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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017174
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/52 20060101AFI20250129BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B65D75/52
B65D83/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120113
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘嗣
(72)【発明者】
【氏名】森 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】藤川 直人
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA05
3E067AB81
3E067AB97
3E067BA12A
3E067BB11A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EB11
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】包装袋を開封しないままでも、内容物の匂いを容易に確認することが可能な包装袋を提供する。
【解決手段】シーラント層11と保香層12とを有する積層体10から形成された包装袋であって、積層体10は、保香層12を貫通するハーフカット部13を有し、ハーフカット部13は、積層体10の外面14に達するとともに、ハーフカット部13は、保香層12の内側ではシーラント層11に達することを特徴とする包装袋である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層と保香層とを有する積層体から形成された包装袋であって、
前記積層体は、前記保香層を貫通するハーフカット部を有し、前記ハーフカット部は、前記積層体の外面に達するとともに、前記保香層の内側では前記シーラント層に達することを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記包装袋は、前記積層体の周縁にシール部を有し、前記ハーフカット部は、前記シール部から5mm以上離れた箇所に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記包装袋は、自立可能な底部と、液状の内容物に対する所定の充填量とを有し、
前記積層体は、前記内容物が充填された状態で前記包装袋を自立させたときに、前記積層体の内面が前記内容物と接触する接液領域と、前記積層体の内面が前記内容物上の気体と接触する非接液領域とを有し、
前記ハーフカット部は、前記非接液領域に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記ハーフカット部は、前記積層体の平面視において、非交差の形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項5】
前記包装袋は、内容物の収容部と前記内容物の注出口とを備え、前記収容部および前記注出口が前記積層体から一体的に形成され、前記ハーフカット部は、前記注出口とは異なる箇所に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項6】
前記ハーフカット部は、前記包装袋を開封することなく前記包装袋に充填された内容物の匂いを確認することが可能な匂い放出部であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋の素材として、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の合成樹脂フィルムが用いられている。例えば特許文献1には、詰め替え用の包装袋が記載されている。この種の包装袋には、注出口の開封を容易にするため、ハーフカット線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-39932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗剤、柔軟剤等の内容物では、芳香を付与するため、香料を含有する場合がある。この場合、内容物の匂いが外部に放出されないようにバリアするため、保香層が包装袋に積層される。保香層を有する包装袋では、開封しないで内容物の匂いを確認することができないため、内容物の匂いのサンプルを提供する方法に苦心している。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、包装袋を開封しないままでも、内容物の匂いを容易に確認することが可能な包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、シーラント層と保香層とを有する積層体から形成された包装袋であって、前記積層体は、前記保香層を貫通するハーフカット部を有し、前記ハーフカット部は、前記積層体の外面に達するとともに、前記保香層の内側では前記シーラント層に達する。
第2の態様は、第1の態様において、前記包装袋は、前記積層体の周縁にシール部を有し、前記ハーフカット部は、前記シール部から5mm以上離れた箇所に配置されている。
【0007】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記包装袋は、自立可能な底部と、液状の内容物に対する所定の充填量とを有し、前記積層体は、前記内容物が充填された状態で前記包装袋を自立させたときに、前記積層体の内面が前記内容物と接触する接液領域と、前記積層体の内面が前記内容物上の気体と接触する非接液領域とを有し、前記ハーフカット部は、前記非接液領域に配置されている。
第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、前記ハーフカット部は、前記積層体の平面視において、非交差の形状に形成されている。
【0008】
第5の態様は、第1~4のいずれか1の態様において、前記包装袋は、内容物の収容部と前記内容物の注出口とを備え、前記収容部および前記注出口が前記積層体から一体的に形成され、前記ハーフカット部は、前記注出口とは異なる箇所に形成されている。
第6の態様は、第1~5のいずれか1の態様において、前記ハーフカット部は、前記包装袋を開封することなく前記包装袋に充填された内容物の匂いを確認することが可能な匂い放出部である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、包装袋を開封しないままでも、内容物の匂いを容易に確認することが可能な包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】積層体の第1例を示す断面図である。
図2】積層体の第2例を示す断面図である。
図3】実施形態の包装袋を例示する正面図である。
図4】ハーフカット部の平面形状の第1例を示す部分拡大正面図である。
図5】ハーフカット部の平面形状の第2例を示す部分拡大正面図である。
図6】ハーフカット部の平面形状の第3例を示す部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。
【0012】
図1に、実施形態の包装袋に使用可能な積層体の第1例を示す。図1に示す積層体10は、シーラント層11と保香層12とを有する。シーラント層11は、包装袋の最内層であって、包装袋のシールに用いられる。保香層12は、シーラント層11の外側に積層され、内容物の匂いを保持またはバリアする層である。
【0013】
積層体10は、保香層12を貫通するハーフカット部13を有する。保香層12の外側では、ハーフカット部13は積層体10の外面14に達する。保香層12の内側では、ハーフカット部13はシーラント層11に達する。
【0014】
シーラント層11としては、熱溶着等によるシールが可能なシーラント材料であれば、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、石油等の化石資源に由来する樹脂を含んでもよく、植物等のバイオマスに由来する樹脂を含んでもよく、リサイクルで得られた樹脂を含んでもよい。シーラント材料は、1種でも2種以上でもよい。
【0015】
シーラント層11にポリエチレン系樹脂を用いる場合は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。シーラント材料の少なくとも一部として、非晶性樹脂、酸変性樹脂などを用いてもよい。
【0016】
シーラント層11は、単層でもよく、多層でもよい。多層のシーラント層11においては、内側の層と外側の層とが異なる材料からなるXY型の積層構造でもよく、中間の層と両側の層とが異なる材料からなるXYX型の積層構造でもよく、内側/中間/外側の3層が互いに異なる材料からなるXYZ型の積層構造でもよい。多層における層数は特に限定されないが、2層、3層、4層、5層等が挙げられる。
【0017】
保香層12としては、シーラント層11よりも保香性の高い材料であれば、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、アルミニウム等の金属蒸着層、アルミニウム箔等の金属箔、シリカやアルミナ等の無機蒸着層等が挙げられる。
【0018】
積層体10が、保香層12を2層以上または2種以上有してもよい。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の延伸樹脂フィルムからなる基材フィルムに、金属蒸着層、無機蒸着層などの蒸着層が積層された蒸着フィルムでもよい。保香層12が、上述の基材フィルムに金属箔をラミネートしたフィルムでもよく、あるいは上述の基材フィルムにEVOH等のバリア性樹脂を塗布したコートフィルムでもよい。
【0019】
ハーフカット部13は、保香層12を貫通して形成される凹状の空隙を有する。これにより、内容物の匂い成分が局所的に透過可能な匂い放出部が形成される。匂い放出部を用いることにより、ハーフカット部13を通じて、包装袋を開封することなく包装袋に充填された内容物の匂いを確認することが可能になる。凹状の空隙としては、特に限定されないが、溝状、穴状などが挙げられる。
【0020】
ハーフカット部13が、積層体10の外面14とシーラント層11との間に形成されているので、シーラント層11を厚さ方向に透過した匂い成分が、積層体10の外側に放出される。ハーフカット部13は、シーラント層11の外面に接するだけでもよく、シーラント層11の厚さ方向の一部を貫通してもよい。特に図示しないが、シーラント層11と保香層12との間に他の層が介在してもよく、シーラント層11と保香層12との間が直に接してもよい。
【0021】
図1に示す積層体10のように、保香層12が積層体10の最外層であってもよい。図2に示す積層体10Aのように、保香層12の外側に他の層が積層されてもよい。この場合のハーフカット部13は、保香層12の外側に積層される表層15を貫通するように形成され得る。
【0022】
表層15としては、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、Ny等のポリアミド系樹脂などが挙げられる。表層15は、印刷などの意匠層を含んでもよい。表層15が保香層12または他の層の表面に形成されるコート層などであってもよい。
【0023】
ハーフカット部13を有する積層体の層構成は特に限定されないが、80重量%以上、90重量%以上あるいは95重量%以上が特定の樹脂群から構成されるモノマテリアル積層体であってもよい。モノマテリアル積層体における特定の樹脂群としては、ポリエチレン系樹脂に属する1種または2種以上が選択されてもよく、ポリプロピレン系樹脂に属する1種または2種以上が選択されてもよく、ポリオレフィン系樹脂に属する1種または2種以上が選択されてもよい。
【0024】
ハーフカット部13を有する積層体がモノマテリアルでない場合は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂など、2種以上の樹脂群を用いて構成される複合材料でもよい。
【0025】
ハーフカット部13の断面形状は特に限定されないが、積層体10の内側から外側に向けて幅が拡大する形状でもよく、積層体10の内側から外側に向けて幅が縮小する形状でもよく、積層体10の厚さ方向で幅がほぼ一定でもよい。
【0026】
ハーフカット部13の形成方法は特に限定されないが、刃物等の機械的加工やレーザー加工などが挙げられる。機械的加工の場合は、積層体10の外側から内側に向けて、積層体10に切れ目を入れてもよい。シーラント層11に積層する前の保香層12にハーフカット部13を形成し、その後、シーラント層11に積層してもよい。積層体10が金属蒸着層、金属箔等のレーザー反射層を含む場合は、機械的加工でレーザー反射層に切れ目を入れてもよい。
【0027】
ハーフカット部13にレーザー加工を用いる場合は、積層体10の外側からレーザー照射してもよく、シーラント層11を透過するように積層体10の内側からレーザー照射してもよい。積層体10がレーザー吸収層を含んでもよく、保香層12がレーザー吸収性を有してもよい。
【0028】
実施形態の包装袋は、上述のハーフカット部13を有する積層体10から形成される。ハーフカット部13の形成工程は、積層体10から包装袋を形成する前に実施してもよく、包装袋を形成する後に実施してもよい。積層体10から包装袋を形成する製袋機の上で、積層体10または包装袋にハーフカット部13を形成してもよい。
【0029】
包装袋の具体例としては、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンディングパウチ等が挙げられる。包装袋が複数の部材から構成される場合は、少なくとも1つの部材が、上述のハーフカット部13を有する積層体10から形成される。
【0030】
図3に示す包装袋20は、一対の胴部材21と、折り線22aにより二つ折りにした底部材22とから形成されたスタンディングパウチである。
【0031】
図示例の包装袋20では、折り線22aより上側では、左右の胴シール部21aにより、前後の胴部材21が接合されている。底部材22は、折り線22aを上側にして、前後の胴部材21の間に挟み込まれている。折り線22aより下側では、底部材22が胴部材21に接合されて底シール部22bが形成されている。
【0032】
一対の胴部材21のうち少なくとも一方は、ハーフカット部13を有する積層体10から形成される。一方の胴部材21のみにハーフカット部13を設ける場合は、他方の胴部材21および底部材22がハーフカット部13を有しない積層体10から形成されてもよい。
【0033】
ハーフカット部13を有しない積層体10は、ハーフカット部13の有無を除いては、材料、厚さ等が同一の積層体10であってもよい。ハーフカット部13の有無のほかにも、材料、厚さ等の少なくとも1つが異なる積層体10であってもよい。
【0034】
図示例の包装袋20は、包装袋20の上部で前後の胴部材21の間が閉鎖された上シール部23を有する。収容部27の左右が胴シール部21a,21bでシールされ、収容部27の上部は開口した状態で、収容部27に内容物Cを充填してもよい。この場合は内容物Cの充填後に、収容部27上部の充填口が上シール部23でシールされる。
【0035】
図示例の包装袋20は、内容物Cを注出する注出口24を有する。注出口24は、包装袋20の上部において、胴部材21間の未シール部から形成される流路25と、流路25の幅方向両側で流路25に沿って形成される流路形成シール部25a,25bとを有する。さらに流路25の先端部は、胴部材21間のシール部から形成される流路封止シール部25cにより封止されている。
【0036】
包装袋20を開封する際には、流路25および流路形成シール部25a,25bを横断するように胴部材21を引き裂いて、流路25を開口させることができる。例えば、流路形成シール部25a,25bまたは流路封止シール部25cの少なくとも一箇所にノッチ等の開封開始部26を形成してもよい。
【0037】
開封開始部26からの引き裂きを容易にするため、適宜の位置、形状で、胴部材21を貫通する切り込みや、胴部材21を貫通しない切れ目(図示せず)を設けることが好ましい。例えば、注出口24の上部に開封開始部26を設け、流路形成シール部25aに切り込みを設けてタブを形成してもよい。
【0038】
流路形成シール部25aにタブ(図示せず)を有する場合は、例えば、開封開始部26から下方に流路形成シール部25aを破断させることでタブを引き出し可能にしてもよい。さらにタブをつまみとして力を加えることにより、流路形成シール部25bに向けて流路25を横断するような引き裂きを容易にすることができる。
【0039】
図示例の包装袋20は、内容物Cを収容する収容部27と、底部材22を開くことで自立可能な底部28を有する。収容部27および注出口24は、胴部材21から一体的に形成されている。底部28を下側にして包装袋20を自立させたとき、底部28上に収容部27が配置され、収容部27の上方に注出口24が配置される。
【0040】
図示例のスタンディングパウチでは、胴部材21の周縁に胴シール部21a,21b、底シール部22b、上シール部23、流路形成シール部25a,25b、流路封止シール部25c等のシール部を有する。
【0041】
シール部の位置、形状等は、包装袋の種類に応じて適宜設定することが可能である。例えば四方シール袋の場合は、収容部の周囲の四辺にシール部が配置される。三方シール袋の場合は、収容部の周囲のうち三辺にシール部が配置され、残りの一辺は前後の胴部材を2つ折りにした折り線から形成される。
【0042】
ハーフカット部13からなる匂い放出部30は、シール部から5mm以上離れた箇所に配置されていることが好ましい。シール部の近くでは前後の胴部材21の距離が接近し、匂い成分の移動が妨げられるおそれがある。ハーフカット部13がシール部から遠く離れた箇所に配置されていることにより、ハーフカット部13から匂い成分が放出されやすくなる。
【0043】
収容部27は、容量の範囲内で、任意の内容物を充填することができる。包装袋20の用途によっては、収容部27が液状の内容物Cに対する所定の充填量を有してもよい。この場合、所定の充填量に応じて、接液領域Aと非接液領域Bを設定することもできる。
【0044】
図示例の場合、内容物Cが充填された状態で包装袋20を自立させたときに、胴部材21は、内面が内容物Cと接触する接液領域Aと、内面が内容物C上の気体Dと接触する非接液領域Bとを有する。ハーフカット部13が胴部材21の非接液領域Bに配置される場合は、内容物Cの漏出が抑制されるので好ましい。
【0045】
胴部材21に含まれるシーラント層11の厚さ等によっては、接液領域Aにハーフカット部13を配置することも可能である。平袋など、包装袋の姿勢や形状に応じて接液領域と非接液領域が変化し得る場合は、接液領域でも非接液領域でも、所望の位置にハーフカット部13を配置してもよい。包装袋が自立可能でない場合も、包装袋の姿勢などが特定され得る場合は、非接液領域となる位置を選択してハーフカット部13を配置することも可能である。
【0046】
図示例のハーフカット部13は、注出口24とは異なる箇所に形成されている。匂い放出部30のハーフカット部13が注出口24から離れた箇所に配置される場合は、注出口24の開封時にハーフカット部13の影響を抑制することができる。
【0047】
積層体10の平面視において、ハーフカット部13の平面形状は特に限定されないが、閉じた図形でも、閉じていない図形でもよく、また、交差する形状でも、非交差の形状でもよい。非交差の形状としては、点状または非交差の線状が挙げられる。
【0048】
閉じた図形としては、円形、楕円形、多角形などが挙げられる。閉じていない図形としては、直線状、折れ線状、T字状、X字状などが挙げられる。交差する線状としては、折れ線状、T字状、X字状、多角形などが挙げられる。交差しない線状としては、直線状、円弧状などが挙げられる。円形などの閉じた図形は、例えばレーザー加工等で始点から終点まで順に1周する場合に、始点の近傍と終点の近傍とが交差する場合がある。このため、点状または非交差の線状の場合は、閉じていない図形からなることが好ましい。
【0049】
ハーフカット部13は、積層体10の平面視において、非交差の形状に形成されていることが好ましい。例えば、図4に示す匂い放出部31のように、直線状のハーフカット部31aでもよく、図5に示す匂い放出部32のように、曲線状のハーフカット部32aでもよく、図6に示す匂い放出部33のように、点状のハーフカット部33aでもよい。直線状、曲線状、点状などから選択される複数種のハーフカット部を選択して、同一の匂い放出部に組み合わせてもよい。
【0050】
非交差のハーフカット部13は、ハーフカット部13の付近で積層体10の強度が低下しにくい。例えば積層体10の厚さ方向に押圧されても、ハーフカット部13の破損を抑制することができる。厚さ方向の押圧としては、内側から外側に向かう内容物の重量等でもよく、外側から内側に向かう外力等でもよい。
【0051】
非交差のハーフカット部13は、短い線状または点状の小部分からなる集合体であることが好ましい。積層体10の平面視における小部分の長さまたは径は、適宜設定することができ、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmなどのうち任意の2点から上限および下限が選択される範囲が挙げられる。小部分の間隔は適宜設定することができ、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mmなどのうち任意の2点から上限および下限が選択される範囲が挙げられる。
【0052】
図4に示す例では、直線状のハーフカット部31aが複数、平面上で間隔を介して配置されている。複数のハーフカット部31aが互いに平行でもよく、複数のハーフカット部31aが互いに垂直でもよい。図示例は、複数の小部分が概略として、閉じていない四角形を構成しているが、閉じていない三角形、五角形、六角形などでもよい。これらの多角形の頂点において非交差の小部分が間隔を有する形状でもよく、多角形の辺上で非交差の小部分が間隔を有する形状でもよい。
【0053】
図5に示す例では、曲線状のハーフカット部32aが複数、平面上で間隔を介して配置されている。複数のハーフカット部32aが同一の円周上に配置されてもよく、複数のハーフカット部32aが同心の円周上に配置されてもよい。図示例は、複数の小部分が概略として、閉じていない円形を構成しているが、閉じていない楕円形などでもよい。曲線状のハーフカット部32aとしては、円弧状、波状、C字状、J字状、S字状、U字状などが挙げられる。
【0054】
図6に示す例では、点状のハーフカット部33aが複数、平面上で間隔を介して配置されている。3個以上のハーフカット部33aが同一直線上に配置されてもよい。点状のハーフカット部33aを複数含む列が、縦方向、横方向、斜め方向など2方向以上であってもよい。
【0055】
実施形態の包装袋は、匂い放出部の位置を示す表示を有してもよい。表示としては、特に限定されないが、文字、矢印、枠囲み等が挙げられる。匂い放出部を覆う位置で着脱可能な粘着シール、ラベル等が設けられてもよい。
【0056】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、構成要素の追加、置換、省略、その他の変更が挙げられる。
【0057】
シーラント層11と保香層12との間は、特に図示しないが、接着層、樹脂層等を介在させてもよい。保香層12を2層以上積層する場合も、層間を接着層でラミネートすることができる。接着層は、接着剤、アンカーコート剤、押出樹脂層等から形成することができる。
【0058】
図示例の包装袋20は、収容部27と一体的に形成される注出口24が胴部材21に形成されているが、特にこれに限定されるものではない。実施形態の包装袋は、注出口を有しない包装袋でもよく、スパウトタイプの注出口を有する包装袋でもよい。
【0059】
包装袋の寸法は、特に限定されるものではないが、例えば詰め替え容器の用途では、上下方向の高さが100~500mm程度、左右方向の幅が70~300mm程度、充填量としては100cm~5000cm程度が挙げられる。
【0060】
実施形態の包装袋は、所定の内容物を充填した状態で密封することにより、所望の包装製品(内容物入り包装袋)を得ることができる。内容物の状態としては、特に限定されないが、液体、粉体、粒体等の流体、あるいは物品等の固形物が挙げられる。内容物の種類としては、特に限定されないが、洗剤、薬剤、化粧品、医薬品、飲料、調味料、インキ、塗料、燃料等が挙げられる。
【実施例0061】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0062】
厚さ120μmのポリエチレン(PE)フィルム、金属蒸着層(VM)を有するPETフィルム、ナイロン(Ny)フィルムをこの順で積層して、積層フィルムを作製した。
【0063】
実施例1では、Nyフィルム側からPEフィルムに達するまで、NyフィルムおよびVM-PETフィルムを貫通するハーフカット部を形成した。
比較例1では、Nyフィルムのみ貫通するハーフカット部を形成した。
比較例2では、Nyフィルム側からVM-PETフィルムの中間まで貫通するハーフカット部を形成した。
【0064】
得られた積層フィルムから包装袋を作製し、内容物としてフローラルな芳香を付与した柔軟剤を充填して、包装袋を密封した。
【0065】
実施例1の包装袋では、包装袋を開封することなく、ハーフカット部から内容物の匂いを確認することができた。比較例1~2の包装袋では、ハーフカット部から内容物の匂いを確認することが困難であった。
【符号の説明】
【0066】
A…接液領域、B…非接液領域、C…内容物、D…気体、10,10A…積層体、11…シーラント層、12…保香層、13,31a,32a,33a…ハーフカット部、14…外面、15…表層、20…包装袋、21…胴部材、21a,21b…胴シール部、22…底部材、22a…折り線、22b…底シール部、23…上シール部、24…注出口、25…流路、25a,25b…流路形成シール部、25c…流路封止シール部、26…開封開始部、27…収容部、28…底部、30,31,32,33…匂い放出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6