(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025163032
(43)【公開日】2025-10-28
(54)【発明の名称】膜形成方法、電極の製造方法、蓄電デバイス、発電デバイスまたは太陽光発電デバイスの製造方法、及び膜形成装置
(51)【国際特許分類】
   B05D   1/26        20060101AFI20251021BHJP        
   H01M   4/04        20060101ALI20251021BHJP        
   H01M   4/88        20060101ALI20251021BHJP        
   H10F  77/20        20250101ALI20251021BHJP        
   H10F  10/00        20250101ALI20251021BHJP        
【FI】
B05D1/26 Z 
H01M4/04 Z 
H01M4/04 A 
H01M4/88 Z 
H10F77/20 100 
H10F10/00 
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025114003
(22)【出願日】2025-07-04
(62)【分割の表示】P 2021021106の分割
【原出願日】2021-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】上田  哲人
(57)【要約】
【課題】形成される膜の均一性を向上させること。
【解決手段】本発明の一態様に係る膜形成方法は、被塗布材に膜を形成する膜形成方法であって、搬送される前記被塗布材の搬送方向に沿って設けられた複数の吐出ヘッドのそれぞれから液体を吐出し、前記被塗布材に塗布する塗布工程を備え、  前記複数の吐出ヘッドのそれぞれは、前記搬送方向と交差する方向に沿って配列される複数の液体吐出ノズルを有し、前記塗布工程において、前記複数の吐出ヘッドのそれぞれは、少なくとも第1液体と、第2液体と、第3液体と、を塗布し、前記第2液体は、前記幅方向に沿って前記第1液体が塗布される位置と略等しい位置に塗布され、前記第3液体は、前記搬送方向に沿って前記第1液体が塗布される位置と前記第2液体が塗布される位置との間の位置であり、前記幅方向に沿って前記第1液体が塗布される位置とは異なる位置に塗布される。
【選択図】
図5
  
 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  搬送される電極に膜を形成する膜形成方法であって、
  前記電極の搬送方向に沿って設けられた少なくとも第1の吐出ヘッド、第2の吐出ヘッドから液体を吐出し、前記電極に前記液体を塗布する塗布工程を備え、
  前記第1の吐出ヘッド及び前記第2の吐出ヘッドのそれぞれは、前記搬送方向と交差する方向である幅方向に沿って並ぶ複数のノズルを有し、
  前記第1の吐出ヘッドは、第1のノズルと、前記第1のノズルとは前記幅方向において異なる位置に配置される第3のノズルと、を有し、
  前記第2の吐出ヘッドは、第2のノズルを有し、
  前記塗布工程において、前記第1の吐出ヘッド及び前記第2の吐出ヘッドのそれぞれから吐出された前記液体は、前記搬送方向に沿って前記電極の異なる位置に塗布され、
  前記第1のノズルは、
    前記電極における第1の領域と、
    前記電極において、前記第1の領域とは前記搬送方向に離間した位置である第2の領域と、に前記液体を塗布し、
  前記第2のノズルは、前記電極において、前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置である第3の領域に塗布し、
  前記第3のノズルは、前記電極において、前記幅方向における前記第1の領域および前記第2の領域とは異なる位置であり、かつ前記搬送方向における前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置である第4の領域に塗布する、膜形成方法。
【請求項2】
  前記第2のノズルは、前記電極において、前記第3の領域とは前記搬送方向に離間した位置であり、前記第3の領域との間に前記第2の領域が位置するような第5の領域に塗布し、
  前記第2の吐出ヘッドが有する第4のノズルは、前記電極において、前記幅方向における前記第3の領域および前記第5の領域とは異なる位置であり、前記搬送方向における前記第3の領域と前記第5の領域との間の位置である第6の領域に塗布する、請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項3】
  前記第2のノズルは、前記第1のノズルとは前記幅方向において略等しい位置にある、請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項4】
  前記第3の領域は前記搬送方向において前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置する、請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項5】
  前記第4のノズルは、前記第3のノズルとは前記幅方向において略等しい位置にある、請求項2に記載の膜形成方法。
【請求項6】
  前記第1の吐出ヘッド、前記第2の吐出ヘッドのそれぞれから吐出される前記液体の種類は、同じである、請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項7】
  前記第1の吐出ヘッド、前記第2の吐出ヘッドのそれぞれから吐出される前記液体により、前記電極に機能層を形成する、請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項8】
  前記機能層は絶縁層である、請求項7に記載の膜形成方法。
【請求項9】
  前記複数のノズルは、前記幅方向に沿ってずれた少なくとも2列のノズル列を含む、請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項10】
  前記複数のノズルのそれぞれは、前記幅方向に沿って一定のノズル間隔で配置され、且つ前記幅方向に沿って前記ノズル間隔の半分の距離ずれた少なくとも2列のノズル列を含む請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項11】
  請求項1に記載の膜形成方法を含む、膜を有する電極の製造方法。
【請求項12】
  請求項11に記載の電極の製造方法を含む、蓄電デバイス、発電デバイス、または太陽光発電デバイスの製造方法。
【請求項13】
  電極を搬送する搬送手段と、
  前記搬送される前記電極に液体を吐出し、前記液体を塗布する液体塗布手段と、
  前記液体塗布手段による前記電極の吐出を制御する制御部と、を備え、
  前記液体塗布手段は、少なくとも第1の吐出ヘッド及び第2の吐出ヘッドを含み、
  前記第1の吐出ヘッド及び前記第2の吐出ヘッドのそれぞれは、前記電極の搬送方向と交差する方向である幅方向に沿って並ぶ複数のノズルを有し、
  前記第1の吐出ヘッドは、第1のノズルと、前記第1のノズルとは前記幅方向において異なる位置に配置される第3のノズルと、を有し、
  前記第2の吐出ヘッドは、第2のノズルを有し、
  前記制御部は、前記液体塗布手段により前記電極に前記液体を塗布するときに、
    前記第1の吐出ヘッド及び前記第2の吐出ヘッドのそれぞれから吐出された前記液体が、前記搬送方向に沿って前記電極の異なる位置に塗布され、
    前記第1のノズルが、
      前記電極における第1の領域と、
      前記電極において、前記第1の領域とは前記搬送方向に離間した位置である第2の領域と、に前記液体を塗布し、
    前記第2のノズルが、前記電極において、前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置である第3の領域に塗布し、
    前記第3のノズルが、前記電極において、前記幅方向における前記第1の領域および前記第2の領域とは異なる位置であり、かつ前記搬送方向における前記第1の領域と前記第2の領域との間の位置である第4の領域に塗布する、よう制御する膜形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、膜形成方法、電極の製造方法、蓄電デバイス、発電デバイスまたは太陽光発電デバイスの製造方法、及び膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
  従来、被塗布材に膜を形成する膜形成方法が知られている。
【0003】
  また、相補印刷モードによりシングルパスで記録媒体上に複数個の画素を印刷するインクジェットプリンタ用のプリントヘッドであって、互いに略平行になるよう、且つ印刷プロセス方向ノズル位置が揃うように本プリントヘッド内に配置された第1及び第2ノズルアレイを備えるプリントヘッドを用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  しかしながら特許文献1の方法では、プリントヘッド等の吐出ユニットを複数用いて吐出した液体を塗布した場合に、形成される膜の均一性に改善の余地がある。
【0005】
  本発明は、形成される膜の均一性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本発明の一態様に係る膜形成方法は、被塗布材に膜を形成する膜形成方法であって、搬送される前記被塗布材の搬送方向に沿って設けられた複数の吐出ヘッドのそれぞれから液体を吐出し、前記被塗布材に塗布する塗布工程を備え、  前記複数の吐出ヘッドのそれぞれは、前記搬送方向と交差する方向に沿って配列される複数の液体吐出ノズルを有し、前記塗布工程において、前記複数の吐出ヘッドのそれぞれは、少なくとも第1液体と、第2液体と、第3液体と、を塗布し、前記第2液体は、前記幅方向に沿って前記第1液体が塗布される位置と略等しい位置に塗布され、前記第3液体は、前記搬送方向に沿って前記第1液体が塗布される位置と前記第2液体が塗布される位置との間の位置であり、前記幅方向に沿って前記第1液体が塗布される位置とは異なる位置に塗布される。
【発明の効果】
【0007】
  本発明によれば、形成される膜の均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
            【
図1】実施形態に係る膜形成装置の構成例を示す図である。
 
            【
図2】実施形態に係るインクジェットヘッドの構成例を示す図である。
 
            【
図3】実施形態に係る制御部の機能構成例を示すブロック図である。
 
            【
図4】実施形態に係る膜形成装置の動作例を示すフローチャ-トである。
 
            【
図5】第1実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布例を示す図である。
 
            【
図6】第1インクと第2インク間に偶数個の画素を含む例の図である。
 
            【
図7】第1実施形態に係る膜形成方法の作用の図であり、
図7(a)は比較例の図、
図7(b)は
図7(a)で塗布位置誤差が生じた図、
図7(c)は本実施形態の図、
図7(d)は
図7(c)で塗布位置誤差が生じた図である。
 
            【
図8】第2実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布例を示す図である。
 
            【
図9】第3実施形態に係る膜形成方法によるにインク塗布例を示す図である。
 
            【
図10】第4実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布例を示す図である。
 
            【
図11】第5実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布例を示す図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0009】
  以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
  また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための膜形成方法及び膜形成装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
  実施形態に係る膜形成方法は、被塗布材に膜を形成するものである。なお、膜としては、厚さは特に限定されず、被塗布材に対して層となるようなものであればよい。被塗布材は、例えば、電池等の蓄電デバイス、燃料電池等の発電デバイス、太陽光発電デバイス等に用いられる電極基材(集電体)等を含む。膜形成方法は、粉体状の活物質や触媒組成物をはじめとする各種材料を液体中に分散した液体を被塗布材に塗布し、固定及び乾燥させることで被塗布材上に当該各種材料を含む膜を有する電極等を形成できる。
【0012】
  被塗布材に液体を塗布して膜を形成する方法には、スプレー、ディスペンサ、ダイコータ又は引き上げ塗工、或いはインクジェットヘッドを用いた印刷等の方法が挙げられる。
【0013】
  しかし、上記のデバイスの生産性と品質はトレードオフの関係があり、市場拡大に伴う要求に対し、生産性を上げると電極の位置精度を低下させたり、欠陥が増加したりしてデバイスの品質が低下する場合がある。
【0014】
  例えば、電極表面や電極端面、或いは電極界面に生じる欠陥について、放置したまま市場に出荷した際、経時や振動によって、欠陥部位への特定の物質の堆積や、電極界面への機械接触による短絡、或いはリーク等が発生し、デバイスの発火や寿命低下に繋がる場合がある。
【0015】
  実施形態では、搬送される被塗布材の搬送方向に沿って設けられた複数の吐出ヘッドのそれぞれが吐出した液体を被塗布材に塗布する工程を行う。また、複数の吐出ヘッドのそれぞれは、搬送方向と交差する幅方向に沿って配列されて液体を吐出する複数の液体吐出ノズルを有する。
【0016】
  塗布工程では、複数の吐出ヘッドのそれぞれは、第1液体と、第2液体と、第3液体とを塗布する。第2液体は、幅方向に沿って第1液体が塗布される位置と略等しい位置に塗布され、第3液体は、搬送方向に沿って第1液体が塗布される位置と第2液体が塗布される位置との間の位置であり、幅方向に沿って第1液体が塗布される位置とは異なる位置に塗布される。
【0017】
  これにより、複数の吐出ヘッドによる被塗布材への液体の塗布位置誤差が生じた場合でも、塗布位置誤差を分散させ、被塗布材に液体が塗布されない隙間領域を抑制することで、形成される膜の均一性を向上させる。
【0018】
  ここで、等しい位置とは、被塗布材上に塗布された液体の略中心となる位置同士が略等しいことを意味する。また異なる位置とは、被塗布材上に塗布された液体の略中心となる位置同士が異なることを意味する。塗布位置誤差とは、吐出ヘッドが吐出したインクを被塗布材上に塗布した位置の所望の位置からの誤差を意味する。また異なる位置とは、液体の中心が離れていれば、液体の一部が重なっていてもよい。
【0019】
  以下、実施形態に係る膜形成方法及び膜形成装置について詳細に説明する。
【0020】
  [実施形態]
  <膜形成装置100の構成例>
  まず、実施形態に係る膜形成装置100の構成を説明する。
図1は、膜形成装置100の構成の一例を説明する図である。
図1は、被塗布材102の搬送方向10と略直交する方向から透視した膜形成装置100の内部を示している。
 
【0021】
  図1に示すように、膜形成装置100は、巻出部101と、インクジェットヘッド103と、プラテン104と、ヒートドラム105と、温風乾燥部106と、搬送ローラ107と、巻取部108と、制御部400とを備えている。これらは被塗布材102の搬送方向10に沿って上流から下流に順に設けられている。
 
【0022】
  膜形成装置100は、巻出部101及び巻取部108により被塗布材102を搬送しながら、インクジェットヘッド103が吐出したインクを被塗布材102に塗布し、被塗布材102上にインクによる膜を一様に形成するものである。以下、各構成部について詳細に説明する。
【0023】
  (巻出手段、巻取手段)
  本実施形態では、被塗布材102の巻出手段には巻出部101を、被塗布材102の巻取手段には巻取部108を用いる。巻出部101は、ロール状に収納された被塗布材102を回転させることで、被塗布材102を膜形成装置100の搬送経路に供給する。
【0024】
  巻取部108は、インクが塗布されて膜が形成された被塗布材102を巻き取ってロール状に収納する。
【0025】
  (搬送手段)
  プラテン104は、被塗布材102を、搬送経路に沿って搬送されるようにガイドする。また搬送ローラ107の他、符号のつけられていない搬送ローラ等も搬送手段として用いている。搬送手段と巻出手段及び巻取手段とによって、被塗布材102の搬送手段を構成する。
【0026】
  他の工程にも関連するが、膜形成装置100における塗布速度としては、30[m/分]~100[m/分]であることが好ましい。これにより、高速の膜形成が求められる場合にも好適に用いることができる。
【0027】
  被塗布材102は、搬送方向10に沿って連続する基材である。膜形成装置100は、巻出部101と巻取部108の間の搬送経路に沿って被塗布材102を搬送する。また被塗布材102の搬送方向10に沿う長さは、少なくとも巻出部101と巻取部108の間の搬送経路より長い。膜形成装置100は、搬送方向10に沿って連続する被塗布材102に対し、連続して膜形成を実行できるようになっている。
【0028】
(インク)
  インクは、膜の機能を実現する液体で構成され、複数のインクジェットヘッドのそれぞれが吐出する液体の一例である。インクジェットヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を備えるものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30[mPa・s]以下となるものであることが好ましい。
【0029】
  より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料、顔料、活物質などの電極材料、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、エマルジョン等である。これらは例えば、印刷用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターン等の各種デバイスの形成用液等の用途で用いることができる。
【0030】
  また、インク中の不揮発成分が多い場合や金属酸化物粒子を主成分とするインクを用いた場合、均一な膜形成が特に難しいため、本実施形態が特に大きく効果を発揮する。
【0031】
  (液体塗布手段)
  液体塗布手段は、インクを吐出して、被塗布材102上にインクを塗布する手段である。膜形成装置100は、
図1に示すように、液体塗布手段としてインクジェットヘッド103を備えている。
 
【0032】
  膜形成装置100は、インクジェットヘッド103として、被塗布材102の搬送方向10に沿ってインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dを設けている。但し、これに限定されるものではなく、膜形成装置100は、搬送方向10に沿って2つ以上のインクジェットヘッドを設けることができる。なお、インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dは同じ構成を有し、インクジェットヘッド103は、インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dを特に区別しない場合の総称表記である。
【0033】
  インクジェットヘッド103は、被塗布材102の幅方向(搬送方向10と略直交する方向)に沿って複数のノズルが配列されたノズル列を複数有する。膜形成装置100は、ノズルからのインクの吐出方向が被塗布材102に向くようにインクジェットヘッド103を設けている。また、インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dは、搬送される被塗布材102の搬送方向10に沿って設けられた複数の吐出ヘッドの一例である。
【0034】
  インクジェットヘッド103は、ライン型のインクジェットヘッドである。「ライン型のインクジェットヘッド」とは、被塗布材102の幅方向の全幅にわたってインクを吐出するノズルが配置されたインクジェットヘッドである。なお、インクジェットヘッド103の幅は必ずしも被塗布材102の幅方向の全幅でなくてもよく、適宜決定できる。
【0035】
  産業用途では、大量の被塗布材に高速で膜形成を行うため、
図1に示すようなライン型のインクジェットヘッドを用いたインクジェット方式が好ましい。一方で、産業用途では、長時間連続して膜形成を行うため、ライン型のヘッドを用いた場合、膜の形態によっては、長時間インクの吐出が行われない一部のノズルが存在する。それらのノズルでは、ノズル中のインクの乾燥やインク中の粒子成分の沈降等により、インク中のインク成分が不均一になり、吐出不良が生じる場合がある。
 
【0036】
  そのため、インク塗布工程では、インクを吐出しないノズルにおいて、ノズル内のインクの界面を振動させることや吐出ヘッド中のインクを常時循環させることが好ましい。ノズル内のインクの界面を振動させることや吐出ヘッド中のインクを常時循環させることにより、ノズル内のインクと、ノズルに連通する圧力室等のインクジェットヘッドにおけるインク流路内のインクとを均一な状態にでき、ノズル内におけるインクの不均一性を抑制できる。これにより、吐出不良による異常な膜発生をより抑制できる。なお、ノズル内のインクの界面とは、大気又は気体と接するインクの界面である。
【0037】
  インクジェットヘッド103において、インクに刺激を印加してインクを吐出させる手段としては、目的に応じて適宜選択でき、例えば、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト等を使用できる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等がある。
【0038】
  これらの中でも、特にインクジェットヘッド103内のインク流路内にある圧力室(液室等とも称する)と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加するものが好ましい。このインクジェットヘッド103は、電圧の印加により圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小することで圧力室中のインクを加圧し、ノズルからインクを液滴として吐出する。
【0039】
  インクジェットヘッド103は、インクジェット吐出ユニットを備える。インクジェット吐出ユニットとは、インクジェットヘッド103からのインク吐出に関連する機能部品、機構の集合体である。インクジェット吐出ユニットは、供給機構、維持回復機構、液体吐出ヘッド移動機構の構成の少なくとも一つをインクジェットヘッド103と組み合わせたもの等を含む。
【0040】
  (被塗布材)
  被塗布材102には、金属シート等の非浸透性の基材上に粒子を主成分とした層が設けられたものを用いることができる。非浸透性基材上に設けられた粒子を主成分とした層は、例えばグラファイトを主成分とした層等である。
【0041】
  非浸透性の基材は、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、白金等の金属シート、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルムの樹脂フィルム等を含む。
【0042】
  (乾燥手段)
  乾燥手段は、インクが吐出された後に、被塗布材102上のインクを乾燥させる手段である。
図1では、ヒートドラム105と、温風乾燥部106とを含んで乾燥手段200を構成している。
 
【0043】
  ヒートドラム105は回転可能なドラムである。ヒートドラム105はインクが塗布されて搬送される被塗布材102に外周面を接触させ、被塗布材102を加熱又は冷却する温度調節部材の一例である。
【0044】
  ヒートドラム105による温度調節方法は、ヒートドラム105の内部に充填した液体又は気体を熱交換媒体として被塗布材102を加熱又は冷却する方法やヒートドラム105の内部に熱源装置を設ける方法等である。乾燥手段200は、ヒートドラム105の内部に充填した液体又は気体を熱交換媒体として用い、ヒートドラム105の外部に設けられたチラー等の外部装置との間を循環させることで、熱交換媒体を所定の温度に維持する。乾燥手段200は、この熱交換媒体との熱交換により被塗布材102を加熱又は冷却して所定の温度に調節する。
【0045】
  ヒートドラム105の内部に流す液体は、水やオイル等の流動性を有するものであれば、特に制限はないが、取り扱いが容易である水が望ましい。ヒートドラム105内部に流す気体としては加温された空気を用いることがコストや安全面で望ましい。
【0046】
  乾燥手段200は、チラー等の外部装置との間で循環する液体又は気体を、ヒートドラム105の両端部(搬送方向10と直交する方向の端部)に設けられたバルブを介して、ヒートドラム105の内部に吸入し、また外部に排出する。
【0047】
  またヒートドラム105の内部に熱源装置を設ける方法は、熱源装置としてハロゲンヒーターや赤外線ヒータや、ニクロムヒータ等を含む。
【0048】
  温風乾燥部106は、ヒートドラム105の外周面に対向して設けられ、幅方向に延伸する開口を備えたノズルを含む。温風乾燥部106は、ヒートドラム105に巻き付けられた被塗布材102にノズルから温風を吹き送ることで、被塗布材102を加熱して被塗布材102上のインクを乾燥させる。また温風乾燥部106に代え、又は温風乾燥部106に加えて赤外線加熱器を備え、被塗布材102の表面に赤外線を照射して被塗布材102上のインクを乾燥させることもできる。
【0049】
  ヒートドラム105の温度や、温風乾燥部106による温風温度、温風乾燥部106が吹き送る温風の風速が、インクに用いる溶剤の乾燥性や使用する被塗布材へのダメージの影響に応じて適切な範囲に設定されると、乾燥に必要な消費電力が低減する。
【0050】
  (制御部)
  制御部400は、膜形成装置100の動作を制御する。制御部400は、膜形成装置100の内部又は外部の任意の位置に設置可能である。
【0051】
  <インクジェットヘッド103の構成例>
  次に
図2を参照して、インクジェットヘッド103の構成について説明する。
図2は、インクジェットヘッド103の構成の一例を説明する図である。
図2は、搬送方向10に沿って配置されたインクジェットヘッド103A及び103Bを、インクの吐出方向側から視た模式的な拡大図である。
 
【0052】
  図2に示すように、インクジェットヘッド103Aは、幅方向11に沿って略一定のノズル間隔dで配列する複数のノズル301が形成されたノズル板302Aを有する。複数のノズル301は、2個のノズル列であるノズル列303A1及び303A2を構成している。インクジェットヘッド103Aは、ノズル列303A1とノズル列303A2を、ノズル間隔dの略半分の距離だけ幅方向11に沿ってずらして配置する。
 
【0053】
  同様に、インクジェットヘッド103Bは、幅方向11に沿って略一定の間隔で配列する複数のノズル301が形成されたノズル板302Bを有する。ノズル板302Bには複数のノズル301を含むノズル列が2列形成されている。複数のノズル301は、2個のノズル列であるノズル列303B1及び303B2を構成している。インクジェットヘッド103Bは、ノズル列303B1とノズル列303B2を、ノズル間隔dの略半分の距離だけ幅方向11に沿ってずらして配置する。
【0054】
  膜形成装置100は、ノズル列303A1とノズル列303B1を、幅方向11において略等しい位置に配置し、ノズル列303A2とノズル列303B2を幅方向11において略等しい位置に配置する。
【0055】
  図2では、インクジェットヘッド103A及び103Bがそれぞれ2列のノズル列を備える構成を例示したが、ノズル列の数はこれに限定されるものではない。インクジェットヘッド103A及び103Bは、それぞれ1列又は3列以上のノズル列を備えてもよい。また、
図2ではインクジェットヘッド103のうちのインクジェットヘッド103A及び103Bのみを例示したが、インクジェットヘッド103C及び103Dにおいても同様である。
 
【0056】
  <制御部400の機能構成例>
  次に
図3を参照して、制御部400の機能構成について説明する。
図3は、制御部400の機能構成の一例を説明するブロック図である。
 
【0057】
  図3に示すように、制御部400は、搬送制御部401と、吐出制御部402とを有する。これらの機能は電気回路で実現される他、これらの機能の一部をソフトウェア(CPU;Central Processing Unit)によって実現することもできる。また複数の回路又は複数のソフトウェアによってこれらの機能が実現されてもよい。
 
【0058】
  搬送制御部401は、巻出部101及び巻取部108による被塗布材102の搬送の開始及び停止、或いは搬送速度等を制御する。吐出制御部402は、インクジェットヘッド103によるインクの吐出タイミングを制御する。
【0059】
  <膜形成装置100の動作例>
  次に、膜形成装置100の動作について説明する。膜形成装置100による膜の形成では、搬送方向10に設けられたインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dが、同じ種類のインクを順次吐出し、被塗布材102上にインクを塗布する。
【0060】
  図4は、膜形成装置100による動作の一例を示すフローチャートである。
図4は、ユーザが膜形成装置100の操作部に対して形成開始の操作を行い、膜形成装置100が操作を受け付けた時点を起点にした動作を示している。
 
【0061】
  まず、ステップS41において、膜形成装置100は、巻出部101に被塗布材102の巻き出しを開始させ、巻取部108に被塗布材102の巻き取りを開始させて、被塗布材102の搬送を開始する。
【0062】
  続いて、ステップS42において、インクジェットヘッド103Aは、搬送される被塗布材102に向けて全てのノズルから並行してインクを吐出し、被塗布材102が所定距離だけ搬送された後で、全てのノズルによるインクの吐出を停止する。これにより、インクジェットヘッド103Aは、搬送方向10における所定距離及び幅方向における全幅にそれぞれ対応する被塗布材102上の領域にインクを塗布する。
【0063】
  続いて、ステップS43において、膜形成装置100は、膜形成を終了するか否かを判定する。膜形成装置100は、予め定められた終了条件を満たすか否かを判定すること、或いは膜形成装置100が操作部を介してユーザから終了操作を受け付けたか否かを判定すること等により、膜形成を終了するか否かを判定する。この点は以下の終了の判定においても同様である。
【0064】
  ステップS43で膜形成を終了すると判定された場合には(ステップS43、Yes)、動作はステップS50に移行する。一方、膜形成を終了しないと判定された場合には(ステップS43、No)、動作はステップS44に移行する。
【0065】
  続いて、ステップS44において、インクジェットヘッド103Bは、搬送される被塗布材102に向けて全てのノズルから並行してインクを吐出し、被塗布材102が所定距離だけ搬送された後で、全てのノズルによるインクの吐出を停止する。これにより、インクジェットヘッド103Bは、インクジェットヘッド103Aがインクを塗布した領域の搬送方向10に沿って下流側で、搬送方向10における所定距離及び幅方向における全幅にそれぞれ対応する被塗布材102上の領域にインクを塗布する。
【0066】
  インクジェットヘッド103Bは、インクジェットヘッド103Aとは搬送方向10における異なる位置にインクを塗布するため、インクは連続的ではなく間欠的に被塗布材102上に塗布される。インクジェットヘッド103Bは、インクジェットヘッド103Aがインクを塗布した領域に対して隙間なくインクを塗布する。
【0067】
  また、インクジェットヘッド103Bは、インクジェットヘッド103Bがインクを塗布した領域の面積が、インクジェットヘッド103Aがインクを塗布した領域の面積と均等になるように、被塗布材102上にインクを塗布する。
【0068】
  続いて、ステップS45において、膜形成装置100は、膜形成を終了するか否かを判定する。
【0069】
  ステップS45で膜形成を終了すると判定された場合には(ステップS45、Yes)、動作はステップS50に移行する。一方、膜形成を終了しないと判定された場合には(ステップS45、No)、動作はステップS46に移行する。
【0070】
  続いて、ステップS46において、インクジェットヘッド103Cは、搬送される被塗布材102に向けて全てのノズルから並行してインクを吐出し、被塗布材102が所定距離だけ搬送された後で、全てのノズルによるインクの吐出を停止する。これにより、インクジェットヘッド103Cは、インクジェットヘッド103Bがインクを塗布した領域の搬送方向10に沿って下流側で、搬送方向10における所定距離及び幅方向における全幅にそれぞれ対応する被塗布材102上の領域にインクを塗布する。
【0071】
  インクジェットヘッド103Cは、インクジェットヘッド103Bとは搬送方向10に沿って異なる位置にインクを塗布するため、インクは連続的ではなく間欠的に被塗布材102上に塗布される。インクジェットヘッド103Cは、インクジェットヘッド103Bがインクを塗布した領域に対して隙間なくインクを塗布する。
【0072】
  また、インクジェットヘッド103Cは、インクジェットヘッド103Cがインクを塗布した領域の面積が、インクジェットヘッド103Bがインクを塗布した領域の面積と均等になるように、被塗布材102上にインクを塗布する。
【0073】
  続いて、ステップS47において、膜形成装置100は、膜形成を終了するか否かを判定する。
【0074】
  ステップS47で膜形成を終了すると判定された場合には(ステップS47、Yes)、動作はステップS50に移行する。一方、膜形成を終了しないと判定された場合には(ステップS47、No)、動作はステップS48に移行する。
【0075】
  続いて、ステップS48において、インクジェットヘッド103Dは、搬送される被塗布材102に向けて全てのノズルから並行してインクを吐出し、被塗布材102が所定距離だけ搬送された後で、全てのノズルによるインクの吐出を停止する。これにより、インクジェットヘッド103Dは、インクジェットヘッド103Cがインクを塗布した領域の搬送方向10に沿って下流側で、搬送方向10における所定距離及び幅方向における全幅にそれぞれ対応する被塗布材102上の領域にインクを塗布する。
【0076】
  インクジェットヘッド103Dは、インクジェットヘッド103Cとは搬送方向10に沿って異なる位置にインクを塗布するため、インクは連続的ではなく間欠的に被塗布材102上に塗布される。インクジェットヘッド103Dは、インクジェットヘッド103Cがインクを塗布した領域に対して隙間なくインクを塗布する。
【0077】
  また、インクジェットヘッド103Dは、インクジェットヘッド103Dがインクを塗布した領域の面積が、インクジェットヘッド103Cがインクを塗布した領域の面積と均等になるように、被塗布材102上にインクを塗布する。
【0078】
  続いて、ステップS49において、膜形成装置100は、膜形成を終了するか否かを判定する。
【0079】
  ステップS49で膜形成を終了すると判定された場合には(ステップS49、Yes)、動作はステップS50に移行する。一方、膜形成を終了しないと判定された場合には(ステップS49、No)、動作はステップS42に戻り、ステップS42以降の動作が再度行われる。
【0080】
  続いて、ステップS50において、膜形成装置100は、巻出部101に被塗布材102の巻き出しを停止させ、巻取部108に被塗布材102の巻き取りを停止させて、被塗布材102の搬送を停止する。
【0081】
  このようにして、膜形成装置100は被塗布材102上にインクを塗布できる。
【0082】
  [第1実施形態]
  <第1実施形態に係る膜形成方法によるインクの塗布例>
  次に
図5を参照して、第1実施形態に係る膜形成方法による被塗布材102へのインクの塗布について説明する。
図5は、本実施形態に係るインク塗布の一例を説明する図であり、
図5(a)は比較例を示す図、
図5(b)は本実施形態を示す図である。比較例は、本実施形態が適用されない例である。
 
【0083】
  また
図5は、インクジェットヘッド103のうちのインクジェットヘッド103Aとインクジェットヘッド103Bがそれぞれ吐出したインクが、被塗布材102に塗布される位置を示している。
図5に示した各升目は、被塗布材102上でインクが1滴ずつ塗布される画素51を表している。複数の画素51は搬送方向10及び幅方向11のそれぞれに沿って配列し、搬送方向10を列、幅方向11を行とする行列を構成している。なお、画素51は複数の画素の総称表記である。また画素51として正方形状のものを例示するが、画素51の形状は、これに限定されるものではなく、任意の形状でよい。
 
【0084】
  画素51内に示した「A」は、インクジェットヘッド103Aがインクを塗布した画素であることを表し、画素51内に示した「B」はインクジェットヘッド103Bがインクを塗布した画素であることを表す。この点は以降においても同様とする。
【0085】
  図5(a)に示すように、比較例では、搬送方向10に沿う下流側(図中上側)から順に、第1行目にはインクジェットヘッド103A、第2行目にはインクジェットヘッド103B、第3行目にはインクジェットヘッド103A、第4行目にはインクジェットヘッド103Bがそれぞれインクを塗布する。行ごとでインクを塗布するインクジェットヘッドが異なる。インクジェットヘッド103C及び103Dにおいても同様である。
 
【0086】
  これに対し、
図5(b)に示すように、本実施形態では、インクジェットヘッド103A及び103Bのそれぞれは、千鳥状にインクを塗布する。
 
【0087】
  千鳥状にインクを塗布することについてより詳しく説明する。インクジェットヘッド103Aは、
図5(b)に示すように、第1インク511と、第2インク512と、第3インク513とを塗布する。なお、
図5(b)における第1インク511、第2インク512及び第3インク513は、それぞれ画素51に塗布されたインクを表している。
 
【0088】
  第2インク512は、幅方向11に沿って第1インク511と等しい位置に塗布される。つまり、第2インク512が塗布される画素と、第1インク511が塗布される画素は、幅方向11に沿う座標が等しい。
【0089】
  また、第3インク513は、搬送方向10に沿う第1インク511と第2インク512との中間であって、幅方向11に沿って第1インク511とは異なる位置に塗布される。つまり、第3インク513が塗布される画素と、搬送方向10に沿う第1インク511と第2インク512との中間にある画素は、搬送方向10に沿う座標が等しい。そして第3インク513が塗布される画素と、第1インク511が塗布される画素は、幅方向11に沿う座標が異なる。
【0090】
  「千鳥状にインクを塗布する」とは、以上説明したように、第1インク511、第2インク512及び第3インク513を塗布することをいう。ここで、第1インク511は第1液体の一例であり、第2インク512は第2液体の一例であり、第3インク513は第1液体の一例である。
【0091】
  なお、インクジェットヘッド103Aが塗布するインクのうち、第1インク511、第2インク512及び第3インク513のみを説明したが、インクジェットヘッド103Aは、第1インク511、第2インク512及び第3インク513以外のインクも同様に被塗布材102に千鳥状に塗布する。
【0092】
  インクジェットヘッド103Bも同様に被塗布材102にインクを千鳥状に塗布する。但し、
図5(b)に示すように、インクジェットヘッド103Aが塗布したインクとは画素51が重ならないように塗布する。インクジェットヘッド103C及び103Dも同様にして、他のインクジェットヘッドと画素51が重ならないようにして、被塗布材102にインクを千鳥状に塗布する。
 
【0093】
  また、第1インク511が塗布される画素と第3インクが塗布される画素が幅方向11に沿って隣接する例を示したが、幅方向11に沿う両画素間に1個以上の画素が含まれてもよい。
【0094】
  また、
図5(b)では、搬送方向10に沿う第1インク511が塗布される画素と第2インク512が塗布される画素との間に1個の画素が介在する例を示したが、これに限定されるものではなく、両画素間に2個以上の画素が介在してもよい。
 
【0095】
  ここで、搬送方向10に沿う第1インク511が塗布される画素と第2インク512が塗布される画素の間に奇数個の画素が介在する場合には、第3インク513は、両画素の中間に介在する画素に塗布される。
図5(b)の例では、搬送方向10に沿う第1インク511が塗布される画素と第2インク512が塗布される画素の間には、奇数である1個の画素が介在し、この画素に第3インク513が塗布されている。
 
【0096】
  しかし、搬送方向10に沿う第1インク511が塗布される画素と第2インク512が塗布される画素の間に偶数個の画素が介在する場合には、両画素の中間位置を中心位置とする画素は存在しない。この場合には、両画素の中間位置に対し、搬送方向10に沿って0.5画素だけ上流側又は下流側にずれた位置を中心とする画素に、第3インク513が塗布される。
【0097】
  図6は、搬送方向10に沿う第1インク511が塗布される画素と第2インク512が塗布される画素の間に偶数個の画素が介在する場合を示す図である。
図6の例では、第1インク511が塗布される画素と第2インク512が塗布される画素の間に偶数個である2個の画素が介在している。両画素の中間位置Mに対し、搬送方向10に沿って0.5画素だけ下流側にずれた位置を中心とする画素に、第3インク513が塗布されている。
 
【0098】
  換言すると、搬送方向10に沿う第1インク511と第2インク512との中間に塗布される第3インク513は、両画素の中間位置Mに対し、搬送方向10に沿って0.5画素だけ上流側又は下流側にずれた位置を中心とする画素に塗布されるインクを含む。
【0099】
  <第1実施形態に係る膜形成方法の作用>
  次に
図7を参照して、本実施形態に係る膜形成方法の作用について説明する。
図7は、本実施形態に係る作用を説明する図である。
図7(a)は、比較例に係る被塗布材102に塗布されたインクを示す図、
図7(b)は
図7(a)で塗布位置誤差が生じた場合を示す図である。
図7(a)及び
図7(b)は、
図5(a)に示した位置に塗布されたインクに対応する。
 
【0100】
  図7では、搬送方向10に沿って塗布位置誤差が生じた場合を示している。インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dは、搬送方向10に沿って離隔して配置されているため、このような搬送方向10に沿う塗布位置誤差が生じやすい。
 
【0101】
  また、
図7(c)は、本実施形態に係る被塗布材102に塗布されたインクの一例を示す図、
図7(d)は
図7(c)で塗布位置誤差が生じた場合を示す図である。
図7(c)及び
図7(d)は、
図5(b)に示した位置に塗布されたインクに対応する。
 
【0102】
  図7では、網点ハッチングで示したドット61は、インクジェットヘッド103Aが被塗布材102に塗布したインクを示している。また斜線ハッチングで示したドット62はインクジェットヘッド103Bが被塗布材102に塗布したインクを示している。
 
【0103】
  塗布位置誤差がない理想的な塗布が行われた場合には、
図7(a)に示す比較例と
図7(c)に示す本実施形態との間で、被塗布材102に塗布されたインクの状態に差は生じず、被塗布材102に形成される膜にも差は生じない。
 
【0104】
  しかし、塗布位置誤差が生じた場合には、比較例では、
図7(b)に示すように、インクが塗布されていない隙間領域63が幅方向11に沿ってスジ状に延伸するように生じる。
 
【0105】
  これに対し、本実施形態では、
図7(d)に示すように、隙間領域64は、隙間領域63と比較して面積が小さくなる。被塗布材102上に千鳥状にインクを塗布することで、塗布位置誤差が分散され、隙間領域が抑制されるためである。隙間領域64の抑制により、被塗布材102に形成される膜の厚みが均一になる。
 
【0106】
  例えば、搬送方向10及び幅方向11のそれぞれに沿うドット間隔が解像度1200[dpi;dot per inch]に対応するとし、ドットの直径が30[μm]であるとする。インクジェットヘッド103Aが塗布するインクに対し、インクジェットヘッド103Bが塗布するインクが搬送方向10に沿って15[μm]位置ずれすると、被塗布材102上のインクの被覆率は比較例では約78[%]となる。これに対し、本実施形態では97[%]となる。このように本実施形態では、塗布位置誤差が生じた場合にも、比較例と比較して被覆率を高く維持でき、隙間領域を抑制できる。
【0107】
  <第1実施形態に係る膜形成方法の効果>
  次に、本実施形態に係る膜形成方法の効果について説明する。
【0108】
  以上説明したように、本実施形態では、搬送される被塗布材102の搬送方向10に沿って設けられたインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103D(複数の吐出ヘッド)のそれぞれが吐出したインク(液体)を被塗布材102に塗布する工程を行う。
【0109】
  インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dのそれぞれは、幅方向11に沿って配列されてインクを吐出する複数のノズル301を有する。塗布する工程では、インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dのそれぞれは、第1インク511(第1液体)と、第2インク512(第2液体)と、第3インク513(第3液体)とを塗布する。
【0110】
  そして、第2インク512は、幅方向11に沿って第1インク511が塗布される位置と略等しい位置に塗布され、第3インク513は、搬送方向10に沿って第1インク511が塗布される位置と第2インク512が塗布される位置との間の位置であり、幅方向11に沿って第1インク511が塗布される位置とは異なる位置に塗布される。
【0111】
  これにより、インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dによる被塗布材への液体の塗布位置誤差が生じた場合でも、塗布位置誤差を分散させ、隙間領域を抑制できる。そして、形成される膜の均一性を向上させることができる。
【0112】
  例えば、被塗布材102上に形成された膜の欠陥を検出し、検出された結果を補修する処理を行う場合にも、補修処理時間を短縮するとともに、補修のために使用するインク量を低減し、低コストで膜を形成できる。
【0113】
  [第2実施形態]
  次に、第2実施形態に係る膜形成方法について説明する。本実施形態及び以降に示す各実施形態に係る膜形成方法には、何れも膜形成装置100を適用可能である。また、上述した実施形態で説明した構成部と同一のものには、同一の部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は以降で示す各実施形態でも同様とする。
【0114】
  本実施形態では、複数の吐出ヘッドのうちの複数の吐出ヘッドが吐出した液体を被塗布材上の同じ領域に重ねて塗布することで、被塗布材上の所定領域内における液体の塗布量を増やし、厚い膜を形成可能にする。
【0115】
  図8は、本実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布の一例を説明する図である。
図8は、4つのインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dのうち、インクジェットヘッド103A及び103Cは、被塗布材102上の同じ画素51内にインクを塗布し、インクジェットヘッド103B及び103Dは、被塗布材102上の同じ画素51内に塗布した様子を示している。
 
【0116】
  画素51内に示した「C」は、インクジェットヘッド103Cがインクを塗布した画素であることを表し、画素51内に示した「D」は、インクジェットヘッド103Dがインクを塗布した画素であることを表す。この点は以降においても同様とする。
【0117】
  4つのインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dのそれぞれが吐出したインクは、被塗布材102上に千鳥状に塗布される。
【0118】
  本実施形態では、4つのインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dのうち、インクジェットヘッド103A及び103Cが吐出したインクを被塗布材102上の同じ領域に重ねて塗布する。
【0119】
  これにより、4つのインクジェットヘッド103A、103B、103C及び103Dのそれぞれが吐出したインクを重ねずに被塗布材102上に塗布する場合と比較して、被塗布材102上のインクの塗布量を増やし、厚い膜を形成できる。例えば、高い絶縁性が要求される絶縁層を電極上に形成する用途において、インクの塗布量を増やし、厚い膜を形成することで、絶縁性を高く確保できるため、本実施形態は特に好適である。
【0120】
  なお、上記以外の効果は第1実施形態で説明したものと同様である。
【0121】
  [第3実施形態]
  次に、第3実施形態に係る膜形成方法について説明する。
【0122】
  本実施形態では、複数の吐出ヘッドは、第1吐出ヘッドと、搬送方向に沿って第1吐出ヘッドと隣り合う第2吐出ヘッドとを含む4個以上の吐出ヘッドを有し、第1吐出ヘッドが吐出した液体は、第2吐出ヘッドが吐出した液体とは搬送方向に沿って異なる位置に塗布される。これにより、形成される膜を均一化する。
【0123】
  図9は、本実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布の一例を説明する図である。
図9(a)は例を示す図、
図9(b)は本実施形態を示す図である。なお、例は、第1乃至第3実施形態が何れも適用されない場合のものである。
 
【0124】
  図9において、網点ハッチングで示した画素は、インクジェットヘッド103A又は103Bの何れか一方が吐出したインクが塗布された画素を示す。
 
【0125】
  図9(a)に示すように、例では、インクジェットヘッド103A及び103Bは同じ行にインクを塗布し、インクジェットヘッド103C及び103Dは同じ行にインクを塗布する。インクジェットヘッド103A及び103Bがインクを塗布した行は、インクジェットヘッド103C及び103Dがインクを塗布した行とは異なる。
 
【0126】
  これに対し、
図9(b)に示すように、本実施形態では、インクジェットヘッド103Aとインクジェットヘッド103Bは異なる行にインクを塗布する。また、インクジェットヘッド103Cとインクジェットヘッド103Dは異なる行にインクを塗布する。
 
【0127】
  換言すると、インクジェットヘッド103は、インクジェットヘッド103Aと、搬送方向10に沿ってインクジェットヘッド103Aと隣り合うインクジェットヘッド103Bとを含む4個以上の吐出ヘッドを有する。インクジェットヘッド103Aが吐出したインクは、インクジェットヘッド103Bが吐出したインクとは搬送方向10に沿って異なる位置に塗布される。
【0128】
  また第1インク511と、第2インク512と、第3インク513は被塗布材102に千鳥状に塗布される。
【0129】
  ここで、インクジェットヘッド103Aに対するインクジェットヘッド103Bの距離は、インクジェットヘッド103Aに対するインクジェットヘッド103C又は103Dの距離と比較して短い。従って、インクジェットヘッド103Aに対するインクジェットヘッド103Bの塗布位置誤差は、インクジェットヘッド103Aに対するインクジェットヘッド103C又は103Dの塗布位置誤差より小さくなりやすい。
【0130】
  例えば、膜形成装置100全体が熱膨張すると、インクジェットヘッド103Aに対するインクジェットヘッド103B、103C及び103Dの位置も膨張に伴ってずれる。この場合のずれ量はインクジェットヘッド間の距離に比例するため、インクジェットヘッド103C及び103Dと比較して、インクジェットヘッド103Bはずれ量が小さくなる。
【0131】
  このずれ量は、そのまま塗布位置誤差となる。そのため、インクジェットヘッド103Aとインクジェットヘッド103Bが搬送方向10に沿って異なる位置にインクを塗布することで、塗布位置誤差を小さくでき、インクジェットヘッド103A、103B、103C及び103D全体での塗布位置誤差を抑制できる。これにより、形成される膜を均一化できる。
【0132】
  上記の作用効果は、インクジェットヘッド103Cと、搬送方向10に沿ってインクジェットヘッド103Cと隣り合うインクジェットヘッド103Dとの間でも同様に得られる。また、上記以外の効果は第1実施形態で説明したものと同様である。
【0133】
  [第4実施形態]
  次に、第4実施形態に係る膜形成方法について説明する。
【0134】
  本実施形態では、複数の吐出ヘッドは、N個の吐出ヘッドを有し、N個の吐出ヘッドのうち、搬送方向に沿って隣り合うM個の吐出ヘッドが吐出する液体は、幅方向に沿って配列された全ての画素のうちの少なくとも1個の画素に塗布される。但し、Nは整数を表し、MはN/2以上で、且つN/2+1未満の整数を表す。
【0135】
  本実施形態にも膜形成装置100を適用できるが、ここでは、膜形成装置100が、搬送方向10に沿って設けられた5個のインクジェットヘッド103A、103B、103C、103D及び103Eを備える場合を一例として説明する。
【0136】
  図10は、本実施形態に係る膜形成方法によるインク塗布の一例を説明する図である。画素51内に示した「E」は、インクジェットヘッド103Eがインクを塗布した画素であることを表す。また
図10では、インクジェットヘッド103A、103B及び103Cがインクを塗布した画素51を網点ハッチングで示している。
 
【0137】
  ここで、インクジェットヘッド103A、103B、103C、103D及び103Eは、N個の吐出ヘッドの一例である。従ってN=5である。またインクジェットヘッド103A、103B及び103Cは、N個の吐出ヘッドのうち、搬送方向に沿って隣り合うM個の吐出ヘッドの一例である。従ってM=3である。
【0138】
  図10に示すように、インクジェットヘッド103A、103B及び103Cは、幅方向11に沿って配列された全ての画素のうちの少なくとも1個の画素にインクを塗布する。
 
【0139】
  図10に示す例では、幅方向11に沿って配列された全ての画素の画素数は4個である。搬送方向10に沿って下流側(図中上側)から順に第1行目では、インクジェットヘッド103Aは2個の画素にインクを塗布し、2行目ではインクジェットヘッド103Bは2個の画素にインクを塗布している。3行目では、インクジェットヘッド103A及び103Cは4個の画素にインクを塗布している。このように何れの行においても、インクジェットヘッド103A、103B及び103Cは少なくとも1個の画素にインクを塗布している。
 
【0140】
  このようにすることで、搬送方向10に沿って隣り合うインクジェットヘッドは搬送方向10に沿って異なる位置にインクを塗布できる。そのため、第3実施形態で説明したものと同様に、インクジェットヘッド103A、103B、103C、103D及び103E全体での塗布位置誤差を抑制でき、形成される膜を均一化できる。なお、これ以外の効果は第1実施形態と同様である。
【0141】
  なお、本実施形態では、N=5、M=3の場合を例示したが、これに限定されるものではなく、Nは整数、MはN/2以上で、且つN/2+1未満の整数という条件の範囲内で適宜変更が可能である。
【0142】
  [第5実施形態]
  次に、第5実施形態に係る膜形成方法について説明する。
【0143】
  インクを塗布する画素のうちの一部の画素を非塗布とすると、被塗布材102へのインクの塗布量を減らし、薄い膜を形成できる。ここで非塗布とは、塗布しないことをいう。
【0144】
  しかしながら、非塗布とする画素が局所的に集中すると、集中した部分の膜の厚みが薄くなり、膜の均一性が低下する場合がある。
【0145】
  そのため、本実施形態では、複数の吐出ヘッドは、複数の画素のそれぞれに液体を塗布可能であり、塗布する工程では、第1乃至前記第3液体のうちの少なくとも1つを非塗布とし、非塗布とした液体に対応する画素は、1個以上の画素を挟んで離れている。
【0146】
  図11は、本実施形態に係る膜形成方法によるインクの塗布の一例を説明する図である。第1インク511は第1液体に対応し、第2インク512は第2液体に対応する。非塗布画素514は、第3液体に対応する第3インクが塗布されるべき画素であるが、第3インクを非塗布としたことで、インクが塗布されなかった画素である。非塗布画素514は、複数の非塗布画素の総称表記である。
図11では非塗布画素514を網点ハッチングで示している。
 
【0147】
  図11に示すように、4個の非塗布画素514同士は、それぞれ間に1画素を挟んで離れている。このようにすることで、非塗布画素514を分散させ、非塗布とする画素が局所的に集中することを防げる。その結果、膜の均一性が低下することを抑制できる。また、電極上に形成する絶縁層を膜の一例とした場合、膜の均一性を上げることで短絡が生じるリスクを低減できる。
 
【0148】
  なお、
図11の例では、非塗布画素514同士の間に1画素を挟む場合を例示したが、これに限定されるものではなく、1画素以上であればよい。例えば非塗布画素514が少ない場合等には、さらに多くの画素を挟んでもよい。また、上記以外の効果は、第1実施形態で示したものと同様である。
 
【0149】
  以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0150】
  上述した実施形態では、被塗布材上に一様に膜を形成する構成を例示したが、インクジェットヘッドによりインクを吐出して、被塗布材上に所定のパターンを形成することもできる。このパターンは、例えば被塗布材又は被塗布材にインクを塗布して製造する電極等の情報を示すバーコード又は2次元コード等の識別コードを含む。これにより、形成対象となる被塗布材又は製造対象となる電極等の情報の付与を、別工程で行うことなく効率的に行うことができる。
【0151】
  また、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0152】
  さらに、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0153】
10      搬送方向
11      幅方向
51      画素
511    第1インク(第1の液体の一例)
512    第2インク(第2の液体の一例)
513    第3インク(第3の液体の一例)
514    非塗布画素
100    膜形成装置
101    巻出部
102    被塗布材
103    インクジェットヘッド
104    プラテン
105    ヒートドラム
106    温風乾燥部
107    搬送ローラ
108    巻取部
400    制御部
401    搬送制御部
402    吐出制御部
d        ノズル間隔
M        中間位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0154】