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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153102
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
A61B1/00 715
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055395
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 直樹
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161HH24
4C161JJ06
4C161JJ11
(57)【要約】
【課題】先端部材に対する先端キャップの着脱が容易で且つ処置時における先端キャップの捲れ問題を解消することができる内視鏡を提供する。
【解決手段】X(+)方向側を向いた内側垂直面158と、Z(+)方向側を向いた上面156と、を有する突出部150を第1壁部32の端面110に設け、内側垂直面158及び上面156に係合する平面176と平面178を先端キャップ200に備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端部に設けられた先端部材と、
前記先端部材に装着される先端キャップと、
を備え、
前記先端部材の軸線方向を第1方向とし、前記第1方向に直交し互いに直交する2方向のうち一方の方向を第2方向とし且つ他方の方向を第3方向とした場合、
前記先端部材は、起立台が収容される起立台収容部と、前記起立台収容部の前記第2方向の一方側に配置され且つ観察窓及び照明窓を有する第1壁部と、を有し、
前記先端キャップは、前記第3方向の一方側に前記観察窓、前記照明窓、及び前記起立台収容部を露呈するキャップ開口部を有し、
前記第1壁部は、前記第1方向の一方側の端面に設けられた係合部を備え、
前記係合部は、前記第2方向の一方側とは反対の他方側を向いた第1係合面と、前記第3方向の一方側を向いた第2係合面と、を有し、
前記先端キャップは、前記第1係合面及び前記第2係合面に係合する被係合部を有する、
内視鏡。
【請求項2】
前記係合部は、前記端面から前記第1方向の一方側に突出した突出部である、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1係合面に接続され且つ前記第1係合面よりも前記第3方向の一方側を向いて傾斜した内側傾斜面を有する、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記突出部は、
前記第1係合面及び前記第2係合面に接続され、前記第1方向の一方側を向いた先端面と、
前記第2係合面及び前記先端面に接続され、前記第2方向の一方側を向いた外周曲面と、
前記先端面よりも前記第3方向の他方側にフィレット面を介して配置され、前記第1方向の一方側と前記第3方向の他方側との双方を向いて傾斜した先端傾斜面と、
を有する、
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記第1壁部の前記端面は、前記突出部よりも前記第3方向の他方側の領域に、前記第1方向の一方側と前記第3方向の他方側との双方を向いて傾斜した傾斜壁面を有し、
前記先端キャップは、前記先端部材に装着された場合に前記傾斜壁面に当接可能な壁面当接面を有する、
請求項2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第1壁部は、前記照明窓よりも前記第1方向の一方側に配置され、前記第3方向の一方側を向いたキャップ装着面を有し、
前記先端キャップが前記先端部材に装着された場合、前記キャップ装着面は前記先端キャップに覆われる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記キャップ装着面は、前記照明窓の配置面よりも前記第3方向の他方側に配置される、
請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記第2係合面は、前記キャップ装着面に対し前記第3方向の他方側に配置される、
請求項6に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記先端部材は、前記起立台収容部の前記第2方向の他方側に配置された第2壁部を有し、
前記先端キャップは、前記第2壁部の一部を収容可能な収容部を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記第2壁部は、前記第1方向の一方側に他の部分よりも薄肉に形成された薄肉部を有し、
前記収容部は、前記薄肉部を収容可能である、
請求項9に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記先端部材は、前記第1壁部の前記第1方向の一方側とは反対の他方側に配置された基部を有し、
前記基部の外周部には径方向に突出したフランジ部が設けられ、
前記先端キャップは、前記フランジ部に係止するキャップ係止部を有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記基部は、前記フランジ部より前記第1方向の他方側に配置され且つ周方向の一部が平坦に形成された平坦部を有する、
請求項11に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に係り、特に挿入部の先端部材に先端キャップが装着される内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡では、操作部に設けられた処置具導入口から各種の処置具を導入し、この処置具を、挿入部の先端部に開口した処置具導出口から外部に導出して処置に用いる。例えば、十二指腸鏡では、造影チューブ又はガイドワイヤなどの処置具が使用される。また、超音波内視鏡では、穿刺針などの処置具が使用され、その他の直視鏡及び斜視鏡においては、鉗子又はスネアなどの処置具が使用される。
【0003】
このような処置具は、被検体内の所望の位置を処置するために挿入部の先端部において導出方向を変更する必要がある。このため、挿入部の先端部には、処置具の導出方向を変更する起立台が設けられる。また、内視鏡には処置具起立機構が設けられ、この処置具起立機構によって起立台の姿勢が起立位置と倒伏位置との間で変更される。
【0004】
一方、挿入部の先端部を構成する先端部材は、金属により構成されている。このため、先端部材には樹脂製の先端キャップが被せられる。この先端キャップは、処置後に行われる内視鏡の洗浄時に先端部材から取り外される。
【0005】
ここで、特許文献1には、先端部材の先端面にL字形状の係止凸部を設け、この係止凸を、先端カバーに形成された係止凹部にはめ込むことにより、先端カバーを先端部材に装着する内視鏡が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、先端部材に形成された係合溝に、先端カバーに形成された係止爪を係合させることにより、先端カバーを先端部材に装着する内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-299315号公報
【特許文献2】国際公開第19/116637号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先端部材に先端キャップが装着される内視鏡は、内視鏡の処置時に先端キャップが体腔壁などに接触する。先端キャップが体腔壁に接触した状態で、挿入部を挿入操作したり、湾曲部を湾曲操作したりした場合、先端キャップ(特に先端キャップのキャップ先端部)が体腔壁から力を受けて先端部材から捲れてしまうという問題がある。
【0009】
上記の問題は、先端部材と先端キャップとの接続構造において、その固定力(嵌合力、係合力)を高めるように構成すればよいが、固定力を高める構造を採用した場合、先端部材に対する先端キャップの着脱を容易に行うことが困難になるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、先端部材に対する先端キャップの着脱が容易で且つ処置時における先端キャップの捲れ問題を解消することができる内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1態様に係る内視鏡は、挿入部の先端部に設けられた先端部材と、先端部材に装着される先端キャップと、を備え、先端部材の軸線方向を第1方向とし、第1方向に直交し互いに直交する2方向のうち一方の方向を第2方向とし且つ他方の方向を第3方向とした場合、先端部材は、起立台が収容される起立台収容部と、起立台収容部の第2方向の一方側に配置され且つ観察窓及び照明窓を有する第1壁部と、を有し、先端キャップは、第3方向の一方側に観察窓、照明窓、及び起立台収容部を露呈するキャップ開口部を有し、第1壁部は、第1方向の一方側の端面に設けられた係合部を備え、係合部は、第2方向の一方側とは反対の他方側を向いた第1係合面と、第3方向の一方側を向いた第2係合面と、を有し、先端キャップは、第1係合面及び第2係合面に係合する被係合部を有する。
【0012】
第2態様に係る内視鏡は、第1態様において、係合部は、端面から第1方向の一方側に突出した突出部である。
【0013】
第3態様に係る内視鏡は、第2態様において、突出部は、第1係合面に接続され且つ第1係合面よりも第3方向の一方側を向いて傾斜した内側傾斜面を有する。
【0014】
第4態様に係る内視鏡は、第2態様又は第3態様において、突出部は、第1係合面及び第2係合面に接続され、第1方向の一方側を向いた先端面と、第2係合面及び先端面に接続され、第2方向の一方側を向いた外周曲面と、先端面よりも第3方向の他方側にフィレット面を介して配置され、第1方向の一方側と第3方向の他方側との双方を向いて傾斜した先端傾斜面と、を有する。
【0015】
第5態様に係る内視鏡は、第2態様から第4態様いずれかにおいて、第1壁部の端面は、突出部よりも第3方向の他方側の領域に、第1方向の一方側と第3方向の他方側との双方を向いて傾斜した傾斜壁面を有し、先端キャップは、先端部材に装着された場合に傾斜壁面に当接可能な壁面当接面を有する。
【0016】
第6態様に係る内視鏡は、第1態様から第5態様のいずれかにおいて、第1壁部は、照明窓よりも第1方向の一方側に配置され、第3方向の一方側を向いたキャップ装着面を有し、先端キャップが先端部材に装着された場合、キャップ装着面は先端キャップに覆われる。
【0017】
第7態様に係る内視鏡は、第6態様において、キャップ装着面は、照明窓の配置面よりも第3方向の他方側に配置される。
【0018】
第8態様に係る内視鏡は、第6態様又は第7態様のいずれかにおいて、第2係合面は、キャップ装着面に対し第3方向の他方側に配置される。
【0019】
第9態様に係る内視鏡は、第1態様から第8態様のいずれかにおいて、先端部材は、起立台収容部の第2方向の他方側に配置された第2壁部を有し、先端キャップは、第2壁部の一部を収容可能な収容部を有する。
【0020】
第10態様に係る内視鏡は、第9態様において、第2壁部は、第1方向の一方側に他の部分よりも薄肉に形成された薄肉部を有し、収容部は、薄肉部を収容可能である。
【0021】
第11態様に係る内視鏡は、第1態様から第10態様のいずれかにおいて、先端部材は、第1壁部の第1方向の一方側とは反対の他方側に配置された基部を有し、基部の外周部には径方向に突出したフランジ部が設けられ、先端キャップは、フランジ部に係止するキャップ係止部を有する。
【0022】
第12態様に係る内視鏡は、第11態様において、基部は、フランジ部より第1方向の他方側に配置され且つ周方向の一部が平坦に形成された平坦部を有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、先端部材に対する先端キャップの着脱が容易で且つ処置時における先端キャップの捲れ問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、内視鏡の全体構成を示した説明図である。
図2図2は、先端部をZ(+)方向側から見た場合の拡大斜視図である。
図3図3は、図2の先端部材から先端キャップを取り外した斜視図である。
図4図4は、先端キャップの外観を示した斜視図である。
図5図5は、先端キャップの断面図である。
図6図6は、先端部をY-Z平面で切断した場合の断面図である。
図7図7は、先端部材をY(+)方向側から見た斜視図である。
図8図8は、図7に示したカバーを先端部材から取り外した斜視図である。
図9図9は、先端部材をY(+)方向側から見た斜視図である。
図10図10は、図9に示した先端部材をX(+)方向側から見た側面図である。
図11図11は、先端部材をY(+)方向側から見た斜視図である。
図12図12は、先端部材をY(+)方向側から見た正面図である。
図13図13は、先端部材の第1壁部の先端部分の拡大斜視図である。
図14図14は、先端部材に先端キャップが装着された先端部の要部を示した斜視図である。
図15図15は、先端キャップの装着部をY(-)方向側から見た斜視図である。
図16図16は、先端キャップに設けられた他の傾斜面を示すための断面図である。
図17図17は、先端キャップの収容部をY(-)方向側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態に係る内視鏡について説明する。
【0026】
[内視鏡1の全体構成]
図1は、本実施形態に係る内視鏡1の全体構成図である。
【0027】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端部に接続されて術者が操作する操作部3と、を備える。なお、実施形態では、十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡を例示する。
【0028】
以下、内視鏡1の各部の構成を説明するに当たっては、説明の便宜上X、Y、Zの三次元直交座標系を用いて説明する。図中のZ方向は上下方向を指し、Z(+)方向側が上側方向、Z(-)方向側が下側方向を指す。また、図中のX方向は、Z方向に垂直な方向を指し、X(+)方向側が右側方向、X(-)方向側が左側方向を指す。また、図中のY方向は、Z方向及びX方向の双方に垂直な方向を指し、Y(+)方向側が先端側方向、Y(-)方向側が基端側方向を指す。なお、上記の各方向は、内視鏡1の操作部3を術者が把持した場合において、術者が挿入部2を上方側から見たときの方向をそれぞれ指している。
【0029】
また、Y方向、X方向及びZ方向は、それぞれ本発明の第1方向、第2方向及び第3方向に相当する。また、Y(+)方向及びY(-)方向は、それぞれ本発明の第1方向の一方側の方向及び第1方向の他方側の方向に相当する。また、X(+)方向及びX(-)方
向は、それぞれ本発明の第2方向の他方側の方向及び第2方向の一方側の方向に相当する。また、Z(+)方向及びZ(-)方向は、それぞれ本発明の第3方向の一方側の方向及び第3方向の他方側の方向に相当する。
【0030】
〈挿入部2〉
内視鏡1の挿入部2は、口腔を介して被検体内に挿入され、さらに食道から胃を経て十二指腸まで挿入される。これにより、挿入部2の内部に挿通された処置具を用いて十二指腸の検査又は治療などの処置が行われる。
【0031】
処置具としては、その先端部に生体組織を採取可能なカップを有する生検鉗子、EST(Endoscopic Sphincterotomy:内視鏡的乳頭切開術)用ナイフ、造影チューブ又はガイドワイヤなどが挙げられる。
【0032】
挿入部2は、長手軸Axを有し、その基端側から先端側に向って順に軟性部5と、湾曲部6と、先端部7と、を有する。なお、長手軸Ax方向とY方向とは同一方向である。
【0033】
軟性部5は、挿入部2の基端側からの大部分を占めており、例えば不図示の金属製の螺旋管及びネットによって構成され、さらにこれらの外周を樹脂製のチューブで被覆することで構成される。軟性部5は、任意の方向に湾曲可能な可撓性を有し、挿入部2を体腔内に挿入した場合には体腔内への挿入経路に沿って湾曲する。
【0034】
湾曲部6は、複数のアングルリングが相互に揺動可能に連結された筒状体を有し、この筒状体の外周に金属線で編んだ網状体が被覆され、さらにその外周にゴム製のアングルゴムが被覆されることで構成される。また、操作部3のアングルノブ8、9から湾曲部6まで複数本のワイヤが延在されており、これらワイヤの先端部が上記の筒状体の先端部に固定されている。これにより、アングルノブ8、9の回動操作に応じて湾曲部6が上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)に湾曲される。
【0035】
先端部7については、図2以降において詳しく説明するが、先端部7は、先端部材20と、先端部材20に着脱自在に装着される先端キャップ200(図2参照)と、を有する。
【0036】
先端部材20は、先端部7に設けられており、耐食性を有する金属材料で構成される。先端部材20の軸線方向は、長手軸Ax方向及びY方向と同一である。先端キャップ200は、弾力性のある材質、例えばシリコンゴムで構成される。先端部材20及び先端キャップ200は、それぞれ本発明の先端部材及び先端キャップの一例である。
【0037】
〈操作部3〉
図1に示すように、操作部3は、湾曲部6を湾曲操作するアングルノブ8、9と、送気送水ボタン10と、吸引ボタン11と、起立操作用レバー12と、処置具導入口13と、を有する。
【0038】
送気送水ボタン10は、挿入部2の内部に挿通された送気送水チャンネル(不図示)を介して先端部7の送気送水ノズル14(図2参照)から観察窓16及び照明窓18などに向けて送気及び送水を行うための操作ボタンである。
【0039】
吸引ボタン11は、挿入部2の内部に挿通された処置具挿通チャンネル38(図6参照)を介して体液などの吸引を行うための操作ボタンである。
【0040】
起立操作用レバー12は、先端部7に設けられた起立台36(図2参照)を起伏操作す
るためのレバーである。起立操作用レバー12は、処置具起立機構の構成部材の一つである。
【0041】
処置具導入口13は、上記の処置具挿通チャンネル38と連通し、術者が処置具などを導入するための開口である。処置具導入口13から導入された処置具は、処置具挿通チャンネル38を通って先端部7に導かれる。
【0042】
操作部3には、ユニバーサルコード4が接続されており、このユニバーサルコード4は、不図示の画像処理装置及び光源装置に接続される。画像処理装置には、ケーブルを介してモニタ装置(不図示)が接続される。以上が内視鏡1の全体構造である。以下、先端部7の構造について説明する。
【0043】
〈先端部7〉
図2は、先端部7をZ(+)方向側から見た場合の拡大斜視図である。図2では、先端部材20に先端キャップ200が装着された状態が示されている。また、図3は、図2の先端部材20から先端キャップ200を取り外した状態を示した斜視図である。
【0044】
図2に示すように、先端キャップ200が先端部材20に装着された状態において、先端キャップ200は、後述の起立台収容部22のZ(+)方向側の開口24に連通する上部開口202を有している。
【0045】
次に、先端キャップ200の構成について概略説明する。先端キャップ200の詳細構成については後述する。
【0046】
図4は、先端キャップ200の外観を示した斜視図である。図4のIVAは、先端キャップ200が先端部材20に装着された状態をY(+)方向側から見た斜視図であり、IVBは、先端キャップ200をY(+)方向側から見た斜視図であり、IVCは、先端キャップ200をY(-)方向側から見た斜視図である。
【0047】
図4に示すように、先端キャップ200は、先端部材20を収容するように略筒状に構成されている。また、先端キャップ200は、起立台収容部22の開口24に連通する上部開口202と、起立台収容部22のY(+)方向側の先端開口26に連通する先端部開口204と、先端キャップ200を先端部材20に装着するための基端部開口206と、を有する。
【0048】
上部開口202は、Z(+)方向側に設けられ、起立台収容部22(開口24)の他、送気送水ノズル14の先端部と、観察窓16と、照明窓18と、後述のガイドワイヤ固定部50とをそれぞれ露呈する大きさに形成されている。また、先端部開口204は、上部開口202と連設されており、内視鏡1の吸引動作中に体腔壁が上部開口202に吸着されることを防止するための空気抜き用の開口として形成されている。また、基端部開口206は、先端部材20を挿入するための開口である。なお、上部開口202は、本発明のキャップ開口部に相当する。
【0049】
図5は、先端キャップ200をZ-Y平面で切断した場合の先端キャップ200の断面図である。図6は、図2に示した先端部7をY-Z平面で切断した場合の断面図である。
【0050】
図5及び図6に示すように、先端キャップ200は、その基端側の内周面に係合溝208と平坦部210とを有する。係合溝208は、先端キャップ200の内周面の全周に亘って設けられている。平坦部210は、先端キャップ200の内周面のZ(+)方向側の面であって、係合溝208よりも基端側(Y(-)方向側)の面に設けられている。また
、平坦部210は、例えばX-Y平面と略平行な面を有する。
【0051】
図6に示すように、係合溝208は、先端部材20の基部28の外周面に突設されたフランジ部30に係止する。これにより、先端キャップ200が先端部材20に装着される。また、平坦部210は、先端キャップ200が先端部材20に装着された場合、後述の絶縁リング70に設けられた平坦部78と互いに当接する。なお、フランジ部30及び係合溝208は、それぞれ本発明のフランジ部及びキャップ係止部の一例である。
【0052】
次に、先端部材20の構成について概略説明する。先端部材20の詳細構成については後述する。
【0053】
図3に示すように、先端部材20は、X方向において互いに対向する第1壁部32と第2壁部34とを有する。第1壁部32は、X(-)方向側に配置され、第2壁部34は、X(+)方向側に配置される。
【0054】
また、第1壁部32と第2壁部34は、それぞれの基端が先端部材20の基部28に連設され、この基部28からY(+)方向側に延設されている。なお、基部28、第1壁部32及び第2壁部34は、それぞれ本発明の基部、第1壁部及び第2壁部の一例である。
【0055】
また、X方向における第1壁部32と第2壁部34との間には、起立台36を収容するための起立台収容部22が設けられる。この起立台収容部22は、第1壁部32及び第2壁部34に並設され、Y方向に沿うスリット状の空間として形成されている。なお、起立台収容部22は、本発明の起立台収容部の一例である。
【0056】
先端部材20には、処置具導出口39(図6参照)が設けられる。この処置具導出口39には、処置具挿通チャンネル38の先端側が連通されている。この処置具挿通チャンネル38は、挿入部2(図1参照)の内部に挿通され、その基端側が操作部3の処置具導入口13に接続されている。
【0057】
これにより、処置具導入口13から導入された処置具は、処置具挿通チャンネル38及び処置具導出口39を通って起立台収容部22に導かれる。なお、起立台収容部22に導かれた処置具は、起立台36によって導出方向が変更される。
【0058】
図7は、先端部材20をY(+)方向側から見た斜視図である。図8は、図7に示したカバー40を第2壁部34から取り外した斜視図であり、図8では先端キャップ200も図示されている。
【0059】
〈第1壁部32〉
図7及び図8に示すように、第1壁部32は、観察窓16及び照明窓18を有する。また第1壁部32の内部には、撮像部及び照明部が設けられている。
【0060】
撮像部は、観察窓16の内側に配設された撮像光学系と、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子と、を有する。撮像素子は、挿入部2の内部に挿通された信号ケーブルを介して画像処理装置に接続される。この撮像部によって得られた被写体像の撮像信号は、信号ケーブルを介して画像処理装置に入力され、画像処理装置にケーブルを介して接続されたモニタに被写体像として表示される。
【0061】
照明部は、照明窓18の内側に設置された照明レンズと、この照明レンズに先端が臨むように配置されたライトガイドと、を有する。ライトガイドは、挿入部2の内部に挿通さ
れ、その基端部が光源装置に接続される。これにより、光源装置からの照射光がライトガイドを介して伝送され、照明窓18から照射される。
【0062】
〈第2壁部34〉
図8に示すように、第2壁部34には、レバー42を収容する凹状のレバー収容室44が設けられている。このレバー収容室44は、第2壁部34のX方向に互いに対向する2つの壁面のうち、起立台収容部22に対向する壁面とは反対側の壁面に設けられている。
【0063】
レバー収容室44においてレバー42は、その一端部に回転軸42Aが設けられている。回転軸42Aは、第2壁部34をX方向に貫通して起立台36に接続されている。また、レバー42は、その他端部が操作ワイヤ46に接続されている。操作ワイヤ46は、挿入部2(図1参照)の内部に挿通されて操作部3の起立操作用レバー12に接続される。
【0064】
したがって、起立操作用レバー12を術者が操作することにより、操作ワイヤ46が押し引き操作され、この押し引き操作に連動してレバー42が揺動する。これにより、起立台36が回転軸42Aを揺動軸として揺動し、起立位置と倒伏位置との間で位置を変更する。ここで、回転軸42Aを有するレバー42と、操作ワイヤ46と、起立操作用レバー12とによって処置具起立機構が構成される。なお、レバー収容室44は、図7に示したカバー40によって封止される。
【0065】
〈起立台36〉
図7及び図8に示すように、起立台36は、先端部材20に設けられており、起立台収容部22に収容される。また、起立台36は、回転軸42Aを介して第2壁部34に揺動自在に取り付けられている。この起立台36は、上記の処置具起立機構によって駆動されて起立動作及び倒伏動作する。
【0066】
また、起立台36は、ガイド面36A(図2など参照)を有する。このガイド面36Aは、起立台36が倒伏位置に位置した場合、Z(+)方向側に向く面に形成されている。このガイド面36Aは、処置具を案内するための面であり、起立台36の揺動端である基端側から先端側にかけて内側に窪んだ略U字形状に形成されている。
【0067】
処置具起立機構によって起立台36が起立動作した場合、起立台収容部22に導かれた処置具は、起立台36のガイド面36Aによって起立台収容部22の開口24へと向かう方向に案内され、先端キャップ200の上部開口202から外部に導出される。また、処置具起立機構によって起立台36の起立角度を調整することにより、処置具の導出方向を変更することができる。
【0068】
〈ガイドワイヤ固定部50〉
図7に示すように、基部28にはガイドワイヤ固定部50が設けられている。このガイドワイヤ固定部50は、基部28の先端壁部28Aから起立台収容部22に向けてY(+)方向側に突設されている。
【0069】
ガイドワイヤ固定部50は、Y(+)方向に先細な凸状部として構成されている。換言すれば、ガイドワイヤ固定部50は、先端壁部28Aを底面とした略台形立方体の形状に構成されている。
【0070】
処置具挿通チャンネル38から起立台収容部22に導かれたガイドワイヤ(不図示)は、起立台36を最大起立位置に起立させた場合、ガイドワイヤ固定部50の凸状の先端部50Aと起立台36の凹状のガイド面36Aとの間で挟まれて固定される。なお、ガイドワイヤ固定部50は、X方向において送気送水ノズル14と並設されている。
【0071】
〈絶縁リング70〉
図9は、先端部材20をY(+)方向側から見た斜視図である。図10は、図9に示した先端部材20をX(+)方向側から見た側面図である。なお、図9及び図10においては、先端部材20からY(-)方向側に絶縁リング70を離した状態を示している。
【0072】
図9及び図10に示すように、先端部材20の基部28は、Y方向に沿った略円筒状に構成されており、その外周部に環状の絶縁リング70が装着される。この絶縁リング70は、プラスチック又はセラミックなどの絶縁材料によって構成されている。
【0073】
絶縁リング70は、その外周面に沿って径方向外側に突設されたフランジ部72と、フランジ部72よりも先端側に配置されたキャップ装着部74と、フランジ部72よりも基端側に配置された湾曲部装着部76と、を有する。
【0074】
キャップ装着部74は、その外周面に平坦部78と円弧部80とを有している。平坦部78は、外周面のうちZ(+)側の面に設けられており、基部28のフランジ部30よりも低い位置(Z(-)側の位置)に形成される。この平坦部78は、例えばX-Y平面と略平行な面を有する。
【0075】
また、キャップ装着部74は、その内径が基部28の外径(直径)よりも大きく構成されている。このキャップ装着部74を基部28に対し、基部28の基端側から先端側へ外装していき、キャップ装着部74の基端74Aを、基部28のフランジ部30の基端側面30Aに突き当てる。
【0076】
これにより、キャップ装着部74が基部28に装着されて、絶縁リング70が先端部材20に装着される。この場合、フランジ部30の基端側に、絶縁リング70の平坦部78と円弧部80とが配置される(図7及び図8参照)。
【0077】
また、先端部材20に絶縁リング70が装着された図8の状態において、先端キャップ200が先端部材20に装着される。この場合、先端キャップ200を先端部材20に対し、先端部材20の先端側から基端側へ外装していき、先端キャップ200の基端200Aを、絶縁リング70のフランジ部72の先端側面72Aに突き当てる。
【0078】
これにより、図6に示したように、先端部材20のフランジ部30に先端キャップ200の係合溝208が係合し、絶縁リング70の平坦部78に先端キャップ200の平坦部210が当接する。その結果、先端キャップ200が先端部材20に装着され、且つ、絶縁性の先端キャップ200と絶縁リング70とによって金属製の先端部材20が被覆される。
【0079】
このような構成により、本実施形態の内視鏡1によれば、先端キャップ200と絶縁リング70とによって先端部7の絶縁性を確保することができる。また、フランジ部30と係合溝208との係合により、先端部材20から先端キャップ200がY(+)方向側に抜けるのを防止することができる。また、平坦部78と平坦部210との当接により、先端部材20に対する先端キャップ200の長手軸Ax回り方向のズレを防止することができる。
【0080】
なお、先端キャップ200の基端部と絶縁リング70のフランジ部72とは、それぞれ略同一の外径(直径)を有している。これにより、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、それぞれの外周面において先端キャップ200と絶縁リング70とは段差なく接続される。
【0081】
また、上記のフランジ部30に係合溝208が完全に係合されず、先端キャップ200が先端部材20に不完全に装着された場合、例えば、先端キャップ200の基端200Aがフランジ部30に当たった状態で装着された場合、先端キャップ200の一部(例えば、送気送水ノズル14の基端側に位置する部分)が撮像部の観察視野内に入る。この場合、モニタ装置に映し出される観察画面に先端キャップ200の一部が黒色として映り込む。これによって、上記の不完全な装着を術者に知らせることができる。
【0082】
図9及び図10に示すように、湾曲部装着部76は、円筒状に構成されている。湾曲部装着部76は、湾曲部6のアングルゴムの先端部を装着する部分である。湾曲部装着部76に湾曲部6のアングルゴムの先端部を装着していき、アングルゴムの先端をフランジ部72の基端側面72Bに突き当てる。これにより、アングルゴムを絶縁リング70に装着することができる。なお、アングルゴムは、その先端部が糸(不図示)に巻かれて絶縁リング70に固定される。その糸は接着剤(不図示)によってアングルゴムに固着される。
【0083】
ところで、本実施形態の内視鏡1のように、先端部材20に先端キャップ200が装着されるものは、先端キャップ200が体腔壁から力を受けて先端部材20から捲れてしまうという問題がある。
【0084】
特に、先端キャップ200の先端部のうち、第1壁部32の先端側に位置するキャップ先端部200B(図2等参照)が捲れた場合、そこから液体が第1壁部32の内部に浸入する場合があるので、キャップ先端部200Bの捲れを防止する必要がある。
【0085】
上記の問題は、先端部材20と先端キャップ200と接続構造において、その固定力(嵌合力、係合力)を高めるように構成すればよいが、固定力を高める構造を採用した場合、先端部材20に対する先端キャップ200の着脱を容易に行うことが困難になるという問題がある。
【0086】
そこで、本実施形態の内視鏡1は、先端部材20に対する先端キャップ200の着脱が容易で且つ処置時における先端キャップ200の捲れ問題を解消するために、以下の構成を有している。以下、詳しく説明する。
【0087】
まず、先端部材20について説明する。
【0088】
図11は、先端部材20をY(+)方向側から見た斜視図である。図11には、先端キャップ200も図示されている。図12は、先端部材20をY(+)方向側から見た正面図である。図13は、先端部材20の第1壁部32の先端部分を拡大して示した斜視図である。なお、図11以降の図面については、符号の煩雑さを避けるため、説明に必要な符号を付すこととし、不要な符号については省略する。
【0089】
〈キャップ装着面100〉
図11乃至図13に示すように、第1壁部32は、Y(+)方向側の上面(Z(+)方向側の面)にキャップ装着面100を有する。このキャップ装着面100は、照明窓18よりもY(+)方向側に配置される。
【0090】
また、キャップ装着面100は、X-Y平面と平行な面により構成されており、Z(+)方向側を向いている。なお、キャップ装着面100は、少なくともZ(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、キャップ装着面100は、Z(+)方向側に向かう法線成分を有する面により構成されていればよく、例えばX-Y平面と略平行な面(X-Y平面に対して僅かに傾いた面)であってもよい。
【0091】
また、キャップ装着面100は、照明窓18の配置面18Aに対しZ(-)方向側に配置される。このキャップ装着面100は、先端部材20に先端キャップ200を装着した場合、先端キャップ200のキャップ先端部200B(図2等参照)によって覆われる。なお、キャップ装着面100は、本発明のキャップ装着面の一例である。
【0092】
〈端面110〉
第1壁部32は、Y(+)方向側に端面110を有する。この端面110は、第1壁部32の先端隅部32Aを介してキャップ装着面100と連設されている。
【0093】
また、端面110は、X-Z平面と平行な面により構成されており、Y(+)方向側を向いている。なお、端面110は、少なくともY(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、端面110は、Y(+)方向側に向かう法線成分を有する面により構成されていればよく、例えばX-Z平面と略平行な面(X-Z平面に対して僅かに傾いた面)であってもよい。なお、端面110は、本発明の第1方向の一方側の端面の一例である。
【0094】
〈突出部150〉
第1壁部32は、端面110に突出部150を備える。この突出部150は、端面110を底面としてY(+)方向側に突出した凸部として構成されている。なお、突出部150は、本発明の係合部の一例であって突出部の一例である。以下、突出部150の構成について詳しく説明する。
【0095】
突出部150は、複数の面を有する。すなわち、突出部150は、先端面152と、外周曲面154と、上面156と、内側垂直面158と、内側傾斜面160と、先端傾斜面162と、を有する。
【0096】
〈先端面152〉
先端面152は、突出部150が有する複数の面のうち、最もY(+)方向側に位置する面である。この先端面152は、後述の内側垂直面158及び上面156に接続されている。
【0097】
先端面152は、X-Z平面と平行な面により構成されており、Y(+)方向側を向いている。なお、先端面152は、少なくともY(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、先端面152は、Y(+)方向側に向かう法線成分を有する面により構成されていればよく、例えばX-Z平面と略平行な面(X-Z平面に対して僅かに傾いた面)であってもよい。なお、先端面152は、本発明の先端面の一例である。
【0098】
図12に示すように、先端面152をY(+)方向側から見た場合、先端面152は、外周曲面154の稜線154Aと、上面156の稜線156Aと、内側垂直面158の稜線158Aと、内側傾斜面160の稜線160Aと、先端傾斜面162の稜線162Aと、によって画成される面である。
【0099】
上記の稜線154AはX(-)方向側に膨らんだ円弧状に形成され、稜線156Aは、X方向に沿った直線状に形成される。稜線158Aは、Z方向に沿った直線状に形成され、稜線160Aは、Z(-)方向側とX(+)方向側との双方に傾斜した直線状に形成される。稜線162Aは、X方向に沿った直線状に形成されている。
【0100】
このような複数の稜線によって先端面152は、3本の稜線154A、156A、158Aを含む稜線によって画成される略三角形状の面164と、3本の稜線160A、16
2A、154Aを含む稜線によって画成される略台形状の面166とを有する。これらの2つの面164、166によって先端面152が構成されている。
【0101】
〈外周曲面154〉
外周曲面154は、上面156及び先端面152に接続され、端面110のX(-)方向側の位置からY(+)方向側に延びた面により形成される。
【0102】
外周曲面154は、X(-)方向側を向いており、X(-)方向側に向けて円弧状に膨らんだ曲面を有する。なお、外周曲面154は、少なくともX(-)方向側を向いた曲面により構成されていればよい。すなわち、外周曲面154は、X(-)方向側に向かう法線成分と、Z(+)方向側に向かう法線成分と、Z(-)方向側に向かう法線成分とを有する曲面により構成されていればよい。なお、外周曲面154は、本発明の外周曲面の一例である。
【0103】
〈上面156〉
上面156は、端面110のZ(+)方向側の位置からY(+)方向側に延びた面により形成される。上面156は、キャップ装着面100に対してZ(-)方向側に配置されている。
【0104】
上面156は、X-Y平面と平行な面により構成されており、Z(+)方向側を向いている。なお、上面156は、少なくともZ(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、上面156は、Z(+)方向側に向かう法線成分を有する面により構成されていればよく、例えばX-Y平面と略平行な面(X-Y平面に対して僅かに傾いた面)であってもよい。また、Z(+)方向側から見た場合、上面156は、略三角形状の面として構成されている。なお、上面156は、本発明の第2係合面の一例である。
【0105】
〈内側垂直面158〉
内側垂直面158は、端面110のX(+)方向側の位置からY(+)方向側に延びた面により形成される。
【0106】
内側垂直面158は、Y-Z平面と平行な面により構成されており、X(+)方向側を向いている。なお、内側垂直面158は、少なくともX(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、内側垂直面158は、X(+)方向側に向かう法線成分を有する面により構成されていればよく、例えばY-Z平面と略平行な面(Y-Z平面に対して僅かに傾いた面)であってもよい。
【0107】
また、Y(+)方向側から見た場合、内側垂直面158は、先端面152を挟んで外周曲面154のX(+)方向側に配置されている。また、X(+)方向側から見た場合、内側垂直面158は略矩形状の面として構成されている。なお、内側垂直面158は、本発明の第1係合面の一例である。
【0108】
〈内側傾斜面160〉
内側傾斜面160は、端面110のX(+)方向側の位置からY(+)方向側に延びた面により形成される。
【0109】
内側傾斜面160は、内側垂直面158に接続され且つ内側垂直面158よりもZ(+)方向側を向いている。なお、内側傾斜面160は、少なくとも内側垂直面158よりもZ(+)方向側を向いた面により構成されていればよい。すなわち、内側傾斜面160は、Z(+)方向側に向かう法線成分と、X(+)方向側に向かう法線成分とを有する面により構成されていればよい。
【0110】
また、Y(+)方向側から見た場合、内側傾斜面160は、先端面152を挟んで外周曲面154のX(+)方向側に配置されている。また、X(+)方向側から見た場合、内側傾斜面160は略矩形状の面として構成されている。なお、内側傾斜面160は、本発明の内側傾斜面の一例である。
【0111】
〈先端傾斜面162〉
先端傾斜面162は、先端面152よりもZ(-)方向側にフィレット面168(図13参照)を介して配置される。
【0112】
先端傾斜面162は、Y(+)方向側とZ(-)方向側との双方を向いた面である。なお、先端傾斜面162は、少なくともY(+)方向側とZ(-)方向側との双方を向いた面により構成されていればよい。すなわち、先端傾斜面162は、Y(+)方向側に向かう法線成分とZ(-)方向側に向かう法線成分とを有する面により構成されていればよい。
【0113】
また、Z(-)方向側から見た場合、先端傾斜面162は略矩形状の面として構成されている。なお、先端傾斜面162は、本発明の先端傾斜面の一例である。
【0114】
図11に示すように、第1壁部32は、第1壁部32の端面110のうち、突出部150よりもZ(-)方向側の領域に、壁面当接面165を有する。
【0115】
壁面当接面165は、Y(+)方向側とZ(-)方向側との双方を向いた面であり、先端傾斜面162よりもZ(-)方向側に向いている。なお、壁面当接面165は、少なくともY(+)方向側とZ(-)方向側との双方を向いた面により構成されていればよい。すなわち、壁面当接面165は、Y(+)方向側に向かう法線成分とZ(-)方向側に向かう法線成分とを有する面により構成されていればよい。以上が突出部150の構成である。
【0116】
次に、先端キャップ200について説明する。
【0117】
図14は、先端部材20に先端キャップ200が装着された先端部7の要部を示した斜視図である。図14では、突出部150が破線で示されている。
【0118】
図14に示すように、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、突出部150は、キャップ先端部200Bの内側面に形成された装着部170(図15参照)に差し込まれる。
【0119】
図15は、先端キャップ200の装着部170をY(-)方向側から見た要部説明図である。図15に示すように、装着部170は、先端キャップ200のY(+)方向側の内側面にY(+)方向側に向けて凹状に形成されている。この装着部170は、装着部170に差し込まれる突出部150と係合するために以下の複数の面を有する。
【0120】
すなわち、装着部170は、突出部150の先端面152と当接(面接触。以下同じ。)する平面172を有する。この平面172は、先端面152と同一の形状を有する。例えば、先端キャップ200をY(+)方向側から透視して見た場合、Y(+)方向側から見た平面172の形状と、Y(+)方向から見た先端面152の形状は同一である。
【0121】
また、装着部170は、突出部150の外周曲面154と当接する曲面174を有する。この曲面174は、外周曲面154と同一の形状を有する。例えば、先端キャップ20
0をY(+)方向側から透視して見た場合、Y(+)方向側から見た曲面174の形状と、Y(+)方向から見た外周曲面154の形状は同一である。
【0122】
また、装着部170は、突出部150の上面156(第2係合面)と当接する平面176を有する。この平面176は、上面156と同一の形状を有する。例えば、先端キャップ200をZ(+)方向側から透視して見た場合、Z(+)方向側から見た平面176の形状と、Z(+)方向から見た上面156の形状は同一である。
【0123】
また、装着部170は、内側垂直面158(第1係合面)と当接する平面178を有する。この平面178は、内側垂直面158と同一の形状を有する。例えば、先端キャップ200をX(+)方向側から透視して見た場合、X(+)方向側から見た平面178の形状と、X(+)方向から見た内側垂直面158の形状は同一である。なお、この平面178と上記の平面176とによって、本発明の被係合部が構成される。
【0124】
また、装着部170は、内側傾斜面160と当接する斜面180を有する。この斜面180は、内側傾斜面160と同一の形状を有する。例えば、先端キャップ200をX(+)方向側から透視して見た場合、X(+)方向側から見た斜面180の形状と、X(+)方向から見た内側傾斜面160の形状は同一である。
【0125】
また、装着部170は、先端傾斜面162と当接する傾斜面182を有する。この傾斜面182は、先端傾斜面162と同一の形状を有する。例えば、先端キャップ200をY(+)方向側から透視して見た場合、Y(+)方向側から見た傾斜面182の形状と、Y(+)方向から見た先端傾斜面162の形状は同一である。
【0126】
このような複数の面を有する装着部170に突出部150を差し込むことにより、突出部150が装着部170に係合する。なお、ここでいう同一の形状とは、略同一の形状という意味であり、それらの形状が完全同一であることを必ずしも意味しない。すなわち、それらの形状が全体として似ているが、その一部の領域に形状が異なる形状部分が含まれていてもよい。また、それらの形状は同一寸法に限らず、その一部の領域に異なる寸法部分が含まれていてもよい。
【0127】
また、先端キャップ200は、上記の装着部170の他、傾斜面190(図5及び図6参照)と、傾斜壁面192(図16参照)と、収容部194(図17参照)と、を有する。
【0128】
図5及び図6に示す傾斜面190は、先端キャップ200の内周面のZ(-)方向側の面に設けられている。この傾斜面190は、Y方向において先端キャップ200の略中央位置から先端部開口204の下部に向けてZ(+)方向側に傾斜した面である。この傾斜面190は、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、起立台36と先端キャップ200の内面との間の隙間に異物が混入することを防止する面として機能する。
【0129】
図16に示す傾斜壁面192は、先端キャップ200の内周面のZ(-)方向側の面に設けられている。この傾斜壁面192は、上記の傾斜面190よりもX(-)側に設けられており、傾斜面190よりも傾斜角度が大きい。
【0130】
また、傾斜壁面192は、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、第1壁部32の壁面当接面165(図11参照)に当接する。すなわち、先端キャップ200は、壁面当接面165に当接可能な傾斜壁面192を有する。
【0131】
図17は、先端キャップ200をY(-)方向側から見た斜視図である。図17に示す
ように、先端キャップ200の先端部の内側面には収容部194が設けられている。この収容部194は、先端部開口204よりもX(+)側に配置され、且つZ方向に沿った凹状の溝として構成される。
【0132】
収容部194は、第2壁部34の一部を収容可能であり、具体的には、第2壁部34のY(+)方向側に備えられた係合部35(図11及び図12等参照)を収容する。この係合部35は、Y(+)方向側に他の部分よりも薄肉に形成された薄肉部として構成されている。すなわち、係合部35は、第2壁部34のうち係合部35を除く他の部分よりもX方向の厚みが薄い板状に構成されている。この係合部35は、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、収容部194に差し込まれて収容される。なお、収容部194は、本発明の収容部の一例である。
【0133】
[内視鏡1の効果]
以下、本実施形態の内視鏡1の効果について説明する。
【0134】
まず、先端キャップ200は、先端部材20に対し、先端キャップ200の基端部開口206を先頭にしてY(+)側からY(-)側に外装することにより先端部材20に装着される。
【0135】
この場合、先端部材20のフランジ部30に先端キャップ200の係合溝208が係止するので、先端部材20からの先端キャップ200の抜けが防止される。また、絶縁リング70の平坦部78に先端キャップ200の平坦部210が当接するので、先端部材20に対する先端キャップ200の回転ずれが防止される。ここで、平坦部78は、フランジ部30より基端側(Y(-)方向側)に配置された本発明の平坦部に相当する。この場合、基部28と絶縁リング70とによって本発明の基部が構成される。
【0136】
また、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、先端部材20の突出部150が先端キャップ200の装着部170に差し込まれ、先端部材20の係合部35が先端キャップ200の収容部194に差し込まれる。これにより、先端部7が組み立てられる。
【0137】
このような構成の先端部7は、上述したように内視鏡1の処置時に体腔壁から力を受けて、先端キャップ200のキャップ先端部200Bが先端部材20から捲れる場合ある。
【0138】
特に、キャップ先端部200Bに対し、X(+)方向側からX(-)方向側に向かう力が加えられた場合と、Z(+)方向側からZ(-)方向側に向かう力が加えられた場合は、他の方向から力が加えられるよりも、キャップ先端部200Bが捲れる可能性が高い。
【0139】
そこで、実施形態の内視鏡1では、例えば湾曲部6の湾曲操作時に、体腔壁からキャップ先端部200Bに対し、X(+)方向側からX(-)方向側に向かう力が加えられた場合、その力は、装着部170の平面178を介して突出部150の内側垂直面158(第1係合面)で受け止められる。これにより、上記方向の力に起因するキャップ先端部200Bの変形を抑制することができるので、先端部材20に対するキャップ先端部200Bの捲れを防止することができる。
【0140】
また、例えば湾曲部6の湾曲操作時に、体腔壁からキャップ先端部200Bに対し、Z(+)方向側からZ(-)方向側に向かう力が加えられた場合、その力は、装着部170の平面176を介して突出部150の上面156(第2係合面)で受け止められる。これにより、上記方向の力に起因するキャップ先端部200Bの変形を抑制することができる
ので、先端部材20に対するキャップ先端部200Bの捲れを防止することができる。
【0141】
このように実施形態の内視鏡1によれば、第1壁部32の端面110に、X(+)方向側を向いた内側垂直面158とZ(+)方向側を向いた上面156とを有する突出部150を設け、内側垂直面158及び上面156に係合する被係合部(平面176と平面178)を先端キャップ200に備えたので、処置時における先端キャップ200の捲れを防止することができる。
【0142】
また、突出部150を装着部170に差し込むだけで、先端部材20に先端キャップ200を装着することができ、突出部150を装着部170から引き抜くだけで、先端部材20から先端キャップ200を取り外すことができる。これにより、先端部材20に対する先端キャップ200の着脱が容易になる。
【0143】
したがって、本実施形態の内視鏡1によれば、先端部材20に対する先端キャップ200の着脱が容易で且つ処置時における先端キャップ200の捲れ問題を解消することができる。
【0144】
また、例えば挿入部2の挿入操作時に、体腔壁からキャップ先端部200Bに対し、Y(+)方向側からY(-)方向側に向かう力が加えられた場合、その力は、装着部170の平面172を介して突出部150の先端面152(図13参照)で受け止められる。これにより、上記方向の力に起因するキャップ先端部200Bの変形を抑制することができるので、先端部材20に対するキャップ先端部200Bの捲れを防止することができる。
【0145】
また、例えば湾曲部6の湾曲操作時に、体腔壁からキャップ先端部200Bに対し、X(-)方向側からX(+)方向側に向かう力が加えられた場合、その力は、装着部170の曲面174を介して突出部150の外周曲面154で受け止められる。これにより、上記方向の力に起因するキャップ先端部200Bの変形を抑制することができるので、先端部材20に対するキャップ先端部200Bの捲れを防止することができる。
【0146】
また、例えば湾曲部6の湾曲操作時に、体腔壁からキャップ先端部200Bに対し、Z(-)方向側からZ(+)方向側に向かう力が加えられた場合、その力は、装着部170の平面172と曲面174を介して突出部150の先端傾斜面162と外周曲面154とで受け止められる。
【0147】
すなわち、上記方向の力は、面積の大きい2つの面(先端傾斜面162及び外周曲面154)で受け止められる。これにより、上記方向の力に起因するキャップ先端部200Bの変形を抑制することができるので、先端部材20に対するキャップ先端部200Bの捲れを防止することができる。
【0148】
〈他の効果〉
先端キャップ200は、突出部150の内側傾斜面160と係合する斜面180を形成するために、先端キャップ200の先端部の肉厚が、斜面180のないものと比較して厚く構成されている。
【0149】
すなわち、突出部150に内側傾斜面160を形成し、この内側傾斜面160に係合する斜面180を装着部170に形成することにより、先端キャップ200の先端部の強度を高めることができる。
【0150】
また、突出部150に内側傾斜面160を設けることにより、内側垂直面158と内側傾斜面160とを鈍角の接続部によって連設することができる。これにより、内側傾斜面
160のないもの、すなわち、内側垂直面158のZ(-)方向側の端部が角状(例えば直角)となったものと比較して、ブラシなどを用いた突出部150の洗浄性を向上させることができる。
【0151】
また、突出部150の先端面152と先端傾斜面162とをフィレット面168を介して接続したので、フィレット面168のないもの、すなわち、先端面152と先端傾斜面162とが角部で連設されたものと比較して、ブラシなどを用いた突出部150の洗浄性を向上させることができる。
【0152】
以上、実施形態に係る内視鏡について説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0153】
1…内視鏡
2…挿入部
3…操作部
4…ユニバーサルコード
5…軟性部
6…湾曲部
7…先端部
8…アングルノブ
9…アングルノブ
10…送気送水ボタン
11…吸引ボタン
12…起立操作用レバー
13…処置具導入口
14…送気送水ノズル
16…観察窓
18…照明窓
18A…載置面
20…先端部材
22…起立台収容部
24…開口
26…先端開口
28…基部
28A…先端壁部
30…フランジ部
30A…基端側面
32…第1壁部
34…第2壁部
35…係合部
36…起立台
36A…ガイド面
38…処置具挿通チャンネル
39…処置具導出口
40…カバー
42…レバー
42A…回転軸
44…レバー収容室
46…操作ワイヤ
50…ガイドワイヤ固定部
50A…先端部
70…絶縁リング
72…フランジ部
72A…先端側面
72B…基端側面
74…キャップ装着部
74A…基端
76…湾曲部装着部
78…平坦部
80…円弧部
100…キャップ装着面
110…端面
150…突出部
152…先端面
154…外周曲面
154A…稜線
156…上面
156A…稜線
158…内側垂直面
158A…稜線
160…内側傾斜面
160A…稜線
162…先端傾斜面
162A…稜線
164…面
165…壁面当接面
166…面
168…フィレット面
170…装着部
172…平面
174…曲面
176…平面
178…平面
180…斜面
182…傾斜面
190…傾斜面
192…傾斜壁面
194…収容部
200…先端キャップ
200A…基端
200B…キャップ先端部
202…上部開口
204…先端開口
206…基端部開口
208…係合溝
210…平坦部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図17