(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017158
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】排水負荷の推定方法および排水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20250129BHJP
【FI】
C02F1/00 T
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120082
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 瑞季
(72)【発明者】
【氏名】大木 康一
(72)【発明者】
【氏名】竹林 哲
(57)【要約】
【課題】排水の水質項目または運転管理項目を、排水接触型計器へのスライムの付着を防止して安定して計測することができる排水負荷の推定方法、および排水処理を安定して行うことができる排水処理方法を提供する。
【解決手段】単独系列または複数系列からの排水が調整槽に流入され、前記調整槽から排水が送水される排水処理設備の排水負荷を推定する方法。前記調整槽よりも上流側、かつ、複数系列の場合は各系列からの排水の合流部より下流側において、排水接触側計器で水質項目または運転管理項目を測定または推定し、測定値または推定値に基づいて排水負荷を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独系列または複数系列からの排水が調整槽に流入され、前記調整槽から排水が送水される排水処理設備の排水負荷を推定する方法であって、
前記調整槽への流入排水は少なくとも一定じかに上はスライム発生を抑制できる水質であり、
前記調整槽よりも上流側、かつ、複数系列の場合は各系列からの排水の合流部より下流側において、排水接触型計器で水質項目または運転管理項目を測定または推定し、測定値または推定値に基づいて排水負荷を推定する、排水負荷の推定方法。
【請求項2】
前記スライム発生を抑制できる水質とは、水温40℃以上、pH4以下、pH9以上及びORP750mV以上のうち少なくともいずれか1つの条件を満たす、請求項1に記載の排水負荷の推定方法。
【請求項3】
前記排水接触型計器で測定する水質項目または運転管理項目は、汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目であり、
前記調整槽へ流入する排水の第1流量を測定し、
測定した前記汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目と前記第1流量を用いて、前記排水処理設備への排水流入部(排水処理流入部)の汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目を推定する、請求項1又は2に記載の排水負荷の推定方法。
【請求項4】
前記排水処理設備に流入する排水の第2流量を測定し、
推定した前記排水流入部の汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目と前記第2流量を用いて、前記排水処理流入部の排水負荷を推定する、請求項3に記載の排水負荷の推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法で推定した排水負荷が所定値以上の場合、前記調整槽への流入排水の流入先を前記調整槽から高負荷調整槽へ切り替える、排水処理方法。
【請求項6】
前記排水の流入先を前記調整槽から前記高負荷調整槽へ切り替えた後、推定した排水負荷が所定値未満となった場合、前記高負荷調整槽内の排水を前記排水処理設備へ送水する、請求項5に記載の排水処理方法。
【請求項7】
前記排水の流入先を前記調整槽から前記高負荷調整槽へ切り替えた後、推定した排水負荷が所定値未満となった場合、前記高負荷調整槽内の排水を前記調整槽へ送水する、請求項5に記載の排水処理方法。
【請求項8】
前記排水が流入される調整槽が並列多段であり、推定した排水負荷が所定値を超えないような流量で、前記調整槽から前記排水処理設備へ送水する、請求項5に記載の排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水の汚濁負荷あるいは汚濁負荷と相関する項目を調整槽より手前で連続的または定期的に測定し、排水処理流入部の排水負荷を推定する方法、及び推定した排水負荷を元に排水処理への流入量を調節したり、高負荷排水を振り分けたりすることで排水処理を安定化させる排水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、食品などの製造工場から排出される排水は、製造品目や製造量、製造ラインの洗浄経過時間などにより、濃度や排水量が大きく変動する場合が多い。排水の負荷により適した排水処理の運転条件が異なる場合が多く、排水の負荷変動が大きい場合には処理状況に影響を及ぼす場合がある。
【0003】
特に有機性排水は排水処理として好気処理や嫌気処理といった生物処理を行うことが一般的であるが、排水負荷が大きいと生物の処理能力を超えて生物処理が破綻し、処理水質が悪化する等の問題が発生する恐れがある。
【0004】
また、フェントン反応による処理や吸着などの物理化学処理による処理においても、添加する薬剤や吸着剤の必要量が変化するため、処理設備に流入する排水の負荷の変動を把握することは重要である。
【0005】
従来は、運転員が定期的に排水を採取・分析することで、排水処理流入部の排水負荷を把握し、高負荷排水が流入した際には、別の槽へ緊急避難する、希釈をする、排水処理への流入量を減らすなどの対策を手動で行っていた。しかし、この方法では、常に人の手で行うため連続的な測定ができず、高負荷排水の流入を見逃したり、対策が遅れたりすることで、排水処理が破綻し、処理水質が悪化することがあった。従って、流入する排水の負荷を連続的に把握し、排水処理が破綻しないよういち早く対策を取ることは非常に重要である。
【0006】
特許文献1では、生物処理の入口近傍で、COD(Chemical Oxygen
Demand)もしくはTOC(Total Organic Carbon)及び流量を測定することで、排水処理流入部の排水負荷を評価しているが、生物処理の入口近傍での測定では、計器へのスライム付着により安定的な計測に課題がある。
【0007】
スライムが発生する条件としては、一般的にpH4~9、水温15~35℃、BOD(Biochemical
Oxygen Demand)濃度30mg/L以上であることが知られている。排水処理の原水は、排水処理の手前に設けられた水槽(以下、調整槽と呼ぶ)にて水質変動が平準化され、微生物などのスライムが生成しやすい上記条件に入りやすい。特に、後段の排水処理が生物処理である場合はその傾向が顕著であるため、調整槽もしくは調整槽より後段の排水を計器で計測する場合は、計器へのスライム付着やサンプリング管の閉塞により正確に計測できなくなる懸念がある。加えて、調整槽もしくは調整槽より後段での計測では、計測器で測定を始めてから結果が出るまでのタイムラグを考慮すると、槽内が高負荷排水となったことを検知できても、対策が遅れる、すでに槽内負荷が高いため後段の高負荷運転が続く、希釈が必要となるなどの可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、排水の汚濁負荷あるいは汚濁負荷と相関する項目を、計器へのスライムの付着を防止して安定して計測することができる排水負荷の推定方法、および排水処理を安定して行うことができる排水処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、酸・アルカリ洗浄排水、酸化剤等の殺菌成分を含むなど、スライム発生を抑制できる水質(例えば水温40℃以上またはpH4以下またはpH9以上またはORP750mV以上)の排水が一定時間以上(例えば排水の流入時間全体の2割以上)流入する場合は、微生物が継続的に増殖しがたく、スライムの発生が抑制されるため、このような排水水質変動のある場合は、調整槽や調整槽の後段でなく調整槽の上流側にて排水接触型の計器で計測することにより、計器へのスライム付着のリスクを抑制でき、上記目的が達成されることを見出した。当該排水水質変動については、例えば単独系列から流入する場合は、前記系列における製品の製造品目の違いや製造ラインの洗浄工程などにより、時間帯によって前記スライム発生を抑制できる水質の条件に入る場合がある。複数系列から流入する場合は、ある系列における製品の製造品目の違いや製造ラインの洗浄工程などによる水質変動で、当該系列の排水が時間帯によって前記スライム抑制水質の条件に入る場合があることに加え、水質の異なる別系列の排水が流入されるタイミングで、別系列の流入排水または複数系列の混合排水が前記スライム発生を抑制できる水質の条件に入る場合がある。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0011】
[1] 単独系列または複数系列からの排水が調整槽に流入され、前記調整槽から排水が送水される排水処理設備の排水負荷を推定する方法であって、
前記調整槽への流入排水は少なくとも一定時間以上はスライム発生を抑制できる水質であり、
前記調整槽よりも上流側、かつ、複数系列の場合は各系列からの排水の合流部より下流側において、排水接触型計器で水質項目または運転管理項目を測定または推定し、測定値または推定値に基づいて排水負荷を推定する、排水負荷の推定方法。
【0012】
[2] 前記スライム発生を抑制できる水質とは、水温40℃以上、pH4以下、pH9以上及びORP750mV以上のうち少なくともいずれか1つの条件を満たす、[1]に記載の排水負荷の推定方法。
【0013】
[3] 前記排水接触型計器で測定する水質項目または運転管理項目は、汚濁負荷又は汚濁負荷と相関する項目であり、
前記調整槽へ流入する排水の第1流量を測定し、
測定した前記汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目と前記第1流量を用いて、前記排水処理設備への排水流入部(排水処理流入部)の汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目を推定する、[1]又は[2]に記載の排水負荷の推定方法。
【0014】
[4] 前記排水処理設備に流入する排水の第2流量を測定し、
推定した前記排水処理流入部の汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目と前記第2流量を用いて、前記排水処理流入部の排水負荷を推定する、[3]に記載の排水負荷の推定方法。
【0015】
[5] [4]に記載の方法で推定した排水負荷が所定値以上の場合、前記調整槽への流入排水の流入先を前記調整槽から高負荷調整槽へ切り替える、排水処理方法。
【0016】
[6] 前記排水の流入先を前記調整槽から前記高負荷調整槽へ切り替えた後、推定した排水負荷が所定値未満となった場合、前記高負荷調整槽内の排水を前記排水処理設備へ送水する、[5]に記載の排水処理方法。
【0017】
[7] 前記排水の流入先を前記調整槽から前記高負荷調整槽へ切り替えた後、推定した排水負荷が所定値未満となった場合、前記高負荷調整槽内の排水を前記調整槽へ送水する、[5]に記載の排水処理方法。
【0018】
[8] 前記排水が流入される調整槽が並列多段であり、推定した排水負荷が所定値を超えないような流量で、前記調整槽から前記排水処理設備へ送水する、[5]に記載の排水処理方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排水の汚濁負荷又は汚濁負荷と相関する項目などの水質項目または運転管理項目を、計器へのスライムの付着を防止して安定して計測することができる。また、本発明によれば、排水処理を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図2】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図3】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図4】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図5】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図6】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図7】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図8】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図9】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図10】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図11】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図12】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図13】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【
図14】同実施形態に係る排水処理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る排水処理システムは、調整槽1と、調整槽1の後段(下流側)に設置された排水処理設備3と、調整槽1の前段(上流側)に設けられた汚濁負荷測定部4と、調整槽1へ流入する排水の流量を測定する第1流量測定部5と、排水処理設備3へ流入する排水の流量を測定する第2流量測定部10と、排水処理設備3の流入部(調整槽1の出口)における排水負荷を推定する演算部6とを備える。演算部6は例えばコンピュータである。
【0022】
調整槽1には、単独系列からの排水が流入するか、複数系列からの排水が同時にまたは異なるタイミングで合流され流入する。調整槽1へ流入する排水は、酸・アルカリ洗浄排水、酸化剤等の殺菌成分を含むなど、スライム発生を抑制できる水質(例えば、水温40℃以上、pH4以下、pH9以上及びORP(酸化還元電位)750mV以上のうち、少なくともいずれか1つの条件を満たす水質)の排水が一定時間以上(例えば、排水の流入時間全体の2割以上を占める)である。
【0023】
汚濁負荷測定部4は、調整槽1に流入する排水の汚濁負荷を、比較的短い時間間隔で定期的に、又は連続的に測定する。本実施形態では、汚濁負荷としてTOC濃度を測定する例について説明するが、測定項目はTOC濃度に限定されず、COD濃度やSSなど他の汚濁負荷を示す指標であってもよい。また、測定する汚濁負荷は、汚濁負荷に相関する項目を含み、例えば、電気伝導度やブリックス糖度が挙げられる。
【0024】
汚濁負荷測定部4は、調整槽1より上流側、かつ複数系列の場合は各系列からの排水の合流部より下流側において、計器を排水に浸漬して汚濁負荷(TOC濃度)を測定する。
【0025】
調整槽1は1槽以上設けられており、後述のように複数の調整槽1が並列に配置されていてもよい。調整槽1の容積などの仕様は特に限定されない。調整槽1は、水質や水量の変動が調整され緩和されることを目的として、HRT(水理学的滞留時間)30分以上を有するものと定義する。
【0026】
調整槽1へ流入する排水の流量を測定する第1流量測定部5は、流量計でもよいし、調整槽1がバッチ通水の場合は調整槽1における単位時間当たりの水位増加量から算出するものでも良い。もしくは調整槽1が連続通水の場合は、調整槽1の貯留量変化と調整槽からの排出流量の和から、調整槽1へ流入する排水の流量を算出しても良い。
【0027】
排水処理設備3は、排水に含まれる汚れや油分などを取り除く処理を行う。排水の処理方式や系統数は特に限定されない。処理方式としては、例えば好気性、嫌気性を含めたいわゆる生物処理、フェントン処理や活性炭処理などの物理化学処理が挙げられる。
【0028】
排水処理設備3へ流入する排水の流量を測定する第2流量測定部10は、流量計でもよいし、調整槽1がバッチ通水の場合は調整槽1における単位時間当たりの水位減少量から算出するものでも良い。
【0029】
演算部6は、汚濁負荷測定部4が測定したTOC濃度、及び第1流量測定部5が測定した流量を用いて、排水処理設備3の流入部(調整槽1の出口)におけるTOC濃度を推定する。また、演算部6は、推定したTOC濃度、及び第2流量測定部10が測定した流量を用いて、排水処理設備3に送水される排水負荷(kg-TOC/day)を推定する。
【0030】
汚濁負荷測定部4が測定したTOC濃度、及び第1流量測定部5が測定した流量を用いて、排水処理設備3の流入部(以下、「排水処理流入部」とも記載する。)におけるTOC濃度を推定する方法は、各種提案されている滞留水槽の濃度計算モデルで行えるが、例えば調整槽1が連続通水かバッチ通水かによって、以下のような異なる推定方法を用いることができる。
【0031】
<連続通水の時>
推定方法(1)-1
調整槽1より上流側で測定したTOC濃度を、調整槽1での滞留時間に近い時間で移動平均化することで、排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。例えば、調整槽1での滞留時間が50分である場合、現在から50分前までのTOC濃度測定結果の平均を、(調整槽1から排出される)排水処理流入部のTOC濃度とみなすことができる。
【0032】
推定方法(2)-1
調整槽1より上流側で測定したTOC濃度と流量から、完全混合槽モデルを用いて調整槽1に流入した排水濃度の変化を推定し、排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0033】
<バッチ通水の時>
推定方法(3)-1
調整槽1に流入した全TOC重量(g)を調整槽1に流入した全水量(m3)で除することで、排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。調整槽1へ流入した全TOC重量や全水量を正確に把握するためには、調整槽入口バルブ開閉信号やポンプ発停信号を入手し、入口バルブ「開」から「閉」まで、又はポンプが稼働している時間のTOC濃度及び水量を積算し、負荷を算出することが望ましい。バルブ開閉信号やポンプ発停信号の入手が難しい場合は、調整槽1の水位変化から調整槽1に排水が流入しているタイミングを把握しても良い。
【0034】
演算部6は、上記の推定方法(1)-1、(2)-1、(3)-1のいずれかで推定した排水処理流入部のTOC濃度と、第2流量測定部10が測定した排水処理流入部の流量から、排水負荷(kg-TOC/day)を以下の式1にて推定する。
【0035】
式1: 排水負荷(kg-TOC/day)=排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)×排水処理流入部の流量(m3/h)×24h/1000
【0036】
図2のように、調整槽1と排水処理設備3との間に、調整槽2が調整槽1と直列に並んで設けられている場合には、まず調整槽1出口のTOC濃度(推定値A)を推定する。調整槽2は1槽以上設けられており、後述のように複数の調整槽2が並列に配置されていてもよい。調整槽2の容積などの仕様は特に限定されない。
図1と同様に、調整槽1が連続通水かバッチ通水かで推定方法が異なり、連続通水の場合は上記の推定方法(1)-1又は(2)-1、バッチ通水の場合は推定方法(3)-1にて調整槽1出口のTOC濃度(推定値A)を推定する。
【0037】
次に、上記のようにして求めた調整槽1出口のTOC濃度(推定値A)と、第3流量測定部8が測定した調整槽2に流入する排水の流量から、排水処理流入部(調整槽2の出口)のTOC濃度(推定値B)を推定する。ここでも、調整槽2が連続通水かバッチ通水かで推定方法が異なり、連続通水の場合は以下の推定方法(1)-2又は(2)-2、バッチ通水の場合は推定方法(3)-2を用いて、排水処理流入部のTOC濃度(推定値B)を推定する。
【0038】
推定方法(1)-2
TOC濃度(推定値A)を調整槽2での滞留時間に近い時間で移動平均化することで排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0039】
推定方法(2)-2
TOC濃度(推定値A)と調整槽2に流入する流量から、完全混合槽モデルを用いて調整槽2に流入した排水濃度の変化を推定し、排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0040】
推定方法(3)-2
調整槽2に流入した全TOC重量(g)を調整槽2に流入した全水量(m3)で除することで、排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0041】
調整槽2へ流入する排水の流量を測定する第3流量測定部8は、流量計でもよいし、調整槽2がバッチ通水の場合は調整槽2における単位時間当たりの水位増加量から算出するものでも良い。もしくは調整槽2が連続通水の場合は、調整槽2の貯留量変化と調整槽からの排出流量の和から、調整槽2へ流入する排水の流量を算出しても良い。
【0042】
このようにして求めた排水処理流入部のTOC濃度(推定値B)と、第2流量測定部10が測定した排水処理流入部の流量から、排水負荷(kg-TOC/day)を上記の式1にて推定する。
【0043】
次に、
図3に示すように、調整槽1と排水処理設備3との間に、調整槽2A、2Bが並列に設けられ、調整槽2Bから調整槽1へ排水が返送されている場合について考える。調整槽1から流出した排水は、調整槽2A又は2Bに流入する。調整槽2Aから流出した排水は、排水処理設備3に流入する。調整槽2Bから流出した排水は、調整槽1へ返送される。
【0044】
第4流量測定部13は、調整槽2Bへ流入する排水の流量を測定するものであり、流量計で測定しても良いし、調整槽2Bにおける単位時間当たりの水位増加量から算出しても良い。第5流量測定部15は、調整槽2Bから調整槽1へ返送される排水の流量を測定するものであり、流量計で測定しても良いし、調整槽2Bにおける単位時間当たりの水位減少量から算出しても良い。
【0045】
この場合、調整槽1へ排水を返送する調整槽2Bはバッチ通水であることが条件であり、調整槽1および調整槽2Aは連続通水、バッチ通水いずれでも良い。調整槽2Aは、1槽以上設けられており、複数の調整槽2Aが並列に配置されていてもよい。
【0046】
まず、調整槽1の上流側で測定したTOC濃度及び第4流量測定部13が測定した流量から、以下の推定方法(3)―3により、調整槽2B内の排水のTOC濃度(推定値C)を推定する。
【0047】
推定方法(3)-3
調整槽2Bに流入した全TOC重量(g)を調整槽2Bに流入した全水量(m3)で除することで、調整槽2BのTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0048】
次に、上記のようにして求めた調整槽2BのTOC濃度(推定値C)と、第5流量測定部15が測定した流量と、調整槽1の上流側で測定したTOC濃度および流量から、調整槽1出口のTOC濃度(推定値D)を推定する。調整槽1が連続通水の場合は推定方法(2)-3、調整槽1がバッチ通水の場合は推定方法(3)-4により推定する。
【0049】
推定方法(2)-3
調整槽1の上流側で測定したTOC濃度及び流量と、調整槽2BのTOC濃度(推定値C)と、調整槽2Bから調整槽1に流入する流量とから、完全混合槽モデルを用いて調整槽1に流入した排水濃度の変化を推定し、調整槽1出口のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0050】
推定方法(3)-4
調整槽1に流入した全TOC重量(g)を、調整槽1に流入した全水量(m3)で除することで、調整槽1出口のTOC濃度(mg/L)を推定する。全TOC重量及び全水量は、調整槽1の上流側で測定したTOC重量及び水量に、調整槽2Bから返送されたTOC重量及び水量をそれぞれ加算することで算出する。
【0051】
次に、上記のようにして求めた調整槽1出口のTOC濃度(推定値D)と、調整槽2Aに流入する流量から、排水処理流入部(調整槽2Aの出口)のTOC濃度(推定値E)を推定する。調整槽2Aが連続通水の場合は推定方法(1)-3又は(2)-4、バッチ通水の場合は推定方法(3)-5にて排水処理流入部のTOC濃度(推定値E)を推定する。
【0052】
推定方法(1)-3
TOC濃度(推定値D)を調整槽2Aでの滞留時間に近い時間で移動平均化することで排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0053】
推定方法(2)-4
TOC濃度(推定値D)と調整槽2Aに流入する流量から、完全混合槽モデルを用いて調整槽2Aに流入した排水濃度の変化を推定し、排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0054】
推定方法(3)-5
調整槽2Aに流入した全TOC重量(g)を調整槽2Aに流入した全水量(m3)で除することで排水処理流入部のTOC濃度(mg/L)を推定する。
【0055】
このようにして求めた排水処理流入部のTOC濃度(推定値E)と、第2流量測定部10が測定した排水処理流入部の流量から、排水負荷(kg-TOC/day)を上記の式1にて推定する。
【0056】
本実施形態によれば、pH、水温、水質の変動が大きくスライムが発生しにくい調整槽1の上流側で汚濁負荷(又は汚濁負荷と相関する項目)を測定するため、安定して精度良く汚濁負荷を測定できる。また、測定した汚濁負荷及び流量から排水処理流入部の排水負荷を推定し、この推定値から、高負荷排水の流入を迅速に検知できる。推定した排水負荷を元に、排水処理が破綻しないように、排水処理への流入量を制御したり、高負荷排水を高負荷調整槽へ振り分けたりすることで、排水処理を安定化させることができる。
【0057】
図4は、
図1に示す排水処理システムに高負荷調整槽12を設けた構成を示す。
図4に示す構成では、高負荷調整槽12は、調整槽1と並列に配置される。バルブ17A、17Bの開閉を制御することで、移送ポンプ11により送水される排水を、調整槽1と高負荷調整槽12のどちらに流入させるか切り替えることができる。
【0058】
演算部6は、汚濁負荷測定部4が測定したTOC濃度、及び第1流量測定部5が測定した流量を取得し、上記の推定方法(1)-1、(2)-1、(3)-1のいずれかにより排水処理流入部のTOC濃度を推定する。また、演算部6は、推定したTOC濃度、及び第2流量測定部10が測定した流量を用いて、排水処理流入部の排水負荷を推定し、排水処理設備3へ流入しても問題ないか否かを判断する。
【0059】
演算部6は、排水負荷が高く、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、バルブ17Aを閉、バルブ17Bを開とし、排水を高負荷調整槽12へ流入させる。排水の流入先を高負荷調整槽12へ切り替えた後も、移送ポンプ20により調整槽1から排水処理設備3へ排水が送水され、演算部6は排水処理流入部のTOC濃度の推定及び排水負荷の推定を継続して行う。
【0060】
その後、推定される排水負荷が低くなったタイミングで、排水の流入先を高負荷調整槽12から調整槽1へ切り替える。また、演算部6は、高負荷調整槽12から排水処理設備3へ排水を送水するように移送ポンプ19を制御する。調整槽1からの排水に高負荷調整槽12からの排水が混合されて、排水処理設備3に流入する。移送ポンプ19を制御し、排水処理が破綻しないように、高負荷調整槽12から送水される排水の流量を調整することが好ましい。
【0061】
演算部6が、バルブ17A、17Bの開閉のタイミングをモニタの画面などに表示し、作業員が表示に従って手動でバルブ17A、17Bの開閉制御を行ってもよい。同様に、演算部6が、移送ポンプ19,20の送水タイミングがわかるようにモニタの画面などに表示し、作業員が表示に従って手動でポンプを動かしてもよい。また移送ポンプ19,20の代わりに合流点の下流側に移送ポンプを設置して、調整槽1および高負荷調整槽からの排水が合流する手前にそれぞれ切り替えバルブを設けることで、1台の移送ポンプで運転できるようにしても良い。
【0062】
図4に示す構成では、排水負荷が低くなったタイミングで、高負荷調整槽12内の排水を排水処理設備3へ送水する構成について説明したが、
図5に示すように、高負荷調整槽12内の排水を調整槽1へ送水してもよい。
【0063】
図6に示す構成では、排水の汚濁負荷は考慮せずに排水を調整槽1および調整槽1´に任意に送水する。調整槽2へ排水を送水する時はバルブ7Aを開、バルブ7Bを閉とし、調整槽2´へ排水を送水する時はバルブ7Aを閉、バルブ7Bを開とする。また、調整槽2および2´のうち、排水が流入していない方の調整槽から排水処理設備3へ排水を送水する。演算部6は排水負荷が高く、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、移送ポンプ19´および20´を制御し、排水処理が破綻しない排水負荷(TOC濃度×流量)となるように、調整槽1および調整槽1´から送水される排水の流量を調整する。演算部6が、移送ポンプ19´,20´の送水量がわかるようにモニタの画面などに表示を出し、作業員が表示に従って手動でポンプを動かしてもよい。また移送ポンプ19´,20´の代わりに合流点の下流側に移送ポンプを設置して、調整槽1および高負荷調整槽12からの排水が合流する手前にそれぞれ切り替えバルブを設けることで、1台の移送ポンプで運転できるようにしても良い。
【0064】
図7は、
図2に示す排水処理システムの調整槽2と並列に高負荷調整槽12を設けた構成を示す。バルブ7A、7Bの開閉を制御することで、調整槽1から送水される排水を、調整槽2と高負荷調整槽12のどちらに流入させるか切り替えることができる。
【0065】
演算部6は、汚濁負荷測定部4が測定したTOC濃度、及び第1流量測定部5が測定した流量を取得し、上記の推定方法(1)-1、(2)-1、(3)-1のいずれかにより調整槽1出口のTOC濃度を推定する。
【0066】
演算部6は、推定した調整槽1出口のTOC濃度と、第3流量測定部8が測定した調整槽2に流入する排水の流量を用いて、上記の推定方法(1)-2、(2)-2、(3)-2のいずれかにより、排水処理流入部(調整槽2出口)のTOC濃度を推定する。また、演算部6は、推定した排水処理流入部のTOC濃度と、第2流量測定部10が測定した排水処理流入部の流量から、上記の式1により、排水処理流入部の排水負荷を推定する。
【0067】
演算部6は、排水負荷が高く(排水負荷が所定値以上であり)、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、バルブ7Aを閉、バルブ7Bを開とし、調整槽1から送水された排水を高負荷調整槽12へ流入させる。排水の流入先を高負荷調整槽12へ切り替えた後も、移送ポンプ20により調整槽2から排水処理設備3へ排水が送水され、演算部6は、調整槽1出口のTOC濃度の推定、排水処理流入部のTOC濃度の推定及び排水負荷の推定を継続して行う。
【0068】
その後、推定される排水負荷が低くなった(排水負荷が所定値未満となった)タイミングで、排水の流入先を高負荷調整槽12から調整槽2へ切り替える。演算部6は、高負荷調整槽12から排水処理設備3へ排水を送水するように移送ポンプ19を制御する。調整槽2からの排水に高負荷調整槽12からの排水が混合されて、排水処理設備3に流入する。移送ポンプ19を制御し、排水処理が破綻しないように、高負荷調整槽12から排水処理設備3へ送水される排水の流量を調整することが好ましい。
【0069】
図7の構成では、バルブ7A、7Bの開閉を制御して、調整槽1から送水される排水の流入先を切り替えていたが、
図8に示すように、調整槽1から調整槽2へ送水する移送ポンプ18Aと、調整槽1から高負荷調整槽12へ送水する移送ポンプ18Bとを設け、移送ポンプ18A、18Bの発停を制御して、排水を調整槽2と高負荷調整槽12のどちらに流入させるか切り替えてもよい。演算部6が、移送ポンプ18A、18Bの発停のタイミングがわかるようにモニタの画面などに表示し、作業員が表示に従って手動でポンプを動かしてもよい。
【0070】
図7に示す構成では、排水負荷が低くなったタイミングで、高負荷調整槽12内の排水を排水処理設備3へ送水する構成について説明したが、
図9に示すように、高負荷調整槽12内の排水を調整槽2へ送水してもよい。
【0071】
図9の構成では、バルブ7A、7Bの開閉を制御して、調整槽1から送水される排水の流入先を切り替えていたが、
図10に示すように、調整槽1から調整槽2へ送水する移送ポンプ18Aと、調整槽1から高負荷調整槽12へ送水する移送ポンプ18Bとを設け、移送ポンプ18A、18Bの発停を制御して、調整槽1からの排水を調整槽2と高負荷調整槽12のどちらに流入させるか切り替えてもよい。
【0072】
図11に示す構成では、排水の汚濁負荷は考慮せずに排水を調整槽2および調整槽2´に任意に送水する。調整槽2へ排水を送水する時はバルブ7Aを開、バルブ7Bを閉とし、調整槽2´へ排水を送水する時はバルブ7Aを閉、バルブ7Bを開とする。また、調整槽2および調整槽2´のうち、排水が流入していない方の調整槽から排水処理設備3へ排水を送水する。もしくは
図12に示すように、調整槽1から調整槽2へ送水する移送ポンプ18Aと、調整槽2から調整槽2´へ送水する移送ポンプ18Bとを設け、ポンプの発停を切り分けても良い。演算部6は排水負荷が高く、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、移送ポンプ19´、20´を制御し、排水処理が破綻しない排水負荷(TOC濃度×流量)となるように、調整槽2および調整槽2´から送水される排水の流量を調整する。
【0073】
図13は、
図3に示す排水処理システムの調整槽2A、2Bをそれぞれ調整槽2、高負荷調整槽12とした構成を示す。バルブ7A、7Bの開閉を制御することで、調整槽1から送水される排水を、調整槽2と高負荷調整槽12のどちらに流入させるか切り替えることができる。
【0074】
演算部6は、汚濁負荷測定部4が測定したTOC濃度、及び第4流量測定部13が測定した高負荷調整槽12へ流入する排水の流量を取得し、上記の推定方法(3)-3により高負荷調整槽12のTOC濃度を推定する。
【0075】
演算部6は、推定した高負荷調整槽12のTOC濃度、第5流量測定部15が測定した流量と、汚濁負荷測定部4が測定したTOC濃度と、第1流量測定部5が測定した流量を用いて、上記の推定方法(2)-3又は(3)-4により、調整槽1出口のTOC濃度を推定する。
【0076】
次に、演算部6は、推定した調整槽1出口のTOC濃度と、第3流量測定部8が測定した調整槽2に流入する排水の流量とを用いて、上記の推定方法(1)-3、(2)-4、(3)-5のいずれかにより、排水処理流入部(調整槽2出口)のTOC濃度を推定する。
【0077】
そして、演算部6は、推定した排水処理流入部のTOC濃度と、第2流量測定部10が測定した排水処理流入部の流量から、排水負荷を上記の式1により推定する。
【0078】
演算部6は、排水負荷が高く、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、バルブ7Aを閉、バルブ7Bを開とし、調整槽1から送水された排水を高負荷調整槽12へ流入させる。排水の流入先を高負荷調整槽12へ切り替えた後も、移送ポンプ20により調整槽2から排水処理設備3へ排水が送水され、演算部6は、排水負荷の推定を継続して行う。
【0079】
その後、排水負荷が低くなったタイミングで、排水の流入先を高負荷調整槽12から調整槽2へ切り替える。演算部6は、高負荷調整槽12から調整槽1へ排水を返送するように移送ポンプ19を制御する。
【0080】
図13の構成では、バルブ7A、7Bの開閉を制御して、調整槽1から送水される排水の流入先を切り替えていたが、
図14に示すように、調整槽1から調整槽2へ送水する移送ポンプ18Aと、調整槽1から高負荷調整槽12へ送水する移送ポンプ18Bとを設け、移送ポンプ18A、18Bの発停を制御して、調整槽1からの排水を調整槽2と高負荷調整槽12のどちらに流入させるか切り替えてもよい。
【0081】
上記実施形態では、排水処理流入部の汚濁負荷の推定、排水処理流入部の排水負荷の推定等の演算を演算部6が行う構成について説明したが、演算部6は1台のコンピュータで構成されていてもよいし、複数台のコンピュータで分散処理するものであってもよい。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1,2,2´ 調整槽
3 排水処理設備
4 汚濁負荷測定部
5 第1流量測定部
6 演算部
8 第3流量測定部
10 第2流量測定部
11,19,19´,20,20´ 移送ポンプ
12 高負荷調整槽
13 第4流量測定部
15 第5流量測定部
【手続補正書】
【提出日】2024-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独系列または複数系列からの排水が調整槽に流入され、前記調整槽から排水が送水される排水処理設備の排水負荷を推定する方法であって、
前記調整槽への流入排水は少なくとも一定時間以上はスライム発生を抑制できる水質であり、
前記調整槽よりも上流側、かつ、複数系列の場合は各系列からの排水の合流部より下流側において、排水接触型計器で水質項目または運転管理項目を測定または推定し、測定値または推定値に基づいて排水負荷を推定する、排水負荷の推定方法。
【請求項2】
前記スライム発生を抑制できる水質とは、水温40℃以上、pH4以下、pH9以上及びORP750mV以上のうち少なくともいずれか1つの条件を満たす、請求項1に記載の排水負荷の推定方法。
【請求項3】
前記排水接触型計器で測定する水質項目または運転管理項目は、汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目であり、
前記調整槽へ流入する排水の第1流量を測定し、
測定した前記汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目と前記第1流量を用いて、前記排水処理設備への排水流入部(排水処理流入部)の汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目を推定する、請求項1又は2に記載の排水負荷の推定方法。
【請求項4】
前記排水処理設備に流入する排水の第2流量を測定し、
推定した前記排水流入部の汚濁負荷または汚濁負荷と相関する項目と前記第2流量を用いて、前記排水処理流入部の排水負荷を推定する、請求項3に記載の排水負荷の推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法で推定した排水負荷が所定値以上の場合、前記調整槽への流入排水の流入先を前記調整槽から高負荷調整槽へ切り替える、排水処理方法。
【請求項6】
前記排水の流入先を前記調整槽から前記高負荷調整槽へ切り替えた後、推定した排水負荷が所定値未満となった場合、前記高負荷調整槽内の排水を前記排水処理設備へ送水する、請求項5に記載の排水処理方法。
【請求項7】
前記排水の流入先を前記調整槽から前記高負荷調整槽へ切り替えた後、推定した排水負荷が所定値未満となった場合、前記高負荷調整槽内の排水を前記調整槽へ送水する、請求項5に記載の排水処理方法。
【請求項8】
前記排水が流入される調整槽が並列多段であり、推定した排水負荷が所定値を超えないような流量で、前記調整槽から前記排水処理設備へ送水する、請求項5に記載の排水処理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
図6に示す構成では、排水の汚濁負荷は考慮せずに排水を調整槽1および調整槽1´に任意に送水する。調整槽
1へ排水を送水する時はバルブ
17Aを開、バルブ
17Bを閉とし、調整槽
1´へ排水を送水する時はバルブ
17Aを閉、バルブ
17Bを開とする。また、調整槽
1および
1´のうち、排水が流入していない方の調整槽から排水処理設備3へ排水を送水する。演算部6は排水負荷が高く、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、移送ポンプ19´および20´を制御し、排水処理が破綻しない排水負荷(TOC濃度×流量)となるように、調整槽1および調整槽1´から送水される排水の流量を調整する。演算部6が、移送ポンプ19´,20´の送水量がわかるようにモニタの画面などに表示を出し、作業員が表示に従って手動でポンプを動かしてもよい。また移送ポンプ19´,20´の代わりに合流点の下流側に移送ポンプを設置して、調整槽1および
調整槽1´からの排水が合流する手前にそれぞれ切り替えバルブを設けることで、1台の移送ポンプで運転できるようにしても良い。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
図11に示す構成では、排水の汚濁負荷は考慮せずに排水を調整槽2および調整槽2´に任意に送水する。調整槽2へ排水を送水する時はバルブ7Aを開、バルブ7Bを閉とし、調整槽2´へ排水を送水する時はバルブ7Aを閉、バルブ7Bを開とする。また、調整槽2および調整槽2´のうち、排水が流入していない方の調整槽から排水処理設備3へ排水を送水する。もしくは
図12に示すように、調整槽1から調整槽2へ送水する移送ポンプ18Aと、調整槽
1から調整槽2´へ送水する移送ポンプ18Bとを設け、ポンプの発停を切り分けても良い。演算部6は排水負荷が高く、排水処理が破綻し得ると判断した場合は、移送ポンプ19´、20´を制御し、排水処理が破綻しない排水負荷(TOC濃度×流量)となるように、調整槽2および調整槽2´から送水される排水の流量を調整する。