IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人東京海洋大学の特許一覧 ▶ 関西電力株式会社の特許一覧 ▶ 岩谷産業株式会社の特許一覧

特開2025-17206ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム
<>
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図1
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図2
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図3
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図4
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図5
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図6
  • 特開-ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017206
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250129BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20250129BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20250129BHJP
   B63H 21/20 20060101ALI20250129BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20250129BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20250129BHJP
   B63B 79/20 20200101ALI20250129BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20250129BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250129BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J13/00 301A
H02J13/00 311A
B63H21/17
B63H21/20
B63H21/21
B63B79/40
B63B79/20
B63B49/00 Z
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120175
(22)【出願日】2023-07-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.公開日 令和4年7月28日 2.公開場所 NEDO水素・燃料電池成果報告会2022(オンライン開催) 3.公開者名 牧平 尚久 〔刊行物等〕 1.ウェブサイトの掲載日 令和4年8月12日 2.ウェブサイトのアドレス https://www.nedo.go.jp/events/report/Z2SE_00004.html https://www.nedo.go.jp/content/100950406.pdf 3.公開者名 牧平 尚久 〔刊行物等〕 1.公開日 令和5年7月14日 2.公開場所 NEDO水素・燃料電池成果報告会2023 パシフィコ横浜 アネックスホール(横浜市西区みなとみらい1-1-1) 3.公開者名 牧平 尚久
(71)【出願人】
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
(71)【出願人】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】大出 剛
(72)【発明者】
【氏名】三宅 庸介
(72)【発明者】
【氏名】牧平 尚久
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA11
5G503AA01
5G503AA05
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】燃料電池および二次電池を有するハイブリッド移動体の安定的な移動を可能とする。
【解決手段】ハイブリッド移動体制御システム1は、燃料電池11および二次電池12を備えるハイブリッド移動体10と、燃料ガスを供給する供給部21および充電電力を供給する供給部22を有する補給ステーション20と、管理サーバ30とを備え、移動体情報に基づいてハイブリッド移動体10が補給ステーション20に到達するのに必要なエネルギーを推定するエネルギー推定部182と、補給ステーション情報および滞在時間情報に基づいて燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定する供給可能量推定部312と、移動体情報、推定されたエネルギーおよび供給可能量に基づいて燃料電池11および二次電池12の消費の比率を決定する消費比率決定部313と、決定された消費の比率に基づいて燃料電池11の発電電力を制御する燃料電池制御部183とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、二次電池と、前記燃料電池および/または前記二次電池から電力を供給される推進モータとを備えるハイブリッド移動体と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する第1の供給部と、前記二次電池を充電する電力を供給する第2の供給部とを有する補給ステーションと、
前記ハイブリッド移動体および前記補給ステーションに通信可能に接続された管理サーバと、を備えるハイブリッド移動体制御システムであって、
前記ハイブリッド移動体の消費電力に関する情報を含む移動体情報に基づいて、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到達するのに必要なエネルギーを推定するエネルギー推定部と、
前記第1の供給部および前記第2の供給部による補給に係る制約条件を含む補給ステーション情報と、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに滞在する予定に関する滞在時間情報とに基づいて、前記ハイブリッド移動体に対する燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定する供給可能量推定部と、
前記移動体情報に含まれる前記燃料電池および前記二次電池の使用状態に関する情報と、前記推定されたエネルギーと、前記推定された供給可能量とに基づいて、前記燃料電池および前記二次電池の消費の比率を決定する消費比率決定部と、
前記決定された消費の比率に基づいて前記燃料電池の発電電力を制御する燃料電池制御部と、
を備える、ハイブリッド移動体制御システム。
【請求項2】
前記燃料電池および前記二次電池の使用状態に関する情報は、前記燃料電池と前記二次電池の使用比率、前記燃料電池と前記二次電池の各電池の残量、および/または、前記燃料電池と前記二次電池の各電池の発電量を含む、請求項1に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項3】
前記補給ステーション情報は、前記燃料電池に供給するための燃料ガスの貯蔵量、および前記二次電池に供給するための充電可能電力量に関する情報を含む、請求項1に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項4】
前記補給ステーション情報は、前記燃料電池に燃料ガスを供給するのに要する時間、前記二次電池を充電するのに要する時間、および前記燃料ガスの圧縮に要する時間のうち少なくともいずれか一つの時間を示す情報を含む、請求項3に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項5】
前記滞在時間情報は、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到着する時刻、および前記補給ステーションを出発する時刻を示す情報である、請求項1に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項6】
前記エネルギー推定部は、前記ハイブリッド移動体の消費電力を変動させる要因を考慮して前記エネルギーを推定する、請求項1に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項7】
前記ハイブリッド移動体は船舶であり、前記要因は風、潮流および風浪のうち少なくともいずれか一つである、請求項6に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項8】
前記供給可能量推定部は、前記ハイブリッド移動体の次に前記補給ステーションに到着する別のハイブリッド移動体への補給を考慮して前記供給可能量を推定する、請求項1に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項9】
前記消費比率決定部は、前記移動体情報に含まれる前記燃料電池および前記二次電池の残量と、前記推定されたエネルギーとから、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到着したときにおける前記燃料電池および前記二次電池の残量をそれぞれ算出し、前記推定された各電池の残量と、前記ハイブリッド移動体がその次の補給ステーションまで移動するのに必要となるエネルギーとから、前記次の補給ステーションに到達するのに必要な補給エネルギーを推定し、前記補給ステーションの前記供給可能量が前記補給エネルギー以上となるように前記燃料電池と前記二次電池の消費の比率を決定する、請求項1に記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項10】
前記ハイブリッド移動体は、所定の移動ルートを移動する船舶、車両または飛行体である、請求項1~9のいずれかに記載のハイブリッド移動体制御システム。
【請求項11】
燃料電池と、二次電池と、前記燃料電池および/または前記二次電池から電力を供給される推進モータとを備えるハイブリッド移動体と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する第1の供給部と、前記二次電池を充電する電力を供給する第2の供給部とを有する補給ステーションと、
前記ハイブリッド移動体および前記補給ステーションに通信可能に接続された管理サーバと、を備えるハイブリッド移動体制御システムにおける方法であって、
前記ハイブリッド移動体の消費電力に関する情報を含む移動体情報に基づいて、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到達するのに必要なエネルギーを推定し、
前記第1の供給部および前記第2の供給部による補給に係る制約条件を含む補給ステーション情報と、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに滞在する予定に関する滞在時間情報とに基づいて、前記ハイブリッド移動体に対する燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定し、
前記移動体情報に含まれる前記燃料電池および前記二次電池の使用状態に関する情報と、前記推定されたエネルギーと、前記推定された供給可能量とに基づいて、前記燃料電池および前記二次電池の消費の比率を決定し、
前記決定された消費の比率に基づいて前記燃料電池の発電電力を制御する、ハイブリッド移動体制御方法。
【請求項12】
コンピュータに請求項11に記載の方法を実行させる、ハイブリッド移動体制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム、より詳しくは、燃料電池および二次電池をエネルギーストレージとするハイブリッド移動体を制御するためのシステム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素、アンモニアを利用する燃料電池は、輸送、発電、産業といった多様な分野の脱炭素化に寄与するカーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギー源とされている。我が国のエネルギー基本計画に基づいて策定された「水素・燃料電池戦略ロードマップ」において、「燃料電池船については、導入に向けた実証事業の推進等について検討していく」と明記されている。
【0003】
さらに、2017年の水素基本戦略再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議において、モビリティでの利用のなかで燃料電池船(FC船)の開発、導入が示されている。2021年に閣議決定されたエネルギー基本計画においても、2030年の電源構成に初めて燃料電池が位置づけられるなど、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、その社会実装の加速化が求められている。なお、船舶については、短~中距離用に水素、長距離用にアンモニアを利用することが想定されている。
【0004】
しかし、水素(70MPaに圧縮したもの)の体積エネルギー密度はガソリンの約1/8であるため、燃料電池をエネルギーストレージとする船舶は化石燃料を搭載した船舶に比べて頻繁に補給(バンカリング)を行うことが必要となる。
【0005】
また、リチウムイオン二次電池(Lithium Ion Battery:LIB)によりモータを駆動して推進する船舶も知られている。そのエネルギー密度はガソリンの約1/30であり、燃料電池の場合と同様に頻繁な補給が必要となる。
【0006】
特許文献1には、船舶航行中に蓄電池の電池切れを防止することを目的とした船舶用電気推進装置が記載されている。この船舶では、陸上の電源から船内の蓄電池を充電し、その電力で航行するように構成されている。そして、目的地までの距離、速度または消費電力と、電池残量とに基づいて推進モータを制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-14222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
燃料電池および二次電池をエネルギーストレージとして備えるハイブリッド船舶が本願出願人により検討されている。ハイブリッド船舶の補給ステーションには、燃料電池に水素を補給する設備、および二次電池を充電する設備が設けられる。
【0009】
補給ステーションによる燃料ガスおよび電力の供給には、諸々の制約がある。たとえば、水素燃料電池への補給については、タンクにおける水素ガスの貯蔵量、水素ガスの圧縮に要する時間および電力が制約要因となる。二次電池への充電については、使用可能な総電力の制約がある。その他、船舶の滞在時間(すなわち、水素の充填、二次電池の充電を行える時間)の制約などもある。
【0010】
このような補給ステーションの制約条件が考慮されない場合、補給ステーションに到着したハイブリッド船舶に必要な補給を行うことができず、ハイブリッド船舶が安定的に運航することは困難となる。
【0011】
本発明は、上記の認識に基づいてなされたものであり、燃料電池および二次電池をエネルギーストレージとして有するハイブリッド移動体が安定的に移動することを可能とするハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラム を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るハイブリッド移動体制御システムは、
燃料電池と、二次電池と、前記燃料電池および/または前記二次電池から電力を供給される推進モータとを備えるハイブリッド移動体と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する第1の供給部と、前記二次電池を充電する電力を供給する第2の供給部とを有する補給ステーションと、
前記ハイブリッド移動体および前記補給ステーションに通信可能に接続された管理サーバと、を備えるハイブリッド移動体制御システムであって、
前記ハイブリッド移動体の消費電力に関する情報を含む移動体情報に基づいて、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到達するのに必要なエネルギーを推定するエネルギー推定部と、
前記第1の供給部および前記第2の供給部による補給に係る制約条件を含む補給ステーション情報と、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに滞在する予定に関する滞在時間情報とに基づいて、前記ハイブリッド移動体に対する燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定する供給可能量推定部と、
前記移動体情報に含まれる前記燃料電池および前記二次電池の使用状態に関する情報と、前記推定されたエネルギーと、前記推定された供給可能量とに基づいて、前記燃料電池および前記二次電池の消費の比率を決定する消費比率決定部と、
前記決定された消費の比率に基づいて前記燃料電池の発電電力を制御する燃料電池制御部と、
を備える。
【0013】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記燃料電池および前記二次電池の使用状態に関する情報は、前記燃料電池と前記二次電池の使用比率、前記燃料電池と前記二次電池の各電池の残量、および/または、前記燃料電池と前記二次電池の各電池の発電量を含んでもよい。
【0014】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記補給ステーション情報は、前記燃料電池に供給するための燃料ガスの貯蔵量、および前記二次電池に供給するための充電可能電力量に関する情報を含んでもよい。
【0015】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記補給ステーション情報は、前記燃料電池に燃料ガスを供給するのに要する時間、前記二次電池を充電するのに要する時間、および前記燃料ガスの圧縮に要する時間のうち少なくともいずれか一つの時間を示す情報を含んでもよい。
【0016】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記滞在時間情報は、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到着する時刻、および前記補給ステーションを出発する時刻を示す情報であってもよい。
【0017】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記エネルギー推定部は、前記ハイブリッド移動体の消費電力を変動させる要因を考慮して前記エネルギーを推定するようにしてもよい。
【0018】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記ハイブリッド移動体は船舶であり、前記要因は風、潮流および風浪のうち少なくともいずれか一つであってもよい。
【0019】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記供給可能量推定部は、前記ハイブリッド移動体の次に前記補給ステーションに到着する別のハイブリッド移動体への補給を考慮して前記供給可能量を推定するようにしてもよい。
【0020】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記消費比率決定部は、前記移動体情報に含まれる前記燃料電池および前記二次電池の残量と、前記推定されたエネルギーとから、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到着したときにおける前記燃料電池および前記二次電池の残量をそれぞれ算出し、前記推定された各電池の残量と、前記ハイブリッド移動体がその次の補給ステーションまで移動するのに必要となるエネルギーとから、前記次の補給ステーションに到達するのに必要な補給エネルギーを推定し、前記補給ステーションの前記供給可能量が前記補給エネルギー以上となるように前記燃料電池と前記二次電池の消費の比率を決定するようにしてもよい。
【0021】
また、前記ハイブリッド移動体制御システムにおいて、
前記ハイブリッド移動体は、所定の移動ルートを移動する船舶、車両または飛行体であってもよい。
【0022】
本発明に係るハイブリッド移動体制御方法は、
燃料電池と、二次電池と、前記燃料電池および/または前記二次電池から電力を供給される推進モータとを備えるハイブリッド移動体と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する第1の供給部と、前記二次電池を充電する電力を供給する第2の供給部とを有する補給ステーションと、
前記ハイブリッド移動体および前記補給ステーションに通信可能に接続された管理サーバと、を備えるハイブリッド移動体制御システムにおける方法であって、
前記ハイブリッド移動体の消費電力に関する情報を含む移動体情報に基づいて、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに到達するのに必要なエネルギーを推定し、
前記第1の供給部および前記第2の供給部による補給に係る制約条件を含む補給ステーション情報と、前記ハイブリッド移動体が前記補給ステーションに滞在する予定に関する滞在時間情報とに基づいて、前記ハイブリッド移動体に対する燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定し、
前記移動体情報に含まれる前記燃料電池および前記二次電池の使用状態に関する情報と、前記推定されたエネルギーと、前記推定された供給可能量とに基づいて、前記燃料電池および前記二次電池の消費の比率を決定し、
前記決定された消費の比率に基づいて前記燃料電池の発電電力を制御する。
【0023】
本発明に係るハイブリッド移動体制御プログラムは、前記ハイブリッド移動体制御方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、燃料電池および二次電池をエネルギーストレージとして有するハイブリッド移動体が安定的に移動することを可能とするハイブリッド移動体制御システム、制御方法および制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係るハイブリッド移動体制御システムの概略的な構成図である。
図2】実施形態に係るハイブリッド船の機能ブロック図である。
図3】実施形態に係るハイブリッド船の制御部の機能ブロック図である。
図4】実施形態に係るハイブリッド移動体制御システムの補給ステーションの機能ブロック図である。
図5】実施形態に係るハイブリッド移動体制御システムの管理サーバの機能ブロック図である。
図6】実施形態に係るハイブリッド移動体制御方法の一例を示すシーケンス図である。
図7】実施形態に係るハイブリッド移動体制御方法における、燃料電池と二次電池の消費の比率を決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
<ハイブリッド移動体制御システム>
図1を参照して、実施形態に係るハイブリッド移動体制御システム1について説明する。
【0028】
ハイブリッド移動体制御システム1は、ハイブリッド移動体10と、補給ステーション20と、管理サーバ30とを備えている。ハイブリッド移動体10、補給ステーション20および管理サーバ30は、インターネット等の通信ネットワークNに通信可能に接続されている。通信ネットワークNのプロトコルは特に限定されない。
【0029】
後述するように、ハイブリッド移動体制御システム1は、エネルギーストレージとして燃料電池および二次電池を有する1つまたは複数のハイブリッド移動体10を制御するように構成されている。ハイブリッド移動体制御システム1は、複数のハイブリッド移動体10を備えてもよい。
【0030】
以下の実施形態では、ハイブリッド移動体10は船舶である。ただし、ハイブリッド移動体10は、船舶に限られず、自動車、バス等の車両、飛行機、ドローン等の飛行体であってもよい。また、ハイブリッド移動体10は、所定の移動ルート(定期航路等)を移動する移動体(船舶、車両、飛行体等)であってもよい。
【0031】
以下、ハイブリッド移動体10、補給ステーション20および管理サーバ30の各構成要素についてそれぞれ詳しく説明する。
【0032】
<ハイブリッド移動体>
図2および図3を参照して、ハイブリッド移動体10について説明する。
【0033】
実施形態に係るハイブリッド移動体10は、燃料電池11と、二次電池12と、推進モータ13と、電力供給部14と、コンバータ15a,15bと、インバータ15c,15dと、インレット16と、プロペラ17と、制御部18と、を備える。なお、ハイブリッド移動体10は、補給ステーション20への滞在時間情報(後述)などが記憶された記憶部(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0034】
図2に示すように、コンバータ15a、コンバータ15b、インバータ15c、インバータ15dおよび二次電池12は直流バスBに接続されている。
【0035】
燃料電池11は、燃料ガスタンク11aから供給される燃料ガスを、空気中の酸素と化学反応させて発電を行う。燃料電池11により発電された電力は、推進モータ13に供給されるとともに、電力供給部14を介してハイブリッド移動体10内の設備(航海灯など)に供給される。燃料電池11は二次電池12に充電電力を供給して二次電池12の充電を行うこともある。
【0036】
本実施形態では、燃料電池11は、水素ガスを燃料とする水素燃料電池である。燃料電池の種類は特に限定されず、たとえば、燃料電池11はアンモニアガスを燃料とするものであってもよい。
【0037】
二次電池12は、推進モータ13に電力を供給する。また、二次電池12は電力供給部14を介してハイブリッド移動体10内の設備に電力を供給する。二次電池12は、制御部18に通信可能なバッテリー制御ユニット(BMU)を含む。本実施形態では、二次電池12はリチウムイオン二次電池(LIB)であるが、他の二次電池であってもよい。
【0038】
推進モータ13は、推進器としてのプロペラ17を回転させ、ハイブリッド移動体10を推進させる。この推進モータ13は、燃料電池11および/または二次電池12から電力を供給される。換言すれば、推進モータ13は、燃料電池11および二次電池12の少なくともいずれか一方から電力を供給される。
【0039】
推進モータ13は、たとえば、埋込磁石型同期モータ(IPMSM)であるが、モータの種類はこれに限定されない。
【0040】
電力供給部14は、ハイブリッド移動体10内の各設備に電力を供給するための電力取出部である。本実施形態では電力供給部14は、インバータ15cにより変換された交流電力(AC100V、三相AC220Vなど)を移動体内の各設備に供給する。
【0041】
コンバータ15aは、DC-DCコンバータであり、燃料電池11から出力される直流電圧を所定の電圧に変換し、直流バスBに出力する。コンバータ15bは、AC-DCコンバータであり、インレット16を介して入力された充電装置(後述の電力供給部22)の交流電力を所定の直流電圧に変換し、直流バスBに出力する。インバータ15cは、直流バスBの直流電力を交流電力に変換し、電力供給部14に出力する。インバータ15dは、直流バスBの直流電力を交流電力に変換し、推進モータ13に出力する。
【0042】
インレット16は、外部の充電器(後述の補給ステーション20の電力供給部22)に接続され、二次電池12を充電するためのものである。たとえば、インレット16は、急速充電方式の一つであるCHAdeMO(登録商標)に対応している。
【0043】
プロペラ17は、ハイブリッド移動体10を移動させるための推進器である。ハイブリッド移動体10が自動車等の車両である場合は、プロペラ17に代えてタイヤ(図示せず)が推進モータ13に機械的に接続される。
【0044】
制御部18は、ハイブリッド移動体10を制御するように構成されている。
【0045】
詳しくは、図3に示すように、制御部18は、情報取得部181と、エネルギー推定部182と、燃料電池制御部183と、推進モータ制御部184と、情報出力部185と、を備えている。各機能部の詳細は後述する。本実施形態では、ハイブリッド移動体10が船舶であるため、制御部18は航海制御ユニット(N-ECU)(図示せず)をさらに備えている。
【0046】
なお、本実施形態では、制御部18の各機能部は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でハイブリッド移動体10に設けられたメモリ(図示せず)に格納されている。制御部18はプロセッサであり、当該メモリからプログラムを読み出して実行することで、プログラムに対応する機能を実現する。
【0047】
また、本実施形態では、図3に示すように、情報取得部181、エネルギー推定部182、燃料電池制御部183、推進モータ制御部184および情報出力部185が単一の制御部18によって実現される。これに限られず、制御部18は、複数の独立したプロセッサを組み合わせたものとして構成され、各プロセッサが各機能部に対応するプログラムを実行することにより各機能部を実現してもよい。たとえば、燃料電池制御部183はFC制御ユニット(F-ECU)として、推進モータ制御部184はエンジン制御ユニット(E-ECU)として、それぞれ独立したプロセッサにより実現されてもよい。このように制御部18が有する各機能部は、単一又は複数の制御部に適宜に分散されて実現されてよい。
【0048】
制御部18の各機能部の詳細について説明する。
【0049】
情報取得部181は、ハイブリッド移動体10の内部情報等の各種情報を取得するように構成されている。たとえば、情報取得部181は、ハイブリッド移動体10の移動体情報を取得する。
【0050】
移動体情報は、ハイブリッド移動体10の消費電力に関する情報を含む。消費電力には、ハイブリッド移動体10の推力に用いられる電力、電力供給部14を介して移動体内の設備(船内ユーティリティ等)により消費される電力、燃料電池11に用いられる電力が含まれる。
【0051】
また、移動体情報は、燃料電池11および二次電池12の使用状態に関する情報を含む。使用状態に関する情報は、たとえば、燃料電池11と二次電池12の使用比率(発電電力の比)、燃料電池11と二次電池12の各電池の残量、および/または、燃料電池11と二次電池12の各電池の発電量に関する情報を含む。ここで、燃料電池11の残量は、燃料ガスタンク11a内のガス量(水素等の燃料ガスの残存量)のことをいう。たとえば、移動体情報は、二次電池12の残量を示す情報として充電率(SOC)を含み、燃料電池11の残量を示す情報として燃料ガスタンク11a内のガス量を含む。
【0052】
なお、移動体情報は、ハイブリッド移動体10の現在位置、速度、移動距離(航行距離)、荷物の積載量等に関する情報を含んでもよい。
【0053】
エネルギー推定部182は、前述の移動体情報に基づいて、ハイブリッド移動体10が補給ステーション20に到達するのに必要なエネルギー(消費エネルギー、消費電力量)を推定する。たとえば、エネルギー推定部182は、ハイブリッド移動体10の消費電力、および補給ステーション20に到達するまでの時間から、補給ステーション20に到達されるまでに消費されるエネルギーを推定する。補給ステーション20に到達するまでの時間は、ハイブリッド移動体10の現在位置(補給ステーション20までの距離の算出に使用)、速度などの情報から得られる。補給ステーション20に到達するまでの時間は外部の装置(管理サーバ30等)から取得されてもよい。
【0054】
なお、エネルギー推定部182は、ハイブリッド移動体10の消費電力を変動させる要因を考慮して、補給ステーション20に到達されるまでに消費されるエネルギーを推定してもよい。このような要因として、電力供給部14を介して移動体内の設備により消費される電力や、風(風力、風向)、潮流、風浪などの環境要因が挙げられる。
【0055】
燃料電池制御部183は、燃料電池11の発電電力を制御するように構成されている。この燃料電池制御部183は、管理サーバ30で決定された、燃料電池11および二次電池12の消費の比率に基づいて、燃料電池11の発電電力を制御する。たとえば、決定された消費の比率が50%(燃料電池11):50%(二次電池12)である場合、ハイブリッド移動体10の消費電力(負荷電力)が40kWのとき、燃料電池制御部183は、燃料電池11の発電電力が20kWになるように燃料電池11を制御する。なお、消費の比率の決定方法は後述する。
【0056】
推進モータ制御部184は、推進モータ13の出力を制御するように構成されている。推進モータ制御部184は、ユーザ(操船者)が入力した速度の指示に応じて、推進モータ13の出力を制御する。
【0057】
情報出力部185は、各種情報を出力するように構成されている。たとえば、情報出力部185は、情報取得部181により取得された移動体情報の一部または全部や、エネルギー推定部182により推定されたエネルギーに関する情報を出力する。出力された情報はハイブリッド移動体10内の通信装置(図示せず)を介して管理サーバ30等の外部装置に送信される。
【0058】
また、本実施形態では、情報出力部185は、ハイブリッド移動体10が補給ステーション20に滞在する予定に関する滞在時間情報を出力する。この滞在時間情報は、たとえば、ハイブリッド移動体10が補給ステーション20に到着する時刻、および補給ステーション20を出発する時刻を示す情報である。滞在時間情報に基づいて、ハイブリッド移動体10に補給可能な時間(補給可能時間)が把握される。たとえば、滞在時間から補給前後の作業に要する時間を差し引いた時間が補給可能時間となる。
【0059】
<補給ステーション>
図4を参照して、ハイブリッド移動体10に電力および燃料ガスを供給する補給ステーション20について説明する。ハイブリッド移動体10が船舶の場合、補給ステーション20はバンカリングステーションとも呼ばれる。
【0060】
補給ステーション20は、燃料電池11に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部(第1の供給部)21と、二次電池12を充電する電力を供給する電力供給部(第2の供給部)22と、サーバ23とを有する。なお、補給ステーション20は、陸上または海上に固定的に設けられるものに限られず、トラック、船舶等の移動体に設けられてもよい。
【0061】
サーバ23は、燃料ガス供給部21および電力供給部22に通信可能に接続されており、情報取得部231および情報出力部232を有する。
【0062】
情報取得部231は、燃料ガス供給部21および電力供給部22から各種情報を取得する。具体的には、情報取得部231は、燃料ガス供給部21から、燃料ガスの貯蔵量、燃料ガスの圧縮に要する時間、圧縮に必要な電力などに関する情報を取得する。ここで、燃料ガスの貯蔵量は、燃料ガス供給部21が有するタンクに貯蔵されている燃料ガスの量である。また、情報取得部231は、電力供給部22から、二次電池に供給するための充電可能電力量に関する情報を取得する。これらの情報は、燃料ガス供給部21および電力供給部22による補給に係る制約条件となる。以下、制約条件となる情報を補給ステーション情報という。
【0063】
補給ステーション情報は、補給に要する時間に関する情報を含む。具体的には、補給ステーション情報は、燃料電池11に供給するための燃料ガスの貯蔵量、および二次電池12に供給するための充電可能電力量に関する情報を含む。
【0064】
また、補給ステーション情報は、燃料電池11に燃料ガスを供給するのに要する時間、二次電池12を充電するのに要する時間、および燃料ガスの圧縮に要する時間のうち少なくともいずれか一つの時間を示す情報を含む。なお、一般的には、二次電池12を充電する時間に比べて燃料ガスを燃料電池11に充填する時間の方が短い。ただし、燃料電池11への補給量が多く、二次電池12の充電量が少ない場合はこの限りでない。
【0065】
情報出力部232は、補給ステーション情報等の各種情報を出力するように構成されている。出力された情報は補給ステーション20内の通信装置(図示せず)を介して管理サーバ30等の外部装置に送信される。
【0066】
なお、管理サーバ30が補給ステーション20内に設けられる場合、管理サーバ30がサーバ23を兼ねてもよい。また、サーバ23は、補給ステーション20の外に設けられた管理サーバ30に統合されてもよい。
【0067】
<管理サーバ>
図5を参照して、管理サーバ30の詳細について説明する。
【0068】
管理サーバ30は、ハイブリッド移動体10および補給ステーション20に通信可能に接続されている。なお、管理サーバ30は補給ステーション20内に設けられてもよいし、補給ステーション20の外に設けられてもよい。
【0069】
管理サーバ30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。
【0070】
制御部31は、情報取得部311と、供給可能量推定部312と、消費比率決定部313とを有する。通信部32は、ハイブリッド移動体10、補給ステーション20との間で情報を送受信するためのインターフェースである。通信の方式・規格は特に限定されない。
【0071】
記憶部33は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等から構成される。この記憶部33には、制御部31で実行されるプログラムや、ハイブリッド移動体10の運航管理データベース331などが記憶される。運航管理データベース331には、たとえば、定期航路を運航するための複数のハイブリッド移動体10の移動スケジュールや、各ハイブリッド移動体10に関する情報(現在位置等)が格納されている。
【0072】
情報取得部311は、ハイブリッド移動体10、補給ステーション20から各種情報を取得するように構成されている。具体的には、情報取得部311は、ハイブリッド移動体10から移動体情報、推定されたエネルギーに関する情報、および滞在時間情報を取得する。情報取得部311は、補給ステーション20から補給ステーション情報を取得する。なお、滞在時間情報は、記憶部33の運航管理データベース331に記憶されていてもよい。この場合、ハイブリッド移動体10から滞在時間情報を受信する必要はない。
【0073】
供給可能量推定部312は、補給ステーション情報と滞在時間情報とに基づいて、ハイブリッド移動体10に対する燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定する。たとえば、供給可能量推定部312は、燃料ガス供給部21の燃料ガス貯蔵量、電力供給部22の充電可能電力量、燃料ガスおよび電力供給に要する時間、ならびにハイブリッド移動体10の滞在時間(補給可能時間)を考慮して、ハイブリッド移動体10に供給可能な燃料ガスの量および充電電力量を推定する。
【0074】
なお、供給可能量推定部312は、ハイブリッド移動体10(第1のハイブリッド移動体)の次に補給ステーション20に到着する別のハイブリッド移動体10(第2のハイブリッド移動体)への補給を考慮して供給可能量を推定してもよい。たとえば、燃料ガスの供給可能量の全体から、第2のハイブリッド移動体に供給する予定の燃料ガスの量を差し引いたものを、第1のハイブリッド移動体への供給可能量としてもよい。
【0075】
消費比率決定部313は、ハイブリッド移動体10の移動体情報、エネルギー推定部182により推定されたエネルギーと、供給可能量推定部312により推定された供給可能量とに基づいて、ハイブリッド移動体10の燃料電池11と二次電池12との消費の比率を決定する。詳しくは後述するが、消費比率決定部313は、補給ステーション20によるハイブリッド移動体10への供給可能量が補給エネルギー(その次の補給ステーションに到達するのに必要なエネルギー)以上となるように燃料電池11と二次電池12の消費の比率を決定する。
【0076】
このように、本実施形態は、補給ステーション20においてハイブリッド移動体10の燃料電池11や二次電池12を満タンすることを前提とするものでなく、ハイブリッド移動体10がその次の補給ステーションまで移動するのに必要となるエネルギーを蓄えるまでエネルギーを補給するという方針に基づき、燃料電池11と二次電池12の消費の比率を決定する。
【0077】
以上、実施形態に係るハイブリッド移動体制御システム1について説明した。本実施形態によれば、補給に係る制約条件を含む補給ステーション情報を考慮して、ハイブリッド移動体10における燃料電池11と二次電池12の消費の比率(使用比率)を決定する。このように決定された比率に基づき燃料電池11の発電電力が制御される。これにより、ハイブリッド移動体10は安定的に運航することができる。
【0078】
さらに、必ずしも満タンまで補給するのでなく、ハイブリッド移動体10がその次の補給ステーションまで移動するのに必要となるエネルギーを蓄えるまでエネルギーを補給するという補給方針を採ることで、複数のハイブリッド移動体10が各々の定期航路を航行する場合において各ハイブリッド移動体の安定的な運航を可能とする。
【0079】
なお、上記実施形態のシステムにおける機能の配分は一例であり、これに限られない。たとえば、ハイブリッド移動体10のエネルギー推定部182は管理サーバ30が備えてもよい。また、管理サーバ30の供給可能量推定部312および/または消費比率決定部313はハイブリッド移動体10が備えてもよい。
【0080】
<ハイブリッド移動体制御方法>
次に、図6を参照して、上記のハイブリッド移動体制御システム1を用いたハイブリッド移動体制御方法の一例について説明する。
【0081】
ハイブリッド移動体10の情報取得部181は、ハイブリッド移動体10の消費電力に関する情報を含む移動体情報を取得する(ステップS11)。また、情報取得部181は、ハイブリッド移動体10の記憶部に記憶された滞在時間情報を取得する。
【0082】
ハイブリッド移動体10のエネルギー推定部182は、ステップS11で取得した移動体情報に基づいて、ハイブリッド移動体10が補給ステーション20に到達するのに必要なエネルギーを推定する(ステップS12)。たとえば、本ステップにおいてエネルギー推定部182は、ハイブリッド移動体10の消費電力および補給ステーション20に到達するまでの時間から、補給ステーション20に到達するまでに消費されるエネルギーを推定する。
【0083】
ハイブリッド移動体10の情報出力部185は、ステップS11で取得された移動体情報、ステップS12で推定されたエネルギーに関する情報(エネルギー情報)および滞在時間情報を管理サーバ30に送信する(ステップS13)。管理サーバ30は、これらの情報を受信する。図6の例では、管理サーバ30は、ステップS21とステップS22の間において上記情報を受信する。これに限られず、ステップS21の前で受信してもよい。
【0084】
管理サーバ30の情報取得部311は、補給ステーション20から、補給に係る制約条件を含む補給ステーション情報を取得する(ステップS21)。なお、本ステップは、補給ステーション20から定期的に管理サーバ30に送信され、記憶部33に記憶される補給ステーション情報を、情報取得部311が読み出すことにより行われてもよい。
【0085】
管理サーバ30の供給可能量推定部312は、ステップS21で取得された補給ステーション情報と、ハイブリッド移動体10から受信した滞在時間情報とに基づいて、ハイブリッド移動体10に対する燃料ガスおよび充電電力の供給可能量を推定する(ステップS22)。
【0086】
管理サーバ30の消費比率決定部313は、ハイブリッド移動体10から受信した移動体情報およびエネルギー情報と、ステップS22で推定された供給可能量とに基づいて、ハイブリッド移動体10の燃料電池11と二次電池12との消費の比率を決定する(ステップS23)。本ステップの一例について図7を参照して詳しく説明する。
【0087】
消費比率決定部313は、移動体情報に含まれる燃料電池11および二次電池12の各電池の残量と、エネルギー推定部182により推定されたエネルギーとから、ハイブリッド移動体10が補給ステーション20に到着したときにおける燃料電池11および二次電池12の残量(予測値)をそれぞれ算出する(ステップS231)。なお、各電池の残量の予測値を算出する際は、現在の各電池の使用比率を前提とする。
【0088】
次に、消費比率決定部313は、ステップS231で算出された各電池の残量と、ハイブリッド移動体10がその次の補給ステーションまで移動するのに必要となるエネルギーとから、補給エネルギー(すなわち、その次の補給ステーションに到達するのに必要なエネルギー)を算出する(ステップS232)。
【0089】
次に、消費比率決定部313は、補給ステーション20の供給可能量が補給エネルギー以上となるように燃料電池11と二次電池12の消費の比率を決定する(ステップS233)。たとえば、補給ステーション20の燃料ガスの供給可能量が少ない場合、二次電池12の消費の比率が大きくなるように、反対に、充電電力の供給可能量が少ない場合、燃料電池11の消費の比率が大きくなるように比率が決定される。
【0090】
上記のように決定された消費の比率は、管理サーバ30からハイブリッド移動体10に送信される(ステップS24)。そして、ハイブリッド移動体10(燃料電池制御部183)は、管理サーバ30から受信した消費の比率に基づいて、燃料電池11の発電電力を制御する(ステップS14)。当該制御により燃料電池11と二次電池12のバランス制御が行われる。
【0091】
以上、実施形態に係る制御方法を説明した。図6に示すように、ハイブリッド移動体10はステップS11~ステップS14を所定の周期で繰り返し実行する。同様に、管理サーバ30はステップS21~ステップS24を所定の周期で繰り返し実行する。なお、ハイブリッド移動体10が補給ステーション20に近づくにつれて、実行の周期を短くしてもよい。これにより、制御誤差を小さくすることができる。
【0092】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【0093】
ハイブリッド移動体10の制御部18における各部は、ハイブリッド移動体10内のプロセッサが所定のプログラムを実行してソフトウェアによる処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであってもよいし、実装されているハードウェア自身により実現されるものであってもよい。管理サーバ30の制御部31についても同様である。
【0094】
制御部18、31をソフトウェアで構成する場合には、少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0095】
また、ハイブリッド移動体制御システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 ハイブリッド移動体制御システム
10 ハイブリッド移動体
11 燃料電池
11a 燃料ガスタンク
12 二次電池
13 推進モータ
14 電力供給部
15a,15b コンバータ
15c,15d インバータ
16 インレット
17 プロペラ
18 制御部
181 情報取得部
182 エネルギー推定部
183 燃料電池制御部
184 推進モータ制御部
185 情報出力部
20 補給ステーション
21 燃料ガス供給部
22 電力供給部
23 サーバ
231 情報取得部
232 情報出力部
30 管理サーバ
31 制御部
311 情報取得部
312 供給可能量推定部
313 消費比率決定部
32 通信部
33 記憶部
331 運航管理データベース
B 直流バス
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7