(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019374
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】介護支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20250131BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122953
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(71)【出願人】
【識別番号】522198564
【氏名又は名称】株式会社介護サプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛之
(72)【発明者】
【氏名】玉置 慎一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】 本発明は、介護時において被介護者に対して最適な介助ケアを実施することができる介護支援システムを提供することを目的とする。
【解決手段】第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施前後における被介護者の状態の評価に関する情報とに基づいて各パラメータの関係性を分析する。所定の被介護者の属性に関する情報の入力を受け付けた際、各パラメータの関係性に基づいて所定の被介護者の状態の評価が高くなる一ないし複数の介助ケアを選定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護者による被介護者の介護を支援する介護支援システムであって、
第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価に関する情報との入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により入力を受け付けた被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを互いに関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する分析部と、
前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する選定部と、
前記選定部により選定された一ないし複数の介助ケアに関する情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする介護支援システム。
【請求項2】
前記分析部は、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析し、
前記選定部は、前記入力部が所定の被介護者の属性に関する情報の入力を受け付けた際、前記分析部により分析された複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、該所定の被介護者の属性に応じて介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する請求項1に記載の介護支援システム。
【請求項3】
前記分析部は、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を機械学習することにより学習モデルを生成し、
前記選定部は、前記入力部が所定の被介護者の属性に関する情報の入力を受け付けた際、前記分析部により生成された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に関する学習モデルに基づいて、該所定の被介護者の属性に応じて介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する請求項2に記載の介護支援システム。
【請求項4】
前記第1のパラメータは、被介護者の名前、年齢、性別、要介護度、認知機能の障害の程度、日常生活の重症度の程度、精神症状の程度、性格、原因疾患、合併症の有無、慢性痛の有無、薬の量の少なくとも1つ以上の属性を含む請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項5】
前記第2のパラメータは、起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの少なくとも1つ以上の介護場面のカテゴリに分類され、各介護場面のカテゴリにおいて少なくとも1つ以上設定されており、
前記選定部は、介護場面のカテゴリごとに介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項6】
前記第3のパラメータは、介助ケアの実施前における被介護者の状態の評価に関する情報を含む請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項7】
前記第3のパラメータは、被介護者の状態の高い評価から低い評価にかけて段階的に区分されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項8】
前記入力部は、さらに介護者に関する情報、介護時期に関する情報、介護場所に関する情報、介護場面に関する情報の少なくとも一つを含む第4のパラメータの入力を受け付け、
前記記憶部は、前記入力部により入力を受け付けた複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータを互いに関連付けて記憶し、
前記分析部は、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの関係性を分析し、
前記選定部は、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項9】
前記第4のパラメータは、介護者の年齢、介護の経験年数、仕事の満足度、介護の負担感、被介護者に対する主体的理解度、性格、バーンアウトの可能性、心身の健康状態に関する情報の少なくとも1つ以上の属性を含む請求項8に記載の介護支援システム。
【請求項10】
前記分析部により分析された複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアが実施された被介護者ごとに被介護者の状態の評価を集計する集計部を備え、
前記出力部は、前記集計部により被介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果を出力する請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項11】
前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの関係性に基づいて、被介護者に介助ケアを実施した介護者ごとに被介護者の状態の評価を集計する集計部を備え、
前記出力部は、前記集計部により介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果を出力する請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項12】
前記選定部は、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が低い一ないし複数の介助ケアを選定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項13】
サーバ装置と複数の情報端末装置がネットワークを介して接続され、
前記サーバ装置は、前記記憶部、前記分析部および前記選定部を備え、
前記情報端末装置は、前記入力部および前記出力部を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載の介護支援システム。
【請求項14】
コンピュータを、
第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価に関する情報との入力を受け付ける入力部、
前記入力部により入力を受け付けた被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを互いに関連付けて記憶する記憶部、
前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する分析部、
前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する選定部、
前記選定部により選定された一ないし複数の介助ケアに関する情報を出力する出力部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、
第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価に関する情報を互いに関連付けて記憶する記憶部、
前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する分析部、
前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する選定部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護者による被介護者の介護を支援する介護支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化の影響により高齢者が急激に増加しており、身体障害や認知症を患った高齢者に対する介護が注目されている。そして、介護施設や医療施設における高齢者の介護の現場では、介護者が起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの各介護場面で高齢者の介護を行うものの、肉体的にも精神的にも負担は大きく、これらの介護を被介護者に苦痛なくスムーズに行うためには介護時に補助的に実施される介助ケアがきわめて重要である。
【0003】
この介助ケアとは、被介護者に対する介護時の関わり方や接し方であって、例えば、食事の介護場面において、高齢者に目線を合わせたり、高齢者の食事のペースに合わせたり、食事のメニューを説明したりすることなどが挙げられる。また、入浴・更衣の介護場面では、高齢者のペースに合わせたり、入力・更衣の目的を説明して同意を得たり、皮膚の状態を観察したりすることなどが挙げられる。さらに、コミュニケーションの介護場面では、楽しい雰囲気を作ったり、話を傾聴したり、目線を合わせたりすることなどが挙げられる。
【0004】
ところが、実際の介護の現場では、上述のように起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの複数の介護場面がある上、各介護場面に多数の介助ケアが存在している。また、被介護者の属性(被介護者の要介護度、認知機能の障害の程度、日常生活の重症度の程度、精神症状の程度、年齢、性別、性格、原因疾患、合併症の有無、慢性痛の有無、薬の量など)によっても介助ケアの内容が変わってくる。さらに、被介護者だけではなく、介護者の属性、介護時期、介護場所などによっても介助ケアの内容が変わってくる。このため、経験が浅い介護者はもとより、経験を有する介護者にとっても高齢者の介護時において最適な介助ケアを実施することは容易ではない。
【0005】
この点、高齢者に対する介護を支援するために様々なシステムも提案されている。例えば、特許文献1には、被介護者の介護を担当する介護者によって、当該被介護者の介護の実施の補助に利用される情報処理装置であって、前記介護者によって入力された前記被介護者の健康状態に関する情報を、入力情報として取得する入力情報取得手段と、前記入力情報に基づいて、前記被介護者に適用する支援計画におけるサービスの種類及び介入量を算出するリソース・プラン策定手段と、前記サービス種類及び前記個々の介入量が算出された前記支援計画に基づいて、将来の生活像を予測演算する予後予測手段とを備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のシステムは、上記特許文献1も含め、いずれも介護者による高齢者の介護を支援するものの、介護時に補助的に実施される介助ケアに注目したものではなく、依然として介護の現場において最適な介助ケアを実施できていないという問題があった。なお、このような問題は、高齢者のみならず、入院患者や障がい者などの介護を要する被介護者にも同様に生じるものである。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、介護者が被介護者を介護する際、被介護者に対して最適な介助ケアを実施することができ、ひいては介護者による被介護者の効率的な介護を支援することが可能となる介護支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、介護者による被介護者の介護を支援する介護支援システムであって、第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価に関する情報との入力を受け付ける入力部と、前記入力部により入力を受け付けた被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを互いに関連付けて記憶する記憶部と、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する分析部と、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する選定部と、前記選定部により選定された一ないし複数の介助ケアに関する情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、被介護者の状態の評価が高い介助ケアに関する情報が出力されるため、介護者が所定の被介護者を介護する際、被介護者に対して最適な介助ケアを実施することができる。
【0011】
また、前記分析部は、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析し、前記選定部は、前記入力部が所定の被介護者の属性に関する情報の入力を受け付けた際、前記分析部により分析された複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、該所定の被介護者の属性に応じて介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定してもよい。これによれば、複数の被介護者に関する第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータが蓄積されるため、被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を高度に分析することができる。しかも、所定の被介護者の属性に応じて該所定の被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアが出力されるため、本システムを初めて利用する被介護者や利用頻度が少ない被介護者に対しても最適な介助ケアを実施することができる。
【0012】
また、前記分析部は、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を機械学習することにより学習モデルを生成し、前記選定部は、前記入力部が所定の被介護者の属性に関する情報の入力を受け付けた際、前記分析部により生成された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に関する学習モデルに基づいて、該所定の被介護者の属性に応じて介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定してもよい。これによれば、機械学習によって被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性をより高度に分析することができ、本システムを使用すればするほどに介助ケアに関する情報の精度を向上させることが可能となる。
【0013】
また、前記第1のパラメータは、被介護者の名前、年齢、性別、要介護度、認知機能の障害の程度、日常生活の重症度の程度、精神症状の程度、性格、原因疾患、合併症の有無、慢性痛の有無、薬の量の少なくとも1つ以上の属性を含んでもよい。これによれば、被介護者の年齢や性別といった属性も加味しながら被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析し得るため、被介護者にとってより最適な介助ケアに関する情報を出力することができる。
【0014】
また、前記第2のパラメータは、起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの少なくとも1つ以上の介護場面のカテゴリに分類され、各介護場面のカテゴリにおいて少なくとも1つ以上設定されており、前記選定部は、介護場面のカテゴリごとに介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定してもよい。これによれば、介護場面ごとに被介護者にとって最適な介助ケアに関する情報を出力することができる。
【0015】
また、前記第3のパラメータは、介助ケアの実施前における被介護者の状態の評価に関する情報を含んでもよい。これによれば、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価と併せて、介助ケアの実施前における被介護者の状態の評価に関する情報によって、介助ケアの実施前後における被介護者の状態の変化も分析することができる。
【0016】
また、前記第3のパラメータは、被介護者の状態の高い評価から低い評価にかけて段階的に区分されてもよい。これによれば、介護者等が被介護者の状態の評価を入力し易くなるとともに、本システムにおいて第3のパラメータと他のパラメータとの関係性を分析し易くなる。
【0017】
また、前記入力部は、さらに介護者に関する情報、介護時期に関する情報、介護場所に関する情報、介護場面に関する情報の少なくとも一つを含む第4のパラメータの入力を受け付け、前記記憶部は、前記入力部により入力を受け付けた複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータを互いに関連付けて記憶し、前記分析部は、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの関係性を分析し、前記選定部は、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定してもよい。これによれば、さらに第4のパラメータとして介護者に関する情報、介護時期に関する情報、介護場所に関する情報あるいは介護場面に関する情報を加味しながら各パラメータの関係性を分析し得るため、被介護者にとってより最適な介助ケアに関する情報を出力することができる。なお、第4のパラメータは、介護者に関する情報の場合、介護者の年齢、介護の経験年数、仕事の満足度、介護の負担感、被介護者に対する主体的理解度、性格、バーンアウトの可能性、心身の健康状態の少なくとも一つの属性が含まれるのが好ましい。
【0018】
また、前記分析部により分析された複数の被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアが実施された被介護者ごとに被介護者の状態の評価を集計する集計部を備え、前記出力部は、前記集計部により被介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果を出力してもよい。これによれば、被介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果を出力するため、被介護者ごとに実施された最適な介助ケアに関する情報を簡単に把握することができる。
【0019】
また、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの関係性に基づいて、被介護者に介助ケアを実施した介護者ごとに被介護者の状態の評価を集計する集計部を備え、前記出力部は、前記集計部により介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果を出力してもよい。これによれば、介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果を出力するため、各介護者ごとに実施した最適な介助ケアに関する情報を簡単に把握することができる。
【0020】
前記選定部は、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が低い一ないし複数の介助ケアを選定してもよい。これによれば、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が低い介助ケアについても把握することができ、将来的な介護支援に役立てることが可能となる。
【0021】
また、サーバ装置と複数の情報端末装置がネットワークを介して接続され、前記サーバ装置は、前記記憶部、前記分析部および前記選定部を備え、前記情報端末装置は、前記入力部および前記出力部を備えてもよい。
【0022】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価に関する情報との入力を受け付ける入力部、前記入力部により入力を受け付けた被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを互いに関連付けて記憶する記憶部、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する分析部、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する選定部、前記選定部により選定された一ないし複数の介助ケアに関する情報を出力する出力部として機能させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、第1のパラメータとしての被介護者の属性に関する情報と、第2のパラメータとしての該被介護者の介護時に補助的に実施された介助ケアに関する情報と、第3のパラメータとしての介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価に関する情報を互いに関連付けて記憶する記憶部、前記記憶部に互いに関連付けて記憶されている被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する分析部、前記分析部により分析された被介護者の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する選定部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被介護者の状態の評価が高い介助ケアに関する情報が出力されるため、介護者が所定の被介護者を介護する際、被介護者に対して最適な介助ケアを実施することができる。
【0025】
このため、認知症の高齢者などの被介護者にとって、BPSD(Behavioral and Psychological Symptom of Dementia:認知症の行動・心理症状)の軽減、ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)の改善、QOL(Quality of Life:人生の質・生活の質)の向上が期待でき、また、医療従事者や介護従事者などの介護者にとって、介護の負担の軽減、仕事満足度の向上、EBC(evidence based care:根拠に基づく介護)の実現が期待でき、さらに、介護保険制度にとって、ケアプランへの反映、地域生活の継続、重度化の軽減、介護費の抑制が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る介護支援システムの全体構成を示す図である。
【
図4】介護場面(起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーション)の各介助ケアを示す図である。
【
図5】情報端末装置におけるパラメータの入力時に表示される入力画面を示す図である。
【
図6】情報端末装置における介助ケアに関する情報の出力時に表示される出力画面を示す図である。
【
図7】サーバ装置におけるマスター情報の登録時に表示される登録画面を示す図である。
【
図8】
図1の介護支援システムの動作を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態に係る介護支援システムのサーバ装置の構成を示す図である。
【
図10】被介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果のグラフを示す図である。
【
図11】介護者ごとに集計された被介護者の状態の評価の集計結果のグラフを示す図である。
【
図12】
図1の介護支援システムの各実施例に係る評価表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1の実施形態>
次に、本発明に係る介護支援システム(以下、本システムという)の第1の実施形態について
図1~
図8を参照しつつ説明する。
【0028】
本システムは、
図1に示すように、被介護者U2を介護する介護者U1の複数の情報端末装置1とサーバ装置2とを備え、各情報端末装置1とサーバ装置2がネットワークを介して接続されている。
【0029】
前記情報端末装置1は、介護者U1が携帯するタブレット端末やスマートフォン端末などの情報端末装置1であって、
図2に示すように、各種情報の入力を受け付ける入力部11と、各種情報を出力する出力部12と、サーバ装置2との間において各種情報の通信を行う通信部13と、各部を制御する制御部14とを備える。なお、入力部11と出力部12は、情報端末装置1の表示画面を介して機能する。
【0030】
前記入力部11は、介護者U1の入力操作により被介護者U2に関する第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの入力を受け付ける。
【0031】
第1のパラメータは、被介護者U2の属性に関する情報であって、本実施形態では被介護者U2を識別するための名前、年齢および性別に関する情報が含まれる。この第1のパラメータは、被介護者U2の要介護度、認知機能の障害の程度、日常生活の重症度の程度、精神症状の程度、性格、原因疾患、合併症の有無、慢性痛の有無、薬の量の属性が含まれてもよい。
【0032】
第2のパラメータは、被介護者U2の介護時に補助的に実施された介助ケア(被介護者U2に対する介護時の関わり方や接し方)に関する情報である。この第2のパラメータは、
図4に示すように、起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの6つの介護場面のカテゴリに分類され、各介護場面のカテゴリにおいて複数の介助ケア(GP1、GP2、GP3…)が設定されている。本実施形態では、介護場面(起居・移乗)には11項目の介助ケア(GP1~GP11)、介護場面(食事)には16項目の介助ケア(GP1~GP16)、介護場面(整容)には10項目の介助ケア(GP1~GP10)、介護場面(排泄)には11項目の介助ケア(GP1~GP11)、介護場面(入浴・更衣)には11項目の介助ケア(GP1~GP11)、介護場面(コミュニケーション)には13項目の介助ケア(GP1~GP13)が設定されているが、その他の介護場面や介助ケアが設定されてもよい。
【0033】
第3のパラメータは、介助ケアの実施前後における被介護者U2の状態の評価に関する情報である。この第3のパラメータは、
図5の左側画面に示すように、(1)極めて良くない状態、(2)良くない状態、(3)どちらともない・良いとも悪いともいえない、(4)良い状態、(5)極めて良い状態というように被介護者U2の状態の高い評価から低い評価にかけて段階的に区分されている。また、第3のパラメータは、介助の実施の前後で状態の変化を把握するため、介護場面ごとに介助ケアの実施前と実施後に分けて入力される。
【0034】
なお、介護者U1による第2のパラメータおよび第3のパラメータの入力方法については、特に限定されるものではないが、例えば、
図5の左側画面に示すように、第2のパラメータとして所定の介護場面(起居・移乗)で被介護者U2に補助的に実施した介助ケア(GP2、10、11)をタップ操作で選択するとともに、第3のパラメータとして介助ケアの実施前後の状態の評価(介助ケアの実施前:(3)どちらともない・良いとも悪いとも言えない→介助ケアの実施後:(2)良い状態)を同じくタップ操作で選択することにより入力すると、
図5の右側画面に示すように入力した情報が表示される。
【0035】
前記出力部12は、本システムに用いられる画面や各種情報を出力するものであって、特にサーバ装置2から送信されてきた所定の被介護者U2に対して実施される一ないし複数の介助ケアに関する情報(GP)を出力する。具体的には、出力部12は、
図6に示すように、起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの各介護場面のカテゴリごとに、所定の被介護者U2(A氏、B氏、C氏、D氏、E氏…)に実施されるべき介助ケアに関する情報が出力する。
【0036】
なお、介助ケアに関する情報の出力方法は特に限定されるものではないが、例えば、
図6に示すように、所定の各介護場面(起居・移乗時/入浴時/食事時)において介助ケアに関する情報(GP)が被介護者U2の名前から吹き出される態様で出力される。
【0037】
前記通信部13は、前記入力部11により入力を受け付けた第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータやその他の情報をサーバ装置2にネットワークを介して送信したり、前記サーバ装置2からネットワークを介して送信されてきた介助に関する情報や各種画面などに関する情報を受信する。
【0038】
前記サーバ装置2は、
図3に示すように、本システムに用いられるマスター情報を記憶するマスター情報記憶部21と、パラメータに関する情報を記憶するパラメータ情報記憶部22と、各パラメータの関係性を分析する分析部23と、一ないし複数の被介護者U2の介助ケアを選定する選定部24と、各情報端末装置1との間で各種情報の通信を行う通信部25と、各部を制御する制御部26とを備える。
【0039】
前記マスター情報記憶部21は、
図7に示すように、前記情報端末装置1に出力される各種画面のテンプレートと、起居・移乗、食事、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーションの各介護場面のカテゴリと、各介護場面における複数の介助ケアに関する情報などの基本的なマスター情報を記憶する。これらの情報は、システム運営者によって事前に本システムに登録される。
【0040】
前記パラメータ情報記憶部22は、通信部25により情報端末装置1から受信した第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータを互いに関連付けて記憶するものである。例えば、第1のパラメータが被介護者U2(A氏)の属性(70代男性)に関する情報、第2のパラメータが介護場面(食事)における介助ケア(1.ペースを合わせた)に関する情報、第3のパラメータが介助ケアの実施前後における被介護者U2の状態の評価に関する情報(介助ケアの実施前:(3)どちらともない→介助ケアの実施後:(4)良い状態)である場合、これらの第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータを互いに関連付けて記憶する。
【0041】
前記分析部23は、パラメータ情報記憶部22に互いに関連付けて記憶されている被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する。これら第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性については、第1のパラメータが、氏名、年齢、性別の他に、被介護者U2の要介護度、認知機能の障害の程度、日常生活の重症度の程度、精神症状の程度、性格、原因疾患、合併症の有無、慢性痛の有無、薬の量のように多くの属性に広がっていくと、第1のパラメータに対する第2のパラメータや第3のパラメータの関係性が高度に分析される。なお、分析部23による被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性の分析方法については、特に限定されるものではなく、後の実施例1~4において具体例を説明する。
【0042】
前記選定部24は、前記分析部23により分析された複数の被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者U2の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する。なお、選定部24による介助ケアの選定方法については、特に限定されるものではなく、後の実施例1~4において具体例を説明する。
【0043】
前記通信部25は、情報端末装置1にネットワークを介して所定の各種画面を送信したり、情報端末装置1からネットワークを介して送信されてきた第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを受信したり、選定部24により選定された介助ケアに関する情報を情報端末装置1にネットワークを介して送信したりする。
【0044】
次に本システムの動作について
図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0045】
まず、情報端末装置1において、入力部11は、介護者U1の入力操作により被介護者U2に関する第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの入力を受け付ける(S1)。
【0046】
そして、通信部13は、入力部11が入力を受け付けた被介護者U2に関する第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータをサーバ装置2にネットワークを介して送信する(S2)。
【0047】
次に、サーバ装置2において、通信部25は、各情報端末装置1からネットワークを介して送信されてきた被介護者U2に関する第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータを受信する(S3)。
【0048】
そして、パラメータ情報記憶部22は、通信部25により受信した被介護者U2に関する第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを互いに関連付けて記憶する(S4)。
【0049】
そして、分析部23は、パラメータ情報記憶部22に互いに関連付けて記憶されている被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析する(S5)。
【0050】
その後、某情報端末装置1において、入力部11は、介護者U1の入力操作により所定の被介護者U2に関する情報の入力を受け付ける(S6)。
【0051】
そして、通信部13は、入力部11が入力を受け付けた被介護者U2に関する情報をサーバ装置2にネットワークを介して送信する(S7)。
【0052】
次に、サーバ装置2において、通信部25は、某情報端末装置1からネットワークを介して送信されてきた被介護者U2に関する情報を受信する(S8)。
【0053】
そして、選定部24は、分析部23により分析された被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者U2の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する(S9)。
【0054】
そして、通信部25は、選定部24により選定された一ないし複数の介助ケアに関する情報を該情報端末装置1にネットワークを介して送信する(S10)。
【0055】
次に、某情報端末装置1において、通信部13は、サーバ装置2からネットワークを介して送信されてきた一ないし複数の介助ケアに関する情報を受信する(S11)。
【0056】
そして、出力部12は、通信部13により受信された一ないし複数の介助ケアに関する情報を出力する(S12)。
【0057】
あとは、介護者U1は、所定の被介護者U2に対して介護する際、出力部12により出力された介助ケアに関する情報に基づいて、所定の被介護者U2に対して介助ケアを補助的に実施する。また、介護者U1は、所定の被介護者U2に対して介助ケアを補助的に実施したあと、被介護者U2に関する第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータを情報端末装置1に入力すると、サーバ装置2において多数の被介護者U2に関する情報が蓄積されるため、本システムにおける介助ケアに関する情報の精度を向上させることが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態では、各機能をサーバ装置2と情報端末装置1に分けて構成したが、各機能を情報端末装置1で構成してもよいし、サーバ装置2の一部の機能(例えば、選定部24)を情報端末装置1で構成してもよい。
【0059】
また、情報端末装置1の入力部11は、第3のパラメータとして介助ケアの実施前後の被介護者U2の状態の評価の入力を受け付けるものとしたが、介助ケアの実施後の被介護者U2の状態の評価のみの入力を受け付けてもよい。この場合、サーバ装置2の分析部23は、第3のパラメータとして介助ケアの実施後の被介護者U2の状態の評価を用いて各パラメータの関係性を分析する。
【0060】
また、サーバ装置2の分析部23は、入力部11が所定の介護者U1の入力を受け付ける前に被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析するものとしたが、入力部11が所定の介護者U1の入力を受け付けたあとに被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析してもよい。
【0061】
また、各介護場面および各介助ケアは、上述のものに限定されるものではなく、その他の介護場面および介助ケアが設定されてもよいし、あるいは介護場面が設定されずに介助ケアのみが設定されてよい。
【0062】
また、前記選定部24は、分析部23により分析された被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者の状態の評価が低い一ないし複数の介助ケアを選定してもよい。
【0063】
<第2の実施形態>
次に本システムの第2の実施形態について説明する。
【0064】
本実施形態では、第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータに加えて第4のパラメータを用いて各パラメータの関係性を分析する。この第4のパラメータは、下記のように介護者U1に関する情報、介護時期に関する情報、介護場所に関する情報が挙げられる。
【0065】
<介護者U1に関する情報>
介護者U1の年齢、介護(職種)の経験年数、仕事の満足度、介護の負担感、被介護者U2(認知症・高齢者等)に対する主体的理解度、性格、バーンアウトの可能性、心身の健康状態などが挙げられる。この介護者U1の属性によって介助ケア(接し方)が変わる可能性が考えられる。
【0066】
<介護時期に関する情報>
夕方になれば帰宅願望などが強くなる方が多くなること、午前中は眠気がさめずに覚醒が低くなること、日中も眠気が強い人、もともとの生活リズムなどどの時間帯が一番調子が良いか・悪いかがかわるため、効果的な介助ケア(接し方)が変わる可能性が考えられる。
【0067】
<介助場所に関する情報>
居室なのか、食堂(デイルーム)、周りに他者がいるのか、1対1なのか、などの周囲の環境、雑音、明るさなどによっても安心感・恐怖感などもかわるため、効果的な介助ケア(接し方)が変わる可能性が考えられる。
【0068】
本システムの構成について具体的に説明すると、前記入力部11は、第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの入力を受け付ける。
【0069】
また、前記パラメータ情報記憶部22は、前記入力部11により入力を受け付けた複数の被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータを互いに関連付けて記憶する。
【0070】
また、前記分析部23は、前記パラメータ情報記憶部22に互いに関連付けて記憶されている複数の被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの関係性を分析する。
【0071】
前記選定部24は、前記入力部11が所定の被介護者U2に関する情報を受け付けた際、前記分析部23により分析された被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータおよび第4のパラメータの関係性に基づいて、介助ケアの実施後における被介護者U2の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する。
【0072】
<第3の実施形態>
次に本システムの第3の実施形態について
図9~
図11を参照しつつ説明する。
【0073】
本実施形態では、
図9に示すように、前記分析部23により分析された複数の被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータ、第3のパラメータの関係性に基づいて、介護者U1および/または被介護者U2ごとに被介護者U2の状態の評価を集計する集計部27を備える。この介護者U1および/または被介護者U2の状態の評価の集計結果は、サーバ装置2からネットワークを介して介護者U1の情報端末装置1に送信され、介護者U1の情報端末装置1の出力部12により出力される。
【0074】
被介護者U2の状態の評価の集計方法については、特に限定されるものではないが、例えば
図10に示すように、被介護者U2(A氏)ごとに各介助ケアの実施前後の被介護者U2の状態の評価の変化(とても悪い変化、悪い変化、変わらない、良い変化、とても良い変化)を集計して、第1のグラフ101で出力する。また、第1のグラフ101において、被介護者U2の某状態の評価の変化(例えば、とても良い変化)を選択すると、某状態の評価の変化を各介護場面(食事、起居・移乗、整容、排泄、入浴・更衣、コミュニケーション)ごとに集計して、第2のグラフ102で出力する。さらに、第2のグラフ102において、某介護場面(例えば、コミュニケーション)を選択すると、某介護場面の状態の変化を各介助ケア(GP1、GP2…)ごとに集計して第3のグラフ103で出力する。
【0075】
また、介護者U1の状態の評価の集計方法についても、特に限定されるものではないが、例えば
図11に示すように、介護者U1(X氏、Y氏、Z氏)ごとに各介助ケアの実施前後の被介護者U2の状態の評価の変化(とても悪い変化、悪い変化、変わらない、良い変化、とても良い変化)を集計して、第4のグラフ104で出力する。
【実施例0076】
次に本システムの分析の実施例について
図12を参照しつつ説明する。
【0077】
<実施例1>
本実施例では、一の被介護者U2(例えば、A氏)の第1のパラメータ(A氏の属性)、第2のパラメータ(A氏に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏の状態の評価)の関係性を分析して、当該一の被介護者U2(A氏)の状態の評価が高い介助ケアを出力する。
【0078】
具体的には、前記分析部23は、一の被介護者U2(A氏)の第1のパラメータ(A氏の属性)、第2のパラメータ(A氏に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏の状態の評価)の関係性を分析して、
図12(a)に示すように、介護場面ごとに各介助ケアの実施後の一の被介護者U2(A氏)の状態の評価を設定する。
【0079】
なお、
図12(a)の評価表に示す数値は、介助ケアの実施後の一の被介護者U2(A氏)の状態の評価((1)極めて良くない状態、(2)良くない状態、(3)どちらともない・良いとも悪いともいえない、(4)良い状態、(5)極めて良い状態)に対応する数値である。
【0080】
前記選定部24は、分析部23により分析された一の被介護者U2(A氏)の第1のパラメータ(A氏の属性)、第2のパラメータ(A氏に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏の状態の評価)の関係性(
図12(a)に示す評価表)に基づいて、一の被介護者U2(A氏)の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケア(例えば、評価が4、5の介助ケア)を選定する。
【0081】
<実施例2>
本実施例では、複数の被介護者U2(例えば、A氏、B氏、C氏…)の第1のパラメータ(A氏、B氏、C氏…の属性)、第2のパラメータ(A氏、B氏、C氏…に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏、B氏、C氏…の状態の評価)の関係性を分析して、所定の介護者U1(例えば、A氏)の状態の評価が高い介助ケアを出力する。
【0082】
具体的には、前記分析部23は、複数の被介護者U2(A氏、B氏、C氏…)の第1のパラメータ(A氏、B氏、C氏…の属性)、第2のパラメータ(A氏、B氏、C氏…に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏、B氏、C氏…の状態の評価)の関係性を分析して、
図12(b)に示すように、被介護者U2の属性(例えば性別と年齢:70代男性)に応じて介護場面ごとに各介助ケアの実施後における被介護者U2の状態の評価を設定する。
【0083】
なお、
図12(b)の評価表に示す数値は、某属性(70代男性)の各被介護者U2の状態の評価((1)極めて良くない状態、(2)良くない状態、(3)どちらともない・良いとも悪いともいえない、(4)良い状態、(5)極めて良い状態)に対応する平均の数値である。
【0084】
前記選定部24は、入力部11が所定の被介護者U2(A氏:70代男性)の属性に関する情報の入力を受け付けた際、分析部23により分析された所定の被介護者U2(A氏)と同じ属性(70代男性)の各被介護者U2の第1のパラメータ(A1氏、A2氏、A3氏…の属性)、第2のパラメータ(A1氏、A2氏、A3氏…に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA1氏、A2氏、A3氏…の状態の評価)の関係性(
図12(b)に示す評価表)に基づいて、被介護者U2の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケア(例えば、評価が4、5の介助ケア)を選定する。
【0085】
なお、上記実施例1、2では、被介護者U2の状態の評価として、介助の実施後の被介護者U2の状態の評価((1)極めて良くない状態、(2)良くない状態、(3)どちらともない・良いとも悪いともいえない、(4)良い状態、(5)極めて良い状態)を用いたが、介助の実施前後の被介護者U2の状態の評価の変化を用いるものとし、被介護者U2の状態の評価が介助ケアの実施前後で高くなった介助ケアを優先的に選定してもよい。
【0086】
また、実施例1と実施例2の各パラメータの関係性を併せて分析してもよい。具体的には、実施例2のように所定の被介護者U2(A氏)の属性に応じて被介護者の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する際、実施例1のように当該所定の被介護者U2(A氏)個人にとって該介助ケアの評価が低い場合、該介助ケアを選定しないものとしてもよい。例えば、一般の70代男性の被介護者にとって介護場面(食事)で介助ケア(目線を合わせた)に対する状態の評価が高い場合であっても、被介護者(A氏)個人にとって該介助ケア(目線を合わせた)に対する状態の評価が低い場合には該介助ケア(目線を合わせた)を選定しないことが挙げられる。
【0087】
<実施例3>
本実施例では、介助ケアに関する重み付けを用いて、被介護者U2(例えば、A氏、B氏、C氏…)の第1のパラメータ(A氏、B氏、C氏…の属性)、第2のパラメータ(A氏、B氏、C氏…に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏、B氏、C氏…の状態の評価)の関係性を分析して、被介護者U2の状態の評価が高い介助ケアを出力する。
【0088】
具体的には、前記分析部23は、複数の被介護者U2(A氏、B氏、C氏…)の第1のパラメータ(A1氏、A2氏、A3氏…の属性)、第2のパラメータ(A氏、B氏、C氏…に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のA氏、B氏、C氏…の状態の評価)の関係性を分析して、例えば
図12(c)に示すように、被介護者U2の属性に応じて各介護場面における各介助ケアに対して重み付けを設定する。
【0089】
なお、重み付けの設定に際しては、多くの被介護者U2の状態の評価が高い介助ケアは高い数値(例えば100)が設定され、多くの被介護者U2の状態の評価が低い介助ケアは低い数値(例えば20)が設定され、本実施例では被介護者U2の属性(性別)ごとに重み付けが設定されている。
【0090】
前記選定部24は、入力部11が所定の被介護者U2(B氏:男性)の属性に関する情報の入力を付け付けた際、分析部23により分析された所定の被介護者U2(B氏)と同じ属性(男性)の各被介護者U2の第1のパラメータ(B1氏、B2氏、B3氏…の属性)、第2のパラメータ(B1氏、B2氏、B3氏…に実施した各介助ケア)および第3のパラメータ(介助ケアの実施後のB1氏、B2氏、B3氏…の状態の評価)の関係性(
図12(c)に示す評価表)に基づいて、被介護者U2の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケア(例えば、重み付けが100の介助ケア)を選定する。
【0091】
<実施例4>
本実施例では、AI(Artificial Inteligence:人工知能)による機械学習を用いて、複数(大量)の被介護者U2の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を分析して、所定の介護者U1の状態の評価が高い介助ケアを出力する。
【0092】
具体的には、前記分析部23は、複数(大量)の被介護者U2(A氏、B氏、C氏、D氏、E氏…)の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性を機械学習することにより学習モデルを生成する。このとき、分析部23は、機械学習することにより介助ケアに対する重み付けをした学習モデルを生成してもよい。
【0093】
前記選定部24は、入力部11が所定の被介護者U2(A氏)の属性に関する情報の入力を付け付けた際、分析部23により生成された複数(大量)の被介護者U2(A氏、B氏、C氏、D氏、E氏…)の第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータの関係性に関する学習モデルに基づいて、所定の被介護者U2(A氏)の属性に応じて被介護者U2の状態の評価が高い一ないし複数の介助ケアを選定する。
【0094】
なお、AIを用いる場合、第1のパラメータ、第2のパラメータおよび第3のパラメータとともに第2の実施形態に係る第4のパラメータを用いて分析したり、第2のパラメータの属性を増やして分析したりすると、被介護者U2に対してより最適な介助ケアを出力することができる。
【0095】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。