(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154355
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】内視鏡補助具の操作装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20251002BHJP
【FI】
A61B1/00 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057299
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 博利
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161HH33
4C161HH35
4C161HH37
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】操作性の高い、内視鏡補助具の操作装置を提供する。
【解決手段】内視鏡の挿入部に装着される内視鏡補助具に一端側が接続された第1操作部材と、上記第1操作部材の他端側に接続された回動可能な回動部材と、上記回動部材を収容する収容部材と、上記収容部材から突出して設けられ、上記回動部材に接続された第2操作部材と、を備え、上記第2操作部材の突端は、上記回動部材の回動軸を中心とする仮想円の円周上の一部を移動可能に構成され、上記収容部材は、上記仮想円の内側に、操作者の片手のうち、上記第2操作部材に当てられた親指以外の3指又は4指によって把持可能な領域を有する内視鏡補助具の操作装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部に装着される内視鏡補助具に一端側が接続された第1操作部材と、
前記第1操作部材の他端側に接続された回動可能な回動部材と、
前記回動部材を収容する収容部材と、
前記収容部材から突出して設けられ、前記回動部材に接続された第2操作部材と、を備え、
前記第2操作部材の突端は、前記回動部材の回動軸を中心とする仮想円の円周上の一部を移動可能に構成され、
前記収容部材は、前記仮想円の内側に把持可能な領域を有する内視鏡補助具の操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置であって、
前記領域は、操作者の片手のうち、前記第2操作部材に当てられた親指以外の3指又は4指によって把持可能である操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置であって、
前記収容部材は、前記回動軸の方向の一端側の第1面と、前記回動軸の方向の他端側の第2面と、前記第1面と前記第2面を繋ぐ第3面と、を有し、
前記第3面から前記第2操作部材が突出して設けられる操作装置。
【請求項4】
請求項3に記載の操作装置であって、
前記第3面には、前記第2操作部材が移動可能な開口部が設けられる操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の操作装置であって、
前記開口部は、前記第1面と前記第2面の少なくとも一方に跨って設けられる操作装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の操作装置であって、
前記回動部材は、その一部が前記開口部から露出する操作装置。
【請求項7】
請求項6に記載の操作装置であって、
前記回動部材の露出領域には色が付されており、
前記第2操作部材の移動位置によって前記露出領域の色が変化する操作装置。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の操作装置であって、
前記収容部材には、前記回動部材の回動位置を複数段階でロックするロック機構が設けられ、
前記開口部は、前記第3面における前記第1面側に偏心して設けられ、
前記第3面には、前記第2面側に偏心した位置に、前記ロック機構によるロックを解除するロック解除部材が設けられる操作装置。
【請求項9】
請求項3から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記収容部材には、前記回動部材の回動位置を複数段階でロックするロック機構が設けられ、
前記第3面には、前記ロック機構によるロックを解除するロック解除部材と、前記ロック解除部材を取り囲む隆起部と、が設けられる操作装置。
【請求項10】
請求項1から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記収容部材には、前記回動部材の回動位置を複数段階でロックするロック機構と、前記ロック機構によるロックを解除するロック解除部材と、前記ロック解除部材が操作された場合に前記回動部材の基準位置への移動を抑制する移動抑制機構と、を備える操作装置。
【請求項11】
請求項3から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記第1面と前記第2面の何れかに設けられ、前記内視鏡に係止可能な係止部を備える操作装置。
【請求項12】
請求項1から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記第2操作部材は、前記回動軸の方向にみて湾曲形状を成している操作装置。
【請求項13】
請求項1から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記収容部材の外周縁は、前記回動軸の方向にみて前記仮想円に沿った形状を成している操作装置。
【請求項14】
請求項13に記載の操作装置であって、
前記回動軸の方向にみて、前記第2操作部材は、前記収容部材の外周縁の4分の1の範囲を移動可能に構成されている操作装置。
【請求項15】
請求項3から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記第3面には、前記回動軸を挟んで前記第2操作部材とは反対側に、前記第1操作部材の基端側を補強する補強部材が突出して設けられている操作装置。
【請求項16】
請求項3から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記回動軸の方向にみて、前記第1面は前記第2面よりも大きく構成され、
前記第3面は、前記第1面から前記第2面に向かって湾曲する湾曲面にて構成されている操作装置。
【請求項17】
請求項1から5のいずれか1項に記載の操作装置であって、
前記回動軸の方向にみて、前記収容部材の全体は前記仮想円の内側に位置する操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、内視鏡補助具の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-6には、内視鏡に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-76672号公報
【特許文献2】特開2014-87489号公報
【特許文献3】特開平5-3851号公報
【特許文献4】特開2013-106713号公報
【特許文献5】特開昭60-99223号公報
【特許文献6】特開2015-2858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の技術では、操作性の高い、内視鏡補助具の操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術の一態様の内視鏡補助具の操作装置は、内視鏡の挿入部に装着される内視鏡補助具に一端側が接続された第1操作部材と、上記第1操作部材の他端側に接続された回動可能な回動部材と、上記回動部材を収容する収容部材と、上記収容部材から突出して設けられ、上記回動部材に接続された第2操作部材と、を備え、上記第2操作部材の突端は、上記回動部材の回動軸を中心とする仮想円の円周上の一部を移動可能に構成され、上記収容部材は、上記仮想円の内側に把持可能な領域を有するものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、操作性の高い、内視鏡補助具の操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の技術の一態様である内視鏡装置100の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に例示した内視鏡1の補助装置20を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す補助装置20における湾曲体30及び支持部材50の近傍の拡大図である。
【
図4】
図4は、湾曲体30と支持部材50を分離した状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、湾曲体30が支持部材50によって端部10Asに支持された状態を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6の内視鏡1及び補助装置20を矢印Aの方向にみた側面図である。
【
図8】
図8は、操作装置40を正面側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、操作装置40を背面側から見た斜視図である。
【
図12】
図12は、操作装置40を操作方法の一例を示す模式図(その1)である。
【
図13】
図13は、操作装置40を操作方法の一例を示す模式図(その2)である。
【
図14】
図14は、
図9において背面カバー部材42Bを取り外した状態を示す図である。
【
図15】
図15は、背面カバー部材42Bの内側を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本開示の技術の一態様である内視鏡装置100の概略構成を示す図である。内視鏡装置100は、内視鏡1と、内視鏡1が接続される光源装置4及びプロセッサ装置5からなる本体部2と、内視鏡1により撮像して得られた撮像画像等を表示する表示装置7と、を備える。
【0009】
内視鏡1は、一方向に延びる長尺状の器具であって被検体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端側に設けられた観察モード切替操作、撮像記憶操作、鉗子操作、送気送水操作、吸引操作、又は電気メス操作等を行うための操作部材が設けられた内視鏡操作部11と、内視鏡操作部11に隣接して設けられたアングルノブ12と、内視鏡1を光源装置4の接続部4Aに着脱自在に接続するコネクタ部13Aを含むユニバーサルコード13と、を備える。
【0010】
内視鏡操作部11には、細胞又はポリープ等の生体組織を採取するための処置具を導入する処置具導入口112が設けられている。
図1では省略されているが、内視鏡操作部11及び挿入部10の内部には、処置具導入口112から導入された処置具が挿通される処置具チャンネル、送気送水チャンネル、吸引チャンネル等の各種のチャンネルが設けられる。内視鏡操作部11には、吸引ボタン11A及び送気送水ボタン11B等が含まれる。
【0011】
挿入部10は、可撓性を有する軟性部10Aと、軟性部10Aの先端に設けられた湾曲部10Bと、湾曲部10Bの先端に設けられた軟性部10Aよりも硬質の先端部10Cとから構成される。先端部10Cには、撮像素子と撮像光学系が内蔵される。軟性部10Aは、挿入部10における湾曲部10Bと内視鏡操作部11との間の可撓部を構成する。
【0012】
湾曲部10Bは、アングルノブ12の回動操作により湾曲自在に構成されている。湾曲部10Bは、内視鏡1が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向及び任意の角度に湾曲でき、先端部10Cを所望の方向に向けることができる。
【0013】
内視鏡1の内部には、挿入部10の先端部10Cからコネクタ部13Aまでにわたって、複数本の光ファイバを束ねて構成されたライトガイドが設けられている。光源装置4により生成された光は、コネクタ部13Aからこのライトガイドに導入されて先端部10Cまで進み、先端部10Cに設けられた照明窓から被検体に照射される。
【0014】
ユニバーサルコード13には、上記吸引チャンネルが含まれる。例えば、光源装置4には、吸引装置が設けられ、あるいは外付けされ、この吸引装置と吸引チャンネルとが接続される。内視鏡操作部11に含まれる吸引ボタン11Aが操作されると、この吸引装置の生む負圧が内視鏡1の先端まで接続され、内視鏡1の先端から吸引チャンネルに流体等が吸引されて、吸引装置にて回収される。
【0015】
図2は、
図1に例示した内視鏡1の補助装置20を示す斜視図である。補助装置20は、内視鏡1に着脱可能に構成されており、内視鏡1に装着しない場合と比べて、湾曲部10Bを湾曲させたときの先端部10Cの移動範囲を増加させることができるものとなっている。補助装置20は、内視鏡補助具を構成する。
【0016】
補助装置20は、軟性部10Aのうちの湾曲部10B側の端部10As(
図3参照)を被覆可能且つ湾曲可能に構成され、端部10Asに着脱可能な筒状の湾曲体30と、湾曲体30の軸線方向の基端側の端部(軟性部10Aの端部10Asに装着されてここを被覆した状態での内視鏡操作部11側の端部)を端部10Asに支持可能に構成され、湾曲体30とは別体で構成された支持部材50と、湾曲体30に接続されて湾曲体30の湾曲操作が可能な第1操作部材70と、第1操作部材70に接続された操作装置40と、第1操作部材70に設けられ軟性部10Aに係止可能な少なくとも1つの係止部材60と、を備える。
【0017】
操作装置40は、第1操作部材70の基端部に接続された回動可能な回動部材41と、回動部材41を収容する収容部材42と、収容部材42から突出して設けられ、回動部材41に接続された第2操作部材43と、を備える。
【0018】
図3は、
図2に示す補助装置20における湾曲体30及び支持部材50の近傍の拡大図である。
図4は、湾曲体30と支持部材50を分離した状態を示す斜視図である。
図5は、湾曲体30の分解斜視図である。
【0019】
湾曲体30は、
図3に示すように、外形が例えば略円筒状に構成されている。湾曲体30の内径は、挿入部10の外径よりも大きくなっており、湾曲体30の内部に挿入部10を挿通して、湾曲体30を挿入部10の軸線方向の任意の位置まで移動させることが可能となっている。
【0020】
湾曲体30は、その軸線方向に配列された複数の筒状の節部34(
図3の例では、先端側の先端節部31と、基端側の基端節部33と、これらの間の3つの中間節部32と、の計5つ)と、円筒状の被覆部材35と、を備える。この複数の節部34のそれぞれは、隣にある節部34を回動可能に支持している。
【0021】
図5に示すように、5つの節部34のうちの基端節部33を除く4つの節部34には、それぞれ、その基端縁の一部から基端側に突出する突出片310が設けられている。突出片310には、節部34の径方向に突出する係合突起311が設けられている。係合突起311は、突出片310から突出した柱状部と、柱状部に接続された長円状の長円部とを含む。柱状部の外径は長円部の短軸方向の長さ以下となっている。係合突起311の長円部の長軸方向は、節部34の軸線方向と一致している。
【0022】
5つの節部34のうちの先端節部31を除く4つの節部34には、それぞれ、その先端縁の一部から先端側に突出する突出片320が設けられている。突出片320には、節部34の径方向にみて略円形の凹部321が設けられ、凹部321には、節部34の径方向に貫通する貫通孔322が設けられている。貫通孔322は、係合突起311の長円部が挿通可能な長円形状となっている。貫通孔322の長軸方向は、節部34の軸線方向に対して交差している。
【0023】
5つの節部34のうち、隣り合う2つの節部34に着目すると、この2つの節部34の一方の係合突起311が、この2つの節部34の他方の貫通孔322に挿通され、その係合突起311の長軸方向と、その貫通孔322の長軸方向とが交差する状態に保持されることで、この係合突起311がこの貫通孔322及びこの貫通孔322が形成された凹部321に係合する。この状態では、
図3及び
図4に示すように、隣り合う2つの節部34の間に間隙としてのスリット30Sが形成される。係合突起311は、その柱状部が貫通孔322の内部に位置し、長円部は凹部321に位置するため、凹部321内で、係合突起311の突出方向に延びる軸回りに、回動可能となっている。
【0024】
節部34における凹部321及びこの凹部321に設けられた貫通孔322は、その節部34の隣の節部34の係合突起311と係合する係合孔部を構成している。このように、隣り合う2つの節部34は、一方に設けられた係合孔部と他方に設けられた係合突起の係合によって、相対回動可能に互いに支持されている。
【0025】
図3に示すように、第1操作部材70は、長尺状のワイヤ71と、ワイヤ71が挿通されたガイド部材72と、を備える。ガイド部材72は、例えば、圧縮コイルバネ、又は、圧縮コイルバネ及びこれを被覆する被覆部材により構成される。
【0026】
図3及び
図4に示すように、湾曲体30における5つの節部34のそれぞれには、ワイヤ71が挿通可能な孔部330が設けられている。
図3に示すように、ワイヤ71は、基端節部33の孔部330、中間節部32の孔部330、中間節部32の孔部330、中間節部32の孔部330、先端節部31の孔部330の順に挿通されて、先端節部31に先端が支持されている。ワイヤ71の基端は、操作装置40の回動部材41に接続されている。回動部材41が回動することで、ワイヤ71はその軸線方向に移動する。このワイヤ71の移動によって、隣り合う2つの節部34がスリット30Sの幅の範囲で接近又は離間する。これにより、湾曲体30は複数の湾曲形態を取ることが可能となっている。
【0027】
被覆部材35は、隣り合う2つの節部34同士の接近や離間によって被検体の臓器等を傷つけないように、また、節部34同士の接近を阻害しないように、節部34同士の連結部分を覆っている。被覆部材35は、5つの節部34の湾曲動作に追従できるように、ゴム等の可撓性を有する材料によって構成されることが好ましい。節部34は、湾曲時の曲げ力を端部10Asに効率よく伝達できるように、例えば、金属又は樹脂等の剛性の高い構成であることが好ましい。成形の容易性、軽量化、及び製造コストの観点から、節部34は樹脂を主体に構成されていることが好ましい。このように、湾曲体30は、5つの節部34が、係合力のみで連結されて構成されている。このため、湾曲体30の製造を容易にすることができ、また、製造コストを下げることができる。
【0028】
図2に示すように、ガイド部材72は、基端節部33と操作装置40との間に設けられており、ワイヤ71が挿通された円筒状を成している。湾曲体30から操作装置40までの距離は、大きく、内視鏡1の挿入部10の長さに近い。したがって、湾曲体30と操作装置40の間では、ガイド部材72がワイヤ71の軸線方向の移動をガイドすることで、湾曲体30から離れた位置でのワイヤ71の牽引操作を容易に行うことができる。
【0029】
図2に示すように、第1操作部材70は、湾曲体30と操作装置40との間では露出している。第1操作部材70の露出部分には、複数個所において、係止部材60が設けられている。係止部材60は、内視鏡1の挿入部10に係止可能な断面C字状のクリップ等で構成される。この係止部材60を挿入部10の軸線方向の複数の位置に係止することで、補助装置20の使用状態において、第1操作部材70を挿入部10に沿わせた状態を保持できる。
【0030】
前述したように、湾曲体30は、挿入部10の外周面に沿って挿入部10の軸線方向に移動させることができる。補助装置20を使用する際には、挿入部10の軸線方向における湾曲体30の位置を所望の位置に保持する必要がある。本形態では、支持部材50が湾曲体30の位置を保持するために設けられている。
【0031】
図4に示すように、支持部材50は、挿入部10の端部10Asの外周面を覆うことが可能な筒状を成している。端部10Asの外周面と支持部材50の内周面は密着可能となっている。支持部材50は、可撓性を有しており、その外周面には、軸線方向に延びる直線状のスリット51が設けられている。支持部材50は、スリット51を広げて挿入部10の外周面に、挿入部10の径方向から被せることで、挿入部10の軸線方向の任意の位置に容易に装着可能である。
【0032】
支持部材50の外周面には、周方向に沿って延びるC字状の突起52が軸線方向に複数(
図4の例では9つ)並べて設けられている。この9つの突起52のうちの真ん中の中央突起53は、その突出高さが他の8つの突起52よりも高くなっている。9つの突起52のうちの中央突起53を除いた8つの突起52は、その外径が湾曲体30の内径と同じかそれよりも僅かに大きくなっている。中央突起53は、その外径が、湾曲体30の内径よりも大きくなっている。中央突起53は第1突起を構成し、中央突起53以外の突起52は第2突起を構成している。
【0033】
湾曲体30を端部10Asに装着する流れは、次の通りである。まず、支持部材50を端部10Asの外周面に被せて密着させる。なお、支持部材50は、挿入部10の外周面との摩擦力が十分に大きくなる素材で構成されることが好ましい。このようにすることで、支持部材50を端部10Asの外周面に被せた状態で、支持部材50の位置を強固に保持できる。
【0034】
次に、湾曲体30に内視鏡1の挿入部10を先端部10C側から挿入し、挿入部10に沿って湾曲体30を支持部材50の手前まで移動させる。次に、湾曲体30を更に基端側に移動させて、端部10Asに密着している支持部材50が基端節部33に挿通されるように、湾曲体30を基端側に押し込む。支持部材50の中央突起53は、その外径が大きいため、湾曲体30の基端側への押し込みが進むと、基端節部33の基端面が中央突起53に当接して、それ以上の湾曲体30の基端側への押し込みは規制される。
【0035】
以上の工程によって、湾曲体30の基端節部33の内周面と支持部材50の複数の突起52とが圧接した状態となる。突起52は、基端節部33の内周面に周方向に沿って延びている。このため、この状態では、基端節部33と突起52との摩擦力によって、湾曲体30のその軸線回りへの回動が強固に抑制される。また、基端節部33の内周面には、湾曲体30の軸線方向に並ぶ複数の突起52が圧接された状態となるため、基端節部33とこれら複数の突起52との摩擦力によって、湾曲体30の軸線方向への移動も強固に抑制される。このようにして、湾曲体30の軸線方向における基端(具体的には基端節部33)が、端部10Asに支持された状態となる。以上のように、支持部材50は、挿入部10の軸線方向における湾曲体30の位置決めと、挿入部10の周方向における湾曲体30の位置決めとを行う機能を果たす。
【0036】
図6は、湾曲体30が支持部材50によって端部10Asに支持された状態を示す図である。
図6は、湾曲体30における節部34の回動軸の方向にみた状態を示している。
図6に示すように、補助装置20を使用する際には、湾曲体30は、その軸線方向の両端が、湾曲部10Bよりも軟性部10A側に位置した状態で、その両端のうちの一方である基端が端部10Asに支持部材50によって支持される。
【0037】
図6に示す状態で、ワイヤ71が図中の上側に引っ張られると、5つの節部34が先端側から順に、図中の半時計回りに回動していく。このようにして、湾曲体30は図中の方向D1に湾曲可能となっている。湾曲体30が方向D1に湾曲すると、湾曲体30を支持している端部10Asがその湾曲に追従して方向D1に湾曲する。
【0038】
湾曲部10Bは、アングルノブ12を操作することで、
図6中の時計回りの方向D3及び半時計回りの方向D2に湾曲可能である。湾曲体30は、その先端が湾曲部10Bに位置した状態で、端部10Asに支持することもできる。しかし、
図6に示すように、湾曲体30の両端が端部10Asに位置していることで、湾曲部10Bを最大限、湾曲させることができる。そして、湾曲体30を湾曲させた場合には、湾曲部10Bの湾曲による先端部10Cの曲げに加えて、端部10Asの湾曲による先端部10Cの曲げを行うことができる。このように、補助装置20を用いることで、補助装置20を用いない場合と比べると、先端部10Cの曲がり状態を柔軟に変更することができる。
【0039】
図6には、挿入部10の軸線方向における先端部10Cの長さL1と、挿入部10の軸線方向における湾曲部10Bの長さL2と、湾曲体30の軸線方向の長さL4と、湾曲体30の先端と湾曲部10Bとの間の距離L3と、が示されている。
【0040】
内視鏡1の実使用環境と操作性を考慮すると、長さL4は、長さL1、長さL2、及び距離L3を合算した値と同程度となっているとよい。このようにすると、例えば奥まった場所にある処置対象部位に対して、先端部10Cを向けることが十分に可能である。また、先端部10Cの向きの調整を容易且つ安定して行うことができる。また、湾曲体30が適度な長さとなるため、製造コストを低減したり、端部10Asへの装着性を向上させたりできる。
【0041】
長さL1が例えば17mmであり、長さL2が例えば53mmである場合に、距離L3は例えば8mmとし、長さL4は例えば74.2mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
距離L3は、その値が大きいほど、先端部10Cを大きく曲げることができる。ただし、内視鏡1の実使用環境を考慮すると、距離L3の最大値は、長さL4程度としておけば十分である。
【0043】
内視鏡1の挿入部10の外周面には、目盛が付されているのが一般的である。湾曲体30は、この目盛を基準にして、挿入部10の軸線方向における位置決めができるようになっているとよい。
【0044】
例えば、支持部材50の中央突起53が目盛と重なるように配置して、湾曲体30を支持部材50に押し込むことで、適正な位置に湾曲体30を装着可能となる。このようにすることで、術者は、湾曲体30の装着位置を迷わず決めることができ、内視鏡検査を効率よく行うことができる。
【0045】
補助装置20の実使用環境を想定すると、
図6に示す方向D1と方向D2は略同じになっていることが好ましい。方向D1と方向D2が同じになっていれば、先端部10Cをより大きく曲げることができる。
【0046】
図7は、
図6の内視鏡1及び補助装置20を矢印Aの方向にみた側面図である。
図7に示すように、湾曲体30には、方向D1と方向D2とを一致させるための目安となるマークMaが設けられているとよい。また、湾曲体30には、挿入部10の周方向における湾曲体30の位置決めの目安となるマークMbが設けられているとよい。また、軟性部10Aの端部10Asには、挿入部10の周方向における湾曲体30の位置決めの目安となるマークMcが設けられているとよい。
【0047】
マークMaは、先端節部31の外周面に設けられている。マークMbは、基端節部33の外周面に設けられている。
図7の例では、マークMa及びマークMbは、湾曲体30の湾曲可能な方向の側面に設けられている。また、マークMcは、湾曲部10Bの湾曲方向である方向D2側の側面に設けられている。
【0048】
湾曲体30の回転位置を決める際には、マークMbとマークMcが、軟性部10Aの周方向において略同じ位置となるように、湾曲体30の軟性部10Aに対する向きの調整が行われる。このようにすることで、湾曲体30の回転位置を仮決めできる。
【0049】
支持部材50に湾曲体30を押し込んだ後は、アングルノブ12を操作して湾曲部10Bを方向D2(
図7における紙面手前側)に湾曲させる。そして、そのときの先端部10CとマークMaとが一直線上に並ぶように、湾曲体30の回転位置の調整を行う。このように、湾曲体30と軟性部10Aにマークを設けておくことで、湾曲体30を適切な向きで軟性部10Aに装着可能となる。
【0050】
湾曲体30にマークMa及びマークMbが設けられない場合でも、基端節部33から延びるガイド部材72の先端とマークMcとを位置合わせして湾曲体30の回転位置を仮決めし、その後、湾曲部10Bを湾曲させて先端部10Cとガイド部材72の先端とが一直線上に並ぶように湾曲体30の回転位置を調整することで、方向D1と方向D2を一致させることが可能である。
【0051】
ここまでの説明では、湾曲体30をその基端において支持部材50によって端部10Asに支持するものとしたが、これに限らない。湾曲体30をその先端において、支持部材50によって端部10Asに支持する構成とすることもできる。
【0052】
この場合には、まず、湾曲体30を挿入部10に先端部10C側から被せて、湾曲体30を基端側に移動させる。その後、端部10Asにおける湾曲部10Bの近傍に、湾曲部10Bとは重ならないように、支持部材50を装着する。その後、湾曲体30を先端側に移動させて少し戻し、先端節部31を支持部材50に押し込む。このようにすることで、湾曲体30をその先端において、端部10Asに支持することができる。
【0053】
なお、上述したように、湾曲体30をその基端において支持部材50によって端部10Asに支持する構成によれば、湾曲体30を単方向に移動させるだけで済むため、湾曲体30の装着性を高めることができる。
【0054】
支持部材50は、径方向にみて、中央突起53を境界線として線対称の形状となっている。このようにすると、湾曲体30の基端側を端部10Asに支持する場合と、湾曲体30の先端側を端部10Asに支持する場合とのいずれであっても、支持部材50の挿入部10への取付方向を意識する必要がなくなる。したがって、内視鏡検査を効率よく実施できる。
【0055】
なお、補助装置20において、支持部材50を2つ設け、湾曲体30をその両端において、それぞれの支持部材50によって端部10Asに支持する構成としてもよい。
【0056】
湾曲体30は、複数の節部34がそれぞれ独立して設けられ、これらが回動可能に連結される構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、1本のパイプをレーザ加工することで、複数の節部34が一体的に形成された構造を実現してもよい。このようにすれば製造コストを低減できる。
【0057】
また、上記のように、複数の節部34が一体的に形成される構造の場合には、湾曲体30の外周面に、その軸線方向に延びるスリットを設けてもよい。こうすることで、このスリットを開いて、湾曲体30を端部10Asに、軟性部10Aの径方向から装着することができ、湾曲体30の装着を容易に行うことができる。
【0058】
図8は、操作装置40を正面側から見た斜視図である。
図9は、操作装置40を背面側から見た斜視図である。
図10は、操作装置40の平面図である。
図11は、操作装置40の正面図である。
【0059】
操作装置40は、第1操作部材70に接続された回動部材41と、回動部材41を収容する収容部材42と、収容部材42から突出する第2操作部材43と、収容部材42の外に位置する第1操作部材70の基端側を補強する補強部材44と、内視鏡1に係止可能な係止部45と、を備える。操作装置40は、第2操作部材43を回動操作する(
図11の正面からみて反時計回りに回動操作する)ことで、第2操作部材43と接続されている回動部材41を回動させて、回動部材41に接続されたワイヤ71を牽引する(基端側に引っ張る)ことができるものである。
【0060】
収容部材42及び補強部材44は、正面カバー部材42Aと、これに連結された背面カバー部材42Bとを備え、これらが連結されて構成されている。
図14は、
図9において背面カバー部材42Bを取り外した状態を示す図である。
図15は、背面カバー部材42Bの内側を示す斜視図である。
図14及び
図15に示すように、正面カバー部材42Aと背面カバー部材42Bとの間に、回動部材41及び第1操作部材70等を収容可能な収容空間が形成されている。
【0061】
正面カバー部材42Aと背面カバー部材42Bは、それぞれ、回動部材41の回動軸41Xの方向にみて、
図11に示すように、円形状の円形部42Xと、円形部42Xの外周縁から円形部42Xの径方向に延びる略矩形状の矩形部44Xと、から構成されている。正面カバー部材42Aの円形部42Xと背面カバー部材42Bの円形部42Xとが連結されることで、略円盤状の収容部材42が構成され、正面カバー部材42Aの矩形部44Xと背面カバー部材42Bの矩形部44Xとが連結されることで、略楕円柱状の補強部材44が構成されている。
【0062】
収容部材42は、その外表面として、回動部材41の回動軸41Xの方向の一端側(正面側)の第1面421(
図8参照)と、回動軸41Xの方向の他方側(背面側)の第2面422(
図9参照)と、第1面421と第2面422を繋ぐ第3面423(
図8及び
図9参照)と、を有する。第1面421及び第2面422は、それぞれ、例えば回動軸41Xに垂直な円形の平面で構成される。
図11に示すように、回動軸41Xの方向にみて、第1面421は、第2面422よりも大きく構成されており、第1面421の略中央に第2面422が位置している。第3面423は、第1面421の外周縁から第2面422の外周縁に向かって湾曲する湾曲面で構成されている。
【0063】
図9及び
図10に示すように、第2面422には、横断面がC字状の係止部45が設けられている。係止部45は、例えば、内視鏡操作部11の先端部113(
図1参照)に係止可能に構成されている。係止部45を先端部113に係止することで、操作装置40の操作を安定して行うことができる。
【0064】
図8及び
図10に示すように、収容部材42には、第3面423に開口部420が設けられている。この開口部420から、回動部材41の一部(後述の湾曲部材412(
図14参照))が露出している。この回動部材41の露出部分には、第2操作部材43が設けられている。このように、第2操作部材43は、収容部材42から開口部420を介して突出する構成となっており、開口部420内で移動可能となっている。開口部420は、第3面423から第1面421に跨って形成されている。このため、
図8及び
図11に示すように、回動部材41の露出部分の正面側の正面領域41Sを、正面側から視認可能となっている。
【0065】
図11には、回動部材41の回動軸41Xを中心とする仮想円VCが示されている。
図11に示すように、収容部材42の外周縁は、回動軸41Xの方向にみて仮想円VCに沿った形状(好ましくは円形状)を成している。第2操作部材43の突端43Aは、仮想円VCの円周上の一部を移動可能に構成されている。図中の双方向矢印が第2操作部材43の移動範囲を示す。
【0066】
図11に示すように、第2操作部材43は、回動軸41Xの方向にみて湾曲形状を成している。第2操作部材43は、単純な平板形状とすることもできるが、湾曲形状とすることで、第2操作部材43の操作性を向上させることが可能となる。第2操作部材43は、仮想円VCの径方向に沿って延びる構成することもできるが、本形態では、仮想円VCの径方向に対して交差する方向に延びる構成となっている。このように、収容部材42に対する第2操作部材43の突出角度が鋭角になっていることで、第2操作部材43の操作性を向上させることができる。
【0067】
本形態において、開口部420は、収容部材42の外周縁の約4分の1の範囲に設けられており、第2操作部材43はこの範囲を移動可能に構成されている。後述するように、第2操作部材43は親指で操作される。このため、この程度の範囲であれば、第2操作部材43を親指で容易に回動させることが可能である。
【0068】
収容部材42の第3面423には、回動軸41Xを挟んで第2操作部材43とは反対側に、補強部材44が突出して設けられている。
図11には、仮想円VCを2分割する直線LCが示されている。仮想円VCの2分割された領域の一方を第一領域とし、他方を第二領域とすると、第2操作部材43及び開口部420は第一領域に設けられており、補強部材44は第二領域に設けられている。回動軸41Xの方向にみて、収容部材42の全体は仮想円VCの内側に位置している。
【0069】
図12及び
図13は、操作装置40の操作方法の一例を示す模式図である。
図12及び
図13は、操作装置40を背面側から見た図である。
図12に示すように、操作者は、片手UHのうちの親指F1を第2操作部材43に当てた状態で、親指F1以外の4指(人さし指F2、中指F3、薬指F4、及び小指F5)によって収容部材42を把持する。なお、この状態では、片手UHの掌の一部が収容部材42の第1面421に接触可能であるが、この接触は必須ではない。
【0070】
図12に示す状態から、操作者が親指F1を収容部材42の外周縁に沿って、図中の時計回りに移動させることで、
図13に示すように、第2操作部材43が回動して、ワイヤ71が牽引される。
図13では、第2操作部材43の移動中の収容部材42の把持を安定させるために、小指F5が補強部材44の位置に移動しているが、このような指の移動は任意である。
【0071】
図13に示すように、操作者は、片手UHのうちの親指F1を第2操作部材43に当てた状態で、親指F1以外の3指(人さし指F2、中指F3、及び薬指F4)によって収容部材42を把持することもできる。このように、収容部材42は、仮想円VCの内側に、操作者の片手UHのうち、第2操作部材43に当てられた親指F1以外の3指又は4指によって把持可能な領域を有する構成となっている。
【0072】
強い力で第2操作部材43の回動操作を可能にするには、第2操作部材43に接している動くことが可能な親指F1と、その他の収容部材42を把持している3本又は4本の指との距離が、親指F1の移動位置によらずに遠くならないことが重要である。本形態によれば、親指F1が動くときの回動円(換言すると仮想円VC)の内側に、収容部材42を把持している指が存在する。このため、第2操作部材43を強い力で回動させることができる。
【0073】
また、操作装置40によれば、収容部材42が仮想円VCに納まる円盤状となっているため、収容部材42を把持した状態で、手の中に収容部材42を納めやすく、操作性を向上させることができる。また、収容部材42が円盤状となっているため、どの位置で把持しても同じ把持状態となる。したがって、第2操作部材43の位置に対し、操作者ごとに最も親指を動かしやすい位置で、収容部材42を把持することができる。また、収容部材42の中心と回動軸41Xとが同じとなっているため、操作者の掌の中央に、回動軸41Xが保持され、親指が第2操作部材43に届きやすくなる。この保持位置だと、親指の付け根を基点として親指を前後に大きく動かすことができるので、第2操作部材43を回動操作しやすいという効果が得られる。
【0074】
操作装置40によれば、収容部材42の第1面421が平面で構成され、第1面421から第2面422に向かって第3面423が湾曲面で構成されている。このため、
図12及び
図13に示すように、親指F1以外の指で収容部材42を把持したときに、指を収容部材42の第1面421のエッジに食い込ませることができ、安定した把持が可能となる。また、第3面423が湾曲面で構成されていることで、この湾曲面に指の腹をフィットさせることができ、安定した把持が可能となる。
【0075】
操作装置40によれば、収容部材42において、親指F1が配置される第2操作部材43とは反対側に補強部材44が突出して設けられている。このため、
図13に示したように、補強部材44を、小指を引っ掛けるための指かけ部として機能させることができる。これにより、第1操作部材70の基端部を補強しつつ、第2操作部材43の回動操作を安定して行うことができる。
【0076】
図14に示すように、回動部材41は、複数のラチェット溝410Aが外周面に形成された略円盤状の回動軸部材410と、回動軸部材410からその径方向に突出する平板状の突出片411と、突出片411に接続されて円弧状に湾曲した湾曲部材412とから構成されている。湾曲部材412には、第2操作部材43が設けられている。突出片411には、第1操作部材70のワイヤ71が接続されている。
【0077】
正面カバー部材42Aの内側には、ラチェット溝410Aと係合可能なロック片424Aを含むロック部材424が設けられている。回動軸部材410が
図14中の方向D4に回動する場合(
図12の状態から
図13の状態に遷移する場合)には、ロック片424Aがラチェット溝410Aを乗り越えて、隣のラチェット溝410Aと係合することができる。一方、ロック片424Aとラチェット溝410Aとが係合している状態では、ロック片424Aによって、方向D4の反対方向である方向D5への回動軸部材410の回動が阻止される。このように、ロック部材424とラチェット溝410Aとにより、回動部材41の回動位置を複数段階でロックするロック機構が構成されている。
【0078】
ロック部材424には、収容部材42から一部が露出するロック解除部材46が接続されている。上記のロック機構は、ロック解除部材46を操作(収容部材42の内部に向かって押圧)することで、ロック片424Aとラチェット溝410Aとの係合を解除することが可能となっている。したがって、ロック解除部材46を押圧した状態であれば、回動軸部材410を方向D5に回動させることができる。
【0079】
正面カバー部材42Aの内側には、湾曲部材412よりも回動軸41X側に、湾曲リブ425が設けられている。湾曲リブ425は、回動部材41の回動方向に沿って延びて設けられている。湾曲リブ425の両端には、背面カバー部材42Bに向かって突出する柱部425Aが設けられている。
【0080】
図15に示すように、背面カバー部材42Bの内側には、正面カバー部材42Aの湾曲リブ425と対向する位置に、湾曲リブ426が設けられている。湾曲リブ426は、回動部材41の回動方向に沿って延びて設けられている。湾曲リブ426は、その両端部が、湾曲リブ425の柱部425Aに当接する。
【0081】
回動部材41の突出片411は、湾曲リブ425と湾曲リブ426との間に配置されており、湾曲リブ425と湾曲リブ426とで区画される空間を移動可能となっている。突出片411は、湾曲リブ425と湾曲リブ426とで挟持されている。突出片411は、湾曲リブ425及び湾曲リブ426との間で所定の摩擦力が生じる程度に、湾曲リブ425と湾曲リブ426とで挟持されている。
【0082】
ワイヤ71を基端側に引っ張る場合には、突出片411と湾曲リブ425及び湾曲リブ426との間の摩擦力を超える力で第2操作部材43を方向D4に回動させることで、回動部材41を段階的に回動させて、ワイヤ71を段階的に引っ張ることができる。このようにしてワイヤ71が基端側に引っ張られている状態で、ロック解除部材46が押圧された場合には、ロック片424Aとラチェット溝410Aとの係合が外れる。このとき、回動部材41には、ワイヤ71が元の位置に戻ろうとする復元力が働く。突出片411と湾曲リブ425及び湾曲リブ426との間の摩擦力は、この復元力よりも大きくなるように設定されている。したがって、ワイヤ71が基端側に引っ張られている状態で、ロック解除部材46が押圧された場合であっても、ワイヤ71の復元力によって、回動部材41が方向D5に回動することが抑制される。このように、湾曲リブ425及び湾曲リブ426は、ロック解除部材46が操作された場合に回動部材41の基準位置(ワイヤ71が牽引されていない状態の位置)への移動を抑制する移動抑制機構を構成している。
【0083】
この移動抑制機構が設けられていることで、補助装置20の湾曲体30を湾曲させている状態で、ロック解除部材46が操作されただけでは、湾曲体30が元の直線状の形態に戻ることはない。湾曲体30は体内に配置され得るため、ロック解除部材46の操作によって湾曲体30の形状が変化するのを抑制することで、被検体に対する安全性を高めることができる。
【0084】
図13に示す状態から
図12に示す状態へと第2操作部材43を戻したい場合には、ロック解除部材46を押圧した状態で、第2操作部材43を
図14の方向D5に回動させる操作を行えばよい。第2操作部材43に接続されている突出片411は、湾曲リブ425及び湾曲リブ426に挟持されているものの、上記の摩擦力を超える力を加えることで、移動する。ロック解除部材46を押圧した状態で、第2操作部材43を方向D5に回すことで、湾曲体30の形状をゆっくりと元の直線状へと戻すことができる。
【0085】
図10に示すように、ロック解除部材46は、第3面423に設けられた開口からその一部が露出する状態で、収容部材42に収容されている。第3面423には、ロック解除部材46の周囲において、その他の領域よりも隆起した隆起部423Aが設けられている。隆起部423Aの内側にロック解除部材46が設けられていることで、収容部材42を把持している指の感触によって、ロック解除部材46の位置を容易に把握可能となる。また、ロック解除部材46を操作するために、指を隆起部423Aの上まで移動させる必要があることから、誤ってロック解除部材46が操作されてしまう可能性を減らすことができる。
【0086】
図10に示すように、ロック解除部材46は、第1面421と第2面422の並ぶ方向において、第2面422側に偏心して設けられている。一方、開口部420は、第1面421と第2面422の並ぶ方向において、第1面421側に偏心して設けられている。このように、開口部420とロック解除部材46とが逆側に配置されていることで、ロック解除部材46の誤操作をより効果的に防ぐことができる。
【0087】
第2操作部材43の操作状態と湾曲体30の湾曲状態との対応を直感的に認識できるように、回動部材41の露出領域である湾曲部材412に色を付しておき、第2操作部材43の移動位置によってこの露出領域の色が変化するように構成することが好ましい。
【0088】
図16は、
図12に示す状態の操作装置40を正面側から見た斜視図である。
図17は、
図13に示す状態の操作装置40を正面側から見た斜視図である。ワイヤ71が牽引されていない状態では、湾曲部材412の外周面における第2操作部材43が設けられた位置とは反対側の端部に、第1色が付された色領域412Aが視認可能となっている。
【0089】
図17に示すように、ワイヤ71が牽引されると、色領域412Aは収容部材42の内部に入るため視認不可となる一方、収容部材42の内部に隠れていた湾曲部材412の外表面が露出する。この外表面は、第1色とは異なる第2色が付された色領域412Bとなっている。
【0090】
このように、色領域412Aと色領域412Bの存在によって、湾曲体30が初期状態にあるのか、湾曲している状態なのか、を視覚的に操作者に伝えることができる。色領域412Bの露出している面積によって、湾曲体30がどれだけ湾曲しているのかも視覚的に理解可能である。色領域412Aと色領域412Bは、湾曲部材412の正面側に露出する正面領域41Sに付されている。これにより、色領域412Aと色領域412Bの視認範囲を広げることができる。
【0091】
以上の説明では、収容部材42の開口部420が第3面423から第1面421に跨って形成される構成としているが、これに限らない。収容部材42の開口部420が第3面423から第2面422に跨って形成される構成としてもよい。収容部材42の開口部420が第3面423から第1面421及び第2面422に跨って形成される構成としてもよい。
【0092】
以上の説明では、係止部45が第2面422に設けられるものとしたが、係止部45は第1面421に設けられていてもよい。補強部材44は必須ではなく省略されてもよい。収容部材42の形状は円盤状としているが、仮想円VCの内側に、操作者の片手のうち、第2操作部材43に当てられた親指以外の3指又は4指によって把持可能な領域を有する構成であれば、任意の形状を採用可能である。
【0093】
操作装置40の構成は、挿入部10に装着された湾曲体30の湾曲操作を行うものに限らず、適用可能である。例えば、内視鏡の先端部に外付けされる起立台を操作するために、操作装置40の構成を採用することもできる。この場合の起立台は、内視鏡補助具の1つを構成する。
【0094】
以上説明してきたように、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。
【0095】
(1)
内視鏡の挿入部に装着される内視鏡補助具に一端側が接続された第1操作部材と、
上記第1操作部材の他端側に接続された回動可能な回動部材と、
上記回動部材を収容する収容部材と、
上記収容部材から突出して設けられ、上記回動部材に接続された第2操作部材と、を備え、
上記第2操作部材の突端は、上記回動部材の回動軸を中心とする仮想円の円周上の一部を移動可能に構成され、
上記収容部材は、上記仮想円の内側に把持可能な領域を有する内視鏡補助具の操作装置。
【0096】
(2)
(1)に記載の操作装置であって、
前記領域は、、操作者の片手のうち、上記第2操作部材に当てられた親指以外の3指又は4指によって把持可能である操作装置。
【0097】
(3)
(2)に記載の操作装置であって、
上記収容部材は、上記回動軸の方向の一端側の第1面と、上記回動軸の方向の他端側の第2面と、上記第1面と上記第2面を繋ぐ第3面と、を有し、
上記第3面から上記第2操作部材が突出して設けられる操作装置。
【0098】
(4)
(3)に記載の操作装置であって、
上記第3面には、上記第2操作部材が移動可能な開口部が設けられる操作装置。
【0099】
(5)
(4)に記載の操作装置であって、
上記開口部は、上記第1面と上記第2面の少なくとも一方に跨って設けられる操作装置。
【0100】
(6)
(4)又は(5)に記載の操作装置であって、
上記回動部材は、その一部が上記開口部から露出する操作装置。
【0101】
(7)
(6)に記載の操作装置であって、
上記回動部材の露出領域には色が付されており、
上記第2操作部材の移動位置によって上記露出領域の色が変化する操作装置。
【0102】
(8)
(4)から(7)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記収容部材には、上記回動部材の回動位置を複数段階でロックするロック機構が設けられ、
上記開口部は、上記第3面における上記第1面側に偏心して設けられ、
上記第3面には、上記第2面側に偏心した位置に、上記ロック機構によるロックを解除するロック解除部材が設けられる操作装置。
【0103】
(9)
(3)から(8)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記収容部材には、上記回動部材の回動位置を複数段階でロックするロック機構が設けられ、
上記第3面には、上記ロック機構によるロックを解除するロック解除部材と、上記ロック解除部材を取り囲む隆起部と、が設けられる操作装置。
【0104】
(10)
(1)から(9)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記収容部材には、上記回動部材の回動位置を複数段階でロックするロック機構と、上記ロック機構によるロックを解除するロック解除部材と、上記ロック解除部材が操作された場合に上記回動部材の基準位置への移動を抑制する移動抑制機構と、を備える操作装置。
【0105】
(11)
(3)から(9)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記第1面と上記第2面の何れかに設けられ、上記内視鏡に係止可能な係止部を備える操作装置。
【0106】
(12)
(1)から(11)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記第2操作部材は、上記回動軸の方向にみて湾曲形状を成している操作装置。
【0107】
(13)
(1)から(12)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記収容部材の外周縁は、上記回動軸の方向にみて上記仮想円に沿った形状を成している操作装置。
【0108】
(14)
(13)に記載の操作装置であって、
上記回動軸の方向にみて、上記第2操作部材は、上記収容部材の外周縁の4分の1の範囲を移動可能に構成されている操作装置。
【0109】
(15)
(3)から(9)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記第3面には、上記回動軸を挟んで上記第2操作部材とは反対側に、上記第1操作部材の基端側を補強する補強部材が突出して設けられている操作装置。
【0110】
(16)
(3)から(9)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記回動軸の方向にみて、上記第1面は上記第2面よりも大きく構成され、
上記第3面は、上記第1面から上記第2面に向かって湾曲する湾曲面にて構成されている操作装置。
【0111】
(17)
(1)から(16)のいずれか1つに記載の操作装置であって、
上記回動軸の方向にみて、上記収容部材の全体は上記仮想円の内側に位置する操作装置。
【符号の説明】
【0112】
1 内視鏡
2 本体部
4 光源装置
4A 接続部
5 プロセッサ装置
7 表示装置
10 挿入部
10A 軟性部
10B 湾曲部
10C,113 先端部
10As 端部
11 内視鏡操作部
11A 吸引ボタン
12 アングルノブ
13 ユニバーサルコード
13A コネクタ部
20 補助装置
30 湾曲体
30S,51 スリット
31 先端節部
32 中間節部
33 基端節部
34 節部
35 被覆部材
40 操作装置
41 回動部材
41S 正面領域
41X 回動軸
42 収容部材
42A 正面カバー部材
42B 背面カバー部材
42X 円形部
43 第2操作部材
43A 突端
44 補強部材
44X 矩形部
45 係止部
46 ロック解除部材
50 支持部材
52 突起
53 中央突起
60 係止部材
70 第1操作部材
71 ワイヤ
72 ガイド部材
100 内視鏡装置
112 処置具導入口
310,320,411 突出片
311 係合突起
321 凹部
322 貫通孔
330 孔部
410 回動軸部材
410A ラチェット溝
412 湾曲部材
412A,412B 色領域
420 開口部
421 第1面
422 第2面
423 第3面
423A 隆起部
424 ロック部材
424A ロック片
425,426 湾曲リブ
425A 柱部
D1,D2,D3,D4,D5 方向
L1,L2,L4 長さ
L3 距離
UH 手
F1 親指
F2 人さし指
F3 中指
F4 薬指
F5 小指