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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025153103
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
A61B1/018 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055396
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】鳥澤 信幸
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF12
4C161FF35
4C161HH25
4C161JJ11
(57)【要約】
【課題】起立台の起立操作における操作量の目安を把握し得る、内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡は、挿入部の先端部に設けられる起立台と、起立台を動作させるための操作を受け付ける起立操作部材と、起立操作部材の操作による起立台の動作情報を操作者へ報知する報知部(312)と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端部に設けられる起立台と、
前記起立台を動作させるための操作を受け付ける起立操作部材と、
前記起立操作部材の操作による前記起立台の動作情報を操作者へ報知する報知部と、
を備える、内視鏡。
【請求項2】
前記動作情報は、前記起立台がどのくらい動いたかを知らせる動作を示す情報である、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記動作情報は、前記起立操作部材のピッチ数を示す情報である、
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記挿入部に挿通され、先端側が前記起立台に連結された起立操作ワイヤと、
前記起立操作ワイヤの基端側に設けられ、前記起立操作部材の操作に応じて前記起立操作ワイヤの長手軸方向に移動することにより前記起立操作ワイヤを進退させるスライダと、
を備え、
前記報知部は、
前記スライダに設けられ、複数の段差が前記起立台の動作間隔を示す間隔情報に対応した間隔で形成された段差部と、
前記スライダが移動する場合に前記段差部に接触することで前記起立操作部材に振動を発生させる接触部材と、
を備える、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記挿入部に挿通され、先端側が前記起立台に連結された起立操作ワイヤと、
前記起立操作ワイヤの基端側に設けられ、前記起立操作部材の操作に応じて前記起立操作ワイヤの長手軸方向に移動することにより前記起立操作ワイヤを進退させるスライダと、
前記スライダの移動を案内するガイドと、
を備え、
前記報知部は、
前記ガイドに設けられ、複数の段差が前記起立台の動作間隔を示す間隔情報に対応した間隔で形成された段差部と、
前記スライダに設けられ、前記段差部に接触することで前記起立操作部材に振動を発生させる接触部材と、
を備える、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記段差部が形成される範囲は、前記起立操作部材の全操作範囲に対応する、
請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記段差部が形成される範囲は、前記起立台の起立角度が45度以上75度以下に対応する、
請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記段差部が形成される範囲は、前記起立台の起立角度が0度以上75度以下に対応し、
前記段差部は、
前記起立台の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対応する領域であって、前記段差が第1間隔で形成された第1形成領域と、
前記起立台の起立角度が45度を超え75度以下の範囲に対応する領域であって、前記段差が第1間隔よりも狭い第2間隔で形成された第2形成領域と、
を有する、請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記段差部が形成される範囲は、前記起立台の起立角度が0度以上75度以下に対応し、
前記段差部は、
前記起立台の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対応する領域であって、前記段差の高さが第1高さである第1形成領域と、
前記起立台の起立角度が45度を超え75度以下の範囲に対応する領域であって、前記段差の高さが前記第1高さとは異なる第2高さである第2形成領域と、
を有する、請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記段差は、前記スライダの移動方向について非対称の形状を有する、
請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記段差は、前記スライダの移動距離に対応した間隔で形成される、
請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記移動距離は0.1ミリメートルである、
請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記段差は、前記起立台の回転角度に対応した間隔で形成される、
請求項4又は5に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記回転角度は1度である、
請求項13に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に係り、特に起立台の起立操作を行う構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検者の体腔内に挿入される挿入部、及び挿入部に連設される操作部を備える。操作部は、操作レバー及び操作ノブ等が設けられる。操作者は、操作レバー等を操作して、挿入部に設けられる従動物を遠隔操作する。
【0003】
特許文献1は、内視鏡の挿入部に設けられ、チェンネル開口部から突出されるガイドカテーテルを引き上げる処理具起立台が記載される。処理具起立台と接続される起上ワイヤは、挿入部内に挿通されるガイドパイプ及びガイドチューブを通じて操作部に導かれ、起上台作動機構に接続される。
【0004】
起上台作動機構は、起上ワイヤの基端部分が固定されるワイヤ固定部材、ワイヤ固定部材の基端部分が固定されるリンク部材を備える。リンク部材は、ガイド部材上に操作部の軸方向に対して往復自在に設けられる。
【0005】
特許文献1には、ガイド部材の互いに対向するガイド面に凹凸状に形成した凹凸面が設けられ、リンク部材には凹凸面に係合する突起が設けられる起上台作動機構の構造が記載される。同文献には、起上操作ノブを操作した際に、第1の起上範囲を超えて第2の起上範囲への起上操作が行われると、リンク部材の突起とガイド部材の凹凸面との係合異物感が術者へ伝わり、術者は子スコープ等の損傷に対して安全な起上範囲を超えたことを認識できることが記載される。
【0006】
特許文献2は、起立台の状態を外部において知ることができる内視鏡が記載される。同文献に記載の内視鏡は、操作部本体に起上台を倒伏させる位置において、ノブの回転軸を解除可能に固定する固定機構が組み込まれている。
【0007】
固定機構は、回転軸に設けられる係合穴と、係合穴に弾性係合する係合ボールとを係合させて、回転軸を固定する。一定以上の力でノブを回転させると、係合穴と係合ボールとの係合が外れ、回転軸の操作が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-116777号公報
【特許文献2】実開昭57-32001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、十二指腸鏡において、十二指腸乳頭部へガイドワイヤ及び造影チューブ等を挿入させる際に、起立台の起立位置の微調整が必要である。起立位置の調整は、操作部の操作レバー等を操作して実施される。起立位置が調整される際に、ガイドワイヤ等の動きがモニタ画面へ表示され、操作者に対してモニタされる。一方、操作レバーの操作ピッチ等の操作量の目安が、操作者へ報知されることが望まれる。
【0010】
特許文献1に記載の内視鏡は、操作部を操作した際のクリック感及び操作抵抗感に起因して、操作部を操作した手の感触で処置具起立台の状態を知ることができるが、子スコー
プ等の安全な起上範囲を超えているか否かが操作者へ報知されるものであって、操作部の操作ピッチ等の操作量の目安が、操作者へ報知されるものではない。
【0011】
特許文献2に記載の内視鏡は、操作ノブの手感から、操作ノブがロックされたことが操作者へ報知されるが、操作ノブの操作ピッチ等の操作量の目安が、操作者へ報知されるものではない。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、起立台の起立操作における操作量の目安を把握し得る、内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の第1態様に係る内視鏡は、挿入部の先端部に設けられる起立台と、起立台を動作させるための操作を受け付ける起立操作部材と、起立操作部材の操作による起立台の動作情報を操作者へ報知する報知部と、を備える、内視鏡である。
【0014】
第2態様に係る内視鏡は、第1態様の内視鏡において、動作情報は、起立台がどのくらい動いたかを知らせる動作を示す情報であってよい。
【0015】
第3態様に係る内視鏡は、第1態様又は第2態様の内視鏡において、動作情報は、起立操作部材のピッチ数を示す情報であってよい。
【0016】
第4態様に係る内視鏡は、第1態様から第3態様のいずれか一態様の内視鏡において、挿入部に挿通され、先端側が起立台に連結された起立操作ワイヤと、起立操作ワイヤの基端側に設けられ、起立操作部材の操作に応じて起立操作ワイヤの長手軸方向に移動することにより起立操作ワイヤを進退させるスライダと、を備え、報知部は、スライダに設けられ、複数の段差が起立台の動作間隔を示す間隔情報に対応した間隔で形成された段差部と、スライダが移動する場合に段差部に接触することで起立操作部材に振動を発生させる接触部材と、を備えてよい。
【0017】
第5態様に係る内視鏡は、第1態様から第4態様のいずれか一態様の内視鏡において、挿入部に挿通され、先端側が起立台に連結された起立操作ワイヤと、起立操作ワイヤの基端側に設けられ、起立操作部材の操作に応じて起立操作ワイヤの長手軸方向に移動することにより起立操作ワイヤを進退させるスライダと、スライダの移動を案内するガイドと、を備え、報知部はガイドに設けられ、複数の段差が起立台の動作間隔を示す間隔情報に対応した間隔で形成された段差部と、スライダに設けられ、段差部に接触することで起立操作部材に振動を発生させる接触部材と、を備えてよい。
【0018】
第6態様に係る内視鏡は、第4態様又は第5態様の内視鏡において、段差部が形成される範囲は、起立操作部材の全操作範囲に対応してよい。
【0019】
第7態様に係る内視鏡は、第4態様又は第5態様の内視鏡において、段差部が形成される範囲は、起立台の起立角度が45度以上75度以下に対応してよい。
【0020】
第8態様に係る内視鏡は、第4態様又は第5態様の内視鏡において、段差部が形成される範囲は、起立台の起立角度が0度以上75度以下に対応し、段差部は、起立台の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対応する領域であって、段差が第1間隔で形成された第1形成領域と、起立台の起立角度が45度を超え75度以下の範囲に対応する領域であって、段差が第1間隔よりも狭い第2間隔で形成された第2形成領域と、を有してよい。
【0021】
第9態様に係る内視鏡は、第4態様又は第5態様の内視鏡において、段差部が形成される範囲は、起立台の起立角度が0度以上75度以下に対応し、段差部は、起立台の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対応する領域であって、段差の高さが第1高さである第1形成領域と、起立台の起立角度が45度を超え75度以下の範囲に対応する領域であって、段差の高さが第1高さとは異なる第2高さである第2形成領域と、を有してよい。
【0022】
第10態様に係る内視鏡は、第4態様から第9態様のいずれか一態様の内視鏡において、段差は、スライダの移動方向について非対称の形状を有してよい。
【0023】
第11態様に係る内視鏡は、第4態様から第10態様のいずれか一態様の内視鏡において、段差は、スライダの移動距離に対応した間隔で形成されてよい。
【0024】
第12態様に係る内視鏡は、第11態様の内視鏡において、移動距離は0.1ミリメートルであってよい。
【0025】
第13態様に係る内視鏡は、第4態様から第12態様のいずれか一態様の内視鏡において、段差は、起立台の回転角度に対応した間隔で形成されてよい。
【0026】
第14態様に係る内視鏡は、第13態様の内視鏡において、回転角度は1度であってよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、起立台の起立操作における操作量の目安が報知される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、内視鏡の全体構成を示した説明図である。
図2図2は、先端部をZ(+)方向側から見た場合の拡大斜視図である。
図3図3は、図2の先端部材から先端キャップを取り外した斜視図である。
図4図4は、先端部をZ-Y平面で切断した場合の断面図である。
図5図5は、図2に示したカバーを先端部材から取り外した斜視図である。
図6図6は、起立台の動作説明図である。
図7図7は、処置具起立機構の構造例を示す説明図である。
図8図8は、報知部の構成例を示す模式図である。
図9図9は、凹凸構造と接触部材とが接触する状態を示す模式図である。
図10図10は、非対称の凹凸構造が形成される凹凸面の一例を示す模式図である。
図11図11は、凹凸構造の他の具体例を示す模式図である。
図12図12は、操作部の斜視図である。
図13図13は、変形例に係る処置具起立機構の構造例を示す斜視図である。
図14図14は、図13に示す凹凸板を図13における下側から見た斜視図である。
図15図15は、図13に示すスライダの構造例を示す斜視図である。
図16図16は、図15に示すスライダの側面図である。
図17図17は、図13に示す凹凸板の斜視図である。
図18図18は、図17に示す凹凸板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。また、以下の実施形態において複数の構成要素が例示列挙される場合、複数の構成要素の少なくとも1つを含むと解釈し得る。
【0030】
[内視鏡の全体構成]
図1は、本実施形態に係る内視鏡の全体構成図である。
【0031】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端部に接続されて術者が操作する操作部3と、を備える。なお、実施形態では、十二指腸鏡として用いられる側視内視鏡を例示する。
【0032】
以下、内視鏡1の各部の構成を説明するに当たっては、説明の便宜上X、Y、Zの三次元直交座標系を用いて説明する。図中のZ方向は上下方向を指し、Z(+)方向側が上側方向、Z(-)方向側が下側方向を指す。また、図中のX方向は、Z方向に垂直な方向を指し、X(+)方向側が右側方向、X(-)方向側が左側方向を指す。また、図中のY方向は、Z方向及びX方向の双方に垂直な方向を指し、Y(+)方向側が先端側方向、Y(-)方向側が基端側方向を指す。なお、上記の各方向は、内視鏡1の操作部3を術者が把持した場合において、術者が挿入部2を上方側から見たときの方向をそれぞれ指している。
【0033】
〈挿入部2〉
内視鏡1の挿入部2は、口腔を介して被検体内に挿入され、さらに食道から胃を経て十二指腸まで挿入される。これにより、挿入部2の内部に挿通された処置具を用いて十二指腸の検査又は治療などの処置が行われる。
【0034】
処置具としては、その先端部に生体組織を採取可能なカップを有する生検鉗子、EST(Endoscopic Sphincterotomy:内視鏡的乳頭切開術)用ナイフ又は造影チューブなどが挙げられる。
【0035】
挿入部2は、長手軸Axを有し、その基端側から先端側に向って順に軟性部5と、湾曲部6と、先端部7と、を有する。なお、長手軸Ax方向とY方向とは同一方向である。長手軸Ax方向は、本開示の長手軸方向の一例である。
【0036】
軟性部5は、挿入部2の基端側からの大部分を占めており、例えば不図示の金属製の螺旋管及びネットによって構成され、さらにこれらの外周を樹脂製のチューブで被覆することで構成される。軟性部5は、任意の方向に湾曲可能な可撓性を有し、挿入部2を体腔内に挿入した場合には体腔内への挿入経路に沿って湾曲する。
【0037】
湾曲部6は、複数のアングルリングが相互に揺動可能に連結された筒状体を有し、この筒状体の外周に金属線で編んだ網状体が被覆され、さらにその外周にゴム製のアングルゴムが被覆されることで構成される。また、操作部3のアングルノブ8、9から湾曲部6まで複数本のワイヤが延在されており、これらワイヤの先端部が上記の筒状体の先端部に固定されている。これにより、アングルノブ8、9の回動操作に応じて湾曲部6が上下方向(Z方向)及び左右方向(X方向)に湾曲される。
【0038】
先端部7については、図2以降において詳しく説明するが、先端部7は、先端部材20と、先端部材20に着脱自在に装着される先端キャップ200(図2参照)と、を有する。
【0039】
先端部材20は、先端部7に設けられており、耐食性を有する金属材料で構成される。先端キャップ200は、弾力性のある材質、例えばシリコンゴムで構成される。
【0040】
〈操作部3〉
図1に示すように、操作部3は、湾曲部6を湾曲操作するアングルノブ8、9と、送気
送水ボタン10と、吸引ボタン11と、起立操作用レバー12と、処置具導入口13と、を有する。
【0041】
送気送水ボタン10は、挿入部2の内部に挿通された送気送水チャンネル(不図示)を介して先端部7の送気送水ノズル14(図2参照)から観察窓16及び照明窓18などに向けて送気及び送水を行うための操作ボタンである。
【0042】
吸引ボタン11は、挿入部2の内部に挿通された処置具挿通チャンネル38(図4参照)を介して体液などの吸引を行うための操作ボタンである。
【0043】
起立操作用レバー12は、先端部7に設けられた起立台36(図2参照)を動作させるための操作を受け付けるレバーである。起立操作用レバー12は、処置具起立機構の構成部材の一つであり、本開示の起立操作部材の一例である。
【0044】
処置具導入口13は、上記の処置具挿通チャンネル38と連通し、術者が処置具などを導入するための開口である。処置具導入口13から導入された処置具は、処置具挿通チャンネル38を通って先端部7に導かれる。
【0045】
操作部3には、ユニバーサルコード4が接続されており、このユニバーサルコード4は、不図示の画像処理装置及び光源装置に接続される。画像処理装置には、ケーブルを介してモニタ装置(不図示)が接続される。
【0046】
以上が内視鏡1の全体構造である。以下、先端部7の構造について説明する。
【0047】
〈先端部7〉
図2は、先端部をZ(+)方向側から見た場合の拡大斜視図である。図2では、先端部材20に先端キャップ200が装着された状態が示されている。図2に示すように、先端キャップ200が先端部材20に装着された状態において、先端キャップ200は、後述の起立台収容部22のZ(+)方向側の開口24に連通する上部開口202を有している。
【0048】
上部開口202は、Z(+)方向側に設けられ、起立台収容部22(開口24)の他、送気送水ノズル14の先端部と、観察窓16と、照明窓18と、後述のガイドワイヤ固定部50とをそれぞれ露呈する大きさに形成されている。なお、符号200Bは先端キャップ200の先端部を示す。
【0049】
図3は、図2の先端部材から先端キャップを取り外した状態を示した斜視図である。先端キャップ200は、先端部材20を収容するように略筒状に構成されている。また、先端キャップ200は、起立台収容部22の開口24を開放するための上部開口202と、起立台収容部22のY(+)方向側の先端開口を開放するための先端部開口204と、先端キャップ200を先端部材20に装着するための基端部開口206と、係合溝208と、を有する。
【0050】
先端部開口204は、上部開口202と連設されており、内視鏡1の吸引動作中に体腔壁が上部開口202に吸着されることを防止するための空気抜き用の開口として形成されている。また、基端部開口206は、先端部材20を挿入するための開口である。
【0051】
図4は、図2に示した先端部7をZ-Y平面で切断した場合の断面図である。先端キャップ200は、その基端側の内周面に係合溝208と平坦部210とを有する。係合溝208は、先端キャップ200の内周面の全周に亘って設けられている。平坦部210は、
先端キャップ200の内周面のZ(+)側の面であって、係合溝208よりも基端側(Y(-)側)の面に設けられている。また、平坦部210は、X-Y平面と略平行である。ここで、略平行には平行が含まれ、非平行であっても平行とみなすことができる実質的な平行が含まれてよい。
【0052】
係合溝208は、先端部材20の基部28の外周面に突設されたフランジ部30に係合する。これにより、先端キャップ200が先端部材20に装着される。また、平坦部210は、先端キャップ200が先端部材20に装着された場合、絶縁リング70に設けられた平坦部78と互いに当接する。
【0053】
図3に戻り、先端部材20は、X方向において互いに対向する第1壁部32と第2壁部34とを有する。第1壁部32は、X(-)方向側に配置され、第2壁部34は、X(+)側に配置される。
【0054】
また、X方向における第1壁部32と第2壁部34との間には、起立台36を収容するための起立台収容部22が設けられる。この起立台収容部22は、第1壁部32及び第2壁部に並設され、Y方向に沿うスリット状の空間として形成されている。
【0055】
起立台収容部22には、処置具挿通チャンネル38(図4参照)の先端側が連通されている。この処置具挿通チャンネル38は、挿入部2(図1参照)の内部に挿通され、その基端側が操作部3の処置具導入口13に接続されている。これにより、処置具導入口13から導入された処置具は、処置具挿通チャンネル38を通って起立台収容部22に導かれる。なお、起立台収容部22に導かれた処置具は、起立台36によって導出方向が変更される。なお、符号36Aは、起立台36のガイド面を示す。
【0056】
図5は、先端部材20をY(+)方向側から見た斜視図である。図5では、第2壁部34に取り付けられるカバーが取り外され、先端キャップ200が先端部材20から取り外された状態が図示される。
【0057】
〈第1壁部32〉
第1壁部32は、観察窓16及び照明窓18を有する。第1壁部32の内部には、撮像部及び照明部が設けられている。撮像部は、観察窓16の内側に配設された撮像光学系と、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(charge coupled device)型の撮像素子と、を有する。撮像素子は、挿入部2の内部に挿通された信号ケーブルを介して画像処理装置に接続される。この撮像部によって得られた被写体像の撮像信号は、信号ケーブルを介して画像処理装置に入力され、画像処理装置にケーブルを介して接続されたモニタに被写体像として表示される。
【0058】
照明部は、照明窓18の内側に設置された照明レンズと、この照明レンズに先端が臨むように配置されたライトガイドと、を有する。ライトガイドは、挿入部2の内部に挿通され、その基端部が光源装置に接続される。これにより、光源装置からの照射光がライトガイドを介して伝送され、照明窓18から照射される。
【0059】
〈第2壁部34〉
第2壁部34には、レバー42を収容する凹状のレバー収容室44が設けられている。このレバー収容室44は、第2壁部34のX方向に互いに対向する2つの壁面のうち、起立台収容部22に対向する壁面とは反対側の壁面に設けられている。
【0060】
レバー収容室44においてレバー42は、その一端部に回転軸42Aが設けられている。回転軸42Aは、第2壁部34をX方向に貫通して起立台36に接続されている。また
、レバー42は、その他端部が操作ワイヤ46に接続されている。操作ワイヤ46は、挿入部2(図1参照)の内部に挿通されて操作部3の起立操作用レバー12に接続される。
【0061】
したがって、起立操作用レバー12を術者が操作することにより、操作ワイヤ46が押し引き操作され、この押し引き操作に連動してレバー42が揺動する。これにより、起立台36が回転軸42Aを揺動軸として揺動し、起立位置と倒伏位置との間で位置を変更する。ここで、回転軸42Aを有するレバー42と、操作ワイヤ46と、起立操作用レバー12とによって処置具起立機構が構成される。なお、レバー収容室44は、図示しないカバーによって封止される。なお、操作ワイヤ46は、本開示の起立操作ワイヤの一例である。
【0062】
〈起立台36〉
起立台36は、先端部材20に設けられており、起立台収容部22に収容される。また、起立台36は、回転軸42Aを介して第2壁部34に揺動自在に取り付けられている。この起立台36は、上記の処置具起立機構によって駆動されて起立動作及び倒伏動作する。
【0063】
また、起立台36は、図2に図示されるガイド面36Aを有する。ガイド面36Aは、起立台36が倒伏位置に位置した場合、Z(+)側の面に向く面に形成されている。このガイド面36Aは、処置具を案内するための面であり、起立台36の揺動端である基端側から先端側にかけて内側に窪んだ略U字形状に形成されている。
【0064】
処置具起立機構によって起立台36が起立動作した場合、起立台収容部22に導かれた処置具は、起立台36のガイド面36Aによって起立台収容部22の開口24へと向かう方向に案内され、先端キャップ200の上部開口202から外部に導出される。また、処置具起立機構によって起立台36の起立角度を調整することにより、処置具の導出方向を変更することができる。
【0065】
〈ガイドワイヤ固定部50〉
基部28にはガイドワイヤ固定部50が設けられている。このガイドワイヤ固定部50は、基部28の先端壁部から起立台収容部22に向けてY(+)方向側に突設されている。
【0066】
ガイドワイヤ固定部50は、Y(+)方向に先細な凸状部として構成されている。換言すれば、ガイドワイヤ固定部50は、先端壁部を底面とした略台形立方体の形状に構成されている。
【0067】
処置具挿通チャンネル38から起立台収容部22に導かれたガイドワイヤ(不図示)は、起立台36を最大起立位置に起立させた場合、ガイドワイヤ固定部50の凸状の先端部と起立台36の凹状のガイド面36Aとの間で挟まれて固定される。なお、ガイドワイヤ固定部50は、X方向において送気送水ノズル14と並設されている。
【0068】
〈絶縁リング70〉
先端部材20の基部28は、Y方向に沿った略円筒状に構成されており、その外周部に環状の絶縁リング70が装着される。この絶縁リング70は、プラスチック又はセラミックなどの絶縁材料によって構成されている。
【0069】
絶縁リング70は、その外周面に沿って径方向外側に突設されたフランジ部72と、フランジ部72よりも先端側に配置されたキャップ装着部74と、フランジ部72よりも基端側に配置された湾曲部装着部76と、を有する。
【0070】
キャップ装着部74は、その外周面に平坦部78と円弧部80とを有している。平坦部78は、外周面のうちZ(+)側の面に設けられており、基部28のフランジ部30よりも低い位置(Z(-)側の位置)に形成される。この平坦部78は、例えばX-Y平面と略平行である。
【0071】
また、キャップ装着部74は、その内径が基部28の外径(直径)よりも大きく構成されている。このキャップ装着部74を基部28に対し、基部28の基端側から先端側へ外装していき、キャップ装着部74の基端を、基部28のフランジ部30の基端側面に突き当てる。
【0072】
これにより、キャップ装着部74が基部28に装着されて、絶縁リング70が先端部材20に装着される。この場合、フランジ部30の基端側に、絶縁リング70の平坦部78と円弧部80とが配置される。
【0073】
また、図5に図示される先端部材20に絶縁リング70が装着された状態において、先端キャップ200が先端部材20に装着される。この場合、先端キャップ200を先端部材20に対し、先端部材20の先端側から基端側へ外装していき、先端キャップ200の基端200Aを、絶縁リング70のフランジ部72の先端側面72Aに突き当てる。
【0074】
これにより、図4に示したように、先端部材20のフランジ部30に先端キャップ200の係合溝208が係合し、絶縁リング70の平坦部78に先端キャップ200の平坦部210が当接する。その結果、先端キャップ200が先端部材20に装着され、絶縁性の先端キャップ200と絶縁リング70とによって金属製の先端部材20が被覆される。
【0075】
このような構成により、本実施形態の内視鏡1によれば、先端キャップ200と絶縁リング70とによって先端部7の絶縁性を確保することができる。また、フランジ部30と係合溝208との係合により、先端部材20から先端キャップ200がY(+)方向側に抜けるのを防止することができる。また、平坦部78と平坦部210との当接により、先端部材20に対する先端キャップ200の長手軸Ax回り方向のズレを防止することができる。
【0076】
なお、先端キャップ200の基端200Aと絶縁リング70のフランジ部72とは、それぞれ略同一の外径(直径)を有している。これにより、先端部材20に先端キャップ200が装着された場合、それぞれの外周面において先端キャップ200と絶縁リング70とは段差なく接続される。
【0077】
また、上記のフランジ部30に係合溝208が完全に係合されず、先端キャップ200が先端部材20に不完全に装着された場合、例えば、先端キャップ200の基端200Aがフランジ部30に当たった状態で装着された場合、先端キャップ200の一部(例えば、送気送水ノズル14の基端側に位置する部分)が撮像部の観察視野内に入る。この場合、モニタ装置に映し出される観察画面に先端キャップ200の一部が黒色として映り込む。これによって、上記の不完全な装着を術者に知らせることができる。
【0078】
〈起立台36の動作説明〉
図6は、起立台の動作説明図である。図6には、先端部材20を第2壁部34の側から透視して可視化した状態が図示される。以下、図2から図5までに使用される符号の図示が、適宜、省略される。
【0079】
起立台36は、起立台36の起立角度が0度とされる場合に、0度以上100度以下の
範囲において倒伏動作する。図6には、起立角度が25度の場合、及び起立角度が100度の場合の起立台36が図示される。また、同図には、起立台36の起立角度が25度の位置、45度の位置、及び75度の位置が実線を用いて図示される。
【0080】
[処置具起立機構の構造例]
図7は、処置具起立機構の構造例を示す説明図である。同図には、処置具起立機構300の操作部3の側の構造例が図示される。図7は、図1等に図示される操作部3の筐体について、起立操作用レバー12が設置される側を透視して内部構造を可視化した図である。なお、図7では、起立操作用レバー12の図示は省略する。
【0081】
操作部3の内部には、処置具起立機構300を構成する、リンク機構304、及び直動機構部313が設けられる。リンク機構304は、回転ドラム307、クランク部材308、及びスライダ309を備える。
【0082】
回転ドラム307は、ベース板302に直交する方向に延びる回転軸307Aを用いて、ベース板302に対して回転自在に支持される。回転軸307Aには、図1等に図示される起立操作用レバー12が取り付けられる。また、回転ドラム307には、クランク部材308の一方の端が回転自在に連結される。
【0083】
クランク部材308の他方の端には、スライダ309がクランク部材308に対して回転自在に連結される。スライダ309は、接続部305の一方の端と連結される。接続部305の他方の端は、ガイド管311と連結される。スライダ309は、接続部305及びガイド管311を用いて、図1に図示される長手軸Ax方向にスライド自在に支持される。接続部305は、スライダ309と操作ワイヤ46の基端とを接続する。なお、長手軸Axは、ワイヤ軸方向と称され得る。
【0084】
かかる構造を有する処置具起立機構300は、起立操作用レバー12の回転操作に応じて、スライダ309及び接続部305が長手軸Ax方向にスライド移動する。長手軸Ax方向は、操作ワイヤ46を挿入部2の先端側へ押し込む第1方向、及び操作ワイヤ46を挿入部2の基端側へ引き込む第2方向が含まれる。
【0085】
スライダ309、接続部305及びガイド管311を備える直動機構部313は、起立操作用レバー12の操作に起因する起立台36の動作のピッチを示す動作ピッチ情報を報知する構造を有する報知部312が具備される。なお、起立台36の動作のピッチを示す動作ピッチ情報は、本開示の起立台の動作間隔を示す間隔情報の一例である。
【0086】
[報知部の具体例]
図8は、報知部の構成例を示す模式図である。図8には、図7に図示される報知部312として機能する構成要素の一例を示す。報知部312は、起立操作用レバー12の操作に起因する起立台36の動作のピッチを示す動作ピッチ情報を報知する構造を有する。この報知部312は、スライダ機構314及び接触部材318を備える。
【0087】
スライダ機構314の一方の端314Aは、クランク部材308と連結される。スライダ機構314は、図7に図示されるスライダ309と同様に、クランク部材308に対して回転自在に連結され、クランク部材308の回転に応じて長手軸Ax方向へ進退自在に連結される。スライダ機構314の移動方向は、横向きの両矢印線を用いて図示される。
【0088】
スライダ機構314の他方の端314Bは、操作ワイヤ46の基端が連結される。操作ワイヤ46の先端は、図5に図示されるレバー42を介して起立台36と連結される。なお、スライダ機構314と操作ワイヤ46とは、図示されない別部材が具備されてよい。
【0089】
操作ワイヤ46は、付勢部317を用いて、長手軸Ax方向と直交し方向へ付勢される。例えば、操作ワイヤ46が付勢される方向は、下向きの矢印線を用いて図示される。操作ワイヤ46は、図1等に図示されるZ(-)方向に付勢される。
【0090】
スライダ機構314は、凹凸構造316が形成される凹凸面314Cを有する。凹凸面314Cは、スライダ機構314における長手軸Ax方向へ延びる任意の面であってよい。凹凸構造316は、長手軸Ax方向について、操作ワイヤ46の全ストロークに対応する長さであってよく、操作ワイヤ46の全ストローク未満の長さであってもよい。スライダ機構314は、複数の凹凸面314Cを備えてよい。
【0091】
スライダ機構314は、図示しないガイド部を用いて支持される。ガイド部は、接触部材318を備える。接触部材318は、凹凸面314Cと対向する面に設置され、かつ、凹凸面314Cへ向けて付勢され、凹凸面314Cと接触する。図8には、接触部材318が円筒形状の部材として図示されるが、接触部材318は、ガイド部の壁を構成する板状部材の面に形成される突起であってよい。
【0092】
凹凸構造316における最上位置から最下位置まで高さ、及び凹凸構造316の最下位置の面から接触部材318の最下位置までの距離は、起立台36を滑らかに起伏させるという観点から規定し得る。例えば、凹凸構造316における最上位置から最下位置まで高さ、及び凹凸構造316の最下位置の面から接触部材318の最下位置までの距離は、0.1ミリメートル以上1.0ミリメートル以下の範囲としてよい。凹凸構造316における最上位置から最下位置まで高さと、凹凸構造316の最下位置の面から接触部材318の最下位置までの距離とは、同一であってよく、異なっていてもよい。
【0093】
ガイド部は、複数の凹凸面314Cのそれぞれに対応して、複数の接触部材318を備えてよい。なお、凹凸構造316は、本開示の間隔情報に対応した間隔で形成された複数の段差の一例である。また、凹凸構造316が形成される凹凸面314Cは、本開示の段差部の一例である。
【0094】
スライダ機構314の長手軸Ax方向への移動に伴い、凹凸構造316と接触部材318との接触に起因する振動が発生する。振動は、クランク部材308を介して起立操作用レバー12へ伝搬され、起立操作用レバー12を介してクリック感又は操作抵抗感等として操作者へ伝搬される。これにより、報知部312は、起立操作用レバー12の操作者に対して、起立操作用レバー12がどのくらい動いたかを報知し得る。また、報知部312は、起立操作用レバー12の操作者に対して、起立台36がどのくらい動いたかを報知し得る。
【0095】
凹凸構造316は、起立操作用レバー12の操作ピッチと起立台36の起立角度ピッチとを関連付ける。起立操作用レバー12の操作ピッチは、凹凸構造316における1つの段差のピッチに基づき規定される。起立台36の起立角度ピッチは、凹凸構造316における1つの段差分の操作ワイヤ46の移動量に基づき規定される。
【0096】
起立操作用レバー12の操作者は、報知部312から報知される起立操作用レバー12のクリック感に基づき、起立操作用レバー12の操作ピッチと起立台36の起立角度ピッチとの関係を把握できる。なお、起立角度ピッチは、本開示の起立台の動作間隔の一例である。
【0097】
報知部312は、起立操作用レバー12が1操作ピッチ分の操作がされ、操作ワイヤ46が起立操作用レバー12の1操作ピッチ分の移動をした際に、起立台36の起立角度が
どのくらい変化するかの目安を報知することができる。起立操作用レバー12の操作者は、起立台36を用いてガイドされるガイドワイヤ及び造影チューブの移動状態を把握できる。これにより、ガイドワイヤ等を目的の部位への移動させる際の、起立操作用レバー12の操作が容易になる。
【0098】
また、起立操作用レバー12の操作者に対して、起立操作用レバー12の操作ピッチの単位を用いて、起立操作用レバー12の操作量を具体的に、かつ、定量的に指示することができる。
【0099】
例えば、操作ワイヤ46全ストロークが7.5ミリメートルであり、起立台36の起立角度が25度以上100度以下の範囲において、起立台36の起立角度の変動量に対する操作ワイヤ46の移動量は、0.1ミリメートル毎度としてよい。これにより、起立台36の起立角度の変動が1度単位で報知され、起立台36の起立角度を1度単位で微調整させる場合に便利である。
【0100】
なお、操作ワイヤ46の全ストロークは、スライダ機構314の全ストロークとして把握される。起立台36の起立角度の変動量に対する操作ワイヤ46の移動量は、起立台36の起立角度の変動量に対するスライダ機構314の移動距離として把握される。また、起立台36の起立角度の変動量は、起立台36の回転角度として把握される。
【0101】
報知部312は、ガイドワイヤがモニタに映し出されてから再び起上するまでの、起立操作用レバー12のピッチ数が規定されてよい。例えば、凹凸構造316が形成される範囲は、最初の手感の次のピッチにおいて、ガイドワイヤがモニタに映し出されるように規定されてよい。
【0102】
報知部312は、起立台36の起立角度が45度以上75度以下の範囲において、凹凸構造316と接触部材318との接触が発生するように、凹凸面314Cにおいて凹凸構造316が形成される範囲が規定されてよい。報知部312は、起立操作用レバー12の全操作範囲に対応して、凹凸面314Cにおける凹凸構造316が形成される範囲が規定されてもよい。
【0103】
凹凸構造316は、凹凸面314Cにおける第1形成領域と第2形成領域について、凹凸構造316のピッチを異ならせてよい。例えば、起立台36の起立角度が0度以上45度以下に対応する凹凸面314Cの第1形成領域には第1ピッチが適用され、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下に対応する凹凸面314Cの第2形成領域には、第1ピッチと異なる第2ピッチが適用されてよい。第2ピッチは、第1ピッチ未満であってよい。なお、第1ピッチは、本開示の第1間隔の一例であり、第2ピッチは、本開示の第1間隔より狭い第2間隔の一例である。
【0104】
凹凸構造316は、凹凸面314Cにおける第1形成領域と第2形成領域について、高さを異ならせてよい。例えば、起立台36の起立角度が0度以上45度以下に対応する凹凸面314Cの第1形成領域には第1高さが適用され、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下に対応する凹凸面314Cの第2形成領域には、第1高さと異なる第2高さが適用されてよい。
【0105】
凹凸構造316は、凹凸面314Cにおける第1形成領域と第2形成領域について、形状を異ならせてよい。例えば、起立台36の起立角度が0度以上45度以下に対応する凹凸面314Cの第1形成領域には第1形状が適用され、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下に対応する凹凸面314Cの第2形成領域には、第1形状と異なる第2形状が適用されてよい。
【0106】
図8には、スライダ機構314に凹凸構造316が形成され、スライダ機構314を支持するガイド部に接触部材318を備える態様が例示されるが、スライダ機構314が接触部材318を備え、ガイド部に凹凸構造316が形成されてよい。
【0107】
[凹凸面314Cの具体例]
図9は、凹凸構造と接触部材とが接触する状態を示す模式図である。凹凸構造316は、長手軸Ax方向に対して平行となる方向の断面における形状が、正三角形、又は二等辺三角形であってよい。凹凸構造316は、複数の凸形状であってよく、複数の凹形状であってよい。ここでいう三角形とは、頂点が丸められていてよい。四角形及び多角形についても、頂点が丸められていてよい。
【0108】
接触部材318は、少なくとも一部が凹凸構造316に入り込むサイズであってよい。図9には、接触部材318の2分の1が凹凸構造316に入り込むサイズを有する接触部材318が図示される。図9には、配置ピッチPが適用され、複数の凹凸が等間隔に配置される凹凸構造316が図示される。
【0109】
図10は、非対称の凹凸構造が形成される凹凸面の一例を示す模式図である。同図には、長手軸Ax方向に対して平行となる断面の形状が非対称の凹凸構造316Aが図示される。これにより、長手軸Ax方向の第1方向へ操作ワイヤ46を移動させる際と、長手軸Ax方向の第2方向へ操作ワイヤ46を移動させる際との、起立操作用レバー12の操作感を異ならせることができる。図10に図示される凹凸構造316Aの断面形状は、第1方向の側の斜辺における傾斜が、第2方向の側の斜辺における傾斜よりも小さい三角形であるが、それとは逆に、第1方向の側の斜辺における傾斜が、第2方向の側の斜辺における傾斜よりも小さい三角形であってよい。
【0110】
図11は、凹凸構造の他の具体例を示す模式図である。同図に示す凹凸構造316Bは、長手軸Ax方向に対して平行となる断面の形状が円形状を有する。これにより、接触部材318と凹凸構造316Bとが接触するので、図9等に図示される接触部材318と鋭利な段差とが接触する場合と比較して、起立操作用レバー12の操作者に感じる手感がソフトになる。
【0111】
図11に図示される凹凸構造316Bは、長手軸Ax方向と直交する断面の形状が、楕円であってよく、半円又は半楕円と四角形とを組み合わせた形状であり、接触部材318の側が半円又は半楕円となる形状であってよい。
【0112】
[処置具起立機構の変形例]
図12は、変形例に係る処置具起立機構が収納される操作部の斜視図である。図12は、操作部3が図示される図7に対応する斜視図である。図12には、操作部3における挿入部2の側の筐体が外され、操作部3の構造の一部が露出した状態が図示される。また、図12には、図1に図示されるアングルノブ8及びアングルノブ9等が外された状態が図示される。
【0113】
変形例に係る処置具起立機構400は、図7に図示される処置具起立機構300と同様に、起立操作用レバー12、リンク機構404、接続部305、及びガイド管311を備える。リンク機構404は、回転ドラム307、クランク部材308、及びスライダ409を備える。なお、図12では、図7に図示されるベース板302及び回転ドラム307の図示が省略される。
【0114】
図13は、変形例に係る処置具起立機構の構造例を示す斜視図である。同図には、図1
2に図示される操作部3の内部構造を示す斜視図である。
【0115】
図13に図示される処置具起立機構400は、スライダ409に接触構造418が形成される。処置具起立機構400は、接触構造418と対向する位置に、凹凸板420が設けられる。凹凸板420は、接触構造418と対向する面に凹凸構造416が形成される。
【0116】
図14は、図13に示す凹凸板を図13における下側から見た斜視図である。凹凸板420は、スライダ409の移動方向である長手軸Ax方向に延びる形状を有し、長手軸Ax方向について、スライダ409の移動範囲の全長以上の長さを有する。
【0117】
図13及び図14には、スライダ409に接触構造418が形成され、スライダ409の接触構造418と対向する面に凹凸構造416が形成される態様が図示されるが、スライダ409に凹凸構造416が形成され、凹凸構造416と対向する面に接触構造418が形成されてよい。
【0118】
[スライダの具体的な構造例]
図15は、図13に示すスライダの構造例を示す斜視図である。図16は、図15に示すスライダの側面図である。図15及び図16には、処置具起立機構400に具備されるスライダ409の具体的な構造例を示す。
【0119】
スライダ409は、角柱部430及び円柱部432を備える。角柱部430は、接触構造418が形成される。角柱部430は接触構造418が形成される面と直交する方向に角柱部430を貫通する貫通穴434が形成される。貫通穴434は、スライダ409とクランク部材308とを連結させる回転軸が挿入される。
【0120】
円柱部432は、角柱部430の接触構造418が形成される面と直交する面430Aを基端面として、角柱部430の接触構造418が形成される面と直交する方向に延びる円柱形状を有する。円柱部432は、図12に図示される接続部305と連結される。
【0121】
図16には、円柱部432の基端面と直交し、かつ、貫通穴434が形成される面と直交する2つの面に接触構造418が形成される態様が図示される。接触構造418は、上記した2つの面のいずれかに形成されてよい。
【0122】
[凹凸板の具体的な構造例]
図17は、図13に示す凹凸板の斜視図である。図18は、図17に示す凹凸板の側面図である。図17及び図18には、図13に図示される凹凸板420の具体的な構造例を示す。
【0123】
図17は、凹凸板420を凹凸構造416が形成される面と反対の側から見た図である。図18には、凹凸構造416の立体構造が図示される。凹凸板420は、凹凸構造416が並ぶ方向に長い形状を有する平板であり、操作部3の内部に取り付けられる際に用いられる穴、及び段差等の構造が具備されている。
【0124】
[実施形態に係る内視鏡の作用効果]
実施形態に係る内視鏡1は、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0125】
〈1〉
起立台36を動作させる処置具起立機構300等は、起立台36の動作情報を起立操作用レバー12の操作者へ報知する報知部312として機能する構成要素を備える。これに
より、起立操作用レバー12の操作者は、報知部312を介して、起立操作の目安を知ることができる。
【0126】
〈2〉
起立台36の動作情報は、起立操作用レバー12の操作に応じて、起立台36がどのくらい動いたかを知らせる起立動作を示す情報が適用される。これにより、起立操作用レバー12の操作者は、起立台36がどのくらい動いたかを知ることができる。
【0127】
〈3〉
起立台36の動作情報は、起立操作用レバー12のピッチ数が適用される。これにより、起立操作用レバー12の操作者は、起立台36がどのくらい動いたかを定量的に知ることができる。
【0128】
〈4〉
処置具起立機構300は、操作ワイヤ46を進退させる際にスライド動作するスライダ機構314に形成される凹凸構造316と、スライダ機構314を支持するガイド部の凹凸構造316と対向する面に設けられる接触部材318とを備える。
【0129】
操作ワイヤ46を進退させる際に、スライダ機構314がスライド動作すると、凹凸構造316と接触部材318との間に発生した振動が起立操作用レバー12へ伝達される。これにより、起立操作用レバー12の操作者は、手感として振動を感じることができ、起立台36の動作状態、及び起立操作用レバー12の動作状態を把握し得る。
【0130】
〈5〉
処置具起立機構300は、操作ワイヤ46を進退させる際にスライド動作するスライダ機構314に設けられる接触部材318と、スライダ機構314を支持するガイド部の凹凸構造316と対向する面に形成される凹凸構造316とを備える。
【0131】
操作ワイヤ46を進退させる際に、スライダ機構314がスライド動作すると、凹凸構造316と接触部材318との間に発生した振動が起立操作用レバー12へ伝達される。これにより、起立操作用レバー12の操作者は、手感として振動を感じることができ、起立台36の動作状態、及び起立操作用レバー12の動作状態を把握し得る。
【0132】
〈6〉
凹凸構造316が形成される範囲は、起立台36の動作範囲の全範囲に対応する。これにより、起立台36の動作範囲の全範囲において、起立操作用レバー12の操作者は、起立台36の動作状態、及び起立操作用レバー12の動作状態を把握し得る。
【0133】
〈7〉
凹凸構造316が形成される範囲は、起立台36の起立角度が45度以上75度以下の範囲に対応する。これにより、精密な調整が必要とされる起立台36の起立角度の範囲において、起立操作用レバー12の操作者は、起立台36の動作状態、及び起立操作用レバー12の動作状態を把握し得る。
【0134】
〈8〉
凹凸構造316は、起立台36の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対応する第1形成領域では第1ピッチが適用され、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下の範囲に対応する第2形成領域では、第1ピッチよりも細かい第2ピッチが適用される。これにより、起立台36の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対して、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下の範囲では、周期が短い振動が発生し得る。
【0135】
〈9〉
凹凸構造316は、起立台36の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対応する第1形成領域では第1高さが適用され、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下の範囲に対応する第2形成領域では、第1高さと異なる第2高さが適用される。これにより、起立台36の起立角度が0度以上45度以下の範囲に対して、起立台36の起立角度が45度を超え75度以下の範囲では、振幅が異なる振動が発生し得る。
【0136】
〈10〉
凹凸構造316は、長手軸Ax方向について、非対称の形状が適用される。これにより、起立台36が起き上がる際の振動と、起立台36を寝かせる際の振動を異ならせることができる。
【0137】
上記した処置具起立機構300及び処置具起立機構400のバリエーションは、適宜、組み合わせてよい。例えば、凹凸構造316のピッチ、高さ、及び形状のそれぞれのバリエーションは、処置具起立機構400にも適用可能である。
【0138】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0139】
1…内視鏡
2…挿入部
3…操作部
4…ユニバーサルコード
5…軟性部
6…湾曲部
7…先端部
8…アングルノブ
9…アングルノブ
10…送気送水ボタン
11…吸引ボタン
12…起立操作用レバー
13…処置具導入口
14…送気送水ノズル
16…観察窓
18…照明窓
20…先端部材
22…起立台収容部
24…開口
28…基部
32…第1壁部
34…第2壁部
35…係合部
36…起立台
36A…ガイド面
38…処置具挿通チャンネル
42…レバー
42A…回転軸
44…レバー収容室
46…操作ワイヤ
50…ガイドワイヤ固定部
70…絶縁リング
72…フランジ部
72A…先端側面
74…キャップ装着部
76…湾曲部装着部
78…平坦部
80…円弧部
200…先端キャップ
200A…基端
200B…先端キャップの先端部
202…上部開口
204…先端部開口
206…基端部開口
208…係合溝
210…平坦部
300…処置具起立機構
304…リンク機構
305…接続部
307…回転ドラム
308…クランク部材
309…スライダ
311…ガイド管
312…報知部
313…直動機構部
314…スライダ機構
314A…一方の端
314B…他方の端
314C…凹凸面
316…凹凸構造
316A…凹凸構造
316B…凹凸構造
317…付勢部
318…接触部材
400…処置具起立機構
409…スライダ
416…凹凸構造
418…接触構造
420…凹凸板
430…角柱部
430A:面
432…円柱部
434…貫通穴
Ax…長手軸
P…配置ピッチ
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