(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016482
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】後ろ側に少なくとも1つの型要素が備えられた型ライニングを含む型枠システム
(51)【国際特許分類】
E04G 17/00 20060101AFI20250128BHJP
【FI】
E04G17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024174781
(22)【出願日】2024-10-04
(62)【分割の表示】P 2021534989の分割
【原出願日】2019-12-13
(31)【優先権主張番号】18213217.5
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】シャハト,マイク
(72)【発明者】
【氏名】ヴュスト,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ライベ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ラシード,スフヤン
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】型ライニング及び型要素は、3Dプリンティング法により製造されている。このことは好ましくは共通の3Dプリンティング工程によって行われるがしかし型ライニング及び型要素は、別個の3Dプリンティング工程によって製造されることも可能であり型要素は次いで型ライニングの後ろ側に備えられる。このことは少なくとも1つの第1の固定要素を使用して行われる。これとは対照的に型ライニング及び型要素が共通の3Dプリンティング工程で製造される場合型要素を型ライニングに固定するための第1の固定要素の追加的な使用は必要とされない。
【効果】本発明に従えば型要素及び任意に第1の固定要素はこれらが型ライニングの前側と接触しないか又は貫通することがないように型ライニングの後ろ側に備えられる。本発明はまたこのような型枠システムを例えば、コンクリートで作られた構造要素の製造に使用する方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-前側(3)及び後ろ側(4)を有する型ライニング(2)、
-型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた、少なくとも1つの型要素(10)、
を含み、
i)型ライニング(2)及び型要素(10)は、3Dプリンティング法により製造されており、ii)型要素(10)は、任意に少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用することによって、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及びiii)型要素(10)及び任意に第1の固定要素(50)は、型要素(10)及び任意に使用される第1の固定要素(50)が、型ライニング(2)の前側(3)と接触しないか、又は貫通することがないように、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられており、
型枠システム(1)は、少なくとも1つの第2の固定要素(20)を使用することによって、基礎部(30)の少なくとも1つのサブ領域に留められており、基礎部(30)は、完全に木材から製造されている、ことを特徴とするコンクリートで作られた構造要素を製造するための型枠システム(1)。
【請求項2】
型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が、共通の3Dプリンティング工程で製造されていることを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項3】
型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が、別個の3Dプリンティング工程で製造されており、及び型要素(10)が次いで、少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用して、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられることを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの型要素(10)が、接着接合、ネジ留め、くぎ留め、及び/又はリベット留めによって、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び/又は、第1の固定要素(50)として、接着剤、ネジ、くぎ、及び/又はリベットが使用されることを特徴とする請求項3に記載の型枠システム(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの型要素(10)は、
i)少なくとも1つの開口部(11)を、好ましくは円形状の穴、スロット又は切り欠きの形状で有し、及び/又は
ii)少なくとも1つのラッチングラグ(13)を有し、及び/又は
iii)少なくとも1つの補強リブ(12)
を有することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の型枠システム(1)。
【請求項6】
基礎部(30)は、木製格子構造、又はクリート構造であることを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の型枠システム(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの型要素(10)が、少なくとも1つの開口部(11)、好ましくは円形状の穴又はスロットを有し、及び少なくとも1つの第1の第2の固定要素(20)、好ましくはワイヤ(21)、ケーブル又はスチールストリップ、特にワイヤ(21)が、その1つのサブ領域を経由して開口部(11)内に挿入され、又は部分的に引っ張られ、及び第1の第2の固定要素(20)が、その他のサブ領域を経由して、少なくとも1つの第2の第2の固定要素(20)、好ましくはネジ又はくぎを使用して、基礎部(30)に留められていることを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの型要素(10)が、少なくとも1つの開口部(11)を有し、及び型要素(10)が、少なくとも1つの第1の第2の固定要素(20)を使用して基礎部(30)に留められ、及び
i)第1の第2の固定要素(20)が、少なくとも1つの第2の第2の固定要素(20)、好ましくはネジ(22)又はくぎを任意に使用して、基礎部(30)に留められ、及び/又は
ii)第1の第2の固定要素(20)が、好ましくは穿孔されたストリップ(27)であり、及び穿孔されたストリップ(27)は、ボルト(26)を任意に使用して、型要素(10)に留められている、
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの第1の型要素(10)及び少なくとも1つの第2の型要素(10)が、基礎部(30)のサブ領域との両側連結を設けるために、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び好ましくは、第1の型要素(10)の第2の型要素(10)に対する配置構成が、対称性、好ましくは(基礎部(30)の位置に対して)ミラー反転である、ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項10】
第1及び第2の型要素(10)が、それぞれ単一の第2の固定要素(20)のサブ領域に連結され、及びこの第2の固定要素(20)の更なるサブ領域が、基礎部(30)に留められており、及び
好ましくは、
i)基礎部(30)が、少なくとも1つの開口部及び/又は切り欠きを有し、これを通して第2の固定要素(20)を引っ張るか又は部分的に挿入することが可能であり、及び/又は
ii)第2の固定要素(20)が、ストリップ、ケーブル又は穿孔したストリップであり、及び/又は
iii)第2の固定要素(20)が、追加的に、張力機構(24)、特に偏心器を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の型枠システム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの型要素(10)が、機能要素(40)に連結され、好ましくは型要素(10)は、少なくとも1つの開口部(11)を有し、より好ましくは開口部(11)は、切り欠きの状態、特に蟻継ぎの状態であり、及び/又は、機能要素(40)は、下部部位(42)及び少なくとも1つの穴(41)を有する上部部位(43)を有することを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項12】
i)少なくとも1つの型要素(10)及び少なくとも1つの機能要素(40)がフォームフィッティングの状態で、好ましくはキーロックの原理に従って相互に連結されており、及び/又は
ii)少なくとも1つの機能要素(40)が、基礎部(30)のサブ領域に、好ましくは少なくとも1つの第2の固定要素(20)、特にネジ又はくぎを使用して連結されている、
ことを特徴とする請求項11に記載の型枠システム(1)。
【請求項13】
少なくとも1つの第1の型要素(10)及び少なくとも1つの第2の型要素(10)が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び
i)第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)のそれぞれが、少なくとも1つのラッチングラグ(13)を有し、
ii)第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)は、(基礎部(30)の位置に対して)相互にミラー反転するように、型ライニング(2)の後ろ側(4)に配置され、及び
iii)第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)は可逆的に、離れて、及び一緒にプレス可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の型枠システム(1)。
【請求項14】
第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)が、基礎部(30)の、又は機能要素(40)のサブ領域に留められ、好ましは基礎部(30)に留められ、これにより可逆的な、又は取り外し可能なスナップ結合を形成し、基礎部(30)又は機能要素(40)が、少なくとも1つの切り欠き(31/44)を有し、該切り欠き(31/44)に、第1の型要素(10)及び/又は第2の型要素(10)の少なくとも1つのラッチングラグ(13)がラッチしてスナップ結合を形成することが可能である、ことを特徴とする請求項13に記載の型枠システム(1)。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載の型枠システム(1)を、コンクリート構造物に、及び/又はコンクリートで作られた構造要素の製造のために使用する方法であって、型ライニング(2)の前側(3)が、型枠システム(1)のコンクリートに向き合う側になる、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型ライニング(2)及び型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた、少なくとも1つの型要素(10)を含む型枠システム(1)に関する。型ライニング(2)及び型要素(10)は、3Dプリンティング法によって製造されている。これは好ましくは、共通の3Dプリンティング工程で行われ、しかしながら、型ライニング(2)及び型要素(10)は、別個の3Dプリンティング工程で製造されることも可能であり、ここで型要素(10)は、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられる。このことは、少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用して行われる。一方、型ライニング(2)及び型要素(10)が共通の3Dプリンティング工程で製造された場合には、型要素(10)を型ライニング(2)に留めるために、第1の固定要素(50)を追加的に使用する必要はない。本発明に従えば、型要素(10)及び任意に第1の固定要素(50)は、これらが型ライニング(2)の前側(3)と接触しないか、又は貫通することがないように型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられる。本発明はまた、このような型枠システム(1)を、例えばコンクリートで作られた構造要素の製造に使用する方法にも関する。
【0002】
コンクリーで作られた構造要素を製造するための型枠は、コンクリートの高密度による小さな変形を伴う内部圧力に耐えることが可能でなければならない。更に、製造されるコンクリート構造要素について、乱れのない、均一な表面を得ると共に、所望の理想的には途切れることのない質感を得ることに高い要求がある。均一で、乱れがなく、目に見える固定要素、例えばネジの無い型枠表面は、型枠及びプレキャストコンクリート部分を修正(rework)する労力を低減させる。実際に、型枠システムは通常、例えばネジ又は他の固定要素を使用して、対応する構造の固定を達成するために、コンクリートに向き合う面から開始して、この面を通って基礎部に留められている。しかしながら、実際に広く行われているこの方法では、使用される固定要素が、製造されるコンクリート構造要素の表面上で明らかに目に見えてしまい、従って手直し(再加工)が必要であるという重要な不利な点がある。例えば、使用するネジに、その頭部にフィラーが備えられている場合、表面上の染み、及び/又は望ましくない変形/落ち込み(depression)が、対応するコンクリート構造要素に見られ得るものである。
【0003】
特許文献1(WO95/02101)には、慣用の型枠システム(これらをライニングボードと表している)が開示されており、該型枠システムでは、断面が略U字形の支持梁が、型ライニングのコンクリートから背を向ける側に備えられている。特許文献1には、型ライニングを形成する材料、又は型ライニングを製造する方法についての特定の情報は、何ら記載されていない。断面が略U字形の支持梁は、例えばシート状の金属から製造可能である。
【0004】
特許文献2(DE-A102016119365)は、コンクリート要素を製造するためのモジュール式の型枠システムに関するものである。添付された図は特に、最初に、オーダーメイドの型枠システムを使用し、次いで支持構造体、又は基礎部に留められた(固定された)型枠システムを使用して、どのようにしてコンクリート要素が実際に製造されるのかを示している。アルミニウム型枠パネルはしばしば実際に使用されるものであるが、この文献では、コンクリート表面上の質感(テキスチャー)の問題から、不利な点を有するものとして記載されている。この文献に開示されているモジュール式の型枠システムは、この替わりに、複数の個々の型で構成されており、この個々の型は、少なくともコンクリートに向いた面上で、層状に硬化するブラスチック(合成物質)から製造されている。この表面は、次いで、(個別の)基礎プレートに与えられ、該基礎プレートは例えばアルミニウムから製造可能である。実際の使用では、この多くの個別の型で構成されたモジュール式の型枠システムは、次に、型枠、又は後ろ側、すなわちコンクリートから背いた側の基礎部に留められる。この目的のために、個々の要素を固定するための、例えばアルミニウムから製造された基礎プレートの後ろ側に別個に備えらえた装置が通常使用される。
【0005】
特許文献3(CN105926935A)は、3Dプリンティングに基づくコンクリート配置用の統合化カラムテンプレートを開示しており、ここでの統合化カラムテンプレートは、3Dプリンティングによって形成されたチューブ状構造を有しており、該チューブ状構造は、チューブ壁及び任意に補強リブから構成されている。
【0006】
特許文献4(KR101539186B1)は、特定の外側表面を備えた、コンクリートを注ぎ込むための型枠配置構成に関するもので、この型枠配置構成は、フレーム及び注ぎ込むコンクリートの外側表面に対応する対応部分を含んでいる。
【0007】
特許文献5(CN108797892A2)は、自由に除去することが可能なコンクリートカラム型を開示しており、このコンクリートカラム型は、ガラスファイバーメッシュで補強されており、カラム型は、中空状の超高性能コンクリート層及びガラスファイバーメッシュを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO95/02101
【特許文献2】DE-A102016119365
【特許文献3】CN105926935A
【特許文献4】KR101539186B1
【特許文献5】CN108797892A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、コンクリートで作られた構造要素を製造するのに適切な、新しい型枠システムを提供することに基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、
-前側(3)及び後ろ側(4)を有する型ライニング(2)、
-型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた、少なくとも1つの型要素(10)、
を含み、
i)型ライニング(2)及び型要素(10)は、3Dプリンティング法により製造されており、ii)型要素(10)は、任意に少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用することによって、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及びiii)型要素(10)及び任意に第1の固定要素(50)は、型要素(10)及び任意に使用される第1の固定要素(50)が、型ライニング(2)の前側(3)と接触しないか、又は貫通することがないように、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられている、型枠システム(1)によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に従う型枠システムの1つのキーとなる有利性は、これらが対応する基礎部と結びついた態様について、適応性の非常に高い度合いを有していることに見出される。このようにして、極度の温度状態、例えば熱間又は冷間に起因する、それぞれ使用される材料の異なる膨張又は収縮挙動を、容易に補償することが可能になる。
【0012】
更なるキーとなる有利性は、コンクリート構造要素を製造する場合、乱れのない及び/又は均一な表面を、所望の理想的には途切れることのない質感(texture)と共に簡単な態様で製造することが可能であるという事実に見出すことができる。このことは特に、本発明に従う型枠システム(1)中では、完成した型ライニング(2)及び型要素(10)は、3Dプリンティング法によって製造されているという事実によって達成される。有利なことには、完成した型ライニング(2)及び/又は型ライニング(2)はそれぞれ、単一のDプリンティング工程によって製造される。本発明に従う型枠システム(1)の個々の要素は、例えば特許文献2(DE-A102016119365)に従う方法で要求されているように、複数の個々の要素から苦労して組み立てる必要はない。型ライニング(2)及び型ライニング(2)が共通の3Dプリンティング工程で製造されているならば、本発明に従う型枠システム(1)は、特に容易に製造することが可能である。
【0013】
本発明に従う3Dプリンティングされた型枠システム(1)は、通常の型枠要素(例えば、パネル、チューブ、ワックス又はポリウレタンフォーム)を使用して製造することが不可能な、又は手作業により、又はCNCミリングを使用した、非常に高いレベルの努力でのみ製造可能な、特に複雑な幾何学的構造を作り出すのに特に適切である。本発明に従う型枠システムは通常、質量がより小さく、及び/又は製造時間が短いが、この理由は、これらは比較的薄いライニング(例えば厚さ1~20mm)の状態で製造することが可能であるからである。本発明に従う、好ましい壁が薄い型枠システムは、堅い及び負荷のかかる要素、例えば木製格子構造から構成される、対応する基礎部に、単純で柔軟な態様で備えることが可能であり、これにより、充填媒体(特にコンクリート)を注ぐか、又は詰める場合に、許容できない/相当な変形が生じることなく高い圧力に耐えることが可能なものである。
【0014】
本発明に従う型枠システムは、その取扱いの柔軟な容易性が得られており、実際にはいまだに広く行われている方法である、基礎部への接着接合の必要はもはや無くなる。この接着接合は通常、非常に高価であり、時間を要し、及び接着剤と一緒に新しい媒体を製造工程に導入することになり、この新しい媒体は場合によっては、後に分離されて(廃棄物)処理されるべきものである。加えて、安定した結合を得るために、比較的大量の接着剤を使用する必要が有る。更に、続く解体がより困難なものになる。
【0015】
同様に、本発明に従う型枠システムは、接着接合に替えて実際に行われるような、内側(コンクリートと向き合っている側)から基礎部へのネジ留めを行う必要性が殆ど無い。従って、本発明に従う型枠システムの使用は、製造されるプレキャストされたコンクリート部分に、ネジ頭、穴又は製造されるべきプレキャストコンクリート部分上の型ライニングの表面上の他のガイドを見せなくても良い、という状況を許容する。従ってプレキャストコンクリート部分上の表面/質感(テキスチャー)への障害(混乱)は防止され、及び続いて製造されたプレキャストコンクリート部分上で、追加的な充填及び/又は平滑化手段を行う必要は無い。ここで、この点に関し、使用される充填材料は、型枠材料とは異なった吸引挙動を有し、これもまたコンクリート表面上に目視可能な障害(混乱)をもたらす。このことはコンクリートが見える用途において特に重要である。
【0016】
以下に本発明に従う型枠システムをより詳細に説明する。
【0017】
本発明の第1の対象は、
-前側(3)及び後ろ側(4)を有する型ライニング(2)、
-型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた、少なくとも1つの型要素(10)、
を含み、
i)型ライニング(2)及び型要素(10)は、3Dプリンティング法により製造されており、ii)型要素(10)は、任意に少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用することによって、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及びiii)型要素(10)及び任意に第1の固定要素(50)は、型要素(10)及び任意に使用される第1の固定要素(50)が、型ライニング(2)の前側(3)と接触しないか、又は貫通することがないように、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられている、型枠システム(1)、である。
【0018】
3D(3次元)プリンティング法は、それ自体は、この技術分野の当業者にとって、公知である。本発明に従えば、原則として全ての公知の異なる3Dプリンティング技術、例えば選択的レーザー溶融、電子ビーム溶融、選択的レーザー焼結、ステレオリソグラフィー、又は熱溶解積層(FDM)法が使用可能である。同様のことが、類似的に対応する出発材料、例えば所望の3次元(3D)オブジェクトを製造するために、対応する3Dプリンティング法で層ごとに適用される、粉末又は繊維にも適用される。
【0019】
本発明に従えば、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)を含む、完成した型枠システム(1)は、3Dプリンティング法によって製造される。更に、個々の機能要素(40)も、Dプリンティング法によって製造可能である。しかしながら、本発明に従う型枠システム(1)内で、個々の型要素、機能要素又は他のオブジェクトが、3Dプリンティング法によって製造されていないことも可能である。例えば、本発明に従う型枠システム(1)は、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられておおり、及び3Dプリンティング法によって製造されている、少なくとも1つの型要素(10)に加え、3Dプリンティング法によって製造されていない更なる型要素をも含むことが可能である。本発明に従えば、第1及び第2の固定要素(20/50)又は基礎部(30)は通常、3Dプリンティング法によって製造されない。この理由は、これは複雑過ぎるからである。理論的には、しかしながら、このようなオブジェクトを同様に、3Dプリンティング法によって製造することも可能である。
【0020】
本発明に従えば、3Dプリンティング法によって製造された型枠システム(1)のそれぞれの要素を、すなわち特に、型ライニング(2)(型裏張(2))及び少なくとも1つの型要素(10)がそれぞれ、単一の3Dプリンティング法によって製造されることが好ましい。換言すればこのことは、本発明に従えば、本発明に従う型枠システム(1)の、3Dプリンティング法で製造された、それぞれの構成要素は、それぞれ1個体(one piece)に製造され、及びその後に苦労して一緒に結合させなければならない、異なる部分から構成されるものではない、ことが好ましいことを意味する。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態では、型枠システム(1)は、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が、共通の3Dプリンティング工程で製造されている、という方式で作られる。
【0022】
本発明に従えば、しかしながら、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が、別個の3Dプリンティング工程で製造されている、ということが可能であるが、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が共通の3Dプリンティング工程で製造されていることが好ましい。
【0023】
本発明に従う型枠システム(1)で、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が、それぞれ別個の3Dプリンティング工程で製造されている場合、型要素(10)は次いで、少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用することによって、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられる。ここで第1の固定要素(50)として原則として適切なものは、第2の固定要素(20)として以下に詳細に説明するものと同様の(例えば本発明に従う型枠システム(1)を基礎部(30)に留めるための)固定要素である。この技術分野の当業者にとって公知の接着剤の使用も、第1の固定要素(50)として適切であるが、しかしながら、型枠システム(1)及び基礎部(30)を留める場合には、これらは本発明に従って適切性はより低い。
【0024】
第1の固定要素(50)が、次いで型要素(10)を型ライニング(2)に留めるために使用される場合、第1の固定要素(50)も、成型要素(10)も、前側(3)すなわち内側、又は実際の使用時におけるコンクリートに向き合う側と接触しないか、又は貫通/破壊することがないように配慮する必要がある。従って、本発明のこの実施形態にとって追加的に、3Dプリンティング操作の間、特に第1の固定要素(50)の使用によって、型ライニング(2)の前側(3)が破壊されることを回避するために、1つ以上のドーム(半球体)を型ライニング(2)の後ろ側(4)上に印刷することが有意義である。
【0025】
この実施形態では、少なくとも1つの型要素(10)が、接着、ネジ留め、くぎ留め、及び/又はリベット留めによって、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び/又は、第1の固定要素(50)として、接着剤、ネジ、くぎ、及び/又はリベットが使用される。この構成は特に好ましくは、ネジ留めによって行われ、及び/又は第1の固定要素(50)として、ネジが使用される。
【0026】
完全性を期して、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が共通の3Dプリンティング工程で製造されている本発明の好ましい実施形態では、型要素(10)が型ライニング(2)の前側(3)と接触せず、又は貫通しないという特徴的構成は、既に自動的に満たされる。この理由は、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)が、本発明に従う型枠システムを一緒に形成し、及び相互に分離することが不可能であるからである。型要素(10)の、少なくとも1つの第1の固定要素(50)を使用した、型ライニング(2)の後ろ側(4)への備え付けを次に行う構成では、結果として、型ライニング(2)の前側(3)が接触され、又は貫通されることになるが、この構成は従って、もはや必要でなくなる。換言すれば、このことは、対応する型要素(10)が、型ライニング(2)の一方側に既にプリントされており、この側は定義により後ろ側(4)、すなわち、使用の間、コンクリートから外側に向いた側であることを意味している。
【0027】
本発明の全ての実施形態では、型ライニング(2)の前側(3)は、好ましくは、如何なる型要素(10)、第1及び第2の固定要素(20/50)又は他の要素、例えば機能要素(40)をも全く有していない状態を継続する。更に、特定の実施形態にも拘わらず、型ライニング(2)の前側(3)は、如何なる他の第1及び第2の固定要素(20/50)、又は機能要素(40)によって接触、又は貫通されない。例えば、機能要素(40)及び/又は基礎部(30)の部分が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に、何らかの形態で第1及び第2の固定要素(20/50)を介して留められている場合、これらの要素の何れもが、型ライニング(2)の前側(3)と接触せず、又は貫通しない。
【0028】
本発明に従う型枠システム(1)で、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)は、任意の所望の幾何学形状及び/又は大きさ(寸法)を有することが可能である。正確な大きさ、及び/又は形状/幾何学形状は、最終的には特定の用途、すなわち製造される成形されたコンクリート部分の特定の構造に基づいて、この技術分野の当業者によって決定される。この目的のために、この技術分野の当業者は有利なことには、対応するコンピューター制御、又はコンピュータプログラムを使用する。本発明に従う型枠システム(1)中の型ライニング(2)び形状/周囲が大きい程、この技術分野の当業者は、本発明に従う型枠システム(1)を、可能な限り安定的に対応する基礎部(30)に備えるようにするために、より多くの型要素(10)を、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えることが考えられる。特に、非常に小さな成形コンクリート部分の場合、単一の型要素(10)で既に十分であることが、理論的に可能である。実際にはしかしながら、本発明に従う型枠システムは、多量の型要素(10)を有することも可能で、例えば2、5、10、50、100又はこれを超えるの数の型要素(10)を有することも可能である。個々の型要素(10)の幾何学的形状、及び/又は大きさは、同一及び/又は異なることが可能であり、好ましくは、本発明に従う型要素(10)は、大きさ及び/又は幾何学形状において同一である。
【0029】
本発明に従う型枠システムで、型ライニング(2)は通常、実際に、1~20mmの厚さ、好ましくは3~8mmの厚さを有する。しかしながら、これらの厚さ値は全く、これらの範囲を下回っても良く、ないしは上回っても良い。例えば、実際の適用で、型ライニングの個々の領域を、他の領域よりも厚くすることも合目的的である。
【0030】
このようなものとしての型ライニング、及び/又はこのようなものとしての型要素(10)は、この技術分野の当業者にとって公知である。これらは、この技術分野の当業者にとって公知の3Dプリンティング工程で処理可能な任意の材料から作成することが可能である。
【0031】
本発明の目的のために、型要素(10)は原則として、適切な第1及び第2の固定要素(20/50)を介して、型ライニング(2)及び基礎部(30)の間のフォースフィット(force fit) フォームフィット(form fit)を許容する要素を意味すると理解される。ここで、型要素(10)は既に好ましくは、同じ3Dプリンティング工程中で、型ライニング(2)と一個体(one piece)で作成されている。本発明の目的のために、適切な型要素(10)は例えば、穴(opening)、スロット、切り欠き、突起、補強リブ又はラッチングラグであることが可能である。
【0032】
本発明では、型要素(10)は、
i)少なくとも1つの開口部(11)を、好ましくは円形状の穴、スロット又は切り欠きの形状で有し、及び/又は
ii)少なくとも1つのラッチングラグ(13)を有し、及び/又は
iii)少なくとも1つの補強リブ(12)を有する、ことが好ましい。
【0033】
本発明に従えば、型枠システム(1)は、基礎部(30)又はそのサブ領域に連結(接続)することが可能である。このことは通常、少なくとも1つの第2の固定要素(20)を使用して行われる。固定又は連結は、この技術分野の当業者にとって公知の全ての方法によって行うことが可能である。
【0034】
ここで、型枠システム(1)は好ましくは、少なくとも1つの第2の固定要素(20)を使用して基礎部(30)のサブ領域に固定され、ここで好ましくは基礎部(30)は、少なくとも部分的に、より好ましくは完全に木材から作られ、特に基礎部(30)は、木製格子構造、又はクリート構造である。
【0035】
本発明の一実施の形態では、少なくとも1つの型要素(10)が、少なくとも1つの開口部(11)、好ましは円形状の穴又はスロットを有し、及び少なくとも1つの第1の第2の固定要素(20)、好ましくはワイヤー(21)、ケーブル又はスチールストリップ、特にワイヤー(21)が、そのサブ領域を経由して、開口部(11)挿入されるか、又は部分的に引っ張られ、及び第1の第2の固定要素(20)が、その他のサブ領域を経由して、少なくとも1つの第2の第2の固定要素(20)、好ましくはネジ又はくぎを使用して、基礎部(30)に留められている、型枠システム(1)が使用される。
【0036】
本発明の他の実施形態は、少なくとも1つの型要素(10)が、少なくとも1つの開口部(11)を有し、及び型要素(10)が、少なくとも1つの第1の第2の固定要素(20)を使用して基礎部(30)に留められ、及び
i)第1の第2の固定要素(20)が、少なくとも1つの第2の第2の固定要素(20)、好ましくはネジ(22)又はくぎを任意に使用して、基礎部(30)に留められ、及び/又は
ii)第1の第2の固定要素(20)が、好ましくは穿孔されたストリップ(27)であり、及び穿孔されたストリップ(27)は、ボルト(26)を任意に使用して、型要素(10)に留められている、型枠システム(1)に関する。
【0037】
本発明に従えば、本発明に従う型枠システム(1)のサブ領域を、例えば両側連結を使用して、基礎部(30)のサブ領域に、一重に、又は他に複重して留めることが可能である。両側連結は、しばしば好ましい。この理由はこれにより、非常に安定した、型枠システム(1)の、基礎部(30)の対応するサブ領域との、特にフォームフィッティングした連結を行うことが可能であるからである。本発明に従えば、型枠システム(1)は従って、少なくとも1つの第1の型要素(10)及び少なくとも1つの第2の型要素(10)が、基礎部(30)のサブ領域との両側連結を設けるために、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び好ましくは、第1の型要素(10)の第2の型要素(10)に対する配置構成が、対称性、好ましくは(基礎部(30)の位置に対して)ミラー反転(mirror-inveted)である、ことが好ましい。
【0038】
好ましい一実施形態では、本発明に従う型枠システム(1)は、第1及び第2の型要素(10)が、それぞれ単一の第2の固定要素(20)のサブ領域に連結され、及びこの第2の固定要素(20)のサブ領域が、基礎部(30)に留められており、及び好ましくは、
i)基礎部(30)が、少なくとも1つの開口部及び/又は切り欠きを有し、これを通して第2の固定要素(20)を引っ張るか又は部分的に挿入することが可能であり、及び/又は
ii)第2の固定要素(20)が、ストリップ、ケーブル又は穿孔したストリップであり、及び/又は
iii)第2の固定要素(20)が、追加的に、張力機構(24)、特に偏心器を有する。
【0039】
上述したように、本発明に従う型枠システム(1)は、少なくとも1つの型要素(10)を介して機能要素(40)に連結されることも可能であり、ここで機能要素(40)は任意に、3Dプリンティング法によって製造されることが可能である。しかしながら機能要素(40)は好ましくは、3Dプリンティング法によって製造されておらず、むしろその補足、サブセット、又は構成部分として製造され、及び/又は基礎部(30)に連結されると理解される。機能要素は、それ自体は、この技術分野の当業者にとって公知である。これらは特に、以下に図中で示したデバイス要素である。
【0040】
本発明の好ましい型枠システム(1)は、少なくとも1つの型要素(10)が、機能要素(40)に連結され、好ましくは型要素(10)は、少なくとも1つの開口部(11)を有し、より好ましくは開口部(11)は、切り欠きの状態、特に蟻継ぎ(dovetail)の状態であり、及び/又は、機能要素(40)は、下部部位(42)及び少なくとも1つの穴(41)を有する上部部位(43)を有する。
【0041】
更に、好ましくは、
i)少なくとも1つの型要素(10)及び少なくとも1つの機能要素(40)がフォームフィッティングの状態で、好ましくはキーロックの原理に従って相互に連結されて、及び/又は
ii)少なくとも1つの機能要素(40)が、基礎部(30)のサブ領域に、好ましくは少なくとも1つの第2の固定要素(20)、特にネジ又はくぎを使用して連結されている。
【0042】
本発明の更なる好ましい一実施の形態では、少なくとも1つの第1の型要素(10)及び少なくとも1つの第2の型要素(10)が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び
i)第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)のそれぞれが、少なくとも1つのラッチングラグ(13)を有し、
ii)第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)は、(基礎部(30)の位置に対して)相互にミラー反転するように、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられ、及び
iii)第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)は可逆的に、別個にプレス可能であり、及び一緒にプレス可能である。
【0043】
ここで、型枠システム(1)について、特に好ましくは、第1の型要素(10)及び第2の型要素(10)が、基礎部(30)の、又は機能要素(40)のサブ領域に留められ、好ましは基礎部(30)に留められ、これにより可逆的な、又は取り外し可能なスナップ結合を形成し、基礎部(30)又は機能要素(40)が、少なくとも1つの切り欠き(31/44)を有し、該切り欠き(31/44)に、第1の型要素(10)及び/又は第2の型要素(10)の少なくとも1つのラッチングラグ(13)がラッチしてスナップ結合を形成することが可能である。
【0044】
本発明の更なる対象は、上述した型枠システム(1)を、コンクリート構造物に、及び/又はコンクリートで作られた構造要素の製造のために使用する方法であって、型ライニング(2)の前側(3)が、型枠システム(1)のコンクリートに向き合う側になる、方法である。
本発明に従う型枠システム(1)を、以下に図を参照して図解的に説明する。更に、個々の図は、本発明に従う型枠システム(1)の構成要素及び/又は構成物質部分をも表しており、及び本発明に従う型枠システム(1)の好ましい実施形態及び/又は適用例をも表している。更に、従来技術に従う型枠システムも示されている。個々の図に示されている対象物は、一般的に実際のスケールでは描かれていない。このことは、型ライニング(10)の大きさ及び/又は形状、特に、型要素(10)の大きさ、形状及び/又は数について該当する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の型枠システム(1)を表しており、これが有する型要素(10)は、特定的な幾何学形状を例として有している。型要素(10)の特定的(特殊)な構造についての例示的な変形例を、
図2及び3に示す。
【
図4】
図4は、本発明に従う型枠システム(1)の適用を示している。これとは対照的に、
図5は、従来技術に従う型枠システムの適用に相当する。
【
図6】
図6は、本発明に従う型枠システム(1)の変形例を示している。この変形例の更なる変形例が
図7に示されており、
図7に示した変形例は、この変形例に追加的に存在する機能要素(40)を備えている。
【
図8】
図8は、このような機能要素(40)の例である[
図8a及びb]。更に、関連する本発明に従う関連する型枠システム(1)が、
図8cに図解的に示されている。
【
図9】
図9は、型要素(10)自体の、いわゆる蟻継ぎ(dovetail)の形状の、特殊な実施形態を示している。型要素(10)の特定的な構造の変形例が、
図10[
図10a及びb]に示されており、これはそれぞれ、これに属する第2の固定要素(20)を含んでいる。
【
図11】
図11もまた、本発明に従う型枠システム(1)の特殊な適用を示しており、これは、穿孔したストリップ(27)を固定要素(20)として使用したものである。
図12は、この実施形態で使用される型要素(10)の替わりの実施形態を示している。
【
図13】
図13は、本発明に従う型枠システム(1)のスナップ結合を形成した、更なる実施形態を示している。スナップ結合は
図14に示すように、基礎部(30)に直接的に連結されることも可能であり、又はスナップ結合は、機能要素(40)に連結することも可能である。
【0046】
図1では、本発明に従う型枠システム(1)が、第1の実施形態で図解的に示されている。型ライニング(2)は、任意の所望の幾何学形状を有することが可能である。
図1に示された長方形の型枠ライニングは、単に例示したものに過ぎないと理解されるべきである。同様のことが、型ライニング(2)の大きさ(寸法)についても類似的に適用される。
図1に従う図解では、型要素(10)が、ここでも開口部(11)を有しており、及び型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられている。実際には、2個以上の型要素(10)も、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えることが可能である。型ライニング(2)の後ろ側(4)上の、このような型要素(10)の特定の数は通常、特定の用途によって決定され、すなわち、特にコンクリートから製造される型要素の大きさ及び/又は幾何学形状によって決定される。型ライニング(2)の前側(3)は、コンクリート側の外側とも表される。この理由は、これは例えば、特定の用途で使用されるモルタルと接触することになるからである。後ろ側(4)は実際には、内側とも表される。
【0047】
図1の型要素(10)に示された開口部(11)は、特定的に(丸い)穴として形成されている。開口部(11)の大きさ及び/又は形状/幾何学形状は、最終的には任意の所望の態様で選択することが可能である。通常、これらは特定の実際的な用途に基づくものである。同様のことが類似して、型要素(10)の特定の幾何学形状及び/又は大きさにも適用される。
図1に従う型要素(10)及び/又は開口部(11)の例示的な代表例の変形例が、
図2及び3に示されている。従って、例えば、
図2に従う型要素では、開口部(11)を形成する型要素(10)の領域は、
図1に従う型要素の対応する開口部と比較して、長くされている。更に、補強リブ(12)が、
図2に従う型要素の開口部(11)の領域に備えられている。このような補強リブの数及び/又は特定の幾何学形状は、実際では任意である。これらは主に、実際において、本発明に従う型枠システム(1)の特定の用途における負荷量を増すように作用する。
【0048】
開口部(11)の幾何学形状の変形例が、スロット形状の開口部の状態で
図3に示されている。型要素(10)が、2つ以上の開口部(11)、特に穴形状の開口部、すなわち丸い穴を有することも可能である。このような追加的な穴は、許容範囲を補償するために使用される。
【0049】
図1~3に図解的に及び例として示した本発明に従う型枠システム(1)で、型ライニング(2)及び型要素(10)の両方が、3Dプリンティング法で製造される。ここで、型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)は、単一/共通の3D工程の枠内で製造することが可能であり、又は他に、相互に別個に製造可能であり、この場合、型ライニング(2)の3Dプリンティング法に次いで、少なくとも1つの型要素(10)が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に取り付けられる。好ましくは、本発明の範囲内で、型ライニング(2)及び型要素(10)を含む型枠システム(1)が、共通の3Dプリンティング工程で製造される。異なる幾何学形状及び/又は大きさの、2つ以上の型要素(10)が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられることも可能である。2つ以上の型要素(10)の場合に、それぞれの型要素(10)の部分量(サブセット)が型ライニング(2)と一緒に、共通の3Dプリンティング工程の枠内で製造され、この一方で、型要素(10)の他の部分量が、型ライニングの3Dプリンティング工程に次いで、初めて型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられることも同様に可能である。
【0050】
図4は、本発明に従う型枠システムの、実際上での可能な適用を図解的に示している。
図4のセクションAは、本発明に従う型枠システム(1)が型枠ライニング(2)の後ろ側(4)上の基礎部(30)に連結される態様を示している。基礎部(30)は、例えば木材から製造することが可能である。
図4では、基礎部(30)は図解的に、単一部品(サブ領域)としてのみ示されている。実際には、対応する基礎部は通常、所望の幾何学的配置構成に連結可能な複数の要素を含んでいる。
図4には例として(サブ領域のために)単独的に示されてはいるが、このことは実際に、本発明に従う型枠システム(1)は類似して、基礎部(30)の対応する構成部分に、2か所以上で連結することも可能であることを意味する。
【0051】
図4に例示した実施形態では、1つの型要素(10)が、
図1に例示したように、型ライニング(2)の後ろ側(4)上に使用されている。ワイヤ(21)の状態の第1の固定要素が、丸い/穴-形状の開口部(11)を通って案内されている。ワイヤーの替わりに、類似する固定要素、例えばケーブル、又はスチールストリップが、別法として使用可能である。この固定要素(21)は対で、第2の固定要素、この場合ではネジ(22)によって基礎部(30)に留められている。
図4Bでは、
図4Aのこの詳細が、星印でマークされ、そして図解的に90°回転されて示されている。
図4Bから明確に理解されるように、第1の固定要素、特にワイヤ(21)が、2面側からその低領域で、型要素(10)の開口部(11)に挿入されるように成形可能である。その上側端では、第1の固定要素、特にワイヤ(21)が、例えばネジ穴(23)の形状に構成され、これにより、これは第2の固定要素(特にネジ(22))によって、基礎部(30)に安定的に固定されることが可能である。ネジ(22)の替わりに、他の適切な固定要素、例えば釘も使用可能である。
【0052】
図4に示した一方側固定、特に一方側のネジ締の変形例は、基礎部(30)の対応する領域を有する、本発明に従う型枠システム(2)の二方側固定、特に二方側ネジ締を行うことによって、単純な態様で変更可能であり、ここで、(
図4に示した基礎部(30)サブ領域に基づいて)第1の形成要素(10)に対して、左右対称、好ましくはミラー反転した状態で、第2の形成要素(20)が設けられる。この変形例では、第2の固定は従って、基礎部(30)のサブ領域の、第1の固定側に対して向き合った側に設けられる。
【0053】
図5は、従来技術に従う型枠システムに類似する適用を示している。対応する型枠システムは、対応する基礎部のサブ領域上で、その後ろ側(すなわち、内側又はコンクリートから背いた側)のサブ領域に位置しているか、または後者に接触している。従来技術では、型ライニングは通常、固定要素、特にネジ(22)を備えることによって固定されていた。ここで、対応する固定要素は最初に前側(3)上に配置され、すなわち、型ライニング(2)の外側又はコンクリート側に配置され、これは、対応する「力の動き:force movement」を、例えばネジを使用して適用して、対応する固定要素(22)が型ライニング(2)をその全体の厚みにわたって貫通し/突き通し、及び更に型ライニングに隣接する基礎部(30)のサブ領域に導入される態様で行われる。
図5に従う従来技術の特定の実施形態では、このことは、少なくとも1つのネジ(22)を使用して(これによって)、型ライニング(2)を基礎部(30)にしっかりとネジ留めすることによって行われる。従来技術に従うこの固定方法の特定の不利な点は、対応する固定要素がそれぞれの型ライニング(2)を、その全厚みに亘って完全に貫通し、この結果、ネジ(22)のヘッドが対応する型ライニング(2)の前側(3)から目視可能な状態に残ることである。このことは従って、固定要素(22)の一部、特にネジヘッドが、特定の用途における所謂コンクリートパターン中に目視可能に残るという結果をもたらす。
【0054】
図6及び7はそれぞれ、本発明に従う型システム(1)の対応する適用における(
図4と比較しての)変形例を示している。
図6に従う実施形態は、基礎部(30)(のサブ領域)を有する本発明に従う型システム(1)の両側連結を説明しており、この態様は、対称的な力の消散の観点から特に有利である。この実施形態では、少なくとも2つの型要素(10)が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられることが不可欠である。2つの型要素(10)は、好ましくは、型ライニング(2)の後ろ側(4)に、これらが基礎部(30)(のサブ領域)について対象的に、好ましくはミラー反転した状態で配置される。上述したように、基礎部(30)は、任意の所望の材料、特に木材で作成することが可能であり、及び/又は基礎部(30)は、それ自体、複数の断片から組み立て、この結果、基礎部(30)を2点以上の箇所で型ライニング(2)と接触させることが可能であり、この構成については、
図6では基礎部(30)の単一サブ領域が概念的に示されている。基礎部(30)が型ライニング(2)と、その後ろ側(4)で、2点以上の箇所で接触する場合、基礎部(30)のそれぞれのサブ領域は同様に、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた(少なくとも)2つの型要素(10)と連結されることが可能である。この実施形態に適用される概略は、基礎部(30)の、型ライニング(2)の後ろ側(4)との各接触領域について、その2倍の数の型要素(10)が設けられるということである。
【0055】
この実施形態での型要素(10)は、同一であり、又は異なることが可能であり、好ましくは同一の型要素(10)が、型要素の一組ごとに使用される。
図6に従う実施形態で使用される型要素(10)は例えば、
図1に例示した型要素、すなわち、第1の固定要素、例えばケーブル、ワイヤ又はスチールストリップを案内するために開口部(11)、特に穴を有する型要素(10)に相当する。しかしながら、開口部(11)を有していない型要素(10)を使用することも可能である。この理由は例えば、ネジ等の他の固定要素を介して、型要素(10)にストリップを固定することが可能であるからである。
【0056】
図6に従う実施の形態では、例としてストリップ(25)が第1の固定要素として使用されており、ストリップは例えば、穿孔されたストリップの状態で形成することも可能である。第1の固定要素、特にストリップ(25)は好ましくは、エキセン(eccentric)を使用して張ることが可能な張力機構(24)をも有する。2つの型要素(10)が別個の開口部(11)を有していない場合、第1の固定要素は、(それぞれの)第2の固定要素を使用して、例えばくぎ又はネジを使用して、それぞれの型要素(10)に固定することも可能である。基礎部(30)への固定は、この技術分野の当業者にとって公知の如何なる方法によってでも行うことが可能である。従って例えば、
図6に示したように、両側連結(double-sided connection)を可能にするために、基礎部(30)は、適切な開口部(該開口部を通って第1の固定要素が引っ張られる)を有することも可能である。この替わりに、基礎部(30)が、適切切り欠き/幾何学形状を、その側部表面上に有することが可能であり、そしてこの中に対応する第1の固定要素、特にストリップがフォームフィッティングの状態で挿入可能である。
【0057】
図7に示した本発明の実施形態の変形例では、本発明に従う型枠システム(1)は、少なくとも1つの機能要素(40)を使用して、特に木材で製造可能な基礎部(30)に連結されている。機能要素(40)は好ましくは、少なくとも1つの第1の固定要素、例えば少なくとも1つのネジ(22)を使用して、基礎部(30)の(サブ領域の)一方側上に固定されている。機能要素(40)の特定の構造が例として、
図8a及び8bに示されている(以下の説明も参照される)。
図7に従う実施形態での、型ライニングの境界部の破線は、好ましくは、本発明に従う型枠システム(1)及び型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた型要素(10)は、共通の3Dプリンティング法で製造されることを示している。この実施形態から理解されるように、型要素(10)自体が、開口部(11)を特に穴の状態で有することが絶対的に必要であるわけではない。例えば、機能要素(40)が型要素(10)に接触し、及び更なる固定要素、例えば少なくとも1つのネジ(22)の補助で、型要素10に固定されることが可能である。
【0058】
好ましくは、(以下の発明の)
図7に従い記載された実施形態における、機能要素(40)の型要素(10)との連結は、
図8cに示したような態様で行われる。ここで、型要素(10)は、対応する開口部(11)を特に切り欠きの形状で有しており、この切り欠きは、幾何学的には、(キーロックの原理又はキーロック機構の意味で)対応する下部部分(42)に対する相手部分(counter part)を有しており、この構成は、
図8A及び8Bに従う機能要素(40)の実施形態に示されている。型要素(10)及び機能要素(40)は従って一緒に、フォームフィット(form fit)を形成する。網羅性を考慮して、このフォームフィットは
図7に従うこの実施形態に存在するが、図示はされていない。このフォームフィットの特定の構造に関し、
図8A及び8Bに従う説明が参照される。
【0059】
図7に従う実施形態では、基礎部(30)及び型枠システム(1)の間の好ましい一方側連結(one-sided connection)が、機能要素(40)を使用して示されている。この替わりに、この目的のために、両側連結が行われることも可能であり、その結果、
図6に従う実施形態に類似して、対応する機能要素(40)を介して基礎部(30)に順次連結された第2の型要素(10)が、型ライニング(2)の後ろ側(4)に基礎部(30)の対応するサブ領域に関して対称的に、好ましくはミラー反転的に型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられる。この代替として、機能要素(40)あ、基礎部(30)に斜めに備えられることが更に可能であり、この結果、ネジ締め操作の間の支え(bracing)が可能になる。
【0060】
上述したように、
図8A及び8Bは、機能要素(40)の好ましい実施形態を示しており、これは、
図7に従う実施形態に使用可能なものである。
図8Aは、機能要素(40)の模式図を正面図で示しており、
図8Bは、機能要素(40)の対応する斜視図を示している。機能要素(40)の特定の幾何学形状及び/又は大きさは、最終的には、実際(実施)において任意に選択可能であり、通常これらは特定の実際的な適用に基づいている。
図8に例示した機能要素(40)は、下部部位(42)及び上部部位(43)を有している。下部部位(42)は、好ましくはこれが、フォームフィッティングした態様で、型要素(10)の対応する開口部(11)に導入可能なように、幾何学的に構成されている。この構成が、
図8cに図示されている。機能要素(40)又は対応する下部部位(42)のサブ領域の、フォームフィットを形成する特定の幾何学的構成は、所望の態様で行うことが可能である。従って、下部部位(42)の部分のみが、フォームフィッティングの態様で、型要素(10)の対応する開口部(11)に導入され、及び/又は更なる幾何学形状が下部部位(42)上に存在し、これが型要素(10)とのより良好な、及び/又は追加的なインターロッキングを、可能なものにしても良い(
図9の上部部分も参照)。
【0061】
対応する機能要素(40)を、例えば適切な固定要素、特にネジを使用して基礎部(30)に固定するために、機能要素(40)は好ましくは1つ以上の開口部、特に穴(41)を有することができる。このような開口部、特に穴(41)は、好ましくは対応する機能要素(40)の上部部位(43)に存在する。これらの開口部、特に穴(41)は、好ましくは相互に対称的に配置される。機能要素(40)は任意に、3Dプリンティング法によっての製造可能である。
【0062】
図9は、型要素(10)の特殊な実施形態、例えば所謂「蟻継ぎ:dovetail」の態様を示している。換言すれば、このことは、型要素(10)が、蟻継ぎの状態の切り欠きを有する開口部(11)を有することを意味する。従って、型要素(10)のこの開口部(11)を通して、特に、例えば
図8に示したような、機能部分(40)とのフォームフィッティング結合が作られる。
図9は、原則として、
図8Cに従う正面図の上部部位の斜視図である。
図9の上部部位では、蟻継ぎ構造(
図9、上部左側)と比較した、可能なフォームフィットに関し、中間及び右側に2つの代替構造が図解的に示されている。網羅性を考慮して、
図9には、本発明に従う型枠システム(1)の型ライニング(2)は図示されておらず、本発明に従い型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた型要素(10)のみが示されている。
図9に特定的に示されている型要素(10)は、その全ての幾何学的な修飾(modification)と共に、3Dプリンティング法によって製造され、及び同様に3Dプリンティング法を使用して製造される型ライニング(2)の、その後ろ側(4)に備えられることが可能である。好ましくは、本発明の範囲内で、本発明に従う型枠システム(1)に含まれる型ライニング(2)及び少なくとも1つの型要素(10)は、共通の3Dプリンティング法によって製造される(
図9には図示せず)。
【0063】
図9に従う型要素(10)の特定の幾何学的構成の変形が、
図10A及び10Bに示されている。
図10Aに従う型要素(10)は、開口部(11)を有しており、これは好ましくは、穴の形状に構成されている。固定要素(特にワイヤー(21))(の一部)は、型要素(10)を例えば、基礎部(30)(の一部)に連結するために、
図4に例示したように、この開口部(11)を通して差し込まれることが可能である。型要素(10)の代替の幾何学的配置構成が、
図8Bに示されており、この構成は、2つの開口部(11)を、好ましくは対称的な配置構成で有しており、これらの開口部(11)を通して固定要素も案内可能である。
図10Bの右側に示したように、固定要素としてワイヤーが特に適切であり、このワイヤーは、その両方端部が、型要素(10)2つの開口部(11)の1つにそれぞれ案内され(方向I)、又は
図10Bの右側部分に示したように、案内して外すことも可能である(方向II)。
【0064】
図10A及び
図10Bにワイヤ(21)を使用して図示したような、固定要素を使用する構成の代替として、
図10に従う実施形態で、対応する型要素が、
図7及び8で示された実施形態に類似して、機能要素(40)を使用して基礎部(30)(のサブ領域)に固定されることも可能である。機能要素(40)は、この場合、機能要素(40)が、
図10A及び10Bに従う、それぞれの型要素(10)の対応する開口部(11)に、フォームフィットという意味(キーロックの原理)でフォームフィッティングする態様で適合するように、その下側に構成される。
【0065】
穿孔されたストリップ(27)を第2の固定要素(20)として使用した、本発明に従う型枠システム(1)の更なる実施形態が、
図11に示されている。
図11は、本発明に従う型枠システム(1)の好ましい両側連結を示しており、これは、型ライニング(2)、型ライニング(2)の後ろ側(4)に備えられた、少なくとも2つの型要素(10)を含んでいる穿孔したストリップ(27)の固定の原理をより良好に説明するために、
図11に従う略図では、型要素(10)は90°の角度で回転して示されている。2つの型要素(10)は好ましくは、基礎部(30)に対して対称的に、特にミラー反転した(mirror-inverted)態様で配置される。この実施形態の第1の固定要素は好ましくは、穿孔されたストリップ(27)であり、これは次いで、第2の固定要素(特にボルト(26))を使用して、型要素(10)に固定されるが、この第2の固定要素は好ましくは、型要素(10)の1つ以上の開口部(11)及び穿孔されたストリップ(27)を通して案内される。
図11に従う図の右側部分において、力Fは最初に、穿孔されたストリップが引かれていることを示しており、この構成は、これを更なる固定要素、特にネジ(22)の補助下に、好ましくは張った状態で基礎部(30)に固定可能とするためのものである。
図11の左側には、この実施形態が、緊密/固定した形態で示されており、すなわち、本発明に従う型枠システム(1)が、対応する基礎部(30)に、穿孔したストリッピ(27)を第1の固定要素として使用して、及び追加的な固定要素のボルト(26)及びネジ(22)を使用して、固定して連結されている。これとは対照的に、
図11に従うこの実施形態の右側部分には、両側連結の第2の部分が、未だ固定されていない状態で示されている。この実施形態を、片側固定の形態でのみ行うことも当然可能である。この変形例の場合、
図11の右側、現状では未だ固定されていない部分は、単純に除外され得る。
【0066】
図11に示した固定の、穿孔したストリップの補助を使用した変形例が、
図12に示されている。この実施例では、型要素(10)は、開口部(11)としてスロットを有しており、上記スロットを通して穿孔されたストリップ(27)が通される。ここで、穿孔されたストリップ(27)は、それぞれの端部が、適切な固定要素、特にネジ(22)の補助の下に、相互に連結されるように適用される。このようにして、穿孔されたストリップは二重にされ、この構成は、固定を補強する効果を有する。穿孔されたストリップの対応する固定要素、特にネジ(22)が追加的に、穿孔されたストリップ(27)を基礎部(30)に同時に留めるために使用可能であるこの替わりに、穿孔されたストリップ(27)を基礎部(30)に、別個の固定要素、特に更なるネジ(22)を使用して固定することもあり得る。
【0067】
本発明に従う型枠システム(1)の好ましい一実施の形態が
図13に示されている。ここに関連するものは、所謂「スナップ結合(snap connection)」、特に解除式スナップ結合である。
図13では、本発明に従う型枠システム(1)は、2つの型要素(10)を有しており、これらは好ましくは、同一の形状及び大きさを有している。更に、2つの型要素(10)は、型ライニング(2)の後ろ側(4)に、(特に)基礎部(30)に対して、対称的に、特にミラー反転した態様で備えられている。2つの型要素(10)は、(少なくとも所定の範囲で)動作可能である。この理由は、これらは、適切な物体によって、好ましくは(40)又は基礎部(30)、特に基礎部(30)によって、可逆的に離れて、プレスされることが可能であるからである。この構成は、
図13の動作Iの方向によって示されている。本発明に従う型枠システム(1)は、好ましくは、基礎部(30)(のサブ領域)に、直接的に固定され、任意に、この固定は、機能要素(40)上の機構と同じ機構を使用してなされ、これは
図7に例示したように、次いでそれ自体が対応する基礎部(30)に固定される。好ましくは、本発明の範囲内で、本発明に従う型枠システム(1)の固定は、基礎部(30)(のサブ領域)上で直接的に行われる。本発明に従う型枠システム(1)が、類似的に、2つ以上のポイント、即ち異なるサブ領域で基礎部(30)に固定されることも当然、可能である。
【0068】
本発明に従えば、本発明に従う型枠システム(1)は、基礎部(30)、又は任意に機能要素(40)に対して押される(プレスされる)ことが可能である。この替わりに、しかしながら、
図13に示したように、基礎部(30)を本発明に従う型枠システム(1)に対して押し付けることも可能である。本発明に従えば、好ましくは、より軽い及び/又はより動かし易い部分が、より重い及び/又はより動きにくい部分に対して押し付けられ、ここで実際では、本発明に従う型枠システム(1)と比較して、基礎部(30)が、しばしばより動きにくく及び/又はより重い場合がある。この替わりに、両方の要素が同時に相互に押し付け合うことも可能である。
【0069】
図13から理解されるように、この実施形態では、基礎部(30)は、高さHの箇所に切り欠き(31)を有し、この箇所に、型要素(10)が、スナップ結合の態様でラッチする。基礎部(30)の切り欠き(31)にラッチ可能な、型要素(10)の対応する箇所は、ラッチングラグ(13)又はラグ又はプロジェクションとも称される。明確化のために、モードが
図13で、スナップ機構の操作が、下部部位において星印及び動作Iの方向によって、上部部位においてやはり星印及び動作IIの方向によって示されている。例えば、
図13の上部部位中の星印の箇所で、それぞれの型要素(10)の2つのラッチングラグ(13)が接触可能である。
【0070】
2つの型要素(10)の相対的な動作性に起因して、スナップ結合は、対応する力を及ぼすことによって再度開放可能であり、すなわち基礎部(30)は、本発明に従う型枠システム(1)から引き抜くことが可能であり、その逆も可能であり、これにより各要素の再使用が可能になる。この実施形態で、本発明に従う型枠システム(1)が機能要素(40)と連結され、及び基礎部(30)とは連結されないことが意図される場合、このシステムは類似して機能する。この実施形態で、機能要素(40)は同様に、切り欠き(44)を対応する箇所に有し、これは同様の態様で、ラッチへのスナップ結合を可能にする。
【0071】
図13に従うスナップ結合の変形した/特殊な実施形態が、
図14に概略的に示されている。基礎部(30)に含まれる切り欠きは、
図14では、切削したスロット(32)として示されている。これは、単一の切削した(milled)スロット(32)であることが可能である;このようなスロットが2つ以上、基礎部(30)に直線的に、又は他の幾何学的配置で存在することもあり得る。切削したスロット(32)の数及び/又は配置構成は、型要素(10)の対応する幾何学的形状に適合するように選択される。
図14の下部部位で、型要素(10)が概略的に示されている。そのラッチングラグ(13)を使用して、型要素(10)は、切削したスロット(32)にラッチする(掛ける)、特に可逆的にラッチすることが可能である。
図14の中央下部位置には、型要素が基礎部(30)に対して配置される態様が示されているが、この構成は、その型要素(10)を介した本発明に従う型枠システム(1)、及びその切削したスロット(32)を介した基礎部(30)の間のスナップ結合を特に可逆的な状態で可能にするためのものである。
【0072】
図14には、例として、基礎部(30)に含まれる4つの異なる切削したスロットが存在する。
【0073】
これは、型要素(10)内のそれぞれの相手側(counterpart)が、対応する箇所に存在し、及びスナップ結合を可能とするために、本発明に従う型枠システム(1)上の対応する幾何学形状を考慮していることを意味する。ここで、ここでのシナリオでは、4つの異なる型要素(10)が、型枠システム(2)の後ろ側(4)に備えられることが可能であり、これらは相互に離れて、切削スロット(32)の対応する順位にラッチする。この替わりに、これが、対応する箇所で、それぞれの切削スロット(32)にラッチすることが可能な4つの異なるラッチングラグ(13)を有する単一の型要素(10)であることも可能である。このようにして、特に安定した連結が形成される。この替わりに、対応する相手側が、ラッチングラグ(13)を有する型要素(10)の状態で、スナップ結合を介して、
図14中に概略的に切削された4つのスロット(32)の1つだけにラッチし、他の切削スロット(32)では、固定は行われないことも当然可能である。このことは、例えば、対応する基礎部部分(30)が非常に多く製造され、及び型要素(10)との連結の正確な位置決めが、可能な限り変化して形成される場合に該当する。
【0074】
図13及び特に
図14に従う実施形態では、技術的な観点からは、一方側のスナップ結合のみが行われることも可能である。実際に、しかしながら、この実施形態は好ましくは、
図13に示したような両側連結で行われる。この理由は、このようにして、基礎部(30)又は任意に機能要素(40)が、本発明に従う型枠システム(1)に、(純粋な一方側スナップ結合と比較して)より安定した態様で連結することが可能であるからである。しかしながら、一方側連結は、異なるタイプの固定が組み合わされる場合に、重要になる。例えば、何よりも、基礎部(30)上の型ライニング(2)の正しい位置決めを確実に行うために、単一のラッチ-イン結合(latch-in connection)が可能である。より高い力を形成可能な要素(例えば、穿孔したストリップ)が次に、実際の、実質的により厳正で安定した位置決めを確実にするために、使用される。
【符号の説明】
【0075】
1 型枠システム
2 型ライニング
3 (型ライニングの)前側
4 (型ライニングの)後ろ側
10 型要素
11 開口部
12 補強リブ
13 ラッチングラグ
20 (例えば型要素と基礎部に備え付けるための)第2の固定要素
21 ワイヤー
22 ネジ
23 ネジ穴
24 張力機構
25 ストリップ
26 ボルト
27 穿孔されたストリップ
30 基礎部
31 切り欠き
32 (切削した)スロット
40 機能要素
41 穴
42 下部部位
43 上部部位
44 切り欠き
50 (例えば、型要素を型ライニングに備え付けるための)第1の固定要素
【外国語明細書】