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特開2025-162613トナー、現像剤、トナー収容ユニット、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
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  • 特開-トナー、現像剤、トナー収容ユニット、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162613
(43)【公開日】2025-10-28
(54)【発明の名称】トナー、現像剤、トナー収容ユニット、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20251021BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20251021BHJP
【FI】
G03G9/097 374
G03G9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065874
(22)【出願日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】不破 一興
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 歩
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 月子
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA09
2H500EA03A
2H500EA04D
2H500EA05A
2H500EA05D
2H500EA44D
2H500EA55D
2H500EA62D
2H500FA04
(57)【要約】
【課題】トナー母体粒子と逆極性の外添剤を用いた場合においても、キャリアとの混合性が悪化しないトナーを提供すること。
【解決手段】トナー母体粒子と、外添剤A及び外添剤Bの2種類の外添剤と、を含むトナーであって、前記外添剤Aがトナー母体粒子と逆極性であり、前記外添剤Bがトナー母体粒子と同極性であり、前記トナーの帯電量をAとし、前記トナーの分散液を作製して、前記分散液から得られたトナーの帯電量をBとし、前記トナーの分散液を作製して、前記分散液に超音波エネルギーを付与して得られたトナーの帯電量をCとした場合に、前記A、B及びCが下記関係式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
B<A<C ・・・(1)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー母体粒子と、外添剤A及び外添剤Bの2種類の外添剤と、を含むトナーであって、
前記外添剤Aがトナー母体粒子と逆極性であり、
前記外添剤Bがトナー母体粒子と同極性であり、
前記トナーの帯電量をAとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液から得られたトナーの帯電量をBとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液に超音波エネルギーを付与して得られたトナーの帯電量をCとした場合に、
前記A、B及びCが下記関係式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
B<A<C ・・・(1)
【請求項2】
前記外添剤AのBET比表面積が130m/g以上である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
請求項1に記載のトナーと、キャリアと、を含む現像剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のトナーを収容したことを特徴とするトナー収容ユニット。
【請求項5】
静電潜像担持体と、
請求項1若しくは2に記載のトナー又は請求項3に記載の現像剤を用いて、前記静電潜像担持体の上に形成された静電潜像を現像して可視像を形成する現像部と、が一体に支持されており、
画像形成装置の本体に着脱可能であるプロセスカートリッジ。
【請求項6】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
請求項1若しくは2に記載のトナー又は請求項3に記載の現像剤を用いて、前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像部と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着部と、
を備える画像形成装置。
【請求項7】
静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
請求項1若しくは2に記載のトナー又は請求項3に記載の現像剤を用いて、前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、
を含む画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トナーはトナー母体粒子と外添剤とからなる。
同一のトナー母体粒子を用いて、外添剤の処方を変えることで、複数種のプロセスに対応するトナーとすることができる。そのためには帯電の調整を行う必要があるが、その際にトナー母体粒子より低帯電の領域を狙う場合は、逆極性の外添剤を用いることが有効である。
特許文献1には、トナー母体粒子に対して負帯電シリカと酸化チタンと、正帯電シリカと、をこの順で外添する技術が開示されている。これにより外添剤の離脱が少なくなり長時間帯電性を維持できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、逆極性の外添剤を用いた場合には、キャリアとトナーとの混合性が悪くなるという問題があった。
本発明は、逆極性の外添剤を用いた場合においても、キャリアとの混合性が悪化しないトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は以下によって解決できる。
トナー母体粒子と、外添剤A及び外添剤Bの2種類の外添剤と、を含むトナーであって、
前記外添剤Aがトナー母体粒子と逆極性であり、
前記外添剤Bがトナー母体粒子と同極性であり、
前記トナーの帯電量をAとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液から得られたトナーの帯電量をBとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液に超音波エネルギーを付与して得られたトナーの帯電量をCとした場合に、
前記A、B及びCが下記関係式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
B<A<C ・・・(1)
【発明の効果】
【0005】
本発明のトナーは、逆極性の外添剤を用いた場合においても、キャリアとの混合性が悪化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
図2図2は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、トナー母体粒子と、外添剤A及び外添剤Bの2種類の外添剤と、を含むトナーであって、
前記外添剤Aがトナー母体粒子と逆極性であり、
前記外添剤Bがトナー母体粒子と同極性であり、
前記トナーの帯電量をAとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液から得られたトナーの帯電量をBとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液に超音波エネルギーを付与して得られたトナーの帯電量をCとした場合に、
前記A、B及びCが下記関係式(1)を満たすことを特徴とするトナー、である。
B<A<C ・・・(1)
【0008】
なお、帯電量A、B、Cの測定方法については後述する。
帯電量Aはトナーそのものの帯電量を示している。
また、帯電量Bはトナーに弱い力で付着している外添剤を除去したときの帯電量を示しており、帯電量Cはトナーにある程度強く付着している外添剤も除去したときの帯電量を示している。
【0009】
トナー母体粒子と逆極性の外添剤を使用した場合、このトナー母体粒子と逆極性の外添剤が、外添剤を含めたトナーの最表面の近くに存在していると、キャリアと反発してしまい混合性が悪化してしまう。そのため、逆極性の外添剤はプロセス中で遊離しないように強く母体粒子に付着させることが好ましい。
帯電量Bは弱く付着している外添剤を除去した状態であり、トナー母体粒子と強く付着している外添剤の特性をより強く表す。帯電量Cは強く付着している外添剤も除去した帯電量のため、トナー母体粒子の特性を強く表す。逆極性の外添剤が強固に付着している場合、混合性は良好になるが、その場合は帯電量の関係はB<A<Cとなる。
【0010】
トナー母体粒子の製造方法としては、公知の製法を使用することができる。
以下では、トナー母体粒子の製造方法として溶解懸濁法を用いた場合を例にとって本発明を説明する。
【0011】
<トナー母体粒子>
トナー母体粒子としては、少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有し、着色剤、無機物フィラーを含有することが好ましく、必要に応じてその他の成分を含有することができる。
【0012】
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、結晶性樹脂、及び非晶性樹脂(以下、「非晶質樹脂」と称することがある)を含有することが好ましい。
【0013】
-結晶性樹脂-
前記結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂(以下、結晶性ポリエステル樹脂と称する)が好ましい。
【0014】
結晶性ポリエステル樹脂としては、結晶性が高く、定着開始温度付近において、粘度が急激に低下する熱溶融特性を示すため、溶融開始温度の直前までは、結晶性ポリエステルが溶融せず、耐熱保存性に優れる。前記溶融開始温度では、結晶性ポリエステル樹脂が融解することにより粘度が急激に低下して、非晶質樹脂と相溶し、定着するため、耐熱保存性及び低温定着性に優れるトナーを得ることができる。
また、定着下限温度と高温オフセット発生温度との差(離型幅)が大きいトナーを得ることができる。
【0015】
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0016】
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飽和脂肪族ジオールなどが挙げられる。
【0018】
前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、直鎖飽和脂肪族ジオール、分岐飽和脂肪族ジオールが挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステルの結晶性が高くなることから、直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましい。また、容易に入手できることから、炭素数が2~12の直鎖飽和脂肪族ジオールが好ましい。
【0019】
前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステルの結晶性が高くなり、シャープメルト性に優れることから、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、及び1,12-ドデカンジオールが好ましい。
【0020】
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0021】
前記多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸などが挙げられる。
【0022】
前記多価カルボン酸としては、スルホン酸基を有するジカルボン酸、炭素-炭素二重結合を有するジカルボン酸などを含んでいてもよい。
【0023】
前記2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0024】
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸などが挙げられる。
【0025】
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、炭素数が4~12の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位と、炭素数が2~12の直鎖飽和脂肪族ジオール由来の構成単位を有することが好ましい。これにより、結晶性ポリエステルは、結晶性が高くなり、シャープメルト性に優れ、トナーの低温定着性を向上させることができる。
【0026】
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上90℃以下が好ましく、60℃以上80℃以下がより好ましい。前記融点が60℃以上であると、トナーの耐熱保存性を向上させることができる。前記融点が90℃以下であると、トナーの低温定着性を向上させることができる。
【0027】
前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、3,000~30,000が好ましく、5,000~15,000がより好ましい。前記重量平均分子量が3,000以上であると、トナーの耐熱保存性を向上させることができる。前記重量平均分子量が30,000以下であると、トナーの低温定着性を向上させることができる。
【0028】
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、5mgKOH/g以上45mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以上45mgKOH/g以下であることがより好ましい。前記酸価が5mgKOH/g以上であると、トナーの低温定着性を向上させることができる。前記酸価が45mgKOH/g以下であると、トナーの耐高温オフセット性を向上させることができる。
【0029】
前記結晶性ポリエステルの水酸基価としては、50mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以上50mgKOH/g以下がより好ましい。前記水酸基価が50mgKOH/g以下であると、トナーの低温定着性及び帯電特性を向上させることができる。
【0030】
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子構造としては、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。
簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1又は990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステルとして検出することができる。
【0031】
-非晶質樹脂-
前記非晶質樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂(以下、「非晶質ポリエステル樹脂」又は「非晶質ポリエステル」と称することがある)が好ましい。
【0032】
非晶質ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0033】
前記多価アルコールとしては、例えば、2価のジオール、3価~8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
【0034】
前記2価のジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族アルコール、分岐型脂肪族アルコール等の脂肪族アルコール(2価の脂肪族アルコール)などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、鎖炭素数が2~36の脂肪族アルコールが好ましく、鎖炭素数が2~36の直鎖型脂肪族アルコールがより好ましい。
【0035】
前記直鎖型脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオールなどが挙げられる。
これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。これらの中でも、鎖炭素数が2~36の直鎖型脂肪族アルコールが好ましい。
【0036】
前記多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジカルボン酸、3価~6価又はそれ以上のポリカルボン酸が挙げられる。これらの中でも多価の芳香族カルボン酸が好ましい。
【0037】
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0038】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0039】
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンジカルボン酸、アルケニルコハク酸、アルケンジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
【0040】
前記アルカンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4~36のアルカンジカルボン酸などが挙げられる。
【0041】
前記炭素数4~36のアルカンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸などが挙げられる。
【0042】
前記アルケニルコハク酸としては、例えば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4~36のアルケンジカルボン酸などが挙げられる。
【0043】
前記炭素数4~36のアルケンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などが挙げられる。
【0044】
前記脂環式ジカルボン酸としては、例えば、炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
【0045】
前記炭素数6~40の脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸(2量化リノール酸)などが挙げられる。
【0046】
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0047】
前記炭素数8~36の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t-ブチルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。
【0048】
前記3価~6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
【0049】
前記炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
【0050】
前記ジカルボン酸又は前記3価~6価又はそれ以上の多価カルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1~4のアルキルエステルを用いてもよい。
【0051】
前記炭素数1~4のアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
【0052】
(離型剤)
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物系ワックス(例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス)、動物系ワックス(例えば、ミツロウ、ラノリン)、鉱物系ワックス(例えば、オゾケライト、セルシン)、石油ワックス(例えば、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム)、炭化水素系ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)、合成ワックス(例えば、エステル、ケトン、エーテル)、脂肪酸アミド系化合物(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなどが挙げられる。これらの中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系ワックスが好ましい。
【0053】
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃以上80℃以下が好ましい。前記融点が60℃以上であると、トナーの耐熱保存性を向上させることができる。前記融点が80℃以下であると、トナーの耐高温オフセット性を向上させることができる。
【0054】
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましい。前記トナー中の離型剤の含有量が2質量%以上であることにより、トナーの耐高温オフセット性及び低温定着性を向上させることができ、10質量%以下であることにより、トナーの耐熱保存性を向上させると共に、画像のかぶりの発生を抑制することができる。
【0055】
(外添剤)
本発明のトナーには外添剤としては、少なくとも外添剤A及び外添剤Bの2種類が含まれる。
外添剤としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、酸化スズ粒子、酸化アンチモン粒子等の酸化物粒子、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、フルオロポリマー粒子等が挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子、チタニア粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子が好ましい。外添剤A及び外添剤Bの他にも複数種の外添剤を使用することができる。
これらの外添剤に表面処理を施して、帯電性を調整することが好ましい。
【0056】
外添剤Aはトナー母体粒子と逆極性にし、外添剤Bはトナー母体粒子と同極性にする。外添剤の極性は公知の表面処理によって調整することができる。
なお、後述する実施例では負帯電のトナー母体粒子を用いた場合について説明するが、本願発明は正帯電のトナー母体粒子についても本願発明は適用できる。
【0057】
外添剤の比表面積が大きいということは粒子径が小さいということであり、外添剤の粒子径が小さいと外添剤がトナー母粒子に少し埋まりこむように付着させることができ、超音波エネルギーを付与しても外添剤がトナー母体粒子から遊離しにくくなる。
逆に大粒子径のもの(おおよそ粒子径が100nm以上もの)は、トナー母体粒子に埋まりにくくなるため、混合強度を上げても容易に遊離しやすい。
上記のことから、A<Bの関係を満たすためには、外添剤AのBET比表面積は90m/g以上であるのが好ましく、130m/g以上であるのがより好ましい。また、外添剤AのBET比表面積は200m/g以下であるのが好ましい。
一方、外添剤BのBET比表面積は45m/g以上130m/g以下であるのが好ましい。
【0058】
例えば、負帯電にするには、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α-クロルエチルトリクロルシラン、ρ-クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランおよびジメチルポリシロキサン等を用いることができる。
正帯電にするには、アミノ基を有する表面処理が好ましく、中でもアルミ基を含有するシランカップリング剤が好ましい。例えば、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどがある。
【0059】
(その他成分)
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、帯電制御剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
【0060】
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0062】
前記顔料は、樹脂と複合化して、マスターバッチとして用いることもできる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非晶質ポリエステル、ポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
前記マスターバッチとしては、前記樹脂と前記顔料とを混合混練することにより製造することができる。この際、顔料と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、前記マスターバッチの製造方法としては、例えば、フラッシング法を用いることができる。前記フラッシング法とは、顔料の水性ペースト、樹脂及び有機溶剤を共に混合混練して、顔料を樹脂側に移行させ、水と有機溶剤を除去する方法である。この場合、顔料のウェットケーキをそのまま用いることができるため、顔料を乾燥させる必要がない。
【0064】
前記混合混練する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3本ロールミル等の高せん断分散装置が挙げられる。
【0065】
前記クリーニング性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン粒子等のソープフリー乳化重合により製造されているポリマー粒子などが挙げられる。
前記ポリマー粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm以上1μm以下が好ましい。
【0066】
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。
前記磁性材料としては、色調の観点から、白色の材料が好ましい。
【0067】
<トナーの製造方法>
トナーの製造方法としては、結着樹脂を有機溶媒に溶解又は分散させ、油相を作製する工程と、前記油相を水相中に分散させて造粒する工程と、を含み、乳化・脱溶剤工程と、洗浄工程と、表面処理工程と、乾燥工程等を含むことが好ましい。
【0068】
前記トナーとしては、非晶質ポリエステルA、更に必要に応じて結晶性ポリエステルC 、離型剤、着色剤などを含む油相を水系媒体中に乳化又は分散させることにより製造することが好ましい。
【0069】
前記水系媒体としては、樹脂粒子が分散していることが好ましい。
前記水系媒体としては、水と混和することが可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒、水などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。
【0070】
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類、低級ケトン類等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルがさらに好ましい。
【0071】
前記樹脂粒子を構成する樹脂としては、水系媒体中で分散することが可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0072】
前記水系媒体中に油相を乳化又は分散させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系媒体中に油相を添加し、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
【0073】
前記水系媒体中に油相を乳化又は分散させる際に用いる分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒径を2μm~20μmに制御できることから、高速せん断式分散機が好ましい。
【0074】
前記トナーの製造方法では、前記水相中に油相を分散させた後は、有機溶媒を除去してトナー母体粒子を形成する
前記トナー母体粒子を形成した後は、トナー母体粒子に外添剤、更に必要に応じて帯電制御剤を添加し、混合ミキサー等で混合することでトナーを製造する。前記混合ミキサーとしては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)等の市販の装置が挙げられる。
【0075】
帯電量A、B、Cの関係をB<A<Cとする方法としては、外添混合を多段階で実施し、第1段目で外添剤Aを外添し、外添剤Bや他の外添剤は2段目以降に混合する方法が挙げられる。その際、第1段目は混合時間を長くしたり、混合温度を上げたりするなどして、混合強度を上げることが好ましい。
これは、最初に外添剤Aを強く混合することにより、トナー母粒子に外添剤Bがしっかり付着し、軽いストレスでは外れなくなる。
この状態であれば、帯電量AとBでは外添剤Aが相対的に多く残ることになり、Cより帯電が低くなる。また外添剤Bは帯電量Aより帯電量Bの方がより多く除去されることから帯電量BはAより低くなる。
この状態は、外添剤Aはトナーの最表面に存在せずに帯電を抑制でき、キャリアとの混合性も良好なトナーが提供できる。
【0076】
(現像剤)
本発明における現像剤は、少なくとも本発明のトナーとキャリアからなる。
【0077】
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
【0078】
-芯材-
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g以上90emu/g以下のマンガン-ストロンチウム系材料、50emu/g以上90emu/g以下のマンガン-マグネシウム系材料、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g以上120emu/g以下のマグネタイト等の高磁化材料、30emu/g以上80emu/g以下の銅-亜鉛系の低磁化材料などが挙げられる。これらの中でも、画像濃度を確保する点から、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g以上120emu/g以下のマグネタイト等の高磁化材料が好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利である点から、30emu/g以上80emu/g以下の銅-亜鉛系の低磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
前記芯材の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上100μm以下がより好ましい。
前記体積平均粒子径が10μm以上であると、キャリア中に微粉が少なくなり、一粒子当たりの磁化が向上してキャリアの飛散を抑えることができる。前記体積平均粒子径が150μm以下であると、比表面積が高くなり、トナーの飛散を抑え、ベタ部分の多いフルカラーのベタ部の再現性に優れる。
【0080】
現像剤中における前記キャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記二成分現像剤100質量部に対して、90質量部以上98質量部以下が好ましく、93質量部以上97質量部以下がより好ましい。
【0081】
(プロセスカートリッジ)
プロセスカートリッジとは、少なくとも像担持体と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。 前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、本発明の前記トナーを用いて画像形成が行われるため、強度および低温定着性に優れたトナーを提供することができる。
【0082】
(画像形成装置)
次に、本発明の画像形成装置により画像を形成する方法を実施する一の態様について、図1を参照しながら説明する。本実施形態の画像形成装置としては、プリンターが例として示されているが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、複合機等のトナーを用いて画像を形成することが可能であれば、特に限定されない。
画像形成装置は、給紙部210と、搬送部220と、作像部230と、転写部240と、定着器250とを備えている。
給紙部210は、給紙される紙Pが積載された給紙カセット211と、給紙カセット211に積載された紙Pを一枚ずつ給紙する給紙ローラ212を備えている。
【0083】
搬送部220は、給紙ローラ212により給紙された紙Pを転写部240の方向へ搬送するローラ221と、ローラ221により搬送された紙Pの先端部を挟み込んで待機し、紙を所定のタイミングで転写部240に送り出す一対のタイミングローラ222と、カラートナー像が定着した紙Pを排紙トレイ224に排出する排紙ローラ223を備えている。
【0084】
作像部230は、所定の間隔をおいて、図中、左方から右方に向かって順に、イエロートナーを有した現像剤を用いて画像を形成する画像形成ユニット180Yと、シアントナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニット180Cと、マゼンタトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニット180Mと、ブラックトナーを有した現像剤を用いる画像形成ユニット180Kと、帯電器232、露光器233を備えている。露光器233は光源233aとポリゴンミラー233bを有する。
なお、画像形成ユニット(180Y、180C、180M、180K)のうち、任意の画像形成ユニットを示す場合には、画像形成ユニットという。
【0085】
また、現像剤は、トナーとキャリアを有する。4つの画像形成ユニット(180Y、180C、180M、180K)は、それぞれに用いられる現像剤が異なるのみで、機械的な構成は実質的に同一である。
【0086】
ここで、現像方式としては、トナーとキャリアが予め混合されたプレミックス現像剤を補給するプレミックス現像方式を採用しても良い。プレミックス現像方式では現像装置内のキャリアが増加した分を余剰現像剤として排出させる。 これにより、現像装置内の現像剤を徐々にリフレッシュしている。 よって、現像剤の劣化に伴う交換周期を延長させたり、現像剤の交換の手間を省いたりすることができる。
【0087】
転写部240は、駆動ローラ241及び従動ローラ242と、駆動ローラ241の駆動に伴い、図中、反時計回りに回転することが可能な中間転写ベルト243と、中間転写ベルト243を挟んで、感光体231に対向して設けられた一次転写ローラ(244Y,244C,244M,244K)と、トナー像の紙への転写位置において中間転写ベルト243を挟んで対向して設けられた二次対向ローラ245及び二次転写ローラ246を備えている。また、感光体231の表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング装置236を備えている。
ここで、感光体231としては、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。前記像担持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラム状、ベルト状などが挙げられる。感光体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。
【0088】
有機感光体としては、アルミドラム等の支持体上に、無金属フタロシアニンやチタニルフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン等の電荷発生材料をバインダー樹脂に分散させた層(電荷発生層)と電荷輸送材料をバインダー樹脂に分散させた層(電荷輸送層)を積み重ねた積層構造を有する積層型感光体や、支持体上に電荷発生材料及び電荷輸送材料の両方をバインダー樹脂に分散させた単層構造の感光層を有する単層型感光体が挙げられる。
単層型感光体では感光層に電荷輸送材料として正孔輸送剤及び電子輸送剤を添加することもできる。
また、支持体と、積層型の電荷発生層や単層型の感光層との間に、下引き層を設けてもよい。
【0089】
なお、本実施の形態において、中間転写ベルト243として、弾性中間転写ベルトを用いることもできる。弾性中間転写ベルトとしては、例えば、比較的屈曲性が得られる剛性な基層の上に柔軟な弾性層を積層したものを用いることができる。
また、中間転写ベルト243の蛇行防止のために、中間転写ベルト243の内周面に寄り止めガイド部材を設けても良い。
【0090】
定着器250は、ヒータが内部に設けられており、紙Pを加熱する定着ベルト251と、該定着ベルト251に対して回転可能に加圧することによりニップを形成する加圧ローラ252とを備えている。これにより、紙P上のカラートナー像に熱と圧力が印加されて、カラートナー像が定着する。カラートナー像が定着した紙Pは、排紙ローラ223により排紙トレイ224に排紙され、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0091】
(プロセスカートリッジ)
本発明に関するプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を本発明の現像剤で現像してトナー像を形成する現像手段を少なくとも有する。なお、プロセスカートリッジは、必要に応じて、他の手段をさらに有していてもよい。
【0092】
前記現像手段としては、本発明の現像剤を収容する現像剤収容部と、現像剤収容部内に収容された現像剤を担持するとともに搬送する現像剤担持体を少なくとも有する。なお、現像手段は、担持する現像剤の厚さを規制するため規制部材等をさらに有してもよい。
【0093】
図2に、本発明に関するプロセスカートリッジの一例を示す。プロセスカートリッジ110は、感光体ドラム10、コロナ帯電器58、現像器40、転写ローラ80及びクリーニング装置90を有する。また95は紙である。
【0094】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下、特に説明のない限り「部」とあるのは質量部を意味し、「%」とあるのは質量%を意味する。
【0095】
(非晶質ポリエステルAの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応容器に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(BisA-EOと称する)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(BisA-POと称する)、テレフタル酸及びアジピン酸を仕込んだ。
このとき、BisA-POに対するBisA-EOのモル比を40/60とし、アジピン酸に対するテレフタル酸のモル比を93/7とし、カルボキシル基に対する水酸基のモル比を1.2とし、全モノマーに対して、500ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加した。
次に、230℃で8時間反応させた後、10~15mmHgの減圧下で4時間反応させた。
さらに、全モノマーに対して、1mol%の無水トリメリット酸を添加した後、180℃で3時間反応させ、[非晶質ポリエステルA]を得た。
前記[非晶質ポリエステルA]は、ガラス転移温度が67℃であり、重量平均分子量が10,000であった。
【0096】
(結晶性ポリエステルCの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対をセットした反応容器に、セバシン酸及び1,6-ヘキサンジオールを仕込んだ。このとき、カルボキシル基に対する水酸基のモル比を0.9とし、全モノマーに対して、500ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加した。
次に、180℃で10時間反応させた後、200℃まで昇温して3時間反応させた。
さらに、8.3kPaの減圧下で2時間反応させ、[結晶性ポリエステルC]を得た。
前記[結晶性ポリエステルC]は、融点が67℃であり、重量平均分子量が25,000であった。
【0097】
<マスターバッチの作製>
ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、水1,200部、DBP吸油量が42mL/100mg、pHが9.5の着色剤であるカーボンブラックPrintex35(デクサ社製)500部及び500部の[非晶質ポリエステルA]を混合した後、2本ロールを用いて、150℃で30分間混練した。
次に、圧延冷却した後、パルペライザーを用いて粉砕し、[マスターバッチ]を得た。
【0098】
<ワックス分散剤の合成>
温度計及び撹拌機をセットしたオートクレーブ反応槽に、キシレン480部、融点が108℃、重量平均分子量が1000ポリエチレンのサンワックス151P(三洋化成工業株式会社製)100部を仕込んだ後、ポリエチレンを溶解させ、窒素置換した。次に、スチレン805部、アクリロニトリル50部、アクリル酸ブチル45部、ジ-t-ブチルパーオキサイド36部及びキシレン100部の混合液を3時間で滴下しながら、170℃で重合し、30分間保持した。
さらに、脱溶剤し、[ワックス分散剤]を得た。
前記ワックス分散剤は、ガラス転移温度が65℃であり、重量平均分子量が18,000であった。
【0099】
<ワックス分散液の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、離型剤である融点が75℃のパラフィンワックスHNP-9(日本精鑞株式会社製)300部、前記[ワックス分散剤]150部及び酢酸エチル1800部を仕込んだ。
次に、撹拌しながら、80℃まで昇温し、5時間保持した後、1時間で30℃まで冷却した。
さらに、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で分散させ、[ワックス分散液]を得た。
このとき、送液速度を1kg/hとし、ディスクの周速度を6m/sとした。
【0100】
<結晶性ポリエステル分散液の調製>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、前記[結晶性ポリエステルC]308部及び酢酸エチル1900部を仕込んだ。
次に、撹拌しながら、80℃まで昇温し、5時間保持した後、1時間で30℃まで冷却した。
さらに、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で分散させ、[結晶性ポリエステル分散液]を得た。
このとき、送液速度を1kg/hとし、ディスクの周速度を6m/sとした。
【0101】
<外添剤1の作製>
BET比表面積が約90m/gのシリカ(日本アエロジル社製#90):10gをトルエン60gに分散し、そのシリカに対し、10%の3-アミノプロピルトリエトキシシランを添加した後、15分間分散混合してシリカと接触させ、その後、シリカに対し、10%のトリフルオロプロピルトリメトキシシランを添加後分散混合してシリカと接触させた。その分散液を減圧蒸留、乾燥、解砕して、[外添剤1]を得た。
【0102】
<外添剤2の作製>
[外添剤1]の作製において、シリカをBET比表面積が約130m/gのシリカ(日本アエロジル社製#130)に変更した以外は、[外添剤1]の作製と同様にして[外添剤2]を得た。
【0103】
<外添剤3の作製>
[外添剤1]の作製において、シリカをBET比表面積が約200m/gのシリカ(日本アエロジル社製#200)に変更した以外は、[外添剤1]の作製と同様にして[外添剤3]を得た。
【0104】
<外添剤4の作製>
BET比表面積が約130m/gのシリカ(日本アエロジル社製#130):10gをトルエン60gに分散し、そのシリカに対し、10%のトリフルオロプロピルトリメトキシシランを添加後分散混合してシリカと接触させた。その分散液を減圧蒸留、乾燥、解砕して、[外添剤4]を得た。
【0105】
<外添剤5の作製>
[外添剤4]の作製において、シリカをBET比表面積が約45m/gのシリカ(日本アエロジル社製#45)に変更した以外は、[外添剤4]の作製と同様にして[外添剤5]を得た。
上記で得た外添剤1~5の極性及びBET比表面積を表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
(実施例1)
<油相の調製>
前記[ワックス分散液]500部、前記[結晶性ポリエステル分散液]705部、前記[非晶質ポリエステルA]836部、前記[マスターバッチ]100部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで60分間混合し、油相を得た。
【0108】
<ビニル系樹脂分散液の合成>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物の硫酸エステルのナトリウム塩エレミノールRS-30(三洋化成工業株式会社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部及び過硫酸アンモニウム1部を仕込んだ後、400rpmで15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。
次に、系内の温度を75℃まで昇温し、5時間反応させた後、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を添加して、75℃で5時間熟成し、[ビニル系樹脂分散液]を得た。
前記ビニル系樹脂分散液は、体積平均粒径が0.14μmであった。前記体積平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(HORIBA社製)を用いて測定した。
【0109】
<水相の調製>
純水810部、前記[ビニル系樹脂分散液]83部、ドデシルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液エレミノールMON-7(三洋化成工業株式会社製)37部、硫酸ナトリウム180部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の水相を得た。
【0110】
<乳化・脱溶剤>
前記油相が入った容器に、前記水相1200部を添加した後、TKホモミキサーを用いて、13000rpmで20分間混合し、乳化スラリーを得た。
次に撹拌機及び温度計をセットした容器に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃で8時
間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成し、[分散スラリー]を得た。
【0111】
<洗浄>
前記[分散スラリー]100部を減圧濾過した。
次に、濾過ケーキにイオン交換水100部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した(以下、洗浄工程(1)という)。さらに、濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した(以下、洗浄工程(2)という)。
次に、濾過ケーキに10%塩酸100部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した(以下、洗浄工程(3)という)。
さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した(以下、洗浄工程(4)という)。
このとき、洗浄工程(1)~(4)の操作を3回繰り返した後、ろ過した。
【0112】
<乾燥>
上記表面処理をした後、循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュで篩い、[トナー母体粒子]を得た。
【0113】
<外添剤の添加>
ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、次のように2段階でトナー母体粒子に対して外添処理を施した。
外添混合1段目:前記母体粒子を100部と、[外添剤1]を0.2部と、を周速40m/sで15分間混合した。
外添混合2段目:[外添剤4]を1.5部と[外添剤5]を2.0部と、を添加し、周速40m/sで15分間混合した。
【0114】
(評価方法)
<帯電量B、C測定のためのトナーの前処理>
帯電量B:100mLスクリュー瓶に0.5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液60mLを入れ、そこにトナー3gを添加した。その後、トナーが分散液に馴染むまで30分~90分分散させた。得られたスラリーを2000rpm2分で遠心分離して上澄みを除去した。これを60mLの純水で再度スラリー化し、前記洗浄工程と同様にして洗浄・ろ過してトナーを得た。
【0115】
帯電量C:100mLスクリュー瓶に0.5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液60mLを入れ、そこにトナー3gを添加した。その後、トナーが分散液に馴染むまで30分~90分分散させた。得られたスラリーに超音波ホモジナイザーで80W2分のエネルギーを付与した後、2000rpm2分で遠心分離して上澄みを除去した。これを60mLの純水で再度スラリー化し、前記洗浄工程と同様にして洗浄・ろ過してトナーを得た。
【0116】
<帯電量A、B、Cの測定方法>
日本画像学会の標準キャリアN-01を23℃50%にて24時間以上調湿した後、トナー0.7g、キャリア10gを50mLのPE容器に入れ、ロールミルを用いて280rpmで1分間混合して現像剤を作製した。この現像剤0.3gをブローオフ法で測定した。
帯電量Aの測定にはトナーそのものを使用し、帯電量BとCの測定には前処理を実施したトナーを使用した。
それぞれ得られた値の絶対値を帯電量A、帯電量B、帯電量Cとする。
トナーそのものの帯電量は-33(μC/g)、帯電量Bの前処理を実施したトナーの帯電量は-28(μC/g)、帯電量Cの前処理を実施したトナーの帯電量は-38(μC/g)であり、帯電量Aは33(μC/g)、帯電量Bは28(μC/g)、帯電量Cは38(μC/g)となった。
【0117】
<BET比表面積の測定方法>
BET比表面積は自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStar3000:島津製作所製)を用いて計測した。サンプルを約0.5g秤量し、これを前処理スマートプレップ(島津製作所製)にて24時間真空乾燥させ、試料表面の不純物、水分を取り除いた。
前処理後のサンプルをTriStar3000にセットし、窒素ガス吸着量と相対圧の関係を求める。この関係からBET多点法によって試料のBET比表面積を求めることができる。
【0118】
<キャリアとの混合性の評価方法>
日本画像学会の標準キャリアN-01を23℃50%にて24時間以上調湿した後、トナー0.7g、キャリア10gを50mLのPE容器に入れ、ロールミルを用いて280rpmで10秒間混合して現像剤を作製した。この現像剤0.3gをブローオフ法で5回測定し、トナー濃度(wt%)のバラツキを算出して判断した。
〔評価基準〕
○ : トナー濃度の最小と最大値の差が0.05%未満
△ : トナー濃度の最小と最大値の差が0.05%以上0.1%未満
× : トナー濃度の最小と最大値の差が0.1%以上
【0119】
<地汚れの評価方法>
リコー社製のRICOH IM C4500を用いて、画像面積率5%のチャートを20万枚連続出力した際の画像背景部の地汚れの程度を目視により、下記基準で評価した。
結果を表2に示す。
〔評価基準〕
○ :画像出力に伴い画像背景部に地汚れが発生するが実使用上問題ない
△ :画像出力に伴い画像背景部に地汚れが発生しており実使用上問題がある
× :画像出力初期より画像背景部に地汚れが発生しており、実使用上問題がある
【0120】
実施例1~3、比較例1~5の外添剤添加条件、混合条件、評価結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
上記表2に示されているように、本発明の実施例1~3のトナーは、キャリアとの混合性が良好であり、地汚れの発生を低減することができる。
【0123】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
(1)トナー母体粒子と、外添剤A及び外添剤Bの2種類の外添剤と、を含むトナーであって、
前記外添剤Aがトナー母体粒子と逆極性であり、
前記外添剤Bがトナー母体粒子と同極性であり、
前記トナーの帯電量をAとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液から得られたトナーの帯電量をBとし、
前記トナーの分散液を作製して、前記分散液に超音波エネルギーを付与して得られたトナーの帯電量をCとした場合に、
前記A、B及びCが下記関係式(1)を満たすことを特徴とするトナー。
B<A<C ・・・(1)
(2)前記外添剤AのBET比表面積が130m/g以上である、上記(1)に記載のトナー。
(3)上記(1)又は(2)に記載のトナーと、キャリアと、を含む現像剤。
(4)上記(1)又は(2)に記載のトナーを収容したことを特徴とするトナー収容ユニット。
(5)静電潜像担持体と、
上記(1)若しくは(2)に記載のトナー又は上記(3)に記載の現像剤を用いて、前記静電潜像担持体の上に形成された静電潜像を現像して可視像を形成する現像部と、が一体に支持されており、
画像形成装置の本体に着脱可能であるプロセスカートリッジ。
(6)静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
上記(1)若しくは(2)に記載のトナー又は上記(3)に記載の現像剤を用いて、前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像部と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着部と、
を備える画像形成装置。
(7)静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
上記(1)若しくは(2)に記載のトナー又は上記(3)に記載の現像剤を用いて、前記静電潜像を現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程と、
を含む画像形成方法。
【符号の説明】
【0124】
10 感光体ドラム
40 現像器
58 コロナ帯電器
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 紙
110 プロセスカートリッジ
160Y サブホッパ(イエロー)
160C サブホッパ(シアン)
160M サブホッパ(マゼンタ)
160K サブホッパ(ブラック)
180Y 画像形成ユニット(イエロー)
180C 画像形成ユニット(シアン)
180M 画像形成ユニット(マゼンタ)
180K 画像形成ユニット(ブラック)
200 画像形成装置
210 給紙部
211 給紙カセット
212 給紙ローラ
220 搬送部
221 ローラ
222 タイミングローラ
223 排紙ローラ
224 排紙トレイ
230 作像部
231Y 感光体ドラム(イエロー)
231C 感光体ドラム(シアン)
231M 感光体ドラム(マゼンタ)
231K 感光体ドラム(ブラック)
232Y 帯電器(イエロー)
232C 帯電器(シアン)
232M 帯電器(マゼンタ)
232K 帯電器(ブラック)
233 露光器
233a 光源
233bY ポリゴンミラー(イエロー)
233bC ポリゴンミラー(シアン)
233bM ポリゴンミラー(マゼンタ)
233bK ポリゴンミラー(ブラック)
234Y トナーボトル(イエロー)
234C トナーボトル(シアン)
234M トナーボトル(マゼンタ)
234K トナーボトル(ブラック)
236Y 清掃器(イエロー)
236C 清掃器(シアン)
236M 清掃器(マゼンタ)
236K 清掃器(ブラック)
240 転写部
241 駆動ローラ
242 従動ローラ
243 中間転写ベルト
244 一次転写ローラ
244Y 一次転写ローラ(イエロー)
244C 一次転写ローラ(シアン)
244M 一次転写ローラ(マゼンタ)
244K 一次転写ローラ(ブラック)
245 二次対向ローラ
246 二次転写ローラ
250 定着器
251 定着ベルト
252 加圧ローラ
L レーザ
P 紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【特許文献1】特開2004‐219935号公報
図1
図2