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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025152698
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20251002BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/00 715
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024054726
(22)【出願日】2024-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 康彦
(72)【発明者】
【氏名】益居 健介
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161BB03
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF43
4C161HH24
4C161LL02
4C161WW16
4C601BB06
4C601BB22
4C601FE02
4C601GB04
4C601HH21
(57)【要約】
【課題】先端部の小型化が可能な超音波内視鏡を提供なシステムを実現する。
【解決手段】挿入部の軸線方向に交差する第1方向に延びる振動子が湾曲状に複数配列されて構成された振動子アレイを有する超音波内視鏡と、上記振動子アレイを制御して得られる上記振動子アレイの出力信号に基づいて超音波画像を生成する処理を行うプロセッサと、を備え、上記第1方向にみた場合の上記振動子アレイの開き角度は、90度以上180度未満であり、上記プロセッサは、上記開き角度よりも大きい第1視野角の上記超音波画像を生成する第1制御を行うシステム。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の軸線方向に交差する第1方向に延びる振動子が湾曲状に複数配列されて構成された振動子アレイを有する超音波内視鏡と、
前記振動子アレイを制御して得られる前記振動子アレイの出力信号に基づいて超音波画像を生成する処理を行うプロセッサと、を備え、
前記第1方向にみた場合の前記振動子アレイの開き角度は、90度以上180度未満であり、
前記プロセッサは、前記開き角度よりも大きい第1視野角の前記超音波画像を生成する第1制御を行うシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記開き角度は、140度以上160度以下であるシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、
前記第1視野角は、前記開き角度より15度以上大きいシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
前記第1視野角は、180度以下であるシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記振動子アレイは、前記振動子が円の弧に沿って配列されて構成され、
前記プロセッサは、前記第1制御において、前記第1方向にみて、超音波ビームを生成する振動子グループにおける中心の前記振動子と前記円の中心とを結ぶ第3方向に交差する第2方向に前記超音波ビームを伝搬させる第1駆動制御を、前記振動子アレイの少なくとも一部に対して行うシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、少なくとも前記開き角度を超えた部分の前記超音波画像を生成する前記振動子アレイの領域に対して前記第1駆動制御を行うシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、
前記第2方向は、前記第3方向よりも前記挿入部の基端側の方向を含むシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
前記第2方向は、前記第3方向よりも前記挿入部の先端側の方向を含むシステム。
【請求項9】
請求項5に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記第1制御において、前記第1方向にみて、前記第3方向に超音波ビームを伝搬させる第2駆動制御を、前記振動子アレイの一部に対して行うシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
前記第2駆動制御を行う対象となる前記振動子アレイの一部は、前記振動子アレイの中心部であるシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
前記中心部は、前記振動子アレイの中心から±45度の範囲であるシステム。
【請求項12】
請求項5に記載のシステムであって、
前記プロセッサは、前記第1視野角よりも小さい第2視野角の前記超音波画像を生成する第2制御を更に行うシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記超音波画像の端縁に対応する超音波ビームを生成する振動子グループにより生成される超音波ビームは、前記第2制御の場合には、前記第1制御の場合よりも、前記振動子アレイの中心側に伝搬されるシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記超音波画像の両端縁に対応する超音波ビームを生成する振動子グループにより生成される超音波ビームの送信焦点と当該振動子グループの中心の振動子とを結ぶ線の延長線の交点は、前記第1制御の場合には、前記第2制御の場合よりも、前記超音波ビームの伝搬方向側に位置するシステム。
【請求項15】
請求項5に記載のシステムであって、
前記振動子アレイのチャンネル数は、96以上128以下であるシステム。
【請求項16】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記超音波内視鏡は、前記振動子アレイよりも基端側に設けられた観察窓を有し、
前記振動子アレイは、前記振動子が円の弧に沿って配列されて構成され、
前記第1方向にみて、前記観察窓は、前記挿入部の軸線に対して傾斜して設けられ、
前記円の中心と前記振動子アレイにおける前記挿入部の基端側の端の前記振動子とを結ぶ直線と前記軸線とのなす第1角度は、前記観察窓と前記軸線とのなす第2角度以上となっているシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記第2角度は、前記第1方向にみて、前記第1制御が行われる場合の前記振動子アレイから生成される前記挿入部の基端側の端の第1超音波ビームの伝搬方向と前記軸線方向とのなす第3角度以上となっているシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
前記第1方向にみて、前記第3角度は、前記振動子アレイにおける前記第1超音波ビームを生成する振動子グループの中心の前記振動子から前記伝搬方向に延びる直線が前記観察窓と非交差となる角度となっているシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
前記円の中心と前記振動子アレイの中心とを結ぶ直線と前記軸線とのなす第4角度は、45度以上55度以下であり、
前記第2角度は、35度以上50度以下であるシステム。
【請求項20】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記超音波内視鏡は、前記振動子アレイよりも基端側に設けられた観察窓を有し、
前記第1方向にみて、前記挿入部の軸線に垂直な方向における前記振動子アレイの一端縁が前記観察窓の観察視野に入るシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、
前記第1方向にみて、前記振動子アレイの中心が前記観察窓の観察視野の両端を構成する光線の間に入るシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、
前記第1方向にみて、前記一端縁よりも前記軸線側と反対側に、前記観察視野の中心が位置するシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、
前記超音波内視鏡は、前記観察窓を含む撮像光学系と、前記撮像光学系を通して撮像を行う撮像部とを含む撮像モジュールと、前記撮像光学系及び前記撮像部を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記撮像光学系が挿通される孔部と、前記撮像部を取り囲む側面と、を含み、
前記側面と前記撮像部との間には隙間が形成されているシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムであって、
前記隙間の第1距離は、前記孔部の内周面と前記撮像光学系の外周面との間の第2距離よりも大きいシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、
前記撮像光学系は、光軸に垂直な方向の位置が前記孔部にて位置決めされているシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、
前記振動子アレイにおける前記挿入部の基端側の端縁と前記観察窓との前記軸線方向の距離は、10mm以下であるシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、
前記超音波内視鏡は、前記振動子アレイよりも基端側に設けられた照明窓を有し、
前記第1方向にみて、前記照明窓の中心線は、前記一端縁よりも前記軸線側と反対側に位置するシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムであって、
前記軸線方向にみて、前記観察窓と前記照明窓は同じ方向に偏心して設けられているシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、
前記超音波内視鏡は、処置具の導出口を有し、先端側から、前記振動子アレイ、前記観察窓、前記導出口がこの順に並んで設けられているシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3には、コンベックスタイプの超音波内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/161497号
【特許文献2】国際公開第2018/079792号
【特許文献3】国際公開第2021/166985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、先端部の小型化が可能な超音波内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る一つの実施形態のシステムは、挿入部の軸線方向に交差する第1方向に延びる振動子が湾曲状に複数配列されて構成された振動子アレイを有する超音波内視鏡と、上記振動子アレイを制御して得られる上記振動子アレイの出力信号に基づいて超音波画像を生成する処理を行うプロセッサと、を備え、上記第1方向にみた場合の上記振動子アレイの開き角度は、90度以上180度未満であり、上記プロセッサは、上記開き角度よりも大きい第1視野角の上記超音波画像を生成する第1制御を行う、ものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、先端部の小型化が可能な超音波内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の技術の一実施形態である超音波内視鏡12を使用する超音波検査システム10の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、図1に示す先端部40の部分拡大平面図である。
図3図3は、図2に示す先端部40を先端側から見た正面図である。
図4図4は、図2に示す先端部40を右側から見た側面図である。
図5図5は、撮像モジュール60及び信号ケーブル80を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、振動子アレイ50の第2駆動制御を説明するための模式図である。
図7図7は、図6に示す第2駆動制御を振動子アレイ50に設定される全ての振動子グループ51Gに対して行った場合に得られる受信データ群50Rに基づく超音波画像の一例を示す模式図である。
図8図8は、振動子アレイ50の第1駆動制御を説明するための模式図である。
図9図9は、図8に示す第2駆動制御を振動子アレイ50の一端縁E1側の端部に設定される振動子グループ51Gに対して行った場合に得られる受信データ群50Rに基づく超音波画像501の一例を示す模式図である。
図10図10は、振動子アレイ50の基端側の端部に設定する振動子グループ51Gに対して第1駆動制御を行い、それ以外の振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行う場合の超音波ビームの状態を説明する模式図である。
図11図11は、第2外装体412の内部構造を基端側から見た図である。
図12図12は、図11に示す第2外装体412の分解斜視図である。
図13図13は、図11を部分的に拡大して示す斜視図である。
図14図14は、孔部420とレンズ鏡胴62の大きさを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示の技術の一実施形態である超音波内視鏡12を使用する超音波検査システム10の一例を示す概略構成図である。超音波検査システム10は、システムを構成する。超音波検査システム10は、超音波内視鏡12と、超音波画像を生成する超音波用プロセッサ装置14と、内視鏡画像を生成する内視鏡用プロセッサ装置16と、体腔内を照明する照明光を超音波内視鏡12に供給する光源装置18と、超音波画像及び内視鏡画像を表示するモニタ20と、洗浄水等を貯留する送水タンク21aと、体腔内の吸引物を吸引する吸引ポンプ21bと、を備える。
【0009】
超音波内視鏡12は、被検体の体腔内に挿入される挿入部22と、挿入部22の基端部に連設され、術者が操作を行うための操作部24と、操作部24に一端が接続されたユニバーサルコード26とを有する。
【0010】
操作部24には、送水タンク21aからの送気送水管路(不図示)を開閉する送気送水ボタン28aと、吸引ポンプ21bからの吸引管路(不図示)を開閉する吸引ボタン28bとが並設される。操作部24には、一対のアングルノブ29と処置具挿入口30とが設けられる。
【0011】
ユニバーサルコード26の他端部には、超音波用プロセッサ装置14に接続される超音波用のコネクタ32aと、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される内視鏡用のコネクタ32bと、光源装置18に接続される光源用のコネクタ32cとが設けられる。超音波内視鏡12は、これらのコネクタ32a、32b、及び32cを介して、それぞれ超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16、及び光源装置18に着脱自在に接続される。コネクタ32cには、送水タンク21aに接続される送気送水用チューブ34aと、吸引ポンプ21bに接続される吸引用チューブ34bとが備えられる。
【0012】
挿入部22は、先端側から順に、超音波観察部36と光学観察部38とを有する先端部40と、先端部40の基端側に連設された湾曲部42と、湾曲部42の基端側と操作部24の先端側との間を連結する軟性部43とを有する。
【0013】
湾曲部42は、操作部24に設けられた一対のアングルノブ29を回動操作することにより、遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部40を所望の方向に向けることができる。
【0014】
超音波用プロセッサ装置14は、超音波観察部36の振動子アレイ50を制御して得られる振動子アレイ50の出力信号(超音波が放射された観察対象部位から反射されたエコー信号)に基づいて超音波画像を生成する処理を行う各種のプロセッサを含む。
【0015】
各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0016】
超音波用プロセッサ装置14は、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0017】
内視鏡用プロセッサ装置16は、光学観察部38において光源装置18からの照明光に照明された観察対象部位から取得された撮像画像信号を受信して取得し、取得した撮像画像信号に対して各種の処理を施して、モニタ20に表示される内視鏡画像を生成する。
【0018】
図1の例では、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16が、別々に設けられた2台の装置(コンピュータ)によって構成されている。ただし、これに限定されるものではなく、1台の装置によって超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16の双方が構成されてもよい。
【0019】
光源装置18は、光学観察部38を用いて体腔内の観察対象部位を撮像して撮像画像信号を取得するために、赤色光、緑色光及び青色光などの3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を発生させて、超音波内視鏡12内のライトガイド(不図示)等を伝搬し、光学観察部38の照明窓70(図2及び図3参照)から出射して体腔内の観察対象部位を照明する。
【0020】
モニタ20は、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16により生成された各映像信号を受けて超音波画像及び内視鏡画像を表示する。これらの超音波画像及び内視鏡画像の表示は、いずれか一方のみの画像を適宜切り替えてモニタ20に表示したり両方の画像を同時に表示したりすることも可能である。
【0021】
本実施形態では、一台のモニタ20に超音波画像及び内視鏡画像を表示するが、超音波画像表示用のモニタと、内視鏡画像表示用のモニタとが別々に設けられてもよい。また、モニタ20以外の表示形態、例えば、術者が携帯する端末のディスプレイに表示する形態にて超音波画像及び内視鏡画像を表示してもよい。
【0022】
図2は、図1に示す先端部40の部分拡大平面図である。図2には、挿入部22の軸線の方向として、基端側から先端側に向かう方向(以下、先端方向Frと記載)と、先端側から基端側に向かう方向(以下、基端方向Rrと記載)とが示されている。先端方向Frと基端方向Rrを総称して軸線方向とも記載する。また、軸線方向に直交する方向として、右方向Rと、右方向Rの反対方向である左方向Lとが示されている。右方向Rと左方向Lを総称して左右方向とも記載する。左右方向は、軸線方向に交差する第1方向を構成する。以下では、軸線方向及び左右方向に直交する方向の一方のうち、超音波の出射する側を上方向Uと記載し、その方向の他方を下方向Dと記載する。上方向Uと下方向Dを総称して上下方向とも記載する。図3は、図2に示す先端部40を先端側から見た正面図である。図4は、図2に示す先端部40を右側から見た側面図である。
【0023】
図2に示すように、先端部40には、先端側から、超音波画像を取得するための超音波観察部36と、内視鏡画像を取得するための光学観察部38と、穿刺針等の処置具の導出口91Aと、がこの順に並べて設けられている先端部40の外装体は、第1外装体411と、第1外装体411の基端側に設けられた第2外装体412と、を備える。第1外装体411には、超音波観察部36が設けられている。第2外装体412には、光学観察部38と、処置具の起上台90と、処置具挿入口30から挿入部22の内部に延びて設けられた処置具挿通路91の出口である導出口91Aと、が設けられている。
【0024】
光学観察部38は、観察窓61を含む撮像モジュール60と、ライトガイドからの光を照明する透明な樹脂やガラス等で構成された照明窓70と、信号ケーブル80(図5参照)等を備える。
【0025】
図5は、撮像モジュール60及び信号ケーブル80を模式的に示す斜視図である。撮像モジュール60は、観察窓61を構成する対物レンズを含むレンズ群を支持する円筒状のレンズ鏡胴62と、レンズ鏡胴62のレンズ群を通過した被写体光の向きを直角に曲げるプリズム63と、プリズム63の光出斜面に対向配置された撮像素子64と、撮像素子64の背面に設けられた撮像素子64の実装基板(図示省略)と、レンズ鏡胴62、プリズム63、撮像素子64、及び実装基板を一体的に支持するホルダ65と、ホルダ65に固定されたケーブル支持部66と、を備える。ケーブル支持部66は、撮像モジュール60に含まれる各種基板と電気的に接続された信号ケーブル80を支持している。信号ケーブル80は、コネクタ32bまで延びて内視鏡用プロセッサ装置16と接続される。
【0026】
レンズ鏡胴62とその内部のレンズ群によって撮像光学系が構成される。プリズム63、撮像素子64、及び撮像素子64の実装基板によって、この撮像光学系を通して撮像を行う撮像部が構成される。なお、ここでは、撮像素子64の配置の関係で、プリズム63を用いているが、プリズム63は必須ではなく省略することも可能である。
【0027】
図4に示すように、第2外装体412は、その上端部の先端面412Aが、挿入部22の軸線40Xに対して基端側に傾斜する傾斜面となっている。図2に示すように、先端面412Aには、観察窓61及び照明窓70が設けられている。観察窓61は、先端面412Aに設けられた孔部420(図12参照)内に設けられており、観察窓61の主平面は、先端面412Aと略平行になっている。このように、観察窓61は、軸線40Xに対して基端側に傾斜して設けられた構成となっている。
【0028】
図3には、軸線40Xを通り且つ上下方向に延びる分割線Sが示されている。図3に示すように先端部40を先端側からみて、先端部40を分割線Sで左右に2分割した場合に、観察窓61と照明窓70は、いずれも左側の分割領域に配置されている。換言すると、図3の正面視において、観察窓61は、左方向Lに偏心して設けられ、照明窓70は、観察窓61と同じ左方向Lに偏心して設けられている。
【0029】
図2に示すように、第2外装体412の上面には、観察窓61よりも基端側において矩形状の凹部412Bが設けられている。凹部412Bの基端側の側面には、導出口91Aが設けられている。凹部412Bの内部には起上台90が支持されている。起上台90は、その基端側端部を支点にして、上方向Uに起上できるように支持されている。なお、起上台90は必須ではなく省略することも可能である。
【0030】
超音波観察部36は、左右方向に延びる直方体形状の振動子51が湾曲状に複数配列されて構成された振動子アレイ50を有する。図4に示すように、振動子アレイ50は、外側に向けて凸円弧状に配列されている。図4には、振動子アレイ50に含まれる各振動子51からの距離が同一となる曲率中心52が示されている。振動子アレイ50に含まれる振動子51は、曲率中心52を中心とし且つ上記最短距離を半径とする円の円弧上に並べられている。
【0031】
図4の側面視において、凸円弧状の振動子アレイ50の一端縁E1は、曲率中心52よりも基端側に位置し、他端縁E2は、曲率中心52よりも先端側に位置している。本明細書では、曲率中心52と一端縁E1とを結ぶ線分と、曲率中心52と他端縁E2とを結ぶ線分とのなす角度を振動子アレイ50の開き角度50Aと定義する。
【0032】
開き角度50Aは、90度以上180度未満となっている。開き角度50Aが90度以上180度未満となっていることで、超音波ビームを十分に広い範囲に走査できると共に、第1外装体411のサイズ(例えば軸線方向の長さ)を小さくできる。第1外装体411のサイズが小さくなると、観察窓61によって被検体の部位を観察している状態で、その部位に先端部40を近づける場合でも、振動子アレイ50がその部位に接触するのを防ぐことができる。さらには、先端部の長さが短くなることにより、操作性の向上と操作時の被験者への負担が軽減される。超音波画像に求められる超音波ビームの走査範囲の大きさと先端部40の小型化の両立を考慮すると、開き角度50Aは、140度以上160度以下とすることが好ましい。
【0033】
振動子アレイ50に含まれる振動子51の数(チャンネル数)は、超音波画像の十分な解像度を得るためには96以上とすることが好ましく、先端部40の小型化のためには128以下とすることが好ましい。開き角度50Aが180度となる振動子アレイを持ち且つチャンネル数を96以上128以下とする超音波内視鏡と比較すると、本形態によれば、開き角度50Aが小さくなる分、振動子アレイ50における振動子51の密度を高くすることができ、超音波画像の画質向上が可能となる。
【0034】
図4には、先端面412Aの軸線40Xに対する傾斜角αが示されている。傾斜角αは第2角度を構成する。また、図4には、振動子アレイ50における振動子51の配列方向の中心50Cと曲率中心52とを結ぶ直線と軸線40Xとのなす角度θ1が示されている。角度θ1は第4角度を構成する。超音波内視鏡の実使用環境を想定すると、角度θ1(第4角度)は45度以上55度以下とすることがこのましく、傾斜角α(第2角度)は35度以上50度以下とすることが好ましい。
【0035】
図4には、観察窓61の観察視野610が示されている。観察視野610は、撮像モジュール60により適切な画質で撮像が可能な被写体の範囲である。観察視野610は、観察窓61の光軸61Cよりも一方側の端を規定する観察範囲上限61Aと、観察窓61の光軸61Cよりも他方側の端を規定する観察範囲下限61Bとで囲まれる範囲で定義される。光軸61Cは、観察視野610の中心に相当する。観察視野610の角度(撮像モジュール60の画角に相当)は、開き角度50A以下であることが好ましく、120度以上140度以下とすることがより好ましい。
【0036】
図4に示すように、振動子アレイ50の他端縁E2は、軸線40Xよりも下側に配置され、振動子アレイ50の一端縁E1は、軸線40Xよりも上側に配置されている。図4には、振動子アレイ50の上端縁50Uが示されている。上端縁50Uは、上下方向における振動子アレイ50の一端縁を構成する。図4の例では、一端縁E1は、上端縁50Uよりも基端側に位置し、他端縁E2は、この上端縁50Uよりも先端側に位置し、中心50Cは、上端縁50Uよりも先端側に位置している。
【0037】
上端縁50Uは、観察視野610に入っていることが好ましい。換言すると、観察視野610の観察範囲下限61Bは、上端縁50Uよりも下側に位置し、観察視野610の観察範囲上限61Aは、上端縁50Uよりも上側に位置することが好ましい。このようにすることで、第1外装体411の軸線方向の長さが小さくなる場合でも、撮像モジュール60によって、被検体と共に、振動子アレイ50の上端縁50U付近を撮像することができ、振動子アレイ50の位置を確認しながら被検体部位の観察が可能になる。
【0038】
また、図4に示すように、振動子アレイ50の中心50Cは、観察範囲上限61A及び観察範囲下限61Bの間に位置することが好ましい。観察範囲上限61A及び観察範囲下限61Bは、観察視野610の両端を構成する光線とも言うことができる。図4の例では、中心50Cの下側に、観察範囲下限61Bが位置する構成となっている。このようにすることで、超音波内視鏡12における撮像モジュール60の組み付け誤差等によって観察視野610が変化する場合でも、振動子アレイ50の上端縁50U付近を撮像画像の適切な位置に配置することができる。
【0039】
また、図4に示すように、観察窓61の光軸61Cは、上端縁50Uよりも上側に位置することが好ましい。このようにすることで、中心50Cと対向する被検体部位を撮像画像の中央におさめやすくなり、振動子アレイ50の操作性を向上できる。
【0040】
図4には、一端縁E1と観察窓61との前後方向の距離D1が示されている。距離D1は、先端部40の長さを短縮するために、10mm以下とすることが好ましい。
【0041】
照明窓70の中心線70Cは、一端縁E1よりも上側に位置していることが好ましい。このようにすることで、振動子アレイ50の上端縁50Uとその先の被検体部位を撮像する場合に、被検体部位を十分に照明することができ、撮像画像の明るさを確保できる。
【0042】
超音波用プロセッサ装置14は、振動子アレイ50の駆動制御として、第1駆動制御と第2駆動制御を行う。以下、この第1駆動制御と第2駆動制御について説明する。
【0043】
図6は、振動子アレイ50の第2駆動制御を説明するための模式図である。図6では、湾曲状の振動子アレイ50を左右方向にみた状態を示している。
【0044】
超音波用プロセッサ装置14は、連続して並ぶ複数(図6の例では5つ)の振動子51を振動子グループ51Gとし、その振動子グループ51Gに属する振動子51を所定の遅延関係をもって励振することにより、超音波ビーム50Tを形成する。超音波ビーム50Tは、設定された深さに形成された送信焦点50Fを有する。図6に示す第2駆動制御では、振動子グループ51Gに含まれる複数の振動子51のうちの中心にある振動子51と曲率中心52とを結ぶ直線50Lの延長線上に送信焦点50Fが位置するように、超音波ビーム50Tが形成される。超音波ビーム50Tにおいて、送信焦点50Fよりも浅い側(上側)及び深い側(下側)は徐々に広がっている。なお、図6において、超音波ビーム50Tは模式的に描かれている。
【0045】
超音波ビーム50Tの反射波が振動子グループ51Gによって受波されると、この振動子グループ51Gから受信信号群が得られる。超音波用プロセッサ装置14は、この受信信号群を処理することで、受信データ群50Rを得る。受信データ群50Rは、直線50Lの延長線上に並ぶ複数の受信点(サンプル点)に対応する複数の受信データ(エコーデータ)50rからなるものである。このように、1つの振動子グループ51Gによって受信データ群50Rが得られる。振動子グループ51Gを構成する中心の振動子51の位置を1つずつずらしながら、同様の駆動制御を行うことで、1走査面分つまり1フレーム分に相当する複数の受信データ群50Rが得られる。
【0046】
本明細書では、受信データ群50Rが得られる超音波ビーム50Tの伝搬方向を、その受信データ群50Rに対応する複数の受信点の並ぶ方向として定義する。図6に示す第2駆動制御では、振動子グループ51Gに含まれる複数の振動子51のうちの中心にある振動子51と曲率中心52とを結ぶ方向(この方向が第3方向を構成)と、超音波ビーム50Tの伝搬方向(受信データ50rの並ぶ方向)とが一致するように、超音波用プロセッサ装置14が振動子グループ51Gを駆動制御する。
【0047】
図7は、図6に示す第2駆動制御を振動子アレイ50に設定される全ての振動子グループ51Gに対して行った場合に得られる受信データ群50Rに基づく超音波画像の一例を示す模式図である。
【0048】
超音波画像500は、振動子アレイ50の一端縁E1に最も近い振動子グループ51Gにより生成される超音波ビーム50Tの受信データ群50Rに対応する画像ライン500Rrと、振動子アレイ50の他端縁E2に最も近い振動子グループ51Gにより生成される超音波ビーム50Tの受信データ群50Rに対応する画像ライン500Frとを含み、これらの間に、他の振動子グループ51Gにより生成される超音波ビーム50Tの受信データ群50Rに対応する画像ラインが存在する。本明細書では、画像ライン500Rrと画像ライン500Frとのなす角度のことを、超音波画像500の視野角500Aと定義する。第2駆動制御を振動子アレイ50に設定される全ての振動子グループ51Gに対して行った場合には、視野角500Aは、開き角度50Aよりも僅かに小さな角度となる。
【0049】
図8は、振動子アレイ50の第1駆動制御を説明するための模式図である。図8に示す第1駆動制御では、振動子グループ51Gに含まれる複数の振動子51の励振タイミングを制御することで、直線50Lの延長線から振動子51の配列方向へずれた位置に送信焦点50Fが位置するように、超音波ビーム50Tが形成される。したがって、図8に示す第1駆動制御では、超音波ビーム50Tの伝搬方向が、振動子グループ51Gに含まれる複数の振動子51のうちの中心にある振動子51と曲率中心52とを結ぶ方向(第3方向)に交差する方向(この方向が第2方向を構成)となる。図8の例では、超音波ビーム50Tの伝搬方向が、直線50Lの延びる方向(第3方向)に対して一端縁E1側に向いている。しかし、超音波ビーム50Tの伝搬方向を、直線50Lの延びる方向(第3方向)に対して他端縁E2側に向けることも可能である。
【0050】
例えば、振動子アレイ50の基端側の端部に設定する振動子グループ51Gに対して第1駆動制御(超音波ビーム50Tの伝搬方向を、直線50Lの延びる方向に対して一端縁E1側に向ける制御)を行い、それ以外の振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行うことで、全ての振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行う場合よりも、超音波の走査範囲を基端側に広げることができる。
【0051】
また、振動子アレイ50の先端側の端部に設定する振動子グループ51Gに対して第1駆動制御(超音波ビーム50Tの伝搬方向を、直線50Lの延びる方向に対して他端縁E2側に向ける制御)を行い、それ以外の振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行うことで、全ての振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行う場合よりも、超音波の走査範囲を先端側に広げることができる。
【0052】
また、振動子アレイ50の両端部に設定する振動子グループ51Gに対して第1駆動制御を行い、それ以外の中心部(例えば、振動子アレイ50の中心から±45度の範囲)に設定する振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行うことで、全ての振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行う場合よりも、超音波の走査範囲を基端側と先端側に広げることができる。
【0053】
振動子アレイ50に設定する全ての振動子グループ51Gに対して第1駆動制御を行うこともできる。この場合は、全ての振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行う場合よりも、超音波の走査範囲を基端側と先端側の少なくとも一方に広げたり、その走査範囲をずらしたりすることができる。
【0054】
図9は、図8に示す第2駆動制御を振動子アレイ50の一端縁E1側の端部に設定される振動子グループ51Gに対して行った場合に得られる受信データ群50Rに基づく超音波画像501の一例を示す模式図である。
【0055】
超音波画像501は、振動子アレイ50の一端縁E1に最も近い振動子グループ51Gから得られた受信データ群50Rに対応する画像ライン501Rrと、振動子アレイ50の他端縁E2に最も近い振動子グループ51Gから得られた受信データ群50Rに対応する画像ライン501Frとを含み、これらの間に、他の振動子グループ51Gから得られた受信データ群50Rに対応する画像ラインが存在する。画像ライン501Rrと画像ライン501Frとのなす角度が、超音波画像501の視野角501Aである。超音波画像501は、振動子アレイ50において第1駆動制御が行われた部分(開き角度50Aを超えた部分の超音波画像を生成する振動子アレイ50の領域)に対応する画像ラインの分、基端側において超音波画像500よりも画像が広がっている。
【0056】
視野角501Aは、視野角500Aよりも大きくなっている。視野角501Aは、開き角度50Aよりも大きくすることができる。開き角度50Aは、先端部40の小型化と超音波の走査範囲確保のために140度以上160度以下とすることが好ましいが、開き角度50Aをこの範囲に設定した場合でも、視野角が180度程度となる超音波画像を生成することができれば、開き角度50Aが180度となっている超音波内視鏡と同様の使用感を得ることができる。こういった観点から、視野角501Aは、開き角度50Aよりも15度以上大きくすることが好ましく、180度以下とすることが好ましい。
【0057】
このように、超音波用プロセッサ装置14は、開き角度50Aよりも大きい第1視野角(図9の例における視野角501A)の超音波画像を生成する第1制御と、この第1視野角よりも小さい第2視野角(図7の例における視野角500A)の超音波画像を生成する第2制御と、を行う。超音波用プロセッサ装置14は、第1制御においては、振動子アレイ50に対して第1駆動制御と第2駆動制御のうち少なくとも第1駆動制御を行う。超音波用プロセッサ装置14は、第2制御においては、振動子アレイ50の全体に対して第2駆動制御を行う。第1制御は、振動子グループ51Gに含まれる複数の振動子51のそれぞれに加える送信パルスの位相をずらすセクタ走査を振動子アレイ50の少なくとも一部に対して行う制御とも言うことができる。第1制御では、振動子グループ51Gから生成される超音波ビーム50Tの伝搬方向(図8における受信データ群50Rを示す直線の延びる方向)と、直線50Lとのなす角度を、振動子アレイ50の端縁に近いほど、大きくすることが好ましい。第2制御が振動子アレイ50の全体に対して第2駆動制御を行うものである場合には、第2制御は、開き角度50Aとほぼ同じ視野を観察するコンベックス走査を行う制御と言うことができる。
【0058】
これらの第1制御と第2制御は、操作部24に設けられたボタン等を操作することで切り替えられるようにすることが好ましい。超音波用プロセッサ装置14は、第1制御で得られる超音波画像と第2制御で得られる超音波画像のいずれかをモニタ20に表示し、どちらの制御で得られた超音波画像であるかを示す情報をモニタ20に更に表示することが好ましい。超音波用プロセッサ装置14は、操作部24の操作によって、第1制御から第2制御に変更した後、一定時間経過後に、操作部24の操作を受けることなく、第1制御に戻すようにしてもよい。逆に、超音波用プロセッサ装置14は、操作部24の操作によって、第2制御から第1制御に変更した後、一定時間経過後に、操作部24の操作を受けることなく、第2制御に戻すようにしてもよい。
【0059】
図10は、振動子アレイ50の基端側の端部に設定する振動子グループ51Gに対して第1駆動制御を行い、それ以外の振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行う場合の超音波ビームの状態を説明する模式図である。
【0060】
図10に示す直線L2は、振動子アレイ50の一端縁E1に最も近い振動子グループ51Gの中心の振動子51とその振動子グループ51Gから生成される超音波ビーム50Tの送信焦点50Fとを結ぶ直線の延長線を示す。図10に示す直線L3は、振動子アレイ50の他端縁E2に最も近い振動子グループ51Gの中心の振動子51とその振動子グループ51Gから生成される超音波ビーム50Tの送信焦点50Fとを結ぶ直線の延長線を示す。図10に示す直線L1は、振動子アレイ50の一端縁E1に最も近い振動子グループ51Gに対して第2駆動制御を行った場合の直線L2に相当する延長線を示す。
【0061】
直線L1と直線L3の交点は、曲率中心52と一致する。直線L2と直線L3の交点52Aは、曲率中心52よりも超音波ビームの伝搬方向側に寄った位置にずれている。このように、第2制御を行う場合の超音波画像の両端縁に対応する直線L1及び直線L3の交点の位置と、第1制御を行う場合の超音波画像の両端縁に対応する直線L2及び直線L3の交点の位置は異なっている。
【0062】
図4には、一端縁E1と曲率中心52を結ぶ線分と軸線40Xとのなす角度β1が示されている。角度β1は第1角度を構成する。この角度β1は、傾斜角α(第2角度)以上となっていることが好ましい。このようにすることで、振動子アレイ50の一端縁E1に観察窓61及び起上台90を近づけて配置でき、処置具を用いた処置を良好に行うことが可能となる。
【0063】
また、図4には、一端縁E1に最も近い振動子グループ51Gに対して第1駆動制御を行う場合に、その振動子グループ51Gから送出される超音波ビーム(以下、第1超音波ビームと記載)の伝搬方向を示す直線L4と、直線L4と軸線40Xとのなす角度β2とが示されている。角度β2は、第3角度を構成する。傾斜角α(第2角度)は、角度β2(第3角度)以上となっていることが好ましい。このように構成することで、観察窓61の死角を低減できる。また、角度β2(第3角度)は、直線L4が観察窓61と非交差となる角度に設定されることが好ましい。このようにすることで、第1超音波ビームが観察窓61に遮られるのを防ぐことができ、超音波画像の視野角を大きく広げることができる。
【0064】
図11は、第2外装体412の内部構造を基端側から見た図である。図12は、図11に示す第2外装体412の分解斜視図である。図13は、図11を部分的に拡大して示す斜視図である。図11から図13において、図5に示した信号ケーブル80の図示は省略されている。
【0065】
第2外装体412は、上側部材412Uと下側部材412Dが連結されて構成されている。撮像モジュール60のホルダ65及びケーブル支持部66は、上側部材412Uと下側部材412Dの間に形成された略直方体形状の収容空間421に収容されている。撮像モジュール60のレンズ鏡胴62は、上側部材412Uにおける収容空間421を形成する先端側且つ上側の壁面に貫通して設けられた円柱状の孔部420に挿通されている。レンズ鏡胴62は、観察窓61の光軸に垂直な方向の位置(すなわち径方向の位置)が孔部420にて位置決めされている。レンズ鏡胴62は、孔部420に挿通された状態で、接着剤などで孔部420に固着されている。このように、撮像モジュール60は、第2外装体412に支持されている。第2外装体412は、撮像モジュール60を支持する支持部材を構成する。
【0066】
レンズ鏡胴62は、孔部420に挿通されて孔部420に固着される前の状態では、孔部420内を、観察窓61の光軸周りに回動可能となっている。この状態では、レンズ鏡胴62は、その径方向には、孔部420内で移動不可に構成されている。レンズ鏡胴62を孔部420内で回動させることで、レンズ鏡胴62と一体化されている撮像素子の位置を変更できる。レンズ鏡胴62を孔部420内で回動させることで、撮像素子により撮像される撮像画像における振動子アレイ50の写る位置を調整することができる。
【0067】
図14は、孔部420とレンズ鏡胴62の大きさを説明するための模式図である。図14には、第2外装体412の孔部420付近を先端側から見た図と、撮像モジュール60を観察窓61の光軸方向に見た図とが示されている。
【0068】
孔部420の内径φ1は、レンズ鏡胴62の外径φ2よりも大きい。内径φ1から外径φ2を減算した値、すなわち、孔部420の内周面とレンズ鏡胴62の外周面との間の距離を第2距離と記載する。この第2距離は、上述したように、レンズ鏡胴62がその径方向には移動できないものの、その周方向には回動できる程度に小さな値となっている。
【0069】
レンズ鏡胴62が孔部420に挿通されて孔部420に固着される前の状態で、レンズ鏡胴62が孔部420内で回動すると、ホルダ65及びケーブル支持部66も連動して動くため、ホルダ65及びケーブル支持部66が動けるスペースを収容空間421に設ける必要がある。
【0070】
図13に示すように、収容空間421を形成する左壁面WL及び右壁面WRと、ホルダ65及びケーブル支持部66との間には、隙間CLが形成されている。隙間CLの距離(第1距離)は、上述した第2距離よりも大きい。左壁面WL及び右壁面WRは、それぞれ、撮像部を取り囲む側面を構成する。図11に示すように、隙間CLは、ケーブル支持部66の左右に設けられていることが好ましい。このように構成することで、レンズ鏡胴62をその周方向のどちらにでも同じ量だけ回動させることができる。
【0071】
以上説明してきたように、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。
【0072】
(1)
挿入部の軸線方向に交差する第1方向に延びる振動子が湾曲状に複数配列されて構成された振動子アレイを有する超音波内視鏡と、
上記振動子アレイを制御して得られる上記振動子アレイの出力信号に基づいて超音波画像を生成する処理を行うプロセッサと、を備え、
上記第1方向にみた場合の上記振動子アレイの開き角度は、90度以上180度未満であり、
上記プロセッサは、上記開き角度よりも大きい第1視野角の上記超音波画像を生成する第1制御を行うシステム。
【0073】
(2)
(1)に記載のシステムであって、
上記開き角度は、140度以上160度以下であるシステム。
【0074】
(3)
(1)又は(2)に記載のシステムであって、
上記第1視野角は、上記開き角度より15度以上大きいシステム。
【0075】
(4)
(1)から(3)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記第1視野角は、180度以下であるシステム。
【0076】
(5)
(1)から(4)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記振動子アレイは、上記振動子が円の弧に沿って配列されて構成され、
上記プロセッサは、上記第1制御において、上記第1方向にみて、超音波ビームを生成する振動子グループにおける中心の上記振動子と上記円の中心とを結ぶ第3方向に交差する第2方向に上記超音波ビームを伝搬させる第1駆動制御を、上記振動子アレイの少なくとも一部に対して行うシステム。
【0077】
(6)
(5)に記載のシステムであって、
上記プロセッサは、少なくとも上記開き角度を超えた部分の上記超音波画像を生成する上記振動子アレイの領域に対して上記第1駆動制御を行うシステム。
【0078】
(7)
(6)に記載のシステムであって、
上記第2方向は、上記第3方向よりも上記挿入部の基端側の方向を含むシステム。
【0079】
(8)
(6)又は(7)に記載のシステムであって、
上記第2方向は、上記第3方向よりも上記挿入部の先端側の方向を含むシステム。
【0080】
(9)
(5)から(8)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記プロセッサは、上記第1制御において、上記第1方向にみて、上記第3方向に超音波ビームを伝搬させる第2駆動制御を、上記振動子アレイの一部に対して行うシステム。
【0081】
(10)
(9)に記載のシステムであって、
上記第2駆動制御を行う対象となる上記振動子アレイの一部は、上記振動子アレイの中心部であるシステム。
【0082】
(11)
(10)に記載のシステムであって、
上記中心部は、上記振動子アレイの中心から±45度の範囲であるシステム。
【0083】
(12)
(5)から(11)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記プロセッサは、上記第1視野角よりも小さい第2視野角の上記超音波画像を生成する第2制御を更に行うシステム。
【0084】
(13)
(12)に記載のシステムであって、
上記超音波画像の端縁に対応する超音波ビームを生成する振動子グループにより生成される超音波ビームは、上記第2制御の場合には、上記第1制御の場合よりも、上記振動子アレイの中心側に伝搬されるシステム。
【0085】
(14)
(13)に記載のシステムであって、
上記超音波画像の両端縁に対応する超音波ビームを生成する振動子グループにより生成される超音波ビームの延長線の交点は、上記第1制御の場合には、上記第2制御の場合よりも、上記超音波ビームの伝搬方向側に位置するシステム。
【0086】
(15)
(1)から(14)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記振動子アレイのチャンネル数は、96以上128以下であるシステム。
【0087】
(16)
(1)から(15)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記超音波内視鏡は、上記振動子アレイよりも基端側に設けられた観察窓を有し、
上記振動子アレイは、上記振動子が円の弧に沿って配列されて構成され、
上記第1方向にみて、上記観察窓は、上記挿入部の軸線に対して傾斜して設けられ、
上記円の中心と上記振動子アレイにおける上記挿入部の基端側の端の上記振動子とを結ぶ直線と上記軸線とのなす第1角度は、上記観察窓と上記軸線とのなす第2角度以上となっているシステム。
【0088】
(17)
(16)に記載のシステムであって、
上記第2角度は、上記第1方向にみて、上記第1制御が行われる場合の上記振動子アレイから生成される上記挿入部の基端側の端の第1超音波ビームの伝搬方向と上記軸線方向とのなす第3角度以上となっているシステム。
【0089】
(18)
(17)に記載のシステムであって、
上記第1方向にみて、上記第3角度は、上記振動子アレイにおける上記第1超音波ビームを生成する振動子グループの中心の上記振動子から上記伝搬方向に延びる直線が上記観察窓と非交差となる角度となっているシステム。
【0090】
(19)
(17)又は(18)に記載のシステムであって、
上記円の中心と上記振動子アレイの中心とを結ぶ直線と上記軸線とのなす第4角度は、45度以上55度以下であり、
上記第2角度は、35度以上50度以下であるシステム。
【0091】
(20)
(1)から(19)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記超音波内視鏡は、上記振動子アレイよりも基端側に設けられた観察窓を有し、
上記第1方向にみて、上記挿入部の軸線に垂直な方向における上記振動子アレイの一端縁が上記観察窓の観察視野に入るシステム。
【0092】
(21)
(20)に記載のシステムであって、
上記第1方向にみて、上記振動子アレイの中心が上記観察窓の観察視野の両端を構成する光線の間に入るシステム。
【0093】
(22)
(20)又は(21)に記載のシステムであって、
上記第1方向にみて、上記一端縁よりも上記軸線側と反対側に、上記観察視野の中心が位置するシステム。
【0094】
(23)
(20)から(22)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記超音波内視鏡は、上記観察窓を含む撮像光学系と、上記撮像光学系を通して撮像を行う撮像部とを含む撮像モジュールと、上記撮像光学系及び上記撮像部を支持する支持部材と、を備え、
上記支持部材は、上記撮像光学系が挿通される孔部と、上記撮像部を取り囲む側面と、を含み、
上記側面と上記撮像部との間には隙間が形成されているシステム。
【0095】
(24)
(23)に記載のシステムであって、
上記隙間の第1距離は、上記孔部の内周面と上記撮像光学系の外周面との間の第2距離よりも大きいシステム。
【0096】
(25)
(24)に記載のシステムであって、
上記撮像光学系は、光軸に垂直な方向の位置が上記孔部にて位置決めされているシステム。
【0097】
(26)
(20)から(25)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記振動子アレイにおける上記挿入部の基端側の端縁と上記観察窓との上記軸線の方向の距離は、10mm以下であるシステム。
【0098】
(27)
(20)から(26)のいずれか1つに記載のシステムであって、
上記超音波内視鏡は、上記振動子アレイよりも基端側に設けられた照明窓を有し、
上記第1方向にみて、上記照明窓の中心線は、上記一端縁よりも上記軸線側と反対側に位置するシステム。
【0099】
(28)
(27)に記載のシステムであって、
上記軸線方向にみて、上記観察窓と上記照明窓は同じ方向に偏心して設けられているシステム。
【0100】
(29)
(28)に記載のシステムであって、
上記超音波内視鏡は、処置具の導出口を有し、先端側から、上記振動子アレイ、上記観察窓、上記導出口がこの順に並んで設けられているシステム。
【符号の説明】
【0101】
10 超音波検査システム
12 超音波内視鏡
14 超音波用プロセッサ装置
16 内視鏡用プロセッサ装置
18 光源装置
20 モニタ
21a 送水タンク
21b 吸引ポンプ
22 挿入部
24 操作部
26 ユニバーサルコード
28a 送気送水ボタン
28b 吸引ボタン
29 アングルノブ
30 処置具挿入口
32a,32b,32c コネクタ
34a 送気送水用チューブ
34b 吸引用チューブ
36 超音波観察部
38 光学観察部
40 先端部
40X 軸線
42 湾曲部
43 軟性部
50 振動子アレイ
50A 角度
50C 中心
50F 送信焦点
50L 直線
50R 受信データ群
50T 超音波ビーム
50U 上端縁
50r 受信データ
51 振動子
51G 振動子グループ
52 曲率中心
52A 交点
60 撮像モジュール
61 観察窓
61A 観察範囲上限
61B 観察範囲下限
61C 光軸
62 レンズ鏡胴
63 プリズム
64 撮像素子
65 ホルダ
66 ケーブル支持部
70 照明窓
70C 中心線
80 信号ケーブル
90 起上台
91 処置具挿通路
91A 導出口
411 第1外装体
412 第2外装体
412A 先端面
412B 凹部
412D 下側部材
412U 上側部材
420 孔部
421 収容空間
500,501 超音波画像
500A,501A 視野角
500Rr,500Fr,501Rr,501Fr 画像ライン
610 観察視野
D1 距離
L1,L2,L3,L4 直線
E1 一端縁
E2 他端縁
図1
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