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特開2025-148791センサ、管理システム、計測情報生成方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025148791
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】センサ、管理システム、計測情報生成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/00 20060101AFI20251001BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20251001BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20251001BHJP
【FI】
G08C15/00 D
G08C15/06 G
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049092
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古屋 貴明
(72)【発明者】
【氏名】吉嶺 季和
【テーマコード(参考)】
2F073
5K201
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA11
2F073AA19
2F073AB01
2F073AB02
2F073BC01
2F073CC03
2F073CC08
2F073CC09
2F073CC12
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD07
2F073DE01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
5K201BA01
5K201BA02
5K201CB10
5K201CC01
5K201CC04
5K201DA02
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED09
(57)【要約】
【解決手段】センサは、対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する計測情報生成部と、前記第1計測情報を管理装置に送信する通信制御部と、前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する検出部と、前記検出部が前記対象エリアの異常を検出した場合、前記計測情報生成部は、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成し、前記通信制御部は、前記第2計測情報を前記管理装置に送信してよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する計測情報生成部と、
前記第1計測情報を管理装置に送信する通信制御部と、
前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する検出部と
を備え、
前記検出部が前記対象エリアの異常を検出した場合、前記計測情報生成部は、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成し、前記通信制御部は、前記第2計測情報を前記管理装置に送信する、センサ。
【請求項2】
前記通信制御部が、前記対象エリアの周囲の他のエリアの環境に関する物理量を計測する他のセンサによる計測データに基づいて前記他のエリアの異常が検出されたことに応じて、前記管理装置から第2計測情報の要求を受信した場合、前記計測情報生成部は、前記第2計測情報を生成し、前記通信制御部は、前記第2計測情報を前記管理装置に送信する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記通信制御部による前記管理装置との間の通信履歴を記憶部に記憶させる履歴管理部をさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記センサの校正を実行する校正部と、
前記校正部により校正を実行すべき校正時期、前記校正部により実行された校正日時、校正方法、及び校正者情報の少なくとも1つを含む校正情報を記憶する記憶部と
をさらに備え、
前記通信制御部は、前記第1計測情報または前記第2計測情報とともに前記校正情報を前記管理装置に送信する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記検出部は、前記対象エリア及び前記他のエリアの少なくとも一方の前記計測データに基づく値に対して統計処理により乖離度を計算し、前記乖離度を用いて前記対象エリアの異常を検出する、請求項2に記載のセンサ。
【請求項6】
前記対象エリア及び前記他のエリアの少なくとも一方の前記計測データに基づく物理量xの平均値μとし、標準偏差σとした場合、前記乖離度を(x-μ)/σと計算し、前記乖離度が特定の値を超える場合に前記対象エリアの異常を検出する、請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記検出部は、前記対象エリア及び前記他のエリアの前記計測データに基づく値を説明変数、前記対象エリア及び前記他のエリアの異常発生の有無を目的変数として機械学習された学習モデルを用いて、前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する、請求項2に記載のセンサ。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つに記載のセンサと、
前記第1計測情報及び前記第2計測情報を受信して、格納部に格納する通信制御部を備える前記管理装置と
を備える、管理システム。
【請求項9】
前記センサの前記通信制御部は、前記対象エリアの異常を検出したことを示す異常通知信号を前記管理装置に送信し、
前記管理装置の前記通信制御部は、前記異常通知信号を受信した後、前記センサから前記第2計測情報を受信し、
前記管理装置は、
前記管理装置の前記通信制御部が前記異常通知信号を受信した場合、前記センサから予め定められた範囲に含まれる他のエリアの環境に関する物理量を計測する他のセンサに向けて、第2計測情報の送信を要求する要求部をさらに備え、
前記管理装置の前記通信制御部は、前記他のセンサから第2計測情報を受信して、前記格納部に格納する、請求項8に記載の管理システム。
【請求項10】
前記管理装置は、
前記センサを含む複数のセンサからの複数の前記第1計測情報をさらに統計処理するマクロ統計処理部と、
前記管理装置の前記検出部は、前記マクロ統計処理部による統計処理の結果に基づいて、前記複数のセンサのそれぞれが存在するエリアを含む広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出する、請求項9に記載の管理システム。
【請求項11】
前記管理装置は、
環境に関する物理量を検出するセンサを備える移動体を前記異常エリアまで移動させて、前記移動体の前記センサに前記異常エリアの環境に関する物理量を計測させ、前記移動体の前記センサで計測された計測データに基づく第3計測情報を送信させる移動体制御部をさらに備え、
前記管理装置の前記通信制御部は、前記移動体の前記センサからの前記第3計測情報を受信して、前記格納部に格納する、請求項10に記載の管理システム。
【請求項12】
前記管理装置は、
前記センサを含む複数のセンサから前記第1計測情報に基づいて、前記複数のセンサのそれぞれが存在するエリアの前記物理量の分布情報を生成する分布情報生成部を備え、
前記管理装置の前記検出部は、前記分布情報に基づいて、前記複数のセンサのそれぞれが存在するエリアを含む広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出する、請求項9に記載の管理システム。
【請求項13】
前記管理装置は、
前記管理装置の前記検出部が前記広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出した場合、前記異常エリアの点検要求を予め定められた端末に通知する通知部をさらに備える、請求項10に記載の管理システム。
【請求項14】
前記センサは、
前記センサの校正を実行する校正部と、
前記校正部により校正を実行すべき校正時期、前記校正部により実行された校正日時、校正方法、及び校正者情報の少なくとも1つを含む校正情報を記憶する記憶部と
をさらに備え、
前記通信制御部は、前記第1計測情報または前記第2計測情報とともに前記校正情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記第1計測情報または前記第2計測情報と、前記校正情報とに基づいて、前記第1計測情報または前記第2計測情報が、前記対象エリアの環境に関する情報であることを認証する認証部をさらに備える、請求項9に記載の管理システム。
【請求項15】
前記管理装置の前記通信制御部は、前記センサを含む複数のセンサのうち前記第2計測情報を送信するセンサが他のセンサより前記管理装置にデータを高い優先度で送信できるように、前記複数のセンサとの通信を制御する、請求項9に記載の管理システム。
【請求項16】
前記管理装置の前記通信制御部は、前記他のセンサによる計測情報の送信を停止させることにより、前記他のセンサより前記第2計測情報を送信する前記センサが前記管理装置にデータを高い優先度で送信できるようにする、請求項15に記載の管理システム。
【請求項17】
対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する段階と、
前記第1計測情報を管理装置に送信する段階と、
前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する段階と
前記対象エリアの異常が検出された場合、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する段階と、
前記第2計測情報を前記管理装置に送信する段階と
を備える、計測方法。
【請求項18】
コンピュータにより実行されると、
対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する段階と、
前記第1計測情報を管理装置に送信する段階と、
前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する段階と
前記対象エリアの異常が検出された場合、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する段階と、
前記第2計測情報を前記管理装置に送信する段階と
を前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ、システム、計測情報生成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサからの受信データが条件を満たす場合に、格納部が受信データをデータベースに格納することが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2020-21361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多数のセンサからの計測情報を収集するシステムにおいて、所望の計測情報をデータ量を抑制しつつ、効果的に収集できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係るセンサは、対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する計測情報生成部を備えてよい。前記センサは、前記第1計測情報を管理装置に送信する通信制御部を備えてよい。前記センサは、前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する検出部を備えてよい。前記検出部が前記対象エリアの異常を検出した場合、前記計測情報生成部は、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成し、前記通信制御部は、前記第2計測情報を前記管理装置に送信してよい。
【0005】
前記センサにおいて、前記通信制御部が、前記対象エリアの周囲の他のエリアの環境に関する物理量を計測する他のセンサによる計測データに基づいて前記他のエリアの異常が検出されたことに応じて、前記管理装置から第2計測情報の要求を受信した場合、前記計測情報生成部は、前記第2計測情報を生成し、前記通信制御部は、前記第2計測情報を前記管理装置に送信してよい。
【0006】
いずれかの前記センサは、前記通信制御部による前記管理装置との間の通信履歴を記憶部に記憶させる履歴管理部をさらに備えてよい。
【0007】
いずれかの前記センサは、前記センサの校正を実行する校正部を備えてよい。前記センサは、前記校正部により校正を実行すべき校正時期、前記校正部により実行された校正日時、校正方法、及び校正者情報の少なくとも1つを含む校正情報を記憶する記憶部を備えてよい。前記通信制御部は、前記第1計測情報または前記第2計測情報とともに前記校正情報を前記管理装置に送信してよい。
【0008】
いずれかの前記センサにおいて、前記検出部は、前記対象エリア及び前記他のエリアの少なくとも一方の前記計測データに基づく値に対して統計処理により乖離度を計算し、前記乖離度を用いて前記対象エリアの異常を検出してよい。
【0009】
いずれかの前記センサにおいて、前記対象エリア及び前記他のエリアの少なくとも一方の前記計測データに基づく物理量xの平均値μとし、標準偏差σとした場合、前記乖離度を(x-μ)/σと計算し、前記乖離度が特定の値を超える場合に前記対象エリアの異常を検出してよい。
【0010】
いずれかの前記センサにおいて、前記検出部は、前記対象エリア及び前記他のエリアの前記計測データに基づく値を説明変数、前記対象エリア及び前記他のエリアの異常発生の有無を目的変数として機械学習された学習モデルを用いて、前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出してよい。
【0011】
本発明の一態様に係る管理システムは、前記センサと、前記第1計測情報及び前記第2計測情報を受信して、格納部に格納する通信制御部を備える前記管理装置とを備えてよい。
【0012】
前記管理システムにおいて、前記センサの前記通信制御部は、前記対象エリアの異常を検出したことを示す異常通知信号を前記管理装置に送信してよい。前記管理装置の前記通信制御部は、前記異常通知信号を受信した後、前記センサから前記第2計測情報を受信してよい。
【0013】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置は、前記管理装置の前記通信制御部が前記異常通知信号を受信した場合、前記センサから予め定められた範囲に含まれる他のエリアの環境に関する物理量を計測する他のセンサに向けて、第2計測情報の送信を要求する要求部をさらに備えてよい。前記管理装置の前記通信制御部は、前記他のセンサから第2計測情報を受信して、前記格納部に格納してよい。
【0014】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置は、前記センサを含む複数のセンサからの複数の前記第1計測情報をさらに統計処理するマクロ統計処理部を備えてよい。前記管理装置の前記検出部は、前記マクロ統計処理部による統計処理の結果に基づいて、前記複数のセンサのそれぞれが存在するエリアを含む広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出してよい。
【0015】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置は、環境に関する物理量を検出するセンサを備える移動体を前記異常エリアまで移動させて、前記移動体の前記センサに前記異常エリアの環境に関する物理量を計測させ、前記移動体の前記センサで計測された計測データに基づく第3計測情報を送信させる移動体制御部をさらに備えてよい。前記管理装置の前記通信制御部は、前記移動体の前記センサからの前記第3計測情報を受信して、前記格納部に格納してよい。
【0016】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置は、前記センサを含む複数のセンサから前記第1計測情報に基づいて、前記複数のセンサのそれぞれが存在するエリアの前記物理量の分布情報を生成する分布情報生成部を備えてよい。前記管理装置の前記検出部は、前記分布情報に基づいて、前記複数のセンサのそれぞれが存在するエリアを含む広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出してよい。
【0017】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置は、前記管理装置の前記検出部が前記広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出した場合、前記異常エリアの点検要求を予め定められた端末に通知する通知部をさらに備えてよい。
【0018】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記センサは、前記センサの校正を実行する校正部と、前記校正部により校正を実行すべき校正時期、前記校正部により実行された校正日時、校正方法、及び校正者情報の少なくとも1つを含む校正情報を記憶する記憶部とをさらに備えてよい。前記通信制御部は、前記第1計測情報または前記第2計測情報とともに前記校正情報を前記管理装置に送信してよい。前記管理装置は、前記第1計測情報または前記第2計測情報と、前記校正情報とに基づいて、前記第1計測情報または前記第2計測情報が、前記対象エリアの環境に関する情報であることを認証する認証部をさらに備えてよい。
【0019】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置の前記通信制御部は、前記センサを含む複数のセンサのうち前記第2計測情報を送信するセンサが他のセンサより前記管理装置にデータを高い優先度で送信できるように、前記複数のセンサとの通信を制御してよい。
【0020】
いずれかの前記管理システムにおいて、前記管理装置の前記通信制御部は、前記他のセンサによる計測情報の送信を停止させることにより、前記他のセンサより前記第2計測情報を送信する前記センサが前記管理装置にデータを高い優先度で送信できるようにしてよい。
【0021】
本発明の一態様に係る計測方法は、対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する段階を備えてよい。前記計測方法は、前記第1計測情報を管理装置に送信する段階を備えてよい。前記計測方法は、前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する段階を備えてよい。前記計測方法は、前記対象エリアの異常が検出された場合、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する段階を備えてよい。前記計測方法は、前記第2計測情報を前記管理装置に送信する段階を備えてよい。
【0022】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータにより実行されると、対象エリアの環境に関する物理量を計測する計測部によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する段階を前記コンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、前記第1計測情報を管理装置に送信する段階を前記コンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、前記計測データに基づいて前記対象エリアの異常を検出する段階を前記コンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、前記対象エリアの異常が検出された場合、前記計測部によって計測された計測データに基づいて前記第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する段階を前記コンピュータに実行させてよい。前記プログラムは、前記第2計測情報を前記管理装置に送信する段階を前記コンピュータに実行させてよい。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る管理システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】センサの機能ブロックの一例を示す図である。
図3】管理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】センサが計測情報を管理装置に送信する手順の一例を示すフローチャートである。
図5】管理装置が、異常が検知されたエリアの周囲のエリアに設けられたセンサに、第2計測情報の送信を要求する手順の一例を示すフローチャートである。
図6】センサが、管理装置から第2計測情報の送信を要求された場合の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7】UAVのセンサが異常エリアの周囲の環境の計測をさらに行う手順の一例を示すフローチャートである。
図8】ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る管理システム10の全体構成の一例を示す図である。管理システム10は、複数のセンサ100、UAV60、及び管理装置200を備える。管理装置200は、CPU及びメモリを備えるコンピュータでよく、CPUがメモリに記憶された各種プログラムを実行することで、各種機能を実行してよい。センサ100、UAV60、及び管理装置200は、互いにネットワーク30を介して通信する。
【0027】
複数のセンサ100のそれぞれは、監視対象の複数のエリア50のそれぞれに配置される。複数のエリア50は、例えば、センサ100が計測する対象物が存在する可能性があるエリアである。複数のエリア50は、一部の領域が重複していてもよい。
【0028】
センサ100は、エリア50の環境に関する物理量を計測する。センサ100は、エリア50における計測対象のガス濃度、塵埃量、風向、風量、雨量、日射量、紫外線量、温度、湿度、騒音、照度、振動、電磁波、X線量、放射線量、及びオゾン濃度の少なくとも1つを計測してよい。各物理量は測定された時刻、位置座標に関連づけられてもよい。
【0029】
複数のエリア50は、例えば、パイプラインであり、センサ100は、パイプラインを通るガスのガス漏れを検出するガスセンサである。センサ100が、ガスセンサである場合、非分散型赤外線吸収法、波長可変半導体レーザー吸収分光(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy、TDLAS)法、DIAL(Differential Absorption LiDAR)法、TCSPC(Time Correlated Single Photon Counting)法、光音響法、固体電解質法、熱伝導法、音波法、光学式ガスイメージング法、または静電容量法に従って、計測対象のガスのガス濃度を計測してよい。計測対象のガスは、二酸化炭素、水、または酸素でよい。計測対象のガスは、メタン、プロパン、エタノール、水素、エチレン、MCH(メチルシクロヘキサン)などの可燃性ガスでよい。計測対象のガスは、一酸化炭素、硫化水素、ホルムアルデヒド、アンモニアなどの毒性ガスでよい。計測対象のガスは、二酸化炭素、一酸化二窒素、冷媒ガスなどの温室効果ガスでよい。
【0030】
センサ100は、塵埃センサ、温湿度センサ、騒音センサ、照度センサ、振動センサ、電磁波測定器、X線測定器、放射線測定器、LiDAR(LightDetection And Ranging)、レーダー、可視光撮像装置、赤外光撮像装置、気圧センサ、または気流検査器などでもよい。
【0031】
無人航空機(UAV)60は、移動体の一例である。移動体とは、空中を移動する飛行体、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。空中を移動する飛行体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、飛行船、ヘリコプター等を含む概念である。UAV60は、センサ100を備える。
【0032】
管理装置200は、複数のセンサ100で計測される計測データに基づく計測情報を収集する。本実施形態では、管理システム10は、1台の管理装置200を備える。しかし、管理装置200に不具合が生じた場合、センサ100から計測情報が収集されなくなってしまう。そこで、管理システム10は、複数の管理装置200を備え、1台の管理装置200に障害が発生した場合には、他の管理装置200がセンサ100から計測情報の収集を引き継いでよい。
【0033】
管理装置200が計測情報を管理する対象のセンサ100が大量にあると、管理装置200が格納すべき計測情報のデータ容量が膨大になる。そこで、センサ100は、計測データを統計処理することでデータ量が削減された計測情報を、管理装置200に送信することが考えられる。しかし、異常が発生した場合には、統計処理されたデータでの分析では不十分で、より詳細なデータが要求される場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態に係る管理システム10では、所望の計測情報をデータ量を抑制しつつ、効果的に収集する。
【0035】
図2は、センサ100の機能ブロックの一例を示す図である。
【0036】
センサ100は、制御部110、記憶部120、通信部130、及び計測部140を備える。
【0037】
制御部110は、CPUまたはMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。計測部140は、エリア50における環境に関する物理量を計測する。記憶部120は、センサ100が物理量を計測し、計測情報を管理装置200に送信するために制御部110で実行される処理を実現するためのプログラムなどを記憶する。記憶部120は、計測部140で計測された計測データ、または計測データに基づく計測情報を記憶する。通信部130は、通信インタフェースを含み、ネットワーク30を介して管理装置200と通信する。
【0038】
計測部140は、エリア50における環境に関する物理量を予め定められた間隔、例えば、60秒に1回以上の間隔で、計測する。計測部140は、赤外線を発光する発光部および計測対象のガスを透過した赤外線を受光する受光部を含み、計測対象のガスの赤外線の吸収特性を利用して、ガスのガス濃度を計測してよい。計測部140は、エリア50のガスの濃度を環境に関する物理量として計測してよい。計測部140は、エリア50のパイプラインから漏れ出たガスのガス濃度を示す計測データを計測してよい。
【0039】
制御部110は、計測情報生成部111、通信制御部112、検出部113、校正部114、及び履歴管理部115を備える。
【0040】
計測情報生成部111は、計測部140によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する。計測情報生成部111は、計測データから平均値、最大値、最小値、分散、モーメント、及びヒストグラムの少なくとも1つを含む統計情報を第1計測情報として生成してよい。
【0041】
通信制御部112は、通信部130を制御することで、第1計測情報を管理装置200に送信する。検出部113は、計測データに基づいてエリア50の異常を検出する。検出部113は、計測データから特定のガスのガス濃度を特定し、ガス濃度が閾値以上の場合に、エリア50の異常を検出してよい。検出部113は、第1計測情報に示されるガス濃度が閾値以上の場合に、エリア50の異常を検出してよい。通信制御部112は、エリア50の異常を検出したことを示す異常通知信号を管理装置200に送信してよい。通信部130は、センサ100の識別ID、位置情報を送ってもよい。
【0042】
検出部113は、ホテリング理論などの予め定められた数理的な方法を用いて、第1計測情報に基づくエリア50の異常の検出を行ってよい。検出部113は、対象のエリア50及び周囲の他のエリアの少なくとも一方の計測データに基づく値に対して統計処理により乖離度を計算し、乖離度を用いてエリア50の異常を検出してよい。より具体的には、検出部113は、対象のエリア50及び周囲の他のエリアの少なくとも一方の計測データに基づく物理量xに対して統計処理を行い、例えば物理量xの平均値μ、物理量xの標準偏差σ、乖離度αとして(x-μ)/σを計算し、乖離度αが特定の値以上の場合に、異常を検知してよく、特定の値は9もしくは36であってよい。物理量xは、各々のセンサ100におけるデータおよびデータを変換して得られる量の時間平均値であってもよい。平均値や標準偏差を計算する統計処理は、各センサ100のデータに対しておこなってもよく、対象エリア内のセンサ100のデータにわたっておこなってもよく、対象のエリア50および他のエリアに亘って行ってもよい。また検出部113は、複数のセンサ100の計測データに基づく値を説明変数、複数のエリア50の異常発生の有無を目的変数として機械学習された学習モデルを用いて、計測データに基づいてエリア50の異常を検出してよい。管理装置200が、複数のセンサ100から出力された第1計測情報及び第2計測情報の少なくとも一方と、複数のエリア50の異常発生の履歴とに基づいて、学習モデルを生成してよい。
【0043】
検出部113がエリア50の異常を検出した場合、計測情報生成部111は、計測部140によって計測された計測データに基づいて第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する。計測情報生成部111は、統計処理されていない計測データを第2計測情報として生成してよい。計測情報生成部111は、検出部113がエリア50の異常を検出した前後の予め定められた期間に計測部140により計測された計測データを第2計測情報として生成してよい。通信制御部112は、通信部130を制御することで、第2計測情報を管理装置200に送信する。計測情報生成部111は、記憶部120にある計測データを用いて、第2計測情報を生成してよい。
【0044】
他のエリアで異常が検出された場合、他のエリアの周囲の環境の状況についても異常が発生していないか確認する必要が生じる可能性がある。そこで、管理装置200は、異常を検出したセンサ100の周囲の他のセンサ100に対して、第2計測情報をさらに要求してよい。そして、自身のエリア50の周囲の他のエリア50の環境に関する物理量を計測する他のセンサ100による計測データに基づいて他のエリア50の異常が検出されたことに応じて、通信制御部112が管理装置200から第2計測情報の要求を受信した場合、計測情報生成部111は、第2計測情報を生成し、通信制御部112は、第2計測情報を管理装置200に送信してよい。
【0045】
校正部114は、センサ100の校正を実行する。センサ100の特性は、時間の経過に伴い変化する場合がある。センサ100の特性とは、例えば、センサ100が光学素子であり且つ赤外光によりガス濃度を測定する非分散型赤外線吸収法に従うCO(二酸化炭素)センサなどのガスセンサである場合、光学素子などの特性を指す。光学素子などの特性は、経時変化する場合がある。このため、センサ100は、計測精度を補正するための校正を実行する。
【0046】
校正部114は、自身で算出したガス濃度と、エリア50で予め定められた基準のガス濃度とに基づいて、校正を実行してよい。校正部114は、エリア50のガス濃度が基準のガス濃度となる条件を満たす場合、自身で算出したガス濃度が、基準のガス濃度と一致するように、ガス濃度を算出するための係数を補正してよい。センサ100は、予め定められた期間内で自身が算出したガス濃度の最小値が、基準のガス濃度と一致するように、係数を補正してよい。予め定められた期間は、対象のガスのガス濃度が最も低い可能性が高い期間でよい。例えば、ガスの発生する可能性がある装置の運転が停止中の期間でよい。
【0047】
記憶部120は、校正部114により校正を実行すべき校正時期、校正部114により実行された校正日時、校正方法、及び校正者情報の少なくとも1つを含む校正情報を記憶してよい。校正方法は、校正部114により実行される校正の方法である。校正方法は、例えば、対象のガスのガス濃度が最も低い可能性が高い期間に校正を実行することを示してよい。校正方法は、例えば、センサ100によるガス濃度の計測が安定して行うことができる天候などを考慮した期間を示してよい。
【0048】
通信制御部112は、第1計測情報または第2計測情報とともに校正情報を管理装置200に送信してよい。校正方法は、計測対象のガスの種類、濃度、濃度点数、トレーサビリティ体系、濃度の正確度、ガス成分、ガスの購入日/校正証書発行日、ガスの販売業者、ガスの購入業者、容器の記号番号、ガスの有効期限、調整パラメータの種類(例えば、ゼロ、スパン、オフセット、感度)、校正時の環境情報(温度、湿度、気圧、及び日時)、及び校正ガスの残圧の少なくとも1つを示してよい。
【0049】
履歴管理部115は、通信制御部112による管理装置200との間の通信履歴を記憶部120に記憶させる。記憶部120に通信履歴を記憶させておくことで、例えば、センサ100と管理装置200との間の通信不良などの経過を把握することができる。
【0050】
図3は、管理装置200の機能ブロックの一例を示す図である。管理装置200は、制御部210、格納部220、及び通信部230を備える。制御部210は、CPUまたはMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。格納部220は、各センサ100から収集された各種の計測情報を格納するデータベースである。通信部230は、通信インタフェースを含み、ネットワーク30を介してセンサ100と通信する。
【0051】
制御部210は、検出部211、要求部212、マクロ統計処理部213、通信制御部214、移動体制御部215、分布情報生成部216、通知部217、認証部218、及び学習モデル生成部219を備える。
【0052】
通信制御部214は、通信部230を制御して、センサ100と通信する。通信制御部214は、異常通知信号を受信した後、異常通知信号を送信したセンサ100から第2計測情報を受信し、第2計測情報を格納部220に格納する。要求部212は、通信制御部214が異常通知信号を受信した場合、異常検知信号を送信したセンサ100から予め定められた範囲に含まれる他のエリアの環境に関する物理量を計測する他のセンサ100に向けて、第2計測情報の送信を要求する。格納部220は、各センサ100の設置個所を示すマップを記憶してよい。要求部212は、マップを参照することで、異常検知信号を送信したセンサ100から予め定められた範囲に含まれる他のセンサ100を特定してよい。他のセンサ100は、第2計測情報の送信の要求を受けて、管理装置200に第2計測情報を送信する。通信制御部214は、他のセンサ100から第2計測情報を受信して、第2格納情報を格納部220に格納する。予め定められた範囲とは、異常検知信号を送信したセンサ100から特定の距離以内の範囲であってよく、異常検知信号を送信したセンサ100からみて風下側にあたる方角の範囲であってもよい。
【0053】
複数のセンサ100がデータ量の多い第2計測情報を同時に管理装置200に送信した場合、通信が逼迫し、複数のセンサ100と管理装置200との間の通信が不良になる可能性がある。そこで、通信制御部214は、複数のセンサ100のうち第2計測情報を送信するセンサが他のセンサより管理装置200にデータを高い優先度で送信できるように、複数のセンサ100との通信を制御してよい。通信制御部214は、管理装置200にデータを高い優先度で送信する方法として、帯域制御によって通信用帯域を確保する事であってよく、また各センサ100のデータに対し優先度を定め、優先度の高さに応じて優先的に通信処理する優先制御を行ってもよい。通信制御部214は、複数のセンサ100が順番に第2計測情報を送信できるように、制御してよい。通信制御部214は、他のセンサ100による計測情報の送信を停止させることにより、他のセンサ100より第2計測情報を送信するセンサ100が管理装置200にデータを高い優先度で送信できるようにしてよい。
【0054】
マクロ統計処理部213は、複数のセンサ100からの複数の第1計測情報をさらに統計処理することでマクロ統計情報を生成する。マクロ統計処理部213は、複数のセンサ100からの複数の第1計測情報に基づいて、各エリア50の環境に関する物理量のヒストグラムをマクロ統計情報として生成してよい。マクロ統計処理部213は、複数の第1計測情報のそれぞれの分散値からマクロ統計情報として生成してよい。検出部211は、マクロ統計処理部213による統計処理の結果に基づいて、複数のセンサ100のそれぞれが存在するエリアを含む広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出する。検出部211は、ヒストグラムまたは分散値に基づいて、他のエリア50の物理量との差が閾値以上の物理量エリア50を異常エリアとして検出してよい。
【0055】
分布情報生成部216は、複数のセンサ100からの第1計測情報に基づいて、複数のセンサ100のそれぞれが存在するエリア50の物理量の分布情報を生成する。分布情報生成部216は、マップを参照することで各センサ100の位置を特定し、複数のエリア50を含む広域エリアのガス濃度の分布を示す分布情報を生成してよい。分布情報生成部216は、ガス濃度の分布情報を生成する場合には、複数のセンサ100から得られた第1計測情報と、数値予報モデル・流体シミュレーション結果を四次元変分法等を用いてデータ同化して、ガス濃度の分布情報を生成してもよい。
【0056】
検出部211は、分布情報に基づいて、複数のセンサ100のそれぞれが存在するエリア50を含む広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出してよい。
【0057】
検出部211は、複数のエリア50の複数の第1計測情報に基づいて異常エリアを検出する場合、複数のエリア50の間での相対的な計測結果に基づいて、異常エリアを検出できる。例えば、センサ100が存在するエリア50の天候によって、センサ100の計測結果に影響が生じる可能性がある。この場合、検出部211は、広域エリアのそれぞれのセンサ100の第1計測情報を相対的に評価することで、特定の一部のエリアのセンサ100からの第1計測情報だけが異常な計測結果を示しているか否かを検出できる。例えば、広域エリア全体で、それぞれのセンサ100で検出されるガスのガス濃度を基準値より高い場合、エリアの異常ではなく、天候による影響で、それぞれのセンサ100で検出されるガスのガス濃度が高くなっているだけの場合もある。よって、検出部211は、複数のエリア50の複数の第1計測情報に基づいて異常エリアを検出することで、より精度よく異常エリアを検出できる。
【0058】
移動体制御部215は、移動体であるUAV60の移動を制御する。移動体制御部215は、検出部211が異常エリアを特定した場合、異常エリアの環境に関する物理量を検出するセンサ100を備えるUAV60を異常エリアまで移動させる。さらに、移動体制御部215は、UAV60のセンサ100に異常エリアの環境に関する物理量を計測させ、UAV60のセンサ100で計測された計測データに基づく第3計測情報を送信させる。第3計測情報は、測定データを統計処理することで得られる計測情報でよい。第3計測情報は、統計処理されていない測定データそのものでもよい。通信制御部214は、UAV60のセンサ100からの第3計測情報を受信して、第3計測情報を格納部220に格納する。
【0059】
通知部217は、検出部211が広域エリア内の異常が発生した異常エリアを検出した場合、異常エリアの点検要求を予め定められた端末に通知する。予め定められた端末は、該当エリア50の保守担当者の携帯端末、保守担当部門のパーソナルコンピュータ、該当エリア50を監視する監視装置などでよい。
【0060】
通信制御部214は、第1計測情報または第2計測情報とともに校正情報をセンサ100から受信する場合、認証部218は、第1計測情報または第2計測情報と、校正情報とに基づいて、第1計測情報または第2計測情報が、エリア50の環境に関する情報であることを認証する。認証部218は、第1計測情報または第2計測情報が正しく校正されたセンサ100から送信された情報であるかどうかを、校正情報に基づいて判断してよい。
【0061】
学習モデル生成部219は、複数のエリア50の計測データに基づく値を説明変数、複数のエリアのそれぞれの異常発生の有無を目的変数として機械学習することで学習モデルを生成してよい。学習モデル生成部219は、複数のエリア50の計測データに基づく値を説明変数、複数のエリアのそれぞれの異常発生の有無を目的変数として、教師あり学習のアルゴリズムに従って機械学習を行うことにより、第1統計情報からエリア50の異常の有無を推定する学習モデルを生成し、格納部220に格納してよい。通信制御部214は、学習モデルをセンサ100に送信してよい。学習モデル生成部219が学習モデルを更新することに応じて、通信制御部214は、更新された学習モデルを各センサ100に送信してよい。アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、重回帰分析、決定木、ガウス過程などの任意の方式のアルゴリズムでよい。
【0062】
図4は、センサ100が計測情報を管理装置200に送信する手順の一例を示すフローチャートである。
【0063】
計測情報生成部111は、計測部140によって計測された計測データを統計処理することで第1計測情報を生成する(S100)。通信制御部112は、通信部130を制御することで、第1計測情報を管理装置200に送信する(S102)。検出部113は、計測データに基づいてエリア50の異常を検出する(S103)。検出部113は、計測データから特定のガスのガス濃度を特定し、ガス濃度が閾値以上の場合に、エリア50の異常を検出してよい。
【0064】
通信制御部214は、検出部113がエリア50の異常を検出したか否かを判定する(S106)。検出部113がエリア50の異常を検出しなければ、センサ100は、処理を終了する。
【0065】
検出部113がエリア50の異常を検出した場合、通信制御部214は、エリア50に異常が発生していることを示す異常通知信号を管理装置200に送信する(S108)。次いで、計測情報生成部111は、計測部140によって計測された計測データから、第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する(S110)。通信制御部214は、第2計測情報を管理装置200に送信する(S112)。
【0066】
以上の処理により、本実施形態によれば、センサ100は、計測データを統計処理することでデータ量が削減された第1計測情報を、管理装置200に送信し、異常が発生した場合には、第1計測情報より詳細な第2計測情報を送信する。これにより、管理装置200が計測情報を管理する対象のセンサ100が大量にある場合でも、所望の計測情報をデータ量を抑制しつつ、効果的に収集できる。
【0067】
管理装置200が収集したそれぞれの第1計測情報及び第2計測情報に基づいて広域エリアの環境に関する物理量の時系列変化、分布などを示すレポートを生成できる。
【0068】
図5は、管理装置200が、異常が検知されたエリア50の周囲のエリア50に設けられたセンサ100に、第2計測情報の送信を要求する手順の一例を示すフローチャートである。
【0069】
通信制御部214は、各センサ100から第1計測情報を受信する(S200)。通信制御部214は、特定のセンサ100から異常検知通知を受信する(S202)。次いで、通信制御部214は、特定のセンサ100から第2計測情報を受信する(S204)。通信制御部214は、特定のセンサ100から第2計測情報を受信する前に、他のセンサ100が第1計測情報を送信することを予め定められた期間中、停止するように、他のセンサ100に通知してよい。特性のセンサ100は、予め定められた期間において、第2計測情報を管理装置200に送信してよい。
【0070】
要求部212は、特定のセンサ100から第2計測情報を受信した後、特定のセンサ100から予め定められた範囲に含まれる他のセンサ100に向けて、第2計測情報の送信を要求する(S206)。次いで、通信制御部214は、他のセンサ100から第2計測情報を受信する(S208)。
【0071】
以上の処理により、管理装置200は、特定のセンサ100で特定のエリア50の異常が検知された場合に、特定のエリア50の周囲のエリア50のセンサ100に対して、第2計測情報の送信を要求できる。
【0072】
図6は、センサ100が、管理装置200から第2計測情報の送信を要求された場合の処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0073】
センサ100は、第1計測情報を定期的に管理装置200に送信している。その間に、通信制御部112が、通信部130を介して管理装置200から第2計測情報の送信の要求を受信する(S300)。計測情報生成部111は、計測部140により計測された計測データに基づいて、第1計測情報よりデータ量が多い第2計測情報を生成する(S32)。次いで、通信制御部112は、第2計測情報を管理装置200に送信する(S304)。通信制御部112は、管理装置200から第2計測情報を送信するタイミングの通知を受けて、その通知により特定されるタイミングで、第2計測情報を管理装置200に送信してよい。
【0074】
図7は、UAV60のセンサ100が異常エリアの周囲の環境の計測をさらに行う手順の一例を示すフローチャートである。
【0075】
検出部211が、マクロ統計処理部213により複数の第1計測情報をさらに統計処理することで得られる統計情報、または分布情報生成部216により複数の第1計測情報に基づいて生成された分布情報に基づいて、異常エリアを特定する(S400)。
【0076】
移動体制御部215は、記憶部120に記憶されたマップを参照することで、異常エリアの位置を特定し、異常エリアの周囲の環境に関する物理量を検出するセンサ100を備えるUAV60に、異常エリアの周囲まで移動して、センサ100に計測させる指示をする(S402)。通信制御部214は、UAV60のセンサ100で計測された計測データに基づく第3計測情報を受信する(S404)。
【0077】
以上の処理により、管理装置200は、異常エリアに設置されたセンサ100からの環境に関する物理量に基づく計測情報以外に、センサ100が設置されていない異常エリアの周囲の環境に関する物理量を基づく計測情報を収集できる。
【0078】
図8は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化してよいコンピュータ1200の一例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーションまたは当該装置の1または複数の「部」として機能させることができる。または、当該プログラムは、コンピュータ1200に当該オペレーションまたは当該1または複数の「部」を実行させることができる。当該プログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつかまたは全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0079】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、及びRAM1214を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、入力/出力ユニットを含み、それらは入力/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータ1200はまた、ROM1230を含む。CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0080】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブが、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納してよい。ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。プログラムが、CD-ROM、USBメモリまたはICカードのようなコンピュータ可読記録媒体またはネットワークを介して提供される。プログラムは、コンピュータ可読記録媒体の例でもあるRAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーションまたは処理を実現することによって構成されてよい。
【0081】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、またはUSBメモリのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0082】
また、CPU1212は、USBメモリ等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0083】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0084】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0085】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよい。その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM(登録商標))、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0086】
コンピュータ可読命令は、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードの何れかを含んでよい。ソースコードまたはオブジェクトコードは、従来の手続型プログラミング言語を含む。従来の手続型プログラミング言語は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語でよい。コンピュータ可読命令は、プログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供されてよい。プロセッサまたはプログラマブル回路は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。
【0087】
ここで、コンピュータは、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このような複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムは分散コンピューティングシステムとも呼ばれ、広義のコンピュータである。分散コンピューティングシステムにおいては、複数のコンピュータのそれぞれがプログラムの一部ずつを実行し、必要に応じてコンピュータ間でプログラム実行中のデータを受け渡すことによって、複数のコンピュータが集合的にプログラムを実行する。
【0088】
プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、中央処理装置(CPU)、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。コンピュータは、1つのプロセッサまたは複数のプロセッサを備えてよい。複数のプロセッサを備えるマルチプロセッサシステムにおいては、それぞれのプロセッサがプログラムの一部ずつを実行し、必要に応じてプロセッサ間でプログラム実行中のデータを受け渡すことによって、複数のプロセッサが集合的にプログラムを実行する。例えば、マルチタスクの実行において、複数のプロセッサのそれぞれは、タイムスライス毎にタスクスイッチすることにより各タスクの一部分ずつを細切れに実行してよい。この場合、各プロセッサが1つのプログラムのうちどの部分を実行するかは、動的に変化する。また、複数のプロセッサのそれぞれがプログラムのどの部分を実行するかは、マルチプロセッサを意識したプログラミングにより静的に定められてもよい。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0091】
10 管理システム
30 ネットワーク
50 エリア
60 UAV
100 センサ
110 制御部
111 計測情報生成部
112 通信制御部
113 検出部
114 校正部
115 履歴管理部
120 記憶部
130 通信部
140 計測部
200 管理装置
210 制御部
211 検出部
212 要求部
213 マクロ統計処理部
214 通信制御部
215 移動体制御部
216 分布情報生成部
217 通知部
218 認証部
219 学習モデル生成部
220 格納部
230 通信部
1200 コンピュータ
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1220 入力/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1230 ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8