(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025149188
(43)【公開日】2025-10-08
(54)【発明の名称】画像処理装置、方法およびプログラム、学習装置、方法およびプログラム並びに解析装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20251001BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20251001BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20251001BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20251001BHJP
G06V 20/64 20220101ALI20251001BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B6/03 560T
A61B6/03 560G
A61B6/03 577
A61B5/055 390
G06T7/00 612
G06T7/00 350C
G06V10/82
G06V20/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049674
(22)【出願日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彰
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA02
4C093DA04
4C093DA10
4C093FD07
4C093FF01
4C093FF42
4C093FF45
4C093FH03
4C093FH07
4C096AA18
4C096AC04
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC33
4C096DC36
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA01
5L096EA02
5L096EA03
5L096EA33
5L096EA39
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA10
5L096GA51
5L096GA55
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像処理装置、方法およびプログラム、並びに学習装置、方法およびプログラムにおいて、疑似的に3次元画像を取得できるようにする。
【解決手段】プロセッサが、被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、第1表現形式の2次元画像をスライス補間した第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、第2表現形式の2次元画像の入力により、第2表現形式の2次元画像をスライス補間した第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、前記第1表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、前記第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、前記第2表現形式の2次元画像の入力により、前記第2表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する学習装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像のスライスを削減した学習用疑似2次元画像を導出し、前記学習用疑似2次元画像を前記第1スライス補間モデルに入力することにより前記第1スライス補間モデルに学習用疑似3次元画像を出力させ、前記学習用3次元画像と前記学習用疑似3次元画像との差分に基づいて、前記転移学習を行う請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記学習用疑似2次元画像に対して前記スライス補間する方向の軸に合わせて前記学習用疑似2次元画像の軸の入れ替えを行い、前記軸が入れ替えられた前記学習用疑似2次元画像を前記第1スライス補間モデルに入力する請求項2に記載の学習装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像からランダムにスライス間隔を変更した前記学習用疑似2次元画像を導出する請求項2または3に記載の学習装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像が実画像か疑似画像かを判別するための判別器を使用して、前記判別器および前記第1スライス補間モデルに対して敵対的学習を行う請求項1に記載の学習装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像のスライス面を表す情報を前記第1スライス補間モデルおよび前記判別器の少なくとも一方に入力する請求項5に記載の学習装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像のスライス面の方向に応じて、前記学習用3次元画像の前記転移学習に使用する頻度を変更する請求項1に記載の学習装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第2表現形式の3次元画像に含まれる解剖構造を分類する分類モデルを使用して、前記学習用3次元画像についての第1分類結果を導出し、
前記分類モデルを使用して、前記学習用3次元画像に基づいて前記第1スライス補間モデルが導出した学習用疑似3次元画像についての第2分類結果を導出し、
前記第1分類結果と前記第2分類結果との差分が小さくなるように前記転移学習を行う請求項1に記載の学習装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
請求項1に記載の学習装置により構築された前記第2スライス補間モデルを使用することにより、前記第2表現形式の2次元画像から前記第2表現形式の疑似3次元画像を導出する画像処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記第2表現形式の2次元画像のスライス間隔を、前記疑似3次元画像のスライス間隔と一致させる補間演算を行い、
前記補間演算が行われた前記2次元画像を前記第2スライス補間モデルに入力することにより前記疑似3次元画像を導出する請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
第2表現形式の3次元画像に含まれる解剖構造を分類する分類モデルを構築するための学習を行う学習装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、請求項9に記載の画像処理装置により導出された前記疑似3次元画像を学習データとして使用して前記学習を行う学習装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、撮影により取得された前記第2表現形式の実3次元画像をさらに学習データとして使用して前記学習を行う請求項11に記載の学習装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記実3次元画像について、前記学習に使用する頻度を前記疑似3次元画像よりも多くして前記学習を行う請求項12に記載の学習装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記実3次元画像について、前記学習に使用する際の重みづけを前記疑似3次元画像よりも大きくする請求項12に記載の学習装置。
【請求項15】
請求項9に記載の画像処理装置により導出された前記疑似3次元画像を解析する解析装置。
【請求項16】
コンピュータが、被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、前記第1表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、前記第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、前記第2表現形式の2次元画像の入力により、前記第2表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する学習方法。
【請求項17】
コンピュータが、請求項1に記載の学習装置により構築された前記第2スライス補間モデルを使用することにより、前記第2表現形式の2次元画像から前記第2表現形式の疑似3次元画像を導出する画像処理方法。
【請求項18】
被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、前記第1表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、前記第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、前記第2表現形式の2次元画像の入力により、前記第2表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する手順をコンピュータに実行させる学習プログラム。
【請求項19】
請求項1に記載の学習装置により構築された前記第2スライス補間モデルを使用することにより、前記第2表現形式の2次元画像から前記第2表現形式の疑似3次元画像を導出する手順をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、方法およびプログラム、学習装置、方法およびプログラム並びに解析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、CT(Computed Tomography)装置およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波撮影装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、X線撮影装置等の各種モダリティの進歩により、より質の高い医用画像を用いての画像診断が可能となってきている。このようなモダリティにおいては、撮影方式の違いによりスライス間隔が異なる画像が取得される。例えば、3次元撮影を行うと、スライス間隔が狭い3次元画像が取得される。2次元撮影を行うと、3次元撮影よりもスライス間隔が大きい2次元画像が取得される。2次元画像と3次元画像との違いは、スライス面に垂直な方向における解像度の違いであり、3次元画像はスライス面に垂直な方向においてスライスが密となるため、解剖構造を高精度に認識できる。一方、2次元画像はスライス面に垂直な方向におけるスライス間隔が3次元画像よりも大きいため、3次元画像と比較すると解剖構造を再現する精度が落ちる。
【0003】
このため、スライス間隔が3次元撮影を行った場合よりも大きい、2次元撮影により取得されたCT画像に対してスライス補間を行うことにより、スライス間隔が小さい疑似3次元画像を取得する手法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。また、MRI画像において例えば頭部と言った限られた部位のスライス補間を行う手法も提案されている(例えば非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Akira Kudo et. al., Virtual Thin Slice: 3D Conditional GAN-based Super-resolution for CT Slice Interval, arXiv: 1908.11506 2 Sep 2019
【非特許文献2】Kuan Zhang et al., SOUP-GAN: Super-Resolution MRI Using Generative Adversarial Networks, arXiv:2106.02599 4 June 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、CTについては、被検体の任意の部位について3次元撮影が一般化しているため、いずれの部位であってもスライス間隔が密の3次元画像が取得される。しかしながら、MRIについては頭部、膝および骨盤といった特定の部位については3次元撮影が行われるものの、特定の部位以外の部位については、一般的に2次元撮影が行われる。このような特定部位以外の部位について3次元画像を取得するために、2次元撮影により取得されたMRI画像に対してスライス補間を行うことにより、疑似的に3次元画像を導出するモデルを構築することが考えられる。しかしながら、特定部位以外のMRI画像については学習データとなる3次元画像が少ないため、疑似的に3次元画像を導出するモデルを構築することは困難である。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、疑似的に3次元画像を取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による学習装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、
被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、第1表現形式の2次元画像をスライス補間した第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、第2表現形式の2次元画像の入力により、第2表現形式の2次元画像をスライス補間した第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する。
【0008】
本開示による画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、
本開示による学習装置により構築された第2スライス補間モデルを使用することにより、第2表現形式の2次元画像から第2表現形式の疑似3次元画像を導出する。
【0009】
本開示による学習方法は、コンピュータが、被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、第1表現形式の2次元画像をスライス補間した第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、第2表現形式の2次元画像の入力により、第2表現形式の2次元画像をスライス補間した第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する。
【0010】
本開示による画像処理方法は、コンピュータが、本開示による学習装置により構築された第2スライス補間モデルを使用することにより、第2表現形式の2次元画像から第2表現形式の疑似3次元画像を導出する。
【0011】
本開示による学習プログラムは、被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、第1表現形式の2次元画像をスライス補間した第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、第2表現形式の2次元画像の入力により、第2表現形式の2次元画像をスライス補間した第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する手順をコンピュータに実行させる。
【0012】
本開示による画像処理学習プログラムは、本開示による学習装置により構築された第2スライス補間モデルを使用することにより、第2表現形式の2次元画像から第2表現形式の疑似3次元画像を導出する手順をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、疑似的に3次元画像を導出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施形態による学習装置および画像処理装置を適用した診断支援システムの概要を示すハードウェア構成図
【
図2】本実施形態による学習装置のハードウェア構成を示す図
【
図3】本実施形態による学習装置の機能的な構成を示す図
【
図5】第2スライス補間モデルを構築するための転移学習を説明するための図
【
図8】第2スライス補間モデルを構築するための転移学習を説明するための図
【
図9】本実施形態による学習装置が行う処理を示すフローチャート
【
図10】本実施形態による画像処理装置のハードウェア構成を示す図
【
図11】本実施形態による画像処理装置の機能的な構成を示す図
【
図12】本実施形態による画像処理装置が行う処理を示すフローチャート
【
図13】本実施形態による他の学習装置のハードウェア構成を示す図
【
図14】本実施形態による他の学習装置の機能的な構成を示す図
【
図15】分類モデルを構築するための分類器の学習を説明するための図
【
図16】本実施形態による他の学習装置が行う処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
図1は、本開示の実施形態による画像処理装置および学習装置を適用した、診断支援システムの概要を示すハードウェア構成図である。
図1に示すように、診断支援システムでは、本実施形態による学習装置1、モダリティ2、画像保管サーバ3、および画像処理装置4が、ネットワーク5を経由して通信可能な状態で接続されている。
【0016】
モダリティ2は、被検体の診断対象となる部位を撮影することにより、その部位を表す2次元画像または3次元画像を生成する装置であり、具体的には、CT装置、MRI装置、超音波撮影装置、PET装置、およびX線撮影装置等である。モダリティ2により生成された、被検体の画像は画像保管サーバ3に送信され、保存される。本実施形態においては、モダリティ2として、CT装置2AおよびMRI装置2Bを含むものとする。
【0017】
CT装置2AおよびMRI装置2Bは、2次元撮影および3次元撮影を行うことが可能であり、2次元撮影により2次元画像が取得され、3次元撮影により3次元画像が取得される。本実施形態において、3次元画像および2次元画像はともに断層画像を含むが、3次元画像とは、2次元画像に対してスライス間隔およびスライス厚の少なくとも一方が小さい複数の断層画像、および複数の断層画像から生成された、各画素が3次元座標で表される画像の少なくともいずれかを含む。例えば、3次元画像とは、スライス厚およびスライス間隔の少なくとも一方が5mm以下である複数の断層画像を含む。
【0018】
一方、2次元画像は、3次元画像に含まれる断層画像に対してスライス間隔が大きい複数の断層画像、および3次元画像に含まれる断層画像に対してスライス厚が大きい少なくとも1以上の断層画像の少なくとも一方を含む。断層画像は、各画素が2次元座標で表される画像を含む。なお、3次元画像または2次元画像が複数の断層画像で構成される場合、断層画像は撮影方向における各断層画像の位置座標を含むため、複数の断層画像全体としては、各画素が3次元座標で表される。撮影方向とは、例えば、断層画像が表す断層面に垂直な方向である。
【0019】
画像保管サーバ3は、各種データを保存して管理するコンピュータであり、大容量外部記憶装置およびデータベース管理用ソフトウェアを備えている。画像保管サーバ3は、有線あるいは無線のネットワーク5を介して他の装置と通信を行い、画像データ等を送受信する。具体的にはモダリティ2で生成された画像の画像データを含む各種データをネットワーク経由で取得し、大容量外部記憶装置等の記録媒体に保存して管理する。なお、画像データの格納形式およびネットワーク5経由での各装置間の通信は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等のプロトコルに基づいている。また、本実施形態においては、画像保管サーバ3は、後述する学習データおよび第1スライス補間モデルを保存して管理している。
【0020】
本実施形態による学習装置1および画像処理装置4は、それぞれ1台のコンピュータに、本実施形態の学習プログラムおよび画像処理プログラムをそれぞれインストールしたものである。コンピュータは、診断を行う医師が直接操作するワークステーションまたはパーソナルコンピュータでもよいし、それらとネットワークを介して接続されたサーバコンピュータでもよい。学習プログラムおよび画像処理プログラムは、ネットワークに接続されたサーバコンピュータの記憶装置、もしくはネットワークストレージに、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて医師が使用するコンピュータにダウンロードされ、インストールされる。または、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からコンピュータにインストールされる。
【0021】
以下、本実施形態による学習装置について説明する。
図2は、本実施形態による学習装置のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、学習装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16、およびネットワーク5に接続されるネットワークI/F(InterFace)17を含む。CPU11、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16およびネットワークI/F17は、バス19に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0022】
メモリ16は、記憶部13およびRAM(Random Access Memory)18を含む。RAM18は、一次記憶用のメモリであり、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のRAMである。
【0023】
記憶部13は、不揮発性のメモリであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、およびフラッシュメモリ等の少なくとも1つによって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、本実施形態による学習プログラム12が記憶される。CPU11は、記憶部13から学習プログラム12を読み出してRAM18に展開し、展開した学習プログラム12を実行する。
【0024】
ディスプレイ14は、各種画面を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイまたはEL(Electro Luminescence)ディスプレイである。入力デバイス15は、ユーザが入力を行うための装置であり、例えば、キーボード、マウス、音声入力用のマイク、接触を含む近接入力用のタッチパッド、およびジェスチャー入力用のカメラの少なくともいずれかである。ネットワークI/F17は、ネットワーク5に接続するためのインタフェースである。
【0025】
次いで、本実施形態による学習装置の機能的な構成を説明する。
図3は、本実施形態による学習装置の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように学習装置1は、情報取得部21および学習部22を備える。そして、CPU11が学習プログラム12を実行することにより、CPU11は、情報取得部21および学習部22として機能する。
【0026】
情報取得部21は、ネットワーク5を介して、画像保管サーバ3から、後述する第2スライス補間モデルを転移学習により構築するための学習データおよび第1スライス補間モデルを取得する。本実施形態においては、MRI装置2Bにより被検体の特定の部位を3次元撮影することにより取得された3次元MRI画像を学習データとして取得する。学習データとして取得した3次元MRI画像を学習用3次元MRI画像MR0と称する。学習用3次元MRI画像MR0は実際にMRI装置2Bにより取得された実画像である。特定の部位としては、例えば被検体の頭部、膝および骨盤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。MRIが本開示の第2表現形式の一例であり、学習用3次元MRI画像MR0が本開示の第2表現形式の学習用3次元画像の一例であり、特定の部位が本開示の第2範囲の一例である。
【0027】
本実施形態において、画像の表現形式とは、その画像を取得したモダリティ2の撮像方式で表現された画像である。例えば、MRI画像は、MRI装置の撮像方式で表現された画像である。なお、撮影方式で表現された画像とは、実際にモダリティ2によって撮像された実画像、および画像処理によって疑似的に導出された疑似画像の少なくとも一方を含む。
【0028】
第1スライス補間モデルは、被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、第1表現形式の2次元画像をスライス補間した第1表現形式の疑似3次元画像を生成するモデルである。本実施形態においては、例えば非特許文献1に記載された手法により構築された第1スライス補間モデルを使用する。
【0029】
図4は本実施形態において使用される第1スライス補間モデルを説明するための図である。
図4に示すように、第1スライス補間モデル31は、例えばCT装置2Aにより被検体の全身を2次元撮影することにより取得された2次元CT画像CT0の入力により、2次元CT画像CT0をスライス補間した疑似3次元CT画像CF0を生成するモデルである。第1スライス補間モデル31は、例えば畳み込みニューラルネットワークからなる。CTが本開示の第1表現形式の一例であり、2次元CT画像CT0が本開示の第1表現形式の2次元画像の一例であり、全身が本開示の被検体の第1範囲の一例であり、疑似3次元CT画像CF0が本開示の第1表現形式の疑似3次元画像の一例である。
【0030】
第1スライス補間モデル31においては、
図4に示すように、スライスを補間するスライス面に垂直な方向に空間的な3軸(x軸、y軸およびz軸)のうちのz軸が設定されているものとする。これにより、第1スライス補間モデル31は、入力された2次元画像についてz軸方向においてスライス補間を行うものとなる。
【0031】
学習部22は、情報取得部21が取得した学習用3次元MRI画像MR0を使用して第1スライス補間モデル31を転移学習することにより、撮影により取得された2次元MRI画像が入力されると、2次元MRI画像をスライス補間した疑似3次元MRI画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する。
【0032】
本実施形態においては、学習部22は、敵対的学習により第1スライス補間モデル31を転移学習することによって第2スライス補間モデルを構築する。学習に際し第2スライス補間モデルは、敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks:GAN)を構成する。
図5は第2スライス補間モデルを構築するための転移学習を説明するための図である。
図5に示すように、第2スライス補間モデルを構築するために、本実施形態においては、劣化器(ディグレーダ(Degrader))40、生成器(ジェネレータ(Generator))41および判別器(ディスクリミネータ(Discriminator))42を使用する。生成器41は第1スライス補間モデル31である。
【0033】
劣化器40は、学習用3次元MRI画像MR0のスライス数を削減した学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出する。このために、劣化器40は、学習用3次元MRI画像MR0を構成するスライス画像が示すスライス面に垂直な方向に、例えばガウシアンフィルタによるフィルタリング処理を行うことにより、学習用3次元MRI画像MR0をぼかす。これにより、学習用3次元MRI画像MR0の各スライス画像には、隣接するスライス画像の画像情報が含まれることとなる。そして、劣化器40は、ぼかした学習用3次元MRI画像MR0からランダムな間隔で2次元画像を抜き出すことにより、学習用3次元MRI画像MR0のスライスを間引いた学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出する。例えば、学習用3次元MRI画像MR0のスライス間隔が1mmであった場合、異なる学習を行う毎に、例えば5mm、7mmおよび10mmといったようにランダムなスライス間隔になるようにスライス画像が間引かれて、学習用疑似2次元MRI画像MF0が導出される。
【0034】
学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出するに際し、劣化器40はスライスを補間する方向がz軸となるように、学習用3次元MRI画像MR0の軸の入れ替えを行ったうえで、学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出する。
図6は軸の入れ替えを説明するための図である。通常、3次元画像においては、被検体の体軸方向がz軸、左右方向がx軸、前後方向がy軸に設定される。このため、学習用3次元MRI画像MR0も被検体の体軸方向がz軸、左右方向がx軸、前後方向がy軸に設定される。なお、体軸に垂直なスライス面がアキシャル面、被検体の左右方向のスライス面がコロナル面、被検体の前後方向のスライス面がサジタル面である。
【0035】
例えば、学習用3次元MRI画像MR0について、サジタル面のスライスを補間する学習を行う場合、劣化器40は、
図6に示すように、サジタル面に垂直な方向がz軸となるように軸を入れ替えて学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出する。
【0036】
学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出するに際し、劣化器40は、メタ情報M0を導出する。メタ情報M0は、一部のスライス画像を間引いた後の残りのスライス画像のスライス面の情報(アキシャル面、コロナル面、サジタル面)、およびスライス間隔の情報(5mm、7mmおよび10mm等)を含む。
【0037】
学習部22は、学習用疑似2次元MRI画像MF0を生成器41に入力する。この際、学習部22は、学習用疑似2次元MRI画像MF0をそのまま生成器41に入力してもよいが、生成器41すなわち第1スライス補間モデル31が出力する疑似3次元画像のスライス間隔と一致または近似させるように、学習用疑似2次元MRI画像MF0に補間演算を行ってもよい。例えば、学習用疑似2次元MRI画像MF0のスライス間隔が5mmであり、第1スライス補間モデル31が出力する疑似3次元画像のスライス間隔が1mmであるとする。この場合、学習部22は、学習用疑似2次元MRI画像MF0のスライス間隔が1mmとなるように、または1mmに近似させるように学習用疑似2次元MRI画像MF0のスライスを線形補間またはスプライン補間等の補間演算により補間して、補間された学習用疑似2次元MRI画像MF1を導出する。
【0038】
これにより、未知のスライス間隔の2次元MRI画像が入力されても、そのスライス間隔を統一的に扱うことができるように、第2スライス補間モデルを構築できる。
【0039】
学習部22は、補間された学習用疑似2次元MRI画像MF1、およびメタ情報M0を生成器41に入力し、学習用疑似2次元MRI画像MF1のスライスを補間した学習用疑似3次元MRI画像MF2を生成器41から出力させる。なお、学習用疑似2次元MRI画像MF1のみを生成器41に入力して学習用疑似3次元MRI画像MF2を生成器41から出力させるようにしてもよい。
【0040】
ここで、生成器41に入力する補間された学習用疑似2次元MRI画像MF1は、物理サイズを等方化したうえで姿勢変換および拡大縮小を無作為にデータ拡張処理として適用し、適用した画像から固定サイズ領域を切り出したものを使用すればよい。
【0041】
また、上述したように補間された学習用疑似2次元MRI画像MF1のスライス間隔は、学習用疑似3次元MRI画像MF2のスライス間隔と同一としてもよい。しかしながら、学習用疑似2次元MRI画像MF1は、補間演算によりスライスが補間されたものである。このため、スライス間隔が同一である場合であっても、スライス方向(すなわちスライス面に垂直な方向)における画像の解像度は、学習用疑似2次元MRI画像MF1よりも学習用疑似3次元MRI画像MF2の方が高いものとなる。
【0042】
判別器42は、例えば畳み込みニューラルネットワークからなり、学習用疑似3次元MRI画像MF2およびメタ情報M0の組み合わせ、または学習用3次元MRI画像MR0およびメタ情報M0の組み合わせが入力されると、入力された画像が実画像であるか疑似画像であるかを判別し、判別結果RF1を出力する。この場合、実画像は学習用3次元MRI画像MR0であり、疑似画像は学習用疑似3次元MRI画像MF2である。
【0043】
実画像である学習用3次元MRI画像MR0が入力された場合に、判別器42が、入力された画像を実画像であると判別した場合には、判別結果RF1は正解である。一方、実画像である学習用3次元MRI画像MR0が入力された場合に、疑似画像、すなわち生成器41が導出した学習用疑似3次元MRI画像MF2であると判別した場合には、判別結果RF1は不正解である。また、判別器42が、入力された疑似画像を実画像であると判別した場合には、判別結果RF1は不正解であり、疑似画像と判別した場合には、判別結果RF1は正解である。
【0044】
学習部22は、判別器42が出力した判別結果RF1に基づいて損失L1を導出する。本実施形態においては、学習部22は、入力された画像が実画像であるか、生成器41により導出された疑似画像であるかの判別結果RF1を正解するように、判別器42を学習する。具体的には、損失L1が予め定められたしきい値以下となるように判別器42を構成する畳み込みニューラルネットワークを学習する。
【0045】
また、学習部22は、入力された実画像、すなわち学習用疑似2次元MRI画像MF1から疑似画像、すなわち学習用疑似3次元MRI画像MF2を導出し、判別器42が判別結果RF1を不正解とするように生成器41を学習する。具体的には、損失L1が予め定められたしきい値以下となるように、生成器41を構成する畳み込みニューラルネットワークを学習する。なお、生成器41となる第1スライス補間モデル31はすでにCT画像について構築されたものである。このため、学習部22は、第1スライス補間モデル31をMRI画像に対応するものとなるように転移学習することとなる。
【0046】
学習が進行すると、生成器41と判別器42とが精度を高めあい、判別器42は、3次元MRI画像が入力された場合に、それが実画像か疑似画像かをより高精度に判別できるようになる。一方、生成器41は、2次元MRI画像をスライス補間して、判別器42により判別されない、より実画像の3次元MRI画像に近い疑似画像を生成できるようになる。このようにして学習を進めることにより、生成器41が第2スライス補間モデルとして構築される。
【0047】
なお、第2スライス補間モデルの転移学習に際しては、学習用3次元MRI画像MR0のスライス面の方向に応じて、学習用3次元MRI画像MR0を使用する頻度を変更してもよい。例えば、医療現場においてはアキシャル面のスライス画像が最も多く使用される。このため、アキシャル面をスライス面とする学習用3次元MRI画像MR0を、コロナル面またはサジタル面をスライス面とする学習用3次元MRI画像MR0よりもより多く使用して第2スライス補間モデルの転移学習を行うようにしてもよい。
【0048】
また、第2スライス補間モデルの転移学習に際して、後述するように生成された分類モデルを使用してもよい。分類モデルは、3次元MRI画像に含まれる解剖構造をセグメンテーション、すなわち分類するように学習により構築されたものである。分類モデルは、入力された3次元MRI画像から解剖構造を抽出し、抽出した解剖構造がいずれの臓器であるかを分類し、解剖構造の分類結果を導出する。分類結果は入力された画像の各画素の解剖構造が何であるかを表すものであり、分類モデルは、同一の解剖構造に分類された画素をラベリングすることにより、解剖構造の分類結果を表すマスクを導出する。
図7はマスクを示す図である。
図7に示すマスク50は胸部のアキシャル画像であり、分類モデルにより分類された解剖構造である心臓にラベル51が付与され、肺にラベル52が付与されている。なお、マスクとは、画素の位置座標ごとに付与されたラベルを示すマスク画像、画素の位置座標ごとのモダリティが検出した信号値により生成されるモダリティ画像とマスク画像とを合成した合成画像、およびモダリティ画像とマスク画像を重畳させた重畳画像の少なくともいずれかを含む。
【0049】
図8は分類モデルを用いて第2スライス補間モデルを構築するための学習を説明するための図である。
図8に示すように、第2スライス補間モデルを構築するために、劣化器40、生成器41および判別器42に加えて、分類モデル43が使用される。劣化器40、生成器41および判別器42については
図5に示したものと同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0050】
分類モデル43は、学習用3次元MRI画像MR0が入力されると、学習用3次元MRI画像MR0に含まれる解剖構造を分類することにより解剖構造の分類結果を導出する。さらに分類モデル43は、同一の解剖構造に分類された画素をラベリングすることにより、解剖構造の分類結果を表すマスクMMR0を導出する。また、分類モデル43は、学習用3次元MRI画像MR0に基づいて生成器41が出力した学習用疑似3次元MRI画像MF2が入力されると、学習用疑似3次元MRI画像MF2に含まれる解剖構造を分類することにより、解剖構造の分類結果を導出する。さらに分類モデル43は、同一の解剖構造に分類された画素をラベリングすることにより、解剖構造の分類結果を表すマスクMMF2を導出する。マスクMMR0が本開示の第1分類結果の一例であり、マスクMMF2が本開示の第2分類結果の一例である。
【0051】
学習部22は、マスクMMR0とマスクMMF2との差分を損失L2として導出する。そして学習部22は、損失L1および損失L2の双方が小さくなるように、生成器41の転移学習を行う。すなわち、損失L1および損失L2のそれぞれが、予め定められたしきい値未満となるように、生成器41の転移学習を行って、第2スライス補間モデルを構築する。
【0052】
次いで、本実施形態による学習装置が行う処理について説明する。
図9は本実施形態による学習装置が行う処理を示すフローチャートである。まず、情報取得部21が画像保管サーバ3から学習用3次元MRI画像MR0を取得する(ステップST1)。そして、学習部22が学習用3次元MRI画像MR0に基づいて生成器41すなわち第1スライス補間モデル31を転移学習することにより第2スライス補間モデルを構築し(ステップST2)、処理を終了する。
【0053】
このように、本実施形態による学習装置においては、学習用3次元MRI画像MR0を用いて第1スライス補間モデル31を転移学習することにより、2次元MRI画像をスライス補間した疑似3次元MRI画像を生成する第2スライス補間モデルを構築するようにした。このため、3次元MRI画像が存在する特定の部位以外の部位についても、2次元MRI画像があれば、特定の部位以外の部位についての疑似3次元MRI画像を取得することができる。
【0054】
また、学習用疑似2次元画像MF0に対してスライス補間する方向の軸に合わせて学習用疑似2次元画像MF0の軸の入れ替えを行い、軸が入れ替えられた学習用疑似2次元画像MF0を第1スライス補間モデル31すなわち生成器41に入力することにより、第1スライス補間モデル31がスライス補間の処理を行う方向に合わせて学習用疑似2次元MRI画像MF1を生成器41に入力することができる。このため、生成器41の転移学習を効率よく行うことができる。
【0055】
また、学習用3次元MRI画像MR0についてランダムにスライス間隔を変更した学習用疑似2次元MRI画像MF0を導出することにより、様々なスライス間隔の2次元MRI画像から疑似3次元MRI画像を導出できるように第1スライス補間モデル31の転移学習を行うことができる。
【0056】
また、学習用3次元MRI画像MR0のスライス面を表す情報を、学習時にメタ情報M0に含めて生成器41および/または判別器42に入力することにより、スライス面の特徴を考慮した疑似3次元MRI画像を導出可能なように、生成器41すなわち第1スライス補間モデル31の転移学習を行うことができる。
【0057】
また、分類モデルを使用して学習用3次元MRI画像MR0についてのマスクMMR0と、学習用疑似3次元MRI画像MF2についてのマスクMMF2とを導出し、マスクMMR0とマスクMMF2との差分が小さくなるように転移学習を行うことにより、より実画像に近い疑似3次元MRI画像を導出できるように第2スライス補間モデル32を構築することができる。
【0058】
次いで、本開示の画像処理装置について説明する。
図10は本実施形態による画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図10に示すように、画像処理装置4は、CPU61、ディスプレイ64、入力デバイス65、メモリ66、およびネットワークに接続されるネットワークI/F67を含む。CPU61、ディスプレイ64、入力デバイス65、メモリ66およびネットワークI/F67は、バス69に接続される。メモリ66は、記憶部63およびRAM68を含む。なお、CPU61は、本開示におけるプロセッサの一例である。CPU61、ディスプレイ64、入力デバイス65、メモリ66、およびネットワークI/F67は、
図2に示すCPU11、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16、およびネットワークI/F17に対応するため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、記憶部63には本実施形態による画像処理プログラム62、および本実施形態による学習装置1により構築された第2スライス補間モデル32が記憶される。
【0059】
図11は本実施形態による画像処理装置の機能的な構成を示す図である。
図11に示すように、本実施形態による画像処理装置4は、情報取得部71、補間部72および表示制御部73を備える。そして、CPU61が画像処理プログラム62を実行することにより、CPU61は、情報取得部71、補間部72および表示制御部73として機能する。
【0060】
情報取得部71は、ネットワーク5を介して、画像保管サーバ3から、処理対象となる第2表現形式の2次元画像を取得する。本実施形態においては、2次元MRI画像を取得する。
【0061】
補間部72は、本実施形態による学習装置1により構築された第2スライス補間モデル32を使用して、2次元MRI画像をスライス補間することにより疑似3次元MRI画像を導出する。この際、2次元MRI画像をそのまま第2スライス補間モデル32に入力してもよいが、第2スライス補間モデル32の学習時と同様に、第2スライス補間モデル32が出力する疑似3次元MRI画像のスライス間隔と一致させるように、2次元MRI画像に補間演算を行い、補間された2次元MRI画像を第2スライス補間モデル32に入力してもよい。導出された疑似3次元MRI画像は、ネットワーク5を介して画像保管サーバ3に送信され、保存される。
【0062】
表示制御部73は、補間部72が導出した疑似3次元MRI画像をディスプレイ64に表示する。
【0063】
次いで、本実施形態による画像処理装置において行われる処理について説明する。
図12は本実施形態による画像処理装置において行われる処理を示すフローチャートである。まず、情報取得部71が、処理対象となる2次元MRI画像を取得する(ステップST11)。そして、補間部72が、第2スライス補間モデル32を使用して2次元MRI画像から疑似3次元MRI画像を導出する(ステップST12)。そして、表示制御部73が疑似3次元MRI画像をディスプレイ64に表示し(ステップST13)、処理を終了する。
【0064】
このように、本実施形態による画像処理装置4は、本実施形態による学習装置1により構築された第2スライス補間モデル32を用いて2次元MRI画像から疑似3次元MRI画像を導出している。このため、実画像に遜色ない疑似3次元MRI画像を取得することができる。
【0065】
なお、本実施形態による画像処理装置4により導出された疑似3次元MRI画像を解析する解析装置を構築することが可能である。例えば、MRI画像に含まれる血管を抽出する解析装置を疑似3次元MRI画像に対して適用することが可能である。この場合、2次元MRI画像はスライス方向の間隔が大きいため、血管を連続して抽出することができなくなる可能性が高い。本実施形態による画像処理装置4により導出された疑似3次元MRI画像を用いることにより、連続して血管を抽出する解析可能となる。
【0066】
次いで、上述した分類モデルを構築するための学習装置を他の学習装置として説明する。上述したように、分類モデルは、3次元MRI画像に含まれる解剖構造をセグメンテーションして分類するためのものである。
【0067】
図13は本実施形態による他の学習装置のハードウェア構成を示す図である。
図13に示すように、他の学習装置7は、CPU81、ディスプレイ84、入力デバイス85、メモリ86、およびネットワークに接続されるネットワークI/F87を含む。CPU81、ディスプレイ84、入力デバイス85、メモリ86およびネットワークI/F87は、バス89に接続される。メモリ86は、記憶部83およびRAM88を含む。なお、CPU81は、本開示におけるプロセッサの一例である。CPU81、ディスプレイ84、入力デバイス85、メモリ86、およびネットワークI/F87は、
図2に示すCPU11、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16、およびネットワークI/F17に対応するため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、記憶部83には本実施形態による他の学習プログラム82が記憶される。
【0068】
図14は本実施形態による他の学習装置の機能的な構成を示す図である。
図14に示すように、本実施形態による他の学習装置7は、情報取得部91および学習部92を備える。そして、CPU81が他の学習プログラム82を実行することにより、CPU81は、情報取得部91および学習部92として機能する。
【0069】
情報取得部91は、ネットワーク5を介して、画像保管サーバ3から、学習に使用するための学習データを取得する。本実施形態による他の学習装置7は、上述したように3次元MRI画像に含まれる解剖構造を分類するための分類モデルを構築する。このため、情報取得部91は、MRI装置により被検体を3次元撮影により取得された実画像である実3次元MRI画像MR5および実3次元MRI画像MR5に基づいて導出されたマスクMMR5のペアを第1学習データ101として取得する。また、情報取得部91は、本実施形態による画像処理装置4により導出された疑似3次元MRI画像MF5および疑似3次元MRI画像MF5に基づいて取得されたマスクMMF5のペアを第2学習データ102として取得する。
【0070】
学習部92は、画像に含まれる解剖構造のセグメンテーションを行うための分類モデルを構築するために分類器の学習を行う。
図15は、分類モデルを構築するための分類器の学習を説明するための図である。分類器100は、例えば2次元の畳み込みニューラルネットワークからなり、入力された画像に含まれる解剖構造を分類する。分類器100は、入力された画像に含まれる各種解剖構造毎に解剖構造であることの確率を導出し、確率がしきい値以上の解剖構造をその解剖構造として分類する処理を行う。分類器100は、同一の解剖構造に分類された画素をラベリングすることにより、解剖構造の分類結果を表すマスクを導出する。分類器100の学習には、情報取得部91が取得した第1学習データ101および第2学習データ102が使用される。
【0071】
学習に際して、学習部92は、分類器100に第1学習データ101の実3次元MRI画像MR5を入力し、解剖構造の分類結果を表すマスクMMR6を導出する。また、学習部92は、分類器100に第2学習データ102の疑似3次元MRI画像MF5を入力し、解剖構造の分類結果を表すマスクMMF6を導出する。そして、学習部92は、マスクMMR5とマスクMMR6との相違、およびマスクMMF5とマスクMMF6との相違を損失L3として導出し、損失L3が予め定められたしきい値以下となるように、分類器100を学習することにより、分類モデルを構築する。
【0072】
損失L3は例えば、以下の式(1)または式(2)により導出することができる。正解データとはマスクMMR5またはマスクMMF5のデータであり、推論データとはマスクMMR6またはマスクMMF6のデータである。式(1)は二値のクロスエントロピーロスであり、式(2)はMSE(Means Square Error)である。式(1)、(2)において、左辺が損失L3である。また、式(1)、(2)において、実画像である実3次元MRI画像MR5に基づいて導出したマスクMMR6についての損失を導出する場合は、疑似3次元MRI画像MF5に基づいて導出したマスクMMF6についての損失を導出する場合よりも、重みwiを大きくする。これにより、より高精度で分類を行うように分類器100を学習することができる。
【0073】
【0074】
なお、多クラスの分類を行う場合には、下記の式(3)を用いて損失L3を導出してもよい。式(3)において、jが異なるクラス(例えば心臓と肺)を表し、wijはi番目のサンプルのj番目のクラスに対する重みである。
【数2】
【0075】
なお、分類器100の学習に際しては、実画像である実3次元MRI画像MR5を、疑似画像である疑似3次元MRI画像MF5よりも多く使用することが学習精度を高めるうえで好ましい。
【0076】
次いで、本実施形態による他の学習装置7が行う処理について説明する。
図16は本実施形態による他の学習装置が行う処理を示すフローチャートである。まず、情報取得部91が画像保管サーバ3から第1学習データ101および第2学習データ102を取得する(学習データ取得:ステップST21)。次いで、学習部92が、第1学習データ101および第2学習データ102を用いて分類器100の学習を行うことにより分類モデルを構築し(ステップST22)、処理を終了する。
【0077】
このように、本実施形態による他の学習装置7においては、本実施形態による画像処理装置1により導出した疑似3次元MRI画像を学習データとして使用している。これにより、学習データを増やすことができるため、画像に含まれる解剖構造を分類するための分類モデルを高精度に構築することができる。
【0078】
なお、上記他の学習装置の実施形態においては、第1学習データ101および第2学習データ102を分類器100の学習に使用しているが、これに限定されるものではない。本実施形態による画像処理装置1が導出した疑似3次元MRI画像を含む第2学習データ102のみを用いて学習を行うようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態において、例えば、情報取得部21、学習部22、情報取得部71、補間部72、表示制御部73、情報取得部91および学習部92といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0080】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0081】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0082】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0083】
以下、本開示の付記項を記載する。
(付記項1)
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、前記第1表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、前記第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、前記第2表現形式の2次元画像の入力により、前記第2表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する学習装置。
(付記項2)
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像のスライスを削減した学習用疑似2次元画像を導出し、前記学習用疑似2次元画像を前記第1スライス補間モデルに入力することにより前記第1スライス補間モデルに学習用疑似3次元画像を出力させ、前記学習用3次元画像と前記学習用疑似3次元画像との差分に基づいて、前記転移学習を行う付記項1に記載の学習装置。
(付記項3)
前記プロセッサは、前記学習用疑似2次元画像に対して前記スライス補間する方向の軸に合わせて前記学習用疑似2次元画像の軸の入れ替えを行い、前記軸が入れ替えられた前記学習用疑似2次元画像を前記第1スライス補間モデルに入力する付記項2に記載の学習装置。
(付記項4)
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像からランダムにスライス間隔を変更した前記学習用疑似2次元画像を導出する付記項2または3に記載の学習装置。
(付記項5)
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像が実画像か疑似画像かを判別するための判別器を使用して、前記判別器および前記第1スライス補間モデルに対して敵対的学習を行う付記項1から4のいずれか1項に記載の学習装置。
(付記項6)
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像のスライス面を表す情報を前記第1スライス補間モデルおよび前記判別器の少なくとも一方に入力する付記項5に記載の学習装置。
(付記項7)
前記プロセッサは、前記学習用3次元画像のスライス面の方向に応じて、前記学習用3次元画像の前記転移学習に使用する頻度を変更する付記項1から6のいずれか1項に記載の学習装置。
(付記項8)
前記プロセッサは、前記第2表現形式の3次元画像に含まれる解剖構造を分類する分類モデルを使用して、前記学習用3次元画像についての第1分類結果を導出し、
前記分類モデルを使用して、前記学習用3次元画像に基づいて前記第1スライス補間モデルが導出した学習用疑似3次元画像についての第2分類結果を導出し、
前記第1分類結果と前記第2分類結果との差分が小さくなるように前記転移学習を行う付記項1から7のいずれか1項に記載の学習装置。
(付記項9)
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
付記項1から8のいずれか1項に記載の学習装置により構築された前記第2スライス補間モデルを使用することにより、前記第2表現形式の2次元画像から前記第2表現形式の疑似3次元画像を導出する画像処理装置。
(付記項10)
前記プロセッサは、前記第2表現形式の2次元画像のスライス間隔を、前記疑似3次元画像のスライス間隔と一致させる補間演算を行い、
前記補間演算が行われた前記2次元画像を前記第2スライス補間モデルに入力することにより前記疑似3次元画像を導出する付記項9に記載の画像処理装置。
(付記項11)
第2表現形式の3次元画像に含まれる解剖構造を分類する分類モデルを構築するための学習を行う学習装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、付記項9または10に記載の画像処理装置により導出された前記疑似3次元画像を学習データとして使用して前記学習を行う学習装置。
(付記項12)
前記プロセッサは、撮影により取得された前記第2表現形式の実3次元画像をさらに学習データとして使用して前記学習を行う付記項11に記載の学習装置。
(付記項13)
前記プロセッサは、前記実3次元画像について、前記学習に使用する頻度を前記疑似3次元画像よりも多くして前記学習を行う付記項12に記載の学習装置。
(付記項14)
前記プロセッサは、前記実3次元画像について、前記学習に使用する際の重みづけを前記疑似3次元画像よりも大きくする付記項12または13に記載の学習装置。
(付記項15)
付記項9または10に記載の画像処理装置により導出された前記疑似3次元画像を解析する解析装置。
(付記項16)
コンピュータが、被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、前記第1表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、前記第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、前記第2表現形式の2次元画像の入力により、前記第2表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する学習方法。
(付記項17)
コンピュータが、付記項1から8のいずれか1項に記載の学習装置により構築された前記第2スライス補間モデルを使用することにより、前記第2表現形式の2次元画像から前記第2表現形式の疑似3次元画像を導出する画像処理方法。
(付記項18)
被検体の第1範囲を2次元撮影することにより取得された複数のスライス画像からなる第1表現形式の2次元画像の入力により、前記第1表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第1表現形式の疑似3次元画像を生成する第1スライス補間モデルを、前記第1範囲よりも狭い第2範囲を3次元撮影することにより取得された第2表現形式の学習用3次元画像を用いることによって転移学習することにより、前記第2表現形式の2次元画像の入力により、前記第2表現形式の2次元画像をスライス補間した前記第2表現形式の疑似3次元画像を生成する第2スライス補間モデルを構築する手順をコンピュータに実行させる学習プログラム。
(付記項19)
付記項1から8のいずれか1項に記載の学習装置により構築された前記第2スライス補間モデルを使用することにより、前記第2表現形式の2次元画像から前記第2表現形式の疑似3次元画像を導出する手順をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【符号の説明】
【0084】
1 学習装置
2 モダリティ
2A CT装置
2B MRI装置
4 画像処理装置
5 ネットワーク
7 他の学習装置
11、61、81 CPU
12 学習プログラム
13、63、83 記憶部
14、64、84 ディスプレイ
15、65、85 入力デバイス
16、66、86 メモリ
17、67、87 ネットワークI/F
18、68、88 RAM
19、69、89 バス
21、71、91 情報取得部
22、92 学習部
31 第1スライス補間モデル
32 第2スライス補間モデル
40 劣化器
41 生成器
42 判別器
50 マスク
51、52 ラベル
62 画像処理プログラム
72 補間部
73 表示制御部
82 他の学習プログラム
100 分類器
101 第1学習データ
102 第2学習データ