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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152368
(43)【公開日】2025-10-09
(54)【発明の名称】粘着剤組成物および粘着剤層
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20251002BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20251002BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20251002BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20251002BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J4/02
C09J11/06
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054222
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】李 昇祐
(72)【発明者】
【氏名】西上 由紀
(72)【発明者】
【氏名】坂口 哲生
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004DB03
4J004EA05
4J004EA06
4J004FA08
4J040DF001
4J040DF031
4J040FA182
4J040GA05
4J040GA07
4J040HD30
4J040HD36
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA12
4J040KA13
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA26
4J040KA28
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA32
4J040KA35
4J040KA42
4J040LA01
4J040LA08
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】屈折率及び高温粘着耐久性に優れた光学用粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と遷移金属元素含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位とを有する(メタ)アクリル系ポリマーを含む、粘着剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と遷移金属元素含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位とを有する(メタ)アクリル系ポリマーを含む、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位に対する水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、0.8質量%以上15質量%以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位に対する遷移金属元素含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、0.05質量%以上8.5質量%以下である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、85万以上500万以下の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
粘度調整成分として、少なくとも一種の(メタ)アクリル系モノマー及び重合開始剤をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
光学用粘着剤組成物である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物から形成された粘着剤層。
【請求項8】
前記粘着剤層は70%以上96%以下のゲル分率を有する、請求項7に記載の粘着剤層。
【請求項9】
前記粘着剤層は1.47以上1.68以下の屈折率を有する、請求項7に記載の粘着剤層。
【請求項10】
基材と、該基材の主表面上に、請求項7に記載の粘着剤層とを、含む粘着剤シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、光学フィルムや画像表示素子等の光学部材を複数積層させた構造を有している。光学部材同士の積層には、粘着剤層が用いられることがあるが、この粘着剤層には、表示画像の視認性を妨害しない優れた透明性等の特性が要求される。また、光学部材として、屈折率が高い部材が用いられることがある。屈折率が高い光学部材と粘着剤層とを積層させた場合、光学部材と粘着剤層との屈折率差が生じ、光損失により表示画像の輝度が低下することがある。そのため、粘着剤層には屈折率を高くすることが求められている。
【0003】
特許文献1には、エチレン不飽和モノマー、アクリル酸、及びジルコニウムカルボキシルエチルアクリレートまたはフェノキシエチルアクリレートを含むアクリル粘着剤が記載されている。このアクリル粘着剤は、ディスプレイ用途に適する基本接着物性を有しながら、高い屈折率及び透明性を有し、ディスプレイ用フィルムとの屈折率差が減少することで、光損失による表示画像の輝度低下を防止するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2012-0012706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置は高温条件下に置かれることが多く、粘着剤層の特性には高温での耐久性が要求される。しかしながら、従来の高屈折率アクリル粘着剤は、屈折率、及び高温耐久性が、ともに不十分である。
【0006】
本発明は前記問題を解決するものであり、その目的とするところは、屈折率及び高温粘着耐久性に優れた粘着剤層を形成することができる粘着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を提供する。
[1]水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位と遷移金属元素含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位とを有する(メタ)アクリル系ポリマーを含む、粘着剤組成物。
【0008】
[2]前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位に対する水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、0.8質量%以上15質量%以下、好ましくは2質量%以上10質量%以下、より好ましくは3質量%以上6質量%以下である、態様1の粘着剤組成物。
【0009】
[3]前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位に対する遷移金属元素含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、0.05質量%以上8.5質量%以下、好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.9質量%以上4.7質量%以下である、態様1又は2の粘着剤組成物。
【0010】
[4]前記(メタ)アクリル系ポリマーは、85万以上500万以下、好ましくは90万以上350万以下、より好ましくは100万以上320万以下の重量平均分子量を有する、態様1~3のいずれかの粘着剤組成物。
【0011】
[5]粘度調整成分として、少なくとも一種の(メタ)アクリル系モノマー及び重合開始剤をさらに含む、態様1~4のいずれかの粘着剤組成物。
【0012】
[6]光学用粘着剤組成物である、態様1~5のいずれかの粘着剤組成物。
【0013】
[7]態様1~6のいずれかの粘着剤組成物から形成された粘着剤層。
【0014】
[8]前記粘着剤層は70%以上96%以下、好ましくは75%以上90%以下、より好ましくは80%以上87%以下のゲル分率を有する、態様7の粘着剤層。
【0015】
[9]前記粘着剤層は1.47以上1.68以下、好ましくは1.49以上1.64以下、より好ましくは1.53以上1.61以下の屈折率を有する、態様7又は8の粘着剤層。
【0016】
[10]基材と、該基材の主表面上に、態様7~9のいずれかの粘着剤層とを、含む粘着剤シート。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、屈折率及び高温粘着耐久性に優れた粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が提供される。本発明の粘着剤組成物を使用することで、屈折率及び高温粘着耐久性に優れた粘着剤層を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はここで説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができる。また、特定のパラメータについて、複数の上限値及び下限値が記載されている場合、これらの上限値及び下限値の内、任意の上限値と下限値とを組合せて好適な数値範囲とすることができる。
【0019】
<(メタ)アクリル系ポリマー>
本発明の粘着剤組成物は(メタ)アクリル系ポリマーを含む。(メタ)アクリル系ポリマーは、遷移金属含有(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位と水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位を含む。本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリロイル」などについても同様である。
【0020】
(メタ)アクリル系ポリマーは遷移金属含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含む。遷移金属としては、周期表における4族以上11族以下の金属元素が含まれる。かかる遷移金属は(メタ)アクリル系モノマーと錯体を形成して、多官能(メタ)アクリル系錯体化合物を形成することができる。多官能(メタ)アクリル系錯体化合物を含む原料混合物が重合することで、(メタ)アクリル系ポリマーがポリマー内架橋やポリマー間架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーの架橋密度が増大する。(メタ)アクリル系ポリマーは屈折率の高い遷移金属を含み、また(メタ)アクリル系ポリマーの架橋密度が高いため、当該ポリマーを含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層は屈折率が増大する。さらに、(メタ)アクリル系ポリマーは、多官能(メタ)アクリル系錯体化合物を含むことで凝集力が高くなるため、粘着剤層の高温耐久性が向上する。
【0021】
遷移金属含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ジルコニウム(メタ)アクリレート、ジルコニルジ(メタ)アクリレート、ジルコニウムブトキシド(メタ)アクリレート、ジルコニウムカルボキシエチル(メタ)アクリレート、ハフニウム(メタ)アクリレート、ハフニウムブトキシド(メタ)アクリレート、ハフニウムオキシドジ(メタ)アクリレート、ハフニウムカルボキシエチル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0022】
前記のうち、(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率を増大させ、高温耐久性を向上させる観点から、

[HC=CHCOOCHCHCOOZr4+
で表されるジルコニウムカルボキシエチルアクリレート、又は、式
[HC=CHCOOCHCHCOOHf4+
で表されるハフニウムカルボキシエチルアクリレート、又は両者を組み合わせたものを使用することが好ましい。
【0023】
遷移金属含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、屈折率と耐久の両立の観点から、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位を基準にして、例えば0.05質量%以上8.5質量%以下、好ましくは0.5質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.9質量%以上4.7質量%以下である。
【0024】
(メタ)アクリル系ポリマーは水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含む。水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含むことにより、水素結合により(メタ)アクリル系ポリマー間の凝集力や架橋密度があがる。その結果、得られる粘着剤層の屈折率及び高温粘着耐久性が向上する。
【0025】
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-又は3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシフェニル等を使用することができる。中でも、アルキル部位の炭素数が1~5のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル部位の炭素数が2~4の範囲であるものがより好ましい。
【0026】
前記のうち、重合性の観点や、粘着剤層の屈折率や高温耐久性の観点から、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸4-ヒドロキシフェニル、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを使用することが特に好ましい。
【0027】
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、粘着剤層の屈折率と高温耐久性の両立の観点から、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位を基準にして、例えば0.8質量%以上15質量%以下、好ましくは2質量%以上10質量%以下、より好ましくは3質量%以上6質量%以下である。
【0028】
(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含む。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環及びビフェニル環等が挙げられる。芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含むことにより、粘着剤層の屈折率が向上する。また、芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーはガラス転移温度が高いため、芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位を含むことで(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度が上がり、粘着剤層の高温耐久性が向上する。
【0029】
芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシ-3‐フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシフェニル、(メタ)アクリル酸4-ベンゾイルフェニル等のベンゼン環を有するもの;(メタ)アクリル酸2-ナフトエチル、(メタ)アクル酸2-ナフトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(4-メトキシ-1-ナフトキシ)エチル等のナフタレン環を有するもの;(メタ)アクリル酸ビフェニル、アクリル酸2-(2-ビフェニルイルオキシ)エチル等のビフェニル環を有するものを使用することができる。
【0030】
前記のうち、重合性の観点、及び粘着剤層の屈折率と耐久性の観点から、アクリル酸4-ヒドロキシフェニル、アクリル酸4-ベンゾイルフェニルを使用することが好ましい。
【0031】
芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、粘着剤層の屈折率及び高温耐久性の観点から、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位を基準にして、例えば0.5質量%以上19質量%以下、好ましくは1.0質量%以上5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上3質量%以下である。なお、分子内に水酸基と芳香環の両方を含む(メタ)アクリル系モノマーについては、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーとしても芳香環含有(メタ)アクリル系モノマーとしても取り扱う。
【0032】
(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば炭素数が1以上24以下、好ましくは4以上10以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、環状であってもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル系ポリマーとすることにより、光学部材に対して良好な密着性を有する粘着剤層が得られやすくなる。
【0033】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記のうち、(メタ)アクリル系ポリマーの凝集力を高める観点及び光学部材への密着性の観点から、アクリル酸ブチル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸イソノニルを使用することが好ましい。
【0035】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、粘着剤層の光学部材への密着性や高温耐久性の観点で、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位を基準にして、例えば55質量%以上95質量%以下、好ましくは、70質量%以上93質量%以下、より好ましくは80質量%以上90質量%以下ある。
【0036】
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。エチレン性不飽和カルボン酸に由来する構成単位を含むことにより水素結合により(メタ)アクリル系ポリマー間の凝集力や架橋密度があがる。そのことで、得られる粘着剤層の屈折率及び高温粘着耐久性が向上する。
【0037】
エチレン性不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量は、粘着剤層の光学部材への密着性や高温耐久性の観点で、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する全構成単位を基準にして、例えば10質量%以下、好ましくは、0.2質量%以上8質量%以下、より好ましくは5質量%以上7質量%以下である。
【0038】
(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることによって製造できる。(メタ)アクリル系モノマーの重合には公知の重合方法を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル系モノマー及び開始剤を含む原料混合物に紫外線等の活性エネルギー線を照射するか、原料混合物を加熱して、(メタ)アクリル系モノマーを重合させることができる。有機溶剤を使用せずに重合が可能であり、また短時間でポリマーの製造が可能であるという観点から、(メタ)アクリル系ポリマーの重合は、原料混合物に活性エネルギー線を照射して行うことが好ましい。活性エネルギー線としては、紫外線及び電子線等が挙げられ、好ましくは、紫外線である。原料混合物に含まれる(メタ)アクリル系モノマーは(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位になる。
【0039】
原料混合物は重合開始剤を含む。重合開始剤の種類は、原料混合物の重合方法に整合するように選択される。重合開始剤には、光重合開始剤及び熱重合開始剤等が含まれる。
【0040】
光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、(2,4-シクロペンタジエン-1-イル)[(1-メチルエチル)ベンゼン]-Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルとの混合物、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0041】
熱重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物、無機過酸化物等が挙げられる。アゾ系化合物としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
【0042】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0043】
無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられる。
【0044】
前記のうち、(メタ)アクリル系モノマーの重合速度や、(メタ)アクリル系ポリマーの重合率を高くする観点から、光重合開始剤を使用することが好ましく、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンを使用することが特に好ましい。
【0045】
重合開始剤の含有量は、原料混合物に含まれる(メタ)アクリル系モノマーの合計量を基準にして、例えば0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは1質量%以上8質量%以下、より好ましくは2質量%以上7質量%以下である。
【0046】
(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば85万以上500万以下、好ましくは90万以上350万以下、より好ましくは100万以上320万以下の重量平均分子量(Mw)を有する。メタアクリル系ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を使用して決定することができる。その際に、重量平均分子量を換算する標準物質としてポリスチレンを使用する。
【0047】
<粘着剤組成物>
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー、粘度調整成分、重合開始剤及び添加剤等を、常法に従って混合することで調製することができる。
【0048】
粘度調整成分は(メタ)アクリル系ポリマーの粘度が低下するように調整して、粘着剤シートに成形する作業を可能にするか、容易にする成分をいう。粘度調整成分は、粘度以外の(メタ)アクリル系ポリマーの特性、特に屈折率及び接着性に悪影響を与えないように、その種類及び含有量を調整する。
【0049】
粘度調整成分としては、例えば、揮発性有機溶媒、及びモノマーと重合開始剤との混合物等が挙げられる。中でもモノマーと重合開始剤との混合物は、粘着剤層の成形後に乾燥させる必要がなく、粘着剤層内で揮発物が発泡するおそれもないので、粘度調整成分として好ましい。
【0050】
粘度調整成分のモノマーとしては、前記の(メタ)アクリル系モノマーを使用することができる。
【0051】
中でも、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを含むことで、粘着剤層と光学部材との間の水素結合により、粘着剤層の接着性を向上させることができ、また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことで粘着剤組成物の塗工性が向上し、粘着剤層の均一性が良好なものとなるため、粘度調整成分として好ましい。
【0052】
粘度調整成分として好ましい水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーには、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等が含まれる。なかでも、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましい。
【0053】
粘度調整成分として好ましい(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル等が含まれる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の水素原子はアルコキシ基で置換されていてもよく、例えばアクリル酸2-メトキシエチルであってもよい。
【0054】
粘度調整成分として水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位となる水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーの種類と同じであっても異なっていてもよい。また、粘度調整成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含む場合、(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位となる(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの種類と同じであっても異なっていてもよい。
【0055】
前記モノマーの含有量は、粘着剤組成物を基準にして、例えば3質量%以上30質量%以下、好ましくは4質量%以上25質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
【0056】
粘着剤組成物におけるモノマーの含有量が3質量%未満であると粘着剤組成物の粘度が高すぎて均一な厚みの層状に成形しにくくなり、30質量%を超えると粘着剤組成物の粘度が低すぎて十分な厚みの層状に成形しにくくなる。
【0057】
前記水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、粘着剤層の耐久性や密着性の観点で、前記モノマーの合計量を基準にして、例えば3質量%以上74質量%以下、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上65質量%以下である。
【0058】
粘着剤組成物に含まれる重合開始剤としては、前記の重合開始剤を使用することができる。粘着剤組成物に含まれる重合開始剤は、(メタ)アクリル系ポリマーの原料混合物に含まれる重合開始剤と同一種類の重合開始剤であっても、異なる種類の重合開始剤であってもよい。
【0059】
前記重合開始剤の含有量は、粘着剤組成物を基準にして、例えば0.05質量%以上10質量%以下、好ましくは1質量%以上6質量%以下、より好ましくは1.5質量%以上4質量%以下である。
【0060】
粘着剤組成物における重合開始剤の含有量が0.05質量%未満であると、重合開始性が低下することがあり、10質量%を超えると、粘着剤層の耐久性が悪くなることがある。
【0061】
粘着剤組成物は、架橋剤、シランカップリング剤、架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、光散乱性微粒子、イオン性化合物等の帯電防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、(メタ)アクリル系ポリマーの特性、特に屈折率及び接着性に悪影響を与えないように、その種類及び含有量を調整する。
【0062】
架橋剤は、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。
【0063】
シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物が挙げられる。シランカップリング剤は、例えば、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物;
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;
3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物
等が挙げられる。
【0064】
<粘着剤シート(C)>
粘着剤組成物は、基材上に塗布し、要すれば乾燥させることにより、層状に成形することができる。粘着剤組成物又はその有機溶剤希釈液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
【0065】
粘着剤組成物が(メタ)アクリル系ポリマーに加え、(メタ)アクリル系モノマーと重合開始剤との混合物を含む場合は、基材上に塗布された粘着剤組成物に対して活性エネルギー線の照射処理又は加熱処理等を行って、モノマーを重合させる。それにより、基材の主表面上に層状に成形された前記粘着剤組成物を硬化させて粘着剤層を形成する。このようにして、基材と粘着剤層とを含む粘着剤シートが作製される。活性エネルギー線としては、紫外線及び電子線等が挙げられ、紫外線であることが好ましい。
【0066】
粘着剤層の厚みは、例えば1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上80μm以下、より好ましくは3μm以上60μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上30μm以下である。粘着剤シートの厚みが1μm未満であると粘着性が低下することがあり、100μmを超えると透明性が低下することがある。
【0067】
粘着剤層のゲル分率は、粘着剤層の高温耐久性の観点から、例えば70%以上96%以下、好ましくは75%以上90%以下、より好ましくは80%以上87%以下である。粘着剤層のゲル分率は、例えば、粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーの種類(例えば、水酸基含有(メタ)アクリル系ポリマーに由来する構成単位の種類や含有量、エチレン性不飽和カルボン酸に由来する構成単位の種類や含有量)、粘着剤組成物に含まれる開始剤や架橋剤の量、及び粘着剤組成物を硬化して粘着剤層を形成するときのUV光量や温度等によって調整することができる。ゲル分率は、後述する実施例に記載する方法によって測定することができる。
【0068】
粘着剤層の屈折率は、例えば1.47以上1.68以下、好ましくは1.49以上1.64以下、より好ましくは1.53以上1.61以下である。
となることがある。
【0069】
粘着剤層のヘイズ値は、例えば2.3%以下、好ましくは0.2%以上1.9%以下、より好ましくは0.24%以上1.5%以下である。粘着剤層のヘイズが2.3%を超えると散乱による光損失が大きくなり、表示画像の視認性が低下することがある。
【実施例0070】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。比較例5は特許文献1の実施例1に相当する具体例である。
【0071】
<性能評価方法>
実施例及び比較例の粘着剤層は、次の方法により特性試験を行った。
【0072】
(1)透明性評価
下記の実施例及び比較例において得た粘着剤シートから剥離フィルムを剥離し、スライドガラスに貼合し、粘着剤層/スライドガラス構成の試験サンプルを得た。この試験サンプルについて、反射・透過率計(村上色彩技術研究所社製、HR-100(商品名))を使用し、JISK-7136に準じてヘイズ値(%)を測定した。当該値からスライドガラス単体のヘイズ値(0.2%)を引いた値を、粘着剤層のヘイズ値とした。
【0073】
[透明性評価基準]
A(優): ヘイズ値が2%以下
B(劣): ヘイズ値が2%超過
【0074】
(2)屈折率評価
下記の実施例及び比較例において得た粘着剤シートから剥離フィルムを剥離し、粘着剤層を測定プレート上に貼合した。この粘着剤層について、25℃の雰囲気でナトリウムD線を照射し、アッベ屈折計(ATAGO社製、NAR-1T(商品名))を使用して屈折率を測定した。
【0075】
[屈折率評価基準]
A(優): 粘着剤層の屈折率が1.65超過
B(良): 粘着剤層の屈折率が1.48以上1.65以下
C(劣): 粘着剤層の屈折率が1.48未満
【0076】
(3)重量平均分子量(Mw)の測定
後述する(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw、ポリスチレン換算)を、移動相にテトラヒドロフランを用い、下記のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)により求めた。
【0077】
具体的には、被測定物である(メタ)アクリル系ポリマーを約0.05質量%の濃度テトラヒドロフランに溶解させ、SECに10μL注入した。移動相は、1.0mL/分の流量で流した。カラムとして、ポリマーラボラトリーズ製、PLgel MIXED-B(商品名)を用いた。検出器には、UV-VIS検出器、Agilent GPC(商品名)を用いた。
【0078】
(4)厚みの測定
厚みは、接触式膜厚測定装置(株式会社ニコン製「ZC-101」)を用いて測定した。
【0079】
(5)ゲル分率の測定
下記の実施例及び比較例において得た粘着剤シートを幅80mm×長さ80mmに切り出した後、切り出した粘着剤シートに含まれる粘着剤層を試料とした。試料をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤を用いて秤量した。秤量した質量から前記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、試料のみの質量M1を算出した。次に、前記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤層を、室温下(23℃)で酢酸エチルに72時間浸漬し、試料を取り出した(以下、取り出した試料を「浸漬後の試料」という。)。浸漬後の試料を、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに120℃のオーブン中にて4時間乾燥させた後、その質量を精密天秤を用いて秤量した。秤量した質量から前記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、浸漬後の試料のみの質量M2を算出した。質量M1及び質量M2から、下記式にしたがってゲル分率を決定した。
【0080】
ゲル分率[%]=(M2/M1)×100
【0081】
(6)高温粘着耐久性(80℃)
下記の実施例及び比較例で得た粘着剤シートの一方の剥離フィルムを剥離し、厚み50μmのPETフィルムを貼合し、PETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム構成の積層体を得た。この積層体を、幅100mm×長さ100mmに切り出し、剥離フィルムを剥離してPETフィルム/粘着剤層構成とし(該構成を、試験片Aということもある)、粘着剤層を介して無アルカリガラス(サイズ10インチ)に貼合した。
【0082】
このサンプルを、オートクレーブ(50℃、0.5MPa気圧)中で約20分圧着処理し、恒温恒湿条件(23℃、50%RH)で4時間保持し、評価サンプルとした。評価サンプルの構成は、試験片A(PETフィルム/粘着剤層)/無アルカリガラス構成であった。評価サンプルを、温度80℃の環境下で100時間保管した後、試験片Aの角部分の剥れの有無を目視により確認し、以下の基準で判断した。
【0083】
[高温粘着耐久性評価基準]
A(優): 角から0.5mm未満の領域において、粘着剤層とガラスの間で剥れが認められる。
B(良): 角から0.5mm以上1mm未満の領域において、粘着剤層とガラスの間で剥がれが認められる。
C(劣): 角から1mm以上の領域において、粘着剤層とガラスの間で剥がれが認められる。
【0084】
<実施例1~8、比較例1~4>
1.(メタ)アクリル系ポリマーA1~A12の調製
冷却装置を設置した1Lの反応容器を準備した。この反応器に、窒素ガスを還流しながら、表1に示すモノマー成分を、表1に示す配合量で混合した混合物を投入した。次に、混合物を攪拌しながら、酸素を除去するために反応器内に窒素ガスを1時間還流した後、混合物の温度を60℃まで上昇させた。温度を60℃に維持した状態で、表1に示す光重合開始剤を、表1に示す配合量で投入し、攪拌しながらUVランプ(10mW)を照射して重合反応を進行させ、(メタ)アクリル系ポリマーA1~A13を得た。表1に示すモノマー成分の配合量は、モノマー成分の合計質量を基準とした質量割合(質量%)を示し、光重合開始剤の配合量は、モノマー成分の合計質量を基準とした質量割合(質量%)を示す。(メタ)アクリル系ポリマーA1~A12の重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
【0085】
2.粘着剤組成物B1~B12の調製
表2に示す(メタ)アクリル系ポリマー、モノマー成分、遷移金属成分、光重合開始剤及び硬化剤を、表2に示す量で混合し、粘着剤組成物B1~B13を製造した。表2に示す配合量は、前記混合成分の合計質量の質量を基準とした質量割合(質量%)を示す。
【0086】
3.粘着剤シートC1~C12の作製
剥離フィルムA(シリコーン離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレートフィルム)の離型処理面に、粘着剤層の厚みが表2に示す厚みとなるように粘着剤組成物B1~B12を塗布した。塗布層上に、剥離フィルムB(シリコーン離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレートフィルム)を離型処理面が塗布層と接触するように積層した後、UV照射を行い、剥離フィルムA/粘着剤層/剥離フィルムBの層構造を有する粘着剤シートC1~C12を作製した。UV照射の条件は、積算光量が400mJ/cm、照度が1.8mW/cm(UVV基準)となるように行った。得られた粘着剤シートC1~C13の粘着剤層を用いて、特性試験を行った。特性の評価結果を表4に示す。
【0087】
<比較例5>
(特許文献1の実施例1に相当)
1.(メタ)アクリル系ポリマーA13の調製
冷却装置を設置した1Lの反応容器を準備した。この反応器に、窒素ガスを還流しながら、溶剤として酢酸エチル125g及びメタノール25g、表1に示すモノマー成分、熱重合開始剤を、表1に示す配合量(モノマー成分と熱重合開始剤の合計量は100g)で混合した混合物を投入した。次に、混合物を攪拌しながら、酸素を除去するために反応器内に窒素ガスを1時間還流した後、混合物の温度を70℃まで上昇させた。温度を70℃に維持した状態で5時間反応させることにより、(メタ)アクリル系ポリマーA13を得た。表1に示すモノマー成分の配合量は、モノマー成分の合計質量を基準とした質量割合(質量%)を示し、光重合開始剤の配合量は、モノマー成分の合計質量を基準とした質量割合(質量%)を示す。(メタ)アクリル系ポリマーA13の重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
【0088】
2.粘着剤組成物B13の調製
(メタ)アクリル系ポリマーA13と硬化剤としてメチルアジリジン誘導体(NeoCryl CX-100) とを表2に示す量で混合し、粘着剤組成物B13を製造した。表2に示す配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー及び硬化剤の合計質量の質量を基準とした質量割合(質量%)を示す。表2に示す(メタ)アクリルポリマーの質量割合は、有効成分の量である。
【0089】
3.粘着剤シートC13の作製
剥離フィルムA(シリコーン離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレートフィルム)の離型処理面に、粘着剤組成物B13を塗布して、80℃で1分間乾燥させた。その上に剥離フィルムB(シリコーン離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレートフィルム)を離型処理面が塗布層と接触するように積層し、剥離フィルムA/粘着剤層/剥離フィルムBの層構造を有する粘着剤シートC13を作製した。粘着剤層の厚みは表2に示すとおりである。特性の評価結果を表3に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
表1及び表2における各略号の意味は、次のとおりである。
【0093】
(水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー)
4-HPMA:メタクリル酸4-ヒドロキシフェニル(東京化成工業株式会社より入手)
4-HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル(東京化成工業株式会社より入手)
【0094】
(遷移金属含有(メタ)アクリル系モノマー)
ZrCEA:ジルコニウムカルボキシエチルアクリラート(Sigma Aldrichより入手)
HfCEA:ハフニウムカルボキシエチルアクリラート(Sigma Aldrichより入手)
【0095】
((メタ)アクリル酸アルキルエステル)
BA:アクリル酸ブチル(東京化成工業株式会社より入手)
OA:アクリル酸n-オクチル(東京化成工業株式会社より入手)
2-EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル(東京化成工業株式会社より入手)
【0096】
(芳香環含有(メタ)アクリル系モノマー)
4-BPMA:メタクリル酸4-ベンゾイルフェニル(東京化成工業株式会社より入手)
AA:アクリル酸
【0097】
(光重合開始剤)
Omnirad 184:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.より入手)
【0098】
(熱重合開始剤)
AIBN:2,2’-アゾイソブチロニトリル(東京化成工業株式会社より入手)
【0099】
(硬化剤)
NeoCryl CX-100:メチルアジリジン誘導体(MAZ)(DSM Neoresin社より入手)
【0100】
(遷移金属成分)
ZrO:ジルコニア(東京化成工業株式会社より入手)
【0101】
【表3】