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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154333
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20251002BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20251002BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20251002BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C13/02
H01M4/139
H01M4/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057261
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢村 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋川 保
(72)【発明者】
【氏名】國安 諭司
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
5H050
【Fターム(参考)】
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA13
4F041BA22
4F041CA03
4F041CA13
4F042AA22
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA27
4F042CB02
4F042DF10
4F042DF23
4F042DF30
4F042DH09
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050EA09
5H050EA10
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA28
5H050GA29
5H050HA03
5H050HA07
(57)【要約】
【課題】減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性に優れる塗布装置を提供する。
【解決手段】搬送する基材に塗布液を吐出する吐出用スリット、及び、減圧スリットを有するスロットダイを備え、上記減圧スリットが、上記スロットダイの基材搬送方向において前記吐出用スリットと同じ位置から上流側、かつ上記吐出用スリットの幅方向の外側に位置する塗布装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送する基材に塗布液を吐出する吐出用スリット、及び、減圧スリットを有するスロットダイを備え、
前記減圧スリットが、前記スロットダイの基材搬送方向において前記吐出用スリットと同じ位置から上流側、かつ前記吐出用スリットの幅方向の外側に位置する
塗布装置。
【請求項2】
前記減圧スリットの開口部が、3mmより大きい請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記減圧スリットが、前記吐出スリット幅方向端部よりも5mm以上前記幅方向の外側に位置する請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
浮上搬送された基材への塗布用である請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【請求項5】
水系塗布液塗布用である請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【請求項6】
電池の電極膜形成用である請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塗布液を吐出するスリットと減圧のためのスリットを備えたダイを用いて成膜する技術は知られている。
特許文献1は、スロットダイを用いた製造方法で、連続走行する基材とスロットダイ先端との間に塗布ビードを形成し、スロットダイよりも上流に基材の幅方向において対向配置される2つのサイドプレートを含む減圧チャンバーを有する製造方法を開示している。
【0003】
特許文献2は、塗布ヘッドの被塗布物移動方向に対して、上流側を減圧状態に保持する減圧室を有する塗布装置であり、上記減圧室が塗布幅方向で複数室に分割され、上記複数室は独立に減圧度の調整が可能であることを特徴とする塗布装置を開示している。
【0004】
特許文献3は、電極シートを搬送するシート搬送部と、搬送中の上記電極シートに向けて電極材料と絶縁材料を吐出する塗布ノズルと、搬送中の上記電極シートと上記塗布ノズルとの間隔を調節するギャップ調節部とを備え、上記塗布ノズルには、電極材料を吐出する電極材料吐出部と、絶縁材料を吐出する絶縁材料吐出部とが、上記電極シートの搬送方向と交差する方向に並んで配置されており、上記ギャップ調節部は、搬送中の上記電極シートと上記電極材料吐出部の間隔及び上記電極シートと上記絶縁材料吐出部の間隔を同時に調節することを特徴とする、塗布装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-43321号公報
【特許文献2】特開2008-155164号公報
【特許文献3】特開2016-167337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性に優れる塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 搬送する基材に塗布液を吐出する吐出用スリット、及び、減圧スリットを有するスロットダイを備え、上記減圧スリットが、上記スロットダイの基材搬送方向において上記吐出用スリットと同じ位置から上流側、かつ上記吐出用スリットの幅方向の外側に位置する塗布装置。
<2> 上記減圧スリットの開口部が、3mmより大きい<1>に記載の塗布装置。
<3> 上記減圧スリットが、上記吐出スリット幅方向端部よりも5mm以上上記幅方向の外側に位置する<1>又は<2>に記載の塗布装置。
<4> 浮上搬送された基材への塗布用である<1>~<3>のいずれか1つに記載の塗布装置。
<5> 水系塗布液塗布用である<1>~<4>のいずれか1つに記載の塗布装置。
<6> 電池の電極膜形成用である<1>~<5>のいずれか1つに記載の塗布装置。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性に優れる塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来の塗布装置の一例におけるスロットダイの塗布面を模式的に示す概略正面図である。
図2】本開示に係る塗布装置の一例におけるスロットダイを模式的に示す概略斜視図である。
図3図2に示す塗布装置の一例におけるスロットダイ10の塗布面を模式的に示す概略正面図である。
図4図2に示す塗布装置の一例における吐出用スリット12を側面方向から見たときの断面構造を模式的に示す概略断面図である。
図5】本開示に係る塗布装置の他の一例におけるスロットダイ10の塗布面を模式的に示す概略正面図である。
図6】本開示に係る塗布装置の更に他の一例におけるスロットダイ10を模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されない。以下の実施形態は、本開示の目的の範囲内において適宜変更されてもよい。
【0011】
本開示の実施形態について図面を参照して説明する場合、図面において重複する構成要素及び符号の説明を省略することがある。図面において同一の符号を用いて示す構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
【0012】
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0013】
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
【0014】
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0015】
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
【0016】
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0017】
本開示において、「固形分」とは、溶剤以外の成分を意味する。
【0018】
<塗布装置>
本開示に係る塗布装置は、搬送する基材に塗布液を吐出する吐出用スリット、及び、減圧スリットを有するスロットダイを備え、上記減圧スリットが、上記スロットダイの基材搬送方向において上記吐出用スリットと同じ位置から上流側、かつ上記吐出用スリットの幅方向の外側に位置する。
本開示に係る塗布装置は、水系塗布液塗布用であることが好ましい。
また、本開示に係る塗布装置は、電池の電極膜形成用であることが好ましい。
【0019】
従来の減圧スリット等の減圧手段を有するスロットダイを備えた塗布装置においては、塗布液を減圧スリットが吸い込み減圧スリットが閉塞するという問題、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化してしまうという問題があった。
本開示に係る塗布装置は、吐出用スリット、及び、減圧スリットを有するスロットダイを備え、上記減圧スリットが、上記スロットダイの基材搬送方向において上記吐出用スリットと同じ位置から上流側、かつ上記吐出用スリットの幅方向の外側に位置することにより、塗布液と減圧スリットとが接触する可能性を減らし、減圧スリットへの吸い込みを抑制するとともに、形成する膜の幅方向端部において減圧スリットによる減圧が十分に機能することにより、膜の幅方向端部の厚膜化を抑制でき、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性に優れる塗布装置を提供することができる。
【0020】
以下、本開示に係る塗布装置について、詳細に説明する。
【0021】
図1は、従来の塗布装置の一例におけるスロットダイの塗布面を模式的に示す概略正面図である。
図1に示すスロットダイ10は、吐出用スリット12と吐出用スリット12の下部に減圧スリット14が設けられ、更にその下部には、廃液チャンバー18が設けられている。
減圧スリット14は、吐出用スリット12の搬送方向上流側に位置するが、上述したように塗布液(不図示)を減圧スリット14が吸い込み、減圧スリット14が閉塞するという問題、及び上記塗布液の吸い込みにより減圧状態とならず、膜形成時の幅方向端部の厚膜化してしまうという問題があった。
【0022】
図2は、本開示に係る塗布装置の一例におけるスロットダイを模式的に示す概略斜視図である。
図2に示すスロットダイ10は、吐出用スリット12と、スロットダイ10の基材搬送方向(図2の下から上方向)上流側、かつ吐出用スリット12の幅方向の外側に位置する減圧スリット14が2箇所設けられている。また、スロットダイ10は、スロットダイ部材16により構成されている。
このような態様であると、塗布液(不図示)と減圧スリット14とが接触する可能性を減らし、減圧スリット14への塗布液の吸い込みを抑制する。更に、形成する膜(不図示)の幅方向端部において減圧スリット14による減圧が十分に機能することにより、膜の幅方向端部の厚膜化を抑制でき、減圧スリット14の閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性に優れる。
【0023】
図3は、図2に示す塗布装置の一例におけるスロットダイ10の塗布面を模式的に示す概略正面図である。
図3に示すスロットダイ10は、図2と同様、吐出用スリット12と、スロットダイ10の基材搬送方向(図3の下から上方向)上流側、かつ吐出用スリット12の幅方向の外側に位置する減圧スリット14が2箇所設けられ、更にその下部には、廃液チャンバー18が設けられている。
また、図3におけるL1は、吐出用スリット12の幅を表し、L2は、吐出用スリット12幅方向における吐出用スリット12端部と減圧スリット14端部との距離を表し、L3は、吐出用スリット12厚さ方向における吐出用スリット12端部と減圧スリット14端部との距離を表す。
【0024】
図4は、図2に示す塗布装置の一例における吐出用スリット12を側面方向から見たときの断面構造を模式的に示す概略断面図である。
図4に示すスロットダイ10は、吐出用スリット12が中央部を貫通しており、スロットダイ10の基材搬送方向S1の上流側、かつ吐出用スリット12の幅方向の外側に位置する減圧スリット14が2箇所設けられている。なお、図4においては、減圧スリット14の位置を模式的に示している。
更に、図4に示すスロットダイ10の下部には、吐出用スリットから吐出された塗布液が基材に塗布されずにスロットダイ部材16の表面を伝って垂れた際に収容するための廃液チャンバー18が設けられている。
塗布液(不図示)は、吐出用スリット12より吐出され、基材搬送方向S1へ搬送される基材20に塗布される。
図4における重力方向は、基材搬送方向S1とは反対の方向であることが好ましい。
【0025】
図5は、本開示に係る塗布装置の他の一例におけるスロットダイ10の塗布面を模式的に示す概略正面図である。
図3とは2箇所減圧スロット14の開口部の形状が異なり、円形となっている。
【0026】
図6は、本開示に係る塗布装置の更に他の一例におけるスロットダイ10を模式的に示す概略斜視図である。
図6におけるスロットダイ10は、3箇所の吐出用スリット12を有しており、スロットダイ10の基材搬送方向上流側、かつ各吐出用スリット12の幅方向の外側に位置する減圧スリット14を4箇所有している。
スロットダイ10の内部において、3箇所の吐出用スリット12は送液路12Pにより接続されており、送液手段(不図示)より塗布液(不図示)が送液方向F1より送液される。
また、スロットダイ10の内部において、4箇所の減圧スリット14は減圧路14Pにより接続されており、減圧ポンプ等の減圧手段(不図示)により減圧方向R1に空気が吸引され減圧される。
【0027】
また、図2図4及び図6に示す吐出用スリット12及び減圧スリット14の開口部の形状は、いずれも長方形であるが、図5に示すように減圧スリット14の開口部が円形であってもよく、これらに限定されないことは言うまでもない。
本開示に係る塗布装置における吐出用スリット12の開口部の形状は、所望の膜形状にあわせ、適宜選択することができる。また、上記L1も、所望の膜の幅にあわせ、適宜選択することができる。
本開示に係る塗布装置における吐出用スリット12の開口部の厚み方向の長さは、使用する塗布液の固形分量及び所望の膜厚に応じ適宜選択すればよいが、0.1μm~5mmであることが好ましく、1μm~500μmであることがより好ましく、10μm~200μmであることが特に好ましい。
また、本開示に係る塗布装置における吐出用スリット12の数は、1つである必要はなく、2つ以上であってもよく、所望に応じ、適宜選択することができる。
【0028】
本開示に係る塗布装置における減圧スリット14の開口部の形状は、特に制限はなく、例えば、長方形、正方形、五角形、六角形等の多角形、円形、楕円形、十字形など、任意の形状であればとよい。
また、本開示に係る塗布装置における減圧スリット14の数は、2つである必要はなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよいが、吐出用スリット12の幅方向両端の外側に各1つずつ有していることが好ましく、吐出用スリット12の数が1つである場合は、吐出用スリット12の幅方向両端の外側に各1つずつ有していることが特に好ましい。
本開示に係る塗布装置における減圧スリット14の開口部の面積は、減圧可能であれば特に制限はないが、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性の観点から、1mmより大きいことが好ましく、3mmより大きいことがより好ましく、3mmを超え50mm以下であることがより好ましく、5mm以上30mm以下であることが特に好ましい。
本開示に係る塗布装置における減圧スリット14の開口部の幅方向の長さは、減圧可能であれば特に制限はないが、1mm~20mmであることが好ましく、2mm~10mmであることがより好ましい。
本開示に係る塗布装置における減圧スリット14の開口部の厚さ方向の長さは、減圧可能であれば特に制限はないが、0.1mm~10mmであることが好ましく、0.2mm~8mmであることがより好ましく、0.5mm~5mmであることが特に好ましい。
【0029】
本開示に係る塗布装置における減圧スリット14は、スロットダイ10の基材搬送方向S1の上流側に位置すればよいが、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性の観点から、吐出スリット12幅方向端部より1mm以上上記幅方向の外側に位置することが好ましく、吐出スリット12幅方向端部より2mm以上上記幅方向の外側に位置することがより好ましく、吐出スリット12幅方向端部より5mm以上上記幅方向の外側に位置することが更に好ましく、吐出スリット12幅方向端部より5mm以上30mm以下の距離で上記幅方向の外側に位置することが特に好ましい。
すなわち、吐出用スリット12幅方向における吐出用スリット12端部と減圧スリット14端部との距離を示す上記L2は、0mm以上であり、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性の観点から、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることが更に好ましく、5mm以上30mm以下であることが特に好ましい。
【0030】
本開示に係る塗布装置における減圧スリット14は、吐出用スリット12の厚さ方向において、基材20の搬送方向S1において、吐出用スリット12と同じ位置から上流側に位置すればよいが、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性の観点から、基材20の搬送方向S1の上流側に位置することが好ましく、吐出スリット12厚さ方向端部より1mm以上基材20の搬送方向S1の上流側に位置することがより好ましく、吐出スリット12厚さ方向端部より2mm以上基材20の搬送方向S1の上流側に位置することが更に好ましく、吐出スリット12厚さ方向端部より2mm以上30mm以下基材20の搬送方向S1の上流側に位置することが特に好ましい。
すなわち、吐出用スリット12厚さ方向における吐出用スリット12端部と減圧スリット端部との距離を示す上記L3は、0mm以上であり、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性の観点から、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、2mm以上30mm以下であることが特に好ましい。
【0031】
スロットダイ部材16の材質については、特に制限はなく、ステンレス鋼、超硬合金、セラミック、ガラス、樹脂等の公知のものを用いることができる。
【0032】
本開示に係る塗布装置は、廃液チャンバー18を有していてもよいし、有していなくともよい。
廃液チャンバー18は、塗布されなかった塗布液を回収する手段であり、公知のものを用いることができる。
廃液チャンバー18は、例えば、図4に示すような受け器の形状であってもよいが、特に制限はなく、使用する塗布液、及び、塗布時の重力方向等により、形状、大きさ、設置位置等は、適宜選択することができる。
【0033】
基材20は、特に制限はなく、所望に応じて適宜選択すればよく、また、公知のものを用いることができる。
基材20の成分としては、例えば、重合体及び金属が挙げられる。重合体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びトリアセチルセルロースが挙げられる。基材は、1種又は2種以上の重合体を含んでもよい。金属としては、例えば、鉄、クロム、ニッケル、チタン、銅、アルミニウム、銀及び金が挙げられる。金属は、合金であってもよい。合金としては、例えば、ステンレス鋼及びインバーが挙げられる。基材20は、1種又は2種以上の金属を含んでもよい。ある実施形態において、基材20は、重合体を含むことが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びトリアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。ある実施形態において、基材20は、金属を含むことが好ましく、ニッケル、チタン、銅、アルミニウム、銀及び金からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、銅及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが更に好ましく、アルミニウムを含むことが特に好ましい。
【0034】
基材20は、フィルムであることが好ましい。フィルムとしては、例えば、既述の重合体を含むフィルム及び既述の金属を含むフィルムが挙げられる。重合体を含むフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート製フィルム、ポリエチレンナフタレート製フィルム及びトリアセチルセルロース製フィルムが挙げられる。金属を含むフィルムの具体例としては、銅製フィルム及びアルミニウム製フィルムが挙げられる。
【0035】
基材20は、高い熱伝導性を有してもよい。高い熱伝導性を有する基材としては、例えば、200W/(m・K)以上の熱伝導率を有する基材が挙げられる。基材20の熱伝導率の上限は、制限されない。基材20の熱伝導率は、500W/(m・K)以下であってもよい。基材の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法を用いて測定される。まず、基材20を、幅方向に沿って3箇所(具体的には、幅方向の両端から5mmの位置と幅方向中央部)、φ5mm~10mmで切り出し、3つの測定試料を得る。レーザーフラッシュ法を適用した熱物性測定装置(例えば、LFA-502、京都電子工業株式会社)を用いて、各測定試料の熱伝導率を測定する。3つの測定値の算術平均を基材の熱伝導率とする。
【0036】
基材20の層構造は、制限されない。基材は、単層構造又は多層構造を有してもよい。
【0037】
生産性の向上の観点から、基材20は、長尺の基材であることが好ましい。基材20の長さは、10m以上であることが好ましく、100m以上であることがより好ましく、200m以上であることが特に好ましい。基材20の長さの上限は、制限されない。基材の長さの上限は、1,000m又は500mであってもよい。基材20の長さは、10m~1,000mの範囲内であることが好ましい。なお、「基材の長さ」とは、基材の搬送方向における基材の端から端までの距離を意味する。
【0038】
基材20の幅は、特に制限されないが、生産性及びシワ抑制の観点から、100mm~1,800mmであることが好ましく、300mm~1,600mmであることがより好ましく、500mm~1,400mmであることが特に好ましい。
【0039】
基材20の厚さは、特に制限されないが、取扱性の観点から、基材20の厚さは、3μm~50μmであることが好ましく、10μm~30μmであることがより好ましい。
【0040】
基材20は、例えば、公知の搬送装置を用いて搬送される。搬送装置は、基材の張力を制御する張力制御機構を含んでもよい。搬送装置としては、例えば、搬送ローラー及び搬送ベルトが挙げられる。また、搬送装置としては、例えば、基材を送り出す送出装置及び基材を巻き取る巻取装置も挙げられる。送出装置及び巻取装置は、例えば、ロールツーロール(Roll to Roll)方式の搬送装置としても使用される。ロールツーロール方式の搬送装置は、長尺の基材を搬送する装置として好ましく使用される。
【0041】
基材20の搬送速度は、1m/分~100m/分の範囲内であることが好ましい。
【0042】
基材20の張力は、30N/m~300N/mの範囲内であることが好ましく、50N/m~200N/mの範囲内であることがより好ましい。張力の制御は、例えば、公知の張力制御装置を用いて実施される。張力の制御は、張力制御機構を含む公知の搬送装置を用いて実施されてもよい。張力制御機構を含む搬送装置としては、例えば、テンデンシー駆動式ローラー(Tendency Drive Roller)を含む搬送装置が挙げられる。テンデンシー駆動式ローラーは、例えば、テンデンシー駆動式ローラーを支持する回転軸とテンデンシー駆動式ローラーとの間で作用する摩擦力又は磁力によって回転する。回転軸は、例えば、モーターによって回転される。つまり、回転軸を回転させる力がテンデンシー駆動式ローラーに伝達し、テンデンシー駆動式ローラーが回転する。テンデンシー駆動式ローラーを含む搬送装置は、例えば、回転軸の回転数に応じてフィルムの張力を制御できる。テンデンシー駆動式ローラーに関する技術は、例えば、特許第4066904号公報に記載されている。上記文献の内容は、参照により本明細書に取り込まれる。張力の制御は、ダンサーローラーを用いて実施されてもよい。張力の制御は、回転ドロー制御方式を用いて実施されてもよい。
【0043】
本開示に係る塗布装置は、減圧スリットと接続されて減圧を行う減圧手段、及び吐出用スリットと接続されて塗布液を送り出す送液手段を有していることが好ましい。
減圧手段及び送液手段としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。減圧手段としては、例えば、真空ポンプが挙げられる。送液手段としては、例えば、送液ポンプが挙げられる。
また、本開示に係る塗布装置は、上述した以外の公知の手段、部材等を有していてもよい。
例えば、本開示に係る塗布装置は、塗布液を乾燥する乾燥手段を有していてもよい。乾燥手段としては、例えば、加熱手段、送風手段、及び、これらの組み合わせが挙げられる。送風における気体の温度は、25℃~200℃の範囲内であることが好ましく、30℃~150℃の範囲内であることがより好ましい。送風における風速は、1.5m/秒~50m/秒であることが好ましい。塗布液の乾燥に使用される乾燥手段としては、例えば、オーブン、温風機及び赤外線ヒーターが挙げられる。
【0044】
(浮上搬送)
本開示に係る塗布装置は、浮上搬送された基材への塗布用であることが好ましい。
基材は、塗布装置の上方で浮上搬送されることが好ましい。すなわち、基材は、塗布装置に接触せずに搬送されることが好ましい。基材の浮上量は、例えば、塗布条件(例えば、塗布液の種類)に応じて決定される。浮上搬送の安定化及び塗膜の膜厚分布の均一化という観点から、基材の浮上量は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。基材の浮上量の下限は、50μm又は100μmであってもよい。塗布ビードが重力の影響を受けて不安定になることを未然に防ぐという観点から、基材の浮上量は、1,000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることが特に好ましい。基材の浮上量は、10μm~1,000μmの範囲内であることが好ましく、20μm~500μmの範囲内であることがより好ましく、50μm~400μmの範囲内であることが特に好ましい。「基材の浮上量」とは、基材の第1の面と基材の第1の面に対向する吐出部の表面との最短距離を意味する。基材の浮上量は、レーザー変位計を用いて、以下に示す手順(1)~(3)に従って測定される。なお、基材の浮上量は、塗布液の影響を除外した条件、すなわち、基材に塗布液を塗布しない条件で測定される。
(1)塗布装置の吐出部に対向して配置されたレーザー変位計を用いて、吐出部の表面の位置を検出し、次に、基材を浮上搬送しながら、塗布装置の吐出部とレーザー変位計との間を走行する基材の第2の面の位置を検出する。
(2)上記(1)で得られた測定結果に基づいて、吐出部の表面から、浮上した基材の第2の面までの距離Dを測定する。
(3)下記式に従って得られる値を、基材の浮上量とみなす。
式:基材の浮上量=[距離D]-[基材の厚さ]
【0045】
基材の曲がり度合いは、例えば、曲率半径によって表される。曲がり度合いが大きいほど曲率半径は小さくなり、曲がり度合いが小さいほど曲率半径は大きくなる。塗膜の膜厚分布の均一化という観点から、基材と塗布液との接触地点における基材の曲率半径は、50mm~1,000mmの範囲内であることが好ましく、70mm~600mmの範囲内であることがより好ましく、100mm~300mmの範囲内であることが特に好ましい。基材の曲率半径は、塗布液の影響を除外した条件、すなわち、基材に塗布液を塗布しない条件で測定される。
【0046】
基材の浮上方法は、制限されない。基材の浮上方法としては、例えば、基材と塗布装置との間に気体を供給する方法が挙げられる。基材と塗布装置との間に供給された気体は、基材を支持し、塗布装置から基材を浮上させる。気体により基材が支持されると、より低い吐出圧力で塗布液を基材に塗布でき、塗膜の膜厚分布の均一性を更に向上させる。
【0047】
気体の種類は、制限されない。気体としては、例えば、窒素及び空気が挙げられる。気体は、空気であることが好ましい。
【0048】
気体は、例えば、公知の方法によって供給される。気体は、送風機、圧縮機又は気体を貯蔵する容器(例えば、ボンベ)を用いて供給されてもよい。
【0049】
気体の圧力は、制限されない。気体の圧力は、例えば、基材の浮上量及び基材の曲がり度合いに影響を及ぼす。気体の圧力が大きいほど基材の浮上量は増大し、気体の圧力が小さいほど基材の浮上量は減少する。また、気体の圧力が大きいほど基材の曲がり度合いは大きくなり、気体の圧力が小さいほど基材の曲がり度合いは小さくなる。浮上搬送の安定化及び基材の湾曲化の観点から、基材と塗布装置との間の空間に存在する気体の圧力(以下、「P0」という場合がある。)は、10Pa以上であることが好ましく、50Pa以上であることがより好ましく、100Pa以上であることが特に好ましい。「基材と塗布装置との間の空間に存在する気体」は、基材と塗布装置との間に意図的に供給されている気体のみならず、基材と塗布装置との間の空間に非意図的な要因により存在する気体(例えば、大気)を含む。さらに、P0は、150Pa以上であることが好ましく、200Pa以上であることがより好ましい。気体の圧力変動が小さいほど、塗膜の膜厚分布の均一性が向上する。気体の圧力変動の低減の観点から、P0は、2,000Pa以下であることが好ましく、1,600Pa以下であることがより好ましく、1,300Pa以下であることが特に好ましい。P0の上限は、1,000Pa、800Pa又は500Paであってもよい。P0は、10Pa~2,000Paの範囲内であることが好ましく、100Pa~1,600Paの範囲内であることがより好ましく、150Pa~1,300Paの範囲内であることが特に好ましい。P0は、基材と塗布装置との間の空間にマノスターゲージに接続した金属チューブを挿入して測定される。
【0050】
基材の浮上搬送は、基材の搬送方向において吐出部よりも上流及び下流の少なくとも一方に配置された気体を吹き出す吹出部から基材の第1の面に向かって気体を吹き出すことを含むことが好ましい。吹出部から基材の第1の面に向かって吹き出された気体は、基材を支持し、塗布装置から基材を浮上させる。上記のような方法は、基材の浮上搬送を安定化し、塗膜の膜厚分布の均一性を向上させる。浮上搬送の安定化の観点から、吹出部は、基材の搬送方向において吐出部よりも上流及び下流にそれぞれ配置されていることが好ましい。吹出部は、塗布装置の一部又は塗布装置とは独立した要素であってもよい。吹出部は、塗布装置の一部であることが好ましい。吹出部の態様は、上記「搬送工程」の項に記載されている。
【0051】
本開示に係る塗布装置は、浮上搬送のため、気体を吹き出す吹出部を含むことが好ましい。塗布装置は、1つ又は2つ以上の吹出部を含んでもよい。吹出部は、基材と塗布装置との間に気体を供給する。基材と塗布装置との間に供給された気体は、後述する塗布工程において基材を支持し、塗布装置から基材を浮上させる。吐出部の成分としては、例えば、金属が挙げられる。金属としては、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。吹出部が気体を吹き出すという機能を有する限り、吹出部の構造は制限されない。吹出部は、1つ又は2つ以上の吹出口を含んでもよい。平面視における吹出口の形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形、線形及び不定形が挙げられる。吹出部は、吐出口に連通し、気体が流れる空間(すなわち、流路)を含んでもよい。吹出部は、ノズルであってもよい。吹出部は、多孔質体であってもよい。
【0052】
本開示に係る塗布装置は、搬送されている第1の面及び上記第1の面の反対側の第2の面を含む基材に塗布液を塗布する塗布装置であって、上記基材の上記第1の面に向かって塗布液を吐出する吐出部と、上記基材の搬送方向において上記吐出部よりも上流及び下流の少なくとも一方に配置され、上記基材を浮上させるために上記基材の上記第1の面に向かって気体を吹き出す少なくとも1つの吹出部と、を含むことが好ましい。上記した実施形態によれば、均一な膜厚分布を有する塗膜を形成可能な塗布装置が提供される。吹出部は、基材の搬送方向において吐出部よりも上流及び下流にそれぞれ配置されていることが好ましい。基材の搬送方向において吐出部よりも上流に配置された吹出部(以下、「第1の吹出部」という場合がある。)及び基材の搬送方向において吐出部よりも下流に配置された吹出部(以下、「第2の吹出部」という場合がある。)は、基材の浮上搬送を安定化し、塗膜の膜厚分布の均一性を向上させる。第1の吹出部は、吐出部に隣接してもよく、又は吐出部に隣接していなくてもよい。第2の吹出部は、吐出部に隣接してもよく、又は吐出部に隣接していなくてもよい。第1の吹出部は吐出部に隣接し、かつ、第2の吹出部は吐出部に隣接していることが好ましい。
【0053】
基材の浮上搬送は、基材の搬送方向において、吐出部よりも上流に配置された気体を吹き出す第1の吹出部及び吐出部よりも下流に配置された気体を吹き出す第2の吹出部から基材の第1の面に向かって気体を吹き出すことと、第1の吹出部から吹き出される気体の圧力及び第2の吹出部から吹き出される気体の圧力を互いに独立して制御することと、を含むことが好ましい。上記のような方法は、基材の浮上搬送を安定化し、基材の曲がり度合いの制御性も向上させる。この結果、塗膜の膜厚分布の均一性は向上する。基材と第1の吹出部との間の空間に存在する気体の圧力(以下、「P1」という場合がある。)は、基材と第2の吹出部との間の空間に存在する気体の圧力(以下、「P2」という場合がある。)と同じであっても異なっていてもよい。「基材と吹出部との間の空間に存在する気体」は、基材と吹出部との間に意図的に供給されている気体のみならず、基材と塗布装置との間の空間に非意図的な要因により存在する気体(例えば、大気)を含む。P1及びP2は、例えば、既述した圧力の範囲内で制御される。塗膜の膜厚分布の均一化という観点から、P2に対するP1の比(すなわち、P1/P2)は、0.1~1.5であることが好ましく、0.3~1であることがより好ましい。P1は、P2より低いことが好ましい。P1がP2より低いと、基材の張力変動が塗膜の膜厚分布に及ぼす影響は小さくなり、塗膜の膜厚分布の均一性も向上する。上記のような観点から、P2に対するP1の比(すなわち、P1/P2)は、0.1以上1未満あることが好ましく、0.3~0.9であることがより好ましく、0.4~0.8であることが特に好ましい。P1は、P2より50Pa以上低いことが好ましく、P2より100Pa以上低いことがより好ましい。例えば、P1は、10Pa~250Paの範囲内であり、P2は、300Pa~500Paの範囲内であることが好ましい。P1は、基材と第1の吹出部との間の空間にマノスターゲージに接続した金属チューブを挿入して測定される。P2は、基材と第2の吹出部との間の空間にマノスターゲージに接続した金属チューブを挿入して測定される。
【0054】
(塗布液)
塗布液の種類は、特に制限されない。塗布液の種類は、例えば、得られる膜の用途に応じて決定される。塗布液は、水系塗布液であることが好ましい。「水系塗布液」とは、塗布液に含まれる溶剤が実質的に水である塗布液を意味する。「塗布液に含まれる溶剤が実質的に水である」とは、塗布液に含まれる溶剤の多くを水が占めることを意味する。水系塗布液に含まれる溶剤に占める水の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0055】
水系塗布液に含まれる水としては、例えば、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水が挙げられる。
【0056】
水系塗布液における水の含有率は、水系塗布液の全質量に対して、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。水系塗布液における水の含有率は、水系塗布液の全質量に対して、100質量%未満であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0057】
水系塗布液は、粒子を含んでもよい。粒子としては、例えば、無機粒子、有機粒子及び無機物質と有機物質との複合粒子が挙げられる。
【0058】
無機粒子としては、例えば、金属の粒子、半金属の粒子、金属化合物の粒子、半金属化合物の粒子、無機顔料の粒子、鉱物の粒子及び多結晶ダイヤモンドの粒子が挙げられる。金属としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及びこれらの合金が挙げられる。半金属としては、例えば、ケイ素が挙げられる。金属化合物及び半金属化合物としては、例えば、酸化物、水酸化物及び窒化物が挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。鉱物としては、例えば、雲母が挙げられる。
【0059】
有機粒子としては、例えば、樹脂の粒子及び有機顔料の粒子が挙げられる。
【0060】
無機物質と有機物質との複合粒子としては、例えば、有機物質によるマトリックス中に無機粒子が分散した複合粒子、有機粒子の周囲を無機物質にて被覆した複合粒子及び無機粒子の周囲を有機物質にて被覆した複合粒子が挙げられる。
【0061】
分散性の付与のために、粒子は、表面処理が施されていてもよい。表面処理によって複合粒子が形成されてもよい。
【0062】
粒子の粒径、比重及び使用形態は、制限されない。粒子の粒径、比重及び使用形態は、例えば、塗布液によって形成される塗膜及び塗膜の製造条件に応じて決定される。
【0063】
水系塗布液は、1種又は2種以上の粒子を含んでもよい。
【0064】
水系塗布液における粒子の含有率は、制限されない。水系塗布液における粒子の含有率は、例えば、粒子の添加目的、塗布液によって形成される塗膜及び塗膜の製造条件に応じて決定される。
【0065】
水系塗布液の成分としては、例えば、バインダー成分、粒子の分散性に寄与する成分、重合性化合物、重合開始剤及び塗布性能を高めるための成分(例えば、界面活性剤)も挙げられる。
【0066】
塗布液の固形分濃度は、70質量%未満であることが好ましく、30質量%~60質量%であることがより好ましい。
【0067】
電池の電極膜を形成する場合、塗布液は、電極活物質を含むことが好ましく、電極活物質及び導電助剤を含むことがより好ましい。
電極活物質は、周期律表における第1族又は第2族に属する金属元素のイオンを挿入、及び放出することが可能な物質である。
電極活物質としては、例えば、正極電極活物質及び負極電極活物質が挙げられる。
【0068】
-正極電極活物質-
正極電極活物質としては、制限されず、正極に用いられる公知の電極活物質を利用できる。正極電極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できる正極電極活物質であることが好ましい。
【0069】
正極電極活物質としては、具体的には、例えば、遷移金属酸化物、及びリチウムと複合化できる元素(例えば、硫黄)が挙げられる。上記の中でも、正極電極活物質は、遷移金属酸化物であることが好ましい。
【0070】
遷移金属酸化物は、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、及びV(バナジウム)よりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素(以下、「元素Ma」という。)を含む遷移金属酸化物であることが好ましい。
【0071】
遷移金属酸化物がLi及び元素Maを含む場合、Maに対するLiのモル比(Li/Ma)は、0.3~2.2であることが好ましい。
【0072】
また、遷移金属酸化物は、リチウム以外の第1族の元素、第2族の元素、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)、Si(ケイ素)、P(リン)、及びB(ホウ素)よりなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素(以下、「元素Mb」という。)を含んでいてもよい。元素Mbの含有量は、元素Maの物質量に対して、0mol%~30mol%であることが好ましい。
【0073】
遷移金属酸化物としては、例えば、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、及びリチウム含有遷移金属ケイ酸化合物が挙げられる。
【0074】
層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、及びLiNi0.5Mn0.5O(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
【0075】
スピネル型構造を有する遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoMnO、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMn、及びLiNiMnが挙げられる。
【0076】
リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、オリビン型リン酸鉄塩(例えば、LiFePO、及びLiFe(PO)、ピロリン酸鉄塩(例えば、LiFeP)、リン酸コバルト塩(例えば、LiCoPO)、及び単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩(例えば、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム))が挙げられる。
【0077】
リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、フッ化リン酸鉄塩(例えば、LiFePOF)、フッ化リン酸マンガン塩(例えば、LiMnPOF)、及びフッ化リン酸コバルト塩(例えば、LiCoPOF)が挙げられる。
【0078】
リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiO、及びLiCoSiOが挙げられる。
【0079】
遷移金属酸化物は、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物であることが好ましく、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
【0080】
正極電極活物質は、市販品であってもよく、公知の方法(例えば、焼成法)によって製造された合成品であってもよい。例えば、焼成法によって得られた正極電極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は有機溶剤を用いて洗浄されていてもよい。
また、正極電極活物質は、その表面にカーボン被膜を有していてもよい。
【0081】
正極電極活物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、1種の正極電極活物質を用いる場合であっても、粒径の異なる正極電極活物質を組み合わせて使用してもよい。
【0082】
-負極電極活物質-
負極電極活物質としては、制限されず、負極に用いられる公知の電極活物質を利用できる。負極電極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できる負極電極活物質であることが好ましい。
【0083】
負極電極活物質としては、例えば、炭素質材料、金属酸化物(例えば、酸化スズ)、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体、リチウム合金(例えば、リチウムアルミニウム合金)、及びリチウムと合金を形成可能な金属(例えば、Sn、Si、及びIn)が挙げられる。上記の中でも、負極電極活物質は、信頼性の観点から、炭素質材料、又はリチウム複合酸化物であることが好ましい。
【0084】
炭素質材料は、実質的に炭素からなる材料である。
炭素質材料としては、例えば、石油ピッチ、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)、黒鉛(例えば、天然黒鉛、及び人造黒鉛(例えば、気相成長黒鉛))、ハードカーボン、及び合成樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びフルフリルアルコール樹脂)を焼成してなる炭素質材料が挙げられる。炭素質材料としては、例えば、炭素繊維(例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、及び活性炭素繊維)も挙げられる。黒鉛としては、例えば、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、及び平板状の黒鉛も挙げられる。
本開示において、「平板状」とは、反対方向を向く2つの主平面を有する形状を意味する。
【0085】
金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属複合酸化物であることが好ましい。
リチウムを吸蔵及び放出可能な金属複合酸化物は、高電流密度充放電特性の観点から、チタン及びリチウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。
【0086】
金属酸化物、及び金属複合酸化物は、特に非晶質酸化物であることが好ましい。
【0087】
金属酸化物、及び金属複合酸化物は、カルコゲナイドであることも好ましい。カルコゲナイドは、金属元素と周期律表における第16族の元素との反応生成物である。
【0088】
非晶質酸化物、及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドが好ましく、周期律表における第13族~15族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、及びBiよりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物、並びにカルコゲナイドがより好ましい。
【0089】
負極電極活物質は、チタンを更に含むことも好ましい。リチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、そして、電極の劣化が抑制されることでリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる観点から、チタンを含む負極電極活物質は、LiTi12(チタン酸リチウム[LTO])であることが好ましい。
【0090】
負極電極活物質は、市販品であってもよく、公知の方法(例えば、焼成法)によって製造された合成品であってもよい。例えば、焼成法によって得られた負極電極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は有機溶剤を用いて洗浄されていてもよい。
【0091】
負極電極活物質は、例えば、CGB20(日本黒鉛工業(株)製)として入手可能である。
【0092】
負極電極活物質の組成は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用いて測定する。
【0093】
負極電極活物質は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、1種の負極電極活物質を用いる場合であっても、粒径の異なる負極電極活物質を組み合わせて使用してもよい。
【0094】
正極電極活物質及び負極電極活物質の表面は、それぞれ、表面被覆剤で被覆されていてもよい。表面被覆剤としては、例えば、Ti、Nb、Ta、W、Zr、Si、又はLiを含む金属酸化物が挙げられる。上記金属酸化物としては、例えば、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、及びニオブ酸リチウム系化合物が挙げられる。
【0095】
-導電助剤-
導電助剤としては、特に制限されず、公知の導電助剤を利用できる。
導電助剤としては、例えば、黒鉛(例えば、天然黒鉛、及び人造黒鉛)、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラック)、無定形炭素(例えば、ニードルコークス)、炭素繊維(例えば、気相成長炭素繊維、及びカーボンナノチューブ)、他の炭素質材料(例えば、グラフェン、及びフラーレン)、金属粉(例えば、銅粉、及びニッケル粉)、金属繊維(例えば、銅繊維、及びニッケル繊維)、及び導電性高分子(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリフェニレン誘導体)が挙げられる。
導電助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【実施例0096】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、各工程の詳細等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
なお、「部」はいずれも質量基準である。
【0097】
<実施例1>
(基材AL1の準備)
基材AL1として、220mmの幅、10μmの厚さ、300mの長さ及び230W/m・Kの熱伝導率を有するアルミニウム製フィルムを準備した。基材AL1は、ロール状に巻かれてロールフィルムを形成している。
【0098】
(溶剤系塗布液Aの準備)
負極活物質としての黒鉛(C)と、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、粘度調整剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)ポリビニルピロリドン(PVP)と、導電助剤としてのグラファイト(GF)、カーボンブラック(CB)とを、C:SBR:CMC:PVP:GF:CB=94:2:1:1:1:1の質量比で配合し、イオン交換水と混練することで、固形分濃度60質量%の溶剤系塗布液Aを得た。
【0099】
(溶剤系塗布液Bの準備)
LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523)95質量部と、アセチレンブラック2.5質量部と、を混合し、ポリフッ化ビニリデン粉末(製品名「PVDF5130」、ソルベイ社製)2.5質量部を少しずつ添加し、プラネタリーミキサーで混練した。N-メチルピロリドン54質量部を添加し、固形分濃度65質量%の溶剤系塗布液Bを得た。
【0100】
(塗布液Cの準備)
下記成分を混合し、塗布液Cを調製した。
・ポリビニルアルコール(CKS-50、ケン化度:99モル%、重合度:300、日本合成化学工業株式会社製):58質量部
・セロゲンPR(第一工業製薬株式会社製):24質量部
・界面活性剤(日本エマルジョン株式会社製、エマレックス710):5質量部
・アートパール(登録商標)J-7Pの水分散物:913質量部
【0101】
アートパールJ-7Pの水分散物は、以下の方法によって調製された。74質量部の純水に、3質量部のエマレックス710(日本エマルジョン株式会社、ノニオン界面活性剤)と、3質量部のカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製)と、を添加した。得られた水溶液に、20質量部のアートパールJ-7P(根上工業株式会社製、シリカ複合架橋アクリル樹脂粒子)を加え、エースホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製)を用いて10,000rpmで15分間分散し、アートパールJ-7Pの水分散物を得た(粒子濃度:20質量%)。得られた水分散物中のシリカ複合架橋アクリル樹脂粒子の真比重は1.20であり、平均粒径は6.5μmであった。
【0102】
<実施例1>
図2図4に示す位置関係で吐出用スリット及び減圧スリットを配置した塗布装置にて、基材AL1上に、表1に記載の減圧スリットの位置及び形状、並びに、減圧度1,000Paにて、塗布液Aを塗布して塗布液膜を形成し、形成された塗布液膜を乾燥させて塗布膜を得た。
具体的には、水系塗布液Aを、連続搬送される基材上に、塗布部分の幅が200mm、基材の端部と塗布部分との間における未塗布部分の幅が10mmとなるように、塗布を行った。
なお、基材の搬送速度は、2.0m/分であった。
以上のように、膜厚70μmの塗布膜を形成した。
【0103】
<実施例2~10、並びに、比較例1、3及び4>
表1に記載のように、減圧方法、減圧スリットの位置及び形状、並びに、塗布液変更した以外は、実施例1と同様にして、塗布膜を形成した。
なお、実施例4は、図5に示すように構成された塗布装置を用いた。
【0104】
<実施例11>
国際公開第2022/130902号の実施例1に記載の装置により基材AL1を浮上搬送して、実施例5と同様の塗布装置により塗布した以外は、実施例1と同様にして、塗布膜を形成した。なお、実施例5と比較し、塗布膜の生産性が2倍であった。実施例5のような通常塗布では、表裏2面塗布するのに、工程を2回通す必要があるのに対し、実施例11のような浮上塗布では、表裏面を同時に塗布及び乾燥可能となるため、工程を1回通すだけで済む。すなわち、生産性が2倍となる。
【0105】
<比較例2>
特開2008-155164号公報の図1図3に記載の塗布装置を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗布膜を形成した。
【0106】
<膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性(端部厚膜抑制性)評価>
膜厚の幅方向プロファイルを測定し、幅方向端部5mmでの最大値と最小値の差を厚膜化の指標とした。この差が減圧により、どれだけ小さくなるかを評価した。膜厚の幅方向プロファイル測定は、特に限定されないが、例えば、株式会社フジワーク製連続厚み測定機 FT-A-200を好適に用いることが出来る。評価基準は以下のとおりである。
A:減圧により、最大値と最小値の差が、80%以上低減される。
B:減圧により、最大値と最小値の差が、30%以上80%未満低減される。
C:最大値と最小値の差が3μm以上で、最大値と最小値の差が、30%未満しか低減されない。
【0107】
<大型設備の要否評価>
塗布に必要なスロットダイ以外の付帯設備要否で評価した。具体的には、特許文献1、2などで用いられる減圧装置は、幅方向全体を均一に減圧するために、基材流れ方向上流側に、基材幅同等以上で、ある程度大きな減圧室が必要となる(=F:要)。一方で、ダイリップ先端のスリットを減圧する場合においては、大型の減圧室は不要となる(A:
不要)。
【0108】
<減圧スリットの閉塞抑制性評価>
塗布終了後、スロットダイを分解し、減圧スリット14に、塗布液及びその乾燥物が付着した程度を目視により評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:減圧スリット及び減圧路に、塗布液及びその乾燥物が付着していない。
B:減圧スリット及び減圧路に、塗布液及びその乾燥物が付着しているが、減圧スリット開口部には付着していない。
C:減圧スリット及び減圧路に、塗布液及びその乾燥物が付着しており、減圧スリット開口部が0~30%閉塞している。
D:減圧スリット及び減圧路に、塗布液及びその乾燥物が付着しているが、減圧スリット開口部が30%以上閉塞している。
【0109】
評価結果をまとめて表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
なお、表1における減圧スリットの位置における正負は、吐出用スリットの幅方向において、幅方向端部から内側を正、外側を負とする。
また、実施例1~11、及び、比較例3及び4における減圧スリットの厚み方向の位置は、吐出用スリットの厚み方向において、吐出用スリットに最も近い減圧スリットの端部が、吐出用スリット厚み方向端部から基材搬送方向上流側に5mmの位置となるようにした。
表1における既存チャンバー方式とは、基材流れ方向上流側に、基材幅同等以上の減圧室(=チャンバー)を有しており、幅方向全体を均一に減圧するために、ある程度大きく、均一な引圧を発生させる減圧室を設けている減圧方式であり、直下スリット方式とは、ダイリップ先端付近(スリット直下)にスリットを設け、減圧する方式である。
【0112】
表1に示すように、本開示に係る塗布装置である実施例1~11の塗布装置は、比較例1~4の塗布装置と比較し、減圧スリットの閉塞抑制性、及び、膜形成時の幅方向端部の厚膜化抑制性に優れる。
【符号の説明】
【0113】
10:スロットダイ、12:吐出用スリット、14:減圧スリット、16:スロットダイ部材、18:廃液チャンバー、20:基材、L1:吐出用スリット12の幅、L2:吐出用スリット12幅方向における吐出用スリット12端部と減圧スリット端部との距離、L3:吐出用スリット12厚さ方向における吐出用スリット12端部と減圧スリット端部との距離、12P:送液路、14P:減圧路、F1:送液方向、R1:減圧方向、S1:基材搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6