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特開2025-164279電子機器、ファクシミリ通信システム、プログラム、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025164279
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】電子機器、ファクシミリ通信システム、プログラム、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/32 20060101AFI20251023BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20251023BHJP
【FI】
H04N1/32 101
H04N1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068108
(22)【出願日】2024-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】清水 嘉乃
(57)【要約】
【課題】既存の相手先情報の更新漏れを抑制すること。
【解決手段】本発明は、ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する文字情報抽出機能部18と、前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較する相手先情報比較判断部15と、前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する更新候補管理部14と、前記更新候補リストを表示させる表示制御部12と、前前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける操作受付部11と、を有する電子機器30である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する文字情報抽出機能部と、
前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較する相手先情報比較判断部と、
前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する更新候補管理部と、
前記更新候補リストを表示させる表示制御部と、
前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける操作受付部と、
を有する電子機器。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報と、前記画像データから抽出された1つ以上の前記第1の文字列を表示させ、
前記操作受付部は、前記表示制御部が表示した前記第1の文字列の編集を受け付け、
前記操作受付部が前記第1の文字列で更新する前記項目の選択を受け付けた場合、編集された前記第1の文字列で前記第2の相手先情報の前記項目を更新する更新部を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報の各項目であって、前記第1の文字列の一部又は全体が一致した前記第2の文字列を有する前記項目に対応付けて、前記画像データから抽出された前記第1の文字列を表示させ、
前記操作受付部が前記第1の文字列で更新する前記項目の選択を受け付けた場合、
前記更新部は、前記第2の相手先情報の前記項目に対応付けて表示されている前記第1の文字列で該項目を更新する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報と、前記画像データから抽出された1つ以上の前記第1の文字列を表示させる場合、前記画像データのサムネイルを表示させる、
請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報の各項目に対応付けてチェックボックスを表示させ、
前記操作受付部は前記チェックボックスのチェックにより前記第1の文字列で更新する前記第2の相手先情報の前記項目の選択を受け付ける、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記相手先情報比較判断部は、前記第1の文字列から特定の文字列又は特定の記号を除いて、前記第2の文字列と比較する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記相手先情報比較判断部が、前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の文字列と、既存の前記第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較した結果、前記第2の相手先情報が有する全ての前記項目で前記第1の文字列と前記第2の文字列が部分一致も完全一致もしない場合、
前記更新候補管理部は、前記第1の相手先情報を未登録の相手先情報として前記更新候補リストに登録する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記ファクスデータのTSIと既存の前記第2の相手先情報が有するFAX番号とが一致せず、かつ、
前記相手先情報比較判断部が、前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の文字列と、既存の前記第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較した結果、前記第2の相手先情報が有する全ての前記項目で前記第1の文字列と前記第2の文字列が部分一致も完全一致もしない場合、
前記更新候補管理部は、前記第1の相手先情報を未登録の相手先情報として前記更新候補リストに登録する、
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記文字情報抽出機能部は、前記第1の文字列の文字ごとに認識確率を算出し、
前記相手先情報比較判断部は、前記第1の文字列のうち前記認識確率が閾値未満の文字を除いて前記第2の文字列と比較する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記文字情報抽出機能部は、複数の前記ファクスデータが有する画像データからそれぞれ他の相手先情報を抽出し、
前記操作受付部が前記第2の相手先情報の選択を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報と、前記画像データから抽出された1つ以上の前記第1の文字列を表示させると共に、
前記第1の相手先情報と同じTSIと対応付けられている、前記他の相手先情報が有する前記第1の文字列を表示させるための表示部品を表示する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項11】
電子機器とサーバーとがネットワークを介して通信できるファクシミリ通信システムであって、
前記電子機器はファクシミリ装置から受信したファクスデータを前記サーバーに送信し、
前記サーバーは、
前記ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する文字情報抽出機能部と、
前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較する相手先情報比較判断部と、
前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する更新候補管理部と、
前記更新候補リストを前記電子機器に送信する通信制御部と、を有し、
前記電子機器は、
前記サーバーから受信した前記更新候補リストを表示させる表示制御部と、
前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける操作受付部と、
を有するファクシミリ通信システム。
【請求項12】
電子機器を、
ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する文字情報抽出機能部と、
前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較する相手先情報比較判断部と、
前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する更新候補管理部と、
前記更新候補リストを表示させる表示制御部と、
前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける操作受付部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
電子機器が相手先情報を更新する情報処理方法であって、
文字情報抽出機能部が、ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する処理と、
前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を、相手先情報比較判断部が比較する処理と、
更新候補管理部が、前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する処理と、
表示制御部が、前記更新候補リストを表示させる処理と、
操作受付部が、前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける処理と、
を行う情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、ファクシミリ通信システム、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ装置等の電子機器にはファクスの相手先情報を登録する機能が搭載されている。例えば、電子機器は、相手先から送信されるTSI(送信側情報)を基に相手先情報を登録することが一般的である。
【0003】
ファクスデータにOCR(光学式文字認識)を行い、TSIを取得し、相手先情報を登録する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、OCRで取得したTSIを基に未登録リストを作成し、ユーザーへ提示することにより相手先情報の登録を補助する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、既存の相手先情報を更新することが適切なケースにおいて、更新漏れが生じるおそれがあるという問題がある。すなわち、従来の技術は、未登録である相手先情報を管理する技術であるので、新規登録ではなく更新のために使用すべき相手先情報が未登録リストにある場合に、見落としによる更新漏れが生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、既存の相手先情報の更新漏れを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する文字情報抽出機能部と、前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較する相手先情報比較判断部と、前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する更新候補管理部と、前記更新候補リストを表示させる表示制御部と、前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける操作受付部と、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、既存の相手先情報の更新漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】送信元のファクシミリ装置と送信先のファクシミリ装置の一例を示す図である。
図2】ファクシミリ通信システムの全体構成図の一例である。
図3】複合機又はファクシミリ装置のハードウェア構成図の一例である。
図4】電子機器が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図5】ファクスデータに含まれている画像データ及び抽出された相手先情報の一例を示す図である。
図6】アドレス帳管理部が管理するアドレス帳の一例を示す図である。
図7】特定相手先情報管理が管理する特定相手先情報の一例を示す図である。
図8】受信文書書誌情報管理部が管理するFAX受信文書書誌情報の一例を示す図である。
図9】ファクスデータの送信元の相手先情報を未登録又は更新候補として判別するか否かの比較方法を説明する図である。
図10】更新候補管理部が管理する未登録及び更新候補情報について説明する図である。
図11】操作パネルに表示されるFAX設定画面と受信相手先登録画面を示す図の一例である。
図12】操作パネルに表示される更新候補リスト画面の一例を示す図である。
図13】操作パネルに表示される更新イメージ画面の一例を示す図である。
図14】電子機器がファクスデータを受信してから、相手先情報を更新するまでの処理の全体的な流れを説明するシーケンス図の一例である。
図15】電子機器がファクスデータを受信してから、相手先情報を更新するまでの処理の全体的な流れを説明するシーケンス図の一例である。
図16】相手先情報比較判断部が相手先情報とアドレス情報又は特定相手先情報との比較する処理を詳細に説明するフローチャート図の一例である。
図17】サーバーの機能ブロック図の一例である。
図18】ファクシミリ通信システムが行う処理を説明するシーケンス図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例として電子機器、電子機器が行う情報処理方法について図面を参照しながら説明する。
【0010】
<概略的な処理>
ファクシミリ装置などの電子機器には、ユーザーが相手先を選択しやすいようにFAX番号等が登録されたアドレス帳を保持している。また、電子機器は特定の相手先から受信したファクスデータを所定の方法で処理するために特定相手先情報を保持している。電子機器は、受信したファクスデータのTSIをアドレス帳又は特定相手先情報で検索し、新しい相手先からのファクスデータであると判断すると、アドレス帳及び特定相手先情報にTSI等の相手先情報を登録する。
【0011】
しかしながら、アドレス帳又は特定相手先情報に登録済みの相手先が移転したり、FAX番号と変えたりする場合は、アドレス帳又は特定相手先情報に変更されたFAX番号を新たに登録するよりも、既存のアドレス帳又は特定相手先情報に登録済みのFAX番号等を更新した方が、無駄に相手先情報が増えないというメリットがある。したがって、電子機器が、受信したファクスデータのTSIをアドレス帳又は特定相手先情報で検索し、適合しない場合、新しい相手先からのファクスデータであると判断するのでなく、既存のアドレス帳又は特定相手先情報を更新することが適切なケースが存在する。
【0012】
一方で、電子機器が、受信したファクスデータのTSIをアドレス帳又は特定相手先情報で検索し、適合しない場合に、アドレス帳及び特定相手先情報に新しく相手先情報を登録することが適切なケースも存在する。そこで、本実施形態では、下記のように、既存のアドレス帳及び特定相手先情報を更新するか、新規に登録するかを判断する。
【0013】
(1) 本実施形態の電子機器は、アドレス帳リスト又は特定相手先情報、に登録されていない相手先からのファクスデータに含まれている画像データに対して、OCRを行い、FAX番号、会社名、担当者、メールアドレス、電話番号、住所等の相手先情報を抽出する。
【0014】
(2) 電子機器は、抽出した相手先情報が有する文字列ごとに、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報の各項目を比較する。
【0015】
(3) 文字列と1項目でも部分一致、又は完全一致する既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報があった場合、電子機器は、未登録の候補とは別に、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報を更新候補として管理する。
【0016】
(4) 電子機器は、この更新候補と抽出された相手先情報をユーザーに提示して更新判断を促す。ユーザーが既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報を更新する必要があると判断した場合、電子機器は既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報を相手先情報で更新する。
【0017】
(5) 電子機器は、文字列と1項目でも部分一致、又は完全一致する既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報がない場合、相手先情報を新規に登録する。
【0018】
このように、本実施形態では、電子機器が画像データから抽出した文字列を、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報と比較して、部分一致又は完全一致したものをユーザーに提示するので、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報の更新漏れを抑制することができる。
【0019】
<用語について>
第1の相手先情報が項目ごとに有する第1の文字列とは、ファクスデータに含まれている画像データからを抽出される文字情報のうち、ファクスデータの送信元を特定可能な情報である。本実施形態では、第1の相手先情報は相手先情報という用語で説明される。
【0020】
第2の相手先情報とは、電子機器がすでに保持している相手先に関する情報であり、本実施形態では、更新の対象となる情報である。本実施形態では、アドレス帳又は特定相手先情報という用語で説明される。
【0021】
更新候補リストとは、ファクスデータから抽出された相手先情報で更新するかどうかをユーザーに判断してもらうために提示される、アドレス帳又は特定相手先情報の候補である。
【0022】
[第1実施形態]
図1図2を参照し、ファクシミリ通信システム100について説明する。
【0023】
<システム構成例>
図1は、送信元のファクシミリ装置90と送信先のファクシミリ装置30Bの一例を示す。送信元のファクシミリ装置90が宛先のファクシミリ装置30Bにファクスデータを送信する。上記の電子機器は、ファクシミリ装置30B等の送信元(受信側)の電子機器が相当する。宛先のファクシミリ装置30Bは、上記のように、OCRによる相手先情報の抽出、相手先情報と既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報との比較を行い、更新候補をユーザーに提示する。
【0024】
図2は、ファクシミリ通信システム100の全体構成図の一例である。ファクシミリ通信システム100は、公衆回線Wを介して通信可能に接続された、ファクシミリ装置90、複合機30A、ファクシミリ装置30B、及び、PC30C(Personal Computer)を有している。本実施形態において複合機30A、ファクシミリ装置30B、及び、PC30Cはいずれもファクシミリを受信する電子機器30である。当然ながら複合機30A、ファクシミリ装置30B、及び、PC30Cはファクシミリを送信する機能を有していてよい。以下では、複合機30A、ファクシミリ装置30B、及び、PC30Cを区別せずに電子機器30という。
【0025】
公衆回線Wは電話回線であり、送信元のファクシミリ装置90と受信側の電子機器30が回線を占有してファクスデータを送信する回線である。送信元及び宛先の電子機器30はFAX番号で指定される。
【0026】
電子機器30がファクスデータを送受信するには、公衆回線Wを使用するほか、インターネット又はIP-FAXを使用する方法がある。インターネットを介して電子メールの添付ファイルでファクシミリを送受信する方法をインターネットファクスという。したがって、インターネットファクスでは、送信元が電子メールの仕組みを利用してファクスデータを送信し、宛先の電子機器30が電子メールの仕組みを利用してファクスデータを受信する。送信元及び宛先はメールアドレスで指定される。
【0027】
IP-FAXはインターネットを使用する点はインターネットファクスと同じだが、通信の接続にSIP(Session Initiation Protocol)とH.323というプロトコルを使用する。SIPは、2つ以上の拠点で、音声、映像、又は、テキストメッセージの交換などを行うためにセッションの生成・変更・切断を行うプロトコルである。H.323は、電話における呼制御に関するプロトコルである。H.323は送信元と宛先のネットワーク上で、通信路の確保、切断等の処理を行う。なお、プロトコルとしてはT.37が使用されてもよい。
【0028】
IP-FAXはインターネットを使用するため、宛先及び送信元がSIP URIで指定される。SIPでは種々のURIが指定可能であり、IPアドレス若しくはホスト名、SIPユーザー名、FAX番号等がSIP URIとなり得る。これらは、SIPのRTP(Real-time Transport Protocol)パケットのヘッダーに記載されている。
【0029】
インターネットファクス又はIP-FAXは公衆回線を使用しないので、通信コストにおいて有利である。しかし、インターネットファクス又はIP-FAXはインターネットを経由してメッセージが送信されるため重要な情報を送信する場合はメッセージの暗号化が推奨されている。
【0030】
複合機30Aは少なくともファクシミリの受信機能を有し、その他の機能を有する電子機器30である。複合機30Aは、例えば、プリンタ機能及びスキャナ機能を有している。したがって、複合機30Aは受信したファクスデータを印刷することができる。また、複合機30Aは印刷したファクスデータをスキャナで読み取ることができる。なお、複合機30Aは、MFP((Multi-function Peripheral/Product/Printer)と呼ばれる場合がある。この他、複合機30Aは画像形成装置、画像処理装置、プリンタ、印刷装置、スキャナ、又は、ファクシミリ装置と呼ばれてもよい。
【0031】
ファクシミリ装置30Bはファクスデータの受信機能を有する電子機器30である。ファクシミリ装置30Bは必然的に、受信したファクシミリを印刷する機能、送信される原稿をスキャナで読み取る機能を有している。
【0032】
PC30CはWindows(登録商標)等のOSを搭載した情報処理装置である。PC30Cはインターネットに接続することができるためインターネットファクスやIP-FAXを送信及び受信することができる。一方、公衆回線Wを介するファクスデータをPC30Cが送受信するには、ファクシミリモデム等の部品が必要になる。PC30Cは、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、カーナビ、電子黒板、又は、テレビ会議端末等でもよい。
【0033】
また、図2に示すように、ファクシミリ通信システム100は、ネットワークNに接続されたサーバー50を有していてもよい。ネットワークNには、複合機30A、ファクシミリ装置30B及びPC30Cが接続されている。本実施形態において、サーバー50は、後述するアドレス及び特定相手先情報を保持している。また、サーバー50がアドレス及び特定相手先情報の更新漏れを抑制する本実施形態の処理を実行することができる。ネットワークNは社内LAN、事業所間を結ぶ広域LAN、WAN、又は、VPN(Virtual Private Network)などでもよいし、インターネットでもよい。
【0034】
サーバー50は、一台以上の情報処理装置である。本実施形態のサーバー50は主に共有受信拒否リストの保存場所として使用される。したがって、サーバー50は単にネットワーク上のNAS(Network Attached Storage)でもよい。
【0035】
サーバーとは、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアである。サーバー50はインターネット上に存在してもよいし、オンプレミスに存在してもよい。インターネット上に存在する場合はクラウドコンピューティングに対応しているとよい。クラウドとは、特定のハードウェア資源を意図しない場合に用いられる用語である。
【0036】
<ハードウェア構成例>
図3は、複合機30A又はファクシミリ装置30Bのハードウェア構成図である。図3に示されているように、複合機30A又はファクシミリ装置30Bは、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0037】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0038】
これらのうち、CPU901は、複合機30A又はファクシミリ装置の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PC30I(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0039】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0040】
SB904は、NB903とPC30Iデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PC30Iバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PC30Iターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPC30Iバス922を介したデータ転送を行うPC30Iユニットとからなる。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されてよい。
【0041】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0042】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0043】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させる。操作パネル940は、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。また、操作パネル940は、記憶媒体を装着する記憶媒体装着部940cを備えている。コントローラ910は、複合機30A又はファクシミリ装置30B全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0044】
なお、複合機30A又はファクシミリ装置30Bは、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。複合機30A又はファクシミリ装置は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0045】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PC30Iバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0046】
<機能について>
図4は、電子機器30が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。電子機器30は、操作受付部11、表示制御部12、操作解析/実行部13、更新候補管理部14、相手先情報比較判断部15、更新部10(アドレス帳管理部16、特定相手先情報管理部17)、文字情報抽出機能部18、受信文書管理部19、受信文書書誌情報管理部20、及び、通信制御部21を有する。電子機器30が有するこれらの機能は、図3に示した複合機30A又はファクシミリ装置30BのCPU901がHD909等に記憶されたプログラムを実行し、複合機30A又はファクシミリ装置30Bのハードウェアを制御することにより実現される機能又は手段である。
【0047】
通信制御部21は、ファクシミリの送受信を制御し、送信先への情報送信、及び、送信元からの情報の受信を行う。通信制御部21は、ファクスデータを受信する。ファクスデータには、TSI、書誌情報(例えば日付、時刻等)、画像データが含まれている。
【0048】
受信文書書誌情報管理部20は、ファクスデータの受信時に送信元から送信される、TSI及びファクスデータの書誌情報等、画像データ以外の情報を保存すると共に、管理する。
【0049】
受信文書管理部19は、ファクスデータのうち画像データを保存すると共に、管理する。
【0050】
文字情報抽出機能部18は、OCRなどの文字情報抽出技術を使用し、画像データから文字情報の抽出を行う。文字情報抽出技術にOCR以外の技術が使用されてもよい。文字情報抽出機能部18は、文字情報のうち送信元に関する文字列を抽出することで送信元に関する相手先情報を生成する。
【0051】
相手先情報比較判断部15は、文字情報抽出機能部18が抽出した相手先情報と、特定相手先情報管理部17が管理する特定相手先情報、及び、アドレス帳管理部16が管理しているアドレス情報と、を項目別に総当たりで比較する。比較した結果、相手先情報比較判断部15は、相手先情報が登録済み、相手先情報が未登録、又は、更新候補のいずれかに分類する。なお、更新されるのは既存のアドレス帳又は特定相手先情報である。
【0052】
更新候補管理部14は、相手先情報比較判断部15により、相手先情報が未登録、又は更新候補と判別された相手先情報の記録、管理を行い、ユーザー指示によりアドレス帳管理部16又は特定相手先情報管理部17に対し、未登録である相手先情報の登録を要求する。同様に、更新候補管理部14は、更新候補と判断された相手先情報と項目が部分一致又は完全一致した既存のアドレス又は特定相手先情報の更新を、アドレス帳管理部16又は特定相手先情報管理部17に要求する。
【0053】
アドレス帳管理部16はファクスデータを送受信する相手先のアドレス帳の記憶、管理を行う。アドレス帳には、相手先のFAX番号、住所、担当者、会社名などが登録されている。アドレス帳管理部16はアドレス帳を更新できるので更新部10としても機能する。
【0054】
特定相手先情報管理部17は、ファクスデータを受信した場合に、相手先に応じて登録されている処理内容の記憶、管理する。処理内容は、例えば印刷、転送、受信拒否等である。特定相手先情報管理部17は特定相手先情報を更新できるので更新部10としても機能する。
【0055】
操作解析/実行部13は、表示制御部12に対し操作パネル940に表示させる画面を指示する。操作解析/実行部13は、操作受付部11が受け付けたユーザー入力を解析し、更新候補管理部14へ通知する。
【0056】
表示制御部12は、操作解析/実行部13からの指示に従い、未登録と判断された相手先情報のリスト、及び、更新候補と判断された相手先情報、既存のアドレス帳及び既存の特定相手先情報のリストを表示する。操作受付部11は、ユーザー入力を受け付け操作解析/実行部13へ通知する。
【0057】
<ファクスデータからの相手先情報の抽出>
まず、図5を参照して、ファクスデータからの相手先情報の抽出方法を説明する。図5は、ファクスデータに含まれている画像データ201及び抽出された相手先情報の一例である。文字情報抽出機能部18は、画像データからOCR等を行い、文字情報を抽出する。本実施形態で抽出したい文字情報は相手先情報である。ファクシミリの送付状は決まったパターン(定型)があることが一般的であるため、文字情報抽出機能部18は、相手先を特定するための情報が記載されている領域を特定することができる。また、特定の文字が記載されている領域(例えば、〒、TEL、FAXなど)をキーとして、文字情報抽出機能部18が文字列を抽出する領域を特定することができる。この領域から抽出された文字列が相手先情報(第1の相手先情報の一例)となる。相手先情報として抽出された文字列には、例えば会社名、担当者名、電話番号、FAX番号等、相手先を特定する情報(第1の文字列の一例)が含まれることが期待される。なお、画像データからの相手先情報の抽出方法としては既存の技術が使用されてよい。
【0058】
各文字列は、受信文書番号と対応付けて、リスト化され、文字情報抽出機能部18が管理する。受信文書番号は受信されたファクスデータを一意に識別する識別情報である。
【0059】
また、OCRの認識精度は100%とは限らない。抽出された文字列に誤認識された文字が含まれる場合、当然ながら、相手先情報比較判断部15がアドレス帳や特定相手先情報と比較しても一致しない。そこで、文字情報抽出機能部18が認識した文字ごとに認識確率を算出することを利用して、相手先情報比較判断部15は認識確率が閾値未満の文字は比較に使用しないことが好ましい。認識確率は例えば0~1の範囲で認識された文字に認識されることの確からしさを示す。文字情報抽出機能部18が認識した各文字には認識確率が添付されているものとする。
【0060】
なお、相手先情報の抽出は後述する図14のステップS11で実行される。
【0061】
<アドレス帳>
次に、図6を参照してアドレス帳について説明する。図6は、アドレス帳管理部16が管理するアドレス帳の一例である。アドレス帳が有する情報をアドレス情報(第2の相手先情報の一例)という。アドレス帳には既存のアドレス情報が登録されている。例えば図6では、アドレス情報は、ID、名前、ヨミガナ、表示名、FAX番号、メールアドレス(いずれも第2の文字列の一例)が含まれている。
・IDはアドレス情報の識別情報である。
・名前は相手先の正式名称である。
・ヨミガナは名前の読み仮名をカタカナで示す。
・表示名は、操作パネル940に表示される名称(略称等)である。
・FAX番号は、ファクスデータ送信用の相手先の電話番号である。
・メールアドレスは相手先の企業の代表的なメールアドレスである。
【0062】
<特定相手先情報>
次に、図7を参照して特定相手先情報について説明する。図7は、特定相手先情報管理が管理する特定相手先情報の一例である。特定相手先情報(第2の相手先情報の一例)には、主に、ID、TSI、発信元名称等(いずれも第2の文字列の一例)が含まれる。特定相手先情報には、受信したファクスデータに所定の処理(印刷、転送、受信拒否等)を行うことが決まっている相手先が登録されている。
・IDは相手先情報の識別情報である。
・TSIは発信者番号であり、送信元のFAX番号である場合が多い。送信元と送信先の電子機器30が同じメーカである場合は、TSIが送信元の会社名の場合がある。
・発信元名称は、着信時に操作パネル940に表示される送信元の名称である。
【0063】
<FAX受信文書書誌情報>
次に、図8を参照してFAX受信文書書誌情報について説明する。図8は、受信文書書誌情報管理部20が管理するFAX受信文書書誌情報の一例である。FAX受信文書書誌情報には受信したファクスデータのうち書誌情報が登録されている。FAX受信文書書誌情報には、主に、ID、TSI、受信日時等が含まれる。
・IDは、受信したファクスデータの識別情報である。通信制御部21はファクスデータの受信時、自動的に重複しないIDを割り当てる。
・TSIは特定相手先情報と同じでよい。
・受信日時は、ファクスデータの受信時の日時である。
【0064】
<抽出された相手先情報と、特定相手先情報及びアドレス帳との比較>
次に、図9を参照して、画像データから抽出された相手先情報と、特定相手先情報及びアドレス帳との比較について説明する。図9は、ファクスデータの送信元の相手先情報を未登録又は更新候補として判別するか否かの比較方法を説明する図である。図9には、説明の便宜上、図5に示した相手先情報254、図6に示したアドレス帳251、図7に示した特定相手先情報252、図8に示したFAX受信文書書誌情報253が示されている。
【0065】
FAX受信文書書誌情報253のIDが「0010」のファクスデータについて、相手先情報比較判断部15が相手先情報254と、アドレス帳251又は特定相手先情報252とを比較するものとする。まず、相手先情報比較判断部15は、FAX受信文書書誌情報253のTSIと、アドレス帳251のFAX番号を比較し、更に、特定相手先情報252のTSIと比較し、一致するアドレス情報又は特定相手先情報があるか否か判断する。図9では一致する相手先が登録されていない。一致する場合は相手先情報が登録済みなので、新規登録や更新などの以降の処理は実施されない。
【0066】
一致するアドレス情報又は特定相手先情報が登録されていない場合、未登録、又は更新候補のどちらとして登録するかを判断するため、相手先情報比較判断部15は、相手先情報254に記録されている各文字列と、アドレス帳251、及び特定相手先情報252の各項目と比較し、少なくとも数文字(例えば2文字以上)が一致するものを探す。相手先情報比較判断部15は、相手先情報254に記録された各文字列と、アドレス帳251、及び特定相手先情報252の各項目とを総当たりで比較する。例えば、相手先情報比較判断部15は、相手先情報254から会社名を抽出した場合、アドレス帳251と特定相手先情報252の会社名とのみ比較するのではなく、その他の項目(電話番号など)とも比較する。抽出される相手先情報254が完全とは限らないので、こうすることで更新漏れを抑制しやすくなる。
【0067】
図9の例では、抽出された相手先情報254の文字列の「〇工業株式会社」と、アドレス帳251の名前が完全一致し、更に、アドレス帳251の表示名と部分一致している。また、抽出された相手先情報254の文字列の「〇工業株式会社」と、特定相手先情報252の表示名が部分的に一致している。相手先情報比較判断部15は、少なくとも1つの項目が部分一致していた場合又は完全一致した場合、未登録及び更新候補情報に対して、相手先情報を未登録又は更新候補として追加する。
【0068】
なお、「完全一致する項目」とは、相手先情報のある項目(例えば、会社名)の文字列と、アドレス帳、及び特定相手先情報の各項目の文字列とが全て一致した場合を指す。「部分一致する項目」とは、相手先情報のある項目の文字列の一部のみが一致してそれ以外の文字が一致しない項目をいう。
【0069】
相手先情報比較判断部15が部分一致していることを判断する場合には、項目によって比較する部分(文字列内の一部)が異なる。比較する部分、比較しない部分の一例を説明する。
・会社名: 会社形態を表す株式会社や有限会社などを除いた文字列がアドレス帳及び特定相手先情報と比較される。1文字では比較できないので比較のキーとなる文字列は数文字以上の文字列とする。
・氏名 : 氏名と判断された文字列のうち、比較のキーは連続する2文字以上の文字列とする。なお、氏名かどうかの判断は、例えば氏名辞書を使用する方法がある。
・住所 : 都道府県、市町村等を表す文字を除いた文字列が比較のキーである。
・番号 : 例1.市外局番及び市内局番を除いた加入者番号の全ての連続する数字列が比較のキーである。
【0070】
例2.記号"-"を除いた全ての数字列(例えば郵便番号が想定される)が比較のキーである。
【0071】
<未登録及び更新候補情報>
次に、図10を参照し、未登録及び更新候補情報について説明する。図10は、更新候補管理部14が管理する未登録及び更新候補情報について説明する図である。未登録及び更新候補情報は、相手先情報比較判断部15により未登録又は更新候補と判断された相手先情報を管理する情報である。なお、未登録及び更新候補情報には、未登録と判断された相手先情報が登録され、更新候補と判断された相手先情報とユーザーに提示されるアドレス帳及び特定相手先情報とが登録される。未登録及び更新候補情報は、受信文書ID、更新候補、更新候補アドレス帳ID、更新候補特定相手先ID、TSI、受信日時、抽出結果等の各項目を含む。
・受信文書IDの項目は、未登録又は更新候補と判断された相手先情報の識別情報であり、FAX受信文書書誌情報のIDと同じである。
・更新候補の項目は、相手先情報が更新候補と判断された場合にYes、未登録と判断された場合にIDとなり、相手先情報が未登録及び更新候補のどちらであるかを示す。
・更新候補アドレス帳IDの項目は、相手先情報と部分一致又は完全一致したアドレス帳の識別情報である。更新候補の項目がNoの場合、アドレス帳と部分一致又は完全一致しなかったので、更新候補アドレス帳IDはnullになる。
・更新候補特定相手先IDの項目は、相手先情報と部分一致又は完全一致した特定相手先情報のIDである。更新候補の項目がNoの場合、特定相手先情報と部分一致又は完全一致しなかったので、更新候補特定相手先IDはnullになる。
・TSIの項目は、FAX受信文書書誌情報のTSIである。
・受信日時の項目は、FAX受信文書書誌情報の受信日時である。
・抽出結果の項目は、画像データから抽出された相手先情報(複数の文字列)である。
【0072】
<操作パネルに表示される更新候補相手先リスト>
次に、図11図13を参照して、未登録及び更新候補情報から作成される更新候補リストについて説明する。まず、図11は、操作パネル940に表示されるFAX設定画面210と受信相手先登録画面220を示す。図11(a)に示すFAX設定画面210は、受信相手先登録編集ボタン211を有する。ユーザーが受信相手先登録編集ボタン211を押下すると、図11(b)に示す受信相手先登録画面220に遷移する。受信相手先登録画面220は更新候補リストボタン221を有している。更新候補リストボタン221が押下されると、更新候補リスト画面230が表示される。
【0073】
図12は、操作パネル940に表示される更新候補リスト画面230である。図12では、説明の便宜上、未登録及び更新候補情報255、アドレス帳251、及び、特定相手先情報252が示されている。更新候補リスト画面230は未登録及び更新候補情報255のうち、更新候補のみをリストにして表示する画面である。更新候補のみとは、未登録及び更新候補情報255の更新候補の項目がYesのレコードのみ表示されることをいう。更新候補リスト画面230は、受信文書ID、更新候補アドレス帳、更新候補特定相手先情報を有している。
・受信文書ID235の項目は、未登録及び更新候補情報255において更新候補の項目がYesとなっている受信文書IDである。
・更新候補アドレス帳236の項目は、上記の比較により特定された、更新候補のアドレス帳のID、名前、連絡先を有する。
・更新候補特定相手先情報237の項目は、上記の比較により特定された、更新候補の特定相手先情報のID、名前、連絡先を有する。
【0074】
ユーザーは更新候補リスト画面230に提示された更新候補リスト231の中から、更新を行うアドレス情報及び特定相手先情報を選択する。ただし、比較の結果によってはアドレス情報及び特定相手先情報のいずれか一方のみしか更新されない。ユーザーは更新候補リスト231から1行単位(レコード単位)で選択する。ユーザーが一度に複数行を選択可能でもよい。ユーザーが選択したレコードは例えば反転表示される。更新ボタン234が押下されると更新が開始され、図13の更新イメージ画面に遷移する。
【0075】
なお、更新候補リスト画面230は、チェックボックス232,233を有し、ユーザーは、更新するアドレス帳又は特定相手先情報のどちらか、又は両方を選択できる。つまり、更新候補リスト231に更新候補アドレス帳236及び更新候補特定相手先情報237の両方が表示されていても、選択的に更新できる。
【0076】
更新候補リスト画面230の表示方法を説明する。まず、未登録及び更新候補情報255から更新候補=Yesのレコードが抽出される。そして、未登録及び更新候補情報255の更新候補アドレス帳IDの項目に番号があれば、アドレス帳から前記場合と同じ番号(ID)に対応する名前、表示名が抽出される。未登録及び更新候補情報255の更新候補特定相手先IDに番号があれば、特定相手先情報から前記番号と同じ番号(ID)に対応する、名前、表示名が抽出される。
【0077】
なお、更新候補リスト画面230の表示処理は図15のシーケンス図のステップS21~S26で実施される。
【0078】
図13は、更新イメージ画面240を示す。説明の便宜上、図13にはアドレス帳251、FAX受信文書書誌情報253及び相手先情報254が示されている。更新イメージ画面240は、ユーザーが更新候補リスト画面230で選択したレコードに相当するアドレス情報又は特定相手先情報を表示し、どの項目を更新するか、どの情報に更新するかをユーザーが選択する画面である。
【0079】
図13では、アドレス帳が更新される場合を説明する。更新イメージ画面240は、更新内容欄241、画像データサムネイル242、ページボタン243、拡大縮小ボタン244、文書選択ボタン245、抽出文字情報リスト246、中止ボタン247、及び実行ボタン248を有する。
【0080】
・更新内容欄241は、アドレス帳の1レコード分を項目別に表示する。なお、更新イメージ画面240を右又は左にスライドさせる操作により、更新内容欄241には特定相手先情報の1レコード分が項目別に表示される。更新内容欄241は、更新選択241a、項目241b、旧241c、新241dの項目を有している。更新選択241aにはチェックボックス239があり、ユーザーはアドレス帳において更新する項目を選択できる。項目241bは、アドレス帳の項目名である。旧241cとは現在のアドレス帳の情報(項目値)であり、新241dは更新された場合にどのような情報となるかを示す。旧241cに表示される情報はアドレス帳251から取得され、新241dに表示される情報は相手先情報254(画像データから抽出された文字列)から取得される。更新候補管理部14は、既存のアドレス情報の項目と、完全一致又は部分一致した相手先情報の文字列を、アドレス帳の項目に対応付けている。表示制御部12はこの対応付けを利用して、既存のアドレス情報の項目に、相手先情報の文字列を対応付けた新241dを表示する。
【0081】
ただし、新241dにおけるFAX番号はFAX受信文書処理情報から設定される。FAX番号はTSIでよいが、TSIはFAX受信文書処理情報の方が文字認識されたものより信頼性が高いためである。
【0082】
・画像データサムネイル242はファクスデータに含まれる画像データをサムネイルで表示したものである。
【0083】
・ページボタン243は、画像データサムネイル242のページ切替を受け付けるボタンである。
【0084】
・拡大縮小ボタン244は、画像データサムネイル242の拡大と縮小を受け付けるボタンである。
【0085】
・文書選択ボタン245は、同一の相手先から送られてきた他のファクスデータの表示を受け付けるボタン(表示部品の一例)である。同一の相手先かどうかはTSIにより判断される。同一の相手先から送られてきた他のファクスデータは蓄積されている。文字情報抽出機能部18は、複数のファクスデータが有する画像データからそれぞれ相手先情報を抽出している。更新候補リスト画面230で更新候補が選択されると、更新候補管理部14は、現在、新241dに表示されている相手先情報と同じTSIに対応付けられている他の相手先情報を特定する。表示制御部12は、同じTSIに対応付けられている他の相手先情報の数などと共に、文書選択ボタン245を表示させる。文書選択ボタン245が押下されると、表示制御部12は他の相手先情報を新241dに表示させ、画像データサムネイル242も他の相手先情報のものに置き換える。旧241cは変化しない。こうすることで、ユーザーは複数のファクスデータを確認して、アドレス帳を更新するか否か判断できる。
【0086】
なお、現在、新241dに表示されている相手先情報と同じTSIに対応付けられている他の相手先情報は、アドレス帳及び特定相手先情報と比較されている。したがって、現在、新241dに表示されている相手先情報と同じTSIに対応付けられている他の相手先情報でなく、現在、旧241cに表示されているアドレス帳及び特定相手先情報の項目と部分一致又は完全一致した文字列を有する他の相手先情報が文書選択ボタン245で選択可能でもよい。
【0087】
・抽出文字情報リスト246は、画像データから抽出された相手先情報に含まれている文字列のリストである。新241dとは別に抽出文字情報リスト246が表示されるのは、旧241cと新241dとの対応付けが間違っている場合に、ユーザーが抽出文字情報リスト246を使って新241dを編集できるようにするためである。
【0088】
・中止ボタン247は更新の中止を受け付け、実行ボタン248は更新の実行を受け付ける。
【0089】
ユーザーは、更新内容欄241や画像データサムネイル242を確認して、チェックボックス239を選択することで、更新する項目を指定する。また、ユーザーは、新241dの情報を任意に編集できる。また、ユーザーは、抽出文字情報リスト246から文字列を選択して新241dの情報を上書きできる。実行ボタン248が押下されると、ユーザーの選択、及び入力情報に従い、アドレス帳管理部16がアドレス帳の内容を更新する。図13の例では、FAX番号のチェックボックス239がチェックされているので、アドレス帳251のFAX番号が「111-1111-1111」から「222-2222-2222」に更新されている。
【0090】
なお、更新イメージ画面240の表示及び更新処理に関しては、図15のシーケンス図のステップS33~S40で実施される。
【0091】
<動作又は処理>
次に、図14図15を参照して、電子機器30がファクスデータを受信してから、相手先情報を更新するまでの処理を説明する。図14図15は、電子機器30がファクスデータを受信してから、相手先情報を更新するまでの処理の全体的な流れを説明するシーケンス図である。
【0092】
S1:送信元のファクシミリ装置90がファクスデータ(TSI、書誌情報、画像データ)を電子機器30に送信する。
【0093】
S2:通信制御部21がファクスデータを受信し、画像データを受信文書管理部19に送信する。
【0094】
S3:受信文書管理部19は画像データにIDを対応付けて保存する。
【0095】
S4:また、通信制御部21は、TSIと書誌情報を受信文書書誌情報管理部20に送信する。
【0096】
S5:受信文書書誌情報管理部20はTSIと書誌情報を用いてFAX受信文書書誌情報を保存する。
【0097】
S6:画像データを保存したので、受信文書管理部19は、相手先情報の登録又は更新の必要性を判断するため、TSIが一致するアドレス情報があるかをアドレス帳管理部16に問い合わせる。
【0098】
S7:アドレス帳管理部16はTSIが一致するアドレス情報があるか否かの問い合わせ結果を受信文書書誌情報管理部20に返す。
【0099】
S8:同様に、FAX受信文書書誌情報を保存したので、受信文書書誌情報管理部20は、相手先情報の登録又は更新の必要性を判断するため、TSIが一致する特定相手先情報があるかを特定相手先情報管理部17に問い合わせる。
【0100】
S9:特定相手先情報管理部17はTSIが一致する特定相手先情報があるか否かの問い合わせ結果を受信文書書誌情報管理部20に返す。
【0101】
TSIが一致するアドレス帳又は特定相手先情報がない場合、ステップS10~S18が実行される。文字情報の抽出はTSIが一致するアドレス帳又は特定相手先情報がない場合にだけ実行されるので、文字情報の抽出による処理負荷の増大を抑制できる。
【0102】
S10:TSIが一致するアドレス帳又は特定相手先情報がない場合、相手先情報の登録又は更新が必要なので、受信文書管理部19は、ステップS3で保存した画像データを文字情報抽出機能部18に送信する。
【0103】
S11:文字情報抽出機能部18は、画像データから文字情報を抽出し、相手先に関する文字列を含む相手先情報を作成する。
【0104】
S12:文字情報抽出機能部18は、作成した相手先情報を相手先情報比較判断部15に送信する。
【0105】
S13:また、アドレス帳管理部16はアドレス帳を相手先情報比較判断部15に送信する。
【0106】
S14:特定相手先情報管理部17は特定相手先情報を相手先情報比較判断部15に送信する。
【0107】
S15:相手先情報比較判断部15は、相手先情報の文字列とアドレス情報及び特定相手先情報の項目の文字列を総当たりで比較する。比較処理の詳細については図16にて説明する。
【0108】
S16:相手先情報の文字列とアドレス情報及び特定相手先情報の項目の文字列に、完全一致又は部分一致する項目が1つもない場合、相手先情報が未登録なので、相手先情報比較判断部15は、更新候補(ID)、ファクスデータのTSI、書誌情報及び抽出結果(相手先情報)を更新候補管理部14に送信する。
【0109】
S17:完全一致又は部分一致する項目がある場合、相手先情報が更新候補なので、相手先情報比較判断部15は、更新候補(Yes)、更新候補アドレス帳ID又は更新候補特定相手先ID、ファクスデータのTSI、書誌情報及び抽出結果(相手先情報)を更新候補管理部14に送信する。
【0110】
S18:更新候補管理部14は、相手先情報を未登録及び更新候補情報に登録する。
【0111】
S19:なお、TSIが一致するアドレス帳又は特定相手先情報がある場合、相手先情報が登録済みなので図14の処理は終了する。
【0112】
S21:続いて、ユーザーが相手先情報を登録又は更新するため、更新候補リスト画面230を表示させる操作を操作受付部11に行った。操作受付部11が更新候補リスト画面230を表示させる操作を受け付ける。
【0113】
S22:操作受付部11は更新候補リスト231の取得を操作解析/実行部13に送信する。
【0114】
S23:操作解析/実行部13は更新候補リスト231を更新候補管理部14に要求する。
【0115】
S24~S26:更新候補管理部14は図12にて説明した方法で、更新候補リスト231を作成する。更新候補リスト231が表示制御部12に送信される。表示制御部12は更新候補リスト231を含む更新候補リスト画面230を操作パネル940に表示させる。
【0116】
S27:ユーザーが更新候補リスト画面230から更新候補を選択する。操作受付部11が更新候補リスト231から更新候補(1レコード)の選択を受け付ける。
【0117】
S28:表示制御部12は、更新候補がもつ受信文書ID(更新候補リスト画面230の受信文書ID)を操作解析/実行部13に通知する。
【0118】
S29:操作解析/実行部13は受信文書IDに対応付けられている、更新候補の詳細情報を更新候補管理部14に要求する。更新候補の詳細情報は更新イメージ画面240に表示される情報である。すなわち、更新候補の詳細情報は、受信文書IDで特定される相手先情報、この相手先情報が有する文字列と完全一致又は部分一致したアドレス情報、受信文書IDで特定されるFAX受信文書書誌情報、受信文書IDで特定される画像データサムネイル等である。
【0119】
S30~S32:更新候補管理部14は図13にて説明した方法で更新候補の詳細情報を生成する。更新候補の詳細情報は、表示制御部12に送信される。表示制御部12は更新候補の詳細情報を用いて更新イメージ画面240を生成し操作パネル940に表示させる。
【0120】
S33:ユーザーが更新イメージ画面240で更新候補の詳細情報を確認し、必要に応じて新241dを編集し、中止ボタン247又は実行ボタン248を押下する。操作受付部11が中止ボタン247又は実行ボタン248の押下を受け付ける。
【0121】
S34:操作受付部11は更新指示又は中止を操作解析/実行部13に通知する。
【0122】
S35:更新指示が通知された場合、操作解析/実行部13は更新指示(アドレス帳ID又は特定相手先情報ID、更新項目、更新内容)を更新候補管理部14に送信する。アドレス帳ID又は特定相手先情報IDは、現在、更新イメージ画面240に表示されている更新候補のものである。この更新候補は更新候補リスト画面230で選択されている。また、更新項目はチェックボックス239がチェックされた1つ以上の項目であり、更新内容は新241dの情報である。
【0123】
S36:アドレス帳IDが更新指示に含まれている場合、更新候補管理部14は、更新指示(アドレス帳ID、更新項目、更新内容)をアドレス帳管理部16に送信する。
【0124】
S37:アドレス帳管理部16は、アドレス帳IDが一致するアドレス情報のうち、ユーザーが指定した項目を更新内容で更新する。
【0125】
S38:アドレス帳管理部16は更新完了を更新候補管理部14に送信する。
【0126】
S39:特定相手先情報IDが更新指示に含まれている場合、更新候補管理部14は、更新指示(特定相手先情報ID、更新項目、更新内容)を特定相手先情報管理部17に送信する。
【0127】
S40:特定相手先情報管理部17は、特定相手先情報IDが一致する特定相手先情報のうち、ユーザーが指定した項目を更新内容で更新する。
【0128】
S41:特定相手先情報管理部17は更新完了を更新候補管理部14に送信する。
【0129】
S42.S43:更新完了が表示制御部12に通知され、表示制御部12は更新完了を表示する。
【0130】
S44:更新の中止が通知された場合、図14図15の処理は終了する。
【0131】
<<比較の詳細>>
図16は、相手先情報比較判断部15が相手先情報とアドレス情報又は特定相手先情報との比較する処理を詳細に説明するフローチャート図である。図16の処理は図14のステップS15~S18で実行される。
【0132】
相手先情報比較判断部15は、受信したファクスデータのTSIがアドレス帳のFAX番号と一致しているか否か判断する(S101)。ステップS101の判断がYesの場合、相手先情報が登録済みなので、図16の処理は終了し、Noの場合、処理はステップS102に進む。
【0133】
ステップS102では、相手先情報比較判断部15は、受信したファクスデータのTSIが特定相手先情報のFAX番号と一致しているか否か判断する(S102)。ステップS102の判断がYesの場合、相手先情報が登録済みなので、図16の処理は終了し、Noの場合、処理はステップS103に進む。
【0134】
ステップS103では、文字情報抽出機能部18がファクスデータに含まれている画像データから文字列を抽出する(S103)。
【0135】
文字情報抽出機能部18は抽出された文字列を使用して相手先情報を生成する(S104)。なお、文字情報抽出機能部18は、相手先情報に含まれる文字ごとに認識確率を添付するとよい。
【0136】
次に、相手先情報比較判断部15は、相手先情報の各文字列と、アドレス情報の各項目の文字列及び特定相手先情報の各項目の文字列を総当たり比較する(S105)。相手先情報比較判断部15は、比較の際、認識確率が閾値未満の文字を比較に使用しない。
【0137】
相手先情報比較判断部15は、完全一致する項目が少なくとも1項目あるか否か判断する(S106)。ステップS106の判断がYesの場合、処理はステップS109に進み、Noの場合、処理はステップS107に進む。
【0138】
ステップS107では、相手先情報比較判断部15は、相手先固有の名称に依存しない文字列(例えば、「株式会社」)を除いた一定以上の文字数が部分一致する項目が少なくとも1項目あるか否か判断する(S107)。ステップS107の判断がYesの場合、処理はステップS109に進み、Noの場合、処理はステップS108に進む。
【0139】
ステップS108では、完全一致も部分一致しないので、更新候補管理部14が、未登録の候補として未登録及び更新候補情報に登録する(S108)。こうすることで、電子機器30は、受信したファクスデータのTSIがアドレス帳又は特定相手先情報のFAX番号と一致しておらず、かつ、アドレス帳又は特定相手先情報の項目と完全一致も部分一致しない相手先情報を新規に登録できるので、新規の登録漏れも抑制できる。TSIのみで判断すると、相手先がFAX番号を変えた場合に重複登録するおそれがあるが、電子機器30は、アドレス帳又は特定相手先情報の項目の文字列と、相手先情報の文字列を比較するので、重複登録を抑制しながら新規の登録漏れを抑制できる。
【0140】
ステップS109では、完全一致又は部分一致したので、更新候補管理部14が、更新候補として未登録及び更新候補情報に登録する(S109)。
【0141】
<主な効果>
本実施形態では、電子機器が画像データから抽出した文字情報を、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報と比較して、部分一致、又は完全一致したものをユーザーに提示するので、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報の更新漏れを抑制することができる。
【0142】
[第2実施形態]
本実施形態では、既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報の更新をサーバー50が行うファクシミリ通信システム100を説明する。本実施形態の説明において、第1実施形態で同一の符号を付した構成要素については、同様の機能を果たすので、一度説明した構成要素の説明を省略あるいは相違点についてのみ説明する場合がある。
【0143】
図17は、本実施形態におけるサーバー50の機能ブロック図を示す。ファクシミリ装置90が送信するファクスデータは電子機器30が受信する。電子機器30はファクスデータを受信した直後にファクスデータをサーバー50に送信してもよいし、一定時間又は一定量蓄積した場合にサーバー50に送信してもよい。
【0144】
サーバー50の機能ブロック図は図4の電子機器30と同様でよい。主な相違としては、通信制御部21はネットワークNを介してファクスデータを電子機器30から受信する。また、表示制御部12の代わりに画面生成部22が第1実施形態で説明した各種の画面を作成する。通信制御部21はこの画面情報を電子機器30に送信する。電子機器30ではサーバー50が提供するWebアプリが実行され、Webアプリが第1実施形態で説明した各種の画面を表示する。
【0145】
図17に示すように、電子機器30は通信部31、表示制御部32、及び操作受付部33を有している。上記のように、通信部31は、ファクスデータをサーバー50に送信する。通信部31はユーザー操作に応じて更新候補リスト231等をサーバー50に要求し、サーバー50から各種の画面情報を受信する。
【0146】
表示制御部32は、更新候補リスト画面230等の画面情報に基づいて各種の画面を操作パネル940に表示させる。操作受付部33は電子機器30に対するユーザーの操作を受け付ける。
【0147】
図18は、ファクシミリ通信システム100が行う処理を説明するシーケンス図である。図18の説明では主に図14図15との相違を説明する場合がある。
【0148】
S51:電子機器30がファクシミリ装置90からファクスデータを受信する。電子機器30は印刷や転送などの所定の処理を実行すると共に、通信部31がファクスデータをサーバー50に送信する。
【0149】
S52:サーバー50の通信制御部21はファクスデータを受信し、図14のステップS1~S19の処理を実行する。
【0150】
S53:次に、ユーザーが更新候補リスト231を表示させる操作を電子機器30に行うと、操作受付部33が該操作を受け付ける。
【0151】
S54:通信部31は更新候補リスト231をサーバー50に要求する。
【0152】
S55:サーバー50の通信制御部21が更新候補リスト231の要求を受信すると、サーバー50は図15のステップS22~S26の処理を実行する。
【0153】
S56:サーバー50の画面生成部22は更新候補リスト画面230を生成し、この画面情報を電子機器30に送信する。電子機器30の表示制御部32が更新候補リスト画面230を表示させる。
【0154】
S57:ユーザーが更新候補を選択する操作を電子機器30に行うと、操作受付部33が該操作を受け付ける。
【0155】
S58:通信部31は更新対象の情報を持つ受信文書IDをサーバー50に送信する。
【0156】
S59:サーバー50の通信制御部21が更新対象の情報を持つ受信文書IDを受信すると、サーバー50は図15のステップS28~S32の処理を実行する。
【0157】
S60:サーバー50の画面生成部22は更新イメージ画面240を生成し、この画面情報を電子機器30に送信する。電子機器30の表示制御部32が更新イメージ画面240を表示させる。
【0158】
S61:次に、ユーザーが更新指示又は中止を電子機器30に行うと、操作受付部33が該操作を受け付ける。
【0159】
S62:通信部31は更新指示又は中止をサーバー50に要求する。
【0160】
S63:サーバー50の通信制御部21が更新指示又は中止を受信すると、サーバー50は図15のステップS34~S43の処理を実行する。
【0161】
S64:サーバー50の画面生成部22は更新完了の画面を生成し、この画面情報を電子機器30に送信する。電子機器30の表示制御部32が更新完了の画面を表示させる。
【0162】
<主な効果>
本実施形態のファクシミリ通信システム100は、第1実施形態の効果に加え、サーバー50が既存のアドレス帳リスト及び特定相手先情報の更新漏れを抑制することができる。したがって、電子機器30が処理する場合よりも電子機器30の処理負荷を低減できる。
【0163】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0164】
例えば、本実施形態では、ファクスデータから相手先情報を抽出したが、電子機器30は帳票データから相手先情報を抽出してもよい。この場合、帳票データにはTSIが含まれないので、電子機器30はOCR等で抽出されたFAX番号により登録済みを判断する。
【0165】
また、図4などの構成例は、電子機器30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。電子機器30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0166】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0167】
<付記>
[付記1]
ファクスデータに含まれている画像データから、相手先に関する第1の相手先情報を抽出する文字情報抽出機能部と、
前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の相手先情報が有する1つ以上の第1の文字列と、既存の第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較する相手先情報比較判断部と、
前記第1の文字列の一部又は全体が前記第2の文字列と一致した前記項目を有する前記第2の相手先情報を、更新候補リストに登録する更新候補管理部と、
前記更新候補リストを表示させる表示制御部と、
前記更新候補リストから更新する前記第2の相手先情報の選択を受け付ける操作受付部と、
を有する電子機器。
[付記2]
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報と、前記画像データから抽出された1つ以上の前記第1の文字列を表示させ、
前記操作受付部は、前記表示制御部が表示した前記第1の文字列の編集を受け付け、
前記操作受付部が前記第1の文字列で更新する前記項目の選択を受け付けた場合、編集された前記第1の文字列で前記第2の相手先情報の前記項目を更新する更新部を有する、
付記1に記載の電子機器。
[付記3]
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報の各項目であって、前記第1の文字列の一部又は全体が一致した前記第2の文字列を有する前記項目に対応付けて、前記画像データから抽出された前記第1の文字列を表示させ、
前記操作受付部が前記第1の文字列で更新する前記項目の選択を受け付けた場合、
前記更新部は、前記第2の相手先情報の前記項目に対応付けて表示されている前記第1の文字列で該項目を更新する、
付記2に記載の電子機器。
[付記4]
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報と、前記画像データから抽出された1つ以上の前記第1の文字列を表示させる場合、前記画像データのサムネイルを表示させる、
付記2又は3に記載の電子機器。
[付記5]
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報の各項目に対応付けてチェックボックスを表示させ、
前記操作受付部は前記チェックボックスのチェックにより前記第1の文字列で更新する前記第2の相手先情報の前記項目の選択を受け付ける、
付記3に記載の電子機器。
[付記6]
前記相手先情報比較判断部は、前記第1の文字列から特定の文字列又は特定の記号を除いて、前記第2の文字列と比較する、
付記1~5のいずれか1項に記載の電子機器。
[付記7]
前記相手先情報比較判断部が、前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の文字列と、既存の前記第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較した結果、前記第2の相手先情報が有する全ての前記項目で前記第1の文字列と前記第2の文字列が部分一致も完全一致もしない場合、
前記更新候補管理部は、前記第1の相手先情報を未登録の相手先情報として前記更新候補リストに登録する、
付記1~6のいずれか1項に記載の電子機器。
[付記8]
前記ファクスデータのTSIと既存の前記第2の相手先情報が有するFAX番号とが一致せず、かつ、
前記相手先情報比較判断部が、前記文字情報抽出機能部が抽出した第1の文字列と、既存の前記第2の相手先情報が項目ごとに有する第2の文字列を比較した結果、前記第2の相手先情報が有する全ての前記項目で前記第1の文字列と前記第2の文字列が部分一致も完全一致もしない場合、
前記更新候補管理部は、前記第1の相手先情報を未登録の相手先情報として前記更新候補リストに登録する、
付記7に記載の電子機器。
[付記9]
前記文字情報抽出機能部は、前記第1の文字列の文字ごとに認識確率を算出し、
前記相手先情報比較判断部は、前記第1の文字列のうち前記認識確率が閾値未満の文字を除いて前記第2の文字列と比較する、
付記1~8のいずれか1項に記載の電子機器。
[付記10]
前記文字情報抽出機能部は、複数の前記ファクスデータが有する画像データからそれぞれ他の相手先情報を抽出し、
前記操作受付部が前記第2の相手先情報の選択を受け付けた場合、
前記表示制御部は、前記操作受付部が選択を受け付けた前記第2の相手先情報と、前記画像データから抽出された1つ以上の前記第1の文字列を表示させると共に、
前記第1の相手先情報と同じTSIと対応付けられている、前記他の相手先情報が有する前記第1の文字列を表示させるための表示部品を表示する、
付記2に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0168】
10 ファクシミリ装置
30 電子機器
100 ファクシミリ通信システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0169】
【特許文献1】特開2017-073601号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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