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特開2025-155662二次電池用電池セルの特性測定治具およびこれを含む測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155662
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】二次電池用電池セルの特性測定治具およびこれを含む測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20251002BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G01R31/00
H01M10/48 P
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024185665
(22)【出願日】2024-10-22
(31)【優先権主張番号】10-2024-0042665
(32)【優先日】2024-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 懿 ▲チョル▼
【テーマコード(参考)】
2G036
5H030
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036BB08
2G036CA09
5H030AA01
5H030FF41
(57)【要約】
【課題】電池セルのインピーダンス測定時、インダクタンスの影響を最小化することができる電池セルの特性測定装置を提供する。
【解決手段】本開示の特性測定治具は、電池セルが提供される支持台、電池セルの正極端子、負極端子に着脱されるインピーダンス測定部、インピーダンス測定部を昇降させる昇降部を含む。インピーダンス測定部は、正極端子に接触される第1、2正極用接触部、第1、2正極用接触部と対向配置される第1、2負極用接触部、電池セルに電流を印加する電流用第1端子および電流用第2端子、電池セルの電圧を測定する電圧用第1端子および電圧用第2端子を含む。昇降部は、電池セルに対して第1、2正極用接触部または第1、2負極用接触部を昇降させるように構成される。電流用第1端子は、電圧用第1端子に対向配置され、電流用第2端子は、電圧用第2端子に対向配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子および負極端子を含む電池セルが提供される支持台と、
前記正極端子に接触される第1正極用接触部、第2正極用接触部、前記負極端子に接触され、前記第1正極用接触部、前記第2正極用接触部と対向配置される第1負極用接触部、第2負極用接触部、前記第1正極用接触部に接続され、前記電池セルに電流を印加するための電流用第1端子、前記第2正極用接触部に接続され、前記電池セルの電圧を測定するための電圧用第1端子、前記第1負極用接触部に接続され、前記電池セルに電流を印加するための電流用第2端子、および前記第2負極用接触部に接続され、前記電池セルの電圧を測定するための電圧用第2端子を含み、前記電池セルの正極端子および負極端子に対して着脱されるインピーダンス測定部と、
前記支持台に固定され、前記第1正極用接触部、前記第2正極用接触部または前記第1負極用接触部、前記第2負極用接触部と接続され、前記電池セルに対して前記第1正極用接触部、前記第2正極用接触部または前記第1負極用接触部、前記第2負極用接触部を昇降させるように構成された昇降部と、
を含み、
前記電流用第1端子は、前記電圧用第1端子に対向配置され、前記電流用第2端子は、前記電圧用第2端子に対向配置される、二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項2】
前記インピーダンス測定部は、
前記第1正極用接触部、前記第2正極用接触部、前記電流用第1端子および前記電圧用第1端子が結合される第1本体と、
前記第1負極用接触部、前記第2負極用接触部、前記電流用第2端子および前記電圧用第2端子が結合される第2本体と、
を含む、請求項1に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項3】
前記電流用第1端子と前記電圧用第1端子は、前記第1本体に同一線上に非重畳されて配置される、請求項2に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項4】
前記電流用第2端子と前記電圧用第2端子は、前記第2本体に同一線上に非重畳されて配置される、請求項2に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項5】
前記第1正極用接触部の広さが、前記第2正極用接触部の広さと同じか、それより大きい、請求項2に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項6】
前記第1負極用接触部の広さが、前記第2負極用接触部の広さと同じか、それより大きい、請求項2に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項7】
前記第2本体が前記支持台に固定設置され、前記第1本体が前記昇降部と接続される、請求項2に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項8】
前記支持台は、底板と、前記底板の一側から延びる垂直板と、を含み、前記第2本体は、前記底板に配置される、請求項7に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項9】
前記電池セルは、円筒形である、請求項1に記載の二次電池用電池セルの特性測定治具。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一つに記載の測定治具が収容され、前記電流用第1端子、前記電流用第2端子に電流を印加するための電流線と、前記電圧用第1端子、前記電圧用第2端子から電池セルの電圧をセンシングするための電圧線が提供されたチャンバーを有するハウジングを含む二次電池用電池セルの特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池セルの特性測定装置に関し、電池セルのインピーダンスを測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池(rechargeable battery)は、一次電池とは異なり、充電および放電を繰り返し行う電池である。小容量化二次電池は、携帯電話やノートパソコンおよびカムコーダのように携帯が可能な小型電子機器に使用される。大容量化および高密度化二次電池は、ハイブリッド自動車および電気自動車のモータ駆動用電源やエネルギー貯蔵用に使用される。
【0003】
このような二次電池は、電池セルに対する安定性および性能に対する特性検査を経て消費者に提供することができるが、特性検査の一つとしては、二次電池の電池セルのインピーダンス検査が挙げられる。
【0004】
電池セルのインピーダンスを測定する際には、測定設備部品(例:電流線、電圧線)構造や配列に応じたインダクタンスの増加により、測定されるインピーダンスに歪みが生じないようにすることが重要である。
【0005】
発明の背景となる技術に開示された上述した情報は、本発明の背景に対する理解を深めるためのものであり、従来技術を構成しない情報を含むこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電池セルのインピーダンス測定時、インダクタンスの影響を最小化することができる電池セルの特性測定装置を提供する。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に制限されず、言及されない他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る二次電池用電池セルの特性測定治具は、正極端子および負極端子を含む電池セルが提供される支持台、前記電池セルの正極端子および負極端子に対して着脱されるインピーダンス測定部、および前記インピーダンス測定部と接続され、前記支持台に固定され、前記インピーダンス測定部を昇降させるように構成された昇降部を含む。
【0009】
前記インピーダンス測定部は、前記正極端子に接触される第1正極用接触部、第2正極用接触部と、前記負極端子に接触され、前記第1正極用接触部、前記2正極用接触部と対向配置される第1負極用接触部、第2負極用接触部と、前記第1正極用接触部に接続され、前記電池セルに電流を印加するための電流用第1端子と、前記第2正極用接触部に接続され、前記電池セルの電圧を測定するための電圧用第1端子と、前記第1負極用接触部に接続され、前記電池セルに電流を印加するための電流用第2端子、および前記第2負極用接触部に接続され、前記電池セルの電圧を測定するための電圧用第2端子を含む。
【0010】
前記昇降部は、前記第1正極用接触部、前記第2正極用接触部または前記第1負極用接触部、前記第2負極用接触部と接続され、前記電池セルに対して前記第1、2正極用接触部または前記第1、2負極用接触部を昇降させるように構成される。
【0011】
前記電流用第1端子は、前記電圧用第1端子に対向配置され、前記電流用第2端子は、前記電圧用第2端子に対向配置される。
【0012】
前記インピーダンス測定部は、前記第1、2正極用接触部、前記電流用第1端子および前記電圧用第1端子が結合される第1本体、および前記第1、2負極用接触部、前記電流用第2端子および前記電圧用第2端子が結合される第2本体を含むことができる。
【0013】
前記電流用第1端子と前記電圧用第1端子は、前記第1本体に同一線上に非重畳されて配置することができる。
【0014】
前記電流用第2端子と前記電圧用第2端子は、前記第2本体に同一線上に非重畳されて配置することができる。
【0015】
前記第1正極用接触部の広さが、前記第2正極用接触部の広さと同じかそれより大きくてもよい。
【0016】
前記第1負極用接触部の広さが、前記第2負極用接触部の広さと同じかそれより大きくてもよい。
【0017】
前記第2本体が、前記支持台に固定設置され、前記第1本体が、前記昇降部と接続される。
【0018】
前記支持台は、底板と、前記底板の一側から延びる垂直板を含み、前記第2本体は、前記底板に配置される。
【0019】
前記電池セルは、円筒形であってもよい。
【0020】
本発明の他の実施例に係る二次電池用電池セルの特性測定装置は、前述した測定治具が収容され、前記電流用第1端子、前記電流用2端子に電流を印加するための電流線と、前記電圧用第1端子、前記電圧用第2端子から電池セルの電圧をセンシングするための電圧線が提供されたチャンバーを有するハウジングを含む。
【0021】
本発明の実施例によれば、測定治具の電流用端子と電圧用端子が非重畳配置されることにより、電池セルのインピーダンス測定時、インダクタンスを低減させることができる。
【0022】
これにより、電流の流れを妨げる抵抗を低減し、測定される電池セルのインピーダンスの歪みを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に添付される図面は、本発明の好ましい実施例を例示するものであり、後述される発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想をより理解させる役割をするため、本発明は、このような図面に記載された事項にだけ限定されて解釈されるべきではない。
図1】実施例に係る二次電池用電池セルの特性測定装置を概略的に示した斜視図である。
図2】実施例に係る測定治具を概略的に示した斜視図である。
図3図2の部分拡大図である。
図4】実施例に係る電池セルを示した斜視図である
図5a】実施例に係るインピーダンス測定部を説明するために示した図面である。
図5b】実施例に係るインピーダンス測定部を説明するために示した図面である。
図5c】実施例に係るインピーダンス測定部を説明するために示した図面である。
図5d】実施例に係るインピーダンス測定部を説明するために示した図面である。
図6a】実施例に係る測定治具の効果を説明するために示したグラフである。
図6b】実施例に係る測定治具の効果を説明するために示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書および請求範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されるべきではなく、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づき、本発明の技術的な思想に合致する意味と概念と解釈されるべきである。したがって、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一部の実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想を全て示すものではないので、本出願時点において、これらを置き換える様々な均等物と変形例があってもよいことを理解しなければならない。
【0025】
また、本明細書で使用される場合、「含む(comprise、include)」および/または「含む(comprising、including)」は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素および/またはこれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0026】
また、発明の理解を助けるために、添付した図面を実際の縮尺とおり図示されたものではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されるように図示されることがある。また、互いに異なる実施例において、同じ構成要素については同じ参照番号が与えられることがある。
【0027】
二つの比較対象が「同じ」であるとの言及は、「実質的に同じ」であることを意味する。したがって実質的に同じとは、当業界で低いレベルと見なされる偏差、例えば5%以内の偏差を有する場合を含むことができる。また、所定領域で何らかのパラメータが均一であることは、平均的な観点から均一であることを意味することができる。
【0028】
たとえ、第1、第2などが様々な構成要素を叙述するために使用されるか、これらの構成要素は、これら用語によって制限されないことはもちろんである。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用するものであり、特に反対の記載がない限り、第1構成要素は、第2構成要素であってもよいことはもちろんである。
【0029】
明細書全体において、特に反対の記載がない限り、各構成要素は単数であっても複数であってもよい。
【0030】
構成要素の「上部(または下部)」または構成要素の「上(または下)」に任意の構成が配置されることは、任意の構成が、前記構成要素の上面(または下面)に接して配置されることだけでなく、前記構成要素と前記構成要素上に(または下に)配置された任意の構成の間に別の構成が介される可能性があることを意味することができる。
【0031】
また、ある構成要素が他の構成要素に「上に(on)」、「接続された(connected to)」、または「結合された(coupled to)」と記載された場合、前記構成要素は、互いに直接的に連結されたり、または接続できるが、各構成要素の間に他の構成要素が「介在」されたり、各構成要素が他の構成要素を介して「連結」、「結合」または「接続」されてもよいものと理解されるべきである。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、関連するリストされた項目のうち一つ以上の任意およびすべての組み合わせを含む。また、本開示の実施例を記述する際の「してもよい」の使用は、「本開示の一つ以上の実施例」に関するものである。要素目録の前に「一つ以上」および「一つ以上」などの表現は、要素目録全体を修正し、目録の個別要素を修正しない。
【0033】
明細書全体において、「Aおよび/またはB」という時、これは特に反対の記載がない限り、A、B、またはAおよびBを意味し、「C乃至D」という時、これは特に反対の記載がない限り、C以上でありD以下であることを意味する。
【0034】
「A、BおよびCのうち少なくとも一つ」、「A、BまたはCのうち少なくとも一つ」、「A、BおよびCのグループで選択された少なくとも一つ」または「A、BおよびC中選択された少なくとも一つ」のような構文が、要素A、BおよびCの目録を指定するために使用される時、構文は任意のすべての適する組み合わせを指すことができる。
【0035】
「使用(use)」という用語は、「活用(utilize)」という用語と同意語にみなすことができる。本明細書で使用されるように、「実質的に」、「約」および類似の用語は、程度の用語ではなく近似の用語として使用され得て、当該技術分野の通常の技術者が認識する測定または計算された値の内在的変動を考慮するためのものである。
【0036】
本明細書において、第1、第2、第3などの用語が、様々な要素、構成要素、領域、層および/またはセクションを説明するために使用することができるが、これらの要素、構成要素、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、図面層または断面を、他の要素、構成要素、領域、図面層または断面と区別するために使用される。したがって、以下で議論される第1要素、コンポーネント、領域、階層またはセクションは、例示的な実施例の教示から逸脱することなく、第2要素、コンポーネント、領域、階層またはセクションと命名することができる。
【0037】
図面に図示されたように、ある要素または特徴と異なる要素(ら)または特徴(ら)との関係を説明するために、説明を容易にするために、「下部(beneath)」、「下(below)」、「低い(lower)」、「上部(above)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語が、本明細書で使用することができる。空間的に相対的な位置は、図形に描かれた方向以外にも、使用または動作中のデバイスの異なる方向を包括するためのものと理解されるであろう。例えば、図面の装置が反転されると、「下」または「下部」と説明された要素が他の要素の「上」または「上部」と理解される。したがって、「下」という用語は、前記上と下の方向の両方を包括することができる。
【0038】
本明細書で使用される用語は、本開示の実施例を記述するためのものであり、本開示の制限を意図するものではない。
【0039】
本開示の実施例に係る角型、パウチ型二次電池の例示的な実施例において、角型、パウチ型二次電池のうち一つを選択し、選択された電池を一般的な構造を有するものと記載し、一般的に適用される技術の場合、角型、パウチ型二次電池の一般的な構造を記載する。
【0040】
図1は、本発明の実施例係る二次電池用電池セルの特性測定装置(以下、便宜上測定装置という)を概略的に示した斜視図である。
【0041】
測定装置1は、測定チャンバー10内に配置される二次電池用電池セルの特性測定治具3(以下、便宜上測定治具という)を介して二次電池の特性を測定できるように構成される。本実施例で、測定治具3は、電池セルのインピーダンスを測定できるように構成される。
【0042】
測定チャンバー10は、測定装置1の本体12内に配置されるフレーム14と、このフレーム14に連結される分離板16によって複数で提供することができる。
【0043】
また、測定装置1の本体12には、測定チャンバー10内の温度や湿度などを調節し、測定治具3に提供された電池セル5のインピーダンスを測定するために電池セル5に電流を印加するなどの電気的操作のための操作パネル18が設けられる。
【0044】
さらに、測定チャンバー10には、測定治具3にそれぞれ電気的に接続され、電池セル5に電流を印加するための電流線(図示せず)と、電池セル5から電圧をセンシングするための電圧線(図示せず)が提供される。
【0045】
図2は、実施例に係る測定治具を概略的に示した斜視図であり、図3は、図2の部分拡大図である。図2、3に示されたように、実施例の測定治具3は、電池セル5が配置される支持台30を含む。
【0046】
本実施例で、電池セル5は、図4からさらに分かるように、円筒形電池セルであってもよい。電池セル5は、円筒形のケース50a内に正極、負極および分離板を含む電極アセンブリが内蔵され、ケース50aの開口が、正極と電気的に接続されるキャップアセンブリ52aによって密封されることにより構成される。キャップアセンブリ52aに含まれるキャップのようにキャップアセンブリ52aにおいて突出された部位は、電池セル5の正極端子520aであって、電極アセンブリの負極と電気的に接続されるケース50aの一側部位(例:ケースの底面)は、電池セル5の負極端子500aとして機能することができる。
【0047】
再び図2、3を参照すると、電池セル5がインピーダンスの測定を受けるために配置される支持台30は、底板300aと、この底板300aの一側エッジから延びる垂直板302aを含む。垂直板302aには、電池セル5のインピーダンスを測定するためのインピーダンス測定部34の第1セクション(例えば、後述する正極用接触部および第1端子)が配置され、底板300aには、インピーダンス測定部34の第2セクション(例えば、後述する負極用接触部および第2端子)が配置される。
【0048】
支持台30に配置されるインピーダンス測定部34の数、言い換えると、電池セル5の数は適切に調節することができる。本実施例では、二つのインピーダンス測定部34それぞれに電池セル5が提供されるが(図2では便宜上一つの電池セルだけが図示される)、これによって測定治具3の構造が限定されない。
【0049】
また、垂直板302aには、電池セル5の端子、例えば正極端子520aに脱着されながらインピーダンス測定部34の第1セクションを昇降させることができるように構成された昇降部36が固定配置される。
【0050】
インピーダンス測定部34は、正極端子520aに接触される正極用接触部340aと負極端子500aに接触される負極用接触部342aを含む。
【0051】
図5a~図5dは、正極用接触部340aを説明するために示した図面である。図5a~図5dを参照すると、正極用接触部340aは、略直方体形状の第1本体3400aを含む。第1本体3400aは、互いに着脱結合が可能な下部本体3402aと上部本体3404aを含む。下部本体3402aには、正極端子520aにそれぞれ接触される第1、2正極用接触部3406a、3408aが任意の間隔をおいて設けられる。第1、2正極用接触部3406a、3408aは、その先端部が下部本体3402aの外に露出され、下部本体3402a内で上、下運動可能に下部本体3402aに設けられる。
【0052】
第1正極用接触部3406a、第2正極用接触部3408aには、電流用第1端子3410aと電圧用第1端子3412aがそれぞれ接続される。電流用第1端子3410aは、第1正極用接触部3406aと接続され、電池セル5に電流(交流)が印加されるようにする。また、電圧用第1端子3412aは、第2正極用接触部3408aと接続され、電池セル5から電圧が測定されるようにする。
【0053】
本実施例により、電流用第1端子3410aと電圧用第1端子3412aはそれぞれ、対向配置される棒状のリード部3414a、3416aと、リード部3414a、3416aの一端から垂直に接続さる円柱状の接続部3418a、3420aを含む。
【0054】
本実施例で、両リード部3414a、3416aは、非同一線上に平行に配置される。すなわち、第1正極用接触部3406a、第2正極用接触部3408aが、第1本体3400aの略中心部に配置されるようにした状態で、両リード部3414a、3416aは、それぞれの接続部3418a、3420aが対向配置されるように第1本体3400a上に配列される。これにより、両リード部3414a、3416aの間の角度、言い換えると、電流用第1端子3410aと電圧用第1端子3412aとの間の角度は、180°をなすと見ることができる。このような電流用第1端子3410aと電圧用第1端子3412aの配列は、両端子相互間の重畳領域を最少化して磁場によるインダクタンス増加を減らすことにより、測定されるインピーダンスの歪みを防止するのに効果的である。
【0055】
本実施例により、両リード部3414a、3416aは、前述のように、非同一線上に配置されるが、他の実施例により、両リード部は同一線上に配置することもできる。
【0056】
また、本実施例により、両リード部3414a、3416aは、前述のように、180°の角度をおいて配置されるが、90°~180°間で選択された角度をおいて配置することもできる。
【0057】
接続部3418a、3420aにはそれぞれ、電流用第1端子3410aに電流を印加するための電流線(図示せず)と、電圧用第1端子3412aから電池セル5の電圧をセンシングするための電圧線(図示せず)が接続される。
【0058】
接続部3418a、3420aを含むリード部3414a、3416aの一部は、第1本体3400aの外に露出され、リード部3414a、3416aの他の一端に接続された第1正極用接触部3406a、第2正極用接触部3408aを含むリード部3414a、3416aの残り一部は、第1本体3400a内に配置される。
【0059】
第1正極用接触部3406a、第2正極用接触部3408aが接続されたリード部3414a、3416aの他の一端には、第1、2正極用接触部3406a、3408aを対向してバネ3422a、3424aが設置されるが、これらのバネ3422a、3424aは、後述する昇降部が発揮する力によって、第1、2正極用接触部3406a、3408aが正極端子520aに弾性的に接触することを可能にする。
【0060】
本実施例で、第1正極用接触部3406aの広さは、第2正極用接触部3408aの広さと同じかそれより大きくてもよい。これは、電流用端子の接触抵抗を小さくして実際電流が流れる際の発熱を減少させるためである。
【0061】
一方、負極用接触部342aは、正極用接触部340aと同様に構成される。すなわち、負極用接触部342aも第2本体(下部本体/上部本体)、第1、2負極用接触部、電流用第2端子(リード部および接続部)、電圧用第2端子(リード部および接続部)、およびバネを含むことができる。ここで第1、2負極用接触部は、電池セル5の負極端子500aと接触する。これに対する詳細な説明は、前述した正極用接触部340aの説明に置き換えることにする。
【0062】
このように構成されるインピーダンス測定部34は、支持台30の垂直板302aに固定設置された昇降部36に上、下運動可能に接続される。
【0063】
図2から分かるように、本実施例で、昇降部36は、ねじ方式によって正極用接触部340aを昇降させることができるように構成される。
【0064】
これのために、昇降部36は、正極用接触部340aと接続(例:ねじ結合)される押圧部360aと、この押圧部360aに接続され、ねじ山が提供された昇降シャフト362aと、垂直板302aに固定され、昇降シャフト362aがねじ方式によって昇降されてガイドできるように結合される据置台364a、および昇降シャフト362aの一端に結合されるハンドル部366aを含む。一方、負極用接触部342aは、支持台30の底板300aに固定される。
【0065】
これにより、第1、2負極用接触部に電池セル5の負極端子500aが接触するように電池セル5が負極用接触部342aに載せられた状態で、使用者がハンドル部366aを時計回りに回転させると、昇降シャフト362aが下降しながらこれと連動されて押圧部360a、正極用接触部340aも下降するようになる。
【0066】
その結果、第1正極用接触部3406a、第2正極用接触部3408aが、電池セル5の正極端子520aに接触することが可能になる。この状態で、電流用第1端子3410aおよび第2端子に電流が印加されるようにし、電圧用第1端子3412aおよび第2端子を介して電圧をセンシングして電池セル5のインピーダンスを測定することができる。この時、電流用第1端子3410aと電圧用第1端子3412aが互いに重ならないように実質的に一字上に配列されており、電流用第2端子と電圧用第2端子も互いに重ならないように実質的に一字上に配列されているため、磁場によるインダクタンス増加を減らすことができ、歪みなしに電池セル5のインピーダンスを測定することができる。
【0067】
インピーダンスの測定が完了すると、使用者はハンドル部366aを反時計回りに回転させ、第1正極用接触部3406a、第2正極用接触部3408aが電池セル5の正極端子520aから分離されるようにし、第1、2負極用接触部が電池セル5の負極端子500aから分離されるようにすることができる。その後、インピーダンス測定が完了された電池セルとインピーダンス測定が行われるべき新たな電池セルの交換が行われる。
【0068】
一方、本実施例で、正極用接触部340aが昇降部36によって昇降され、負極用接触部342aが支持台30に固定されることが例示されたが、その逆の場合も可能である。すなわち、負極用接触部342aが昇降部36によって昇降され、正極用接触部340aが支持台30に固定されることも可能である。
【0069】
図6aおよび図6bは、それぞれ実施例に係る測定治具と比較例に係る測定治具に電池セルに対する電荷交換抵抗(Rct)およびインダクタンスを測定した結果を示すグラフである。比較例に係る測定治具は、電池セルの正極端子と負極端子に対する電流用第1、2端子と電圧用第1、2端子が実施例とは異なり、互いに重なって一体形に構成された場合である。それぞれの測定治具によって測定された電池セルは、図4に示された円筒形電池セルである。
【0070】
図6aおよび図6bから分かるように、実施例の測定治具に電池セルのインピーダンス測定時、改善された電流用および電圧用端子によってインダクタンスを減らし、電荷交換抵抗(Rct)の歪みなしに(または歪みを改善して)インピーダンスを測定することができる。
【0071】
以上、本発明は、限定された実施例と図面によって説明したが、本発明は、これによって限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正および変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0072】
3:測定治具
5:電池セル
30:支持台
34:インピーダンス測定部
36:昇降部
340a:正極用接触部
342a:負極用接触部
3406a:第1正極用接触部
3408a:第2正極用接触部
3410a:電流用第1端子
3412a:電圧用第1端子
3414a、3416a:リード部
3418a、3420a:接続部
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b