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特開2025-148012制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148012
(43)【公開日】2025-10-07
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/70 20230101AFI20250930BHJP
   H04N 23/75 20230101ALI20250930BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 7/18 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20250930BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20250930BHJP
【FI】
H04N23/70
H04N23/75
G03B7/091
G03B7/18
G03B15/00 H
G03B11/00
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048573
(22)【出願日】2024-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅人
【テーマコード(参考)】
2H002
2H083
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H002CC00
2H002FB39
2H002FB65
2H002FB71
2H002GA05
2H002JA07
2H002JA08
2H083AA05
2H083AA14
2H083AA26
2H083AA36
2H102AA14
2H102BB01
5C122DA03
5C122FF01
5C122FF08
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態と電子減光フィルタが使用されない不使用状態との一方から他方へ切り替えられる間に撮像装置によって撮像されることで得られる複数のフレームの露出を目標露出に到達させるまでの過程で複数のフレーム間での急激な明るさの変化を抑制することができる制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態と電子減光フィルタが使用されない不使用状態との一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の撮像装置の目標露出を取得し、少なくとも一方から他方への切り替えに要する切替時間内に撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、目標露出に向けて単調に変化させる制御を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び前記電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の前記撮像装置の目標露出を取得し、
少なくとも前記一方から前記他方への切り替えに要する切替時間内に前記撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、前記目標露出に向けて単調に変化させる制御を行う
制御装置。
【請求項2】
前記複数のフレームの露出に対して、前記切替時間に対応するフレーム数である第1フレーム数と前記目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出が適用される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記複数の分割露出は、前記複数のフレームの露出に対して適用される順に単調に変化している
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記分割露出は、前記目標露出、前記撮像装置に対して現在設定されている露出、前記フレームに対する前記電子減光フィルタが前記フレームに影響を与える範囲の割合、及び前記切り替えが完了するまでの残り時間に対応する残フレーム数に基づいて定められる
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記複数のフレームは、既定フレームレートに基づいて前記撮像が行われることで得られ、
前記第1フレーム数は、前記切替時間と前記既定フレームレートとに基づいて定められる
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記複数のフレームの露出に対して前記複数の分割露出が順に適用されている間に、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えた場合、
前記目標露出が更新され、
前記切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数である第2フレーム数と、更新された前記目標露出とに基づいて前記複数の分割露出が更新される
請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記複数のフレームの露出に対して前記複数の分割露出が順に適用されている間に、前記目標露出を変更する変更指示が外部から与えられた場合、
前記目標露出が更新され、
前記切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数である第3フレーム数と、更新された前記目標露出とに基づいて前記複数の分割露出が更新される
請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記目標露出が前記切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、前記目標露出が前記露出範囲から外れていることの通知又は報知が行われる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記目標露出が前記切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、前記切り替えを中止する中止指示が外部から与えられたことを条件に、前記撮像装置に対して現在設定されている露出が維持される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記使用状態では、前記電子減光フィルタが前記撮像装置の光路に挿入され、
前記不使用状態では、前記電子減光フィルタが前記光路から離脱される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記撮像装置は、前記電子減光フィルタの光路長に相当する光路長を有する透光フィルタを備え、
前記電子減光フィルタと前記透光フィルタは前記光路に選択的に挿脱され、
前記使用状態では、前記電子減光フィルタが前記光路に挿入され、かつ、前記透光フィルタが前記光路から離脱され、
前記不使用状態では、前記透光フィルタが前記光路に挿入され、かつ、前記電子減光フィルタが前記光路から離脱される
請求項10記載の制御装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の制御装置と、
前記撮像に用いられるイメージセンサと、を備える
撮像装置。
【請求項13】
撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び前記電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の前記撮像装置の目標露出を取得すること、並びに、
少なくとも前記一方から前記他方への切り替えに要する切替時間内に前記撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、前記目標露出に向けて単調に変化させる制御を行うことを含む
制御方法。
【請求項14】
撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び前記電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の前記撮像装置の目標露出を取得すること、並びに、
少なくとも前記一方から前記他方への切り替えに要する切替時間内に前記撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、前記目標露出に向けて単調に変化させる制御を行うことを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、露出状態判定手段、露出制御手段、NDフィルタ、及びND制御手段を有する撮像装置が開示されている。特許文献1に記載の撮像装置において、露出状態判定手段は、露出状態を判定する。また、露出制御手段は、露出状態に応じて露出を調整する。また、NDフィルタは、露出を調整するために光路内に挿抜可能である。また、ND制御手段は、動画撮影中における所定の条件に基づいてNDフィルタの挿抜を実行するか否かを判定する。更に、露出制御手段は、所定の条件を満たす場合にはNDフィルタを用いて露出を調整し、所定の条件を満たさない場合にはNDフィルタを用いずに露出を調整する。
【0003】
特許文献2には、被写体像を結像させるための光学手段と、光学手段の光軸上に存在し絞り開口の大きさを変化させることにより光量を調節することができ、焦点距離に応じてその調節範囲が変化する第一の減光手段と、光学手段の光軸上に存在し透過率を変化させることにより通過光量を調整することができ、その調節性能は第一の減光手段の調節分解能よりも粗い第二の減光手段と、撮影時の露出を適正にするために第一、第二の減光手段の動作を制御する制御手段と、を有する撮像装置が開示されている。特許文献2に記載の撮像装置において、制御手段は、第一の減光手段の光量調節可能範囲が第二の減光手段のそれよりも広い場合は第一の減光手段及び第二の減光手段を用いて光量を調節し、第一の減光手段の光量調節可能範囲が第二の減光手段のそれよりも狭い場合は第一の減光手段を用いて光量を調節する。
【0004】
特許文献3には、液晶調光素子とクリアガラスを切り替え可能とした撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-157688号公報
【特許文献2】特開2017-009952号公報
【特許文献3】国際公開第2017/061169号
【発明の概要】
【0006】
本開示に係る一つの実施形態は、撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態と電子減光フィルタが使用されない不使用状態との一方から他方へ切り替えられる間に撮像装置によって撮像されることで得られる複数のフレームの露出を目標露出に到達させるまでの過程で複数のフレーム間での急激な明るさの変化を抑制することができる制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る第1の態様は、プロセッサを備え、プロセッサが、撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の撮像装置の目標露出を取得し、少なくとも一方から他方への切り替えに要する切替時間内に撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、目標露出に向けて単調に変化させる制御を行う、制御装置である。
【0008】
本開示に係る第2の態様は、複数のフレームの露出に対して、切替時間に対応するフレーム数である第1フレーム数と目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出が適用される、第1の態様に係る制御装置である。
【0009】
本開示に係る第3の態様は、複数の分割露出が、複数のフレームの露出に対して適用される順に単調に変化している、第3の態様に係る制御装置である。
【0010】
本開示に係る第4の態様は、分割露出が、目標露出、撮像装置に対して現在設定されている露出、フレームに対する電子減光フィルタがフレームに影響を与える範囲の割合、及び切り替えが完了するまでの残り時間に対応する残フレーム数に基づいて定められる、第2の態様又は第3の態様に係る制御装置である。
【0011】
本開示に係る第5の態様は、複数のフレームが、既定フレームレートに基づいて撮像が行われることで得られ、第1フレーム数が、切替時間と既定フレームレートとに基づいて定められる、第2の態様から第4の態様の何れか1つに係る制御装置である。
【0012】
本開示に係る第6の態様は、複数のフレームの露出に対して複数の分割露出が順に適用されている間に、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えた場合、目標露出が更新され、切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数である第2フレーム数と、更新された目標露出とに基づいて複数の分割露出が更新される、第2の態様から第5の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0013】
本開示に係る第7の態様は、複数のフレームの露出に対して複数の分割露出が順に適用されている間に、目標露出を変更する変更指示が外部から与えられた場合、目標露出が更新され、切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数である第3フレーム数と、更新された目標露出とに基づいて複数の分割露出が更新される、第2の態様から第6の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0014】
本開示に係る第8の態様は、目標露出が切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、目標露出が露出範囲から外れていることの通知又は報知が行われる、第1の態様から第7の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0015】
本開示に係る第9の態様は、目標露出が切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、切り替えを中止する中止指示が外部から与えられたことを条件に、撮像装置に対して現在設定されている露出が維持される、第1の態様から第8の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0016】
本開示に係る第10の態様は、使用状態では、電子減光フィルタが撮像装置の光路に挿入され、不使用状態では、電子減光フィルタが光路から離脱される、第1の態様から第10の態様の何れか1つの態様に係る制御装置である。
【0017】
本開示に係る第11の態様は、撮像装置が、電子減光フィルタの光路長に相当する光路長を有する透光フィルタを備え、電子減光フィルタと透光フィルタが光路に選択的に挿脱され、使用状態では、電子減光フィルタが光路に挿入され、かつ、透光フィルタが光路から離脱され、不使用状態では、透光フィルタが光路に挿入され、かつ、電子減光フィルタが光路から離脱される、第10の態様に係る制御装置である。
【0018】
本開示に係る第12の態様は、第1の態様から第11の態様の何れか1つの態様に係る制御装置と、撮像に用いられるイメージセンサと、を備える撮像装置である。
【0019】
本開示に係る第13の態様は、撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の撮像装置の目標露出を取得すること、並びに、少なくとも一方から他方への切り替えに要する切替時間内に撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、目標露出に向けて単調に変化させる制御を行うことを含む制御方法である。
【0020】
本開示に係る第14の態様は、撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の撮像装置の目標露出を取得すること、並びに、少なくとも一方から他方への切り替えに要する切替時間内に撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、目標露出に向けて単調に変化させる制御を行うことを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】撮像装置の全体の構成の一例を示す概略構成図である。
図2】撮像装置の光学系及び電気系のハードウェア構成の一例を示す概略構成図である。
図3】ND領域の変化態様の一例を示す概念図である。
図4】システムコントローラが動作している態様の一例を示すブロック図である。
図5】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図6】プロセッサによって行われる露出制御処理の処理内容の一部の一例を示す概念図である。
図7】第1実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレームに含まれる0フレーム目~5フレーム目のフレームの露出に対して適用される複数の分割露出の算出及び複数の分割露出の設定の態様の一例を示す概念図である。
図9A】第2実施形態に係る露出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9B図9Aに示すフローチャートの続きである。
図10A】第3実施形態に係る露出制御処理の一例を示すフローチャートである。
図10B図10Aに示すフローチャートの続きである。
図11A】第4実施形態に係る露出制御処理の一例を示すフローチャートである。
図11B図11Aに示すフローチャートの続きである。
図11C図11Bに示すフローチャートの続きである。
図12】第5実施形態に係る露出制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本開示に係る制御装置、撮像装置、制御方法、及びプログラムの実施形態の一例について説明する。
【0023】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0024】
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。GPUとは、“Graphics Processing Unit”の略称を指す。GPGPUとは、“General-purpose computing on graphics processing units”の略称を指す。APUとは、“Accelerated Processing Unit”の略称を指す。TPUとは、“Tensor processing unit”の略称を指す。NVMとは、“Non-volatile memory”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。ICとは、“Integrated Circuit”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。I/Fとは、“Interface”の略称を指す。UIとは、“User Interface”の略称を指す。CMOSとは、“Complementary Metal Oxide Semiconductor”の略称を指す。CCDとは、“Charge Coupled Device”の略称を指す。fpsとは、“Frame per second”の略称を指す。MFとは、“Manual focus”の略称を指す。AFとは、“Auto focus”の略称を指す。AEとは、“Auto Exposure”の略称を指す。NDとは、“Neutral Density”の略称を指す。ELとは、“Electro Luminescence”の略称を指す。
【0025】
以下の説明において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、物理的又は仮想的な1つの演算装置であってもよいし、物理的又は仮想的な複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU、GPU、GPGPU、APU、又はTPU等が挙げられる。
【0026】
以下の説明において、符号付きのメモリは、一時的に情報が格納されるRAM等のメモリであり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0027】
以下の説明において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を格納する1つ又は複数の不揮発性の格納装置である。不揮発性の格納装置の一例としては、フラッシュメモリ、磁気ディスク、又は磁気テープ等が挙げられる。また、ストレージの他例としては、クラウドストレージが挙げられる。
【0028】
以下の実施形態において、符号付きの外部I/Fは、互いに接続された複数の装置間の各種情報の授受を司る。外部I/Fの一例としては、USBインタフェースが挙げられる。外部I/Fには、通信プロセッサ及びアンテナ等を含む通信I/Fが適用されてもよい。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0029】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される
【0030】
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、撮像装置10は、被写体を撮像する装置であり、システムコントローラ12、撮像装置本体16、及び交換レンズ18を備えている。撮像装置10は、本開示に係る「撮像装置」の一例であり、システムコントローラ12は、本開示に係る「制御装置」及び「コンピュータ」の一例である。システムコントローラ12は、撮像装置本体16に内蔵されており、撮像装置10の全体を制御する。交換レンズ18は、撮像装置本体16に交換可能に装着される。交換レンズ18には、フォーカスリング18Aが設けられている。フォーカスリング18Aは、撮像装置10のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する)等が撮像装置10による被写体に対するピントの調整を手動で行う場合にユーザ等によって操作される。
【0031】
図1に示す例では、撮像装置10の一例として、レンズ交換式のデジタルカメラが示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、レンズ固定式のデジタルカメラであってもよい。また、本開示は、スマートデバイス、ウェアラブル端末、シネマカメラ、テレビ放送用ビデオカメラ、監視ビデオカメラ、内視鏡、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等に対しても適用可能である。スマートデバイス、ウェアラブル端末、シネマカメラ、テレビ放送用ビデオカメラ、監視ビデオカメラ、内視鏡、細胞観察装置、眼科観察装置、又は外科顕微鏡等は、本開示に係る「撮像装置」の一例である。
【0032】
撮像装置本体16には、イメージセンサ20が設けられている。イメージセンサ20は、本開示に係る「イメージセンサ」の一例である。イメージセンサ20は、CMOSイメージセンサである。イメージセンサ20は、撮像対象である被写体を撮像する。交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合に、被写体を示す光である被写体光は、交換レンズ18を透過してイメージセンサ20に結像され、被写体の画像を示す画像データがイメージセンサ20によって生成される。
【0033】
本第1実施形態では、イメージセンサ20としてCMOSイメージセンサを例示しているが、本開示はこれに限定されず、例えば、イメージセンサ20がCCDイメージセンサ等の他種類のイメージセンサであっても本開示は成立する。
【0034】
撮像装置本体16の上面には、レリーズボタン22及びダイヤル24が設けられている。ダイヤル24は、撮像系の動作モード及び再生系の動作モード等の設定の際に操作され、ダイヤル24が操作されることによって、撮像装置10では、動作モードとして、撮像モード、再生モード、及び設定モードが選択的に設定される。撮像モードは、撮像装置10に対して撮像を行わせる動作モードである。撮像は、メカニカルシャッタ(図示省略)及び/又は電子シャッタ(図示省略)を作動させることにより実現される。再生モードは、撮像モードで記録用の撮像が行われることによって得られた画像(例えば、静止画像及び/又は動画像)を再生する動作モードである。設定モードは、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値を設定する場合などに撮像装置10に対して設定する動作モードである。
【0035】
レリーズボタン22は、撮像準備指示部及び撮像指示部として機能し、撮像準備指示状態と撮像指示状態との2段階の押圧操作が検出可能である。撮像準備指示状態とは、例えば待機位置から中間位置(例えば、半押し位置)まで押下される状態を指し、撮像指示状態とは、中間位置を超えた最終押下位置(例えば、全押し位置)まで押下される状態を指す。撮像装置10の構成によっては、撮像準備指示状態とは、ユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態であってもよく、撮像指示状態とは、操作するユーザの指がレリーズボタン22に接触した状態から離れた状態に移行した状態であってもよい。
【0036】
撮像装置本体16の背面には、指示キー26及びタッチパネル・ディスプレイ32が設けられている。
【0037】
タッチパネル・ディスプレイ32は、ディスプレイ28及びタッチパネル30(図2も参照)を備えている。ディスプレイ28の一例としては、ELディスプレイ(例えば、有機ELディスプレイ又は無機ELディスプレイ)が挙げられる。ディスプレイ28は、ELディスプレイではなく、液晶ディスプレイ等の他種類のディスプレイであってもよい。
【0038】
ディスプレイ28は、画像及び/又は文字情報等を表示する。ディスプレイ28は、撮像装置10が撮像モードの場合に、ライブビュー画像用の撮像、すなわち、連続的な撮像が行われることにより得られたライブビュー画像の表示に用いられる。ここで、「ライブビュー画像」とは、イメージセンサ20によって撮像されることにより得られた画像データに基づく表示用の動画像を指す。ライブビュー画像を得るために行われる撮像(以下、「ライブビュー画像用撮像」とも称する)は、例えば、60fpsのフレームレートに基づいて行われる。60fpsは、あくまでも一例に過ぎず、60fps未満のフレームレート(例えば、30fps)であってもよいし、60fpsを超えるフレームレート(例えば、180fps)であってもよい。
【0039】
ディスプレイ28は、撮像装置10に対してレリーズボタン22を介して静止画像用の撮像の指示が与えられた場合に、静止画像用の撮像が行われることで得られた静止画像の表示にも用いられる。また、ディスプレイ28は、撮像装置10が再生モードの場合の再生画像等の表示にも用いられる。更に、ディスプレイ28は、撮像装置10が設定モードの場合に、各種メニューを選択可能なメニュー画面の表示、及び、撮像に関連する制御で用いられる各種の設定値等を設定するための設定画面の表示にも用いられる。
【0040】
タッチパネル30は、透過型のタッチパネルであり、ディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられている。タッチパネル30は、指又はスタイラスペン等の指示体による接触を検知することで、ユーザからの指示(例えば、撮像準備指示及び/又は撮像指示等)を受け付ける。
【0041】
本第1実施形態では、タッチパネル・ディスプレイ32の一例として、タッチパネル30がディスプレイ28の表示領域の表面に重ねられているアウトセル型のタッチパネル・ディスプレイを挙げているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、タッチパネル・ディスプレイ32として、オンセル型又はインセル型のタッチパネル・ディスプレイを適用することも可能である。
【0042】
指示キー26は、各種の指示を受け付ける。ここで、「各種の指示」とは、例えば、メニュー画面の表示の指示、1つ又は複数のメニューの選択の指示、選択内容の確定の指示、選択内容の消去の指示、ズームイン、ズームアウト、及びコマ送り等の各種の指示等を指す。また、これらの指示はタッチパネル30によってされてもよい。
【0043】
一例として図2に示すように、イメージセンサ20は、光電変換素子72を備えている。光電変換素子72は、受光面72Aを有する。光電変換素子72は、受光面72Aの中心と光軸OAとが一致するように撮像装置本体16内に配置されている(図1も参照)。光電変換素子72は、マトリクス状に配置された複数の感光画素を有しており、受光面72Aは、複数の感光画素によって形成されている。各感光画素は、マイクロレンズ(図示省略)を有する。各感光画素は、フォトダイオード(図示省略)を有する物理的な画素であり、受光した光を光電変換し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0044】
また、複数の感光画素には、赤(R)、緑(G)、又は青(B)のカラーフィルタ(図示省略)が既定のパターン配列(例えば、ベイヤ配列、GストライプR/G完全市松、X-Trans(登録商標)配列、又はハニカム配列等)でマトリクス状に配置されている。
【0045】
交換レンズ18は、撮像レンズ40を備えている。撮像レンズ40は、対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び可動式の絞り40Cを有する。
【0046】
対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び絞り40Cは、被写体側(物体側)から撮像装置本体16側(像側)にかけて、光軸OAに沿って、対物レンズ40A、変倍レンズ40B、及び絞り40Cの順に配置されている。
【0047】
また、交換レンズ18は、制御装置36、第1アクチュエータ37、及び第2アクチュエータ38を備えている。制御装置36は、撮像装置本体16からの指示に従って交換レンズ18の全体を制御する。制御装置36は、例えば、CPU、NVM、及びRAM等を含むコンピュータを有する装置である。また、制御装置36のRAMは、各種情報を一時的に格納し、ワークメモリとして用いられる。制御装置36において、CPUは、NVMから必要なプログラムを読み出し、読み出した各種プログラムをRAM上で実行することで撮像レンズ40の全体を制御する。
【0048】
なお、ここでは、制御装置36の一例として、コンピュータを有する装置を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、制御装置36として、例えば、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせによって実現される装置を用いてよい。
【0049】
第1アクチュエータ37は、変倍用スライド機構(図示省略)及び変倍用モータ(図示省略)を備えている。変倍用スライド機構には、光軸OAに沿ってスライド可能に変倍レンズ40Bが取り付けられている。また、変倍用スライド機構には変倍用モータが接続されており、変倍用スライド機構は、変倍用モータの動力を受けて作動することで変倍レンズ40Bを光軸OAに沿って移動させる。
【0050】
第2アクチュエータ38は、動力伝達機構(図示省略)及び絞り用モータ(図示省略)を備えている。絞り40Cは、開口40C1を有しており、開口40C1の大きさが可変な絞りである。開口40C1は、例えば、複数枚の絞り羽根40C2によって形成されている。複数枚の絞り羽根40C2は、動力伝達機構に連結されている。また、動力伝達機構には絞り用モータが接続されており、動力伝達機構は、絞り用モータの動力を複数枚の絞り羽根40C2に伝達する。複数枚の絞り羽根40C2は、動力伝達機構から伝達される動力を受けて作動することで開口40C1の大きさを変化させる。絞り40Cは、開口40C1の大きさを変化させることで露出を調節する。
【0051】
変倍用モータ及び絞り用モータは、制御装置36に接続されており、制御装置36によって変倍用モータ及び絞り用モータの各駆動が制御される。なお、本第1実施形態では、変倍用モータ及び絞り用モータの一例として、ステッピングモータが採用されている。従って、変倍用モータ及び絞り用モータは、制御装置36からの命令によりパルス信号に同期して動作する。また、ここでは、変倍用モータ及び絞り用モータが交換レンズ18に設けられている例が示されているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、変倍用モータ及び絞り用モータのうちの少なくとも1つが撮像装置本体16に設けられていてもよい。交換レンズ18の構成物及び/又は動作方法は、必要に応じて変更可能である。
【0052】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってMFモードとAFモードとが選択的に設定される。MFモードは、手動でピントを合わせる動作モードである。MFモードでは、例えば、ユーザによってフォーカスリング18A等が操作されることで、フォーカスリング18A等の操作量に応じた移動量で変倍レンズ40Bが光軸OAに沿って移動し、これによって焦点が調節される。
【0053】
AFモードでは、撮像装置本体16が被写体距離に応じた合焦位置の演算を行い、演算して得た合焦位置に向けて変倍レンズ40Bを移動させることで、焦点を調節する。ここで、合焦位置とは、ピントが合っている状態での変倍レンズ40Bの光軸OA上での位置を指す。
【0054】
撮像装置10では、撮像モードの場合に、撮像装置本体16に対して与えられた指示に従ってマニュアル露出モードとAEモードとが選択的に設定される。マニュアル露出モードは、手動で露出を調整する動作モードである。AEモードは、自動で露出を設定する動作モードである。
【0055】
撮像装置本体16は、イメージセンサ20、システムコントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及び入出力インタフェース70を備えている。また、イメージセンサ20は、光電変換素子72及びA/D変換器74を備えている。
【0056】
入出力インタフェース70には、システムコントローラ12、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及びA/D変換器74が接続されている。また、入出力インタフェース70には、交換レンズ18の制御装置36も接続されている。
【0057】
システムコントローラ12は、プロセッサ64、ストレージ66、及びメモリ68を備えている。ここで、プロセッサ64は、本開示に係る「プロセッサ」の一例である。
【0058】
プロセッサ64、ストレージ66、及びメモリ68は、バス75を介して接続されており、バス75は入出力インタフェース70に接続されている。なお、図2に示す例では、図示の都合上、バス75として1本のバスが図示されているが、複数本のバスであってもよい。バス75は、シリアルバスであってもよいし、データバス、アドレスバス、及びコントロールバス等を含むパラレルバスであってもよい。
【0059】
ストレージ66は、コンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体であり、各種パラメータ及び各種プログラムを格納している。各種プログラムには、後述の露出制御処理プログラムPG(図5参照)が含まれる。ストレージ66の一例としては、EEPROMが挙げられる。メモリ68は、各種情報を一時的に格納し、ワークメモリとして用いられる。メモリ68の一例としては、RAMが挙げられる。
【0060】
プロセッサ64は、ストレージ66から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ68で実行する。プロセッサ64は、メモリ68上で実行するプログラムに従って撮像装置10の全体を制御する。すなわち、図2に示す例では、画像メモリ46、UI系デバイス48、外部I/F50、光電変換素子ドライバ54、NDフィルタドライバ55、モータドライバ56、及び制御装置36等がシステムコントローラ12によって制御される。
【0061】
光電変換素子72には、光電変換素子ドライバ54が接続されている。光電変換素子ドライバ54は、光電変換素子72によって行われる撮像のタイミングを規定する撮像タイミング信号を、プロセッサ64からの指示に従って光電変換素子72に供給する。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54から供給された撮像タイミング信号に従って、リセット、露光、及び電気信号の出力を行う。撮像タイミング信号としては、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号が挙げられる。
【0062】
交換レンズ18が撮像装置本体16に装着された場合、撮像レンズ40に入射された被写体光は、撮像レンズ40によって受光面72Aに結像される。光電変換素子72は、光電変換素子ドライバ54の制御下で、受光面72Aによって受光された被写体光を光電変換し、被写体光の光量に応じた電気信号を、被写体光を示すアナログ画像データとしてA/D変換器74に出力する。具体的には、A/D変換器74が、露光順次読み出し方式で、光電変換素子72から1フレーム単位で且つ水平ライン毎にアナログ画像データを読み出す。
【0063】
A/D変換器74は、アナログ画像データをデジタル化することでRAW画像79を生成する。RAW画像79は、R画素、G画素、及びB画素がモザイク状に配列された画像である。
【0064】
プロセッサ64は、A/D変換器74からRAW画像79を取得し、取得したRAW画像79に対して画像処理を行う。
【0065】
画像メモリ46には、フレーム80が格納される。フレーム80は、プロセッサ64によってRAW画像79に対して画像処理が行われることで得られた画像である。
【0066】
UI系デバイス48は、ディスプレイ28を備えており、プロセッサ64は、ディスプレイ28に対して各種情報を表示させる。また、UI系デバイス48は、受付デバイス76を備えている。受付デバイス76は、タッチパネル30及びハードキー部78を備えている。ハードキー部78は、指示キー26(図1参照)を含む複数のハードキーである。プロセッサ64は、タッチパネル30によって受け付けられた各種指示に従って動作する。
【0067】
外部I/F50は、撮像装置10の外部に存在する装置(以下、「外部装置」とも称する)との間の各種情報の授受を司る。外部I/F50には、スマートデバイス、パーソナル・コンピュータ、サーバ、USBメモリ、メモリカード、及び/又はプリンタ等の外部装置(図示省略)が直接的又は間接的に接続される。また、外部I/F50は、ネットワーク(図示省略)に接続されている。外部I/F50は、ネットワーク上のサーバ等の通信装置(図示省略)とシステムコントローラ12との間の情報の授受を司る。例えば、外部I/F50は、システムコントローラ12からの要求に応じた情報を、ネットワークを介して通信装置に送信する。また、外部I/F50は、通信装置から送信された情報を受信し、受信した情報を、入出力インタフェース70を介してシステムコントローラ12に出力する。
【0068】
撮像装置10は、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60を備えている。ここで、電子NDフィルタ58は、本開示に係る「電子減光フィルタ」の一例である。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、撮像装置本体16に搭載されている。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、受光面72Aよりも被写体側に配置されている。電子NDフィルタ58及びクリアガラス60は、被写体側から像側にかけて電子NDフィルタ58及びクリアガラス60の順に配置されている。なお、ここでは、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60が撮像装置本体16に搭載されている形態例を挙げているが、これは、あくまでも一例に過ぎず、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60のうちの少なくとも電子NDフィルタ58が交換レンズ18に搭載されていてもよい。
【0069】
電子NDフィルタ58は、電圧の印加により向きが変わる液晶分子を含む材料を用いた電子式の可変減光フィルタである。電子NDフィルタ58は、印加される電圧によって透過率を変更することで、電子NDフィルタ58を透過する光量を一律に調節する。電子NDフィルタ58の透過率はシームレスに変更可能である。そのため、例えば、絞り値が維持されている場合、電子NDフィルタ58の透過率が変更されることにより、被写界深度が維持されたまま、フレーム80の明るさを目標の明るさにすることができる。また、絞り値が変化している場合、絞り値の変化に伴う露出の増減量を補完するように電子NDフィルタ58の透過率が変更されることにより、絞り値が変化している間であっても、複数のフレーム80間で一定の明るさを維持することが可能となる。
【0070】
電子NDフィルタ58には、NDフィルタドライバ55が接続されている。NDフィルタドライバ55は、システムコントローラ12からの指示に従って、電子NDフィルタ58に対して電圧を印加することで電子NDフィルタ58の透過率を制御する。
【0071】
クリアガラス60は、透光性を有するガラス板である。透光性を有するガラス板の一例としては、透明なガラス板が挙げられる。クリアガラス60の光路長は、電子NDフィルタ58の光路長と同じである。なお、ここでは、クリアガラス60を例示しているが、透明なガラス板はあくまでも一例に過ぎず、電子NDフィルタ58の光路差に相当する光路差を有し、かつ、透光性を有するフィルタ(例えば、電子NDフィルタ58の光路差と同一の光路差を有し、かつ、半透明なガラス板)であっても本開示は成立する。なお、本第1実施形態において、クリアガラス60は、本開示に係る「透光フィルタ」の一例である。
【0072】
撮像装置10は、シフト機構62を備えている。シフト機構62は、撮像装置本体16に搭載されている。シフト機構62は、モータ62Aを有する。モータ62Aの一例としてはステッピングモータが挙げられる。シフト機構62は、モータ62Aによって生成された動力を電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に伝達することにより、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60を、光軸OAを横断する方向にシフトさせる。
【0073】
モータ62Aには、モータドライバ56が接続されており、モータ62Aは、システムコントローラ12の指示に従ってモータドライバ56の制御下で動作する。モータ62Aは、複数のギアを介して電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に機械的に接続されている。モータ62Aは、システムコントローラ12の指示に従ってモータドライバ56の制御下で、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に対して動力を付与することにより、電子NDフィルタ58とクリアガラス60とを選択的に光路に挿入したり光路から離脱させたりする。
【0074】
すなわち、電子NDフィルタ58が使用される使用状態(以下、単に「使用状態」とも称する)では、電子NDフィルタ58が光路に挿入され、かつ、クリアガラス60が光路から離脱される。一方、電子NDフィルタ58が使用されない不使用状態(以下、単に「不使用状態」とも称する)では、クリアガラス60が光路に挿入され、かつ、電子NDフィルタ58が光路から離脱される。なお、本第1実施形態において、使用状態の一例としては、光電変換素子72の有効画素領域内で電子NDフィルタ58が使用されている状態(換言すると、ディスプレイ28に表示されるフレーム80の範囲に対して電子NDフィルタ58が影響を与えている状態)が挙げられる。
【0075】
モータ62Aと電子NDフィルタ58及びクリアガラス60とを機械的に接続している複数のギアは、モータ62Aの回転方向の動力を電子NDフィルタ58に付与し、かつ、モータ62Aの回転方向と反対方向の動力をクリアガラス60に付与する。例えば、モータ62Aによって正転の動力が生成された場合、電子NDフィルタ58に対して正転の動力が付与され、クリアガラス60に対して逆転の動力が付与される。また、モータ62Aによって逆転の動力が生成された場合、クリアガラス60に対して正転の動力が付与され、電子NDフィルタ58に対して逆転の動力が付与される。このように、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60に対してモータ62Aの動力が付与されることにより、電子NDフィルタ58及びクリアガラス60のうちの一方が光路に挿入され、他方が光路から離脱される。電子NDフィルタ58の光路長とクリアガラス60の光路長は同じであるので、不使用状態の場合に電子NDフィルタ58が光路から離脱したとしても、クリアガラス60が光路に挿入されるので、電子NDフィルタ58が光路に挿入されている場合と同じ光路長が維持される。また、使用状態の場合にクリアガラス60が光路から離脱したとしても、電子NDフィルタ58が光路に挿入されるので、クリアガラス60が光路に挿入されている場合と同じ光路長が維持される。
【0076】
ところで、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えは、ユーザから撮像装置10に対して与えられた指示、及び/又は、各種条件等に基づいて開始される。使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切替開始から切替終了まで複数フレーム分の時間を要する。例えば、不使用状態から使用状態に切り替えられる場合、不使用状態から使用状態への切り替えが行われている間、光電変換素子72の有効画素領域に対して電子NDフィルタ58が重なる領域の広さが徐々に変わる。すなわち、光電変換素子72の有効画素領域に対して電子NDフィルタ58が重なる領域が徐々に広がる。一方、使用状態から不使用状態に切り替えられる場合、使用状態から不使用状態への切り替えが行われている間、光電変換素子72の有効画素領域に対して電子NDフィルタ58が重なる領域の広さが徐々に変わる。すなわち、光電変換素子72の有効画素領域に対して電子NDフィルタ58が重なる領域が徐々に狭まる。
【0077】
例えば、図3に示すように、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80が、0フレーム目のフレーム80から5フレーム目のフレーム80を含む複数のフレーム80であるとすると、0フレーム目のフレーム80から5フレーム目のフレーム80が得られる間に、不使用状態から使用状態へ切り替えられる場合、0フレーム目のフレーム80から5フレーム目のフレーム80へ変化する過程で、光電変換素子72の有効画素領域に対して電子NDフィルタ58が重なる領域(換言すると、電子NDフィルタ58がフレーム80に影響を与える範囲)であるND領域RNDの広さが徐々に変わる。そうすると、これに伴って、フレーム80間でのフレーム80全体の明るさが変化する。この場合、0フレーム目のフレーム80の明るさと5フレーム目のフレーム80の明るさとの差が非常に大きくなる(例えば、フレーム80単位での明るさの差が数倍(例えば、約2倍)になる)。図3に示す例において、0フレーム目のフレーム80の明るさと5フレーム目のフレーム80の明るさとの差が非常に大きいと、ユーザに対して視覚的な不快感を与えたり、複数のフレーム80の見栄えが悪くなったりすることが懸念される。これについては、使用状態から不使用状態へ切り替えられる場合も、同様のことが言える。
【0078】
そこで、このような事情を鑑み、本第1実施形態では、一例として図4に示すように、プロセッサ64によって露出制御処理が行われる。ストレージ66には、露出制御処理プログラムPGが格納されている。露出制御処理プログラムPGは、本開示に係る「プログラム」の一例である。プロセッサ64は、ストレージ66から露出制御処理プログラムPGを読み出し、読み出した露出制御処理プログラムPGをメモリ68上で実行する。露出制御処理は、プロセッサ64が露出制御処理プログラムPGを実行することにより実現される。以下、露出制御処理の一例について説明する。
【0079】
図5及び図6は、プロセッサ64によって行われる露出制御処理の内容の一例である。先ず、一例として図5に示すように、プロセッサ64は、露出演算の開始タイミングが到来すると、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られたフレーム80に基づいて、被写体の明るさを示す測光値90を算出する。なお、測光値90は、露出計(図示省略)によって測定されてもよい。
【0080】
また、プロセッサ64は、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始されたか否かを判定する。ここで、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始されていない場合(すなわち、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが行われない場合)、プロセッサ64は、測光値90に応じた目標露出EXtarget1を取得する。目標露出EXtarget1とは、次フレームの目標となる露出(換言すると、次フレーム用の適正な露出として撮像装置10に対して設定される露出)を指す。目標露出EXtarget1は、測光値90と、現時点で光路に挿入されている電子NDフィルタ58又はクリアガラス60の現在の透過率である現在透過率92とに基づいて算出される。目標露出EXtarget1の算出は、目標露出演算式93を用いて行われる。目標露出演算式93は、測光値90及び現在透過率92を独立変数とし、目標露出EXtarget1を従属変数とする演算式である。
【0081】
プロセッサ64は、撮像装置10に対して次フレームの露出として目標露出EXtarget1を設定した上で、撮像装置10に対して次フレーム用の撮像を行わせる。
【0082】
一方、一例として図6に示すように、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始された場合、プロセッサ64は、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え後の撮像装置10に対して設定される適正な露出である目標露出EXtarget2を取得する。例えば、目標露出EXtarget2は、測光値90と、切り替え先の透過率(換言すると、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え後の透過率)、すなわち、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが完了した時点で光路に挿入されている電子NDフィルタ58又はクリアガラス60の透過率である切替先透過率94とに基づいて算出される。目標露出EXtarget2の算出は、目標露出演算式95を用いて行われる。目標露出演算式95は、測光値90及び切替先透過率94を独立変数とし、目標露出EXtarget2を従属変数とする演算式である。
【0083】
また、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始された場合、プロセッサ64は、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えに要する時間である切替時間Tを取得する。切替時間Tは、実機を用いた試験で事前に計測されている。例えば、計測済みの切替時間Tは、既定格納領域(例えば、ストレージ66)に格納されており、プロセッサ64によって既定格納領域から取得される。
【0084】
プロセッサ64は、切替時間TとフレームレートFR(例えば、上述したフレームレートに相当するフレームレート)とに基づいて、切替時間Tに対応するフレーム数、すなわち、切替時間T内に得られるフレーム数(すなわち、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の枚数)である要フレーム数A1を算出する。要フレーム数A1は、“(切替時間T)×(フレームレートFR)”によって算出される。
【0085】
プロセッサ64は、要フレーム数A1と目標露出EXtarget2とに基づいて、撮像装置10に対して現在設定されている露出(以下、「現在露出」とも称する)から目標露出EXtarget2に向けて単調に変化する複数の分割露出EXdivを算出する。複数の分割露出EXdivの算出は、分割露出演算式96を用いて行われる。分割露出演算式96は、現在露出、要フレーム数A1、及び目標露出EXtarget2を独立変数とし、複数の分割露出EXdivを従属変数とする演算式である。
【0086】
複数の分割露出EXdivは、現在露出から目標露出EXtarget2に向けて単調に変化する複数の露出である。複数の分割露出EXdivは、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して適用される複数の露出であり、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して適用される順に単調に変化している。ここで、単調な変化とは、例えば、線形的な変化を指す。なお、線形的な変化は、あくまでも一例に過ぎず、指数関数的な変化等のような単調な変化であってもよい。
【0087】
複数の分割露出EXdivのそれぞれは、シャッタ速度、(例えば、メカニカルシャッタが用いられる場合のメカニカルシャッタのシャッタ速度、又は、電子シャッタが用いられる場合の電子シャッタのシャッタ速度)、絞り40Cの絞り値(すなわち、F値)、及び光電変換素子72の感度(例えば、ISO感度)によって定義されている。従って、複数の分割露出EXdivの目標露出EXtarget2に向けての単調な変化は、シャッタ速度、絞り40Cの絞り値(以下、単に「絞り値」と称する)、及び/又は光電変換素子72の感度(以下、単に「感度」と称する)が制御されることによって実現される。
【0088】
プロセッサ64は、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出を複数の分割露出EXdivにするように、1フレーム毎に、撮像装置10に対して、対応する分割露出EXdivを設定した上で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。これにより、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が目標露出EXtarget2に向けて単調に変化する。
【0089】
なお、本第1実施形態において、切替時間Tは、本開示に係る「切替時間」の一例であり、フレームレートFRは、本開示に係る「既定フレームレート」の一例であり、要フレーム数A1は、本開示に係る「第1フレーム数」の一例であり、目標露出EXtarget2は、本開示に係る「目標露出」の一例であり、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80は、本開示に係る「複数のフレーム」の一例であり、複数の分割露出EXdivは、本開示に係る「複数の分割露出」の一例である。
【0090】
次に、撮像装置10の作用について図7を参照しながら説明する。図7には、ライブビュー画像用撮像が行われる場合において露出演算の開始タイミングが到来したこと(換言すると、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られるフレーム80の露出を調整するタイミングとして事前に指定されたタイミングが到来したこと)を条件にプロセッサ64によって実行される露出制御処理の流れの一例が示されている。図7に示す露出制御処理の流れは、本開示に係る「制御方法」の一例である。
【0091】
図7に示す露出制御処理では、先ず、ステップST10で、プロセッサ64は、ライブビュー画像用撮像が行われることによって生成されたフレーム80を取得する。ステップST10の処理が実行された後、露出制御処理はステップST12へ移行する。
【0092】
ステップST12で、プロセッサ64は、ステップST10で取得したフレーム80に基づいて測光値90を算出する。ステップST12の処理が実行された後、露出制御処理はステップST14へ移行する。
【0093】
ステップST14で、プロセッサ64は、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始されたか否かを判定する。ステップST14において、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始されていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST16へ移行する。ステップST14において、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替え動作が開始された場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST20へ移行する。
【0094】
ステップST16で、プロセッサ64は、測光値90に応じた目標露出EXtarget1を算出する。ステップST16の処理が実行された後、露出制御処理はステップST18へ移行する。
【0095】
ステップST18で、プロセッサ64は、撮像装置10に対して次フレームの露出として目標露出EXtarget1を設定した上で、撮像装置10に対して次フレーム用の撮像を行わせる。ステップST18の処理が実行された後、露出制御処理が終了する。
【0096】
ステップST20で、プロセッサ64は、測光値90と切替先透過率94とに基づいて目標露出EXtarget2を算出する。ステップST20の処理が実行された後、露出制御処理はステップST22へ移行する。
【0097】
ステップST22で、プロセッサ64は、切替時間Tを取得する。ステップST22の処理が実行された後、露出制御処理はステップST24へ移行する。
【0098】
ステップST24で、プロセッサ64は、切替時間T及びフレームレートFRに基づいて要フレーム数A1を算出する。ステップST24の処理が実行された後、露出制御処理はステップST26へ移行する。
【0099】
ステップST26で、プロセッサ64は、要フレーム数A1と目標露出EXtarget2とに基づいて複数の分割露出EXdivを算出する。ステップST26の処理が実行された後、露出制御処理はステップST28へ移行する。
【0100】
ここで、Nを初期値が“1”の自然数とすると、ステップST28で、プロセッサ64は、ステップST26の処理が実行されることにより算出された複数の分割露出EXdivのうちのNフレーム目用の分割露出EXdivで撮像装置10に対して撮像を行わせる。ステップST28で、プロセッサ64は、撮像装置10に対して、Nフレーム目用の分割露出EXdivを定義するシャッタ速度、絞り値、及び感度を設定した上で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。ステップST28の処理が実行された後、露出制御処理はステップST30へ移行する。
【0101】
ステップST30で、プロセッサ64は、Nフレーム目の露出が目標露出EXtarget2に到達したか否かを判定する。ステップST30において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtarget2に到達していない場合は、判定が否定されて、露出制御処理はステップST32へ移行する。ステップST32で、プロセッサ64は、Nに“1”を加算する。ステップST32の処理が実行された後、露出制御処理はステップST28へ移行する。ステップST30において、Nフレーム目の露出が目標露出EXtarget2に到達した場合は、判定が肯定されて、露出制御処理が終了する。
【0102】
以上説明したように、本第1実施形態に係る撮像装置10では、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後に撮像装置10に対して設定される目標露出EXtarget2が算出される。そして、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が、現在露出から目標露出EXtarget2に向けて単調に変化させる制御が行われる。これにより、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出が現在露出から目標露出EXtarget2に向けて単調に変化する。従って、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる間にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出を目標露出EXtarget2に到達させるまでの過程で複数のフレーム80間での急激な明るさの変化を抑制することができる。
【0103】
また、本第1実施形態に係る撮像装置10では、不使用状態の場合に、クリアガラス60が光路に挿入され、かつ、電子NDフィルタ58が光路から離脱される。電子NDフィルタ58の光路長とクリアガラス60の光路長は同じである。従って、不使用状態の場合に電子NDフィルタ58が光路から離脱したとしても、クリアガラス60が光路に挿入されるので、電子NDフィルタ58が光路に挿入されている場合と同じ光路長を維持することができる。一方、使用状態の場合に、電子NDフィルタ58が光路に挿入され、かつ、クリアガラス60が光路から離脱される。電子NDフィルタ58の光路長とクリアガラス60の光路長は同じである。従って、使用状態の場合にクリアガラス60が光路から離脱したとしても、電子NDフィルタ58が光路に挿入されるので、クリアガラス60が光路に挿入されている場合と同じ光路長を維持することができる。
【0104】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、複数の分割露出EXdivを、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80に対して適用される順に単調に変化させる形態例を挙げたが、本第2実施形態では、フレーム80毎のND領域RNDの広さに応じて調整された分割露出EXdivを、対応するフレーム80の露出として適用する形態例について説明する。
【0105】
なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第2実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0106】
一例として図8に示すように、切替時間T内にライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80には、不使用状態での0フレーム目のフレーム80(すなわち、有効画素領域に対するND領域RNDの割合が0%のフレーム80)から使用状態での5フレーム目のフレーム80(すなわち、有効画素領域に対するND領域RNDの割合が100%のフレーム80)が含まれる。
【0107】
ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80が得られる場合において、プロセッサ64は、現在露出が設定されているフレーム80の次に得られるフレーム80である次フレーム(換言すると、露出設定対象フレーム)に対して適用する分割露出EXdivを、目標露出EXtarget2と、撮像装置10に対して現在設定されている露出である現在露出EXcurrentと、有効画素領域に対するND領域RNDの割合(換言すると、フレーム80に対するND領域RNDの割合)であるND領域割合NDと、残フレーム数Nrf(すなわち、現時点で得られているフレーム80である現フレームから、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが完了するまでの残り時間に得られるフレーム数)と、に基づいて算出する。そして、プロセッサ64は、算出した分割露出EXdivを次フレームの露出として撮像装置10に対して設定する。
【0108】
次フレームに対して適用する分割露出EXdivは、ND領域割合NDが、現在露出EXcurrentが設定されているフレーム80から、不使用状態から使用状態への切り替えが完了する時点までのフレーム80にかけて、一定の変化量で変化するという前提で定められており、以下の数式(1)及び(2)で規定されている。すなわち、プロセッサ64は、以下の数式(1)及び(2)を用いて次フレームに対して適用する分割露出EXdivを算出する。
【0109】
(分割露出EXdiv)=(係数α)×(目標露出EXtarget2-現在露出current)+現在露出current・・・・・(1)
【0110】
(係数α)=(1-ND領域割合ND)/(残フレーム数Nrf)・・・・・(2)
【0111】
図8に示す例において、1フレーム目が露出設定対象フレームの場合、0フレーム目では、残フレーム数Nrfが“5”である(現時点から使用状態への切り替えが完了する時点までに得られるフレーム数が“5”である)ので、残り5フレームでND領域割合NDが一定の変化量で変化するという前提で、次フレーム(すなわち、1フレーム目)から5フレーム目までの複数の分割露出EXdivが算出される。0フレーム目では、次フレーム(すなわち、1フレーム目)の分割露出EXdivは、ND領域割合NDが20%であると推測されて算出され、算出された分割露出EXdivが次フレーム(すなわち、1フレーム目)の露出として設定される。
【0112】
上記のように設定された分割露出EXdivで1フレーム目の撮像が行われると、残フレーム数Nrfが“4”となる。1フレーム目の撮像が行われた後、次の露出設定対象フレームである2フレーム目のフレーム80の露出に対して適用される分割露出EXdivの算出が行われる時点で1フレーム目のND領域割合NDが24%となった場合、残り4フレームで76%の非ND領域(すなわち、フレーム80のうちのND領域RND以外の領域)をND領域RNDが均等に変化すると仮定して、次フレーム(すなわち、2フレーム目)から5フレーム目までの複数の分割露出EXdivが再算出される。1フレーム目では、次フレーム(すなわち、2フレーム目)の分割露出EXdivは、ND領域割合NDが43%であると推測されて算出され、算出された分割露出EXdivが次フレーム(すなわち、2フレーム目)の露出として設定される。
【0113】
上記のように設定された分割露出EXdivで2フレーム目の撮像が行われると、残フレーム数Nrfが“3”となる。2フレーム目の撮像が行われた後、次の露出設定対象フレームである3フレーム目のフレーム80の露出に対して適用される分割露出EXdivの算出が行われる時点で2フレーム目のND領域割合NDが46%となった場合、残り3フレームで54%の非ND領域をND領域RNDが均等に変化すると仮定して、次フレーム(すなわち、3フレーム目)から5フレーム目までの複数の分割露出EXdivが再算出される。2フレーム目では、次フレーム(すなわち、3フレーム目)の分割露出EXdivは、ND領域割合NDが64%であると推測されて算出され、算出された分割露出EXdivが次フレーム(すなわち、3フレーム目)の露出として設定される。
【0114】
上記のように設定された分割露出EXdivで3フレーム目の撮像が行われると、残フレーム数Nrfが“2”となる。3フレーム目の撮像が行われた後、次の露出設定対象フレームである4フレーム目のフレーム80の露出に対して適用される分割露出EXdivの算出が行われる時点で3フレーム目のND領域割合NDが65%となった場合、残り2フレームで35%の非ND領域をND領域RNDが均等に変化すると仮定して、次フレーム(すなわち、4フレーム目)から5フレーム目までの複数の分割露出EXdivが再算出される。3フレーム目では、次フレーム(すなわち、4フレーム目)の分割露出EXdivは、ND領域割合NDが82.5%であると推測されて算出され、算出された分割露出EXdivが次フレーム(すなわち、4フレーム目)の露出として設定される。
【0115】
上記のように設定された分割露出EXdivで4フレーム目の撮像が行われると、残フレーム数Nrfが“1”となる。4フレーム目の撮像が行われた後、次の露出設定対象フレームである5フレーム目のフレーム80の露出に対して適用される分割露出EXdivの算出が行われる時点で4フレーム目のND領域割合NDが84%となった場合、残り1フレームで16%の非ND領域をND領域RNDが変化すると仮定して、次フレーム(すなわち、5フレーム目)の分割露出EXdivが再算出される。4フレーム目では、次フレーム(すなわち、5フレーム目)の分割露出EXdivは、ND領域割合NDが100%であると推測されて算出され、算出された分割露出EXdivが次フレーム(すなわち、5フレーム目)の露出として設定される。
【0116】
次に、本第2実施形態に係る露出制御処理の流れの一例について図9A及び図9Bを参照しながら説明する。但し、図9A及び図9Bに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した図7に示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図9A及び図9Bに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した図7に示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0117】
図9A及び図9Bに示すフローチャートは、図7に示すフローチャートと比べ、ステップST26とステップST28との間にステップST100~ステップST104を有する点が異なる。なお、図9A及び図9Bに示すフローチャートでは、ステップST14において判定が否定された場合、露出制御処理が図9Bに示すステップST16へ移行し、上記第1実施形態と同様にステップST16の処理及びステップST18の処理が順にプロセッサ64によって実行される。
【0118】
図9Aに示すステップST100で、プロセッサ64は、残フレーム数Nrf及びND領域割合NDを取得する。ND領域割合NDは、残フレーム数Nrfに基づいて算出される。ND領域割合NDの算出は、残フレーム数Nrfを独立変数とし、ND領域割合NDを従属変数とする演算式を用いて行われる。ステップST102の処理が実行された後、露出制御処理はステップST102へ移行する。
【0119】
ステップST102で、プロセッサ64は、残フレーム数Nrfと、現在のフレーム数と、ND領域割合NDとに基づいて係数αを算出する。係数αは、上記の数式(2)を用いて算出される。ステップST102の処理が実行された後、露出制御処理はステップST104へ移行する。
【0120】
ステップST104で、プロセッサ64は、係数αと、目標露出EXtarget2と、現在露出EXcurrentとに基づいて次フレームの分割露出EXdivを算出する。次フレームの分割露出EXdivの算出は、上記の数式(1)を用いて算出される。ステップST104の処理が実行された後、露出制御処理はステップST28へ移行する。
【0121】
以上説明したように、本第2実施形態に係る撮像装置10では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80のそれぞれの露出に対して、目標露出EXtarget2と、現在露出EXcurrentと、ND領域割合NDと、残フレーム数Nrfとに基づいて算出された分割露出EXdivが適用される。従って、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80のそれぞれの露出に対して、ND領域割合NDと残フレーム数Nrfとが考慮されずに算出された分割露出EXdivが適用される場合に比べ、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80のそれぞれの露出に対してND領域割合NDと残フレーム数Nrfとに適した分割露出EXdivを適用することができる。この結果、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80間での明るさの急激な変化を、より効果的に抑制することができる。
【0122】
[第3実施形態]
上記第1実施形態では、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から目標露出EXtarget2が外れているか否かに関わらず、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80のそれぞれの露出に対して適用される分割露出EXdivが算出され、算出された分割露出EXdivが、対応するフレーム80の露出として適用される形態例を挙げたが、本第3実施形態では、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から目標露出EXtarget2が外れているか否かによって異なる処理が実行される形態例について説明する。
【0123】
なお、本第3実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第3実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0124】
本第3実施形態では、図10A及び図10Bに示すフローチャートを参照しながら本第3実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図10A及び図10Bに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した図7に示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図10A及び図10Bに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した図7に示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0125】
図10A及び図10Bに示すフローチャートは、図7に示すフローチャートに比べ、ステップST20とステップST22との間にステップST200を有する点、及び、ステップST202~ステップST206を有する点が異なる。図10Aに示すステップST14において、判定が否定された場合は、露出制御処理は、図10Bに示すステップST16へ移行する。
【0126】
図10Aに示すステップST200で、プロセッサ64は、ステップST20で算出した目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲内であるか否かを判定する。ステップST200において、ステップST20で算出した目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲内である場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST22へ移行する。ステップST200において、ステップST20で算出した目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図10Bに示すステップST202へ移行する。
【0127】
図10Bに示すステップST202で、プロセッサ64は、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることをユーザに対して報知又は通知する。例えば、プロセッサ64は、ディスプレイ28に対して、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることを示す可視情報(例えば、テキスト及び又は画像)を表示することにより、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることをユーザに対して報知又は通知する。ステップST202の処理が実行された後、露出制御処理はステップST204へ移行する。
【0128】
なお、ここでは、ディスプレイ28に対して可視情報を表示させる形態例を挙げたが、これは、あくまでも一例に過ぎず、外部I/F50に接続されている装置(例えば、スマートデバイス等)のディスプレイに対して可視情報を表示させるようにしてもよい。また、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることを示す情報をスピーカから音声で出力するようにしてもよいし、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることを示す情報を、ストレージ66、及び/又は、外部I/F50に接続されている装置等に格納するようにしてもよい。
【0129】
ステップST204で、プロセッサ64は、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えを中止する中止指示が外部(例えば、ユーザ)から与えられたか否かを判定する。ステップST204において、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えを中止する中止指示が外部から与えられていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図10Aに示すステップST22へ移行する。ステップST204において、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えを中止する中止指示が外部から与えられた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理はステップST206へ移行する。
【0130】
ステップST206で、プロセッサ64は、次フレームの露出として、現在露出EXcurrentを設定した上で、撮像装置10に対して撮像を行わせる。次フレームの露出として現在露出EXcurrentが設定されることは、撮像装置10に対して現在設定されている露出を維持することを意味する。ステップST206の処理が実行された後、露出制御処理が終了する。
【0131】
以上説明したように、本第3実施形態では、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることがユーザに対して報知又は通知される。これにより、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れていることをユーザに対して認識させることができる。
【0132】
また、本第3実施形態では、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えを中止する中止指示が外部から与えられたことを条件に、撮像装置10に対して現在設定されている露出を維持する制御が行われる。これにより、目標露出EXtarget2が、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、フレーム80の明るさがユーザの意思に反して適正でない明るさになることを抑制することができる。
【0133】
[第4実施形態]
上記第1実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdivが順次に適用されている間に、撮像対象(換言する、被写体)の明るさの変化量が著しく増えたり減ったりした場合であっても、既に算出された複数の分割露出EXdivを用いた撮像が行われる形態例を挙げたが、本第4実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80に対して複数の分割露出EXdivが順次に適用されている間に、撮像対象の明るさの変化量が著しく増えたり減ったりした場合に上記第1実施形態とは異なる処理が実行される形態例について説明する。
【0134】
なお、本第4実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第4実施形態では、主に上記第1実施形態との差分について説明する。
【0135】
本第4実施形態では、図11A図11Cに示すフローチャートを参照しながら本第4実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図11A図11Cに示すフローチャートには、上記第1実施形態で説明した図7に示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図11A図11Cに示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第1実施形態で説明した図7に示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0136】
図11A図11Cに示すフローチャートは、図7に示すフローチャートに比べ、ステップST28とステップST30との間にステップST300~ステップST314を有する点が異なる。
【0137】
図11Aに示すステップST300で、プロセッサ64は、ライブビュー画像用撮像が行われることによって生成されたフレーム80を取得する。ステップST300の処理が実行された後、露出制御処理はステップST302へ移行する。
【0138】
ステップST302で、プロセッサ64は、ステップST300で取得したフレーム80に基づいて測光値90を算出する。ステップST302の処理が実行された後、露出制御処理はステップST304へ移行する。
【0139】
ステップST304で、プロセッサ64は、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えたか否かを判定する。撮像対象の明るさの変化量とは、例えば、ステップST12で算出した測光値90からステップST302で算出した測光値90までの変化量を指す。基準変化量の一例としては、ユーザに対して視覚的な不快感を与えない測光値変化量の上限値として実機による試験及び/又はコンピュータシミュレーション等によって事前に定められた値が挙げられる。ここでは、ユーザに対して視覚的な不快感を与えない測光値変化量の上限値を下回る値(例えば、ユーザに対して視覚的な不快感を与えない測光値変化量の平均値、中央値、又は最頻値等)であってもよい。また、基準変化量は、固定値であってもよいし、ユーザから与えられた指示及び/又は各種条件(例えば、フレームレートFR、又は、撮像モード等)に従って変更される可変値であってもよい。
【0140】
ステップST304において、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えていない場合は、判定が否定されて、露出制御処理は、図11Cに示すステップST30へ移行する。図11Cに示すステップST30において、判定が肯定された場合は、露出制御処理が終了する。図11Cに示すステップST30において、判定が否定された場合は、露出制御処理はステップST32へ移行する。ステップST32の処理が実行された後、露出制御処理は、図11Aに示すステップST28へ移行する。
【0141】
ステップST304において、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えた場合は、判定が肯定されて、露出制御処理は、図11Bに示すステップST306へ移行する。
【0142】
ステップST306で、プロセッサ64は、Nを初期値にリセットする。ステップST306の処理が実行された後、露出制御処理はステップST308へ移行する。
【0143】
ステップST308で、プロセッサ64は、最新の測光値90に基づいて新たな目標露出EXtarget2を算出することで目標露出EXtarget2を更新する。ステップST308の処理が実行された後、露出制御処理はステップST310へ移行する。
【0144】
ステップST310で、プロセッサ64は、現時点から、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが完了するまでの時間を、新たな切替時間Tとして算出する。ステップST310の処理が実行された後、露出制御処理はステップST312へ移行する。
【0145】
ステップST312で、プロセッサ64は、新たな切替時間TとフレームレートFRとに基づいて新たな要フレーム数A1を算出することで要フレーム数A1を更新する。更新後の要フレーム数A1は、現フレームから、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数(すなわち、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが完了するまでの残り時間に得られるフレーム数)である。本第4実施形態において、更新後の要フレーム数A1は、本開示に係る「第2フレーム数」及び「第3フレーム数」の一例である。ステップST312の処理が実行された後、露出制御処理はステップST314へ移行する。
【0146】
ステップST314で、プロセッサ64は、ステップST308で算出した新たな目標露出EXtarget2(すなわち、更新後の目標露出EXtarget2)と、ステップST312で算出した新たな要フレーム数A1とに基づいて、複数の分割露出EXdivを再算出することで複数の分割露出EXdivを更新する。ステップST314の処理が実行された後、露出制御処理は、図11Aに示すステップST28へ移行する。
【0147】
以上説明したように、本第4実施形態に係る撮像装置10では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdivが順に適用されている間に、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えた場合、目標露出EXtarget2が更新され、更新後の目標露出EXtarget2と更新後の要フレーム数A1とに基づいて複数の分割露出EXdivが更新される。そして、更新後の複数の分割露出EXdivのそれぞれが、対応するフレーム80の露出として適用される。従って、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EVdivが順に適用されている間に撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えたとしても、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80間の明るさの急激な変化を抑制することができる。
【0148】
[第5実施形態]
上記第1実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80に対して複数の分割露出EXdivが順次に適用されている間に目標露出EXtarget2が変更されることがないことを前提とした形態例を挙げたが、本第5実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdivが順次に適用されている間に、複数のフレーム80の露出が変更される形態例について説明する。
【0149】
なお、本第5実施形態では、上記第4実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、説明を省略する。また、本第5実施形態では、主に上記第4実施形態との差分について説明する。
【0150】
本第5実施形態では、図12に示すフローチャートを参照しながら本第5実施形態に係る露出制御処理の一例について説明する。但し、図12に示すフローチャートには、上記第4実施形態で説明した図11A図11Cに示すフローチャートと重複する複数のステップが含まれているので、以下では、図12に示すフローチャートに含まれる複数のステップのうち、上記第4実施形態で説明した図11A図11Cに示すフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
【0151】
図12に示すフローチャートは、図11A図11Cに示すフローチャートに比べ、ステップST304に代えてステップST402を有する点が異なる。
【0152】
図12に示すステップST402で、プロセッサ64は、目標露出EXtarget2を変更する指示である露出変更指示が外部(例えば、ユーザ)から与えられたか否かを判定する。ステップST402において、露出変更指示が外部から与えられていない場合は、判定が否定されて、図11Cに示すステップST30へ移行する。ステップST402において、露出変更指示が外部から与えられた場合は、判定が肯定されて、図11Bに示すステップST306へ移行し、図11Bに示すステップST306以降の処理がプロセッサ64によって実行される。なお、本第5実施形態において、露出変更指示は、本開示に係る「変更指示」の一例である。
【0153】
以上説明したように、本第5実施形態に係る撮像装置10では、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EXdivが順に適用されている間に、露出変更指示が外部から与えられた場合、目標露出EXtarget2が更新され、更新後の目標露出EXtarget2と更新後の要フレーム数A1とに基づいて複数の分割露出EXdivが更新される。そして、更新後の複数の分割露出EXdivのそれぞれが、対応するフレーム80の露出として適用される。従って、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られる複数のフレーム80の露出に対して複数の分割露出EVdivが順に適用されている間に、露出変更指示が外部から与えられた場合であっても、ライブビュー画像用撮像が行われることにより得られた複数のフレーム80間の明るさの急激な変化を抑制することができる。
【0154】
[変形例]
上記各実施形態では、切替時間Tを例示したが、切替時間Tとしてフレーム数が用いられるようにしてもよい。すなわち、変化時間の概念に、フレーム数が含まれていてもよい。
【0155】
上記各実施形態では、単調な変化を例示したが、単調な変化とは、例えば、線形的な変化、又は、指数関数的な変化等を指す。また、単調な変化の一例としては、単調増加と単調減少が挙げられる。
【0156】
上記各実施形態では、ライブビュー画像用撮像が行われる場合の露出制御処理を例示したが、本開示はこれに限定されず、例えば、動画像の録画用撮像が行われる場合、撮像間隔が一定の連写が行われる場合、又は、撮像間隔が異なる連写が行われる場合等のように連続的な撮像が行われる場合であれば、上述した露出制御処理は適用可能である。
【0157】
上記実施形態では、ストレージ66に露出制御処理プログラムPGが格納されている形態例を挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、露出制御処理プログラムPGがSSD又はUSBメモリなどの可搬型のコンピュータ読み取り可能な非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている露出制御処理プログラムPGは、撮像装置10のシステムコントローラ12にインストールされる。プロセッサ64は、露出制御処理プログラムPGに従って露出制御処理を実行する。
【0158】
また、ネットワークを介して撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置に露出制御処理プログラムPGを格納させておき、撮像装置10の要求に応じて露出制御処理プログラムPGがダウンロードされ、システムコントローラ12にインストールされるようにしてもよい。
【0159】
なお、撮像装置10に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の格納装置、又はストレージ66に露出制御処理プログラムPGの全てを格納させておく必要はなく、露出制御処理プログラムPGの一部を格納させておいてもよい。
【0160】
また、図1及び図2に示す撮像装置10にはシステムコントローラ12が内蔵されているが、本開示はこれに限定されず、例えば、システムコントローラ12が撮像装置10の外部に設けられるようにしてもよい。
【0161】
上記実施形態では、システムコントローラ12が例示されているが、本開示はこれに限定されず、システムコントローラ12に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、システムコントローラ12に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
【0162】
上記実施形態で説明した露出制御処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、露出制御処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで露出制御処理を実行する。
【0163】
露出制御処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、露出制御処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0164】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、露出制御処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、露出制御処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、露出制御処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0165】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の露出制御処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0166】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0167】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0168】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0169】
(付記1)
プロセッサを備え、
上記プロセッサは、
撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び上記電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の上記撮像装置の目標露出を取得し、
少なくとも上記一方から上記他方への切り替えに要する切替時間内に上記撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、上記目標露出に向けて単調に変化させる制御を行う
制御装置。
【0170】
(付記2)
上記複数のフレームの露出に対して、上記切替時間に対応するフレーム数である第1フレーム数と上記目標露出とに基づいて定められた複数の分割露出が適用される
付記1に記載の制御装置。
【0171】
(付記3)
上記分割露出は、上記目標露出、上記撮像装置に対して現在設定されている露出、上記フレームに対する上記電子減光フィルタが上記フレームに影響を与える範囲の割合、及び上記切り替えが完了するまでの残り時間に対応する残フレーム数に基づいて定められる
付記2に記載の制御装置。
【0172】
(付記4)
上記分割露出は、上記目標露出、上記撮像装置に対して現在設定されている露出、上記フレームに対する上記電子減光フィルタが上記フレームに影響を与える範囲の割合、及び上記切り替えが完了するまでの残り時間に対応する残フレーム数に基づいて定められる、付記2又は付記3に記載の制御装置である。
【0173】
(付記5)
上記複数のフレームは、既定フレームレートに基づいて上記撮像が行われることで得られ、
上記第1フレーム数は、上記切替時間と上記既定フレームレートとに基づいて定められる、付記2から付記4の何れか1つに記載の制御装置である。
【0174】
(付記6)
上記複数のフレームの露出に対して上記複数の分割露出が順に適用されている間に、撮像対象の明るさの変化量が基準変化量を超えた場合、
上記目標露出が更新され、
上記切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数である第2フレーム数と、更新された上記目標露出とに基づいて上記複数の分割露出が更新される、付記2から付記5の何れか1つに記載の制御装置である。
【0175】
(付記7)
上記複数のフレームの露出に対して上記複数の分割露出が順に適用されている間に、上記目標露出を変更する変更指示が外部から与えられた場合、
上記目標露出が更新され、
上記切り替えが完了するまでの残り時間に対応するフレーム数である第3フレーム数と、更新された上記目標露出とに基づいて上記複数の分割露出が更新される、付記2から付記6の何れか1つに記載の制御装置である。
【0176】
(付記8)
上記目標露出が上記切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、上記目標露出が上記露出範囲から外れていることの通知又は報知が行われる、付記1から付記7の何れか1つに記載の制御装置である。
【0177】
(付記9)
上記目標露出が上記切り替えにより追従可能な露出範囲から外れている場合に、上記切り替えを中止する中止指示が外部から与えられたことを条件に、上記撮像装置に対して現在設定されている露出が維持される、付記1から付記8の何れか1つに記載の制御装置である。
【0178】
(付記10)
上記使用状態では、上記電子減光フィルタが上記撮像装置の光路に挿入され、
上記不使用状態では、上記電子減光フィルタが上記光路から離脱される、付記1から付記10の何れか1つに記載の制御装置である。
【0179】
(付記11)
上記撮像装置は、上記電子減光フィルタの光路長に相当する光路長を有する透光フィルタを備え、
上記電子減光フィルタと上記透光フィルタは上記光路に選択的に挿脱され、
上記使用状態では、上記電子減光フィルタが上記光路に挿入され、かつ、上記透光フィルタが上記光路から離脱され、
上記不使用状態では、上記透光フィルタが上記光路に挿入され、かつ、上記電子減光フィルタが上記光路から離脱される、付記10に記載の制御装置である。
【0180】
(付記12)
付記1から付記11の何れか一項に記載の制御装置と、
上記撮像に用いられるイメージセンサと、を備える
撮像装置。
【0181】
(付記13)
撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び上記電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の上記撮像装置の目標露出を取得すること、並びに、
少なくとも上記一方から上記他方への切り替えに要する切替時間内に上記撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、上記目標露出に向けて単調に変化させる制御を行うことを含む制御方法である。
【0182】
(付記14)
撮像装置に搭載された電子減光フィルタが使用される使用状態及び上記電子減光フィルタが使用されない不使用状態のうちの一方から他方へ切り替えられる場合、切り替え後の上記撮像装置の目標露出を取得すること、並びに、
少なくとも上記一方から上記他方への切り替えに要する切替時間内に上記撮像装置によって撮像が行われることで得られる複数のフレームの露出を、上記目標露出に向けて単調に変化させる制御を行うことを含む処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0183】
(付記15)
上記割合は、上記撮像装置の有効画素領域に対する上記有効画素領域と上記電子減光フィルタとが重なる領域の割合に相当する
付記3に記載の制御装置。
【0184】
(付記16)
上記分割露出は、数式(1)及び数式(2)を用いて算出される
付記3又は付記4に記載の制御装置。
(分割露出)=(係数)×{(撮像装置に対して設定される目標露出)-(撮像装置に対して現在設定されている露出)}+(撮像装置に対して現在設定されている露出)・・・・・(1)
(係数)={1-(電子減光フィルタがフレームに影響を与える範囲の割合}/(現フレームから、使用状態及び不使用状態のうちの一方から他方への切り替えが完了するまでの残り時間に得られるフレーム数)・・・・・(2)
【0185】
(付記17)
上記使用状態は、上記撮像装置の有効画素領域内で上記電子減光フィルタが使用されている状態である
付記1から付記11の何れか1つに記載の制御装置。
【符号の説明】
【0186】
10 撮像装置
12 システムコントローラ
16 撮像装置本体
18 交換レンズ
18A フォーカスリング
20 イメージセンサ
22 レリーズボタン
24 ダイヤル
26 指示キー
28 ディスプレイ
30 タッチパネル
32 タッチパネル・ディスプレイ
36 制御装置
37 第1アクチュエータ
38 第2アクチュエータ
39 第3アクチュエータ
40 撮像レンズ
40A 対物レンズ
40B 変倍レンズ
40C 絞り
40C1 開口
40C2 絞り羽根
46 画像メモリ
48 UI系デバイス
50 外部I/F
54 光電変換素子ドライバ
55 NDフィルタドライバ
56 モータドライバ
58 電子NDフィルタ
60 クリアガラス
62 シフト機構
62A モータ
64 プロセッサ
66 ストレージ
68 メモリ
70 入出力インタフェース
72 光電変換素子
72A 受光面
74 A/D変換器
76 受付デバイス
78 ハードキー部
79 RAW画像
80 フレーム
90 測光値
92 現在透過率
93 目標露出演算式
94 切替先透過率
95 目標露出演算式
96 分割露出演算式
A1 要フレーム数
EXcurrent 現在露出
EXdiv 分割露出
EXtarget1,EXtarget2 目標露出
FR フレームレート
ND ND領域割合
rf 残フレーム数
OA 光軸
PG プログラム
ND ND領域
T 変化時間
α 係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12