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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014717
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】気相成長装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20250123BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117495
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 優哉
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA13
4K030BA08
4K030BA38
4K030CA12
4K030DA06
4K030EA04
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA12
4K030JA09
4K030JA10
5F045AA04
5F045AB14
5F045AC00
5F045AC07
5F045AC12
5F045AC15
5F045AC17
5F045BB08
5F045DP15
5F045EB02
5F045EB08
5F045EB09
5F045EF01
5F045EM10
5F045EN04
5F045EN08
5F045HA03
5F045HA13
5F045HA25
(57)【要約】
【課題】MOCVD反応炉への受け渡し及びドライ洗浄炉への受け渡しを自動的に行うことができる気相成長装置を提供する。
【解決手段】気相成長装置1は、反応炉部材25に保持されたウエハWをさせるMOCVD反応炉16が収容された反応室10と、反応炉部材及びウエハを搬送する第1搬送部が収容され、反応室に隣接して配置されるとともに反応室と連通可能な第1搬送室45と、反応炉部材を洗浄するドライ洗浄炉66が収容され、第1搬送室に隣接して配置されるとともに第1搬送室と連通可能な洗浄室65と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応炉部材に保持されたウエハをさせるMOCVD反応炉が収容された反応室と、
前記反応炉部材及び前記ウエハを搬送する第1搬送部が収容され、前記反応室に隣接して配置されるとともに前記反応室と連通可能な第1搬送室と、
前記反応炉部材を洗浄するドライ洗浄炉が収容され、前記第1搬送室に隣接して配置されるとともに前記第1搬送室と連通可能な洗浄室と、
を備える気相成長装置。
【請求項2】
前記反応室内に不活性ガスを充填させる反応雰囲気部と、
前記第1搬送室内に前記不活性ガスを充填させる第1搬送雰囲気部と、
前記反応雰囲気部及び第1搬送雰囲気部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1搬送雰囲気部による前記第1搬送室内の前記不活性ガスの圧力を、前記反応雰囲気部による前記反応室内の前記不活性ガスの圧力よりも高くする、請求項1に記載の気相成長装置。
【請求項3】
前記洗浄室内に不活性ガスを充填させる洗浄雰囲気部を備える、請求項2に記載の気相成長装置。
【請求項4】
前記第1搬送室との間で前記ウエハを搬送する第2搬送部が収容され、前記第1搬送室に隣接して配置されるとともに前記第1搬送室と連通可能な第2搬送室と、
前記第2搬送室内に前記不活性ガスを充填させる第2搬送雰囲気部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2搬送雰囲気部による前記第2搬送室内の前記不活性ガスの圧力を、前記第1搬送雰囲気部による前記第1搬送室内の前記不活性ガスの圧力よりも高くする、請求項2に記載の気相成長装置。
【請求項5】
前記不活性ガスの露点が-40℃以下であり、前記不活性ガスに酸素ガスが含まれない、請求項2に記載の気相成長装置。
【請求項6】
前記第1搬送部は、前記反応炉部材を支持する支持面が上方を向いた状態で、前記反応室及び前記洗浄室のいずれか一方を向くように、自身の向きを変更可能である、請求項1又は2に記載の気相成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハ上の結晶を、MOCVD反応炉内でさせる(半導体薄膜を成膜する)ことが行われている。結晶をさせる際に、MOCVD反応炉内で反応生成物(デポ)が生成される。この反応生成物は、MOCVD反応炉内で用いられるサセプタカバー等の反応炉部材に付着するため、この反応炉部材を、例えば特許文献1のドライ洗浄装置(ドライ洗浄炉)で除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-186311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、MOCVD反応炉へのウエハ及び反応炉部材の受け渡し、ドライ洗浄装置への反応炉部材の受け渡しを、作業者が行っている。
このため、ウエハの結晶の成長に要する時間が長くなる、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、MOCVD反応炉への受け渡し及びドライ洗浄炉への受け渡しを自動的に行うことができる気相成長装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、反応炉部材に保持されたウエハをさせるMOCVD反応炉が収容された反応室と、前記反応炉部材及び前記ウエハを搬送する第1搬送部が収容され、前記反応室に隣接して配置されるとともに前記反応室と連通可能な第1搬送室と、前記反応炉部材を洗浄するドライ洗浄炉が収容され、前記第1搬送室に隣接して配置されるとともに前記第1搬送室と連通可能な洗浄室と、を備える、気相成長装置である。
【0007】
この発明では、MOCVD反応炉により反応炉部材に保持されたウエハをさせるとともに、ドライ洗浄炉により反応炉部材を洗浄することができる。
そして、第1搬送部が収容された第1搬送室に対して、MOCVD反応炉が収容された反応室、及びドライ洗浄炉が収容された洗浄室が、互いに隣接して配置されるとともに、第1搬送室とそれぞれ連通可能である。このため、例えば、反応室と第1搬送室との間、洗浄室と第1搬送室との間に他の室が配置された場合に比べて、反応室と第1搬送室との間の距離、洗浄室と第1搬送室との間の距離がそれぞれ短くなる。
従って、第1搬送部により、連通した部分を通して、MOCVD反応炉にウエハ及び反応炉部材を自動的に受け渡すとともに、ドライ洗浄炉に反応炉部材を自動的に受け渡すことができる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、前記反応室内に不活性ガスを充填させる反応雰囲気部と、前記第1搬送室内に前記不活性ガスを充填させる第1搬送雰囲気部と、前記反応雰囲気部及び第1搬送雰囲気部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1搬送雰囲気部による前記第1搬送室内の前記不活性ガスの圧力を、前記反応雰囲気部による前記反応室内の前記不活性ガスの圧力よりも高くする、(1)に記載の気相成長装置であってもよい。
この発明では、反応雰囲気部により反応室内に不活性ガスを充填させるとともに、第1搬送雰囲気部により第1搬送室内に不活性ガスを充填させることができる。そして、制御部が、第1搬送雰囲気部による第1搬送室内の不活性ガスの圧力を、反応雰囲気部による反応室内の不活性ガスの圧力よりも高くする。このため、第1搬送室と反応室とが連通した部分を通して、第1搬送室から反応室に向かって不活性ガスが流れる。これにより、MOCVD反応炉で生じた反応生成物が、連通した部分を通して第1搬送室内に流れ込むのを抑制することができる。
【0009】
(3)本発明の態様3は、前記洗浄室内に不活性ガスを充填させる洗浄雰囲気部を備える、(1)又は(2)に記載の気相成長装置であってもよい。
この発明では、洗浄雰囲気部により洗浄室内に不活性ガスを充填させることにより、第1搬送室及び反応室内だけでなく、洗浄室内においても、ウエハが大気に暴露されるのを防止することができる。
【0010】
(4)本発明の態様4は、前記第1搬送室との間で前記ウエハを搬送する第2搬送部が収容され、前記第1搬送室に隣接して配置されるとともに前記第1搬送室と連通可能な第2搬送室と、前記第2搬送室内に前記不活性ガスを充填させる第2搬送雰囲気部と、を備え、前記制御部は、前記第2搬送雰囲気部による前記第2搬送室内の前記不活性ガスの圧力を、前記第1搬送雰囲気部による前記第1搬送室内の前記不活性ガスの圧力よりも高くする、(1)から(3)のいずれか一に記載の気相成長装置であってもよい。
この発明では、第2搬送部により、第2搬送室と第1搬送室とが連通した部分を通して、第1搬送室との間でウエハを搬送することができる。第2搬送雰囲気部により、第2搬送室内に不活性ガスを充填させることができる。
この際に、制御部は、第2搬送雰囲気部による第2搬送室内の不活性ガスの圧力を、第1搬送雰囲気部による第1搬送室内の不活性ガスの圧力よりも高くする。従って、MOCVD反応炉で生じた反応生成物が、第1搬送室を通して第2搬送室内に流れ込むのを抑制することができる。
【0011】
(5)本発明の態様5は、前記不活性ガスの露点が-40℃以下であり、前記不活性ガスに酸素ガスが含まれない、(2)に記載の気相成長装置であってもよい。
この発明では、不活性ガス中の水分がウエハに付着することを抑制するのに加え、不活性ガスの雰囲気下のウエハ等が酸化するのを抑制することができる。
【0012】
(6)本発明の態様6は、前記第1搬送部は、前記反応炉部材を支持する支持面が上方を向いた状態で、前記反応室及び前記洗浄室のいずれか一方を向くように、自身の向きを変更可能である、(1)から(5)のいずれか一に記載の気相成長装置であってもよい。
この発明では、支持面上で支持された反応炉部材が、支持面から落ちるのを防止することができる。この状態で、反応室及び洗浄室のいずれか一方を向くように、第1搬送部の向きを変更することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の気相成長装置では、MOCVD反応炉への受け渡し及びドライ洗浄炉への受け渡しを自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態の気相成長装置を平面視して模式的に示す断面図である。
図2】同気相成長装置のMOCVD反応炉の断面図である。
図3】同気相成長装置の係止片の正面図である。
図4】同気相成長装置の動作を説明する図である。
図5】同気相成長装置の工程を示すフローチャートである。
図6】同気相成長装置の動作を説明する図である。
図7】同気相成長装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る気相成長装置の一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の気相成長装置1は、反応室10と、第1搬送室45と、洗浄室65と、第2搬送室70と、反応雰囲気部85と、第1搬送雰囲気部90と、洗浄雰囲気部95と、第2搬送雰囲気部100と、制御部105と、を備える。
例えば、反応室10、第1搬送室45、洗浄室65、及び第2搬送室70は、それぞれ箱状に形成されている。反応室10、第1搬送室45、洗浄室65、及び第2搬送室70の平面視における断面は、それぞれ矩形の外縁状(額縁状)に形成されている。
図1では、後述するMOCVD反応炉16のうちサセプタカバー19のみを示す。
【0016】
反応室10は、側壁11を有する。側壁11には、側壁11を貫通する開口11a(連通した部分)が形成されている。開口11aは、側壁11の中央部に形成されている。開口11aには、シャッターであるゲートバルブ13が取付けられている。ゲートバルブ13は、開口11aを開閉可能である。
反応室10には、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相法)反応炉16及び複数の仮受けアーム36が収容されている。
MOCVD反応炉16は、公知の構成の装置である。図1及び図2に示すように、MOCVD反応炉16は、チャンバー17と、サセプタ18と、サセプタカバー19と、天井板20と、突き上げ昇降機構21と、を有する。なお、サセプタカバー19及び天井板20で、反応炉部材25を構成する。
【0017】
図2に示すように、チャンバー17は、チャンバー本体26と、チャンバー蓋27とを有する。チャンバー本体26は、有底筒状に形成されている。チャンバー蓋27は、有頂筒状に形成されている。チャンバー蓋27は、チャンバー本体26よりも上方に配置され、チャンバー本体26の開口を覆う。チャンバー蓋27は、チャンバー本体26に対して上下方向に移動可能である。
サセプタ18は、円板状に形成されている。サセプタ18の中央には、後述するノズル部30が挿通可能な開口18aが形成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、サセプタカバー19は、サセプタ18とほぼ同形状の円板状に形成されている。サセプタカバー19の中央には、後述するノズル部30が挿通可能な開口19aが形成されている。図2に示すように、サセプタカバー19における開口19aの周囲には、開口であるウエハポケット19bが複数形成されている。ウエハWは、サセプタカバー19(反応炉部材25)のウエハポケット19bに保持される。
天井板20は、平面視でサセプタ18よりも大きい円板状に形成されている。天井板20の中央には、後述するノズル部30が挿通可能な開口20aが形成されている。天井板20は、サセプタカバー19よりも上方に、サセプタカバー19に対向するように配置されている。
天井板20とサセプタカバー19との間に、ウエハW上の結晶をさせて半導体薄膜を成膜する(ウエハWをさせる)ための、原料ガスの流路L1が形成される。
【0019】
ノズル部30は、チャンバー本体26の中央に配置され、天井板20のうち開口20aの周縁部と嵌合している。ノズル部30は、天井板20を支持するとともに、流路L1に原料ガスを供給する。
ノズル部30は、第1ノズル壁30aと、第2ノズル壁30bと、第3ノズル壁30cと、第4ノズル壁30dと、を有する。
【0020】
第1ノズル壁30aでは、上下方向に延びる円柱の上端が、径方向外側に張り出している。第2ノズル壁30bは、第1ノズル壁30aの円柱の直径よりも大径の管状に形成されるとともに、上端にフランジを有する。第3ノズル壁30cは、第2ノズル壁30bの管状部の外径よりも大径の管状に形成されるとともに、上端にフランジを有する。第4ノズル壁30dは、第3ノズル壁30cの管状部の外径よりも大径の管状に形成されるとともに、上端にフランジを有する。
第1ノズル壁30a、第2ノズル壁30b、第3ノズル壁30c、及び第4ノズル壁30dは、入れ子状に配置されている。
【0021】
第1ノズル壁30a、第2ノズル壁30b、第3ノズル壁30c、及び第4ノズル壁30dのうち、径方向に隣り合う壁の間に形成される空間は、原料ガスの導入路L2となっている。
例えば、半導体薄膜が窒化ガリウムである場合では、原料ガスは、有機金属ガス、アンモニアガス、及びパージガスを含む。
【0022】
例えば、突き上げ昇降機構21は、サセプタカバー19を上下方向に移動可能である。
図1に示すように、気相成長装置1は、サセプタカバー19及び天井板20を有する反応炉部材25を、2組備えている。以下では、2組の反応炉部材25のうち、一方が有するサセプタカバー19Aとも言い、他方が有するサセプタカバー19Bとも言う。
【0023】
図1及び図3に示すように、仮受けアーム36は、係止片37と、移動部38と、を有する。図3に示すように、係止片37には、第1段部37a及び第2段部37bが形成されている。第2段部37bは、第1段部37aよりも上方に配置されている。
第1段部37aは、サセプタカバー19に、サセプタカバー19よりも下方から係止可能である。第2段部37bは、天井板20に、天井板20よりも下方から係止可能である。
移動部38は、係止片37を、上下方向及び水平面に沿う方向にそれぞれ移動させる。
【0024】
図1に示すように、第1搬送室45は、反応室10と側壁11を供給している。第1搬送室45は、反応室10に対して側壁11側に隣接して配置されている。第1搬送室45は、側壁46,47,48を有する。
ゲートバルブ13が開いているときに、第1搬送室45は反応室10と連通する。このように、第1搬送室45は反応室10と連通可能である。
反応室10及び第1搬送室45は、水平面に沿う第1方向Xに並べて配置されている。
側壁11及び側壁47は、対向するように配置されている。側壁46及び側壁48は、対向するように配置されている。
側壁46,47,48には、側壁11の開口11aと同様に、開口46a,47a,48aがそれぞれ形成されている。開口46a,47a,48aには、ゲートバルブ13と同様のゲートバルブ50,51,52がそれぞれ取付けられている。
【0025】
第1搬送室45には、図4に示す第1ロボットアーム(第1搬送部)55が収容されている。第1ロボットアーム55は、反応炉部材25及びウエハWを搬送する。
第1ロボットアーム55の詳細については、後述する。
【0026】
図1に示すように、洗浄室65は、第1搬送室45と側壁47を供給している。洗浄室65は、第1搬送室45に対して反応室10とは反対側に配置されている。反応室10、第1搬送室45、及び洗浄室65は、第1方向Xに反応室10、第1搬送室45、及び洗浄室65の順で並べて配置されている。
洗浄室65は、第1搬送室45に対して側壁47側に隣接して配置されている。ゲートバルブ51が開いているときに、洗浄室65は第1搬送室45と連通する。このように、洗浄室65は第1搬送室45と連通可能である。
洗浄室65には、公知のドライ洗浄炉66が収容されている。ドライ洗浄炉66は、反応炉部材25を洗浄する。
【0027】
第2搬送室70は、後述するカセット(cassette)73,74を用いて、気相成長装置1の外部からウエハWが受け渡される、いわゆるCtoC室である。
第2搬送室70は、第1搬送室45と側壁48を共有している。第2搬送室70は、第1搬送室45に対して側壁48側に隣接して配置されている。第1搬送室45及び第2搬送室70は、水平面に沿うとともに第1方向Xに直交する第2方向Yに並べて配置されている。
第2搬送室70は、側壁48に対向するように配置された側壁71を有する。側壁71には、側壁71を貫通する開口71a,71bが形成されている。開口71a,71bは、側壁71に沿って並べて配置されている。
ゲートバルブ52が開いているときに、第2搬送室70は第1搬送室45と連通する。このように、第2搬送室70は第1搬送室45と連通可能である。
【0028】
開口71a,71bには、ウエハWを収容可能なカセット73,74がそれぞれ配置される。例えば、カセット73には、半導体薄膜が成膜された後のウエハW(以下では、ウエハWBともいう(図4参照))が収容される。以下では、ウエハWBにハッチングを付して示す。カセット74には、半導体薄膜が成膜される前のウエハW(以下では、ウエハWAともいう)が収容される。
第2搬送室70には、第2ロボットアーム(第2搬送部)77及びオリエンタ78が収容されている。第2ロボットアーム77は、第1搬送室45との間でウエハWを搬送する。第2ロボットアーム77の詳細については、後述する。
オリエンタ78は、ウエハWの位相を調節するためのものである。
【0029】
図4に示すように、例えば、第1ロボットアーム55は、基台56と、リンク57,58と、関節59,60,61と、支持部62と、を有する。
基台56は、第1搬送室45の底壁49上に配置されている。例えば、関節59は、基台56とリンク57とのなす角度、基台56に対するリンク57の向きを調節する。関節60は、リンク57とリンク58とのなす角度、リンク57に対するリンク58の向きを調節する。関節61は、リンク58と支持部62とのなす角度、リンク58に対する支持部62の向きを調節する。
【0030】
支持部62の上面が、反応炉部材25を支持する支持面62aである。
第1ロボットアーム55は、制御部105による公知の制御により、支持面62aが上方を向いた状態で、反応室10、洗浄室65、及び第2搬送室70のいずれか一方を向くように、自身(第1ロボットアーム55)の向きを変更可能である。
なお、第1搬送部は、第1ロボットアーム55に限定されず、自動で走行可能なロボット等でもよい。
第2ロボットアーム77は、第1ロボットアーム55と同様に構成されている。第2ロボットアーム77は、支持面77aが上方を向いた状態で、第1搬送室45及び側壁71のいずれか一方を向くように、自身の向きを変更可能である。
【0031】
図1に示すように、反応雰囲気部85は、反応室10内に窒素ガス(不活性ガス)を充填させる。なお、不活性ガスは窒素ガスに限定されず、二酸化炭素ガス、ヘリウムガス等でもよい。
窒素ガスの露点は、-40℃以下であることが好ましい。すなわち、窒素ガスに含まれる水蒸気の露点が、-40℃以下であることが好ましい。窒素ガスに、酸素ガスが含まれないことが好ましい。
【0032】
例えば、反応雰囲気部85は、図示はしないが、配管と、開閉弁と、圧力計と、スクラバー(ガス処理装置。不図示)と、を有する。
配管の第1端部は、反応室10の側壁に接続され、反応室10内と連通し、窒素ガスを反応室10内へ供給している。配管における第1端部とは反対側の第2端部は、スクラバー(ガス処理装置。不図示)に接続されている。反応雰囲気部85は、配管を通して、反応室10内の空気等を排気したり、反応室10内に窒素ガスを供給したりすることができる。
開閉弁及び圧力計は、配管に設けられている。圧力計は、配管を通して、反応室10内の圧力を測定する。なお、圧力計は反応室10の側壁に設けられてもよい。開閉弁は、配管を開閉させたり、配管と配管の外部とを連通させたり、この連通を解除させたりする。
【0033】
第1搬送雰囲気部90、洗浄雰囲気部95、及び第2搬送雰囲気部100は、反応雰囲気部85と同様に構成されている。
第1搬送雰囲気部90は、第1搬送室45に設けられている。第1搬送雰囲気部90は、第1搬送室45内に窒素ガスを充填させる。
洗浄雰囲気部95は、洗浄室65に設けられている。洗浄雰囲気部95は、洗浄室65内に窒素ガスを充填させる。
第2搬送雰囲気部100は、第2搬送室70に設けられている。第2搬送雰囲気部100は、第2搬送室70内に窒素ガスを充填させる。
【0034】
制御部105は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、を有する。
制御部105は、ゲートバルブ13,50,51,52、仮受けアーム36の移動部38、雰囲気部85,90,95,100の開閉弁、及び圧力計に接続されている。制御部105は、ゲートバルブ13,50,51,52、移動部38、雰囲気部85,90,95,100の開閉弁を制御する。
【0035】
次に、以上のように構成された気相成長装置1の動作について説明する。
図5は、気相成長装置1の工程を示すフローチャートである。
図1では、MOCVD反応炉16内のサセプタカバー19Aの複数のウエハポケット19bには、MOCVD反応炉16により半導体薄膜が成膜された後のウエハWBが保持されている。なお、ウエハWBに半導体薄膜を成膜する際に、MOCVD反応炉16で反応生成物が生じる。例えば、反応生成物として、アモルファス状の半導体薄膜等(窒化ガリウム等)や未反応有機金属成分が挙げられる。
第1搬送室45内では、第1ロボットアーム55の支持面62aが、サセプタカバー19Bを有する反応炉部材25を支持している。サセプタカバー19Bのウエハポケット19bには、MOCVD反応炉16により半導体薄膜が成膜される前のウエハWAが保持されている。
ゲートバルブ13,50,51,52は、閉じている。
【0036】
予め、制御部105は、雰囲気部85,90,95,100により、反応室10、第1搬送室45、洗浄室65、及び第2搬送室70内に窒素ガスを充填させる。その際に、制御部105は、第2搬送雰囲気部100による第2搬送室70内の窒素ガスの圧力を、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力よりも高くする。
さらに、制御部105は、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力を、反応雰囲気部85及び洗浄雰囲気部95による反応室10及び洗浄室65内の窒素ガスの圧力よりもそれぞれ高くする。
例えば、反応室10内の窒素ガスの圧力の調節は、制御部105が、圧力計で測定した反応室10内の圧力に基づいて、開閉弁を開閉したりすることで行われる。
【0037】
まず、図6に示すように、第1搬送室45内のサセプタカバー19Bを有する反応炉部材25と、反応室10内のサセプタカバー19Aを有する反応炉部材25と、を入れ替える。すなわち、図5における、MOCVD反応炉16に関する、反応炉部材25及びウエハWAの搬入であるステップS11、及び、反応炉部材25及びウエハWBの搬出であるステップS13を並行して行う。
この際に、例えば、MOCVD反応炉16のチャンバー本体26に対して、チャンバー蓋27を上方に移動させる。図3に示すように、制御部105は、複数の移動部38により、反応室10内のサセプタカバー19A及び天井板20を、複数の係止片37の段部37a,37bで係止させ、MOCVD反応炉16に取付けられたサセプタカバー19A及び天井板20を、反応室10内で上方に退避する。
【0038】
制御部105は、ゲートバルブ13を開き、第1ロボットアーム55が反応室10を向くように向きを変更する。第1ロボットアーム55により、支持面62aが支持するサセプタカバー19B及び天井板20を、側壁11の開口11aを通して反応室10内に搬送し、MOCVD反応炉16に取付ける。
【0039】
複数の係止片37に支持されているサセプタカバー19A及び天井板20を、第1ロボットアーム55の支持面62aで支持する。第1ロボットアーム55により、支持したサセプタカバー19A及び天井板20を、第1搬送室45内に移動する。
次に、図7に示すように、制御部105は、ゲートバルブ52を開き、第2ロボットアーム77により、第1搬送室45内で、サセプタカバー19Aが保持しているウエハWBを、カセット73に移動させる。
ステップS11及びステップS13と並行して、図4に示すように、第1ロボットアーム55により、支持面62aで支持しているサセプタカバー19Aを有する反応炉部材25を、洗浄室65内のドライ洗浄炉66に搬入する(ステップS16)。
次に、MOCVD反応炉16により、サセプタカバー19Bに保持されたウエハWAに、半導体薄膜を成膜し、ウエハWBとする(ステップS12)。MOCVD反応炉16による半導体薄膜の成膜は、公知の手順で行われる。ステップS12と並行して、ドライ洗浄炉66により、サセプタカバー19Aを有する反応炉部材25を洗浄する(ステップS17)。
【0040】
次に、図6に示すように、第1ロボットアーム55により、ドライ洗浄炉66で洗浄されたサセプタカバー19Aを有する反応炉部材25を、支持面62aで支持し、第1搬送室45内に搬出する(ステップS18)。
第2ロボットアーム77により、カセット74内の半導体薄膜が成膜される前のウエハWAを、サセプタカバー19Aのウエハポケット19bに保持する。
次に、第1搬送室45内のサセプタカバー19Aと、反応室10内のサセプタカバー19Bと、を入れ替える。すなわち、図5における、MOCVD反応炉16に関する、反応炉部材25及びウエハWAの搬入であるステップS11、及び、反応炉部材25及びウエハWBの搬出であるステップS13を、並行して行う。
【0041】
サセプタカバー19Aに対して行われたステップS11~S18を、サセプタカバー19Bに対しても、ステップをずらして行うことにより、サセプタカバー19A、19Bに保持されたウエハWAに、交互に半導体薄膜を成膜することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の気相成長装置1では、MOCVD反応炉16により反応炉部材25に保持されたウエハWをさせるとともに、ドライ洗浄炉66により反応炉部材25を洗浄することができる。
そして、第1ロボットアーム55が収容された第1搬送室45に対して、MOCVD反応炉16が収容された反応室10、及びドライ洗浄炉66が収容された洗浄室65が、互いに隣接して配置されるとともに、第1搬送室45とそれぞれ連通可能である。このため、例えば、反応室10と第1搬送室45との間、洗浄室65と第1搬送室45との間に他の室が配置された場合に比べて、反応室10と第1搬送室45との間の距離、洗浄室65と第1搬送室45との間の距離がそれぞれ短くなる。
従って、第1ロボットアーム55により、連通した部分を通して、MOCVD反応炉16にウエハW及び反応炉部材25を自動的に受け渡すとともに、ドライ洗浄炉66に反応炉部材25を自動的に受け渡すことができる。
【0043】
気相成長装置1は、反応雰囲気部85、第1搬送雰囲気部90、及び制御部105を備える。このため、反応雰囲気部85により反応室10内に窒素ガスを充填させるとともに、第1搬送雰囲気部90により第1搬送室45内に窒素ガスを充填させることができる。
そして、制御部105が、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力を、反応雰囲気部85による反応室10内の窒素ガスの圧力よりも高くする。このため、第1搬送室45と反応室10とが連通した部分を通して、第1搬送室45から反応室10に向かって窒素ガスが流れる。これにより、MOCVD反応炉16で生じた反応生成物が、連通した部分を通して第1搬送室45内に流れ込むのを抑制することができる。
【0044】
気相成長装置が、第1搬送室45及び第1ロボットアーム55を備えない場合には、MOCVD反応炉16とドライ洗浄炉66との間の反応炉部材25の受け渡しを、作業者が行っていた。そして、受け渡される反応炉部材25は、大気に暴露されていた。このため、反応炉部材25の半導体薄膜の成長であるステップS12の前に、反応炉部材25のベーキングが必要であった。
本実施形態の気相成長装置1では、第1搬送室45内において、反応炉部材25が大気に暴露されないため、反応炉部材25のベーキングが不要である。従って、ウエハWの処理に要するサイクルタイムを、従来の気相成長装置よりも、短くすることができる。
【0045】
気相成長装置1は、洗浄雰囲気部95を備える。洗浄雰囲気部95により洗浄室65内に窒素ガスを充填させることにより、第1搬送室45及び反応室10内だけでなく、洗浄室65内においても、反応炉部材25が大気に暴露されるのを防止することができる。
【0046】
気相成長装置1は、第2搬送室70及び第2搬送雰囲気部100を備え、第2搬送雰囲気部100による第2搬送室70内の窒素ガスの圧力を、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力よりも高くする。
第2ロボットアーム77により、第2搬送室70と第1搬送室45とが連通した部分を通して、第1搬送室45との間でウエハWを搬送することができる。第2搬送雰囲気部100により、第2搬送室70内に窒素ガスを充填させることができる。
この際に、制御部105は、第2搬送雰囲気部100による第2搬送室70内の窒素ガスの圧力を、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力よりも高くする。従って、MOCVD反応炉16で生じた反応生成物が、第1搬送室45を通して第2搬送室70内に流れ込むのを抑制することができる。
【0047】
窒素ガスの露点が-40℃以下であり、窒素ガスに酸素ガスが含まれない場合がある。この場合には、窒素ガスの水分がウエハWに付着することを抑制するのに加え、窒素ガスの雰囲気下のウエハW等が酸化するのを抑制することができる。
第1ロボットアーム55は、支持面62aが上方を向いた状態で、反応室10、洗浄室65、及び第2搬送室70のいずれか一方を向くように、自身の向きを変更可能である。従って、支持面62a上で支持された反応炉部材25が、支持面62aから落ちるのを防止することができる。この状態で、反応室10、洗浄室65、及び第2搬送室70のいずれか一方を向くように、第1ロボットアーム55の向きを変更することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、反応室10、第1搬送室45、及び洗浄室65は、第1方向Xにこの順で並べて配置されているとした。しかし、洗浄室は、第1搬送室45に対して第2搬送室70とは反対側に配置され、反応室10、第1搬送室45、及び洗浄室が、平面視でL字状に配置されてもよい。
【0049】
実施形態では、制御部105は、第2搬送雰囲気部100による第2搬送室70内の窒素ガスの圧力を、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力以下にしてもよい。制御部105は、第1搬送雰囲気部90による第1搬送室45内の窒素ガスの圧力を、反応雰囲気部85及び洗浄雰囲気部95による反応室10及び洗浄室65内の窒素ガスの圧力以下にしてもよい。
【0050】
第1ロボットアーム55の支持面62aは、側方を向いてもよい。
気相成長装置1は、第2搬送室70、雰囲気部85,90,95,100、及び制御部105を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 気相成長装置
10 反応室
16 MOCVD反応炉
25 反応炉部材
45 第1搬送室
55 第1ロボットアーム(第1搬送部)
62a 支持面
65 洗浄室
66 ドライ洗浄炉
70 第2搬送室
85 反応雰囲気部
90 第1搬送雰囲気部
95 洗浄雰囲気部
100 第2搬送雰囲気部
105 制御部
W ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7