成条件を検索する解析部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、種々の再構成パラメータでポスト再構成した画像に対するユーザの評価結果を蓄積しておき、評価結果を解析することにより、膨大なローデータ且つ多種類の再構成パラメータの組み合わせに対し、ユーザ所望の推奨再構成パラメータを提示することができる。これにより、MRIにおける画質調整作業の改善を図ることができ、一連の撮像を組み合わせたプロトコル作成の効率化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】MRI装置の全体概要を示す図
図2】計算機の機能ブロック図
図3】実施形態1の動作のフローを示す図
図4】画像再構成処理の詳細を示す図
図5】ポスト再構成における再構成パラメータ設定画面の一例を示す図
図6】画質評価の入力画面の一例を示す図
図7】データベースに格納されるデータの一例を示す図
図8】画質評価結果解析部の一例を示す図
図9】推奨再構成条件の提示画面の一例を示す図
図10】変形例1の画像再構成部の機能ブロック図
図11】変形例1の推奨再構成条件の提示処理の流れを示す図
図12】変形例2の計算機の機能ブロック図
図13】磁気共鳴イメージングシステムの概要を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のMRI装置及びデータ処理装置の実施形態を説明する。
【0017】
本発明のMRI装置は、MRI装置で再構成する画像に対し、後処理として再度再構成を行う機能(ポスト再構成機能)を備えるものであり、その際、ポスト再構成の際の再構成条件とポスト再構成された画像に対するユーザの画質評価情報を蓄積し、推奨再構成パラメータを検索するために、蓄積した情報を解析する(評価結果解析機能)。本発明に特徴的な機能はMRI装置に備えられた計算機において実現する態様と、MRI装置に接続可能な独立したデータ処理装置において実現する態様とがある。以下の実施形態では、MRI装置の計算機或いはそれに付属する演算装置においてポスト再構成機能及び評価結果解析機能を実現する態様について説明する。
【0018】
<実施形態1>
MRI装置10は、図1に示すように、被検体101を構成する組織(原子)に核磁気共鳴を生じさせて、核磁気共鳴信号を収集する撮像部100と、撮像部100が取得した核磁気共鳴信号からなるデータを処理するとともに撮像部100を含む装置全体を制御する計算機200とを備える。計算機200には、計算に必要なデータやプロブラムなどを格納する外部記憶装置300、及び、医師や検査技師などのユーザとのやり取りを行うためのユーザインターフェイス部(UI部)400が接続されている。UI部400は、ディスプレイ401及び入力装置402を含む。さらに計算機200は、種々のデータベース500と接続することができ、データのやり取りを行う。
【0019】
撮像部100の構成は、一般的なMRI装置と同様であり、図1に示したように、撮像空間に均一な静磁場を形成する静磁場コイル(静磁場磁石)102、静磁場に直交する3軸方向の磁場勾配を与える傾斜磁場コイル103、静磁場の均一度を補正するためのシムコイル104、被検体101に高周波磁場を照射するための送信コイル105、被検体101から発生する核磁気共鳴信号を受信する受信コイル106、及びシーケンス制御装置114を備える。
【0020】
3軸方向の傾斜磁場コイル103は、それぞれ、傾斜磁場電源部112に接続され、傾斜磁場電源部112から供給される電力に応じた傾斜磁場を発生する。また3軸方向の傾斜磁場を組み合わせることで任意の方向に任意の大きさの傾斜磁場を発生させることができる。シムコイル104も傾斜磁場コイル103と同様に、シム用電源部113により駆動され、静磁場コイル102が発生する静磁場に含まれる誤差をキャンセルする磁場を発生する。
【0021】
送信コイル105は、高周波磁場発生器や高周波増幅器などを備えた送信機107に接続され、送信機107からの出力に応じて所定周波数の高周波磁場をRFパルスとして被検体に照射する。
【0022】
受信コイル106は、増幅器、直交検波器及びA/D変換器などを備えた受信機108に接続されている。受信機108は、核磁気共鳴信号をA/D変換器によりサンプリングし、デジタルデータとして信号処理系である計算機200に渡す。
【0023】
シーケンス制御装置114は、傾斜磁場電源部112、送信機107及び受信機108を所定のパルスシーケンスに従って動作させる。パルスシーケンスは、種々のパルスシーケンスが装置内に格納されており、撮像に際して、シーケンス制御装置114が入力装置402等を介して設定された撮像条件と撮像パラメータとを用いて撮像に用いるパルスシーケンスを計算し、それに基づいて撮像が行われる。
【0024】
計算機200は、CPU及びメモリを備えた計算機で構成することができ、計測制御部210、表示制御部240などの制御部としての機能と、画像再構成部220などの演算部としての機能を実現する。さらに本実施形態のMRI装置10は、画像再構成部220で再構成された画質の評価と推奨再構成条件の検索に係る機能(推奨再構成条件検索部としての機能)を実現する画質評価制御部230を備えていることが特徴である。
【0025】
計測制御部210は、シーケンス制御装置114を介して撮像部100の動作を制御する。画像再構成部220は、撮像部100が取得したローデータを用いて画像再構成を行う機能と、一度外部記憶装置300に格納されたローデータ或いは再構成途中の中間データを読み込み、初期の再構成条件とは異なる再構成条件で再度再構成(以下、ポスト再構成という)を行う機能とを有する。
【0026】
画質評価制御部230は、画像再構成部220で再構成された、或いはポスト再構成された画像の画質に対するユーザの画質評価(以下、単にユーザ評価という)を収集し、その画像の再構成条件と紐づけてデータベース500に格納する機能、データベース500に蓄積されたユーザ評価を解析し、ユーザに推奨すべき再構成条件を検索する機能、推奨再構成条件を決定しユーザに提示する機能などを持つ。
【0027】
表示制御部240は、主にUI部400の表示の制御を行い、計測制御部210が撮像部100を制御するための撮像パラメータや再構成パラメータなどの条件を受け付けたり、画像再構成部220が再構成した画像をUI部に表示させたりするものであり、画質評価制御部230と連携して、ポスト再構成用のパラメータ及びユーザ評価の入力を促すための表示、及び評価結果と推奨再構成条件を提示するための表示を制御する。
【0028】
上述した機能を実現するための計算機200の機能ブロック図の一例を図2に示す。
【0029】
図示するように、画像再構成部220は、外部記憶装置300との間で画像用データのやり取りを行う画像用データ取得部221、及び画像用データを用いた再構成処理を実行する再構成処理実行部222を含む。ここで画像用データとは、ローデータと、それを処理して最終的な画像に再構成するまでの中間データとを含む。また再構成処理実行部222が行う再構成処理は、初期の設定条件で再構成する処理の他に、画像用データ取得部221が外部記憶装置300から取得した画像用データを用いたポスト再構成を含み、ポスト再構成には、ローデータから最終的な画像までを一貫して行う再構成と、中間データを用いて、再構成に含まれる複数の処理のうち、中間データに対し施されていない残りの処理を実行する再構成とが含まれる。これら画像用データには、付帯情報として、撮像部位や撮像条件(撮像パルスシーケンス及び撮像パラメータ)、画像の再構成条件(再構成に含まれる処理と各処理のパラメータ、再構成条件を設定したユーザ情報)が含まれる。
【0030】
このような画像データを格納する外部記憶装置300は、MRI装置10に接続された記憶装置のほかに、MRI装置10の計算機200とデータのやり取りを行うことができる記憶装置、例えばクラウドなどが含まれ、適宜組み合わせて用いることも可能である。
【0031】
画質評価制御部230は、画質評価情報収集部(評価情報収集部)231、画質評価結果解析部(評価結果解析部)232、及び推奨再構成条件決定部233を備え、画質評価情報収集部231がUI部400を介してユーザによる画質の評価データを収集してデータベース化し、画質評価結果解析部232が、収集した評価データを解析し、推奨再構成条件決定部233が解析結果である推奨再構成条件を決定する。評価データを格納するデータベース500も、画像データを格納する外部記憶装置300と同様に、MRI装置10とのデータのやり取りが可能な大容量記憶装置であれば特に限定されない。図2では、データベース500を外部記憶装置300と別の要素として示しているが、データベース500は外部記憶装置300の一部であってもよい。
【0032】
画質評価結果の解析は、所定ユーザによる再構成条件の選択頻度、評価データを構成する評価値の分布の解析などの統計解析、または機械学習やディープラーニング(DL)による解析などの手法を採ることができ、機械学習の場合には、出力として推奨再構成条件を得ることもでき、その場合、推奨再構成条件決定部233の機能は、画質評価結果解析部232に含まれることになる。
【0033】
表示制御部240は、上述した画像再構成部220及び画質評価制御部230の機能の実行において、ユーザからの指示や評価を受け付けるためのGUIや処理結果をUI部400に提供するための制御を行うもので、ポスト再構成用のパラメータのユーザ指定を受け付ける再構成パラメータ入力部241、評価データを入力するためのGUIを提示し、GUIを介して入力された画質情報(評価データ)を受け付ける画質評価情報入力部242、及び推奨再構成条件決定部233が決定した推奨再構成条件をUI部400に提示する推奨再構成条件表示部243を備えている。
【0034】
次に上記構成を踏まえ、本実施形態のMRI装置の動作を説明する。図3に動作の実施形態を示す。ここでは、画像再構成が、ローデータをフーリエ変換して再構成する処理、マルチチャンネル受信コイルで得られるチャンネル毎のデータを合成するチャンネル合成処理、ノイズ除去及び感度補正の4つの処理を順次実行する場合を例に説明するが、画像再構成に含まれる処理はこの例に限定されず、さらに別の処理例えば体動アーチファクト除去のための処理や複数画像を用いた演算などを含む場合もある。
【0035】
まずユーザ指定或いは予め定められたプロトコルに従って、シーケンス制御装置114に撮像条件を設定し(S401)、撮像を開始する。撮像条件の設定では、例えば撮像に用いるパルスシーケンスの選択、当該パルスシーケンスの撮像パラメータ、のほかに画像の再構成のための条件として再構成方法や補正方法やそのパラメータなどが設定される。これら撮像条件はプロトコルとして予め設定されている場合もあり、その場合は予め設定された撮像条件が読み込まれる。撮像条件に従って撮像が開始されると、ローデータであるk空間データが収集される(S402)。k空間データは計算機200内のメモリに一時的に保存され、画像再構成部220(再構成処理実行部222)により再構成処理が実行される。この処理と平行して、画像用データ取得部221がローデータを外部記憶装置300に保存する(S403)。
【0036】
画像再構成部220は、設定された再構成条件に従って画像再構成を行う。例えば、ローデータをフーリエ変換して実空間データに変換し、チャンネル合成した後、ノイズ除去と感度補正を行う(S404)。チャンネル合成処理は、各チャンネルコイルの感度分布を用いた単純なマルチアレイコイル合成(MAC合成)、間引き計測を行ったデータを、感度分布を用いて推定しチャンネル合成するパラレルイメージング、或いは圧縮センシングなど、撮像条件によって異なる処理を実行する。
【0037】
ノイズ除去は、例えばノイズ除去に用いるフィルタやノイズ除去の程度を表すパラメータなどが予め設定されており、それら再構成条件に従った処理を行う。感度補正も同様であり、補正の精密度などのパラメータに従った処理を行う。
【0038】
画像再構成部220は、画像再構成アルゴリズムにおける任意のタイミングの画像データ(中間データ)を出力し、外部記憶装置300に格納する構成としてもよい。図4に中間データを格納する場合の処理の流れを示す。この例では、処理毎に中間データを保存するかの判断を行い、保存すると判断されたときに、画像用データ取得部221が中間データを画像用データとして取得する場合を示しているが、判断ステップを省き、所定の或いは全ての中間データを保存する構成としてもよい。これら中間データは、外部記憶装置300などの記憶装置に格納された後、後述するポスト再構成のために画像再構成部220により読み出される(S408)。
【0039】
表示制御部240は、再構成の実行により生成した画像を、ディスプレイ401に表示させる(S405)。
【0040】
表示された画像について、ポスト再構成を行う必要がない場合には(S406)、それで撮像は終了する。一方、ポスト再構成を行う場合には、ポスト再構成と画質評価のためのステップへと進む。ポスト再構成を行うか否かはユーザが判断し、UI部400を介して例えば撮像終了などの指令を計測制御部210送る、或いはポスト再構成の要否を確認するGUIを表示し、ユーザが選択する。
【0041】
ポスト再構成と画質評価の処理では、まず、最初の再構成(S404)で用いられた再構成条件とは異なる再構成パラメータを、UI部400を介してユーザが設定すると、再構成パラメータ入力部241はこの設定を受け付け、画像再構成部220に渡す(S407)。
【0042】
UI部400に表示されるポスト再構成パラメータ受付画面の一例を図5に示す。図示する例では、設定されるパラメータとして、ノイズ除去、解像度、感度補正、及び補正モードの4つについては処理の程度が、体動補正、歪み補正、及び中間データ出力の要否が、それぞれ入力可能になっている。これらの処理以前になされる処理、例えばフーリエ変換やパラレルイメージングなどについても必要な設定を受け付ける構成としてもよい。
【0043】
パラメータの入力は、例えば、各処理の右横のボックス内に、最初の再構成に用いたパラメータが表示されており、それを変更し新たなポスト再構成パラメータの入力を受け付ける構成としてもよい。「START」ボタン501の操作によって入力内容が確定し、ポスト再構成に進む。また「CANCEL」ボタン502を操作することで、入力した内容を変更できる。
【0044】
「中間データ出力」は、再構成の各処理の途中で生成したデータを用いてポスト再構成を行うことを指示するコマンドで、「ON」のときに再構成処理実行部222は、外部記憶装置300に格納された中間データを取り込み、再構成処理を行う。変更されている再構成パラメータが、例えば感度補正に係るパラメータのみ、或いは感度補正後に行われる処理のパラメータである場合には、感度補正前までの処理によって得られている中間データが取り込まれる。
【0045】
中間データの出力は、データ全体ではなく一部のデータを取り出してもよい。例えば、3Dのデータである場合に、その後の画像確認(S410)に必要となる最小単位の1ないし複数のスライスの中間データを取り込み、再構成処理を行ってもよい。
【0046】
このように処理途中のデータを読み込んで、ポスト再構成する機能とすることにより、画像再構成部220は再構成演算のうち残っている処理のみを実行すればよいので、演算の負荷を軽減することができる。特に画像確認に必要な最小単位の中間データで処理をすることで作業効率を向上させることができる。
【0047】
ポスト再構成について再構成パラメータの入力が完了すると(例えば「START」ボタン501が操作されると)、画像再構成部220は、処理対象である画像用データを読み込み(S408)、ユーザが設定した再構成条件に従って、ポスト再構成を実行する(S409)。図3では、ポスト再構成を示すブロック内に複数の処理が示されているが、S408で読み込んだ画像用データが中間データの場合には、その一部の処理が実行される。表示制御部240(画質評価情報入力部242)はポスト再構成の結果である画像をディスプレイ401に表示するとともに(S410)、ユーザの画質に対する評価を入力するためのGUIを表示する。
【0048】
ユーザ評価入力のためのGUIの一例を図6に示す。この例では、画質として、総合的な評価のほかに、ノイズ、ボケ(精細感)、コントラストなどの主観的な画質の指標をユーザが5段階で表すように構成されている。ただし画質の評価は、ユーザの熟練度や好みに合わせて、より簡易な評価、例えば総合評価のみを受け付ける構成としてよい。
【0049】
このようなGUIを介して入力されたユーザの評価結果は、画質評価情報入力部242を介して、画質評価情報収集部231に渡される。画質評価情報収集部231は、取得した評価結果を、画像の撮像条件(撮像手法、撮像パラメータ)及び評価したユーザの情報などとともにデータベースに蓄積する(S411)。
【0050】
画質情報が収集されると、ステップS406に戻り、再構成パラメータ設定S407から画質評価情報収集S411までのステップを繰り返す。繰り返しは、ステップS406でポスト再構成を実行しないと判定されるまで続けられる。撮像S402で得られるローデータは、1回の撮像で1組得られるだけであるが、ポスト再構成は後処理として繰り返し実行することができるので、ポスト再構成の再構成条件を変更しながら繰り返すことで、ユーザは所望する画質の画像、すなわち診断に資する画質の良い画像を得ることができる。
【0051】
繰り返し毎に得たユーザによる画質評価の結果は、画質評価情報収集部231によって収集され、データベースに蓄積され、その後の解析に有効に利用される。
【0052】
画質評価結果解析部232による解析S412は、評価結果について統計的な処理を行うに十分なデータが収集されていることを前提に実行される。十分なデータは、同一ユーザによる上記ステップS407~S411までの繰り返しで得られるデータのみならず、同一或いは同種のMRI装置で過去に実行された多数の撮像や多数の画質評価で得られたデータを含む。図7にデータベースの構造の一例を示す。ポスト再構成が行われる度に、図7のテーブルの一行のデータが蓄積される。図7では説明を簡単にするために一行のデータに含まれる項目として、患者情報、撮像条件(撮像部位、撮像パラメータ)、ユーザ情報、初期再構成パラメータ、変更後再構成パラメータ、画質評価結果を限定的に挙げているが、それ以外に取り扱う画像用データに付随する種々の情報を蓄積することができる。またデータベースの構造は図7に示すようなテーブル形式には限定されず、種々の構造を取りえる。
【0053】
画質評価結果解析部232は、このよう3データべースとして蓄積された多数のデータを用いて、現にポスト再構成を行っている画像用データに対し推奨される再構成条件を検索する(S412)。画質評価結果解析部232による解析は、各評価項目を数値化して統計解析を行い、最も高い評価値が得られた再構成条件を選択するようにしてもよいし、CNNなどの機械学習やAIを用いた解析でもよい。
【0054】
一例として、CNNを用いた例を図8に示す。この例では、初期パラメータ、変更されたパラメータ、ポスト再構成に使われた頻度(ユーザの好みを反映)、画質評価結果などを入力とし、画質評価結果が最もよくなるパラメータを出力するように学習したCNNを用いた例で、CNNの出力として推奨再構成パラメータが得られる。CNNの入力には、上述した項目の他に撮像条件や患者情報(検査部位、年齢、性別など)を含ませることができ、その場合には、撮像条件や患者情報に応じた推奨再構成パラメータを出力することができる(S413)。
【0055】
推奨再構成パラメータの表示例を図9に示す。図示する例では、各パラメータの値が表示されたボックスの横に、再構成パラメータについて推奨される条件が「“Heavy”recommend」(ノイズ除去の程度)のように表示される。設定されているパラメータが推奨される条件と一致している場合には「Recommended Param.」のような表示が行われる。必要に応じてコメント形式のサジェストを行ってもよい。
【0056】
推奨再構成パラメータが決定されると、撮像開始の撮像条件設定ステップS401にフィードバックされる。推奨再構成パラメータが撮像条件や患者情報に応じて決定されている場合には、同様の撮像条件について推奨される再構成パラメータが初期設定されて撮像(k空間データ収集)S402が実行される。即ち、撮像開始の時点でユーザが所望する画質が得られる再構成条件が設定される。
【0057】
なお図3の例では、推奨再構成パラメータが撮像条件設定ステップにフィードバックされているが、推奨再構成パラメータを再構成パラメータ設定ステップS407にフィードバックし、再度ポスト再構成を行うようにしてもよい。例えば図9に示す例では、「START」ボタン502が操作されると、推奨再構成条件で再度、ポスト再構成を行う。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のMRI装置は、一度再構成された画像の元データ(ローデータ)或いは再構成途中の中間データを用いて、ユーザが再構成条件設定を設定して再度再構成する仕組みと、ポスト再構成の度にユーザの画質評価を受け付け、画像の再構成条件と紐づけたユーザによる画質評価を蓄積する仕組みを導入したことにより、蓄積されたユーザ評価を用いて、ユーザに推奨再構成条件を提示し、或いは自動設定することができる。これにより、ユーザは再構成パラメータ設定についての試行錯誤を軽減することができ、撮像開始から画像出力までの時間を短縮することができる。
【0059】
また本実施形態のMRI装置は、ポスト再構成にあたり、再構成アルゴリズムの途中で得られた中間データを利用できるので、再構成演算の負担を軽減し、ポスト再構成の画像出力までの時間を短縮し、短時間で設定された再構成条件の適否(画質の評価)を行うことができる。特に中間データとして最小単位のデータを用いることでさらに処理の簡素化、時間の短縮を図ることができる。
【0060】
<変形例>
実施形態1のMRI装置は、上述した画質評価及び推奨再構成条件の提示の機能に対し、付加的な機能を追加することが可能であり、以下、追加機能を備えた変形例について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0061】
<変形例1>
本変形例は、推奨再構成条件の提示の際に、シミュレーション画像を提示する機能が追加される。
【0062】
シミュレーション画像は、人体モデルと、任意の撮像パラメータ、TRやTEから画像を生成することができる、「MR画像シミュレータ」として一般に入手可能なプログラムで作成することができる。本変形例では、計算機200或いは画像再構成部220に、図10に示すように、このようなシミュレータプログラムを搭載したシミュレーション画像生成部223が追加される。
【0063】
シミュレーション画像を提示する場合の処理(図3:ステップS412及びS413)の詳細を図11に示す。
【0064】
推奨再構成条件決定部233は、ステップ401で計測制御部21に設定された撮像条件を取得し(S412-1)、データベースを検索し(S412-2)、当該撮像条件に合致する評価データを解析することによって推奨再構成条件を決定する(S413-1)。推奨再構成条件が決定されると、最初に取得した撮像条件(TR/TE、撮像部位)と推奨再構成条件を用いて、シミュレーション画像生成部223が撮像部位のシミュレーション画像を再構成する(S413-2)。最後に、推奨再構成条件とシミュレーション画像をディスプレイ401に表示する(S413-3)。
【0065】
本変形例によれば、推奨再構成条件と共に、その再構成条件で再構成したシミュレーション画像を提示することで、推奨再構成条件がユーザにとって最適なものであるかをユーザが視覚的に把握しやすくできる。
【0066】
<変形例2>
本変形例は、体動に関する情報を推奨再構成条件の決定に反映させる機能を追加した変形例である。
【0067】
撮像中に体動などのイレギュラーな事象が生じた場合、収集されたk空間データはその影響を受ける。MRI装置では、体動をモニターする手法が種々提案されており、検出した体動の大きさに応じて、k空間データ或いは画像データを補正する手法が確立している。
【0068】
本変形例では、体動補正を画像再構成に含まれる処理に含まれる処理として扱い、体動補正の要否或いは体動補正の程度についても推奨再構成条件を提示する。このため計算機200に、図12に示すように、体動の大きさを判断する体動判定部250が追加される。体動判定部250は、MRI装置が腹圧計や速度センサなどの外部の体動モニターからの体動情報を取込む機能(体動監視機能)を備える場合には、その機能により体動モニターからの体動情報をもとに体動の大きさや頻度、周期などの情報を取得し、k空間データ或いは画像データの体動補正が必要か否かを判定する。また体動検出を目的としたナビゲータエコーを印加して撮像が行われた場合には、ナビゲータエコーから同様の判定を行ってもよいし、k空間データ或いはそれを再構成した画像データをもとに判定を行ってもよい。例えば画像データであれば、体動のあった部位は顕著なボケやアーチファクトが出るので体動の判定を行うことができる。
【0069】
体動判定部250は、判定した結果を推奨再構成条件決定部233に送る。推奨再構成条件決定部233は、体動判定部250が体動補正「不要」と判定した場合には、推奨再構成条件として体動補正「OFF」を推奨し、体動補正「要」と判定した場合には、例えば「体動が検出されました“ON”を推奨します」などのコメントにより体動補正「ON」を推奨する。
【0070】
また体動補正が困難なレベルの体動であると判定した場合には、図9に点線で囲って示したように、再撮像を推奨するコメントの形で、例えば「体動が検出されました“再撮像”を推奨します」などの表示によって、撮像のやり直しを推奨する。
【0071】
本変形例によれば、体動に対する処理を再構成条件に含めて、適切な処理を推奨することで、ユーザに体動補正の要否を気づかせることができ、少ないポスト再構成の繰り返しで所望の画質の画像を得ることができる。
【0072】
以上、実施形態1の変形例として2つの例を挙げて説明したが、本発明はこれら実施形態1及び変形例に限定されることなく、変形例1及び変形例2を組み合わせたり、別の機能を追加したり、或いは、いくつかの要素を省略したり、他の同機能の要素と置換したりすることも本発明に包含される。
【0073】
<磁気共鳴イメージングシステムの実施形態>
本実施形態の磁気共鳴イメージングシステムは、図13に示すように、撮像部100及び計算機200を備えたMRI装置10と、データ処理装置600とからなる。データ処理装置600は付属装置としてUI部400が接続され、データベース500に接続されている。なお図13では、図1に示す外部記憶装置300を省略しているが、MRI装置10或いはデータ処理装置600に付属するものとして、実施形態1と同じ機能を持つ外部記憶装置300を備えていてもよい。
【0074】
MRI装置10の構成は一般的なMRI装置と同様であり、実施形態1の計算機200の機能のうち、ポスト再構成とその画像に対するユーザ評価の収集及び解析の機能がデータ処理装置600に移設されている。ここではMRI装置10は1台のみを示しているが、複数のMRI装置とデータ処理装置600を接続し、複数のMRI装置で得られるデータ(ローデータや中間データ)を処理する構成としてもよい。
【0075】
データ処理装置600は、ポスト再構成部610、評価情報収集部620、及び評価情報解析部630を備え、これら各部の機能は、実施形態1の画像再構成部220、画質評価情報収集部231、画質評価結果解析部232及び推奨再構成条件決定部233の機能にそれぞれ対応している。従ってこれら各部の機能の詳細説明は省略する。
【0076】
データ処理装置600の動作は、図3に示す処理フローのステップS407~S413と同様であり、データ処理装置600はMRI装置10から処理の開始を受け付け、ステップS407~S413を開始する。即ち、まず設定された再構成条件でポスト再構成処理を開始し(S407~S409)、画像を出力する(S410)。これに対するユーザ評価を受け付け(S411)、再構成条件を変えながら、この処理を繰り返し評価情報の収集を行い、データベース化する。
【0077】
データ処理装置600は、ポスト再構成処理を受け付けたときに、ステップS407~S411を経て、或いは直接ステップS412の評価情報解析処理を実行し、推奨再構成条件を決定する。決定した推奨再構成条件はデータ処理装置600に接続されたUI部400に提示してもよいし、MRI装置10に渡し、MRI装置10における撮像条件設定(S401)に用いてもよい。
【0078】
本実施形態の磁気共鳴イメージングシステムによれば、既存のMRI装置に対し、推奨再構成条件提示という高付加機能を与えることができる。また複数のMRI装置でデータ処理装置を共有することで、蓄積されるデータ数を大幅に増やすことができ、評価データ解析の精度を向上することができる。
【0079】
なお図13は、MRI装置10の計算機200とデータ処理装置600との機能分担の一例を示すものであり、計算機200の一部をデータ処理装置600に、または逆にデータ処理装置600の機能の一部をMRI装置10の計算機に移設する、或いは両者が同一の機能を重複して持つ、などの種々の変更が可能であり、それらも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0080】
10:MRI装置、100:撮像部、200:計算機、210:計測制御部、220:画像再構成部、230:画質評価制御部、231:画質評価情報収集部、232:画質評価結果解析部、233:推奨再構成条件決定部、240:再構成パラメータ入力部、242:画質評価情報入力部、243:推奨再構成条件表示部、300:外部記憶装置、400:UI部、500:データベース、600:データ処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13