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特開2025-155336グロメット及びグロメット付ハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155336
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】グロメット及びグロメット付ハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20251006BHJP
   H01B 17/58 20060101ALI20251006BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20251006BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20251006BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
F16L5/02 A
B60R16/02 622
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059123
(22)【出願日】2024-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】古田 高之
【テーマコード(参考)】
5G333
5G363
【Fターム(参考)】
5G333AA07
5G333AA09
5G333AB16
5G333AB22
5G333AB28
5G333CB19
5G333DA03
5G333EA02
5G333EB08
5G363AA01
5G363BA02
5G363CB08
(57)【要約】
【課題】止水性を向上させることができるグロメット及びグロメット付ハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】グロメット20は、ハーネスWHを配索させるグロメット本体21と、グロメット本体21に収容されるインナー30とが備えられ、グロメット本体21の一端に、インナー30を収容するとともに、車体パネルPに対して取り付けられるパネル取付部50が設けられ、パネル取付部50には、高さ方向Hに貫通する貫通孔511が設けられるとともに、車体パネルPと対向する平板状の対向部51が備えられている。インナー30に、貫通孔511に挿通して、車体パネルPに設けた固定孔P2に挿通して固定する固定部62が設けられ、対向部51には、車体パネルPに向けて突出するとともに、車体パネルPに当接して止水するインナーリップ53と、インナー30に向けて突出する押圧リブ54がインナーリップ53に対応する位置に設けられている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にワイヤーハーネスを配索させる筒状のグロメット本体と、
前記グロメット本体に収容され、前記グロメット本体をパネルに固定するインナーとが備えられ、
前記グロメット本体の一端に、前記インナーを収容するとともに、前記パネルに対して取り付けられる取付部が設けられ、
前記取付部に、板厚方向に貫通する貫通孔が設けられるとともに、前記パネルと対向する平板状の対向部が備えられ、
前記インナーに、前記貫通孔に挿通するとともに、前記パネルに設けた固定孔に挿通して固定する固定部が設けられ、
前記対向部には、前記固定部が前記固定孔に固定された状態において、前記パネルに向けて突出するとともに、前記パネルに当接して止水する止水部が備えられ、
前記対向部及び前記インナーの少なくともいずれか一方には、他方に向けて突出するリブが設けられ、
前記リブは、前記止水部に対応する位置に配置された
グロメット。
【請求項2】
前記リブは、前記対向部に設けられた
請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記リブは、突出方向に向けて先細りする先細り形状で構成された
請求項2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記リブと前記止水部とを横断する横断断面において、前記リブの中央が、前記止水部の中央と一致する
請求項3に記載のグロメット。
【請求項5】
前記止水部は、前記ワイヤーハーネスの配索方向に所定の間隔を隔てて複数設けられ、
前記リブは、前記止水部に対応して複数設けられた
請求項1に記載のグロメット。
【請求項6】
前記止水部は、前記固定部の挿入方向から視て、前記ワイヤーハーネスの配索方向と交差する交差方向及び前記配索方向に沿うとともに、前記貫通孔を囲うように矩形状に設けられ、
前記リブは、
前記配索方向に沿った前記止水部に対応する第一リブと、
前記交差方向に沿った前記止水部に対応するとともに、前記第一リブと当接しない第二リブとを備えた
請求項1に記載のグロメット。
【請求項7】
前記取付部は、前記ワイヤーハーネスの配索方向から視て三角形状で構成され、
前記インナーは、前記取付部に嵌合可能な三角形状で構成された
請求項1に記載のグロメット。
【請求項8】
請求項1に記載のグロメットと、
前記グロメット本体に挿通されたワイヤーハーネスとが備えられた
グロメット付ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両に配索されるワイヤーハーネスを保護するグロメット及びグロメット付ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている電装品を電気的に接続しているワイヤーハーネスは、二次元的又は三次元的に配索されている。このように配索されているワイヤーハーネスは、例えば、床パネルやドアパネルなどのパネルに設けた挿通孔に挿通させる際に、挿通孔の外縁とワイヤーハーネスとが干渉しないようにグロメットを用いて保護することがある。
【0003】
このようなグロメットの一例として、ワイヤーハーネスを挿通させるグロメット本体と、グロメット本体の端部に備えられた取付部に組み付けるとともに、パネルに設けた固定孔に固定するインナーとで構成され、インナーを介してグロメット本体の端部をパネルに固定できるグロメットが特許文献1に開示されている。
【0004】
パネルに固定される取付部には、パネルと当接することで、固定孔からの侵入した水が内部に浸入することを抑制する止水部が設けられているため、車両の内部への浸水を抑制できるとされている。 しかしながら、勢いよく水がかかるような高圧洗浄した場合などには、固定孔から侵入した水が内部に侵入するおそれもあるため、止水性を向上させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-086963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、止水性を向上させることができるグロメット及びグロメット付ハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、内部にワイヤーハーネスを配索させる筒状のグロメット本体と、前記グロメット本体に収容され、前記グロメット本体をパネルに固定するインナーとが備えられ、前記グロメット本体の一端に、前記インナーを収容するとともに、前記パネルに対して取り付けられる取付部が設けられ、前記取付部に、板厚方向に貫通する貫通孔が設けられるとともに、前記パネルと対向する平板状の対向部が備えられ、前記インナーに、前記貫通孔に挿通するとともに、前記パネルに設けた固定孔に挿通して固定する固定部が設けられ、前記対向部には、前記固定部が前記固定孔に固定された状態において、前記パネルに向けて突出するとともに、前記パネルに当接して止水する止水部が備えられ、前記対向部及び前記インナーの少なくともいずれか一方には、他方に向けて突出するリブが設けられ、前記リブは、前記止水部に対応する位置に配置されたグロメットであることを特徴とする。
またこの発明は、上述のグロメットと、前記グロメット本体に挿通されたワイヤーハーネスとが備えられたグロメット付ハーネスであることを特徴とする。
【0008】
上述の前記止水部に対向する位置に配置されたとは、前記リブと前記止水部とを横断する横断断面において、少なくとも前記リブの一部分が前記止水部の反対側に配置されていればよい。すなわち、前記リブは、前記横断断面において、前記止水部よりも幅広又は幅狭で構成されている場合や、前記止水部に対して幅方向に中心位置がずれている場合も含む。
【0009】
この発明によれば、止水性を向上させることができる。
詳述すると、内部にワイヤーハーネスを配索させる筒状のグロメット本体の一端に設けられた取付部は、インナーを収容するとともに、パネルと対向する平板状の対向部が備えられている。また、インナーには、取付部に設けられた貫通孔に挿通させるとともに、固定孔に固定する固定部が設けられている。そして、対向部及び前記インナーの少なくともいずれか一方には、固定孔に固定部を固定させた固定状態において、他方側に向けてリブが立設している。すなわち、止水部と反対側にリブが設けられている。
【0010】
これにより、取付部をパネルに固定させた固定状態において、リブを介して止水部が効率よく押圧されるため、止水部をパネルに確実に当接させることができる。したがって、止水部による止水性を向上させることができる。
【0011】
また、固定部を固定孔に挿入するように、取付部をパネルに対して押し込むために作用させた荷重は、リブを変形させながら止水部に伝わることとなる。このような対向部及びインナーの他方がリブの先端部分に当接するグロメットでは、リブがなく対向部とインナーが面接触する場合と比べて、荷重に対する反発力を緩やかにすることができる。したがって、固定部の挿入性を向上させることができる。
【0012】
この発明の態様として、前記リブは、前記対向部に設けられてもよい。
この発明により、対向部にリブと止水部がともに設けられるため、取付部にインナーを収容した状態において、止水部とリブとの位置がズレることがない。このため、固定状態において、確実に止水部をパネルに押圧することができ、止水部による止水性をより向上させることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記リブは、突出方向に向けて先細りする先細り形状で構成されてもよい。
前記リブは、突出方向と直交する方向の断面形状が、略台形状である場合や、突出方向に向かうに伴い緩やかに湾曲するあるいは急に湾曲する円弧形状である場合を含む。
【0014】
この発明によると、リブが止水部の側に向かうに伴い拡がるように構成されているため、止水部に対して荷重をより効率よく伝達することができる。したがって、固定状態において、リブが止水部を確実に押圧でき、止水部による止水性をより向上させることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記リブと前記止水部とを横断する横断断面において、前記リブの中央が、前記止水部の中央と一致してもよい。
この発明により、リブに作用させた荷重を無駄なく効率的に止水部に伝達することができる。したがって、止水部による止水性を確実に向上させることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記止水部は、前記ワイヤーハーネスの配索方向に所定の間隔を隔てて複数設けられ、前記リブは、前記止水部に対応して複数設けられてもよい。
この発明により、複数のリブに作用させた荷重を複数の止水部に対して作用させることができるため、確実にそれぞれの止水部をパネルに当接させることができる。したがって、少なくとも複数の止水部が設けられた配索方向において、より止水性を向上させることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記止水部は、前記固定部の挿入方向から視て、前記ワイヤーハーネスの配索方向と交差する交差方向及び前記配索方向に沿うとともに、前記貫通孔を囲うように矩形状に設けられ、前記リブは、前記配索方向に沿った前記止水部に対応する第一リブと、前記交差方向に沿った前記止水部に対応するとともに、前記第一リブと当接しない第二リブとを備えてもよい。
【0018】
前記止水部は、例えば、前記幅方向及び前記配索方向に平行となる場合のみならず、前記幅方向及び前記配索方向に対して傾いているあるいは前記止水部の一部が湾曲している場合も含む。
【0019】
この発明により、第一リブに対応した配索方向に沿った止水部と、第二リブに対応した交差方向に沿った止水部とを確実にパネルに当接させることができる。換言すると、矩形状に設けられた止水部における辺に対応する箇所を、確実にパネルに当接させることができる。このため、止水部による止水性をより確実に向上させることができる。
【0020】
また、配索方向及び交差方向に沿った止水部との交差部分に対応する箇所、すなわち、矩形状に設けられた止水部において剛性が比較的高い角部分には、第一リブ及び第二リブが設けられていない。このため、取り付ける際に作用させる荷重を、第一リブ及び第二リブを介して、取付部における交差部分以外の箇所に作用させ、止水部を確実にパネルに当接させることができる。
【0021】
さらにまた、剛性の比較的高い止水部の角部分に対応する箇所に第一リブ及び第二リブが設けられていないため、荷重を作用させた場合の反発力を低減できる。したがって、固定孔に固定部挿入する挿入性の低下を抑制できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記取付部は、前記ワイヤーハーネスの配索方向から視て三角形状で構成され、前記インナーは、前記取付部に嵌合可能な三角形状で構成されてもよい。
この発明により、取付部に作用させた荷重を、インナーを介してリブに作用させることができる。したがって、より確実に、止水部による止水性を向上させるとともに、取付部をパネルに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、止水性を向上させることができるグロメット及びグロメット付ハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】止水カバー付ワイヤーハーネスの概略斜視図。
図2】止水カバー付グロメットの概略分解斜視図。
図3】止水カバーの説明図。
図4】グロメットの説明図。
図5】取付部の説明図。
図6】取付部の説明図。
図7】取付部の説明図。
図8】インナーの説明図。
図9】パネルに取り付けた止水カバー付ワイヤーハーネスの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態を、以下図1乃至図9とともに説明する。
図1は止水カバー付ワイヤーハーネス2の概略斜視図を示し、図2は止水カバー付グロメット1の概略分解斜視図を示す。図3は止水カバー10の説明図を示し、図4はグロメット20の説明図を示し、図5乃至図7はパネル取付部50の説明図を示し、図8はインナーベース60及びインナーカバー70の説明図を示す。図9は車体パネルPに取り付けた状態の止水カバー付ワイヤーハーネス2の説明図を示す。
【0026】
図3乃至図9について詳述する。図3(a)は止水カバー10の概略平面図を示し、図3(b)は図3(a)におけるA-A矢視断面図を示す。図4(a)はグロメット20の概略側面図を示し、図4(b)はグロメット20を後端側LBから視た概略正面図を示す。なお、図1乃至図9において、グロメット20の他端側については図示省略する。
【0027】
図5(a)はパネル取付部50の概略底面図を示し、図5(b)は図4(b)におけるB-B矢視断面図を示し、図6(a)は図5(a)におけるC-C矢視断面図を示し、図6(b)は図5(a)におけるD-D矢視断面図を示す。図7(a)は図6(a)において点線の円で囲んだ箇所の拡大断面図を示し、図7(b)は図6(b)において点線の円で囲んだ箇所の拡大断面図を示す。図8(a)はインナーベース60の概略平面図を示し、図8(b)は図8(a)におけるF-F矢視断面を示し、図8(c)はインナーカバー70のF-F矢視断面に対応する断面図を示す。
【0028】
図9(a)は車体パネルPに取り付けた止水カバー付ワイヤーハーネス2におけるC-C矢視断面図に対応する概略断面図を示し、図9(b)は図9(a)において点線の円で囲んだ箇所の拡大断面図を示す。
なお、図9において、パネル取付部50の内部の構造を明確にするため、ハーネスWHの図示を省略する。
【0029】
ここで、図1中における上下方向を高さ方向Hとし、高さ方向Hと直交するとともにパネル取付部50に配索されたハーネスWHの延出方向を配索方向Lとする。そして、配索方向L及び高さ方向Hと直交する方向を幅方向Wとする。また、図1において、配索方向Lに沿って左方を先端側LAとし、右方を後端側LBとし、高さ方向Hに沿って下方を下方側HDとし、上方を上方側HUとする。上述の方向は、図2乃至図9において対応する方向を同様とする。
【0030】
止水カバー付グロメット1は、図1及び図2に示すように、車体パネルPを高さ方向Hに貫通させた挿通孔P1を覆う止水カバー10と、内部にハーネスWHを挿通させるグロメット20とで構成されている。また、グロメット20における一方側の端部に収容されたインナー30が備えられている。
【0031】
車体パネルPは、車両のボディを構成するパネルであり、図2に示すように、グロメット20を挿通できるように高さ方向Hに貫通させた挿通孔P1と、グロメット20の一端を固定するための高さ方向Hに貫通させた固定孔P2とが設けられている。なお、車体パネルPの下方側HDが車体外部で、車体パネルPの上方側HU側が車体内部である。
【0032】
ハーネスWHは、導体を絶縁被膜で囲繞した被覆電線を束ねたワイヤーハーネスであり、車体パネルPの内外に搭載された電装品同士を電気的に接続している。本実施形態において、ハーネスWHは、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスとしているが、通信ケーブルを含んでもよいし、複数の通信ケーブルのみで構成されていてもよい。
【0033】
止水カバー10は、図1及び図2に示すように、挿通孔P1よりも拡径の円盤状で構成された円盤部11と、円盤部11における後端側LBの端部近傍から上方側HUに向けて突出する突出面部12とを備えている。
【0034】
円盤部11は、図3(a)及び図3(b)に示すように、平面視において挿通孔P1よりも一回り大きな平面視略円盤状の上面部111と、上面部111の外縁よりも内側から下方側HDに向けて突出する係止突出部112とが備えられている。
【0035】
上面部111は、上方側HUに上面を有する平面視略円盤状の有底筒状体であり、後端側LBの端部近傍には、図3(b)に示すように、挿通孔P1を挿通したグロメット20を通すことができるように突出面部12が上方側HUに延出している。
また、上面部111の外縁部分には、グロメットスクリュVを用いて止水カバー10を車体パネルPにボルト固定するためのボルト孔113が三個設けられている。
【0036】
そして、上面部111における係止突出部112の外側には、可撓性の高い樹脂製のリング板が組み付けられている(図示省略)。上面部111に組付けられたゴム製のリング板には、下方側HDに向けて突出するカバーリップ114が設けられている。
【0037】
上面部111から下方側HDに突出する係止突出部112は、上面部111の外縁よりも内側から下方側HDに向けて突出する平面視円弧状の板状体であり、挿通孔P1の先端側LAの外周縁に係止できるように構成されている。
【0038】
突出面部12は、上面部111における後端側LBの端部近傍から上方側HUに向けて延出している。詳述すると、突出面部12は、図3(a)及び図3(b)に示すように、円盤部11の上面から連続して上方側HUに延出する円弧面部121と、円弧面部121から後端側LBに延出する角状面部122とで構成されている。
【0039】
円弧面部121は、図3(b)に示すように、幅方向Wに直交する断面において、上方側HUに向けて凸状となる断面略円弧状に形成されており、グロメット20を挿通できる空間が下方側HDに形成されている。
【0040】
角状面部122は、上方側HUに角が形成される逆V字状の上面であり、断面略円弧状に形成された円弧面部121の後端側LB端部から後端側LBに向けて連続して突出している。なお、角状面部122の頂点部分は、角取されている(図2参照)。
【0041】
グロメット20は、車体パネルPの内外を挿通するハーネスWHを保護する外装部材であり、両端を車体パネルPに固定できる筒状のグロメット本体21を備えている。グロメット本体21は、長尺状に形成された円筒状の円筒本体40と、円筒本体40の一端側に設けられ、車体パネルPに対して取り付けられるパネル取付部50とを備えている(図2参照)。なお、円筒本体40における他端側には、車体パネルPとは他のパネルに対して取り付けられる他の取付部が備えられている(図示省略)。
【0042】
円筒本体40は、ハーネスWHを内部に挿通可能な筒状体であり、図4(a)に示すように、パネル取付部50との連結部分が湾曲可能な蛇腹構造で構成されている。このため、グロメット20は、パネル取付部50を車体パネルPに取り付けた状態において、円筒本体40を所望の方向に湾曲することができる。
【0043】
パネル取付部50は、図4(b)に示すように、円筒本体40と連結した先端側LAに底面を有する断面三角形状の有底筒状体であり、止水カバー10を装着できるとともに、インナー30を介して車体パネルPに取り付けることができる。なお、止水カバー付グロメット1を車体パネルPに取り付けた状態において、パネル取付部50は角状面部122の下方側HDに配置されることとなる。このため、パネル取付部50は、角状面部122と車体パネルPとに挟まれるように配置される。
【0044】
詳述すると、パネル取付部50は、図4(a)及び図4(b)に示すように、配索方向Lから視て略二等辺三角形をしている。また、パネル取付部50は、車体パネルPに取り付けた状態において車体パネルPに対向する対向部51と、対向部51における幅方向Wの両端から上方側HUに延出する一対の傾斜側壁部52とで構成されている。
【0045】
対向部51は、幅方向Wの両端部分の板厚が幅方向Wの中央部分よりも厚くなっている、平面視長方形状の平板である(図5(a)及び図6(b)参照)。そして、対向部51における中央部分には、高さ方向Hに貫通した貫通孔511が設けられ、対向部51における先端側LAの端部には係止突部512が設けられている(図4(a)参照)。
【0046】
貫通孔511は、固定孔P2と同形状の長孔である。詳述すると、貫通孔511は、高さ方向Hから視て、幅方向Wに沿った長軸と、配索方向Lに沿った短軸とを有する略長円状をした長孔である。
【0047】
係止突部512は、対向部51における先端側LAの外縁から下方側HDに向けてわずかに突出した突片である。なお、貫通孔511の中心から係止突部512までの長さは、固定孔P2の中心から挿通孔P1の後端側LBの内縁までの長さと等しい。このため、パネル取付部50を車体パネルPに取り付けた際に、貫通孔511の位置が固定孔P2の位置と一致するとともに、係止突部512は挿通孔P1の後端側LBの内縁に係止される。
【0048】
また、対向部51の下方側HDの主面である対向底面51aには、図5(a)に示すように、下方側HDに向けて突出する複数のインナーリップ53が設けられている。
インナーリップ53は、対向底面51aにおける幅方向Wの中央部分において、所定の範囲を囲うように対向底面51aから突出している。詳述すると、インナーリップ53は、図5(a)に示すように、互いに連結する、幅方向Wに延びる幅側リップ531と、配索方向Lに延びる配索側リップ532とで構成されている。
【0049】
幅側リップ531は、図6(a)及び図7(a)に示すように、下方側HDに向かうに伴い配索方向Lの一方側又は他方側に向けて傾斜するように対向底面51aから下方側HDに向けて突設した、可撓性を有する突片である。このように構成された幅側リップ531は、貫通孔511を中心として、配索方向Lに所定の間隔を隔てて複数設けられている。幅側リップ531は、対向底面51aにおける幅方向Wの両端部分の端面よりもわずかに下方側HDに突出している。
なお、幅側リップ531は、対向底面51aにおける幅方向Wの両端部分の端面と略同じ高さであってもよい。
【0050】
配索側リップ532は、図6(b)及び図7(b)に示すように、下方側HDに向かうに伴い幅方向Wの外側に向けて傾斜するように対向底面51aから下方側HDに向けて突設した、可撓性を有する突片である。なお配索側リップ532は、幅側リップ531と同じ長さだけ対向底面51aから突出している。
【0051】
このように構成された配索側リップ532は、配索方向Lに所定の間隔を隔てて設けられた複数の幅側リップ531における幅方向Wの端部を連結するように設けられている。すなわち、複数設けられた幅側リップ531と配索側リップ532とは、底面視において、複数のインナーリップ53を構成している(図5(a)参照)。このように、幅側リップ531と配索側リップ532とで構成された複数のインナーリップ53は、対向底面51aに格子状となるように配置されている。ここで、インナーリップ53が形成する空間を閉鎖空間Sとする。なお、中央部分に設けられたインナーリップ53の中心には、貫通孔511が配置されている。
【0052】
一方で、対向部51の上方側HUの主面である対向上面51bには、上方側HUに突設する押圧リブ54が設けられている(図5(a)参照)。
押圧リブ54は、平面視直線状に形成されたリブであり、図7(a)に示すように、長手方向と直交し、押圧リブ54とインナーリップ53とを横断する横断断面において、上方側HUに向かうに伴い先細り形状となっている。より具体的には、押圧リブ54は、基端側が緩やかに湾曲し、中央部分から急激に立ち上がるとともに、先端部分が緩やかに湾曲する、断面湾曲形状をしている。なお、押圧リブ54の基端部分の幅は、インナーリップ53の幅よりも大きい。
【0053】
また、押圧リブ54は、図7(a)及び図7(b)に示すように、長手方向と直交する断面において、基端部分(下方側HDとの連結部分)の中心が、幅側リップ531及び配索側リップ532における基端部分(上方側HUとの連結部分)の中心と一致している。
【0054】
このように構成された押圧リブ54は、幅方向Wに延びる幅側リブ541と、配索方向Lに延びる配索側リブ542とを備えている(図5(b)参照)。
幅側リブ541は、幅側リップ531に対応するように設けられている。具体的には、幅側リブ541は、幅方向Wに延びる幅側リップ531における直線部分の中央部分に対応して対向上面51bから上方側HUに設けられている。
【0055】
一方で、配索側リブ542は、配索側リップ532に対応するように設けられている。具体的には、配索側リブ542は、配索方向Lに延びる配索側リップ532における直線部分の中央部分の上方側HUに設けられている。すなわち、配索側リブ542は、幅側リブ541における幅方向Wの両端と連結していない。
【0056】
傾斜側壁部52は、対向部51における幅方向Wの両端から幅方向Wの内側に向けて傾斜しながら延出する側壁である。すなわち、一対の傾斜側壁部52は、対向部51における幅方向Wの中央の上方側HUで連結している。なお、一対の傾斜側壁部52の連結部分は角取されている。
【0057】
傾斜側壁部52には、幅方向Wに沿って上方側HUに向けて突出する突出部521が、配索方向Lに所定の間隔を隔てて三つ設けられている。
突出部521は、後端側LBから視て上方側HUに凸状となるとともに、先端部分が角取りされた略逆V字形状をしており(図4(b)参照)、止水カバー付グロメット1を車体パネルPに固定した状態において、角状面部122の内面と当接する。このように構成された突出部521は、先端側LAから後端側LBに向かうに伴い突出高さが順に高くなっている。
また、一対の傾斜側壁部52の連結部分には、グロメット20を挿通させたハーネスWHをテープ固定するためのハーネス固定部522が配索方向Lに沿って延出している(図4(a)参照)。
【0058】
インナー30は、断面三角形状に形成されたパネル取付部50の内部に収容できるように断面略三角形状の筒状体であり、円筒本体40よりも剛性の高い樹脂材で構成されている。詳述すると、インナー30は、収容状態において、対向部51に配置されるインナーベース60と、インナーベース60の上方側HUに組み付けるインナーカバー70とで構成されている(図2参照)。
【0059】
インナーベース60は、図8(a)及び図8(b)に示すように、インナー30における底面である底面部61と、底面部61における中央から下方側HDに突出する固定部62と、底面部61から上方側HUに立設する一対の立設部63とで構成されている。
【0060】
底面部61は、対向部51よりも一回り小さい、平面視方形状の平板である。
固定部62は、底面部61における中央部分から下方側HDに向けて突出するアンカーであり、貫通孔511を挿通するとともに、固定孔P2に対して係止固定できるように構成されている。
【0061】
立設部63は、インナーカバー70と係止固定される被係止部である。詳しくは、立設部63は、幅方向Wに所定の間隔を隔てて立設する一対の立壁631と、立壁631における幅方向Wの外側に設けられた補強リブ632と、立壁631における幅方向Wの外側に並列配置された係止壁633とで構成されている。
【0062】
立壁631は、図8(a)及び図8(b)に示すように、幅方向Wの中央よりも幅方向Wの両外側において、底面部61から上方側HUに立設する壁であり、底面部61における先端側LAの端部から後端側LBの端部近傍にわたって設けられている。
【0063】
補強リブ632は、立壁631における幅方向Wの外側の端面と底面部61とを連結するリブであり、配索方向Lに所定の間隔を隔てて四個設けられている。なお、補強リブ632は、配索方向Lから視て、傾斜側壁部52と同じ角度で傾斜する斜辺を幅方向Wの外側に有する略直角台形形状をしている。
【0064】
係止壁633は、配索方向Lに四個設けられた補強リブ632を配索方向Lに連結する板状体であり、台形形状の補強リブ632における斜辺部分の幅方向Wの内側端部に設けられている。なお、係止壁633と底面部61との間には隙間が設けられている。
【0065】
インナーカバー70は、図8(c)に示すように、後端側LBから視て上方側HUに凸状となるとともに、先端部分が角取りされた略逆V字形状のインナー側壁71と、インナー側壁71から下方側HDに向けて突出する一対の係止部72とで構成されている。
【0066】
インナー側壁71は、傾斜側壁部52と同じ傾斜角で傾斜しており、インナー30をパネル取付部50に収容させた状態において傾斜側壁部52の内面と当接する。
係止部72は、インナー側壁71の裏面側から下方側HDに突出する係止片であり、立壁631と係止壁633との間に挿入させて係止壁633に係止できるように構成されている。
【0067】
このように構成されたインナーベース60及びインナーカバー70は、係止部72を係止壁633に係止することでインナー30を構成する。そして、固定部62をパネル取付部50における貫通孔511に挿通させることより、インナーベース60及びインナーカバー70で構成されたインナー30をパネル取付部50に収容することができる。すなわち、グロメット本体21にインナー30を取り付けたグロメット20となる。
【0068】
そして、パネル取付部50に収容されたインナー30及び円筒本体40にハーネスWHを挿通させるとともに、ハーネス固定部522にハーネスWHをテープ固定することで、グロメット20にハーネスWHを取り付けることができる。これにより、グロメット20と、グロメット本体21に挿通されたハーネスWHとが備えられたグロメット付ハーネス3を製造することができる。
【0069】
また、グロメット20にハーネスWHが取り付けられたグロメット付ハーネス3は、円筒本体40を挿通孔P1に挿通させるとともに、貫通孔511に挿通させた固定部62を上方側HUから固定孔P2に係止固定することができる。この際、係止突部512が挿通孔P1の後端側LBの外縁に係止されることとなる。このように、パネル取付部50を車体パネルPに取り付けた状態において、挿通孔P1を円盤部11で覆うように止水カバー10を車体パネルPにボルト固定する。
【0070】
具体的には、突出面部12に対してパネル取付部50が対応するように止水カバー10を配置し、係止突出部112を挿通孔P1に挿入させて係止させる。そして、ボルト孔113にタッピングボルト(図示省略)を挿通させてグロメットスクリュVに対してボルト固定する。これにより、止水カバー付グロメット1にハーネスWHを挿通させた止水カバー付ワイヤーハーネス2を車体パネルPに装着させることができる(図1参照)。
【0071】
このように車体パネルPに装着された止水カバー付ワイヤーハーネス2では、パネル取付部50が下方側HDに押し付けられることとなり、後端側LBに向けて水が侵入することを抑制できる。
詳述すると、止水カバー付ワイヤーハーネス2が車体パネルPに装着されることで、対向部51を下方側HDに押し付ける外力Fがインナー30に作用する。これにより、図9(a)及び図9(b)に示すように、底面部61が押圧リブ54を下方側HDに押し付けることとなる。
【0072】
このように押圧リブ54が下方側HDに押し付けられることで、押圧リブ54の直下に設けられたインナーリップ53に対して効率よく下方側HDの外力Fを作用させることができる。これにより、インナーリップ53が変形して車体パネルPに当接するように車体パネルPにインナーリップ53を押し付けることができる。このため、固定孔P2から侵入した水Dが、車体パネルPに当接したインナーリップ53によって堰き止められ、後端側LBに流れることを抑制できる(図9(b)参照)。同様に、挿通孔P1における幅方向Wの中央部分から侵入した水Dも、先端側LAにおいて幅方向Wに沿って設けられた幅側リップ531によって堰き止められるため、後端側LBに流れることを抑制できる。
【0073】
このように構成されたグロメット20は、内部にハーネスWHを配索させる筒状のグロメット本体21と、グロメット本体21に収容され、グロメット本体21を車体パネルPに固定するインナー30とが備えられている。そして、グロメット本体21の一端に、インナー30を収容するとともに、車体パネルPに対して取り付けられるパネル取付部50が設けられている。パネル取付部50には、高さ方向Hに貫通する貫通孔511が設けられるとともに、車体パネルPと対向する平板状の対向部51が備えられ、インナー30に、貫通孔511に挿通するとともに、車体パネルPに設けた固定孔P2に挿通して固定する固定部62が設けられている。また、対向部51には、固定部62が固定孔P2に固定された状態において、車体パネルPに向けて突出するとともに、車体パネルPに当接して止水するインナーリップ53と、インナー30に向けて突出する押圧リブ54が設けられている。そして、押圧リブ54は、インナーリップ53に対応する位置に配置されている。
なお、グロメット付ハーネス3は、グロメット20と、グロメット本体21に挿通されたハーネスWHとが備えられている。
【0074】
このように構成されたグロメット20及びグロメット付ハーネス3は、止水性を向上させることができる。
詳述すると、内部にハーネスWHを配索させる筒状のグロメット本体21一端に設けられたパネル取付部50は、インナー30を収容するとともに、車体パネルPと対向する平板状の対向部51が備えられている。また、インナー30には、パネル取付部50に設けられた貫通孔511に挿通させるとともに、固定孔P2に固定する固定部62が設けられている。そして、対向部51には、固定孔P2に固定部62を固定させた固定状態においてインナー30に向けて押圧リブ54が立設している。すなわち、インナーリップ53と反対側に押圧リブ54が設けられている。
【0075】
これにより、パネル取付部50を車体パネルPに固定させた固定状態において、押圧リブ54を介してインナーリップ53が効率よく押圧されるため、インナーリップ53を車体パネルPに確実に当接させることができる。したがって、インナーリップ53による止水性を向上させることができる。
【0076】
また、固定部62を固定孔P2に挿入するようにパネル取付部50を車体パネルPに対して押し込むために作用した荷重は、押圧リブ54を変形させながらインナーリップ53に伝わることとなる。このように、底面部61が押圧リブ54の先端部分に当接するグロメット20では、押圧リブ54がなく対向部51と底面部61が面接触する場合と比べて、荷重に対する反発力を緩やかにすることができる。したがって、固定部62を固定孔P2に挿入する挿入性を向上させることができる。
【0077】
また、押圧リブ54は、対向部51に設けられている。すなわち、対向部51に押圧リブ54とインナーリップ53がともに設けられる。これにより、パネル取付部50にインナー30を収容した状態において、インナーリップ53と押圧リブ54との位置がズレることがない。このため、固定状態において、確実にインナーリップ53を車体パネルPに押圧することができ、インナーリップ53による止水性をより向上させることができる。
【0078】
さらにまた、押圧リブ54は、突出方向である上方側HUに向けて先細りする先細り形状で構成されている。換言すると、押圧リブ54がインナーリップ53の側に向かうに伴い拡がるように構成されている。このため、インナーリップ53に対して荷重をより効率よく伝達することができ、固定状態において、押圧リブ54がインナーリップ53を確実に押圧できる。したがって、インナーリップ53による止水性をより向上させることができる。
【0079】
また、押圧リブ54とインナーリップ53とを横断する横断断面において、押圧リブ54の中央が、インナーリップ53の中央と一致している。これにより、押圧リブ54に作用させた荷重を無駄なく効率的にインナーリップ53に伝達することができる。したがって、インナーリップ53による止水性を確実に向上させることができる。
【0080】
さらにまた、インナーリップ53は、ハーネスWHの配索方向Lに所定の間隔を隔てて複数設けられ、押圧リブ54は、インナーリップ53に対応して複数設けられている。これにより、複数の押圧リブ54に作用させた荷重を複数のインナーリップ53に対して作用させることができるため、確実にそれぞれのインナーリップ53を車体パネルPに当接させることができる。したがって、少なくとも複数のインナーリップ53が設けられた配索方向Lにおいて、より止水性を向上させることができる。
【0081】
また、インナーリップ53は、固定部62の下方側HDから視て、ハーネスWHの配索方向Lと交差する幅方向W及び配索方向Lに沿うとともに、貫通孔511を囲うように矩形状に設けられている。そして、押圧リブ54は、配索方向Lに沿ったインナーリップ53に対応する配索側リブ542と、幅方向Wに沿ったインナーリップ53に対応するとともに、配索側リブ542と当接しない幅側リブ541とを備えている。
【0082】
これにより、配索側リブ542に対応した配索方向Lに沿ったインナーリップ53(配索側リップ532)と、幅側リブ541に対応した幅方向Wに沿ったインナーリップ53(幅側リップ531)とを確実に車体パネルPに当接させることができる。換言すると、矩形状に構成されたインナーリップ53における辺に対応する箇所を、確実に車体パネルPに当接させることができる。このため、インナーリップ53による止水性をより確実に向上させることができる。
【0083】
また、配索方向L及び幅方向Wに沿ったインナーリップ53との交差部分に対応する箇所、すなわち矩形状に構成されたインナーリップ53において剛性が比較的高い角部分には、配索側リブ542及び幅側リブ541が設けられていない。このため、取り付ける際に作用させる荷重を、配索側リブ542及び幅側リブ541を介して、交差部分以外の箇所にパネル取付部50に作用させ、インナーリップ53を確実に車体パネルPに当接させることができる。
【0084】
さらにまた、剛性の比較的高いインナーリップ53の角部分に対応する箇所に配索側リブ542及び幅側リブ541が設けられていないため、荷重を作用させた場合の反発力を低減できる。したがって、グロメット20及びグロメット付ハーネス3は、固定孔P2に固定部62挿入する挿入性の低下を抑制できる。
【0085】
また、パネル取付部50は、ハーネスWHの配索方向Lから視て三角形状で構成され、インナー30は、パネル取付部50に嵌合可能な三角形状で構成されてもいる。これにより、パネル取付部50に作用させた荷重を、インナー30を介して押圧リブ54に作用させることができる。したがって、より確実に、インナーリップ53による止水性を向上させるとともに、パネル取付部50を車体パネルPに取り付けることができる。
【0086】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明のワイヤーハーネスは、ハーネスWHに対応し、以下同様に、
グロメット本体は、グロメット本体21に対応し、
インナーは、インナー30に対応し、
パネルは、車体パネルPに対応し、
取付部は、パネル取付部50に対応し、
板厚方向は、高さ方向Hに対応し、
貫通孔は、貫通孔511に対応し、
対向部は、対向部51に対応し、
固定孔は、固定孔P2に対応し、
固定部は、固定部62に対応し、
止水部は、インナーリップ53に対応し、
リブは、押圧リブ54に対応し、
グロメットは、グロメット20に対応し、
挿入方向は、下方側HDに対応し、
配索方向は、配索方向Lに対応し、
交差方向は、幅方向Wに対応し、
第一リブは、配索側リブ542に対応し、
第二リブは、幅側リブ541に対応し、
グロメット付ハーネスは、グロメット付ハーネス3に対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0087】
例えば、本実施形態において、押圧リブ54は対向部51に設けられているが、例えば、インナー30をパネル取付部50に収容した状態において、インナー30におけるインナーリップ53に対応する箇所に押圧リブ54が設けられていてもよい。また、対向部51及びインナー30におけるインナーリップ53に対応する箇所に押圧リブ54が設けられていてもよい。
【0088】
また、本実施形態において、押圧リブ54は、インナーリップ53の長手方向と直交する直交断面において、中心が一致するように配置されている。しかしながら、押圧リブ54はインナーリップ53に対応していればよく、例えば、押圧リブ54の一部分がインナーリップ53と対向するように配置されていてもよい。これにより、押圧リブ54に作用した荷重をインナーリップ53に伝えることができる。
【0089】
さらにまた、押圧リブ54は、先端が先細りとなる断面円弧状に形成されているが、この形状に限定されず、例えば、対向上面51bに対して直交するように突出している、又は先端に向かうに伴い先細りする略台形状に形成されていてもよい。また押圧リブ54は、インナーリップ53よりも幅広又は幅狭で構成されていてもよい。
【0090】
また、本実施形態において、幅側リップ531及び配索側リップ532は、幅方向W及び配索方向Lに沿っている。より具体的には、一部分が湾曲しているものを含んでいる。しかしながら、幅側リップ531及び配索側リップ532は、水Dの後端側LBへの移動を抑制できるように形成していればよく、その形状については特に限定されない。
【符号の説明】
【0091】
3…グロメット付ハーネス
20…グロメット
21…グロメット本体
30…インナー
50…パネル取付部
51…対向部
53…インナーリップ
54…押圧リブ
62…固定部
511…貫通孔
541…幅側リブ
542…配索側リブ
H…高さ方向
L…配索方向
P…車体パネル
W…幅方向
P2…固定孔
HD…下方側
WH…ハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9