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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153008
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】伸縮性を有する半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20251002BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 F
H05K1/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055257
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幹司
(72)【発明者】
【氏名】中田 充
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344BB02
5E344BB04
5E344CD01
5E344DD14
5E344EE17
(57)【要約】
【課題】伸縮自在な配線層の長さの違いによる配線抵抗の差を小さくすることによって、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】伸縮性樹脂基板2の非伸縮性樹脂基板3と対向する面側に、複数の非伸縮性樹脂基板3の隣り合うもの同士の間で伸縮自在に設けられた複数の配線層9a,9b,10a,10bと、複数の配線層9a,9b,10a,10bのうち、複数の非伸縮性樹脂基板3の周囲を囲む周辺領域Eに配置されると共に、周辺領域Eで延長された配線層9a,10bの端部と電気的に接続された非伸縮性配線基板11,12とを備え、周辺領域Eまで延長された配線層9a,10bは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各配線層9a,10bの長さに応じて各配線層9a,10bの断面積が異なっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な伸縮性樹脂基板と、
前記伸縮性樹脂基板の面上に並んで配置された複数の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の半導体素子と、
前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に、前記複数の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在に設けられた複数の配線層と、
前記複数の配線層のうち、前記複数の非伸縮性樹脂基板の周囲を囲む周辺領域に配置されると共に、前記周辺領域まで延長された配線層の端部と電気的に接続された非伸縮性配線基板とを備え、
前記周辺領域まで延長された配線層は、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各配線層の長さに応じて各配線層の断面積が異なっていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
【請求項2】
前記周辺領域まで延長された配線層は、前記周辺領域において、前記非伸縮性配線基板と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その断面積が相対的に大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項3】
前記周辺領域まで延長された配線層は、前記周辺領域において、前記非伸縮性配線基板と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その厚みが相対的に大きくなっていることを特徴とする請求項2に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項4】
前記配線層は、液体金属に金属粒子を分散させた流動性金属材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項5】
前記配線層は、前記伸縮性樹脂基板に埋め込まれた状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項6】
前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた絶縁層を備え、
前記配線層は、前記絶縁層に埋め込まれた状態で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項7】
前記非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で設けられた貫通電極を備え、
前記配線層は、前記貫通電極を介して前記半導体素子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項8】
前記貫通電極と電気的に接続されるように前記非伸縮性樹脂基板の前記伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた電極層を備え、
前記配線層は、前記電極層及び前記貫通電極を介して前記半導体素子と電気的に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項9】
前記非伸縮性樹脂基板の上に配置されて、前記半導体素子と電気的に接続される電極層を備え、
前記配線層は、前記電極層と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項10】
前記非伸縮性配線基板と電気的に接続されるフレキシブル配線基板を備え、
前記非伸縮性配線基板には、異方性導電フィルムを介して前記フレキシブル配線基板の接続端子が熱圧着により接合されることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項11】
前記伸縮性樹脂基板は、粘着性を有し、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板の粘着力により前記伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【請求項12】
前記伸縮性樹脂基板の前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた密着層を備え、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板に前記密着層を介して貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、伸縮性を有する半導体装置がある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。このような伸縮性を有する半導体装置は、球面や自由曲面などの3次元形状に変形可能な有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイや、感圧センサなどの電子デバイスの駆動に必要である。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、支持表面を有するフレキシブル基板と、曲面状内表面を有する半導体構造とを備え、曲面状内表面の少なくとも一部がフレキシブル基板の支持表面に結合されている伸縮性半導体素子が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、樹脂基板上に1つ又は複数の半導体素子を形成し、半導体素子を内側封止層で覆って構成した半導体搭載基材が、エラストマーからなる伸縮性樹脂フィルムに1つ又は複数埋設され、伸縮性樹脂フィルムに半導体素子に接続される導電回路が形成され、半導体搭載基材の周囲が外側封止層で覆われた伸縮性デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-281406号公報
【特許文献2】特開2015-149364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した伸縮性を有する半導体装置では、伸縮性を有する基板の上に薄膜トランジスタ(TFT)などの半導体素子を形成している。しかしながら、従来の半導体装置では、基板を伸縮させた際に、伸縮部となる基板と、非伸縮部となる半導体素子との間で剥離が生じ易く、半導体素子の特性が不安定となることがあった。
【0007】
また、基板を伸縮させた際に、伸縮する基板側の配線と、半導体素子側の電極との間で電気的な接続を維持することが困難となり、断線してしまうおそれがある。
【0008】
一方、上述した伸縮性を有する半導体装置では、基板の面上において引き回される配線の長さに応じて配線抵抗が変化することになる。このため、上述した配線が長くなるほど、配線抵抗が高くなり、半導体素子を駆動する際の信号遅延が発生することになる。さらに、基板の面上に配置される半導体素子の数が増加するほど、各半導体素子と接続される配線の長さの違いによって、上述した信号遅延によるバラツキの発生がより顕著なものとなる。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、伸縮自在な配線層の長さの違いによる配線抵抗の差を小さくすることによって、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ることを可能とした伸縮性を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 伸縮自在な伸縮性樹脂基板と、
前記伸縮性樹脂基板の面上に並んで配置された複数の非伸縮性樹脂基板と、
前記複数の非伸縮性樹脂基板の各々の面上に配置された複数の半導体素子と、
前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に、前記複数の非伸縮性樹脂基板の隣り合うもの同士の間で伸縮自在に設けられた複数の配線層と、
前記複数の配線層のうち、前記複数の非伸縮性樹脂基板の周囲を囲む周辺領域に配置されると共に、前記周辺領域まで延長された配線層の端部と電気的に接続された非伸縮性配線基板とを備え、
前記周辺領域まで延長された配線層は、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各配線層の長さに応じて各配線層の断面積が異なっていることを特徴とする伸縮性を有する半導体装置。
〔2〕 前記周辺領域まで延長された配線層は、前記周辺領域において、前記非伸縮性配線基板と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その断面積が相対的に大きくなっていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔3〕 前記周辺領域まで延長された配線層は、前記周辺領域において、前記非伸縮性配線基板と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その厚みが相対的に大きくなっていることを特徴とする前記〔2〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔4〕 前記配線層は、液体金属に金属粒子を分散させた流動性金属材料により形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔5〕 前記配線層は、前記伸縮性樹脂基板に埋め込まれた状態で配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔6〕 前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた絶縁層を備え、
前記配線層は、前記絶縁層に埋め込まれた状態で配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔7〕 前記非伸縮性樹脂基板を貫通した状態で設けられた貫通電極を備え、
前記配線層は、前記貫通電極を介して前記半導体素子と電気的に接続されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔8〕 前記貫通電極と電気的に接続されるように前記非伸縮性樹脂基板の前記伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた電極層を備え、
前記配線層は、前記電極層及び前記貫通電極を介して前記半導体素子と電気的に接続されていることを特徴とする前記〔7〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔9〕 前記非伸縮性樹脂基板の上に配置されて、前記半導体素子と電気的に接続される電極層を備え、
前記配線層は、前記電極層と電気的に接続されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔10〕 前記非伸縮性配線基板と電気的に接続されるフレキシブル配線基板を備え、
前記非伸縮性配線基板には、異方性導電フィルムを介して前記フレキシブル配線基板の接続端子が熱圧着により接合されることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔11〕 前記伸縮性樹脂基板は、粘着性を有し、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板の粘着力により前記伸縮性樹脂基板に貼着されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
〔12〕 前記伸縮性樹脂基板の前記伸縮性樹脂基板の前記非伸縮性樹脂基板と対向する面側に設けられた密着層を備え、
前記非伸縮性樹脂基板は、前記伸縮性樹脂基板に前記密着層を介して貼着されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の伸縮性を有する半導体装置。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、伸縮自在な配線層の長さの違いによる配線抵抗の差を小さくすることによって、伸縮による半導体素子への影響を軽減し、半導体素子の動作の安定化を図ることを可能とした伸縮性を有する半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図2図1中に示す囲み部分Aにおいて半導体装置の要部を拡大した平面図である。
図3図2中に示す線分B-Bによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図4図2中に示す線分C-Cによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図5図1中に示す線分D-Dによる半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図6】(A)図1中に示す線分E1-E1による半導体装置の要部を拡大した断面図、(B)図1中に示す線分E2-E2による半導体装置の要部を拡大した断面図、(C)図1中に示す線分E3-E3による半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図7】(A)図1中に示す線分F1-F1による半導体装置の要部を拡大した断面図、(B)図1中に示す線分F2-F2による半導体装置の要部を拡大した断面図、(C)図1中に示す線分F3-F3による半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図8図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図9図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図10図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図11図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図12図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図13図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図14図1に示す半導体装置の製造工程を順に説明するための断面図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示し、図2中に示す線分B-Bに対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示し、図2中に示す線分C-Cに対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図17】(A)図1中に示す線分E1-E1に対応した半導体装置の要部を拡大した断面図、(B)図1中に示す線分E2-E2に対応した半導体装置の要部を拡大した断面図、(C)図1中に示す線分E3-E3に対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図18】(A)図1中に示す線分F1-F1に対応した半導体装置の要部を拡大した断面図、(B)図1中に示す線分F2-F2に対応した半導体装置の要部を拡大した断面図、(C)図1中に示す線分F3-F3に対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図19】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示し、図2中に示す線分B-Bに対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図20】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示し、図2中に示す線分C-Cに対応した半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図21】第1の配線層及び第2の配線層の断面形状を例示した断面図である。
図22】第1の溝部及び第2の溝部に埋め込まれた第1の配線層及び第2の配線層の断面形状を例示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を半導体装置の面内における第1の方向Xとし、Y軸方向を半導体装置の面内における第1の方向Xとは直交する第2の方向Yとし、Z軸方向を半導体装置の面内に対して直交する第3の方向Zとして示すものとする。
【0015】
(第1の実施形態)
(半導体装置)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図7に示す伸縮性を有する半導体装置1Aの構成について説明する。
【0016】
なお、図1は、半導体装置1Aの構成を示す平面図である。図2は、図1中に示す囲み部分Aにおいて半導体装置1Aの要部を拡大した平面図である。図3は、図2中に示す線分B-Bによる半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図4は、図2中に示す線分C-Cによる半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図5は、図1中に示す線分D-Dによる半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図6(A)は、図1中に示す線分E1-E1による半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図6(B)は、図1中に示す線分E2-E2による半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図6(C)は、図1中に示す線分E3-E3による半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図7(A)は、図1中に示す線分F1-F1による半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図7(B)は、図1中に示す線分F2-F2による半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。図7(C)は、図1中に示す線分F3-F3による半導体装置1Aの要部を拡大した断面図である。
【0017】
本実施形態の半導体装置1Aは、図1図4に示すように、伸縮自在な伸縮性樹脂基板2と、伸縮性樹脂基板2の面内に並んで配置された複数の非伸縮性樹脂基板3と、非伸縮性樹脂基板3の各々の面上に配置された複数の半導体素子4とを備えている。
【0018】
本実施形態の半導体装置1Aでは、半導体素子4の一例として、発光ダイオード(LED)素子(以下、必要に応じて「LED素子4」という。)を伸縮性樹脂基板2の面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並べて配置した構成を例示している。
【0019】
伸縮性樹脂基板2は、粘着性を有するアクリル系粘着組成物を含むフィルム基板であり、その中でも、透明性や耐候性、耐熱性に優れ、凹凸面に対する追従性や曲面接着力及び保持力に優れたアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
【0020】
伸縮性樹脂基板2には、例えば、粘着性を有するアクリル系粘着組成物として、アクリロイル基及びメタクリロイル基を有するモノマーを50質量%以上の割合で含む粘着性を有するアクリル系ポリマーを用いることができる。また、伸縮性樹脂基板2は、粘着付与樹脂として、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂などを含む構成としてもよい。また、伸縮性樹脂基板2は、フィルム基板を構成する樹脂材料として、引張伸び率が100%以上の樹脂であり、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレンブタジエン樹脂などを用いることができる。また、伸縮性樹脂基板2の厚さは、0.005~1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.05~1mmである。
【0021】
伸縮性樹脂基板2の粘着力は、「JIS Z 0237」に基づいて測定される180°引き剥がし粘着力において、例えば、5N/20mm以上であることが好ましく、より好ましくは7N/20mm以上である。伸縮性樹脂基板2の粘着力の高さは、非伸縮性樹脂基板3との剥離を抑制し、一体化するために必要な要素であり、粘着力の上限については特に制限されるものではない。
【0022】
伸縮性樹脂基板2は、長寿命化及び耐久性の向上を図るため、伸縮させた後に元の形状への復元性があることが好ましい。具体的には、100%伸張させた後の復元率が70%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上である。復元率が低いと耐久性が得られにくくなる。復元率の調整は、アクリル系ポリマーの架橋度や平均分子量により調整することが知られており、この手法により調整が可能である。
【0023】
複数の非伸縮性樹脂基板3は、可撓性を有する樹脂(プラスチック)製のフィルム基板であり、伸縮性樹脂基板2の面内において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとにマトリックス状に並んで配置されている。また、各非伸縮性樹脂基板3は、上述した伸縮性樹脂基板2が有する粘着力によって、伸縮性樹脂基板2の一方の面(表面)側に貼着可能となっている。
【0024】
非伸縮性樹脂基板3には、例えば、ポリイミド(PI)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ナノセルロースなどを用いることができる。その中でも、半導体素子等の形成時に必要な熱焼成や薬液処理などに対する耐熱性や耐薬品性に優れたPIを用いることが好ましい。また、非伸縮性樹脂基板3の厚さは、0.1~100μmであることが好ましく、より好ましくは1~10μmである。
【0025】
また、非伸縮性樹脂基板3は、伸縮性樹脂基板2に密着層5を介して貼着されていることが好ましい。密着層5は、伸縮部となる伸縮性樹脂基板2と、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3との間の密着性を向上させるための層であり、非伸縮性樹脂基板3の伸縮性樹脂基板2と対向する面上に形成されている。
【0026】
密着層5には、例えば、酸化シリコン(SiO)膜や窒化シリコン(SiN)膜などの無機酸化膜、又はこれらの積層膜を用いることができる。また、密着層5の厚さは、5~200nmであることが好ましく、より好ましくは10~20nmである。
【0027】
LED素子4は、非伸縮性樹脂基板3の一方の面(上面)上に配置された第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されている。第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7には、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属又はそれらの合金、若しくはそれらの金属を2種類以上積層した導電膜を用いることができる。
【0028】
第1の上部電極層6と第2の上部電極層7とは、非伸縮性樹脂基板3の面上において互いに交差(本実施形態では直交)する第1の方向Xと第2の方向Yとに延在しながら、互いに立体的に交差するように配置されている。
【0029】
このため、第1の上部電極層6と第2の上部電極層7との互いに交差する位置には、第1の上部電極層6と第2の上部電極層7との間を電気的に絶縁する絶縁層8が設けられている。絶縁層8には、例えば、窒化シリコン(SiN)膜や酸化シリコン(SiO)などを用いることができる。
【0030】
LED素子4の一端は、第1の上部電極層6から幅方向に突出した電極部6aを介して第1の上部電極層6と電気的に接続されている。LED素子4の他端は、第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0031】
なお、本実施形態の半導体装置1Aでは、非伸縮性樹脂基板3の上に、LED素子4の少なくとも一部を覆う保護層(図示せず。)が設けられた構成としてもよい。保護層は、非伸縮性樹脂基板3の上に形成されるLED素子4の歪みを抑制し、LED素子4の特性を安定化させる効果を有している。
【0032】
保護層には、例えばエポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの有機膜を用いることができる。その中でも、1μm以上の厚膜化が可能であり、光によるパターン形成が可能な光反応性のエポキシ系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ネガ型のフォトレジスト材料であるSU-8などを用いることができる。また、保護層の厚みは、0.1~5μmであることが好ましく、より好ましくは1~2μmである。
【0033】
伸縮性樹脂基板2の一方の面(上面)上には、伸縮性を有する一対の第1の配線層9a,9b及び一対の第2の配線層10a,10bが設けられている。第1の配線層9a,9b及び第2の配線層10a,10bは、例えば、液体金属に金属粒子を分散させた流動性金属材料により形成されている。
【0034】
液体金属には、例えばガリウム(Ga)とインジウム(In)とを含む共晶合金や、GaとInと錫(Sn)とを含む共晶合金などを用いることができる。また、Gaを主成分として、InやSnの添加量を調整することで、融点を変更することが可能である。
【0035】
金属粒子には、例えばニッケル(Ni)やAu、Ag、Cu、Siなどを用いることができる。上述した液体金属は、原子間力が非常に強いため、表面エネルギーが高く、濡れ性が非常に悪い。そこで、上述した金属粒子を添加することで濡れ性を改善することが可能である。
【0036】
例えば、ガリウム(Ga)とインジウム(In)とを含む液体金属に、平均粒径が1~50μmのNi粒子を1~20質量%混合することで、ペースト状となり、印刷法による第1の配線層9a,9b及び第2の配線層10a,10bの形成が可能となる。
【0037】
一対の第1の配線層9a,9bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第1の方向Xにおいて隣り合うもの同士の間を電気的に接続するように、第1の方向Xに延在して設けられている。すなわち、一対の第1の配線層9a,9bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第1の方向Xにおいて隣り合うもの同士の間で共有されている。
【0038】
一方、一対の第2の配線層10a,10bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第2の方向Yにおいて隣り合うもの同士の間を電気的に接続するように、第2の方向Yに延在して設けられている。すなわち、一対の第2の配線層10a,10bは、複数の非伸縮性樹脂基板3の第2の方向Yにおいて隣り合うもの同士の間で共有されている。
【0039】
一対の第1の配線層9a,9bの一端側は、非伸縮性樹脂基板3の上に延長して配置されると共に、第1の上部電極層6と電気的に接続されている。一方、一対の第2の配線層10a,10bの一端側は、非伸縮性樹脂基板3の上に延長して配置されると共に、第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0040】
さらに、図1に示すように、第2の方向Yに並ぶ複数の第1の配線層9a,9bのうち、第1の方向Xの一方側から伸縮性樹脂基板2の側端部に向かって延長された各第1の配線層9aの端部は、互いに伸縮性樹脂基板2の端縁部に沿った中央部分に集合した後、第1の非伸縮性配線基板11と電気的に接続されている。
【0041】
一方、第1の方向Xに並ぶ複数の第2の配線層10a,10bのうち、第2の方向Yの一方側から伸縮性樹脂基板2の側端部に向かって延長された各第2の配線層10bの端部は、互いに伸縮性樹脂基板2の端縁部に沿った中央部分に集合した後、第2の非伸縮性配線基板12と電気的に接続されている。
【0042】
第1の非伸縮性配線基板11及び第2の非伸縮性配線基板12は、可撓性を有する樹脂(プラスチック)製のフィルム基板であり、上述した伸縮性樹脂基板2が有する粘着力によって、伸縮性樹脂基板2の一方の面(表面)側に貼着可能となっている。
【0043】
第1及び第2の非伸縮性配線基板11,12には、上記非伸縮性樹脂基板3と同じ材料を用いることができる。また、第1及び第2の非伸縮性配線基板11,12の厚さは、10~1000μmであることが好ましく、より好ましくは50~500μmであり、更に好ましくは100~200μmである。
【0044】
第1の非伸縮性配線基板11及び第2の非伸縮性配線基板12は、複数の非伸縮性樹脂基板3の周囲を囲む周辺領域Eに配置されている。本実施形態では、この周辺領域Eのうち、伸縮性樹脂基板2の面上の各々の端縁部に沿った中央部分に配置されている。
【0045】
周辺領域Eまで延長された各第1の配線層9aの端部は、第1の非伸縮性配線基板11の上まで延長して配置されると共に、第1の非伸縮性配線基板11の面上に並んで配置された各上部配線層11aと電気的に接続されている。同様に、周辺領域Eまで延長された各第2の配線層10bの端部は、第2の非伸縮性配線基板12の上まで延長して配置されると共に、第2の非伸縮性配線基板12の面上に並んで配置された各上部配線層12aと電気的に接続されている。
【0046】
一方、第1の非伸縮性配線基板11には、図1及び図5に示すように、外部接続用の第1のフレキシブル配線基板(以下、「第1のFPC」という。)13aが異方性導電フィルム(以下、「ACF」という。)14を介して電気的に接続されている。同様に、第2の非伸縮性配線基板12には、図1に示すように、伸縮性樹脂基板2の側端部よりも外側において、外部接続用の第2のフレキシブル配線基板(以下、「第2のFPC」という。)13bがACF14を介して電気的に接続されている。
【0047】
第1及び第2のFPC13a,13bを接続する場合、第1及び第2の非伸縮性配線基板11,12に対して、ACF14を介して第1及び第2のFPC13a,13bの各接続端子を押し付けながら熱圧着する。これにより、ACF14の圧着部分において、第1及び第2のFPC13a,13bが接合され、第1及び第2の非伸縮性配線基板11,12の各上部配線層11a,12aと第1及び第2のFPC13a,13bの各接続端子との間がACF14を介して電気的に接続された状態となる。
【0048】
本実施形態の半導体装置1Aは、図1図6及び図7に示すように、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第1の配線層9aの長さに応じて各第1の配線層9aの断面積が異なっている。
【0049】
具体的に、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、この周辺領域Eにおいて、第1の非伸縮性配線基板11と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その断面積が相対的に大きくなっている。具体的に、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、断面略矩形状を有し、第1の非伸縮性配線基板11と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その厚みが相対的に大きくなっている。
【0050】
本実施形態では、図1に示すように、周辺領域Eまで延長された6本の第1の配線層9aのうち、その中央に位置する2本の第1の配線層9aが相対的に最も短く、その両端に位置する2本の第1の配線層9aが相対的に最も長く、それらの各間に位置する2本の第1の配線層9aがそれらの中間の長さとなっている。
【0051】
この場合、相対的に最も短くなる中央の第1の配線層9aは、図6(A)に示すように、相対的に最も小さい厚みt1を有している。一方、相対的に最も長くなる両端の第1の配線層9aは、図6(C)に示すように、相対的に最も大きい厚みt3を有している。一方、相対的に中間の長さとなる各間の第1の配線層9aは、図6(B)に示すように、相対的にそれらの中間の厚みt2を有している。(t1<t2<t3)
【0052】
これにより、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第1の配線層9aの長さに応じて各第1の配線層9aの断面積が調整されている。
【0053】
同様に、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第2の配線層10bの長さに応じて各第2の配線層10bの断面積が異なっている。
【0054】
具体的に、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、この周辺領域Eにおいて、第2の非伸縮性配線基板12と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その断面積が相対的に大きくなっている。具体的に、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、断面略矩形状を有し、第2の非伸縮性配線基板12と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その厚みが相対的に大きくなっている。
【0055】
本実施形態では、図1に示すように、周辺領域Eまで延長された6本の第2の配線層10bのうち、その中央に位置する2本の第2の配線層10bが相対的に最も短く、その両端に位置する2本の第2の配線層10bが相対的に最も長く、それらの各間に位置する2本の第2の配線層10bがそれらの中間の長さとなっている。
【0056】
この場合、相対的に最も短くなる中央の第2の配線層10bは、図7(A)に示すように、相対的に最も小さい厚みt4を有している。一方、相対的に最も長くなる両端の第2の配線層10bは、図7(C)に示すように、相対的に最も大きい厚みt6を有している。一方、相対的に中間の長さとなる各間の第2の配線層10bは、図7(B)に示すように、相対的にそれらの中間の厚みt5を有している。(t4<t5<t6)
【0057】
これにより、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第2の配線層10bの長さに応じて各第2の配線層10bの断面積が調整されている。
【0058】
以上のような構成を有する本実施形態の半導体装置1Aでは、複数の非伸縮性樹脂基板3の隣り合うもの同士の間で伸縮性樹脂基板2が伸縮自在とされている。
【0059】
これにより、伸縮性樹脂基板2を第1の方向Xと第2の方向Yとに伸縮させた際に、LED素子4は、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3の上に設けられているため、このLED素子4に対する伸縮性樹脂基板2による伸縮の影響を軽減することが可能である。
【0060】
また、本実施形態の半導体装置1Aでは、上述した周辺領域Eまで延長された第1及び第2の配線層9a,10bの長さの違いによる配線抵抗の差を小さくすることによって、LED素子4を駆動する際の信号遅延によるバラツキの発生を抑制することが可能である。
【0061】
したがって、本実施形態の半導体装置1Aでは、伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることが可能である。
【0062】
(半導体装置の製造方法)
次に、上記半導体装置1Aの製造方法について、図8図14を参照しながら説明する。
なお、図8図14は、半導体装置1Aの製造工程を順に説明するための断面図である。また、図8図14では、図2中に示す線分B-Bに対応した断面図を示している。
【0063】
上記半導体装置1Aを製造する際は、先ず、図8に示すように、第1の支持基板51の上に、複数の非伸縮性樹脂基板3となる非伸縮性樹脂基材30を形成する。具体的には、第1の支持基板51にガラス基板を用い、この第1の支持基板51の上に、上述した非伸縮性樹脂基板3となるPIを含む塗液をスピンコートにより塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥(焼成)させることによって、PIフィルムからなる非伸縮性樹脂基材30を形成する。
【0064】
次に、図9に示すように、非伸縮性樹脂基材30の各非伸縮性樹脂基板3となる部分の周囲を、フォトリソグラフィー技術を用いたドライエッチング又はウェットエッチングにより除去することによって、複数の非伸縮性樹脂基板3を形成する。
【0065】
次に、図10に示すように、各非伸縮性樹脂基板3の上に、第1の上部電極層6、絶縁層8、第2の上部電極層7を形成する。
【0066】
次に、図11に示すように、複数の非伸縮性樹脂基板3の上に再剥離用フィルムテープ52を介して第2の支持基板53を貼り付ける。
【0067】
次に、図12に示すように、第1の支持基板51を剥離する。具体的には、レーザーリフトオフを用いて、第1の支持基板51側からレーザー光を照射し、複数の非伸縮性樹脂基板3と第1の支持基板51との界面をアブレーションすることによって、複数の非伸縮性樹脂基板3から剥離した第1の支持基板51を除去する。
【0068】
次に、図13に示すように、複数の非伸縮性樹脂基板3の上に密着層5を介して伸縮性樹脂基板2を貼着する。
【0069】
次に、図14に示すように、第2の支持基板53を再剥離用フィルムテープ52と共に、複数の非伸縮性樹脂基板3から剥離して除去する。その後、伸縮性樹脂基板2の上に、第1の非伸縮性配線基板11及び第2の非伸縮性配線基板12(図12において図示せず。)を配置する。また、伸縮性樹脂基板2の上に、上述した液体金属に金属粒子を分散させた流動性金属材料を用いて、第1の配線層9a,9b及び第2の配線層10a,10bを形成する。
【0070】
第1の配線層9a,9b及び第2の配線層10a,10bのパターン形成には、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソグラフィー印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、エアロゾルジェット印刷、ステンシル印刷などの印刷法や、ディスプレンサによる吐出法などを用いて、流動性金属材料を第1の配線層9a,9b及び第2の配線層10a,10bの形状にパターン形成することで、伸縮性を有する第1の配線層9a,9b及び第2の配線層10a,10bを形成することが可能である。
【0071】
その後、各非伸縮性樹脂基板3の第1の上部電極層6及び第2の上部電極層7と電気的に接続されるように、各非伸縮性樹脂基板3の上にLED素子4を実装する。
【0072】
また、第1の非伸縮性配線基板11及び第2の非伸縮性配線基板12の面上にACF14を配置した後、第1の非伸縮性配線基板11及び第2の非伸縮性配線基板12に対して、ACF14を介して第1のFPC13a及び第2のFPC13bを熱圧着により接合する。
以上の工程を経ることによって、上記図1に示す半導体装置1Aを作製することが可能である。
【0073】
本実施形態の半導体装置1Aの製造方法では、上述した伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることを可能とした半導体装置1Aを歩留まり良く製造することが可能である。
【0074】
(第2の実施形態)
(半導体装置)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図15図18に示す半導体装置1Bについて説明する。
【0075】
なお、図15は、半導体装置1Bの構成を示し、図2中に示す線分B-Bに対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図16は、半導体装置1Bの構成を示し、図2中に示す線分C-Cに対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図17(A)は、図1中に示す線分E1-E1に対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図17(B)は、図1中に示す線分E2-E2に対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図17(C)は、図1中に示す線分E3-E3に対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図18(A)は、図1中に示す線分F1-F1に対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図18(B)は、図1中に示す線分F2-F2に対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。図18(C)は、図1中に示す線分F3-F3に対応した半導体装置1Bの要部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記半導体装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0076】
本実施形態の半導体装置1Bは、図15及び図16に示すように、上記半導体装置1Aの構成とは、上記第1の上部電極層6と上記第1の配線層9a,9bとの間を電気的に接続する構成と、上記第2の上部電極層7と上記第2の配線層10a,10bとの間を電気的に接続する構成とが異なっている。
【0077】
具体的に、第1の上部電極層6の両端は、非伸縮性樹脂基板3を貫通して設けられた一対の第1の貫通電極15a,15bと電気的に接続されている。一対の第1の貫通電極15a,15bは、非伸縮性樹脂基板3を貫通する一対の第1の孔部16a,16bに埋め込まれた状態で設けられている。
【0078】
また、第2の上部電極層7の両端は、非伸縮性樹脂基板3を貫通して設けられた一対の第2の貫通電極17a,17bと電気的に接続されている。一対の第2の貫通電極17a,17bは、非伸縮性樹脂基板3を貫通する一対の第2の孔部18a,18bに埋め込まれた状態で設けられている。
【0079】
第1の貫通電極15a,15b及び第2の貫通電極17a,17bは、第1の孔部16a,16b及び第2の孔部18a,18bに、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属又はそれらの合金などの導電材料を埋め込むことによって形成されている。
【0080】
一対の第1の貫通電極15a,15bは、非伸縮性樹脂基板3の伸縮性樹脂基板2と対向する他方の面(下面)上に配置された一対の第1の下部電極層19a,19bと電気的に接続されている。また、一対の第2の貫通電極17a,17bは、非伸縮性樹脂基板3の伸縮性樹脂基板2と対向する面(下面)上に配置された一対の第2の下部電極層20a,20bと電気的に接続されている。
【0081】
第1の下部電極層19a,19b及び第2の下部電極層20a,20bには、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属又はそれらの合金、若しくはそれらの金属を2種類以上積層した導電膜を用いることができる。
【0082】
一対の第1の配線層9a,9bは、伸縮性樹脂基板2に断面略矩形状に形成された一対の第1の溝部21a,21bに埋め込まれた状態で配置されている。具体的に、各第1の配線層9a,9bは、上述した流動性金属材料をディスペンサ等を用いて、各第1の溝部21a,21bに充填することにより形成することが可能である。
【0083】
第1の配線層9a,9bは、第1の溝部21a,21bに埋め込まれることよって、流動性を有しながら、その形状を第1の溝部21a,21bの形状に合わせて保持することが可能である。
【0084】
一対の第1の配線層9a,9bは、一対の第1の下部電極層19a,19bと対向しながら、これら一対の第1の下部電極層19a,19bと電気的に接続されている。すなわち、各第1の配線層9a,9bの各第1の下部電極層19a,19bと対向する面は、各第1の下部電極層19a,19bと接触した状態となっている。
【0085】
これにより、一対の第1の配線層9a,9bは、一対の第1の下部電極層19a,19b及び一対の第1の貫通電極15a,15bを介して第1の上部電極層6と電気的に接続されている。
【0086】
一対の第2の配線層10a,10bは、伸縮性樹脂基板2に断面略矩形状に形成された一対の第2の溝部22a,22bに埋め込まれた状態で配置されている。具体的に、各第2の配線層10a,10bは、上述した流動性金属材料をディスペンサ等を用いて、各第2の溝部22a,22bに充填することにより形成することが可能である。
【0087】
第2の配線層10a,10bは、第2の溝部22a,22bに埋め込まれることよって、流動性を有しながら、その形状を第2の溝部22a,22bの形状に合わせて保持することが可能である。
【0088】
一対の第2の配線層10a,10bは、一対の第2の下部電極層20a,20bと対向しながら、これら一対の第2の下部電極層20a,20bと電気的に接続されている。すなわち、各第2の配線層10a,10bの各第2の下部電極層20a,20bと対向する面は、各第2の下部電極層20a,20bと接触した状態となっている。
【0089】
これにより、一対の第2の配線層10a,10bは、一対の第2の下部電極層20a,20b及び一対の第2の貫通電極17a,17bを介して第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0090】
本実施形態の半導体装置1Bは、図1図17及び図18に示すように、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第1の配線層9aの長さに応じて各第1の配線層9aの断面積が異なっている。
【0091】
具体的に、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、この周辺領域Eにおいて、第1の非伸縮性配線基板11と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その断面積が相対的に大きくなっている。具体的に、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、断面略矩形状を有し、第1の非伸縮性配線基板11と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その厚みが相対的に大きくなっている。
【0092】
本実施形態では、図1に示すように、周辺領域Eまで延長された6本の第1の配線層9aのうち、その中央に位置する2本の第1の配線層9aが相対的に最も短く、その両端に位置する2本の第1の配線層9aが相対的に最も長く、それらの各間に位置する2本の第1の配線層9aがそれらの中間の長さとなっている。
【0093】
この場合、相対的に最も短くなる中央の第1の配線層9aは、図17(A)に示すように、相対的に最も浅い深さt1を有する第1の溝部21aに埋め込まれることによって、相対的に最も小さい厚みt1を有している。一方、相対的に最も長くなる両端の第1の配線層9aは、図17(C)に示すように、相対的に最も深い深さt3を有する第1の溝部21aに埋め込まれることによって、相対的に最も大きい厚みt3を有している。一方、相対的に中間の長さとなる各間の第1の配線層9aは、図17(B)に示すように、相対的にそれらの中間の深さt2を有する第1の溝部21aに埋め込まれることによって、相対的にそれらの中間の厚みt2を有している。(t1<t2<t3)
【0094】
これにより、周辺領域Eまで延長された第1の配線層9aは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第1の配線層9aの長さに応じて各第1の配線層9aの断面積が調整されている。
【0095】
同様に、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第2の配線層10bの長さに応じて各第2の配線層10bの断面積が異なっている。
【0096】
具体的に、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、この周辺領域Eにおいて、第2の非伸縮性配線基板12と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その断面積が相対的に大きくなっている。具体的に、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、断面略矩形状を有し、第2の非伸縮性配線基板12と電気的に接続される端部までの長さが相対的に長いほど、その厚みが相対的に大きくなっている。
【0097】
本実施形態では、図1に示すように、周辺領域Eまで延長された6本の第2の配線層10bのうち、その中央に位置する2本の第2の配線層10bが相対的に最も短く、その両端に位置する2本の第2の配線層10bが相対的に最も長く、それらの各間に位置する2本の第2の配線層10bがそれらの中間の長さとなっている。
【0098】
この場合、相対的に最も短くなる中央の第2の配線層10bは、図18(A)に示すように、相対的に最も浅い深さt4を有する第2の溝部22bに埋め込まれることによって、相対的に最も小さい厚みt4を有している。一方、相対的に最も長くなる両端の第2の配線層10bは、図18(C)に示すように、相対的に最も深い深さt6を有する第2の溝部22bに埋め込まれることによって、相対的に最も大きい厚みt6を有している。一方、相対的に中間の長さとなる各間の第2の配線層10bは、図18(B)に示すように、相対的にそれらの中間の深さt5を有する第2の溝部22bに埋め込まれることによって、相対的にそれらの中間の厚みt5を有している。(t4<t5<t6)
【0099】
これにより、周辺領域Eまで延長された第2の配線層10bは、互いの配線抵抗の差が小さくなるように、各第2の配線層10bの長さに応じて各第2の配線層10bの断面積が調整されている。
【0100】
本実施形態の半導体装置1Bは、それ以外は、上記半導体装置1Aと基本的に同じ構成を有し、上記半導体装置1Aと基本的に同じ製造方法を用いて作製することが可能である。
【0101】
以上のような構成を有する本実施形態の半導体装置1Bでは、複数の非伸縮性樹脂基板3の隣り合うもの同士の間で伸縮性樹脂基板2が伸縮自在とされている。
【0102】
これにより、伸縮性樹脂基板2を第1の方向Xと第2の方向Yとに伸縮させた際に、LED素子4は、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3の上に設けられているため、このLED素子4に対する伸縮性樹脂基板2による伸縮の影響を軽減することが可能である。
【0103】
また、本実施形態の半導体装置1Bでは、上述した周辺領域Eまで延長された第1及び第2の配線層9a,10bの長さの違いによる配線抵抗の差を小さくすることによって、LED素子4を駆動する際の信号遅延によるバラツキの発生を抑制することが可能である。
【0104】
したがって、本実施形態の半導体装置1Bでは、伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることが可能である。
【0105】
(第3の実施形態)
(半導体装置)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図19及び図20に示す半導体装置1Cについて説明する。
【0106】
なお、図19は、半導体装置1Cの構成を示し、図2中に示す線分B-Bに対応した半導体装置1Cの要部を拡大した断面図である。図20は、半導体装置1Cの構成を示し、図2中に示す線分C-Cに対応した半導体装置1Cの要部を拡大した断面図である。また、以下の説明では、上記半導体装置1A,1Bと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0107】
本実施形態の半導体装置1Bは、図19及び図20に示すように、上記半導体装置1Bの構成のうち、第1の下部電極層19a,19b及び第2の下部電極層20a,20bを省略した構成である。
【0108】
本実施形態の半導体装置1Cにおいて、一対の第1の配線層9a,9bは、一対の第1の貫通電極15a,15bと対向しながら、これら一対の第1の貫通電極15a,15bと電気的に接続されている。すなわち、各第1の配線層9a,9bの各第1の貫通電極15a,15bと対向する面は、各第1の貫通電極15a,15bと接触した状態となっている。
【0109】
これにより、一対の第1の配線層9a,9bは、一対の第1の貫通電極15a,15bを介して第1の上部電極層6と電気的に接続されている。
【0110】
一方、一対の第2の配線層10a,10bは、一対の第2の貫通電極17a,17bと対向しながら、これら一対の第2の貫通電極17a,17bと電気的に接続されている。すなわち、各第2の配線層10a,10bの各第2の貫通電極17a,17bと対向する面は、各第2の貫通電極17a,17bと接触した状態となっている。
【0111】
これにより、一対の第2の配線層10a,10bは、一対の第2の貫通電極17a,17bを介して第2の上部電極層7と電気的に接続されている。
【0112】
さらに、本実施形態の半導体装置1Cは、上記半導体装置1Aの構成のうち、密着層5を省略し、上述した粘着性を有する伸縮性樹脂基板2の粘着力によって、複数の非伸縮性樹脂基板3が伸縮性樹脂基板2に貼着された構成である。
【0113】
本実施形態の半導体装置1Cは、それ以外は、上記半導体装置1A,1Bと基本的に同じ構成を有し、上記半導体装置1A,1Bと基本的に同じ製造方法を用いて作製することが可能である。
【0114】
以上のような構成を有する本実施形態の半導体装置1Cでは、複数の非伸縮性樹脂基板3の隣り合うもの同士の間で伸縮性樹脂基板2が伸縮自在とされている。
【0115】
これにより、伸縮性樹脂基板2を第1の方向Xと第2の方向Yとに伸縮させた際に、LED素子4は、非伸縮部となる非伸縮性樹脂基板3の上に設けられているため、このLED素子4に対する伸縮性樹脂基板2による伸縮の影響を軽減することが可能である。
【0116】
また、本実施形態の半導体装置1Cでは、上記半導体装置1Bと同様に、上述した周辺領域Eまで延長された第1及び第2の配線層9a,10bの長さの違いによる配線抵抗の差を小さくすることによって、LED素子4を駆動する際の信号遅延によるバラツキの発生を抑制することが可能である。
【0117】
したがって、本実施形態の半導体装置1Cでは、伸縮性樹脂基板2の伸縮によるLED素子4への影響を軽減し、LED素子4の動作の安定化を図ることが可能である。
【0118】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0119】
上記第1及び第2の配線層9a,9b,10a,10bの断面形状については、適宜変更することが可能であり、例えば図21(A)~(C)に示すような断面形状とすることが可能である。具体的には、伸縮性樹脂基板2の面上において、図21(A)に示す断面略矩形状を有するものに限らず、図21(B)に示す断面略円弧状や、図21(C)に示す断面略台形状を有するものであってもよい。
【0120】
また、上記第1及び第2の溝部21a,21b,22a,22bに埋め込まれた配線層9a,9b,10a,10bの断面形状についても、適宜変更することが可能であり、例えば図22(A)~(E)に示すような断面形状とすることが可能である。具体的には、図22(A)に示す断面略矩形状の第1及び第2の溝部21a,21b,22a,22bに埋め込まれたものに限らず、図22(B)に示す断面円弧状や、図22(C)に示す断面略三角形状、図22(D)に示す断面略逆台形状、図22(E)に示す断面略台形状を有するものであってもよい。
【0121】
また、上記第1及び第2の配線層9a,9b,10a,10bでは、その厚みを調整するだけでなく、その幅を調整することによって、その断面積を調整することも可能である。
【0122】
上記第1及び第2の配線層9a,9b,10a,10bは、伸縮性樹脂基板2の上に配置された伸縮層に被覆された状態で配置された構成であってもよい。伸縮層は、上記伸縮性樹脂基板2と同じ又は伸縮性樹脂基板2とは異なるゴムやエラストマーなどの伸縮性樹脂材料を用いて、第1及び第2の配線層9a,9b,10a,10bを被覆するように伸縮性樹脂基板2の上に配置することが可能である。
【0123】
さらに、上記半導体装置1A,1B,1Cは、伸縮性樹脂基板2の各非伸縮性樹脂基板3と対向する面側を全面に亘って被覆する伸縮性樹脂層が配置された構成としてもよい。伸縮性樹脂層には、上記伸縮性樹脂基板2と同じ又は伸縮性樹脂基板2とは異なるゴムやエラストマーなどの伸縮性樹脂材料を用いた伸縮性樹脂基板を貼り合わしたり、上記伸縮性樹脂基板2の上に伸縮性樹脂層を積層形成したりすることが可能である。この場合、上記第1及び第2の配線層9a,9b,10a,10bは、伸縮性樹脂層に埋め込まれた状態で配置された構成となる。
【0124】
また、上記伸縮性樹脂基板2は、上述した粘着性を有するものに必ずしも限定されるものではなく、粘着性を持たないものであってよい。この場合、非伸縮性樹脂基板3は、伸縮性樹脂基板2に密着層5を介して貼着すればよい。
【0125】
また、上記第1及び上記第2の配線層9a,9b,10a,10bについては、上述した伸縮性樹脂基板2に形成された第1及び第2の溝部21a,21b,22a,22bに埋め込まれた状態で配置された構成だけでなく、伸縮性樹脂基板2に形成された絶縁層(図示せず。)に埋め込まれた状態で配置された構成としてもよい。
【0126】
また、上記第1及び上記第2の配線層9a,9b,10a,10b及び上記第1及び上記第2の貫通電極15a,15b,17a,17bには、上述した流動性金属材料を用いた構成に限らず、例えば、弾性のあるエラストマーに導電性フィラーを分散させて導電性を持たせた導電性弾性材料を用いることができる。さらに、上記第1及び上記第2の配線層9a,9b,10a,10bには、例えば金などの金属配線を蛇腹状に湾曲形状をさせたものなどの伸縮性を有する導電層を用いることができる。
【0127】
エラストマーとしては、柔軟性を付与することから、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム、エチレン-プロピレン共重合体、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどを用いることができる。
【0128】
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、金属ナノフレークなどを用いることができる。また、伸縮時に導電性を損なわないためには、ワイヤー状やフレーク状のものを用いることが好ましく、伸張時にネットワーク状の構造を形成することが可能であり、導電性パスを維持することが可能である。
【0129】
また、本実施形態の半導体装置1A,1B,1Cは、上述した半導体素子としてLED素子4を備えた構成となっているが、各非伸縮性樹脂基板3の上にTFT等を形成し、各非伸縮性樹脂基板3が1つの画素デバイスを構成することによって、伸縮自在なストレッチャブルディスプレイを実現すると共に、球面や自由曲面などの3次元形状に変形可能なディスプレイを形成することが可能である。なお、画素デバイスを構成する場合、上述したLED素子4の代わりに、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの発光素子を用いることも可能である。
【0130】
また、本発明が適用される半導体装置については、上述した発光素子を備えた構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、受光素子、歪みセンサ、圧力センサなどの半導体素子を備えた電子デバイスとすることも可能である。
【符号の説明】
【0131】
1A,1B,1C…半導体装置 2…伸縮性樹脂基板 3…非伸縮性樹脂基板 4…半導体素子(LED素子) 5…密着層 6…第1の上部電極層 7…第2の上部電極層 8…絶縁層 9a,9b…第1の配線層 10a,10b…第2の配線層 11…第1の非伸縮性配線基板 12…第2の非伸縮性配線基板 13a…第1のフレキシブル配線基板(FPC) 13b…第2のフレキシブル配線基板(FPC) 14…異方性導電フィルム(ACF) 15a,15b…第1の貫通電極 16a,16b…第1の孔部 17a,17b…第2の貫通電極 18a,18b…第2の孔部 19a,19b…第1の下部電極層 20a,20b…第2の下部電極層 21a,21b…第1の溝部 22a,22b…第2の溝部 E…周辺領域
図1
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