(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162282
(43)【公開日】2025-10-27
(54)【発明の名称】延長トレイ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H  31/22        20060101AFI20251020BHJP        
   B65H  31/26        20060101ALI20251020BHJP        
   G03G  15/00        20060101ALI20251020BHJP        
【FI】
B65H31/22 
B65H31/26 
G03G15/00 440 
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065473
(22)【出願日】2024-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村  邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野  剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村  英明
(72)【発明者】
【氏名】松井  秀彰
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
【Fターム(参考)】
2H072FB02
2H072FB06
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BC14
3F054BG08
3F054BG11
(57)【要約】
【課題】延長トレイを容易に着脱できるようにする。
【解決手段】シートトレイ12に対してシートの長さ方向へ延長するように装着される延長トレイ20であって、シートトレイ12が内部に収容されるようにシートトレイ12に装着される装着部22を有し、装着部22はシートトレイ12に対して抜き差し可能に構成される。
【選択図】
図7
 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  シートトレイに対してシートの長さ方向へ延長するように装着される延長トレイであって、
  前記シートトレイが内部に収容されるように前記シートトレイに装着される装着部を有し、
  前記装着部は前記シートトレイに対して抜き差し可能に構成されることを特徴とする延長トレイ。
【請求項2】
  前記延長トレイ上に載置されるシートの長さ方向の一端と幅方向の両端に接触して前記シートの落下を防止するストッパ部を有する請求項1に記載の延長トレイ。
【請求項3】
  前記シートの長さ方向の一端に接触する前記ストッパ部は、前記延長トレイが前記シートトレイに装着される際にシートトレイ側の部材に突き当たる突き当て部である請求項2に記載の延長トレイ。
【請求項4】
  前記シートトレイに対する着脱時に把持される取手部を有する請求項1に記載の延長トレイ。
【請求項5】
  前記取手部は、前記延長トレイ上のシートが載置される領域よりも前記シートの幅方向の両外側にそれぞれ複数設けられる請求項4に記載の延長トレイ。
【請求項6】
  前記取手部は、前記延長トレイ上に載置されるシートの幅方向の両端に接触して前記シートの落下を防止するストッパ部である請求項4に記載の延長トレイ。
【請求項7】
  前記延長トレイを吊り下げ保持する吊り下げ保持部を備える請求項1に記載の延長トレイ。
【請求項8】
  前記延長トレイの少なくとも一部がプラスチックダンボールにより構成される請求項1に記載の延長トレイ。
【請求項9】
  シートトレイと、
  前記シートトレイに対して前記シートの長さ方向へ延長するように装着される請求項1に記載の延長トレイと、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
         
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、延長トレイ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
  複写機又はプリンタなどの画像形成装置においては、紙などのシートが載置されるシートトレイが設けられている。
【0003】
  例えば、特許文献1(特開平9-86766号公報)においては、画像形成装置から排出された用紙を積載する排紙トレイとして、画像形成装置の排紙受け台に複数積み重ねて取り付けられ、その後、積載された用紙に触れずに排紙受け台から取り外すことができる排紙トレイが提案されている。
【0004】
  ところで、通常のシートトレイとは別に、長尺シートを載置するための延長トレイをオプションとして到着可能に構成されている画像形成装置がある。このような画像形成装置においては、延長トレイの着脱を容易に行えることが望まれるが、特許文献1においては、延長トレイの着脱容易性については検討されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  そこで、本発明においては、延長トレイを容易に着脱できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
  上記課題を解決するため、本発明は、シートトレイに対してシートの長さ方向へ延長するように装着される延長トレイであって、前記シートトレイが内部に収容されるように前記シートトレイに装着される装着部を有し、前記装着部は前記シートトレイに対して抜き差し可能に構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
  本発明によれば、延長トレイを容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
            【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
 
            【
図2】本発明の第1実施形態に係るシート排出部の概略構成図である。
 
            【
図3】本発明の第1実施形態に係る延長トレイの斜視図である。
 
            【
図4】本発明の第1実施形態に係るシート載置部と装着部とを固定する留め具の拡大図である。
 
            【
図5】本発明の第1実施形態に係る突き当て部を固定する留め具の拡大図である。
 
            【
図6】本発明の第1実施形態に係る延長トレイの着脱方法を説明するための図である。
 
            【
図7】本発明の第1実施形態に係る延長トレイの着脱方法を説明するための図である。
 
            【
図8】本発明の第1実施形態に係る延長トレイにシートが載置された状態を示す斜視図である。
 
            【
図9】本発明の第1実施形態に係る吊り下げ保持部の斜視図である。
 
            【
図10】本発明の第1実施形態に係る延長トレイを吊り下げ保持部を用いて画像形成装置本体に吊り下げ保持した状態を示す図である。
 
            【
図11】本発明の第2実施形態に係る延長トレイの斜視図である。
 
            【
図12】本発明の第3実施形態に係る延長トレイの斜視図である。
 
            【
図13】供給トレイに着脱される延長トレイを備える画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付し、一度説明した後ではその説明を省略する。
【0010】
<画像形成装置の全体構成>
  図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
 
【0011】
  図1のように、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置1000は、シート供給部100と、画像形成部200と、シート排出部300とを備える。
 
【0012】
  シート供給部100は、シートを画像形成部200へ供給する部分である。シート供給部100によって供給されるシートとしては、普通紙、厚紙、はがき、封筒、薄紙、コート紙、アート紙などの用紙のほか、OHPシート、布帛、金属シート、プラスチックフィルム、あるいは炭素繊維にあらかじめ樹脂を含浸させたプリプレグシートなどが含まれる。また、シートは、A4、A3などの各種定型サイズのシートのほか、定型サイズよりも長い長尺シートなどであってもよい。
【0013】
  画像形成部200は、シート供給部100から供給されるシートに対して画像を形成する部分である。画像形成方式としては、例えば、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式などが挙げられる。電子写真方式は、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは外部端末から指示されたプリント画像情報に基づいてトナー画像を形成し、トナー画像をシートに転写した後、シートを加熱及び加圧することによりシートにトナー画像を定着させる方式である。また、画像形成方式として、電子写真方式のほか、シートにインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式などを採用してもよい。また、シートに形成される画像は、文字及び図形などの意味を持つ画像のほか、パターンなどの意味を持たない画像であってもよい。
【0014】
  シート排出部300は、画像が形成されたシートを装置外に排出する部分である。画像形成部200においてシートに画像が形成されると、シートがシート排出部300へ搬送され装置外へ排出される。また、シート排出部300は、シート排出機能に加え、パンチ加工、表紙成型など、シートに後処理を施す後処理機能を有するものであってもよい。
【0015】
  本発明の第1実施形態においては、シート供給部100、画像形成部200、シート排出部300が、互いに独立して設置される個別のユニットとして構成されているが、これらは一体のユニットとして構成されるものであってもよい。また、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリのほか、これらのうちの二つ以上の機能を有する複合機などであってもよい。
【0016】
<シート排出部の構成>
  続いて、本発明の第1実施形態に係るシート排出部の構成について説明する。
【0017】
  図2は、本発明の第1実施形態に係るシート排出部の概略構成図である。
 
【0018】
  図2のように、シート排出部300は、シート1を装置外に排出する一対の排出ローラ11と、排出されたシート1を載置するシートトレイ12と、シートトレイ12を昇降させるトレイ昇降機構13とを備える。
 
【0019】
  トレイ昇降機構13は、複数のプーリ16,17に掛け渡されたベルト14と、駆動モータ15と、駆動モータ15の駆動力を複数のプーリ16,17のうちの1つのプーリ16に伝達するギヤ列18などを有する。シートトレイ12は、ベルト14に取り付けられている。駆動モータ15が正逆方向に回転駆動すると、駆動モータ15の駆動力がギヤ列18を介してプーリ16に伝達され、ベルト14が周回走行することにより、シートトレイ12が
図2中の矢印A方向へ昇降する。
 
【0020】
  シートトレイ12は、画像形成動作が開始される際、昇降可能な範囲内の上方の待機位置にて待機する。その後、画像形成動作の開始に伴ってシートトレイ12上にシート1が排出されると、シートトレイ12上に載置されるシート1の枚数に応じてシートトレイ12が降下する。これにより、排出されるシート1とシートトレイ12上のシート1との干渉が回避され、シート1が良好に排出されると共に、シートトレイ12上にシート1が良好に載置される。
【0021】
  <長尺シートを用いる場合の課題>
  ここで、長尺シートを用いる場合の課題について説明する。
【0022】
  長尺シートは、例えば、ブックカバー、カタログの見開きページ、POP(Point of purchase advertising)広告などの印刷に用いられ、一般的に700mm~1200mm程度の長さのものが流通している。このような長尺シートは、画像形成装置へのセット時、及び、画像形成後の運搬時におけるハンドリング性が悪いことに加え、A4などの定型サイズのシートを載置する標準装備のトレイでは載置できないため、標準装備のトレイよりも長い延長トレイを設置する必要がある。
【0023】
  しかしながら、これまでの延長トレイの設置作業は、標準装備のトレイを取り外してから延長トレイを取り付ける面倒な作業であるため、サービスマンによって行われることが一般的であった。従って、一旦延長トレイが取り付けられると、その後、延長トレイが必要なくなっても、そのまま延長トレイを使用し続けるため、不要な延長トレイの設置に伴う設置スペースの増大を招くことになる。また、あらかじめ延長トレイを準備しておいても、トレイの交換作業が面倒なため、延長トレイが使用されない場合もある。
【0024】
  さらに、あらかじめ延長トレイを準備しておく場合には、延長トレイの保管場所を確保しなければならないが、画像形成装置の周辺に延長トレイの保管場所を確保し難い場合は、別の場所での延長トレイを保管することを余儀なくされる。その場合、延長トレイが必要になったときは、延長トレイを保管場所から運んで来なければならないため、延長トレイを設置する手間と時間が増え、効率的な設置作業を行えない課題がある。
【0025】
  このように、長尺シートを用いるにあたっては、画像形成装置へのセット時、及び、画像形成後の運搬時のシートのハンドリング性の課題のほか、延長トレイを設置する際の着脱容易性に関する課題、さらには、延長トレイを使用しないときの保管場所に関する課題がある。
【0026】
  そこで、本発明の第1実施形態においては、上記課題を解決するため、次のような延長トレイの構成を提案する。以下、本発明の第1実施形態に係る延長トレイの構成について説明する。
【0027】
<延長トレイの構成>
  図3は、本発明の第1実施形態に係る延長トレイの斜視図である。
 
【0028】
  図3において、矢印Xは、延長トレイ20上に載置されるシート1の長さ方向を示す。また、矢印Yは、延長トレイ20上に載置されるシート1の長さ方向Xとは直交又は交差する方向である幅方向を示す。なお、ここでいうシート1の長さ方向Xとは、シート1の供給方向、搬送方向、又は排出方向に沿ったシート1の寸法方向を意味する。また、
図3において、二点鎖線にて示されるシート1は、延長トレイ20上に載置されるシートの一例を示すものであり、延長トレイ20上には、
図3に示されるシート1のほか、その他の種々サイズのシートも載置可能である。
 
【0029】
  図3のように、本発明の第1実施形態に係る延長トレイ20は、シート載置部21と、装着部22と、取手部23などを有する。
 
【0030】
  シート載置部21は、排出されるシート1を載置する部分である。シート載置部21は、A4などの定型サイズのシートよりも長い長尺シート(例えば、長さが700mm~1200mm程度のシート)であっても載置できるように、シート1の長さ方向Xに向に渡って長手状に延在する略長方形の平板部材によって構成される。
図3におけるシート載置部21の上面は、シート1を載置する載置面21bとして機能する。
 
【0031】
  装着部22は、延長トレイ20をシート排出部300に設置する際に、シートトレイ12に対して装着される部分である。装着部22は、内部が空洞に形成された扁平な角筒形状又は箱状に形成される。装着部22は、シート載置部21の載置面21bとは反対側の面(
図3におけるシート載置部21の下面)に対して留め具24により複数個所で固定されている。
 
【0032】
  また、装着部22の装着方向X1の端部には、延長トレイ20の装着時にシートトレイ12が挿入される開口部22aが形成されている。なお、ここでいう装着方向X1は、シートトレイ12に対する延長トレイ20の装着方向を意味し、シート1の長さ方向とは平行であって、シート排出方向とは反対方向の関係にある。また、
図3において、装着方向X1とは反対方向の矢印X2は、シートトレイ12に対して延長トレイ20を取り外す際の離脱方向を示す。
 
【0033】
  取手部23は、シート1の幅方向Yにおける延長トレイ20の両端側にそれぞれ複数設けられる。詳しくは、取手部23は、延長トレイ20(シート載置部21)上のシート1が載置される領域よりもシート1の幅方向Yの両外側にそれぞれ複数設けられている。この場合、取手部23は、シート1の幅方向Yの両外側にそれぞれ3つずつ設けられているが、取手部23の数は3つに限らず適宜変更可能である。
【0034】
  また、シート載置部21の装着方向X1の端部には、一対の突き当て部25が設けられている。突き当て部25は、延長トレイ20がシートトレイ12に装着される際にシートトレイ12側の部材に突き当たって延長トレイ20を位置決めする位置決め部として機能する。また、シート載置部21の突き当て部25側の端部とは反対側の端部である離脱方向X2の端部には、保管時に延長トレイ20を吊り下げ保持するための孔部21aが設けられている。
【0035】
  図4は、本発明の第1実施形態に係るシート載置部21と装着部22とを固定する留め具24の拡大図である。
 
【0036】
  図4のように、留め具24は、シート載置部21及び装着部22を重ねた状態で貫通する2つの結合部材240により構成される。2つの結合部材240は、それぞれ、頭部241と、頭部241よりも小さい径の軸部242とを有する。2つの結合部材240の軸部242同士がシート載置部21及び装着部22を貫通した状態で互いに結合されると、それぞれの頭部241によってシート載置部21及び装着部22が挟まれることにより、シート載置部21と装着部22とが固定される。また、シート載置部21と装着部22とを固定する方法としては、このような留め具24を用いた固定方法のほか、ねじによる締結、接着など、他の固定方法を採用してもよい。
 
【0037】
  図5は、本発明の第1実施形態に係る突き当て部25を固定する留め具24の拡大図である。
 
【0038】
  図5のように、突き当て部25は、
図4に示される留め具24と同じ留め具24を用いてシート載置部21に固定される。また、突き当て部25は、L字型に屈曲しているため、突き当て部25がシート載置部21に固定されると、突き当て部25の一部がシート載置部21の載置面21bよりもシート積載方向(
図5における上方)へ突出するように配置される。
 
【0039】
<延長トレイの着脱方法>
  続いて、本発明の第1実施形態に係る延長トレイの着脱方法について説明する。
【0040】
  延長トレイ20をシートトレイ12に装着するには、まず、
図6のように、装着部22の開口部22aがシートトレイ12の方向を向くように延長トレイ20を配置する。そして、装着部22の開口部22aがシートトレイ12の先端に接近するように、延長トレイ20を装着方向X1へ移動させる。
 
【0041】
  延長トレイ20を装着方向X1へ移動させると、
図7のように、シートトレイ12が開口部22aを通して装着部22内へ挿入され、延長トレイ20がシートトレイ12によって支持される。また、延長トレイ20の突き当て部25がシートトレイ12を上下方向にガイドするガイド板26の部材に突き当たることにより、延長トレイ20の位置決めがなされる。これにより、延長トレイ20の装着が完了し、長トレイ20がシートトレイ12に対してシートの長さ方向へ延長するように装着される。
 
【0042】
  また、
図7のように、延長トレイ20がシートトレイ12に対して装着された状態では、突き当て部25が一対の排出ローラ11のニップ部よりも下方に配置されるため、シートの排出が突き当て部25によって妨げられることはない。なお、突き当て部25が突き当たる部材は、ガイド板26のほか、シート排出部300の外装部、あるいはシートトレイ12の一部であってもよい。すなわち、突き当て部25が突き当たる部材は、シートトレイ12側の部材であればよい。
 
【0043】
  また、延長トレイ20を取り外す場合は、延長トレイ20の装着時とは逆に、延長トレイ20をシートトレイ12に対して離脱方向X2(
図7参照)へ引き抜けばよい。
 
【0044】
  このように、本発明の第1実施形態においては、延長トレイ20がシートトレイ12に対して抜き差し可能に構成されていることにより、延長トレイ20の着脱を容易に行うことができる。これにより、サービスマンによる作業を頼まなくても使用者が自ら延長トレイ20を着脱して使用できるようになる。また、使用者が望むタイミングで延長トレイ20の着脱も行えるため、利便性が向上する。
【0045】
  また、本発明の第1実施形態に係る延長トレイ20を用いれば、印刷後の長尺シートの運搬も行いやすくなる。すなわち、
図8のように、シート1(シート束)が載置された状態で延長トレイ20をそのまま離脱方向X2へ引き抜くことにより、シート1を延長トレイ20上に載置したまま運搬することができる。このとき、シート1が撓んだり折れたりすることがなく、運搬による画像品質の低下を回避できる。
 
【0046】
  また、本発明の第1実施形態においては、取手部23が延長トレイ20に設けられているため、使用者(作業者)が取手部23を把持することにより延長トレイ20の着脱及び運搬を行いやすくなる。また、取手部23は複数設けられているので、延長トレイ20上のシート1(シート束)の重心位置に応じて把持する取手部23の位置を変更することにより、延長トレイ20を安定した姿勢で取り外したり、運搬したりできるようになる。
【0047】
  また、本発明の第1実施形態においては、取手部23及び突き当て部25が、運搬時にシート1の落下を防止するストッパ部として機能する。すなわち、
図8のように、取手部23及び突き当て部25は、シート載置部21の載置面21bよりも上方へ突出しているので、運搬時にシート1が移動しても、シート1の端が取手部23又は突き当て部25に突き当たることにより、シート1の落下が防止される。この場合、取手部23は、シート1の幅方向Yの両端に接触してシート1の落下を防止する幅方向ストッパ部として機能し、突き当て部25は、シート1の長さ方向Xの後端(シート排出方向の後端)に接触してシート1の落下を防止する後端ストッパ部として機能する。このように、本発明の第1実施形態においては、取手部23及び突き当て部25によって運搬時のシート1の落下を防止できるため、シート1の運搬が行いやすくなる。また、取手部23及び突き当て部25がストッパ部としての機能を兼ねることにより、別途ストッパ部を設けなくてもよくなるので、構成の簡素化も図れる。
 
【0048】
<延長トレイの保管方法>
  続いて、本発明の第1実施形態に係る延長トレイの保管方法について説明する。
【0049】
  図9は、本発明の第1実施形態に係る吊り下げ保持部の斜視図である。また、
図10は、本発明の第1実施形態に係る延長トレイを吊り下げ保持部を用いて画像形成装置本体に吊り下げ保持した状態を示す図である。
 
【0050】
  図9及び
図10のように、本発明の第1実施形態に係る延長トレイ20は、延長トレイ20を画像形成装置本体1001の外装部に吊り下げ保持するための吊り下げ保持部27を有する。吊り下げ保持部27は、シート載置部21の孔部21aに挿入される挿入部27aと、画像形成装置本体1001の凸状の取付部30に対して係合するフック状の係合部27bと、画像形成装置本体1001の側面29に対して接触する支持部27cとを有する。
 
【0051】
  図10のように、吊り下げ保持部27の挿入部27aがシート載置部21の孔部21aに挿入された状態で、吊り下げ保持部27の係合部27bが画像形成装置本体1001の取付部30に係合することにより、延長トレイ20が吊り下げ保持部27を介して画像形成装置本体1001に吊り下げ保持される。また、このとき、吊り下げ保持部27の支持部27cが画像形成装置本体1001の側面29に接触することにより、係合部27bを中心とする吊り下げ保持部27の回転(
図10の反時計回りの回転)が規制され、延長トレイ20の姿勢が安定する。
 
【0052】
  このように、本発明の第1実施形態においては、吊り下げ保持部27を用いて延長トレイ20を画像形成装置本体1001に吊り下げ保持することができるため、延長トレイ20を画像形成装置本体1001の周辺に保管しておくことができる。また、延長トレイ20の設置が必要な場合は、延長トレイ20を画像形成装置本体1001から取り外して迅速に設置できるため、設置作業の効率化を図れる。しかも、本発明の第1実施形態においては、延長トレイ20をその長手方向が延長方向を向くように縦向きの状態で吊り下げ保持することができるので、保管場所の省スペース化も図れる。このため、画像形成装置の周辺に保管スペースを確保しにくい場合でも、延長トレイ20を保管できるようになる。なお、延長トレイ20は、画像形成装置本体1001に吊り下げ保持されるほか、その他の場所に吊り下げ保持されてもよい。延長トレイ20を吊り下げ保持する場所は、画像形成装置の設置スペース又は設置場所のレイアウトなどに応じて適宜選択可能である。
【0053】
  以上のように、本発明の第1実施形態によれば、延長トレイの着脱及びシートの運搬を行いやすくすることができると共に、延長トレイの保管を省スペースで行うことができる。このため、本発明の第1実施形態によれば、延長トレイの着脱容易性に関する課題、運搬時のシートのハンドリング性に関する課題、延長トレイの保管方法に関する課題を改善でき、利便性に優れる延長トレイを提供できるようになる。
【0054】
  ところで、延長トレイ20のシート載置部21及び装着部22に用いられる材料としては、延長トレイ20としての機能を発揮できれば、種々の材料の中から選択可能である。特に、安価で軽量な材料として、プラスチックダンボールなどが好ましい。例えば、延長トレイ20のシート載置部21及び装着部22をプラスチックダンボールにより構成すれば、延長トレイ20の低コスト化及び軽量化を図れる。また、軽量化によって、延長トレイ20の取り扱いがしやすくなるため、延長トレイ20の着脱、保管、運搬などの作業が行いやすくなる。なお、プラスチックダンボールによって構成される部分は、シート載置部21及び装着部22のほか、延長トレイ20のその他の一部分であってもよい。
【0055】
  突き当て部25は、シートトレイ12の昇降動作に伴ってガイド板26(
図7参照)に対して摺動するので、摺動性の良い材料により構成されることが好ましい。突き当て部25が摺動性の良い材料で構成されることにより、延長トレイ20の円滑な昇降動作を確保できると共に、摺動に伴う突き当て部25及びガイド板26の摩耗を低減できるようになる。
 
【0056】
  続いて、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、主に本発明の第1実施形態とは異なる部分について説明し、同じ部分については適宜説明を省略する。
【0057】
<本発明の第2実施形態>
  図11は、本発明の第2実施形態に係る延長トレイの斜視図である。
 
【0058】
  本発明の第2実施形態においては、上記第1実施形態と比べて、延長トレイ20の取手部23の構成が異なる。具体的に、本発明の第2実施形態においては、シート1の長さ方向Xに渡って連続する長い取手部23が設けられている。それ以外は基本的に同じ構成である。
【0059】
  このように、取手部23は、シート1の長さ方向Xに渡って連続する長い形状であってもよい。この場合も、使用者(作業者)は、載置されるシート1の重心位置に応じて取手部23の把持位置を変更することにより、延長トレイ20を安定した姿勢で取り外したり、運搬したりすることができる。取手部23の長さは、特に限定されるものではないが、シート1の重心位置のばらつきに対応した長さを考慮すると、例えば、シート載置部21の長さの半分以上であることが好ましい。
【0060】
<本発明の第3実施形態>
  図12は、本発明の第3実施形態に係る延長トレイの斜視図である。
 
【0061】
  図12のように、本発明の第3実施形態においては、シート1の長さ方向Xに短い取手部23が、延長トレイ20のシート1の幅方向Yにおける一方側と他方側のそれぞれに1つずつ設けられている。この場合、載置されるシート1の重心位置に対応した把持位置の変更はあまりできないが、シート1の重心位置のばらつきが少ない場合は、このような構成であってもよい。また、この場合、シート1の幅方向Yにおける一方側の取手部23と他方側の取手部23が、シート1の長さ方向Xにおいて互いにずれた位置に配置されているため、使用者(作業者)はそれぞれの取手部23を把持しやすく、延長トレイ20の着脱及び運搬を安定して行うことができる。
 
【0062】
  以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【0063】
  上述の実施形態においては、排出されたシートを載置する排出トレイに着脱される延長トレイを例に説明したが、本発明は、そのような延長トレイに限らず、
図13のような供給トレイ31に着脱される延長トレイ20に適用してもよい。
 
【0064】
  図13は、供給トレイに着脱される延長トレイを備える画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
 
【0065】
  図13の画像形成装置2000は、装置本体内に配置される第1のシート供給部100Aのほか、装置本体の外側に設けられる供給トレイ31を有する第2のシート供給部100Bを備える。第1のシート供給部100A又は第2のシート供給部100Bからシートが供給されると、画像形成部200においてシートに画像が形成され、定着部400によってシートに画像が定着される。そして、シートはシート排出部300へ排出される。
 
【0066】
  このような構成の画像形成装置2000においても、長尺のシートを用いる場合、延長トレイ20を供給トレイ31に装着できるようにしてもよい。その場合、上述の実施形態と同じように、延長トレイ20を供給トレイ31に対して抜き差しして着脱可能に構成することにより、延長トレイ20の着脱が行いやすくなる。さらに、延長トレイ20に取手部を設けてシートを運搬しやすくしたり、吊り下げ保持部を用いて延長トレイ20を省スペースで保管できるようにしたりしてもよい。また、本発明に係る延長トレイは、昇降可能なシートトレイに着脱される場合に限らず、昇降しないシートトレイに装着されてもよい。
【0067】
  以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の態様が含まれる。
【0068】
[第1の態様]
  第1の態様は、シートトレイに対してシートの長さ方向へ延長するように装着される延長トレイであって、前記シートトレイが内部に収容されるように前記シートトレイに装着される装着部を有し、前記装着部は前記シートトレイに対して抜き差し可能に構成される延長トレイである。
【0069】
[第2の態様]
  第2の態様は、第1の態様において、前記延長トレイ上に載置されるシートの長さ方向の一端と幅方向の両端に接触して前記シートの落下を防止するストッパ部を有する。
【0070】
[第3の態様]
  第3の態様は、第2の態様において、前記シートの長さ方向の一端に接触する前記ストッパ部は、前記延長トレイが前記シートトレイに装着される際にシートトレイ側の部材に突き当たる突き当て部である。
【0071】
[第4の態様]
  第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様において、前記シートトレイに対する着脱時に把持される取手部を有する。
【0072】
[第5の態様]
  第5の態様は、第4の態様において、前記取手部は、前記延長トレイ上のシートが載置される領域よりも前記シートの幅方向の両外側にそれぞれ複数設けられる。
【0073】
[第6の態様]
  第6の態様は、第4又は第5の態様において、前記取手部は、前記延長トレイ上に載置されるシートの幅方向の両端に接触して前記シートの落下を防止するストッパ部である。
【0074】
[第7の態様]
  第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様において、前記延長トレイを吊り下げ保持する吊り下げ保持部を備える。
【0075】
[第8の態様]
  第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様において、前記延長トレイの少なくとも一部がプラスチックダンボールにより構成される。
【0076】
[第9の態様]
  第9の態様は、シートトレイと、前記シートトレイに対して前記シートの長さ方向へ延長するように装着される請求項1に記載の延長トレイと、を備える画像形成装置である。
【符号の説明】
【0077】
  1        シート
  12      シートトレイ
  20      延長トレイ
  21      シート載置部
  22      装着部
  23      取手部(ストッパ部)
  25      突き当て部(ストッパ部)
  27      吊り下げ保持部
  1000  画像形成装置
  X        長さ方向
  Y        幅方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】