(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154763
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】医療支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20251002BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024057943
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑鶴 良平
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 佑基
(72)【発明者】
【氏名】小野田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】北村 暢也
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】情報処理装置、方法およびプログラムにおいて、患者および医療機関の負担を軽減しつつ、転倒予測を高精度で行うことができるようにする。
【解決手段】プロセッサは、対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、日付情報および予測日情報から導出される経過日数に基づいて対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、対象患者の転倒予測情報を導出し、転倒予測情報を通知する医療支援方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および前記対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、
前記日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて前記対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、前記対象患者の転倒予測情報を導出し、
前記転倒予測情報を通知する医療支援装置。
【請求項2】
前記予測日情報は、前記対象患者の来院予定日である請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記予測日情報を取得し、
前記予測日情報が来院予定日として対応付けられた患者を前記対象患者とする請求項1に記載の医療支援装置。
【請求項4】
前記日付情報は、前記対象患者に対する薬剤の処方日、前記対象患者に対する検査の実施日、前記対象患者に対する手術の実施日、前記対象患者の入院日、前記対象患者の退院日、および前記対象患者に対する診断日の少なくとも1つである請求項1または2に記載の医療支援装置。
【請求項5】
前記医療情報において、前記対象患者に対する医療行為に複数の日付情報が対応付けられている場合、
前記プロセッサは、
前記複数の日付情報のうち、前記予測日情報に最も近い特定日付情報を取得し、
前記特定日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて、前記予測モデルを用いて前記対象患者の前記転倒予測情報を導出する請求項1または2に記載の医療支援装置。
【請求項6】
前記特定日付情報から連続して前記医療行為が行われた日数に基づいて重みづけた前記転倒予測情報を導出する請求項5に記載の医療支援装置。
【請求項7】
前記特定日付情報または前記予測日情報から所定の期間内に医療行為が行われた日数に基づいて重みづけた前記転倒予測情報を導出する請求項5に記載の医療支援装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記経過日数とあらかじめ定められた第1しきい値とを比較し、前記第1しきい値以下となる前記経過日数に基づいて前記転倒予測情報を導出する請求項1または2に記載の医療支援装置。
【請求項9】
前記第1しきい値は、前記日付情報が対応付けられた前記医療情報の分類毎に異なる値が設定される請求項8に記載の医療支援装置。
【請求項10】
前記医療情報は、患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報、検査情報、およびキーワード情報の少なくとも1つを含み、
前記日付情報は、少なくとも前記患者基本情報、前記疾患情報、前記薬剤情報、前記検査情報および前記手術情報の少なくとも1つに含まれ、
前記プロセッサは、前記経過日数と、前記患者基本情報、前記疾患情報、前記薬剤情報、前記手術情報、前記検査情報、および前記キーワード情報の少なくとも1つとに基づいて、前記予測モデルを用いて前記転倒予測情報を導出する請求項1または2に記載の医療支援装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記予測モデルに入力された前記医療情報および前記経過日数の前記転倒予測情報への寄与度を導出し、
前記寄与度に基づいて前記医療情報および前記経過日数の少なくとも一方を前記転倒予測情報と併せて通知する請求項10に記載の医療支援装置。
【請求項12】
前記転倒予測情報は、転倒リスクの有無および転倒リスクの確率の少なくとも一方であり、
前記転倒予測情報が、前記転倒リスクが有りであるか、または前記転倒リスクが第2しきい値以上であるか否かを判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記転倒予測情報の通知を行う請求項1または2に記載の医療支援装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記対象患者に対応付けられた医療従事者へ前記転倒予測情報の通知を行う請求項12に記載の医療支援装置。
【請求項14】
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および前記対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、
前記日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて前記対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、前記対象患者の転倒予測情報を導出し、
前記転倒予測情報を通知する医療支援方法。
【請求項15】
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および前記対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得する手順と、
前記日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて前記対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、前記対象患者の転倒予測情報を導出する手順と、
前記転倒予測情報を通知する手順とをコンピュータに実行させる医療支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
転倒は、加齢による筋力低下あるいは薬物の服用等によって引き起こり、患者のQOL(Quality Of Life)および生命予後に強く影響する重大なインシデントの1つである。このため、患者の転倒を防止するために、転倒を予測するための各種手法が提案されている。例えば特許文献1には、患者および患者の履き物に付与されたセンサにより取得された情報に基づいて、患者の転倒を予測するための手法が提案されている。また、特許文献2には、患者の活動情報、バイタル情報、診療計画等の計画情報、およびカルテに記録された事項を含む記録情報に基づいて、転倒を予測するように学習された学習モデルを使用して転倒を予測し、医療従事者に通知する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006-228024号公報
【特許文献2】特開2022-169193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手法では、患者はセンサを有するウェアラブル端末等を身につける必要がある。また、医療機関は、ウェアラブル端末の動作および在庫管理が必要となる。このため、特許文献1に記載された手法は、患者および医療機関の双方の負担が大きい。一方、特許文献2に記載された手法は、各種情報に基づいて転倒予測ができるものの、薬剤の処方日時あるいは治療日時から転倒を予測するタイミングまでの経過日数を考慮していないため、転倒予測の精度が低い。
【0005】
本開示は上記事情に鑑みなされたものであり、患者および医療機関の負担を軽減しつつ、転倒予測を高精度で行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による医療支援装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、
プロセッサは、
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、
日付情報および予測日情報から導出される経過日数に基づいて対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、対象患者の転倒予測情報を導出し、
転倒予測情報を通知する。
【0007】
本開示による医療支援方法は、対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、
日付情報および予測日情報から導出される経過日数に基づいて対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、対象患者の転倒予測情報を導出し、
転倒予測情報を通知する。
【0008】
本開示による医療支援プログラムは、対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得する手順と、
日付情報および予測日情報から導出される経過日数に基づいて対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、対象患者の転倒予測情報を導出する手順と、
転倒予測情報を通知する手順とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、患者および医療機関の負担を軽減しつつ、転倒予測を高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による医療支援装置を適用した医療支援システムの概略構成を示す図
【
図2】本実施形態による医療支援装置のハードウェア構成を示す図
【
図4】予測モデルの学習に使用する教師データを示す図
【
図9】本実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施形態について説明する。まず、本実施形態による医療支援装置を適用した医療支援システムの構成について説明する。
図1は、医療支援システムの概略構成を示す図である。
図1に示す医療支援システム10は、医療支援装置1、管理サーバ2および複数のクライアント端末3が、ネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。医療支援システム10は、複数の医療情報を取り扱う少なくとも1つの施設(例えば、病院)に対して用いられるシステムである。
【0012】
医療支援装置1は、管理サーバ2から取得した情報に基づいて、後述するように患者の転倒を予測する。医療支援装置1の詳細な構成については後述する。
【0013】
管理サーバ2は、複数の患者に関する各種情報を管理するサーバコンピュータ等からなる。管理サーバ2は、クラウドサーバであってもよい。管理サーバ2は、患者の電子カルテ、患者を撮影することにより取得した医用画像、および医療従事者が作成した文書等を管理する。医用画像は、各種モダリティにより取得された患者の医用画像である。文書としては、医師、技師、薬剤師、または看護師等が作成するレポート、あるいは患者の医用画像を取得したモダリティにより作成されたレポート等が挙げられる。
【0014】
管理サーバ2は、複数の患者についての電子カルテ、医用画像および文書から、患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報および検査情報を取得し、取得した患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報および検査情報をデータベース化することにより管理する。また、本実施形態においては、管理サーバ2は、電子カルテを参照してキーワード情報を取得し、キーワード情報を医療上に含めてデータベース化して管理する。
【0015】
患者基本情報は、年齢、性別、血液型、身長、体重、BMI、受診歴のある診療科とその受診回数、来院回数、来院時間帯(平均)、直近に来院した診療科、入院回数、直近入院日、入院期間、および直近退院日等の情報を含む。
【0016】
疾患情報は、転倒に関連の病名が付与された回数、ICD10Code単位のまたはICD10Code大分類単位(例えば筋骨格系ならM)の疾患名、およびその病名が付与された日(診断日とする)を含む。また、また前述の疾患情報は、医師によって確実に診断されて付与される確定病名および、患者の症状または検査結果等を考慮して疾患の可能性を疑っている状態で付与される疑い病名のそれぞれについて取得される。ICD10とは、世界保健機関による医療分類リストである疾病および関連する健康問題の国際統計分類の10回目の改訂版である。
【0017】
薬剤情報は、転倒に関連する薬剤が処方された回数(例えば「抗不安剤」3回)、転倒に関連する薬剤(例えば抗不安剤)の処方日、連続して薬剤が投与された場合はその日数、並びに基準日までに処方された全薬剤数および全薬剤種類数等を含む。また、薬剤情報は、薬剤毎に副作用の有無を副作用毎に示す副作用情報を含む。なお、転倒に関連する薬剤は、副作用情報に基づいて、転倒に関連する副作用情報(例えば、「失神」、「めまい」、「吐き気」等)を有する薬剤を導出してもよい。なお、注射については薬剤の処方と同様に扱うものとする。なお、処方日は日にちに加えて時刻を含むものであってもよい。
【0018】
検査情報は、検体検査項目の検査有無、検体検査項目の検査日、診療科毎に実施された検体検査回数、検査基準値を上回った回数または下回った回数、検査項目の総数または平均、および検査項目種類数の総数または平均等を含む。また、検体検査の他に、生理検査、内視鏡検査、および放射線検査等の検査結果についても同様の情報を含む。なお、検査日は日にちに加えて時刻を含むものであってもよい。
【0019】
手術情報は、手術歴の有無(回数)、手術日、および術式等を含む。手術日は日にちに加えて時刻を含むものであってもよい。
【0020】
キーワード情報は、基準日までに書かれたカルテの記事数、転倒に関連するキーワードの有無(例えば、「転倒」、「倒れ」、「めまい」、「ふらつき」、「杖」、および「歩行器」等)、およびキーワードの出現回数の合計等を含む。
【0021】
管理サーバ2は、後述する医療支援装置1からの要求に応じて、医療情報をデータベースから取得して医療支援装置1にネットワーク4を介して提供する。
【0022】
クライアント端末3は、医師、技師、薬剤師、看護師およびその他の病院スタッフ等の医療従事者が有する端末装置である。クライアント端末3としては、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンおよびスマートウオッチ等が挙げられる。
【0023】
ネットワーク4の一例としては、WAN(Wide Area Network)が挙げられる。なお、WANは、あくまでも一例に過ぎず、ネットワーク4は、LAN(Local Area Network)およびWAN等のうちの少なくとも1つで構成されていてもよい。
【0024】
なお、医療支援システム10は、管理サーバ2に代えて、電子カルテを管理する電子カルテサーバ、画像を管理する画像管理サーバおよび文書を管理する文書管理サーバをそれぞれ別個に有し、これらがネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されるものであってもよい。
【0025】
また、
図1に示す例では、クライアント端末3は、単一のネットワーク4を介して医療支援装置1と接続されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、クライアント端末3は、管理サーバ2が接続されるネットワーク4とは異なるネットワークを介して医療支援装置1と接続されてもよい。
【0026】
医療支援装置1は、本実施形態の医療支援プログラムがインストールされている。医療支援装置1は、病院内に設置されたワークステーションあるいはパーソナルコンピュータでもよいし、サーバコンピュータでもよい。医療支援プログラムは、ネットワークに接続された他のサーバコンピュータの記憶装置あるいはネットワークストレージ(いずれも不図示)に、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じて医療支援装置1にダウンロードされ、インストールされる。または、DVD(Digital Versatile Disc)あるいはCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体から医療支援装置1にインストールされる。
【0027】
図2は、本実施形態による医療支援装置のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、医療支援装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16、およびネットワーク4に接続されるネットワークI/F(InterFace)17を含む。CPU11、ディスプレイ14、入力デバイス15、メモリ16およびネットワークI/F17は、バス19に接続される。なお、CPU11は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0028】
メモリ16は、記憶部13およびRAM(Random Access Memory)18を含む。RAM18は、一次記憶用のメモリであり、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のRAMである。
【0029】
記憶部13は、不揮発性のメモリであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、およびフラッシュメモリ等の少なくとも1つによって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、本実施形態による医療支援プログラム12が記憶される。CPU11は、記憶部13から医療支援プログラム12を読み出してRAM18に展開し、展開した医療支援プログラム12を実行する。
【0030】
ディスプレイ14は、各種画面を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイまたはEL(Electro Luminescence)ディスプレイである。入力デバイス15は、ユーザが入力を行うための装置であり、例えば、キーボード、マウス、音声入力用のマイク、接触を含む近接入力用のタッチパッド、およびジェスチャー入力用のカメラの少なくともいずれかである。ネットワークI/F17は、ネットワーク4に接続するためのインタフェースである。
【0031】
次いで、本実施形態による医療支援装置の機能的な構成を説明する。
図3は、本実施形態による医療支援装置の機能的な構成を示す図である。
図3に示すように医療支援装置1は、情報取得部21、予測部22および通知部23を備える。そして、CPU11が医療支援プログラム12を実行することにより、CPU11は、情報取得部21、予測部22および通知部23として機能する。
【0032】
情報取得部21は、あらかじめ定められたタイミングで、管理サーバ2から、転倒を予測する対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得する。ここで、管理サーバ2においては、複数の患者についての医用情報が管理されるが、情報取得部21は、予測日情報が来院予定日として対応付けられた患者を対象患者として、医療情報を取得する。したがって、対象患者は管理サーバ2において管理されている患者の数よりも少ない。
【0033】
予測日情報とは、対象患者について後述する転倒の予測を行う年月日を表す情報であり、例えば、次回に対象患者が来院を予定している来院予定日が挙げられる。予測日情報は日にちに加えて、例えば来院の予約時刻といった時刻の情報を含むものであってもよい。また、予測日情報は、単一の日付に限らず、複数日付である場合を含む。なお、複数日付である場合は、例えば、開始日および終了日で指定される連続する日付であっても、翌月の全ての火曜日等の非連続の日付であってもよい。
【0034】
本実施形態においては、情報取得部21は、例えば当日の受付時間前(例えば前日の夜間)のタイミングで、当日に来院の予約がある、すなわち予測日情報が当日であるすべての対象患者についての医療情報を取得する。なお、情報取得部21は、対象患者に対する次回来院の予約がなされたタイミングで、その対象患者についての医療情報および予測日情報を取得してもよい。
【0035】
患者に対する医療行為とは、薬剤の処方、検査の実施、手術の実施、入退院および診断の実施の少なくとも1つが挙げられる。なお、医療行為の対象は、転倒への影響がある医療行為としてもよい。転倒への影響があるか否かの判定は、例えば、カルテにおける副作用の記載におけるめまい等の特定記述の有無に基づいて判定してもよく、医療従事者が指定できるようにしてもよい。本実施形態においては、医療行為に対応付けられた日付情報は、医療情報のうちの薬剤情報に含まれる薬剤の処方日、検査情報に含まれる検査日、手術情報に含まれる手術日、患者基本情報に含まれる入院日、退院日、および疾患情報に含まれる診断日のうちの少なくとも1つである。
【0036】
薬剤情報に複数の種類の薬剤のそれぞれに対する処方日が含まれる場合、検査情報に複数の種類の検査のそれぞれに対する検査日が含まれる場合、手術情報に複数の種類の手術日が含まれる場合、患者基本情報に複数の入院日、退院日および診断日が含まれる場合、本実施形態においては、予測日情報に対して直近の処方日、直近の検査日、直近の手術日、直近の入院日、直近の退院日、および直近の診断日のうちの少なくとも1つを日付情報として用いる。なお、薬剤の処方日に関して、処方開始日および処方終了日が含まれる場合があるが、この場合、処方終了日を日付情報として用いればよい。処方日および検査日が時刻を含む場合、日付情報には時刻の情報も含まれる。
【0037】
なお、対象患者の医療情報に、薬剤の処方日、検査日、手術日、入院日、退院日および診断日のすべてが含まれる場合、このうちの最も予測日情報に近い日付を日付情報として用いればよい。また、薬剤の処方日、検査日、手術日、入院日、退院日および診断日のうちのあらかじめ定められた1または複数の日付情報を用いるようにしてもよい。直近の処方日、直近の検査日、直近の手術日、直近の入院日、直近の退院日、および直近の診断日が、本開示の特定日付情報の一例である。
【0038】
予測部22は、日付情報および予測日情報に基づく経過日数に基づいて、対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデル24を用いて、対象患者の転倒予測情報を導出する。予測モデル24は、記憶部13に記憶されている。本実施形態においては、予測部22が、日付情報および予測日情報から日付情報に基づく日付から予測日情報に基づく予測日までの経過日数を導出する。例えば、薬剤情報に含まれる処方日、検査情報に含まれる検査日、および手術情報に含まれる手術日のうちの少なくとも1つから予測日情報に基づく予測日までの経過日数を導出する。なお、処方日、検査日および手術日のうちの複数の日付情報を使用する場合、予測部22は、複数の経過日数を導出する。
【0039】
予測部22は、経過日数をあらかじめ定められたしきい値Th1と比較し、経過日数がしきい値Th1以下となる場合にのみ、転倒予測情報を導出するようにしてもよい。しきい値Th1としては、例えば10日とすることができるが、これに限定されるものではない。日付情報が対応付けられた医療情報の分類に応じて異なるしきい値Th1を用いてもよい。すなわち、日付情報に基づく日付が、薬剤情報に含まれる処方日、検査情報に含まれる検査日、手術情報に含まれる手術日、患者基本情報に含まれる入院日、退院日、または疾患情報に含まれる診断日であるかに応じて、異なるしきい値Th1を用いてもよい。また、薬剤が複数ある場合、薬剤の処方日毎に異なるしきい値Th1を用いてもよい。しきい値Th1が本開示の第1しきい値の一例である。
【0040】
予測モデル24には、医療情報および経過日数が入力される。経過日数が複数導出された場合は、複数の経過日数が入力される。具体的には、医療情報および経過日数を表す特徴量ベクトルが入力される。特徴量ベクトルは、医療情報に含まれる複数の情報および経過日数を要素とするベクトルである。そして、予測モデル24は入力された医療情報および経過日数に基づいて転倒予測情報を出力する。予測モデル24は、医療情報および経過日数に基づいて転倒予測情報を導出する。
【0041】
このために、予測モデル24は、実際に転倒した患者に関して、医療情報、医療行為を行った日からの経過日数、および転倒の有無の情報を教師データとして用いて、学習モデルを機械学習することにより構築される。本実施形態において、教師データは、管理サーバ2が管理するデータベースから取得される。
【0042】
予測モデル24を構築するための学習モデルとしては、例えば決定木モデルを使用することができる。決定木モデルとしては勾配ブースティングアルゴリズムに基づいたLightGBM(Light Gradient Boosting Machine)モデルを用いるようにしてもよい。LightGBMは、機械学習用のフリーかつオープンソースの分散型勾配ブースティングフレームワークである。LightGBMは、決定木アルゴリズムをベースにしており、ランク付け、分類、その他の機械学習タスクに使用される。
【0043】
図4は、予測モデル24の学習に使用する教師データを示す図である。
図4に示すように、教師データ30は、医療行為を行った日からの経過日数31、医療情報32、および転倒の有無の情報33を含む。
図4に示す教師データ30においては、経過日数31は、薬剤情報に含まれる処方日からの経過日数であり、例えば7日である。医療情報32は、教師データ30に使用されている実際の患者について取得されたものであり、患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報、検査情報およびキーワード情報の具体的な情報を含む。転倒の有無の情報33は「有り」である。なお、経過日数が複数導出される場合もあり、その場合は、教師データ30の経過日数31も複数の日数が含まれる。
【0044】
学習に際しては、教師データ30から経過日数31および医療情報32を表す特徴量ベクトルが導出され、導出された特徴量ベクトルが学習モデルに入力される。特徴量ベクトルは、経過日数31および医療情報32の数に応じた次元を有する。そして、学習モデルに転倒の予測確率を例えば0以上1以下の値で出力させる。そして、教師データ30に含まれる転倒の有無の情報33と出力値とを比較し、その差を損失として導出する。
【0045】
なお、正解データは転倒ありの場合が1、転倒無しの場合が0である。そして損失があらかじめ定められたしきい値以下となるまで、あるいはあらかじめ定められた回数の学習が完了するまで学習を繰り返すことにより、予測モデル24が構築される。このように構築された予測モデル24は、経過日数および医療情報が入力されると、転倒の予測確率を0以上1以下の値で出力するものとなる。なお、一般的に医療行為からの経過日数が小さいほど転倒の可能性は高くなる。このため、予測モデル24に入力される経過日数が小さいほど、予測モデル24が出力する転倒の予測確率は大きくなる。一方、転倒の有無を1または0の値で出力するように予測モデル24を構築してもよい。
【0046】
なお、本実施形態においては、予測部22が転倒の有無を予測するに際して、予測モデル24に対してExplainable AI(説明可能なAI)技術の一種であるSHAP(SHapley Additive exPlanations)の手法を適用し、予測モデル24に入力された特徴量ベクトルの各要素(すなわち特徴量)の寄与度を導出してもよい。SHAPは、モデルの予測結果に対する各変数(特徴量)の寄与を求めるための手法であり、Shapley値と呼ばれる考え方に基づく。Shapley値は元々協力ゲーム理論と呼ばれる分野で提案されたものである。協力ゲーム理論では、複数のプレイヤーが協力してクリアすることで報酬が得られるようなゲームにおいて、各プレイヤーの貢献度に応じて報酬をいかに公平に分配するかを求めることが主なタスクとなっている。機械学習では複数種類の特徴量が組み合わさって予測値が算出されているため、特徴量をプレイヤー、報酬を予測値と読み替えることにより、特徴量の予測値に対する寄与度を導出することができる。
【0047】
通知部23は、予測部22が導出した転倒予測情報を通知する。通知は、ネットワーク4を介してあらかじめ定められた医療従事者、対象患者あるいは対象患者の家族のクライアント端末3に対して行われる。例えば、転倒予測情報を当日の受付時間前に導出した場合、通知部23は、転倒の可能性が高いまたは転倒有りの予測情報が取得された対象患者(以下高リスク患者)を特定する。高リスク患者は、予測モデル24が出力した転倒の予測確率がしきい値Th2以上の対象患者、または予測モデル24が転倒有りの予測結果を出力した対象患者である。しきい値Th2が本開示の第2しきい値の一例である。
【0048】
また、通知部23は、転倒の予測確率がしきい値Th2以上であるという対象患者に代えて、またはこれに加えて、対象患者数がしきい値Th3以下となるように、転送予測確率が高い順に対象患者を選択するようにしてもよい。第2しきい値Th2および第3しきい値Th3は、予め定められた設定値であってもユーザの入力等に応じて変動する変動値であってもよい。例えば、施設や診療科ごとに第2しきい値Th2および第3しきい値Th3の少なくとも一方が設定されてもよい。
【0049】
通知部23は、特定した高リスク患者のリストを作成し、作成したリストを対象患者に関連づけられた医療従事者のクライアント端末3に送信することにより、転倒予測情報を通知する。対象患者に関連づけられた医療従事者としては、対象患者の主治医、外来の看護師、受付のスタッフ、または病院入り口のスタッフ等が挙げられる。
【0050】
図5は高リスク患者のリストを示す図である。
図5に示すように、高リスク患者のリスト40には、高リスク患者名41、患者番号42および予約日時43が含まれる。医療従事者は、リスト40を参照し、高リスク患者の来院時に病院の玄関にスタッフを配置して待機させる等、患者が転倒しないような措置を執ることができる。
【0051】
なお、予測モデル24により寄与度が導出された場合、リスト40には、寄与度ボタン44が含まれる。寄与度ボタン44が選択されると、予測モデル24に入力された特徴量、すなわち対象患者の医療情報および経過日数の転倒予測情報への寄与度がクライアント端末3に表示される。なお、寄与度ボタン44の表示に代えて、リスト40に寄与度をあらかじめ表示しておくようにしてもよい。
【0052】
図6は表示された寄与度を示す図である。
図6に示すように、寄与度47においては、寄与度が高い順に、薬剤が処方された回数、病名が付与された回数、年齢、薬剤処方からの経過日数、検査からの経過日数…体重、身長が表示されている。このように、寄与度を通知することにより、医療情報および経過日数のいずれの特徴量が転倒予測情報に寄与しているかを知ることができる。
【0053】
また、通知部23は、高リスク患者本人あるいは家族の端末装置に、転倒リスクが高いことの通知を行ってもよい。
図7は通知の例を示す図である。
図7により通知48には「本日のA病院の予約時間は午前10時です。転倒する可能性が高いため、注意をしてください。」のメッセージが含まれる。通知は電子メール、メッセージアプリあるいは電話等により行えばよい。これにより、対象患者またはその家族は、対象患者の移動に対してより注意を払って、対象患者が転倒しないような措置を執ることができる。
【0054】
また、対象患者に対する次回来院の予約がなされたタイミングで転倒予測情報を取得した場合、その対象患者に関連する医療従事者に対して通知が行われる。通知は、医療従事者のクライアント端末3に表示される予約患者リストに対してアラートを付与することにより行われる。
図8は通知の他の例を示す図である。
図8に示すように、予約患者リスト50には来院の予約がなされた患者名51、患者番号52、予約日時53および転倒リスク54が含まれる。
図8において高リスク患者については、転倒リスク54には転倒リスクが高いことを示すマーク55が付与される。これにより、医療従事者は予約したいずれの患者の転倒リスクが高いかを容易に認識できる。
【0055】
なお、予測部22により導出された転倒予測情報において、高リスク患者がいない場合、通知部23は、高リスク患者がいないことを通知するようにしてもよい。
【0056】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。
図9は本実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。あらかじめ定められたタイミングにより処理が開始され、情報取得部21が、患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報および患者の転倒を予測する予測日情報を管理サーバ2から取得する(情報取得;ステップST1)。次いで、予測部22が、患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデル24を用いて、患者の転倒予測情報を導出する(ステップST2)。そして、通知部23が転倒予測情報を通知し(ステップST3)、処理を終了する。
【0057】
このように、本実施形態においては、医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報および予測日情報に基づいて患者の転倒予測情報を導出するようにした。このため、患者はセンサを有するウェアラブル端末等を身につける必要がなく、かつ医師はウェアラブル端末の動作および在庫管理が不要となる。また、医療行為から転倒を予測するタイミングまでの経過日数を考慮した転倒の予測が可能となる。したがって、本実施形態によれば、患者および医療機関の負担を軽減しつつ、転倒予測を高精度で行うことができる。
【0058】
ところで、転倒に関連する薬剤を連続して患者に投与した場合、あるいは転倒に関連する薬剤を複数回に亘って患者に投与した場合に、転倒の可能性が高くなることが知られている。例えば、ステロイド剤の長期投与により骨粗しょう症のリスクが高まるため、転倒の可能性に注意する必要がある。このため、例えば薬剤の連続投与日数といった医療行為の連続日数、または予約日情報により表される日付からあらかじめ定められた期間内における薬剤の投与回数といった医療行為の回数に応じて重みづけた転倒予測情報を導出するようにしてもよい。
【0059】
この場合、予測部22は、予測モデル24が出力した転倒の予測確率に対して重みづけを行うようにしてもよく、予測モデル24に入力される経過日数に対して重みづけを行うようにしてもよい。予測モデル24が出力した予測確率に対して重みづけを行う場合、連続日数または医療行為の回数が多いほど、予測確率が大きくなるように重みづけを行うことにより転倒予測情報を導出すればよい。具体的には、連続日数に関して、30日、20日および10日のそれぞれに対して、3.0、2.0および1.0の重み係数を予測確率に乗算することにより転倒予測情報を導出すればよい。例えば、転倒に関連する薬剤の連続投与日数が30日の場合において、予測モデル24が出力した予測確率が0.125である場合、予測部22は、0.125×3.0=0.375の演算により転倒予測情報を導出すればよい。なお、医療行為の回数に関して、例えば、10回、5回および3回のそれぞれに対して、3.0、2.0および1.0の重み係数を予測確率に乗算することにより転倒予測情報を導出すればよい。
【0060】
また、予測モデル24への経過日数に対して重みづけを行う場合、連続日数または医療行為の回数が多いほど、予測モデル24に入力される経過日数が小さくなるように経過日数に対して重みづけを行うことにより転倒予測情報を導出すればよい。具体的には、連続日数に関して、30日、20日および10日のそれぞれに対して、0.7、0.8、および0.9の重み係数を経過日数に乗算することにより転倒予測情報を導出すればよい。医療行為の回数に関して、例えば、10回、5回および3回のそれぞれに対して、0.7、0.8、および0.9の重み係数を予測確率に乗算することにより転倒予測情報を導出すればよい。
【0061】
ここで、予測モデル24が出力する予測確率は経過日数が小さいほど小さくなる。このため、連続日数または回数が多いほど、予測モデル24に入力される経過日数が小さくなるように経過日数に対して重みづけを行うことにより、薬剤の連続投与または複数回投与といった転倒のリスクに応じた転倒予測情報を導出することができる。
【0062】
一方、予測モデル24が出力した予測確率または予測モデル24に入力する経過日数への重みづけに代えて、経過日数および医療情報に加えて、連続日数または医療行為の回数が入力されると転倒の予測確率を導出するように、予測モデル24を構築するようにしてもよい。
【0063】
なお、上記実施形態においては、経過日数がしきい値Th1以下となる場合にのみ転倒予測情報を導出しているが、これに限定されるものではない。すべての経過日数について転倒予測情報を導出するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、来院予定日を予測日情報として用いているが、これに限定されるものではない。操作者が指定した任意の日付の情報を予測日情報として用いることができる。
【0065】
また、上記実施形態においては、寄与度を導出しているが、これに限定されるものではない。寄与度の導出および通知を省略してもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、医療情報として、患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報、検査情報、およびキーワード情報のすべてを予測モデル24に入力して転倒予測情報を導出しているが、これに限定されるものではない。患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報、検査情報、およびキーワード情報の一部のみを予測モデル24に入力して転倒予測情報を導出するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、例えば、情報取得部21、予測部22および通知部23といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0068】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせまたはCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0069】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントおよびサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0070】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【0071】
以下、本開示の付記項を記載する。
(付記項1)
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および前記対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、
前記日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて前記対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、前記対象患者の転倒予測情報を導出し、
前記転倒予測情報を通知する医療支援装置。
(付記項2)
前記予測日情報は、前記対象患者の来院予定日である付記項1に記載の医療支援装置。
(付記項3)
前記プロセッサは、前記予測日情報を取得し、
前記予測日情報が来院予定日として対応付けられた患者を前記対象患者とする付記項1に記載の医療支援装置。
(付記項4)
前記日付情報は、前記対象患者に対する薬剤の処方日、前記対象患者に対する検査の実施日、前記対象患者に対する手術の実施日、前記対象患者の入院日、前記対象患者の退院日、および前記対象患者に対する診断日の少なくとも1つである付記項1または2に記載の医療支援装置。
(付記項5)
前記医療情報において、前記対象患者に対する医療行為に複数の日付情報が対応付けられている場合、
前記プロセッサは、
前記複数の日付情報のうち、前記予測日情報に最も近い特定日付情報を取得し、
前記特定日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて、前記予測モデルを用いて前記対象患者の前記転倒予測情報を導出する付記項1から4のいずれか1項に記載の医療支援装置。
(付記項6)
前記特定日付情報から連続して前記医療行為が行われた日数に基づいて重みづけた前記転倒予測情報を導出する付記項5に記載の医療支援装置。
(付記項7)
前記特定日付情報または前記予測日情報から所定の期間内に医療行為が行われた日数に基づいて重みづけた前記転倒予測情報を導出する付記項5に記載の医療支援装置。
(付記項8)
前記プロセッサは、前記経過日数とあらかじめ定められた第1しきい値とを比較し、前記第1しきい値以下となる前記経過日数に基づいて前記転倒予測情報を導出する付記項1から4のいずれか1項に記載の医療支援装置。
(付記項9)
前記第1しきい値は、前記日付情報が対応付けられた前記医療情報の分類毎に異なる値が設定される付記項1に記載の医療支援装置。
(付記項10)
前記医療情報は、患者基本情報、疾患情報、薬剤情報、手術情報、検査情報、およびキーワード情報の少なくとも1つを含み、
前記日付情報は、少なくとも前記患者基本情報、前記疾患情報、前記薬剤情報、前記検査情報および前記手術情報の少なくとも1つに含まれ、
前記プロセッサは、前記経過日数と、前記患者基本情報、前記疾患情報、前記薬剤情報、前記手術情報、前記検査情報、および前記キーワード情報の少なくとも1つとに基づいて、前記予測モデルを用いて前記転倒予測情報を導出する付記項1から5のいずれか1項に記載の医療支援装置。
(付記項11)
前記プロセッサは、前記予測モデルに入力された前記医療情報および前記経過日数の前記転倒予測情報への寄与度を導出し、
前記寄与度に基づいて前記医療情報および前記経過日数の少なくとも一方を前記転倒予測情報と併せて通知する付記項10に記載の医療支援装置。
(付記項12)
前記転倒予測情報は、転倒リスクの有無および転倒リスクの確率の少なくとも一方であり、
前記転倒予測情報が、前記転倒リスクが有りであるか、または前記転倒リスクが第2しきい値以上であるか否かを判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記転倒予測情報の通知を行う付記項1から11のいずれか1項に記載の医療支援装置。
(付記項13)
前記プロセッサは、前記対象患者に対応付けられた医療従事者へ前記転倒予測情報の通知を行う付記項12に記載の医療支援装置。
(付記項14)
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および前記対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得し、
前記日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて前記対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、前記対象患者の転倒予測情報を導出し、
前記転倒予測情報を通知する医療支援方法。
(付記項15)
対象患者に対する医療行為に対応付けられた日付情報を含む医療情報、および前記対象患者の転倒を予測する予測日情報を取得する手順と、
前記日付情報および前記予測日情報から導出される経過日数に基づいて前記対象患者の転倒を予測するように機械学習された予測モデルを用いて、前記対象患者の転倒予測情報を導出する手順と、
前記転倒予測情報を通知する手順とをコンピュータに実行させる医療支援プログラム。
【符号の説明】
【0072】
1 医療支援装置
2 管理サーバ
3 クライアント端末
4 ネットワーク
11 CPU
12 医療支援プログラム
13 記憶部
14 ディスプレイ
15 入力デバイス
16 メモリ
17 ネットワークI/F
18 RAM
19 バス
21 情報取得部
22 予測部
23 通知部
24 予測モデル
30 教師データ
31 経過日数
32 医療情報
33 転倒の有無
40 高リスク患者のリスト
41 高リスク患者名
42 患者番号
43 予約日時
44 寄与度ボタン
47 寄与度
50 予約患者リスト
51 患者名
52 患者番号
53 予約日時
54 転倒リスク
55 マーク