(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148011
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/72 20230101AFI20250930BHJP
H04N 23/75 20230101ALI20250930BHJP
H04N 23/73 20230101ALI20250930BHJP
G03B 7/18 20210101ALI20250930BHJP
G03B 7/095 20210101ALI20250930BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20250930BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20250930BHJP
【FI】
H04N23/72
H04N23/75
H04N23/73
G03B7/18
G03B7/095
G03B15/00 H
G03B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048571
(22)【出願日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅人
【テーマコード(参考)】
2H002
2H083
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC21
2H002FB24
2H002FB39
2H002GA05
2H002JA07
2H002JA08
2H083AA05
2H083AA14
2H083AA26
5C122DA03
5C122FF01
5C122FF03
5C122FF08
5C122FF09
5C122FF15
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】絞りを駆動させている間であっても、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの明るさを一定に保つことができる制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と絞りの駆動時間とに基づいて、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御する。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と前記絞りの駆動時間とに基づいて、前記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御する
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記透過率が第1透過率から前記撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と前記絞りの駆動時間との関係に応じて定められた複数の分割露出を前記複数のフレームの露出に適用することで前記複数のフレームの露出を制御する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記変化時間と前記駆動時間とが第1閾値を超えた場合に第1制御が行われ、
前記第1制御は、前記変化時間を前記駆動時間内にする制御であり、かつ、前記第1透過率から前記第2透過率へ現実的に変化する時間である現実変化時間と前記駆動時間とに基づいて定められた複数の第1分割露出を前記複数の分割露出として前記複数のフレームの露出に適用する制御である
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記変化時間及び/又は前記駆動時間が第1閾値以下の場合に第2制御が行われ、
前記第2制御は、前記第1透過率から前記第2透過率へ理想的に変化する時間である理想変化時間と前記駆動時間とに基づいて定められた複数の第2分割露出を前記複数の分割露出として前記複数のフレームの露出に適用する制御である
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記変化時間と前記駆動時間との相違度が第2閾値を超えた場合に第1制御が行われ、
前記第1制御は、前記変化時間を前記駆動時間内にする制御であり、かつ、前記第1透過率から前記第2透過率へ現実的に変化する時間である現実変化時間と前記駆動時間とに基づいて定められた複数の第1分割露出を前記複数の分割露出として前記複数のフレームの露出に適用する制御である
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記変化時間と前記駆動時間との相違度が第2閾値以下の場合に第2制御が行われ、
前記第2制御は、前記第1透過率から前記第2透過率へ理想的に変化する時間である理想変化時間と前記駆動時間とに基づいて定められた複数の第2分割露出を前記複数の分割露出として前記複数のフレームの露出に適用する制御である
請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記複数の第1分割露出は、前記現実変化時間に対応するフレーム数である第1フレーム数と前記駆動時間に対応するフレーム数である第2フレーム数に基づいて定められたフレーム数と前記目標露出とに基づいて定められる
請求項3に記載の制御装置。
【請求項8】
前記複数の第1分割露出は、前記現実変化時間内で前記第1透過率から前記第2透過率へ現実的に変化する過程を定めた複数の第1現実透過率と、前記絞りの絞り値と、前記目標露出に合わせて前記撮像装置に設定される感度及び/又はシャッタ速度とに基づいて定められる
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記変化時間と前記駆動時間とが第3閾値を超えた場合に、
前記第1透過率と前記第2透過率との間に、前記変化時間を前記駆動時間内にする第3透過率が定められ、
前記複数の第1現実透過率は、前記第1透過率及び前記第3透過率に基づいて定められる
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記変化時間と前記駆動時間との相違度が第4閾値を超えた場合に、
前記第1透過率と前記第2透過率との間に、前記変化時間を前記駆動時間内にする第3透過率が定められ、
前記複数の第1現実透過率は、前記第1透過率及び前記第3透過率に基づいて定められる
請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記複数の第2分割露出は、前記理想変化時間に対応するフレーム数である第3フレーム数と前記駆動時間に対応するフレーム数である第4フレーム数に基づいて定められたフレーム数と前記目標露出とに基づいて定められる
請求項4に記載の制御装置。
【請求項12】
前記複数の第2分割露出は、前記理想変化時間内で前記第1透過率から前記第2透過率へ理想的に変化する過程を定めた複数の理想透過率と、前記絞りの絞り値と、前記目標露出に合わせて前記撮像装置に設定される感度及び/又はシャッタ速度とに基づいて定められる
請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記変化時間と前記駆動時間とが第5閾値を超え、かつ、前記変化時間を前記駆動時間内にする第4透過率と前記第2透過率との相違度である第1相違度が既定相違度を超えた場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記変化時間が前記駆動時間内で前記第1透過率から複数の中間透過率を経て前記第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第2現実透過率に基づいて定められ、
前記複数の中間透過率と前記第2透過率との最大の相違度である最大相違度は前記第1相違度よりも小さい
請求項2に記載の制御装置。
【請求項14】
前記変化時間と前記駆動時間との相違度が第6閾値を超え、かつ、前記変化時間を前記駆動時間内にする第4透過率と前記第2透過率との相違度である第1相違度が既定相違度を超えた場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記変化時間が前記駆動時間内で前記第1透過率から複数の中間透過率を経て前記第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第2現実透過率に基づいて定められ、
前記複数の中間透過率と前記第2透過率との最大の相違度である最大相違度は前記第1相違度よりも小さい
請求項2に記載の制御装置。
【請求項15】
前記変化時間と前記駆動時間とが第7閾値を超え、前記第1相違度が前記既定相違度を超え、かつ、前記第1透過率から前記第4透過率への変化に要する時間である透過率変化時間が第8閾値未満の場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記複数の第2現実透過率に基づいて定められる
請求項13に記載の制御装置。
【請求項16】
前記変化時間と前記駆動時間との相違度が第9閾値を超え、前記第1相違度が前記既定相違度を超え、かつ、前記第1透過率から前記第4透過率への変化に要する時間である透過率変化時間が第10閾値未満の場合、
前記複数の分割露出のうちの前記第1透過率から前記第2透過率へ変化する過程の前記分割露出は、前記複数の第2現実透過率に基づいて定められる
請求項14に記載の制御装置。
【請求項17】
前記複数の分割露出は、前記第1透過率から前記複数の第2現実透過率を経て前記第2透過率に変化するために要するフレーム数である第5フレーム数と前記駆動時間に対応するフレーム数である第6フレーム数に基づいて定められたフレーム数と前記目標露出とに基づいて定められる
請求項15に記載の制御装置。
【請求項18】
前記複数の分割露出は、前記変化時間が前記駆動時間内で前記第1透過率から前記複数の中間透過率を経て前記第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第3現実透過率と、前記絞りの絞り値と、前記目標露出に合わせて前記撮像装置に設定される感度及び/又はシャッタ速度とに基づいて定められる
請求項17に記載の制御装置。
【請求項19】
前記絞りの絞り値の変化に対して前記透過率が追従可能でない場合、
前記複数のフレームの露出は、前記第1透過率と前記駆動時間とに基づいて定められる
請求項2に記載の制御装置。
【請求項20】
前記絞りの絞り値の変化に対して前記透過率が追従可能でなく、かつ、前記絞り値の変化量が第1既定変化量以下の場合、
前記複数のフレームの露出は、前記第1透過率と前記駆動時間とに基づいて定められる
請求項2に記載の制御装置。
【請求項21】
前記複数のフレームの露出が制御されている間に、前記絞り値が更新されることによる前記絞り値の変化量が第2既定変化量を超えた場合、
更新前の前記絞り値と更新後の前記絞り値との相違度に対する前記透過率の追従性に応じた方法で前記複数のフレームの露出が更新される
請求項2に記載の制御装置。
【請求項22】
前記複数のフレームは、既定フレームレートに基づいて前記撮像が行われることによって得られる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項23】
請求項1から請求項22の何れか一項に記載の制御装置と、
前記撮像に用いられるイメージセンサと、を備える
撮像装置。
【請求項24】
可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と前記絞りの駆動時間とに基づいて、前記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御することを含む
制御方法。
【請求項25】
可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と前記絞りの駆動時間とに基づいて、前記撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御することを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透過率制御素子の特性に基づいて露出条件が設定される撮像装置が開示されている。特許文献1に記載の撮像装置は、プロセッサを備え、プロセッサは、撮像装置の測光に基づいて第1露出条件範囲を算出し、第1露出条件範囲が、透過率制御素子の取得した制御範囲を適用することができる第2露出条件範囲に含まれない場合、算出した第1露出条件範囲が第2露出条件範囲に含まれるように、撮像装置の露出条件を変更する。また、プロセッサは、撮像中、第2露出条件範囲においては透過率制御素子によって露出を制御する。
【0003】
特許文献2には、NDフィルタ部と、第1の露出決定手段と、第2の露出決定手段と、制御手段と、を有する撮像装置が開示されている。特許文献2に記載の撮像装置において、NDフィルタ部は、複数の濃度を有するNDフィルタを有し、光路上に挿入されたNDフィルタの濃度を変更可能である。第1の露出決定手段は、被写体を撮像する際の露出制御に用いる、NDフィルタの濃度を含む第1の露出制御値を決定する。第2の露出決定手段は、第1の露出制御値とは異なる、NDフィルタの濃度を含む第2の露出制御値を決定する。制御手段は、第2の露出決定手段と、第1の露出決定手段または第2の露出決定手段が決定した露出制御値に基づいて、被写体を撮像する際の露出を制御する。第1の露出制御値は、第2の露出制御値よりも、変更可能なNDフィルタ部の濃度の数が多い。制御手段は、予め決められたタイミングにおいて、第1の露出制御値を第2の露出制御値に切り替える。
【0004】
特許文献3に記載の撮像装置において、複数の露出調節手段は、絞り開口にNDフィルタを出没させることで露出量を調節する第1露出調節手段を含んでいると共に、絞り開口の開口面積を調節することで露出量を調節する露出調節手段と、固体撮像素子の電子シャッタ速度を調節することで露出量を調節する露出調節手段と、固体撮像素子から得られる画像信号のアンプゲインを制御することで露出量を制御する露出調節手段とのうちの少なくとも1つから成る第2露出調節手段を含んでいる。
【0005】
特許文献3に記載の撮像装置の露出制御方法は、被写体の明るさが所定レベル未満であるときには、第1露出調節手段を絞り開口にNDフィルタが全くかからない状態であるNDフィルタ全開状態に維持し、被写体の明るさが所定レベル以上であるときには、第1露出調節手段を絞り開口の全域にNDフィルタがかかった状態であるNDフィルタ全閉状態に維持するように第1露出調節手段を制御する。また、特許文献3に記載の撮像装置の露出制御方法は、第1露出調節手段がNDフィルタ全開状態とNDフィルタ全閉状態との間の状態遷移を発生する際に、第1露出調節手段の状態遷移に伴う露出変化量を相殺する大きさの露出変化量を第2露出調節手段に発生させるように第2露出調節手段を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2021/193814号
【特許文献2】特開2018-198403号公報
【特許文献3】特開2005-045648号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示に係る一つの実施形態は、絞りを駆動させている間であっても、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの明るさを一定に保つことができる制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る第1の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と絞りの駆動時間とに基づいて、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御する、制御装置である。
【0009】
本開示に係る第2の態様は、プロセッサが、透過率が第1透過率から撮像装置の目標露出を実現可能な第2透過率へ変化するのに要する変化時間と絞りの駆動時間との関係に応じて定められた複数の分割露出を複数のフレームの露出に適用することで複数のフレームの露出を制御する、第1の態様に係る制御装置である。
【0010】
本開示に係る第3の態様は、変化時間と駆動時間とが第1閾値を超えた場合に第1制御が行われ、第1制御が、変化時間を駆動時間内にする制御であり、かつ、第1透過率から第2透過率へ現実的に変化する時間である現実変化時間と駆動時間とに基づいて定められた複数の第1分割露出を複数の分割露出として複数のフレームの露出に適用する制御である、第2の態様に係る制御装置である。
【0011】
本開示に係る第4の態様は、変化時間及び/又は駆動時間が第1閾値以下の場合に第2制御が行われ、第2制御が、第1透過率から第2透過率へ理想的に変化する時間である理想変化時間と駆動時間とに基づいて定められた複数の第2分割露出を複数の分割露出として複数のフレームの露出に適用する制御である、第2の態様又は第3の態様に係る制御装置である。
【0012】
本開示に係る第5の態様は、変化時間と駆動時間との相違度が第2閾値を超えた場合に第1制御が行われ、第1制御が、変化時間を駆動時間内にする制御であり、かつ、第1透過率から第2透過率へ現実的に変化する時間である現実変化時間と駆動時間とに基づいて定められた複数の第1分割露出を複数の分割露出として複数のフレームの露出に適用する制御である、第2の態様に係る制御装置である。
【0013】
本開示に係る第6の態様は、変化時間と駆動時間との相違度が第2閾値以下の場合に第2制御が行われ、第2制御が、第1透過率から第2透過率へ理想的に変化する時間である理想変化時間と駆動時間とに基づいて定められた複数の第2分割露出を複数の分割露出として複数のフレームの露出に適用する制御である、第2の態様又は第5の態様に係る制御装置である。
【0014】
本開示に係る第7の態様は、複数の第1分割露出が、現実変化時間に対応するフレーム数である第1フレーム数と駆動時間に対応するフレーム数である第2フレーム数に基づいて定められたフレーム数と目標露出とに基づいて定められる、第3の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0015】
本開示に係る第8の態様は、複数の第1分割露出が、現実変化時間内で第1透過率から第2透過率へ現実的に変化する過程を定めた複数の第1現実透過率と、絞りの絞り値と、目標露出に合わせて撮像装置に設定される感度及び/又はシャッタ速度とに基づいて定められる、第7の態様に係る制御装置である。
【0016】
本開示に係る第9の態様は、変化時間と駆動時間とが第3閾値を超えた場合に、第1透過率と第2透過率との間に、変化時間を駆動時間内にする第3透過率が定められ、複数の第1現実透過率が、第1透過率及び第3透過率に基づいて定められる、第8の態様に係る制御装置である。
【0017】
本開示に係る第10の態様は、変化時間と駆動時間との相違度が第4閾値を超えた場合に、第1透過率と第2透過率との間に、変化時間を駆動時間内にする第3透過率が定められ、複数の第1現実透過率が、第1透過率及び第3透過率に基づいて定められる、第8の態様に係る制御装置である。
【0018】
本開示に係る第11の態様は、複数の第2分割露出が、理想変化時間に対応するフレーム数である第3フレーム数と駆動時間に対応するフレーム数である第4フレーム数に基づいて定められたフレーム数と目標露出とに基づいて定められる、第4の態様又は第6の態様に係る制御装置である。
【0019】
本開示に係る第12の態様は、複数の第2分割露出が、理想変化時間内で第1透過率から第2透過率へ理想的に変化する過程を定めた複数の理想透過率と、絞りの絞り値と、目標露出に合わせて撮像装置に設定される感度及び/又はシャッタ速度とに基づいて定められる、第11の態様に係る制御装置である。
【0020】
本開示に係る第13の態様は、変化時間と駆動時間とが第5閾値を超え、かつ、変化時間を駆動時間内にする第4透過率と第2透過率との相違度である第1相違度が既定相違度を超えた場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、変化時間が駆動時間内で第1透過率から複数の中間透過率を経て第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第2現実透過率に基づいて定められ、複数の中間透過率と第2透過率との最大の相違度である最大相違度が第1相違度よりも小さい、第2の態様から第12の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0021】
本開示に係る第14の態様は、変化時間と駆動時間との相違度が第6閾値を超え、かつ、変化時間を駆動時間内にする第4透過率と第2透過率との相違度である第1相違度が既定相違度を超えた場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、変化時間が駆動時間内で第1透過率から複数の中間透過率を経て第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第2現実透過率に基づいて定められ、複数の中間透過率と第2透過率との最大の相違度である最大相違度が第1相違度よりも小さい、第2の態様から第12の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0022】
本開示に係る第15の態様は、変化時間と駆動時間とが第7閾値を超え、第1相違度が既定相違度を超え、かつ、第1透過率から第4透過率への変化に要する時間である透過率変化時間が第8閾値未満の場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、複数の第2現実透過率に基づいて定められる、第13の態様に係る制御装置である。
【0023】
本開示に係る第16の態様は、変化時間と駆動時間との相違度が第9閾値を超え、第1相違度が既定相違度を超え、かつ、第1透過率から第4透過率への変化に要する時間である透過率変化時間が第10閾値未満の場合、複数の分割露出のうちの第1透過率から第2透過率へ変化する過程の分割露出が、複数の第2現実透過率に基づいて定められる、第14の態様に係る制御装置である。
【0024】
本開示に係る第17の態様は、複数の第1分割露出が、第1透過率から複数の第2現実透過率を経て第2透過率に変化するために要するフレーム数である第5フレーム数と駆動時間に対応するフレーム数である第6フレーム数に基づいて定められたフレーム数と目標露出とに基づいて定められる、第15の態様又は第16の態様に係る制御装置である。
【0025】
本開示に係る第18の態様は、複数の第1分割露出が、変化時間が駆動時間内で第1透過率から複数の中間透過率を経て第2透過率へ変化する過程を定めた複数の第3現実透過率と、絞りの絞り値と、目標露出に合わせて撮像装置に設定される感度及び/又はシャッタ速度とに基づいて定められる、第17の態様に係る制御装置である。
【0026】
本開示に係る第19の態様は、絞りの絞り値の変化に対して透過率が追従可能でない場合、複数のフレームの露出が、第1透過率と駆動時間とに基づいて定められる、第2の態様から第18の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0027】
本開示に係る第20の態様は、絞りの絞り値の変化に対して透過率が追従可能でなく、かつ、絞り値の変化量が第1既定変化量以下の場合、複数のフレームの露出が、第1透過率と駆動時間とに基づいて定められる、第2の態様から第19の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0028】
本開示に係る第21の態様は、複数のフレームの露出が制御されている間に、絞り値が更新されることによる絞り値の変化量が第2既定変化量を超えた場合、更新前の絞り値と更新後の絞り値との相違度に対する透過率の追従性に応じた方法で複数のフレームの露出が更新される、第2の態様から第20の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0029】
本開示に係る第22の態様は、複数のフレームが、既定フレームレートに基づいて撮像が行われることによって得られる、第1の態様から第21の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0030】
本開示に係る第23の態様は、第1の態様から第22の態様の何れか1つの態様に係る制御装置と、撮像に用いられるイメージセンサと、を備える撮像装置である。
【0031】
本開示に係る第24の態様は、可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と絞りの駆動時間とに基づいて、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御することを含む制御方法である。
【0032】
本開示に係る第25の態様は、可動式の絞りを有する撮像装置に搭載された電子減光フィルタの透過率と絞りの駆動時間とに基づいて、撮像装置による撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を制御することを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】撮像装置の全体の構成の一例を示す概略構成図である。
【
図2】撮像装置の光学系及び電気系のハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
【
図3】目標フレーム数に至るまでに現在絞り値を目標絞り値へ変化させ、かつ、複数のフレームの明るさが一定に保たれている場合の透過率の変化及び絞り値の変化の一例を示す概念図である。
【
図4】電子NDフィルタの透過率を変化させたが、目標フレーム数に至るまでに電子NDフィルタの透過率の変化が間に合わなかった場合の透過率の変化及び絞り値の変化の一例を示す概念図である。
【
図5】システムコントローラが動作している態様の一例を示すブロック図である。
【
図6】絞り値が固定されている場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図7】絞り値が固定されている場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図8】絞り値が固定されている場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図9】絞り値が固定されている場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図10】絞り値が固定されている場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図11】絞り値が変更され、かつ、絞り値の変化分を電子NDフィルタで追従可能でない場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図12】絞り値が変更され、かつ、絞り値の変化分を電子NDフィルタで追従可能でない場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図13】絞り値が変更され、かつ、絞り値の変化分を電子NDフィルタで追従可能でない場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図14】絞り値が変更され、かつ、絞り値の変化分を電子NDフィルタで追従可能である場合にプロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
【
図15】絞り値が変更され、かつ、絞り値の変化分を電子NDフィルタで追従可能である場合に第1制御又は第2制御が行われる条件の一例を示す概念図である。
【
図16】第1制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図17】第1制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図18】第1制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図19】第1制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図20】第1制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図21】第2制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図22】第2制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図23】第2制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図24】第2制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図25】第1制御の内容の一例を示す概念図である。
【
図26A】第1実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図27】第2実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図28A】第3実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図28C】第3実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図28E】第3実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図29A】第4実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図30】複数の中間透過率を含む複数の予測透過率の変化態様の一例を示す概念図である。
【
図31】各実施形態に係る露出制御処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本開示に係る制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0035】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0036】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。GPGPUとは、“General-purpose computing on graphics processing units”の略称を指す。APUとは、“Accelerated Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor processing unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。fpsとは、“Frame per second”の略称を指す。MFとは、“Manual focus”の略称を指す。AFとは、“Auto focus”の略称を指す。AEとは、“Auto Exposure”の略称を指す。NDとは、“Neutral Density”の略称を指す。ELとは、“Electro Luminescence”の略称を指す。
【0037】
以下の説明において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、物理的又は仮想的な1つの演算装置であってもよいし、物理的又は仮想的な複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU、GPU、GPGPU、APU、又はTPU等が挙げられる。
【0038】
以下の説明において、符号付きのメモリは、一時的に情報が格納されるRAM等のメモリであり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0039】
以下の説明において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を格納する1つ又は複数の不揮発性の格納装置である。不揮発性の格納装置の一例としては、フラッシュメモリ、磁気ディスク、又は磁気テープ等が挙げられる。また、ストレージの他例としては、クラウドストレージが挙げられる。
【0040】
以下の実施形態において、符号付きの外部I/Fは、互いに接続された複数の装置間の各種情報の授受を司る。外部I/Fの一例としては、USBインタフェースが挙げられる。外部I/Fには、通信プロセッサ及びアンテナ等を含む通信I/Fが適用されてもよい。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0041】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される
【0042】
[第1実施形態]
一例として
図1に示すように、撮像装置10は、被写体を撮像する装置であり、システムコントローラ12、撮像装置本体16、及び交換レンズ18を備えている。撮像装置10は、本開示に係る「撮像装置」の一例であり、システムコントローラ12は、本開示に係る「制御装置」及び「コンピュータ」の一例である。システムコントローラ12は、撮像装置本体16に内蔵されており、撮像装置10の全体を制御する。交換レンズ18は、撮像装置本体16に交換可能に装着される。交換レンズ18には、フォーカスリング18Aが設けられている。フォーカスリング18Aは、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対するピントの調整を手動で行う場合にユーザ等によって操作される。
【0043】
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよい。また、本開示は、スマートデバイス、ウェアラブル端末、シネマカメラ、テレビ放送用ビデオカメラ、監視ビデオカメラ、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等に対しても適用可能である。スマートデバイス、ウェアラブル端末、テレビ放送用ビデオカメラ、監視ビデオカメラ、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等は、本開示に係る「撮像装置」の一例である。
【0044】
撮像装置本体16には、イメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20は、本開示に係る「イメージセンサ」の一例である。イメージセンサ20は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ20は、撮像対象である被写体を撮像する。交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合に、被写体を示す光である被写体光は、交換レンズ18を透過してイメージセンサ20に結像され、被写体の画像を示す画像データがイメージセンサ20によって生成される。
【0045】
本第1実施形態では、イメージセンサ20としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ20がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示は成立する。
【0046】
撮像装置本体16の上面には、レリーズボタン22及びダイヤル24が設けられている。ダイヤル24は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル24が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして、撮像モード、再生モード、及び設定モードが選択的に設定される。撮像モードは、撮像装置10に対して撮像を行わせる動作モードである。撮像は、メカニカルシャッタ(図示省略)及び/又は電子シャッタ(図示省略)を作動させることにより実現される。再生モードは、撮像モードで記録用の撮像が行われることによって得られた画像(例えば、静止画像及び/又は動画像)を再生する動作モードである。設定モードは、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値を設定する場合などに撮像装置10に対して設定する動作モードである。
【0047】
レリーズボタン22は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(例えば、半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(例えば、全押し位置)まで押下される状態を指す。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0048】
撮像装置本体16の背面には、指示キー26及びタッチパネル・ディスプレイ32が設けられている。
【0049】
タッチパネル・ディスプレイ32は、ディスプレイ28及びタッチパネル30(
図2も参照)を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
【0050】
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ20によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに基づいて行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレート(例えば、30fps)であってもよいし、60fpsを超えるフレームレート(例えば、180fps)であってもよい。
【0051】
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン22を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
【0052】
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示(例えば、撮像準備指示及び/又は撮像指示等)を受け付ける。
【0053】
本第1実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ32の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ32として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0054】
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
【0055】
一例として
図2に示すように、イメージセンサ20は、光電変換素子72を備えている。光電変換素子72は、受光面72Aを有する。光電変換素子72は、受光面72Aの中心と光軸OAとが一致するように撮像装置本体16内に配置されている(
図1も参照)。光電変換素子72は、マトリクス状に配置された複数の感光画素を有しており、受光面72Aは、複数の感光画素によって形成されている。各感光画素は、マイクロレンズ(図示省略)を有する。各感光画素は、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0056】
また、複数の感光画素には、赤(R)、緑(G)、又は青(B)のカラーフィルタ(図示省略)が既定のパターン配列(例えば、ベイヤ配列、GストライプR/G完全市松、X-Trans(登録商標)配列、又はハニカム配列等)でマトリクス状に配置されている。
【0057】
交換レンズ18は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び可動式の絞り40Cを有する。ここで、可動式の絞り40Cは、本開示に係る「可動式の絞り」の一例である。
【0058】
対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び絞り40Cは、被写体側(物体側)から撮像装置本体16側(像側)にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び絞り40Cの順に配置されている。
【0059】
また、交換レンズ18は、制御装置36、第1アクチュエータ37、及び第2アクチュエータ38を備えている。制御装置36は、撮像装置本体16からの指示に従って交換レンズ18の全体を制御する。制御装置36は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。また、制御装置36のRAMは、各種情報を一時的に格納し、ワークメモリとして用いられる。制御装置36において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像レンズ40の全体を制御する。
【0060】
なお、ここでは、制御装置36の一例として、コンピュータを有する装置を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置36として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
【0061】
第1アクチュエータ37は、変倍用スライド機構(図示省略)及び変倍用モータ(図示省略)を備えている。変倍用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能に変倍レンズ40Bが取り付けられている。また、変倍用スライド機構には変倍用モータが接続されており、変倍用スライド機構は、変倍用モータの動力を受けて作動することで変倍レンズ40Bを光軸OAに沿って移動させる。
【0062】
第2アクチュエータ38は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り40Cは、開口40C1を有しており、開口40C1の大きさが可変な絞りである。開口40C1は、例えば、複数枚の絞り羽根40C2によって形成されている。複数枚の絞り羽根40C2は、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根40C2に伝達する。複数枚の絞り羽根40C2は、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口40C1の大きさを変化させる。絞り40Cは、開口40C1の大きさを変化させることで露出を調節する。
【0063】
変倍用モータ及び絞り用モータは、制御装置36に接続されており、制御装置36によって変倍用モータ及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、本第1実施形態では、変倍用モータ及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。従って、変倍用モータ及び絞り用モータは、制御装置36からの命令によりパルス信号に同期して動作する。また、ここでは、変倍用モータ及び絞り用モータが交換レンズ18に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、変倍用モータ及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体16に設けられていてもよい。交換レンズ18の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
【0064】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動でピントを合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング18A等が操作されることで、フォーカスリング18A等の操作量に応じた移動量で変倍レンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点が調節される。
【0065】
AFモードでは、撮像装置本体16が被写体距離に応じた合焦位置の演算を行い、演算して得た合焦位置に向けて変倍レンズ40Bを移動させることで、焦点を調節する。ここで、合焦位置とは、ピントが合っている状態での変倍レンズ40Bの光軸OA上での位置を指す。
【0066】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってマニュアル露出モードとAEモードとが選択的に設定される。マニュアル露出モードは、手動で露出を調整する動作モードである。AEモードは、自動で露出を設定する動作モードである。
【0067】
撮像装置本体16は、イメージセンサ20、システムコントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及び入出力インタフェース70を備えている。また、イメージセンサ20は、光電変換素子72及びA/D変換器74を備えている。
【0068】
入出力インタフェース70には、システムコントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及びA/D変換器74が接続されている。また、入出力インタフェース70には、交換レンズ18の制御装置36も接続されている。
【0069】
システムコントローラ12は、プロセッサ64、ストレージ66、及びメモリ68を備えている。ここで、プロセッサ64は、本開示に係る「プロセッサ」の一例である。
【0070】
プロセッサ64、ストレージ66、及びメモリ68は、バス75を介して接続されており、バス75は入出力インタフェース70に接続されている。なお、
図2に示す例では、図示の都合上、バス75として1本のバスが図示されているが、複数本のバスであってもよい。バス75は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0071】
ストレージ66は、コンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムを格納している。各種プログラムには、後述の露出制御処理プログラムPG(
図5参照)が含まれる。ストレージ66の一例としては、EEPROMが挙げられる。メモリ68は、各種情報を一時的に格納し、ワークメモリとして用いられる。メモリ68の一例としては、RAMが挙げられる。
【0072】
プロセッサ64は、ストレージ66から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ68で実行する。プロセッサ64は、メモリ68上で実行するプログラムに従って撮像装置10の全体を制御する。すなわち、
図2に示す例では、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及び制御装置36等がシステムコントローラ12によって制御される。
【0073】
光電変換素子72には、光電変換素子ドライバ54が接続されている。光電変換素子ドライバ54は、光電変換素子72によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、プロセッサ64からの指示に従って光電変換素子72に供給する。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0074】
交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面72Aに結像される。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54の制御下で、受光面72Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示すアナログ画像データとしてA/D変換器74に出力する。具体的には、A/D変換器74が、露光順次読み出し方式で、光電変換素子72から1フレーム単位で且つ水平ライン毎にアナログ画像データを読み出す。
【0075】
A/D変換器74は、アナログ画像データをデジタル化することでRAW画像79を生成する。RAW画像79は、R画素、G画素、及びB画素がモザイク状に配列された画像である。
【0076】
プロセッサ64は、A/D変換器74からRAW画像79を取得し、取得したRAW画像79に対して画像処理を行う。
【0077】
画像メモリ46には、フレーム80が格納される。フレーム80は、プロセッサ64によってRAW画像79に対して画像処理が行われることで得られた画像である。
【0078】
UI系デバイス48は、ディスプレイ28を備えており、プロセッサ64は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。また、UI系デバイス48は、受付デバイス76を備えている。受付デバイス76は、タッチパネル30及びハードキー部78を備えている。ハードキー部78は、指示キー26(
図1参照)を含む複数のハードキーである。プロセッサ64は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。
【0079】
外部I/F50は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F50には、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。また、外部I/F50は、ネットワーク(図示省略)に接続されている。外部I/F50は、ネットワーク上のサーバ等の通信装置(図示省略)とシステムコントローラ12との間の情報の授受を司る。例えば、外部I/F50は、システムコントローラ12からの要求に応じた情報を、ネットワークを介して通信装置に送信する。また、外部I/F50は、通信装置から送信された情報を受信し、受信した情報を、入出力インタフェース70を介してシステムコントローラ12に出力する。
【0080】
撮像装置10は、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60を備えている。ここで、電子NDフィルタ58は、本開示に係る「電子減光フィルタ」の一例である。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、撮像装置本体16に搭載されている。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、受光面72Aよりも被写体側に配置されている。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、被写体側から像側にかけて電子NDフィルタ58及びクリアガラス60の順に配置されている。なお、ここでは、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60が撮像装置本体16に搭載されている形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60のうちの少なくとも電子NDフィルタ58が交換レンズ18に搭載されていてもよい。
【0081】
電子NDフィルタ58は、電圧の印加により向きが変わる液晶分子を含む材料を用いた電子式の可変減光フィルタである。電子NDフィルタ58は、印加される電圧によって透過率を変更することで、電子NDフィルタ58を透過する光量を一律に調節する。電子NDフィルタ58の透過率はシームレスに変更可能である。そのため、例えば、絞り値が維持されている場合、電子NDフィルタ58の透過率が変更されることにより、被写界深度が維持されたまま目標露出(例えば、撮像装置10の被写体の明るさに対する適正な露出)が実現される。また、絞り値が変化している場合、絞り値の変化に伴う露出の増減量を補完するように電子NDフィルタ58の透過率が変更されることにより、絞り値が変化している間であっても、一定の露出を維持することが可能となる。
【0082】
電子NDフィルタ58には、NDフィルタドライバ55が接続されている。NDフィルタドライバ55は、システムコントローラ12からの指示に従って、電子NDフィルタ58に対して電圧を印加することで電子NDフィルタ58の透過率を制御する。
【0083】
クリアガラス60は、透光性を有するガラス板である。透光性を有するガラス板の一例としては、透明なガラス板が挙げられる。クリアガラス60の光路長は、電子NDフィルタ58の光路長と同じである。
【0084】
撮像装置10は、シフト機構62を備えている。シフト機構62は、撮像装置本体16に搭載されている。シフト機構62は、モータ62Aを有する。モータ62Aの一例としてはステッピングモータが挙げられる。シフト機構62は、モータ62Aによって生成された動力を電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に伝達することにより、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60を、光軸OAを横断する方向にシフトさせる。
【0085】
モータ62Aには、モータドライバ56が接続されており、モータ62Aは、システムコントローラ12の指示に従ってモータドライバ56の制御下で動作する。モータ62Aは、複数のギアを介して電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に機械的に接続されている。モータ62Aは、システムコントローラ12の指示に従ってモータドライバ56の制御下で、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に対して動力を付与することにより、電子NDフィルタ58とクリアガラス60とを選択的に光路に挿入したり光路から離脱させたりする。
【0086】
モータ62Aと電子NDフィルタ58及びクリアガラス60とを機械的に接続している複数のギアは、モータ62Aの回転方向の動力を電子NDフィルタ58に付与し、かつ、モータ62Aの回転方向と反対方向の動力をクリアガラス60に付与する。例えば、モータ62Aによって正転の動力が生成された場合、電子NDフィルタ58に対して正転の動力が付与され、クリアガラス60に対して逆転の動力が付与される。また、モータ62Aによって逆転の動力が生成された場合、クリアガラス60に対して正転の動力が付与され、電子NDフィルタ58に対して逆転の動力が付与される。このように、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に対してモータ62Aの動力が付与されることにより、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60のうちの一方が光路に挿入され、他方が光路から離脱される。電子NDフィルタ58の光路長とクリアガラス60の光路長は同じであるので、電子NDフィルタ58が光路から離脱したとしても、クリアガラス60が光路に挿入されるので、電子NDフィルタ58が光路に挿入されている場合と同じ光路長が維持される。
【0087】
ところで、一例として
図3に示すように、ライブビュー画像用撮像が行われることにより複数のフレーム80が得られる場合、絞り40Cの絞り値(以下、単に「絞り値」と称する)は、現在の絞り値である現在絞り値FV
currentから目標の絞り値である目標絞り値FV
targetに向けて単調に変化させると絞り値FVの変化に伴ってフレーム80の明るさも変わる。この場合、現在のフレーム80から、絞り値FVが現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化する間に要するフレーム数である目標フレーム数A後のフレーム80へ変化する過程で、明るさが一定に保たれることが好ましい。すなわち、現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させるまでの間、目標とする露出である目標露出EX
targetが維持されることが好ましい。
【0088】
これを実現するための1つの方法としては、現在のフレーム80から目標フレーム数A後のフレーム80へ変化する過程で、シャッタ速度(例えば、メカニカルシャッタが用いられる場合のメカニカルシャッタのシャッタ速度、又は、電子シャッタが用いられる場合の電子シャッタのシャッタ速度)、及び光電変換素子72の感度(例えば、ISO感度)を維持したまま、絞り値FVの変化に合わせて、電子NDフィルタ58の透過率TRを変化させることにより、絞り値FVの変化に伴って変わった明るさを補う方法が考えられる。
【0089】
図3に示す例では、絞り値FVの変化に合わせて、電子NDフィルタ58の透過率TRを、撮像装置10が露出演算を開始したタイミングでの電子NDフィルタ58の透過率TRである現在透過率TR
currentから、フレーム80の明るさを目標の明るさに維持するための目標露出EX
targetを実現可能な目標透過率TR
targetへ変化させている。
【0090】
絞り値は単調な変化(
図3に示す例では、線形的な変化)なので、絞り値FVの変化に合わせて、電子NDフィルタ58の透過率TRを現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ単調な変化量で変化させれば、フレーム80間の明るさが一定に保たれる。但し、これを実現するためには、目標フレーム数Aと、変化時間T(すなわち、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化に要する時間)が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B(=(ライブビュー画像用撮像で用いられるフレームレートFR)×(変化時間T))とが一致し、かつ、目標フレーム数Aのフレーム80が得られた時点で、電子NDフィルタ58の透過率TRを目標透過率TR
targetに到達させることが求められる。
【0091】
しかし、一例として
図4に示すように、現在透過率TR
currentと目標透過率TR
targetとの関係次第で、要フレーム数Bが目標フレーム数Aを超えてしまうことがあり、この場合、目標フレーム数Aのフレーム80が得られる時点までに電子NDフィルタ58の透過率TRが目標透過率TR
targetに到達しない。このように、絞り値FVの変化に要する時間と変化時間Tとが一致しない場合、目標フレーム数A内で目標露出EX
targetを一定に維持し続けることができなくなってしまう。
図4に示す例では、電子NDフィルタ58の透過率TRの目標透過率TR
targetへの到達が目標フレーム数Aから2フレーム分だけ遅れている。
【0092】
そこで、本第1実施形態では、目標フレーム数A内で絞り値FVの変化に電子NDフィルタ58の透過率TRを追従させ、かつ、フレーム80の明るさを一定に保ち続けるために(換言すると、目標露出EX
targetを一定に維持させ続けるために)、一例として
図5に示すように、プロセッサ64によって露出制御処理が行われる。ストレージ66には、露出制御処理プログラムPGが格納されている。露出制御処理プログラムPGは、本開示に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ64は、ストレージ66から露出制御処理プログラムPGを読み出し、読み出した露出制御処理プログラムPGをメモリ68上で実行する。露出制御処理は、プロセッサ64が露出制御処理プログラムPGを実行することにより実現される。以下、露出制御処理の一例について説明する。
【0093】
図6~
図25は、プロセッサ64によって行われる露出制御処理の内容の一例である。先ず、一例として
図6に示すように、プロセッサ64は、露出演算の開始タイミングが到来すると、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られたフレーム80に基づいて、被写体の明るさを示す測光値90を算出する。なお、測光値90は、露出計(図示省略)によって測定されてもよい。
【0094】
プロセッサ64は、測光値90に基づいて、測光値90の算出に用いられたフレーム80の明るさを目標の明るさにするための露出として、目標露出EXtargetを算出する。また、プロセッサ64は、目標露出EXtargetに対応する目標透過率TRtarget、すなわち、目標露出EXtargetを実現可能な目標透過率TRtargetを算出する。例えば、目標透過率TRtargetは、現時点で撮像装置10に対して設定されているシャッタ速度SP、絞り値FV、感度SE、及び目標露出EXtargetに基づいて算出される。目標透過率TRtargetの算出は、目標透過率演算式91を用いて行われる。目標透過率演算式91は、シャッタ速度SP、絞り値FV、感度SE、及び目標露出EXtargetを独立変数とし、目標透過率TRtargetを従属変数とする演算式である。
【0095】
プロセッサ64は、現時点の絞り値FVと異なる絞り値FVへの変更指示、すなわち、絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変更させる指示である絞り値変更指示(以下、単に「絞り値変更指示」と称する)が撮像装置10に対して与えられたか否かを判定する。ここで、撮像装置10に対して絞り値変更指示が与えられなかった場合、現時点の絞り値FV、すなわち、現在絞り値FV
currentが維持される。現在絞り値FV
currentが維持される場合は、一例として
図6~
図10に示すように、複数のフレーム80に対して適用される露出を単調に変化させる制御がプロセッサ64によって行われる。
【0096】
一例として
図6に示すように、現在絞り値FV
currentが維持される場合、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58に対して現時点で設定されている透過率TR、すなわち、現在透過率TR
currentを取得する。そして、プロセッサ64は、取得した現在透過率TR
currentから、算出した目標透過率TR
targetへ理想的に変化する時間である変化時間T1を、変化時間演算式92を用いて算出する。現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ理想的に変化する時間とは、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ単調に変化する時間を指す。単調な変化とは、一定の変化量での変化(例えば、線形的な変化、又は、指数関数的な変化等)を指す。変化時間演算式92は、目標透過率TR
targetと現在透過率TR
currentとを独立変数とし、変化時間T1を従属変数とする演算式である。本第1実施形態において、目標露出EX
targetは、本開示に係る「目標露出」の一例であり、現在透過率TR
currentは、本開示に係る「第1透過率」の一例であり、目標透過率TR
targetは、本開示に係る「第2透過率」の一例である。
【0097】
一例として
図7に示すように、プロセッサ64は、変化時間T1が閾値TH1を超えているか否かを判定する。本第1実施形態において、閾値TH1は、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化する迄の理想的な待機時間(換言すると、絞り値FV、シャッタ速度SP、及び感度SEが固定されている条件下で、露出演算の開始タイミングが到来してから目標露出EX
targetが達成される迄の時間として理想的な時間)に基づいて定められた値である。閾値TH1は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH1の一例としては、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化する迄の理想的な待機時間の上限値が挙げられる。また、閾値TH1は、ユーザによって決められた時間であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた時間であってもよいし、電子NDフィルタ58の透過率TRが変化する時間が定められているテーブルから得られる最大の時間の数%~数十%の範囲内で指定された時間(例えば、電子NDフィルタ58の透過率TRが変化する時間が定められているテーブルから得られる最大の時間の50%に相当する時間)であってもよい。
【0098】
変化時間T1が閾値TH1を超えていない場合(換言すると、“変化時間T1≦閾値TH1”の大小関係が成立している場合)、すなわち、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TRcurrentから目標露出EXtargetへ変化する迄に要する時間が理想的な時間内に収まっている場合、プロセッサ64は、変化時間T1とフレームレートFR(例えば、上述したフレームレートに相当するフレームレート)とに基づいて、変化時間T1が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B1を算出する。例えば、要フレーム数B1は、“(変化時間T1)×(フレームレートFR)”によって算出される。
【0099】
プロセッサ64は、目標露出EXtargetと変化時間T1とに基づいて複数の分割露出EXdiv1を取得する。複数の分割露出EXdiv1の取得は、目標露出EXtargetと要フレーム数B1とに基づいて複数の分割露出EXdiv1が算出されることによって実現される。複数の分割露出EXdiv1の算出は、分割露出演算式93を用いて行われる。分割露出演算式93は、現在透過率TRcurrentと目標露出EXtargetと要フレーム数B1とを独立変数とし、複数の分割露出EXdiv1を従属変数とする演算式である。ここで、複数の分割露出EXdiv1は、要フレーム数B1に相当する個数の分割露出EXdiv1である。
【0100】
複数の分割露出EXdiv1は、現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdiv1から目標露出EXtargetにかけて単調に変化している。例えば、複数の分割露出EXdiv1は、現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdiv1から目標露出EXtargetにかけて線形的に変化している。なお、ここでは、線形的な変化を例示したが、指数関数的に変化していてもよく、絞り値FVの変化に合わせて単調に変化していればよい。
【0101】
複数の分割露出EX
div1は、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ理想的に変化する過程(例えば、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ一定の変化量で変化する過程)を定めた現在透過率TR
current、複数の理想透過率TR
ideal1、及び目標透過率TR
targetに対応している。
図7に示す例では、要フレーム数B1の“0”に対して現在透過率TR
currentが対応しており、要フレーム数B1の“1”、“2”、“3”、及び“4”のそれぞれに対して理想透過率TR
ideal1が対応しており、要フレーム数B1の“5”に対して目標透過率TR
targetが対応している。電子NDフィルタ58の透過率TRは、現在透過率TR
current、複数の理想透過率TR
ideal1、及び目標透過率TR
targetに基づいて変化する。現在透過率TR
current、複数の理想透過率TR
ideal1、及び目標透過率TR
targetは、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetにかけて単調に変化している。
図7に示す例では、現在透過率TR
current、複数の理想透過率TR
ideal1、及び目標透過率TR
targetが、要フレーム数B1の“0”から“5”にかけて単調に変化している。
【0102】
現在透過率TRcurrentに対応する分割露出EXdiv1から目標露出EXtargetにかけてのフレーム80の露出の単調な変化は、シャッタ速度SP、感度SE、及び絞り値FVが固定された状態で、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal1、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて単調に変化させることによって実現される。現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal1、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて単調に変化させる一例としては、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal1、及び目標透過率TRtargetを、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて、フレーム80間で一定の変化量で変化させるという例が挙げられる。
【0103】
プロセッサ64は、変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdiv1を適用する制御を行う。例えば、プロセッサ64は、1フレーム毎に、対応する分割露出EXdiv1を撮像装置10に対して設定した上で撮像装置10に対して撮像を行わせる。ここで、分割露出EXdiv1の設定とは、例えば、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEを維持した状態での電子NDフィルタ58に対しての分割露出EXdiv1を実現可能な透過率TRの設定を指す。すなわち、フレーム80毎に算出された分割露出EXdiv1でライブビュー画像用撮像が行われるように、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEが維持されたまま、電子NDフィルタ58の透過率TRが制御される。
【0104】
一方、一例として
図8に示すように、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合、すなわち、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標露出EX
targetへ変化する迄に要する時間が理想的な時間内に収まっていない場合、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRとして、閾値TH1以下の範囲に変化時間T1が収まる透過率TRである変化時間内透過率TR
InTime1を、透過率演算式94を用いて算出する。透過率演算式94は、変化時間T1、閾値TH1、現在透過率TR
current、及び目標透過率TR
targetを独立変数とし、変化時間内透過率TR
InTime1を従属変数とする演算式である。
【0105】
プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTime1を経て目標透過率TRtargetへ変化させるのに要する時間である変化時間T2を、変化時間演算式96を用いて算出する。変化時間演算式96は、現在透過率TRcurrent、変化時間内透過率TRInTime1、及び目標透過率TRtargetを独立変数とし、変化時間T2を従属変数とする演算式である。
【0106】
プロセッサ64は、変化時間T2とフレームレートFRとに基づいて、変化時間T2が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B2を算出する。例えば、要フレーム数B2は、“(変化時間T2)×(フレームレートFR)”によって算出される。
【0107】
プロセッサ64は、要フレーム数B2、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentに基づいて複数の分割露出EXdiv1を算出する。複数の分割露出EXdiv1の算出は、分割露出演算式98を用いて行われる。分割露出演算式98は、要フレーム数B2、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentを独立変数とし、複数の分割露出EXdiv1を従属変数とする演算式である。ここで、複数の分割露出EXdiv1は、要フレーム数B2に相当する個数の分割露出EXdiv1である。
【0108】
プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv1及び既知透過率に基づいて、複数の理想透過率TRideal1及び複数の現実透過率TRreal1を算出する。ここで、既知透過率とは、現在透過率TRcurrent、目標透過率TRtarget、及び変化時間内透過率TRInTime1を指す。複数の理想透過率TRideal1及び複数の現実透過率TRreal1の算出は、透過率演算式100を用いて行われる。透過率演算式100は、複数の分割露出EXdiv1、現在透過率TRcurrent、目標透過率TRtarget、及び変化時間内透過率TRInTime1を独立変数とし、複数の理想透過率TRideal1及び複数の現実透過率TRreal1を従属変数とする演算式である。
【0109】
複数の現実透過率TRreal1は、変化時間T2が閾値TH1以下で電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する過程を定めた複数の透過率TRである。ここで、現実的な変化とは、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を閾値TH1以下の時間内に間に合わせることが可能な透過率TRの変化を指す。電子NDフィルタ58の透過率TRを現実的に変化させる場合、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を閾値TH1以下の時間内に間に合わせることが優先されるので、電子NDフィルタ58の透過率TRは、一定の変化量で単調に変化しない。
【0110】
変化時間T1が閾値TH1を超えており、ライブビュー画像用撮像が行われる場合、複数の現実透過率TRreal1が電子NDフィルタ58に対して設定される。なぜならば、ライブビュー画像用撮像が行われる場合に変化時間T1が閾値TH1を超えているにも拘わらず電子NDフィルタ58に対して複数の理想透過率TRideal1が設定されると、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化が閾値TH1以下の時間内で完了しないからである。
【0111】
図8に示す例では、変化時間T2が閾値TH1以下で電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ現実的に変化する過程を定めた複数の透過率TR、すなわち、複数の現実透過率TR
real1の一例として、変化時間T2が閾値TH1以下で現在透過率TR
currentから変化時間内透過率TR
InTime1を経て目標透過率TR
targetへ変化する過程を定めた複数の透過率TRが示されている。
図8に示す例では、現在透過率TR
currentと目標透過率TR
targetとの間に、変化時間T2を閾値TH1以下にする変化時間内透過率TR
InTime1が定められている。複数の現実透過率TR
real1は、現在透過率TR
currentと変化時間内透過率TR
InTime1とに基づいて定められている。すなわち、
図8に示す例では、現在透過率TR
currentから変化時間内透過率TR
InTime1にかけて単調に変化する複数の透過率TR(例えば、線形的に変化する複数の透過率TR)が、変化時間内透過率TR
InTime1を含めて複数の現実透過率TR
real1として定められている。
【0112】
現在透過率TR
current及び複数の現実透過率TR
real1は、現在透過率TR
currentから変化時間内透過率TR
InTime1にかけて単調に変化している。
図8に示す例では、現在透過率TR
current及び複数の現実透過率TR
real1が、現在透過率TR
currentから変化時間内透過率TR
InTime1にかけて線形的に変化している。
【0113】
プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetに従って変化させる。しかし、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEを維持したまま、電子NDフィルタ58の透過率TRが、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetに従って変化すると、電子NDフィルタ58の透過率TRが、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEを維持したまま、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal1、及び目標透過率TRtargetに従って変化する場合に比べ、フレーム80間での明るさの変化が大きくなってしまう。
【0114】
そこで、本第1実施形態では、電子NDフィルタ58の透過率TRが、現在透過率TR
current、複数の現実透過率TR
real1、及び目標透過率TR
targetに従って変化したとしても、電子NDフィルタ58の透過率TRが、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEを維持したまま、現在透過率TR
current、複数の理想透過率TR
ideal1、及び目標透過率TR
targetに従って変化する場合と同レベルでフレーム80間の明るさを変化させるために、先ず、一例として
図9に示すように、プロセッサ64は、要フレーム数B2内で得られるフレーム80単位で、複数の現実透過率TR
real1と複数の理想透過率TR
ideal1との間の露出の差δ1を算出する。差δ1は、フレーム80間での明るさの変化の大きさを示す指標である。換言すると、差δ1は、フレーム80の理想的な明るさからの乖離の程度(すなわち、現実透過率TR
real1によって実現される露出と理想透過率TR
ideal1によって実現される露出とが乖離している度合い)を表している。
【0115】
露出は、電子NDフィルタ58の透過率TRの他に、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEで定義されているので、差δ1は、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び/又は感度SEが調整されることによりゼロにすることが可能である。そこで、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdiv1(すなわち、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetに変化する過程の各分割露出EXdiv1)を差δ1に基づいて調整する。換言すると、プロセッサ64は、差δ1をシャッタ速度SP、絞り値FV、及び/又は感度SEで補完することにより、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdiv1を、現在透過率TRcurrent、複数の理想透過率TRideal1、及び目標透過率TRtargetに対応する複数の分割露出EXdiv1に合わせる調整を行う。更に換言すると、要フレーム数B2に含まれるフレーム80毎に、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び/又は感度SEが、現実透過率TRreal1によって実現される分割露出EXdiv1を、理想透過率TRideal1によって実現される分割露出EXdiv1にするように、差δ1に対応する調整値(例えば、差δ1に応じて定められた調整値)を用いて調整される。
【0116】
電子NDフィルタ58の透過率TRとして複数の現実透過率TR
real1を用いたライブビュー画像用撮像が行われる場合、例えば、
図10に示すように、感度SEを調整するための調整値α1~α4で感度SEを調整することにより、差δ1が補完される。このように、差δ1に応じた調整値α1~α4で感度SEが調整されることにより、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TR
current、複数の現実透過率TR
real1、及び目標透過率TR
targetに従って変化させたとしても、シャッタ速度SP、絞り値FV、及び感度SEを維持したまま、電子NDフィルタ58の透過率TRとして複数の現実透過率TR
real1を用いた場合と同レベルの分割露出EX
div1が実現される。
【0117】
調整値α1~α4のそれぞれは、フレーム80単位で算出された差δ1に応じて一意に定まる。例えば、差δ1を独立変数とし、感度SEを調整するための調整値を従属変数とする調整値演算式102を用いることによって調整値α1~α4が算出される。なお、ここでは、差δ1に応じて感度SEを調整する形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、シャッタ速度SP及び/又は絞り値FVが差δ1に応じて調整されるようにしてもよい。この場合も調整値演算式102と同様の演算式を用いることによってシャッタ速度SP及び/又は絞り値FVの調整値が算出されるようにすればよい。
【0118】
変化時間T2内にライブビュー画像用撮像が行われる場合に、プロセッサ64は、上記のようにフレーム80単位で算出された差δ1に応じて調整された感度SE、フレーム80毎に定められたシャッタ速度SP、及びフレーム80毎に定められた絞り値FVを撮像装置10に対して設定する。また、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetを電子NDフィルタ58の透過率TRとして設定する。このように、変化時間T2内のライブビュー画像用撮像で、上記のようにフレーム80単位で算出された差δ1に応じて調整された感度SE、フレーム80毎に定められたシャッタ速度SP、フレーム80毎に定められた絞り値FV、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetが設定されることにより、複数のフレーム80の露出に対して、単調に変化する複数の分割露出EXdiv1が適用される。
【0119】
なお、本第1実施形態において、ライブビュー画像用撮像は、本開示に係る「撮像装置による撮像」の一例である。また、本第1実施形態において、フレームレートFRは、本開示に係る「既定フレームレート」の一例である。
【0120】
図6~
図10に示す例では、現在絞り値FV
currentが維持される場合において複数のフレーム80に対して適用される露出を単調に変化させる制御がプロセッサ64によって行われる形態例を示したが、現在絞り値FV
currentを目標絞り値FV
targetへ変化させる場合は、一例として
図11~
図25に示すように、複数のフレーム80に対して適用される露出を一定に保つ制御がプロセッサ64によって行われる。
【0121】
一例として
図11に示すように、プロセッサ64は、絞り値変更指示が撮像装置10に対して与えられたか否かを判定する。ここで、撮像装置10に対して絞り値変更指示が与えられた場合、絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させる制御がプロセッサ64によって開始される。
【0122】
一例として
図11に示すように、絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させる場合、プロセッサ64は、絞り値FVの変化分(ここでは、一例として、現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへの変化量)を電子NDフィルタ58で追従可能か否かを判定する。すなわち、電子NDフィルタ58の透過率TRを、絞り値FVの変化に伴って変化する明るさを補完することが可能な透過率TRにすることが可能な否か(換言すると、絞り値FVの変化分に対応する露出差を電子NDフィルタ58の透過率TRを変化させることで補完可能な否か)を判定する。本第1実施形態において、電子NDフィルタ58の透過率TRは、本開示に係る「電子減光フィルタの透過率」の一例である。
【0123】
図11~
図13には、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能でない場合に、絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させる制御内容の一例が示されている。
【0124】
一例として
図11に示すように、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能でない場合、プロセッサ64は、現在絞り値FV
current、目標絞り値FV
target、現在透過率TR
current、及び目標露出EX
targetに基づいて、目標感度SE
target及び目標シャッタ速度SP
targetを算出する。目標感度SE
targetとは、他の露出因子(ここでは、一例として、現在絞り値FV
current、目標絞り値FV
target、現在透過率TR
current、及び目標シャッタ速度SP
target)と共に目標露出EX
targetを実現可能な感度SEを指す。目標シャッタ速度SP
targetとは、(ここでは、一例として、現在絞り値FV
current、目標絞り値FV
target、現在透過率TR
current、及び目標感度SE
target)と共に目標露出EX
targetを実現可能なシャッタ速度SPを指す。
【0125】
目標感度SEtarget及び目標シャッタ速度SPtargetの算出は、露出因子演算式104を用いて行われる。露出因子演算式104は、現在絞り値FVcurrent、目標絞り値FVtarget、現在透過率TRcurrent、及び目標露出EXtargetを独立変数とし、目標感度SEtarget及び目標シャッタ速度SPtargetを従属変数とする演算式である。なお、本第1実施形態において、露出因子とは、露出を定義する因子の1つを指す。露出は複数の露出因子で定義されており、複数の露出因子としては、透過率TR、絞り値FV、感度SE、及びシャッタ速度SPが挙げられる。
【0126】
また、絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetへ変化させる場合、プロセッサ64は、現在絞り値FVcurrent及び目標絞り値FVtargetに基づいて、絞り40Cの駆動時間、すなわち、絞り駆動時間TFVを算出する。絞り駆動時間TFVは、絞り40Cの絞り値FVが現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetへ変化するのに要する時間である。絞り駆動時間TFVの算出は、絞り駆動時間演算式106を用いて行われる。絞り駆動時間演算式106は、現在絞り値FVcurrent及び目標絞り値FVtargetを独立変数とし、絞り駆動時間TFVを従属変数とする演算式である。なお、本第1実施形態において、絞り駆動時間TFVは、本開示に係る「絞りの駆動時間の」の一例である。
【0127】
一例として
図12に示すように、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FV及びフレームレートFRに基づいて、絞り駆動時間T
FVに対応するフレーム数、すなわち、絞り駆動時間T
FVが経過する間にライブビュー画像用撮像によって得られるフレーム数である要フレーム数B3を算出する。例えば、要フレーム数B3は、“(絞り駆動時間T
FV)×(フレームレートFR)”によって算出される。なお、本第1実施形態において、要フレーム数B3は、本開示に係る「第2フレーム数」、「第4フレーム数」、及び「第6フレーム数」の一例である。
【0128】
プロセッサ64は、要フレーム数B3、現在絞り値FVcurrent、及び目標絞り値FVtargetに基づいて複数の予測絞り値FVpred0を算出する。複数の予測絞り値FVpred0のそれぞれは、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられる絞り値FVを予測した値である。複数の予測絞り値FVpred0には、現在絞り値FVcurrent及び目標絞り値FVtargetも含まれる。複数の予測絞り値FVpred0の算出は、絞り値演算式107を用いて行われる。絞り値演算式107は、要フレーム数B3、現在絞り値FVcurrent、及び目標絞り値FVtargetを独立変数とし、複数の予測絞り値FVpred0を従属変数とする演算式である。
【0129】
プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred0に基づいて複数の分割露出EXdiv2を算出する。現在感度SEcurrentは、撮像装置10に対して現時点で設定されている感度SEである。現在シャッタ速度SPcurrentは、撮像装置10に対して現時点で設定されているシャッタ速度SPである。複数の分割露出EXdiv2の個数は、複数の予測絞り値FVpred0の個数と同じである。複数の分割露出EXdiv2のそれぞれは、絞り駆動時間TFVが経過する間に得られる複数のフレーム80のそれぞれに対して適用される露出であって、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred0から予測される露出である。複数の分割露出EXdiv2の算出は、分割露出演算式108を用いて行われる。分割露出演算式108は、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred0を独立変数とし、複数の分割露出EXdiv2を従属変数とする演算式である。
【0130】
プロセッサ64は、目標露出EXtarget及び複数の分割露出EXdiv2に基づいて複数の露出差分EXdiffを算出する。複数の露出差分EXdiffのそれぞれは、目標露出EXtargetと複数の分割露出EXdiv2のそれぞれとの差分である。ここでは、差分を例示しているが、割合であってもよく、目標露出EXtargetと分割露出EXdiv2との相違度を示す指標であればよい。
【0131】
プロセッサ64は、複数の露出差分EXdiffに基づいて複数の感度調整値Δa及びシャッタ速度調整値Δbを算出する。複数の感度調整値Δaの個数は複数の露出差分EXdiffと同じである。複数のシャッタ速度調整値Δbの個数も複数の露出差分EXdiffと同じである。複数の感度調整値Δaは、絞り駆動時間TFVが経過する間に得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つために必要な感度SEを得るために現在感度SEcurrentの調整に対して用いられる調整値である。また、シャッタ速度調整値Δbは、絞り駆動時間TFVが経過する間に得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つために必要なシャッタ速度SPを得るために現在シャッタ速度SPcurrentの調整に対して用いられる調整値である。複数の感度調整値Δa及びシャッタ速度調整値Δbの算出は、調整値演算式109を用いて行われる。調整値演算式109は、複数の露出差分EXdiffを独立変数とし、複数の感度調整値Δa及び複数のシャッタ速度調整値Δbを従属変数とする演算式である。
【0132】
プロセッサ64は、複数の感度調整値Δaを用いて現在感度SEcurrentを調整する。これにより、複数の感度調整値Δaと同じ個数の調整済みの感度SEが得られる。また、プロセッサ64は、複数のシャッタ速度調整値Δbを用いて現在感度SEcurrentを調整する。これにより、複数のシャッタ速度調整値Δbと同じ個数の調整済みのシャッタ速度SPが得られる。
【0133】
絞り駆動時間T
FV内にライブビュー画像用撮像が行われる場合、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出は、現在透過率TR
currentと絞り駆動時間T
FVとに基づいて得られた複数の感度調整値Δaで調整済みの複数の感度SE、目標感度SE
target、複数のシャッタ速度調整値Δbで調整済みの複数のシャッタ速度SP、目標シャッタ速度SP
target、及び複数の予測絞り値FV
pred0、並びに、現在透過率TR
currentによって定められる。例えば、
図13に示すように、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FV内に、現在透過率TR
current、複数の感度調整値Δaで調整済みの複数の感度SE、目標感度SE
target、複数のシャッタ速度調整値Δbで調整済みの複数のシャッタ速度SP、目標シャッタ速度SP
target、及び複数の予測絞り値FV
pred0を用いた露出で撮像装置10に対してライブビュー画像用撮像を行わせる。これにより、絞り駆動時間T
FV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。
【0134】
図11~
図13に示す例では、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能でない場合に、絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させる制御内容の一例が挙げられているのに対し、
図14~
図25には、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能である場合に、絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させる制御内容の一例が示されている。絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能である場合に絞り40Cの絞り値FVを現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させる制御では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が透過率TRと絞り駆動時間T
FVとに基づいて制御される。
【0135】
一例として
図14に示すように、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能である場合、プロセッサ64は、現在絞り値FV
current及び目標絞り値FV
targetに基づいて絞り駆動時間T
FVを算出する。絞り駆動時間T
FVの算出は、
図11に示す例と同様の要領で行われる。
【0136】
また、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能である場合、プロセッサ64は、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、及び複数の現在露出因子に基づいて、目標露出EXtargetに対応する目標透過率TRtargetを算出する。ここで、現在露出因子とは、現在の露出を定義している露出因子を意味する。ここで用いられる複数の現在露出因子は、現在透過率TRcurrent、現在絞り値FVcurrent、現在感度SEcurrent、及び現在シャッタ速度SPcurrentである。目標透過率TRtargetの算出は、目標透過率演算式110を用いて行われる。目標透過率演算式110は、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、及び複数の現在露出因子を独立変数とし、目標透過率TRtargetを従属変数とする演算式である。
【0137】
プロセッサ64は、目標透過率TR
target及び現在透過率TR
currentに基づいて変化時間T1を算出する。変化時間T1の算出は、
図6に示す例と同様の要領で行われる。
【0138】
本第1実施形態では、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能である場合、
図14に示す絞り駆動時間T
FVと
図14に示す変化時間T1とに応じて定められた複数の分割露出EX
div3(
図18参照)又は複数の分割露出EX
div4(
図23参照)が、絞り駆動時間T
FVが経過する間にライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出に適用されることにより複数のフレーム80の露出が制御される。これを実現するための制御内容の一例が
図15~
図25に示されている。
図15~
図20には、複数の分割露出EX
div3(
図18参照)が、絞り駆動時間T
FVが経過する間にライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出に適用されることにより複数のフレーム80の露出が制御される形態例が示されている。
図21~
図25には、複数の分割露出EX
div4(
図23参照)が、絞り駆動時間T
FVが経過する間にライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出に適用されることにより複数のフレーム80の露出が制御される形態例が示されている。
【0139】
一例として
図15に示すように、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1とが共に閾値TH2を超えたか否かを判定する。閾値TH2は、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化する迄の理想的な待機時間(換言すると、シャッタ速度SP及び感度SEが固定されている条件下で、露出演算の開始タイミングが到来してから目標露出EX
targetが達成される迄の時間として理想的な時間)であり、かつ、絞り値FVが現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化する迄の理想的な待機時間に基づいて定められた値である。電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化する迄の理想的な待機時間であり、かつ、絞り値FVが現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化する迄の理想的な待機時間に基づいて定められた値の一例としては、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化する迄の理想的な待機時間の上限値、及び現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化する迄の理想的な待機時間の上限値のうちの大きな方の上限値が挙げられる。閾値TH2は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。また、閾値TH2は、ユーザによって決められた時間であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた時間であってもよいし、電子NDフィルタ58の透過率TRが変化する時間が定められているテーブルから得られる最大の時間の数%~数十%の範囲内で指定された時間(例えば、電子NDフィルタ58の透過率TRが変化する時間が定められているテーブルから得られる最大の時間の50%に相当する時間)であってもよい。
【0140】
絞り駆動時間TFV及び変化時間T1が共に閾値TH2を超えた場合、プロセッサ64は、第1制御112を行い、絞り駆動時間TFV及び/変化時間T1が閾値TH2以下である場合、プロセッサ64は、第2制御114を行う。なお、本第1実施形態において、閾値TH2は、本開示に係る「第1閾値」、「第3閾値」、「第5閾値」、及び「第7閾値」の一例である。また、本第1実施形態において、第1制御112は、本開示に係る「第1制御」の一例であり、第2制御114は、本開示に係る「第2制御」の一例である。
【0141】
図15~
図20には、第1制御112の内容の一例が示されている。第1制御112には、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化に要する時間を絞り駆動時間T
FV内にする制御あり、かつ、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ現実的に 変化する時間と絞り駆動時間T
FVとに基づいて定められた複数の分割露出EX
div3(
図18参照)を、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出に適用する制御が含まれる。
【0142】
第1制御112を実現するために、一例として
図16に示すように、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FV(
図14参照)、変化時間T1(
図14参照)、現在透過率TR
current、及び目標透過率TR
targetに基づいて駆動時間内透過率TR
InTime2を算出する。駆動時間内透過率TR
InTime2は、現在透過率TR
currentと目標透過率TR
targetとの間に存在しており、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化に要する時間を絞り駆動時間T
FV内にする透過率である。電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化させるのに要する時間は、電子NDフィルタ58の透過率を、現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることで、駆動時間内透過率TR
InTime2に収まる。駆動時間内透過率TR
InTime2の算出は、透過率演算式116を用いて行われる。透過率演算式116は、絞り駆動時間T
FV、変化時間T1、現在透過率TR
current、及び目標透過率TR
targetを独立変数とし、駆動時間内透過率TR
InTime2を従属変数とする演算式である。なお、本第1実施形態において、駆動時間内透過率TR
InTime2は、本開示に係る「第3透過率」及び「第4透過率」の一例である。
【0143】
プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FVとフレームレートFRとに基づいて、要フレーム数B3を算出する。要フレーム数B3の算出は、
図12に示す例と同様の要領で算出される。
【0144】
プロセッサ64は、要フレーム数B3、現在絞り値FV
current、及び目標絞り値FV
targetに基づいて複数の予測絞り値FV
pred1を算出する。複数の予測絞り値FV
pred1は、
図12に示す複数の予測絞り値FV
pred0と同義の絞り値であり、
図12に示す例と同様の要領で算出される。
【0145】
一例として
図17に示すように、プロセッサ64は、駆動時間内透過率TR
InTime2、現在透過率TR
current、及び目標透過率TR
targetに基づいて、電子NDフィルタ58の透過率TRが絞り駆動時間T
FV内で現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ現実的に変化する時間である変化時間T3を算出する。換言すると、変化時間T3は、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させるのに要する時間とも言える。変化時間T3の算出は、変化時間演算式118を用いて行われる。変化時間演算式118は、駆動時間内透過率TR
InTime2、現在透過率TR
current、及び目標透過率TR
targetを独立変数とし、変化時間T3を従属変数とする演算式である。なお、本第1実施形態において、変化時間T3は、本開示に係る「現実変化時間」の一例である。
【0146】
プロセッサ64は、変化時間T3及びフレームレートFRに基づいて、変化時間T3に対応するフレーム数、すなわち、変化時間T3が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B4を算出する。例えば、要フレーム数B4は、“(変化時間T3)×(フレームレートFR)”によって算出される。なお、本第1実施形態において、要フレーム数B4は、本開示に係る「第1フレーム数」の一例である。
【0147】
プロセッサ64は、要フレーム数B4、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測透過率TRpred1を算出する。複数の予測透過率TRpred1は、変化時間T3内で現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する過程を定めた透過率である。ここで、現実的な変化とは、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を絞り駆動時間TFV内に間に合わせることが可能な透過率TRの変化を指す。電子NDフィルタ58の透過率TRを現実的に変化させる場合、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を絞り駆動時間TFV内に間に合わせることが優先されるので、電子NDフィルタ58の透過率TRは、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetにかけて一定の変化量で単調に変化しない。
【0148】
また、複数の予測透過率TRpred1のそれぞれは、変化時間T3が経過する間に得られる複数のフレーム80のそれぞれに対して適用される露出であって、要フレーム数B4、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred1から予測される透過率TRである。
【0149】
複数の予測透過率TRpred1の算出は、予測透過率演算式119を用いて行われる。予測透過率演算式119は、要フレーム数B4、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred1を独立変数とし、複数の予測透過率TRpred1を従属変数とする演算式である。ここで、複数の予測絞り値FVpred1は、要フレーム数B3に基づいて算出された複数の絞り値FVであるので、複数の予測透過率TRpred1は、要フレーム数B3と要フレーム数B4とに基づいて定められた複数の透過率TRとも言える。
【0150】
また、要フレーム数B4は、変化時間T3に基づいて算出される。変化時間T3は、現在透過率は、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TRcurrentから駆動時間内透過率TRInTime2を経て目標透過率TRtargetへ変化させるのに要する時間である。従って、複数の予測透過率TRpred1は、現在透過率TRcurrentと駆動時間内透過率TRInTime2とに基づいて定められた複数の透過率とも言える。
【0151】
なお、本第1実施形態において、複数の予測透過率TRpred1は、本開示に係る「複数の第1現実透過率」の一例である。
【0152】
一例として
図18に示すように、プロセッサ64は、要フレーム数B3及び要フレーム数B4のうちの多い方を最多フレーム数B
max1とし、最多フレーム数B
max1と目標露出EX
targetとに基づいて複数の分割露出EX
div3を導出する。ここでは、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つために、複数の分割露出EX
div3は互いに同値である。すなわち、プロセッサ64は、目標露出EX
targetと同値の露出を最多フレーム数B
max1のフレーム80のそれぞれに対して分割露出EX
div3として割り当てる。
【0153】
なお、ここでは、最多フレーム数Bmax1を例示したが、最多フレーム数Bmax1に代えて、要フレーム数B3及び要フレーム数B4の平均値を用いてもよい。
【0154】
プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1を算出する。
【0155】
分割露出EXdiv3は、複数の露出因子によって定義されている。分割露出EXdiv3を定義する複数の露出因子とは、予測透過率TRpred1、予測絞り値FVpred1、予測感度SEpred1、及び予測シャッタ速度SPpred1を指す。
【0156】
複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて算出される複数の予測感度SEpred1のそれぞれは、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられる感度SEを予測した値である。複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて算出される複数の予測シャッタ速度SPpred1は、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられるシャッタ速度SPを予測した値である。
【0157】
複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1の算出は、露出因子演算式120を用いて行われる。露出因子演算式120は、複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、及び複数の予測絞り値FVpred1を独立変数とし、複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1を従属変数とする演算式である。
【0158】
このように、複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1は、複数の分割露出EXdiv3に基づいて算出される。複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1の算出に用いられる複数の分割露出EXdiv3は、目標露出EXtargetに基づいて算出される。従って、複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1は、目標露出EXtargetに合わせて撮像装置10に設定される露出因子とも言える。
【0159】
変化時間T3内にライブビュー画像用撮像が行われる場合、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出は、複数の分割露出EXdiv3を定義している複数の予測透過率TRpred1、複数の予測絞り値FVpred1、複数の予測感度SEpred1、複数の予測シャッタ速度SPpred1によって定められる。
【0160】
例えば、
図19に示すように、プロセッサ64は、変化時間T3内に、複数の予測透過率TR
pred1、複数の予測絞り値FV
pred1、複数の予測感度SE
pred1、複数の予測シャッタ速度SP
pred1を用いた露出で、撮像装置10に対してライブビュー画像用撮像を行わせる。これにより、変化時間T3内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EX
div3が適用される。この結果、変化時間T3が経過する間にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出は一定に保たれる。
【0161】
一例として
図20に示すように、上述した第1制御112が行われないとすると、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1が共に閾値TH2を超えた場合、要フレーム数B3が、閾値TH2が経過する迄の間に要するフレーム数である目標フレーム数A1を超えてしまう。また、現在透過率TR
currentと目標透過率TR
targetとの関係次第で、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化に絞り駆動時間T
FVを超える程の時間を要してしまう。これは、変化時間T1が絞り駆動時間T
FV内に収まっていないことを意味する。そこで、本第1実施形態では、上述した第1制御112がプロセッサ64によって行われることで、一例として
図20に示すように、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TR
currentから、駆動時間内透過率TR
InTime2を含む複数の予測透過率TR
pred1(すなわち、電子NDフィルタ58の透過率TRの現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化を絞り駆動時間T
FV内に間に合わせるように定められた複数の透過率TR)を経て目標透過率TR
targetに変化させるようにしている。これにより、電子NDフィルタ58の透過率の現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化を絞り駆動時間T
FV内に間に合わせることが可能となる。
【0162】
しかも、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetに変化させるまでの間、目標露出EX
targetが維持されるように、複数の予測透過率TR
pred1を含む複数の露出因子が定められ(
図16~
図19参照)、変化時間T3内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の露出因子が適用される。これにより、変化時間T3内にライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことが可能となる。
【0163】
図21~
図50には、第2制御114の内容の一例が示されている。第2制御114には、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ理想的に変化する時間と絞り駆動時間T
FVとに基づいて定められた複数の分割露出EX
div4を、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に適用する制御が含まれる。
【0164】
第2制御114を実現するために、一例として
図21に示すように、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FVとフレームレートFRとに基づいて、要フレーム数B3を算出する。要フレーム数B3は、
図12に示す例と同様の要領で算出される。また、プロセッサ64は、要フレーム数B3、現在絞り値FV
current、及び目標絞り値FV
targetに基づいて、複数の予測絞り値FV
pred2を算出する。複数の予測絞り値FV
pred2は、
図16に示す例で複数の予測絞り値FV
pred2が算出されたのと同様の要領で算出される。
【0165】
一例として
図22に示すように、プロセッサ64は、変化時間T1及びフレームレートFRに基づいて、要フレーム数B1を算出する。要フレーム数B1は、変化時間T1に対応するフレーム数、すなわち、変化時間T1が経過する間にライブビュー画像用撮像によって得られるフレーム数である。要フレーム数B1は、
図7に示す例と同様の要領で算出される。なお、本実施形態において、変化時間T1は、本開示に係る「理想変化時間」の一例であり、要フレーム数B1は、本開示に係る「第1フレーム数」及び「第3フレーム数」の一例である。
【0166】
プロセッサ64は、要フレーム数B1、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred2に基づいて、複数の予測透過率TRpred2を算出する。複数の予測透過率TRpred2は、変化時間T1内で現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ理想的に変化する過程を定めた透過率である。
【0167】
複数の予測透過率TRpred2の算出は、予測透過率演算式122を用いて行われる。予測透過率演算式122は、要フレーム数B1、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred2を独立変数とし、複数の予測透過率TRpred2を従属変数とする演算式である。ここで、複数の予測絞り値FVpred2は、要フレーム数B3に基づいて算出された複数の絞り値FVであるので、複数の予測透過率TRpred2は、要フレーム数B1と要フレーム数B3とに基づいて定められた複数の透過率TRとも言える。なお、本第1実施形態において、複数の予測透過率TRpred2は、本開示に係る「複数の理想透過率」の一例である。
【0168】
一例として
図23に示すように、プロセッサ64は、要フレーム数B1及び要フレーム数B3のうちの多い方を最多フレーム数B
max2とし、最多フレーム数B
max2と目標露出EX
targetとに基づいて複数の分割露出EX
div4を導出する。ここでは、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つために、複数の分割露出EX
div4は互いに同値である。すなわち、プロセッサ64は、目標露出EX
targetと同値の露出を最多フレーム数B
max2のフレーム80のそれぞれに対して分割露出EX
div4として割り当てる。
【0169】
なお、ここでは、最多フレーム数Bmax2を例示したが、最多フレーム数Bmax2に代えて、要フレーム数B1及び要フレーム数B3の平均値を用いてもよい。
【0170】
プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv4、複数の予測透過率TRpred2、及び複数の予測絞り値FVpred2に基づいて、複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2を算出する。
【0171】
分割露出EXdiv4は、複数の露出因子によって定義されている。分割露出EXdiv3を定義する複数の露出因子とは、予測透過率TRpred2、予測絞り値FVpred2、予測感度SEpred2、及び予測シャッタ速度SPpred2を指す。
【0172】
複数の分割露出EXdiv4、複数の予測透過率TRpred2、及び複数の予測絞り値FVpred2に基づいて算出される複数の予測感度SEpred2のそれぞれは、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられる感度SEを予測した値である。複数の分割露出EXdiv4、複数の予測透過率TRpred2、及び複数の予測絞り値FVpred2に基づいて算出される複数の予測シャッタ速度SPpred2は、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられるシャッタ速度SPを予測した値である。
【0173】
複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2の算出は、露出因子演算式124を用いて行われる。露出因子演算式124は、複数の分割露出EXdiv4、複数の予測透過率TRpred2、及び複数の予測絞り値FVpred2を独立変数とし、複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2を従属変数とする演算式である。
【0174】
このように、複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2は、複数の分割露出EXdiv4に基づいて算出される。複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2の算出に用いられる複数の分割露出EXdiv4は、目標露出EXtargetに基づいて算出される。従って、複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2は、目標露出EXtargetに合わせて撮像装置10に設定される露出因子とも言える。
【0175】
変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われる場合、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出は、複数の分割露出EXdiv4を定義している複数の予測透過率TRpred2、複数の予測絞り値FVpred2、複数の予測感度SEpred2、複数の予測シャッタ速度SPpred2によって定められる。
【0176】
例えば、
図24に示すように、プロセッサ64は、変化時間T1内に、複数の予測透過率TR
pred2、複数の予測絞り値FV
pred2、複数の予測感度SE
pred2、複数の予測シャッタ速度SP
pred2を用いた露出で、撮像装置10に対してライブビュー画像用撮像を行わせる。これにより、変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EX
div4が適用される。この結果、変化時間T1が経過する間にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出は一定に保たれる。
【0177】
本第1実施形態では、上述した第2制御114がプロセッサ64によって行われることで、一例として
図25に示すように、変化時間T1内で、絞り40Cの絞り値を現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetへ変化させ、かつ、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TR
currentから、複数の予測透過率TR
pred2(すなわち、単調に変化する透過率TR)に沿って目標透過率TR
targetへ変化させるようにしている。しかも、目標露出EX
targetが維持されるように、複数の予測透過率TR
pred2を含む複数の露出因子が定められ(
図21~
図24参照)、変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の露出因子が適用される。これにより、変化時間T1内にライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことが可能となる。
【0178】
次に、撮像装置10の作用について
図26A~
図26Gを参照しながら説明する。
図26A~
図26Gには、電子NDフィルタ58の透過率TRとして現在透過率TR
currentが設定され、ライブビュー画像用撮像が行われる場合において露出演算の開始タイミングが到来したこと(換言すると、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られるフレーム80の露出を調整するタイミングとして事前に指定されたタイミングが到来したこと)を条件にプロセッサ64によって実行される露出制御処理の流れの一例が示されている。
図26A~
図26Gに示す露出制御処理の流れは、本開示に係る「制御方法」の一例である。
【0179】
図26Aに示す露出制御処理では、先ず、ステップST10で、プロセッサ64は、ライブビュー画像用撮像が行われることによって生成されたフレーム80を取得する。ステップST10の処理が実行された後、露出制御処理はステップST12へ移行する。
【0180】
ステップST12で、プロセッサ64は、ステップST10で取得したフレーム80に基づいて測光値90を算出する。ステップST12の処理が実行された後、露出制御処理はステップST14へ移行する。
【0181】
ステップST14で、プロセッサ64は、測光値90に基づいて、測光値90の算出に用いられたフレーム80の明るさを目標の明るさにするための露出として、目標露出EXtargetを算出する。ステップST14の処理が実行された後、露出制御処理はステップST16へ移行する。
【0182】
ステップST15で、プロセッサ64は、絞り値変更指示が撮像装置10に対して与えられたか否かを判定する。ステップST15において、絞り値変更指示が撮像装置10に対して与えられていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図26Bに示すステップST16へ移行する。ステップST15において、絞り値変更指示が撮像装置10に対して与えられた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST48へ移行する。
【0183】
図26Bに示すステップST16で、プロセッサ64は、目標露出EX
targetに対応する目標透過率TR
targetを算出する。ステップST16の処理が実行された後、露出制御処理はステップST18へ移行する。
【0184】
ステップST18で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58に現時点で設定されている現在透過率TRcurrentを取得する。ステップST18の処理が実行された後、露出制御処理はステップST20へ移行する。
【0185】
ステップST20で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRを現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの理想的な変化に要する時間、すなわち、変化時間T1を算出する。ステップST20の処理が実行された後、露出制御処理はステップST22へ移行する。
【0186】
ステップST22で、プロセッサ64は、変化時間T1が閾値TH1を超えたか否かを判定する。ステップST22において、変化時間T1が閾値TH1を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST24へ移行する。ステップST22において、変化時間T1が閾値TH1を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、
図26Cに示すステップST28へ移行する。
【0187】
ステップST24で、プロセッサ64は、変化時間T1及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B1を算出する。ステップST24の処理が実行された後、露出制御処理はステップST26へ移行する。
【0188】
ステップST26で、プロセッサ64は、要フレーム数B1、目標露出EX
target、及び現在透過率TR
currentに基づいて複数の分割露出EX
div1を算出する。ステップST26の処理が実行された後、露出制御処理は、
図26Cに示すステップST42へ移行する。
【0189】
図26Cに示すステップST28で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRとして、閾値TH1以下の範囲に変化時間T1が収まる透過率TRである変化時間内透過率TR
InTime1を、変化時間T1、閾値TH1、現在透過率TR
current、及び目標透過率TR
targetに基づいて算出する。ステップST28の処理が実行された後、露出制御処理はステップST30へ移行する。
【0190】
ステップST30で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRを、現在透過率TRcurrentから変化時間内透過率TRInTime1を経て目標透過率TRtargetへ変化させるのに要する時間、すなわち、変化時間T2を、現在透過率TRcurrent、変化時間内透過率TRInTime1、及び目標透過率TRtargetに基づいて算出する。ステップST30の処理が実行された後、露出制御処理はステップST32へ移行する。
【0191】
ステップST32で、プロセッサ64は、変化時間T2及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B2を算出する。ステップST32の処理が実行された後、露出制御処理はステップST34へ移行する。
【0192】
ステップST34で、プロセッサ64は、要フレーム数B2、目標露出EXtarget、及び現在透過率TRcurrentに基づいて複数の分割露出EXdiv1を算出する。ステップST34の処理が実行された後、露出制御処理はステップST36へ移行する。
【0193】
ステップST36で、プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv1、現在透過率TRcurrent、目標透過率TRtarget、及び変化時間内透過率TRInTime1に基づいて複数の現実透過率TRreal1及び複数の理想透過率TRideal1を算出する。ステップST36の処理が実行された後、露出制御処理はステップST38へ移行する。
【0194】
ステップST38で、プロセッサ64は、要フレーム数B2内のフレーム80単位で、複数の現実透過率TRreal1と複数の理想透過率TRideal1との間の露出の差δ1を算出する。すなわち、ステップST38では、要フレーム数B2に含まれるフレーム80毎に、現実透過率TRreal1と理想透過率TRideal1との間の露出の差δ1が算出される。ステップST38の処理が実行された後、露出制御処理はステップST40へ移行する。
【0195】
ステップST40で、プロセッサ64は、要フレーム数B2に含まれるフレーム80毎に、分割露出EXdiv1を定義する露出因子の1つである感度SEを差δ1に応じた調整値で調整する。ステップST40の処理が実行された後、露出制御処理はステップST42へ移行する。
【0196】
ここで、Nを初期値が“1”の自然数とすると、ステップST42で、プロセッサ64は、Nフレーム目用の分割露出EXdiv1で撮像装置10に対して撮像を行わせる。例えば、露出制御処理がステップST26からステップST42へ移行した場合、ステップST42で、プロセッサ64は、ステップST26の処理が実行されることにより算出された複数の分割露出EXdiv1のうちのNフレーム目用の分割露出EXdiv1で撮像装置10に対して撮像を行わせる。一方、露出制御処理がステップST40からステップST42へ移行した場合、ステップST42で、プロセッサ64は、Nフレーム目用に算出された差δ1に応じて調整された感度SE、Nフレーム目用に定められたシャッタ速度SP、及びNフレーム目用に定められた絞り値FVを撮像装置10に対して設定し、かつ、現在透過率TRcurrent、複数の現実透過率TRreal1、及び目標透過率TRtargetのうちのNフレーム目用の透過率TRを電子NDフィルタ58に設定した上で、撮像装置10に対してNフレーム目用の撮像を行わせる。ステップST42の処理が実行された後、露出制御処理はステップST44へ移行する。
【0197】
ステップST44で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達したか否かを判定する。ステップST44において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST46へ移行する。ステップST46で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST46の処理が実行された後、露出制御処理はステップST42へ移行する。ステップST44において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0198】
図26Aに示すステップST48で、プロセッサ64は、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能か否かを判定する。ステップST48において、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能でない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図26Dに示すステップST50へ移行する。ステップST48において、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能である場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、
図26Eに示すステップST72へ移行する。
【0199】
図26Dに示すステップST50で、プロセッサ64は、現在絞り値FV
current、目標絞り値FV
target、現在透過率TR
current、及び目標露出EX
targetに基づいて、目標感度SE
target、及び目標シャッタ速度SP
targetを算出する。ステップST50の処理が実行された後、露出制御処理はステップST52へ移行する。
【0200】
ステップST52で、プロセッサ64は、現在絞り値FVcurrent及び目標絞り値FVtargetに基づいて絞り駆動時間TFVを算出する。ステップST52の処理が実行された後、露出制御処理はステップST54へ移行する。
【0201】
ステップST54で、プロセッサ64は、絞り駆動時間TFV及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B3を算出する。ステップST54の処理が実行された後、露出制御処理はステップST56へ移行する。
【0202】
ステップST56で、プロセッサ64は、要フレーム数B3、現在絞り値FVcurrent、及び目標絞り値FVtargetに基づいて複数の予測絞り値FVpred0を算出する。ステップST56の処理が実行された後、露出制御処理はステップST58へ移行する。
【0203】
ステップST58で、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred0に基づいて複数の分割露出EXdiv2を算出する。ステップST58の処理が実行された後、露出制御処理はステップST60へ移行する。
【0204】
ステップST60で、プロセッサ64は、目標露出EXtarget及び複数の分割露出EXdiv2に基づいて複数の露出差分EXdiffを算出する。ステップST60の処理が実行された後、露出制御処理はステップST62へ移行する。
【0205】
ステップST62で、プロセッサ64は、複数の露出差分EXdiffに基づいて、複数の露出差分EXdiffを補完するための複数の感度調整値Δa及び複数のシャッタ速度調整値Δbを算出する。ステップST62の処理が実行された後、露出制御処理はステップST64へ移行する。
【0206】
ステップST64で、プロセッサ64は、複数の感度調整値Δaを用いて現在感度SEcurrentを調整する。また、プロセッサ64は、複数のシャッタ速度調整値Δbを用いて現在シャッタ速度SPcurrentを調整する。ステップST64の処理が実行された後、露出制御処理はステップST66へ移行する。
【0207】
ステップST66で、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrent、Nフレーム目用の調整済みの感度SE、Nフレーム目用の調整済みのシャッタ速度SP、及びNフレーム目用の予測絞り値FVpred0を用いた露出で撮像装置10に対してNフレーム目用の撮像を行わせる。ステップST66の処理が実行された後、露出制御処理はステップST68へ移行する。
【0208】
ステップST68で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達したか否かを判定する。ステップST68において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST70へ移行する。ステップST70で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST70の処理が実行された後、露出制御処理はステップST66へ移行する。ステップST68において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0209】
図26Eに示すステップST72で、プロセッサ64は、目標露出EX
target、目標絞り値FV
target、及び複数の現在露出因子に基づいて、目標露出EX
targetに対応する目標透過率TR
targetを算出する。ステップST72の処理が実行された後、露出制御処理はステップST74へ移行する。
【0210】
ステップST74で、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrentを取得する。ステップST74の処理が実行された後、露出制御処理はステップST76へ移行する。
【0211】
ステップST76で、プロセッサ64は、目標露出EXtarget及び現在透過率TRcurrentに基づいて、目標露出EXtargetから現在透過率TRcurrentへの理想的な変化に要する時間、すなわち、変化時間T1を算出する。ステップST76の処理が実行された後、露出制御処理はステップST78へ移行する。
【0212】
ステップST78で、プロセッサ64は、現在絞り値FVcurrent及び目標絞り値FVtargetに基づいて絞り駆動時間TFVを算出する。ステップST78の処理が実行された後、露出制御処理はステップST80へ移行する。
【0213】
ステップST80で、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FV及び変化時間T1が共に閾値TH2を超えたか否かを判定する。ステップST80において、絞り駆動時間T
FV及び変化時間T1が共に閾値TH2を超えていない場合(すなわち、絞り駆動時間T
FV及び/又は変化時間T1が閾値TH2以下の場合)は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図26Gに示すステップST106へ移行する。ステップST80において、絞り駆動時間T
FV及び変化時間T1が共に閾値TH2を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、
図26Fに示すステップST82へ移行する。
【0214】
図26Fに示すステップST82で、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FV、変化時間T1、目標透過率TR
target、及び現在透過率TR
currentに基づいて、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化に要する時間を絞り駆動時間T
FV内にする透過率、すなわち、駆動時間内透過率TR
InTime2を算出する。ステップST82の処理が実行された後、露出制御処理はステップST84へ移行する。
【0215】
ステップST84で、プロセッサ64は、絞り駆動時間TFV及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B3を算出する。ステップST84の処理が実行された後、露出制御処理はステップST86へ移行する。
【0216】
ステップST86で、プロセッサ64は、要フレーム数B3、現在絞り値FVcurrent、及び目標絞り値FVtargetに基づいて複数の予測絞り値FVpred1を算出する。ステップST86の処理が実行された後、露出制御処理はステップST88へ移行する。
【0217】
ステップST88で、プロセッサ64は、駆動時間内透過率TRInTime2、現在透過率TRcurrent、及び目標透過率TRtargetに基づいて、電子NDフィルタ58の透過率TRが絞り駆動時間TFV内で現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する時間である変化時間T3を算出する。ステップST88の処理が実行された後、露出制御処理はステップST90へ移行する。
【0218】
ステップST90で、プロセッサ64は、変化時間T3及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B4を算出する。ステップST90の処理が実行された後、露出制御処理はステップST92へ移行する。
【0219】
ステップST92で、プロセッサ64は、要フレーム数B4、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測透過率TRpred1(すなわち、要フレーム数B4内で得られるフレーム80毎の予測透過率TRpred1)を算出する。ステップST92の処理が実行された後、露出制御処理はステップST94へ移行する。
【0220】
ステップST94で、プロセッサ64は、要フレーム数B3及び要フレーム数B4のうちの多い方を最多フレーム数Bmax1として選択する。ステップST94の処理が実行された後、露出制御処理はステップST96へ移行する。
【0221】
ステップST96で、プロセッサ64は、最多フレーム数Bmax1及び目標露出EXtargetに基づいて複数の分割露出EXdiv3を導出する。ステップST96の処理が実行された後、露出制御処理はステップST98へ移行する。
【0222】
ステップST98で、プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測感度SEpred1及び予測シャッタ速度SPpred1を算出する。ステップST98の処理が実行された後、露出制御処理はステップST100へ移行する。
【0223】
ステップST100で、プロセッサ64は、Nフレーム目用の予測透過率TRpred1、Nフレーム目用の予測絞り値FVpred1、Nフレーム目用の予測感度SEpred1、Nフレーム目用の予測シャッタ速度SPpred1を用いた露出で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。ステップST100の処理が実行された後、露出制御処理はステップST102へ移行する。
【0224】
ステップST102で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達したか否かを判定する。ステップST102において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST104へ移行する。ステップST104で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST104の処理が実行された後、露出制御処理はステップST100へ移行する。ステップST102において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0225】
図26Gに示すステップST106で、プロセッサ64は、絞り駆動時間T
FV及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B3を算出する。ステップST106の処理が実行された後、露出制御処理はステップST108へ移行する。
【0226】
ステップST108で、プロセッサ64は、要フレーム数B3、現在絞り値FVcurrent、及び目標絞り値FVtargetに基づいて複数の予測絞り値FVpred2を算出する。ステップST86の処理が実行された後、露出制御処理はステップST110へ移行する。
【0227】
ステップST110で、プロセッサ64は、変化時間T1及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数B1を算出する。ステップST110の処理が実行された後、露出制御処理はステップST112へ移行する。
【0228】
ステップST112で、プロセッサ64は、要フレーム数B1、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測透過率TRpred2(すなわち、要フレーム数B1内で得られるフレーム80毎の予測透過率TRpred1)を算出する。ステップST112の処理が実行された後、露出制御処理はステップST114へ移行する。
【0229】
ステップST114で、プロセッサ64は、要フレーム数B1及び要フレーム数B3のうちの多い方を最多フレーム数Bmax2として選択する。ステップST114の処理が実行された後、露出制御処理はステップST116へ移行する。
【0230】
ステップST116で、プロセッサ64は、最多フレーム数Bmax2及び目標露出EXtargetに基づいて複数の分割露出EXdiv4を導出する。ステップST116の処理が実行された後、露出制御処理はステップST118へ移行する。
【0231】
ステップST118で、プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv4、複数の予測透過率TRpred2、及び複数の予測絞り値FVpred2に基づいて、複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred1を算出する。ステップST118の処理が実行された後、露出制御処理はステップST120へ移行する。
【0232】
ステップST120で、プロセッサ64は、Nフレーム目用の予測透過率TRpred2、Nフレーム目用の予測絞り値FVpred2、Nフレーム目用の予測感度SEpred2、Nフレーム目用の予測シャッタ速度SPpred2を用いた露出で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。ステップST120の処理が実行された後、露出制御処理はステップST122へ移行する。
【0233】
ステップST122で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達したか否かを判定する。ステップST122において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST124へ移行する。ステップST124で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST124の処理が実行された後、露出制御処理はステップST120へ移行する。ステップST122において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0234】
以上説明したように、本第1実施形態に係る撮像装置10では、ライブビュー画像用撮像がフレームレートFRに基づいて行われることにより複数のフレーム80が得られる。そして、電子NDフィルタ58の透過率TRと絞り駆動時間TFVとに基づいて、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80が制御される。従って、絞り40Cを駆動させている間であっても、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる
【0235】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間と絞り駆動時間TFVとの関係に応じて定められた複数の分割露出EXdiv3又は複数の分割露出EXdiv4のそれぞれ(すなわち、各フレーム80の明るさを一定にするためにフレーム80毎に定められた露出)が、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出のそれぞれに適用される。従って、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間が絞り駆動時間TFV内に収まっていても収まっていなくても、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0236】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間と絞り駆動時間TFVとが閾値TH2を超えた場合に第1制御112が行われる。第1制御112が行われることにより、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間が絞り駆動時間TFV内にされ、かつ、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ現実的に変化する時間(すなわち、変化時間T3)と絞り駆動時間TFVとに基づいて定められた複数の分割露出EXdiv3のそれぞれが、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出のそれぞれに適用される。従って、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間と絞り駆動時間TFVとが閾値TH2を超えていたとしても、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0237】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間(すなわち、変化時間T1)及び/又は絞り駆動時間TFVが閾値TH2以下の場合に第2制御114が行われる。第2制御114が行われることにより、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ理想的に変化するのに要する時間(すなわち、変化時間T1)と絞り駆動時間TFVとに基づいて定められた複数の分割露出EXdiv4のそれぞれが、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の露出のそれぞれに適用される。従って、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間及び/又は絞り駆動時間TFVが閾値TH2以下であっても、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0238】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、複数の分割露出EXdiv3が、要フレーム数B3及び要フレーム数B4のうちの多い方(すなわち、最多フレーム数Bmax1)に基づいて定められる。これにより、要フレーム数B3及び要フレーム数B4のうちの少ない方に基づいて複数の分割露出EXdiv3が定められる場合に比べ、複数の分割露出EXdiv3がより多くの複数のフレーム80の露出に対して適用されるので、より多くの複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。なお、要フレーム数B3及び要フレーム数B4の平均のフレーム数に基づいて複数の分割露出EXdiv3が定められるようにしてもよく、この場合も、要フレーム数B3及び要フレーム数B4のうちの少ない方に基づいて複数の分割露出EXdiv3が定められる場合に比べ、複数の分割露出EXdiv3がより多くの複数のフレーム80の露出に対して適用されるので、より多くの複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0239】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、複数の分割露出EXdiv3が、複数の予測透過率TRpred1、複数の予測絞り値FVpred1、複数の予測感度SEpred1、及び予測シャッタ速度SPpred1に基づいて定められている。すなわち、複数の予測透過率TRpred1、複数の予測絞り値FVpred1、複数の予測感度SEpred1、及び予測シャッタ速度SPpred1が設定された上でライブビュー画像用撮像が行われることにより、複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdiv3が適用される。従って、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0240】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへ変化するのに要する時間(すなわち、変化時間T1)と絞り駆動時間TFVとが閾値TH2を超えた場合の第1制御112において、現在透過率TRcurrentと目標透過率TRtargetとの間に、駆動時間内透過率TRInTime2が定められ、複数の予測透過率TRpred1は、現在透過率TRcurrentと駆動時間内透過率TRInTime2とに基づいて定められる。また、複数の予測透過率TRpred1には、駆動時間内透過率TRInTime2が含まれている。複数の予測透過率TRpred1は、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化過程を定めている。このように、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化過程には、駆動時間内透過率TRInTime2を含む複数の予測透過率TRpred1が介在しているので、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの単調な変化に比べ、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化を早く達成することができる。また、複数の予測透過率TRpred1は、複数の分割露出EXdiv3を定義する露出因子の1つであるので、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して、現在透過率TRcurrentから目標透過率TRtargetへの変化時間を絞り駆動時間TFV内にするための複数の分割露出EXdiv3を適用することができる。
【0241】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、複数の分割露出EXdiv4が、要フレーム数B1及び要フレーム数B3のうちの多い方(すなわち、最多フレーム数Bmax2)に基づいて定められる。これにより、要フレーム数B1及び要フレーム数B3のうちの少ない方に基づいて複数の分割露出EXdiv4が定められる場合に比べ、複数の分割露出EXdiv4がより多くの複数のフレーム80の露出に対して適用されるので、より多くの複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。なお、要フレーム数B1及び要フレーム数B3の平均のフレーム数に基づいて複数の分割露出EXdiv4が定められるようにしてもよく、この場合も、要フレーム数B1及び要フレーム数B3のうちの少ない方に基づいて複数の分割露出EXdiv4が定められる場合に比べ、複数の分割露出EXdiv4がより多くの複数のフレーム80の露出に対して適用されるので、より多くの複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0242】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、複数の分割露出EXdiv4が、複数の予測透過率TRpred2、複数の予測絞り値FVpred2、複数の予測感度SEpred2、及び予測シャッタ速度SPpred2に基づいて定められている。すなわち、複数の予測透過率TRpred2、複数の予測絞り値FVpred2、複数の予測感度SEpred2、及び予測シャッタ速度SPpred2が設定された上でライブビュー画像用撮像が行われることにより、複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdiv4が適用される。従って、ライブビュー画像用撮像が行われることで得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つことができる。
【0243】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能でない場合、絞り駆動時間TFV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出は、現在透過率TRcurrentと絞り駆動時間TFVとに基づいて得られた複数の感度調整値Δaで調整済みの複数の感度SE、目標感度SEtarget、複数のシャッタ速度調整値Δbで調整済みの複数のシャッタ速度SP、目標シャッタ速度SPtarget、及び複数の予測絞り値FVpred0、並びに、現在透過率TRcurrentによって定められる。例えば、絞り駆動時間TFV内に、現在透過率TRcurrent、複数の感度調整値Δaで調整済みの複数の感度SE、目標感度SEtarget、複数のシャッタ速度調整値Δbで調整済みの複数のシャッタ速度SP、目標シャッタ速度SPtarget、及び複数の予測絞り値FVpred0を用いた露出で撮像装置10に対するライブビュー画像用撮像が行われる。これにより、絞り駆動時間TFV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。
【0244】
なお、上記第1実施形態では、複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測感度SEpred1及び複数の予測シャッタ速度SPpred1が算出される形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、複数の予測感度SEpred1又は複数の予測シャッタ速度SPpred1が算出されるようにしてもよい。例えば、複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、複数の予測絞り値FVpred1、及び現在感度SEcurrentに基づいて複数の予測シャッタ速度SPpred1が算出されるようにしてもよいし、複数の分割露出EXdiv3、複数の予測透過率TRpred1、複数の予測絞り値FVpred1、及び現在シャッタ速度SPcurrentに基づいて複数の予測感度SEpred1が算出されるようにしてもよい。これと同じことは、複数の予測感度SEpred2及び複数の予測シャッタ速度SPpred2についても言える。
【0245】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、
図26Aに示すステップST48において判定が肯定された場合(すなわち、絞り値FVの変化分を電子NDフィルタ58で追従可能な場合)、絞り値FVの変化分に関わらず、
図26Eに示すステップST72以降の処理が実行されるが、本第2実施形態では、絞り値FVの変化分の条件次第で、プロセッサ64によって、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理と、
図26Eに示すステップST72以降の処理とが選択的に実行される形態例について説明する。
【0246】
なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第2実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0247】
本第2実施形態では、
図27に示すフローチャートを参照しながら本第2実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、
図27に示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した
図26A~
図26Gに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、
図27に示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した
図26A~
図26Gに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0248】
図27に示すフローチャートは、
図26A~
図26Gに示すフローチャートと比べ、ステップST48とステップST72(
図26E参照)との間にステップST200を有する点が異なる。
【0249】
図27に示す露出制御処理に含まれるステップST200で、プロセッサ64は、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えているか否かを判定する。閾値TH3は、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが不可能な時間に基づいて定められた値が挙げられる。電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが不可能な時間に基づいて定められた値の一例としては、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが不可能な時間の上限値が挙げられる。閾値TH3の一例としては、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが不可能な時間の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが不可能な時間の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH3は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH3は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0250】
ステップST200において、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えた場合は、判定が肯定されて、
図26Eに示すステップST72以降の処理がプロセッサ64によって実行される。ステップST200において、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えていない場合(すなわち、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3以下の場合)は、判定が否定されて、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理がプロセッサ200によって実行される。なお、本第2実施形態において、閾値TH3は、本開示に係る「第1既定変化量」の一例である。
【0251】
ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えた場合、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが可能であると判定される。この場合は、
図26Eに示すステップST72以降の処理がプロセッサ64によって実行される。
【0252】
これに対し、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えていない場合(すなわち、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3以下の場合)、電子NDフィルタ58の透過率を現在透過率TR
currentから駆動時間内透過率TR
InTime2を経て目標透過率TR
targetへ変化させることが不可能である(すなわち、駆動時間内透過率TR
InTime2を設定するにはフレーム数が足りない)と判定される。この場合は、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理が行われる。なぜならば、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理には、駆動時間内透過率TR
InTime2を設定したり用いたりする処理が含まれていないからである。
【0253】
このようにすることで、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えた場合であっても、ステップST48の判定で用いた絞り値FVの変化分が閾値TH3を超えていない場合であっても、絞り駆動時間TFV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出を一定に保つことができる。
【0254】
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が制御されている間(すなわち、露出制御処理が行われている間)、絞り値FVの変化量(すなわち、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetまでの変化量)が変更されないことを前提とした形態例を挙げたが、本第3実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が制御されている間、絞り値FVの変化量が変更される形態例について説明する。
【0255】
なお、本第3実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第3実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0256】
本第3実施形態では、
図28A~
図28Fに示すフローチャートを参照しながら本第3実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、
図28A~
図28Fに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した
図26A~
図26Gに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、
図28A~
図28Fに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した
図26A~
図26Gに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0257】
図28A~
図28Fに示すフローチャートは、
図26A~
図26Gに示すフローチャートと比べ、ステップST102及びステップST104に代えてステップST300~ステップST310(
図28A及び
図28B参照)を有する点、ステップST122及びステップST124に代えてステップST312~ステップST322(
図28C及び
図28D参照)を有する点、並びに、ステップST68及びステップST70に代えてステップST324~ステップST334(
図28E及び
図28F参照)を有する点が異なる。
【0258】
図28Aに示すステップST300で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達したか否かを判定する。ステップST200において、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図28Bに示すステップST302へ移行する。ステップST300において、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0259】
図28Bに示すステップST302で、プロセッサ64は、目標絞り値FV
targetを更新する指示がユーザから与えられることにより絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えたか否かを判定する。本第3実施形態において、絞り値FVの変化量とは、現在絞り値FV
currentから目標絞り値FV
targetまでの変化量を指す。また、本第3実施形態では、説明の便宜上、目標絞り値FV
targetとして、現時点で設定されている目標絞り値FV
targetとは異なる新たな値(すなわち、新たな目標絞り値FV
target)がユーザによって指示されることで絞り値FVの変化量が変わることを前提として説明する。
【0260】
閾値TH4は、絞り値FVの変化量が変わることに伴うフレーム80間の明るさの変化をユーザに対して視覚的に認識させない絞り値FVの変化量に基づく値である。絞り値FVの変化量が変わることに伴うフレーム80間の明るさの変化をユーザに対して視覚的に認識させない絞り値FVの変化量に基づく値の一例としては、絞り値FVの変化量が変わることに伴うフレーム80間の明るさの変化をユーザに対して視覚的に認識させない絞り値FVの変化量の上限値が挙げられる。閾値TH4の一例としては、絞り値FVの変化量が変わることに伴うフレーム80間の明るさの変化をユーザに対して視覚的に認識させない絞り値FVの変化量の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。絞り値FVの変化量が変わることに伴うフレーム80間の明るさの変化をユーザに対して視覚的に認識させない絞り値FVの変化量の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH4は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH4は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0261】
ステップST302において、ユーザから与えられた指示により絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えていない場合は、判定が否定されて、Nに“1”が加算される。そして、露出制御処理は、
図28Aに示すステップST100へ移行する。ステップST302において、ユーザから与えられた指示により絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST304へ移行する。
【0262】
ステップST304~ステップST308で、プロセッサ64は、
図26Aに示すステップST10~ステップST14の処理と同じ処理を実行する。ステップST308の処理が実行された後、露出制御処理はステップST310へ移行する。
【0263】
ステップST310で、プロセッサ64は、ユーザによって指示された新たな目標絞り値FVtarget(すなわち、更新された目標絞り値FVtarget)と、Nフレーム目用の予測絞り値FVpred1との差分を絞り値FVの変化分として取得する。ここでは、差分を例示しているが、割合であってもよく、ユーザによって指示された新たな目標絞り値FVtargetとNフレーム目用の予測絞り値FVpred1との相違度を示す指標であればよい。なお、ユーザによって指示された絞り値FVとNフレーム目用の予測絞り値FVpred1との差分は、本開示に係る「更新前の絞り値と更新後の絞り値との相違度」の一例である。ステップST310の処理が実行された後、露出制御処理はステップST48へ移行する。ステップST48以降では、上記第1実施形態で説明した絞り値FVの変化分が使用されるのと同様の要領で、ステップST310で取得された絞り値FVの変化分が使用される。例えば、ステップST48で、ステップST310で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能であるか否かが判定される。
【0264】
ステップST310で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能でない場合は、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理がプロセッサ64によって実行されるので、上記第1実施形態と同様に、絞り駆動時間T
FV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。また、ステップST310で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能である場合は、
図26Eに示すステップST72以降の処理がプロセッサ64によって実行されるので、上記第1実施形態と同様に、最多フレーム数B
max1内で得られるフレーム80のそれぞれの露出に対して分割露出EX
div1が適用されるか、或いは、最多フレーム数B
max2内で得られるフレーム80のそれぞれの露出に対して分割露出EX
div2が適用される。これにより、複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。
【0265】
図28Cに示すステップST312で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達したか否かを判定する。ステップST312において、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図28Dに示すステップST314へ移行する。ステップST312において、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0266】
図28Dに示すステップST314で、プロセッサ64は、目標絞り値FV
targetを更新する指示がユーザから与えられることにより絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えたか否かを判定する。ステップST314において、ユーザから与えられた指示により絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えていない場合は、判定が否定されて、Nに“1”が加算される。そして、露出制御処理は、
図28Cに示すステップST120へ移行する。
【0267】
ステップST314において、ユーザから与えられた指示により絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST316へ移行する。
【0268】
ステップST316~ステップST320で、プロセッサ64は、
図26Aに示すステップST10~ステップST14の処理と同じ処理を実行する。ステップST320の処理が実行された後、露出制御処理はステップST322へ移行する。
【0269】
ステップST322で、プロセッサ64は、ユーザによって指示された新たな目標絞り値FV
target(すなわち、更新された目標絞り値FV
target)と、Nフレーム目用の予測絞り値FV
pred2との差分を絞り値FVの変化分として取得する。ここでは、差分を例示しているが、割合であってもよく、ユーザによって指示された新たな目標絞り値FV
targetとNフレーム目用の予測絞り値FV
pred2との相違度を示す指標であればよい。なお、ユーザによって指示された絞り値FVとNフレーム目用の予測絞り値FV
pred2との差分は、本開示に係る「更新前の絞り値と更新後の絞り値との相違度」の一例である。ステップST322の処理が実行された後、露出制御処理はステップST48へ移行する(
図28B参照)。ステップST48以降では、上記第1実施形態で説明した絞り値FVの変化分が使用されるのと同様の要領で、ステップST322で取得された絞り値FVの変化分が使用される。例えば、ステップST48で、ステップST322で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能であるか否かが判定される。
【0270】
ステップST322で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能でない場合は、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理がプロセッサ64によって実行されるので、上記第1実施形態と同様に、絞り駆動時間T
FV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。また、ステップST322で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能である場合は、
図26Eに示すステップST72以降の処理がプロセッサ64によって実行されるので、上記第1実施形態と同様に、最多フレーム数B
max1内で得られるフレーム80のそれぞれの露出に対して分割露出EX
div1が適用されるか、或いは、最多フレーム数B
max2内で得られるフレーム80のそれぞれの露出に対して分割露出EX
div2が適用される。これにより、複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。
【0271】
図28Eに示すステップST324で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達したか否かを判定する。ステップST324において、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図28Fに示すステップST326へ移行する。ステップST326において、Nフレーム目の露出が目標露出EX
targetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0272】
図28Fに示すステップST326で、プロセッサ64は、目標絞り値FV
targetを更新する指示がユーザから与えられることにより絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えたか否かを判定する。ステップST326において、ユーザから与えられた指示により絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えていない場合は、判定が否定されて、Nに“1”が加算される。そして、露出制御処理は、
図28Eに示すステップST66へ移行する。
【0273】
ステップST326において、ユーザから与えられた指示により絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST328へ移行する。
【0274】
ステップST328~ステップST332で、プロセッサ64は、
図26Aに示すステップST10~ステップST14の処理と同じ処理を実行する。ステップST332の処理が実行された後、露出制御処理はステップST334へ移行する。
【0275】
ステップST334で、プロセッサ64は、ユーザによって指示された新たな目標絞り値FV
target(すなわち、更新された目標絞り値FV
target)と、Nフレーム目用の予測絞り値FV
pred0との差分を絞り値FVの変化分として取得する。ここでは、差分を例示しているが、割合であってもよく、ユーザによって指示された新たな目標絞り値FV
targetとNフレーム目用の予測絞り値FV
pred0との相違度を示す指標であればよい。なお、ユーザによって指示された絞り値FVとNフレーム目用の予測絞り値FV
pred0との差分は、本開示に係る「更新前の絞り値と更新後の絞り値との相違度」の一例である。ステップST334の処理が実行された後、露出制御処理はステップST48へ移行する(
図28B参照)。ステップST48以降では、上記第1実施形態で説明した絞り値FVの変化分が使用されるのと同様の要領で、ステップST334で取得された絞り値FVの変化分が使用される。例えば、ステップST48で、ステップST334で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能であるか否かが判定される。
【0276】
ステップST334で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能でない場合は、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理がプロセッサ64によって実行されるので、上記第1実施形態と同様に、絞り駆動時間T
FV内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。また、ステップST334で取得した絞り値FVの変化分が電子NDフィルタ58で追従可能である場合は、
図26Eに示すステップST72以降の処理がプロセッサ64によって実行されるので、上記第1実施形態と同様に、最多フレーム数B
max1内で得られるフレーム80のそれぞれの露出に対して分割露出EX
div1が適用されるか、或いは、最多フレーム数B
max2内で得られるフレーム80のそれぞれの露出に対して分割露出EX
div2が適用される。これにより、複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。
【0277】
以上説明したように、本第3実施形態に係る露出制御処理では、ステップST310、ステップST322、又はステップST334で絞り値FVの変化分が取得される。そして、ステップST48で、絞り値FVの変化分に対する電子NDフィルタ58の透過率TRの追従性が判定される。そして、判定された追従性に応じた方法(例えば、
図26Dに示すステップST50~ステップST70の処理、又は、
図26Eに示すステップST72以降の処理)で、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が更新される。これにより、露出制御処理が行われている間に、標絞り値FVtargetを更新する指示がユーザから与えられたことに起因して絞り値FVの変化量が閾値TH4を超えたとしても、複数のフレーム80の露出が一定に保たれる。
【0278】
[第4実施形態]
上記第1実施形態では、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との相違度がどの程度なのかに関わらず定められた複数の分割露出EXdiv3が、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出として適用される形態例を挙げたが、例えば、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との差が大きい程、露出因子の変動幅が大きくなるので、露出因子の変動幅の増大に伴う不具合が生じ易くなる。例えば、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との差が大きい程、複数の予測透過率TRpred1間の変動幅が大きくなる。そうすると、複数の予測透過率TRpred1間の変動を補完する他の露出因子の変動幅も大きくなる。例えば、感度SEの変動幅が大きい程、感度SEの変動に伴って生じるノイズが大きくなる可能性がある。また、シャッタ速度SPの変動幅が大きい程、シャッタに対して大きな物理的な負荷がかかり、シャッタの寿命を削る一因にもなり得る。また、電子NDフィルタ58の透過率TRの変動幅が大きい程、電子NDフィルタ58に印加される電圧も大きくなり、電子NDフィルタ58の寿命を削る一因にもなり得る。そこで、本第4実施形態では、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との相違度に応じて露出因子の変動幅を抑制する制御が行われ形態例について説明する。
【0279】
なお、本第4実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第4実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0280】
本第4実施形態では、
図29A~
図29Cに示すフローチャートを参照しながら本第4実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、
図29A~
図29Cに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した
図26A~
図26Gに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、
図29A~
図29Cに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した
図26A~
図26Gに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0281】
図29A~
図29Cに示すフローチャートは、
図26A~
図26Gに示すフローチャートと比べ、ステップST82とステップST84との間にステップST400~ステップST410を有する点、及び、ステップST412~ステップST432を有する点が異なる。
【0282】
ステップST400で、プロセッサ64は、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との間の露出の差の絶対値である差δ2を算出する。ここでは、差δ2の一例として、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との間の露出の差の絶対値を例示しているが、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との差の絶対値であってもよい。ステップST400の処理が実行された後、露出制御処理はステップST402へ移行する。
【0283】
ここでは、差δ2を例示しているが、目標透過率TRtarget及び駆動時間内透過率TRInTime2のうちの一方に対する他方の割合であってもよく、目標透過率TRtargetと駆動時間内透過率TRInTime2との相違度を示す指標であればよい。
【0284】
ステップST402で、プロセッサ64は、差δ2が閾値TH5を超えたか否かを判定する。本第4実施形態において、差δ2は、本開示に係る「第1相違度」の一例であり、閾値TH6は、本開示に係る「既定相違度」の一例である。
【0285】
閾値TH5は、露出因子(例えば、感度SE、シャッタ速度SP、及び/又は透過率TR)の変動に伴って不具合が生じない差δ2に基づいて定められた値である。露出因子の変動に伴って不具合が生じない差δ2に基づいて定められた値の一例としては、露出因子の変動に伴って不具合が生じない差δ2の上限値が挙げられる。閾値TH5の一例としては、露出因子の変動に伴って不具合が生じない差δ2の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。露出因子の変動に伴って不具合が生じない差δ2の上限値は、あくまでも一例に過ぎず、上限値を許容範囲内で下回る値であってもよい。また、閾値TH5は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH5は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0286】
ステップST402において、差δ2が閾値TH5を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST410へ移行する。ステップST402において、差δ2が閾値TH5を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST404へ移行する。
【0287】
ステップST404で、プロセッサ64は、現在透過率TRcurrentから駆動時間内透過率TRInTime2への変化に要する時間である変化時間T4を算出する。ステップST404の処理が実行された後、露出制御処理はステップST406へ移行する。
【0288】
ステップST406で、プロセッサ64は、変化時間T4が閾値TH6未満か否かを判定する。本第4実施形態において、変化時間T4は、本開示に係る「透過率変化時間」の一例であり、閾値TH6は、本開示に係る「第8閾値」及び「第10閾値」の一例である。
【0289】
閾値TH6は、現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTime1によって実現される露出へ変化させるために露出因子(例えば、感度SE、シャッタ速度SP、及び/又は透過率TR)が変動することに伴って不具合を生じさせない変化時間T4に基づいて定められた値である。現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTimeによって実現される露出へ変化させるために露出因子が変動することに伴って不具合を生じさせない変化時間T4に基づいて定められた値の一例としては、現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTime1によって実現される露出へ変化させるために露出因子が変動することに伴って不具合を生じさせない変化時間T4の下限値が挙げられる。閾値TH6の一例としては、現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTime1によって実現される露出へ変化させるために露出因子が変動することに伴って不具合を生じさせない変化時間T4の下限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。現在透過率TRcurrentによって実現される露出から変化時間内透過率TRInTime1によって実現される露出へ変化させるために露出因子が変動することに伴って不具合を生じさせない変化時間T4の下限値は、あくまでも一例に過ぎず、下限値を許容範囲内で上回る値であってもよい。また、閾値TH6は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。閾値TH6は、ユーザによって決められた値であってもよいし、撮像モードの種類に応じて決められた値であってもよい。
【0290】
ステップST406において、変化時間T4が閾値TH6未満でない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST410へ移行する。ステップST406において、変化時間T4が閾値TH6未満である場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST408へ移行する。
【0291】
ステップST408で、プロセッサ64は、複数の中間透過率TR
mid(
図30参照)を算出することで、複数の予測透過率TR
pred1を複数の予測透過率TR
pred3へ更新する(
図30参照)。複数の予測透過率TR
pred3は、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへ変化する時間(すなわち、変化時間T3)が絞り駆動時間T
FV内に収まり、かつ、現在透過率TR
currentから複数の中間透過率TR
midを経て目標透過率TR
targetへ変化する過程を定めた複数の透過率TRである。複数の予測透過率TR
pred3には、複数の中間透過率TR
mid(
図30に示す例では、2個の中間透過率TR
mid)が含まれる。複数の中間透過率TR
midは、電子NDフィルタ58の透過率TRが現在透過率TR
currentから複数の中間透過率TR
midを経て目標透過率TR
targetへ変化した場合に要する時間が閾値TH1以下であり、かつ、目標透過率TR
targetとの間の露出の差の絶対値である差δ3の最大値が差δ2よりも小さな複数の透過率TRである。
【0292】
なお、ここでは、中間透過率TRmidと目標透過率TRtargetとの間の露出の差の絶対値を例示しているが、中間透過率TRmidと目標透過率TRtargetとの差の絶対値であってもよい。また、中間透過率TRmidと目標透過率TRtargetとの間の露出の差の絶対値に代えて、中間透過率TRmid及び目標透過率TRtargetのうちの一方に対する他方の割合が用いられてもよく、中間透過率TRmidと目標透過率TRtargetとの相違度を示す指標であればよい。
【0293】
本第4実施形態において、ステップST408の処理が実行されることにより得られた複数の予測透過率TR
pred3(
図30参照)は、本開示に係る「複数の第2現実透過率」及び「複数の第3現実透過率」の一例である。また、差δ3の最大値は、本開示に係る「複数の中間透過率と第2透過率との最大の相違度である最大相違度」の一例である。
【0294】
ステップST408の処理が実行された後、露出制御処理はステップST410へ移行する。
【0295】
ステップST410で、プロセッサ64は、ステップST408で中間透過率TR
midが算出されたか否かを判定する。ステップST410において、ステップST408で中間透過率TR
midが算出されていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図29Bに示すステップST84へ移行し、ステップST84~ステップST104の処理がプロセッサ64によって実行される(
図29B参照)。一方、ステップST410において、ステップST408で中間透過率TR
midが算出された場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、
図29Cに示すステップST412へ移行する。
【0296】
図29Cに示すステップST412及びステップST414では、ステップST84及びステップST86(
図29B参照)と同じ処理がプロセッサ64によって実行される。ステップST414の処理が実行された後、露出制御処理はステップST416へ移行する。
【0297】
ステップST416で、プロセッサ64は、電子NDフィルタ58の透過率TRを現在透過率TRcurrent、複数の予測透過率TRpred3、及び目標透過率TRtargetの順に変化させた場合に要する時間である変化時間T5を算出する。変化時間T5の算出は、現在透過率TRcurrent、複数の予測透過率TRpred3、及び目標透過率TRtargetを独立変数とし、変化時間T5を従属変数とする演算式を用いることにより算出される。ステップST416の処理が実行された後、露出制御処理はステップST418へ移行する。
【0298】
ステップST418で、プロセッサ64は、変化時間T5及びフレームレートFRに基づいて、変化時間T5に対応するフレーム数、すなわち、変化時間T5が経過する間に要するフレーム数である要フレーム数B5を算出する。例えば、要フレーム数B5は、“(変化時間T5)×(フレームレートFR)”によって算出される。ステップST418の処理が実行された後、露出制御処理はステップST420へ移行する。
【0299】
なお、本第4実施形態において、要フレーム数B5は、本開示に係る「第5フレーム数」の一例である。
【0300】
ステップST420で、プロセッサ64は、要フレーム数B5、目標露出EXtarget、目標絞り値FVtarget、現在絞り値FVcurrent、現在透過率TRcurrent、現在感度SEcurrent、現在シャッタ速度SPcurrent、及び複数の予測絞り値FVpred3に基づいて、複数の予測透過率TRpred3(すなわち、要フレーム数B5内で得られるフレーム80毎の予測透過率TRpred3)を算出する。ステップST420の処理が実行された後、露出制御処理はステップST422へ移行する。
【0301】
ステップST422で、プロセッサ64は、要フレーム数B3及び要フレーム数B5のうちの多い方を最多フレーム数Bmax3として選択する。ステップST422の処理が実行された後、露出制御処理はステップST424へ移行する。
【0302】
ステップST424で、プロセッサ64は、最多フレーム数Bmax3及び目標露出EXtargetに基づいて複数の分割露出EXdiv5を導出する。ここでは、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の明るさを一定に保つために、複数の分割露出EXdiv5は同値である。すなわち、プロセッサ64は、目標露出EXtargetと同値の露出を最多フレーム数Bmax3のフレーム80のそれぞれに対して分割露出EXdiv5として割り当てる。このように、複数の分割露出EXdiv5は、最多フレーム数Bmax3と目標露出EXtargetとに基づいて定められている。
【0303】
なお、ここでは、最多フレーム数Bmax3を例示したが、最多フレーム数Bmax3に代えて、要フレーム数B3及び要フレーム数B5の平均値を用いてもよい。
【0304】
次のステップST426で、プロセッサ64は、複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3を算出する。
【0305】
分割露出EXdiv5は、複数の露出因子によって定義されている。分割露出EXdiv5を定義する複数の露出因子とは、予測透過率TRpred3、予測絞り値FVpred1、予測感度SEpred1、及び予測シャッタ速度SPpred3を指す。
【0306】
複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて算出される複数の予測感度SEpred3のそれぞれは、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられる感度SEを予測した値である。複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて算出される複数の予測シャッタ速度SPpred3は、現在絞り値FVcurrentから目標絞り値FVtargetに至るまでに得られるフレーム80毎に用いられるシャッタ速度SPを予測した値である。
【0307】
複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3の算出は、複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、及び複数の予測絞り値FVpred1を独立変数とし、複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3を従属変数とする演算式である。
【0308】
このように、複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3は、複数の分割露出EXdiv5に基づいて算出される。複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3の算出に用いられる複数の分割露出EXdiv5は、目標露出EXtargetに基づいて算出される。従って、複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3は、目標露出EXtargetに合わせて撮像装置10に設定される露出因子とも言える。
【0309】
次のステップST428で、プロセッサ64は、Nフレーム目用の予測透過率TRpred3、Nフレーム目用の予測絞り値FVpred1、Nフレーム目用の予測感度SEpred3、Nフレーム目用の予測シャッタ速度SPpred3を用いた露出で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。ステップST428の処理が実行された後、露出制御処理はステップST430へ移行する。
【0310】
ステップST430で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達したか否かを判定する。ステップST430において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST432へ移行する。ステップST432で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST432の処理が実行された後、露出制御処理はステップST428へ移行する。ステップST430において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtargetに到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0311】
以上説明したように、本第4実施形態に係る撮像装置10では、駆動時間内透過率TR
InTime2を含む複数の予測透過率TR
pred1よりも変動幅が小さな複数の予測透過率TR
pred3(すなわち、
図30に示す複数の中間透過率TR
midを含む複数の予測透過率TR
pred3)に基づいて複数の分割露出EX
div5が算出される。複数の分割露出EX
div5を定義する複数の露出因子の変動幅は、複数の分割露出EX
div3を定義する複数の露出因子の変動幅よりも小さい。よって、複数の露出因子の変動に伴って生じる不具合(例えば、感度SEの変動幅が大きいことに起因するノイズの増加、又は、シャッタ速度の変動幅が大きいことに起因するシャッタにかかる物理的な負荷の増加)を抑制することができる。
【0312】
上記第4実施形態では、複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、及び複数の予測絞り値FVpred1に基づいて、複数の予測感度SEpred3及び複数の予測シャッタ速度SPpred3が算出される形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、複数の予測感度SEpred3又は複数の予測シャッタ速度SPpred3が算出されるようにしてもよい。例えば、複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、複数の予測絞り値FVpred1、及び現在感度SEcurrentに基づいて複数の予測シャッタ速度SPpred3が算出されるようにしてもよいし、複数の分割露出EXdiv5、複数の予測透過率TRpred3、複数の予測絞り値FVpred1、及び現在シャッタ速度SPcurrentに基づいて複数の予測感度SEpred3が算出されるようにしてもよい。
【0313】
[変形例]
上記各実施形態では、露出制御処理に含まれるステップST80で、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1が共に閾値TH2を超えたか否かの判定が行われる形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎない。例えば、
図31に示すように、ステップST80の処理に代えてステップST80Aの処理が実行されるようにしてもよい。ステップST80Aでは、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1との差が閾値TH7を超えたか否かが判定される。閾値TH7の一例としては、現在透過率TR
currentから目標透過率TR
targetへの変化に要する時間と絞り駆動時間T
FVとの理想的な差が挙げられる。閾値TH7は、固定値であってもよいし、与えられた指示又は各種条件に従って変更される可変値であってもよい。
【0314】
ステップST80Aにおいて、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1との差が閾値TH7を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、
図26Fに示すステップST82へ移行する。ステップST80Aにおいて、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1との差が閾値TH7を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、
図26Gに示すステップST106へ移行する。なお、ここで、絞り駆動時間T
FVと変化時間T1との差は、「変化時間と駆動時間との相違度」の一例であり、閾値TH7は、本開示に係る「第2閾値」、「第4閾値」、「第6閾値」、及び「第9閾値」の一例である。
【0315】
また、ここでは、絞り駆動時間TFVと変化時間T1との差を例示したが、絞り駆動時間TFV及び変化時間T1の一方に対する他方の割合であってもよく、絞り駆動時間TFVと変化時間T1との相違度を示す指標であればよい。
【0316】
上記各実施形態では、電子NDフィルタ58の透過率TRの変化に要する時間、すなわち、変化時間(例えば、変化時間T1、T2、T3、T4、及びT5)を例示したが、変化時間としてフレーム数が用いられるようにしてもよい。すなわち、変化時間の概念に、フレーム数が含まれていてもよい。
【0317】
上記各実施形態では、様々な最大値(差δ1の最大値、及び差δ3の最大値等)を例示したが、上述した何れの最大値も、予め定められた範囲内での最大値を意味する。
【0318】
上記各実施形態では、単調な変化を例示したが、単調な変化とは、例えば、線形的な変化、又は、指数関数的な変化等を指す。また、単調な変化の一例としては、単調増加と単調減少が挙げられる。
【0319】
上記各実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われる場合の露出制御処理を例示したが、本開示はこれに限定されず、例えば、動画像の録画用撮像が行われる場合、撮像間隔が一定の連写が行われる場合、又は、撮像間隔が異なる連写が行われる場合等のように連続的な撮像が行われる場合であれば、上述した露出制御処理は適用可能である。
【0320】
上記実施形態では、ストレージ66に露出制御処理プログラムPGが格納されている形態例を挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、露出制御処理プログラムPGがSSD又はUSBメモリなどの可搬型のコンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている露出制御処理プログラムPGは、撮像装置10のシステムコントローラ12にインストールされる。プロセッサ64は、露出制御処理プログラムPGに従って露出制御処理を実行する。
【0321】
また、ネットワークを介して撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置に露出制御処理プログラムPGを格納させておき、撮像装置10の要求に応じて露出制御処理プログラムPGがダウンロードされ、システムコントローラ12にインストールされるようにしてもよい。
【0322】
なお、撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置、又はストレージ66に露出制御処理プログラムPGの全てを格納させておく必要はなく、露出制御処理プログラムPGの一部を格納させておいてもよい。
【0323】
また、
図1及び
図2に示す撮像装置10にはシステムコントローラ12が内蔵されているが、本開示はこれに限定されず、例えば、システムコントローラ12が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0324】
上記実施形態では、システムコントローラ12が例示されているが、本開示はこれに限定されず、システムコントローラ12に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、システムコントローラ12に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0325】
上記実施形態で説明した露出制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、露出制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで露出制御処理を実行する。
【0326】
露出制御処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、露出制御処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0327】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、露出制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、露出制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、露出制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0328】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の露出制御処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0329】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0330】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0331】
10 撮像装置
12 システムコントローラ
16 撮像装置本体
18 交換レンズ
18A フォーカスリング
20 イメージセンサ
22 レリーズボタン
24 ダイヤル
26 指示キー
28 ディスプレイ
30 タッチパネル
32 タッチパネル・ディスプレイ
36 制御装置
37 第1アクチュエータ
38 第2アクチュエータ
39 第3アクチュエータ
40 撮像レンズ
40A 対物レンズ
40B 変倍レンズ
40C 絞り
40C1 開口
40C2 絞り羽根
46 画像メモリ
48 UI系デバイス
50 外部I/F
54 光電変換素子ドライバ
55 NDフィルタドライバ
56 モータドライバ
58 電子NDフィルタ
60 クリアガラス
62 シフト機構
62A モータ
64 プロセッサ
66 ストレージ
68 メモリ
70 入出力インタフェース
72 光電変換素子
72A 受光面
74 A/D変換器
76 受付デバイス
78 ハードキー部
79 RAW画像
80 フレーム
90 測光値
91,110 目標透過率演算式
92,96,118 変化時間演算式
93 分割露出演算式
94,100,116 透過率演算式
102 調整値演算式
104,120,124 露出因子演算式
106 絞り駆動時間演算式
107 絞り値演算式
112 第1制御
114 第2制御
119、122 予測透過率演算式
A,A1 目標フレーム数
B,B1,B2,B3,B4,B5 要フレーム数
Bmax1,Bmax2,Bmax3 最多フレーム数
EXdiv1,EXdiv2,EXdiv3,EXdiv4,EXdiv5 分割露出
EXtarget 目標露出
FR フレームレート
FV 絞り値
FVcurrent 現在絞り値
FVpred0,FVpred1,FVpred2,FVpred3 予測絞り値
FVtarget 目標絞り値
OA 光軸
PG プログラム
SE 感度
SEcurrent 現在感度
SEpred1,SEpred2,SEpred3 予測シャッタ速度
SP シャッタ速度
SPcurrent 現在シャッタ速度
SPpred1,SPpred2,SPpred3 予測シャッタ速度
T1,T2,T3,T4 変化時間
TFV 絞り駆動時間
TH1,TH2,TH3,TH4,TH5,TH6,TH7 閾値
TR 透過率
TRcurrent 現在透過率
TRideal1 理想透過率
TRInTime1 変化時間内透過率
TRInTime2 駆動時間内透過率
TRmid 中間透過率
TRpred1,TRpred2,TRpred3 予測透過率
TRreal1 現実透過率
TRtarget 目標透過率
Δa 感度調整値
Δb シャッタ速度調整値
δ1,δ2,δ3 差