(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025154922
(43)【公開日】2025-10-10
(54)【発明の名称】ウェブ切換装置及びウェブ切換方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/20 20060101AFI20251002BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20251002BHJP
B26D 7/32 20060101ALI20251002BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20251002BHJP
B26D 1/06 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
B65H19/20
B26D3/00 601B
B26D7/32 B
B26D7/02 B
B26D1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024058209
(22)【出願日】2024-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 真澄
(72)【発明者】
【氏名】大籔 龍史
(72)【発明者】
【氏名】内海 京久
【テーマコード(参考)】
3C021
3C027
3F064
【Fターム(参考)】
3C021CA01
3C021LB02
3C027HH01
3C027HH07
3C027HH10
3C027HH14
3F064AA03
3F064BA02
3F064BB02
3F064DA04
(57)【要約】
【課題】ウェブの接合箇所及び切断部を良好な状態とし、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができるウェブ切換装置及びウェブ切換方法の提供。
【解決手段】第1ウェブと第2ウェブとを接合することにより、長さ方向が搬送方向であるウェブを第1ウェブから第2ウェブに切換えるウェブ切換装置であって、押圧接合手段と、第1ウェブ接触手段と、切断刃と、を備え、第1ウェブ接触手段及び切断刃の少なくとも一方が移動することにより、切断刃が第1ウェブを切断する、ウェブ切換装置等による。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ウェブと第2ウェブとを接合することにより、ウェブを前記第1ウェブから前記第2ウェブに切換えるウェブ切換装置であって、
前記第2ウェブの先端部の一方の表面と前記第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、前記第1ウェブを押圧することにより、前記第1ウェブと前記第2ウェブとを接合する押圧接合手段と、
前記第1ウェブの搬送方向に前記押圧接合手段と列をなして配置され、前記第1ウェブの他方の表面と前記第1ウェブの幅方向において接触し、かつ、少なくとも前記第1ウェブの表面と交差する方向に移動可能に構成された第1ウェブ接触手段と、
前記幅方向において前記第1ウェブの幅以上の長さを有する刃部を有し、前記第1ウェブ接触手段と前記押圧接合手段との間に配置される切断刃と、
を備え、
前記第1ウェブ接触手段及び前記切断刃の少なくとも一方が移動することにより、前記切断刃が前記第1ウェブを切断する、ウェブ切換装置。
【請求項2】
前記第1ウェブ接触手段は、前記第1ウェブの他方の表面と接触する面において、前記幅方向にわたって凸である曲面を有する請求項1に記載のウェブ切換装置。
【請求項3】
前記第1ウェブ接触手段は、接触した前記第1ウェブを固定する固定手段を備える請求項1に記載のウェブ切換装置。
【請求項4】
前記固定手段は、吸引手段である請求項3に記載のウェブ切換装置。
【請求項5】
前記刃部は、長手方向において、複数の山と複数の谷とを交互に有する形状を有する請求項1に記載のウェブ切換装置。
【請求項6】
前記ウェブは、金属箔又は厚さが100μm以下の樹脂フィルムである請求項1に記載のウェブ切換装置。
【請求項7】
第1ウェブと第2ウェブとを接合することにより、ウェブを第1ウェブから第2ウェブに切換えるウェブ切換方法であって、
前記第2ウェブの先端部の一方の表面と前記第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、前記第1ウェブと前記第2ウェブとを接合する工程と、
前記第1ウェブの他方の表面を前記第1ウェブの幅方向において第1ウェブ接触手段と接触させる工程と、
前記第1ウェブを切断刃により切断する工程と、を有し、
前記第1ウェブを切断する工程は、前記第1ウェブ接触手段及び前記切断刃の少なくとも一方が移動することにより行われるウェブ切換方法。
【請求項8】
前記第1ウェブの他方の表面を前記第1ウェブ接触手段と接触させる工程は、前記第1ウェブ接触手段が有する固定手段により、前記第1ウェブを固定することを含む請求項7に記載のウェブ切換方法。
【請求項9】
前記固定手段は、吸引手段である請求項8に記載のウェブ切換方法。
【請求項10】
前記第1ウェブ接触手段が前記第1ウェブを固定しながら前記第1ウェブの表面と交差する方向に移動すること、及び、前記切断刃が前記第1ウェブの表面に向かって移動することの少なくとも一方により、前記第1ウェブを切断することを含む請求項8に記載のウェブ切換方法。
【請求項11】
前記第1ウェブを切断する工程は、前記第1ウェブ接触手段が前記第1ウェブを固定しながら前記第1ウェブの表面と交差する方向に移動し、その後、前記切断刃が前記第1ウェブの表面に向かって移動することを含む請求項8に記載のウェブ切換方法。
【請求項12】
前記ウェブは、金属箔又は厚さが100μm以下である樹脂フィルムである請求項7に記載のウェブ切換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェブ切換装置及びウェブ切換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の材料であるウェブは、ロールに巻かれた原反として製造されることが多い。ウェブを加工する場合は、原反から巻き戻して作業が行われる。この場合、残りが少なくなった旧原反から新原反へ、ウェブを継ぐ作業が行われる。この作業はスプライスとも呼ばれる。
【0003】
回転刃を用いることにより、板紙等の高強度の長尺材であっても確実に切断可能なスプライス用切断装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェブを継ぐ際には、旧原反のウェブと新原反のウェブとを接合してから、旧原反のウェブを切断することが行われる。
しかしながら、旧原反のウェブの切断後に、新原反のウェブに形成される旧原反の余分なウェブ部分が、その後の工程に悪影響を与えるおそれがあった。
そのため、旧原反の余分なウェブ部分をなるべく短い状態とするために、旧原反のウェブと新原反のウェブとの接合箇所近くにおいて旧原反のウェブを切断することにより、新原反に巻かれているウェブを傷つけてしまう場合があった。
また、新原反に巻かれているウェブを傷つけないよう、旧原反のウェブを切断してから、新原反のウェブと接合することにより、接合箇所付近に皺、傾き等が発生し、その後の搬送中にウェブが破断するおそれがあった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みなされたものである。
本開示の実施形態が解決しようとする課題は、ウェブの接合箇所及び切断部を良好な状態とし、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができるウェブ切換装置及びウェブ切換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 第1ウェブと第2ウェブとを接合することにより、ウェブを第1ウェブから第2ウェブに切換えるウェブ切換装置であって、第2ウェブの先端部の一方の表面と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブを押圧することにより、第1ウェブと第2ウェブとを接合する押圧接合手段と、第1ウェブの搬送方向に押圧接合手段と列をなして配置され、第1ウェブの他方の表面と第1ウェブの幅方向において接触し、かつ、少なくとも第1ウェブの表面と交差する方向に移動可能に構成された第1ウェブ接触手段と、幅方向において第1ウェブの幅以上の長さを有する刃部を有し、第1ウェブ接触手段と押圧接合手段との間に配置される切断刃と、を備え、第1ウェブ接触手段及び切断刃の少なくとも一方が移動することにより、切断刃が第1ウェブを切断する、ウェブ切換装置。
<2> 第1ウェブ接触手段は、第1ウェブの他方の表面と接触する面において、幅方向にわたって凸である曲面を有する<1>に記載のウェブ切換装置。
<3> 第1ウェブ接触手段は、接触した第1ウェブを固定する固定手段を備える<1>又は<2>に記載のウェブ切換装置。
<4> 固定手段は、吸引手段である<3>に記載のウェブ切換装置。
<5> 刃部は、長手方向において、複数の山と複数の谷とを交互に有する形状を有する<1>~<4>のいずれか1つに記載のウェブ切換装置。
<6> ウェブは、金属箔又は厚さが100μm以下の樹脂フィルムである<1>~<5>のいずれか1つに記載のウェブ切換装置。
<7> 第1ウェブと第2ウェブとを接合することにより、長さ方向が搬送方向であるウェブを第1ウェブから第2ウェブに切換えるウェブ切換方法であって、第2ウェブの先端部の一方の表面と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブと第2ウェブとを接合する工程と、第1ウェブの他方の表面を第1ウェブの幅方向において第1ウェブ接触手段と接触させる工程と、第1ウェブを切断刃により切断する工程と、を有し、第1ウェブを切断する工程は、第1ウェブ接触手段及び切断刃の少なくとも一方が移動することにより行われるウェブ切換方法。
<8> 第1ウェブの他方の表面を第1ウェブ接触手段と接触させる工程は、第1ウェブ接触手段が有する固定手段により、第1ウェブを固定することを含む<7>に記載のウェブ切換方法。
<9> 固定手段は、吸引手段である<8>に記載のウェブ切換方法。
<10> 第1ウェブ接触手段が第1ウェブを固定しながら第1ウェブの表面と交差する方向に移動すること、及び、切断刃が第1ウェブの表面に向かって移動することの少なくとも一方により、第1ウェブを切断することを含む<8>又は<9>に記載のウェブ切換方法。
<11> 第1ウェブを切断する工程は、第1ウェブ接触手段が第1ウェブを固定しながら第1ウェブの表面と交差する方向に移動し、その後、切断刃が第1ウェブの表面に向かって移動することを含む<8>~<10>のいずれか1つに記載のウェブ切換方法。
<12> ウェブは、金属箔又は厚さが100μm以下である樹脂フィルムである<7>~<11>のいずれか1つに記載のウェブ切換方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態によれば、ウェブの接合箇所及び切断部を良好な状態とし、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができるウェブ切換装置及びウェブ切換方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、従来のウェブ切換装置の構成を、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるウェブ切換装置の構成を、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態におけるウェブ切換装置を含むウェブ切換システムの構成について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態におけるウェブ切換装置を、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図5】
図5は、切断刃の刃部を説明する説明図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態におけるウェブ切換装置を用いた第1ウェブの切断について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態におけるウェブ切換装置を用いた第1ウェブの切断について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態におけるウェブ切換装置を用いた第1ウェブの切断後について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態におけるウェブ切換装置を、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態におけるウェブ切換装置を用いた第1ウェブの切断について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態におけるウェブ切換装置を用いた第1ウェブの切断について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態おけるウェブ切換装置を、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態におけるウェブ切換装置を用いた第1ウェブの切断について、幅方向から見た場合において説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されず、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。各図面において同一の符号を用いて示す構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。各図面において重複する構成要素、及び符号については、説明を省略することがある。各図面において、構成要素の一部に符号を付す場合がある。各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0011】
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
本明細書において、「直交」とは、厳密に90°を表すのではなく、90°±10°、好ましくは、90°±5°を表すものとする。また、「平行」とは、厳密に0°を表すのではなく、0°±10°、好ましくは、0°±5°を表すものとする。さらに、「45°」とは、厳密に45°を表すのではなく、45°±10°、好ましくは、45°±5°を表すものとする。0°、90°等についても45°の場合と同様であり、厳密にそれぞれ0°、90°等を表すものではないとする。
【0013】
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、2以上の好ましい態様又は形態の組み合わせは、より好ましい態様又は形態である。
【0014】
本開示において、「搬送方向」とは、ウェブが搬送される方向を意味し、「幅方向」とは、ウェブの幅の方向を意味する。
【0015】
本開示の実施形態に至った経緯を説明する。
従来、新旧の原反のウェブを継ぐ際に、旧原反のウェブを送り出して自動的に切換及び切断を行う方式が採用される場合がある。
図1に示すように、従来のウェブ切換システム100を用いた切換方法では、まず、旧原反103と新原反101とを備える稼働軸111を回転させることにより、旧原反103のウェブ104の一方の表面と、新原反101のウェブの先端部105の表面とを、新原反101のウェブの先端部105の表面に設置した貼付け用テープ等で貼り付ける。その後、新原反101のウェブ102と旧原反103のウェブ104とが貼り付けられた接合箇所106を押さえつけローラ107で押さえながら、旧原反の幅の長さの鋸刃108で旧原反103のウェブ104を鋸刃108において突き刺すことにより、切断線109において旧原反103のウェブ104を切断する。
【0016】
この際、新原反101と旧原反103との接合箇所106付近において、旧原反103のウェブ104が新原反101に接合していない、旧原反103のウェブ104の不要部110が形成された状態で切断される場合がある。不要部110については、例えば、搬送中に折り返されること等が発生し、これをきっかけに工程内でウェブが破断する等の問題が生じる場合があった。なお、ウェブは搬送方向dに搬送される。
【0017】
不要部110をなるべく短くするために、旧原反103のウェブ104と新原反101のウェブ102との接合箇所106のなるべく近くにおいて、鋸刃108を旧原反103のウェブ104に突き刺して旧原反103のウェブ104を切断することが行われる。
しかしながら、押さえつけローラ107は、新原反101の外周部を支持体として接合箇所106を押さえながら鋸刃108を突き刺すために、旧原反103のウェブ104と新原反101のウェブ102との接合箇所106のなるべく近くにおいて旧原反103のウェブ104を切断することにより、新原反101に巻かれているウェブ102を傷つけてしまう可能性があった。
【0018】
また、新原反101に巻かれているウェブ102を傷つけないよう、旧原反103のウェブ104を切断してから、新原反101のウェブ102と接合することにより、接合箇所106付近に皺、傾き等の不良、又は、裂け等の切断部のが発生し、これらのためにその後の搬送中にウェブが破断する可能性があった。
【0019】
本発明者らは、ウェブを良好に切り替える方法を鋭意検討し、旧原反のウェブの状態を制御して旧原反のウェブを切断することに着目した。そして、旧原反のウェブと接触する第1ウェブ接触手段を採用し、第1ウェブ接触手段及びその他の手段を関連させて用いることとした。
これにより、旧原反のウェブと新原反のウェブとを良好に接合し、また、不要部が短い状態で、皺、裂け等の切れ味の不良なく、また、新原反のウェブの破損なく旧原反を切断できることを見出した。このため、良好なウェブの切換が可能となり、本開示の実施形態を完成するに至った。
【0020】
本開示のウェブ切換装置及びウェブ切換方法によれば、旧原反のウェブと新原反のウェブとを良好に接合し、また、不要部が短い状態で、皺、傾き等の接合箇所の不良及び裂け等の切断部の不良がなく、新原反のウェブを傷つけずに旧原反を切断できる。
したがって、本開示のウェブ切換装置及びウェブ切換方法は、ウェブの接合箇所及び切断部を良好な状態とし、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができるウェブ切換装置及びウェブ切換方法である。
また、本開示のウェブ切換方法は、自動で行うことができ、また、ウェブ切換のために発生するその後の工程への悪影響を抑制することができる。したがって、本開示のウェブ切換装置及びウェブ切換方法によれば、ウェブ切換作業が効率化され、不良品発生を抑制することによるコスト減をもたらすことが可能である。
【0021】
<第1実施形態>
<ウェブ切換装置>
本開示のウェブ切換装置は、旧原反のウェブである第1ウェブと、新原反のウェブである第2ウェブとを接合することにより、長さ方向が搬送方向であるウェブを第1ウェブから第2ウェブに切換えるウェブ切換装置であって、押圧接合手段、第1ウェブ接触手段、及び切断刃を備える。
押圧接合手段は、第2ウェブの先端部の一方の表面と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブをウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブと第2ウェブとを接合する。
第1ウェブ接触手段は、搬送方向に押圧接合手段と列をなして配置され、少なくとも第1ウェブの表面と交差する方向に移動可能に構成され、かつ、第1ウェブの他方の表面と幅方向において接触する。
切断刃は、第1ウェブ接触手段と押圧接合手段との間に配置され、幅方向において第1ウェブの幅以上の長さの刃部を有する。
本開示のウェブ切換装置では、第1ウェブ接触手段及び切断刃の少なくとも一方が移動することにより、切断刃が第1ウェブを切断する。
【0022】
図2に示すように、第1実施形態におけるウェブ切換装置10は、押圧接合手段11、第1ウェブ接触手段12、及び、切断刃13を備える。押圧接合手段11、第1ウェブ接触手段12、及び、切断刃13は、それぞれ独立に移動可能に構成される。
押圧接合手段11、第1ウェブ接触手段12、及び、切断刃13は、移動可能な保持部材14に取り付けられ、保持部材14が移動することにより、押圧接合手段11、第1ウェブ接触手段12、又は、切断刃13が移動する。押圧接合手段11、第1ウェブ接触手段12、及び、切断刃13は、単独に移動可能に構成してもよい。
【0023】
(押圧接合手段)
押圧接合手段11は、第2ウェブの先端部の一方の表面と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブをウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブと第2ウェブとを接合する手段である。
【0024】
押圧接合手段11は、第1ウェブをウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブと第2ウェブとを接合するから、ウェブの幅方向に長辺を有し、搬送方向に幅を有する、例えば直方体状であることが好ましい。
【0025】
本実施形態では、
図3に示すように、ウェブ切換装置10を含むウェブ切換システム200において、押圧接合手段11は、旧原反15の第1ウェブ16の鉛直上方に配置され、第2ウェブ18を有する新原反17が、第1ウェブ16の鉛直下方に配置される。
そして、旧原反15及び新原反17とを、それぞれ搬送方向の逆方向に戻す回転をさせることにより第2ウェブ18の一方の表面19の先端部20と第1ウェブ16の一方の表面21とを接触させて重ね合わせた状態とする。押圧接合手段11は、第2ウェブ18の一方の表面19の先端部20と第1ウェブ16の一方の表面21とを接触させて重ね合わせた状態の接合箇所に向かって、鉛直上方から鉛直下方に移動する。なお、押圧接合手段の移動方向は、接合箇所及び周辺の設備スペース等の制約に依存するため、接合箇所に対して鉛直方向のみの移動方向に限られるものではない。
【0026】
そして、
図4に示すように、押圧接合手段11は、新原反17の外周を支持体のように用いて、第1ウェブ16を押圧する。
図4において、ウェブ切換装置10に付された矢印は、押圧接合手段11が第1ウェブ16を押圧する方向を示す。これにより、第1ウェブ16と第2ウェブ18とが接合箇所において接合される。
【0027】
押圧接合手段11が、第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧する場合には、支持体を用いてもよい。支持体としては、例えば、第2ウェブ18の外周面を用いることができる。
この場合、押圧接合手段11が第1ウェブ16と接触する面は、支持体に応じた形状としてもよい。本実施形態の場合は、押圧接合手段11が第1ウェブ16と接する面において、新原反17の外面に応じた円弧形状を有してもよい。
【0028】
なお、押圧接合手段11が第2ウェブ18の先端部20の一方の表面19と第1ウェブ16の一方の表面21とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブ16と第2ウェブ18とを接合することができればよいから、旧原反15、新原反17等の配置は、上記配置に限られない。
【0029】
本実施形態では、第2ウェブ18の一方の表面の先端部20には、貼付け用テープ等の接合部材22を配置し、接合部材22により第1ウェブ16と第2ウェブ18とを接合する。接合方法は、接合部材22による方法に限らない(
図3参照)。例えば、ウェブが薄膜の熱可塑性樹脂フィルムである場合等は、押圧接合手段11が第1ウェブ16と接する面において加熱機構を備え、押圧接合手段11が第1ウェブ16を加熱しながら押圧することにより、第1ウェブ16と第2ウェブ18とを接合してもよい。
【0030】
(第1ウェブ接触手段)
第1ウェブ接触手段12は、搬送方向に押圧接合手段と列をなして配置され、少なくとも第1ウェブの表面と交差する方向に移動可能に構成され、かつ、第1ウェブの他方の表面と幅方向において接触する。
【0031】
第1ウェブ接触手段12は、搬送方向dに列をなして、押圧接合手段11の搬送方向dの上流側に配置される。場合により、押圧接合手段11の搬送方向dの下流側に配置されてもよい。
【0032】
第1ウェブ接触手段12は、第1ウェブ16の表面と交差する方向に移動可能に構成される。第1ウェブ接触手段12には、移動を制御する制御装置23を設けてもよい。
第1ウェブ接触手段12は、第1ウェブ16の鉛直上方から第1ウェブ16の表面へ移動し、第1ウェブ16の他方の表面24と幅方向において接触する。
第1ウェブ接触手段12は、第1ウェブ16と接触後、第1ウェブ16を押圧することが好ましい。押圧の程度は、移動を制御する制御手段によって調整することが好ましい。
第1ウェブ接触手段12には、第1ウェブ16の他方の表面24と接触しながら、第1ウェブ16を押圧するため、第1ウェブ16は、第1ウェブ接触手段12と接触する部分において、皺が発生しないよう状態を制御される。
【0033】
第1ウェブ接触手段12の形状としては、第1ウェブ16の他方の表面24と幅方向に接触するため、ウェブの幅方向に長辺を有し、搬送方向dに短辺を有する、例えば直方体状であることが好ましい。
第1ウェブ接触手段12は、より好ましくは、第1ウェブ16の他方の表面24と接触する面において、ウェブの幅方向にわたって凸である曲面を有する。第1ウェブ接触手段12における第1ウェブ16と接する面の凸曲面により、第1ウェブ16における接触部近辺が適度に伸ばされ、第1ウェブ16に皺が発生しないよう、第1ウェブ16の状態が制御される。
【0034】
(切断刃)
切断刃13は、第1ウェブ接触手段12と押圧接合手段11との間に配置され、幅方向において第1ウェブ16の幅以上の長さの刃部を有する。
切断刃13は、第1ウェブ接触手段12と押圧接合手段11との間に配置されるから、搬送方向dの上流から順に、第1ウェブ接触手段12、切断刃13、及び押圧接合手段11が配置される。
【0035】
切断刃13は、第1ウェブ16を切断する際に、押圧接合手段11よりも搬送方向dの上流の位置であって、第1ウェブ16と第2ウェブ18との接合箇所になるべく近い切断位置において、第1ウェブ16を切断することが好ましい。したがって、切断刃13は、刃部を第1ウェブ16と第2ウェブ18との接合箇所になるべく近い切断位置に配置することができる位置に配置することが好ましい。
これにより、切断刃13は、第1ウェブ16の切断後に、不要部がなるべく短い状態で、第1ウェブ16を切断すること可能となる。
【0036】
切断刃13は、幅方向において第1ウェブ16の幅以上の長さの刃部を備える。刃部は、切断刃13において、第1ウェブ16と接する部分に設けられる。
切断刃13は、長手方向端部に刃部25を備える。
図5に示すように、刃部25において、長手方向xはウェブの幅方向と同一方向であり、長手方向xの寸法は、第1ウェブ16の幅以上である。したがって、切断刃13により、第1ウェブ16の全幅を一度に切断することができる。これにより、第1ウェブ16の切断部の直線性が保たれ、その後の工程への悪影響が抑えられる。
【0037】
第1ウェブ16の切断は、切断刃13及び第1ウェブ接触手段12の少なくとも一方が移動することにより行われる。切断刃13と第1ウェブ接触手段12との両者が移動することにより、第1ウェブ16の切断を行ってもよい。
【0038】
図6に示すように、切断刃13が移動する場合、切断刃13は、刃部25を第1ウェブ16に押し当てるように移動することにより、第1ウェブ16を切断することができる。切断刃13は、好ましくは、新原反17の外面に存在する第2ウェブ18を傷つけないように、切断刃13を傾けることにより搬送方向上流側に刃部25が向くように移動させることが好ましい。
【0039】
図7に示すように、第1ウェブ接触手段12が移動する場合は、切断刃13の刃部25の例えば一部を第1ウェブ16の切断箇所に突き刺すようにして配置する。そして、第1ウェブ接触手段12は、例えば、切断刃13から離れる方向に移動させる。これにより、切断刃13の刃部25が突き刺さっている第1ウェブ16は、第1ウェブ16全体が刃部25を起点に引っ張られることにより切断される。
【0040】
第1ウェブ16の切断は、切断刃13及び第1ウェブ接触手段12の両方が移動することにより行われてもよい。この場合は、例えば、切断刃13を搬送方向上流側に刃部25が傾けられた方向に移動させ、かつ、第1ウェブ接触手段12を搬送方向上流側方向eに移動させる。切断刃13及び第1ウェブ接触手段12の両方が移動することにより、第1ウェブ16を、より確実に、また、より第1ウェブ16の切断部分に裂け等の不良がない状態で、切断することができる。
【0041】
ウェブ切換装置10は、第1ウェブ16を切断後、第1ウェブの表面に交差する鉛直上方へ移動させることが好ましい。切断後は、新原反から第2ウェブ18を搬送するが、第2ウェブ18にごみを落下させる等の悪影響を与えないためである。
図8に示すように、切断後は、接合箇所26を有した状態で、新原反から第2ウェブ18が搬送される。このようにして、ウェブの切換が完了する。
【0042】
本開示のウェブ切換装置10は、上記のように構成されるため、第1ウェブ16と第2ウェブ18との接合箇所26のごく近傍において、第1ウェブ16を切断することができる。
切断後に、不要部27がほとんど生じない状態とすることができる。したがって、本開示のウェブ切換装置10によれば、その後の工程に悪影響を与えないようウェブの切換を行うことができる。
【0043】
なお、刃部25は、長手方向において、山部と谷部とを交互に備える形状を有することが好ましい(
図5参照)。
切断刃13が設置された際に、搬送方向から見た場合に、刃部25の長手方向xの全体において、山部31と谷部32とを交互に備える形状を有してもよい。これにより、切断刃13が第1ウェブ16により安定的に突き刺さり、より確実に、かつ、切れ味不良がなく、切断することができる。
【0044】
山部31は、刃部25が第1ウェブ16の他方の表面24に押し付けられた場合に、第1ウェブ16に突き刺さることができる。突き刺さる程度としては、切断刃13が第1ウェブ16を切断する方向に存在する第2ウェブ18を傷つけないよう、山部31が第1ウェブ16を貫通しない程度であることが好ましく、山部31が第1ウェブ16を一部貫通したとしても、第2ウェブ18を傷つけない程度とすることが好ましい。
【0045】
山部31と谷部32との形状は、山部31の頂点aと谷部の谷底bとの距離である深さpがあらかじめ設定した長さ以下であることが好ましい。切断後に生じる不要部27の形状としては、その後の工程に悪影響を与えないよう直線的であることが好ましい。切断刃13による第1ウェブ16の切断状況により、第1ウェブ16の切断部分の形状が、刃部25の形状と同様になる場合があるためである。また、深さpが深いことにより、切断後に切りくずが発生する場合もある。
本実施形態では、刃部25の長手方向xの長さは、ウェブの幅である1500mmを少し超える長さであり、例えば1600mmである。この場合、刃部25において、山部31が6か所、谷部32が5か所配置され、深さpは10mmである。この場合、深さpは、5mm~10mmであることが好ましい。
【0046】
また、刃部25は、全体が鋸歯形状であることが好ましい。これにより、第1ウェブをより確実に、かつ、切れ味不良がなく、切断することができる。鋸歯の形状は、切断するウェブの種類に応じた形状としてもよい。刃部25が、山部31と谷部32とを有する形状である場合も、細かい鋸歯を有しながら、山部31と谷部32とを形成することが好ましい。
【0047】
なお、本開示のウェブ切換装置10は、ウェブが、金属箔又は厚さが100μm以下の樹脂フィルムであることが好ましい。金属箔の場合は、厚さが5μm~20μmであることが好ましく、樹脂フィルムの場合、厚さが10μm~50μmであることが好ましい。
ウェブ切換装置10は、ウェブがこれらのような薄膜フィルム状であっても、その後の工程への影響を抑制してウェブの切換を行うことができる。
ウェブが薄膜フィルムである場合は、特に、幅方向がある程度長い長尺物については、そもそも切断位置を所望の位置として一括に切断することが難しく、さらに、切れ味不良がない状態で切断することが難しい。
しかしながら、本開示のウェブ切換装置10によれば、ウェブが上記のような薄膜フィルム状であっても、不要部27がほとんど生じない切断位置により、一括して確実に、かつ、第1ウェブ16の切断部分に皺、裂け等の切れ味不良がない状態で切断することができる。
【0048】
本開示のウェブ切換装置10は、以上のように構成されるため、ウェブの接合箇所及び切断部を良好な状態とし、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができるウェブ切換装置である。
【0049】
<第2実施形態>
図9に示すように、第2実施形態におけるウェブ切換装置40は、第1ウェブ接触手段41が、接触した第1ウェブ16を固定する固定手段42を備えること以外は、第1実施形態と同様である。
接触した第1ウェブ16を固定するとは、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16と接触している状態で第1ウェブ接触手段41が移動する場合、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16との接触状態を継続しながら、第1ウェブ16を伴って移動可能であることを意味する。
【0050】
固定手段42は、第1ウェブ接触手段41が、接触した第1ウェブ16を固定することができれば、各種の手段を制限なく用いることができる。固定手段42は、ウェブの種類に応じて、適切に固定することができる手段を選択することが好ましい。
固定手段42は、具体的には、吸引手段、接着手段等が挙げられる。接着手段としては、物理的接着手段、電気的接着手段、磁気的接着手段等が挙げられる
【0051】
第1ウェブ接触手段41は、第1ウェブの他方の表面24と、ウェブの幅方向において接触するから、固定手段42は、第1ウェブ接触手段41における第1ウェブの他方の表面24と接する部分であって、長辺全体の部分に備えることが好ましい。例えば、第1ウェブ接触手段41が、第1ウェブの他方の表面24と接触する面において、長辺が凸である曲面を有する場合も、凸である曲面全体に第1ウェブ16が接触するから、固定手段42も曲面全体に備えることが好ましい。
これにより、第1ウェブ16を幅方向全体において、皺等を発生させずに安定的に固定することができる。したがって、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16を移動させる場合であっても、安定的な固定を保ちながら移動させることができる。
【0052】
本実施形態において、固定手段42は、吸引手段であることが好ましい。第1ウェブ接触手段41は、第1ウェブ16と接触する部分において、第1ウェブ16を吸引することにより固定可能に構成される。第1ウェブ接触手段41は、第1ウェブの他方の表面24と、ウェブの幅方向において接触するから、吸引手段42は、第1ウェブ接触手段41における第1ウェブの他方の表面24と接する部分であって、長辺全体の部分に備えることが好ましい。
【0053】
なお、第1ウェブ接触手段41は、切断刃13が第1ウェブ16を切断する際、第1ウェブ16を固定しながら第1ウェブ16の表面と交差する方向に移動することが好ましい。第1ウェブ16の表面と交差する方向とは、例えば、鉛直上方とすることができる。
図10に示すように、第1ウェブ接触手段41は、第1ウェブ16の表面と交差する方向に移動することにより、固定手段42により固定された第1ウェブ16が持ち上がる。
これにより、第1ウェブ接触手段41は、第1ウェブ16が持ち上げられる状態に制御することができる。
【0054】
切断刃13が第1ウェブ16を切断する際に、第1ウェブ16が持ち上げられる状態に制御される場合、切断刃13及び第1ウェブ接触手段41の少なくとも一方が移動することにより、第1ウェブ16の適切な切断をより容易に行うことができる。
図11に示すように、ウェブ切換装置40を含むウェブ切換システム300において、第1ウェブ16が持ち上げられる状態に制御される場合、例えば、切断刃13を新原反17から離れる方向に移動することにより、第1ウェブ16が刃部25に鋭角に当たるため、第1ウェブ16の切断が容易に行え、かつ、新原反17を傷つけることを抑制する。
【0055】
第1ウェブ接触手段41が、第1ウェブ16が持ち上げられる状態に制御することにより、切断刃13が移動しなくても、第1ウェブ16と刃部25とがより鋭角に押し当てられる。したがって、刃部25を起点として、適切な切断をより容易に行うことができる。
切断刃13が搬送方向上流側に刃部25が傾けられた方向に移動した場合(
図10参照)、第2ウェブを傷つけるおそれがなく、適切な切断をより容易に行うことができる。
【0056】
以上のとおり、第2実施形態におけるウェブ切換装置40は、第1ウェブ接触手段41が接触した第1ウェブ16を固定する固定手段42を備えるため、第1ウェブ16の適切な切断をより容易に行うことができる。
【0057】
<第3実施形態>
図12に示すように、第3実施形態におけるウェブ切換装置50は、押圧接合手段51が幅方向に延びる軸により回転する回転体であり、第1ウェブ接触手段52が幅方向に延びる軸により回転する回転体であること以外は、第1実施形態と同様である。
押圧接合手段51及び第1ウェブ接触手段52が幅方向に延びる軸により回転する回転体であることにより、第1ウェブ16が搬送中である場合、押圧接合手段51及び第1ウェブ接触手段52が、第1ウェブ16の搬送に基づいて回転する。そして、押圧接合手段51及び第1ウェブ接触手段52が、第1ウェブ16の搬送に基づいて回転しながら、搬送中の第1ウェブ16を押圧、接触等することが可能となる。
これにより、ウェブの搬送速度と同じ速度にてウェブの切換を行うことができる。
【0058】
押圧接合手段51である回転体としては、第1ウェブ16の搬送に基づいて回転しながら、第2ウェブの先端部の一方の表面と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブをウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブと第2ウェブとを接合することを可能とする回転体であればよく、形状としては、円筒状とすることができる。押圧接合手段51は、例えば、ウェブの種類に応じて選択することができ、具体的には、幅方向に延びる円筒状のゴムローラとすることができる。
【0059】
第1ウェブ接触手段52である回転体としては、第1ウェブ16の搬送に基づいて回転しながら、第1ウェブの他方の表面24と幅方向において接触することを可能とする回転体であればよく、形状としては、円筒状とすることができる。第1ウェブ接触手段52は、例えば、ウェブの種類に応じて選択することができ、具体的には、幅方向に延びるドラム形状とすることができる。
【0060】
第1ウェブ接触手段52は、回転体であって、かつ、接触した第1ウェブ16を固定する固定手段を備えることが好ましい。この場合、第1ウェブ接触手段41は、回転体が第1ウェブ16と接触する部分全体において、第1ウェブ16を固定する固定手段を備えることが好ましい。このような第1ウェブ接触手段52としては、具体的には、幅方向に延びるサクションドラム53とすることができる。
サクションドラム53は、ドラム表面に多数の貫通孔を設け、ドラム軸より吸引することによって貫通孔近辺を負圧にし、物質をその表面に吸引保持することができる装置である。第1ウェブ接触手段52がサクションドラム53である場合、第1ウェブ16をドラム表面に吸引保持しながら、第1ウェブ16の搬送に基づいて回転することができる。
【0061】
押圧接合手段51は、第1ウェブ16の搬送により回転しながら、第2ウェブ18の先端部20の一方の表面19と第1ウェブ16の一方の表面21とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブ16と第2ウェブ18とを接合する手段である。したがって、押圧接合手段51は、第1ウェブ16が搬送されながらも、第2ウェブ18の先端部20の一方の表面19と第1ウェブ16の一方の表面21とを接触させて重ね合わせた状態となった際に、第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧することができるよう、押圧のタイミングを制御する制御機構を有することが好ましい。
この場合、第1ウェブ接触手段52及び切断刃13は、第1ウェブ16が搬送されるため、押圧接合手段51が第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧した後、すぐに、押圧接合手段51が第1ウェブ16と接触し、かつ、切断刃13が第1ウェブ16を切断することが好ましい。
【0062】
図13に示すように、ウェブ切換装置50において、押圧接合手段であるサクションドラム53及び第1ウェブ接触手段52が幅方向に延びる軸により回転する回転体であるため、第1ウェブ16及び第2ウェブ18が搬送中であっても、サクションドラム53及び第1ウェブ接触手段52は第1ウェブ16の搬送に応じて回転しながら、機能を果たすことができる。
【0063】
以上のとおり、第3実施形態におけるウェブ切換装置50は、押圧接合手段51及び第1ウェブ接触手段52が幅方向に延びる軸により回転する回転体であるため、搬送中にウェブの切換を自動的に行うことができる。したがって、ウェブを搬送する工程を停止する必要がなく、効率的に、しかも、第1ウェブ16の適切な切断を行うことができる。
【0064】
<ウェブ切換方法>
次に、本開示のウェブ切換方法の一例について図面を参照して説明する。
本開示のウェブ切換方法は、第1ウェブと第2ウェブとを接合することにより、長さ方向が搬送方向であるウェブを第1ウェブから第2ウェブに切換えるウェブ切換方法であって、第2ウェブの先端部の一方の表面と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブと第2ウェブとを接合する工程(以下、「接合工程」という)と、第1ウェブの他方の表面を幅方向において第1ウェブ接触手段と接触させる工程と(以下、「接触工程」という)、第1ウェブを切断刃により切断する工程(以下、「切断工程」という)と、を有し、第1ウェブを切断する工程は、第1ウェブ接触手段及び切断刃の少なくとも一方が移動することにより行われる(
図2参照)。
【0065】
接合工程は、押圧接合手段11が、第2ウェブの一方の表面の先端部と第1ウェブの一方の表面とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブ16と第2ウェブ18とを接合する工程である(
図3参照)。
接合工程により、対面する第2ウェブの一方の表面の先端部と第1ウェブの一方の表面とが接合される。
【0066】
接合工程の後に、接触工程を行う。
接触工程は、第1ウェブ接触手段12が、第1ウェブの他方の表面24と幅方向において接触する工程である(
図4参照)。
接触工程により、第1ウェブ接触手段12により、第1ウェブの状態が制御される。第1ウェブの状態とは、第1ウェブ接触手段12が第1ウェブの他方の表面24を押圧することにより、例えば、第1ウェブの皺が伸ばされる、第1ウェブ16が張られる、等の第1ウェブ16の状態を生じさせることができる。
【0067】
接触工程の後に、切断工程を行う。
切断工程は、第1ウェブ接触手段12及び幅方向において第1ウェブの幅以上の長さを有する刃部を有する切断刃13の少なくとも一方が移動することにより、切断刃13が第1ウェブ16を切断する工程である(
図6参照)。
接触工程において、第1ウェブ16は皺が伸ばされる、張られる等の状態に制御されているため、切断工程において、第1ウェブ16を容易にかつ適切な状態で切断することができる。したがって、切断工程により、第1ウェブ16と第2ウェブ18との接合箇所のごく近傍において、良好に第1ウェブ16を切断することができ、切断後に、第1ウェブ16から生成する不要部27をほとんど生じさせないことが可能である。
【0068】
以上のとおり、本開示のウェブの切換方法は、接合工程、接触工程、及び切断工程により、ウェブの接合箇所及び切断部を良好な状態とし、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができる方法である。
【0069】
なお、接触工程は、第1ウェブ接触手段41が有する固定手段42により、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16を固定することを含むことが好ましい(
図9参照)。この場合、接触工程は、第1ウェブ接触手段41が、第1ウェブ16の他方の表面24と幅方向において接触しながら第1ウェブ16を固定する工程である。
これにより、第1ウェブ16の適切な切断をより容易に行うことができる。
【0070】
なお、固定手段42は、吸引手段であることが好ましい。この場合、接触工程は、第1ウェブ接触手段41が、第1ウェブの他方の表面24と幅方向において接触しながら第1ウェブ16を吸引により固定する工程である(
図9参照)。
これにより、ウェブの種類に応じて吸引力を調整することが可能となり、固定及び固定の解除を制御すること、また、より適切な固定力により第1ウェブ16を固定することが可能となる。
【0071】
なお、切断工程は、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16を固定しながら第1ウェブ16の表面と交差する方向に移動すること、及び、切断刃13が第1ウェブ16の表面に向かって移動することの少なくとも一方により、第1ウェブ16を切断することを含むことが好ましい(
図10参照)。
切断工程は、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16を固定しながら第1ウェブ16の表面と交差する方向に移動することにより第1ウェブ16を切断する工程であってもよいし、切断刃13が第1ウェブ16の表面に向かって移動することによって第1ウェブ16を切断する工程であってもよい。また、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16を固定しながら第1ウェブ16の表面と交差する方向に移動し、かつ、切断刃13が第1ウェブ16の表面に向かって移動することによって、第1ウェブ16を切断する工程であってもよい。
【0072】
なお、切断工程は、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブを固定しながら第1ウェブの表面と交差する方向に移動し、その後、切断刃13が第1ウェブ16の表面に向かって移動することにより、第1ウェブ16を切断することを含むことが好ましい(
図11参照)。
【実施例0073】
以下、実施例に基づいて本開示をさらに詳細に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更できる。したがって、本開示の範囲は、以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0074】
(実施例)
ウェブ切換システム300(
図11参照)を使用して、金属箔の原反を切換えた。金属箔の原反は、長さ5000m、幅1500mm、厚さ15μmのアルミ金属箔をロールした、直径500mmの原反を用いた。
新原反17に巻かれる第2ウェブ18の一方の表面19の先端部20には、貼付け用テープを予め貼り付けた。貼付け用テープは、両面テープを用いた(菊水テープ株式会社製、キクダブルテープNo.192T)。
第1ウェブ接触手段41は、吸引手段を備えるものであった。
本開示のウェブ切換方法に基づいて、押圧接合手段11が、第2ウェブの一方の表面の先端部と第1ウェブの一方の表面21とを接触させて重ね合わせた状態で、第1ウェブ16をウェブの幅方向において押圧することにより、第1ウェブ16と第2ウェブ18とを接合する工程である接合工程、第1ウェブ接触手段41が、第1ウェブの他方の表面24と接触する工程である接触工程、第1ウェブ接触手段41が第1ウェブ16を吸引により固定しながら持ち上げる持上工程を行った後に、切断刃13を新原反17から離れる方向に移動させて、第1ウェブ16を切断する工程である切断工程を行った。
切換は問題なく行われ、その後の工程にも問題が生じなかった。
第1ウェブにおける切断部、及び第1ウェブと第2ウェブとの接合箇所を観察したところ、不要部27はウェブの長手方向の長さで、接合箇所から20mmであった。切断部に問題はなく、切れ味が良好であった。
【0075】
(比較例)
ウェブ切換システム100(
図1参照)を使用して、金属箔の原反を切換えた。実施例1と同じ金属箔を用いた。
新原反に巻かれる第2ウェブの一方の表面の先端部には、実施例1と同様にして、貼付け用テープを予め貼り付けた。貼付け用テープは、両面テープを用いた(菊水テープ株式会社製、キクダブルテープNo.192T)。
旧原反103と新原反101とを備える稼働軸111を回転させることにより、旧原反103のウェブ104の一方の表面と、新原反101のウェブ102の先端部の表面とを、新原反101のウェブ102の先端部の表面に設置した貼付け用テープ等で貼り付けた。その後、新原反101のウェブと旧原反103のウェブとが貼り付けられた接合箇所106を押さえつけローラで押さえながら、旧原反の幅の長さの鋸刃108で旧原反103のウェブ104を切断部において突き刺すことにより、旧原反103のウェブ104を切断した。
切換は行われたが、その後の工程において、不要部27の巻き込みのため、ウェブが切断した。
第1ウェブにおける切断部、及び第1ウェブと第2ウェブとの接合箇所を観察したところ、不要部27はウェブの長手方向の長さで、接合箇所から250mmであった。切断部を観察したところ、不要部27における裂けが発生し、接合箇所には皺が発生していた。
【0076】
本開示のウェブ接合装置及び本開示のウェブ接合方法に係る実施例1では、ウェブの接合が自動で行われ、ウェブの接合箇所及び切断部が良好な状態であり、切換後の工程に悪影響を与えずにウェブを切り替えることができた。