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特開2025-155807含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025155807
(43)【公開日】2025-10-14
(54)【発明の名称】含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3554 20140101AFI20251002BHJP
   A01B 33/10 20060101ALI20251002BHJP
【FI】
G01N21/3554
A01B33/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024232705
(22)【出願日】2024-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2024052279
(32)【優先日】2024-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 秀文
【テーマコード(参考)】
2B033
2G059
【Fターム(参考)】
2B033AA05
2B033AB01
2B033AB11
2B033ED14
2G059BB04
2G059BB08
2G059CC09
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE11
2G059GG02
2G059GG03
2G059JJ11
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM05
(57)【要約】
【課題】遠い位置にある対象物の含水分を精度よく検出することができる含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】含水分測定装置は、水の吸収波長の光を照射する第1発光部と、水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部と、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部と、前記受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出する算出部と、を備え、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下であり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度である、含水分測定装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の吸収波長の光を照射する第1発光部と、
水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部と、
前記第1発光部及び前記第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部と、
前記受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出する算出部と、を備え、
前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下であり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度である、
含水分測定装置。
【請求項2】
前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記受光部を囲んだ環状に配置されている、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項3】
前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光をそれぞれ集光するボールレンズを備える、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項4】
前記第1発光部及び前記第2発光部により出射される光の照射範囲をそれぞれ調整する絞り構造をさらに備える、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項5】
前記対象物までの距離を所定範囲内に保持する保持部をさらに備える、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項6】
前記保持部が、農業機械に設けられる、
請求項5に記載の含水分測定装置。
【請求項7】
前記対象物の位置を検出する位置センサをさらに備える、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項8】
前記算出部により算出された前記対象物の含水分と、前記位置センサにより検出された前記対象物の位置を対応付けた位置含水分情報を記憶部に記憶させる、
請求項7に記載の含水分測定装置。
【請求項9】
表示装置に表示された地図情報に前記位置含水分情報が示す位置を表示させる表示制御部をさらに備える、
請求項8に記載の含水分測定装置。
【請求項10】
前記第1発光部、前記第2発光部、及び前記受光部を備える光学ユニットが、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射された光が反射する前記対象物の反射面に直交する直交軸に対して傾いて設けられ、
前記直交軸に対する前記受光光軸の傾き角βの範囲が、前記第1発光部及び前記第2発光部の放射角θ及び前記吸収波長の光と前記参照波長の光のなす角度φを用いて、
β≧θ/2+φ
により表される、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項11】
前記第1発光部及び前記第2発光部の前記直交軸に対する傾きを調整する角度調整機構を備える、
請求項10に記載の含水分測定装置。
【請求項12】
前記角度調整機構は、前記対象物の含水率が高いと想定される場合に、前記傾きを調整する、
請求項11に記載の含水分測定装置。
【請求項13】
前記吸収波長の光及び前記参照波長の光をそれぞれ通過させる第1偏光板と、前記反射光を通過させ、前記第1偏光板が前記吸収波長の光及び前記参照波長の光に対して前記反射光を90度偏光させる第2偏光板と、をさらに備える、
請求項1に記載の含水分測定装置。
【請求項14】
コンピュータが、
水の吸収波長の光を照射する第1発光部及び水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出し、
前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下となり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される前記光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度となる位置に配置されている、
含水分測定方法。
【請求項15】
コンピュータに、
水の吸収波長の光を照射する第1発光部及び水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出することを行わせ、
前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下となり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される前記光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度となる位置に配置されている、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作物の生育にあたっては、土壌の物理的性質、例えば、砕土率や含水率を把握することが重要である。土壌の含水率を測定する技術としては、例えば、誘電率測定による埋め込み型の方式、土壌を採取する方式、水の吸収波長を利用する方式のものがある。このうち、誘電率測定による埋め込み型の方式では、移動ができないという問題がある。
【0003】
土壌を採取する方式では、採取した土壌を過熱乾燥し、加熱乾燥前後の重量を比較することで、含水率を算出する。このため、測定に時間を要する問題がある。水の吸収波長を利用する方式では、例えば、タングステンランプ等の高出力光源を分光して光源としたり、分光の際に光学フィルターを回転機構により切り替えたりするものがある。このうち、高出力光源を分光して光源とするものでは、消費電力が多くなる問題があり、光学フィルターを回転機構により切り替えるものでは、機械的な脆弱性が問題となる。
【0004】
このような問題に対して、近赤外線などの光を照射し、照射した光の反射光を受光した受光部の受光出力を取得し、取得した受光出力に基づいて、水分量を検出する技術がある。このような技術は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に利用される例がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-034522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示された画像形成装置では、反射光を受光した受光部の受光出力に基づいて水分量を検出する技術を、転写紙の含水率の算出に利用している。このため、含水率を参照する対象物までの距離が数mm~数cmといった近距離にあるものを想定している。したがって、例えば、農業機械に搭載して土壌の含水率を算出するために利用しようとすると、対象物までの距離が10数cm~数10cmと遠すぎる問題がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、遠い位置にある対象物の含水分を精度よく検出することができる含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した含水分測定装置は、水の吸収波長の光を照射する第1発光部と、水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部と、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部と、前記受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出する算出部と、を備え、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下であり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度である、含水分測定装置である。
【0009】
また、前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記受光部を囲んだ環状に配置されている、ようにしてもよい。
【0010】
また、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光をそれぞれ集光するボールレンズを備える、ようにしてもよい。
【0011】
また、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ出射される光の照射範囲を調整する絞り構造をさらに備える、ようにしてもよい。
【0012】
また、前記対象物までの距離を所定範囲内に保持する保持部をさらに備える、ようにしてもよい。
【0013】
また、前記保持部が、農業機械に設けられる、ようにしてもよい。
【0014】
また、前記対象物の位置を検出する位置センサをさらに備える、ようにしてもよい。
【0015】
また、前記算出部により算出された前記対象物の含水分と、前記位置センサにより検出された前記対象物の位置を対応付けた位置含水分情報を記憶部に記憶させる、ようにしてもよい。
【0016】
また、表示装置に表示された地図情報に前記位置含水分情報が示す位置を表示させる表示制御部をさらに備える、ようにしてもよい。
【0017】
また、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射された光が反射する前記対象物の反射面に直交する直交軸に対する前記受光光軸の傾き角βの範囲が、前記第1発光部及び前記第2発光部の放射角θ及び前記吸収波長の光と前記参照波長の光のなす角度φを用いて、β≧θ/2+φにより表される、ようにしてもよい。
【0018】
また、前記第1発光部及び前記第2発光部の前記直交軸に対する傾きを調整する角度調整機構を備える、ようにしてもよい。
【0019】
また、前記角度調整機構は、前記対象物の含水率が高いと想定される場合に、前記傾きを調整する、ようにしてもよい。
【0020】
また、前記吸収波長の光及び前記参照波長の光をそれぞれ通過させる第1偏光板と、前記反射光を通過させ、前記第1偏光板が前記吸収波長の光及び前記参照波長の光に対して前記反射光を90度偏光させる第2偏光板と、をさらに備える、ようにしてもよい。
【0021】
また、上記課題を解決した含水分測定方法は、コンピュータが、水の吸収波長の光を照射する第1発光部及び水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出し、前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下となり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される前記光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度となる位置に配置されている、含水分測定方法である。
【0022】
また、上記課題を解決したプログラムは、コンピュータに、水の吸収波長の光を照射する第1発光部及び水の吸収波長に応じた参照波長の光を照射する第2発光部により照射された光が対象物に反射した反射光を受光する受光部により受光された反射光の強度に基づいて、前記対象物の含水分を算出することを行わせ、前記第1発光部及び前記第2発光部は、前記第1発光部及び前記第2発光部により照射される光の半値角がそれぞれ20度以下となり、前記第1発光部及び前記第2発光部によりそれぞれ照射される前記光の発光光軸と、前記受光部により受光される光の受光光軸とがなす角度が、前記半値角の0~0.5倍の角度となる位置に配置されている、プログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラムによれば、遠い位置にある対象物の含水分を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態の含水分測定装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】光学ユニット10の外観を示す斜視図である。
図3】光学ユニット10における第1吸収LED31、第1参照LED41、及び第2参照LED42を通る立断面図である。
図4】波長ごとの水の吸収スペクトルを示すグラフである。
図5】2点校正により得られた強度比を示すグラフである。
図6】対象物の含水分を測定する処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第1照射光及び第2照射光とフォトダイオード70が受光する光の関係を模式的に示す図である。
図8】光学ユニット10から対象物までの距離に対する第1照射光及び第2照射光の反射光の受光強度及びその強度比を示すグラフである。
図9】第2の実施形態の含水分測定装置2の構成の一例を示すブロック図である。
図10】光学ユニット10が設けられたロータリー80の斜視図である。
図11】光学ユニット10の他の取付態様の一例を示す斜視図である。
図12】光学ユニット10における吸収LED30及び参照LED40の配置の例を説明する説明図である。
図13】吸収LED30及び参照LED40の照射方向を調整する態様の一例を説明する図である。
図14】第3の実施形態の光学ユニット10が第1照射光B11及び第2照射光B12を照射し反射光を受光する状態を模式的に示す図である。
図15】第1照射光B11及び第2照射光B12が土壌に反射した状態を模式的に示す図である。
図16】土壌水分率と反射率比から予測される予測水分率に基づく関係を示す図である。
図17】最低傾き角を縦軸、土壌の表面からフォトダイオード70までの距離を横軸に示すグラフである。
図18】角度調整機構95が設けられたローラユニット85の側面図である。
図19】第4の実施形態の光学ユニット10が第1照射光及び第2照射光を照射し反射光を受光する状態を模式的に示す図である。
図20】第1偏光板51を通過した第1照射光B11及び第2照射光B12が土壌に反射した状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る含水分測定装置、含水分測定方法、及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の含水分測定装置では、第1発光部が照射した水の吸収波長の光及び第2発光部が照射した水の吸収波長に応じた参照波長が対象物に反射した反射光を受光部により受光する。第1発光部及び第2発光部により照射される光の半値角は、いずれも20度以下である。第1発光部により照射される光の発光光軸と受光部により受光される受光光軸とがなす角度は、上記の半値角の0~0.5倍である。
【0027】
含水分測定装置は、算出部において、受光部により受光された反射光の強度(受光強度)に基づいて、対象物の含水分を算出する。算出される含水分は、対象物に含まれる水分に関する指標であればよく、例えば、含水量でもよいし含水率でもよい。含水分測定装置は、算出部において含水分を算出することにより含水分を測定する。
【0028】
図1は、第1の実施形態の含水分測定装置1の構成の一例を示すブロック図である。含水分測定装置1は、例えば、光学ユニット10と、制御装置100と、を備える。光学ユニット10は、例えば、ホルダ20と、吸収LED(Light Emitting Diode)30と、参照LED40と、ボールレンズ50と、絞り構造60と、フォトダイオード70と、を備える。
【0029】
吸収LED30とは、対象物(例えば水)の吸収波長の光を発光するLEDである。参照LED40とは、対象物の周辺で対象部の吸収の少ない波長の光を発光するLEDである。以下の説明において、同一の機能を有する部材が複数ある場合には、必要に応じて第1、第2などの番号を付したり、符号の1桁台を代えたり、枝番を付したりするなどしてそれらを分けて説明する。
【0030】
図2は、光学ユニット10の外観を示す斜視図である。図3は、光学ユニット10における第1吸収LED31、第1参照LED41、及び第2参照LED42を通る立断面図である。ホルダ20は、例えば、ベース部材21と、保持部材22と、LEDホルダ23とを備える。ベース部材21は、円盤状をなしている。ベース部材21の一面側には、保持部材22が突出して設けられている。保持部材22には、中央の中央保持部22Aと、中央保持部22Aを囲んで環状に配置された周辺保持部22B1~22B6が設けられている。
【0031】
LEDホルダ23としては、中央保持部22Aに保持される中央LEDホルダ23Aと、周辺保持部22B1~22B6にそれぞれ保持される周辺LEDホルダ23B1~23B6が設けられている。中央保持部22Aにはフォトダイオード70が収容され、中央LEDホルダ23Aは、フォトダイオード70が収容された中央保持部22Aを保持する。周辺保持部22B1~22B6には吸収LED30及び参照LED40が収容され、周辺保持部22B1~22B6は、吸収LED30及び参照LED40が収容された周辺LEDホルダ23B1~23B6をそれぞれ保持する。
【0032】
吸収LED30としては、第1吸収LED31と第2吸収LED32が設けられている。吸収LED30としては、水の吸収波長、例えば、1.9μmまたは1.45μm程度の波長の光を照射するLEDが用いられる。実施形態では、1.9μmの波長を有するLEDが用いられている。第1吸収LED31は、第2周辺LEDホルダ23B2とともに第2周辺保持部22B2に保持され、第2吸収LED32は、第5周辺LEDホルダ23B5とともに第5周辺保持部22B5に保持される。吸収LED30は、第1発光部の一例である。
【0033】
参照LED40としては、第1参照LED41~第4参照LED44が設けられている。参照LED40としては、吸収LED30により照射される光(以下、第1照射光)の波長に近い波長、例えば、第1照射光の波長が1.9μmである場合には、1.6μm~2.2μmの波長の光を照射するLEDが用いられる。
【0034】
第1照射光の波長が1.45μmである場合には、参照LED40として、1.2μm~1.55μmの波長の光を照射するLEDが用いられる。実施形態では、第1参照LED41及び第3参照LED43として1.6μmの波長の光を照射するLEDが用いられ、第2参照LED42及び第4参照LED44として2.2μmの波長の光を照射するLEDが用いられる。参照LED40は、第2発光部の一例である。
【0035】
第1参照LED41及び第2参照LED42は、第1吸収LED31に隣接して配置され、第3参照LED43及び第4参照LED44は、第2吸収LED32に隣接して配置される。第1参照LED41は第1周辺LEDホルダ23B1とともに第1周辺保持部22B1に保持され、第2参照LED42は第3周辺LEDホルダ23B3とともに第3周辺保持部22B3に保持される。第3参照LED43は第4周辺LEDホルダ23B4とともに第4周辺保持部22B4に保持され、第4参照LED44は第6周辺LEDホルダ23B6とともに第6周辺保持部22B6に保持される。
【0036】
図3に示すように、第1吸収LED31、第1参照LED41、及び第2参照LED42の光照射部には、ボールレンズ50が配置される。ボールレンズ50は、その他の吸収LED30及び参照LEDの光照射部にも配置される。ボールレンズ50は、第1照射光及び参照LEDにより照射される光(以下、第2照射光)を集光する。ボールレンズ50は、フォトダイオード70の受光部にも設けられており、吸収LED30及び参照LED40の発光角とフォトダイオード70の受光角を同一にする。
【0037】
ボールレンズ50を介した吸収LED30及び参照LED40の先には、絞り構造60が設けられている。絞り構造60は、ホルダ20におけるベース部材21を穿孔して加工することにより形成されている。絞り構造60は、吸収LED30及び参照LED40により照射され、ボールレンズにより出射された光の照射範囲を調整する。
【0038】
第1照射光及び第2照射光の半値角はそれぞれ20度以下である。半値角は、吸収LED30及び参照LED40とボールレンズ50との距離、換言すれば、焦点距離からのずれにより定められる。絞り構造60が介在されることにより、余分な反射やフォトダイオード70に直接入射する迷光が低減される。絞り構造60は、設けられていなくてもよい。また、第1照射光の発光光軸(以下、第1発光光軸)と、フォトダイオード70により受光される光の受光光軸(以下、PD受光光軸)とがなす角度は、半値角の0~0.5倍の角度である。さらに、第2照射光の発光光軸(以下、第2発光光軸)と、PD受光光軸とがなす角度は、半値角の0~0.5倍の角度である。第1発光光軸とPD受光光軸がなす角度、第2発光光軸とPD受光光軸がなす角度は、いずれも同一角度である。
【0039】
フォトダイオード70は、第1照射光及び第2照射光が対象物に反射した反射光を受光する。フォトダイオード70は、受光した反射光の強度に応じた強度信号を制御回路160に出力する。強度信号には、波長の異なる反射光ごとの強度信号が含まれる。フォトダイオード70は、受光部の一例である。
【0040】
光学ユニット10は、例えば、第1照射光及び第2照射光が対象物にあたる方向を向いて配置される。対象物はどのようなものでもよいが、例えばトラクタやトラクタにけん引されるロータリーなどの農業機械が走行する土壌である。対象物が土壌である場合、含水分測定装置1は、土壌の含水分を測定する。
【0041】
第1照射光及び第2照射光は、土壌に反射して反射光となる。反射光は、光学ユニット10におけるフォトダイオード70の方向を含む方向に向いて放射される。フォトダイオード70は、放射された反射光を受光し、受光した反射光の強度に基づく強度信号を生成して制御装置100に出力する。
【0042】
図1に戻り、入出力インターフェース11は、例えば、入力インターフェースは、制御装置100と無線通信または有線通信可能なスマートフォンやパーソナルコンピュータに設けられる。スマートフォンに設けられる入出力インターフェース11は、例えば、タッチパネルより構成れる。パーソナルコンピュータに設けられる入出力インターフェース11は、例えば、入力インターフェース及び出力インターフェースを備える。
【0043】
入力インターフェースは、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、カメラ、赤外線センサ、マイク等により実現される。出力インターフェースは、例えば、ディスプレイを備える。ディスプレイは、各種情報を表示する。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0044】
制御装置100は、例えば、ドライバ群110と、増幅部120と、変換部130と、通信部150と、制御回路160と、記憶部170とを備える。ドライバ群110は、第1ドライバ111~第6ドライバ116を備える。第1ドライバ111~第6ドライバ116は、制御回路160により出力される駆動信号に基づいて、それぞれ第1参照LED41、第1吸収LED31、第2参照LED42、第3参照LED43、第2吸収LED32、及び第4参照LED44を点灯させたり消灯させたりする。
【0045】
変換部130は、フォトダイオード70により出力される強度信号の電流を制御回路160に入力可能に変換する。変換部130は、変換した強度信号を増幅部120に出力する。増幅部120は、変換部130により変換された強度信号を増幅する増幅部120は、増幅した強度信号を制御回路160に出力する。通信部150は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。
【0046】
制御回路160は、例えば、取得部161と、駆動制御部162と、算出部163とを備える。制御回路160は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性記憶媒体)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。プログラムは、通信技術を利用した変更(更新)技術(OTA: Over The Air)により更新されてもよい。
【0047】
取得部161は、フォトダイオード70により出力され、変換部130により変換され、増幅部120により増幅された反射光の強度を示す強度信号を取得する。取得部161が取得する強度信号に含まれる反射光の強度は、変換部130で変換され、増幅部120で増幅された反射強度である。
【0048】
駆動制御部162は、対象物の含水分を測定する際に、吸収LED30及び参照LED40による光の照射を制御するための駆動信号をドライバ群110に出力する。駆動制御部162は、例えば、点灯する吸収LED30及び参照LED40が順次移動するように、複数の吸収LED30及び参照LED40を個別に点灯させる。駆動制御部162は、例えば、第1参照LED41、第1吸収LED31、第2参照LED42、第3参照LED43、第2吸収LED32、第4参照LED44、第1参照LED41の順でするように駆動信号を出力する。
【0049】
算出部163は、取得部161により取得された強度信号に示される反射光の強度に基づいて、対象物の含水分を算出する。
【0050】
図4は、波長ごとの水の吸収スペクトルを示すグラフである。水の吸収スペクトルは、1450nm、1940nm、及び2900nmで高くなる。このため、水の吸収スペクトルが高くなる波長に近い光を対象物に照射し、その反射光の強度と吸収率の低い周辺の波長(参照光)の反射光の強度を測定し、その比率から、対象物の含水分を測定することができる。
【0051】
例えば、吸収LED30により照射される波長が1.9μmの光の含水率xの対象物からの反射光の強度を吸収反射光強度R19(x)、参照LED40により照射される波長が1.6μm及び2.2μmの光の反射強度をそれぞれ第1参照反射光強度R16(x)及び第2参照反射光強度R22(x)とする。算出部163は、吸収反射光強度R19(x)、第1参照反射光強度R16(x)、及び第2参照反射光強度R22(x)を用いて、下記の(1)式に示す既知のxの2点校正により直線近似する。
1-a×R19(x)/(R16(x)+b×R22(x))・・・(1)
ここで、a,bは校正係数である。
【0052】
図5は、2点校正により得られた強度比を示すグラフである。図5は、吸収反射光強度R19を示す第1曲線M1、第1参照反射光強度R16を示す第2曲線M2、及び第2参照反射光強度R22を示す第3曲線M3、及び(1)式で算出される第2近似曲線NS2を示す。算出部163は、(1)式により、対象物の含水分(含水率)を算出する。
【0053】
次に、対象物の含水分を測定する処理について説明する。図6は、対象物の含水分を測定する処理の一例を示すフローチャートである。最初の段階では、吸収LED30及び参照LED40は、すべて消灯している状態とする。制御装置100における制御回路160の駆動制御部162は、まず、第1参照LED41及び第3参照LED43を点灯させる(ステップS101)。第1参照LED41及び第3参照LED43は、点灯することにより対象物に向けて光を照射する。第1参照LED41及び第3参照LED43により照射された第2照射光は、対象物に反射して反射光を放射する。
【0054】
続いて、フォトダイオード70は、対象物により放射される反射光を受光する(ステップS103)。フォトダイオード70は、受光した反射光の強度に基づいて、強度信号を生成し、生成した強度信号を制御装置100に出力する(ステップS105)。制御装置100は、出力された強度信号を変換部130により変換し、増幅部120により増幅した後、制御回路160の取得部161により取得する。
【0055】
続いて、駆動制御部162は、第1参照LED41及び第3参照LED43を消灯させ(ステップS107)、第1吸収LED31及び第2吸収LED32を点灯させる(ステップS109)。第1吸収LED31及び第2吸収LED32は、点灯することにより対象物に向けて光を照射する。第1吸収LED31及び第2吸収LED32により照射された第1照射光は、対象物に反射して反射光を放射する。
【0056】
フォトダイオード70は、対象物により放射される反射光を受光する(ステップS111)。フォトダイオード70は、受光した反射光の強度に基づいて、強度信号を生成し、生成した強度信号を制御装置100に出力する(ステップS113)。制御装置100は、出力された強度信号を変換部130により変換し、増幅部120により増幅した後、制御回路160の取得部161により取得する。
【0057】
続いて、駆動制御部162は、第1吸収LED31及び第2吸収LED32を消灯させ(ステップS115)、第2参照LED42及び第4参照LED44を点灯させる(ステップS117)。第2参照LED42及び第4参照LED44は、点灯することにより対象物に向けて光を照射する第2参照LED42及び第4参照LED44により照射された第2照射光は、対象物に反射して反射光を放射する。
【0058】
フォトダイオード70は、対象物により放射される反射光を受光する(ステップS119)。フォトダイオード70は、受光した反射光の強度に基づいて、強度信号を生成し、生成した強度信号を制御装置100に出力する(ステップS121)。制御装置100は、出力された強度信号を変換部130により変換し、増幅部120により増幅した後、制御回路160の取得部161により取得する。その後、駆動制御部162は、第2参照LED42及び第4参照LED44を消灯させる(ステップS123)。
【0059】
続いて、算出部163は、ステップS101~ステップS123までの一連の処理(以下、計測処理)を実行した回数が200回に到達したか否かを判定する(ステップS125)。計測処理を実行した回数が200回に到達していないと判定した場合、算出部163は、計測処理を実行した回数をインクリメント(+1)して、処理をステップS101に戻す。計測回数は、200回を超えてもよいし200回未満でもよい。計測回数を増やすほど、ノイズの影響を減少させることができ、計測回数が少ないほど、計測時間を短くすることができる。
【0060】
計測処理を実行した回数が200回に到達したと判定した場合、算出部163は、実行した200回分の計測処理の結果に基づいて、対象物(土壌)の含水分を算出する(ステップS129)。このとき、算出部163は、校正時に求めた校正係数a,bを用いて、(1)式を利用して対象物(土壌)の含水分を算出する。こうして、含水分測定装置1は、図6に示す処理を終了する。
【0061】
実施形態の含水分測定装置1において、光学ユニット10は、第1照射光及び第2照射光の半値角はそれぞれ20度以下であり、第1発光光軸及び第2発光光軸と、PD受光光軸とがなす角度が、半値角の0~0.5倍の角度である。このため、対象物の大きさ(対象物までの距離)が変動しても含水分の測定が可能となる。以下、その原理について説明する。
【0062】
第1照射光及び第2照射光と、フォトダイオード70が受光する光の関係について説明する。一般に、LEDが照射する光はコヒーレント光ではないので、LEDが照射する光は放射角が狭いほど強度が高くなる。第1照射光及び第2照射光は、いずれも半値角が20度以下であり、第1照射光及び第2照射光の反射光の強度が、含水分の測定のためにフォトダイオード70が受光する光の強度として必要な強度であると想定される。
【0063】
また、吸収LED30及び参照LED40とフォトダイオード70とがなす角度は、LEDの放射角の1/2の範囲内であれば、吸収LED30及び参照LED40の照射領域とフォトダイオード70の受光領域には重なりがあることとなる。この点について、図7を参照して説明する。図7は、第1照射光及び第2照射光とフォトダイオード70が受光する光の関係を模式的に示す図である。
【0064】
例えば、第1照射光B11は、半値角の広がりを持って吸収LED30から照射されるとする。同様に、第2照射光B12は、半値角の広がりを持って参照LED40から照射されるとする。また、フォトダイオード70が第1照射光B11及び第2照射光B12の反射光を受光可能となる受光範囲B21は、第1照射光B11及び第2照射光B12と同様の広がりを持ってフォトダイオード70から遠ざかるほど広くなる。
【0065】
ここで、光学ユニット10が設けられた位置を基準位置P0として、基準位置P0に最も近い第1位置P1において、第1照射光B11の照射領域(以下、第1照射領域)SA11と、フォトダイオード70の受光領域(以下、PD受光領域)SA21、及び第2照射光B12の照射領域(以下、第2照射領域)SA12と、PD受光領域SA21は、重なる部分が生じる。このため、基準位置P0から第1位置P1までの距離より遠くにある対象物の含水分の測定が可能となり、基準位置P0から第1位置P1までの距離より光学ユニット10から遠い範囲が、含水分測定可能範囲CX1となる。
【0066】
含水分測定可能範囲CX1には、第1発光光軸と第2発光光軸とPD受光光軸の3つの光軸が交差するクロスポイントαがある。クロスポイントαより光学ユニット10側の位置に対象物があるときに、対象物の含水分の測定精度を高くすることができる。ここで、第1発光光軸とPD受光光軸、及び第2発光光軸とPD受光光軸の角度が大きく、例えば10度を超えて15度程度となると、クロスポイントαが光学ユニット10に近くなりすぎる。
【0067】
クロスポイントαが近い光学ユニット10の場合、例えば、光学ユニット10の近い位置、例えば数mm程度の位置における対象物の含水分の測定には適することがある。ところが、例えば光学ユニット10を農業機械に搭載して土壌の含水分を測定する際には、光学ユニット10から対象物である土壌までの距離が数10cm(数100mm)と大きいことから、クロスポイントαが近い光学ユニット10は、農業機械に搭載して土壌の含水分を測定する際には適しにくい。
【0068】
この点、第1の実施形態の含水分測定装置1では、ここで、第1発光光軸及び第2発光光軸と、PD受光光軸とがなす角度が、半値角の0~0.5倍の角度(0度~10度)である。このため、クロスポイントαを光学ユニット10から遠い位置、例えば、10cm程度の位置に配置することができる。
【0069】
また、第1位置P1よりも基準位置P0から遠い第2基準位置では、第1照射領域SA11とPD受光領域SA21が重なる範囲及び第2照射領域SA12とPD受光領域SA21が重なる範囲は、第1基準位置よりも広くなる。さらに、第n位置Pn(n=正の整数)では、第1照射領域SA11とPD受光領域SA21が重なる範囲及び第2照射領域SA12とPD受光領域SA21が重なる範囲は、第n-1位置Pn-1よりも広くなる。
【0070】
ここで、第1発光光軸及び第2発光光軸と、PD受光光軸とがなす角度が、半値角の0~0.5倍の角度であると、無限遠においても第1照射領域SA11及び第2照射領域SA12とPD受光領域SA21が重なる範囲が存在することとなる。このため、第1の実施形態の含水分測定装置1を農業機械に搭載して土壌の含水分を測定する際に適したものとすることができる。
【0071】
次に、フォトダイオード70による反射光の受光強度について説明する。フォトダイオード70による反射光の受光強度は、光学ユニット10と対象物との距離により変動する。図8は、光学ユニット10から対象物までの距離に対する第1照射光及び第2照射光の反射光の受光強度及びその強度比を示すグラフである。
【0072】
光学ユニット10から対象物までの距離が第1距離L1(基準位置P0から第1位置P1までの距離、P1-P0)である場合には、フォトダイオード70は、反射光を受光できないので、受光強度は0となる。第1距離L1は、例えば50mm程度である。光学ユニット10から対象物までの距離が第1距離L1を超えると、第1照射光の反射光(以下、第1反射光)の受光強度(以下、第1受光強度)PL1及び第2照射光の反射光(以下、第2反射光)の受光強度(以下、第2受光強度)PL2は、いずれも増加し、フォトダイオード70が受光した反射光の受光強度に基づく含水分の測定が可能となる。
【0073】
続いて、光学ユニット10から対象物までの距離が第2距離L2となると、第1受光強度PL1及び第2受光強度PL2はいずれも減少するが、含水分の測定に必要な受光強度を維持している。第2距離L2は、例えば、70mm程度である。さらに、光学ユニット10から対象物までの距離が第3距離L3となると、反射光の強度を測定するためのノイズレベルNLにまで到達する。この場合には、第1受光強度PL1及び第2受光強度PL2には誤差が多く含まれる可能性が高くなる。第3距離L3は、例えば、230mm程度である。
【0074】
また、光学ユニット10と対象物との距離が第1距離L1~第3距離L3となるまでの間では第1反射光及び第2反射光の強度比PBは0.1以上であり、含水分の測定に利用可能な強度比である。したがって、第1距離L1~第3距離L3の範囲までが含水分測定可能範囲CX2であることがわかる。
【0075】
第1の実施形態の含水分測定装置1は、対象物である土壌に照射した第1照射光及び第2照射光の反射光を受光し、反射光の強度に基づいて、土壌の含水分を測定する。このとき、第1照射光及び第2照射光の半値角がそれぞれ20度以下であり、第1発光光軸及び第2発光光軸と、PD受光光軸とがなす角度が、第1照射光及び第2照射光の半値角の0~0.5倍の角度である。このため、第1照射光と第2照射光の半値角が20度以下であるので、強度の高い光が無限遠でも重なり合うこととなるので、光学ユニット10の遠くにある対象物に対しても含水分の測定を行うことができる。したがって、光学ユニット10から遠い位置にある対象物の含水分を精度よく検出することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の含水分測定装置について説明する。図9は、第2の実施形態の含水分測定装置2の構成の一例を示すブロック図である。第2の実施形態の含水分測定装置2は、光学ユニット10が農業機械、例えばロータリーに設けられる点、及びGNSS(Global Navigation Satellite System)装置を備える点において第1の実施形態と主に異なる。さらに、第2の実施形態の含水分測定装置2は、制御回路160に表示制御部164が設けられる点、及び記憶部170に圃場マップ171が記憶されている点において第1の実施形態と主に異なる。
【0077】
第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の部材、要素については、同一の番号を付してその説明を省略することがある。第2の実施形態において、光学ユニットが設けられる農業機械はロータリーであるが、農業機械は自走式の機械でもよいし、トラクタなどにけん引される機械(アタッチメント)でもよく、例えば、トラクタ、コンバイン、ロータリー、プラウ、トレーラー、は種機などでもよい。
【0078】
図10は、光学ユニット10が設けられたロータリー80の斜視図である。図18には、直交座標系XYZの座標軸が表されている。X軸は、水平面(XY平面)に対して平行なロータリー80の前後方向の軸である。Y軸は、水平面に対して平行なロータリー80の左右方向の軸である。Z軸は、水平面に直交するロータリー80の高さ方向の軸である。ロータリー80は、例えば、ロータリー本体81及びローラユニット82を備える。ローラユニット82は、ロータリー本体81の後端部に設けられている。ローラユニット82は、平行リンク機構83を備える。平行リンク機構83には、ローラ84が取り付けられている。平行リンク機構83には、ローラ84とともに光学ユニット10が取り付けられている。平行リンク機構83は、光学ユニット10から土壌までの距離を所定範囲内に保持する。平行リンク機構83は、保持部の一例である。
【0079】
ローラ84は、ロータリー80の走行に伴って圃場における土壌を走行する。光学ユニット10は、原則的には、土壌から一定の間隔を置いて配置されることとなるが、土塊の大きさに応じて距離が変動する。光学ユニット10は、土壌との距離が変動する環境下で土壌の含水分を測定する。
【0080】
光学ユニット10の真上には、GNSS装置90が取り付けられている。GNSS装置90は、GNSS衛星により送信されるGNSS信号を受信することにより、GNSS装置90自身の位置を検出する。GNSS装置90は、検出した自身の位置をロータリー80及びロータリー80に取り付けられた光学ユニット10の位置を示す位置情報として制御装置100に送信する。光学ユニット10の位置は、土壌の位置に相当する。GNSS装置90は、土壌の位置を検出する。GNSS装置90は、位置センサの一例である。GNSS装置90は、取付位置との関係で、平行リンク機構83に設けられてもよいし、精度の重要度が高くない場合には、ロータリー本体81に設けられてもよい。
【0081】
制御装置100は、ロータリー80の例えば運転席の近傍に設けられてもよいし、例えば、入出力インターフェース11のディスプレイが運転席の近傍に設けられ、その他の構成要素がロータリー80の他の位置に設けられてもよい。制御装置100は、ロータリー80以外の位置、例えば、農業従事者の自宅などに設けられてもよい。この場合、光学ユニット10やGNSS装置90は、制御装置100にデータを送信する通信装置を備え、無線ネットワーク等を通じて制御装置100に情報を送信するようにしてよい。
【0082】
制御装置100の制御回路160における取得部161は、GNSS装置90により送信される位置情報を取得する。算出部163は、土壌の含水分を算出した際に、含水分を算出するための受光強度を取得したときに取得部161により取得された位置情報を土壌の含水分に対応付ける。算出部163は、位置情報を対応付けた土壌の含水分を位置含水分情報として生成し、記憶部170に記憶させる。
【0083】
表示制御部164は、各種情報を入出力インターフェース11に含まれるディスプレイに表示させるための情報を入出力インターフェース11に提供する。表示制御部164は、記憶部170に記憶された圃場マップ171を読み出し、ディスプレイに表示された圃場マップ171上に算出部163により生成された位置含水分情報が示す位置を表示させる。圃場マップ171は、地図情報の一例である。ディスプレイは、表示装置の一例である。
【0084】
第2の実施形態の含水分測定装置2は、上記第1の実施形態の含水分測定装置1と同様の作用効果を奏する。さらに、第2の実施形態の含水分測定装置2では、土壌の含水分を測定したときの光学ユニット10の位置情報を算出した含水分に対応付けることにより、GNSS装置90により検出された位置の土壌の含水分として記憶部170に記憶させる。このため、圃場の各位置における土壌の含水分を測定することができ、例えば、圃場における含水分マップを作成することができる。
【0085】
さらに、第2の実施形態の含水分測定装置2は、GNSS装置90により検出された位置の土壌の含水分を入出力インターフェース11のディスプレイにおいて、圃場マップ171上に表示させる。このため、圃場における含水分を、視覚を通じて容易に認識させやすくすることができる。
【0086】
ロータリー本体81には、他のローラユニットが取り付けられてもよい。図11は、他のローラユニット85の一例を示す斜視図である。ローラユニット85は、平行リンク機構83を備え、平行リンク機構83には、複数、たとえば2つのローラ84がロータリー80の進行方向に並べて設けられる。2つのローラ84の間には光学ユニット10が配置され、2つのローラ84が、それぞれ光学ユニット10の前後に配置されることとなる。光学ユニット10の前後にローラ84が配置されることにより、光学ユニット10から土壌までの距離を所定範囲内に精度よく保持することができる。
【0087】
上記の各実施形態において、光学ユニット10は、2つの吸収LED30及び4つの参照LED40を備えるが、光学ユニット10が備える吸収LED30及び参照LED40は、いずれ1つ以上であればよい。図12は、光学ユニット10における吸収LED30及び参照LED40の配置の例を説明する説明図である。上記の各実施形態における光学ユニット10では、図12(A)に示すように、中央にフォトダイオード70配置され、フォトダイオード70を中心として隣接する吸収LED30及び参照LED40の間の中心角が60度となるように吸収LED30及び参照LED40が等間隔で同心状に配置されている。
【0088】
例えば、吸収LED30が1つであり、参照LED40として、異なる2種類のLEDが用いられている場合には、図12(B)に示すように、隣接する吸収LED30及び参照LED40の間の中心角が120度となるように、吸収LED30及び参照LED40が等間隔で同心状に配置されていてよい。吸収LED30が1つであり、参照LED40が1つである場合には、図12(C)に示すように、隣接する吸収LED30及び参照LED40の間の中心角が180度となるように、吸収LED30及び参照LED40が等間隔で同心状に配置されていてよい。
【0089】
また、上記の各実施形態では、絞り構造60により吸収LED30及び参照LED40の照射方向を調整していたが、絞り構造60以外の構成で吸収LED30及び参照LED40の照射方向を調整してもよい。図13は、吸収LED30及び参照LED40の照射方向を調整する態様の一例を説明する図である。
【0090】
上記の各実施形態では、図13(A)に示すように、絞り構造60を設けることにより吸収LED30及び参照LED40の照射方向を調整する。これに対して、図13(B)に示すように、絞り構造を設けることなく、LEDホルダ23の角度を調整することにより、吸収LED30及び参照LED40により照射される第1照射光及び第2照射光の照射方向を調整してもよい。あるいは、図13(C)に示すように、ボールレンズ50に対する吸収LED30及び参照LED40の位置をずらして第1照射光及び第2照射光の照射方向を調整してもよい。
【0091】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の含水分測定装置は、第1の実施形態と同様の光学ユニット10を備えるが、第1の実施形態と比較して、光学ユニット10が対象物、例えば土壌の反射面に直交する直交軸、例えば鉛直軸に対する受光光軸の傾き角βの範囲が異なる。第1の実施形態では、吸収LED30及び参照LED40により照射された第1照射光及び第2照射光が反射する土壌の反射面に直交する直交軸、例えば鉛直軸に対して受光光軸が平行であり、鉛直軸に対する受光光軸の傾き角βが0度である。これに対して、第3の実施形態では、吸収LED30及び参照LED40及びフォトダイオード70を備える光学ユニット10が、吸収LED30及び参照LED40により照射された第1照射光及び第2照射光が鉛直軸に対して傾いて設けられる。鉛直軸に対する受光光軸の傾き角βは、第1発光部及び第2発光部の放射角θ及び吸収波長の光(第1照射光)と参照波長の光(第2照射光)のなす角度φを用いて下記(2)式に示す範囲とされる。
β≧θ/2+φ ・・・(2)
【0092】
図14は、第3の実施形態の光学ユニット10が第1照射光B11及び第2照射光B12を照射し反射光B31を受光する状態を模式的に示す図である。図14では、水分測定装置の第1照射光及び第2照射光の反射光の受光光軸B22が鉛直軸VAから傾いて設置された含水分測定装置における吸収LED30及び参照LED40からそれぞれ照射される第1照射光B11及び第2照射光B12とフォトダイオード70が受光する反射光の受光光軸B22の関係を模式的に示している。
【0093】
フォトダイオード70が受光する反射光は、例えば、第1照射光B11及び第2照射光B12から照射された光が土壌に反射した光のうち、フォトダイオード70の受光範囲B21に含まれる光である。鉛直軸VAは、対象物である土壌Gの表面に直交する軸である。鉛直軸VAに対する受光光軸B22の傾き角βは、例えば、反射光B31の受光光軸B22と鉛直軸VAがなす角度である。
【0094】
第1発光部及び前記第2発光部の放射角θは、例えば、吸収LED30が照射する第1照射光B11(図7参照)及び参照LED40が照射する第2照射光B12の広がり角度である。第1照射光と第2照射光のなす角度φは、例えば、吸収LED30が照射する第1照射光B11の光軸である第1照射光軸B11Cと、参照LED40が照射する第2照射光B12の光軸である第2照射光軸B12Cがなす角度である。
【0095】
図15は、第1照射光B11及び第2照射光B12が土壌に反射した状態を模式的に示す図である。図15の上段には、図7に示す第1の実施形態の含水分測定装置における受光光軸B22(図14)が、鉛直軸VAの水平となるように設置された含水分測定装置における第1照射光B11及び第2照射光B12が低含水土壌G1に反射した状態を示す。
【0096】
図15の中段には、上段に示した状態と同様に設置された含水分測定装置における第1照射光B11及び第2照射光B12が高含水土壌G2に反射した状態を示す。図15の下段には、含水分測定装置における受光光軸B22が、鉛直方向から傾いて設置された含水分測定装置における第1照射光B11及び第2照射光B12が高含水土壌G2に反射した状態を示す。
【0097】
低含水土壌G1は、土壌の水分率(含水率)が例えば30%未満と低い(高くない)土壌である。高含水土壌G2は、例えば土壌の水分率(含水率)が例えば30%以上と高い土壌である。また、以下の説明においては、主に表面での反射が少ない土壌中で水分の吸収を受けた光を散乱光RLと称し、主に土壌に含まれる水分により反射する光を直接反射光RSと称する。
【0098】
図15の上段に示すように、低含水土壌G1に第1照射光B11及び第2照射光B12が照射された場合、直接反射光RSはほとんど生じない。このため、フォトダイオード70に到達する光に直接反射光RSが含まれる割合は低く、フォトダイオード70により受光される反射光B31には、多くの散乱光RLが含まれることとなる。したがって、第1照射光B11及び第2照射光B12を照射した場合の低含水土壌G1の反射光B31では、散乱光RLの成分の比率が高くなる。その結果、含水分測定装置では、低含水土壌G1に対する測定精度を高くすることができる。
【0099】
図15の中段に示すように、高含水土壌G2に第1照射光B11及び第2照射光B12が照射された場合、反射光の強度が高くなる。このため、フォトダイオード70に到達する反射光B31に直接反射光RSが含まれる割合が高くなる。このとき、第1照射光B11及び第2照射光B12を照射した場合の高含水土壌G2の反射光B31では、直接反射光RSの成分の比率が高くなる。その結果、含水分測定装置では、高含水土壌G2に対する測定精度が低くなる傾向が生じる。
【0100】
図15の下段に示すように、受光光軸B22が鉛直方向から傾いて設置された含水分測定装置から高含水土壌G2に第1照射光B11及び第2照射光B12が照射された場合、直接反射光RSは、主にフォトダイオード70の方向とは異なる方向を向く。このため、フォトダイオード70に到達する反射光B31に直接反射光RSが含まれる割合が低くなり、反射光B31には多くの散乱光RLが含まれることとなる。したがって、含水分測定装置における受光光軸B22が、鉛直方向から傾いて設置された含水分測定装置では、高含水土壌G2に対する測定精度を高くすることができる。
【0101】
図16は、土壌水分率と反射率比から予測される予測水分率に基づく関係を示す図である。図16には、2種類の土質の土壌、ここでは土質Aの土壌と土質Bの土壌の土壌水分率と予水分率との関係、両者の検量線、及びそれぞれの土質の土壌水分率と予測水分率の誤差を示す。土壌水分率は、例えばJIS規格等に基づく任意の測定法を用いて測定した。予測水分量は、例えば、第1の実施形態の含水分測定装置を用いて計測された反射光B31の反射率比に基づいて算出した。
【0102】
図16から分かるように、土壌水分率が低く、例えば30%未満の領域では、土質Aの土壌及び土質Bの土壌ともに予測水分率が直線状の検量線におおよそ沿った形となり、誤差についてもおおよそ±2%程度の範囲に収まった。これに対して、土壌水分率が高くなり、例えば30%を超えたあたりでは、土質A及び土質Bの土壌の予測水分率が土壌水分率よりも低くなる傾向が見られた。さらに、含水率が38%では、液状化が見られて表面に水が見え初めて表面に水が張り、表面反射の影響により、反射率が乱れてくる。このため、土質A及び土質Bの土壌の予測水分率が直線状の検量線から大きくずれて、それぞれの土質の土壌水分率と予測水分率の誤差も-5%から-10%と大きくなった。
【0103】
上記(2)式は、図14に示す発光部(吸収LED30、参照LED40)とフォトダイオード70との間の間隔l、土壌の表面からフォトダイオード70までの距離z0を用いて導出できる。例えば、(3)式及び(4)式により、変数k,k′を定義すると、傾き角βは、下記(5)式及び(6)式を満たす必要がある。(5)式は、吸収LED30により照射される第1照射光に対する傾き角βの定義であり、(6)式は、参照LED40により照射される第2照射光に対する傾き角βの定義である。
【数1】
【0104】
図17は、最低傾き角を縦軸、土壌の表面からフォトダイオード70までの距離を横軸に示すグラフである。図17に示すグラフは、θ=10度、φ=5度に設定したときのものである。最低傾き角は、直接反射光がフォトダイオード70に入らない傾き角βの最低値である。図17中の第1グラフGF1は、(5)式の不等号を等号に代えた式をグラフ化したものであり、第2グラフGF2は、(6)式の不等号を等号に代えた式をグラフ化したものである。第3グラフGF3は、(2)式の不等号を等号に代えた式をグラフ化したものである。
【0105】
図17に示すグラフにおいて、最低傾き角と土壌の表面からフォトダイオード70までの距離の関係が、第1グラフGF1よりも上方の領域であり、第2グラフGF2の上方の領域にあるときに、直接反射光がフォトダイオード70に入らないようになる。第3グラフGF3は、土壌の表面からフォトダイオード70までの距離が40mmを超えるあたりからこの領域に含まれる。したがって、(2)式を満たすことで、直接反射光がフォトダイオード70に入らないようにできることがわかる。
【0106】
傾き角βは、例えば、光学ユニット10を水平軸周りに揺動させることにより調整できる。光学ユニット10は、例えば、角度調整機構により揺動されることにより角度調整される。角度調整機構は、例えば、図12に示すローラユニット85と同様に設けられる。図18は、角度調整機構95が設けられたローラユニット85の側面図である。
【0107】
ローラユニット85について補足すると、ローラユニット85は、例えば、前後に配置された1組のローラ84を支持する第1フレーム86及び第2フレーム87を備える。第1フレーム86は、ローラ84の回転軸が設けられた高さと略同じ高さに設けられ、第2フレーム87は、第1フレーム86の上方に設けられる。
【0108】
第1フレーム86は、右側フレームと左側フレームを備えており、右側フレームと左側フレームの間に角度調整機構95が掛け渡されて設けられている。角度調整機構95の下面には、光学ユニット10が取り付けられている。第2フレーム87は、上面視して第1フレーム86における右側フレームと左側フレームの略中央位置に配置される。第2フレーム87には、GNSS装置90が設けられている。
【0109】
角度調整機構95は、ローラ84の回転軸に沿った軸(X軸)周り及び水平面内でローラ84の回転軸の直交する軸(Y軸)周りに揺動可能に光学ユニット10を支持している。角度調整機構95は、対象物である土壌の含水率が高いと想定される場合に、光学ユニット10の傾き(吸収LED30、参照LED40、及びフォトダイオード70の傾き)を調整する。
【0110】
土壌の含水率が高いと想定されるか否かは、例えば、作業員が目視で行ってもよいし、GNSS装置90の測定結果や季節、気温、天候などの外的要因に基づいて判定してもよい。角度調整機構95は、揺動させた光学ユニット10を任意のまたは所定の揺動角度の位置で固定するストッパを設けてもよい。
【0111】
第3の実施形態の含水分測定装置によれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、第3の実施形態の含水分測定装置は、吸収LED30、参照LED40、及びフォトダイオード70を備える光学ユニット10が土壌の反射面に直交する鉛直軸に対して傾いて設けられ、前記直交軸に対する前記受光光軸の傾き角βの範囲が、上記の(2)式により表される範囲に調整される。このため、土壌の含水率が高い場合でも、フォトダイオード70に対する吸収LED30及び参照LED40の直接反射光の入射を抑制できる。したがって、散乱光の成分を高い比率で利用して土壌の含水分を測定できるので、高含水土壌に対する含水分の測定精度を高くすることができる。
【0112】
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の含水分測定装置は、第1の実施形態と比較して、光学ユニット10における吸収LED30及び参照LED40が照射する第1照射光及び第2照射光を偏光させる第1偏光板と、フォトダイオード70が受光する反射光B31を偏光させる第2偏光板を備える点で主に異なる。
【0113】
図19は、第4の実施形態の光学ユニット10が第1照射光及び第2照射光を照射し反射光を受光する状態を模式的に示す図である。第4の実施形態の光学ユニット10は、第1偏光板51及び第2偏光板52を備える。第1偏光板51は、吸収LED30及び参照LED40の下方に設けられ、第2偏光板52は、フォトダイオード70の下方に設けられる。
【0114】
第1偏光板51は、吸収LED30により照射される第1照射光B11及び参照LED40により照射される第2照射光B12をそれぞれ通過させる。第2偏光板52は、第1照射光B11及び第2照射光B12が土壌Gにより反射され、フォトダイオード70に入射する反射光B31を通過させる。第1偏光板51は、第1照射光B11及び第2照射光B12をそれぞれ特定の方向に偏光させる。第2偏光板52は、第1照射光B11及び第2照射光B12に対して反射光B31を90度偏光させる。
【0115】
図20は、第1偏光板51を通過した第1照射光B11及び第2照射光B12が土壌に反射した状態を模式的に示す図である。第1偏光板51を通過した第1照射光B11及び第2照射光B12は、第1偏光板51により例えば第1の方向の偏光されており、土壌Gに反射した散乱光RL及び土壌の表面の水分等に反射した直接反射光RSも第1の方向に偏光する。反射光B31には、散乱光RLの成分及び直接反射光RSの成分が含まれるが、反射光B31は、第2偏光板52を通過する。第2偏光板52は、反射光B31を第1の方向に対して90度偏光させる。このため、第2偏光板52を通過してフォトダイオード70に到達する反射光B31では、直接反射光RSの成分が減衰されて、散乱光RLの成分の割合が高くなる。その結果、含水分測定装置では、低含水土壌に対する測定精度を高くすることができる。
【0116】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0117】
1,2 含水分測定装置
10 光学ユニット
11 入出力インターフェース
20 ホルダ
21 ベース部材
22 保持部材
22A 中央保持部
22B1~22B6 周辺保持部
23 LEDホルダ
23A 中央LEDホルダ
23B1~23B6 周辺LEDホルダ
30 吸収LED
31 第1吸収LED
32 第2吸収LED
40 参照LED
41 第1参照LED
42 第2参照LED
43 第3参照LED
44 第4参照LED
50 ボールレンズ
60 絞り構造
70 フォトダイオード
80 ロータリー
81 ロータリー本体
82,85 ローラユニット
83 平行リンク機構
84 ローラ
86 第1フレーム
87 第2フレーム
90 GNSS装置
95 角度調整機構
100 制御装置
110 ドライバ群
111~116 第1ドライバ~第6ドライバ
120 増幅部
130 変換部
150 通信部
160 制御回路
161 取得部
162 駆動制御部
163 算出部
164 表示制御部
170 記憶部
171 圃場マップ
B11 第1照射光
B11C 第1照射光軸
B12 第2照射光
B12C 第2照射光軸
B21 受光範囲
B22 受光光軸
B31 反射光
CX1,CX2 含水分測定可能範囲
M1 第1曲線
M2 第2曲線
M3 第3曲線
NL ノイズレベル
NS1 第1近似曲線
NS2 第2近似曲線
P0 基準位置
P1 第1位置
PB 強度比
PL1 第1受光強度
PL2 第2受光強度
R16 第1参照反射光強度
R19 吸収反射光強度
R22 第2参照反射光強度
SA11 第1照射領域
SA12 第2照射領域
SA21 PD受光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20