(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017584
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250130BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120723
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝日 洋充
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙一
(72)【発明者】
【氏名】青柳 鎮
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】最適なキー管理方法に関する情報を出力する。
【解決手段】車両貸出事業において貸し出される車両の車両キーのキー管理方法に関する情報を出力可能な情報処理装置(PC100)において、前記車両に関する情報(車両の移動態様を特定可能な特定情報)を入力する入力手段11と、前記車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法(車載器型、ロッカー型等)のそれぞれのコストを算出する算出手段13と、算出手段13の算出結果に基づき、選択すべきキー管理方法に関する情報を出力する出力手段14と、を備え、算出手段13は、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコスト(グロスコスト)から、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値(例えば広告料)を差し引いた差引結果(ネットコスト)を前記複数のキー管理方法について各々算出した結果を、前記それぞれのコストとして算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両貸出事業において貸し出される車両における車両キーのキー管理方法に関する情報を出力可能な情報処理装置において、
前記車両に関する情報を入力する入力手段と、
前記車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法のそれぞれのコストを算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果に基づき、選択すべきキー管理方法に関する情報を出力する出力手段と、を備え、
前記算出手段は、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコストから、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値を差し引いた結果を、前記それぞれのコストとして算出する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のキー管理方法には、ロッカーを用いたロッカー型と、車載器を用いた車載器型と、が含まれ、
前記車載器型に基づき車両キーが管理される車両には、前記車両の位置情報を取得可能な位置情報取得手段が備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車両に関する情報には、前記車両の移動態様を特定可能な情報が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入力手段により入力された情報に基づいて、前記車両の移動態様を特定する移動態様特定手段を備え、
前記算出手段は、前記車両に広告を付して得られる情報価値を、前記移動態様特定手段により特定された移動態様に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
車両貸出事業において貸し出される車両のキー管理方法に関する情報を出力可能なコンピュータを、
前記車両に関する情報を入力する入力手段、
前記車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法のそれぞれのコストを算出する算出手段、
前記算出手段の算出結果に基づき、選択すべきキー管理方法に関する情報を出力する出力手段、として機能させ、
前記算出手段は、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコストから、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値を差し引いた差引結果を前記複数のキー管理方法について各々算出した結果を、前記それぞれのコストとして算出する
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両貸出サービスにおける車両キーのキー管理方法に関する情報を出力可能な情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーシェア、レンタカー、カーリース及びサブスクリプションなど、事業者が車両をユーザに貸し出すサービス(車両貸出事業)が提供されている。
例えば、店舗と駐車スペースとを設け、当該駐車スペースに車両を配置し、予約日に来店したユーザに車両キーを渡して車両を貸し出すサービスが知られている。
特許文献1には、駐車スペースに共同利用可能な車両を設置し、自動的に貸出し可能にしたカーレンタルシステムが開示されている。
特許文献2には、複数の施開錠可能なロッカーボックスを備えたロッカーを利用するものであって、ユーザに対して無人で車両を貸し出すことができる自動貸出システムが開示されている。
特許文献3には、レンタルに際し遠方まで足を運ぶ必要がなく、非対面で極めて簡素な手続きで利用可能な車両貸出管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-288784号公報
【特許文献2】特開2014-130515号公報
【特許文献3】特開2013-175219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の車両貸出サービスでは、車両キーの管理方法や施開錠方法が複数存在する。
例えば、
図8(a)に示すように施開錠機構を車載器本体により制御する方法(「車載器型」と称する)や、
図8(b)に示すように施開錠機構をロッカー本体により制御する方法(「ロッカー型」と称する)などがある。
「車載器型」は、車両に取り付けた車載器を利用して車両のドアの施開錠をコンピュータ制御する方法である。
具体的には、ユーザは、自身が所有するスマートフォンなどにより予約サイトにアクセスして車両の予約を行い、その際に発行されたキー情報(予約情報)を二次元コードとしてスマートフォンに表示できる(
図9(a))ものとする。なお、車両の外側には、二次元コードを読取可能な読取装置が車載器本体(コンピュータ内蔵)と電気的に接続された状態で設けられている。
ユーザは、スマートフォンに表示させた二次元コードを読取装置に読み取らせる(
図9(b))。これにより、車載器は、読取装置が読み取った二次元コードを受信する。
車載器本体は、受信した二次元コードをキー情報に変換し、当該キー情報と予約時に登録されている正規のキー情報と照合する。
照合が一致すると、車載器本体は、ドアを開錠する制御を行う(
図9(c))。
これにより、ユーザは、ドアを開くことができ、収納ボックスに予め収納されている車両キーを使って車両を運転できる(
図9(d))。
車載器本体は、施開錠機構のほか、GPS(Global Positioning System、測位機構)、バッテリー、ドアセンサなどの機構と電気的に接続されており、これらの機構を介して様々な情報を取得したり出力できるようになっている。
【0005】
「ロッカー型」は、予め車両キーを収納した各ロッカーの施開錠をコンピュータ制御する方法である。
この場合も、ユーザは、自身が所有するスマートフォンなどにより予約サイトにアクセスして車両の予約を行い、その際に発行されたキー情報(予約情報)としての二次元コードをスマートフォンに表示できる(
図10(a))ものとする。ロッカー本体(コンピュータ内蔵)には、二次元コードを読取可能な読取装置が電気的に接続された状態で組み込まれている。
ユーザは、スマートフォンに表示させた二次元コードを読取装置に読み取らせる(
図10(b))。これにより、ロッカー本体は、読取装置が読み取った二次元コードを受信する。
ロッカー本体は、受信した二次元コードをキー情報に変換し、当該キー情報と予約時に登録されている正規のキー情報と照合する。
照合が一致すると、ロッカー本体は、対応するロッカーを開錠する(
図10(c))。
これにより、ユーザは、開錠されたロッカーに収容されている車両キーを取得し、その車両キーを使って車両のドアを開錠して運転できる(
図10(d))。
【0006】
しかしながら、前述した2つのキー管理方法(施開錠方法含む)を例にとっても、どちらを採用するのが事業上好ましいか判断することは難しい。
これは、車載器型はロッカー型に比べコストが高いが、車載器は高機能である一方、ロッカー本体は、車載器本体が有する機能は備えていないからでもある。
具体的には、車載器には、通常、GPS、バッテリー、ドアセンサーなどが接続されているため、GPSを介して車両の位置情報を取得・出力でき、バッテリーを介してバッテリー情報(残バッテリー情報、SOHなど)を取得・出力でき、ドアセンサーを介してドア情報(ドア開閉状況や開閉履歴など)を取得・出力できるが、ロッカーは、基本的には、これらの情報を取得・出力できない。
そうすると、車載器型のコストを採用した方がロッカー型を採用するより有益と思われるが、その有益度合いは、数値化(定量化)されていないため、客観的に評価できなかった。
つまり、事業者が車両貸出サービスを開始する場合、キー管理方法を決定するための具体的な選択基準がなく、人為的かつ主観に基づいてキー管理方法を選択せざるを得なかった。
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、各キー管理方法により異なる収益・機能を評価可能な情報価値に数値化し、当該数値化された情報価値とコストとから算出される算出結果に基づいて、最適なキー管理方法に関する情報を出力する情報処理装置及び情報処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る情報処理装置は、車両貸出事業において貸し出される車両のキー管理方法に関する情報を出力可能な情報処理装置において、前記車両に関する情報を入力する入力手段と、前記車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法のそれぞれのコストを算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づき、選択すべきキー管理方法に関する情報を出力する出力手段と、を備え、前記算出手段は、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコストから、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値を差し引いた差引結果を前記複数のキー管理方法について各々算出した結果を、前記それぞれのコストとして算出するようにしてある。
【0009】
また、本発明の他の一態様に係る情報処理プログラムは、車両貸出事業において貸し出される車両のキー管理方法に関する情報を出力可能なコンピュータを、前記車両に関する情報を入力する入力手段、前記車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法のそれぞれのコストを算出する算出手段、前記算出手段の算出結果に基づき、選択すべきキー管理方法に関する情報を出力する出力手段、として機能させ、前記算出手段は、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコストから、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値を差し引いた差引結果を前記複数のキー管理方法について各々算出した結果を、前記それぞれのコストとして算出するようにしてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、事業者は、車両貸出サービスを実施する際、車両キーのキー管理方法を決定するための情報を参照でき、キー管理方法を容易に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の情報処理装置のハードウェア構成図である。
【
図2】本発明の情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図3】車両貸出サービスの利用に関するアンケートである。
【
図5】ネットコストの算出例である。(a)は車載器型のネットコストがロッカー型のネットコストよりも低い算出例であり、(b)は車載器型のネットコストがロッカー型のネットコストよりも高い算出例である。
【
図6】第一の表示例である。(a)は車載器型が推奨される場合の表示例であり、(b)はロッカー型が推奨される場合の表示例である。
【
図7】第二の表示例である。(a)は
図6(a)に対応する詳細情報であり、(b)は
図6(b)に対応する詳細情報である。
【
図8】(a)は車載器の概略構成図であり、(b)はロッカーの概略構成図である。
【
図10】ロッカー型のキー管理方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の情報処理装置の一実施形態について説明する。
本発明は、事業者が、車両貸出サービス(車両貸出事業)を開始するにあたり、予め、そのサービスに使用する車両の車両キーのキー管理方法(施開錠方法)を決定する必要があるところ、複数のキー管理方法の中から一の管理方法を選択するのは困難なことに鑑み、情報処理装置に、どの管理方法を選択すべきかを示す推奨情報を表示(出力)させるものである。
「キー管理方法」は、「車載器型」と「ロッカー型」の中から一方を選択して推奨する例について説明する。
なお、これらのキー管理方法に限らず、他のキー管理方法に代えたり、他のキー管理方法を加えることもできる。
「情報処理装置」は、パーソナルコンピュータ(「PC100」という)やスマートフォンなどの端末装置が該当する。
【0013】
図1は、本発明の情報処理装置の一例であるPC100のハードウエア構成図である。
同図に示すように、PC100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、操作装置104と、表示装置105と、通信装置106と、を備えている。
プロセッサ101は、プログラムを実行することにより、PC100の各部を制御し、PC100の機能を実現する処理を行う。プロセッサ101には、例えばCPU(Central Processing Unit)が用いられる。
メモリ102は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、プロセッサ101により実行されるプログラムを記憶する。メモリ102には、例えばRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)が用いられる。
ストレージ103は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、プロセッサ101により用いられる各種のデータ及びプログラムを記憶する。ストレージ103には、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。
【0014】
操作装置104は、PC100の操作に用いられる装置であり、キーボードやマウスなどが該当する。
表示装置105は、各種画面を表示する。表示装置105には、例えば液晶ディスプレイが用いられる。表示装置105は、タッチセンサと一体となってタッチパネルとして構成されてもよい。
通信装置106は、インターネットなどの通信回線や通信ケーブルなどの通信手段に接続され、通信手段を介して外部装置(例えば車両(車載器)や外部記憶媒体)からデータを受信することができる。
【0015】
図2は、本発明の情報処理装置の一例であるPC100の機能ブロック図である。
同図に示すように、PC100は、入力手段11、移動態様特定手段12、算出手段13、及び出力手段14を備えており、本発明の情報処理プログラムにより各手段が機能される。
入力手段11は、車両貸出サービスにおいて貸し出される車両(貸出車両)に関する情報を入力する。
「車両に関する情報」には、車両の移動態様を予測可能な情報を含めることができる。
また、「車両に関する情報」には、車載器の機能に関する情報を含めることもできる。車載器は、車両位置情報、バッテリー情報、ドア情報を取得・出力可能な機能を備えることから、車両に関する情報として車両位置情報、バッテリー情報、ドア情報を入力することができる。
【0016】
本実施形態では、「車両広告」を事業として想定しており、その広告料は、車両の移動態様に基づいて算出する必要がある。
「車両の移動態様」とは、貸出車両の実際に移動した履歴であり、例えば、移動ルート、移動時間、滞在時間により特定できる。
このため、車両広告は、予めGPS(位置情報取得手段、つまり、車載器)を備えた車両に対してだけ行うことができる。つまり、事業者は、キー管理方法として車載器型を選択した場合にのみ、車両広告を行うことができる。
なお、ロッカー型の場合でもGPSを個別に設置する態様(つまりロッカー型(GPS個別設置))であれば車両広告を実施できる。
説明を簡単にするため、本実施形態では、「ロッカー型(GPS個別設置)」をキー管理方法から除外する。
【0017】
ところで、キー管理方法は、施開錠方法とほぼ同義であり、それぞれ異なるハードウェア、ソフトウェア、及び資金が必要であるため、車両貸出サービスの開始前に決定する必要がある。
そうすると、本発明では、コストと情報価値との差引結果に基づいてキー管理方法を選択する(詳細は後述する)ので、当該選択のためには、コストや情報価値も、遅くとも車両貸出サービスの開始前に把握しておく必要がある。
本実施形態の場合、広告料を情報価値として用いることから、貸出車両の移動態様を事前に把握しておく必要がある。
【0018】
このため、本実施形態では、対象企業(例えば貸出車両サービスの対象地域を営業エリアとする企業や対象地域に所在する企業)に対する事前調査に基づいて車両の移動態様を特定するものとする。
「事前調査」は、例えば、アンケート、ヒアリングなどの市場調査やマーケティング調査により実施することができる。
なお、前記「事前調査」に限らず、例えば、法人との基本契約や覚書がサービス開始前に把握できていれば、当該基本契約や覚書に記載された基本的な移動態様によって特定することができる。ただし、基本契約や覚書において、基本的な移動ルート等が記載されていることが前提である。
【0019】
図3は、事前調査に関するアンケートの一例である。
同図に示すように、アンケートは、対象企業に車両貸出サービスの利用可能性を特定可能な情報(質問1のa~e)や、車両貸出サービスの利用が見込める企業に対し、走行ルート(出発地、到着地)、環境、頻度(質問2のA~J)など、移動態様を特定可能な情報によって構成すればよい。
なお、アンケートは紙媒体でも電子媒体でもよい。紙媒体の場合、アンケート結果をOCR(Optical Character Reader)処理して得た質問の回答のテキストデータを入力すればよく、電子媒体の場合、入力された質問の回答のテキストデータをそのまま入力すればよい。
【0020】
移動態様特定手段12は、入力手段11により入力された情報に基づいて、前記車両の移動態様を特定する。
図4は、
図3に示すアンケートの結果をまとめた集計結果である。
なお、本集計結果は、便宜上、車両貸出サービスの利用が見込めるユーザに対するアンケート結果を集計したものである。つまり、アンケートの質問1でa又はbを回答したユーザに対する質問2の回答結果を集計したものである。
移動態様特定手段12は、この集計結果に基づき、ユーザ番号1のユーザが、貸出車両を用いて、A市の住宅街~A市の繁華街に0.5時間かけて移動し(第1区間)、その後、A市の繁華街で3時間滞在し(第2区間)、その後、A市の繁華街~A市の住宅街まで0.5時間かけて移動し(第3区間)、かつ、これを240回/年の頻度で実施する予定である、といった移動態様を特定できる。
また、移動態様特定手段12は、この集計結果に基づき、ユーザ番号2のユーザが、貸出車両を用いて、A市の住宅街~D市~E町~F市~G村に4時間をかけて移動し(第1~第4区間)、かつ、これを240回/年の頻度で実施する予定である、といった移動態様を特定できる。
移動態様特定手段12は、全ユーザ番号に対しそれぞれの移動態様を特定する。
【0021】
算出手段13は、入力手段11により入力された車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法のそれぞれのコストを算出する。
具体的には、入力手段11により入力された車両に関する情報により特定された車両の移動態様に基づいて、車載器を利用した車載器型を採用した場合のコストと、ロッカーを利用したロッカー型を採用した場合のコストを算出する。
より具体的には、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコスト(グロスコスト)から、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値を差し引いた結果(ネットコスト)を前記それぞれのコストとして算出する。
【0022】
「グロスコスト」は、収益や機能の有益性が考慮されていない素のコストのことである。
例えば、車載器型を採用する場合には、車載器本体及びその設置費用、車両情報、バッテリー情報及びドア情報を取得・出力可能にするためのハードウェア・ソフトウェア、システム連携コスト、並びに、管理、維持、運用等に関する管理コスト等の総和が「グロスコスト」に相当する。
なお、車載器型の場合、施開錠機能を追加するために車体に改造を施す必要があることから、リセールやリース後に返却する際(貸出車両にリース車を用いる場合)には改造前の状態に復旧させることが必要であるが、この復旧に必要なコストをグロスコストに含めることもできる。
ロッカー型を採用する場合には、ロッカー本体及びその設置費用、並びに、管理、維持、運用等に関する管理コスト等の総和が「グロスコスト」に相当する。
なお、ロッカー型は、人為的な管理が必要であるため、車載器型に比べ管理費が高い傾向にある。
【0023】
「情報価値」とは、事業者が受け得る収益や機能の有益性などが該当する。
情報価値は数値化したものに限られる。ネットコストは、コストから情報価値を差し引くことで求められるからである。
【0024】
情報価値の一例である「広告料」は、広告が付された貸出車両(広告車両)が走行する地域の人口や環境などの特殊条件及び走行時間といった移動態様に基づいて算出する。
算出手段13は、貸出車両に広告を付して得られる情報価値としての広告料を、移動態様特定手段12により特定された移動態様に基づいて算出する。
算出手段13は、具体的には、次式に基づき広告料を算出する。
広告料=基本価値(10円/時間)×地域係数×車両貸出時間
「地域係数」は、地域の人口(市町村)や環境(繁華街、駅前、住宅街)に応じて1~10の範囲で変動する。
【0025】
具体的には、地域係数は、地域の人口(市町村)に対応した第1係数と、地域の環境に対応した第2係数とに分けて、それぞれ1~5の範囲で設定する。
例えば、第1係数は、5万人以上(市)の場合は「5」、8千人以上5万人未満(町)の場合は「3」、8千人未満(村)の場合は「1」を設定する。
第2係数は、駅前又は繁華街の場合は「5」、住宅街の場合は「3」を設定する。第2係数において、環境が重複する場合は高い係数(つまり、この場合「5」)を設定する。
地域を通過するだけの場合、第2係数に0を設定する。
なお、環境が重複する場合に合算値を設定してもよく、地域を通過するだけの場合、第2係数に0以外の値を設定してもよい。
つまり、地域係数は、第1係数と第2係数との合計値に相当する。
例えば、広告車両が「市内」の「住宅街」を移動した場合、「地域係数」は「10」(=5+3)に設定される。
「車両貸出時間」は、貸出車両の移動(走行)時間である。停車中は「停車時間」に0.1を掛ける。貸出時間(移動時間)に代えて移動距離を適用することもできる。
【0026】
ユーザ番号1に関する広告料は以下のようにして算出される。
・第1区間の広告料:10円/時間×8(=3+5)×0.5時間=40円
・第2区間の広告料:10円/時間×10(=5+5)×3時間×0.1=30円
・第3区間の広告料:10円/時間×8(=5+5)×0.5時間=40円
ユーザ番号1に関する1日あたりの広告料=110円(=40円+30円+40円)
このため、ユーザ番号1に関する年間の広告料は、110円×240日=26400円と算出される。
したがって、ユーザ番号1に関する6年間(リース期間)の広告料は、26400円×6=158400円と算出される。
【0027】
ユーザ番号2に関する広告料は以下のようにして算出される。
・第1区間の広告料:10円/時間×24(=10+5+3+5+1)×4時間=960円
・第2区間の広告料:10円/時間×1×2時間×0.1=2円
・第3区間の広告料:10円/時間×24×4時間=960円
ユーザ番号2に関する1日あたりの広告料=1922円(=960円+2円+960円)
このため、ユーザ番号2に関する年間の広告料は、1922円×240日=461280円と算出される。
したがって、ユーザ番号2に関する6年間(リース期間)の広告料は、461280円×6=2767680円と算出される。
【0028】
上記広告料の算出を、全ユーザ番号について実行するこれにより、事業開始から6年間にわたって見込める広告料の総額を算出することができる。
なお、6年間に限らず、1~5年や7年以上や数か月単位で見込める広告料を算出して適用することもできる。
また、上記算出結果は、機会損失などのリスクが盛り込まれていないので、リスク係数(例えば、0.7など)を掛けた値を適用することもできる。
実際の広告料は、貸出車両が実際に走行した地域や移動時間などの走行態様の記録を確証にして広告依頼主に請求する。
このような理由から、車両広告は、GPS(位置情報取得手段)を備えた車両(本実施形態の場合、車載器を搭載した車両)にしか適用できない。
【0029】
「ネットコスト」は、グロスコストから情報価値を差し引いた結果である。
車載器型を採用した場合のネットコストは、グロスコストから情報価値である広告料を差し引くことで算出する。
ロッカー型を採用した場合のネットコストも、グロスコストから情報価値である広告料を差し引くことで算出する。なお、ロッカー型の場合の情報価値(広告料)は「0」であるため、ネットコストはグロスコストと一致する。
【0030】
図5は、ネットコストの算出例である。
図5における「グロスコスト」は、
図4に示すアンケートの集計結果において全ユーザ番号における回答結果を反映した素コストの合計値である。
図5における「情報価値」は、
図4に示すアンケートの集計結果において全ユーザ番号における回答結果を反映した広告料の合計値である。
図5における「ネットコスト」は、グロスコストから情報価値を差し引いた値である。
【0031】
例えば、
図5(a)に示すように、車載器型を採用した場合、グロスコストが1905千円で、情報価値(広告料)が1390千円のときには、ネットコストは515千円(=1905-1390)と算出される。
また、ロッカー型を採用した場合、グロスコストが1660千円の場合、情報価値(広告料)は0千円なので、ネットコストは1660千円と算出される。
つまり、
図5(a)の例では、車載器型のネットコストがロッカー型のネットコストよりも低くなっている。
【0032】
図5(b)に示すように、車載器型を採用した場合、グロスコストが1905千円で、情報価値(広告料)が80千円のときには、ネットコストは1825千円(=1905-80)と算出される。
また、同図に示すように、ロッカー型を採用した場合、グロスコストが1660千円の場合、情報価値(広告料)は0千円なので、ネットコストは1660千円と算出される。
つまり、
図5(b)の例では、車載器型のネットコストがロッカー型のネットコストよりも高くなっている。
【0033】
出力手段14は、算出手段13の算出結果に基づき、キー管理方法の選択に関する情報を出力する。
具体的には、ネットコストが最も低いキー管理方法を推奨する情報を表示する。
なお、音声で推奨するキー管理方法を知らせてもよい。
図5(a)の場合、車載器型のネットコスト<ロッカー型のネットコストの関係が成立するため、
図6(a)に示すように車載器型を推奨する情報を表示する。
図6(a)に示す画面において、所定の領域(「こちら」部分)を選択すると
図7(a)に示すように詳細情報を表示することができる。
つまり、
図6(a)に示す結果の根拠を表示させることができる。
【0034】
図5(b)の場合、車載器型のネットコスト>ロッカー型のネットコストの関係が成立するため、
図6(b)に示すようにロッカー型を推奨する情報を表示する。
図6(b)に示す画面において、所定の領域(「こちら」部分)を選択すると
図7(b)に示すように詳細情報を表示することができる。
つまり、
図6(b)に示す結果の根拠を表示させることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置(PC100)においては、車両貸出事業(カーシェアリングなどの車両貸出サービス)において貸し出される車両(貸出車両)における車両キーのキー管理方法に関する情報を出力可能な情報処理装置において、前記車両に関する情報(貸出車両の移動態様を特定可能な情報)を入力する入力手段と、前記車両に関する情報に基づいて、複数のキー管理方法のそれぞれのコストを算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づき、選択すべきキー管理方法に関する情報を出力する出力手段と、を備え、前記算出手段は、一のキー管理方法を採用した場合に算出されるコスト(グロスコスト)から、そのキー管理方法を採用した場合に算出される情報価値(例えば広告料)を差し引いた結果(ネットコスト)を、前記それぞれのコストとして算出するようにしている。
これにより、事業者は、車両貸出サービスを実施する際、車両キーのキー管理方法を決定するための情報を参照でき、キー管理方法を容易に決定することができる、という格別な効果を奏することができる。
【0036】
これに対し、従来の技術では、キー管理方法を決定するための具体的な選択基準がないため、人為的な主観に基づいてキー管理方法を選択をするしかなく、判断が難しいという問題があった。
本発明によれば、このような従来技術が有する課題を解決することができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、AI(人工知能)を用いて広告料の予測値を算出してもよく、当該予測結果に基づきネットコストを算出してもよい。
例えば、既に事業を行っている他の事業所における過去のグロスコストや情報価値やネットコストと、これらと相関関係があると思われる特定情報(例えば、対象地域における年間の天候、イベント回数、渋滞度など)との関係を機械学習(例えば深層学習)する。
これにより、新たに事業に対応する前記特定情報を入力することで、その事業に対応するグロスコストや情報価値やネットコストの予測値を算出する予測モデルを生成することができる。
広告料の算出に必要な情報である移動時間(移動距離)を、出発地及び到着地の地名や位置情報に基づいて算出してもよい。
例えば、予めPC100に格納した地
図DB(データベース)の情報を直接参照したり、クラウドサーバなどの外部装置に格納した地
図DBの情報をAPI(Application Programming Interface)を介して参照してもよい。
また、広告料の算出に必要な人口を、前述した移動時間と同様に、エリアごとの人口を記録した人口DBの情報を参照して取得してもよい。
また、広告料の算出に人流を用いることもできる。この場合、前述と同様、エリアごとに人口の流動を記録した人流DBの情報を参照したり取得してもよい(
図2参照)。
キー管理方法として、車載器型とロッカー型の2種類を例示して説明したが、これに限らず、例えば、「ロッカー型(GPS個別設置)」など、他のキー管理方法の追加や変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100:PC、101:プロセッサ、102:メモリ、103:ストレージ、104:操作装置、105:表示装置、106:通信装置、11:入力手段、12:移動態様特定手段、13:算出手段、14:出力手段