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特開2025-147616医用画像取得案内装置、医用画像取得案内システム、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025147616
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】医用画像取得案内装置、医用画像取得案内システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20250930BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20250930BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20250930BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20250930BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B6/04 509B
A61B6/00 530Z
A61B6/00 570
A61B6/50 500E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047954
(22)【出願日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 幸哉
【テーマコード(参考)】
4C093
4C601
【Fターム(参考)】
4C093AA08
4C093DA06
4C093ED21
4C601DD08
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601HH15
4C601JC15
4C601KK24
4C601KK31
4C601KK32
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】圧迫部材により乳房が圧迫された状態における超音波撮影を、従来の技術に比較して、より短時間で行うことができる医用画像取得案内装置、医用画像取得案内システム、及びプログラムを得る。
【解決手段】医用画像取得案内装置としてのコンソール50は、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、超音波画像の撮影を行うにあたり、当該超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、当該超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を圧迫部材の乳房の圧迫側とは反対側に投影する処理を行う投影処理部51Dを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、前記超音波画像の撮影を行うにあたり、当該超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、当該超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を前記圧迫部材の前記乳房の圧迫側とは反対側に投影する処理を行う、
医用画像取得案内装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記超音波プローブによる走査によって得られた超音波画像と、当該超音波画像を得るための走査における前記走査領域及び前記走査方向の少なくとも一方と、を関連付けて保存する処理を更に行う、
請求項1に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記超音波プローブの位置を検出する位置センサによる検出結果を用いて、実際の前記走査領域及び前記走査方向の少なくとも一方を特定する、
請求項2に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記超音波画像に前記走査領域を関連付けて保存した場合において、当該超音波画像に対応する前記放射線画像を、前記走査領域を示す画像である走査領域画像と共に表示する第1表示処理を更に行い、
前記第1表示処理によって表示した前記走査領域画像が示す前記走査領域がユーザによって指定された場合、当該走査領域に対応する前記超音波画像を表示する第2表示処理を更に行う、
請求項2又は請求項3に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
単一の前記超音波画像を撮影するために、前記超音波プローブによる走査を複数回に分けて行う場合、互いに隣接する走査に対応する前記走査領域を、当該隣接する領域については、予め定められた範囲で重複させるように決定する、
請求項1又は請求項2に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項6】
前記案内画像は、線、図形、マーク、及び文字の少なくとも1つを含む画像である、
請求項1又は請求項2に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記案内画像の投影を、前記圧迫部材の前記乳房の圧迫側とは反対側で、かつ、前記超音波プローブによる走査領域を除く領域に行う、
請求項1又は請求項2に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記走査領域を、前記超音波プローブの筐体の幅、前記超音波プローブの有効幅、前記圧迫部材の幅、及び前記放射線画像における乳房を示す画像の取得領域の少なくとも1つによって決定する、
請求項1又は請求項2に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記有効幅を、当該医用画像取得案内装置の電源立ち上げ時のタイミング、前記超音波プローブを装着したタイミング、及び乳房を示す画像を取得するためのプリセットが選択されたタイミングの何れかのタイミングで取得する、
請求項1又は請求項2に記載の医用画像取得案内装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の医用画像取得案内装置と、
前記医用画像取得案内装置による処理に応じて取得された放射線画像及び超音波画像を表示する表示部と、
を含む医用画像取得案内システム。
【請求項11】
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、前記超音波画像の撮影を行うにあたり、当該超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、当該超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を前記圧迫部材の前記乳房の圧迫側とは反対側に投影する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医用画像取得案内装置、医用画像取得案内システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マンモグラフィによる放射線画像では、乳がんによる病変(腫瘤、石灰化等)も乳腺も白く表示されるため、乳腺濃度が高い乳房の場合、乳腺領域に乳がんによる病変が隠れて発見し難い。一方、超音波検査による超音波画像は、乳腺濃度が高い乳房の撮影に向いているが、乳腺濃度は人によってばらつきがある。
【0003】
そこで、従来、マンモグラフィによる検査と、超音波結果とを併用する技術として次の技術があった。
【0004】
特許文献1には、放射線及び超音波を併用して乳腺・乳房の診断を行う医用画像診断システムにおいて、放射線画像と超音波画像とを関連付けて視覚的に認識し易くすることを目的とした医用画像診断システムが開示されている。
【0005】
この医用画像診断システムは、被検体に放射線を照射することにより、投影面に投影された被検体の放射線画像を取得すると共に、被検体に向けて超音波を送信し、被検体によって反射される超音波エコーを受信することにより、前記投影面に略直交するスライス面に沿って被検体の超音波スライス画像を取得して、複数のスライス面に沿った複数の超音波スライス画像を表す第1の画像データと、少なくとも1つの放射線画像を表す第2の画像データと、前記投影面における前記複数のスライス面の位置を表す位置データとを生成する医用撮像装置と、前記医用撮像装置によって生成された第1の画像データと第2の画像データと位置データとを対応付けて格納する医用画像格納装置と、前記医用画像格納装置から読み出された第1の画像データに基づいて、少なくとも1つのスライス面に沿った少なくとも1つの超音波スライス画像を表示すると共に、前記医用画像格納装置から読み出された第2の画像データ及び位置データに基づいて、前記投影面における前記少なくとも1つのスライス面の位置を示すマーカーが表された少なくとも1つの放射線画像を表示する医用画像表示装置と、を具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-82402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、圧迫部材を用いて乳房を圧迫した状態で放射線画像及び超音波画像を撮影する場合、被検者に対する負担を考慮すると、圧迫部材による乳房の圧迫時間は極力短くする必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、手動で超音波プローブによる走査を行うものとされているため、比較的多く時間を要する、という問題点があった。
【0009】
通常、超音波プローブにより手動で超音波画像の撮影を行う場合、一度の走査で取得される超音波画像は乳房全体における一部の領域の画像に限られるため、複数回に分けて走査を行う必要があるためである。
【0010】
特に、放射線画像と超音波画像とを併用する検査では、これらの画像を全体的に重ね合わせて読影したいというニーズもあり、この場合、乳房全体の超音波画像が必要となるが、そのために複数回に分けて超音波画像の撮影を行うと、一部に撮影領域の漏れが生じる場合もあり、この場合には、当該漏れの部分に対する撮影を再度行う必要が生じる。
【0011】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、圧迫部材により乳房が圧迫された状態における超音波撮影を、従来の技術に比較して、より短時間で行うことができる医用画像取得案内装置、医用画像取得案内システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の医用画像取得案内装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、超音波画像の撮影を行うにあたり、超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を圧迫部材の乳房の圧迫側とは反対側に投影する処理を行う。
【0013】
本開示の第2の態様の医用画像取得案内装置は、第1の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、超音波プローブによる走査によって得られた超音波画像と、超音波画像を得るための走査における走査領域及び走査方向の少なくとも一方と、を関連付けて保存する処理を更に行うものである。
【0014】
本開示の第3の態様の医用画像取得案内装置は、第2の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、超音波プローブの位置を検出する位置センサによる検出結果を用いて、実際の走査領域及び走査方向の少なくとも一方を特定するものである。
【0015】
本開示の第4の態様の医用画像取得案内装置は、第2の態様又は第3の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、超音波画像に走査領域を関連付けて保存した場合において、超音波画像に対応する放射線画像を、走査領域を示す画像である走査領域画像と共に表示する第1表示処理を更に行い、第1表示処理によって表示した走査領域画像が示す走査領域がユーザによって指定された場合、当該走査領域に対応する超音波画像を表示する第2表示処理を更に行う。
【0016】
本開示の第5の態様の医用画像取得案内装置は、第1の態様又は第2の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、単一の超音波画像を撮影するために、超音波プローブによる走査を複数回に分けて行う場合、互いに隣接する走査に対応する走査領域を、当該隣接する領域については、予め定められた範囲で重複させるように決定するものである。
【0017】
本開示の第6の態様の医用画像取得案内装置は、第1の態様又は第2の態様の医用画像取得案内装置において、案内画像が、線、図形、マーク、及び文字の少なくとも1つを含む画像であるものである。
【0018】
本開示の第7の態様の医用画像取得案内装置は、第1の態様又は第2の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、案内画像の投影を、圧迫部材の乳房の圧迫側とは反対側で、かつ、超音波プローブによる走査領域を除く領域に行うものである。
【0019】
本開示の第8の態様の医用画像取得案内装置は、第1の態様又は第2の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、走査領域を、超音波プローブの筐体の幅、超音波プローブの有効幅、圧迫部材の幅、及び放射線画像における乳房を示す画像の取得領域の少なくとも1つによって決定するものである。
【0020】
本開示の第9の態様の医用画像取得案内装置は、第1の態様又は第2の態様の医用画像取得案内装置において、プロセッサが、有効幅を、当該医用画像取得案内装置の電源立ち上げ時のタイミング、超音波プローブを装着したタイミング、及び乳房を示す画像を取得するためのプリセットが選択されたタイミングの何れかのタイミングで取得するものである。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本開示の第10の態様の医用画像取得案内システムは、本開示の医用画像取得案内装置と、医用画像取得案内装置による処理に応じて取得された放射線画像及び超音波画像を表示する表示部と、を含む。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本開示の第11の態様のプログラムは、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、超音波画像の撮影を行うにあたり、超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を圧迫部材の乳房の圧迫側とは反対側に投影する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、圧迫部材により乳房が圧迫された状態における超音波撮影を、従来の技術に比較して、より短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る医用画像取得案内システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る医用画像取得装置の外観の一例を示す側面図である。
図3】実施形態に係る圧迫部材の概略構成の一例を示す三面図である。
図4】実施形態に係るコンソールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】実施形態に係るコンソールの機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図6】実施形態に係るプローブ情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図7】実施形態に係る登録情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図8】実施形態に係る投影処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る走査領域の導出方法の説明に供する模式図である。
図10】実施形態に係る案内画像の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る案内画像に応じた超音波プローブによる走査状態の一例を示す図である。
図12】実施形態に係る案内画像の他の一例を示す図である。
図13】実施形態に係る案内画像の他の一例を示す図である。
図14】実施形態に係る案内画像の他の一例を示す図である。
図15】実施形態に係るボディマークの表示状態の一例を示す図である。
図16】実施形態に係る画像表示処理の一例を示すフローチャートである。
図17】実施形態に係る放射線画像表示画面の表示状態の一例を示す図である。
図18】実施形態に係る超音波重畳画像表示画面の表示状態の一例を示す図である。
図19】実施形態に係る超音波画像の合成の説明に供する図である。
図20A】実施形態に係る超音波画像の合成の説明に供する部分拡大図である。
図20B】実施形態に係る超音波画像の合成の説明に供する部分拡大図である。
図21】実施形態に係る走査領域及び走査回数の他の導出方法の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
【0026】
まず、図1を参照して、本開示の技術を適用した医用画像取得案内システム1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る医用画像取得案内システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0027】
図1に示すように、医用画像取得案内システム1は、医用画像取得装置10及びコンソール50を備える。医用画像取得装置10とコンソール50、コンソール50と外部のRIS(Radiology Information System)6は、有線又は無線のネットワークを介して接続可能に構成されている。コンソール50が本開示の技術における医用画像取得案内装置に相当する。
【0028】
本実施形態に係る医用画像取得案内システム1においては、コンソール50がRIS6から撮影オーダ等を取得し、当該撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて、医用画像取得装置10の制御を行う。医用画像取得装置10は、何れも後述する撮影台16と圧迫部材40との間で圧迫状態とした乳房に放射線Rを照射させて放射線画像を撮影する。また、医用画像取得装置10は、圧迫部材40により圧迫状態とされた乳房の超音波画像を撮影する。
【0029】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る医用画像取得装置10の概略構成について説明する。図2は、本実施形態に係る医用画像取得装置10の外観の一例を示す側面図であり、被検者の右側から医用画像取得装置10を見た場合の図である。図2に示すように、医用画像取得装置10は、放射線源17Rと、放射線検出器28と、放射線源17Rと放射線検出器28との間に配置された撮影台16と、撮影台16との間で乳房を圧迫する圧迫部材40と、を備える。医用画像取得装置10では、医師及び技師等のユーザによって、撮影台16の撮影面16A上に被検者の乳房がポジショニングされる。
【0030】
医用画像取得装置10は、アーム部12、基台14及び軸部15を備える。アーム部12は、基台14によって、上下方向(Z方向)に移動可能に保持される。軸部15は、アーム部12を基台14に連結する。アーム部12は、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっている。また、アーム部12は、放射線照射部17を備える上部と撮影台16を備える下部とで別々に、軸部15を回転軸として、基台14に対して相対的に回転可能となっていてもよい。
【0031】
アーム部12は、放射線照射部17及び撮影台16を備える。放射線照射部17は、放射線源17Rを備え、放射線源17Rから照射される放射線(例えばX線)の照射野を変更可能に構成されている。照射野の変更は、例えば、ユーザが操作部26を操作することで行われてもよいし、取り付けられた圧迫部材40の種類に応じて制御部20が行うものであってもよい。
【0032】
撮影台16は、制御部20、記憶部22、I/F(Interface)部24、操作部26及び放射線検出器28を備える。制御部20は、コンソール50の制御に応じて、医用画像取得装置10の全体の動作を制御する。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(図示省略)。ROMには、CPUで実行される、放射線画像及び超音波画像の生成に関する制御を行うためのプログラムを含む各種プログラムが予め記憶されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。
【0033】
記憶部22には、放射線画像及び超音波画像のデータ及びその他の各種情報等が記憶される。記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。
【0034】
I/F部24は、有線通信又は無線通信により、コンソール50との間で各種情報の通信を行う。具体的には、I/F部24は、コンソール50から医用画像取得装置10の制御に関する情報を受信する。また、I/F部24は、コンソール50に対して、放射線画像及び超音波画像のデータを送信する。
【0035】
操作部26は、撮影台16等に設けられた、ユーザが手又は足等で操作可能なパーツであり、例えばスイッチ、ボタン及びタッチパネル等である。
【0036】
放射線検出器28は、撮影台16の内部に配置され、乳房及び撮影台16を透過した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。なお、放射線検出器28の種類は特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0037】
また、アーム部12には、圧迫ユニット48が連結される。圧迫ユニット48には、圧迫部材40を支持する支持部46が着脱可能に取り付けられる。圧迫ユニット48に備えられた駆動部(図示省略)によって、支持部46(圧迫部材40)が上下方向(Z方向)に移動される。
【0038】
圧迫部材40は、放射線源17Rと撮影台16との間に配置され、撮影台16との間で乳房を挟み込むことによって、乳房を圧迫状態にする。図3に、圧迫部材40の一例の三面図を示す。図3の三面図には、圧迫部材40を上側(放射線照射部17側)から見た上面図、被検者側から見た側面図、及び被検者の右側から見た側面図が含まれる。図3に示すように、圧迫部材40は、圧迫部42及び支持部46を含む。
【0039】
支持部46は、取付部47及び腕49を含む。取付部47は、圧迫部材40を医用画像取得装置10、具体的には圧迫ユニット48の駆動部に取り付ける。腕49は、圧迫部42を支持する。
【0040】
圧迫部42は、高さが略一様の壁部44によって、略平坦に構成された底部43が囲まれ、断面形状が凹型に形成されている。圧迫部42は、乳房の圧迫においてポジショニング及び圧迫状態の確認を行うために、光学的に透明又は半透明の材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、放射線R及び超音波の透過性に優れた材料で形成されることが好ましい。また、圧迫部42は、例えば落下強度及び圧縮強度等の強度に優れた材料で形成されることが好ましい。
【0041】
このような材料としては、例えば、ポリメチルペンテン(PMP:Polymethylpentene)、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)、アクリル、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)及びポリエチレンテレフタラート(PET:Polyethylene Terephthalate)等の樹脂を用いることができる。特にポリメチルペンテンは、超音波の透過率及び反射率に影響する音響インピーダンスが、他の材料と比較して人体(乳房)と近い値となっており、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。したがって、圧迫部42の材料としては、ポリメチルペンテンが好適である。
【0042】
また、医用画像取得装置10には、互いに異なる複数種類の圧迫部材40を入れ替えて取り付けられるようになっていてもよい。具体的には、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる材質、大きさ及び形状の圧迫部材40を取り付けるようにしてもよい。例えば、乳房の大きさに応じた圧迫部材、腋窩撮影用の圧迫部材、拡大撮影用の圧迫部材、並びに、病変が存在する領域のみの放射線画像を撮影する、いわゆるスポット撮影用の圧迫部材等を用いてもよい。すなわち、圧迫部材40は、乳房全体を圧迫するものに限らず、乳房の一部を圧迫するような乳房よりも小さいものであってもよい。
【0043】
なお、圧迫部材40の底部43の上面43A及び/又は乳房との接触面43Bには、ゲル状又は液状の超音波透過性を有する媒質が塗布されていてもよい。このような媒質としては、例えば、人体(乳房)の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有する公知の超音波検査用ゼリーを適用できる。すなわち、医用画像取得装置10は、ゲル状又は液状の超音波透過性を有する媒質が塗布された状態の圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を、圧迫部材40を介して取得してもよい。この場合、超音波プローブ30の超音波放射面と上面43Aとの界面、及び/又は、接触面43Bと乳房との界面に空気が入ることを抑制でき、各界面における音響インピーダンスの差を小さくできるので、超音波画像に与えるノイズの割合を低下できる。
【0044】
一方、本実施形態に係る医用画像取得案内システム1は、医用画像取得装置10とは別に、超音波プローブ30が用意されている。なお、本実施形態に係る医用画像取得案内システム1では、超音波プローブ30として有線(図示省略。)で医用画像取得装置10に接続されるものを適用しているが、これに限定されるものではない。超音波プローブ30として無線通信機能を有するものを適用し、当該無線通信機能により医用画像取得装置10と接続する形態としてもよい。
【0045】
超音波プローブ30は、圧迫部材40によって圧迫状態とされた乳房の超音波画像を得るためのものであり、圧迫部材40の底部43の上面43Aにおいて手動で走査を行うと共に、圧迫部材40を介して超音波を乳房に照射し、乳房からの反射波を受信する。また、超音波プローブ30には、受信した乳房からの反射波を超音波画像に変換する変換器(図示省略)が内包され、変換器によって超音波画像が得られる。
【0046】
具体的には、超音波プローブ30は、超音波トランスデューサアレイを備える。超音波トランスデューサアレイは、複数の超音波トランスデューサが一次元状又は二次元状に配列された構成である。超音波トランスデューサは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Lead Zirconate Titanate)に代表される圧電セラミック、マグネシウムニオブ酸鉛チタン酸鉛(PMN-PT:Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate)に代表される圧電単結晶、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF:Polyvinylidene Difluoride)に代表される高分子圧電素子等の圧電体の両端に電極を形成してなるものであってもよい。また例えば、超音波トランスデューサは、CMUT(Capacitive Micro-machined Ultrasound Transducer)であってもよい。
【0047】
また、本実施形態に係る医用画像取得案内システム1では、互いに異なる複数種類の超音波プローブ30を入れ替えて取り付けられるようになっている。具体的には、被検者の体格(例えば乳房の大きさ)、乳房の組織構成(例えば脂肪量及び乳腺量)、並びに撮影の種類(例えば拡大撮影及びスポット撮影)等に応じて、それぞれ異なる性能及び寸法の超音波プローブ30を取り付けるようにしている。例えば、中心周波数が約7.5MHzのリニア型プローブ(表在等用)、中心周波数が約3.5MHzのコンベックス型プローブ(腹部等用)、及び中心周波数が約2.5MHzのセクタ型プローブ(心臓等用)等を用いてもよい。
【0048】
一方、アーム部12の上部には、放射線照射部17による放射線の射出口の近傍に、投影部80Aが設けられたプロジェクタ80が内蔵されている。プロジェクタ80は、主として圧迫部材40の上面に各種情報を示す画像(以下、「投影画像」ともいう。)を投影するものとされているが、圧迫部材40が取り外されている場合には、撮影台16の上面や、圧迫部材40により圧迫されていない状態での乳房に対して投影画像を投影することができる。プロジェクタ80としては、液晶プロジェクタ、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)プロジェクタ、及びレーザプロジェクタ等の公知のプロジェクタを適用することができる。
【0049】
なお、医用画像取得装置10による乳房の撮影方式は特に限定されない。例えば頭尾方向(CC:Cranio-Caudal)撮影、内外斜位方向(MLO:Medio-Lateral Oblique)撮影、乳房の一部を撮影する拡大撮影及びスポット撮影等であってもよい。CC撮影は、上下方向(Z方向)に撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、圧迫状態の乳房を撮影する方式である。MLO撮影は、アーム部12の基台14に対する回転角度が45度以上90度未満となるよう傾けた状態で、撮影台16と圧迫部材40とで乳房を挟み込むことで、腋窩部分を含む圧迫状態の乳房を撮影する方式である。
【0050】
また例えば、医用画像取得装置10は、トモシンセシス撮影を行うものであってもよい。トモシンセシス撮影では、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源17Rにより乳房に向けて放射線Rを照射して、複数枚の乳房の放射線画像が撮影される。すなわちトモシンセシス撮影においては、撮影台16、圧迫部材40及び乳房等の角度は固定としたまま、放射線照射部17の基台14に対する回転角度を変えて撮影が行われる。
【0051】
また、医用画像取得装置10では、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子及び車椅子等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房がポジショニングされるものであってもよい。
【0052】
コンソール50は、医用画像取得装置10に取り付けられている圧迫部材40の種類に応じて、圧迫部材40が乳房に加える圧迫力の上限値を設定する。また、コンソール50は、RIS6から取得した撮影オーダ及びユーザの指示等に応じて放射線画像及び超音波画像を取得するよう、医用画像取得装置10の制御を行う。
【0053】
本実施形態に係る医用画像取得装置10は、乳房を圧迫部材40によって圧迫した状態のまま、放射線画像及び超音波画像の双方を取得することができる。これにより、これらの画像の位置合わせを容易とし、両画像を重ねて表示すること等によって、病変の鑑別判断能を向上させることができる。
【0054】
次に、本実施形態に係るコンソール50について説明する。
【0055】
まず、図4を参照して、コンソール50のハードウェア構成の一例を説明する。図4に示すように、コンソール50は、プロセッサとしてのCPU51、不揮発性の記憶部52、及び一時記憶領域としてのメモリ53を含む。また、コンソール50は、液晶ディスプレイ等の表示部としてのディスプレイ54、タッチパネル、キーボード及びマウス等の操作部55、並びにI/F部56を含む。I/F部56は、医用画像取得装置10、RIS6及びその他外部装置等との有線又は無線通信を行う。CPU51、記憶部52、メモリ53、ディスプレイ54、操作部55及びI/F部56は、システムバス及びコントロールバス等のバス58を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0056】
記憶部52は、例えば、HDD、SSD及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部52には、投影処理プログラム52A及び画像表示処理プログラム52Bが記憶される。CPU51は、記憶部52から投影処理プログラム52A及び画像表示処理プログラム52Bの各プログラムを適宜読み出してメモリ53に展開し、展開した各プログラムを実行する。コンソール50としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末及びウェアラブル端末等を適宜適用できる。
【0057】
また、記憶部52には、プローブ情報データベース52C及び登録情報データベース52Dが記憶される。プローブ情報データベース52C及び登録情報データベース52Dについては詳細を後述する。
【0058】
次に、図5を参照して、コンソール50の機能的な構成の一例について説明する。図5に示すように、コンソール50は、プローブ情報取得部51A、走査情報導出部51B、案内画像作成部51C、投影処理部51D、特定部51E、保存処理部51F、第1表示処理部51G、及び第2表示処理部51Hを含む。CPU51が投影処理プログラム52Aを実行することにより、CPU51がプローブ情報取得部51A、走査情報導出部51B、案内画像作成部51C、投影処理部51D、特定部51E、及び保存処理部51Fとして機能する。また、CPU51が画像表示処理プログラム52Bを実行することにより、CPU51が第1表示処理部51G及び第2表示処理部51Hとして機能する。
【0059】
本実施形態に係るプローブ情報取得部51Aは、圧迫部材40により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、超音波画像の撮影を行うにあたり、超音波プローブ30における有効幅を含む情報(以下、「プローブ情報」という。)を取得する。ここで、「有効幅」は、超音波プローブ30における超音波の送受信ができる領域の幅を意味する。
【0060】
また、本実施形態に係る走査情報導出部51Bは、取得したプローブ情報における有効幅に応じて、超音波プローブ30による走査領域及び走査方向の少なくとも一方を示す情報(以下、「走査情報」という。)を導出する。なお、本実施形態に係る走査情報導出部51Bでは、走査領域及び走査方向の双方を導出しているが、これに限定されない。例えば、走査情報導出部51Bが走査領域及び走査方向の何れか一方のみを導出する形態としてもよい。
【0061】
また、本実施形態に係る案内画像作成部51Cは、導出した走査情報が示す走査領域及び走査方向の少なくとも一方を用いて、当該走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を作成する。
【0062】
そして、本実施形態に係る投影処理部51Dは、作成した案内画像を圧迫部材40の乳房の圧迫側とは反対側、すなわち、圧迫部材40の底部43の上面43Aに投影する処理を行う。
【0063】
また、本実施形態に係る特定部51Eは、超音波プローブ30の位置を検出する位置センサ(図示省略。)による検出結果を用いて、実際の走査領域及び走査方向の少なくとも一方を特定する。そして、本実施形態に係る保存処理部51Fは、超音波プローブ30による走査によって得られた超音波画像と、当該超音波画像を得るための走査における、特定部51Eによって特定された走査領域及び走査方向の少なくとも一方と、を関連付けて保存する処理を行う。
【0064】
なお、本実施形態では、上記位置センサとして、磁気発生器と磁気位置センサとを組み合わせて構成された磁気式のセンサを適用しているが、これに限定されるものではない。例えば、光学式の位置センサや電気式の位置センサ等を上記位置センサとして適用する形態としてもよい。
【0065】
このように、本実施形態では、保存処理部51Fによって保存する走査領域及び走査方向の少なくとも一方を位置センサによって検出しているが、これに限定されるものではない。例えば、圧迫部材40の上面側を撮影する光学カメラを用意し、当該光学カメラによる撮影画像に対する画像解析技術によって、上記走査領域及び走査方向の少なくとも一方を検出する形態としてもよい。
【0066】
また、超音波プローブ30が圧迫部材40に接触している状態で得られた超音波画像は通常の画像となるが、超音波プローブ30が圧迫部材40から離隔した状態で得られた超音波画像は圧迫部材40の底部43の上面43Aからの多重エコーが繰り返した状態の画像となる。そこで、例えば、超音波プローブ30による走査によって得られる超音波画像の状態の変化を利用して超音波プローブ30が圧迫部材40から離隔したか否かを検出し、当該検出結果を用いて、上記走査領域及び走査方向の少なくとも一方を検出する形態としてもよい。
【0067】
一方、本実施形態に係る第1表示処理部51Gは、超音波画像に上記走査領域を関連付けて保存する場合において、当該超音波画像に対応する放射線画像を、上記走査領域を示す画像である走査領域画像と共に表示する第1表示処理を行う。そして、本実施形態に係る第2表示処理部51Hは、第1表示処理によって表示された走査領域画像が示す走査領域がユーザによって指定された場合、当該走査領域に対応する超音波画像を表示する第2表示処理を行う。
【0068】
ここで、本実施形態に係る走査情報導出部51Bは、単一の超音波画像を撮影するために、超音波プローブ30による走査を複数回に分けて行う場合、互いに隣接する走査に対応する走査領域を、当該隣接する領域については、予め定められた範囲で重複させるように決定する。この際の重複させる範囲は概ね5mmから10mmまでの間とすることが好ましい。これは、手技で超音波プローブ30を確実に走査させるためには5mm程度の重複は必要であり、より安全性を考慮すると10mm程度必要である一方、10mmを超えると走査回数が増加し過ぎるためである。なお、超音波プローブ30の探触子の幅(上述した有効幅に相当。)は、一般に35mm~50mm程度とされており、5mmから10mmまでの範囲は探触子の幅の10%~30%程度にあたる。
【0069】
本実施形態では、上記案内画像として、線、マーク、及び文字を含む画像を適用しているが、これに限定されるものではない。例えば、更に図形を含む画像を上記案内画像として適用する形態としてもよく、これらの線、図形、マーク、及び文字のうちの1つを含む画像、又は全てを除く複数の組み合わせを含む画像を上記案内画像として適用する形態としてもよい。
【0070】
なお、本実施形態では、プローブ情報取得部51Aにより、上述した有効幅を、医用画像取得装置10に超音波プローブ30を装着したタイミングで取得しているが、これに限定されるものではない。例えば、医用画像取得装置10又はコンソール50の電源立ち上げ時のタイミング、及び乳房を示す画像を取得するためのプリセットが選択されたタイミングの何れかのタイミングで有効幅を取得する形態としてもよい。
【0071】
次に、図6を参照して、本実施形態に係るプローブ情報データベース52Cについて説明する。図6は、本実施形態に係るプローブ情報データベース52Cの構成の一例を示す模式図である。
【0072】
本実施形態に係るプローブ情報データベース52Cは、医用画像取得装置10において適用可能とされた、予め定められた種類の超音波プローブのサイズに関する情報である、上述したプローブ情報が登録されるデータベースである。一例として図6に示すように、本実施形態に係るプローブ情報データベース52Cは、プローブID(Identification)、及びプローブ情報の各情報が関連付けられて記憶される。
【0073】
上記プローブIDは、医用画像取得装置10において適用可能とされた超音波プローブの各々を識別するために、当該超音波プローブの各々毎に異なるものとして予め割り振られた情報である。また、上記プローブ情報は、対応する超音波プローブのサイズを示す情報であり、探触子幅及び筐体幅の2つのサイズが含まれる。ここで、探触子幅は対応する超音波プローブの上述した有効幅を示す情報であり、筐体幅は対応する超音波プローブの筐体そのものの幅を示す情報である。
【0074】
図6に示す例では、プローブIDとして「P001」が割り振られた超音波プローブの探触子幅(有効幅)が50mmであり、筐体の幅が52mmであることが示されている。従って、この超音波プローブは、当該超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域の両端側に各々1mmずつ筐体の領域があることになる。
【0075】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る登録情報データベース52Dについて説明する。図7は、本実施形態に係る登録情報データベース52Dの構成の一例を示す模式図である。
【0076】
本実施形態に係る登録情報データベース52Dは、医用画像取得装置10において取得された放射線画像及び超音波画像が登録されるデータベースである。一例として図7に示すように、本実施形態に係る登録情報データベース52Dは、放射線画像、及び登録画像の各情報が関連付けられて記憶される。
【0077】
上記放射線画像は、医用画像取得装置10による撮影によって取得された放射線画像そのものを示す情報である。また、上記登録情報は、対応する放射線画像を撮影した状態と同一の状態で超音波プローブ30による撮影によって取得された超音波画像に関する情報であり、当該超音波プローブ30のプローブID、超音波画像、走査領域、及び走査方向の各情報を含む。
【0078】
すなわち、本実施形態に係る医用画像取得装置10で適用可能とされている超音波プローブは、その有効幅が圧迫部材40の底部43の上面43Aにおける奥行き方向(図2の左右方向)の幅より短いものとされている。このため、上面43Aの全ての領域に対応する超音波画像を取得するためには複数回の走査を要することになる。
【0079】
上記登録情報における超音波画像、走査領域、及び走査方向は、この複数回の走査の各々毎に登録される情報である。図7に示す例では、放射線画像Aの撮影に対応して行った超音波画像の撮影は、プローブIDとして「P001」が割り振られた超音波プローブ30を用いて、4回に分けて行われた場合が例示されている。
【0080】
なお、本実施形態では、登録情報データベース52Dに登録される超音波画像として動画像の超音波画像を適用しているが、これに限定されるものではない。例えば、静止画像の超音波画像を上記超音波画像として登録情報データベース52Dに登録する形態としてもよい。
【0081】
次に、図8図18を参照して、本実施形態に係る医用画像取得案内システム1の作用を説明する。まず、図8図15を参照して、投影処理を実行する場合のコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が投影処理プログラム52Aを実行することによって、図8に示す投影処理が実行される。本実施形態に係る投影処理は、医用画像取得装置10において乳房が圧迫部材40によって圧迫された状態で放射線画像の撮影が行われた後に、当該放射線画像に対応する超音波画像の撮影を行うべく、医師及び技師等のユーザにより、使用する超音波プローブ30が医用画像取得装置10に接続され、操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するため、プローブ情報データベース52Cが構築済みであり、また、撮影によって得られた放射線画像が登録情報データベース52Dに登録済みとされている場合について説明する。
【0082】
ステップS100で、CPU51は、この時点で接続されている超音波プローブ30を特定する情報(本実施形態では、プローブID)を医用画像取得装置10から受信する。そして、CPU51は、受信したプローブIDに対応するプローブ情報をプローブ情報データベース52Cから読み出すことで取得する。
【0083】
ステップS102で、CPU51は、上述した走査情報(本実施形態では、走査領域及び走査方向を示す情報)を導出する。まず、図9を参照して、本実施形態に係る走査領域の具体的な導出方法について説明する。図9は、本実施形態に係る走査領域の導出方法の説明に供する模式図である。
【0084】
図9に示すように、まず、CPU51は、超音波プローブ30による走査領域の端部を示す線であり、被検者の胸壁側に最も近い線である領域区分線60を仮想的に0(零)本目の領域区分線60とし、当該0本目の領域区分線60の位置を0mmとする。
【0085】
次いで、CPU51は、超音波プローブ30による1回目の走査領域に対応する領域区分線60の位置を次の(1)式により算出する。なお、(1)式において、PWは超音波プローブ30の探触子の幅(有効幅)を表し、HWは超音波プローブ30の筐体の幅を表し、L1は1回目の走査領域に対応する領域区分線60の位置を表す。
【0086】
L1=PW+(HW-PW)/2 (1)
【0087】
そして、CPU51は、超音波プローブ30の2回目以降の走査領域に対応する領域区分線60の位置を、圧迫部材40の底部43の上面43Aにおける奥行き方向の幅Wを超えないことを条件として、次の(2)式により算出する。なお、(2)式において、BLは前回の走査領域に対応する領域区分線60の位置を表し、DWは超音波プローブ30で走査する際の隣接する走査領域との重複幅を表し、Lnはn回目の走査を行う走査領域に対応する領域区分線60の位置を表す。
【0088】
Ln=BL+(PW-DW) (2)
【0089】
例えば、圧迫部材40の底部43の上面43Aにおける奥行き方向の幅Wが240mmであり、超音波プローブ30の探触子の幅PWが50mmであり、超音波プローブ30の筐体の幅HWが52mmであり、超音波プローブ30で走査する際の隣接する走査領域との重複幅DWが5mmである場合、各領域区分線60の位置は次の表1に示すようになる。
【0090】
【表1】
【0091】
また、本実施形態では、上記走査方向として、走査毎に走査方向を切り替える第1パターン、全ての走査で図9の左端側から右端側に向かう方向とする第2パターン、及び全ての走査で図9の右端側から左端側に向かう方向とする第3パターンが用意されている。そして、本実施形態では、以上の3パターンのうちの何れを適用するかをユーザが予め指定する。但し、この形態に限るものでなく、超音波撮影の用途や被検者の病状等に応じて、CPU51が好適な走査方向を決定して適用する形態としてもよい。
【0092】
ステップS104で、CPU51は、以上の処理によって得られた走査情報を用いて、予め定められた構成とされた案内画像を示す情報を作成する。ステップS106で、CPU51は、作成した情報が示す案内画像を、圧迫部材40の底部43の上面43Aに投影するようにプロジェクタ80を制御する。この制御により、圧迫部材40の底部43の上面43Aには、案内画像が投影される。図10には、本実施形態に係る案内画像の一例が示されている。なお、図10では、領域区分線60の数、すなわち、走査回数が4の場合について例示されている。
【0093】
図10に示すように、本実施形態に係る案内画像では、超音波プローブ30による複数回の走査の各々毎の走査領域が領域区分線60で区分(図10に示す例では、4区分)された状態で投影される。また、この案内画像では、各区分の各々毎に、操作順を示す数字62及び走査方向を示す矢印64が投影される。従って、ユーザは、案内画像を参照することで、超音波プローブ30による走査領域及び走査方向を把握することができる結果、一例として図11に示すように、超音波プローブ30による走査を行う。なお、図11では、超音波プローブ30が1回目の走査の途中にある場合について例示されている。
【0094】
なお、図10図11では、走査方向として第2パターンが選択されている場合の案内画像について例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、走査方向として第1パターンが選択されている場合には、一例として図12に示す案内画像が投影される。この案内画像では、奇数回目の走査方向が左端側から右端側に向かう方向とされ、偶数回目の走査方向が右端側から左端側に向かう方向とされている場合が例示されている。
【0095】
また、一例として図13に示すように、案内画像として、超音波プローブ30による走査開始位置を示す走査開始線66及び走査終了位置を示す走査終了線68を投影する形態としてもよい。また、図13に示すように、走査開始線66と走査終了線68との間の領域区分線60を投影しない形態としてもよい。この形態によれば、領域区分線60によるユーザの視認に対する妨げを回避することができる。更に、一例として図14に示すように、案内画像として、図11図12に示したものに走査開始線66及び走査終了線68を追加して投影する形態としてもよいことは言うまでもない。
【0096】
ステップS108で、CPU51は、上述した位置センサによって得られる超音波プローブ30の位置に基づいて、超音波プローブ30による1走査が終了するまで待機する。
【0097】
ステップS110で、CPU51は、位置センサによって得られた超音波プローブ30の位置から超音波プローブ30による実際の走査領域及び走査方向を示す情報を導出する。そして、CPU51は、導出した情報と、超音波プローブ30による走査によって得られた超音波画像とを超音波プローブ30のプローブIDと共に登録情報データベース52Dの対応する記憶領域に記憶(登録)する。なお、ここで行うプローブIDの登録は、1回目の走査の終了時のみに行えばよい。
【0098】
ステップS112で、CPU51は、超音波プローブ30による全ての走査が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップS108に戻る。
【0099】
以上のステップS108~ステップS112の処理により、対応する放射線画像と略同一の領域の超音波画像に関する情報が登録情報データベース52Dに登録されることになる。
【0100】
一方、ステップS112において肯定判定となった場合、すなわち、超音波プローブ30による全ての走査が終了した場合はステップS114に移行し、CPU51は、案内画像の投影を停止した後、本投影処理を終了する。
【0101】
なお、以上の投影処理を実行している際に、コンソール50のディスプレイ54には、超音波プローブ30による走査に応じて取得された超音波画像が概ね10画像/秒程度の動画像としてリアルタイムで表示される。この際の隣接する超音波画像の重複領域における表示形態としては、何れか一方のみの画像を表示する形態や、双方の画像の加重平均された画像を表示する形態等が例示される。また、この形態において、投影している案内画像と同様の画像を超音波画像に重畳してディスプレイ54に表示する形態としてもよい。
【0102】
一方、医用画像取得装置10やコンソール50には、ディスプレイ54に表示される超音波画像の表示状態を動画像と静止画像との間で切り替える際に押圧操作されるフリーズ・キーが用意されている場合がある。この場合において、超音波プローブ30による走査を行う際における、フリーズ・キーによる超音波画像の表示状態の切り替え操作は概ね次のようになる。
【0103】
走査を開始するにあたり、デフォルト又はフリーズ・キーの操作により超音波画像の表示状態を動画像とする。→1回目の走査を実行する。→走査の終了時にフリーズ・キーの操作により超音波画像の表示状態を静止画像とする。→静止画像を読影する。→読影の終了時にフリーズ・キーの操作により超音波画像の表示状態を動画像とする。→2回目の走査を実行する。以降、同様に走査が終了するまでフリーズ・キーの操作を繰り返す。
【0104】
この際に、上記投影処理と並行して、コンソール50のディスプレイ54の一部に、一例として図15に示すように、ボディマーク54Aを表示すると共に、当該ボディマーク54Aに対して、上述した領域区分線60、数字62、及び矢印64等と同様の役割を有する領域区分線70、数字72、矢印74、及び走査開始線76を表示する形態としてもよい。また、この形態において、図15に示すように、複数回の走査の各々毎に、対応する走査に関する数字72、矢印74、及び走査開始線76を、対応する走査を行うタイミングで表示する形態等としてもよい。
【0105】
次に、図16図18を参照して、画像表示処理を実行する場合のコンソール50の作用を説明する。コンソール50において、CPU51が画像表示処理プログラム52Bを実行することによって、図16に示す画像表示処理が実行される。本実施形態に係る画像表示処理は、医用画像取得装置10より取得された放射線画像及び超音波画像を表示させるべく、医師及び技師等のユーザにより、操作部55を介して実行開始の指示があった場合に実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するため、登録情報データベース52Dが構築済みであり、また、本画像表示処理によって表示したい放射線画像を示す情報が既に指定されている場合について説明する。
【0106】
ステップS200で、CPU51は、指定されている情報が示す放射線画像(以下、「表示対象放射線画像」という。)、及び当該表示対象放射線画像に対応する登録情報を登録情報データベース52Dから読み出す。
【0107】
ステップS202で、CPU51は、読み出した情報を用いて、予め定められた構成とされた放射線画像表示画面を表示するようにディスプレイ54を制御し、ステップS204で、CPU51は、所定情報が入力するまで待機する。図17には、本実施形態に係る放射線画像表示画面の表示状態の一例が示されている。
【0108】
図17に示すように、本実施形態に係る放射線画像表示画面では、表示対象放射線画像が表示されると共に、対応する走査領域を示す走査領域画像54Bが表示される。
【0109】
そこで、ユーザは、表示されている表示対象放射線画像における、何れかの走査領域に対応する超音波画像を表示させたい場合は対応する走査領域を、画像の表示を終了する場合は終了ボタン54Dを、各々操作部55を介して指定する。ユーザによって何れかの走査領域又は終了ボタン54Dが指定されると、ステップS204が肯定判定となってステップS206に移行する。
【0110】
ステップS206で、CPU51は、ユーザによって何れかの走査領域が指定されたか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS208に移行する。ステップS208で、CPU51は、ユーザによって指定された走査領域に対応する超音波画像(以下、「指定超音波画像」という。)を、表示対象放射線画像の指定された走査領域に重畳して表示する超音波重畳画像表示画面を、それまでの画面に代えて表示するようにディスプレイ54を制御した後、ステップS204に戻る。図18には、本実施形態に係る超音波重畳画像表示画面の表示状態の一例が示されている。
【0111】
図18に示すように、本実施形態に係る超音波重畳画像表示画面では、ユーザによって指定された走査領域に対応する指定超音波画像が、放射線画像の対応する領域に重畳された状態で表示される。従って、ユーザは、当該超音波重畳画像表示画面を参照することで、指定超音波画像と、当該指定超音波画像に隣接する領域の放射線画像とを見比べることができる。
【0112】
一方、ステップS206において否定判定となった場合は、ユーザによって終了ボタン54Dが指定されたものと見なしてステップS210に移行し、CPU51は、この時点で表示されている画像の表示を終了し、その後に本画像表示処理を終了する。
【0113】
なお、登録情報データベース52Dに登録された走査領域毎の超音波画像を合成することで、合成超音波画像を生成する形態としてもよい。以下、図19及び図20A、20Bを参照して、合成超音波画像の生成方法について説明する。図19は、本実施形態に係る超音波画像の合成の説明に供する図であり、図20A、20Bは、本実施形態に係る超音波画像の合成の説明に供する部分拡大図である。
【0114】
一例として図19に示すように、超音波プローブ30で複数回に分けて走査する場合、各走査で、走査速度の違い等によって超音波画像が得られるタイミングがずれる場合が多い。そこで、本実施形態では、隣接する走査間の重複領域における超音波画像の間でパターン・マッチングを行い、最も一致度が高い重複領域に対応する超音波画像を合成対象とする超音波画像として決定する。
【0115】
例えば、一例として図20Aに示すように、上記重複領域に対応する一方の超音波画像90Aに重複領域の一致度が最も高い他方の超音波画像が超音波画像92Aである場合は、超音波画像90Aと超音波画像92Aとを合成する。また、一例として図20Bに示すように、一方の超音波画像92Bに重複領域の一致度が最も高い他方の超音波画像が超音波画像90Aである場合、超音波画像90Aが他の超音波画像との合成で用いていたとしても、超音波画像92Bと超音波画像90Aとを合成する。
【0116】
以上の合成によって得られた合成超音波画像は、乳房における任意の断面の画像や、3次元画像等を生成するために用いることができる。
【0117】
以上説明したように、本実施形態によれば、圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、超音波画像の撮影を行うにあたり、超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を圧迫部材の乳房の圧迫側とは反対側に投影する処理を行う。従って、圧迫部材により乳房が圧迫された状態における超音波撮影を、従来の技術に比較して、より短時間で行うことができる。
【0118】
また、本実施形態によれば、超音波プローブによる走査によって得られた超音波画像と、超音波画像を得るための走査における走査領域及び走査方向の少なくとも一方と、を関連付けて保存する処理を更に行う。従って、放射線画像に対して指定された位置に対応する超音波画像を表示することができる。
【0119】
また、本実施形態によれば、超音波プローブの位置を検出する位置センサによる検出結果を用いて、実際の走査領域及び走査方向の少なくとも一方を特定する。従って、ユーザによる、実際の走査領域及び走査方向の少なくとも一方の入力が不要になる。
【0120】
また、本実施形態によれば、超音波画像に走査領域を関連付けて保存した場合において、超音波画像に対応する放射線画像を、走査領域を示す画像である走査領域画像と共に表示する第1表示処理を更に行い、第1表示処理によって表示した走査領域画像が示す走査領域がユーザによって指定された場合、当該走査領域に対応する超音波画像を表示する第2表示処理を更に行う。従って、放射線画像から当該放射線画像に対応する超音波画像の表示を行うことができる。
【0121】
また、本実施形態によれば、互いに隣接する走査に対応する走査領域を、当該隣接する領域については、予め定められた範囲で重複させるように決定する。従って、当該重複を行わない場合に比較して、より確実に単一の超音波画像を得ることができる。
【0122】
また、本実施形態によれば、案内画像として、線、図形、マーク、及び文字の少なくとも1つを含む画像を適用している。従って、適用した種類の画像による案内画像を投影することができる。
【0123】
また、本実施形態によれば、案内画像の投影を、圧迫部材の乳房の圧迫側とは反対側で、かつ、超音波プローブによる走査領域を除く領域に行う。従って、超音波プローブによる走査によって案内画像が遮られる事態の発生を回避することができる。
【0124】
また、本実施形態によれば、走査領域を、超音波プローブの筐体の幅、超音波プローブの有効幅、及び圧迫部材の幅の少なくとも1つによって決定する。従って、予め取得可能な物理量を用いて、走査領域を決定することができる。
【0125】
更に、本実施形態によれば、有効幅を、医用画像取得案内装置(コンソール50)の電源立ち上げ時のタイミング、超音波プローブを装着したタイミング、及び乳房を示す画像を取得するためのプリセットが選択されたタイミングの何れかのタイミングで取得する。従って、適用したタイミングで、案内画像の投影を行うことができる。
【0126】
なお、上記実施形態では、本開示の技術のプロセッサとして、コンソール50に設けられたCPU51を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、医用画像取得装置10に設けられた制御部20のCPUを、本開示の技術のプロセッサとして適用する形態としてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、圧迫部材40の底部43の上面43Aにおける奥行き方向の幅Wに応じて超音波プローブ30による走査領域及び走査回数を決定した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、放射線画像から特定される乳房の領域に応じて超音波プローブ30による走査領域及び走査回数を決定する形態としてもよい。図21は、本実施形態に係る走査領域及び走査回数の他の導出方法の説明に供する図である。
【0128】
図21に示すように、この場合、幅Wの全域について走査するのではなく、乳房が存在する領域のみについて走査するように走査領域及び走査回数を決定する。なお、図21に示す例では、走査回数は3回となる。
【0129】
また、上記実施形態では、走査情報を登録情報データベース52Dに登録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、医用画像の共通規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)で規定される画像のプライベートタグに走査情報を登録する形態としてもよい。
【0130】
また、上記実施形態において、例えば、プローブ情報取得部51A、走査情報導出部51B、案内画像作成部51C、投影処理部51D、特定部51E、保存処理部51F、第1表示処理部51G、及び第2表示処理部51Hといった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0131】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0132】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0133】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0134】
また、上記実施形態では、コンソール50の記憶部52に投影処理プログラム52A及び画像表示処理プログラム52Bの各プログラムが予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。上記各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、上記各プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0135】
以上の記載から、以下の付記に記載の発明を把握することができる。
【0136】
[付記1]
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、前記超音波画像の撮影を行うにあたり、当該超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、当該超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を前記圧迫部材の前記乳房の圧迫側とは反対側に投影する処理を行う、
医用画像取得案内装置。
[付記2]
前記プロセッサは、
前記超音波プローブによる走査によって得られた超音波画像と、当該超音波画像を得るための走査における前記走査領域及び前記走査方向の少なくとも一方と、を関連付けて保存する処理を更に行う、
付記1に記載の医用画像取得案内装置。
[付記3]
前記プロセッサは、
前記超音波プローブの位置を検出する位置センサによる検出結果を用いて、実際の前記走査領域及び前記走査方向の少なくとも一方を特定する、
付記2に記載の医用画像取得案内装置。
[付記4]
前記プロセッサは、
前記超音波画像に前記走査領域を関連付けて保存した場合において、当該超音波画像に対応する前記放射線画像を、前記走査領域を示す画像である走査領域画像と共に表示する第1表示処理を更に行い、
前記第1表示処理によって表示した前記走査領域画像が示す前記走査領域がユーザによって指定された場合、当該走査領域に対応する前記超音波画像を表示する第2表示処理を更に行う、
付記2又は付記3に記載の医用画像取得案内装置。
[付記5]
前記プロセッサは、
単一の前記超音波画像を撮影するために、前記超音波プローブによる走査を複数回に分けて行う場合、互いに隣接する走査に対応する前記走査領域を、当該隣接する領域については、予め定められた範囲で重複させるように決定する、
付記1から付記4の何れか1つに記載の医用画像取得案内装置。
[付記6]
前記案内画像は、線、図形、マーク、及び文字の少なくとも1つを含む画像である、
付記1から付記5の何れか1つに記載の医用画像取得案内装置。
[付記7]
前記プロセッサは、
前記案内画像の投影を、前記圧迫部材の前記乳房の圧迫側とは反対側で、かつ、前記超音波プローブによる走査領域を除く領域に行う、
付記1から付記6の何れか1つに記載の医用画像取得案内装置。
[付記8]
前記プロセッサは、
前記走査領域を、前記超音波プローブの筐体の幅、前記超音波プローブの有効幅、前記圧迫部材の幅、及び前記放射線画像における乳房を示す画像の取得領域の少なくとも1つによって決定する、
付記1から付記7の何れか1つに記載の医用画像取得案内装置。
[付記9]
前記プロセッサは、
前記有効幅を、当該医用画像取得案内装置の電源立ち上げ時のタイミング、前記超音波プローブを装着したタイミング、及び乳房を示す画像を取得するためのプリセットが選択されたタイミングの何れかのタイミングで取得する、
付記1から付記8の何れか1つに記載の医用画像取得案内装置。
[付記10]
付記1から付記9の何れか1つに記載の医用画像取得案内装置と、
前記医用画像取得案内装置による処理に応じて取得された放射線画像及び超音波画像を表示する表示部と、
を含む医用画像取得案内システム。
[付記11]
圧迫部材により圧迫された状態の乳房に対して放射線画像及び超音波画像の撮影を行う場合において、前記超音波画像の撮影を行うにあたり、当該超音波画像の撮影に用いる超音波プローブにおける超音波の送受信ができる領域である有効幅に応じて、当該超音波プローブによる走査領域及び走査方向の少なくとも一方を案内する案内画像を前記圧迫部材の前記乳房の圧迫側とは反対側に投影する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0137】
1 医用画像取得案内システム
6 RIS
10 医用画像取得装置
12 アーム部
14 基台
15 軸部
16 撮影台
16A 撮影面
17 放射線照射部
17R 放射線源
20 制御部
22、52 記憶部
24、56 I/F部
26、55 操作部
28 放射線検出器
30 超音波プローブ
40 圧迫部材
42 圧迫部
43 底部
43A 上面
43B 接触面
44 壁部
46 支持部
47 取付部
48 圧迫ユニット
49 腕
50 コンソール
51 CPU
51A プローブ情報取得部
51B 走査情報導出部
51C 案内画像作成部
51D 投影処理部
51E 特定部
51F 保存処理部
51G 第1表示処理部
51H 第2表示処理部
52 記憶部
52A 投影処理プログラム
52B 画像表示処理プログラム
52C プローブ情報データベース
52D 登録情報データベース
53 メモリ
54 ディスプレイ
54A ボディマーク
54B 走査領域画像
57 画像表示プログラム
58 バス
60 領域区分線
62 数字
64 矢印
66 走査開始線
68 走査終了線
70 領域区分線
72 数字
74 矢印
76 走査開始線
80 プロジェクタ
80A 投影部
90A 超音波画像
90B 超音波画像
92A 超音波画像
92B 超音波画像
DW 重複幅
HW 幅
L1 位置
Ln 位置
PW 幅
R 放射線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21