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特開2025-148001制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148001
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/75 20230101AFI20250930BHJP
   G03B 7/18 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20250930BHJP
【FI】
H04N23/75
G03B7/18
G03B7/091
G03B15/00 H
G03B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048559
(22)【出願日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅人
【テーマコード(参考)】
2H002
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC00
2H002CC21
2H002FB24
2H002FB39
2H002GA05
2H002JA07
2H002JA08
2H083AA05
2H083AA14
2H083AA26
2H083AA51
5C122DA03
5C122FF01
5C122FF08
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレーム間の明るさが電子減光フィルタの透過率の切り替えに伴って急激に変化することを抑制することができる制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得し、少なくとも変化時間内に撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して複数の分割露出を適用する制御を行う。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から前記撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と前記目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得し、
少なくとも前記変化時間内に前記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して前記複数の分割露出を適用する制御を行う
制御装置。
【請求項2】
前記複数のフレームは、既定フレームレートに基づいて前記撮像が行われることで得られ、
前記変化時間と前記既定フレームレートとに基づいて前記複数のフレームの枚数が定められ、
前記複数の分割露出は、前記目標露出と前記枚数とに基づいて定められる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記変化時間が第1閾値を超えた場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記変化時間が前記第1閾値以下で前記第1透過率から前記第2透過率へ理想的に変化する過程を定めた複数の理想透過率と、前記変化時間が前記第1閾値以下で前記第1透過率から前記第2透過率へ現実的に変化する過程を定めた複数の第1現実透過率とに基づいて調整される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1閾値は、前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する迄の理想的な待機時間に基づいて定められた値である
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記変化時間が前記第1閾値を超えた場合、
前記第1透過率と前記第2透過率との間に、前記変化時間を前記第1閾値以下にする第3透過率が定められ、
前記複数の第1現実透過率は、前記第1透過率及び前記第3透過率に基づいて定められる
請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記変化時間が前記第1閾値を超え、かつ、前記第1透過率と前記第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合の前記第1閾値は、現時点で設定されている値よりも大きな値である
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記変化時間が前記第1閾値を超え、かつ、前記相違度が前記既定範囲内に収まっている状態の回数が前記所定回数継続した場合の前記第1閾値は、前記所定回数内に得られた複数の前記変化時間に基づいて定められた値である
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記変化時間が前記第1閾値を超え、かつ、前記第1透過率と前記第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合に、前記複数の分割露出が維持される
請求項5に記載の制御装置。
【請求項9】
前記複数の第1現実透過率は、前記変化時間が前記第1閾値以下で前記第1透過率から前記第3透過率を経て前記第2透過率へ変化する場合の前記第1透過率から前記第2透過率に変化する過程を定めている
請求項5に記載の制御装置。
【請求項10】
前記変化時間が前記第1閾値を超え、かつ、前記複数の理想透過率と前記複数の第1現実透過率との間の最大の相違度である第1最大相違度が既定相違度を超えた場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記複数の理想透過率と、前記変化時間が前記第1閾値以下で前記第1透過率から複数の中間透過率を経て前記第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第2現実透過率とに基づいて調整され、
前記複数の中間透過率と前記複数の理想透過率との間の最大の相違度である第2最大相違度は前記第1最大相違度よりも小さい
請求項5に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1最大相違度が前記既定相違度を超え、かつ、前記第1透過率から前記第3透過率への変化に要する時間である透過率変化時間が第2閾値未満の場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記複数の理想透過率と前記複数の第2現実透過率とに基づいて調整される
請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出に対する調整は、前記分割露出を定義する複数の露出因子のうちの少なくとも1つが前記理想透過率と前記第1現実透過率との相違度に基づいて調整されることによって実現される
請求項3に記載の制御装置。
【請求項13】
前記変化時間が前記第1閾値以下の場合の前記透過率は前記複数の理想透過率に基づいて変化する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項14】
前記変化時間が前記第1閾値以下の場合、
前記複数の分割露出は、前記複数の理想透過率に対応している
請求項3に記載の制御装置。
【請求項15】
前記複数の理想透過率は、前記第1透過率と前記第2透過率との間で単調に変化している
請求項3に記載の制御装置。
【請求項16】
前記変化時間が前記第1閾値以下の場合、
前記複数の分割露出は、前記第1透過率に対応する前記分割露出から前記目標露出にかけて単調に変化している
請求項3に記載の制御装置。
【請求項17】
前記撮像装置は、可動式の絞りを備えており、
前記目標露出を実現するために前記絞りが駆動する場合の前記絞りの駆動時間が前記第1閾値を超える場合の前記第1閾値は、前記駆動時間以上の値である
請求項3に記載の制御装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17の何れか一項に記載の制御装置と、
前記撮像に用いられるイメージセンサと、を備える
撮像装置。
【請求項19】
撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から前記撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と前記目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得すること、及び、
少なくとも前記変化時間内に前記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して前記複数の分割露出を適用する制御を行うことを含む
制御方法。
【請求項20】
撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から前記撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と前記目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得すること、及び、
少なくとも前記変化時間内に前記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して前記複数の分割露出を適用する制御を行うことを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透過率制御素子の特性に基づいて露出条件が設定される撮像装置が開示されている。特許文献1に記載の撮像装置は、プロセッサを備えている。特許文献1に記載の撮像装置において、プロセッサは、撮像装置の測光に基づいて第1露出条件範囲を算出し、第1露出条件範囲が、透過率制御素子の取得した制御範囲を適用することができる第2露出条件範囲に含まれない場合、算出した第1露出条件範囲が第2露出条件範囲に含まれるように、撮像装置の露出条件を変更する。
【0003】
特許文献2には、光透過量を制御する素子と、光透過量を制御する素子を透過した光を受光する受光素子とを有する撮像装置が開示されている。特許文献2に記載の撮像装置は、光透過量を制御する素子の消色工程に要する時間を推定する算出部を有し、算出部の推定消色時間が、閾値を超える場合は、受光素子の感度を上げる。
【0004】
特許文献3には、絞り開口を有する撮影レンズと、固体撮像素子と、複数の露出調節手段と、被写体の明るさを判定する手段と、被写体の明るさに応じて複数の露出調節手段を制御して目標露出値を得る露出制御手段とを備える撮像装置の露出制御方法が開示されている。
【0005】
特許文献3に記載の撮像装置において、複数の露出調節手段は、絞り開口にNDフィルタを出没させることで露出量を調節する第1露出調節手段を含んでいると共に、絞り開口の開口面積を調節することで露出量を調節する露出調節手段と、固体撮像素子の電子シャッタ速度を調節することで露出量を調節する露出調節手段と、固体撮像素子から得られる画像信号のアンプゲインを制御することで露出量を制御する露出調節手段とのうちの少なくとも1つから成る第2露出調節手段を含んでいる。
【0006】
特許文献3に記載の撮像装置の露出制御方法は、被写体の明るさが所定レベル未満であるときには、第1露出調節手段を絞り開口にNDフィルタが全くかからない状態であるNDフィルタ全開状態に維持し、被写体の明るさが所定レベル以上であるときには、第1露出調節手段を絞り開口の全域にNDフィルタがかかった状態であるNDフィルタ全閉状態に維持するように第1露出調節手段を制御する。また、特許文献3に記載の撮像装置の露出制御方法は、第1露出調節手段がNDフィルタ全開状態とNDフィルタ全閉状態との間の状態遷移を発生する際に、第1露出調節手段の状態遷移に伴う露出変化量を相殺する大きさの露出変化量を第2露出調節手段に発生させるように第2露出調節手段を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2023-121787号公報
【特許文献2】特開2020-034590号公報
【特許文献3】特開2005-045648号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示に係る一つの実施形態は、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレーム間の明るさが電子減光フィルタの透過率の切り替えに伴って急激に変化することを抑制することができる制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る第1の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得し、少なくとも変化時間内に撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して複数の分割露出を適用する制御を行う、制御装置である。
【0010】
本開示に係る第2の態様は、複数のフレームが、既定フレームレートに基づいて撮像が行われることで得られ、変化時間と既定フレームレートとに基づいて複数のフレームの枚数が定められ、複数の分割露出が、目標露出と枚数とに基づいて定められる、第1の態様に係る制御装置である。
【0011】
本開示に係る第3の態様は、変化時間が第1閾値を超えた場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、変化時間が第1閾値以下で第1透過率から第2透過率へ理想的に変化する過程を定めた複数の理想透過率と、変化時間が第1閾値以下で第1透過率から第2透過率へ現実的に変化する過程を定めた複数の第1現実透過率とに基づいて調整される、第1の態様又は第2の態様に係る制御装置である。
【0012】
本開示に係る第4の態様は、第1閾値が、第1透過率から第2透過率へ変化する迄の理想的な待機時間に基づいて定められた値である、第3の態様に係る制御装置である。
【0013】
本開示に係る第5の態様は、変化時間が第1閾値を超えた場合、第1透過率と第2透過率との間に、変化時間を第1閾値以下にする第3透過率が定められ、複数の第1現実透過率が、第1透過率及び第3透過率に基づいて定められる、第3の態様又は第4の態様に係る制御装置である。
【0014】
本開示に係る第6の態様は、変化時間が第1閾値を超え、かつ、第1透過率と第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合の第1閾値が、現時点で設定されている値よりも大きな値である、第5の態様に係る制御装置である。
【0015】
本開示に係る第7の態様は、変化時間が第1閾値を超え、かつ、相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合の第1閾値が、所定回数内に得られた複数の変化時間に基づいて定められた値である、第6の態様に係る制御装置である。
【0016】
本開示に係る第8の態様は、変化時間が第1閾値を超え、かつ、第1透過率と第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合に、複数の分割露出が維持される、第5の態様に係る制御装置である。
【0017】
本開示に係る第9の態様は、複数の第1現実透過率が、変化時間が第1閾値以下で第1透過率から第3透過率を経て第2透過率へ変化する場合の第1透過率から第2透過率に変化する過程を定めている、第5の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0018】
本開示に係る第10の態様は、変化時間が第1閾値を超え、かつ、複数の理想透過率と複数の第1現実透過率との間の最大の相違度である第1最大相違度が既定相違度を超えた場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、複数の理想透過率と、変化時間が第1閾値以下で第1透過率から複数の中間透過率を経て第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第2現実透過率とに基づいて調整され、複数の中間透過率と複数の理想透過率との間の最大の相違度である第2最大相違度が第1最大相違度よりも小さい、第5の態様から第9の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0019】
本開示に係る第11の態様は、第1最大相違度が既定相違度を超え、かつ、第1透過率から第3透過率への変化に要する時間である透過率変化時間が第2閾値未満の場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、複数の理想透過率と複数の第2現実透過率とに基づいて調整される、第10の態様に係る制御装置である。
【0020】
本開示に係る第12の態様は、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出に対する調整が、分割露出を定義する複数の露出因子のうちの少なくとも1つが理想透過率と第1現実透過率との相違度に基づいて調整されることによって実現される、第3の態様から第11の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0021】
本開示に係る第13の態様は、変化時間が第1閾値以下の場合の透過率が複数の理想透過率に基づいて変化する、第3の態様から第12の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0022】
本開示に係る第14の態様は、変化時間が第1閾値以下の場合、複数の分割露出が、複数の理想透過率に対応している、第3の態様から第13の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0023】
本開示に係る第15の態様は、複数の理想透過率が、第1透過率と第2透過率との間で単調に変化している、第3の態様から第14の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0024】
本開示に係る第16の態様は、変化時間が第1閾値以下の場合、複数の分割露出が、第1透過率に対応する分割露出から目標露出にかけて単調に変化している、第3の態様から第15の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0025】
本開示に係る第17の態様は、撮像装置が、可動式の絞りを備えており、目標露出を実現するために絞りが駆動する場合の絞りの駆動時間が第1閾値を超える場合の第1閾値が、駆動時間以上の値である、第3の態様から第16の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0026】
本開示に係る第18の態様は、第1の態様から第17の態様の何れか1つの態様に係る制御装置と、撮像に用いられるイメージセンサと、を備える撮像装置である。
【0027】
本開示に係る第19の態様は、撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得すること、及び、少なくとも変化時間内に撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して複数の分割露出を適用する制御を行うことを含む、制御方法である。
【0028】
本開示に係る第20の態様は、撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得すること、及び、少なくとも変化時間内に撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して複数の分割露出を適用する制御を行うことを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】撮像装置の全体の構成の一例を示す概略構成図である。
図2】撮像装置の光学系及び電気系のハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
図3】目標フレーム数内で電子NDフィルタの透過率を変化させることでフレームの明るさを単調に変化させる態様の一例を示す概念図である。
図4】目標露出を達成するために電子NDフィルタの透過率を変化させたが、目標フレーム数内で目標露出が達成できなかった(すなわち、目標フレーム数に至るまでに電子NDフィルタの透過率の変化が間に合わなかった)態様の一例を示す概念図である。
図5】システムコントローラが動作している態様の一例を示すブロック図である。
図6】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図7】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図8】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図9】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図10】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図11A】第1実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11B図11Aに示すフローチャートの続きである。
図12A】第2実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12B図12Aに示すフローチャートの続きである。
図12C図12Aに示すフローチャートの続きである。
図13A】第3実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13B図13Bに示すフローチャートの続きである。
図14A】第4実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14B図14Aに示すフローチャートの続きである。
図14C図14Bに示すフローチャートの続きである。
図14D図14B及び図14Cに示すフローチャートの続きである。
図15】プロセッサによって行われる第4実施形態に係る露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図16】第5実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に従って本開示に係る制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0031】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0032】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。GPGPUとは、“General-purpose computing on graphics processing units”の略称を指す。APUとは、“Accelerated Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor processing unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。fpsとは、“Frame per second”の略称を指す。MFとは、“Manual focus”の略称を指す。AFとは、“Auto focus”の略称を指す。AEとは、“Auto Exposure”の略称を指す。NDとは、“Neutral Density”の略称を指す。FIFOとは、“First In First Out”の略称を指す。ELとは、“Electro Luminescence”の略称を指す。
【0033】
以下の説明において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、物理的又は仮想的な1つの演算装置であってもよいし、物理的又は仮想的な複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU、GPU、GPGPU、APU、又はTPU等が挙げられる。
【0034】
以下の説明において、符号付きのメモリは、一時的に情報が格納されるRAM等のメモリであり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0035】
以下の説明において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を格納する1つ又は複数の不揮発性の格納装置である。不揮発性の格納装置の一例としては、フラッシュメモリ、磁気ディスク、又は磁気テープ等が挙げられる。また、ストレージの他例としては、クラウドストレージが挙げられる。
【0036】
以下の実施形態において、符号付きの外部I/Fは、互いに接続された複数の装置間の各種情報の授受を司る。外部I/Fの一例としては、USBインタフェースが挙げられる。外部I/Fには、通信プロセッサ及びアンテナ等を含む通信I/Fが適用されてもよい。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0037】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される
【0038】
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、撮像装置10は、被写体を撮像する装置であり、システムコントローラ12、撮像装置本体16、及び交換レンズ18を備えている。撮像装置10は、本開示に係る「撮像装置」の一例であり、システムコントローラ12は、本開示に係る「制御装置」及び「コンピュータ」の一例である。システムコントローラ12は、撮像装置本体16に内蔵されており、撮像装置10の全体を制御する。交換レンズ18は、撮像装置本体16に交換可能に装着される。交換レンズ18には、フォーカスリング18Aが設けられている。フォーカスリング18Aは、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対するピントの調整を手動で行う場合にユーザ等によって操作される。
【0039】
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよい。また、本開示は、スマートデバイス、ウェアラブル端末、シネマカメラ、テレビ放送用ビデオカメラ、監視ビデオカメラ、内視鏡、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等に対しても適用可能である。スマートデバイス、ウェアラブル端末、シネマカメラ、テレビ放送用ビデオカメラ、監視ビデオカメラ、内視鏡、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等は、本開示に係る「撮像装置」の一例である。
【0040】
撮像装置本体16には、イメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20は、本開示に係る「イメージセンサ」の一例である。イメージセンサ20は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ20は、撮像対象である被写体を撮像する。交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合に、被写体を示す光である被写体光は、交換レンズ18を透過してイメージセンサ20に結像され、被写体の画像を示す画像データがイメージセンサ20によって生成される。
【0041】
本第1実施形態では、イメージセンサ20としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ20がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示は成立する。
【0042】
撮像装置本体16の上面には、レリーズボタン22及びダイヤル24が設けられている。ダイヤル24は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル24が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして、撮像モード、再生モード、及び設定モードが選択的に設定される。撮像モードは、撮像装置10に対して撮像を行わせる動作モードである。撮像は、メカニカルシャッタ(図示省略)及び/又は電子シャッタ(図示省略)を作動させることにより実現される。再生モードは、撮像モードで記録用の撮像が行われることによって得られた画像(例えば、静止画像及び/又は動画像)を再生する動作モードである。設定モードは、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値を設定する場合などに撮像装置10に対して設定する動作モードである。
【0043】
レリーズボタン22は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(例えば、半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(例えば、全押し位置)まで押下される状態を指す。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0044】
撮像装置本体16の背面には、指示キー26及びタッチパネル・ディスプレイ32が設けられている。
【0045】
タッチパネル・ディスプレイ32は、ディスプレイ28及びタッチパネル30(図2も参照)を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
【0046】
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ20によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに基づいて行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレート(例えば、30fps)であってもよいし、60fpsを超えるフレームレート(例えば、180fps)であってもよい。
【0047】
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン22を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
【0048】
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示(例えば、撮像準備指示及び/又は撮像指示等)を受け付ける。
【0049】
本第1実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ32の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ32として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0050】
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
【0051】
一例として図2に示すように、イメージセンサ20は、光電変換素子72を備えている。光電変換素子72は、受光面72Aを有する。光電変換素子72は、受光面72Aの中心と光軸OAとが一致するように撮像装置本体16内に配置されている(図1も参照)。光電変換素子72は、マトリクス状に配置された複数の感光画素を有しており、受光面72Aは、複数の感光画素によって形成されている。各感光画素は、マイクロレンズ(図示省略)を有する。各感光画素は、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0052】
また、複数の感光画素には、赤(R)、緑(G)、又は青(B)のカラーフィルタ(図示省略)が既定のパターン配列(例えば、ベイヤ配列、GストライプR/G完全市松、X-Trans(登録商標)配列、又はハニカム配列等)でマトリクス状に配置されている。
【0053】
交換レンズ18は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び可動式の絞り40Cを有する。ここで、可動式の絞り40Cは、本開示に係る「可動式の絞り」の一例である。
【0054】
対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び絞り40Cは、被写体側(物体側)から撮像装置本体16側(像側)にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び絞り40Cの順に配置されている。
【0055】
また、交換レンズ18は、制御装置36、第1アクチュエータ37、及び第2アクチュエータ38を備えている。制御装置36は、撮像装置本体16からの指示に従って交換レンズ18の全体を制御する。制御装置36は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。また、制御装置36のRAMは、各種情報を一時的に格納し、ワークメモリとして用いられる。制御装置36において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像レンズ40の全体を制御する。
【0056】
なお、ここでは、制御装置36の一例として、コンピュータを有する装置を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置36として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
【0057】
第1アクチュエータ37は、変倍用スライド機構(図示省略)及び変倍用モータ(図示省略)を備えている。変倍用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能に変倍レンズ40Bが取り付けられている。また、変倍用スライド機構には変倍用モータが接続されており、変倍用スライド機構は、変倍用モータの動力を受けて作動することで変倍レンズ40Bを光軸OAに沿って移動させる。
【0058】
第2アクチュエータ38は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り40Cは、開口40C1を有しており、開口40C1の大きさが可変な絞りである。開口40C1は、例えば、複数枚の絞り羽根40C2によって形成されている。複数枚の絞り羽根40C2は、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根40C2に伝達する。複数枚の絞り羽根40C2は、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口40C1の大きさを変化させる。絞り40Cは、開口40C1の大きさを変化させることで露出を調節する。
【0059】
変倍用モータ及び絞り用モータは、制御装置36に接続されており、制御装置36によって変倍用モータ及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、本第1実施形態では、変倍用モータ及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。従って、変倍用モータ及び絞り用モータは、制御装置36からの命令によりパルス信号に同期して動作する。また、ここでは、変倍用モータ及び絞り用モータが交換レンズ18に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、変倍用モータ及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体16に設けられていてもよい。交換レンズ18の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
【0060】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動でピントを合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング18A等が操作されることで、フォーカスリング18A等の操作量に応じた移動量で変倍レンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点が調節される。
【0061】
AFモードでは、撮像装置本体16が被写体距離に応じた合焦位置の演算を行い、演算して得た合焦位置に向けて変倍レンズ40Bを移動させることで、焦点を調節する。ここで、合焦位置とは、ピントが合っている状態での変倍レンズ40Bの光軸OA上での位置を指す。
【0062】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってマニュアル露出モードとAEモードとが選択的に設定される。マニュアル露出モードは、手動で露出を調整する動作モードである。AEモードは、自動で露出を設定する動作モードである。
【0063】
撮像装置本体16は、イメージセンサ20、システムコントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及び入出力インタフェース70を備えている。また、イメージセンサ20は、光電変換素子72及びA/D変換器74を備えている。
【0064】
入出力インタフェース70には、システムコントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及びA/D変換器74が接続されている。また、入出力インタフェース70には、交換レンズ18の制御装置36も接続されている。
【0065】
システムコントローラ12は、プロセッサ64、ストレージ66、及びメモリ68を備えている。ここで、プロセッサ64は、本開示に係る「プロセッサ」の一例である。
【0066】
プロセッサ64、ストレージ66、及びメモリ68は、バス75を介して接続されており、バス75は入出力インタフェース70に接続されている。なお、図2に示す例では、図示の都合上、バス75として1本のバスが図示されているが、複数本のバスであってもよい。バス75は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0067】
ストレージ66は、コンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムを格納している。各種プログラムには、後述の露出制御処理プログラムPG(図5参照)が含まれる。ストレージ66の一例としては、EEPROMが挙げられる。メモリ68は、各種情報を一時的に格納し、ワークメモリとして用いられる。メモリ68の一例としては、RAMが挙げられる。
【0068】
プロセッサ64は、ストレージ66から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ68で実行する。プロセッサ64は、メモリ68上で実行するプログラムに従って撮像装置10の全体を制御する。すなわち、図2に示す例では、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及び制御装置36等がシステムコントローラ12によって制御される。
【0069】
光電変換素子72には、光電変換素子ドライバ54が接続されている。光電変換素子ドライバ54は、光電変換素子72によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、プロセッサ64からの指示に従って光電変換素子72に供給する。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0070】
交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面72Aに結像される。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54の制御下で、受光面72Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示すアナログ画像データとしてA/D変換器74に出力する。具体的には、A/D変換器74が、露光順次読み出し方式で、光電変換素子72から1フレーム単位で且つ水平ライン毎にアナログ画像データを読み出す。
【0071】
A/D変換器74は、アナログ画像データをデジタル化することでRAW画像79を生成する。RAW画像79は、R画素、G画素、及びB画素がモザイク状に配列された画像である。
【0072】
プロセッサ64は、A/D変換器74からRAW画像79を取得し、取得したRAW画像79に対して画像処理を行う。
【0073】
画像メモリ46には、フレーム80が格納される。フレーム80は、プロセッサ64によってRAW画像79に対して画像処理が行われることで得られた画像である。
【0074】
UI系デバイス48は、ディスプレイ28を備えており、プロセッサ64は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。また、UI系デバイス48は、受付デバイス76を備えている。受付デバイス76は、タッチパネル30及びハードキー部78を備えている。ハードキー部78は、指示キー26(図1参照)を含む複数のハードキーである。プロセッサ64は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。
【0075】
外部I/F50は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F50には、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。また、外部I/F50は、ネットワーク(図示省略)に接続されている。外部I/F50は、ネットワーク上のサーバ等の通信装置(図示省略)とシステムコントローラ12との間の情報の授受を司る。例えば、外部I/F50は、システムコントローラ12からの要求に応じた情報を、ネットワークを介して通信装置に送信する。また、外部I/F50は、通信装置から送信された情報を受信し、受信した情報を、入出力インタフェース70を介してシステムコントローラ12に出力する。
【0076】
撮像装置10は、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60を備えている。ここで、電子NDフィルタ58は、本開示に係る「電子減光フィルタ」の一例である。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、撮像装置本体16に搭載されている。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、受光面72Aよりも被写体側に配置されている。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、被写体側から像側にかけて電子NDフィルタ58及びクリアガラス60の順に配置されている。なお、ここでは、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60が撮像装置本体16に搭載されている形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60のうちの少なくとも電子NDフィルタ58が交換レンズ18に搭載されていてもよい。
【0077】
電子NDフィルタ58は、電圧の印加により向きが変わる液晶分子を含む材料を用いた電子式の可変減光フィルタである。電子NDフィルタ58は、印加される電圧によって透過率を変更することで、電子NDフィルタ58を透過する光量を一律に調節する。電子NDフィルタ58の透過率はシームレスに変更可能である。そのため、例えば、絞り値が維持されている場合、電子NDフィルタ58の透過率が変更されることにより、被写界深度が維持されたまま目標露出(例えば、撮像装置10の被写体の明るさに対する適正な露出)が実現される。また、絞り値が変化している場合、絞り値の変化に伴う露出の増減量を補完するように電子NDフィルタ58の透過率が変更されることにより、絞り値が変化している間であっても、一定の露出を維持することが可能となる。
【0078】
電子NDフィルタ58には、NDフィルタドライバ55が接続されている。NDフィルタドライバ55は、システムコントローラ12からの指示に従って、電子NDフィルタ58に対して電圧を印加することで電子NDフィルタ58の透過率を制御する。
【0079】
クリアガラス60は、透光性を有するガラス板である。透光性を有するガラス板の一例としては、透明なガラス板が挙げられる。クリアガラス60の光路長は、電子NDフィルタ58の光路長と同じである。
【0080】
撮像装置10は、シフト機構62を備えている。シフト機構62は、撮像装置本体16に搭載されている。シフト機構62は、モータ62Aを有する。モータ62Aの一例としてはステッピングモータが挙げられる。シフト機構62は、モータ62Aによって生成された動力を電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に伝達することにより、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60を、光軸OAを横断する方向にシフトさせる。
【0081】
モータ62Aには、モータドライバ56が接続されており、モータ62Aは、システムコントローラ12の指示に従ってモータドライバ56の制御下で動作する。モータ62Aは、複数のギアを介して電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に機械的に接続されている。モータ62Aは、システムコントローラ12の指示に従ってモータドライバ56の制御下で、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に対して動力を付与することにより、電子NDフィルタ58とクリアガラス60とを選択的に光路に挿入したり光路から離脱させたりする。
【0082】
モータ62Aと電子NDフィルタ58及びクリアガラス60とを機械的に接続している複数のギアは、モータ62Aの回転方向の動力を電子NDフィルタ58に付与し、かつ、モータ62Aの回転方向と反対方向の動力をクリアガラス60に付与する。例えば、モータ62Aによって正転の動力が生成された場合、電子NDフィルタ58に対して正転の動力が付与され、クリアガラス60に対して逆転の動力が付与される。また、モータ62Aによって逆転の動力が生成された場合、クリアガラス60に対して正転の動力が付与され、電子NDフィルタ58に対して逆転の動力が付与される。このように、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に対してモータ62Aの動力が付与されることにより、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60のうちの一方が光路に挿入され、他方が光路から離脱される。電子NDフィルタ58の光路長とクリアガラス60の光路長は同じであるので、電子NDフィルタ58が光路から離脱したとしても、クリアガラス60が光路に挿入されるので、電子NDフィルタ58が光路に挿入されている場合と同じ光路長が維持される。
【0083】
ところで、一例として図3に示すように、AEモード下でライブビュー画像用撮像が行われることにより複数のフレーム80が得られる場合、現在のフレーム80から目標フレーム数A後のフレーム80へ変化する過程で、複数のフレーム80間の明るさを急激に変化させるのではなく、単調な明るさ変化量でフレーム80の明るさを変化させることが好ましい。このようにするには、複数のフレーム80のそれぞれに対して適用される露出を適切に設定することが要求される。
【0084】
本第1実施形態では、撮像装置10に電子NDフィルタ58が搭載されているため、フレーム80に対して適用される露出は、電子NDフィルタ58の透過率、絞り40Cの絞り値(すなわち、F値)、シャッタ速度(例えば、メカニカルシャッタが用いられる場合のメカニカルシャッタのシャッタ速度、又は、電子シャッタが用いられる場合の電子シャッタのシャッタ速度)、及び光電変換素子72の感度(例えば、ISO感度)に応じて定まる。ここで、例えば、絞り40Cの絞り値(以下、単に「絞り値」と称する)、シャッタ速度、及び光電変換素子72の感度(以下、単に「感度」と称する)を固定した状態で、フレーム80の露出を制御するためには、電子NDフィルタ58の透過率が制御される。
【0085】
電子NDフィルタ58の透過率を、撮像装置10が露出演算を開始したタイミングでの電子NDフィルタ58の透過率である現在透過率TRcurrentから、フレーム80の明るさを目標の明るさにするための目標露出EXtargetを実現可能な目標透過率TRtargetへ変化させる場合、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの関係次第で、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化する迄に要する時間である変化時間Tが異なる。電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ単調な変化量で変化すると、これに伴って、フレーム80間の明るさの差も単調に変化する。目標フレーム数Aと、変化時間Tが経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B(=(ライブビュー画像用撮像で用いられるフレームレートFR)×(変化時間T))とが一致していれば、目標フレーム数Aのフレーム80が得られた時点で、電子NDフィルタ58の透過率が目標透過率TRtargetに到達し、これに合わせて、目標露出EXtargetも達成される。
【0086】
しかし、一例として図4に示すように、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの関係次第で、要フレーム数Bが目標フレーム数Aを超えてしまうことがあり、この場合、目標フレーム数Aのフレーム80が得られる時点までに電子NDフィルタ58の透過率が目標透過率TRtargetに到達せず、目標露出EXtargetの達成も遅れてしまう。図4に示す例では、目標透過率TRtargetの到達と目標露出EXtargetの達成とが目標フレーム数Aから2フレーム分だけ遅れている。
【0087】
そこで、本第1実施形態では、目標フレーム数Aまでに目標露出EXtargetを達成し、かつ、目標フレーム数Aに至るまで単調な明るさ変化量でフレーム80の明るさを変化させるために、一例として図5に示すように、プロセッサ64によって露出制御処理が行われる。ストレージ66には、露出制御処理プログラムPGが格納されている。露出制御処理プログラムPGは、本開示に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ64は、ストレージ66から露出制御処理プログラムPGを読み出し、読み出した露出制御処理プログラムPGをメモリ68上で実行する。露出制御処理は、プロセッサ64が露出制御処理プログラムPGを実行することにより実現される。以下、露出制御処理の一例について説明する。
【0088】
図6図10は、プロセッサ64によって行われる露出制御処理の内容の一例である。先ず、一例として図6に示すように、プロセッサ64は、露出演算の開始タイミングが到来すると、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られたフレーム80に基づいて、被写体の明るさを示す測光値90を算出する。なお、測光値90は、露出計(図示省略)によって測定されてもよい。
【0089】
プロセッサ64は、測光値90に基づいて、測光値90の算出に用いられたフレーム80の明るさを目標の明るさにするための露出として、目標露出EXtargetを算出する。また、プロセッサ64は、目標露出EXtargetに対応する目標透過率TRtarget、すなわち、目標露出EXtargetを実現可能な目標透過率TRtargetを算出する。例えば、目標透過率TRtargetは、現時点で撮像装置10に対して設定されているシャッタ速度、絞り値、感度、及び目標露出EXtargetに基づいて算出される。目標透過率TRtargetの算出は、目標透過率演算式91を用いて行われる。目標透過率演算式91は、シャッタ速度、絞り値、感度、及び目標露出EXtargetを独立変数とし、目標透過率TRtargetを従属変数とする演算式である。
【0090】
プロセッサ64は、電子NDフィルタ58に対して現時点で設定されている透過率、すなわち、現在透過率TRcurrentを取得する。そして、プロセッサ64は、取得した現在透過率TRcurrentから、算出した目標透過率TRtargetへ変化する迄に要する時間である変化時間T1を、変化時間演算式92を用いて算出する。変化時間演算式92は、目標透過率TRtargetと現在透過率TRcurrentとを独立変数とし、変化時間T1を従属変数とする演算式である。本第1実施形態において、目標露出EXtargetは、本開示に係る「目標露出」の一例であり、現在透過率TRcurrentは、本開示に係る「第1透過率」の一例であり、目標透過率TRtargetは、本開示に係る「第2透過率」の一例である。
【0091】
一例として図7に示すように、プロセッサ64は、変化時間T1が閾値TH1を超えているか否かを判定する。本第1実施形態において、閾値TH1は、本開示に係る「第1閾値」の一例である。閾値TH1は、電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化する迄の理想的な待機時間(換言すると、絞り値、シャッタ速度、及び感度が固定されている条件下で、露出演算の開始タイミングが到来してから目標露出EXtargetが達成される迄の時間として理想的な時間)に基づいて定められた値である。閾値TH1は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH1の一例としては、電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化する迄の理想的な待機時間の上限値が挙げられる。電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化する迄の理想的な待機時間の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH1は、ユーザによって決められた時間であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた時間であってもよいし、電子NDフィルタ58の透過率が変化する時間が定められているテーブルから得られる最大の時間の数%~数十%の範囲内で指定された時間(例えば、電子NDフィルタ58の透過率が変化する時間が定められているテーブルから得られる最大の時間の50%に相当する時間)であってもよい。
【0092】
変化時間T1が閾値TH1を超えていない場合(換言すると、“変化時間T1≦閾値TH1”の大小関係が成立している場合)、すなわち、電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標露出EXtargetへ変化する迄に要する時間が理想的な時間内に収まっている場合、プロセッサ64は、変化時間T1とフレームレートFR(例えば、上述したフレームレートに相当するフレームレート)とに基づいて、変化時間T1が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B1を算出する。例えば、要フレーム数B1は、“(変化時間T1)×(フレームレートFR)”によって算出される。
【0093】
プロセッサ64は、目標露出EXtargetと変化時間T1とに基づいて複数の分割露出EXdivを取得する。複数の分割露出EXdivの取得は、目標露出EXtargetと要フレーム数B1とに基づいて複数の分割露出EXdivが算出されることによって実現される。複数の分割露出EXdivの算出は、分割露出演算式93を用いて行われる。分割露出演算式93は、現在透過率TRcurrentと目標露出EXtargetと要フレーム数B1とを独立変数とし、複数の分割露出EXdivを従属変数とする演算式である。ここで、複数の分割露出EXdivは、要フレーム数B1に相当する個数の分割露出EXdivである。
【0094】
複数の分割露出EXdivは、現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdivから目標露出EXtargetにかけて単調に変化している。例えば、複数の分割露出EXdivは、現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdivから目標露出EXtargetにかけて線形的に変化している。なお、ここでは、線形的な変化を例示したが、指数関数的に変化していてもよく、単調に変化していればよい。
【0095】
複数の分割露出EXdivは、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ理想的に変化する過程(例えば、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ一定の変化量で変化する過程)を定めた現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに対応している。図7に示す例では、要フレーム数B1の“0”に対して現在透過率TRcurrentが対応しており、要フレーム数B1の“1”、“2”、“3”、及び“4”のそれぞれに対して理想透過率TRidealが対応しており、要フレーム数B1の“5”に対して目標透過率TRtargetが対応している。電子NDフィルタ58の透過率は、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに基づいて変化する。現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetは、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて単調に変化している。図7に示す例では、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetが、要フレーム数B1の“0”から“5”にかけて単調に変化している。
【0096】
現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdivから目標露出EXtargetにかけてのフレーム80の露出の単調な変化は、シャッタ速度、感度、及び絞り値が固定された状態で、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて単調に変化させることによって実現される。現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて単調に変化させる一例としては、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて、フレーム80間で一定の変化量(例えば、線形的な変化量、又は、指数関数的な変化量)で変化させるという例が挙げられる。
【0097】
プロセッサ64は、変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdivを適用する制御を行う。例えば、プロセッサ64は、1フレーム毎に、対応する分割露出EXdivを設定した上で撮像を行う制御を行う。ここで、分割露出EXdivの設定とは、例えば、シャッタ速度、絞り値、及び感度を維持した状態での電子NDフィルタ58に対しての分割露出EXdivを実現可能な透過率の設定を指す。すなわち、フレーム80毎に算出された分割露出EXdivでライブビュー画像用撮像が行われるように、シャッタ速度、絞り値、及び感度が維持されたまま、電子NDフィルタ58の透過率が制御される。
【0098】
一方、一例として図8に示すように、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合、すなわち、現在透過率TRcurrentから目標露出EXtargetへ変化する迄に要する時間が理想的な時間内に収まっていない場合、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率として、閾値TH1以下の範囲に変化時間T1が収まる透過率である変化時間内透過率TRInTimeを、透過率演算式94を用いて算出する。透過率演算式94は、変化時間T1、閾値TH1、現在透過率TRcurrent、及び目標透過率TRtargetを独立変数とし、変化時間内透過率TRInTimeを従属変数とする演算式である。本第1実施形態において、変化時間内透過率TRInTimeは、本開示に係る「第3透過率」の一例である。
【0099】
プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率を、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させるのに要する時間である変化時間T2を、変化時間演算式96を用いて算出する。変化時間演算式96は、現在透過率TRcurrent、変化時間内透過率TRInTime、及び目標透過率TRtargetを独立変数とし、変化時間T2を従属変数とする演算式である。
【0100】
プロセッサ64は、変化時間T2とフレームレートFRとに基づいて、変化時間T2が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B2を算出する。例えば、要フレーム数B2は、“(変化時間T2)×(フレームレートFR)”によって算出される。
【0101】
プロセッサ64は、要フレーム数B2、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentに基づいて複数の分割露出EXdivを算出する。複数の分割露出EXdivの算出は、分割露出演算式98を用いて行われる。分割露出演算式98は、要フレーム数B2、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentを独立変数とし、複数の分割露出EXdivを従属変数とする演算式である。ここで、複数の分割露出EXdivは、要フレーム数B2に相当する個数の分割露出EXdivである。
【0102】
プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv及び既知透過率に基づいて複数の理想透過率TRideal及び複数の現実透過率TRrealを算出する。ここで、既知透過率とは、現在透過率TRcurrent、目標透過率TRtarget、及び変化時間内透過率TRInTimeを指す。複数の理想透過率TRideal及び複数の現実透過率TRrealの算出は、透過率演算式100を用いて行われる。透過率演算式100は、複数の分割露出EXdiv、現在透過率TRcurrent、目標透過率TRtarget、及び変化時間内透過率TRInTimeを独立変数とし、複数の理想透過率TRideal及び複数の現実透過率TRrealを従属変数とする演算式である。
【0103】
複数の現実透過率TRrealは、変化時間T2が閾値TH1以下で電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する過程を定めた複数の透過率である。ここで、現実的な変化とは、電子NDフィルタ58の透過率の現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を閾値TH1以下の時間内に間に合わせることが可能な透過率の変化を指す。電子NDフィルタ58の透過率を現実的に変化させる場合、電子NDフィルタ58の透過率の現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を閾値TH1以下の時間内に間に合わせることが優先されるので、電子NDフィルタ58の透過率は、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて一定の変化量で単調に変化しない。
【0104】
変化時間T1が閾値TH1を超えており、ライブビュー画像用撮像が行われる場合、複数の現実透過率TRrealが電子NDフィルタ58に対して設定される。なぜならば、ライブビュー画像用撮像が行われる場合に変化時間T1が閾値TH1を超えているにも拘わらず電子NDフィルタ58に対して複数の理想透過率TRidealが設定されると、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化が閾値TH1以下の時間内で完了しないからである。
【0105】
図8に示す例では、変化時間T2が閾値TH1以下で電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する過程を定めた複数の透過率、すなわち、複数の現実透過率TRrealの一例として、変化時間T2が閾値TH1以下で現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化する過程を定めた複数の透過率が示されている。図8に示す例では、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの間に、変化時間T2を閾値TH1以下にする変化時間内透過率TRInTimeが定められている。複数の現実透過率TRrealは、現在透過率TRcurrentと変化時間内透過率TRInTimeとに基づいて定められている。すなわち、図8に示す例では、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeにかけて単調に変化する複数の透過率(例えば、線形的に変化する複数の透過率)が、変化時間内透過率TRInTimeを含めて複数の現実透過率TRrealとして定められている。
【0106】
現在透過率TRcurrent及び複数の現実透過率TRrealは、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeにかけて単調に変化している。図8に示す例では、現在透過率TRcurrent及び複数の現実透過率TRrealは、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeにかけて線形的に変化している。
【0107】
プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率を、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに従って変化させる。しかし、電子NDフィルタ58の透過率が、シャッタ速度、絞り値、及び感度を維持したまま、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに従って変化すると、電子NDフィルタ58の透過率が、シャッタ速度、絞り値、及び感度を維持したまま、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに従って変化する場合に比べ、フレーム80間での明るさの変化が大きくなってしまう。
【0108】
そこで、本第1実施形態では、電子NDフィルタ58の透過率が、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに従って変化したとしても、電子NDフィルタ58の透過率が、シャッタ速度、絞り値、及び感度を維持したまま、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに従って変化する場合と同レベルでフレーム80間の明るさを変化させるために、先ず、一例として図9に示すように、プロセッサ64は、要フレーム数B2内で得られるフレーム80単位で、複数の現実透過率TRrealと複数の理想透過率TRidealとの間の露出の差δ1を算出する。差δ1は、フレーム80間での明るさの変化の大きさを示す指標である。換言すると、差δ1は、フレーム80の理想的な明るさからの乖離の程度(すなわち、現実透過率TRrealによって実現される露出と理想透過率TRidealによって実現される露出とが乖離している度合い)を表している。
【0109】
露出は、電子NDフィルタ58の透過率の他に、シャッタ速度、絞り値、及び感度で定義されているので、差δ1は、シャッタ速度、絞り値、及び/又は感度が調整されることによりゼロにすることが可能である。そこで、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdiv(すなわち、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetに変化する過程の各分割露出EXdiv)を差δ1に基づいて調整する。換言すると、プロセッサ64は、差δ1をシャッタ速度、絞り値、及び/又は感度で補完することにより、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdivを、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdivに合わせる調整を行う。更に換言すると、要フレーム数B2に含まれるフレーム80毎に、シャッタ速度、絞り値、及び/又は感度が、現実透過率TRrealによって実現される分割露出EXdivを、理想透過率TRidealによって実現される分割露出EXdivにするように、差δ1に対応する調整値(例えば、差δ1に応じて定められた調整値)を用いて調整される。
【0110】
電子NDフィルタ58の透過率として複数の現実透過率TRrealを用いたライブビュー画像用撮像が行われる場合、例えば、図10に示すように、感度を調整するための調整値α1~α4で感度を調整することにより、差δ1が補完される。このように、差δ1に応じた調整値α1~α4で感度が調整されることにより、電子NDフィルタ58の透過率を、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに従って変化させたとしても、シャッタ速度、絞り値、及び感度を維持したまま、電子NDフィルタ58の透過率として複数の現実透過率TRrealを用いた場合と同レベルの分割露出EXdivが実現される。
【0111】
調整値α1~α4のそれぞれは、フレーム80単位で算出された差δ1に応じて一意に定まる。例えば、差δ1を独立変数とし、感度を調整するための調整値を従属変数とする調整値演算式102を用いることによって調整値α1~α4が算出される。なお、ここでは、差δ1に応じて感度を調整する形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、シャッタ速度及び/又は絞り値が差δ1に応じて調整されるようにしてもよい。この場合も調整値演算式102と同様の演算式を用いることによってシャッタ速度及び/又は絞り値の調整値が算出されるようにすればよい。
【0112】
変化時間T2内にライブビュー画像用撮像が行われる場合に、プロセッサ64は、上記のようにフレーム80単位で算出された差δ1に応じて調整された感度、フレーム80毎に定められたシャッタ速度、及びフレーム80毎に定められた絞り値を撮像装置10に対して設定する。また、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetを電子NDフィルタ58の透過率として設定する。このように、変化時間T2内のライブビュー画像用撮像で、上記のようにフレーム80単位で算出された差δ1に応じて調整された感度、フレーム80毎に定められたシャッタ速度、フレーム80毎に定められた絞り値、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetが設定されることにより、複数のフレーム80の露出に対して、単調に変化する複数の分割露出EXdivが適用される。
【0113】
なお、本第1実施形態において、ライブビュー画像用撮像は、本開示に係る「撮像装置による撮像」の一例である。また、本第1実施形態において、変化時間T1及びT2は、本開示に係る「変化時間」の一例である。また、本第1実施形態において、フレームレートFRは、本開示に係る「既定フレームレート」の一例である。また、本第1実施形態において、複数の理想透過率TRidealは、本開示に係る「複数の理想透過率」の一例である。また、本第1実施形態において、複数の現実透過率TRrealは、本開示に係る「複数の第1現実透過率」の一例である。また、本第1実施形態において、シャッタ速度、絞り値、感度、及び電子NDフィルタ58の透過率は、本開示に係る「複数の露出因子」の一例である。また、本第1実施形態において、差δ1は、本開示に係る「理想透過率と第1現実透過率との相違度」の一例である。
【0114】
次に、撮像装置10の作用について図11A及び図11Bを参照しながら説明する。図11A及び図11Bには、電子NDフィルタ58の透過率として現在透過率TRcurrentが設定され、かつ、AFモード下でライブビュー画像用撮像が行われる場合において露出演算の開始タイミングが到来したこと(換言すると、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られるフレーム80の露出を調整するタイミングとして事前に指定されたタイミングが到来したこと)を条件にプロセッサ64によって実行される露出制御処理の流れの一例が示されている。図11A及び図11Bに示す露出制御処理の流れは、本開示に係る「制御方法」の一例である。
【0115】
図11Aに示す露出制御処理では、先ず、ステップST10で、プロセッサ64は、ライブビュー画像用撮像が行われることによって生成されたフレーム80を取得する。ステップST10の処理が実行された後、露出制御処理はステップST12へ移行する。
【0116】
ステップST12で、プロセッサ64は、ステップST10で取得したフレーム80に基づいて測光値90を算出する。ステップST12の処理が実行された後、露出制御処理はステップST14へ移行する。
【0117】
ステップST14で、プロセッサ64は、測光値90に基づいて、測光値90の算出に用いられたフレーム80の明るさを目標の明るさにするための露出として、目標露出EXtargetを算出する。ステップST14の処理が実行された後、露出制御処理はステップST16へ移行する。
【0118】
ステップST16で、プロセッサ64は、目標露出EXtargetに対応する目標透過率TRtargetを算出する。ステップST16の処理が実行された後、露出制御処理はステップST18へ移行する。
【0119】
ステップST18で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58に現時点で設定されている現在透過率TRcurrentを取得する。ステップST18の処理が実行された後、露出制御処理はステップST20へ移行する。
【0120】
ステップST20で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化に要する時間、すなわち、変化時間T1を算出する。ステップST20の処理が実行された後、露出制御処理はステップST22へ移行する。
【0121】
ステップST22で、プロセッサ64は、変化時間T1が閾値TH1を超えたか否かを判定する。ステップST22において、変化時間T1が閾値TH1を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST24へ移行する。ステップST22において、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、図11Bに示すステップST28へ移行する。
【0122】
ステップST24で、プロセッサ64は、変化時間T1及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B1を算出する。ステップST24の処理が実行された後、露出制御処理はステップST26へ移行する。
【0123】
ステップST26で、プロセッサ64は、要フレーム数B1、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentに基づいて複数の分割露出EXdivを算出する。ステップST26の処理が実行された後、露出制御処理は、図11Bに示すステップST42へ移行する。
【0124】
図11Bに示すステップST28で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率として、閾値TH1以下の範囲に変化時間T1が収まる透過率である変化時間内透過率TRInTimeを、変化時間T1、閾値TH1、現在透過率TRcurrent、及び目標透過率TRtargetに基づいて算出する。ステップST28の処理が実行された後、露出制御処理はステップST30へ移行する。
【0125】
ステップST30で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率を、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させるのに要する時間、すなわち、変化時間T2を、現在透過率TRcurrent、変化時間内透過率TRInTime、及び目標透過率TRtargetに基づいて算出する。ステップST30の処理が実行された後、露出制御処理はステップST32へ移行する。
【0126】
ステップST32で、プロセッサ64は、変化時間T2及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B2を算出する。ステップST32の処理が実行された後、露出制御処理はステップST34へ移行する。
【0127】
ステップST34で、プロセッサ64は、要フレーム数B2、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentに基づいて複数の分割露出EXdivを算出する。ステップST34の処理が実行された後、露出制御処理はステップST36へ移行する。
【0128】
ステップST36で、プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv、現在透過率TRcurrent、目標透過率TRtarget、及び変化時間内透過率TRInTimeに基づいて複数の現実透過率TRreal及び複数の理想透過率TRidealを算出する。ステップST36の処理が実行された後、露出制御処理はステップST38へ移行する。
【0129】
ステップST38で、プロセッサ64は、要フレーム数B2内のフレーム80単位で、複数の現実透過率TRrealと複数の理想透過率TRidealとの間の露出の差δ1を算出する。すなわち、ステップST38では、要フレーム数B2に含まれるフレーム80毎に、現実透過率TRrealと理想透過率TRidealとの間の露出の差δ1が算出される。ステップST38の処理が実行された後、露出制御処理はステップST40へ移行する。
【0130】
ステップST40で、プロセッサ64は、要フレーム数B2に含まれるフレーム80毎に、分割露出EXdivを定義する露出因子の1つである感度を差δ1に応じた調整値で調整する。ステップST40の処理が実行された後、露出制御処理はステップST42へ移行する。
【0131】
ここで、Nを初期値が“1”の自然数とすると、ステップST42で、プロセッサ64は、Nフレーム目用の分割露出EXdivで撮像装置10に対して撮像を行わせる。例えば、露出制御処理がステップST26からステップST42へ移行した場合、ステップST42で、プロセッサ64は、ステップST26の処理が実行されることにより算出された複数の分割露出EXdivのうちのNフレーム目用の分割露出EXdivで撮像装置10に対して撮像を行わせる。一方、露出制御処理がステップST40からステップST42へ移行した場合、ステップST42で、プロセッサ64は、Nフレーム目用に算出された差δ1に応じて調整された感度、Nフレーム目用に定められたシャッタ速度、及びNフレーム目用に定められた絞り値を撮像装置10に対して設定し、かつ、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetのうちのNフレーム目用の透過率を電子NDフィルタ58に設定した上で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。ステップST42の処理が実行された後、露出制御処理はステップST44へ移行する。
【0132】
ステップST44で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達したか否かを判定する。ステップST44において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST46へ移行する。ステップST46で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST46の処理が実行された後、露出制御処理はステップST42へ移行する。ステップST44において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0133】
以上説明したように、本第1実施形態に係る撮像装置10では、ライブビュー画像用撮像がフレームレートFRに基づいて行われることにより複数のフレーム80が得られる。変化時間T1(すなわち、電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間)が閾値TH1(すなわち、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化する迄の理想的な待機時間に基づいて定められた値)を超えていない場合、変化時間T1とフレームレートFRとに基づいて要フレーム数B1(すなわち、変化時間T1が経過する間に要するフレーム数)が算出される。そして、目標露出EXtargetと要フレーム数B1とに基づいて定められた複数の分割露出EXdivが変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80の露出に対して適用される。
【0134】
一方、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合、変化時間T2(すなわち、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させるのに要する時間)とフレームレートFRとに基づいて要フレーム数B2(すなわち、変化時間T2が経過する間に要するフレーム数)が算出される。そして、目標露出EXtargetと要フレーム数B2とに基づいて定められた複数の分割露出EXdivが変化時間T2内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80の露出に対して適用される。
【0135】
従って、本第1実施形態に係る撮像装置10によれば、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80間の明るさが電子NDフィルタ58の透過率の切り替えに伴って急激に変化することを抑制することができる。
【0136】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態で電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させる場合の複数のフレーム80に対応する複数の分割露出EXdivは、複数の理想透過率TRideal(すなわち、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ理想的に変化する過程を定めた複数の透過率)と、複数の現実透過率TRreal(すなわち、変化時間T2が閾値TH1以下で電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する過程を定めた複数の透過率)と、に基づいて調整される。従って、電子NDフィルタ58の透過率の現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの現実的な変化(すなわち、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経た目標透過率TRtargetへの変化)に対して、複数のフレーム80の露出を追従させることができる。
【0137】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合、現在透過率TRcurrentと、変化時間内透過率TRInTime(すなわち、変化時間T1を閾値TH1以下にする透過率)とに基づいて複数の現実透過率TRrealが定められる。複数の現実透過率TRrealは、変化時間T2が閾値TH1以下で現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化する場合の現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの過程を定めた複数の透過率である。そして、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態で電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させる場合の複数のフレーム80に対応する複数の分割露出EXdivは、変化時間内透過率TRInTimeを含む複数の現実透過率TRrealと複数の理想透過率TRidealとに基づいて調整される。従って、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合であっても、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80の露出に対して、変化時間T1を閾値TH1以下にするための複数の分割露出EXdivを適用することができる。
【0138】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態で電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させる場合の複数のフレーム80に対応する複数の分割露出EXdivの調整は、差δ1(すなわち、現実透過率TRrealと理想透過率TRidealとの差)に応じて定められた調整値で感度が調整されることによって実現される。従って、現実透過率TRrealと理想透過率TRidealとの間にギャップがあったとしても、複数の理想透過率TRidealの明るさを容易に実現することができる。なお、ここでは、感度が調整される例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、差δ1に応じて定められた調整値、感度、シャッタ速度、及び/又は絞り値が調整されるようにすればよい。
【0139】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1以下の場合、シャッタ速度、感度、及び絞り値が維持されたまま、電子NDフィルタ58の透過率が複数の理想透過率TRidealに基づいて変化する。従って、変化時間T1が閾値TH1以下の場合の電子NDフィルタ58の透過率の現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化に対して、複数のフレーム80の露出を容易に追従させることができる。
【0140】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1以下の場合、複数の分割露出EXdivは、複数の理想透過率TRidealに対応している。従って、変化時間T1が閾値TH1以下の場合の電子NDフィルタ58の透過率の現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化に対して、複数のフレーム80の露出を容易に追従させることができる。
【0141】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1以下の場合、複数の理想透過率TRidealは、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの間で単調に変化している。従って、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80間での急激な明るさの変化を抑制することができる。
【0142】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1以下の場合、複数の分割露出EXdivが、現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdivから目標露出EXtargetにかけて単調に変化している。現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdivから目標露出EXtargetにかけてのフレーム80の露出の単調な変化は、シャッタ速度、感度、及び絞り値が固定された状態で、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて単調に変化させることによって実現される。これにより、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80間での急激な明るさの変化を抑制することができる。
【0143】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、変化時間T1が如何なる時間であったとしても閾値TH1が固定されている形態例を挙げたが、本第2実施形態では、閾値TH1が変化時間T1次第で変更される形態例について説明する。
【0144】
なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第2実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0145】
本第2実施形態では、図12A図12Cに示すフローチャートを参照しながら本第2実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図12A図12Cに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した図11A及び図11Bに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図12A図12Cに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した図11A及び図11Bに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0146】
図12A図12Cに示すフローチャートは、図11A及び図11Bに示すフローチャートと比べ、ステップST22に代えてステップST100~ステップST132を有する点が異なる。
【0147】
図12Aに示すステップST100で、プロセッサ64は、ステップST20で算出した変化時間T1をFIFO方式でメモリ68に保持する。これにより、メモリ68には、時系列で複数の変化時間T1が保持される。ステップST100の処理が実行された後、露出制御処理はステップST102へ移行する。
【0148】
ステップST102で、プロセッサ64は、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1が閾値TH1を超えたか否かを判定する。ステップST102において、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1が閾値TH1を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図12Cに示すステップST118へ移行する。ステップST102において、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1が閾値TH1を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、図12Bに示すステップST104へ移行する。
【0149】
図12Bに示すステップST104で、プロセッサ64は、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態下での現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの間の露出の差の絶対値、すなわち、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態下で現在透過率TRcurrentによって実現される露出と目標透過率TRtargetよって実現される露出との差の絶対値である差δ2を算出する。差δ2は、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの差の絶対値に対応している。
【0150】
なお、ここでは、差の絶対値を算出する形態例を挙げているが、差の絶対値に代えて割合を適用してもよい。また、差δ2は、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの差の絶対値に対応しているので、差δ2に代えて、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの相違度(例えば、差の絶対値、又は、割合)を適用してもよい。
【0151】
次のステップST106で、プロセッサ64は、差δ2が閾値TH2未満であるか否かを判定する。閾値TH2は、フレーム80間の明るさの変化として基準度合いを上回る変化を実現する露出差を示す値である。フレーム80間の明るさの変化として基準度合いを上回る変化を実現する露出差の一例としては、フレーム80間の明るさの変化がユーザに対して視覚的に不快感を与える場合の露出差が挙げられる。閾値TH2の一例としては、フレーム80間の明るさの変化がユーザに対して視覚的に不快感を与える場合の露出差の下限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。フレーム80間の明るさの変化がユーザに対して視覚的に不快感を与える場合の露出差の下限値は、あくまでも一例に過ぎず、下限値を許容範囲内で上回る値であってもよい。また、閾値TH2は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH2は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0152】
ステップST106において、差δ2が閾値TH未満である場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST108へ移行する。ステップST106において、差δ2が閾値TH2未満でない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST110へ移行する。
【0153】
ステップST108の処理及びステップST110の処理では相違度小カウンタが用いられる。相違度小カウンタは、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態下で現在透過率TRcurrentによって実現される露出と目標透過率TRtargetよって実現される露出との相違度が小さかった状態が継続した回数(すなわち、ステップST106での“差δ2<閾値TH2”という判定結果が継続した回数)を計測するカウンタである。相違度小カウンタの初期カウント値は“0”である。
【0154】
ステップST108で、プロセッサ64は、相違度小カウンタのカウント値に1を加算する。ステップST108の処理が実行された後、露出制御処理はステップST112へ移行する。
【0155】
ステップST110で、プロセッサ64は、相違度小カウンタのカウント値を初期カウント値にリセットする。ステップST110の処理が実行された後、露出制御処理はステップST112へ移行する。
【0156】
ステップST112で、プロセッサ64は、相違度小カウンタのカウント値が閾値TH3を超えたか否かを判定する。閾値TH3は、ステップST106において“差δ2<閾値TH2”と判定される回数が、被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子(例えば、ノイズ)の影響により継続している可能性がある回数に基づいて定められた値である。閾値TH3の一例としては、ステップST106において“差δ2<閾値TH2”と判定される回数が、被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子の影響により継続している可能性がある回数の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子の影響により継続している可能性がある回数の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子の影響により継続している可能性がある回数の上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH3は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH3は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0157】
ステップST112において、相違度小カウンタのカウント値が閾値TH3を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図11Bに示すステップST28へ移行する。ステップST112において、相違度小カウンタのカウント値が閾値TH3を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST114へ移行する。
【0158】
ステップST114で、プロセッサ64は、閾値TH1を、現時点で設定されている値よりも大きな値に変更する。現時点で設定されている値よりも大きな値の一例としては、最長変化時間が挙げられる。最長変化時間とは、現時点でメモリ68に保持されている複数の変化時間T1のうち、最長の変化時間T1を指す。なお、最長変化時間は、あくまでも一例に過ぎず、現時点でメモリ68に保持されている変化時間T1のうち、現時点の閾値TH1よりも大きな変化時間T1であればよい。また、現時点でメモリ68に保持されている複数の変化時間T1とは無関係に定められたルール(例えば、閾値TH1を大きくする係数を閾値TH1に乗じるというルール)に基づいて閾値TH1を現時点で設定されている値よりも大きな値に変更するようにしてもよい。また、閾値TH1をどの程度大きくするかは、ユーザから与えられた指示又は各種条件に従って決められるようにしてもよい。ステップST14の処理が実行された後、露出制御処理はステップST116へ移行する。
【0159】
ステップST116で、プロセッサ64は、閾値TH1が変更されたことを示すフラグである閾値変更フラグをオンする。ステップST116の処理が実行された後、露出制御処理は、図11Bに示すステップST28へ移行する。
【0160】
図12Cに示すステップST118で、プロセッサ64は、相違度小カウンタのカウント値を初期カウント値にリセットする。ステップST118の処理が実行された後、露出制御処理はステップST120へ移行する。
【0161】
ステップST120で、プロセッサ64は、閾値変更フラグがオンされているか否かを判定する。ステップST120において、閾値変更フラグがオンされていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST24へ移行する。ステップST120において、閾値変更フラグがオンされている場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST122へ移行する。
【0162】
ステップST122で、プロセッサ64は、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1がデフォルトの閾値TH1以下であるか否かを判定する。デフォルトの閾値TH1は、現時点で設定されている閾値TH1よりも小さな値として事前に定められた値である。ステップST122において、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1がデフォルトの閾値TH1以下でない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST24へ移行する。ステップST122において、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1がデフォルトの閾値TH1以下である場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST124へ移行する。
【0163】
ステップST124の処理では、短変化時間カウンタが用いられる。短変化時間カウンタは、ステップST122での“変化時間T1≦デフォルトの閾値TH1”という判定結果が継続した回数を計測するカウンタである。短変化時間カウンタの初期カウント値は“0”である。
【0164】
ステップST124で、プロセッサ64は、短変化時間カウンタのカウント値に1を加算する。ステップST124の処理が実行された後、露出制御処理はステップST126へ移行する。
【0165】
ステップST126で、プロセッサ64は、短変化時間カウンタのカウント値が閾値TH4を超えた否かを判定する。閾値TH4は、ステップST106において“差δ2<閾値TH2”と判定される回数が、被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子(例えば、ノイズ)の影響により継続している可能性がある回数に基づいて定められた値である。閾値TH4の一例としては、ステップST106において“差δ2<閾値TH2”と判定される回数が、被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子の影響により継続している可能性がある回数の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子の影響により継続している可能性がある回数の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、被写体の明るさの影響ではなく被写体の明るさ以外の因子の影響により継続している可能性がある回数の上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH4は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH4は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0166】
ステップST126において、短変化時間カウンタのカウント値が閾値TH4を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST24へ移行する。ステップST126において、短変化時間カウンタのカウント値が閾値TH4を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST128へ移行する。短変化時間カウンタのカウント値が閾値TH4を超えたということは、被写体の明るさに殆ど変化がない可能性が高いことを意味する。このような場合、なるべく図11Bに示すステップST28~ステップST40の処理ではなく、図12Cに示すステップST24の処理及びステップST26の処理が行われるようにすることが好ましい。なぜならば、図11Bに示すステップST28~ステップST40の処理よりも、図12Cに示すステップST24の処理及びステップST26の処理の方が、ステップ数が少なく、処理負荷が小さいからである。
【0167】
そこで、露出制御処理が、図11Bに示すステップST28~ステップST40の処理よりも、図11Aに示すステップST24の処理及びステップST26の処理に進み易くするために、ステップST128で、プロセッサ64は、現時点で設定されている閾値TH1をデフォルトの閾値TH1に変更する。ステップST128の処理が実行された後、露出制御処理はステップST130へ移行する。
【0168】
ステップST130で、プロセッサ64は、閾値変更フラグをオフにする。ステップST130の処理が実行された後、露出制御処理はステップST132へ移行する。
【0169】
ステップST132で、プロセッサ64は、短変化時間カウンタのカウント値を初期カウント値にリセットする。ステップST132の処理が実行された後、露出制御処理はステップST24へ移行する。
【0170】
なお、本第2実施形態において、差δ2は、本開示に係る「第1透過率と第2透過率との相違度」の一例である。また、本第2実施形態において、相違度小カウンタのカウント値(ステップST112参照)は、本開示に係る「第1透過率と第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数」の一例である。また、本第2実施形態において、閾値TH3は、本開示に係る「所定回数」の一例である。
【0171】
以上説明したように、本第2実施形態に係る撮像装置10では、変化時間T1が閾値TH1を超え、かつ、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの相違度(本第2実施形態では、差δ2)が既定範囲内(本第2実施形態では、閾値TH2以下)に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合(本第2実施形態では、相違度小カウンタのカウント値が閾値TH3を上回った場合)に、閾値TH1が現時点で設定されている値よりも大きな値に変更される。これにより、閾値TH1が変更される前よりも、変化時間T1が閾値TH1を超え難くなるので、図11Bに示すステップST28~ステップST40の処理よりも、図12Cに示すステップST24の処理及びステップST26の処理が行われ易くなる。図12Cに示すステップST24の処理及びステップST26の処理は、図11Bに示すステップST28~ステップST40の処理よりも、ステップ数が少ないので、処理負荷を軽減することができる。
【0172】
また、変化時間T1が閾値TH1を超え、かつ、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合(本第2実施形態では、相違度小カウンタのカウント値が閾値TH3を上回った場合)に、閾値TH1は、相違度小カウンタのカウント値が閾値TH3を超える迄の間に得られた変化時間T1に基づいて定められた値(例えば、最長変化時間)に変更される。従って、ユーザが閾値TH1の変更後の値を決める場合(すなわち、ユーザから与えられた指示に従って閾値TH1が変更される場合)に比べ、閾値TH1を変化時間T1が超え難い値に容易に変更することができる。
【0173】
[第3実施形態]
上記第2実施形態では、変化時間T1が閾値TH1を超え、かつ、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合に、図11Bに示すステップST28~ステップST40の処理が実行されることにより、シャッタ速度、絞り値、及び感度が固定された状態で電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeを経て目標透過率TRtargetへ変化させる場合の複数のフレーム80に対応する複数の分割露出EXdivが、差δ1に応じて定められた調整値で調整された感度で調整される形態例を挙げたが、本第3実施形態では、変化時間T1が閾値TH1を超え、かつ、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合に、複数の分割露出EXdivが維持される形態例について説明する。
【0174】
なお、本第3実施形態では、上記第1及び第2実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第3実施形態では、主に上記第2実施形態との差分について説明する。
【0175】
本第3実施形態では、図13A及び図13Bに示すフローチャートを参照しながら本第3実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図13A及び図13Bに示すフローチャートには、上記第2実施形態で説明した図12A図12Cに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図13A及び図13Bに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第2実施形態で説明した図12A図12Cに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0176】
図13A及び図13Bに示すフローチャートは、図12A図12Cに示すフローチャートに比べ、ステップST102に代えてステップST200を有する点、ステップST114及びステップST116を除去した点、並びに、ステップST120~ステップST132を除去した点が異なる。
【0177】
図13Aに示すステップST200で、プロセッサ64は、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1が閾値TH1を超えたか否かを判定する。ステップST200において、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1が閾値TH1を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図13Bに示すステップST118へ移行する。ステップST200において、メモリ68に保持されている最新の変化時間T1が閾値TH1を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST104へ移行する。
【0178】
図13Aに示すステップST112において判定が肯定された場合、露出制御処理は、図13Bに示すステップST202へ移行する。
【0179】
ステップST202で、プロセッサ64は、現時点で算出済みの複数の分割露出EXdiv(すなわち、図11Bに示すステップST34で算出済みの複数の分割露出EXdiv)をメモリ68内の事前に定められた格納領域である分割露出格納領域に格納することで、現時点で算出済みの複数の分割露出EXdivを維持する。ステップST202の処理が実行された後、露出制御処理は、図11Bに示すステップST42へ移行する。
【0180】
露出制御処理がステップST202から図11Bに示すステップST42へ移行した場合、図11Bに示すステップST42で、プロセッサ64は、分割露出格納領域に維持されている複数の分割露出EXdivのうちのNフレーム目用の分割露出EXdivで撮像装置10に対して撮像を行わせる。これにより、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して、分割露出格納領域に保持されている複数の分割露出EXdivが適用される。分割露出格納領域に維持されている複数の分割露出EXdivは、現時点で算出済みの複数の分割露出EXdiv(すなわち、図11Bに示すステップST34で算出済みの複数の分割露出EXdiv)であり、図11Bに示すステップST36~ステップST40の処理が行われずに済む。これは、図11Bに示すステップST36~ステップST40の処理による分割露出EXdivの頻繁な調整を抑制することができることを意味する。
【0181】
[第4実施形態]
上記第1実施形態では、差δ1がどの程度なのかに関わらず、差δ1に応じて定められた調整値でフレーム80毎の感度が調整されることにより、現実的な露出として算出された分割露出EXdivが理想的な分割露出EXdivとなるように調整される形態例を挙げたが、例えば、差δ1が大きい程、感度の調整値が大きくなるので、感度の調整に伴って生じるノイズも大きくなる可能性がある。また、感度の他に、シャッタ速度及び絞り値が差δ1に応じて定められた調整値に従って調整される場合であっても、差δ1が大きいほど調整値が大きくなるので、シャッタの動作及び絞り40Cの動作により、シャッタ及び絞り40Cに対して大きな物理的な負荷がかかり、シャッタ及び絞り40Cの寿命を削る一因にもなり得る。そこで、本第4実施形態では、現実的な露出として算出された分割露出EXdivを理想的な分割露出EXdivにするために感度等を調整する調整量を抑制するための形態例について説明する。
【0182】
なお、本第4実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第4実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0183】
本第4実施形態では、図14A図14Dに示すフローチャートを参照しながら本第4実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図14A図14Dに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した図11A及び図11Bに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図14A図14Dに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した図11A及び図11Bに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0184】
図14A図14Dに示すフローチャートは、図11A及び図11Bに示すフローチャートに比べ、ステップST40に代えてステップST300~ステップST316を有する点が異なる。
【0185】
図14Aに示すフローチャートにおいて、ステップST22の処理が実行された後、露出制御処理は、図14Bに示すステップST28へ移行する。図14Bに示すフローチャートにおいて、ステップST38の処理が実行された後、露出制御処理は、ステップST300へ移行する。
【0186】
ステップST300で、プロセッサ64は、ステップST38で算出した差δ1の最大値が閾値TH5を超えたか否かを判定する。ここで、差δ1の最大値は、本開示に係る「第1最大相違度」の一例であり、閾値TH5は、本開示に係る「既定相違度」の一例である。
【0187】
閾値TH5は、差δ1に応じた調整値によって感度が調整された場合に感度が調整されることにより生じるノイズ等によって画質の悪化がユーザによって視覚的に知覚されない調整値を得るために用いられる差δ1の上限値が挙げられる。なお、上限値は、あくまでも一例に過ぎず、上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、ここでは、感度が調整される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、シャッタ速度及び/又は絞り値が調整される場合であっても同様の要領で閾値TH5が定められる。
【0188】
閾値TH5は、感度が調整されることにより生じるノイズ等によって画質の悪化がユーザによって視覚的に知覚されない調整値を得るために用いられる差δ1の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められるようにしてもよい。感度が調整されることにより生じるノイズ等によって画質の悪化がユーザによって視覚的に知覚されない調整値を得るために用いられる差δ1の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、感度が調整されることにより生じるノイズ等によって画質の悪化がユーザによって視覚的に知覚されない調整値を得るために用いられる差δ1の上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH5は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH5は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0189】
ステップST300において、ステップST38で算出した差δ1の最大値が閾値TH5を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図14Dに示すステップST24へ移行する。ステップST300において、ステップST38で算出した差δ1の最大値が閾値TH5を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST302へ移行する。
【0190】
ステップST302で、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTimeへの変化に要する時間である変化時間T3を算出する。変化時間T3の算出は、上記第1実施形態で説明した変化時間T1及び変化時間T2の算出と同様の要領で行われる。すなわち、変化時間T3は、現在透過率TRcurrent及び変化時間内透過率TRInTimeを独立変数とし、変化時間T3を従属変数とする演算式を用いることにより算出される。ステップST302の処理が実行された後、露出制御処理はステップST304へ移行する。
【0191】
ステップST304で、プロセッサ64は、変化時間T3が閾値TH6未満か否かを判定する。ここで、変化時間T3は、本開示に係る「透過率変化時間」の一例であり、閾値TH6は、本開示に係る「第2閾値」の一例である。
【0192】
閾値TH6は、現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTimeによって実現される露出へ変化させるために感度が調整された場合に感度の調整に伴って生じるノイズがフレーム80の画質に対して視覚的に知覚されるレベルで影響を与えない変化時間T3の下限値である。下限値は、あくまでも一例に過ぎず、下限値を許容範囲内で上回る値であってもよい。また、ここでは、感度が調整される形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、シャッタ速度及び/又は絞り値が調整される場合であっても同様の要領で閾値TH6が定められる。
【0193】
閾値TH6は、現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTimeによって実現される露出へ変化させるために感度が調整された場合に感度の調整に伴って生じるノイズがフレーム80の画質に対して視覚的に知覚されるレベルで影響を与えない変化時間T3の下限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められるようにしてもよい。現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTimeによって実現される露出へ変化させるために感度が調整された場合に感度の調整に伴って生じるノイズがフレーム80の画質に対して視覚的に知覚されるレベルで影響を与える虞がある時間の下限値は、あくまでも一例に過ぎず、現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTimeによって実現される露出へ変化させるために感度が調整された場合に感度の調整に伴って生じるノイズがフレーム80の画質に対して視覚的に知覚されるレベルで影響を与える虞がある時間の下限値を許容範囲内で上回る値であってもよい。また、閾値TH6は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH6は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0194】
ステップST304において、変化時間T3が閾値TH6未満でない場合(すなわち、変化時間T3が閾値TH6以上の場合)は、判定が否定されて、露出制御処理は、図14Dに示すステップST24へ移行する。これにより、上記第1実施形態と同様の要領で、図14Dに示すステップST24の処理及びステップST26の処理が実行され、ステップST26の処理が実行された後、ステップST42~ステップST46の処理が実行される。ステップST304において、変化時間T3が閾値TH6未満である場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図14Cに示すステップST306へ移行する。
【0195】
図14Cに示すステップST306で、プロセッサ64は、複数の中間透過率TRmidを算出することで、複数の現実透過率TRrealを更新する(図15参照)。複数の中間透過率TRmidは、電子NDフィルタ58の透過率が現在透過率TRcurrentから複数の中間透過率TRmidを経て目標透過率TRtargetへ変化した場合に要する時間が閾値TH1以下であり、かつ、複数の理想透過率TRidealとの差δ3の最大値が差δ1の最大値よりも小さな複数の透過率である。ここで、ステップST306の処理が実行されることにより更新された複数の現実透過率TRreal図15参照)は、本開示に係る「複数の第2現実透過率」の一例であり、複数の中間透過率TRmidは、本開示に係る「複数の中間透過率」の一例であり、差δ1の最大値は、本開示に係る「第1最大相違度」の一例であり、差δ3の最大値は、本開示に係る「第2最大相違度」の一例である。ステップST306の処理が実行された後、露出制御処理はステップST308へ移行する。
【0196】
ステップST308で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal図15参照)、及び目標透過率TRtargetの順に変化させた場合に要する時間である変化時間T4を算出する。変化時間T4の算出は、上記第1実施形態で説明した変化時間T1及び変化時間T2の算出と同様の要領で行われる。変化時間T4は、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal図15参照)、及び目標透過率TRtargetを独立変数とし、変化時間T4を従属変数とする演算式を用いることにより算出される。ステップST308の処理が実行された後、露出制御処理はステップST310へ移行する。
【0197】
ステップST310で、プロセッサ64は、上記第1実施形態と同様の要領で、変化時間T4とフレームレートFRとに基づいて、変化時間T4が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B3を算出する。例えば、要フレーム数B3は、“(変化時間T4)×(フレームレートFR)”によって算出される。ステップST310の処理が実行された後、露出制御処理はステップST312へ移行する。
【0198】
ステップST312で、プロセッサ64は、上記第1実施形態と同様の要領で、要フレーム数B3、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentに基づいて複数の分割露出EXdivを算出する。複数の分割露出EXdivの算出は、上記第1実施形態と同様の要領で行われる。すなわち、複数の分割露出EXdivは、要フレーム数B3、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentを独立変数とし、複数の分割露出EXdivを従属変数とする演算式を用いることにより算出される。ステップST312の処理が実行された後、露出制御処理はステップST314へ移行する。
【0199】
ステップST314で、プロセッサ64は、上記第1実施形態と同様の要領で、要フレーム数B3内のフレーム80単位で、複数の現実透過率TRrealと複数の理想透過率TRidealとの間の露出の差δ4を算出する(図15参照)。すなわち、ステップST314では、要フレーム数B3に含まれるフレーム80毎に、現実透過率TRrealと理想透過率TRidealとの間の露出の差δ4が算出される。ステップST314の処理が実行された後、露出制御処理はステップST316へ移行する。
【0200】
ステップST316で、プロセッサ64は、上記第1実施形態と同様の要領で、要フレーム数B3に含まれるフレーム80毎に、分割露出EXdivを定義する露出因子の1つである感度を差δ4に応じた調整値で調整する(図15参照)。ステップST316の処理が実行された後、露出制御処理は、図14Dに示すステップST42へ移行する。
【0201】
図14Dに示すステップST42で、プロセッサ64は、Nフレーム目用の分割露出EXdivで撮像装置10に対して撮像を行わせる。例えば、露出制御処理がステップST26からステップST42へ移行した場合、ステップST42で、プロセッサ64は、ステップST26の処理が実行されることにより算出された複数の分割露出EXdivのうちのNフレーム目用の分割露出EXdivで撮像装置10に対して撮像を行わせる。一方、露出制御処理が図14Cに示すステップST316からステップST42へ移行した場合、ステップST42で、プロセッサ64は、Nフレーム目用に算出された差δ4に応じて調整された感度、Nフレーム目用に定められたシャッタ速度、及びNフレーム目用に定められた絞り値を撮像装置10に対して設定し、かつ、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetのうちのNフレーム目用の透過率を電子NDフィルタ58に設定した上で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。すなわち、上記第1実施形態では、差δ1が感度等で補完されることにより、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdivを、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdivに合わせる調整が行われるのに対し、本第4実施形態では、差δ4が感度等で補完されることにより、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdivを、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdivに合わせる調整が行われる(図15参照)。
【0202】
以上説明したように、本第4実施形態に係る撮像装置10では、変化時間内透過率TRInTimeを含む複数の現実透過率TRrealよりも変動幅が小さな複数の現実透過率TRreal(すなわち、図15に示す複数の中間透過率TRmidを含む複数の現実透過率TRreal)と複数の理想透過率TRideal図15参照)とに基づいて差δ4が算出される。そして、差δ4に応じて定められた調整値で感度等が調整されることにより、現実的な露出として算出された複数の分割露出EXdivが理想的な複数の分割露出EXdivとなるように調整される。従って、現実的な露出として算出された複数の分割露出EXdivに対する感度等を用いた調整にかかる調整量を抑制することができる。これにより、現実的な露出として算出された複数の分割露出EXdivに対する感度等を用いた調整にかかる調整量が大きいために生じる不具合の発生を抑制することができる。
【0203】
また、本第4実施形態では、変化時間T3が閾値TH6未満の場合に、変化時間内透過率TRInTimeを含む複数の現実透過率TRrealよりも変動幅が小さな複数の現実透過率TRreal(すなわち、図15に示す複数の中間透過率TRmidを含む複数の現実透過率TRreal)と複数の理想透過率TRideal図15参照)とに基づいて差δ4が算出される。そして、差δ4に応じて定められた調整値で感度等が調整されることにより、現実的な露出として算出された複数の分割露出EXdivが理想的な複数の分割露出EXdivとなるように調整される。従って、変化時間T3が短過ぎるために分割露出EXdivに対する感度等を用いた調整にかかる調整量が増加するという事態の発生を抑制することができる。
【0204】
[第5実施形態]
上記第1実施形態では、絞り値が固定されていることを前提とした形態例を挙げて説明したが、目標露出EXtargetを達成するために絞り値が変化する場合(すなわち、絞り40Cが駆動する場合)、絞り40Cの駆動時間(すなわち、絞り40Cの駆動が開始されてから駆動が終了するまでの要する時間)に変化時間T1が収まらない場合が考えられる。そこで、本第5実施形態では、変化時間T1が絞り40Cの駆動時間に収まらない場合に閾値TH1を絞り40Cの駆動時間にする形態例について説明する。
【0205】
なお、本第5実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第4実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0206】
本第5実施形態では、図16に示すフローチャートを参照しながら本第5実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図15に示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した図11A及び図11Bに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図15に示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した図11A及び図11Bに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0207】
図15に示すフローチャートは、図11A及び図11Bに示すフローチャートに比べ、ステップST16及びステップST18に代えてステップST400~ステップST406を有する点が異なる。
【0208】
図15に示すステップST400で、プロセッサ64は、目標露出EXtargetに対応する目標透過率TRtargetと、目標露出EXtargetに対応する目標絞り値と、を算出する。例えば、目標透過率TRtarget及び目標絞り値は、シャッタ速度、感度、及び目標露出EXtargetを独立変数とし、目標透過率TRtarget及び目標絞り値を従属変数とする演算式を用いることにより算出される。ステップST400の処理が実行された後、露出制御処理はステップST402へ移行する。
【0209】
ステップST402で、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent及び現在の絞り値を取得する。ステップST402の処理が実行された後、露出制御処理はステップST404へ移行する。
【0210】
ステップST404で、プロセッサ64は、絞り駆動時間T5が閾値TH1を超えたか否かを判定する。ここで、絞り駆動時間T5は、目標絞り値を実現するために絞り40Cが駆動する時間(換言すると、絞り40Cの駆動開始から駆動終了までに要する時間)、すなわち、現在の絞り値から目標絞り値へ変化するまでに絞り40Cが駆動する時間である。絞り駆動時間T5は、ステップST402で取得した現在の絞り値とステップST400で算出した目標絞り値とに基づいて算出される。例えば、絞り駆動時間T5の算出は、現在の絞り値及び目標絞り値を独立変数とし、絞り駆動時間T5を従属変数とする演算式を用いることにより行われる。
【0211】
ステップST404において、絞り駆動時間T5が閾値TH1を超えていない場合は、露出制御処理はステップST20へ移行する。ステップST404において、絞り駆動時間T5が閾値TH1を超えた場合は、露出制御処理はステップST406へ移行する。
【0212】
ステップST406で、プロセッサ64は、閾値TH1として絞り駆動時間T5を設定する。すなわち、閾値TH1の現時点の値が絞り駆動時間T5に変更される。ここでは、閾値TH1の現時点の値が絞り駆動時間T5に変更される形態例を挙げているが、閾値TH1の現時点の値が絞り駆動時間T5を許容範囲内で上回る値に変更されるようにしてもよい。絞り駆動時間T5を許容範囲内で上回る値は、固定値であってもよいし、与えられた指示及び/又は各種条件に応じて変更される可変値であってもよい。ステップST406の処理が実行された後、露出制御処理はステップST20へ移行する。
【0213】
このようにすることで、変化時間T1が絞り駆動時間T5に収まるようになるので、変化時間T1が絞り駆動時間T5に収まらないことに起因して生じる不具合を抑制することができる。
【0214】
[変形例]
上記各実施形態では、様々な差(例えば、差δ1、δ2、δ3及びδ4)が算出される形態例を挙げたが、差に代えて割合を用いるようにしてもよく、2つの比較対象の相違度であればよい。また、上記実施形態では、差と閾値とを比較する形態例を挙げたが、差に代えて割合と閾値とを比較する場合には、差に対応する閾値に代えて、割合に対応する閾値を用いるようにすればよい。
【0215】
上記各実施形態では、電子NDフィルタ58の透過率の変化に要する時間、すなわち、変化時間(例えば、変化時間T1、T2、T3及びT4)を例示したが、変化時間としてフレーム数が用いられるようにしてもよい。すなわち、変化時間の概念に、フレーム数が含まれていてもよい。
【0216】
上記各実施形態では、様々な最大値(差δ1の最大値、及び差δ3の最大値等)を例示したが、上述した何れの最大値も、予め定められた範囲内での最大値を意味する。
【0217】
上記各実施形態では、単調な変化を例示したが、単調な変化とは、例えば、線形的な変化、又は、指数関数的な変化等を指す。また、単調な変化の一例としては、単調増加と単調減少が挙げられる。
【0218】
上記各実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われる場合の露出制御処理を例示したが、本開示はこれに限定されず、例えば、動画像の録画用撮像が行われる場合、撮像間隔が一定の連写が行われる場合、又は、撮像間隔が異なる連写が行われる場合等のように連続的な撮像が行われる場合であれば、上述した露出制御処理は適用可能である。
【0219】
上記実施形態では、ストレージ66に露出制御処理プログラムPGが格納されている形態例を挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、露出制御処理プログラムPGがSSD又はUSBメモリなどの可搬型のコンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている露出制御処理プログラムPGは、撮像装置10のシステムコントローラ12にインストールされる。プロセッサ64は、露出制御処理プログラムPGに従って露出制御処理を実行する。
【0220】
また、ネットワークを介して撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置に露出制御処理プログラムPGを格納させておき、撮像装置10の要求に応じて露出制御処理プログラムPGがダウンロードされ、システムコントローラ12にインストールされるようにしてもよい。
【0221】
なお、撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置、又はストレージ66に露出制御処理プログラムPGの全てを格納させておく必要はなく、露出制御処理プログラムPGの一部を格納させておいてもよい。
【0222】
また、図1及び図2に示す撮像装置10にはシステムコントローラ12が内蔵されているが、本開示はこれに限定されず、例えば、システムコントローラ12が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0223】
上記実施形態では、システムコントローラ12が例示されているが、本開示はこれに限定されず、システムコントローラ12に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、システムコントローラ12に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0224】
上記実施形態で説明した露出制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、露出制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで露出制御処理を実行する。
【0225】
露出制御処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、露出制御処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0226】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、露出制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、露出制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、露出制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0227】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の露出制御処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0228】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0229】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0230】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0231】
(付記1)
プロセッサを備え、
上記プロセッサは、
撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率が第1透過率から上記撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と上記目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出を取得し、
上記複数の分割露出のうちの上記第1透過率から上記第2透過率へ変化する過程の上記分割露出を、上記変化時間が上記第1閾値以下で上記第1透過率から上記第2透過率へ理想的に変化する過程を定めた複数の理想透過率と、上記変化時間が上記第1閾値以下で上記第1透過率から上記第2透過率へ現実的に変化する過程を定めた複数の第1現実透過率とに基づいて調整する
制御装置。
【0232】
(付記2)
上記複数の理想透過率と上記複数の第1現実透過率とに基づいて調整された上記複数の分割露出は、少なくとも上記変化時間内に上記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出に対して適用される
付記1に記載の制御装置。
【0233】
(付記3)
上記複数の分割露出のうちの上記第1透過率から上記第2透過率へ変化する過程の上記分割露出に対する調整は、上記分割露出を規定する複数の露出因子のうちの少なくとも1つが上記理想透過率と上記第1現実透過率との相違度に基づいて上記フレーム単位で調整されることによって実現される
付記2に記載の制御装置。
【0234】
(付記4)
上記複数の分割露出のうちの上記第1透過率から上記第2透過率へ変化する過程の上記分割露出に対する調整は、上記分割露出を規定する複数の露出因子のうちの少なくとも1つが、上記第1現実透過率によって実現される露出を上記理想透過率によって実現される露出にするように、上記相違度に基づいて上記フレーム単位で調整されることによって実現される
付記3に記載の制御装置。
【0235】
(付記5)
上記変化時間が第1閾値を超えた場合、
上記プロセッサは、上記複数の分割露出のうちの上記第1透過率から上記第2透過率へ変化する過程の上記分割露出を、上記複数の理想透過率と上記複数の第1現実透過率とに基づいて調整する
付記1から付記4の何れか1つに記載の制御装置。
【0236】
(付記6)
上記変化時間が第1閾値を超えた場合、
上記第1透過率と上記第2透過率との間に、上記変化時間を上記第1閾値以下にする第3透過率が定められ、
上記複数の第1現実透過率は、上記第1透過率及び上記第3透過率に基づいて定められ、
上記変化時間が上記第1閾値を超え、かつ、上記第1透過率と上記第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合、
上記プロセッサは、上記第1閾値を、現時点で設定されている値よりも大きな値に変更する
付記5に記載の制御装置。
【0237】
(付記7)
上記変化時間が上記第1閾値を超え、かつ、上記第1透過率と上記第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合、
上記プロセッサは、上記第1閾値を、上記所定回数内に得られた上記変化時間の最大値に変更する
付記6に記載の制御装置。
【0238】
(付記8)
上記変化時間が第1閾値を超え、かつ、上記第1透過率と上記第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数継続した場合、
上記複数の分割露出が維持され、
上記変化時間が上記第1閾値を超え、かつ、上記第1透過率と上記第2透過率との相違度が既定範囲内に収まっている状態の回数が所定回数未満の場合、
上記第1透過率と上記第2透過率との間に、上記変化時間を上記第1閾値以下にする第3透過率が定められ、かつ、上記複数の第1現実透過率が、上記第1透過率及び上記第3透過率に基づいて定められる
付記1から付記4の何れか1つに記載の制御装置。
【0239】
(付記9)
上記変化時間が第1閾値以下の場合、
上記プロセッサは、上記透過率を、上記複数の理想透過率に基づいて変化させる
付記1から付記8の何れか1つに記載の制御装置。
【0240】
(付記10)
上記変化時間が第1閾値以下の場合、
上記プロセッサは、上記第1透過率から上記第2透過率との間で上記複数の理想透過率を単調に変化させることで上記複数の分割露出を単調に変化させる
付記1から付記9の何れか1つに記載の制御装置。
【0241】
(付記11)
上記撮像装置は、可動式の絞りを備えており、
上記目標露出を実現するために上記絞りが駆動する場合の上記絞りの駆動時間が上記第1閾値を超える場合、
上記プロセッサは、上記第1閾値を上記駆動時間以上の値に変更する
付記1から付記10の何れか1つに記載の制御装置。
【符号の説明】
【0242】
10 撮像装置
12 システムコントローラ
16 撮像装置本体
18 交換レンズ
18A フォーカスリング
20 イメージセンサ
22 レリーズボタン
24 ダイヤル
26 指示キー
28 ディスプレイ
30 タッチパネル
32 タッチパネル・ディスプレイ
36 制御装置
37 第1アクチュエータ
38 第2アクチュエータ
39 第3アクチュエータ
40 撮像レンズ
40A 対物レンズ
40B 変倍レンズ
40C 絞り
40C1 開口
40C2 絞り羽根
46 画像メモリ
48 UI系デバイス
50 外部I/F
54 光電変換素子ドライバ
55 NDフィルタドライバ
56 モータドライバ
58 電子NDフィルタ
60 クリアガラス
62 シフト機構
62A モータ
64 プロセッサ
66 ストレージ
68 メモリ
70 入出力インタフェース
72 光電変換素子
72A 受光面
74 A/D変換器
76 受付デバイス
78 ハードキー部
79 RAW画像
80 フレーム
90 測光値
91 目標透過率演算式
92,96 変化時間演算式
93 分割露出演算式
94,100 透過率演算式
102 調整値演算式
A 目標フレーム数
B,B1,B2,B3 要フレーム数
EXdiv 分割露出
EXtarget 目標露出
FR フレームレート
OA 光軸
PG プログラム
T1,T2,T3,T4 変化時間
T5 絞り駆動時間
TH1,TH2,TH3,TH4,TH5,TH6 閾値
TRcurrent 現在透過率
TRideal 理想透過率
TRInTime 時間内透過率
TRmid 中間透過率
TRreal 現実透過率
TRtarget 目標透過率
δ1,δ2,δ3,δ4 差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16