IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ UBE三菱セメント株式会社の特許一覧

特開2025-19736品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置
<>
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図1
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図2
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図3
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図4
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図5
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図6
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図7
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図8
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図9
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図10
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図11
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図12
  • 特開-品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019736
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20250131BHJP
   G01N 33/38 20060101ALI20250131BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20250131BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G01N33/38
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123513
(22)【出願日】2023-07-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日 2023年(令和5年)7月5日 展示会名 コンクリートテクノプラザ2023 開催場所 福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区石城町2-1) ウェブサイトの掲載日 2023年(令和5年)7月20日 ウェブサイトのアドレス https://www.mu-cc.com/information/20230720_01.html 発行日 2023年(令和5年)7月27日 刊行物 コンクリート新聞 令和5年7月27日付け発行,第1面
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】市川 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】板橋 庸行
(72)【発明者】
【氏名】玉滝 浩司
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA18
5L096DA02
5L096DA04
5L096KA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ユーザの利便性向上を図る骨材の品質予測プログラム、品質予測方法及び品質予測装置を提供する。
【解決手段】品質予測装置は、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する評価情報取得部と、機械学習により、入力情報の入力に応じて、複数の粒度区分に含まれる区分毎に質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、評価入力情報を入力して、予測モデルから出力される予測値を区分毎に取得する予測演算部と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる表示出力部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する取得工程と、
学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、前記入力情報の入力に応じて、前記複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、前記評価入力情報を入力して、前記予測モデルから出力される予測値を前記区分ごとに取得する第1予測工程と、
第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる結果表示工程と、
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記結果表示工程において前記モニタに表示される前記推論グラフには、
前記区分ごとの前記予測値に基づき演算される推論結果と、
前記第2軸に関して、前記評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる、品質予測プログラム。
【請求項2】
前記標準範囲は、
前記評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最大となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づく第1境界ラインと、
前記評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最小となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づく第2境界ラインと、
によって規定される、請求項1に記載の品質予測プログラム。
【請求項3】
前記品質予測プログラムは、前記評価対象の骨材の種類を示すユーザ入力に基づいて、複数の骨材種の中から、前記評価対象の骨材の種類を特定する特定工程を、コンピュータに更に実行させ、
前記結果表示工程では、前記特定工程において特定された前記評価対象の骨材の種類に応じて、前記標準範囲が前記モニタに表示される、請求項1又は2に記載の品質予測プログラム。
【請求項4】
前記品質予測プログラムは、前記取得工程の前に、前記評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像を前記モニタに表示させる画像表示工程を、コンピュータに更に実行させる、請求項1又は2に記載の品質予測プログラム。
【請求項5】
前記画像表示工程は、画像の回転を指示するユーザ入力が入力された場合に、前記モニタ上に表示された前記撮像画像を回転させることを含み、
前記取得工程では、前記画像表示工程での前記撮像画像の回転状態に基づいて、前記評価入力情報が決定される、請求項4に記載の品質予測プログラム。
【請求項6】
前記品質予測プログラムは、前記第1予測工程において取得される前記区分ごとの前記予測値から、前記評価対象の骨材の粗粒率を演算する第2予測工程を、コンピュータに更に実行させ、
前記結果表示工程では、前記推論グラフと共に、前記第2予測工程における前記評価対象の骨材の粗粒率の演算結果が前記モニタに表示される、請求項1又は2に記載の品質予測プログラム。
【請求項7】
前記第2予測工程は、前記第1予測工程で取得された前記予測値を補正することと、補正後の前記予測値から前記評価対象の骨材の粗粒率を算出することと、を含み、
前記第2予測工程における前記予測値の補正では、前記区分ごとの補正後の前記予測値の合計が100%となるように、前記区分ごとに補正後の前記予測値が算出される、請求項6に記載の品質予測プログラム。
【請求項8】
前記第2予測工程は、前記第1予測工程で取得された前記予測値を補正することと、補正後の前記予測値から前記評価対象の骨材の粗粒率を算出することと、を含み、
前記第2予測工程における前記予測値の補正では、前記区分ごとに、
前記予測モデルから出力された前記予測値が0よりも小さい場合には、補正後の前記予測値を0とするように補正が行われ、
前記予測モデルから出力された前記予測値が0よりも大きい場合には、当該予測値をそのまま補正後の前記予測値とするように補正が行われる、請求項6に記載の品質予測プログラム。
【請求項9】
評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する取得工程と、
学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、前記入力情報の入力に応じて、前記複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、前記評価入力情報を入力して、前記予測モデルから出力される予測値を前記区分ごとに取得する第1予測工程と、
第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる結果表示工程と、を含み、
前記結果表示工程において前記モニタに表示される前記推論グラフには、
前記区分ごとの前記予測値に基づき演算される推論結果と、
前記第2軸に関して、前記評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる、品質予測方法。
【請求項10】
評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する評価情報取得部と、
学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、前記入力情報の入力に応じて、前記複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、前記評価入力情報を入力して、前記予測モデルから出力される予測値を前記区分ごとに取得する予測演算部と、
第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる表示出力部と、を備え、
前記表示出力部が前記モニタに表示する前記推論グラフには、
前記区分ごとの前記予測値に基づき演算される推論結果と、
前記第2軸に関して、前記評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる、品質予測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、土の粒度分布の推定方法が開示されている。特許文献2には、骨材の品質推定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-117625号公報
【特許文献2】特開2021-135199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ユーザの利便性向上に有用な品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する取得工程と、学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、前記入力情報の入力に応じて、前記複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、前記評価入力情報を入力して、前記予測モデルから出力される予測値を前記区分ごとに取得する第1予測工程と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる結果表示工程と、をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記結果表示工程において前記モニタに表示される前記推論グラフには、前記区分ごとの前記予測値に基づき演算される推論結果と、前記第2軸に関して、前記評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる、品質予測プログラム。
【0006】
[2]前記標準範囲は、前記評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最大となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づく第1境界ラインと、前記評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最小となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づく第2境界ラインと、によって規定される、上記[1]に記載の品質予測プログラム。
【0007】
[3]前記品質予測プログラムは、前記評価対象の骨材の種類を示すユーザ入力に基づいて、複数の骨材種の中から、前記評価対象の骨材の種類を特定する特定工程を、コンピュータに更に実行させ、前記結果表示工程では、前記特定工程において特定された前記評価対象の骨材の種類に応じて、前記標準範囲が前記モニタに表示される、上記[1]又は[2]に記載の品質予測プログラム。
【0008】
[4]前記品質予測プログラムは、前記取得工程の前に、前記評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像を前記モニタに表示させる画像表示工程を、コンピュータに更に実行させる、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の品質予測プログラム。
【0009】
[5]前記画像表示工程は、画像の回転を指示するユーザ入力が入力された場合に、前記モニタ上に表示された前記撮像画像を回転させることを含み、前記取得工程では、前記画像表示工程での前記撮像画像の回転状態に基づいて、前記評価入力情報が決定される、上記[4]に記載の品質予測プログラム。
【0010】
[6]前記品質予測プログラムは、前記第1予測工程において取得される前記区分ごとの前記予測値から、前記評価対象の骨材の粗粒率を演算する第2予測工程を、コンピュータに更に実行させ、前記結果表示工程では、前記推論グラフと共に、前記第2予測工程における前記評価対象の骨材の粗粒率の演算結果が前記モニタに表示される、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の品質予測プログラム。
【0011】
[7]前記第2予測工程は、前記第1予測工程で取得された前記予測値を補正することと、補正後の前記予測値から前記評価対象の骨材の粗粒率を算出することとと、を含み、前記第2予測工程における前記予測値の補正では、前記区分ごとの補正後の前記予測値の合計が100%となるように、前記区分ごとに補正後の前記予測値が算出される、上記[6]に記載の品質予測プログラム。
【0012】
[8]前記第2予測工程は、前記第1予測工程で取得された前記予測値を補正することと、補正後の前記予測値から前記評価対象の骨材の粗粒率を算出することと、を含み、前記第2予測工程における前記予測値の補正では、前記区分ごとに、前記予測モデルから出力された前記予測値が0よりも小さい場合には、補正後の前記予測値を0とするように補正が行われ、前記予測モデルから出力された前記予測値が0よりも大きい場合には、当該予測値をそのまま補正後の前記予測値とするように補正が行われる、上記[6]又は[7]に記載の品質予測プログラム。
【0013】
[9]評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する取得工程と、学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、前記入力情報の入力に応じて、前記複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、前記評価入力情報を入力して、前記予測モデルから出力される予測値を前記区分ごとに取得する第1予測工程と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる結果表示工程と、を含み、前記結果表示工程において前記モニタに表示される前記推論グラフには、前記区分ごとの前記予測値に基づき演算される推論結果と、前記第2軸に関して、前記評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる、品質予測方法。
【0014】
[10]評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する評価情報取得部と、学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、前記入力情報の入力に応じて、前記複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデルに対して、前記評価入力情報を入力して、前記予測モデルから出力される予測値を前記区分ごとに取得する予測演算部と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタに表示させる表示出力部と、を備え、前記表示出力部が前記モニタに表示する前記推論グラフには、前記区分ごとの前記予測値に基づき演算される推論結果と、前記第2軸に関して、前記評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる、品質予測装置。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、ユーザの利便性向上に有用な品質予測プログラム、品質予測方法、及び品質予測装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、生コンクリートの製造システム、及び品質予測装置を例示する模式図である。
図2図2は、品質予測装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、品質予測装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4(a)は、予測モデルを用いた予測演算の一例を模式的に示す図である。図4(b)は、学習用の画像データを取得する様子を模式的に示す断面図である。
図5図5は、学習用の画像データの一例を示す図である。
図6図6は、予測値と正解値との比較結果の一例を示すグラフである。
図7図7は、品質予測装置が実行する一連の処理の一例を示すフロー図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、モニタ上の表示画面の一例を示す模式図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、モニタ上の表示画面の一例を示す模式図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、モニタ上の表示画面の一例を示す模式図である。
図11図11は、モニタ上の表示画面の一例を示す模式図である。
図12図12は、モニタ上の表示画面の一例を示す模式図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、予測値と正解値との比較結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図1には、一実施形態に係る品質予測装置と、その品質予測装置が用いられる生コンクリートの製造システムが模式的に示されている。
【0018】
[生コンクリートの製造システム]
最初に、生コンクリートの製造システムについて、その概要を説明する。図1に示される製造システム100は、生コンクリートを製造するシステムである。製造システム100は、コンクリート材料を練り混ぜて、生コンクリートを製造(生成)する。
【0019】
製造システム100において用いられるコンクリート材料は、セメント、混和材、粗骨材、細骨材、水、及び混和剤等を含む。粗骨材としては、例えば、砂利、砕石、スラグ粗骨材、軽量粗骨材、再生粗骨材、回収骨材、又はこれらを混合した粗骨材が挙げられる。砂利は、山砂利、陸砂利、川砂利、又は海砂利などである。スラグ粗骨材は、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、電気炉酸化スラグ骨材、又は石炭ガス化スラグ骨材などである。軽量粗骨材は、天然軽量骨材、副産軽量骨材、又は人工軽量骨材などである。粗骨材は、砕岩砕石、又は石灰砕石を含んでもよい。
【0020】
細骨材としては、例えば、砂、砕砂、スラグ細骨材、軽量細骨材、再生細骨材、回収骨材、又はこれらを混合した細骨材が挙げられる。砂は、山砂、陸砂、川砂、又は海砂などである。スラグ細骨材は、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材、電気炉酸化スラグ骨材、又は石炭ガス化スラグ骨材などである。軽量細骨材は、天然軽量骨材、副産軽量骨材、又は人工軽量骨材などである。
【0021】
砕石、及び砕砂の岩種には、例えば、火成岩類、堆積岩類、変成岩類、珪石、石灰岩、ドマロイト、又はかんらん岩などがある。火成岩類は、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩、ひん岩、輝緑岩、流紋岩、安山岩、玄武岩、又は蛇紋岩などである。堆積岩類は、礫岩、砂岩、頁岩、粘板岩、又は凝灰岩などである。変成岩類は、片麻岩、又は結晶片岩などである。本開示では、粗骨材及び細骨材を総称して、「骨材」と称する場合がある。この場合、「骨材」は、粗骨材、細骨材、又は、粗骨材及び細骨材の両方を意味する。
【0022】
製造システム100は、製造した生コンクリートを運搬車200に積み込む。運搬車200は、生コンクリートが積み込まれた後に、生コンクリートが使用される現場(例えば、工事現場)まで生コンクリートを運搬する。運搬車200としては、例えば、アジテータ車(ミキサ車)、又はダンプトラックが挙げられる。製造システム100は、現場ごとに設定された目標品質(要求品質)を満たすように、コンクリート材料から生コンクリートを製造してもよい。一例では、生コンクリートの目標品質は、スランプ、又はスランプフローの目標値を含む。製造システム100は、例えば、材料置場101と、運搬装置104と、製造装置110と、を備える。
【0023】
材料置場101は、コンクリート材料を貯蔵する場所である。材料置場101は、複数のサイロ102を含む。複数のサイロ102は、コンクリート材料の少なくとも一部を、材料の種類ごとに貯蔵する容器である。複数のサイロ102は、粗骨材を貯蔵するサイロ102と、細骨材を貯蔵するサイロ102と、セメントを貯蔵するサイロ102とを含む。
【0024】
運搬装置104は、複数のサイロ102に貯蔵されたコンクリート材料を、製造装置110まで運搬する装置である。運搬装置104は、例えば、コンクリート材料を搬送するベルトコンベアを含む。運搬装置104は、互いに異なるタイミングで、材料の種類ごとにコンクリート材料を運搬してもよい。一例では、製造システム100が備える制御装置による動作指示に基づいて、各種コンクリート材料のうちの特定の材料が運搬装置104に移され、製造装置110まで搬送される。
【0025】
製造装置110は、骨材を含むコンクリート材料を練り混ぜて、生コンクリートを製造する装置である。製造装置110は、例えば、貯蔵瓶111と、計量瓶112と、集合ホッパ113と、ミキサ114と、積込ホッパ115と、を備える。
【0026】
貯蔵瓶111は、各種のコンクリート材料を一時的に貯蔵する。貯蔵瓶111には、材料置場101から、運搬装置104によって各種のコンクリート材料が運搬(搬送)される。貯蔵瓶111は、各種のコンクリート材料を個別に貯蔵するように構成されている。以下、「コンクリート材料」を単に「材料」と表記する場合がある。貯蔵瓶111に貯蔵されている各種材料は、必要に応じて計量瓶112に供給される。
【0027】
計量瓶112は、貯蔵瓶111の下方に配置されている。計量瓶112は、制御装置からの動作指示に基づいて動作し、各種材料を個別に計量する。計量瓶112は、制御装置から指示された目標量の材料を検知すると、その材料を集合ホッパ113に供給する。水が計量瓶112に供給される際に、その水に混和剤が混合されてもよい。集合ホッパ113は、計量瓶112の下方に配置されている。集合ホッパ113は、計量瓶112から排出される各種材料を集約し、集約した各種材料をミキサ114に供給する。なお、集合ホッパ113が備えられなくてもよく、この場合、計量瓶112から各種材料がミキサ114に供給される。
【0028】
ミキサ114は、集合ホッパ113の下方に配置されている。ミキサ114は、コンクリート材料を練り混ぜる装置である。ミキサ114は、骨材、セメント、水、及び混和剤等を練り混ぜる(混練する)ことで、生コンクリートを製造する。ミキサ114の底部から、生コンクリートが積込ホッパ115に排出される。積込ホッパ115は、ミキサ114の下方に配置されており、生コンクリートを一時的に収容する。積込ホッパ115は、一時的に収容した生コンクリートを運搬車200に供給する。
【0029】
以上に説明した製造システム100は、生コンクリートの製造システムの一例であり、生コンクリートの製造システムは、コンクリート材料を練り混ぜて、生コンクリートを製造可能であれば、どのように構成されていてもよい。
【0030】
[品質予測装置]
品質予測装置1は、コンクリート材料に含まれる骨材の品質として、骨材の粗粒率を予測する装置である。品質予測装置1は、1以上のコンピュータによって構成されている。品質予測装置1を構成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ(タブレット端末)、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、ワークステーション、サーバコンピュータ、又は、汎用コンピュータであってもよい。品質予測装置1は、有線又は無線を介して、通信ネットワークに接続されてもよい。
【0031】
品質予測装置1は、例えば、本体10と、入力デバイス12と、モニタ14と、カメラ16と、を備える。本体10は、品質予測装置1を構成するコンピュータの主たる機能を実行する装置(コンピュータ本体)である。
【0032】
入力デバイス12は、本体10に情報を入力するための装置である。入力デバイス12は、所望の情報を入力可能であればいかなるものであってもよく、その具体例としては、キーパッド、マウス、及び操作コントローラなどの操作インターフェースが挙げられる。
【0033】
モニタ14は、本体10から出力された情報を表示するための装置である。モニタ14は、グラフィック表示が可能であればいかなるものであってもよく、その具体例としては液晶パネルが挙げられる。モニタ14及び入力デバイス12は、タッチパネルとして一体化されていてもよい。
【0034】
カメラ16は、骨材を撮像することが可能な装置である。カメラ16は、骨材を撮像することで画像データを生成する。カメラ16は、例えば、可視光に基づき撮像範囲を撮像するデジタルカメラ、又はビデオカメラである。カメラ16によって生成された画像データは、骨材の品質を予測する際に用いられる。カメラ16が、撮像対象の動画を生成する場合、その動画に含まれる静止画が画像データとして取得されてもよい。
【0035】
カメラ16は、製造システム100において、特定箇所にある骨材を撮像することができるように配置されてもよい。カメラ16は、例えば、運搬装置104によって運搬されている骨材を撮像可能となるように配置されてもよい。カメラ16は、持ち運び可能であってもよく、作業員等のユーザが、カメラ16を撮像位置まで運んでもよい。ドローン等の移動体にカメラ16が搭載されてもよく、ユーザによる移動体の操縦等により、製造システム100における任意の箇所においてカメラ16が撮像を行ってもよい。
【0036】
品質予測装置1において、カメラが内蔵(搭載)されたスマートフォン、又はカメラが内蔵されたタブレットコンピュータのように、本体10、入力デバイス12、モニタ14、及びカメラ16が一体化されてもよい。一例では、スマートフォンに対して、骨材の品質を予測するためのアプリケーションがインストールされることで、品質予測装置1が構成される。
【0037】
図2に示されるように、本体10は、回路50を備える。回路50は、プロセッサ51と、メモリ52と、ストレージ53と、入出力ポート54と、を有する。ストレージ53は、フラッシュメモリ、又はハードディスク等の1以上の不揮発性メモリデバイスにより構成されている。ストレージ53は、少なくとも、取得工程、第1予測工程、及び結果表示工程をコンピュータに実行させる品質予測プログラムを記憶している。品質予測プログラムは、特定工程と、画像表示工程と、取得工程と、第1予測工程と、第2予測工程と、結果表示工程と、をコンピュータに実行させてもよい。これらの工程の詳細については後述する。ストレージ53は、本体10の各機能ブロックを構成するための品質予測プログラムを記憶する。
【0038】
メモリ52は、例えばランダムアクセスメモリ等の1以上の揮発性メモリデバイスにより構成されている。メモリ52は、ストレージ53からロードされた品質予測プログラムを一時的に記憶する。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1以上の演算デバイスにより構成されている。プロセッサ51は、メモリ52にロードされた品質予測プログラムを実行することで、本体10の各機能ブロックを構成する。プロセッサ51による演算結果は一時的にメモリ52に格納される。入出力ポート54は、プロセッサ51からの要求に応じ、入力デバイス12、モニタ14、及びカメラ16等との間で情報の入出力を行う。
【0039】
品質予測プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又は半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、品質予測プログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。本体10(品質予測装置1)は、互いに通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成されてもよい。本体10(品質予測装置1)は、製造システム100に含まれる制御装置の一部の要素であってもよい。
【0040】
図3には、本体10が備える機能上の構成要素(本開示において「機能ブロック」という。)の一例が示されている。本体10は、機能ブロックとして、ユーザ入力取得部22と、画像データ取得部24と、評価情報取得部26と、予測モデル保持部28と、予測演算部30と、表示出力部32と、骨材情報保持部34と、を備える。これらの機能ブロックが実行する処理は、本体10(品質予測装置1)が実行する処理に相当する。
【0041】
ユーザ入力取得部22は、評価対象の骨材の粗粒率の予測に必要なユーザからの入力を示すユーザ入力情報を取得するように構成されている。ユーザ入力取得部22は、モニタ14に表示されたインターフェース用の画面へのユーザ入力に基づいて、ユーザ入力情報を取得してもよい。
【0042】
画像データ取得部24は、評価対象の骨材を撮像して生成される画像データ(以下、「撮像画像データ」という。)を取得するように構成されている。画像データ取得部24は、カメラ16によって撮像して得られる撮像画像データを取得する。
【0043】
評価情報取得部26は、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得するように構成されている。評価情報取得部26は、例えば、撮像画像データをそのまま、評価入力情報として取得してもよく、撮像画像データに対して所定の加工が施されて得られる画像データを、評価入力情報として取得してもよい。ユーザ入力によって、撮像画像データに対して、評価入力情報を得るために加工を施すか否か、及び、どのように加工するかが決定されてもよい。
【0044】
予測モデル保持部28は、評価対象の骨材の粗粒率を予測するためのモデル(以下、「予測モデルM」という。)を保持するように構成されている。予測モデルMは、学習用の骨材を撮像して得られる学習用の画像データ(学習画像データ)に基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、上記入力情報の入力に応じて、複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築されたモデルである。予測モデルMの構築については、後述する。
【0045】
予測モデル保持部28は、複数種の予測モデルMを保持(記憶)していてもよい。予測モデル保持部28が保持する複数種の予測モデルMは、複数種類の骨材にそれぞれ対応付けられてもよい。複数種の予測モデルMのそれぞれは、対応する種類の骨材から得られる学習データに基づく機械学習により構築されてもよい。例えば、評価対象の骨材の種類が「砕石2005」である場合、複数種の予測モデルMのうちの、その砕石2005に対応付けられた予測モデルMを用いて、粗粒率の予測が行われてもよい。
【0046】
機械学習とは、機械(コンピュータ)が与えられた情報に基づいて反復的に学習することで、法則又はルールを自律的に見つけ出す手法をいう。予測モデルMは、アルゴリズム及びデータ構造を用いて構築することができる。予測モデルMは、例えば、人間の脳神経の仕組みを模した情報処理のモデルであるニューラルネットワークを用いて実現される。予測モデルMを構築する際に行われる機械学習の具体的なアルゴリズムは特に限定されない。ニューラルネットワークは、入力層と、1以上の中間層と、出力層とを有する。1以上の中間層を含むことでより複雑な予測モデルMを構築でき、予測精度を向上できる。
【0047】
予測モデルMは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を用いた機械学習により構築されていてもよい。予測モデルMは、骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値に基づく機械学習により構築される。予測モデルMは、上記入力情報に応じて、複数の粒度区分に含まれる区分ごとの質量分率を示す値のみを出力してもよい。すなわち、予測モデルMは、複数の粒度区分について、それぞれが質量分率を示す複数の値のみを出力してもよい。
【0048】
予測モデルMは、例えば、機械学習の入力として与えられるデータと、機械学習の出力の正解データ(粒度区分ごとの質量分率の正解値)とを用いた機械学習が行われることで、粒度区分ごとの質量分率を予測するために構築される。機械学習の入力は、学習用の骨材を撮像して得られる学習用の画像データに基づく入力情報の種々のデータセットである。入力情報の種々のデータセットでは、入力情報に含まれる少なくとも画像データが互いに異なっている。機械学習の出力は、粒度区分ごとの質量分率を示すデータ(数値)である。予測モデルMを構築する際には、入力情報及び質量分率等の正解値の複数の組合せを用いて、粒度区分ごとの質量分率の予測値が出力されるモデルが反復的に学習される。
【0049】
予測モデルMを自律的に構築する段階は、学習フェーズに相当する。上記学習フェーズが、製造システム100において生コンクリートの製造を行う生産フェーズの前に行われてもよく、又は、生産フェーズの初期段階で行われてもよい。学習済みのモデルである予測モデルMは、コンピュータ間で移植可能である。従って、他の装置において構築された予測モデルMが、予測モデル保持部28に記憶されてもよい。品質予測装置1が予測モデルMを用いて評価対象の骨材の粗粒率を予測する段階は、評価フェーズに相当する。
【0050】
予測演算部30は、評価入力情報を予測モデルMに対して入力して、予測モデルMから出力される予測値を上記粒度区分ごとに取得するように構成されている。すなわち、予測演算部30は、複数の粒度区分について、それぞれが質量分率の値を示す複数の予測値を予測モデルMから取得する。予測演算部30は、粒度区分ごとの質量分率に関する予測値(複数の予測値)から粗粒率を算出する。
【0051】
表示出力部32は、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタ14に表示させるように構成されている。モニタ14に表示される推論グラフには、複数の粒度区分に含まれる区分ごとの上記予測値に基づき演算される推論結果と、第2軸に関して、評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる。
【0052】
骨材情報保持部34は、上記推論グラフに含まれる標準範囲を表示するために必要な情報を保持する。骨材情報保持部34は、例えば、複数種の骨材にそれぞれ対応付けられた標準範囲を示す情報を保持する。すなわち、骨材情報保持部34は、複数種の骨材それぞれについて、対応する標準範囲を示す情報を保持してもよい。推論結果及び標準範囲を含む推論グラフの詳細については、後述する。
【0053】
<予測モデルM>
ここで、図4及び図5を用いて、粗粒率の予測に用いられる予測モデルMについて更に説明する。予測モデルMを構築する学習フェーズでは、製造システム100において用いられ、評価対象となり得る骨材と同じ種類の骨材が、学習用の骨材として用いられる。図4(a)には、入力情報である画像Imから、予測モデルMを用いて粗粒率を予測する演算過程が模式的に示されている。予測モデルMの入力は、画像Imであり、予測モデルMの出力は、複数の粒度区分それぞれの質量分率の予測値である。
【0054】
予測モデルMを構築する際には、機械学習を行うための学習用のデータが準備される。学習用のデータは、学習用の骨材を撮像して得られる各種の画像データ(入力情報)と、各種の画像データそれぞれに対応付けられた正解データとを含む。学習用の画像の準備では、例えば、粒度区分ごとの質量分率が既知である各種骨材が準備される。上記の各種骨材とは、骨材の種類が異なることではなく、粒度が互いに異なる同じ種類の骨材であることを意味する。
【0055】
一例では、計測用のシート132上に積み重ねられた状態で、学習用の各種骨材がカメラ130によって個別に撮像される(図4(b)を参照)。積み重ねられた状態(積み重なった状態)とは、鉛直上方から見て、骨材に含まれる一部の粒が、他の粒に重なっている状態をいう。カメラ130によって個別に撮像されることで、各種の骨材それぞれについて、学習用の画像データが得られる。カメラ130は、デジタルカメラであってもよく、計測用のシート132上の骨材から所定距離だけ離れた位置(例えば、上方の所定位置)から、積み重なった状態の骨材を含む範囲を撮像する。
【0056】
シート132は、ゴムシートであってもよい。図4(b)に示されるように、シート132は、運搬装置104のベルトコンベアを模して湾曲するように形成されたシートであってもよく、図4(b)に示される例とは異なり、フラット状に形成されたシートであってもよい。シート132に載せられる骨材の量は、特に限定されないが、1kg~10kg程度であってもよい。図4(b)では、シート132上に骨材が堆積した様子が模式的に例示されており、骨材の量が2kg、5kg、及び8kgである場合の堆積状態が示されている。なお、シート132は、ゴムシート以外の容器を使用することができる。縁のある容器であれば、カメラから骨材までの距離を算出した後に、距離の算出結果に基づき画像データのサイズを補正して、撮像された骨材の大きさを一律に調整するために利用できる観点でも好ましい。
【0057】
一例では、下記の表1に示される条件で各種骨材の試料が準備され、準備した試料を撮像することで学習用の画像が取得される。表1に示される条件で準備された各種骨材における粒度区分ごとの質量分率は既知であり、その既知の値が機械学習における正解データである。粒度区分ごとの質量分率が既知である場合、粗粒率も既知である。
【0058】
【表1】
【0059】
粗粒率(F.M)は、例えば、コンクリート標準仕方書で規定される下記の式(1)によって求められる。なお、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事」に規定される計測では、式(1)における80mmを除いた9個のふるいが用いられる。本開示で予測される粗粒率は、いずれの方式によって規定されるものであってもよい。
【数1】
【0060】
表1においては、10水準の粒度(粗粒率)の骨材が準備されることを意味する。区分Iは、2.5mmよりも小さい粒の粒度区分を表す。区分Iには、2.5mmのふるいにとどまれない粒が分けられる。区分IIは、2.5mm以上、且つ5mmよりも小さい粒の粒度区分を表す。区分IIには、2.5mmのふるいにとどまるが、5mmのふるいにはとどまれない粒が分けられる。区分IIIは、5mm以上、且つ10mmよりも小さい粒の粒度区分を表す。区分IIIには、5mmのふるいにはとどまるが、10mmのふるいにはとどまれない粒が分けられる。区分IVは、10mm以上、且つ20mmよりも小さい粒の粒度区分を表す。区分IVには、10mmのふるいにはとどまるが、20mmのふるいにはとどまれない粒が分けられる。
【0061】
水準1に関して、粒度区分ごとの質量分率(区分I~IVそれぞれの質量分率)から、粗粒率が以下のように求められる。水準1の骨材では、80mm、40mm、及び20mmのふるいにとどまる試料の質量の百分率が、それぞれ0であり、10mmのふるいにとどまる試料の質量の百分率が85であり、5mmのふるいにとどまる試料の質量の百分率が100(=15+85)である。また、5mmのふるいに全ての粒がとどまるので、2.5mm、1.2mm、600μm、300μm、及び150μmのふるいにとどまる試料の質量の百分率が、それぞれ100である。そのため、粗粒率は、下記の式(2)のように演算される。
【数2】
【0062】
水準2~10に関しても、水準1での上記演算と同様にして粗粒率が求められる。なお、表1に示される学習用の骨材の条件は、あくまで一例であり、水準の個数、各水準での粗粒率及び粒度区分ごとの質量分率、及び粒度区分の設定方法は、任意に設定されてもよい。表1に示される複数の粒度区分のように、最小の区分(<150μm)を含む複数の区分での粒度が、1つの粒度区分にまとめられてもよい。ある区分(例えば、20~40mm)以上での粒度が、複数の粒度区分に含まれていなくてもよい。また、表1の設定方法と異なり、ある区分(例えば、1.2~2.5μm)以下での粒度が、複数の粒度区分に含まれていなくてもよい。
【0063】
図5には、表1における水準1~10それぞれの条件に従って準備された学習用の骨材を撮像して得られる画像T1~T10が示されている。水準n(nは、1~10の整数)が、画像Tnに対応する。例えば、水準1に従って準備された学習用の骨材を撮像して画像T1が得られている。各水準nに従った学習用の骨材では、複数の粒度区分の粒が含まれている。このように、2以上の粒度区分の粒が含まれるように学習用の骨材が準備され、当該学習用の骨材を撮像して得られる画像データに基づき入力情報が準備されてもよい。
【0064】
各水準nに関して、学習用の骨材の状態(より詳細には、堆積状態)が互いに異なる複数の画像Tnが準備されてもよい。一例では、計測用のシート132上に学習用の骨材が載せられた状態で、1回目の撮像が行われることで、1つの画像Tnが取得される。そして、学習用の骨材がシート132の上から一時的に取り除かれて、多数の粒同士の堆積状態が1回目の撮像時と異なるように、シート132上に再度、同じ学習用の骨材(同じ試料)が載せられる。そして、2回目の撮像が行われる。上記のような撮像が繰り返されることで、各水準nに関して複数の画像Tnが準備されてもよい。
【0065】
1つの画像Tnと、その画像Tnに対応付けられた水準nでの質量分率の正解データとによって、1つのデータセットが構成される。学習用のデータとして、それぞれが、画像Tnと質量分率の正解データとの組み合わせからなる複数のデータセットが準備される。そして、そのような学習用のデータを用いた機械学習が行われることで、予測モデルMが構築される。以上のように構成された予測モデルMは、例えば、4つの粒度区分に関する4つの質量分率の値を出力する。
【0066】
畳み込みニューラルネットワークを用いた機械学習による予測モデルMを用いた粗粒率の予測方法を検証するために、正解値が既知であるデータセットを用いて、予測モデルMによる予測結果と正解値との比較検証を行った。学習用の骨材は、上述の表1の条件に従って、粗粒率が互いに異なる10水準の骨材を準備した。1つの水準ごとに、計測用のシート132上での骨材の堆積状態が互いに異なる状態で、室内において10回の撮像を行って10個の画像を取得した。
【0067】
また、下記の表2に示す基準条件に従って、合計100枚の画像(10水準×10回の撮像)を準備した。これにより、学習用のデータとして、それぞれのデータセットにおいて画像と正解値とが対応付けられた100個のデータセットを準備した。
【0068】
【表2】
【0069】
100個のデータセットのうちの80個のデータセットを用いて、上記予測モデルMを構築し、20個のデータセットを検証に用いた。各水準において、8個のデータをモデル構築に使用し、2個のデータセットを検証に使用した。20個のデータセットを用いた検証では、データセットごとに、画像と予測モデルMとを用いて演算された予測結果と、当該画像に対応付けられた質量分率の正解値とを比較した。予測モデルMは、畳み込み層とプーリング層とから構成される中間層を6層設けたのち、4層の全結合層を設けた畳み込みニューラルネットワークにより構成した。また、損失関数にはHuber関数を使用した。なお、それぞれのデータセットでは、Image Augmentation層により画像の数を増加させた。
【0070】
図6は、上記表1での区分III及び区分IVにおける質量分率(%)の予測値と、対応する質量分率(%)の正解値との関係を示すグラフである。図6に示されるグラフにおいて、横軸が質量分率の正解値であり、縦軸が、予測モデルMから出力される質量分率の予測値である。区分III(5mm~10mm)での予測結果が△印でプロットされており、区分IV(10mm~20mm)での予測結果が〇印でプロットされている。正解値と予測値とが一致する実線のラインが描かれており、プロットされた結果が、そのラインに近いほど、予測精度が高いことを意味する。図6に示される結果から、上記ラインの近傍に予測結果がプロットされており、予測モデルMにより、質量分率を精度良く予測できていることがわかる。質量分率によって粗粒率を求めることができるので、予測モデルMにより、質量分率を精度良く予測できれば、粗粒率も精度良く予測できる。
【0071】
[品質予測方法]
続いて、図7図12を参照しながら、品質予測装置1において実行される品質予測方法について説明する。以下、品質予測装置1が、カメラ付きのスマートフォンによって構成される場合を例に用いて、品質予測方法について説明する。この品質予測方法は、例えば、特定工程と、画像表示工程と、取得工程と、第1予測工程と、第2予測工程と、結果表示工程と、を含む。特定工程、画像表示工程、取得工程、第1予測工程、第2予測工程、及び結果表示工程は、いずれも評価フェーズで実行される工程である。すなわち、これらの工程は、予測モデルMが既に構築された後に実行される。学習フェーズにおいて、複数種の骨材(複数の骨材種)に応じて、複数の予測モデルMが構築されていてもよい。
【0072】
特定工程は、評価対象の骨材の種類を示すユーザ入力に基づいて、複数の骨材種の中から、評価対象の骨材の種類を特定する工程である。画像表示工程は、取得工程の前に、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像をモニタ14に表示させる工程である。画像表示工程は、画像の回転を指示するユーザ入力が入力された場合に、モニタ14上に表示された撮像画像を回転させることを含んでもよい。モニタ14上に表示された撮像画像の回転では、例えば、画像上の縦方向及び横方向が切り替わるように、右又は左に画像が90°だけ回転する。撮像画像の外枠が正方形である場合には、撮像画像の回転に伴って座標が変換される。
【0073】
取得工程は、評価対象の骨材を撮像して得られる評価画像データに基づく評価入力情報を取得する工程である。取得工程では、画像表示工程での撮像画像の回転状態に基づいて、評価入力情報が決定されてもよい。一例では、画像表示工程において、モニタ14上に表示されている現在の(取得工程実行時の)撮像画像を示すデータが、評価入力情報として取得される。同じ撮像画像であっても、90°回転していない画像と、90°回転した画像との間では、座標ごとのピクセル値が異なるので、異なる評価入力情報が得られる。
【0074】
第1予測工程は、予測モデルMに対して評価入力情報を入力して、予測モデルMから出力される予測値を粒度区分ごとに取得する工程である。第1予測工程では、複数の予測モデルMの中から、特定工程における評価対象の骨材の種類の特定結果に応じた予測モデルMが選択され、選択された予測モデルMを用いて、粒度区分ごとに予測値が取得されてもよい。第2予測工程は、第1予測工程において取得された、粒度区分ごとの予測値から、評価対象の骨材の粗粒率を演算する工程である。第2予測工程では、例えば、上記式(1)に従って、粒度区分ごとの予測値から粗粒率が算出される。
【0075】
結果表示工程は、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフをモニタ14に表示させる工程である。モニタ14に表示される推論グラフには、第1予測工程で得られる結果に基づき演算される推論結果と、評価対象の骨材の種類に応じた標準範囲とが含まれる。結果表示工程では、特定工程において特定された評価対象の骨材の種類に応じて、標準範囲がモニタ14に表示されてもよい。すなわち、評価対象の骨材の種類によって、推論グラフ上の標準範囲が異なる。結果表示工程では、上記推論グラフと共に、第2予測工程における評価対象の骨材の粗粒率の演算結果がモニタ14に表示されてもよい。
【0076】
<処理フロー>
図7は、品質予測方法において実行される一連の処理を例示するフロー図である。ユーザは、品質予測装置1を保持しており、評価対象の骨材の粗粒率を予測したい任意にタイミングで、ステップS01を実行する。ステップS01では、例えば、ユーザが、モニタ14上に表示された画面上での操作により、品質を予測するためのアプリケーションを起動する。一例では、図8(a)に示されるように、品質予測装置1のモニタ14上にホーム画面が表示されている状態において、ユーザが、品質を予測するためのアプリケーションを表すアイコン60をクリック、タップといった押下する。
【0077】
品質予測装置1は、ステップS01の起動要求を受けると、ステップS02を実行する。ステップS02では、例えば、品質予測装置1の表示出力部32が、品質予測を実行するアプリケーションにおけるホーム画面をモニタ14に表示する。図8(b)には、ホーム画面の一例が示されており、そのホーム画面には、骨材の撮影(撮像)を行うモードへ移行するための実行ボタン62と、他の機能を実行するモード(例えば、過去の予測結果を閲覧するモード)へ移行するための実行ボタン64とが表示されている。
【0078】
次に、ユーザは、ステップS03を実行する。ステップS03では、例えば、ユーザが、モニタ14上に表示された実行ボタン62を押下(例えば、タップ)することにより、骨材の撮影を行うモードを選択する。品質予測装置1は、ステップS03の選択が行われると、ステップS04を実行する。ステップS04では、例えば、表示出力部32が、モニタ14上の表示内容を骨材の撮影を行うモードに応じた画面に切り替える。図9(a)には、ステップS04での切り替え後の画面の一例が示されている。
【0079】
次に、ユーザは、ステップS05を実行する。ステップS05では、例えば、ユーザが、モニタ14上の操作を行うことにより、複数の骨材種の中から、評価対象の骨材に応じた種類を選択する。表示出力部32は、図9(b)にも示されるように、ユーザが評価対象の骨材の種類を選択可能なプルダウン66をモニタ14に表示させてもよい。ユーザは、プルダウン66において予め定められた複数の骨材種の中から、評価対象の骨材の種類に合致するものを選択してもよい。図10(a)には、評価対象の骨材の種類が選択された後の表示画面の一例が示されている。
【0080】
品質予測装置1は、ステップS05の選択が行われると、ステップS06を実行する。ステップS06では、例えば、予測演算部30及び表示出力部32が、ステップS05の選択結果に応じて、評価対象の骨材の種類を特定する。ステップS05及びステップS06の実行後において、表示出力部32は、カメラ16を起動させる指示を入力するための起動ボタン68を表示する。表示出力部32は、ステップS05及びステップS06の実行前において、ユーザによるタップができない状態で起動ボタン68をモニタ14に表示してもよい。図9(a)等において、破線で示されるボタンは、ユーザによるタップができない状態を表す。又は、表示出力部32は、ステップS05及びステップS06の実行前に起動ボタン68をモニタ14に表示せずに、ステップS05及びステップS06の実行後に起動ボタン68をモニタ14に表示してもよい。
【0081】
次に、ユーザは、ステップS07を実行する。ステップS07では、例えば、ユーザが、カメラ16の起動を指示し、その後、カメラ16による撮影を実行する。一例では、ユーザにより起動ボタン68がタップされると、品質予測装置1がカメラ16を起動し、図10(b)に示されるように、表示出力部32が、カメラ16によるプレビュー画像70と、カメラ16による撮影の実行を指示するための撮影実行ボタン71とをモニタ14に表示する。ユーザは、モニタ14上のプレビュー画像70を見ながら、撮影実行ボタン71をタップすることにより、カメラ16による評価対象の骨材の撮像が実行される。
【0082】
品質予測装置1は、ステップS07の撮像が行われると、ステップS08を実行する。ステップS08では、例えば、画像データ取得部24が、カメラ16による撮像で生成される撮像画像データを取得し、表示出力部32が、その撮像画像データに基づく画像72(撮像画像)をモニタ14上に表示する。図11には、撮像画像データに基づく画像72と、画像72の回転を指示するための回転実行ボタン74と、予測モデルMによる予測の実行を指示するための予測実行ボタン76と、がモニタ14に表示された状態が例示されている。
【0083】
次に、ユーザは、ステップS09を実行する。ステップS09では、例えば、ユーザが、必要に応じて、画像72をモニタ14上で1タップにつき90°回転させるように、回転実行ボタン74をタップする。ユーザは、モニタ14上に表示された画像72を回転させる必要がない場合には、回転実行ボタン74をタップしない。一例では、品質予測装置1を構成するスマートフォン等のデバイスに搭載されたカメラ16で撮像した際に、画像72の縦及び横が自動で変換される場合がある。この場合、ユーザは、回転実行ボタン74を1回以上タップすることにより、カメラ16の視野内における縦方向、横方向、上下、及び左右と合致するように画像72を調整できる。
【0084】
また、ステップS09では、例えば、ユーザが、モニタ14上に表示された画像72を予測モデルMへの入力として問題ないと判断した場合に、予測実行ボタン76をタップする。表示出力部32は、ステップS08が実行される前において、ユーザによるタップができない状態で予測実行ボタン76をモニタ14に表示してもよい。又は、表示出力部32は、ステップS08の実行前に予測実行ボタン76をモニタ14に表示せずに、ステップS08の実行後に予測実行ボタン76をモニタ14に表示してもよい。
【0085】
品質予測装置1は、ステップS09での予測に関する実行指示を受けると、ステップS10を実行する。ステップS10では、例えば、評価情報取得部26が、予測実行ボタン76がタップされた時点で、モニタ14上に表示されている画像72の回転状態に基づいて、予測モデルMに入力する評価入力情報を取得する。評価情報取得部26は、例えば、予測実行ボタン76がタップされた時点で表示されている画像72から、評価入力情報の少なくとも一部として、座標ごとのピクセル値を取得する。
【0086】
また、ステップS10では、例えば、予測演算部30が、取得した評価入力情報を予測モデルMに入力し、その予測モデルMから出力される粒度区分ごとの質量分率の予測値を取得する。予測演算部30は、ステップS06で特定された、評価対象の骨材の種類に対応付けられた予測モデルMを用いて、粒度区分ごとの質量分率の予測値を取得する。予測演算部30は、粒度区分ごとの質量分率から粗粒率を算出する。
【0087】
次に、品質予測装置1は、ステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、表示出力部32が、ステップS10で実行された予測演算の結果をモニタ14上に表示する。図12には、ステップS10での予測演算の結果をモニタ14に表示した状態が例示されている。
【0088】
表示出力部32は、第1軸及び第2軸を含む推論グラフ82をモニタ14に表示する。モニタ14に表示される推論グラフ82は、2次元(2次元直交座標系)のグラフであってもよい。第1軸は、ふるいの呼び寸法(mm)を表し、例えば、横軸である。ふるいの呼び寸法は、ふるいの粒径と称される場合もある。第2軸は、各ふるいを通過する粒の質量分率(%)を表し、例えば、縦軸である。各ふるいを通過する粒の質量分率は、重量通過百分率、又は通過重量百分率と称される場合もある。
【0089】
推論グラフ82上において、ある位置にプロットされた点を(Xmm,Y%)のように表すと、その点は、呼び寸法がX(mm)であるふるいを通過する粒の質量分率がY(%)であることを意味する。推論グラフ82には、ステップS10において予測モデルMから得た粒度区分ごとの予測値に基づき演算される推論結果と、第2軸(縦軸)に関して、評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる。粒度区分ごとの予測値に基づき演算される推論結果は、グラフ上にプロットされた複数の点であってもよく、複数の点と、それらの点同士を線分で結ぶことで得られるラインであってもよい。
【0090】
具体例を用いて、上記推論結果について説明する。例えば、区分I(<2.5mm)での質量分率の予測値が3.2%であり、区分II(2.5~5.0mm)での質量分率の予測値が6.5%であり、区分III(5.0~10mm)での質量分率の予測値が32.0%であり、区分IV(10~20mm)での質量分率の予測値が58.3%である場合を想定する。この場合、表示出力部32は、推論グラフ82上において、(2.5mm,3.2%)、(5mm,9.7%)、(10mm,41.7%)、及び、(20mm,100%)の4つの点をプロットすることで、推論結果を表示してもよい。
【0091】
表示出力部32は、図12に示されるような、推論ラインCを推論結果としてモニタ14に表示してもよい。上記想定の結果が得られた場合、推論ラインCは、例えば、上記4つの点と、互いに隣り合う点同士を結ぶ直線とによって描かれる。なお、4つの点が、直線の幅と同程度の大きさを有し、推論ラインCが直線のみによって描かれてもよい。
【0092】
推論グラフ82に含まれる標準範囲は、第1境界ラインBL1と、第2境界ラインBL2とによって規定される。第2境界ラインBL2は、グラフ上において、第1境界ラインBL1よりも上方に位置する。縦軸(質量分率)に関して、第1境界ラインBL1と第2境界ラインBL2との間の範囲が、評価対象の骨材の種類での標準の範囲を表す。第1境界ラインBL1は、評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最大となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づくラインである。第2境界ラインBL2は、評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最小となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づくラインである。
【0093】
具体例を用いて、標準範囲について説明する。例えば、JIS A5005:2020(コンクリート用砕石及び砕砂)において、砕石2005の粒度は、下記の表3のように定義されている。表3での呼び寸法に応じた数値範囲は、各ふるいを通る粒の質量分率(%)を示す。以下、各ふるいを通る粒の質量分率を単に「質量分率」という場合があり、種々の呼び寸法に応じた質量分率の組合せのことを、質量分率の分布という。なお、砕石2005に関しては、ふるいの呼び寸法が40mm以上である範囲、及び、1.2mm以下である範囲では、質量分率が定義されていないので、それらの範囲は下記表3では省略している。なお、砕石2005の質量分率の分布が表3に示されると説明したが、表3に示される質量分率の分布を有する砕石が、砕石2005と分類されるということができる。
【表3】

表3において、“-”は、質量分率(%)が定義されていないことを意味する。
【0094】
表3に示される質量分率の分布の範囲内において、全体の粒径が最大となる場合の質量分率の分布を表4に示す。全体の粒径が最大となるとは、特定の種類に分類される質量分率の分布の範囲内において、骨材に含まれる粒全体を評価した際に、粒径が最も大きくなることを意味する。
【表4】
【0095】
図12に例示される推論グラフ82内の第1境界ラインBL1は、表4に示される質量分率の分布に従って描かれている。具体的には、表示出力部32は、(2.5mm,0%)、(5mm,0%)、(10mm,20%)、(20mm,90%)、及び(25mm,100%)の5つの点をプロットしたうえで、互いに隣り合う点同士を直線で結ぶことで、第1境界ラインBL1を描画している。
【0096】
表3に示される質量分率の分布の範囲内において、全体の粒径が最小となる場合の質量分率の分布を表5に示す。全体の粒径が最小となるとは、特定の種類に分類される質量分率の分布の範囲内において、骨材に含まれる粒全体を評価した際に、粒径が最も小さくなることを意味する。
【表5】
【0097】
図12に例示される推論グラフ82内の第2境界ラインBL2は、表5に示される質量分率の分布に従って描かれている。具体的には、表示出力部32は、(2.5mm,5%)、(5mm,10%)、(10mm,55%)、及び(20mm,100%)の4つの点をプロットしたうえで、互いに隣り合う点同士を直線で結ぶことで、第2境界ラインBL2を描画している。
【0098】
推論グラフ82に含まれる標準範囲内に、予測モデルMによる質量分率の推論結果(例えば、推論ラインC)が収まれば、予測された質量分率が、評価対象の骨材の種類においては適切であると評価できる。推論グラフ82に含まれる標準範囲から、予測モデルMによる質量分率の推論結果(例えば、推論ラインC)が外れる場合には、予測された質量分率が、評価対象の骨材の種類においては適切ではないと評価できる。
【0099】
予測モデルMによる質量分率から粗粒率を演算して、その粗粒率の予測値を評価して、骨材の品質が所望のものであるか否かを評価することもできる。しかしながら、粗粒率の予測値が所望の範囲内であったとしても、ふるいの呼び寸法ごとに質量分率(予測値)を観察すると、所望の範囲内から外れている場合も起こり得る。これに対して、上述した推論グラフ82をモニタ14に表示することで、ユーザは、質量分率の分布の観点からも、骨材の品質が所望のものであるか否かを容易に把握することができる。
【0100】
ステップS11において、表示出力部32は、推論グラフ82に加えて、第1結果情報84aと、第2結果情報84bと、戻るボタン86とをモニタ14に表示してもよい。第1結果情報84aは、ユーザにより選択された評価対象の骨材の種類と、上記粒度区分ごとの質量分率の予測値から得られる粗粒率とを含む。第2結果情報84bは、上記粒度区分ごとの質量分率の予測値を含む。
【0101】
ユーザにより、戻るボタン86がタップされると、例えば、品質予測装置1が実行する処理がステップS02に戻り、図8(b)に例示される表示画面がモニタ14に表示される。ユーザは、異なるタイミングにおいて、品質予測装置1を利用して、評価対象の骨材の品質の予測、及び、その品質の評価を繰り返し行ってもよい。
【0102】
[変形例]
図7に示される処理フローは、一例であり、適宜変更可能である。例えば、品質予測装置1は、ステップS07を実行した後に、ステップS08及びステップS09を経ることなく、ステップS10を実行してもよい。品質予測装置1による品質の予測対象の骨材が1種類である場合には、ステップS05及びステップS06が省略されてもよい。なお、骨材が1種類であったとしても、その場合に表示される推論グラフ82での標準範囲は、その1種類に応じた範囲であることに変わりがない。
【0103】
表示出力部32は、ステップS11において、少なくとも推論グラフ82をモニタ14に表示すれば、どのような情報をモニタ14に表示させてもよい。表示出力部32は、推論グラフ82に加えて、他のグラフを表示してもよい。表示出力部32は、他のグラフとして、粒度区分ごとの質量分率の予測値をそのままプロットしたグラフを表示してもよい。ステップS09において、品質予測装置1は、回転実行ボタン74の操作を介して画像72の角度を変更する機能を有しなくてもよい。
【0104】
品質予測装置1は、ユーザが操作可能なスマートフォン等の端末装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバであってもよい。この場合、端末装置が、ステップS01,S03,S05,S07,S09を実行し、上記サーバとしての品質予測装置1が、ステップS02,S04,S06,S08,S10,S11を実行してもよい。そして、品質予測装置1が備える表示出力部32は、品質予測装置1以外の装置である端末装置が有するモニタに、各種情報を表示してもよい。
【0105】
上記サーバとしての品質予測装置1は、ユーザが操作する端末装置から閲覧及びアクセスが可能なWebページ等をユーザに対して提示することで、端末装置との間で情報の受け渡しを行ってもよい。この場合、ステップS01では、アプリケーションの起動に代えて、ログインが実行されてもよい。あるいは、Webページに代えて、品質予測装置1と連携するアプリケーションが端末装置に準備されたうえで、上記サーバとしての品質予測装置1が、その端末装置に対して情報を提供してもよい。
【0106】
上述した予測モデルMは一例であり、予測モデルMは、骨材の画像データに基づく情報から、少なくとも、複数の粒度区分についての質量分率に関する複数の予測値を出力可能であれば、どのようなモデルであってもよい。予測モデルMへの入力データには、骨材を撮像して得られる画像データに加えて、質量分率又は粗粒率に影響を及ぼし得る物理量を示す情報が含まれていてもよい。
【0107】
本発明者らの検討の結果、骨材が気乾状態ではなく、湿潤状態である場合、撮影対象となる骨材の量によって、粗粒率の予測精度が低下する可能性があるという知見が得られた。予測演算部30は、ステップS10において、予測モデルMから出力される粒度区分ごとの質量分率に関する予測値を補正することと、補正後の予測値(補正して得られる予測値)に基づき骨材の粗粒率を算出することと、を実行してもよい。
【0108】
具体的には、予測演算部30は、以下の第1補正及び第2補正を行ってもよい。第1補正では、予測演算部30は、粒度区分ごとに、予測モデルMから出力された予測値が0よりも小さい場合には、補正後の予測値を0とするように補正を行い、予測モデルMから出力された予測値が0より大きい(又は、予測値が0以上である)場合には、当該予測値をそのまま補正後の予測値とするように補正を行う。
【0109】
第2補正では、予測演算部30は、粒度区分ごとの補正後の予測値の合計が100%となるように、粒度区分ごとに補正後の予測値を算出する。具体的には、予測演算部30は、第2補正では、粒度区分ごとの質量分率の値を第2補正前の質量分率の総和で除算した後に、100を乗算する。予測演算部30は、上記第1補正を行った後に、上記第2補正を行ってもよい。すなわち、予測演算部30は、第2補正を実行する際には、第1補正後に得られた予測値に対して第2補正を行ってもよい。粒度区分ごとの質量分率に関する補正後の予測値に基づく粗粒率の算出は、上記式(2)での演算と同様に実行される。
【0110】
具体的な数値を用いて、上記第1補正及び第2補正について更に説明する。表1に示される水準3の画像データを予測モデルMに入力して、補正した場合の演算例を、下記の表6に示す。
【0111】
【表6】
【0112】
表6において、「補正前」は、予測モデルMから出力された値を表し、「第1補正」は、補正前の値に対して第1補正を施して得られる値を表し、「第2補正」は、第1補正後の値に対して第2補正を施して得られる値を表す。補正前の値では、区分IIの質量分率の値がマイナスであり、質量分率の合計が100を超えている。第1補正及び第2補正を施すことで、マイナスの値が0となり、質量分率の合計が100となっている。補正前の粗粒率の算出値が6.95であるのに対して、第1補正及び第2補正を施した後では粗粒率の算出値が6.75となっている。粗粒率の算出では、マイナスの値はそのまま加算しており、区分I以下では、各ふるいにとどまる試料の百分率は、100と仮定している。各区分の質量分率を区分の名称で表すと、粗粒率は、{(区分IV)+(区分IV+区分III)+(区分IV+区分III+区分II)+(区分IV+区分III+区分II+区分I)+100×3}/100を演算することで求められる。
【0113】
図13(a)に示されるグラフでは、骨材表面の水分状態が異なる試料を用いた検証の結果が示されている。この検証における「気乾状態」は、試料となる骨材を室内に所定時間だけ放置して乾燥(自然に乾燥)させた状態である。また、「湿潤状態」は、試料となる骨材に、当該骨材の質量に対して所定比(例えば、質量比で1%~5%)の水を加えて、容器内で混ぜ合わせた状態である。図13(a)は、上記第1補正及び第2補正を行わずに粗粒率を算出した場合の結果であり、図13(b)は、上記第1補正及び第2補正を行って粗粒率を算出した場合の結果である。なお、骨材の量を2kgだけでなく、5kg及び8kgとした場合でも評価を行っており、骨材の量を5kg及び8kgとした場合のそれぞれにおいて、予測モデルMを構築している。
【0114】
予測値が、正解値に対してどの程度外れているかを示す指標として、粗粒率に関する絶対差平均値を算出した。絶対差平均値は、20個の検証用データセットにおける正解値と予測値との差分の絶対値の算術平均である。縦軸が、絶対差平均値を表し、「Tg」は目標値であることを表す。絶対差平均値が目標値Tg(0.10)以下である場合に、予測モデルMを用いた予測の精度が良いと評価できる。現行の生コンクリート工場において許容されている粗粒率の誤差を参考に、目標値Tgを0.10に設定した。
【0115】
図13(a)に示される結果から、気乾状態であれば、絶対差平均値が目標値Tg以下であり、予測モデルMにより精度良く予測できることがわかる。一方、湿潤状態では、骨材の量が8kgである場合に、絶対差平均値が目標値Tgを超えている。これに対して、図13(b)に示されるように、補正を行った後に粗粒率を算出した場合には、気乾状態及び湿潤状態の双方において、絶対差平均値が目標値Tg以下である結果が得られている。すなわち、湿潤状態においても、第1補正及び第2補正を施して、粗粒率の算出を行うことで、精度良く粗粒率を予測できることがわかる。なお、予測演算部30は、第1補正及び第2補正のいずれか一方を行ったうえで、粒度区分ごとの質量分率の予測値から粗粒率の算出を行ってもよい。
【0116】
以上に説明した種々の例のうちの1つの例において、他の例において説明した事項の少なくとも一部が組み合わせられてもよい。
【0117】
[本開示のまとめ]
以上に説明した品質予測プログラムは、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する取得工程と、学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、上記入力情報の入力に応じて、複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデル(M)に対して、評価入力情報を入力して、予測モデル(M)から出力される予測値を上記区分ごとに取得する第1予測工程と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフ(82)をモニタ(14)に表示させる結果表示工程と、をコンピュータに実行させるプログラムである。結果表示工程においてモニタ(14)に表示される推論グラフ(82)には、上記区分ごとの上記予測値に基づき演算される推論結果(C)と、第2軸に関して、評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる。
【0118】
何らかの方法により、評価対象の骨材の粗粒率に関する予測値を得て、その予測値を評価することで、骨材の品質が所望のもの(例えば、適切と判断される管理範囲内)であるか否かを評価することもできる。しかしながら、粗粒率の予測値が所望の範囲内であったとしても、ふるいの呼び寸法ごとに質量分率を観察すると、所望の範囲内から外れている可能性もある。これに対して、上記品質予測プログラムでは、ふるいの呼び寸法と質量分率との関係を表す推論グラフ(82)がモニタ(14)に表示される。推論グラフ(82)では、質量分率に関する予測値から得られる推論結果と、評価対象の骨材の種類に応じた質量分率に関する標準範囲とが含まれる。そのため、推論結果と標準範囲とを比較することで、ユーザは、質量分率の分布の観点からも、骨材の品質が所望のものであるか否かを容易に把握することができる。従って、上記品質予測プログラムは、ユーザの利便性向上に有用である。
【0119】
上記標準範囲は、評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最大となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づく第1境界ライン(BL1)と、評価対象の骨材の種類における全体の粒径が最小となる場合の、各ふるいを通過する粒の質量分率に基づく第2境界ライン(BL2)と、によって規定される。この場合、ユーザは、第1境界ライン(BL1)と第2境界ライン(BL2)との関係を見ることで、推論結果が標準範囲内か否かをより容易に把握することできる。従って、ユーザの利便性向上に更に有用である。
【0120】
上記品質予測プログラムは、評価対象の骨材の種類を示すユーザ入力に基づいて、複数の骨材種の中から、評価対象の骨材の種類を特定する特定工程を、コンピュータに更に実行させてもよい。結果表示工程では、特定工程において特定された評価対象の骨材の種類に応じて、標準範囲がモニタ(82)に表示されてもよい。生コンクリートを製造する製造システム(100)では、種々の種類の骨材が用いられる場合がある。上記プログラムでは、評価対象の骨材の種類に応じて標準範囲が表示されるので、種々の種類の骨材に関して、質量分率が適切な範囲か否かをユーザが評価できる。従って、ユーザの利便性向上に更に有用である。
【0121】
上記品質予測プログラムは、取得工程の前に、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像(72)をモニタ(14)に表示させる画像表示工程を、コンピュータに更に実行させてもよい。この場合、ユーザは、予測モデルMに入力される撮像画像(72)が、予測モデルMに適しているものかどうかを把握して、又は、どのような状態の撮像画像(72)が予測モデルMに入力されたかを把握して、予測モデルMからの予測結果を得ることができる。すなわち、予測モデルMへの入力内容を把握したうえで、予測モデルMからの予測結果を把握できる。従って、ユーザの利便性向上に更に有用である。
【0122】
画像表示工程は、画像の回転を指示するユーザ入力が入力された場合に、モニタ(14)上に表示された撮像画像(72)を回転させることを含んでもよい。取得工程では、画像表示工程での撮像画像(72)の回転状態に基づいて、評価入力情報が決定されてもよい。予測モデルMに入力される予定の撮像画像(72)の縦及び横の関係が、予測モデルMによる予測に適していない場合もあり得る。この場合、ユーザは、撮像画像(72)の撮像による取得を繰り返さなくても、撮像画像(72)の回転状態を、予測モデルMによる予測に適した状態に合わせることができる。従って、ユーザの利便性向上に更に有用である。
【0123】
上記品質予測プログラムは、第1予測工程において取得される区分ごとの上記予測値から、評価対象の骨材の粗粒率を演算する第2予測工程を、コンピュータに更に実行させてもよい。結果表示工程では、推論グラフ(82)と共に、第2予測工程における評価対象の骨材の粗粒率の演算結果がモニタ(14)に表示されてもよい。この場合、ユーザは、推論グラフ(82)によって、ふるいの呼び寸法ごとの質量分率が適切であるかを評価しつつ、粗粒率が所望の範囲内であるかも一緒に評価できる。従って、ユーザの利便性向上に更に有用である。
【0124】
第2予測工程は、第1予測工程で取得された予測値を補正することと、補正後の予測値から評価対象の骨材の粗粒率を算出することと、を含んでもよい。第2予測工程における予測値の補正では、区分ごとの補正後の予測値の合計が100%となるように、区分ごとに補正後の予測値が算出されてもよい。種々の入力に対して正解値に近い結果が得られるように予測モデル(M)が構築されるので、予測モデル(M)による演算結果では、粒度区分ごとの質量分率の総和が100%とならない場合もある。上記プログラムでは、質量分率の総和が100%と異なる結果が得られても、現実に合った値に補正される。そのため、粗粒率の予測に関する予測精度を向上させるのに有用である。
【0125】
第2予測工程は、第1予測工程で取得された予測値を補正することと、補正後の予測値から評価対象の骨材の粗粒率を算出することと、を含んでもよい。第2予測工程における予測値の補正では、区分ごとに、予測モデル(M)から出力された予測値が0よりも小さい場合には、補正後の予測値を0とするように補正が行われ、予測モデル(M)から出力された予測値が0よりも大きい場合には、当該予測値をそのまま補正後の予測値とするように補正が行われてもよい。種々の入力に対して正解値に近い結果が得られるように予測モデル(M)が構築されるので、予測モデル(M)による演算結果では、質量分率がマイナスになってしまう場合もある。上記プログラムでは、質量分率がマイナスとなっても、現実に合った値に補正される。そのため、粗粒率の予測に関する予測精度を向上させるのに有用である。
【0126】
以上に説明した品質予測方法は、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する取得工程と、学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、入力情報の入力に応じて、複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデル(M)に対して、評価入力情報を入力して、予測モデル(M)から出力される予測値を区分ごとに取得する第1予測工程と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフ(82)をモニタ(14)に表示させる結果表示工程と、を含む。結果表示工程においてモニタ(14)に表示される推論グラフ(82)には、区分ごとの予測値に基づき演算される推論結果(C)と、第2軸に関して、評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる。この品質予測方法は、上記品質評価プログラムと同様に、ユーザの利便性向上に有用である。
【0127】
以上に説明した品質予測装置(1)は、評価対象の骨材を撮像して得られる撮像画像データに基づく評価入力情報を取得する評価情報取得部(26)と、学習用の骨材を撮像して得られる学習画像データに基づく入力情報と、当該入力情報に対応付けられた骨材の複数の粒度区分それぞれの質量分率の正解値とに基づく機械学習により、入力情報の入力に応じて、複数の粒度区分に含まれる区分ごとに質量分率を示す値を出力するように構築された予測モデル(M)に対して、評価入力情報を入力して、予測モデル(M)から出力される予測値を区分ごとに取得する予測演算部(30)と、第1軸がふるいの呼び寸法であり、第2軸が各ふるいを通過する粒の質量分率である推論グラフ(82)をモニタ(14)に表示させる表示出力部(32)と、を備える。表示出力部(32)がモニタ(14)に表示する推論グラフ(82)には、区分ごとの予測値に基づき演算される推論結果(C)と、第2軸に関して、評価対象の骨材の種類に応じた標準の範囲を表す標準範囲と、が含まれる。この品質予測装置(1)は、上記品質評価プログラムと同様に、ユーザの利便性向上に有用である。
【符号の説明】
【0128】
1…品質予測装置、14…モニタ、26…評価情報取得部、30…予測演算部、32…表示出力部、M…予測モデル、82…推論グラフ、BL1…第1境界ライン、BL2…第2境界ライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13