(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153101
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
A61B1/00 715
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055394
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 直樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 高志
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF40
4C161HH57
4C161JJ06
4C161JJ11
4C161JJ12
(57)【要約】
【課題】先端部材の絶縁性を確保できる内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡1は、挿入部2の先端側に接続され且つ導電性材料で構成された先端部材20と、先端部材20に装着される先端キャップ200と、を備え、先端部材20は、観察窓16と照明窓18とが配置された配置面32Aを有し、配置面32Aに設けられたカバー部材100であって、観察窓16が配置される第1挿通孔107と、照明窓18が配置される第2挿通孔109と、を有する絶縁性のカバー部材100を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端側に接続され且つ導電性材料で構成された先端部材と、
前記先端部材に装着される先端キャップと、
を備え、
前記先端部材は、観察窓と照明窓とが配置された配置面を有し、
前記配置面に設けられたカバー部材であって、前記観察窓が配置される第1挿通孔と、前記照明窓が配置される第2挿通孔と、を有する絶縁性のカバー部材を備える、
内視鏡。
【請求項2】
前記配置面は、前記カバー部材が配置される凹部を有する、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記凹部には、係合部が設けられ、
前記カバー部材は、前記係合部に係合する被係合部を有する、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記係合部は、前記凹部の底面部に設けられた係合孔であり、
前記被係合部は、前記カバー部材に設けられ且つ前記係合孔に係合可能な突起部である、
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記係合部から前記被係合部の離脱を阻止する抜け止め部を有する、
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記凹部は、前記照明窓を支持するフランジ部を有し、
前記照明窓は、前記カバー部材と前記フランジ部とにより固定される、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記凹部は、前記凹部の底面部から突出する円筒部を有し、
前記フランジ部は、前記円筒部の内部に位置する、
請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記観察窓の光軸方向から見て前記第1挿通孔の内径は、前記観察窓の外径以上である、
請求項6に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記第1挿通孔が形成される第1カバー面と、前記第2挿通孔が形成される配置される第2カバー面と、を有し、
前記第2カバー面は、前記第1カバー面よりも前記配置面の法線方向の高さが高い、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記カバー部材は、前記第1カバー面と前記第2カバー面との間に傾斜面を有する、
請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記第1カバー面の法線は、前記挿入部の長手軸の基端側に向かう成分を含む、
請求項9に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記観察窓の光軸は、前記挿入部の長手軸の基端側に向かう成分を含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記カバー部材は、前記先端キャップが前記先端部材に装着された場合に前記先端キャ
ップに覆われる被覆部を有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記先端部材は、前記観察窓と前記照明窓とが前記挿入部の長手軸方向に対し交差する方向を向く側視型である、
請求項1から11のいずれか一項に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に係り、観察窓と照明窓とが配置される先端部材を有する内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡では、操作部に設けられた処置具導入口から各種の処置具を導入し、この処置具を、挿入部の先端部に開口した処置具導出口から外部に導出して処置に用いる。例えば、十二指腸鏡では、ガイドワイヤ、造影チューブ、又は高周波処置具(パピロトミーナイフ)などの処置具が使用される。このような処置具は、被検体内の所望の位置を処置及び検査するため先端部における導出方向を変える必要がある。このため先端部に形成された起立台収容空間に、処置具及びガイドワイヤを起立させるための処置具起立台が設けられている。
【0003】
ところで、高周波処置具で処置を行う際には、高周波処置具と先端部材との間にスパーク電流が発生することがあり、例えば高周波処置具を使用した場合でもスパーク電流が発生しないようにしておくことが必要となる。
【0004】
そのため、特許文献1では、十二指腸鏡の金属製の先端部材に着脱可能に樹脂製の先端キャップを装着している。特許文献2では、ガイドワイヤが当接する当接部を絶縁部材で構成すると共に、金属製の先端部材の周囲を覆う先端カバー(先端キャップ)を樹脂等の非導電性材質より形成している。また、特許文献3では、先端部材の基端部側の外表面を絶縁性材料の絶縁部で構成し、先端部材に絶縁性の先端カバーを装着した際、先端カバーの内周面と外表面とが全周的に密着する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-171256号公報
【特許文献2】特開2007-330756号公報
【特許文献3】特開平9-299316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先端部材における照明窓及び観察窓が配置される面は、先端キャップから露出しているため、高周波処置具から先端部材にスパーク電流が発生し、内視鏡が損傷するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、先端部材の絶縁性を確保することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様の内視鏡は、挿入部の先端側に接続され且つ導電性材料で構成された先端部材と、先端部材に装着される先端キャップと、を備え、先端部材は、観察窓と照明窓とが配置された配置面を有し、配置面に設けられたカバー部材であって、観察窓が配置される第1挿通孔と、照明窓が配置される第2挿通孔と、を有する絶縁性のカバー部材を備える。
【0009】
第2態様の内視鏡は、第1態様において、配置面は、カバー部材が配置される凹部を有する。
【0010】
第3態様の内視鏡は、第2態様において、配置面は、凹部には、係合部が設けられ、カバー部材は、係合部に係合する被係合部を有する。
【0011】
第4態様の内視鏡は、第3態様において、配置面は、凹部の底面部に設けられた係合孔であり、被係合部は、カバー部材に設けられ且つ係合孔に係合可能な突起部である。
【0012】
第5態様の内視鏡は、第3態様又は第4態様において、係合部から被係合部の離脱を阻止する抜け止め部を有する。
【0013】
第6態様の内視鏡は、第2態様から第5態様のいずれかにおいて、凹部は、照明窓を支持するフランジ部を有し、照明窓は、カバー部材とフランジ部とにより固定される。
【0014】
第7態様の内視鏡は、第6態様において、凹部は、凹部の底面部から突出する円筒部を有し、フランジ部は、円筒部の内部に位置する。
【0015】
第8態様の内視鏡は、第1態様から第7態様のいずれかにおいて、観察窓の光軸方向から見て第1挿通孔の内径は、観察窓の外径以上である。
【0016】
第9態様の内視鏡は、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、カバー部材は、第1挿通孔が形成される第1カバー面と、第2挿通孔が形成される配置される第2カバー面と、を有し、第2カバー面は、第1カバー面よりも配置面の法線方向の高さが高い。
【0017】
第10態様の内視鏡は、第9態様において、カバー部材は、第1カバー面と第2カバー面との間に傾斜面を有する。
【0018】
第11態様の内視鏡は、第9態様又は第10態様において、第1カバー面の法線は、挿入部の長手軸の基端側に向かう成分を含む。
【0019】
第12態様の内視鏡は、第1態様から第11態様のいずれかにおいて、観察窓の光軸は、挿入部の長手軸の基端側に向かう成分を含む。
【0020】
第13態様の内視鏡は、第1態様から第12態様のいずれかにおいて、カバー部材は、先端キャップが先端部材に装着された場合に先端キャップに覆われる被覆部を有する。
【0021】
第14態様の内視鏡は、第1態様から第13態様のいずれかにおいて、先端部材は、観察窓と照明窓とが挿入部の長手軸方向に対し交差する方向を向く側視型である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、先端部材の絶縁性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、内視鏡の全体構成を示した説明図である。
【
図2】
図2は、先端部をZ(+)方向側から見た場合の拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の先端部材から先端キャップを取り外した斜視図である。
【
図4】
図4は、先端部材をY(+)方向側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、先端部材からカバー部材を取り外した斜視図である。
【
図6】
図6は、カバー部材をZ(+)方向側、X(-)方向側、及Z(-)方向側から見た図である。
【
図8】
図8は、カバー部材と先端部材の抜け止めを説明する図である。
【
図9】
図9は、先端キャップを装着した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態に係る内視鏡について説明する。
【0025】
[内視鏡1の全体構成]
図1は、本実施形態に係る内視鏡1の全体構成図である。
【0026】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端部に接続されて術者が操作する操作部3と、を備える。なお、実施形態では、十二指腸鏡として用いられる内視鏡を例示する。
【0027】
以下、内視鏡1の各部の構成を説明するに当たっては、説明の便宜上X、Y、Zの三次元直交座標系を用いて説明する。図中のZ方向は上下方向を指し、Z(+)方向側が上側方向、Z(-)方向側が下側方向を指す。また、図中のX方向は、Z方向に垂直な方向を指し、X(+)方向側が右側方向、X(-)方向側が左側方向を指す。また、図中のY方向は、Z方向及びX方向の双方に垂直な方向を指し、Y(+)方向側が先端側方向、Y(-)方向側が基端側方向を指す。なお、上記の各方向は、内視鏡1の操作部3を術者が把持した場合において、術者が挿入部2を上方側から見たときの方向をそれぞれ指している。
【0028】
〈挿入部2〉
内視鏡1の挿入部2は、口腔を介して被検体内に挿入され、さらに食道から胃を経て十二指腸まで挿入される。これにより、挿入部2の内部に挿通された処置具を用いて十二指腸の検査又は治療などの処置が行われる。
【0029】
処置具としては、その先端部に生体組織を採取可能なカップを有する生検鉗子、EST(Endoscopic Sphincterotomy:内視鏡的乳頭切開術)用ナイフ、造影チューブ、高周波処置具(パピロトミーナイフ)又はガイドワイヤなどが挙げられる。
【0030】
挿入部2は、長手軸Axを有し、その基端側から先端側に向って順に軟性部5と、湾曲部6と、先端部7と、を有する。なお、長手軸Ax方向とY方向とは同一方向である。
【0031】
軟性部5は、挿入部2の基端側からの大部分を占めており、例えば不図示の金属製の螺旋管及びネットによって構成され、さらにこれらの外周を樹脂製のチューブで被覆することで構成される。軟性部5は、任意の方向に湾曲可能な可撓性を有し、挿入部2を体腔内に挿入した場合には体腔内への挿入経路に沿って湾曲する。
【0032】
湾曲部6は、複数のアングルリングが相互に揺動可能に連結された筒状体を有し、この筒状体の外周に金属線で編んだ網状体が被覆され、さらにその外周にゴム製のアングルゴムが被覆されることで構成される。また、操作部3のアングルノブ8、9から湾曲部6まで複数本のワイヤが延在されており、これらワイヤの先端部が上記の筒状体の先端部に固定されている。これにより、アングルノブ8、9の回動操作に応じて湾曲部6が上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)に湾曲される。
【0033】
先端部7は、先端部材20と、先端部材20に着脱自在に装着される先端キャップ200(
図2参照)と、を有する。
【0034】
先端部材20は、先端部7に設けられており、耐食性を有する金属材料で構成される。先端部材20の軸線方向は、長手軸Ax方向及びY方向と同一である。先端キャップ200は、弾力性のある材質、例えばシリコンゴムで構成される。先端部材20及び先端キャップ200は、それぞれ本発明の先端部材及び先端キャップの一例である。
【0035】
〈操作部3〉
図1に示すように、操作部3は、湾曲部6を湾曲操作するアングルノブ8、9と、送気送水ボタン10と、吸引ボタン11と、起立操作用レバー12と、処置具導入口13と、を有する。
【0036】
送気送水ボタン10は、挿入部2の内部に挿通された送気送水チャンネル(不図示)を介して先端部7の送気送水ノズル14(
図2参照)から観察窓16及び照明窓18などに向けて送気及び送水を行うための操作ボタンである。
【0037】
吸引ボタン11は、挿入部2の内部に挿通された処置具挿通チャンネル(不図示)を介して体液などの吸引を行うための操作ボタンである。
【0038】
起立操作用レバー12は、先端部7に設けられた起立台36(
図2参照)を起伏操作するためのレバーである。起立操作用レバー12は、処置具起立機構の構成部材の一つである。
【0039】
処置具導入口13は、上記の処置具挿通チャンネルと連通し、術者が処置具などを導入するための開口である。処置具導入口13から導入された処置具は、処置具挿通チャンネルを通って先端部7に導かれる。
【0040】
操作部3には、ユニバーサルコード4が接続されており、このユニバーサルコード4は、不図示の画像処理装置及び光源装置に接続される。画像処理装置には、ケーブルを介してモニタ装置(不図示)が接続される。以上が内視鏡1の全体構造である。以下、先端部7の構造について説明する。
【0041】
〈先端部7〉
図2は、先端部7をZ(+)方向側から見た場合の拡大斜視図である。
図2では、先端部材20に先端キャップ200が装着された状態が示されている。また、
図3は、
図2の先端部材20から先端キャップ200を取り外した状態を示した斜視図である。
図4は、先端部7をY(+)方向側から見た斜視図である。
【0042】
図2に示すように、先端キャップ200が先端部材20に装着された状態において、先端キャップ200は、後述の起立台収容部22のZ(+)方向側の開口24に連通する上部開口202を有している。
【0043】
次に、先端キャップ200の構成について概略説明する。
【0044】
図3に示すように、先端キャップ200は、先端部材20を収容するように略筒状に構成されている。また、先端キャップ200は、起立台収容部22の開口24に連通する上部開口202と、起立台収容部22のY(+)方向側の先端開口26に連通する先端部開口204と、先端キャップ200を先端部材20に装着するための基端部開口206と、を有する。先端キャップ200の係合溝208は、先端部材20の基部28の外周面に突設されたフランジ部30に係止する。
【0045】
上部開口202は、Z(+)方向側に設けられ、起立台収容部22(開口24)の他、送気送水ノズル14の先端部と、観察窓16と、照明窓18と、後述のガイドワイヤ固定部50とをそれぞれ露呈する大きさに形成されている。また、先端部開口204は、上部開口202と連設されており、内視鏡1の吸引動作中に体腔壁が上部開口202に吸着されることを防止するための空気抜き用の開口として形成されている。また、基端部開口206は、先端部材20を挿入するための開口である。
【0046】
次に、先端部材20の構成について説明する。
【0047】
図3に示すように、先端部材20は、X方向において互いに対向する第1壁部32と第2壁部34とを有する。第1壁部32は、X(-)方向側に配置され、第2壁部34は、X(+)方向側に配置される。第1壁部32と第2壁部34とは導電性材料で構成される。
【0048】
また、第1壁部32と第2壁部34は、それぞれの基端が先端部材20の基部28に連設され、この基部28からY(+)方向側に延設されている。
【0049】
また、X方向における第1壁部32と第2壁部34との間には、起立台36を収容するための起立台収容部22が設けられる。この起立台収容部22は、第1壁部32及び第2壁部34に並設され、Y方向に沿うスリット状の空間として形成されている。
【0050】
先端部材20には、処置具導出口39(
図3の仮想線で示す)が設けられる。この処置具導出口39には、処置具挿通チャンネルの先端側が連通されている。この処置具挿通チャンネルは、挿入部2(
図1参照)の内部に挿通され、その基端側が操作部3の処置具導入口13に接続されている。
【0051】
これにより、処置具導入口13から導入された処置具は、処置具挿通チャンネル及び処置具導出口39を通って起立台収容部22に導かれる。なお、起立台収容部22に導かれた処置具は、起立台36によって導出方向が変更される。
【0052】
〈第1壁部32〉
図2乃至
図4に示すように、第1壁部32は、観察窓16及び照明窓18を有する。また第1壁部32の内部には、撮像部及び照明部が設けられている。撮像部及び照明部が外部に露出しないように、第1壁部32は先端部材カバー33により封止されている。観察窓16及び照明窓18は、本発明の観察窓及び照明窓の一例である。
【0053】
第1壁部32は、観察窓16及び照明窓18を配置するため配置面32Aを備えている。配置面32Aは、X-Y平面と平行な面により構成されており、Z(+)方向側を向いている。なお、配置面32Aは、少なくともZ(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、配置面32Aは、Z(+)方向側に向かう法線成分を有する面により構成されていればよい。例えば、X-Y平面と略平行な面(X-Y平面に対し僅かに傾いた面)であってもよい。配置面32Aは、Z(+)方向側から見た場合、Y方向の長さが、X方向の長さより長い略矩形状の面として構成されている。配置面32Aは、本発明の配置面の一例である。
【0054】
撮像部は、観察窓16の内側に配設された撮像光学系と、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子と、を有する。撮像素子は、挿入部2の内部に挿通された信号ケーブルを介して画像処理装置に接続される。この撮像部によって得られた被写体像の撮像信号は、信号ケーブルを介して画像処理装置に入力され、画像処理装置にケーブルを介して接続されたモニタに被写体像
として表示される。
【0055】
照明部は、照明窓18の内側に設置された照明レンズと、この照明レンズに先端が臨むように配置されたライトガイドと、を有する。ライトガイドは、挿入部2の内部に挿通され、その基端部が光源装置に接続される。これにより、光源装置からの照射光がライトガイドを介して伝送され、照明窓18から照射される。
【0056】
観察窓16と照明窓18とは、配置面32Aにおいて、基部28からY(+)方向に沿って、この順で配置されている。観察窓16と照明窓18とは、それぞれ、Z(+)方向側を向いている。すなわち、実施形態の内視鏡1は側視型の内視鏡であり、観察窓16と照明窓18とはY方向(長手軸Ax方向)に対して交差する方向を向いている。なお、配置面32Aには後述するカバー部材100が設けられている。
【0057】
〈第2壁部34〉
図4に示すように、第2壁部34には、レバー42を収容する凹状のレバー収容室44が設けられている。このレバー収容室44は、第2壁部34のX方向に互いに対向する2つの壁面のうち、起立台収容部22に対向する壁面とは反対側の壁面に設けられている。
【0058】
レバー収容室44においてレバー42は、その一端部に回転軸42Aが設けられている。回転軸42Aは、第2壁部34をX方向に貫通して起立台36に接続されている。また、レバー42は、その他端部が操作ワイヤ46に接続されている。操作ワイヤ46は、挿入部2(
図1参照)の内部に挿通されて操作部3の起立操作用レバー12に接続される。
【0059】
したがって、起立操作用レバー12を術者が操作することにより、操作ワイヤ46が押し引き操作され、この押し引き操作に連動してレバー42が揺動する。これにより、起立台36が回転軸42Aを揺動軸として揺動し、起立位置と倒伏位置との間で位置を変更する。ここで、回転軸42Aを有するレバー42と、操作ワイヤ46と、起立操作用レバー12とによって処置具起立機構が構成される。なお、レバー収容室44は、カバー40によって封止される。
【0060】
〈起立台36〉
図2乃至
図4に示すように、起立台36は、先端部材20に設けられており、起立台収容部22に収容される。また、起立台36は、回転軸42Aを介して第2壁部34に揺動自在に取り付けられている。この起立台36は、上記の処置具起立機構によって駆動されて起立動作及び倒伏動作する。
【0061】
また、起立台36は、ガイド面36A(
図2など参照)を有する。このガイド面36Aは、起立台36が倒伏位置に位置した場合、Z(+)側を向き、起立台36が最大起立位置に位置した場合、ガイドワイヤ固定部50側を向く。このガイド面36Aは、処置具を案内するための面であり、起立台36の揺動端である基端側から先端側にかけて内側に窪んだ略U字形状に形成されている。
【0062】
処置具起立機構によって起立台36が起立動作した場合、起立台収容部22に導かれた処置具は、起立台36のガイド面36Aによって起立台収容部22の開口24へと向かう方向に案内され、先端キャップ200の上部開口202から外部に導出される。また、処置具起立機構によって起立台36の起立角度を調整することにより、処置具の導出方向を変更することができる。
【0063】
〈ガイドワイヤ固定部50〉
図2乃至
図4に示すように、基部28にはガイドワイヤ固定部50が設けられている。
このガイドワイヤ固定部50は、基部28の先端壁部28Aから起立台収容部22に向けてY(+)方向側に突設されている。
【0064】
ガイドワイヤ固定部50は、Y(+)方向に先細な凸状部として構成されている。換言すれば、ガイドワイヤ固定部50は、先端壁部28Aを底面とした略台形立方体の形状に構成されている。
【0065】
処置具挿通チャンネルから起立台収容部22に導かれたガイドワイヤ(不図示)は、起立台36を最大起立位置に起立させた場合、ガイドワイヤ固定部50の凸状の先端部と起立台36の凹状のガイド面36Aとの間で挟まれて固定される。なお、ガイドワイヤ固定部50は、X方向において送気送水ノズル14と並設されている。
【0066】
〈絶縁リング70〉
図3及び
図4に示すように、先端部材20の基部28には、環状の絶縁リング70が基端側から装着される。この絶縁リング70は、プラスチック又はセラミックなどの絶縁材料によって構成されている。
【0067】
絶縁リング70は、その外周面に沿って径方向外側に突設されたフランジ部72と、フランジ部72よりも先端側に配置されたキャップ装着部74と、フランジ部72よりも基端側に配置された湾曲部装着部76と、を有する。キャップ装着部74が基部28に装着されて、絶縁リング70が先端部材20に装着される。この場合、フランジ部30の基端側に、キャップ装着部74が配置される。
【0068】
図2に示すように、先端部材20に絶縁リング70が装着され状態において、先端キャップ200が先端部材20に装着される。この場合、先端キャップ200を先端部材20に対し、先端部材20の先端側から基端側へ外装していき、先端キャップ200の基端を、絶縁リング70のフランジ部72に突き当てる。
【0069】
これにより、先端部材20のフランジ部30に先端キャップ200の係合溝208が係合し、絶縁リング70のキャップ装着部74に先端キャップ200が外装される。その結果、先端キャップ200が先端部材20に装着され、且つ、絶縁性の先端キャップ200と絶縁リング70とによって導電性材料の先端部材20が被覆され、先端部材20に対する絶縁性を確保している。
【0070】
図3及び
図4に示すように、湾曲部装着部76は、円筒状に構成されている。湾曲部装着部76は、湾曲部6のアングルゴムの先端部を装着する部分である。湾曲部装着部76に湾曲部6のアングルゴムの先端部を装着していき、アングルゴムの先端をフランジ部72に突き当てる。これにより、アングルゴムを絶縁リング70に装着することができる。なお、アングルゴムは、その先端部が糸(不図示)に巻かれて絶縁リング70に固定される。その糸は接着剤(不図示)によってアングルゴムに固着される。
【0071】
ところで、既述したように、先端キャップ200と絶縁リング70とで先端部材20を被覆することで、絶縁性を確保している。しかしながら、先端キャップ200は、観察窓16及び照明窓18に対応する部分が開口している。すなわち、導電性部材の先端部材20の配置面32Aが露出するため、例えば高周波処置具を使用した場合でもスパーク電流が発生しないようにしておくことが必要である。
【0072】
そこで、本発明では配置面32Aに後述する絶縁性のカバー部材100を配置することで、先端部材20の絶縁性を確保する。カバー部材100は、本発明のカバー部材の一例である。
【0073】
以下、カバー部材100について説明する。
【0074】
〈カバー部材100〉
図5は、先端部材20からカバー部材100を取り外した状態を示した斜視図である。
図6は、カバー部材100を三方向から見た図である。
図6の6-1はZ(+)方向側から見た図であり、
図6の6-2はX(-)方向側から見た図であり、
図6の6-3はZ(-)方向側から見た図である。
【0075】
カバー部材100は、第1壁部32の配置面32Aに配置されるものであり、全体として細長の平板状の形状を有している。このカバー部材100は、Z(+)方向側を向く上面101と、Z(-)方向側を向く下面103と、上面101と下面103とを繋ぐ側面105とから構成される。カバー部材100には、観察窓16が配置される第1挿通孔107と、照明窓18が配置される第2挿通孔109とが設けられている。また。カバー部材100は、後述する第1突起部111及び第2突起部113が設けられている。
【0076】
図6の6-1に示すように、カバー部材100をZ(+)方向から見た場合、カバー部材100は、Y方向を長手方向とする略矩形状の形状を有している。以下、カバー部材100を構成する各面について説明する。
【0077】
上面101は、互いに異なる複数の面を有している。すなわち、上面101は、Y(-)方向側からY(+)方向側に向かって順に、基端側面101Aと、観察窓面101Bと、中間面101Cと、照明窓面101Dと、先端側面101Eとを有している(
図6の6-1、6-2)。
【0078】
基端側面101Aは、Y方向において最も基端側(Y(-)方向側)に位置する面であり、X-Y平面に対して平行な面により構成されている。なお、ここでいう「平行」とは、完全に平行であることを意味するものではなく、略平行である場合も含まれる(以下同様)。
【0079】
観察窓面101Bは、基端側面101AのY(+)方向側に隣接した位置に配置される。観察窓面101Bは、第1挿通孔107の開口107Aが形成される面である。なお、第1挿通孔107には、観察窓16が配置される。観察窓面101Bは、X-Y平面に対して傾斜する傾斜面で構成される。具体的には、観察窓面101Bの法線は、Z(+)方向側に向かう法線成分とY(-)方向側に向かう法線成分とを含んでいる。換言すれば、観察窓面101Bの法線は、少なくともY方向(長手軸Ax方向)の基端側に向かう成分を含んでいる。観察窓面101Bは、本発明の第1カバー面の一例である。
【0080】
中間面101Cは、本発明の傾斜面の一例であり、観察窓面101Bと照明窓面101Dとの間を繋ぐ面である。中間面101Cは、観察窓面101Bと同様にX-Y平面に対して傾斜する傾斜面で構成されるが、観察窓面101Bとは傾斜角度(X-Y平面との成す角度)が異なっている。具体的には、中間面101Cの傾斜角度は、観察窓面101Bの傾斜角度よりも大きい。なお、本実施形態では、好ましい態様として、中間面101Cの傾斜角度が観察窓面101Bの傾斜角度よりも大きい場合を示したが、これに限らず、中間面101Cの傾斜角度が観察窓面101Bの傾斜角度よりも小さくてもよいし、同一の傾斜角度であってもよい。また、中間面101Cは、一又は複数の段差を有する面により構成されていてもよい。
【0081】
照明窓面101Dは、中間面101CのY(+)方向側に隣接した位置に配置される。照明窓面101Dは、第2挿通孔109の開口109Aが形成される面である。なお、第
2挿通孔109には、照明窓18が配置される。照明窓面101Dは、X-Y平面に対して平行な面により構成される。すなわち、照明窓面101Dは、Z(+)方向側に向かう法線成分を有している。また、Z方向の位置に関して、照明窓面101Dは、観察窓面101Bと比較すると、Z(+)方向側に配置されている。すなわち、配置面32Aの法線方向であるZ(+)方向側を高さ方向とした場合、照明窓面101Dは、観察窓面101Bよりも高さ方向(配置面32Aの法線方向)における高さが高い位置に配置される。照明窓面101Dは、本発明の第2カバー面の一例である。
【0082】
先端側面101Eは、カバー部材100においてY方向の最も先端側(Y(+)方向側)に位置する面である。先端側面101Eは、X-Y平面に対して平行な面により構成される。この先端側面101Eは、照明窓面101DのY(+)方向側に隣接した位置に段差部を介して配置されており、照明窓面101Dよりも高さ方向(配置面32Aの法線方向)における高さが低い位置に配置される。
【0083】
下面103は、X-Y平面に対して平行な面により構成されている(
図6の6-2、6-3)。下面103には、第1挿通孔107の開口107Bと、第2挿通孔109の開口109Bとが設けられる。また、下面103には、第1突起部111と、第2突起部113とが設けられる。第1突起部111及び第2突起部113については後述する。
【0084】
側面105は、上面101と下面103とを繋ぐ面であり、X-Y平面と直交する面で構成されている。
【0085】
図6の6-2に示すように、第1挿通孔107は円筒形状に構成されており、その軸線方向はZ方向に対してY(-)方向側に傾いている。このように構成される第1挿通孔107は、上面101側の開口107Aと下面103側の開口107Bとを有し、観察窓16を挿通できるよう構成されている。開口107Aと開口107Bとは、略円形である。開口107Bの中心は、開口107Aの中心よりY(+)方向側に位置している。開口107Bの中心と開口107Aの中心とを結ぶ直線(第1挿通孔107の軸線)は、観察窓面101Bの法線と平行であり、Z方向に対して斜めに傾斜しており、Y方向(長手軸Ax)の基端側(Y(-)方向側)に向かう成分を含んでいる。また、上面101側の開口107Aの周面には土手部101Fが形成されている。
【0086】
また、第2挿通孔109は、下面103側が円筒形状であり且つ上面101側が円錐台形状に構成されており、その軸線方向がZ方向と平行となっている。なお、第2挿通孔109を構成する円錐台形状の部分は、上面101側に向かって縮径するテーパ状に構成される。このように構成される第2挿通孔109は、上面101側の開口109Aと下面103側の開口109Bとを有し、照明窓18を挿通できるよう構成されている。開口109Aと開口109Bとは、略円形である。開口109Aの内径は開口109Bの内径より小さい。開口109Aの中心と開口109Bの中心とを結ぶ直線(第2挿通孔109の軸線)はZ方向と平行であり、Z(-)方向側から見た場合、開口109Aと開口109Bとは同心円状の位置関係にある。なお、第1挿通孔107及び第2挿通孔109は、本発明の第1挿通孔及び第2挿通孔の一例である。
【0087】
図6の6-2及び6-3に示すように、第1突起部111は、カバー部材100の基端側に設けられ、下面103からZ(-)方向側に延びている。第1突起部111は略円筒形状の外形を有している。第1突起部111には、X方向に延びる第1貫通孔111Aが形成されている。
【0088】
また、第2突起部113は、カバー部材100の先端側に設けられ、下面103からZ(-)方向側に延びている。第2突起部113は、Z(-)方向側から見た場合、Y方向
がX方向より長い長楕円の外形を有している。第2突起部113には、X方向に延びる第2貫通孔113Aが形成されている。なお、第1突起部111及び第2突起部113は、それぞれ、X方向の中心位置よりもX(-)方向側にオフセットされた位置に配置されている。
【0089】
〈凹部60〉
図5に示すように、第1壁部32の配置面32Aには、カバー部材100を配置するための凹部60が形成されている。凹部60は、配置面32Aに対してZ(-)方向側に位置する底面部61と底面部61を囲う壁面62とにより画定される。底面部61は、X-Y平面と平行な面により構成されている。壁面62はX-Y平面と直交する面により構成されている。凹部60及び底面部61は、本発明の凹部及び底面部の一例である。
【0090】
底面部61の形状は、Z方向から見て、カバー部材100の下面103と略同じ形状である。壁面62の高さ(底面部61と配置面32Aとの間のZ方向の距離)は、カバー部材100の側面105のうち基端側面101Aと先端側面101Eに対応する側面105における高さと略同じある。略とは、完全一致ではなく許容される範囲を含む。そのため、カバー部材100が凹部60に配置された場合、基端側面101A及び先端側面101Eがそれぞれ配置面32Aに対して略面一となる。
【0091】
底面部61には、第1係合孔61Aと第2係合孔61Dとが設けられている。カバー部材100が凹部60に配置された場合、第1係合孔61Aは、カバー部材100の第1突起部111が係合可能な形状及び位置に形成される。また、第2係合孔61Dは、カバー部材100の第2突起部113が係合可能な形状及び位置に形成される。
【0092】
また、底面部61には、観察窓孔61Bと円筒部61Cとが設けられている。観察窓孔61Bは略円形状の孔部であり、この観察窓孔61Bから観察窓16が導出される。円筒部61Cは、底面部61からZ(+)方向側に突出した略円筒形状を有しており、この円筒部61CのZ(+)方向側に照明窓18が配置される。
【0093】
図7は、凹部60の拡大図である。
図7の7-1は、照明窓18が円筒部61Cに配置されている図であり、
図7の7-2は、照明窓18が円筒部61CからZ(+)方向に取り外されている図である。
図7の7-2に示すように、円筒部61Cの内面には、照明窓18の下面(Z(-)方向側の面)を支持するフランジ部61Eが設けられている。フランジ部61Eは内面の全周に亘り設けられているが、フランジ部61Eは照明窓18を下面から支持できる限り、円筒部61Cの内面の全周の一部又は複数の部分に設けてもよい。
【0094】
次に、観察窓16の光軸16Aと照明窓18の光軸18Aの方向について説明する。
図7の7-1に示すように、観察窓16の光軸16Aは、X-Y平面に対して傾斜している。具体的には、光軸16AはZ(+)方向側に向かう成分とY(-)方向側に向かう成分とを有している。すなわち、光軸16Aは、Y方向(長手軸Ax方向)の基端側に向かう成分を含んでおり、内視鏡1は、観察窓16の視野範囲が基端側を向く後方斜視型内視鏡として構成される。
【0095】
また、照明窓18の光軸18Aは、X-Y平面に対して直交している。すなわち、光軸18AはZ方向に対して平行となっている。実施形態におけるカバー部材100は、既述のとおり、配置面32Aの法線方向であるZ(+)方向側を高さ方向とした場合、照明窓面101Dは、観察窓面101Bよりも高さ方向(配置面32Aの法線方向)における高さが高い位置に配置されるため、照明窓18が観察窓16よりもZ(+)方向側に位置している。このような構成によれば、照明窓18から光が観察窓16に直接照射されること
がなくなり、観察画像にフレア等が生じることを抑制できる。
【0096】
図8は、カバー部材100と先端部材20との抜け止めを説明する図である。
図8の8-1は、カバー部材100が凹部60に配置される前の状態を示している。
図8の8-2は、カバー部材100が凹部60に配置された状態を示している。なお、
図8の8-1及び8-2においては、説明の都合上、第1壁部32から先端部材カバー33が取り外されている状態を示している。
【0097】
図8の8-1に示すように、第1壁部32の内部には、撮像部80と照明部81とが配置されている。第1壁部32の内部には、第1係合孔61Aと連通する第1貫通孔82が設けられている。第1貫通孔82は、X(-)方向側に開口部を有し、X方向に沿って延びる。また、第2係合孔61Dと連通する第2貫通孔83が設けられている。第2貫通孔83は、X(-)方向側に開口部を有し、X方向に沿って延びる。
【0098】
先端部材20を構成する第1壁部32の配置面32Aに対してカバー部材100を取り付ける場合には、カバー部材100と配置面32Aに設けられる凹部60との位置合わせを行った後、配置面32Aに形成された凹部60にカバー部材100を配置する。その際、第1突起部111を第1係合孔61Aに挿入し、第1突起部111の第1貫通孔111Aと第1貫通孔82とが連通した状態とする。また、第2突起部113を第2係合孔61Dに挿入し、第2突起部113の第2貫通孔113Aと第2貫通孔83とが連通した状態とする。
【0099】
上記のような状態にした後、第1貫通孔82にピン84を挿入して、ピン84を第1貫通孔111Aまで到達させる。また、第2貫通孔83にネジ85を挿入し、ネジ85を締め付けて第2貫通孔113Aまで到達させる。これにより、第1壁部32の配置面32Aに対してカバー部材100が固定された状態となる。その際、ネジ85とピン84とにより、カバー部材100の第1壁部32からの抜け止めが行われる。なお、ピン84は、第1係合孔61Aから第1突起部111の離脱を阻止する抜け止め部として機能する。また、ネジ85は、第2係合孔61Dから第2突起部113の離脱を阻止する抜け止め部として機能する。
【0100】
また、
図8の8-2に示すように、カバー部材100を凹部60に配置することにより、導電性材料で構成される配置面32Aの大部分が絶縁性のカバー部材100で占められ、配置面32Aの露出部分が少なくなる。
【0101】
なお、第1係合孔61A及び第2係合孔61Dは、本発明の係合部を構成する係合孔の一例である。第1突起部111及び第2突起部113は、本発明の被係合部を構成する突起部の一例である。ネジ85及びピン84は、本発明の係合部から被係合部の離脱を阻止する抜け止め部の一例である。
【0102】
図9は、
図8の8-2の先端部材20に先端キャップ200を装着した状態の図である。
図9に示すように、先端部材20には先端キャップ200が装着される。その際、カバー部材100の上面101の先端側面101Eが先端キャップ200により被覆される。このようにカバー部材100の周辺部の一部(本例では先端側面101E)を覆うように先端キャップ200を装着することで、先端部材20の絶縁性をより確実に確保することができる。これにより、例えば高周波処置具を使用した場合でも、スパーク電流の発生による内視鏡1の損傷を未然に防ぐことが可能となる。先端側面101Eは、本発明の被覆部の一例である。
【0103】
なお、実施形態では、カバー部材100の周辺部の一部である先端側面101Eを先端
キャップ200が覆う構成を示したが、これに限らず、カバー部材100の先端側面101E以外の他の周辺部を先端キャップ200が覆うようにしてもよい。また、必ずしもカバー部材100の周辺部の一部を先端キャップ200が覆わなくてもよい。
【0104】
図10は、
図9におけるX-X線に沿う断面図である。
図10に示すように、第1挿通孔107には観察窓16が配置され、第2挿通孔109には照明窓18が配置される。第1挿通孔107の内径D2(開口107A及び107Bの内径)が、観察窓16の外径D1より大きい。これにより、第1壁部32の配置面32Aに対してカバー部材100を取り付けた場合でも、観察窓16の視野範囲を狭めることなく広範囲の視野を確保することができる。
【0105】
一方、照明窓18は、その下面がフランジ部61Eにより支持されている。照明窓18の最大外径D3は、第2挿通孔109の開口109Aの内径D4より大きい。そのため、第1壁部32の配置面32Aに対してカバー部材100を取り付けた場合に、照明窓18はフランジ部61Eと第2挿通孔109のテーパ面(上面101側の内面)との間に挟まれた状態で固定される。したがって、照明窓18の先端部材20への取り付けが容易となる。
【0106】
[効果]
以上のとおり、実施形態によれば、導電性材料で構成された先端部材20に装着される先端キャップ200に加え、さらに、観察窓16が配置される第1挿通孔107と、照明窓18が配置される第2挿通孔109とを有する絶縁性のカバー部材100を、観察窓16及び照明窓18が配置される配置面32A(すなわち、先端部材20を構成する第1壁部32の配置面32A)に備えるようにしたので、導電性材料の露出部分を抑えて、先端部材20の絶縁性を確保することが可能となる。
【0107】
また、実施形態によれば、カバー部材100が配置される凹部60には、照明窓18の下面を支持するフランジ部61Eが設けられており、照明窓18はカバー部材100とフランジ部61Eとの間に挟まれて固定される。これにより、照明窓18の先端部材20への取り付けが容易となる。
【0108】
また、実施形態によれば、カバー部材100に設けられた被係合部(第1突起部111及び第2突起部113)と凹部60の底面部61に設けられた係合部(第1係合孔61A及び第2係合孔61D)とを係合させることで、カバー部材100を配置面32Aに簡単に取り付けることができる。また、上記の係合部から被係合部の離脱を阻止する抜け止め部(ネジ85及びピン84)が設けられるので、カバー部材100を配置面32Aに確実に固定することができる。
【0109】
また、実施形態によれば、カバー部材100に設けられた照明窓面101D及び観察窓面101Bにより、照明窓18が観察窓16よりも高さ方向(配置面32Aの法線方向)における高さが高い位置に配置されるため、照明窓18から光が観察窓16に直接照射されることがなくなり、観察画像にフレア等が生じることを抑制できる。
【0110】
以上、実施形態に係る内視鏡について説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 内視鏡
2 挿入部
3 操作部
4 ユニバーサルコード
5 軟性部
6 湾曲部
7 先端部
8 アングルノブ
9 アングルノブ
10 送気送水ボタン
11 吸引ボタン
12 起立操作用レバー
13 処置具導入口
14 送気送水ノズル
16 観察窓
16A 光軸
18 照明窓
18A 光軸
20 先端部材
22 起立台収容部
24 開口
26 先端開口
28 基部
28A 先端壁部
30 フランジ部
32 第1壁部
32A 配置面
33 先端部材カバー
34 第2壁部
36 起立台
36A ガイド面
39 処置具導出口
40 カバー
42 レバー
42A 回転軸
44 レバー収容室
46 操作ワイヤ
50 ガイドワイヤ固定部
60 凹部
61 底面部
61A 第1係合孔
61B 観察窓孔
61C 円筒部
61D 第2係合孔
61E フランジ部
62 壁面
70 絶縁リング
72 フランジ部
74 キャップ装着部
76 湾曲部装着部
80 撮像部
81 照明部
82 第1貫通孔
83 第2貫通孔
84 ピン
85 ネジ
100 カバー部材
101 上面
101A 基端側面
101B 観察窓面
101C 中間面
101D 照明窓面
101E 先端側面
101F 土手部
103 下面
105 側面
107 第1挿通孔
107A 開口
107B 開口
109 第2挿通孔
109A 開口
109B 開口
111 第1突起部
111A 第1貫通孔
113 第2突起部
113A 第2貫通孔
200 先端キャップ
202 上部開口
204 先端部開口
206 基端部開口
208 係合溝