(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019428
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 9/04 20060101AFI20250131BHJP
【FI】
A46B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123036
(22)【出願日】2023-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 開催日 2023年6月7日~2023年6月9日 集会名・開催場所 商談会(東京会場) 東京交通会館 12階ダイヤモンド・カトレアホール(東京都千代田区有楽町2-10-1) 開催日 2023年6月21日~2023年6月22日 集会名・開催場所 商談会(大阪会場) マイドームおおさか3階展示場(大阪市中央区本町橋2-5) 開催日 2023年6月27日 集会名・開催場所 商談会(福岡会場) 福岡ファッションビル8階Aホール(福岡市博多区博多駅前2丁目10-19)
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 航太
(72)【発明者】
【氏名】大久保 みのり
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB30
3B202BA02
3B202BE13
3B202EB04
3B202EB14
3B202ED01
3B202EE01
3B202EF01
3B202EF03
(57)【要約】
【課題】歯間の入り組んだ部位に内側毛束を入り込ませて該部位を良好に清掃でき、かつ、内側毛束により歯茎を痛めるのを抑制できる歯ブラシを提供する。
【解決手段】歯ブラシ1は、ヘッド部3の幅方向の中央領域に配置された複数の内側毛束8と、ヘッド部3の幅方向において中央領域を挟んだ両方の外側領域に配置された複数の外側毛束9と、を備える。複数の内側毛束8は、複数の外側毛束9よりも毛丈の長い複数の長尺用毛10を含む。長尺用毛10の太さの、複数の外側毛束9を構成する外側用毛12の太さに対する比が0.9以上1.6以下である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部に形成された複数の植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束がそれぞれ植え込まれた歯ブラシであって、
前記ヘッド部の幅方向の中央領域に配置された複数の内側毛束と、
前記幅方向において前記中央領域を挟んだ両方の外側領域に配置された複数の外側毛束と、
を備え、
前記複数の内側毛束は、前記複数の外側毛束よりも毛丈の長い複数の長尺用毛を含み、
前記複数の外側毛束を構成する外側用毛の太さに対する前記長尺用毛の太さの比率が0.9以上1.6以下である、歯ブラシ。
【請求項2】
前記内側毛束に含まれる前記複数の長尺用毛の少なくとも一部は、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記複数の内側毛束は、前記ヘッド部の長手方向に沿って連続して配置されている、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記複数の内側毛束は、前記長尺用毛よりも毛丈の短い複数の短尺用毛を含む、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記複数の外側毛束の一部は、前記ヘッド部の前記両方の外側領域において、前記幅方向に二つずつ配置されている、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記複数の内側毛束の一部は、前記ヘッド部の前記中央領域において、前記幅方向に二つ配置されている、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記複数の外側毛束のそれぞれは、毛丈が同じ長さの複数の外側用毛で構成されている、請求項1に記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは、柄部の先端に植毛台(本開示では「ヘッド部」と称する)が連接されており、ヘッド部に形成された複数の植毛穴に、複数本の用毛を束ねた毛束がそれぞれ植え込まれた構造をなしている。歯ブラシには、比較的平滑な歯面に対する清掃効果のみならず、歯間の入り組んだ部位に対する清掃効果も求められている。そのため、ヘッド部に設けられた複数の毛束の形状について従来から様々な検討がなされている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の歯ブラシでは、ヘッド部の中央に配置される複数の内側毛束と、ヘッド部の中央を挟んだ両側に配置される複数の外側毛束とで毛束の太さ及び長さ(用毛の毛丈)を異ならせている。具体的には、外側毛束よりも内側毛束を細くかつ長くすることで、歯間の入り組んだ部位まで内側毛束を入り込ませることを可能としている。これにより、特許文献1に記載の歯ブラシは、通常の歯ブラシでは清掃困難であった歯間に対して良好な清掃効果を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の歯ブラシのように、外側毛束よりも内側毛束を長くすると、歯みがきする際に内側毛束の先端部によって歯面及び歯茎に加える力(ブラッシング圧)が大きくなり、歯茎などを痛めるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するため、歯茎を痛めるのを抑制できる歯ブラシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の歯ブラシは、上記課題を解決するため、以下の項1に記載の歯ブラシを主題として包含する。
【0008】
項1.ヘッド部に形成された複数の植毛穴に複数の用毛を束ねた毛束がそれぞれ植え込まれた歯ブラシであって、
前記ヘッド部の幅方向の中央領域に配置された複数の内側毛束と、
前記幅方向において前記中央領域を挟んだ両方の外側領域に配置された複数の外側毛束と、
を備え、
前記複数の内側毛束は、前記複数の外側毛束よりも毛丈の長い複数の長尺用毛を含み、
前記複数の外側毛束を構成する外側用毛の太さに対する前記長尺用毛の太さの比率が0.9以上1.6以下である、歯ブラシ。
【0009】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項2に記載の歯ブラシを包含する。
【0010】
項2.前記内側毛束に含まれる前記複数の長尺用毛の少なくとも一部は、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛である、項1に記載の歯ブラシ。
【0011】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1から項2に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項3に記載の歯ブラシを包含する。
【0012】
項3.前記複数の内側毛束は、前記ヘッド部の長手方向に沿って連続して配置されている、項1又は2に記載の歯ブラシ。
【0013】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1から項3に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項4に記載の歯ブラシを包含する。
【0014】
項4.前記複数の内側毛束は、前記長尺用毛よりも毛丈の短い複数の短尺用毛を含む、項1から項3のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【0015】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1から項4に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項5に記載の歯ブラシを包含する。
【0016】
項5.前記複数の外側毛束の一部は、前記ヘッド部の前記両方の外側領域において、前記幅方向に二つずつ配置されている、項1から項4のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【0017】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1から項5に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項6に記載の歯ブラシを包含する。
【0018】
項6.前記複数の内側毛束の一部は、前記ヘッド部の前記中央領域において、前記幅方向に二つ配置されている、項1から項5のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【0019】
また、本開示の歯ブラシは、上記項1から項6に記載の歯ブラシの好ましい態様として、以下の項7に記載の歯ブラシを包含する。
【0020】
項7.前記複数の外側毛束のそれぞれは、毛丈が同じ長さの複数の外側用毛で構成されている、項1から項6のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【発明の効果】
【0021】
本開示の歯ブラシによれば、歯間の入り組んだ部位に内側毛束を入り込ませて該部位を良好に清掃でき、かつ、内側毛束により歯茎を痛めるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態の歯ブラシの概略構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の歯ブラシのヘッド部を拡大して示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1の歯ブラシのヘッド部を拡大して示す側面図である。
【
図4】
図4は、内側毛束を構成する用毛及び外側毛束を構成する用毛を説明するための断面図である。
【
図5】
図5は、内側毛束を構成する長尺用毛のねじれを説明するための図である。
【
図6】
図6は、内側毛束を構成する長尺用毛の変形例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、
図1の歯ブラシのヘッド部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の歯ブラシの実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本開示では、歯ブラシの各部位に関連して用いる前後左右等の方向について、特に断らない限り、
図1に示す前後方向は柄部2及びヘッド部3の長手方向(縦方向)に一致し、左右方向は柄部2及びヘッド部3の幅方向(横方向)に一致する。また、前記長手方向及び前記幅方向のいずれにも直交する方向高さあるいは厚み方向である。なお、前後方向においては、柄部2にヘッド部3が連接されている先端側が「前側」であり、その反対側が「後側」である。
【0024】
図1は、本実施形態の歯ブラシ1の外観を示す。
図2及び
図3は、歯ブラシ1のヘッド部3の外観を拡大して示す。歯ブラシ1は、長尺な棒状の柄部2と、柄部2の先端に連接された厚みの薄い板状のヘッド部3と、ヘッド部3に設けられた複数の毛束8,9と、を備える。
【0025】
図1に示すように、柄部2は、ユーザが歯ブラシ1を使用する際に把持する部分である。柄部2は、ヘッド部3よりも前後方向に長い寸法を有する。柄部2は、ヘッド部3と一体成形されてもよいし、ヘッド部3と別部材で形成されてヘッド部3が柄部2の先端に接合されていてもよい。本実施形態の柄部2は、例えばポリプロピレン樹脂を素材としており、ヘッド部3と一体成形されている。柄部2の外形及び横断面(柄部2の長手方向に直交する断面)の形状は、特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の形状を採用できる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、ヘッド部3は、平面視で例えば長方形の四隅をなだらかに切り落とした前後方向に長い略八角形状を呈する。ヘッド部3は、長手方向に平行でありかつ幅方向の中央を通って延びる中心線を対称軸として線対称(左右対称)であることが好ましい。
【0027】
ヘッド部3における前端側の一部分である前端部4は、平面視において、前方に向かうに連れて幅方向の長さ(横幅)が次第に短くなる先細り状に形成されている。つまり、前端部4の左右の側縁40,41が前方に向かうに連れて互いに近付くように延びている。前端部4の左右の側縁40,41は、ヘッド部3の先端縁31に連結されている。ヘッド部3の先端縁31は幅方向に直線的、あるいは、凸状、凹状又はジグザグ状の曲線的に延びており、前端部4は、例えば平面視で三角形状(先端の角が丸められた略三角形状を含む)あるいは台形状(先端の2つの角が丸められた略台形状を含む)を呈する。前端部4は、必ずしも平面視で三角形状、台形状に形成されている必要はなく、半円状又は半楕円状などの全体的に湾曲しながら先細り状に形成されていてもよい。
【0028】
ヘッド部3における後端側の一部分である後端部5は、平面視において、後方に向かうに連れて横方向の長さ(横幅)が次第に短くなる括れ状に形成されている。つまり、後端部5の左右の側縁50,51が後方に向かうに連れて互いに近付くように延びている。後端部5は、特に限定されないが、例えば略逆台形状を呈する。後端部5の左右の側縁50,51は、柄部2の左右の側縁に連結されている。ヘッド部3と柄部2との境界は、明確に境界線が示されている場合は境界線の位置となる。一方で、ヘッド部3と柄部2がシームレスに一体成形されている場合、ヘッド部3と柄部2との境界は、内側に最も括れた位置、あるいは、ヘッド部3と柄部2とで厚みが異なる場合は厚みが変わる位置などに基づき規定できる。
【0029】
ヘッド部3における前端部4と後端部5の間の中間部6は、平面視において、左右の側縁60,61が互いに平行に前後方向に延びている。ヘッド部3の中間部6は、特に限定されないが、例えば略矩形状を呈する。
【0030】
ヘッド部3の前端部4が先細り状に形成されていることで、歯ブラシ1の口腔内への進入力が高まり、歯ブラシ1により奥歯まで良好に清掃できる。また、ヘッド部3の先端が頬に当たることによりユーザが受ける不快感を軽減できる。なお、ヘッドの3の平面視の形状は、略八角形状に限定されず、種々の公知の形状を採用できる。
【0031】
ヘッド部3の厚みは、好ましくは3.0mm以上3.6mm以下であり、より好ましくは3.2mm以上3.4mm以下である。ヘッド部3をある程度の強度を維持しながら薄く形成することで、歯ブラシ1を口腔内へ容易に挿入できる。
【0032】
ヘッド部3の最大横幅W(本実施形態では幅方向で最大の長さとなる中間部6の横幅)は、好ましくは10mm以上20mm以下であり、より好ましくは13mm以上17mm以下であり、より好ましくは14mm以上16mm以下である。ヘッド部3の最大横幅Wが大きいと、ヘッド部3において幅方向に並べて配置できる毛束8,9の数が多くなり、ヘッド部3による清掃面積を大きく確保できる。最大横幅Wが15mm以上の幅広のヘッド部3であれば、幅方向に5つ以上、好ましくは6つ以上の毛束8,9を配置できる。一方、ヘッド部3の最大横幅Wを20mm以下にすることで、口腔内でのヘッド部3の取り回しが良好となる。
【0033】
なお、ヘッド部3の最大横幅Wは、本実施形態では、後述する長尺用毛10の毛丈よりも短く、外側用毛12の毛丈よりも長くなるように、設計されている。ただし、ヘッド部3の最大横幅Wは、必ずしも上述した設計に限定されない。
【0034】
ヘッド部3のおもて面30は、植毛面をなしている。ヘッド部3のおもて面30には、
図4に示すように、複数の植毛穴7が形成されている。複数の植毛穴7は、ヘッド部3の長手方向及び幅方向に間隔をあけて配置されている。植毛穴7の形状は、特に限定されず、平面視で円形、楕円形、多角形等を例示できる。複数の植毛穴7の形状及び寸法は、全て実質的に同一であることが好ましい。植毛穴7の寸法は、例えば植毛穴7の形状が平面視で円形であれば、直径で1.0mm以上2.0mm以下、好ましくは1.2mm以上1.8mm以下を例示できる。
【0035】
図4に示すように、複数の植毛穴7のそれぞれには、複数の用毛を束ねた毛束8,9が植え込まれている。例えば、それぞれの毛束8,9は、複数の用毛が束ねられ、二つ折りにされた状態で、折り目の部分に公知の平線が取り付けられ、折り目の部分が平線とともに植毛穴7に打ち込まれて固定されることで、各植毛穴7に植え込まれる。用毛の素材は、例えばポリブチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステル樹脂、ナイロン等を挙げることができるが、耐久性が高いとの観点から、ポリブチレンテレフタレートを用毛の素材に用いることが好ましい。
【0036】
図2に示すように、複数の毛束8,9は、ヘッド部3のおもて面30において、複数の植毛穴7の配列に応じて、ヘッド部3の長手方向及び幅方向に間隔をあけて配置されている。複数の毛束8は、ヘッド部3の幅方向の中央領域に配置されている。本開示では、ヘッド部3の幅方向の中央領域に配置された毛束8を「内側毛束8」と称する。一方で、複数の毛束9は、ヘッド部3の幅方向において中央領域を挟んだ両方の外側領域に配置されている。本開示では、ヘッド部3の幅方向の外側領域に配置された毛束9を「外側毛束9」と称する。
図2においては、説明の便宜のため、毛束の種類ごとに着色しており、内側毛束8を黒色の丸で、外側毛束9を白色の丸で示している。
【0037】
本実施形態では、ヘッド部3の幅方向に並んだ複数の毛束8,9による横列が、ヘッド部3の長手方向に複数並んでいる。例えば、ヘッド部3において横幅が最も大きい中間部6では、ヘッド部3の幅方向に6つの毛束8,9が並んでおり、この6つの毛束8,9の横列がヘッド部3の長手方向に5列設けられている。
【0038】
図4に示すように、ヘッド部3に設けられた複数の毛束8,9のそれぞれは、多数本の用毛の集合体であるが、内側毛束8は主に毛丈の長い長尺用毛10により構成されており、外側毛束9は毛丈の短い短尺用毛11により構成されている。つまり、ヘッド部3に設けられた複数の毛束8,9は、主に複数の長尺用毛10により構成された複数の内側毛束8と、複数の短尺用毛11により構成された複数の外側毛束9とを含む。
【0039】
内側毛束8は、複数の長尺用毛10により構成されている。長尺用毛10の毛丈は、外側毛束9を構成する用毛(本開示では「外側用毛」と称する)12の毛丈よりも長い。
【0040】
内側毛束8が、外側毛束9を構成する外側毛束10よりも毛丈の長い複数の長尺用毛10を含むことで、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際に、長尺用毛10が歯間に入り込みやすくなる。そのため、歯間の入り組んだ部位まで長尺用毛10を挿入できるので、長尺用毛10によって歯間を良好に清掃できる。
【0041】
また、外側毛束9を構成する複数の外側用毛12が、内側毛束8を主に構成する長尺用毛10よりも毛丈が短いことで、歯みがき時に長尺用毛10を歯間に挿入するための角度が安定する。そのため、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。
【0042】
長尺用毛10の毛丈は、歯みがき時に長尺用毛10を歯間に良好に挿入できるように、例えば12mm以上16mm以下であり、好ましくは13mm以上15mm以下である。
【0043】
なお、本開示において、各種の用毛10-13の毛丈は、ヘッド部3のおもて面30からそれぞれの用毛の先端までの長さである。複数の用毛の毛丈にばらつきがある場合には、複数の用毛の毛丈の平均を用毛の毛丈とする。
【0044】
長尺用毛10の横断面(用毛の長さ方向に直交する断面)の形状は、歯みがき時の長尺用毛10による清掃効果を向上させるとの観点から、好ましくは多角形状であり、正四角形状、正六角形状などであることが好ましい。なお、長尺用毛10の横断面の形状は、円形状などであってもよい。
【0045】
長尺用毛10の太さは、ブラッシング圧を好適にするとの観点から、好ましくは0.152mm以上0.239mm以下(6mil以上9mil以下)であり、より好ましくは0.165mm以上0.216mm以下(6.5mil以上8.5mil以下)である。
【0046】
長尺用毛10の太さは、外側用毛12の太さよりも細くてもよいし、同じであってもよいが、外側用毛12の太さよりも太い方が好ましい。
【0047】
なお、本開示において、各種の用毛10-13の太さは、用毛の根元部分(ヘッド部3のおもて面30から5mm離れた部分)で計測される太さである。また、用毛の太さは、用毛の横断面における最大の太さである。用毛の横断面形状が、例えば円形状の場合は直径が最大の太さであり、正四角形状及び正六角形状の場合は対角線の長さが最大の太さである。用毛の太さは、デジタルシックネスゲージを使用して用毛の根元部分を挟んで計測することができる。
【0048】
長尺用毛10は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。長尺用毛10は、歯みがき時における長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上させるとの観点からは、テーパー毛であることが好ましい。
【0049】
長尺用毛10は、歯みがき時に歯間に良好に入り込むとの観点から、
図5に示すように、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛であることが好ましい。長尺用毛10がねじれを有することで、長尺用毛10の毛腰が高まり、長尺用毛10が歯間に入り込む際の角度が安定する。よって、長尺用毛10の歯間への挿入性が向上する。
【0050】
なお、内側毛束8に含まれる複数の長尺用毛10の全てについてスパイラル毛であってもよいし、内側毛束8に含まれる複数の長尺用毛10の大部分(例えば80%程度)がスパイラル毛であってもよい。スパイラル毛のねじれの数としては、歯みがき時における長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上させるとの観点から、好ましくは長尺用毛10の長さ方向1cm当たり1.5回以上4回以下のねじれを有し、より好ましくは長さ方向1cm当たり2回以上3.5回以下のねじれを有する。
【0051】
長尺用毛10は、歯みがき時における長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上させるとの観点から、好ましくはヘッド部3に設けられた複数の長尺用毛10の座屈強度が350g以上であり、より好ましくは450g以上である。座屈強度は、ヘッド部3に設けられた複数の長尺用毛10の先端を平坦な面に当接させ、ヘッド部3に対しておもて面30と反対側から荷重を垂直方向に負荷し、複数の長尺用毛10が座屈した際の荷重(g)により計測できる。
【0052】
内側毛束8は、長尺用毛10よりも毛丈の短い複数の短尺用毛11を含んでいてもよい。つまり、内側毛束8は、複数の長尺用毛10を束ねて構成されている他に、複数の長尺用毛10及び複数の短尺用毛11を束ねて構成されていてもよい。
【0053】
内側毛束8が短尺用毛11を含んでいると、短尺用毛11を含んでいない場合と比較して、短尺用毛11が長尺用毛10を支えることで、長尺用毛10が倒れにくくなる。そのため、長尺用毛10が歯間に入り込む際の角度が安定し、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際に、毛丈の長い長尺用毛10が狭い歯間に入り込みやすくなる。そのため、歯みがき時における長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できるので、長尺用毛10によって歯間を効果的に清掃できる。
【0054】
短尺用毛11は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。また、短尺用毛11は、長尺用毛10と同様に、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛であってもよい。
【0055】
短尺用毛11の毛丈は、外側用毛12の毛丈よりも長くてもよいし、短くてもよいし、あるいは、同じであってもよい。短尺用毛11の毛丈は、歯みがき時に短尺用毛11により歯面を良好に磨くことができ、かつ段差を作って長尺用毛10を歯間に良好に挿入できるように、例えば7mm以上11mm以下であり、好ましくは8mm以上10mm以下である。
【0056】
短尺用毛11の横断面の形状は、歯みがき時の短尺用毛11による清掃効果を向上させるとの観点から、好ましくは多角形状であり、正四角形状、正六角形状などであることが好ましい。なお、短尺用毛11の横断面の形状は、円形状などであってもよい。
【0057】
短尺用毛11の太さは、ブラッシング圧を好適にするとの観点から、好ましくは0.127mm以上0.178mm以下(5mil以上7mil以下)であり、より好ましくは0.140mm以上0.165mm以下(5.5mil以上6.5mil以下)である。
【0058】
外側毛束9は、長尺用毛10よりも毛丈の短い複数の外側用毛12により構成されている。つまり、外側毛束9は、複数の外側用毛12を束ねて構成されている。
【0059】
外側毛束9を構成する複数の外側用毛12は、全て毛丈が同じ長さであることが好ましい。外側毛束9を構成する複数の外側用毛12の毛丈が全て同じ長さであると、複数の外側用毛12の毛丈に差がある場合と比較して、外側毛束9が歯に接触したときの内側毛束8を構成する複数の長尺用毛10を歯間に挿入するための角度が安定する。よって、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。なお、毛丈が同じ長さは、完全に同じ長さである場合に加えて、実質的に同じ長さ(例えば毛丈の差異が1mm程度)である場合も含む概念である。
【0060】
外側用毛12は、全長に亘って概ね均一な太さを有するフラット毛、先端が丸みを帯びているラウンド毛、先端側の一部分が分岐した分岐毛、少なくとも先端側の一部分がテーパー加工されることで先細るテーパー毛など、歯ブラシに使用される用毛について公知の種々の形態を採用できる。例えば、外側毛束12を構成する複数の外側用毛12のうち、半分の外側用毛12はテーパー毛とし、残り半分外側用毛12はフラット毛としてもよい。また、外側用毛12は、長尺用毛10と同様に、長さ方向にねじれを有するスパイラル毛であってもよい。
【0061】
外側用毛12の毛丈は、歯みがき時に外側用毛12により歯面を良好に磨くことができ、かつ段差を作って長尺用毛10を歯間に良好に挿入できるように、例えば7mm以上11mm以下であり、好ましくは8mm以上10mm以下である。
【0062】
長尺用毛10及び外側用毛12の毛丈の差は、歯みがき時における長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上させるとの観点から、好ましくは4mm以上6mm以下であり、より好ましくは8mm以上10mm以下である。
【0063】
外側用毛12の横断面の形状は、歯みがき時の外側用毛12による清掃効果を向上させるとの観点から、好ましくは多角形状であり、正四角形状、正六角形状などであることが好ましい。なお、外側用毛12の横断面の形状は、円形状などであってもよい。
【0064】
外側用毛12の太さは、ブラッシング圧を好適にするとの観点から、好ましくは0.127mm以上0.178mm以下(5mil以上7mil以下)であり、より好ましくは0.140mm以上0.165mm以下(5.5mil以上6.5mil以下)である。
【0065】
長尺用毛10は、毛丈が長い分、歯みがきする際に毛先によって歯面及び歯茎に加える力(ブラッシング圧)が大きくなり、歯茎などを痛めるおそれがある。本開示の発明者らは、内側毛束8を主に構成する長尺用毛10の太さと外側毛束9を構成する外側用毛12の太さの比率を調整することで、長尺用毛10により歯面及び歯茎に加えられるブラッシング圧を抑制でき、歯みがき時において、歯間に対する長尺用毛10の高い清掃力及び清掃実感を維持したままで、歯茎などに対する長尺用毛10の当たりを優しくできることを見出した。
【0066】
具体的に、本開示の歯ブラシ1においては、外側用毛12の太さに対する長尺用毛10の太さの比率が0.9以上1.6以下であり、好ましくは1.0以上1.5以下であり、より好ましくは1.0以上1.3以下であり、最も好ましくは1.0より大きく1.2以下である。これにより、本開示の歯ブラシ1では、歯みがき時に、長尺用毛10による歯間の清掃効果(例えば歯垢などの除去効果)を良好にしたうえで、長尺用毛10により歯茎を痛めるなどの歯茎の損傷を抑制できる。
【0067】
複数の内側毛束8は、ヘッド部3の幅方向の中央領域において、ヘッド部3の長手方向に沿って連続して配置されており、長手方向に延びる内側毛束群80を形成していることが好ましい。
【0068】
複数の外側毛束9は、ヘッド部3の幅方向のそれぞれの外側領域において、ヘッド部3の長手方向に沿って連続して配置されており、長手方向に延びる外側毛束群90を形成していることが好ましい。2つの外側毛束群90,90の間に内側毛束群80が挟まれている。例えば、ヘッド部3において横幅が最も大きい中間部6には、ヘッド部3の幅方向に6つの毛束が並んだ毛束の横列が5列存在するが、6つ並んだ毛束のうち、両方の外側の2つずつが外側毛束9であり、中央の2つが内側毛束8である。
【0069】
複数の内側毛束8がヘッド部3の長手方向に沿って連続して配置されていると、ヘッド部3の長手方向に複数の内側毛束8が途切れて配置されている場合と比較して、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際に、隣り合う内側毛束8同士で長尺用毛10を支え合うことで長尺用毛10が倒れにくくなる。よって、複数の長尺用毛10を歯間に挿入するための角度が安定するため、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。
【0070】
内側毛束群80の周囲は、特に限定されないが、複数の外側毛束9により完全に囲まれていないことが好ましい。例えば、ヘッド部3の前端部4においては、少なくとも1つの内側毛束8が左右2つの外側毛束群90,90から前方に突き出ている。つまり、内側毛束群80の最も前方に位置する内側毛束8よりも前方に外側毛束9は配置されておらず、内側毛束8がヘッド部3の前端縁31に最も近接している。
【0071】
ヘッド部3の前端縁31に最も近い位置に内側毛束8が少なくとも1つ配置されていると、そうでない場合と比較して、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際に、最初に歯に当接するヘッド部3の最も前側に位置する毛束が毛丈の長い内側毛束8であるので、毛丈の短い外側毛束9よりも内側毛束8は倒れにくく、この内側毛束8に隣接する内側毛束8についても倒れにくくなる。これにより、内側毛束8を構成する複数の長尺用毛10を歯間に挿入するための角度が安定し、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。
【0072】
ヘッド部3の後端部5においても、内側毛束8は左右2つの外側毛束群90,90から後方に突き出ていないものの、内側毛束群80の最も後方に位置する内側毛束8よりも後方に外側毛束9は配置されていない。これにより、同様の理由で、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際の、内側毛束8を構成する複数の長尺用毛10を歯間に挿入するための角度が安定する。よって、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。
【0073】
なお、ヘッド部3の後端部5において、内側毛束群80の最も後方に位置する内側毛束8の両側にそれぞれ配置された1つの外側毛束9について、配置しない(存在させない)ようにしてもよい。
【0074】
ヘッド部3の中央領域において、複数の内側毛束8は、少なくとも一部について、ヘッド部3の幅方向に2つ並んだ状態でヘッド部3の長手方向に沿って配置されていることが好ましい。本実施形態では、ヘッド部3の前端部4において、前方から順に、内側毛束8が左右に2つ、1つ、2つで配置され、中央部6において、前方から順に、内側毛束8が左右に2つ、2つ、2つで配置され、後端部5において、前方から順に、内側毛束8が左右に1つ、1つで配置されている。
【0075】
複数の内側毛束8の少なくとも一部がヘッド部3の幅方向に2つ並んだ状態でヘッド部3の長手方向に沿って配置されていると、内側毛束8が幅方向に1つ並んだ状態と比較して、内側毛束8を構成する長尺用毛10の毛腰が高まり、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。また、内側毛束8の占める幅が広く確保されるので、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。
【0076】
ヘッド部3の両方の外側領域のそれぞれにおいて、複数の外側毛束9は、少なくとも一部について、ヘッド部3の幅方向に2つ並んだ状態でヘッド部3の長手方向に沿って配置されていることが好ましい。本実施形態では、ヘッド部3の前端部4において、前方から順に外側毛束9が左右に0、1つ、2つで配置され、中央部6において、前方から順に外側毛束9が左右に2つ、2つ、2つで配置され、後端部5において、前方から順に外側毛束9が左右に2つ、1つで配置されている。
【0077】
複数の外側毛束9の少なくとも一部がヘッド部3の幅方向に2つ並んだ状態でヘッド部3の長手方向に沿って配置されていると、外側毛束9が幅方向に1つ並んだ状態と比較して、内側毛束8の長尺用毛10を歯間に挿入するための角度がより一層安定する。そのため、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際に、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できる。
【0078】
植毛穴7に植え込まれる内側毛束8の長尺用毛10の植毛密度は、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できるとの観点から、好ましくは18本/mm2以上26本/mm2以下であり、より好ましくは20本/mm2以上24本/mm2以下である。
【0079】
植毛穴7に植え込まれる外側毛束9の外側用毛12の植毛密度は、外側用毛12により歯面の歯垢をしっかり除去できるとの観点から、好ましくは28本/mm2以上42本/mm2以下であり、より好ましくは30本/mm2以上40本/mm2以下である。
【0080】
内側毛束群80の面積は、長尺用毛10の歯間への挿入性を良好に向上できるとの観点から、外側毛束群90の総面積の1/3以上2/3以下であることが好ましい。なお、内側毛束群80の面積は、内側毛束群80の最外周に位置する内側毛束8が植え込まれた植毛穴7の外縁を結んだ環状線によって囲まれた領域の面積である。外側毛束群90の面積は、外側毛束群90の最外周に位置する外側毛束9が植え込まれた植毛穴7の外縁を結んだ環状線によって囲まれた領域の面積である。
【0081】
以上に説明した本実施形態の歯ブラシ1によれば、ヘッド部3の幅方向の中央領域に複数の内側毛束8が配置され、ヘッド部の幅方向において中央領域を挟んだ両方の外側領域に複数の外側毛束9が配置されている。そして、外側毛束9を構成する外側用毛12よりも内側毛束8を主に構成する長尺用毛10の方が毛丈が長く形成されている。これにより、歯ブラシ1を長手方向に動かしながら歯みがきした際に、歯間の入り組んだ部位まで内側毛束8の長尺用毛10が入り込むので、清掃困難な歯間を良好に清掃でき、歯と歯の間に付着した歯垢の除去などを良好に行える。
【0082】
また、長尺用毛10の太さは、外側用毛12の太さに対する比率で、0.9以上1.6以下に設定されている。長尺用毛10は、毛丈が長い分、歯みがきする際に毛先によって歯面及び歯茎に加える力(ブラッシング圧)が大きるが、外側用毛12の太さに対する長尺用毛10の太さを調整することで、長尺用毛10により歯面及び歯茎に加えられるブラッシング圧を抑制できる。よって、長尺用毛10の毛丈が長くても、歯茎などに対する長尺用毛10の当たりを優しくできるため、長尺用毛10により歯茎を痛めるなどの歯茎の損傷を抑制できる。加えて、長尺用毛10はある程度の太さを有していて、高い清掃力を発揮するため、歯間に対して長尺用毛10による清掃効果及び清掃実感(例えば歯垢などの除去効果)を良好にできる。
【0083】
以上、本開示の歯ブラシの一実施形態について説明したが、本開示の歯ブラシは上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形ができる。例えば、以下の変形ができる。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0084】
例えば、上述した実施形態において、内側毛束8を主に構成する複数の長尺用毛10について、
図6に示すように、先端側の一部分が湾曲していてもよい。長尺用毛10の先端側の一部分が湾曲していると、歯間に入り込んだ長尺用毛10により歯と歯の間に付着した歯垢が効率よくかき取られるので、歯間をより綺麗に清掃できる。
【0085】
例えば、上述した実施形態において、ヘッド部3のおもて面30(植毛面)における内側毛束8及び外側毛束9の配置及び個数は、ヘッド部3の幅方向の中央領域に複数の内側毛束8が配置され、ヘッド部3の幅方向において中央領域を挟んだ両方の外側領域に複数の外側毛束9が配置される限り、特に限定されず、例えば
図7に示すように適宜変更可能である。
【0086】
図7(A)に示す例では、上述した実施形態と比較して、ヘッド部3の中央部6に設けられる内側毛束8の個数が減少している。
図7(A)に示す例では、ヘッド部3の中央部6において、幅方向に6つの毛束8,9が並んでおり、この6つの毛束8,9の横列がヘッド部3の長手方向に3列設けられている。
【0087】
図7(B)に示す例では、上述した実施形態と比較して、ヘッド部3の幅方向の中央領域に設けられる内側毛束8の個数が増加しており、その分、外側毛束9の個数が減少している。
図7(B)に示す例では、例えばヘッド部3の中央部6において、幅方向に6つの毛束8,9が並んでいるが、6つ並んだ毛束のうち、両方の外側の1ずつが外側毛束9であり、中央の4つが内側毛束8である。なお、ヘッド部3の前端部4及び後端部5においても内側毛束8が増加している。
【0088】
図7(C)に示す例では、上述した実施形態と比較して、ヘッド部の中央領域に配置された複数の内側毛束8がヘッド部3の長手方向に連続しておらず、ところどころに毛丈の短い毛束(
図7(C)において薄黒丸で示す)が介在しており、複数の内側毛束8はヘッド部3の長手方向に途切れて配置されている。
【0089】
図7(D)に示す例では、上述した実施形態と比較して、ヘッド部3に設けられる内側毛束8及び外側毛束9の個数を減らしている一方で、内側毛束8及び外側毛束9の太さを太くしている。
【0090】
図7(E)に示す例では、上述した実施形態と比較して、ヘッド部3の幅方向の中央領域に設けられた内側毛束8の配置及び個数が変更されており、複数の内側毛束8が千鳥状に配置されている。
【0091】
図7(F)及び
図7(G)に示す例では、上述した実施形態と比較して、ヘッド部3に設けられた内側毛束8の太さと外側毛束9の太さが相違している。
図7(F)の例では、外側毛束9の太さが内側毛束8の太さよりも太く、
図7(G)の例では、内側毛束8の太さが外側毛束9の太さよりも太い。
【実施例0092】
以下に本開示の歯ブラシについて、実施例及び比較例を示して作用・効果を具体的に説明するが、本開示の歯ブラシは以下の実施例に限定されるものではない。
【0093】
上述した実施形態の歯ブラシ1と同じ配置及び個数の内側毛束及び外側毛束を備えた歯ブラシを用いて、ブラッシング圧の試験及び歯間に対する清掃力の試験を行った。実施例1から6及び比較例1から4の歯ブラシにおいて、内側毛束を主に構成する長尺用毛の太さと外側毛束を構成する外側用毛の太さは以下の表1に示すとおりであり。なお、長尺用毛の毛丈は14mmであり、長外側毛の毛丈は9mmである。
【0094】
ブラッシング圧の試験は、歯ブラシのブラッシング圧を圧力測定フィルムにより評価した。圧力測定フィルムは、富士フィルム株式会社製の「プレスケール 超微圧用(5LW)」を使用した。まず、圧力測定フィルムを両面テープを用いて歯ブラシ圧試験機にセットする。また、歯ブラシを、ヘッド部の内側毛束の先端が圧力測定フィルムの表面に接触するようにして、ブラッシング機にセットする。そして、ブラッシング機により歯ブラシを、荷重(ヘッド部に対しておもて面と反対側から垂直方向にかける荷重)が300g、往復運転時間が20秒、振動回数が240回/min、往復距離が20mmの条件で長手方向に沿って移動させて、ヘッド部に設けた毛束により圧力測定フィルムの表面を刷掃する。歯ブラシで刷掃した後の圧力測定フィルムの表面の刷掃痕について、フィルム表面から垂直方向に10cm上の位置において撮影し、刷掃範囲における刷掃痕の占有面積を画像処理ソフトウェア(例えばImageJ)を用いて算出した。刷掃範囲面積に対する刷掃痕占有面積の割合を表1に示す。なお、刷掃範囲面積は、ヘッド部の横幅方向において一方の端にある毛束から他方の端にある毛束までの横幅の最大値とブラッシング距離(前記往復距離)との積より算出した。
【0095】
歯間に対する清掃力の試験は、模型歯に塗布した人工プラークの除去力により評価した。まず、株式会社ニッシン製の人工プラークを模型歯の下顎左5番及び左6番の歯に塗布する。次に、ブラッシング機により、歯ブラシを歯面に対して下に45°傾けた状態で歯に当てる。そして、荷重が200g、往復運転時間が10秒、振動回数が240回/min、往復距離が20mmの条件で歯ブラシを長手方向に沿って移動させて、下顎左5番及び左6番の歯を清掃する。歯ブラシで清掃した後の下顎左5番及び左6番の歯間を撮影し、歯間において人工プラークが除去された部分の面積を画像処理ソフトウェア(例えばImageJ)を用いて算出した。人工プラークの塗布面積に対する人工プラークの除去面積の割合を表1に示す。
【0096】
なお、表1の評価において、「S」は優良、「A」は良好、「B」は良好でない、ことをそれぞれ意味する。
【0097】
【0098】
表1によれば、外側用毛の太さに対する長尺用毛の太さに比率が0.9以上1.6以下であると、ブラッシング圧の評価及び清掃力の評価のいずれについても優れていることが確認された。よって、本開示の歯ブラシによれば、歯みがき時に、長尺用毛による歯間の清掃効果を良好にしたうえで、長尺用毛により歯茎を痛めるなどの歯茎の損傷を抑制できることが分かる。
【0099】
また、表1によれば、外側用毛の太さに対する長尺用毛の太さに比率が1.0以上1.3以下、さらには1.0より大きく1.2以下であると、ブラッシング圧の評価及び清掃力の評価が特に優れていることが確認された。